(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、企業ビジョンを「株式会社 北川鉄工所はものづくりという業にあって、お客様の喜びを我々の喜びとし、素直な心を尊び、勇気ある行動を敬い、自己実現の場として自律した活力あるリーダーを育成し、技術を誇り、未知なる世界に挑戦するQuality Businessを実践する集団である。」と掲げ、グループ社員全員でこの価値観を共有して実践することが、ものづくり企業としての企業価値の向上につながるものと考えております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは2021年度に長期経営計画「Plus Decade 2031」を策定し、その中で2031年度に連結売上高1,000億円、2026年度に連結営業利益で過去最高益となる60億円を目標としておりました。同時に、資本コストを意識した収益の確保を目指すべく、2026年度に投下資本利益率(ROIC※1)を6%以上、合わせて自己資本利益率(ROE)も8%以上を目標とし、加えて資本政策面においても、キャピタリゼーション比率※2を意識し、新規事業投資と株主還元を行いつつ、目標数値を25~30%と設定し自己資本と有利子負債のバランスを図ってまいりました。
しかしながら、計画初年度となる2022年度は地政学リスクの高まりや原油価格の高騰、急激な円安進行の影響により事業環境が大きく変化し、今後も先行きが不透明な状況が続くものと考えております。
このような状況を踏まえ、2023年度は当期の業績見通しの達成に注力し、その後に事業環境と整合した中期経営計画の策定をいたします。新たな目標数値につきましては、開示が可能となった時点で速やかに公表いたします。
※1 投下資本利益率(ROIC) = 税引後連結営業利益 ÷(固定資産+売上債権+棚卸資産-仕入債務)
※2 キャピタリゼーション比率 = 有利子負債 ÷(有利子負債+自己資本)
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは2021年に、長期経営計画「Plus Decade 2031」を策定し、グループ全体の視点から、事業ビジョン、組織ビジョンを明確化し、中長期的な戦略に取り組んでおります。この「Plus Decade 2031」のビジョンは「4つの価値観を実践し、世界基準の成長を実現する」です。
当社の行動原理である「4つの価値観」を実践することで、世界経済の成長に立ち遅れることなく、継続した事業規模の拡大に取り組んでまいります。
また、「Plus Decade 2031」の骨子として以下の3点を重点項目に挙げております。
①事業構造の転換
当社グループは、金属素形材事業・産業機械事業・工作機器事業の3事業を主として行っております。これら既存事業のバランスを見直し、周辺領域への事業展開を推進することで事業ポートフォリオの再構築を図ります。
②経営品質の進化
最先端情報技術の社内実装に挑戦し、現有する技術基盤と組み合わせ新たなものづくりを共創します。また、AIを用いた品質情報分析による不良率の低減や、3Dモデルを用いた設計による提案力の強化を図り、より一層の価値提供に取り組んでまいります。
③人材育成
当社は企業成長の根幹は人材であるという思想のもと、「働きやすく、成長できる企業へ」をテーマに、自ら学習し、思考し、行動できる社員の育成を図ります。企業だけでなく共に働く社員の成長を促し、継続的な事業規模の拡大を目指してまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
①事業ポートフォリオの転換
経営資源の選択と集中という観点から、抜本的な事業構造の変革を推進するとともに、社外連携やM&Aの活用による既存事業の市場拡大および新規市場の開拓に努め、持続的な企業成長に資する新たなビジネスモデルの創出に取り組んでいきます。
②既存事業の基盤強化
キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニー(金属素形材事業)は、喫緊の課題である高騰した原材料およびエネルギー価格の売価への転嫁を進めるとともに、生産コストの低減に努めてまいります。同時に、タイ工場閉鎖など生産拠点の再構築、生産品目構成の見直し、EV化の進展後も需要が見込める部品への受注転換など、事業構造の変革を目指してまいります。
キタガワ サン テック カンパニー(産業機械事業)は、コンクリートプラント・ビル建設用クレーン・自走式立体駐車場などの主力事業の収益力強化に加え、カーボンニュートラルやSDGsなどの環境テーマを新たなビジネスチャンスと捉え、既存コア技術を用いて新市場分野の事業拡大に挑戦してまいります。
キタガワ グローバル ハンド カンパニー(工作機器事業)は、インドへの進出など海外における事業展開の強化、販売網やサービス網の再構築、ネット販売のシステム化などを進めていきます。またM&Aなどを有効な手段として活用し、必要な技術や商品群を獲得することで、事業領域の拡大を図ってまいります。
③働きやすく成長できる環境の構築
多様な働き方や、1on1ミーティングなど「対話」を中心としたコミュニケーションの拡充により一人ひとりが安心して働ける環境整備を進めてまいります。また、個々のキャリア形成支援、評価・処遇等の人事制度の見直しにより、成長や働きがいを社員が実感でき、自律した活力ある人材への育成を目指してまいります。
④デジタル技術活用による業務改革
業務オペレーションの効率を高めるために、積極的にデジタル技術の導入を目指します。3DモデルやAI、ARなどの先端技術を積極的に推進し、生産性の向上や新たな付加価値の創出に繋げていきます。また、情報セキュリティー対策の充実や基幹システムの再構築によりIT化のリスクの極小化を目指してまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
当社は、経営環境の激しい変化に対応すべく、経営の効率化・意思決定の迅速化や経営の透明性の確保が必要不可欠であると考えております。そのため、コーポレート・ガバナンスの充実を経営上の重要課題の一つとして位置付け、企業の健全性を確保し、企業価値の増大を図り、企業の社会的責任を果たす事業活動の展開に努めております。気候関連課題や自然資本・循環型社会などを含めた環境課題全体の基本方針や重要事項・目標設定は取締役会で審議・決定いたします。取締役および執行役員には、グループの意思決定およびサステナブル経営を含む監督を高いレベルで行うために、必要な経験、高い見識、高度な専門性を有する人材を配置しております。サステナブル経営を推進していくために、会長を委員長、全取締役を委員とした全社リスク管理委員会(開催頻度:1回以上/年)を設置し、経営課題の一つの環境課題について協議・決定し、グループ全体戦略へ反映しております。環境課題を含む各カンパニーを取り巻くリスクについては、各カンパニーにカンパニー社長を委員長、カンパニー副社長及び部門長を委員としたリスク管理委員会(開催頻度:1回以上/年)を設置し、更にリスク管理委員会の委員長が必要に応じてリスク対策チームを設置し、環境課題に関する取り組みを管理・推進しております。コーポレート部門は、経営管理本部長を委員長、部門長を委員としたリスク管理委員会を設置しております。また、各リスク管理委員会では、取り組みの実施状況のモニタリングを行い、定期的に全社リスク管理委員会へ報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制をとっております。
当社では、全社リスク管理委員会および各カンパニー・コーポレート部門にリスク管理委員会を設置し、気候変動に伴う外部環境分析をもとに、環境課題に係わるリスクの特定、経営・財務などへの影響および発生可能性に基づき、その重要度を評価し、対応を協議・決定しております。また、新たな気候変動リスクも含み体系的にリスクを特定・評価し、取り組みを当社の事業戦略・実行計画に落とし込み、論議しながら管理・推進しております。取り組みの実施状況については、各リスク管理委員会においてモニタリングを行い、その内容を全社リスク管理委員会に報告しております。不測の事態が発生したときは、全社リスク管理委員会を中心に、損害の発生防止およびその極小化に万全を図ります。
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は「気候変動」および「人的資本」と認識しております。「気候変動」および「人的資本」に係る当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
①気候変動について
気候変動に対する「ガバナンス」はサステナビリティ全般における「ガバナンス」に組み込まれております。詳細は、(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理をご参照ください。
当社は、2030年および2050年における社会動向や規制動向などを予測し、TCFD提言が示す気候関連リスクと機会の枠組みに基づき、気候変動に伴うリスクと機会の項目を社内関係者とディスカッションしながら起こりうる事業インパクトを評価、検討いたしました。決定された気候変動におけるリスクについては、必要に応じて重点経営リスクとして管理・アクションプランの策定など具体的な対策の計画・実行を進めております。(長期経営計画「Plus Decade 2031」)
・シナリオ分析の前提
当社のシナリオ分析においては、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに1.5℃に抑える努力を追求する」というパリ協定目標の達成と脱炭素社会の実現を見据え、1.5℃シナリオを中心に2℃シナリオも検討いたしました。さらに、世界的に気候変動対策が十分に進展しない場合も想定して、4℃シナリオも検討いたしました。
1.5℃および2℃シナリオは、温暖化抑止に向けて技術革新や規制強化が進み、社会が変化するもので、移行に伴う機会とリスクとして検討し、4℃シナリオは、十分な温暖化抑止がなされずに酷暑や激甚な暴風雨などが発生するもので、物理的影響に伴う機会とリスクとして検討いたしました。
(注1)財務影響における各記号の影響額については、次のとおりです。
影響 ▲▲、▼▼:1~5億円、▲、▼:1億円未満
(注2)事業セグメントの各略称の内容については、次のとおりです。
KMT:金属素形材事業、KST:産業機械事業、KGh:工作機器事業
(注3)炭素税の金額は、3,500円/t-CO₂として試算しております。
気候変動に対する「リスク管理」はサステナビリティ全般における「リスク管理」に組み込まれております。詳細は、(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理をご参照ください。
当社では、気候変動に伴うリスクと機会を評価・管理するための指標として、2030年度および2050年度に向けた数値目標の設定を検討しております。現在、国内単体のScope1,2について温室効果ガス(主にCO2)排出量の把握し、省エネの推進、太陽光発電の活用などの取り組みを進めております。また、海外も含めたグループ全体およびScope3についても、今後集計の精緻化を図るとともに開示可能となった段階で改めて開示いたします。

②人的資本について
当社は、「社員の成長が企業の成長へとつながる」という考えのもと、誰もが仕事にやりがいを感じ、成長できる企業を目指します。一人一人が自ら学習し、思考し、行動する人材となるよう、性別や家庭事情による障壁をなくし誰もが活躍できる環境整備のため、次の方針を掲げ、具体的な施策の計画・実行を進めております。
・働きやすい環境整備
子育てや介護、持病など様々な状況に応じたワークライフバランスを支援する為の各種制度の新設・充実を推進しております。
また、一人ひとりが安心して働ける職場構築を目指し、「対話」を中心としたコミュニケーションの拡充を進めております。
・成長できる環境の構築
成長や働きがいを実感し、自律した活力ある人材の育成を目指し、自己啓発支援やキャリア形成支援のためのさまざまな取り組みを実施しております。
一人ひとりのキャリアパス支援、技術者を中心としたスペシャリスト制度などの仕組づくりを推進してまいります。
イノベーションを創出し、持続的な成長を実現する為には、多様な人材を活かすことが必要ですが、それにはまずは、女性が当たり前に活躍する環境を整えることが重要であると考えております。
前述の働きやすい環境整備に加えて、ジェンダーギャップの本質的な解消に向け、長期的に女性比率を拡大し、無自覚な常識、固定的な見方の払拭への取り組みを推進してまいります。
女性活躍推進の一つの指標である男女の賃金の差異は71.5%となっています。当社では、同じ役割であれば男女で賃金の差は設けていないため、この差は、主に給与の高い管理職以上の社員における男性比率が高いことによるものです。そのため、男女の賃金の差異の解消の方針として、女性活躍推進の取り組みにより、女性の定着をさらに向上するとともに、管理職や指導職の女性比率を女性社員比率に対して適正に上げることを実行していきます。
当社はジェンダーギャップ解消の指標及び目標を次のとおりとしております。
(注) 指導職とは、課長級より下位の役職全般を指します。 (事務系・技能系)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。当社は、グループ全体のリスク管理に関する基本的事項および推進体制を「リスク管理規程」において定め、その基本方針および管理の推進体制に基づき、代表取締役会長を委員長とする全社リスク管理委員会で、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止を図っております。
当社グループは、売上高のほとんどが民需を主体とした販売によるものであり、景気の変動による業績への直接的な影響は避けられません。また、米中貿易摩擦に起因する保護貿易政策の台頭や関税の引上げのような安全保障上の問題は当社グループの売上に大きな影響を及ぼしており、新たな政策の実施や国家間の利害対立など予期せぬ問題が発生した場合、当社グループの事業運営が制限される可能性があります。
当社グループは、金属素形材、産業機械、工作機器と多岐にわたる事業を展開しており、複数の取引先から多種多様な原材料、部品等を調達することにより安定的なサプライチェーンの構築を図っています。これらの調達にあたっては、予期しない法律や規制の変更、政治・経済等の混乱による世界的な需給構造の変化、原材料の急激な価格上昇の長期化、特別な税金および関税、調達先の倒産などが生じる可能性があります。その場合、生産コスト増加による利益率および工程遅れによる生産効率の低下等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ウクライナ情勢の長期化に起因し、エネルギー価格の上昇等により調達価格に変動が生じた場合は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、金属素形材事業、産業機械事業、工作機器事業のいずれの市場においても同業他社との激しい競合環境にあり、当社グループにとって優位に価格決定をすることが困難な状況に置かれています。また、当社グループは、原材料およびエネルギー価格の高騰やインフレが進行した場合、即時の価格交渉による十分な売価への転嫁が難しい状況にあります。当社グループは高付加価値製品の提供と省人化・効率化によるコスト競争力の向上、継続的な価格交渉により対応していく方針ではありますが、販売価格の下落および競合の市場競争力強化、原材料およびエネルギー価格の高騰が進んだ場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「お客様第一主義のものづくり」という認識のもと、ISO9001およびISO14001を取得するなど製品の品質を維持・向上するための取組みを行っております。また、品質管理および環境管理を経営の最重要事項の一つとしており、製品の工程管理および完成検査の強化など、品質確保に関して出来る限り厳格な管理体制の構築に努めておりますが、製品の開発・製造などにおける品質上のリスクを全て将来にわたって完全に排除することは困難なものと認識しております。万が一、クレーム、製品の不具合、使用部品の不良、重大な事故が発生した場合、社会的信用の低下、取引停止、損害賠償、製品の補償費用の発生などを含め、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、アジア、北中米、欧州などにおいて積極的な事業展開を図っております。金属素形材事業および工作機器事業につきましては、海外に生産拠点を有しており、グローバル市場における価格競争力の強化に取り組んでいます。しかし、これらの国、地域においては、予期しない法律または諸規則の変更、政府による政策発動、急激な経済の変化などの要因、宗教・文化の相違、商習慣に関する障害、特別な税金および関税などが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、貿易取引において外貨建決済を行うことや、生産拠点のグローバル化を進めることによる外貨建債権の保有など、為替相場の変動によるリスクを有しております。これらの取引に対し、先物為替予約や外貨建見合債務の保有などによるヘッジ策を講じておりますが、為替相場の変動によるリスクが完全に回避される保証はなく、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、企業成長の根幹は人材であるという思想のもと、「働きやすく、成長できる企業へ」をテーマに、自ら学習し、思考し、行動できる社員の育成を図っています。当社グループの持続的な発展には専門性を有する多様な人材の確保が必要となりますが、少子高齢化による労働人口の減少および働き方の多様化による人材の流動化を背景に人材確保に向けた競争の激しさは増しております。当社グループが事業活動に必要な人材を確保できなかった場合、当社グループの中長期的な業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日本国内をはじめ、タイ、メキシコなどの主要施設・生産拠点に関して、火災・地震・豪雨等の災害に対する防止策、軽減策および財務リスクを最小化すべく保険加入などの対策を行っています。さらに、災害発生時および発生後の迅速な対応・早期復旧を可能とするための体制整備などの対策も進めております。しかし、大規模な地震、台風等の自然災害および火災等の事故が発生し、主要施設・生産拠点などが被害を受けた場合、生産・販売活動の中断による製品供給の停止、修復費用の発生などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における世界経済は、経済活動の正常化が進む一方、中国のロックダウンによるサプライチェーンの混乱やウクライナ情勢の長期化に加えて、世界的な金融引締めなどにより不安定な状況で推移しました。また、国内においても、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されたことで経済活動が活発になり、民需を中心に緩やかな持ち直しの動きが見られましたが、不安定な世界情勢や急激な円安に加え、原材料やエネルギー価格の高騰など厳しい状況で推移しました。
このような経営環境下において、当社グループは長期経営計画「Plus Decade 2031」で掲げる世界基準の成長を目指し、事業構造の転換、経営品質の進化、人材育成などの施策を中長期的な視野で推進してまいりました。しかしながら、当社グループの業績は、高騰した原材料およびエネルギー価格に対して売価へ十分に転嫁することが出来なかったことや、自動車メーカーの生産調整による受注量の減少などの影響を強く受けました。
その結果、当連結会計年度の売上高はグループ全体で、59,700百万円(前期比 1.7%増)、営業利益は、194百万円(前期比 90.7%減)、経常利益は、1,034百万円(前期比 66.2%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は、418百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失 951百万円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニー(金属素形材事業)
自動車業界は、中国の購入促進政策の影響もあり、世界の自動車販売台数は回復傾向にありますが、半導体を含む自動車部品の供給不足や資材調達の難航等の問題により自動車メーカーが生産調整を実施するなど先行き不透明な状態です。一方で、農業機械・建設機械業界は、北米の金利上昇等による市場の下振れリスクはありますが、好調を維持しました。
このような状況のもと、当カンパニーは、高騰した原材料およびエネルギー価格の売価への転嫁、生産性改善による競争力の強化、商品戦略の見直しによる収益性の向上、脱炭素社会への移行を想定した新規顧客の開拓および新規部品の受注に努めました。メキシコ子会社では、新規受注した自動車部品の量産を開始しました。また、タイ子会社では利益が確保出来ないことが続いており、投資回収も見込めないことから、持続的な事業の継続は困難と判断し2023年内を目途に工場を閉鎖することを決定いたしました。
これらの取り組みを進めてまいりましたが、半導体不足や中国のロックダウンによる自動車メーカーの生産調整により安定的な生産量を確保することができず、固定費の負担が増加しました。また、高騰した原材料およびエネルギー価格を十分に売価に転嫁することができませんでした。
その結果、当カンパニーの売上高は、25,936百万円(前期比 4.0%減)、セグメント損失(営業損失)は、1,873百万円(前期セグメント損失(営業損失) 224百万円)となりました。
キタガワ サン テック カンパニー(産業機械事業)
国内の建設業界は、公共工事は防災・減災、国土強靭化計画を背景に底堅く推移しており、民間設備投資につきましても、資材調達の難航および原材料価格の高騰の影響はあるものの、都市部での再開発事業やマンション建設計画の増加など設備投資意欲が旺盛であり堅調に推移しました。
このような状況のもと、コンクリートプラント事業では、顧客との関係強化を図り、シェア拡大に努めました。荷役機械事業では、遠隔操作および自動運転システムなどの新商品開発を推進しました。自走式立体駐車場事業では、スーパーロングスパンタイプ立体駐車場の市場認知度の向上を目指し積極的な営業展開を図りました。
その結果、受注した立体駐車場の完工時期が集中したことに加え、荷役機械事業の売上が順調に推移したことなどにより、当カンパニーの売上高は23,258百万円(前期比 9.0%増)となりましたが、原材料価格の高騰分を価格転嫁することができずセグメント利益(営業利益)は、1,539百万円(前期比 35.3%減)となりました。
キタガワ グローバル ハンド カンパニー(工作機器事業)
工作機械業界の全体的な市況としては、世界的な半導体需要の増加に加え、国内は補助金効果、海外はEV(電気自動車)関連の需要増加により、内需、外需ともに好調に推移し、新型コロナウイルス感染症の流行前を上回る水準まで回復しました。一方で、国内では半導体不足による生産調整の長期化などにより自動車関連に停滞感が見られました。また、海外では、中国のロックダウンやウクライナ情勢、世界的な金融引締め等の下振れリスクから設備投資に対して慎重な姿勢が見られました。
このような状況のもと、当カンパニーは、産業用ロボット周辺機器市場での事業化推進、新たな生産体制の構築による生産性の改善、原価改善による収益性の強化に努めてまいりました。
その結果、当カンパニーの売上高は、9,811百万円(前期比 0.0%増)、セグメント利益(営業利益)は、1,160百万円(前期比 10.4%増)となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,807百万円の収入となりました。収入の主な内訳は、減価償却費3,220百万円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額1,051百万円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,802百万円の支出となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出2,978百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、686百万円の支出となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払額510百万円であります。
これらにより、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ452百万円減少し、8,148百万円となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格で表示しており、セグメント間の取引については相殺消去しておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
本項に記載した予想、見通し、方針等の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社経営陣は決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用に影響を与える見積りを行っております。また、見積りに関しては、過去の実績等の情報に基づいて判断しておりますが、不確実な要素も含んでおり、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べて1,168百万円増加し、74,480百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、借入債務の増加などにより、前連結会計年度末に比べて837百万円増加し、37,413百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末に比べて331百万円増加し、37,066百万円となりました。純資産から非支配株主持分を差し引いた自己資本は36,864百万円となり、自己資本比率は49.5%となりました。
当連結会計年度の売上高は、前期比1.7%増の59,700百万円となりました。
事業別では、キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニーは、半導体不足や中国のロックダウンによる自動車メーカーの生産調整により安定的な生産量を確保することができず、前期比4.0%の減収となりました。
キタガワ サン テック カンパニーは、受注した立体駐車場の完工時期が集中したことに加え、荷役機械事業の売上が順調に推移したことなどにより、前期比9.0%の増収となりました。
キタガワ グローバル ハンド カンパニーは、EV(電気自動車)関連の需要が増加したものの、半導体関連、自動車関連の需要は停滞感が見られたため、事業全体の売上高は前年と同じ水準で推移しました。
当連結会計年度の営業利益は、前期比90.7%減の194百万円となりました。
事業別では、キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニーおよびキタガワ サン テック カンパニーともに、高騰した原材料およびエネルギー価格を十分に売価に転嫁することができず、キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニーは1,873百万円の赤字となり、キタガワ サン テック カンパニーは前期比35.3%の減益となりました。
キタガワ グローバル ハンド カンパニーは、生産性の改善ならびに原価改善を実施したことにより収益性が向上し、営業利益につきましても前期比10.4%の増益となりました。
当連結会計年度の経常利益は、前期比で大幅に営業収益が減少し、営業外費用につきましても支払利息が増加したことにより、前期比66.2%減の1,034百万円となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、高騰した原材料およびエネルギー価格に対して売価へ十分に転嫁することが出来なかったことや、自動車メーカーの生産調整による受注量の減少などの影響を強く受け、前期比で赤字幅が縮小したものの418百万円の赤字となりました。
キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に
記載しております。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
当社グループにおける資金需要の主なものは、製品製造のための原材料及び部品の購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金、また、製造設備の増強、合理化及び更新を目的とした設備資金であります。当社グループの資金の源泉は、主として、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入による資金調達となります。
当連結会計年度におきましては、キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニーを中心に設備投資を行なったことにより、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は8,148百万円となり、前期末比452百万円の減少となりました。
当社グループ経営陣は、企業価値の最大化を目指し、現在の経営環境や入手可能な情報を元に最善の経営方針を立案するように努めております。当社グループ全体としては、各セグメントの成長追求、開発体制の再構築、人的資源の戦略的投入、持続的成長へ向けた経営基盤の確立を経営課題と認識して取り組んでまいります。
なお、各セグメントの具体的な取り組みは「第2 事業の状況」の「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載した活動を進めてまいります。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はありません。
当連結会計年度は、多品種少量生産用ライトマシニングセンターを開発しました。従来品と比較して高い汎用性を持つ保持具と搬送ロボットを搭載し、機械側からの一括制御を行うことで、容易に省人化、多品種対応を実現しております。木工加工等の軽切削加工分野を中心に多数の問合せをいただいております。
その他、研究開発活動として、以前より取り組んでまいりました高速画像処理技術、AI判定技術の研究開発についても、試験機による検証試験を進めております。一部装置は社内加工設備内に試験導入し期待通りの成果を出しており、製品化に向けブラッシュアップを行っております。UAV(無人航空機)開発においては、前連結会計年度に開発した自社製フライトコントローラを搭載したUAVの実証実験を重ね、安全性、飛行性能を高める取り組みを行っております。これらの研究開発テーマにつきましては、翌連結会計年度も引き続き試験機の検証を進め製品化に繋げる取り組みを行います。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニー(金属素形材事業)
当連結会計年度は、生産基盤の転換も見据えてロボット産業へのアプローチを進めてまいりました。大型ロボット構成部品の生産を見据え、消失模型鋳造法による製品試作を積極的に取り組み、受注を得ることができました。翌連結会計年度においても取り組みを強化し、鋳造だけでなく加工品受注に繋がるよう活動してまいります。
また、前連結会計年度までに導入した鋳造シミュレーションソフトと3D樹脂プリンターを用いて、メキシコ子会社における次期主要生産部品となりますデフケースの事前検証を行いました。数種のパターンを設定し、シミュレーション及び試作型による実験により最も効率のよい生産方法の検証を行い、トータルコストのミニマム化を図っております。また、社内設置しておりました試作加工用の加工機を用いて試作されたデフケースの加工条件の検証も同時に行うことにより、スケジュールの短縮に寄与できました。
当事業に係る研究開発費は
キタガワ サン テック カンパニー(産業機械事業)
当連結会計年度は、NEDOに創設された「グリーンイノベーション基金事業/CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」に参加し、コンクリートプラント排水処理設備で実施可能な脱炭素化技術の開発に取り組みました。翌連結会計年度についても、引き続きグリーンイノベーション基金事業を活用した研究開発を進め、カーボンニュートラルに貢献する技術の実用化を目指します。
生コンプラント関係では、お客様のミキサ洗浄作業およびハツリ作業を低減する自動洗浄装置を開発し、実プラントでの試験運用を経て1号機を納入しました。翌連結会計年度には2号機の納入も決定しており、販売拡大を目指しております。
建設機械関係では、クレーン運転の自動化に向けた技術開発を進めており、翌連結会計年度には東京都内建築現場にて稼働予定です。更に遠隔運転の開発も進め、東京都内から広島県内のクレーンを動作させる試験運転を実施しました。引き続き周辺機能の開発を行う予定です。
立体駐車場関係では、車室横に柱の無い大空間を実現したスーパーロングスパンタイプの6層7段の大臣認定を新たに取得しました。1層2段から6層7段までの全ての階層での提案を可能とすることで、お客様への提案力を高めてまいります。また、広島、神奈川県の公共施設に同タイプの駐車場を納入しました。多くの方に利用いただき、その使い易さを実感いただくことでスーパーロングスパンタイプの駐車場の認知度向上に努めてまいります。
当事業に係る研究開発費は
キタガワ グローバル ハンド カンパニー(工作機器事業)
当連結会計年度は、旋盤用チャックでは日本機械学会賞(技術)受賞のBRチャック技術を応用した高精度な二つ爪タイプや薄型タイプの開発を行いました。また、空気圧で作動する大型タイプの開発にも取り組みました。
NC円テーブルでは、小型マシニングセンタに取付可能なローラーギアカム減速機構の傾斜2軸タイプや、マシニングセンタ組込タイプの開発に取り組みました。また、低速から高速まで様々な回転速度に対応したNC円テーブルの開発を継続して取り組みました。
自動化需要に対応した商品としては、センタリングバイス、パレットクランプ等を開発しました。旋盤や複合機関連ではBRチャックの爪脱着を自動化したオートジョーチェンジチャック(AJC)の開発を継続して取り組みました。ロボット関連ではロボットハンドの新機種開発やサイズ拡充に取り組みました。
当事業に係る研究開発費は