第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営環境

2022年度のわが国経済は、インバウンド需要が徐々に回復するなど、コロナウイルス禍から社会経済活動が正常化しつつあり、持ち直しの動きが見られました。一方、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化するなど、先行きに対する不透明感の強い状況が続きました。

エネルギーに関しては、国内における人口減少や工場の海外移転等による需要の減少に加えて、電力・ガス小売全面自由化により、市場の競争は激しい状況が続いており、エネルギー資源の需給バランスの不安定化や激しい価格変動等、LNG調達環境の不確実性等のリスクはさらに高まっております。また、気候変動問題に対応する国内外における脱炭素の潮流の加速やデジタル化の進展、価値観の多様化、自然災害の甚大化、国際情勢の悪化等、経営環境の変化はスピードを増している一方、脱炭素社会実現へのトランジションエネルギーとして、CO排出量の少ない天然ガスに対する期待が高まっております。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」として、天然ガス・電力・LPG等のエネルギーとその周辺サービスや、都市開発・材料・情報等のエネルギー以外の様々な商品・サービスを通じて、「お客さま価値」「社会価値」「株主さま価値」「従業員価値」の創造を目指します。そのためには、持続的な成長を実現することが最大の経営課題であると認識し、2017年に長期経営ビジョン2030「Going Forward Beyond Borders」を、2021年には中期経営計画2023「Creating Value for a Sustainable Future」と「カーボンニュートラルビジョン」を策定しました。また、2023年3月には、脱炭素社会実現へのトランジション期に向かう2030年までの取り組みを具体化した「エネルギートランジション2030」を策定しております。

当社グループは、本ビジョン・計画に沿って、社会課題の解決を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、時代を超えて選ばれ続ける革新的なエネルギー&サービスカンパニーとなることを目指します。経営環境の変化に対応しながら積極的に事業活動を進めるとともに、当社グループの事業活動におけるカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを進め、低・脱炭素社会の実現に貢献していきます。

 

(3) 経営指標

中期経営計画2023「Creating Value for a Sustainable Future」では、各事業の収益性向上や財務健全性の維持、事業の成長に応じた株主還元の実現を掲げ、着実に取り組みを進めていきます。

①  収益性、成長性

ROIC(投下資本利益率)(※)を目標に掲げ、資本効率の向上を通じて、各事業の成長力の向上を目指します。

※(経常利益+支払利息-受取利息-法人税等)÷(有利子負債+自己資本)

  有利子負債は、当社にリスクのないリース負債を除きます。

②  財務健全性

連結自己資本比率50%程度、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)0.7程度を継続的に目指していきます。

③  株主さまへの還元

安定配当の継続を基本に据えながら、短期的な利益変動要因を除いて連結配当性向30%以上を目指します。

 

(4) 対処すべき課題

中期経営計画2023で重点戦略に掲げる「ミライ価値の共創」「企業グループとしてのステージ向上」を通じて、社会課題の解決に資する価値創造と、「国内エネルギー事業」「海外エネルギー事業」「ライフ&ビジネス ソリューション事業」を3つの柱とした、将来の経営環境の変化に対応するポートフォリオ経営の実践を目指します。それらの実現に向け、以下のとおり、課題に取り組みます。

 

①  国内エネルギー事業
a  安定的、経済的な原燃料調達

多数の生産者から分散して調達することにより、天然ガス等の原燃料の安定確保に努めるとともに、契約価格指標の多様化等により、市場競争力を高める原燃料調達を目指します。

また、原燃料調達の不測の事態に対しては、トレーディング等で培ったノウハウを活かし、迅速かつ柔軟に原燃料の確保を図ります。

b  競争力のある電源の確保及び再生可能エネルギーの普及拡大

新規電源の開発、卸電力市場からの調達等を通じ、競争力のある電源ポートフォリオの構築を進めます。特に再生可能エネルギーは、脱炭素化に向けて開発や事業参画を推進し、協業等を通じて調達先の拡大や案件取得を進めていきます。

c  安定供給と保安の確保

安全かつ安定的な操業を最優先にして、ガス製造・供給設備、発電設備等の維持・増強・改修、地震・津波等の自然災害対策及び感染症の流行等の事態への対策等、安定供給とレジリエンスの向上に継続的に取り組みます。また、万一のガス漏れ等の緊急時への対応を引き続き行い、お客さま先の保安の確保に努めていきます。

d  マーケタービジネスの拡大

燃料電池等のガスコージェネレーションシステムやガス冷暖房の普及、電力・LPG販売の拡大、D‐Lineup等の低・脱炭素に資する提案メニューの拡充、分散型電源と再生可能エネルギーを組み合わせたエネルギーネットワークの構築等を通じて、低・脱炭素化やレジリエンスの向上といった社会課題の解決に貢献していきます。また、デジタルを活用したライフサービスプラットフォームのスマイLINKや住ミカタ・サービス等のライフサポートサービス、建物・設備の管理やメンテナンス、空調・換気、水処理、省エネルギーや設備稼働状況等の見える化等、エネルギー周辺サービスを拡充するとともに、固定通信サービスや、お客さまのライフスタイルやビジネスニーズに応じたエネルギー料金メニューも総合的に提供することで、お客さまの快適な生活の実現やビジネスの発展に貢献していきます。さらに、各地のエネルギー事業者を含めた様々なパートナーとの連携等を通じ、幅広くマーケタービジネスを拡大していきます。

e  エネルギーインフラ開発、エンジニアリング事業の拡大

LNG基地等の新規エネルギーインフラ開発を拡大します。また、LNGの導入等を検討しているお客さまに対し、これまでの事業展開で培ったノウハウを活かし、ニーズに応じたソリューションを提案することでエンジニアリング事業を拡大していきます。

f  公正で効率的なガス導管事業の推進

一般ガス導管事業者として、託送供給の中立性・透明性の確保や利便性の向上を図りつつ、地域社会や需要家のニーズに応えながら、都市ガス需要の維持・拡大に継続的に取り組みます。

②  海外エネルギー事業

天然ガス等の安定調達と収益獲得のため、現在取り組んでいる北米サビン社によるシェールガス開発等を着実に推進するとともに、北米フリーポートプロジェクトの液化事業や豪州ゴーゴン・イクシスプロジェクトの生産事業の安全かつ安定的な操業に向け働きかけていきます。IPP事業では、ガス火力発電事業に着実に取り組むとともに、再生可能エネルギー等の開発・取得を進めていきます。

マーケタービジネスでは、国内で培った知見を活かし、ガス・電力・エネルギーサービス事業の運営や新規案件の開発等に着実に取り組むとともに、事業参画等を通じて新しい領域におけるノウハウの取得を進めます。さらに、ニーズに応じたソリューションを提案することで、エネルギーインフラ開発やエンジニアリング事業を拡大していきます。

③  ライフ&ビジネス ソリューション事業

エネルギー事業で培った技術と知見を基盤に、都市開発・材料・情報等の事業で、固有の強みを活かした商品・サービスを提供することで、国内外のお客さまの快適・便利・健康の実現をサポートし、お客さまの豊かな暮らしやビジネスの発展に貢献していきます。

 

④  経営基盤
a  ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した経営の実践

「Daigasグループ企業行動憲章」に基づき、ESGに配慮した経営を実践し、国内外における当社グループのサプライチェーンに関わる皆さまとともに、お客さまや社会からのさらなる信頼獲得に努めていきます。

環境の側面では、脱炭素社会へのトランジション期において、石炭・重油等から天然ガスへの燃料転換や高効率な設備の導入等を推進するとともに、再生可能エネルギーの導入やカーボンニュートラルなLNGや都市ガスの普及等により、お客さま先や自らの事業活動におけるCO排出削減の取り組みを一層拡大していきます。さらに、脱炭素社会の実現に向け、e-メタン・水素等の技術開発やサプライチェーン構築を進めていきます。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言を踏まえて、脱炭素化への取り組みに関する情報開示の充実に取り組みます。社会の側面では、国際規範に則り、2021年4月に制定した「Daigasグループ人権方針」に基づき、人権や労働・安全衛生への取り組みを進めるとともに、女性役員の登用等によるダイバーシティ&インクルージョンの風土醸成を進めていきます。ガバナンスの側面では、コンプライアンスの意識向上の取り組みを継続するとともに、ガバナンス体制の強化や情報セキュリティ対策等を推進します。

b  イノベーション・技術開発・デジタルトランスフォーメーションの推進
IoTやAI等、最先端のデジタル技術や当社グループ内外のアイデアを活用した新しいサービスの創造による価値向上と、社内での業務改革・システム刷新による生産性の向上に取り組みます。

また、燃料電池をはじめとするガス機器・設備のさらなる高効率化とコストダウン、新たな材料や情報処理、低・脱炭素化等に関する技術開発を推進します。

c  人材・組織の強化

当社グループの持続的な成長の実現に向け、多様な人材が多様な働き方を通じて活躍し、挑戦を通じた成長と社会課題の解決を通じたやりがいを実感できる組織づくりを進めていきます。人材の面では、新しい価値を生み出せる人材の採用・育成に加え、社会課題解決の取り組みを通じたエンゲージメント向上や、適所適材の加速と質の高いコミュニケーションの確保を通じた従業員価値の最大化に取り組みます。

組織の面では、ダイバーシティ&インクルージョンの推進による多様な人材の活躍や、場所によらない働き方の推進、挑戦を歓迎し失敗を許容するチャレンジ文化の向上等に取り組んでいきます。

 

(5) おわりに

グループの内部統制システムの運用状況の確認及び評価を継続的に行い、所要の措置を講じることにより、実効性の高い内部統制を行っていきます。これらの仕組みのもと、以上の課題に対処するとともに、「Daigasグループ企業理念」を実践し、持続的成長に向けて不断の努力を続けていきます。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

① ガバナンス

「Daigasグループ企業理念」を実践し、持続的成長を実現するために、環境、コンプライアンス、社会貢献、人権尊重やリスク管理等、当社グループのサステナビリティ活動全般の推進及びガバナンスの充実・強化に取り組んでおります。

ガバナンス体制としては、当社グループのサステナビリティ活動を統括する役員「ESG推進統括」(代表取締役副社長)を委員長とし、関連する組織長等を委員とする「ESG推進委員会」を設置しております。「ESG推進委員会」は原則年4回開催し、組織横断的にサステナビリティ活動の審議・推進を行っております。また、代表取締役社長を議長とする経営会議のうち、原則年3回を「ESG推進会議」として開催し、ESG経営における重要課題(マテリアリティ)と指標及び目標の設定、実績状況等については、「ESG推進会議」にも上程し、審議を実施しております。その上で、サステナビリティ活動の重要な事項を取締役会に諮り、意思決定並びに監督を行っております。また、サステナビリティ活動全般に対するガバナンスを充実するため、環境会計分野や社会学分野の専門性や企業運営・組織運営に関する豊富な経験と幅広い識見を有する社外取締役・社外監査役を選任しております。

なお、最重要のマテリアリティである気候変動対応につきましても、上述と同様、取締役会・ESG推進会議・ESG推進委員会のガバナンス体制のもと、脱炭素社会の実現に向けた活動の推進を行っております。ガバナンスの詳細は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

② リスク管理

当社グループの事業計画や投資計画の意思決定の際には、ガス・電力事業をはじめ各事業の担当組織が各事業に及ぼすリスク要因や影響度を分析し、リスクを抽出・識別したうえで、その他の事業リスク等と合わせて経営会議の審議を受けます。

なお、気候変動に関するリスク及び対応策については、環境部会、ESG推進委員会、ESG推進会議にて報告・審議を行い、PDCAサイクルを通じて管理しております。また、取締役会において、気候変動リスクや持続可能性を踏まえて、投資判断を含む意思決定及び監督を行っております。

 

(2) 気候変動に関する戦略並びに指標及び目標

① 戦略

当社グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みに基づいて、気候変動がもたらす「リスク」と「機会」を明確にし、「リスク」を低減し、「機会」を拡大するための対応策の検討に向けて複線的なシナリオ分析を実施しております。具体的には、IEA(国際エネルギー機関)が「World Energy Outlook」で公表した1.5℃シナリオと2.6℃シナリオを用いてリスクと機会を洗い出し、2030年に向けた短中期と2050年に向けた長期に分けて評価し、対応策を検討しました。

当社グループは、天然ガスを主要な原燃料として、日本の関西エリアを中心にガス・電力事業を営んでおり、今後、国内での炭素税導入や税率の大幅な引き上げによって税負担が大幅に増加する場合や、顧客の非化石燃料への転向等によりガス・電力販売が大幅に減少する場合、それぞれの「リスク」の財務影響度は大きくなります。

一方、再生可能エネルギーや脱炭素技術の開発・普及を促進すれば、当社グループにとって、それぞれの「機会」の財務影響度は大きくなると考えております。中期経営計画において「低・脱炭素社会の実現」を重点取り組みに掲げ、再生可能エネルギーの普及貢献に積極的に取り組んでおり、2030年度の再生可能エネルギー事業拡大による売上影響額は1,000億円規模を見込んでおります。

なお、このような気候変動に関する「リスク」と「機会」に適切に対応するためにも、多様な事業によるポートフォリオ経営を推進していくことにより、持続的成長を図っていきます。

 

 

② 指標及び目標

当社グループは、2021年1月に「カーボンニュートラルビジョン」を公表し社会全体のCO排出量の削減に寄与する天然ガスの利用拡大に加えて、メタネーション等のイノベーションによる都市ガス原料そのものの脱炭素化、再生可能エネルギーの導入を軸とした電源の脱炭素化によって、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指しております。そのための指標と目標については、2030年度に「再生可能エネルギー普及貢献量:500万kW」、「国内電力事業の再生可能エネルギー比率:50%程度」、「CO排出削減貢献量:1,000万トン」の3点を目指すべきマイルストーンとして掲げております。

また、2023年3月に「エネルギートランジション2030」を発表し、エネルギーの低・脱炭素化への移行に向けた道筋の全体像と、2030年に向けた具体的な取り組みやお客さまにご提供できるソリューションを取り纏めました。2030年度は前述に加え、メタネーションの社会実装に向けた取り組みとして、既存の都市ガスインフラへのe-メタン1%導入に挑戦します。

なお、当期の再生可能エネルギー普及貢献量は前期に比べて71万kW増の211万kWに、再生可能エネルギー比率は4.9ポイント増の13.0%になりました。また、GHG排出量については、2021年度実績はスコープ1が453万トン、スコープ2が33万トン、合計486万トン(ビューローベリタスジャパン株式会社による第三者検証済みの数値)となり、CO排出削減貢献量の2021年度実績は336万トンとなりました。GHG排出量及びCO排出削減貢献量の2022年度実績については、2023年9月に弊社ウェブサイト(URL https://www.osakagas.co.jp)において公表予定の「Daigasグループ 統合報告書2023」をご参照ください。

 

(3) 人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標

① 戦略

a 人材育成方針

当社グループは、「国内エネルギー事業」「海外エネルギー事業」「ライフ&ビジネス ソリューション事業」を3つの柱とするポートフォリオ経営の実践を目指しております。それらに対応する要員の質や量の確保、適所適材に基づく多様な人材の活躍推進を通じたパフォーマンスの最大化を図るべく、事業環境の変化に柔軟に対応できる人材や専門性の高い人材の採用、育成に取り組みます。

特に、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みや海外エネルギー事業展開の加速、デジタルトランスフォーメーションによる変革などの経営戦略実現に向け、専門性の高い人材の必要性が高まるなか、キャリア採用を拡大しながら人材を確保していきます。

加えて、将来にわたる経営戦略の達成には持続的な組織運営が重要であるとの認識のもと、計画的な要員確保や人材育成を意識した配置、登用に取り組みます。

b 社内環境整備方針

当社グループは、教育・研修や自己啓発支援等を通じて従業員の自律的なキャリア形成を支援し、エンゲージメントの向上や労働生産性の向上による持続的成長を目指します。

また、中長期的な企業価値向上のためには非連続なイノベーションを生み出すことが重要であり、その原動力となるのは多様な個人の掛け合わせと考えております。そのため、ダイバーシティと機会均等・インクルージョンを推進し、経験や感性、価値観等の多様性を積極的に取り込みます。従来、女性、高齢者、障がい者、外国人等に対する活躍支援を進めており、少数派であるがゆえの不利益が生じることのないよう配慮し、より一層の能力発揮に向けた環境整備をしていきます。

② 指標及び目標

当社では、グループ内での確保が難しい専門性の高い人材を中心にキャリア採用を拡大し、それぞれの事業を強化するとともに、多様な価値観を受容することでイノベーションを生み出していきます。2022年度のキャリア採用での入社者は29人(正規雇用労働者におけるキャリア採用比率は16.7%)となりました。

また、ダイバーシティ推進においては女性活躍をファーストステップと位置付け、2030年度までに女性役員比率、女性の取締役比率いずれも20%以上、総合職の管理職昇格者に占める女性比率を30%以上とすること、及び、総合職採用人数に占める女性比率30%以上の継続を目標としております。2023年3月期に係る定時株主総会終結の時から、女性役員比率は26.7%、女性の取締役比率は20.0%となりました。2022年度は、総合職の管理職昇格者に占める女性比率は14.3%、総合職採用人数に占める女性比率は28.1%となりました。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 当社グループの事業全体に関するリスク

①  経済金融社会情勢、景気等の変動、市場の縮小

当社グループは、「国内エネルギー事業」「海外エネルギー事業」「ライフ&ビジネス ソリューション事業」の3つの事業分野それぞれを成長させることで経営環境の変化に対応するポートフォリオ経営を実践しておりますが、国内外における経済・金融・社会情勢の悪化、大規模な感染症の流行等により、売上高の減少や資金調達の不調、共同事業者・取引先の倒産、人口減少、人材確保の難化、工場の海外移転・操業停止等の事象が発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

②  大規模な災害、事故、感染症等の発生

当社グループは、自然災害やテロ、事故、感染症等の発生に備え、設備の一元的な管理、集中的な点検や継続的な改善、災害保険等の各種保険への加入、大規模災害や事故発生時の「事業継続計画(BCP)」や感染症等発生時の対応に関する業務計画の策定や見直し等の取り組みを進めるとともに、安全かつ安定的な事業運営に向けて参画プロジェクトにおける協力的関係の構築に努めておりますが、大規模地震やその他自然災害、テロ、不測の大規模停電、事故の発生や感染症の大規模な流行等の事態が起こることにより、天然ガスの生産・液化設備や、都市ガス製造・供給及び発電等の施設に支障等が生じた場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

③  各種国際規範、政策、法令、制度等の変更

当社グループは、環境・社会・ガバナンスに関する国際規範やその他国内外の規範・政策・法令・制度等に基づいてそれぞれの事業を遂行しておりますが、それらの変更により追加的な義務等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

④  為替、調達金利の変動

当社グループは、為替、調達金利の変動に対し、ヘッジや外貨調達を通じた影響の抑制等に取り組んでおりますが、市場の動向により為替や調達金利の大幅な変動が生じた場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

⑤  投資未回収

当社グループは、投資評価委員会による案件の経済性・リスク評価等の総合的な経営判断を踏まえ、取締役会等において各種成長投資の意思決定を実施しておりますが、国内外の経済情勢の変化等により、投資が適切に回収できない場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

⑥  気候変動・脱炭素

当社グループは、気候変動問題に伴う規制の変更や将来的な脱炭素社会の実現に向けた社会動向の変化、エネルギー需要の変動等に対応するため、石炭・重油等から天然ガスへの燃料転換、再生可能エネルギーや高効率な商品・設備の導入及び低・脱炭素化等に関する技術開発やサプライチェーン構築等の取り組みを進めておりますが、温暖化傾向の継続や国内外の規制の変更、想定を超える需要家・投資家の選好変化等が生じた場合、対応コストの増加や販売量の減少等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

⑦  競争の激化

当社グループは、あらゆる事業分野において市場競争力を高めるため、付加価値の向上や原材料費の低減、技術開発等の取り組みを進めておりますが、当社グループを取り巻く競争環境が変化し、他事業者との競争激化や技術革新により相対的に競争力が著しく低下した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

⑧  基幹ITシステムの停止、誤作動、情報漏洩、開発遅延

当社グループは、セキュリティ対策の推進・モニタリング、情報管理に関する周知・教育の徹底、情報システムの構築等に取り組んでおりますが、高度なサイバー攻撃や当社施設への侵入等の外部要因、または書類・データの紛失や計画の遅延等の内部要因により、ガスの製造、発電、ガス・電力の供給や料金に関するシステム等の基幹的なITシステムの停止や誤作動、開発の遅延、お客さま情報や技術情報をはじめとする重要情報の社外への流出が発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨  取扱商品・サービスの品質に関するトラブル

当社グループは、当社が取り扱う商品・サービスを安心・安全にご利用いただくために、品質管理の徹底等に取り組んでおりますが、品質上のトラブル等が発生した場合、社会的信用の低下や対応する費用の支出等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

⑩  コンプライアンス違反

当社グループは、コンプライアンスへの意識向上に向け、継続的な社内研修、定期的なリスクの把握と対応状況の点検・フォロー・改善等により問題の発生を未然に防止する取り組みを進めておりますが、万一、国内外で法令等に反する行為が発生した場合、社会的信用の低下や費用の発生等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 当社グループの主要な事業に関するリスク

①  国内エネルギー事業
a  気温、水温の変動によるエネルギー需要への影響

当社グループは、エネルギー需要の変動影響に対応するため、ガス器具やエネルギーサービスといったエネルギー周辺分野においても販売拡大等の取り組みを進めておりますが、気温、水温の変動によりガス販売量や電力販売量が大きく変動した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

b  原燃料費の変動

当社グループは、LNG調達における契約価格指標の多様化やヘッジによる収支影響の抑制、原料費調整制度によるガス料金の単位料金調整等の取り組みを進めておりますが、為替相場や原油価格等の変動、LNG調達先との契約更改、価格交渉の動向等により、原燃料費が変動した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

c  原燃料調達に関するトラブル

当社グループは、ガス、電力の原燃料であるLNG等の大半を海外からの輸入に頼っているため、多数の生産者からの分散調達を進めるとともに、自社グループLNG船団の活用等に取り組み、安定的かつ柔軟な原燃料調達を目指しておりますが、調達先の設備や操業等に関するトラブルや調達先における自然災害、カントリーリスク等により原燃料が想定通りに調達できない場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

d  電力調達価格の変動

当社グループは、電力需要に対し、自社電源に加え、他社電源からの調達契約や卸電力取引所等の市場からの調達等により対応し、安定供給に努めておりますが、調達価格やインバランス価格が変動した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

e  ガス製造、発電及びガス・電力の供給に関するトラブル

当社グループは、都市ガスの製造・供給及び発電・電力の供給を安全かつ安定的に維持するため、緊急時に備えた各種訓練の実施、定期的な設備の点検・更新等、地震・津波対策を始めとする事故・供給支障の防止に向けた取り組みを進めておりますが、想定を超える自然災害や事故、技術的課題等によるガスの製造、発電、ガス及び電力の供給に関するトラブル等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

f  ガス消費機器等の製品、設備に関するトラブル

当社グループは、製品の安定供給に努め、安全型機器の普及促進等及びそれに伴う点検・周知等の取り組みを進めておりますが、工場の操業停止等による納入の遅延やガス消費機器や設備に関する重大なトラブルが発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

g  他事業者との競合激化及びそれに伴う消費者の事業者選択

当社グループは、お客さまに選ばれ続ける事業者を目指し、様々な付加価値の提供に取り組んでおりますが、他燃料との競争や2016年度の電力小売全面自由化・2017年度のガス小売全面自由化等の変化に伴う新規参入事業者等との競争が今後さらに激化した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

②  海外エネルギー事業

海外エネルギー事業では、主体的な事業の運営や成長投資の意思決定における厳正な案件評価等のリスク対応策を進めるとともに、安定調達に向け、参画プロジェクトにおける安全で安定的な操業に資する協力的関係の構築に努めておりますが、事業の領域が拡大する中、当社グループが事業を行っている国における政策、規制の実施や変更、経済社会情勢の悪化、原油価格やガス価格等の市況変動、技術的課題や自然災害による被害等の要因によるプロジェクトの遅延・中止や採算の悪化等の事業環境変化が生じた場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

③  ライフ&ビジネス ソリューション事業

ライフ&ビジネス ソリューション事業では、エネルギー事業で培った技術と知見を基盤に、内部成長や成長投資等の取り組みを進めておりますが、原材料の費用高騰や供給停止、景気の悪化等により、事業環境変化が生じた場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループは、以上のリスクに備え、本文記載の対策に加え、業務執行状況の適切な把握と監督によって、リスクが顕在化する可能性の程度や時期を考慮しながら、リスク発生時の業績への影響を低減するように努めます。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)

前連結会計年度については「会計方針の変更」に記載のとおり、遡及適用した後の金額となっております。財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項  (会計方針の変更)、(表示方法の変更)及び(セグメント情報等)」をご参照ください。

 

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績の分析

①  概要

当期におけるわが国経済は、インバウンド需要が徐々に回復するなど、コロナウイルス禍から社会経済活動が正常化しつつあり、持ち直しの動きが見られました。一方、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化するなど、先行きに対する不透明感の強い状況が続きました。

こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」となることを目指し、積極的に事業活動を展開してまいりました。

当期の売上高は、国内エネルギー事業での原料費調整制度に基づきガス販売単価が高めに推移したことやLNG販売価格の上昇による増収、海外エネルギー事業での米国及び豪州の上流事業での増収等により、前期に比べて6,839億円増(+43.0%)の2兆2,751億円となりました。経常利益は、海外エネルギー事業及びライフ&ビジネス ソリューション事業が増益の一方、国内エネルギー事業で原料価格等の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグによる減益影響(*1)が前期に比べて縮小したものの、LNG調達等に伴う費用が増加したこと(*2)等により、378億円減(△33.4%)の756億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、733億円減(△56.2%)の571億円となりました。

(*1)原料価格及び燃料価格の変動が、原料費及び燃料費調整制度に基づく販売単価に反映されるまでには一定の時間差があるため、一時的な増減益要因となります。

(*2)当社グループの投資先であり、かつLNG調達先の一つであるフリーポートLNGプロジェクト(以下、「当プロジェクト」)の液化基地において2022年6月に火災が発生し、基地の操業が停止していたことにより、当社グループは、操業停止期間中に当プロジェクトから調達を計画していたLNGの代替調達の他、LNG調達に付随する契約の変更等を進めました。当プロジェクトは2023年2月に基地の操業を再開しております。

 

②  売上高

売上高は、国内エネルギーセグメントでの原料費調整制度に基づきガス販売単価が高めに推移したことやLNG販売価格の上昇による増収、海外エネルギーセグメントでの米国及び豪州の上流事業等の増収等により、前期に比べて6,839億円増(+43.0%)の2兆2,751億円となりました。当社グループのセグメント別売上高の中で最も大きな割合を占める国内エネルギーセグメントの売上高は、原料費調整制度に基づきガス販売単価が高めに推移したことやLNG販売価格の上昇等により、前期に比べて6,309億円増(+47.1%)の1兆9,716億円となりました。

ガス供給件数は、前期末に比べて0.4%減500万4千件となり、ガス販売量は、前期に比べて3.5%減68億4千5百万m3となりました。

ガス販売量の状況を用途別に見ると、家庭用ガス販売量は、気温・水温が高く推移した影響等により、前期に比べて8.2%減16億9千7百万m3となりました。業務用等のガス販売量は、特定のお客さま設備の稼働減少等により、前期に比べて1.8%減51億4千8百万m3となりました。

都市ガス料金につきましては、一部のガス料金を対象に、原料費調整制度に基づく料金の算定に用いる平均原料価格の上限価格の変更・廃止を決定いたしました。

 

家庭用のガス機器・サービスにつきましては、給湯、暖房、調理等の機器・設備に加え、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」等の商品の開発及び販売拡大に努めるとともに、ガス機器・水まわりの修理等や防災・防犯に関する「住ミカタ・サービス」や、デジタルを活用したライフサービスプラットフォーム「スマイLINK」、インターネットサービス「さすガねっと」等の各種サービスの提供に努めました。

当社の子会社である大阪ガスマーケティング㈱及びグローバルベイス㈱は、2022年7月、関西における中古マンションのオーダーメイドリノベーション事業に参画し、同年10月には、大阪市にマンションリノベーションに特化したショールーム「MYRENO OSAKA(マイリノ オオサカ)」をオープンいたしました。

業務用のガス機器・サービスにつきましては、コージェネレーションシステム、冷暖房システム、厨房機器、ボイラ、工業炉、バーナ等の商品の開発及び販売拡大に努めました。また、エンジニアリング力を活用し、脱炭素化・分散化・デジタル化の視点でお客さまの様々な経営課題を解決する「D-Lineup(ディーラインアップ)」等、お客さまのニーズに応じた高付加価値のソリューションの提供に努めました。

都市ガスの脱炭素化の有望技術として期待される高効率なSOECメタネーション技術の基礎研究等、低・脱炭素化に資する触媒・燃焼技術等の研究開発に取り組んでおります。

国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で、「グリーンイノベーション基金事業」に対して「SOECメタネーション技術革新事業」を提案し、2022年4月、採択されました。2030年度のSOECメタネーション技術の確立を目指してまいります。また、2022年4月、カーボンニュートラル技術をはじめとした研究開発や情報発信等を推進するため、大阪市此花区の酉島地区に新たな研究開発拠点を設置することを発表いたしました。

脱炭素社会へのトランジション期における取り組みとして、石炭・重油等から天然ガスへの燃料転換や高効率な設備の導入等を推進し、お客さま先でのCO排出削減に努めました。

安定供給・保安の確保につきましては、天然ガスの調達先の多様化、AI技術活用も含めた製造・供給設備の保全と計画的な改修、安全機能を備えたガス機器の普及促進、地震・津波対策、新型コロナウイルス感染症対策等に継続的に取り組みました。

2022年4月の導管部門の法的分離後においても、新たな体制に基づく運用や訓練等の結果を踏まえ、保安・防災に関する規程の見直しを行うなど、保安の確保・防災に万全を期しております。

低圧電気供給件数は、前期末に比べて5.8%増170万7千件となり、電力販売量は、前期に比べて5.2%減158億8千3百万kWhとなりました。

電気料金につきましては、一部の電気料金を対象に、燃料費調整制度に基づく料金の算定に用いる平均燃料価格の上限価格と下限価格を廃止いたしました。

ガスとセットでお得にご利用いただける料金メニュー、お客さまのライフスタイルや趣味にあわせた料金メニュー、脱炭素に資する料金メニュー等、多彩な電気料金メニューの提供に努めました。

2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギー電源の拡大に積極的に取り組みました。海外エネルギーセグメントに含まれる海外分も含め、再生可能エネルギー電源の普及貢献量は、当期末時点で約211万kWとなりました。

当期中に参画した主な再生可能エネルギー電源は、和歌山県御坊市におけるバイオマス発電事業(発電容量5万kW、2025年9月営業運転開始予定。出資比率35%)、大分県大分市等の国内3か所における太陽光発電事業(発電容量計約13万kW、営業運転開始済。匿名組合出資比率各40%)であります。また、2023年1月、青森県上北郡野辺地町における野辺地陸奥湾風力発電所(発電容量約4万kW)が営業運転を開始いたしました。

2022年4月、株式会社ウエストホールディングスとの間で資本業務提携契約を締結し、再生可能エネルギー電源の開発から電気の販売までを一貫して行う事業の拡大に取り組んでおります。

長崎県五島市沖において、戸田建設株式会社を代表とするコンソーシアムの一員として推進する浮体式洋上風力発電事業につきましては、2022年4月、発電所(発電容量計約2万kW、2024年1月営業運転開始予定)の公募占用計画の認定を受け、同年10月、建設工事を開始いたしました。

海外エネルギーセグメントの売上高は、米国及び豪州の上流事業等の増収により、前期に比べて425億円増(+52.6%)の1,232億円となりました。

米国テキサス州でシェールガス生産開発事業を行うサビン社(Sabine Oil & Gas Corporation。出資比率100%)は、開発が順調に進み、ガスの生産量が計画を上回るなど、業績は順調に推移いたしました。

 

北米における再生可能エネルギー事業につきましては、2022年5月、米国の再生可能エネルギー発電開発事業者であるOriden LLCとの間で米国における太陽光発電所の共同開発に関する契約を締結いたしました。また、同年8月には、米国メーン州において分散型太陽光発電事業を共同実施しているSummit Ridge Energy, LLCとの間で米国イリノイ州における同事業の共同実施に関する契約を締結いたしました。今後も再生可能エネルギー電源の拡大に取り組んでまいります。

北米、南米、豪州及びアジアのエネルギー事業者等との間で、e-メタン等のカーボンニュートラルに資するサプライチェーン構築に向けた共同検討に関する契約をそれぞれ締結いたしました。

ライフ&ビジネス ソリューションセグメントの売上高は、材料ソリューション事業や都市開発事業等での増収により、前期に比べて214億円増(+9.1%)の2,585億円となりました。

都市開発事業を展開する大阪ガス都市開発㈱は、当期中に「アーバネックス心斎橋EAST」(大阪府)等の7物件の賃貸マンションを取得し、資産の拡充に努めました。また、「シーンズ京都二条」(京都府)等の5物件の分譲マンションが竣工いたしました。

2022年4月、大阪ガス都市開発㈱が所有する大阪ガスビルディングのリノベーション及び西側の当社グループ所有地における複合ビル(ガスビル西館)の開発を決定いたしました。

2022年5月、私募REIT事業の開始に向けて、資産運用会社である大阪ガス都市開発アセットマネジメント㈱を設立いたしました。また、三井不動産株式会社との共同事業である大阪市此花区の物流不動産施設につきましては、2022年12月に建設工事を開始いたしました。今後も事業領域の拡大に取り組んでまいります。

 

③  売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、原材料費が増加したことなどにより、前期に比べて7,165億円増(+56.1%)の1兆9,928億円となりました。販売費及び一般管理費は、ほぼ前期並みの2,222億円となりました。

 

④  営業損益

国内エネルギーセグメントでは、営業損失は、原料価格等の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグによる減益影響が前期に比べて縮小したものの、LNG調達等に伴う費用が増加したことなどにより313億円(前期は営業利益419億円)となりました。

海外エネルギーセグメントでは、営業利益は、米国及び豪州の上流事業等の増益により、前期に比べて270億円増(+80.3%)の608億円となりました。

ライフ&ビジネス ソリューションセグメントでは、営業利益は、材料ソリューション事業や都市開発事業等での増益により、前期に比べて57億円増(+24.3%)の292億円となりました。

以上の結果、営業利益は前期に比べ、392億円減(△39.5%)の600億円となりました。

 

⑤  営業外損益、経常利益

営業外収益は、前期に比べて61億円増389億円となりました。これは受取利息が増加したことなどによるものであります。

営業外費用は、前期に比べて48億円増233億円となりました。これは支払利息が増加したことなどによるものであります。

この結果、営業利益に営業外損益を加えた経常利益は、前期に比べて378億円減(△33.4%)の756億円となりました。

 

 

⑥  特別損益

特別利益は、前期に比べて64億円減174億円となりました。これは当期に投資有価証券売却益を計上したものの、前期に計上した関係会社株式売却益や受取保険金等の反動によるものであります。

特別損失は、前期に比べて89億円減93億円となりました。これは減損損失(※)が減少したことなどによるものであります。

(※) 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係) ※5 減損損失」をご参照ください。

 

⑦  親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて733億円減(△56.2%)の571億円となりました。1株当たり当期純利益は、前期の313.69円に対し、当期は137.39円となりました。

 

⑧  収益性、成長性に関する経営指標

当社グループは、2021年3月に策定した中期経営計画2023「Creating Value for a Sustainable Future」における2023年度計画として、ROIC(投下資本利益率)5.0%程度を収益性、成長性の経営指標として掲げております。

当期は、収益性、成長性の経営指標として、連結ROE(自己資本利益率)6.8%、連結ROIC(投下資本利益率)4.5%、連結EBITDA(※)2,300億円を計画として掲げ、連結ROE4.3%、連結ROIC2.7%、連結EBITDA(※)1,927億円の実績となりました。

上記の経営指標の推移を踏まえながら、当社グループは引き続き収益性、成長性の向上に努めます。

(※) 営業利益+減価償却費+のれん償却額+持分法投資損益

 

(注) 1  上記のセグメント別売上高、セグメント損益には、セグメント間の内部取引に係る金額を含んでおります。

2  本報告書では、ガス量はすべて1m3当たり45MJ(メガジュール)で表示しております。

 

(2) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①  キャッシュ・フロー

当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べて1,117億円収入減335億円の収入となりました。これは、仕入債務の減少による支出が前期に比べて824億円増加したことなどによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて517億円支出増2,039億円の支出となりました。これは、関係会社株式の売却による収入が前期に比べて478億円減少したことなどによるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて1,500億円収入増の1,196億円の収入となりました。これは、コマーシャル・ペーパーの純増による収入が前期に比べて689億円増加したこと、長期借入れによる収入が前期に比べて372億円増加したことなどによるものであります。

以上の活動の結果、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べて459億円減の847億円となりました。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、社債、借入金及び自己資金を財源としながら、ガス事業の基盤である本支供給管等の品質向上投資や、国内エネルギー、海外エネルギー、ライフ&ビジネス ソリューション事業への成長投資を行っていきます。

 

 

②  資産・負債及び純資産

当期末の総資産は2兆8,195億円となり、前期末に比べて2,315億円増加しました。これは、投資の進捗等により有形固定資産が前期末に比べて875億円増加したこと、原料価格の上昇等により棚卸資産が前期末に比べて739億円増加したことなどによるものであります。

当期末の負債は1兆4,024億円となり、前期末に比べて1,104億円増加しました。これは、コマーシャル・ペーパーが前期末に比べて689億円増加したことや長期借入金が前期末に比べて360億円増加したことなどによるものであります。

当期末の純資産は1兆4,171億円となり、前期末に比べて1,210億円増加しました。これは、株主資本が利益剰余金の増加等により前期末に比べて322億円増加したこと、その他の包括利益累計額が為替換算調整勘定の増加等により前期末に比べて875億円増加したことなどによるものであります。

以上の結果、当期末の自己資本比率は49.3%となり、前期末に比べて0.2ポイント増加しました。

 

③  財務政策

当社グループは、2017年3月に策定した長期経営ビジョン2030「Going Forward Beyond Borders」・2021年3月に策定した中期経営計画2023「Creating Value for a Sustainable Future」において経営指標を定めました。財務健全性指標としては、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)(※)0.7程度、連結自己資本比率(※)50%程度を中長期的に維持していくことを掲げております。

(※) 利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)の資本性50%を調整

当社グループはこれまで、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)及びGCMS(グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム)の導入によるグループ全体の資金効率向上策、フリーキャッシュフローを活用した有利子負債の削減や自己株式取得等の投下資本効率向上策やグローバル財務ガバナンスの向上策の実施のほか、事業遂行上の様々なリスクに起因する収益変動をヘッジするための財務リスクマネジメント等の取組みを通じて、財務健全性の維持・向上を図ってきました。なお、当該GCMSにおいては、預入金及び借入金の相殺表示を行っており、当連結会計年度末の相殺金額は897億円であります。

当期においては、有利子負債が前期末に比べて1,664億円増加したものの、連結D/E比率は0.71(劣後特約付社債考慮後(※):0.60)、連結自己資本比率は49.3%(劣後特約付社債考慮後(※):52.5%)となっており、財務健全性を維持しております。

今後も長期経営ビジョン2030・中期経営計画2023の実現に向け、資金効率・資本効率のさらなる向上や財務リスクマネジメント等に積極的に取り組んでいきます。

(※) 利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)1,750億円の資本性50%を調整

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項  (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

当社グループにおいては、国内エネルギーセグメントにおいて当社及び名張近鉄ガス㈱等が営むガス事業が生産活動の中心となっており、販売活動では、ガス事業に加えて、当社等が営む電力事業の比重も高まりつつあります。また、当該セグメント以外のセグメントが生産・販売する製品やサービスは広範囲かつ多様であり、受注形態をとらないものも多くあります。

このため、以下は、国内エネルギーセグメントにおけるガス事業の生産実績及び販売実績、並びに電力事業の販売実績について記載しております。

(1) 生産実績

(ガス)

当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

製品

生産量(百万m3)

前期比(%)

ガス

6,875

△5.3

 

 

(2) 受注状況

(ガス)

ガス販売については、その性質上受注生産は行いません。

 

(3) 販売実績

(ガス)

当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

 

家庭用

1,697

百万m3

(△8.2)

ガス販売量

業務用等

5,148

百万m3

(△1.8)

 

6,845

百万m3

(△3.5)

ガス供給件数

5,004

千件

(△0.4)

 

(注) (  )内数値は前期比(%)であります。

 

(電力)

当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

電力販売量

小売

6,390

百万kWh

(+3.3)

卸等

9,493

百万kWh

(△10.2)

15,883

百万kWh

(△5.2)

低圧電気供給件数

1,707

千件

(+5.8)

 

(注) (  )内数値は前期比(%)であります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社において、研究開発は最も重要な成長戦略の一つであります。メタネーションを始めとしたカーボンニュートラル社会の実現に貢献する研究開発や新規ビジネスの創出につながる研究開発に取り組んでいます。また、保安の確保・高度化に資する研究開発はもちろんのこと、デジタル技術を活用した業務の効率化や設備関連費用の低減、お客さまの利便性向上、既存サービスの高度化、クリーンな天然ガスの用途拡大や高度利用を目指した研究開発にも継続的に取り組んでおります。

当社は、コア技術として、石炭・石油から都市ガスを製造していた時代からの触媒・材料技術、LNG気化器・PC(プレストレスト・コンクリート)型LNGタンク・LNG冷熱発電・LNG受入基地等の設計・建設技術、ガス空調・天然ガスコージェネレーション・燃料電池・燃焼技術等のエネルギー利用技術等を保有しており、各々の分野で研究開発を進めております。

有機材料・活性炭等各種材料の開発、情報通信技術等、エネルギー分野にとどまらず、ライフ&ビジネス ソリューション分野への取り組みを進めております。

知的財産分野では、保有特許分析等に基づく戦略的な知的財産戦略を展開しております。また、当社保有技術と外部の保有技術を積極的に融合・活用することにより、開発の加速と効率化、新規技術・商品開発の創出を図る「オープンイノベーション」活動を積極的に推進しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は9,627百万円で、各セグメント別の研究目的・主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

 

(国内エネルギー)

当社は、ガスの製造、供給及び拡販に寄与する研究開発を行っております。

ガス製造分野では、安定操業・安定供給を確保するためのLNG基地製造設備の建設・診断・評価技術、保全業務の効率化等に取り組んでおります。

ガスの輸送・供給分野では、大阪ガスネットワーク㈱が、AI技術等を活用した保安レベルの維持・向上や災害発生時の迅速な復旧、工法・検査・修繕技術等ガス導管の建設・保全費用の低減を目指した研究開発を行っております。また、お客さまの利便性向上にもつながる「スマートメーター」の研究開発にも取り組んでおります。

家庭用ガス利用分野では、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」で世界最高の発電効率を実現するとともに、カーボンニュートラル実現に向けて電力系統においてエネファームを供給力・調整力として活用するためのVPP実証等、更なる商品性向上に向けた技術開発に取り組んでおります。また、エネファーム、給湯器、コンロ、警報器等の機器をⅠoT化することで新たな価値をお客さまにご提供できる先進的な商品開発にも取り組んでおります。さらには、神戸市と連携して3電池(燃料電池、蓄電池、太陽電池)を活用した仮想の街区内での再生可能エネルギーを最大限地産地消することを目指したエネルギーマネジメントの技術検証を実施しました。実験集合住宅(NEXT21)では、近未来の集合住宅の在り方を模索するため、効率的なエネルギーシステムや健康・快適な住空間、災害に備える住まい、エネルギー融通、デマンドレスポンス等の居住実験も進めております。

業務用・産業用ガス利用分野では、様々なニーズにお応えするバーナ・工業炉の開発や、ガスコージェネレーションシステム、ガスヒートポンプを用いた空調機等、省エネルギーに貢献する機器のさらなる高効率化やコスト低減、遠隔モニタリングを活用した省エネ支援サービス向けのシステム開発等に取り組んでおります。工場向けⅠoTサービス「D-Fire」、空調分野のソリューションサービス「D-Airing」、自家消費型太陽光発電サービス「D-Solar」、水処理サービス「D-Aqua」への取り組み、オンサイト型バイオガス化システム「D-Bioメタン」の開発、及びバイオマスボイラシステム「D-Bio Steam」のシステム構築等、脱炭素社会に貢献するための取り組みや商品開発を実施しております。加えて、お客さまのコージェネレーションシステム等を活用して創出するネガワット価値を取引するサービス「D-Response」も提供しております。

 

カーボンニュートラル社会の実現に向けては、非化石原料からの合成メタン(e-メタン)を製造するメタネーションの研究開発において、非常に高い効率が期待されるSOECメタネーションや早期社会実装を目指すサバティエメタネーションなどの研究開発を進めております。また、グリーン水素製造等の研究開発、水素・アンモニア燃料の利用技術開発、低コストでコンパクトな水素製造装置の商品化開発、バイオガス精製・利用の技術開発などにも取り組んでおります。

大阪ガスリキッド㈱は、産業ガスや水素オンサイト事業の需要拡大に繋がるシステム技術や新商品の開発、冷熱を利用した各種樹脂・食品原料の低温粉砕に関する技術開発を行っております。

当セグメントにおける研究開発費は6,682百万円であります。

 

(ライフ&ビジネス ソリューション)

Jacobi Carbons AB及び水澤化学工業㈱を含む大阪ガスケミカルグループでは、炭素材料・光電子材料・活性炭・保存剤・無機吸着剤等に係る研究開発を、㈱KRIはナノ材料や次世代電池等の先進材料・新エネルギーに係る研究開発を、オージス総研グループでは、AIクラウドコンピューティング等のソフトウェア及び情報システムに係る研究開発を行っております。当セグメントにおける研究開発費は2,944百万円であります。