第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月21日)現在において当社が判断したものであります。

1.品質管理を含むグループガバナンス体制強化のための施策について

 2017年11月から2018年6月にかけて公表いたしました、当社グループにおいて過去に製造販売した製品の一部について、検査記録データの書き換えや検査の一部不実施等の不適切な行為により顧客の規格値または社内仕様値を逸脱した製品等を出荷した事案並びに当社直島製錬所において銅スラグ骨材のJIS認証の取り消し処分を受けた事案につきましては、お客様、株主様をはじめ、関係各位に多大なるご迷惑をおかけしたことを改めて深くお詫び申し上げます。

 これらの事案に関連して、当社連結子会社である三菱電線工業㈱、㈱ダイヤメット及び三菱アルミニウム㈱は、2019年2月に不正競争防止法違反により東京簡易裁判所から有罪判決を受けました。

 他方では、これらの事案に関しては、これまで、お客様のご協力を得て安全性の確認を進めてきましたが、すべてのお客様について、安全性に関する主要な事項について問題ないことを確認しております。

 当社及び当社グループとしては、今後このような事態を再び繰り返すことがないよう、以下の「当社グループの品質管理に係るガバナンス体制の再構築策」及び「当社グループのガバナンス体制の強化策」を引き続き遂行、深化させてまいります。

 

(1) 当社グループの品質管理に係るガバナンス体制の再構築策

①受注時のフロントローディングシステムの浸透

②品質管理部門の体制・権限の強化

③品質教育の拡充

④検査設備自動化の推進

⑤品質監査の強化

⑥外部コンサルタントの活用

 

(2) 当社グループのガバナンス体制の強化策

①ガバナンス関係事項に係る審議・報告・フォローアップ体制の強化

②管理部門における機能の強化及び事業部門との連携の強化

③人材育成の強化と人材交流の活性化

④監査の強化

⑤事業最適化の観点からの検討

 

2.全社課題

 今後の世界経済につきましては、米国の経済成長の堅調な推移が期待されるものの、足許で米国の一部指標で減速傾向がみられるほか、通商問題の拡大や中国経済の減速の影響等が懸念され、世界経済の先行きが不透明な状況にあります。

 今後のわが国経済につきましては、雇用・所得環境の改善が続き、内需を中心に緩やかな回復が継続することが期待されるものの、海外経済の減速を背景とした輸出の減少が懸念されるほか、海外の政治や経済の動向がわが国の景気の下振れリスクとなる可能性があります。

 今後の当社グループを取り巻く事業環境につきましては、国内経済の先行きの不透明さに加えて、エネルギーコストの上昇や、人手不足の深刻化等が懸念されます。

 こうしたなかで、当社グループは、次のとおり、10年後を見据えた「長期経営方針」と2017年度から2019年度までを対象とした「中期経営戦略」に基づき、「成長への変革」をテーマに企業価値の向上に向けて、諸施策を実施してまいります。

 

(1) 長期経営方針

 当社グループは、「人と社会と地球のために」という企業理念のもと、「ユニークな技術により、人と社会と地球のために新たなマテリアルを創造し、循環型社会に貢献するリーディングカンパニー」をビジョンとしております。

 このビジョンの実現に向けて、長期経営方針として、中長期の目標(目指す姿)及び全社方針を以下のとおり定めております。

<中長期の目標(目指す姿)>

・国内外の主要マーケットにおけるリーディングカンパニー

・高い収益性・効率性の実現

・市場成長率を上回る成長の実現

<全社方針>

・事業ポートフォリオの最適化

・事業競争力の徹底追求

・新製品・新事業の創出

 

(2) 中期経営戦略(2017年度から2019年度)における経営方針

 中期経営戦略では、長期経営方針に定める全社方針を以下のとおり推進いたします。なお、当社の前中期経営計画の課題である「外部環境変化への対応」及び「戦略重視の体制づくり」を推進するため、従来の財務計画主体の「中期経営計画」から、成長戦略の立案・実行に重点を置いた「中期経営戦略」に変更いたしました。

①事業ポートフォリオの最適化

 当社グループの事業を「安定成長事業」、「成長促進事業」及び「収益改善事業」の3つのカテゴリーに分け、各事業の特性に適した方向性を定め、課題を明確化した上で、事業の選択と集中を推進し資本効率の改善を図ります。安定成長事業は、セメント事業、金属(製錬)事業、リサイクル事業及び再生可能エネルギー事業で、コスト競争力の維持・向上等により、事業基盤の強化を図ります。成長促進事業は、金属(銅加工)事業及び加工事業で、周辺分野の事業展開やグローバル事業展開を図り、市場成長率を上回る成長を目指します。収益改善事業は、電子材料事業及びアルミ事業で、課題の解決に向け迅速に取り組み、今後の成長の方向性を定めます。

 

②事業競争力の徹底追求

 コーポレート部門による支援体制の拡充により技術経営資源を最適活用し、事業部門の「ものづくり」の改善・革新等を行います。これにより、事業環境の変化を先取りし、他社よりも一歩抜きんでた存在になるための「別格化」や新製品・新製造技術の開発等の「新展開」を図り、事業競争力を徹底追求してまいります。

 

③新製品・新事業の創出

 将来の収益基盤となる新しいビジネスの創出のため、当社グループが捉えるべき重要な社会ニーズを「次世代自動車」、「IoT・AI」及び「持続可能な豊かな社会の構築」とし、持続的成長の核となる新製品・新事業を創出・育成してまいります。

 

 また、以下を重点戦略とし、具体的施策を推進いたします。

・イノベーションによる成長の実現

・循環型社会の構築を通じた価値の創造

・成長投資を通じた市場プレゼンスの拡大

・継続的な改善を通じた効率化の追求

 

(3) 目標とする経営指標

 当社グループは、売上高、営業利益、ネットD/Eレシオを経営上の指標とし、各事業においては、高機能製品及び加工事業はEBITDA成長率を、金属事業、セメント事業及びその他の事業は総資産利益率(ROA)を重視しております。

 

3.事業別課題

●高機能製品

 銅加工品は、自動車向け製品等の需要が引き続き安定して推移すると見込まれます。このような状況のもと、昨年度より連結化したMMCカッパープロダクツ社との事業シナジーを創出するとともに、引き続き技術力と開発力を活かした高付加価値製品の開発を迅速に進めて販売競争力を高め、収益力を強化してまいります。

 電子材料は、家電及び車載向け製品の需要の増加が見込まれるほか、2019年度後半からは、半導体装置関連製品の需要回復も期待されます。このような状況のもと、各市場において顧客のニーズを先取りして、コアとなる技術力の活用並びに販売競争力及び顧客への提案力を高め、収益力を強化してまいります。また、多結晶シリコンについては、厳しい事業環境が続くことが見込まれますが、安全・安定操業を最優先に事業基盤の確立に向けて、品質向上、コスト削減に努めてまいります。

 アルミ製品は、圧延・加工品である自動車向け熱交板材及びリチウムイオン電池箔の需要増加が見込まれることから、生産能力増強と生産性向上に努めるとともに、北米をはじめとしたグローバル供給体制の確立、高付加価値製品の開発を進めてまいります。また、飲料用ボトル缶については、大型化や多形状化等多様な製品の開発と拡販を進め、競争力の維持・向上に努めてまいります。

 

●加工事業

 超硬製品の市場環境は、中国経済の減速による影響が懸念されるものの、全体としては堅調に推移することが見込まれます。このような状況のもと、引き続き成長性の高い産業や地域に狙いを絞り、効果的な営業活動を展開してまいります。特に、成長段階に位置する航空宇宙産業については、経営資源を優先的に投入し、製造・開発・販売面の機能強化を図ってまいります。切削工具に関しては、DIAEDGE(三菱マテリアル㈱)及びMOLDINO(三菱日立ツール㈱)の2つのブランドのもと、顧客の真のパートナーとして信頼を得られるよう、顧客視点に立ったソリューション提供に取り組んでまいります。特に、技術拠点については、世界の主要地域において新設及び機能・能力の増強を進めており、今後もこれを継続してまいります。また、主原料であるタングステン及びコバルトの調達については、調達リスク及び調達コストの低減を図るべく、タングステンリサイクル量の増加や、原料調達ソースの多様化に努めてまいります。

 焼結製品等については、引き続き、自動検査機の導入による省力化や歩留改善施策を進めることにより、品質及び生産性の向上を図り、収益の改善に努めてまいります。なお、焼結部品を製造・販売する㈱ダイヤメットは、継続的な営業損失及び固定資産の減損損失の計上により債務超過になっていることから、当社は、同社に対して融資枠を設定の上、融資を行っております。

 

●金属事業

 銅精鉱は、中国・インド等における新規製錬所立ち上げや既存製錬所拡張に伴う需要増加に対して、鉱山側の供給能力が不足し、短期的には買鉱条件の悪化が見込まれます。

 銅地金は、電線分野では東京五輪や首都圏再開発関連、伸銅分野では、多少頭打ち感はあるものの、車載品向けを中心に堅調な需要環境が見込まれますが、先行き不透明な米中通商問題、英国のEU離脱、中国経済の減速が需要や相場の下振れ要因となり得ることから、今後の動向を注視してまいります。

 このような状況のもと、鉱山部門では、既存案件の改善や新規案件の開拓に取り組み、不純物の少ないクリーンな銅精鉱を製錬所へ安定的に供給することで、製錬所操業の基礎を支えます。なお、新規案件のサフラナルプロジェクト(ペルー)は、2019年内にフィージビリティスタディを完了し、環境許認可の取得作業に移る計画です。

 製錬部門では、金銀滓(E-Scrap)の処理能力拡大を図るべく、設備改善や集荷体制の強化を推進した結果、当社グループの金銀滓処理能力は年間16万トンに達する見込みとなりました。今後は、世界トップクラスの集荷量・処理量を最大限に活用して収益力の強化を図ってまいります。

 一方で、金銀滓処理量の増加に伴い、製錬工程に投入される不純物の量や種類が多くなり、有価金属の回収効率の低下が生じていることから、これに対応した設備増強等による操業の改善を行い、一定の効果を上げております。また、受入れ品の置場管理の適正化、棚卸資産の管理強化等も併せて実施しております。今後も、継続的に更なる改善に取り組み、金銀滓処理技術の高度化を推進してまいります。また、多様な原料処理で複雑化しつつあるマテリアルバランスの最適化を図るべく、各生産拠点の連携強化を推進し、より効率的な有価金属の回収体制の構築に取り組んでまいります。

 

●セメント事業

 国内では、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」に基づく公共工事の増加や、首都圏再開発工事、新幹線建設工事等に関連する需要が見込まれるものの、人手や輸送能力の不足による工期の遅れも懸念されることから、2019年度のセメント国内需要は、2018年度並みの4,250万トン程度を想定しております。このような状況のもと、当社としては、大型プロジェクト需要を確実に取り込み、販売数量の確保に努めてまいります。

 米国では、政府のインフラ投資政策等を背景に公共工事が増加基調にあることから、セメント・生コンの需要が堅調に推移すると見込んでおります。人件費や燃油・エネルギーコストの増加要因もありますが、顧客への適切な価格転嫁を実施するとともに、セメントにおいては工場の設備改善によるコスト削減を、生コンにおいては新規生コン工場の稼働による拡販等をそれぞれ実現し、更なる増収増益を目指します。

 

 以上の諸施策の実施により、当社グループの総力を結集し、複合事業体の価値創造を推進してまいる所存であります。

 

4.会社の支配に関する基本方針

(1)会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要

  当社の支配権は、原則として当社株式の市場での自由な取引により決定されるべきものであり、株式の大規模買付等(下記(3)②(イ)において定義されます。以下同じとします。)の提案に応じるか否かのご判断についても、原則として、個々の株主の皆様の自由なご意思が尊重されるべきであると考えております。
 しかしながら、株式の大規模買付等の中には、企業価値・株主共同の利益、ひいては中長期的な株主価値(以下、単に「中長期的な株主価値」といいます。)を著しく損なう可能性のあるものや株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれのあるものなど、当社の中長期的な株主価値に資さないものも想定されます。また、当社は、当社株式の大規模買付等を行う者が、当社を取り巻く経営環境を正しく認識し、当社の企業価値の源泉を理解した上で、これを中長期的に確保し、向上させなければ、当社の中長期的な株主価値は毀損される可能性があると考えております。
 更に、株主の皆様の投資行動の自由をできる限り尊重すべきであることは言うまでもありませんが、当社としては、現在のわが国の公開買付制度は、株主の皆様が一定の大規模買付等に応じるか否かをご判断されるために必要な情報を取得し、検討するための時間と手続が必ずしも十分ではなく、中長期的な株主価値が害される可能性もあると考えております。
 以上のことから、当社は、上記のような当社の中長期的な株主価値を毀損する可能性のある大規模買付等を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないものと考えております。このため、当社は、当社の中長期的な株主価値に反する大規模買付等を抑止するため、当社株式の大規模買付等が行われる場合に、不適切な大規模買付等でないかを株主の皆様がご判断するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者と交渉等を行ったりするための枠組みが必要であると考えております。

 

(2)基本方針の実現に資する特別な取り組みの内容の概要
 当社は、当社の淵源である金属・石炭の鉱山事業で培った技術等をもとに様々な分野において事業を展開してきました。その結果、現在では、高機能製品、加工、金属、セメント等の事業を行う複合事業集団となっております。また、当社は、様々な事業活動を通して社会に貢献することを企業理念の基本とし、これまで、総合素材メーカーとして、人々が生活する上で欠くことのできない基礎素材を世の中に供給してきました。更に、環境負荷の低減や循環型社会システム構築への貢献を目指し、豊かな社会をつくるために不断の努力を行ってまいりました。当社は、事業活動の発展はもとより、社会との共生も図りながら、株主、従業員、顧客、地域社会、サプライヤーその他多数の関係先を含むステークホルダーの皆様から更なる信頼を得ることにより、中長期的な株主価値の確保・向上に努めてまいりたいと考えております。

   このようななかにあって、当社グループは、10年後を見据えた長期経営方針において、中長期の目標(目指す姿)を「国内外の主要マーケットにおけるリーディングカンパニー」、「高い収益性・効率性の実現」及び「市場成長率を上回る成長の実現」とし、その達成に向けた全社方針を「事業ポートフォリオの最適化」、「事業競争力の徹底追求」及び「新製品・新事業の創出」としております。今後は、2017年度から2019年度までを対象とした「中期経営戦略」に基づき、企業価値の向上に向けて、全社方針を推進するとともに、「イノベーションによる成長の実現」、「循環型社会の構築を通じた価値の創造」、「成長投資を通じた市場プレゼンスの拡大」及び「継続的な改善を通じた効率化の追求」を重点戦略とし、具体的諸施策を実施してまいります。

 

(3)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの概要

   当社は、上記(2)記載の企業理念と諸施策のもと、今後も当社の中長期的な株主価値の最大化を追求してまいりますが、その一方で、上記(1)記載のような当社の中長期的な株主価値を毀損する可能性がある大規模買付等が行われる可能性も否定できないと考えております。そこで、当社は、2016年5月12日開催の当社取締役会において、「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」を従前のものから一部改定した上で更新すること(改定後の対応策を以下「新対応策」といいます。)を決議し、同年6月29日開催の当社第91回定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきました。

   新対応策の概要は、次のとおりであります。なお、新対応策の詳細につきましては、2016年5月12日付のプレスリリース「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の更新について」において公表しておりますので、以下の当社ホームページをご参照下さい。

   http://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2016/16-0512b.pdf

 

 ①新対応策の基本方針

  当社は、中長期的な株主価値の確保・向上を目的として、当社株式の大規模買付等を行い、または行おうとする者に対し、遵守すべき手続を設定し、これらの者が遵守すべき手続があること、及び、これらの者に対して一定の場合には当社が対抗措置を発動することがあり得ることを事前に警告すること、並びに、一定の場合には当社が対抗措置を実際に発動することをもって当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)といたします。

 ②新対応策の内容

(イ)対象となる大規模買付等

  新対応策は、以下のa.またはb.に該当する当社株券等の買付けまたはこれに類似する行為(以下「大規模買付等」といいます。)がなされる場合を適用対象といたします。大規模買付等を行い、または行おうとする者(以下「買付者等」といいます。)は、予め新対応策に定められる手続に従わなければならないものといたします。

a.当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付け

b.当社が発行者である株券等について、公開買付けに係る株券等の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付け

(ロ)意向表明書の当社への事前提出

  買付者等には、大規模買付等の実行に先立ち、当社取締役会に対して、新対応策に定める手続を遵守する旨の誓約文言等を日本語で記載した書面(以下「意向表明書」といいます。)を提出していただきます。

(ハ)情報の提供

  意向表明書をご提出いただいた場合には、当社は、買付者等に対して、当初提出していただくべき情報を記載した「情報リスト」を発送いたします。買付者等には、かかる「情報リスト」に従って十分な情報を当社に提出していただきます。

 また、上記の「情報リスト」の発送後60日間を、当社取締役会が買付者等に対して情報の提供を要請し、買付者等が情報の提供を行う期間(以下「情報提供要請期間」といいます。)として設定し、情報提供要請期間が満了した場合には、直ちに取締役会評価期間(下記(ホ)において定義されます。以下同じとします。)を開始するものといたします。ただし、買付者等から合理的な理由に基づく延長要請があった場合には、情報提供要請期間を必要に応じて最長30日間延長することができるものといたします。他方、当社取締役会は、買付者等から提供された情報が十分であると判断する場合には、情報提供要請期間満了前であっても、直ちに買付者等に情報提供完了通知(下記(ニ)において定義されます。以下同じとします。)を行い、取締役会評価期間を開始するものといたします。

(ニ)情報の開示

  当社は、買付者等から大規模買付等の提案がなされた事実とその概要を開示いたします。また、株主の皆様のご判断に必要であると認められる情報がある場合には、適切と判断する時点で開示いたします。

 また、当社は、買付者等による情報の提供が十分になされたと当社取締役会が認めた場合には、速やかにその旨を買付者等に通知(以下「情報提供完了通知」といいます。)するとともに、その旨を開示いたします。

(ホ)取締役会評価期間の設定

  当社取締役会は、情報提供完了通知を行った後または情報提供要請期間が満了した後、大規模買付等の評価・検討を開始いたします。当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成及び代替案立案のための期間(以下「取締役会評価期間」といいます。)は、大規模買付等の態様に応じて最長60日間または最長90日間といたします。

 ただし、取締役会評価期間は当社取締役会が必要と認める場合または独立委員会の勧告を受けた場合には最長30日間延長できるものといたします。

(へ)独立委員会に対する諮問

 新対応策においては、対抗措置の発動等に当たって、当社取締役会の恣意的判断を排除するため、当社の業務執行を行う経営陣から独立した者のみから構成される独立委員会を設置しております。

 当社取締役会は、買付者等が新対応策に定める手続を遵守しなかった場合、または買付者等による大規模買付等が当社の中長期的な株主価値を著しく損なうものであると認められる場合であって、対抗措置を発動することが相当であると判断する場合には、対抗措置の発動の是非について、独立委員会に対して諮問するものといたします。

(ト)対抗措置の発動に関する独立委員会の勧告

 独立委員会は、当社取締役会から対抗措置の発動の是非に関する諮問があった場合には、当社取締役会に対して、対抗措置の発動の是非に関する勧告を行うものといたします。

(チ)取締役会の決議

 当社取締役会は、上記(ト)の独立委員会の勧告を最大限尊重し、対抗措置の発動に関する決議を行うものといたします。

(リ)株主意思確認総会の開催

 当社取締役会は、以下の場合には、株主総会の開催が著しく困難な場合を除き、株主総会を開催し、対抗措置の発動に関する議案を付議するものといたします(かかる株主総会を以下「株主意思確認総会」といいます。)。

a.独立委員会が対抗措置の発動についての勧告を行うに際して、対抗措置の発動に関し株主総会の承認を予め得るべき旨の留保を付した場合

b.当社取締役会が、株主の皆様のご意思を確認することが相当であると判断した場合

 当社取締役会は、株主意思確認総会の決議に従って、対抗措置の発動に関する決議を行うものといたします。

(ヌ)大規模買付等の開始時期

 買付者等は、当社取締役会が株主意思確認総会を招集することを決定した場合には、当社取締役会が株主意思確認総会の決議に基づく対抗措置不発動の決議を行うまでは、大規模買付等を開始することはできないものといたします。また、株主意思確認総会が招集されない場合においては、取締役会評価期間の経過後にのみ大規模買付等を開始することができるものといたします。

(ル)対抗措置の中止または撤回

 当社取締役会は、対抗措置の発動を決議した場合であっても、以下の場合には、当該対抗措置の中止または撤回について、独立委員会に諮問するものといたします。

a.買付者等が大規模買付等を中止もしくは撤回した場合

b.当該対抗措置を発動するか否かの判断の前提となった事実関係等に変動が生じ、かつ、当社の中長期的な株主価値の確保・向上という観点から、当該対抗措置を維持することが相当でないと考えられる状況に至った場合

 当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、当該対抗措置を維持することが相当でないと判断するに至った場合には、当該対抗措置の中止または撤回を決議いたします。

(ヲ)新対応策における対抗措置の具体的内容

 新対応策に基づいて発動する対抗措置は、原則として新株予約権の無償割当てといたします。

 当該新株予約権は、割当て期日における当社の株主に対し、その所有する当社普通株式1株につき1個の割合で割り当てられます。また、当該新株予約権には、買付者等別途定める要件に該当する非適格者は行使することができないという行使条件のほか、当社が非適格者以外の者が所有する新株予約権を取得し、これと引き替えに新株予約権1個につき1株の当社普通株式を交付することができる旨の取得条件等が付されることが予定されております。

(ワ)新対応策の有効期間、廃止及び変更

 新対応策の有効期間は、2019年6月開催予定の当社第94回定時株主総会終結の時までといたします。

 なお、かかる有効期間の満了前であっても、以下の場合には、新対応策はその時点で廃止されるものといたします。

a.当社の株主総会において新対応策を廃止する旨の議案が承認された場合

b.当社の取締役会において新対応策を廃止する旨の決議が行われた場合

 また、当社は、法令等の改正に伴うもの等の形式的な事項について、基本方針に反しない範囲で、新対応策を変更する場合があります。

 

   (4)上記(2)の取り組みが、上記(1)の基本方針に沿い、株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないことに関する取締役会の判断及びその理由

    上記(2)の取り組みを通じて、当社の中長期的な株主価値を確保・向上させ、それを当社株式の価値に適正に反映させていくことにより、当社の中長期的な株主価値に反する大規模買付等は困難になるものと考えられ、上記(2)の取り組みは、上記(1)の基本方針に沿うものであると考えております。

   従って、上記(2)の取り組みは、当社の株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

   (5)上記(3)の取り組みが、上記(1)の基本方針に沿い、株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないことに関する取締役会の判断及びその理由

   上記(3)の取り組みは、十分な情報の提供と十分な検討等の期間の確保の要請に応じない買付者等、及び当社の中長期的な株主価値を著しく損なう大規模買付等を行おうとする買付者等に対して対抗措置を発動できることとすることで、これらの買付者等による大規模買付等を防止するものであり、上記(1)の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みであります。また、上記(3)の取り組みは、当社の中長期的な株主価値を確保・向上させることを目的として、買付者等に対して、当該買付者等が実施しようとする大規模買付等に関する必要な情報の事前の提供、及びその内容の評価・検討等に必要な期間の確保を求めるために実施されるものです。更に、上記(3)の取り組みにおいては、株主の皆様のご意思を確認する手続の導入、独立性の高い委員により構成される独立委員会の設置及びその勧告の最大限の尊重、合理的かつ客観的な対抗措置発動要件の設定、株主意思確認総会の決議に基づく対抗措置の発動等の、当社取締役会の恣意的な判断を排し、上記(3)の取り組みの合理性及び公正性を確保するための様々な制度及び手続が確保されているものであります。

   従って、上記(3)の取り組みは上記(1)の基本方針に沿うものであり、当社の株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

 

 (ご参考)

  新対応策は、2019年4月25日開催の当社取締役会において、2019年6月21日開催の当社第94回定時株主総会終結の時をもってこれを更新せずに廃止することを決議し、本定時株主総会終結の時をもって有効期間が満了いたしました。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、幅広い事業を展開しているため、業績及び財政状態は国内外の政治・経済・天候・市況・為替動向・法令等、様々な要因の影響を受けます。特に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。

 本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2019年6月21日)現在において判断したものであります。

(1)事業再編

 当社グループは、事業の選択と集中を推進しており、収益性の高い事業には積極的に経営資源を投入するとともに、他社との提携も視野に入れた、事業の見直し、再編、整理に積極的に取り組んでおります。その結果により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2)市場・顧客動向

 当社グループは、様々な業界に対し、製品及びサービスを提供しておりますが、世界経済情勢の変化や顧客の市場の急速な変化と顧客の市場占有率の変化、顧客の事業戦略または商品展開の変更により、当社グループの製品等の販売が影響を受ける可能性があります。特に自動車及びIT関連業界は激しい価格及び技術開発競争にさらされており、当社グループは各般に亘るコストダウン、新製品・技術の開発に努めておりますが、業界と顧客市場の変化に的確に対応できない場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3)非鉄金属相場、為替相場の変動等

 金属事業においては、主な収益源である外貨建の出資鉱山からの配当金及び製錬費等が非鉄金属相場、為替相場の変動や買鉱条件により影響を受けます。なお、たな卸資産に関しては、鉱石の調達から地金生産・販売に至る期間において、原料代に非鉄金属相場、為替相場の変動リスクを有します。

 また、アルミ事業、加工事業等の非鉄金属原材料、セメント事業の石炭等も国際商品であり、これらの原材料及び原燃料の調達価格が、非鉄金属や石炭等の相場、為替相場、海上運賃等の変動の影響を受けます。

(4)半導体市況の動向

 当社グループは、半導体業界向けに電子材料、多結晶シリコン等を供給しており、半導体市況の動向が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(5)有利子負債

 2019年3月期において、当社グループの有利子負債は4,947億円(短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債、長期借入金の合計額。注記なき場合は以下同様)、総資産に対する割合は25.5%となっております。たな卸資産圧縮、資産売却等により財務体質改善に努めておりますが、今後の金融情勢が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(6)債務保証

 当社グループは、連結会社以外の関連会社等の金銭債務に対して、2019年3月期において199億円の債務保証を引き受けております。将来、これら債務保証の履行を求められる状況が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(7)保有資産の時価の変動

 保有する有価証券、土地、その他資産の時価の変動等が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)退職給付費用及び債務

 従業員の退職給付費用及び債務は主に数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しております。これらの前提条件は、従業員の平均残存勤務期間や日本国債の長期利回り、更に信託拠出株式を含む年金資産運用状況を勘案したものでありますが、割引率の低下や年金資産運用によって発生した損失が、将来の当社グループの費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。

(9)環境規制等

 当社グループは、国内外の各事業所において、環境関連法令に基づき、大気、水質、土壌等の汚染防止に努め、国内の休廃止鉱山については、鉱山保安法に基づき、坑廃水による水質汚濁の防止や集積場の管理等、鉱害防止に努めております。しかし、関連法令の改正や温室効果ガスの排出に対する数量規制等がなされた場合、新たな費用負担が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(10)海外活動等

 当社グループは、海外31の国・地域に生産及び販売拠点等を有しており、また、海外売上高も連結売上高の44.9%を占めておりますが、各国の政治・経済情勢や為替相場等のほか、貿易・通商規制、鉱業政策、環境関連規制、税制、その他予期しない法律または規制の変更及びその解釈の相違や現地提携先・パートナーの経営方針変更等が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(11)知的財産権

 当社グループでは、知的財産権の重要性を認識し、その保護に努めておりますが、保護が不十分であった場合あるいは違法に侵害された場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。他方、他社の有する知的財産権についても細心の注意を払っておりますが、万が一、他社の有する知的財産権を侵害したと認定され、損害賠償等の責任を負担する場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(12)製品の品質

 当社グループでは、高品質の製品の提供を目指し品質管理体制の強化に取り組んでおりますが、過去に製造販売した製品に関連する現時点で想定していない補償費用等が生じた場合や、重大な品質問題が新たに発生し、信用低下による販売活動への影響並びに品質管理体制の改善・強化等に要する費用及び補償費用等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(13)労働安全衛生、設備事故等

 当社グループでは、労働安全衛生・防災保安管理体制といったソフト面と、運転・保守管理と設備安全化といったハード面の両面から労働災害及び生産設備等の事故防止の徹底を図っておりますが、万が一、重大な労働災害や設備事故等が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(14)情報管理

 当社グループでは、個人情報の取扱を含め情報管理の徹底を図っておりますが、万が一、情報漏洩等が発生した場合は、社会的信用失墜等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(15)訴訟等

 国内及び海外の現在または過去の事業に関連して、当社グループが現在当事者となっており、若しくは将来当事者となることのある訴訟、紛争、その他法的手続きに係る判決、和解、決定等が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(16)電力調達

 原子力発電所の稼動停止に伴う輸入化石燃料費の増加や再生可能エネルギー賦課金の増加等による電気料金の値上げが、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(17)株式会社ダイヤメットの業績

 当社の連結子会社である株式会社ダイヤメットは、継続的に営業損失及び固定資産の減損損失を計上しており、債務超過の状態にあります。当社では、同社の事業継続のために同社に対して融資を実行しておりますが、今後、同社の業績の悪化が継続した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(18)その他

 上記のほか、取引慣行の変化、地震・洪水等の自然災害、及びテロ・戦争・疫病等の不測の事態が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

(1) 経営成績

 当連結会計年度における世界経済は、アジア地域では、中国において景気に減速傾向がみられたものの、タイ、

インドネシアにおいては緩やかな回復がみられました。米国では、着実な景気の回復が続きました。

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善傾向にあるなか、設備投資に増加の動きがみられた一方で、企業収益の改善や鉱工業生産の増加に減速傾向がみられました。

 当社グループを取り巻く事業環境は、超硬製品やセメント関連の需要が堅調に推移したものの、銅価格の下落やエネルギーコストの上昇等の影響がありました。

 このような状況のもと、当社グループは、10年後を見据えた長期経営方針及び成長戦略の立案・実行に重点を置いた中期経営戦略(2017-2019年度)に基づき、「成長への変革」をテーマに企業価値の向上に向けて、全社方針として掲げている「事業ポートフォリオの最適化」、「事業競争力の徹底追求」及び「新製品・新事業の創出」に向けた諸施策を引き続き推進してまいりました。

 この結果、当連結会計年度は、連結売上高は1兆6,629億90百万円(前年度比4.0%増)となりましたが、金属事業における製錬コストの増加及び期末棚卸による棚卸減耗損の発生等の影響により、連結営業利益は368億61百万円(同49.4%減)、連結経常利益は506億79百万円(同36.3%減)となりました。また、当事業年度の業績及び今後の業績の見通し等を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、当社個別の繰延税金資産のうち、87億円を取り崩しました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は12億98百万円(同96.2%減)となりました。

 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 当連結会計年度より、報告セグメントの変更等を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。なお、以下の前年度比較については、前年度の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。

 なお、前連結会計年度及び当連結会計年度の報告セグメントごとの営業利益は、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。

 

 

(高機能製品)

 

 

 

 

(単位:億円)

 

 

 

前期

当期

増減(増減率)

 

売上高

5,360

5,709

349

(6.5%)

 

営業利益

184

119

△64

(△35.1%)

 

経常利益

184

132

△52

(△28.5%)

 

 銅加工品は、MMCカッパープロダクツ社が期初から連結業績に寄与したことなどにより増収となったものの、原材料コストの増加等により、増収減益となりました。

 電子材料は、ディスプレイ向け製品、スマートフォン用LSI向け製品及び光通信機器向け製品等の販売が減少したことから、減収減益となりました。

 アルミ製品は、飲料用ボトル缶並びに圧延・加工品である自動車向け押出製品及び印刷版用板製品等の販売数量が減少したものの、アルミ地金の価格が上昇したことから売上高は増加しました。一方で、エネルギーコストが上昇しました。この結果、増収減益となりました。

 以上により、前年度に比べて事業全体の売上高は増加したものの、営業利益は減少しました。経常利益は、営業利益が減少したことから、減少しました。

 

(加工事業)

 

 

 

 

(単位:億円)

 

 

 

前期

当期

増減(増減率)

 

売上高

1,611

1,715

103

(6.4%)

 

営業利益

185

167

△17

(△9.7%)

 

経常利益

168

156

△11

(△7.1%)

 

 超硬製品は、国内、欧米、中国及び東南アジア等の市場における販売が堅調に推移したことから、増収増益となりました。

 焼結製品等は、主要製品である焼結部品が国内及び北米で需要増加となり、増収となりましたが、品質検査及び出荷に係る費用の増加により損失が拡大しました。

 以上により、前年度に比べて事業全体の売上高は増加したものの、営業利益は減少しました。経常利益は、営業利益が減少したことから、減少しました。

 

(金属事業)

 

 

 

 

(単位:億円)

 

 

 

前期

当期

増減(増減率)

 

売上高

7,153

7,200

47

(0.7%)

 

営業利益又は営業損失(△)

127

△71

△199

(-%)

 

経常利益

254

23

△230

(△90.9%)

 

 銅地金は、インドネシア・カパー・スメルティング社及び直島製錬所において定期炉修を実施したことなどにより生産量が減少したほか、製錬コストの増加等により、減収減益となりました。

 金及びその他の金属は、原料中の含有量の増加により金が増産となったものの、期末棚卸による棚卸減耗損の発生等により、増収減益となりました。

 以上により、前年度に比べて事業全体の売上高は増加したものの、営業利益は減少しました。経常利益は、営業利益や受取配当金が減少したことから、減少しました。

 

(セメント事業)

 

 

 

 

(単位:億円)

 

 

 

前期

当期

増減(増減率)

 

売上高

1,923

1,982

59

(3.1%)

 

営業利益

194

134

△59

(△30.6%)

 

経常利益

210

154

△55

(△26.6%)

 

 国内では、首都圏において東京五輪関連施設等の工事、北陸地区において北陸新幹線延伸工事がそれぞれ堅調に推移したものの、エネルギーコスト上昇等の影響により増収減益となりました。

 米国では、生コンの販売価格が上昇したものの、燃料費等が上昇したことから、増収減益となりました。

 以上により、前年度に比べて事業全体の売上高は増加したものの、営業利益は減少しました。経常利益は、営業利益が減少したことから、減少しました。

 

(その他の事業)

 

 

 

 

(単位:億円)

 

 

 

前期

当期

増減(増減率)

 

売上高

2,495

2,557

62

(2.5%)

 

営業利益

131

131

△0

(△0.1%)

 

経常利益

83

146

63

(76.3%)

 

 エネルギー関連は、原子力関連の販売が減少したものの、石炭の販売価格が上昇したことに加えて、水力発電事業及び地熱発電所への蒸気供給事業が堅調に推移したことから、減収増益となりました。

 環境リサイクルは、処理量が増加したものの、新規事業の立ち上げに伴うコストの発生により、増収減益となりました。

 エネルギー関連及び環境リサイクル以外の事業は、合算で増収増益となりました。

 以上により、前年度に比べてその他の事業全体の売上高は増加したものの、営業利益は減少しました。経常利益は、持分法による投資損失が減少した影響により、増加しました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に加え、たな卸資産の減少などにより、1,401億円の収入(前期比894億円の収入増加)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に係る支出等により、862億円の支出(前期比22億円の支出増加)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動や投資活動の結果、539億円の収入となり、この資金を社債の償還に充当したことなどにより、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、476億円の支出(前期比365億円の支出増加)となりました。

 以上に、換算差額等による増減を加えた結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、996億円(前期末比123億円の増加)となりました。

(3) 生産、受注及び販売の実績

 「(1) 経営成績」において、各事業のセグメント情報に関連付けて記載しております。

 

2.経営者の視点による財政状態、経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

 本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2019年6月21日)現在において判断したものであります。

(1) 当連結会計年度の経営成績及び財政状態の分析

① 経営成績

 当連結会計年度における経営成績の概況については、「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。

② 財政状態

 当連結会計年度末の総資産残高は、前期末比 727億円(3.6%)減少し、1兆9,382億円となりました。流動資産は、たな卸資産の減少等により、前期末比 354億円(3.7%)減少の 9,096億円となりました。固定資産は、投資有価証券の減少等により、前期末比 373億円(3.5%)減少の 1兆286億円となりました。

 負債残高は、前期末比 276億円(2.2%)減少し、1兆2,149億円となりました。流動負債は、社債及び借入金の減少等により、前期末比 489億円(6.3%)減少の 7,280億円となりました。固定負債は、借入金の増加等により、前期末比 213億円(4.6%)増加の 4,869億円となりました。なお、借入金に社債を加えた有利子負債残高については、前期末比 266億円(5.1%)減少の 4,947億円となりました。

 純資産残高は、その他有価証券評価差額金の減少等により、前期末比 451億円(5.9%)減少の 7,233億円となりました。

 この結果、連結ベースの自己資本比率は、前期末の33.9%から32.7%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は 5,211.20円から 4,838.31円に減少しました。

(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

(3) 事業戦略と見通し

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

(4) 資本の財源及び流動性の管理方針

 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、内部資金、銀行借入、社債発行等により資金調達を行っております。また、キャッシュマネージメントシステムの導入等によるグループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上に努めております。

 当社グループの資金の状況については、「1.経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

(5) 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社グループの経営陣は、収益力、有利子負債等グループの財政状況を認識し、現在の事業規模及び入手可能な情報に基づき経営資源の最も効率的な運用を行い、企業価値を最大限に高めるべく努めております。

(6) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しておりますが、その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用等、開示に影響を与える判断と見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社グループが採用している重要な会計方針(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載)のうち、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼす事項であると考えております。

 

① 貸倒引当金、関係会社事業損失引当金の計上

 当社グループの保有する債権または関係会社への投資に係る損失が見込まれる場合、その損失に充てる必要額を見積もり、引当金を計上しておりますが、将来、債務者や被出資者の財務状況が悪化した場合、引当金の追加計上等による損失が発生する可能性があります。

 

② 有価証券の減損処理

 当社グループの保有する株式については、時価のある有価証券、時価のない有価証券ともに、合理的な判断基準を設定の上、減損処理の要否を検討しております。従って、将来、保有する株式の時価や投資先の財務状況が悪化した場合には、有価証券評価損を計上する可能性があります。

 

③ 固定資産の減損処理

 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)を適用しております。将来、経済環境の著しい悪化や市場価格の著しい下落の発生如何によっては、減損損失を計上する可能性があります。

 

④ 繰延税金資産の回収可能性

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、課税所得がその見積り額を下回る場合、繰延税金資産が取崩され、税金費用が計上される可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

5【研究開発活動】

 当連結会計年度の研究開発活動は、基本的には各事業の基幹となる分野の研究を当社単独で、あるいはグループ会社と連携をとりながら行い、各社固有の事業及びユーザーニーズに応える研究についてはそれぞれが単独で行っております。当社グループの研究開発としては、各セグメントと技術統括本部開発部が協力して、グループ開発の全体最適化を進めて、盤石な技術基盤の確立を図ってまいります。また、技術統括本部の各部と協力して既存事業の技術・開発支援を行うとともに、これからの新事業や新材料を創りだす等のイノベーションを推進してまいります。当社グループには、プロセス型事業とプロダクト型事業があり、それらに応じた研究開発を行ってまいります。特にプロダクト型事業においては、より顧客視点を重視したマーケティングを行うことによって、自社の製品、技術及びサービスの差別化を図ってまいります。

 なお、研究開発費の総額は、10,912百万円であります。

 セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

(1)高機能製品

 銅加工事業の研究開発は、当社の中央研究所及び銅加工部技術室銅加工開発センターを中心として、堺工場や三菱伸銅株式会社との連携のもと、基盤技術の強化や製造プロセスの改善や新規銅合金の開発等をテーマに研究開発を行っており、主な内容は次のとおりであります。

・端子コネクター用銅合金の開発と量産化

・各種シミュレーション技術の開発と応用(鋳造/加工/組織制御)

・ROX素材を生かしたプロセスと商品開発

 (※ROX:SCR法により製造される無酸素銅荒引銅線)

 電子材料事業の研究開発は、当社の中央研究所、三田工場、三菱マテリアル電子化成株式会社、セラミックスエ場、四日市工場において機能材料、化成品、電子デバイス、多結晶シリコン各分野の研究開発を行っており、主な内容は次のとおりであります。

・EV向け電子材料部材・部品の開発

・エレクトロニクス向け電子材料部材・部品の開発

・半導体向け電子材料部材・部品の開発

 アルミ事業の研究開発は、ユニバーサル製缶株式会社技術開発部並びに三菱アルミニウム株式会社研究開発部を中心に研究開発を行っており、主な内容は次のとおりであります。

・缶胴、ボトル、缶蓋及びキャップの軽量化・用途拡大

・異形ボトルの開発

・自動車軽量化を目的とした板・押出材の開発

・各種熱交換器用素材の開発

・エレクトロニクス分野における板・箔材の開発

 研究開発費の金額は、3,931百万円であります。

 

(2)加工事業

 当社の中央研究所、筑波製作所、岐阜製作所、明石製作所、グループ会社である日本新金属株式会社、三菱日立ツール株式会社及び株式会社ダイヤメットを中心に研究開発を行っており、主な内容は次のとおりであります。

・工具材料である超硬合金・サーメット・CBN焼結体の材料開発、硬質皮膜のコーティング技術開発

・刃先交換式切削工具、機能性コーティング膜を有する超硬ドリル・エンドミルの設計及び開発

・精密工具、微細加工用工具の開発、IT市場向け超精密耐摩耗工具、鉱山・都市開発工具の開発

・超硬工具の主原料であるタングステンカーバイド粉の開発

・廃超硬工具スクラップからタングステンを回収・分離するリサイクル技術の研究開発

・エコカー部品を中心とした高精度、高強度機械部品の開発

・ハイブリッド車・EV車等エコカー向けのリアクトルコア、モーターコアの開発

・自動車の電動化・低燃費化に伴い要求が高まる耐熱・耐食軸受の開発

 研究開発費の金額は、455百万円であります。

 

(3)金属事業

 製錬事業の研究開発は、グループ会社を含む国内各事業所と当社の中央研究所、生産技術センター、ものづくり推進部及び製錬部製錬技術開発センターとの緊密な連携により効率的に進めており、開発・製造が一体となって取り組んでおります。環境にやさしい製錬プロセスを最適化することにより高収益リサイクル企業となることを目指し研究開発を行っており、主な内容は次のとおりであります。

・E-Scrap増処理技術開発

・製錬プロセス最適化のための各種解析及び開発

・貴金属、PGM回収の高効率化

 (※PGM:白金族金属)

 研究開発費の金額は、229百万円であります。

 

(4)セメント事業

 セメント事業カンパニーにおける研究開発は、ディビジョンラボであるセメント研究所を中心とし、テーマを中央研究所と共同または分担する効率的体制で実施しております。また、研究開発に当たっては各事業所との連携により成果の早期移管を実現するとともに、他事業部との連携や、関係会社、大学等との共同研究を推進しております。研究開発の主な内容は次のとおりであります。

・セメント工場の安定操業及び廃棄物・副産物の処理拡大に資する技術開発

・セメント製造における原価低減・省エネルギー・CO2削減に資する技術開発

・ニーズに対応したコンクリートおよびその製造技術開発

・コンクリート構造物の維持補修に関する商品開発

 研究開発費の金額は、834百万円であります。

 

(5)その他の事業

 当社のエネルギー事業(那珂エネルギー開発研究所等を含む)においては、エネルギー関連(原子力、地熱等)に関する技術開発を行っており、主な内容は次のとおりであります。

・転換・再転換や再処理等原子燃料サイクルの高度化に係る技術開発

・福島原発事故に伴う廃棄物や放射性廃棄物の処理、処分、リサイクル等の技術開発

・澄川地域の地熱生産井噴気変動メカニズム解析

・地熱抗井内の気液二相流の非定常流れの数値解析

 研究開発費の金額は、358百万円であります。

 また、各セグメントにおける研究開発以外に、技術統括本部開発部では、当社グループにおける事業展開の選択肢を提示し、各セグメントと協力して当社ならではの新製品・新技術・新事業を創造してまいります。その研究開発に取り組む中央研究所では、金属加工、粉体プロセス、成膜・表面、機能化学、分離精製、コンピュータ解析、分析評価といった基盤技術の強化・革新を図り、これらを活用したテーマを推進しています。足許では、各事業のNo.1・オンリーワンに貢献する新製品・新技術をタイムリーに生み出してまいります。中長期的には、事業の柱となる新事業開発を推進し、長期的には夢のある将来技術にも果敢にチャレンジしてまいります。主なテーマは以下のとおりであります。

・熱電発電モジュール用途の銀焼成膜付基板

・アルミワイヤーハーネスのコネクター端子用防食めっき技術

・車載用高輝度LED向けメタルベース基板

・次世代型パワーモジュール向け焼結型接合材料

・次世代自動車向け高耐熱・高絶縁性樹脂の均一電着コーティング技術

・省エネ効果を高めるセメントキルンの高精度温度計測システム

・次世代自動車の耐高電圧・大電流用Cu-Mg系固溶強化型銅合金

・高硬度鋼切削加工用コーテッドCBN材種

 研究開発費の金額は、5,103百万円であります。