1.全社課題
当社グループは、次のとおり、2030年から2050年にかけての中長期的な当社グループの目標である「会社の目指す姿」及び2020年度から2022年度までを対象とした中期経営戦略(以下「22中経」といいます。)を策定しており、これらに基づき、企業価値の向上に向けた諸施策を実施してまいります。
なお、当社は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行による事業環境の変化や中長期的な業績見通しへの影響を含む事業環境や業績の動向を踏まえ、2021年5月14日付で、財務計画を中心に22中経の内容の一部見直しを行っており、本項では、見直し後の内容を基に記載しております。
(1) 会社の目指す姿
当社グループは、「人と社会と地球のために」という企業理念のもと、「ユニークな技術により、人と社会と地球のために新たなマテリアルを創造し、持続可能な社会に貢献するリーディングカンパニー」をビジョンとしております。
22中経の策定にあたっては、「社会的価値と経済的価値の両立を図る」という観点から、当社グループの企業理念、ビジョンの実現に向けた2030年から2050年にかけての中長期的な当社グループの目標として、以下のとおり、新たに「会社の目指す姿」を策定いたしました。
・銅を中心とした非鉄金属素材及び付加価値の高い機能材料・製品の提供を通じて豊かな社会の構築に貢献する。
・リサイクル可能な製品の提供、高度なリサイクル技術による廃棄物の再資源化を通じて循環型社会の構築に貢献する。
・地熱等再生可能エネルギーの開発・利用促進、環境負荷低減を考慮したものづくりの徹底により脱炭素社会の構築に貢献する。
(2) 価値創造の姿(価値創造プロセス)の全体像
当社グループは、「社会的価値と経済的価値の両立を図る」という考え方を基軸とし、社会課題の解決による社会的価値の創造を、当社グループの事業を通じて行うことで、経済的価値の創造を実現してまいります。このような観点から、ステークホルダーに伝えるべき情報(経営理念やビジネスモデル、戦略、ガバナンス等)を体系的・統合的に整理し、次のとおり〔価値創造プロセス〕としてまとめております。
〔価値創造プロセス〕
左側に、当社グループとして解決する社会課題と関連するSDGs(a・b)、及び当社グループとして認識している重要課題(c)を挙げ、中心のピンク色の円は、当社グループの事業活動そのものを表しています。中心の円の左側にある4項目は、これまで培ってきた当社グループの強み(d)を示しています。こうした強みを投入し、中央上部にある全社方針(e)のもと、それぞれの事業の長期目標・長期戦略(f)、或いは中期経営戦略(g)を支えにして、右側にある「アウトプット」につなげてまいります。「アウトプット」は、こうした事業活動を通して、当社グループが生み出し、社会に提供していく製品・サービスであり、それが、当社グループの提供する価値につながり、更に、会社の目指す姿につながっていくという、当社グループの価値創造の姿全体を示しています。
なお、(a)~(g)の個別要素の詳細については、後掲(3)、(5)のとおりです。
(3) 価値創造プロセスの個別要素
<当社グループが解決する社会課題(a)>
解決すべき社会課題は非常に幅広く、様々な提案がなされております。そのなかで、当社グループの事業と関連が深く、解決に貢献し得る社会課題として、以下を選定いたしました。
・モビリティの高度化
・デジタルデバイスの高度化・多様化
・生産・業務プロセス自動化
・人・建造物の長寿命化
・災害に対する有効な対策
・都市廃棄物の効率的処理
・鉱物資源の効率的な活用と代替物質
・エネルギー資源の効率的な活用
・再生可能エネルギー・未活用エネルギー開発
・CO2排出量削減
<SDGs(b)>
2015年9月に国際連合が採択した、SDGs(Sustainable Development Goals)も、解決すべき社会課題と捉えることができます。当社グループの事業を通じて貢献し得る主な項目として、7、8、9、11、12、13を選定いたしました。
・1 (貧困)貧困をなくそう
・2 (飢餓)飢餓をゼロに
・3 (保健)すべての人に健康と福祉を
・4 (教育)質の高い教育をみんなに
・5 (ジェンダー)ジェンダー平等を実現しよう
・6 (水・衛生)安全な水とトイレを世界中に
・7 (エネルギー)エネルギーをみんなにそしてクリーンに
・8 (成長・雇用)働きがいも経済成長も
・9 (イノベーション)産業と技術革新の基盤をつくろう
・10 (不平等)人や国の不平等をなくそう
・11 (都市)住み続けられるまちづくりを
・12 (生産・消費)つくる責任、つかう責任
・13 (気候変動)気候変動に具体的な対策を
・14 (海洋資源)海の豊かさを守ろう
・15 (陸上資源)陸の豊かさも守ろう
・16 (平和)平和と公正をすべての人に
・17 (実施手段)パートナーシップで目標を達成しよう
<重要課題(c)>
当社グループでは、当社グループが解決すべき社会課題及び関連するSDGsを、ステークホルダー(株主・投資家、従業員、取引先、債権者、地域社会等)と当社グループの双方にとって重要度の高い4つの課題としてまとめ、これに、当社グループの経営基盤・基軸強化にとっての課題を併せて、重要課題としております。
<社会的課題>
・素材・製品の安定供給
・循環型社会の実現
・気候変動への対応
・環境保全と環境技術
<経営基盤・基軸強化>
・労働安全衛生
・ガバナンス
・多様な人材の育成と活用
・バリューチェーンにおける責任
・ステークホルダーコミュニケーション
・デジタルトランスフォーメーション(DX)
<投入する強み(d)>
・高度なリサイクル技術と事業基盤
金属、環境リサイクル事業を中心に蓄積した、多様で高度なリサイクル技術と、幅広い事業経験、独自の廃棄物収集ネットワーク・事業基盤により、リサイクル事業を推進することができます。
・原料から製品までの価値連鎖と安定供給能力
原料資源の安定調達から製品までの一貫した製造体制により、良質な製品を安定的に市場に供給することができます。
・独自の素材開発・製造技術力
無酸素銅及び銅合金(銅加工事業)、異種材料接合(電子材料事業)、超硬原料、コーティング(加工事業)に代表されるように、原子レベルでの分析力・シミュレーション技術に裏付けられた素材開発・製造技術力は、当社の競争力の源泉です。
・課題解決に向け結束できるチーム
多様な個性と価値観を尊重し、誠実さを重んずることで、課題解決に向けて、個人の力を結束して取り組むことができます。
<全社方針(e)>
・事業ポートフォリオの最適化
当社がオーナーシップを取るべき事業を、ビジョン・会社の目指す姿と整合性のある事業、自社としてガバナンスできる事業、世界または特定の地域でリーダーの地位を得られる事業、及び中長期的に資本コストを上回るリターンを継続できる事業として集中を図り、その上で、収益性と成長性の2つの軸で事業ポートフォリオを構築し、各事業の方向性を定め、ポートフォリオの最適化を目指してまいります。
・事業競争力の徹底追求
ものづくり戦略、品質管理戦略、デジタル化戦略により、事業競争力の徹底追求を図ってまいります。ものづくり戦略では、それぞれの製造拠点が、事業戦略に基づくビジョンを描き、生産プロセス高度化等により、ものづくり力別格化の実現を目指します。品質管理戦略では、製品・工程設計、設備保全計画の最適化により、規格外品を発生させない、「攻めの品質」を目指してまいります。デジタル化戦略では、「三菱マテリアル デジタル・ビジネストランスフォーメーション(MMDX)」として、顧客接点の強化やデータの共有等を進め、ビジネス付加価値、オペレーション競争力等を向上させてまいります。2020年度から2025年度までの6年間で400億円超を投資するとともに、100人規模のデジタル専門人材を投入する計画としております。
・新製品・新事業の創出
将来の収益基盤となる新しいビジネス創出のため、当社グループが捉えるべき重要な社会のニーズを「次世代自動車」、「IoT・AI」、「都市鉱山」及び「クリーンエネルギー・脱炭素化」とし、持続可能性の核となる新製品・新事業を創出・育成してまいります。
(4) 22中経の財務計画
・財務指標及び目標
22中経では、中長期的な収益性と成長性を重視し、事業毎に収益性は主にROIC、成長性はEBITDA成長率等で評価いたします。プロセス型事業ではROAを補完的に採用し、全社の財務指標には、ROIC・ROE・ROAを併用いたします。22中経期間最終年度である2022年度の全社の財務目標は、ROIC 4.0%、ROA 2.0%、ROE 6.0%、連結営業利益290億円、連結経常利益380億円、ネットD/Eレシオ1.0倍以下といたします。
・投資方針
22中経期間の投資総額は、成長戦略投資が1,950億円、維持更新投資が1,600億円の合計3,550億円を見込んでおり、営業キャッシュ・フロー、事業再編及び資産売却収入を源泉として投資を実行いたします。新型コロナウイルス感染症の影響により、営業キャッシュ・フローが減少する見通しの中、需要拡大が想定より遅れる事業への22中経期間中の成長投資は絞り、高水準な銅価により好収益が期待できる鉱山投資及びM&Aに係る投資は積極的に実行いたします。加えて、老朽化設備のトラブルによる機会損失の極小化のための更新投資も確実に行うことにより、収益力の基盤を確保し、将来の成長に繋げてまいります。
・株主還元方針
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要目的の一つとして認識し、安定的かつ継続的に実施していくことを基本方針としながら、期間収益、内部留保、財務体質等の経営全般にわたる諸要素を総合的に判断の上、決定する方針としております。配当の額については、全社方針として掲げる「事業ポートフォリオの最適化」、「事業競争力の徹底追求」、「新製品・新事業の創出」に向けた投資等に必要な資金、先行きの業績見通し、連結及び単独の財務体質等を勘案して判断いたします。自己株式取得については、機動的な追加的株主還元として実施し、資本効率の向上を図ってまいります。
なお、22中経期間中の配当金額については、1株当たり年間80円とする方針としておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により同期間中の営業キャッシュ・フローや資産売却等の特殊要因調整後の純利益が当初の予想を大きく下回る見通しであります。このような状況のもと、配当については安定性・継続性を重視し、安定的に創出可能と判断した営業キャッシュ・フローの水準に基づき、22中経期間中の年間配当金額の下限を1株当たり50円に変更いたしました。その上で、資産の売却等を加速させ自己株式取得や追加配当等の機動的な資金配分を行うことにより、22中経期間中において当初見込んでいた配当総額並みの株主還元の実施を目指してまいります。
・政策保有株式
当社は、事業戦略上必要である場合を除き、純投資目的以外の株式(政策保有株式)を取得・保有しない方針といたします。
(5) 各事業における長期目標・長期戦略(f)/22中期経営戦略(g)
●高機能製品
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長期目標 |
グローバル・ファースト・サプライヤー |
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長期戦略 |
・コアコンピタンス(無酸素銅・合金の開発及び製造技術、機能材料開発、接合技術等)を磨き、組合せ、新製品・新事業を創出 ・マーケット起点で、勝ちパターンを追求 |
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22中経戦略の 具体的施策 |
・事業部間を横断したキーアカウント責任者の設置 ・AI・IoTの活用による情報分析(デジタルマーケティング等) ・製品ロードマップの顧客との共有(共創力) ・中央研究所(現イノベーションセンター)との連携による製品開発 ・ものづくり力の強化(量産技術、生産効率の向上等) ・M&A、アライアンスの検討 |
●加工事業
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長期目標 |
戦略市場でのトップ3サプライヤー |
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長期戦略 |
・クリーンなものづくりの推進 ・先端技術を活用した高効率製品の提供 ・高機能粉末事業の展開 |
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22中経戦略の 具体的施策 |
・超硬リサイクルの拡大と再生可能エネルギーの活用 ・高効率工具とデジタルソリューションの提供 ・スマートファクトリー化と物流・供給の効率化 ・電池市場向け高機能粉末事業の拡大 |
●金属事業
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長期目標 |
環境親和型製錬ビジネスのリーダー |
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長期戦略 |
銅を中心とした非鉄金属の安定供給と循環 ・クリーンな銅精鉱とE-Scrapからなる持続可能な原料ポートフォリオの形成 ・リサイクルの推進 ・気候変動への対応 |
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22中経戦略の 具体的施策 |
・新規鉱山投資によるクリーンな銅精鉱の確保 ・銅精鉱中不純物除去技術の開発 ・有価金属マテリアルフロー最適化 ・化石燃料の削減 |
●環境・エネルギー事業
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長期目標 |
(環境リサイクル)資源循環システムの牽引者 (再生可能エネルギー)地熱開発のリーディングカンパニー |
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長期戦略 |
・トレーサビリティの徹底等による安心できるリサイクルシステムの提供 ・再生可能エネルギー事業の拡大による脱炭素化 |
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22中経戦略の 具体的施策 |
・家電リサイクル事業の拡大、自動化推進、回収物高付加価値化 ・リチウムイオン電池リサイクル技術の実証、太陽光パネルリサイクル技術の実証 ・焼却飛灰リサイクル事業とバイオガス化事業の安定操業 ・小又川新水力発電所の完成、安比地熱発電所建設、新規地熱地域の調査、新規小水力の調査 |
●コーポレート戦略
22中経における、各事業戦略をサポートするための主なコーポレート戦略は以下のとおりです。
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研究開発・ マーケティング戦略 |
メガトレンド等の外部環境変化を注視しつつ、22中経では、IoT・AI、次世代自動車、都市鉱山、クリーンエネルギー・脱炭素化の分野を中心に、当社グループの有する機能複合化技術、材料複合化技術、基盤・量産化技術、リサイクル技術等をベースに、顧客ニーズに即した高付加価値な製品・サービスを創出 |
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ものづくり戦略 |
事業戦略に基づく工場ビジョン策定と実現、生産プロセス高度化及び外部の知見の積極的な活用により、ものづくり力別格化を実現 |
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品質管理戦略 |
製品・工程設計、設備保全計画の最適化により、規格外品を発生させない、「攻めの品質」を実施 |
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デジタル化戦略 |
DXにより、ビジネス付加価値向上とオペレーション競争力向上、経営スピード向上の3本柱を推進。2020年度から2025年度までの6年間で400億円超を投資するとともに、100人規模のデジタル専門人材を投入 |
●ガバナンス
22中経における、当社グループのガバナンスに対する主要施策は以下のとおりです。
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コーポレート・ ガバナンスの強化 |
2019年6月に指名委員会等設置会社へ移行したことに加え、以下の施策の取り組み ・取締役会の継続的改善 ・コーポレート・ガバナンス基本方針制定(2020年4月1日付) ・CEOの選解任・後継者育成計画の立案・実行 ・役員報酬制度の見直し ・子会社ガバナンスの充実 |
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グループ ガバナンスの強化 |
親・子会社間、本社・拠点間及び各拠点・各グループ会社内で円滑かつ自律的にコミュニケーションが行われるガバナンスの姿を目指し、以下の施策の取り組み ・グループ会社取締役会の実効性評価と改善 ・グループ会社役員研修 ・ガバナンス監査の充実 ・権限委譲と監督機能強化によるスピーディな意思決定 ・研究開発、ものづくり、人材交流におけるビジネス形態の相違を意識した運営 ・DX推進本部による戦略実行の加速 |
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人事・人材戦略 |
変化に適応する人材の確保・育成と、健全な組織風土の形成 ・(人)人材の確保と育成 ・(組織風土)やる気向上、グループ会社の経営力強化 ・(社会的価値向上)多様な人材活用、健康経営の取り組み |
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組織変更 |
(事業部門) ・環境・エネルギー事業のカンパニー化 (コーポレート部門) ・マーケティング担当部署新設 ・コーポレートコミュニケーション担当部署新設 (全社横断組織) ・DX推進本部新設 ・サステナブル経営推進本部新設 |
(6) 目標とする経営指標
当社グループは、中長期的な収益性と成長性を重視し、全社の財務指標にはROIC・ROE・ROAを併用いたします。事業毎には、収益性は主にROIC、成長性はEBITDA成長率等を使用するほか、プロセス型事業ではROAを補完的に使用いたします。
2.事業別課題
今後の世界経済につきましては、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和されるなか、景気の持ち直しの動きが続くことが期待される一方で、ウクライナ情勢の動向、原材料価格の上昇、金融資本市場の変動や新型コロナウイルス感染症の感染再拡大等の影響を受け、景気が下振れする恐れがあります。
今後のわが国経済につきましても、経済社会活動が正常化に向かうなか、景気の持ち直しが続くことが期待される一方で、世界経済と同様の理由から、景気の下振れも懸念されます。
今後の当社グループを取り巻く事業環境につきましては、自動車関連・半導体関連の堅調な需要が継続することが期待される一方で、エネルギー価格の高騰等によるコストの上昇、為替及び金属価格の変動等が当社グループの各事業に影響を与えることが懸念されます。
●高機能製品
高機能製品の主要市場である自動車・半導体関連の需要は、次世代自動車や大容量通信の普及により、中長期的に増加することが期待されます。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に端を発した世界的なサプライチェーンの混乱やウクライナ情勢の動向等により、主要顧客の生産活動の低迷等が懸念されることから、経済情勢や市場環境の動向を注視してまいります。
このような状況のもと、銅加工品は、次世代自動車、半導体などの成長市場を中心に高性能な製品を提供してまいりましたが、更なる需要の増加に応えるべく、生産能力を現行から約3割増強させる総額約300億円の設備投資を進めております。今後は、投資計画を着実に実行するとともに、マーケティングや研究開発、販売体制の強化を進め、開発・製造・販売が一体となって高付加価値製品を提供することにより、収益力を強化してまいります。
電子材料は、次世代自動車、半導体などの成長市場を中心に、材料技術により付加価値を高めた製品を提供することで、持続的に成長する高収益事業体となることを目指してまいります。また、多結晶シリコンについては、厳しい事業環境が続くことが見込まれますが、安全・安定操業と品質向上に加え、徹底したコスト削減により収益力を強化してまいります。
更に、気候変動への対応として、銅加工品・電子材料ともに、環境負荷を考慮したものづくりを徹底し、温室効果ガスの排出削減に努めてまいります。
●加工事業
超硬製品の市場環境は、各国における経済活動の再開や経済対策等により、緩やかな回復基調にあるものの、半導体不足による自動車や工作機械の減産、主原料であるタングステン価格や物流コストの高騰、新型コロナウイルス感染症の流行に端を発する世界的なサプライチェーンの混乱、ウクライナ情勢の動向等により、顧客の生産活動の低迷や原料調達リスク等が懸念されることから、経済情勢や市場環境の動向を注視してまいります。
このような状況のもと、戦略市場として位置付けている自動車、航空宇宙、医療、金型の各市場への営業活動強化に取り組むとともに、デジタルトランスフォーメーションの各施策を確実に実行することにより、デジタル技術を活用したソリューション提案力の強化に取り組んでまいります。
原料調達については、引き続き、タングステンリサイクル量の増加に取り組むことに加えて、マサン・ハイテック・マテリアルズ社との提携等、原料調達ソースの多様化を進めることにより、調達リスク及び調達コストの低減を図るとともに、鉱物資源の効率的活用による循環型社会の構築に貢献してまいります。
更に、気候変動への対応として、温室効果ガスの排出削減に向け、省エネを推進するとともに、2030年度までに、使用する電力の全てを実質的な再生可能エネルギーとするべく取り組みを進めてまいります。
これらにより、循環型社会や脱炭素社会の構築に貢献し、トップ3サプライヤーとなることを目指してまいります。
●金属事業
主要製品である銅地金は、中長期的には電気自動車の普及や脱炭素化向け投資等に下支えされた底堅い需要が見込まれます。また、主要原料である銅精鉱の調達は、中国における製錬能力の拡大ペースの鈍化と、複数の新規大型鉱山の生産開始・拡張の影響に加えて、稼働中の鉱山においても増産が予定されていることから、需給バランスは緩和に向かうことが期待されます。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の流行に端を発する世界的なサプライチェーンの混乱、南米地域における地政学リスクの高まりやウクライナ情勢等が需給バランスや相場に大きな影響を与える懸念があることから、今後の動向を注視してまいります。
このような状況のもと、資源事業部門では、カッパーマウンテン銅鉱山の操業最適化や新規案件の開拓に取り組み、不純物の少ないクリーンな銅精鉱を製錬所へ安定的に供給することで事業の基盤を支えます。2022年度は従来のプロジェクトに加え、マントベルデ銅鉱山の拡張プロジェクトの推進、サフラナル銅鉱山の環境許認可取得を目指すほか、鉱業技術研究所における銅精鉱中の不純物の除去等に向けた研究にも引き続き注力してまいります。また、2021年2月にチリに新設した子会社を通じて、南米地域における情報収集力を強化し、鉱山投資事業の効率化を図ります。
製錬事業部門では、世界トップクラスのE-Scrap処理能力を最大限活かすべく、プロセス改善によりE-Scrapに含まれる有価金属を効率よく回収し再資源化するためのマテリアルフローを2022年度中に構築するべく取り組むことなどにより、循環型社会の構築に貢献してまいります。また、気候変動への対応として、当社独自の三菱プロセスの環境的優位性を最大限に活かしつつ、化石燃料の削減やエネルギー変換効率・使用効率の向上、再生可能エネルギーの活用等により、脱炭素社会を見据えた製錬プロセス改革に取り組んでまいります。
●環境・エネルギー事業
環境・エネルギー関連の事業環境は、中長期的な社会課題として、都市型廃棄物の効率的処理やエネルギー資源の効率的な活用、温室効果ガスの排出削減要請といった環境問題への対応を強化することが強く求められております。
このような状況のもと、エネルギー関連は、再生可能エネルギー事業を拡大し、脱炭素社会の構築に貢献してまいります。小又川新水力発電所(2022年12月に運転開始予定)及び安比地熱発電所(2024年4月に運転開始予定)の建設をスケジュール通りに進めるとともに、東北地方を中心に新規の地熱地域及び小水力の調査を進め、新規事業の開拓を目指します。更に、人材育成にも注力するほか、地熱・水力以外の分野への参入や海外展開についても検討を深めてまいります。
環境リサイクル関連は、最終処分場に依拠することのないリサイクル事業の展開に努め、循環型社会の構築に貢献してまいります。家電リサイクル事業については、自動化及びデジタルトランスフォーメーションの推進並びに回収物の高付加価値化等を通じて事業の拡大を図るとともに、太陽光パネルリサイクル技術の実証において、より効率的なリサイクルが可能となるよう技術の改善を進めてまいります。自動車リサイクル事業については、リチウムイオン電池のリサイクル技術の実証をより一層積極的に進めてまいります。また、焼却飛灰リサイクル事業及び食品廃棄物のバイオガス化事業において、自治体との連携をより密にして、集荷量の確保に努めつつ、安定操業に注力してまいります。更に、食品廃棄物のバイオガス化事業については、拠点の拡大についても検討を進めてまいります。
以上の当社グループの総力を結集した諸施策の実施により、価値創造を推進してまいる所存であります。
1.重大リスクの選定プロセス
当社グループでは、経営上、事業運営上の重大なリスクを、階層ごと(経営層、本社管理部門、本社事業部門、事業拠点)に毎期網羅的に洗い出し評価したうえで、最終的には戦略経営会議において社会情勢や経営環境及びグループの経営課題等を踏まえ、対処すべき優先順位付けと対応方針を決定しています。(図1参照)
2.当社グループのリスクマネジメント体制及び運用状況
特定した重大リスクと対応方針は各拠点に展開され、拠点では実施計画を策定のうえリスク低減活動を行っています。実施計画は半期ごとのガバナンス審議会において確認、見直し等がなされ、また拠点の活動状況については四半期ごとにレビューし、結果はサステナブル経営推進本部、戦略経営会議、及び取締役会に報告され、リスクの状態を経営レベルでモニタリングしています。
なお、重大リスクはその属性に応じてグループ全体で優先的に取り組むもの、事業部門内で重点的に取り組むもの、及び事業拠点が単独で取り組むものに分類することにより、各階層が担うべき役割(方針・計画の策定、実行、支援、モニタリング)を明確にしています。特に本社の事業部門は、事業拠点で確実に対策が実行されるよう、事業拠点と定期的にリスクに関するコミュニケーションを図り、実施状況や課題を共有し必要な支援を協議のうえ実施しています。
また、事業拠点のリスク情報は監査部にて共有し内部監査に活用するとともに、監査で認識されたリスク情報は事業活動に反映しています。(図2参照)
新型コロナウイルス感染症については、2020年1月に危機管理担当役員を本部長とする対策本部を本社に設置し、国内外の感染状況に応じたグループとしての対応指針を策定し周知、実行するとともに、事業継続計画の見直し等を実施しています。
図1:重大リスクの選定プロセス
図2:リスクマネジメント体制
3.事業等のリスク
経営者が当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
今般のウクライナ危機やそれに伴う諸外国によるロシアへの経済制裁等により、国際関係は不安定な状況が続き先行きは不透明になっております。主要リスクのうち、特に「(1)国際情勢、海外経済情勢」「(2)市場動向」「(3)原材料・ユーティリティ価格の変動」「(4)調達品」への影響は懸念され、また価格の上昇等一部は発生しておりリスクは現実化しつつあり、今後の状況次第では当社グループの業績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。これら当社グループの管理が及ばない事象による影響のリスクに対しては、従来からのリスク低減回避策を更に徹底していくとともに、常に情勢を注視・モニタリングしていくことにより、変化に対し迅速な対応を行うよう努めてまいります。
なお、以下の内容は、当社グループの全てのリスクを網羅するものではありません。本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2022年6月28日現在において判断したものです。
(1)国際情勢、海外経済情勢 (発生可能性:高、影響度:大)
当社グループは、海外31の国・地域に生産及び販売拠点等を有し、海外事業は当社グループの事業成長の重要な基盤と位置付けています。グローバルな事業展開に関するリスクとして、各国・地域の政情不安、経済情勢、予期しない政策や規制の変更、また取引先の事業戦略や商品展開の変更等が想定され、当社グループの事業活動に支障が生じ、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、これらのリスクは常に潜在的に存在していると判断しています。
このため、定期的に事業の状況をモニタリングし、国際情勢、海外経済情勢の変化等によるリスクを踏まえたうえで事業戦略、海外投資等の見直しを行うとともに、現地拠点からの情報共有や各事業間の連携により、これら情勢の変化に適切に対応しています。また、海外における法的規制等個別のカントリーリスクに関する情報収集とグループ内の共有、周知に努めています。
特に、金属事業においては、銅生産国における国家や地方政府による資源事業への介入、銅精鉱の世界的な需給バランスの変動、銅精鉱の品位低下等、当社グループの管理が及ばない事象による影響を受けるリスクがあります。
これらに対しましては、持続可能な原料ポートフォリオの形成の一環として、銅精鉱買鉱先の国・地域の分散、効果的な優良鉱山プロジェクトへの投資を推進しつつ、一方でE-Scrap(各種電子機器類の廃基板)をはじめとするリサイクル原料を積極的に利用することで、原料を安定的に確保してまいります。
(2)市場動向 (発生可能性:中、影響度:大)
当社グループは、様々な業界に対し、製品及びサービスを提供していますが、世界経済情勢の変化や顧客の市場の急速な変化と顧客の市場占有率の変化、顧客の事業戦略または商品展開の変更等、市場・顧客動向は常に変動し、以下に述べるリスクの発生時期は様々であると想定していますが、常に潜在的に存在していると判断しています。
自動車業界は電動化による内燃機関の減少、CASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)やMaaS(Mobility as a Service)による構造変化が想定され、生活様式や社会の変化によるモビリティに関するニーズが変化することにより、切削工具等の製品の需要減少が生じることが想定されます。このような業界と顧客市場の変化に的確に対応できない場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、自動車部品の変化による新たな需要の獲得を目指すとともに、医療など新たな産業を視野に入れた市場開拓を目指し、ソリューションなど新たな価値の提供によりシェアの維持・拡大を目指します。また、電動化が進展しても需要が継続する足回り部品の製造に使用される切削工具需要への拡販を目指し、新たな加工方法や新素材に対応した切削技術による市場展開等に取り組んでいます。
また、当社グループは、半導体業界向けに電子材料、多結晶シリコン等を供給しており、半導体市況の動向が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このため、特徴のある高品質な製品提供による重要顧客との信頼関係強化、高付加価値な製品の開発等によるシェア拡大等を検討しています。
セメントの国内需要は、1990年度の86,286千tをピークに、長期に亘り縮小傾向が続き、現在の国内需要はピーク時の半分以下となっています。社会に不可欠な素材であり中長期的にも一定規模以上の需要が確保される見込みでありますが、需要減少が加速すると当社グループの収益が悪化し、事業継続が困難になる可能性があります。このため、2022年4月1日付で実施しました宇部興産株式会社(現UBE株式会社)との事業統合(UBE三菱セメント株式会社への事業承継)によって生産・物流・販売機能の合理化効果を創出し、国内事業の再編と生産体制の最適化を図る、また海外では今後の成長が期待できる地域での事業拡大・新規開拓を目指します。
(3)原材料・ユーティリティ価格の変動 (発生可能性:高、影響度:大)
1)原材料価格
金属事業、加工事業等の非鉄金属原材料、セメント事業の石炭等の調達価格は、国際商品相場、為替相場、及び海上運賃等の変動の影響を受けます。これら原材料価格等の高騰等により調達価格が上昇した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。国際商品相場、及び為替相場等の大きな変動は過去にも発生し、今後も数年に一度程度の頻度で発生する可能性があると想定しています。
このため、加工事業のタングステン原料等の非鉄金属原材料に関しては、その調達先を拡大する、リサイクル原料の使用比率を高める等に取り組む他、その他事業においても原材料調達ルートの複線化、安定的な調達先の確保等を通じ、原材料価格への影響の最小化に努めます。
2)ユーティリティ価格
原油や天然ガス等の輸入化石燃料費の増加、エネルギー価格の高騰、再生可能エネルギー賦課金の増加等による電気料金の値上げ等が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。近年、エネルギー情勢は大きく変動し、常に対応できる体制を整えるべきリスクと判断しています。
このため、省エネ設備の導入や自家消費型太陽光発電システムの導入を進めることで購入電力量の削減を図る等を推進しています。
(4)調達品 (発生可能性:中、影響度:大)
当社グループの生産活動における資材、部品その他の部材調達に関し、需要の急拡大による供給量の制限や品質不良による調達量不足や原料・熱エネルギー源となる資源の枯渇、ユーティリティ会社の設備故障、重要サプライヤーの被災や倒産等により減産が生じた場合、当社グループの生産活動に支障が生じ、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。様々な要因により発生するリスクのため発生時期は明確ではありませんが、常に潜在的に存在し備えるべきリスクと判断しています。
さらに、セメント事業の分野においては、製造工程の省エネに取り組むとともに、現在天然資源の代替として受け入れている廃棄物・副産物の受け入れを拡大し、原料及び資源等の枯渇の防止に努めています。
(5)気候変動 (発生可能性:高、影響度:大)
気候変動に対する政策及び法規制が強化され炭素価格制度が導入、強化された場合など、温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)排出量に応じたコストが発生することにより当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、脱炭素社会移行への要求の高まりに対して当社グループの対応が遅れた場合には、販売機会の損失等による企業価値低下が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。気候変動に関しては、全世界的にカーボンニュートラルの動きが高まっており、我が国においても2050年のカーボンニュートラルへの取り組みが宣言される中、近い将来に想定される規制強化に向けた迅速な対応が必要であると判断しています。
このため、2030年度に向けたGHG削減目標を見直し、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの使用を拡大することにより、当社グループの事業活動により排出されるGHGの削減に取り組んでいます。また、当社グループ製品の市場競争力を向上するため、製造プロセスの改善や環境配慮型製品の開発、CO2回収・有効利用・貯留(CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)など環境負荷を低減する技術開発を推進しています。
一方、気候変動に関する政策等の強化により、省エネ・GHG排出削減に貢献する技術や製品・サービスの需要が拡大することが予想され、ビジネス機会が増大すると想定しています。当社グループでは、脱炭素化に貢献する素材・製品・技術の開発、地熱発電等の再生可能エネルギーの開発・利用促進、CO2回収・利用に関する実証試験・技術開発への推進、保有する山林の保全活動等に取り組んでいます。
(6)自然災害・異常気象 (発生可能性:中、影響度:中)
異常気象や自然災害などのリスクは年々増加しており、国内外において多数の事業拠点を有している当社グループは、最新のハザード情報等を元に各種防災対策等に取り組んでいます。しかし、地震、台風、洪水、ゲリラ豪雨等の、想定した水準をはるかに超えた大規模自然災害によって生産設備等が甚大な被害を受ける可能性があり、生産設備の損壊、工場における操業・製品の出荷への影響等から、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
近年頻発する自然災害・異常気象に対応するため、当社グループ内の体制の拡充を推進するほか、BCP(事業継続計画)の整備・見直し、複数拠点による製造可能品目の増強、洪水、高潮、高波対応工事等の各種施策を計画的に実施しています。
なお、自然災害等による危機事態が発生した際に、速やかに従業員の安否や事業拠点の被災状況を把握するために、2019年1月、国内外の全拠点に危機管理システムを導入しました。グループ内で被害情報をリアルタイムに共有することにより、各事業拠点や本社部門が各々の立場での適切かつ迅速な対応を可能にするとともに、本社部門や近隣拠点からも速やかに救援し易い体制を構築しています。
(7)公害及び環境法令違反の発生 (発生可能性:中、影響度:中)
世界的なサスティナブルディベロップメント(持続可能な発展)の実現に向けた動きを背景に、事業活動において公害または環境破壊を発生させた場合の企業に対する法的及び社会的な制裁等はかつてなく重くなっています。
当社グループの事業は、国内外の各事業所において、環境関連法令に基づき、大気、水質、土壌等の汚染防止に努め、また、気候変動、大気汚染、水質汚染、有害物質、廃棄物リサイクル及び土壌・地下水の汚染などに関する種々の環境関連法令及び規制等を遵守し活動しています。しかし、国内外での環境法令の厳格化が進む中、法令改正・環境基準の変更への対応の遅れ、有害物質含有量の基準厳格化、行政指導の変化、選任・届出・報告等への対応の遅れが生じた場合、当社グループの事業活動に支障が生じ、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。発生時期は明確ではありませんが、常に潜在的に存在するリスクと判断しています。
このため、適用される法令の改正情報の共有、研修・教育等の徹底のほか、設備強化も含めリスクの回避・低減・移転をグループ全社で進める等の施策を推進しています。
(8)感染症(新型コロナウイルス) (発生可能性:高、影響度:中)
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大が認められた2020年1月下旬の段階で本社に対策本部を設置し、統一的な対応を開始しています。同対策本部では、世界各地の感染症の流行状況に応じたグループ対応方針と予防対策のガイドライン等を策定し、全事業拠点への周知を図るとともに、従業員の健康状態、国・地域の状況や方針・規制等、事業拠点への影響、サプライチェーンへの影響等の情報を一元的に収集の上、経営層にも共有し、状況の変化に応じて適切かつ迅速に対応するべくモニタリングしています。
これまでのワクチン接種等の感染予防対策の浸透により、国内外の経済、社会活動に一定程度の回復の兆しが見られていますが、新たな変異株の出現による感染の再拡大により市場環境の回復の遅れや当社グループの生産、物流、営業活動等への支障が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、職場における感染予防・拡大防止策の徹底を継続し当社グループの製品・サービス等の提供を途切れさせることがないよう事業運営するとともに、同感染症による事業環境の変化を注視し、その変化の程度や内容によっては、当社グループが取り組むべき社会課題や持続的成長に向けた事業戦略の見直しが必要であると判断しています。
(9)情報セキュリティ (発生可能性:高、影響度:中)
当社グループは、情報セキュリティをリスクマネジメント上の重要課題の一つに位置付けており、特に顧客及び取引先の個人情報については最重要情報資産の一つと認識して、漏えいや滅失、破損のリスク低減に取り組んでいます。重要な情報インフラとネットワークの故障、サイバー攻撃(サイバーテロ)等の不測の事態、また、不正持ち出し、コンピュータシステムの不備や管理不十分、コンピュータウイルスや不正ソフトの関与による個人情報等の漏えいが発生した場合は、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、常に潜在的に存在するリスクと判断しています。
このため、重要な情報インフラとネットワークに関しては、適切な設備投資等を行い、機器の更新や冗長化等を適宜実施しています。更に、セキュリティ対策を効果的に実施していくために、ガバナンス、セキュリティ向上、予兆検知・早期発見、迅速な対処の4領域毎に対策・強化を進めることでリスク低減を図っています。
(10)財務リスク (発生可能性:中、影響度:大)
財務リスクについては、次のリスクを想定しています。いずれも発生時期の予測は困難ですが、常に対応できるよう各種対策を推進しています。
1)有利子負債
2022年3月期において、当社グループの有利子負債は6,087億円(短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債、長期借入金の合計額。注記なき場合は以下同様)、総資産に対する割合は28.6%となっています。棚卸資産圧縮、資産売却等により財務体質改善に努めていますが、今後の金融情勢の変化により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、有利子負債残高及びネットD/Eレシオを適切な水準に維持し、多様な資金調達方法の確保、適時適切な資金調達を実施し、調達コストの低減に努めています。また、グループ各社における余剰資金の一元管理を図るためのキャッシュマネジメントシステムの導入等により、資金効率の向上に努めています。
2)保有資産の時価の変動
当社グループが保有する有価証券、土地、その他資産の時価の変動等が、その業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、有価証券に関しては、定期的に時価や発行体の財務状況等を把握し、発行体との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しています。また、固定資産の減損に関しては、遊休地の売却を進めるとともに、事業用資産については、適宜不動産鑑定を取得するなどし、減損の兆候の有無について確認しています。
3)債務保証
当社グループは、連結会社以外の関連会社等の金銭債務に対して、2022年3月期において48億円の債務保証を引き受けています。将来、これら債務保証の履行を求められる状況が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、関連会社等の経営状態、財政状態を適宜モニタリングし、影響を低減する取り組みを行っています。
4)退職給付費用及び債務
従業員の退職給付費用及び債務は主に数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しています。これらの前提条件は、従業員の平均残存勤務期間や日本国債の長期利回り、更に信託拠出株式を含む年金資産運用状況を勘案したものですが、割引率の低下や年金資産運用によって発生した損失が、将来の当社グループの費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
このため、確定給付型と確定拠出型を組み合わせた退職給付制度の導入や、年金資産の運用において安全性と収益性を考慮した適切な投資配分などを行っています。
(11)人権リスク (発生可能性:中、影響度:中)
当社グループは、国内外に事業拠点を持ち、原材料や資材を調達するサプライヤーも多数の国や地域に及びます。自らの事業またはサプライチェーンにおいて、人権侵害が発生した場合、生産や調達への影響に加え、当社グループの社会的信用・レピュテーションの棄損につながり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。発生時期は明確ではありませんが、常に潜在的に存在し備えるべきリスクと判断しています。
このため、当社グループでは、2021年12月1日「サスティナビリティ基本方針」を制定し、人権尊重は事業活動の基盤となるという考えのもと、国際的に宣言されている人権の原則を尊重することを明確にしました。同時に「人権方針」を制定しリスク低減に向けて取り組みを推進しています。また、「三菱マテリアルグループ調達方針」、「三菱マテリアルCSR調達ガイドライン」に基づき、人権に配慮した調達に努めています。
1.経営成績等の状況の概要
(1) 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、中国や米国において、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響による景気減退からの緩やかな回復が継続したほか、欧州、タイやインドネシアにおいても、景気の持ち直しの動きが見られました。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が残るなか、輸出や鉱工業生産などの持ち直しの動きが続きました。
当社グループを取り巻く事業環境は、金属価格が堅調に推移したことに加えて、半導体関連及び自動車関連の需要も堅調に推移しました。一方で、国内におけるセメント需要の減少がありました。
このような状況のもと、当社グループは、2030年から2050年にかけての中長期的な当社グループの目標である「会社の目指す姿」及び2020年度から2022年度までを対象とした中期経営戦略に基づき、企業価値の向上に向けた諸施策を実施してまいりました。
この結果、当連結会計年度は、連結売上高は1兆8,117億59百万円(前年度比22.0%増)、連結営業利益は527億8百万円(同98.4%増)、連結経常利益は760億80百万円(同70.9%増)となりました。また、当社は、事業再編損失として、251億16百万円の特別損失を、投資有価証券売却益として、346億71百万円の特別利益をそれぞれ計上しました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は450億15百万円(同84.4%増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度の報告セグメントごとの営業利益は、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。
(高機能製品)
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(単位:億円) |
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前期 |
当期 |
増減(増減率) |
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売上高 |
3,571 |
4,859 |
1,288 |
(36.1%) |
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営業利益 |
28 |
147 |
118 |
(408.2%) |
|
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経常利益 |
61 |
169 |
107 |
(173.4%) |
銅加工品は、自動車向け製品を中心に販売が増加したことから、増収増益となりました。
電子材料は、半導体関連製品を中心に販売が増加したものの、「収益認識に関する会計基準」等の適用により売上高が減少しました。この結果、減収増益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は増加しました。経常利益は、営業利益が増加したことから、増加しました。
(加工事業)
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(単位:億円) |
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前期 |
当期 |
増減(増減率) |
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売上高 |
1,193 |
1,326 |
132 |
(11.1%) |
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営業利益又は営業損失(△) |
△11 |
141 |
153 |
(-%) |
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経常利益又は経常損失(△) |
△7 |
145 |
152 |
(-%) |
日本及び海外の主要国において、主要製品である超硬製品の需要が増加したことに加えて、継続的に営業損失を計上していた株式会社ダイヤメット及びその子会社3社が2020年12月に連結範囲から外れた影響等により、増収増益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は増加しました。経常利益は、営業利益が増加したことから、増加しました。
(金属事業)
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|
(単位:億円) |
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前期 |
当期 |
増減(増減率) |
|
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売上高 |
7,282 |
9,971 |
2,688 |
(36.9%) |
|
|
営業利益 |
188 |
252 |
63 |
(33.8%) |
|
|
経常利益 |
329 |
502 |
173 |
(52.5%) |
銅地金は、生産量が前年度に比べて増加したことに加えて、銅価格の上昇等により、増収増益となりました。
金及びその他の金属は、パラジウム価格の上昇があったものの、パラジウムの販売が減少したことなどから、増収減益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は増加しました。経常利益は、営業利益が増加したことに加えて、受取配当金が増加したことから、増加しました。
(セメント事業)
|
|
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|
|
(単位:億円) |
|
|
|
前期 |
当期 |
増減(増減率) |
|
|
|
売上高 |
2,158 |
2,098 |
△60 |
(△2.8%) |
|
|
営業利益 |
66 |
32 |
△33 |
(△50.9%) |
|
|
経常利益 |
61 |
1 |
△60 |
(△98.3%) |
国内では、首都圏における再開発工事の再開等があったものの、東北地区や中国地区における災害復旧工事の需要が減少したほか、「収益認識に関する会計基準」等の適用により売上高が減少しました。また、エネルギーコストの増加がありました。この結果、減収減益となりました。
海外では、米国において、生コンの販売価格が上昇したものの、労働市場における需給逼迫を背景としたドライバー不足により生コン及びセメントの販売数量が減少したほか、輸送コストや電力費等の操業コストが増加しました。また、豪州の石炭事業において、石炭の販売価格が上昇しました。この結果、増収増益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は減少しました。経常利益は、営業利益が減少したことに加えて、持分法による投資利益が減少したことなどから、減少しました。
(環境・エネルギー事業)
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|
(単位:億円) |
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前期 |
当期 |
増減(増減率) |
|
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売上高 |
262 |
178 |
△83 |
(△31.9%) |
|
|
営業利益 |
17 |
22 |
4 |
(25.3%) |
|
|
経常利益 |
31 |
38 |
7 |
(24.8%) |
エネルギー関連は、売上高は前年度並みであったものの、原子力関連において収益性の高い受託業務が増加したことなどから、増益となりました。
環境リサイクルは、有価物の売却単価が上昇したことにより、増収増益となりました。
以上に加えて、株式会社ダイヤコンサルタントが2021年7月に連結範囲から外れた影響等により、前年度に比べて事業全体の売上高は減少したものの、営業利益は増加しました。経常利益は、営業利益が増加したことに加えて、持分法による投資利益が増加したことから、増加しました。
(その他の事業)
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(単位:億円) |
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前期 |
当期 |
増減(増減率) |
|
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売上高 |
2,667 |
2,536 |
△130 |
(△4.9%) |
|
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営業利益 |
88 |
73 |
△14 |
(△16.9%) |
|
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経常利益 |
93 |
65 |
△28 |
(△30.1%) |
飲料用アルミ缶は、ボトル缶の販売が増加したものの、通常缶の販売の減少や原材料コストの増加により、減収減益となりました。
アルミ圧延・加工品は、自動車向け製品を中心に販売が増加したことに加えて、コスト削減効果等があったものの、「収益認識に関する会計基準」等の適用により売上高が減少しました。この結果、減収増益となりました。
飲料用アルミ缶及びアルミ圧延・加工品以外の事業は、合算で減収増益となりました。
以上により、前年度に比べてその他の事業全体の売上高及び営業利益は減少しました。経常利益は、営業利益が減少したことから、減少しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、業績が堅調に推移したものの、仕入債務の増加や棚卸資産の増加等により、68億円の収入(前期比715億円の収入減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資、投資有価証券の売却等により、32億円の支出(前期比985億円の支出減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により50億円の支出(前期は415億円の収入)となりました。
以上により、換算差額等による増減を加えた結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、1,536億円(前期末比61億円の増加)となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
「(1) 経営成績」において、各事業のセグメント情報に関連付けて記載しております。
2.経営者の視点による財政状態、経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2022年6月28日)現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績及び財政状態の分析
① 経営成績
当連結会計年度における経営成績の概況については、「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
② 財政状態
当連結会計年度末の総資産残高は、前期末比 894億円(4.4%)増加し、2兆1,250億円となりました。流動資産は、貸付け金地金の増加等により、前期末比 1,990億円(19.1%)増加の 1兆2,389億円となりました。固定資産は、投資有価証券の減少等により、前期末比 1,095億円(11.0%)減少の 8,860億円となりました。
負債残高は、前期末比 481億円(3.4%)増加し、1兆4,692億円となりました。流動負債は、預り金地金の増加等により、前期末比 678億円(7.9%)増加の 9,266億円となりました。固定負債は、長期借入金の減少等により、前期末比 197億円(3.5%)減少の 5,425億円となりました。なお、借入金に社債、コマーシャル・ペーパーを加えた有利子負債残高については、前期末比 207億円(3.3%)減少の 6,087億円となりました。
純資産残高は、利益剰余金の増加等により、前期末比 413億円(6.7%)増加の 6,557億円となりました。
この結果、連結ベースの自己資本比率は、前期末の26.8%から27.5%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は 4,173.14円から 4,476.52円に増加しました。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(3) 事業戦略と見通し
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び流動性の管理方針
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、内部資金、銀行借入、社債発行等により資金調達を行っております。また、キャッシュマネージメントシステムの導入等によるグループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上に努めております。
当社グループの資金の状況については、「1.経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(5) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、収益力、有利子負債等グループの財政状況を認識し、現在の事業規模及び入手可能な情報に基づき経営資源の最も効率的な運用を行い、企業価値を最大限に高めるべく努めております。
(6) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しておりますが、その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用等、開示に影響を与える判断と見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
特に次の会計方針が連結財務諸表作成における見積りの判断に大きな影響を及ぼす事項であると考えております。
① 貸倒引当金、関係会社事業損失引当金の計上
当社グループの保有する債権または関係会社への投資に係る損失が見込まれる場合、その損失に充てる必要額を見積もり、引当金を計上しておりますが、将来、債務者や被出資者の財務状況が悪化した場合、引当金の追加計上等による損失が発生する可能性があります。
② 有価証券の減損処理
当社グループの保有する株式については、市場価格のない株式等以外のもの、市場価格のない株式等ともに、合理的な判断基準を設定の上、減損処理の要否を検討しております。従って、将来、保有する株式の時価や投資先の財務状況が悪化した場合には、有価証券評価損を計上する可能性があります。なお、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目につきましては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
③ のれんを含む固定資産の減損処理
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 2002年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 2003年10月31日)を適用しております。将来、経済環境の著しい悪化や市場価格の著しい下落等の発生如何によっては、減損損失を計上する可能性があります。なお、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④ 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、課税所得がその見積り額を下回る場合、繰延税金資産が取崩され、税金費用が計上される可能性があります。
なお、当社グループが採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りにつきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
当社は、2020年9月29日開催の取締役会において、2022年4月に当社と宇部興産株式会社(現UBE株式会社)のセメント事業及びその関連事業等の統合を実施すること(以下「本統合」といいます。)を決議し、同日付で同社との間で統合契約書を締結いたしました。これに基づき、2021年5月14日付で本統合のための統合準備会社(現UBE三菱セメント株式会社)との間で吸収分割契約(以下「本吸収分割契約」といいます。)を締結し、2022年4月1日付で当社のセメント事業及びその関連事業等(対象事業に従事する子会社等の株式を含みます。)について、UBE三菱セメント株式会社を承継会社とする吸収分割を行いました。なお、本吸収分割契約は、2021年6月24日開催の第96回定時株主総会において承認されております。
詳細は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
当社は、当社の連結子会社であるインドネシア・カパー・スメルティング(以下「PTS社」といいます。)について、
・その銅精鉱処理能力を拡張すること(以下「拡張工事」といいます。)
・拡張工事に掛かる諸費用の全額について共同出資先であるPT Freeport Indonesia(以下「PTFI社」といいます。)からPTS社が融資を受け、拡張工事の完工を条件として、当該借入額を簿価純資産方式でPTS社の新株に転換(増資)すること
・PTS社の運営方法について、2023年以降、PTFI社から銅精鉱の製錬を受託する方法(受託製錬)に変更すること
等についてPTFI社と合意し、2021年11月25日開催の取締役会においてPTFI社と関連契約を締結することを決議し、2021年11月30日付でPTFI社との間で関連契約書を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
当社は、2021年11月25日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるユニバーサル製缶株式会社(以下「ユニ缶社」といいます。)及び三菱アルミニウム株式会社(以下「三菱アルミ社」といいます。)について、米国を本拠とするApollo Global Management, Inc.の関連会社が管理するファンドが保有する昭和アルミニウム缶株式会社(以下「昭和アルミ缶社」といいます。)に対し、当社が保有するユニ缶社の全ての株式を譲渡すること及び吸収分割により三菱アルミ社のアルミ圧延・押出事業を承継(以下総称して「本再編」といいます。)させたうえで新会社に分離再編すること等に関する契約(以下「本契約」といいます。)を締結することを決議し、同日付で昭和アルミ缶社との間で本契約を締結し、2022年3月31日に本再編を実行いたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の研究開発活動は、基本的には各事業の基幹となる分野の研究開発を当社単独あるいはグループ会社と連携をとりながら行い、各社固有の事業及びユーザーニーズに応える研究開発についてはそれぞれが単独で行っております。そのうえで、各セグメントと開発部(現戦略本社ものづくり・R&D戦略部)が協力して当社グループの開発の全体最適化を図り、新製品・新事業の創出を推進してまいります。研究開発・マーケティング戦略では、メガトレンド等の外部環境変化を注視しつつ、IoT・AI、次世代自動車、都市鉱山、クリーンエネルギー・脱炭素化のフォーカスする市場分野を中心に、当社グループの有する機能複合化技術、材料複合化技術、基盤・量産化技術、リサイクル技術等をベースに、顧客ニーズに即した高付加価値な製品・サービスを創出してまいります。
なお、研究開発費の総額は、
セグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。
(1)高機能製品
銅加工事業の研究開発は、当社の中央研究所(現イノベーションセンター)及び銅加工事業本部技術部銅加工開発センターを中心として、堺工場や若松製作所、三宝製作所と連携のもと、基盤技術の強化や製造プロセスの改善、新規銅合金の開発等をテーマに研究開発を行っており、主な内容は次のとおりであります。
・端子コネクター用銅合金の開発と量産化
・各種シミュレーション技術の開発と応用(鋳造/加工/組織制御)
・環境調和型新合金の開発と量産化
・ROX素材を生かしたプロセスと商品開発
(※ROX:SCR法により製造される無酸素銅荒引銅線)
電子材料事業の研究開発は、当社の中央研究所(現イノベーションセンター)、三田工場、セラミックス工場、四日市工場、三菱電線工業株式会社、三菱マテリアル電子化成株式会社において機能材料、電子デバイス、多結晶シリコン、シール、化成品各分野の研究開発を行っており、主な内容は次のとおりであります。
・自動車及び次世代自動車向け電子材料部材・部品の開発
・エレクトロニクス向け電子材料部材・部品の開発
・半導体向け電子材料部材・部品の開発
研究開発費の金額は、
(2)加工事業
当社の中央研究所(現イノベーションセンター)、筑波製作所、岐阜製作所、明石製作所、及びグループ会社である日本新金属株式会社、MMCリョウテック株式会社、株式会社MOLDINOを中心に研究開発を行っており、主な内容は次のとおりであります。
・工具材料である超硬合金・サーメット・CBN焼結体の材料開発、工具用硬質皮膜の技術開発
・刃先交換式切削工具、超硬ドリル・エンドミルの設計及び開発
・精密工具、微細加工用工具の開発、IT市場向け超精密耐摩耗工具、鉱山・都市開発工具の開発
・超硬工具の主原料であるタングステンカーバイド粉の開発
・廃超硬工具スクラップからタングステンを回収・分離するリサイクル技術の研究開発
研究開発費の金額は、
(3)金属事業
金属事業の研究開発は、ディビジョンラボである鉱業技術研究所とグループ会社を含む各拠点との緊密な連携が主体となって、より事業の基盤強化となる技術開発を促進・加速させるべく、時間価値を重視して取り組んでおります。クリーンな銅精鉱の安定調達とリサイクルの高収益化とを目指して、資源技術と製錬技術の融合によって環境にやさしいプロセスの研究開発を行っており、主な内容は次のとおりであります。
・鉱山投資案件参画機会拡大のための各種技術開発
・製錬マテリアルフロー最適化のための各種技術開発
・選鉱・製錬プロセス基盤強化のための各種技術開発
研究開発費の金額は、
(4)セメント事業
セメント事業における研究開発は、ディビジョンラボであるセメント研究所を中心とし、テーマを中央研究所(現イノベーションセンター)と共同または分担する効率的体制で実施しております。また、グループ会社である菱光石灰工業株式会社においては石灰事業関連製品・技術に特化した研究開発を実施しております。研究開発に当たっては他事業部との連携や、関係会社、大学等との共同研究を推進しています。
研究開発の主な内容は次のとおりであります。
・セメント工場の安定操業及び廃棄物・副産物の処理高度化・拡大に資する技術開発
・セメント製造における原価低減・省エネルギー・CO2排出量削減に資する技術開発
・ニーズに対応したコンクリート及びその製造技術開発
・セメント関連製品(補修材、速硬材等)に関する商品開発・改良
・自社鉱区に賦存する未利用資源の有効活用に関する技術開発
・石灰及び消石灰に関する新製品・技術開発
研究開発費の金額は、
(5)環境・エネルギー事業
当社の環境・エネルギー事業(那珂エネルギー開発研究所等を含む)においては、環境・エネルギー関連(カーボンリサイクル、地熱等)に関する技術開発を行っており、主な内容は次のとおりであります。
・二酸化炭素の化学的分解による炭素材料製造技術開発
・澄川地熱地域におけるトレーサー試験結果の総合解析と地熱貯留層モデルの精緻化
研究開発費の金額は、
(6)その他の事業
アルミ事業における研究開発は、ユニバーサル製缶株式会社技術開発部並びに三菱アルミニウム株式会社研究開発部を中心に研究開発を行っており、主な内容は次のとおりであります。
・新規形状ボトルの開発
・缶・ボトルの軽量化を中心とした環境負荷軽減となる製品開発
・用途拡大のための内面塗料・塗装の研究開発
・一般缶及びボトル缶用の材料開発
UBC(Used Beverage Cans:使用済み飲料缶)を活用した高成形材
・リチウムイオン電池用アルミ箔の開発
・自動車の軽量化を目的としたアルミ素材の開発
・エアコンなどの熱交換器用アルミ材料の開発
研究開発費の金額は、1,214百万円であります。
また、各セグメントにおける研究開発以外に、開発部(現戦略本社ものづくり・R&D戦略部)は、当社グループの事業競争力強化・新事業創出のため、世界基準の、顧客から信頼される強固な研究開発基盤を構築し、研究開発から量産化(事業化)まで、完結できる組織であります。その研究開発に取り組む中央研究所(現イノベーションセンター)では、金属材料、金属加工、樹脂複合、粉体プロセス、界面接合、成膜・表面、ナノ・機能材料、めっきプロセス、分離精製、コンピュータ解析、分析評価、生産技術開発、先端システム開発、ものづくり改善といった基盤技術の強化・革新を図り、4つのフォーカスする市場分野を中心にテーマを推進しています。主なテーマは以下のとおりであります。
・高強度高耐熱性無酸素銅
・電気電子部品用粘土状高伝熱材料
・耐熱性と柔軟性を併せ持つ金属ゴム材料
・工場から排出される二酸化炭素の回収・利用
・インクジェット印刷用銅ナノ粒子含有インク
研究開発費の金額は、6,164百万円であります。