当社は徳山製造所のインテグレートされた高効率な生産プロセスが競争力の源泉であり、石炭火力発電所に依存したエネルギー多消費型事業が収益を牽引してまいりました。しかし産業構造の変化が加速し、デジタル革命の急進といった社会環境の変化、日本においては少子高齢化による国内需要の減少や健康志向の高まり、また循環型社会実現に向けての環境意識の向上や規制強化が進むことが想定され、これまでの延長線上にない事業の構築・成長によって収益力・競争力を確保していくことが必須であると考えております。
このような事業環境の認識のもと、当社は環境との調和を明確に意識するとともに、消費者が求める価値を私たちの顧客とともに創造する企業になることを掲げ、当社の経営理念を定めた存在意義を「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」に再定義しました。また存在意義に基づいた経営方針として、以下のありたい姿を策定しています。
①マーケティングと研究開発から始める価値創造型企業
②独自の強みを磨き、活かし、新領域に挑み続ける企業
③社員と家族が健康で自分の仕事と会社に誇りを持てる企業
④世界中の地域・社会の人々との繋がりを大切にする企業
中長期的な当社の経営戦略として、2021年2月25日に策定した「中期経営計画2025」において、以下の3項目を重点課題といたしました。
新たな成長事業を「電子」「健康」「環境」と位置づけ、連結売上高比率50%以上を目指します。化成品・セメント事業は効率化を進め、安定的に収益を確保いたします。
当連結会計年度において、「電子」分野では、台湾で電子工業用高純度イソプロピルアルコール製造・販売会社である台塑徳山精密化學股份有限公司の本格稼働を開始し、韓国ではSK Geo Centric Co., Ltd.との合弁であるSTAC Co., Ltd.の工場建設を進めております。さらに、先進技術事業化センター内に、パワー半導体や高出力LED用絶縁放熱基板、半導体製造装置用の部材に用いられる窒化アルミニウムフィラーの量産検討設備を本格稼働させました。同フィラーは従来品より樹脂の熱伝導率を大きく向上させるため、電子デバイスにおける高い放熱効果が期待されます。
「健康」分野では、鹿島工場内に新棟を建設し、歯科充填用コンポジットレジン・CAD/CAM ハイブリッドレジンブロック等の製造能力を強化いたします。製品の混練・充填・包装などの製造能力を従来比約2倍に向上させ、国内外の旺盛な需要への対応を進めてまいります。
「環境」分野では、廃石膏ボードリサイクル事業の国内3番目の拠点として、北海道室蘭市に新工場を建設中です。住宅の壁や天井等の耐火材として広く普及している石膏ボードは、リフォームや解体により廃棄量が年々増加しており、また廃棄処分が難しいことから、リサイクルへの期待が高まっています。当社グループは、この事業を通じて引き続き循環型社会の構築に貢献してまいります。
これら事業ポートフォリオ転換を進める人材確保のため、事業戦略に連動した採用・育成・配置に関する人事施策を実施しています。併せて、DX推進による省人化・省力化を進めています。
2.地球温暖化防止への貢献
世界的な環境意識の高まりを受け、当社は「2050年度カーボンニュートラル達成」を目標として掲げました。その達成のために原燃料の脱炭素化、環境貢献製品の開発・実装及び水素やアンモニアなどの次世代エネルギーの技術開発の加速、事業化を目指します。また、徳山製造所内のプロセス改善に取り組むとともに、国内外のバイオマス燃料の開発・利活用を推進し、2030年度にCO2総排出量を30%削減(2019年度比)することを実現します。
当連結会計年度において、経済産業省・資源エネルギー庁が公募する「非化石エネルギー等導入促進対策費補助金(コンビナートの水素、燃料アンモニア等供給拠点化に向けた支援事業)」へ「周南コンビナートアンモニア供給拠点整備基本検討事業」を4社で共同提案し、補助事業者に採択されました。本事業では、2030年までに周南コンビナートにおける年間100万トン超のカーボンフリーアンモニア供給体制を確立することを目的に、出光興産株式会社徳山事業所の貯蔵施設を周南コンビナートにおけるアンモニアの共通供給拠点として整備し、周南コンビナート各社(需要側)へのアンモニア供給のためのインフラ検討を行います。今後、実装置でのアンモニア燃焼実証等の様々な取り組みを通し、周南地区における国内初のアンモニアサプライチェーンの構築を推進します。
当社は、持続可能な未来を社会とともに築く活動を継続的に行い、社会課題の解決に貢献し、多様なステークホルダーからの信頼を高め、企業価値の向上を目指しています。その実現に向けて、CSR経営に関わる社会的な課題を抽出しマテリアリティ(重要な取り組み課題)として、以下の10項目を特定し各課題の解決に取り組んでいます。
CSR経営の推進においては、トクヤマビジョンを頂点に「トクヤマグループサステナビリティ基本原則」の制定及び「トクヤマグループ行動憲章」を改正し、各種サステナビリティ課題に対する考えを方針として掲げながら、成長の土台となるマテリアリティへの取り組みを強化しています。
その中でも昨年度は、人権尊重をあらゆる事業活動の基本に据え、企業としての人権尊重責任を果たすため、「トクヤマグループ行動憲章」のもと、「トクヤマグループ人権方針」を制定しました。今後は、人権デュー・ディリジェンスの実施や救済・苦情処理のしくみの充実、そしてこれらの情報の開示に取り組んでまいります。
また、「心と体の健康推進」については、従業員とその家族の心と体の健康づくりと働きやすい職場づくりを実現するために、経営トップである社長が健康経営統括責任者を務め、健康経営を推進した結果、昨年に続いて「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定されるとともに、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄2023」(31業種49社)に初めて選定されました。今後も経営トップのコミットメントのもとで、 健康経営の取り組みを進めてまいります。

2025年度の達成目標を以下のとおり変更しました。有形固定資産の減価償却方法について、主として定率法を採用しておりましたが、2024年3月期の期首より定額法に変更します。定額法により取得原価を耐用年数にわたって均等配分することが、経営実態をより正しく反映することになると判断したものです。
なお、当該将来に関する事項については、その作成時点での予想や一定の前提に基づいており、その達成及び将来の業績について保証するものではありません。
「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」という存在意義のもと、様々な社会課題の中から私たちの強みを活かせる領域を「電子」「健康」「環境」に特定し、これら3分野を新たな成長市場と位置づけています。100年超の歴史の中で培った特有技術や価値観を共有する人材、ステークホルダーとの関係といった経営資源を活かしつつ「ありたい姿」に向けた変革を行います。そしてこれらの成長市場に向け、他社にない価値を提供するソリューション型のビジネスを展開していくことで、持続可能な未来の実現に寄与します。この取り組みの流れを価値創造プロセスとして示します
なお、詳細につきましては2023年7月に当社HPへ掲載予定の統合報告書をご参照ください。

文中の将来に対する記載事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。
(1)サステナビリティに関する考え方
「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」という存在意義のもと、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指して、8項目から成る「トクヤマグループ サステナビリティ基本原則」を制定しています。当社グループは事業活動に起因する環境負荷を最小化しながら、社会課題の解決に資する製品の供給を通じて、環境と調和した新しい価値を創造していきます。


① ガバナンス
サステナビリティに関する方針と目標を決定し活動を円滑に進めるため、社長を議長とし全執行役員を委員とする「CSR推進会議」(開催頻度:原則1回/年)が設置されており、適切なコーポレート・ガバナンスの推進及びサステナビリティ課題に関する重要事項を議論しています。本会議で決定した内容は取締役会に報告を行い、当社戦略へと反映させると同時に、取締役会からは監督を受けています。
また、CSR推進会議の中に、CSR担当取締役を委員長とする「リスク・コンプライアンス委員会」(開催頻度:原則2回/年)を設置し、本委員会を中心に内部統制の中核かつ両輪と位置付けているリスクマネジメントとコンプライアンスの推進を図っています。併せて、特に専門性・重要性の高い分野については、リスク・コンプライアンス委員会から分離させた専門委員会(委員長:各担当取締役)を設置しています。

サステナビリティを巡る課題を重要な経営課題であると認識し、「中期経営計画2025」の重点課題の一つとして「CSR経営の推進」を掲げ、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、取り組みを強化しています。
その土台となる姿勢・考え方として掲げた「トクヤマグループ サステナビリティ基本原則」及び「トクヤマグループ行動憲章」に基づき、方針類の体系を下図のように整備し、マテリアリティ(CSR重要課題)への取り組みを進めています。

当社グループでは、企業価値毀損に繋がる、事業の持続性に影響を及ぼす、組織目標の達成を阻害する事象・要因のうち、組織横断的な対応が必要となるものを企業経営にかかるリスクととらえ、確実に対応するためのマネジメントシステムを構築しています。
下図に、リスクの特定プロセスを示します。リスク・コンプライアンス委員会では、社会情勢のモニタリングや各専門委員会との連携を通じ、新たに発現したり影響の度合いが変化したりした事象・要因を抽出します。

それらを影響度(損失金額、マーケットシェアの減少、影響規模など)や発生頻度・蓋然性、脆弱性の観点で定量・定性の両面からリスクの度合いを下図のように可視化・マッピングし、リスクとして識別し優先順位づけをするとともに、対応する専門委員会の決定を行っています。
[重要リスクのマッピング]

各担当役員が委員長となる専門委員会では、管掌するリスクの対応方針(低減、回避、移転、保有)を検討・決定します。決定した方針に基づき、リスクへの施策を立案・実行し定期的なレビューを行うなど、マネジメントシステムに沿った実行管理をしています。
なお、それぞれのリスクの詳細及び対応については、次項の「3 事業等のリスク」で記載します。
[重要リスク一覧(2023年度)]

当社グループは、各種サステナビリティ課題でもあり、当社グループの成長の土台となるマテリアリティへの取り組みを強化することで、社会との信頼関係をより強固なものとすることを目指しています。
各マテリアリティには指標(KPI)と目標などが設定され、それぞれの進捗状況については、サステナビリティに関する方針と目標を決定し活動を推進していくCSR推進会議において定期的にモニタリングされ、取り組みの調整・強化などを図っています。
[マテリアリティ及び指標]
(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)
当社グループは、TCFD提言に賛同し、TCFDのフレームワークに基づいて気候変動に対する検討を重ねております。
① ガバナンス
当社グループでは、気候変動を最も大きな経営リスクの一つに位置づけており、2021年度を初年度とする現中期経営計画では「地球温暖化防止への貢献」を重点課題の一つとして掲げています。
2021年2月にはTCFD提言への賛同を表明し、同年4月には社長直轄組織として「カーボンニュートラル戦略室」を設置、その後2023年4月からは、取り組みが構想段階から実践フェーズへ移行したことに伴い、独立した部門相当となる「カーボンニュートラル戦略本部」とし、その取り組みを加速させております。
a)取締役会の監督
気候変動に係る事項(気候変動に取り組む会社方針や、それらに対応するための中長期戦略の策定や投資案件の選定など)は随時経営会議での審議を経て決議され、取締役会に報告されます。また、その中でも特に重要性が高い案件については経営会議での審議を経て取締役会で決議されます。
b)経営陣の役割
当社グループの気候変動に対する責任者は社長です。環境測定の全体統括や省エネ活動等は環境対策委員会で報告され、気候変動に関する組織横断的な課題についてはサステナビリティ委員会で検討しています。これら専門委員会での検討事項はCSR推進会議にて報告・議論され、決定した内容は必要に応じて取締役会に報告を行い、当社戦略へと反映すると同時に取締役会からは監督を受けています。更に、全執行役員や社外取締役を対象とした気候変動に対する勉強会も2022年度は2回実施し、気候変動に係る最新動向や法制度を確認し、速やかに対応していく準備も行っています。

② 戦略
IEA(国際エネルギー機関)作成のNZE等の移行リスクシナリオ、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のRCP8.5やSSP3-7.0等の物理リスクシナリオを参照し、現時点から2050年までの時間軸で、1.5℃シナリオと4℃シナリオ分析を実施しました。これに基づき中期経営計画2025では、エネルギー多消費型から価値創造型企業へのポートフォリオ転換によって、気候変動のリスクを低減しつつ有望な事業機会の収益化を目指しています。
a)短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会 及び c)組織戦略のレジリエンス
2021年度より気候変動による当社グループのリスクと機会の分析を行っております。2022年度は、それらリスクや機会が当社に及ぼす財務への影響度、発生時期、事業への影響度、優先順位を評価しました。
リスク分析とそれに基づく具体的な対策を定期的に見直すことにより、組織戦略のレジリエンスを高めています。
[気候変動によるリスク(シナリオ分析)]
短期:2025年度 中期:2030年度 長期:2050年度
[気候変動による機会(シナリオ分析)]
短期:2025年度 中期:2030年度 長期:2050年度
b)事業、戦略、財務計画に及ぼす影響
気候変動による機会の分析から、環境領域での新たな「事業機会」の検討についても、より内容を具体化すると共に、時間的範囲、財務への影響度、優先順位を評価しました。
[気候変動による事業機会の検討]
短期:2025年度 中期:2030年度 長期:2050年度
③ リスク管理
a)リスクの特定と評価プロセス、b)リスクマネジメントのプロセス
当該項目の説明につきましては、前述の「(1)サステナビリティに関する考え方 ③ リスク管理」を参照下さい。
c)全社リスクへの統合(“重要リスクの確定プロセス”)
当社グループの「中期経営計画2025」では、社会の潮流が脱炭素へと加速する中、これまで強みとしてきたエネルギー多消費型事業を中心とした事業構造からの脱却が不可欠であると判断しました。
リスク・コンプライアンス委員会では「脱炭素社会への対応」を最も大きなリスクと位置づけ、複数の専門委員会による対応を決定しました。環境に関する法規制は環境対策委員会、製造拠点における高潮などの物理リスクは保安対策委員会、気候変動に対するイニシアチブや外部開示に関するソフトロー対応はサステナビリティ委員会が受け持ち、連携して対応を進めています。
④ 指標と目標
当社グループは、短期を2025年度(中期経営計画2025の設定年度)、中期を2030年度、長期を2050年度ととらえ、指標と目標を定めて管理しています。
a)気候関連の指標
当社グループはこれまで、GHG排出量及び原単位、エネルギー消費原単位を管理してきましたが、中期経営計画2025ではGHG排出量を全社の測定・管理指標に定め、下図のとおり2030年度には2019年度比で30%の削減、2050年度にはカーボンニュートラルを達成することを目標に定めました。また、全執行役員の役員報酬算定時に、当社が定めたマテリアリティのうち関連するものを指標として組み込み、貢献度による評価を行っています。これにより、具体的な役割や責任などを一定の要素として勘案しています。その他、気候変動に関連する重要な目標は下記のとおりです。

・SBT(Science Based Target)認証を目指し検討を開始
2023年3月に認定機関へコミットメントレターを提出、2年後の次期中期経営計画の策定では、SBTに沿った目標に更新すべく、検討を開始しました。
・エネルギーに関する目標
当社グループは、2030年度に燃料起源GHG排出量を2019年度比で50%削減する努力目標を設定しており、自家発電における非化石燃料(バイオマス、アンモニア)への転換を行う計画にしています。バイオマスは2023年度から段階的に混焼率を上げていき、アンモニアは2025年度以降に導入する予定にしており、現在導入に向けての基本設計を実施しています。(資源エネルギー庁『令和5年度石油供給構造高度化事業費補助金(次世代燃料安定供給のためのトランジション促進事業)』)
この取り組みにより、2030年度における再生可能エネルギー(アンモニア燃焼含)の比率は30%を目指しています。
2022年度におけるグループ全体での再生可能エネルギーの比率は約6%でした。
・インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入
GHG排出量削減策を促進するため、2019年度に投資案件の評価基準にICPを導入しました。当初は欧州連合域内排出量取引制度(EU-ETS)取引価格を参考にして、3,700円/t-CO2に設定していましたが、GHG排出量削減の更なる取組強化のため、2022年度に10,000円/t-CO2に引き上げました。これにより短中期的に脱炭素に向けた活動を推進していきます。
b)Scope 1、2、3のGHG排出量
下図は、GHG Scope1、2の排出量の推移を表したグラフです。2022年度は、バイオマス混焼の実証実験や積極的な省エネ活動により、GHG Scope1、2排出量は 2021年度から約3.6%削減できました。


c)目標及びその目標に対するパフォーマンス
当社グループは、エネルギー起源CO2削減を目指すとともに、原料起源CO2削減や環境貢献製品の開発などによりカーボンニュートラルを目指しています。下図は、多方面に向けたアプローチのうち2022年度の取り組みを表しています。
GHG排出量削減を着実に進めることが企業としての責任である一方で、製品が世の中で使われることによるGHG排出量削減も重要な役割であると認識しています。今後、環境貢献製品を拡充していくとともに、更なる革新的技術開発を行っていくことで、世界のカーボンニュートラル達成に貢献していきます。

(3)人的資本の拡充(人材育成、多様化推進に向けた取り組み)
当社グループは、トクヤマのビジョンで掲げた4つの価値観の浸透を図るとともに、一人一人の個性と能力を十分に発揮できるよう人材育成と多様性(ダイバーシティ)の推進を積極的に取り組んでいます。
① ガバナンス
人的資本における重要な施策や戦略の実行に関しては、取締役会の決定・監督のもと進めています。また、重要な制度の改定については、経営会議での決定のもと、取締役会に報告し、取締役会の監督を受けています。管理職の人事異動に関しては、経営会議の承認のもと進めています。その他人的資本・人事に関する会議体を定期的に運営することで、人事施策や人材配置等の適正化及び透明性の確保を図っています。さらに人事施策や人事異動の実施に際しては、予め労使間での協議を行った上で進めています。
[人事に関する報告・決定プロセス・モニタリングの仕組み]
② 戦略
当社グループでは、マテリアリティに「人材育成」、「多様性(ダイバーシティ)と働きがいの重視」を掲げて各種人事施策を推進しています。
[人材育成]
当社では2019年に、従業員に期待するあるべき姿、成長の方向性などを「人事ポリシー」として制定し、人事施策の軸として、また人事制度の改定や運用の際の基本原則として活用しています。現在、グループ会社への「人事ポリシー」の浸透を進めており、それを基幹とした個社の業態に合った人材育成体系の整備を進めています。
当ポリシーに基づき、人材育成体系として「トクヤマGr.人材育成プラットフォーム」を整備し、2022年4月に社内に公開しました。目指す人材像と必要なスキルを職種ごとに整理し、個々のスキルアップはもちろん、将来的なキャリア形成に必要となる能力開発のガイドラインとしても活用できる内容になっています。

また、「中期経営計画2025」に先駆け、2020年に当人事ポリシーに基づき複線コース型の役割資格等級人事制度を導入しています。従業員の働きがいを高めるため、メリハリのついた評価制度のもとで公正な処遇を受けるという、基本に忠実な運用を徹底させるとともに、多様な価値観と働き方に対応しています。また、トクヤマの4つの価値観に対する行動評価が人事評価項目に追加され、トクヤマのビジョンの達成を人事制度面から後押ししています。 2022年度は、「中期経営計画2025」と人事戦略との一層の連動を図るため、「事業部門と協働する人材マネジメント」、「トクヤマに馴化した人材の活性化」、「戦略人材の積極採用・定着・戦力化」を掲げた「人材マネジメント戦略」を策定し、各種施策に取り組んでいます。

[多様性]
a)ダイバーシティの推進
当社グループのダイバーシティ推進活動は、会社の持続的な成長の推進のために、社員がイキイキと活躍できる状態を目指しています。「知」(知識や知恵)の多様性を重視し、職場風土改革を通じて、生産性向上を志向しながら、働きやすさと働きがいを追求しています。
女性の活躍については、女性管理職比率などの目標値を設定し、目標の達成に努めています。
障がい者の雇用については、法定雇用率の充足を目指し、バリアフリー化など職場環境の整備に努めています。加えて、2021年10月には障がい者雇用施設「ゆうゆうてらす」を開設したり、2021年12月には、障がい者の自立支援と地域社会への貢献に向けた農業法人「株式会社トクヤマゆうゆうファーム」を設立したりするなど、新しい取り組みも始めています。
b)ワークライフバランス支援
当社グループでは、ライフスタイルに応じた柔軟な働き方の実現を目指しています。
例えば、当社ではフレックスタイム勤務や在宅勤務を導入しています。仕事と育児の両立支援制度では、短時間勤務、フレックスタイムの弾力運用、育児休暇(有給)、育児休業など、法定を超えて取得することができます。介護休業についても法定を超えての介護休暇の取得が可能な制度となっています。また、育児・介護によりやむなく退職した社員の復職を受け入れる退職者復職登録制度も整えています。
c)健康経営の推進
当社グループは、従業員とその家族の心と体の健康づくりと働きやすい職場づくりを目指しています。この考えに基づき、当社は2020年10月1日に「健康経営宣言」を表明し、その後2021年度、2022年度と「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定されるとともに、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄2023」(31業種49社)に初めて選定されました。
③ リスク管理
会社の事業活動において、多様な人材が集い、一人ひとりが持てる能力と個性を最大限発揮できることが重要です。日本国内においては少子高齢化が進み労働力人口が減少すると見込まれ、人材の流動化が高まる中、採用競争力が低下して計画通りの人材獲得が進まなくなること、社員の離職により組織の総合力が低下することが最大のリスクと考えています。社員に成長の機会を提供し、活躍しやすい環境を整えることで、リスク低減に努めています。
④ 指標及び目標
[人材育成]
人材育成については、「CSR重要課題」の「マテリアリティ」のひとつとして挙げられており、目標となる「2025年度に目指す姿」を達成すべく、指標として「KPI」が設定されています。
[指標・目標・実績](注)1
(注)1 目標及び実績は当社のもの
(注)2 注記の無いものは2022年度の実績
(注)3 2020-2022年度の平均
a)人材のレベルアップ
当社グループでは、変化の激しい時代に対応できるよう人材育成を実施しています。新卒の新入社員導入教育は希望するグループ会社の新入社員も受け入れており、また、選抜型の一部の研修にもグループ会社社員と当社社員とが一緒に受講し、成長の機会を共有しています。当社では下図の人材育成体系図に沿った全従業員に向けた人材育成を実施しています。従業員一人当たりの研修費用は30千円/人以上を目標と設定しており、全体の底上げに繋がる全従業員を対象とした階層別研修、選抜型として次世代の経営を担う人材に向けた研修など、様々な研修を実施しています。さらに、自己啓発支援として、公的資格受験費用補助や通信教育費用補助なども予算化しています(約8百万円/年)。
また、離職率3%以下を維持できるよう、人材育成の観点からも取り組んでまいります。
[人材育成体系図]

b)次世代経営人材の育成
将来会社の発展を担う「経営人材」を早期に育成することを目的として、2018年度から次世代リーダー研修(NBL研修)をスタートさせました。
2021年度から2022年度にかけては20名を対象に研修を実施いたしました。2025年度までに60名の受講を目標としており、2018年度からの受講者累計は37名となっております。
c)事業遂行を支える高度技術者の育成
ⅰ)グローバル人材の育成:
当社グループの事業ポートフォリオ転換及び価値創造型企業となって世界市場を目指すためには人材の育成は不可欠であり、事業遂行に必要なスキルを持ったグローバル人材の育成を目的とした研修を実施しています。
2022年度は33名が研修を受講しました。また、グループ会社を含む若手社員を対象に、新規自己啓発プログラムを開講いたしました。
ⅱ)DXの推進:
当社グループはDX推進を、事業ポートフォリオ転換という大きな変革の実現に向けた重要施策と位置づけ、「トクヤマDX」として取り組んでいます。DX推進によって得られたキャッシュや人材余力などの経営資源を成長事業と定義した3つの領域に投入し、企業価値の向上を図っていきます。今後、全社員を対象としたリテラシー教育をはじめ、役割ごとのスキル向上研修を段階的に進めていきます。
d)キャリアプラン・ジョブスキルに基づく適材配置・ローテーション活性化
当社グループでは「トクヤマGr.人材育成プラットフォーム」にて、従業員個々の能力開発のガイドラインを示すとともに、ローテーションを含めて個々の成長を促し、事業ポートフォリオ転換に向けた適材配置を進めています。
2022年度は育成及び適正配置のための戦略的ローテーションの実行に向け、仕組みづくりを行いました。タレントマネジメントシステムによる人材情報整理などを行い、組織においては、2023年4月より、事業部門と人事グループとの連携を強化すべく、成長部門においてHRBP(Human Resource Business Partner)を設置しました。
e)目標設定とフィードバックの連環による人材育成の定着
メリハリのついた評価制度のもとで公正な処遇を受けるという、基本に忠実な人事制度の運用を徹底させるため、当社では継続的に考課者研修を実施しております。
2022年度は4回の研修において、延べ75名が受講しました。
[多様性]
多様性についても、「多様性(ダイバーシティ)と働きがいの重視」として「CSR重要課題」の「マテリアリティ」に挙げられています。
[指標・目標・実績](注)1
(注)1 目標及び実績は当社のもの
a)ダイバーシティ&インクルージョンの推進
当社グループでは、多様性(ダイバーシティ)と働きがいを重視しています。
当社人事グループに属するDIM推進プロジェクトグループ(ダイバーシティ・インクルーション・マネジメント)は、当社グループ会社社員も含めて構成されており、当社グループ社員の多様性に関する意識向上や多様性推進に向けた各種活動を実施しています。本活動には毎年約150万円を予算化しており、今後も維持する方針です。
b)ワークライフバランスの推進
当社ではワークライフバランス充実に向けた取組として、育児休業の取得率向上、年次有給休暇の取得率の向上を目指しております。
なお、当社はワークライフバランス充実に向けた取り組みが評価され、優良な子育てサポート企業として、2022年7月19日付で厚生労働大臣より「プラチナくるみん認定」を受けました。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載します。ただし、以下に記載した事項が当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載事項以外にも投資家の判断に影響を及ぼす可能性のあるリスクが存在するものと考えられます。リスク選出のプロセスは、前述の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティに関する考え方 ③リスク管理」を参照ください。
なお、記載している事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月26日)現在において判断したものです。
(1)経営成績に関する分析
当期の世界経済は、新型コロナウイルスによる行動制限が緩和されて経済活動の正常化が進む一方、ウクライナ情勢の長期化に伴うエネルギー・鉱物資源等の不足が世界的なインフレを引き起こし、各国において物価安定に向けた金融引き締めを余儀なくされました。
日本経済においては、2022年3月にまん延防止等重点措置が解除され、ウィズコロナの下で個人消費と企業の設備投資が持ち直すことにより緩やかな景気回復の動きが見られました。日本ではデフレ脱却に向けた金融緩和策が維持される中、欧米の相次ぐ利上げを受けて円安が加速し、原燃料を含む輸入製品の価格高騰が企業収益や家計を圧迫しています。
このような経済環境のもと、当社は「中期経営計画2025」の重点施策である「事業ポートフォリオの転換」 「地球温暖化防止への貢献」「CSR経営の推進」に取り組んでまいりました。
業績につきましては、化学品、セメント、半導体関連製品の価格是正等により売上高は増加しましたが、原燃料コストや物流費の増加、市況の下落等により減益となりました。
(売上高)
原燃料価格高騰分の販売価格への転嫁を進めたこと等により、前期より57,960百万円増加し、351,790百万円(前期比19.7%増)となりました。
(売上原価)
原燃料コストの増加等により、前期より62,591百万円増加し、261,009百万円(前期比31.5%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
物流費及び研究開発費の増加等により、前期より5,571百万円増加し、76,444百万円(前期比7.9%増)となりました。
(営業利益)
物流費及び原燃料コスト等の増加、ならびに塩化ビニルモノマーの海外市況下落等により、前期より10,202百万円減少し、14,336百万円(前期比41.6%減)となりました。
(営業外損益・経常利益)
営業外損益は、前期より869百万円悪化しました。
以上の結果、経常利益は前期より11,071百万円減少し、14,783百万円(前期比42.8%減)となりました。
(特別損益・税金等調整前当期純利益・当期純利益・親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損益は、前期より2,153百万円悪化しました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前期より13,225百万円減少し、14,424百万円(前期比47.8%減)となりました。
応分の税金費用を加味した当期純利益は、前期より18,812百万円減少し、9,362百万円(前期比66.8%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期より18,636百万円減少し、9,364百万円(前期比66.6%減)となりました。
② 当期のセグメント別の状況
(セグメント別の状況)
(注) 各セグメントの売上高、営業利益又は営業損失(△)にはセグメント間取引を含めております。
(化成品セグメント)
苛性ソーダは、原燃料コストの増加はありましたが、国内の販売価格への転嫁を進めたこと、及び輸出価格が上昇したことにより、増益となりました。
塩化ビニルモノマー及び塩化ビニル樹脂は、原燃料価格の上昇で製造コストが増加したこと、及び塩化ビニルモノマーの海外市況が下落したこと等により、減益となりました。
ソーダ灰及び塩化カルシウムは、原燃料コストの増加はありましたが、国内の販売価格への転嫁を進めたため、増益となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は116,263百万円(前期比14.6%増)、営業利益は6,887百万円(前期比51.6%減)で増収減益となりました。
(セメントセグメント)
セメントは、国内出荷は前期並みであり、販売価格是正等に努めたものの原料価格の上昇による製造コストの増加に伴い、損益が悪化しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は58,511百万円(前期比16.2%増)、営業損失は3,718百万円(前期は営業損失1,912百万円)となりました。
(電子材料セグメント)
半導体向けの多結晶シリコンは、原燃料価格の上昇等に伴う製造コストの増加はありましたが、販売価格修正を進めたこと等により、増益となりました。
ICケミカルは、販売価格修正を進めたものの、原燃料価格の上昇等に加え、半導体市場減速の影響で販売数量が減少し、減益となりました。
乾式シリカは、原燃料コストの増加はありましたが、販売価格修正を進めたこと等により、増益となりました。
放熱材は、半導体製造装置向けを中心に販売数量が堅調に推移したことに加え、販売価格修正を進めたこと等により、増益となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は91,589百万円(前期比22.1%増)、営業利益は7,011百万円(前期比3.1%減)で増収減益となりました。
(ライフサイエンスセグメント)
歯科器材は、海外向けを中心に出荷が増加したことにより、増益となりました。
医薬品原薬・中間体は、ジェネリック医薬品向けの販売数量が堅調に推移し、増益となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は37,567百万円(前期比11.9%増)、営業利益は7,377百万円(前期比22.2%増)で増収増益となりました。
(環境事業セグメント)
イオン交換膜は、出荷が増加したこと等により、増益となりました。
廃石膏ボードリサイクルは、廃石膏ボードの受入れは堅調だったものの、燃料コストの増加等により、減益となりました。
当セグメントの売上高は13,842百万円(前期比34.3%増)、営業利益は46百万円(前期は営業損失468百万円)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
環境事業セグメントの一部を除いて受注生産を行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(注) D/Eレシオ :有利子負債/自己資本
ネットD/Eレシオ :(有利子負債-現金及び現金同等物)/自己資本
自己資本比率 :自己資本/資産合計
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/資産合計
(資産)
有形固定資産が15,733百万円、原材料及び貯蔵品が15,044百万円、売掛金が12,399百万円、投資有価証券が1,244百万円増加しました。
以上の結果、資産は前連結会計年度末に比べ45,131百万円増加し、478,342百万円となりました。
(負債)
長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が30,965百万円、短期借入金が2,027百万円増加しました。
以上の結果、負債は前連結会計年度末に比べ36,447百万円増加し、236,739百万円となりました。
(純資産)
親会社株主に帰属する当期純利益の積み上げ等により利益剰余金が4,317百万円、非支配株主持分が3,740百万円増加しました。
以上の結果、純資産は前連結会計年度末に比べ8,684百万円増加し、241,602百万円となりました。
(財務指標)
当連結会計年度におきましては、自己資本が4,944百万円増加しましたが、有利子負債が33,227百万円増加したことにより、D/Eレシオは前連結会計年度末に比べ0.13悪化し、0.62倍となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益が14,424百万円となり、減価償却費20,773百万円などの資金増加要因に対し、棚卸資産の増加額25,407百万円、売上債権の増加額13,527百万円、その他の流動資産の増加額4,703百万円などの資金減少要因により、営業活動の結果使用した資金は、11,800百万円(前連結会計年度は25,986百万円の獲得)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出31,916百万円などにより、投資活動の結果使用した資金は、33,757百万円(前連結会計年度は33,797百万円の使用)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入れによる収入51,504百万円、株式の発行による収入4,103百万円などの資金増加要因に対し、長期借入金の返済による支出20,827百万円、配当金の支払額5,036百万円などの資金減少要因により、財務活動の結果得られた資金は、30,151百万円(前連結会計年度は5,118百万円の獲得)となりました。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(経営目標の状況)
当社グループでは2021年度を初年度とする5年間の「中期経営計画2025」を策定し取り組んでおります。当社が経営上の目標として掲げる指標については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)「中期経営計画2025」達成目標」に記載のとおりです。
(重点施策の状況)
「中期経営計画2025」では、重点施策として、「事業ポートフォリオの転換」、「地球温暖化防止への貢献」、「CSR経営の推進」の3つを掲げており、それぞれについての取り組み状況については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」に記載のとおりです。
(経営成績等の分析)
経営成績の分析については「(1)経営成績に関する分析 ① 当期の業績全般に関する概況」に記載のとおりです。
財政状態の分析については「(2)財政状態に関する分析 ① 当期の資産、負債及び純資産の状況に関する分析」に記載のとおりです。
(中期経営計画2025(2021年度~2025年度)の目標達成状況)
当連結会計年度については、成長事業の売上高成長率(CAGR)は、電子材料セグメントにおける半導体関連製品の販売数量増加・販売価格の上昇、及びライフサイエンスセグメントにおける歯科器材などの海外向け出荷の増加等により20.1%となり、目標の10%を上回りました。ROEは4.1%となり、前期の水準を下回りました。
(セグメントごとの経営成績分析)
セグメントごとの内容は、「(1)経営成績に関する分析 ② 当期のセグメント別の状況」に記載のとおりです。
(キャッシュ・フローの状況の分析)
キャッシュ・フローの状況の分析については「(2)財政状態に関する分析 ② 当期のキャッシュ・フローの状況に関する分析」に記載のとおりです。
(資本の財源の分析)
当社グループでは、事業活動のための適切な運転資金の確保、及び事業ポートフォリオの転換を目的とした成長分野への重点投資、地球温暖化防止への貢献を目的とした合理化・省エネ・CO2対策投資等の設備投資、戦略的投資を推進するために一定の資金を必要としています。主な資金手当ての手段としましては、継続的な事業収益の計上による自己資金の積み上げの他、金融機関からの借入、社債の発行等となります。なお、次期の投資予定額は38,252百万円であり、主に自己資金及び金融機関からの借入金で充当する予定です。
(資金の流動性の分析)
当社グループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物は67,556百万円となっており、当社グループの事業活動を推進していく上で充分な流動性を確保していると考えています。また、金融機関との間にリボルビング・クレジット・ファシリティ契約や当座貸越契約、債権流動化契約も締結しており、流動性に一部支障をきたす事象が発生した場合にも、一定の流動性を維持できると考えています。加えて、不測の事態に備え流動性資金の確保のため、コミットメントラインの設定も必要に応じて実施してまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループは「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」ことを基本とし、研究開発本部は、特有技術の深耕と新たな技術の獲得によってトクヤマの技術力を進化させ、「電子」「健康」「環境」事業領域に於いて、新規事業を創出する事で、トクヤマグループの事業ポートフォリオ転換に貢献することを存在意義として活動しています。
研究開発本部は、つくば研究所、徳山研究所、マーケティンググループ、分析・解析センター、知的財産部、プロセス開発グループ、開発サポートグループ、品質保証課の8組織により構成され、各セグメントに所属する事業部門開発グループと協働して、事業部門・グループ会社の次世代テーマや既存事業関連テーマの技術開発を行っています。
つくば研究所、徳山研究所の主な開発テーマは、機能性放熱材料、先端半導体周辺材料、有機無機複合材料、ナノ粒子材料、医療材料、動物医療材料、フロー合成技術、水電解用アニオン交換膜材料の開発です。
中期経営計画2025で掲げた事業ポートフォリオ転換の達成を目的とし、研究開発の強化のため、つくば第二研究所を開設しました。第二研究所では、つくば研究所の機能の一部を移転し、医療材料や診断試薬の開発を中心とした健康領域、及びカーボンニュートラル関連の環境領域の研究開発を行う予定です。一方、既設のつくば研究所は、㈱トクヤマデンタルによる歯科材料の研究開発機能は維持しながら、次世代半導体関連材料を中心とした電子領域の研究開発に注力します。また、各研究所にはパイロット設備等の設置も計画しており、ユーザーニーズに迅速に対応できる体制を構築いたします。
德山台湾開発中心股份有限公司は、2022年2月に開設し、台湾の工業技術研究院(Industrial Technology Research Institute)との共同研究を実施するなど、トクヤマグループ初の国外研究開発拠点としての機能を果たし、グローバル化の一翼を担ってまいりました。2022年12月に営業機能を付与するのに伴い、社名を德山台灣股份有限公司に改称し、新規製品の開発・上市に加え、既存製品の拡販を加速し、研究開発と事業運営の両輪で事業拡大に寄与してまいります。
知的財産部は、戦略的知財マネジメント能力により新規製品・事業の創出、マーケティング支援、及びグループ収益拡大に貢献すること、分析・解析センターは、分析・解析技術の高度化によって、グループ全体の事業遂行へ貢献することを目指しています。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は
セグメント別の研究開発の状況及び研究開発費は次のとおりです。
<化成品セグメント>
当社の強みである食塩電解水素については、環境価値向上や水素普及に向けた取り組みや活用モデルの検討を継続し、固体水素化物の製造開発にも着手しました。今後ますます厳しさを増していくエネルギー多消費型事業ですが、積極的な省エネや水素を使った新たなビジネスへの挑戦も含め開発を推進して行きます。
当セグメントに係わる研究開発費は
<セメントセグメント>
地球温暖化対策の一環として、CO2の回収・固定化に関する基礎検討を継続しました。また、CO2排出量の削減を目指し、セメントクリンカーの焼成温度低減に関する検討を継続しました。環境負荷低減の観点からは、廃棄物・副産物をセメント製造工程で活用するための開発を継続しています。廃棄物の更なる有効活用の観点から、バイオマス燃焼灰の有効活用技術の開発を開始しました。製品開発の分野では、セメントを基材とした各種製品の開発に注力しました。セメント系固化材は、特殊な用途への適用を目指した新しいグレードの開発に着手しました。建材製品は、断面修復材、道路床版の補修・補強材などコンクリート構造物の補修・補強分野に適用される製品の開発に注力しました。セメント・コンクリートに関する基礎研究としては、セメントの品質改善に関する基礎検討を継続しました。
当セグメントに係わる研究開発費は
<電子材料セグメント>
シリカについては、既存シリカ製品の特性改良や新規用途開拓に加え、微細化が進む半導体技術に対応した表面処理技術の開発やシリカ製造技術を応用した新規酸化物粉末の開発を進めました。市場から認められた開発品について顧客への供給を随時開始しました。
放熱材については、パワー半導体や高度通信機器などの放熱性樹脂部材に用いられる窒化アルミニウムフィラーや窒化ホウ素フィラーの新規グレードの開発・特性改良と顧客評価を進めました。市場における放熱材料ニーズの多様化に対応するため各フィラーの粒子サイズや表面処理のラインナップを拡充しました。また、窒化アルミニウムフィラーの量産設備を先進技術事業化センター内に新設しました。
窒化ケイ素の粉末と白板については、先進技術事業化センター内に建設した量産試作設備を用いて量産技術の改良と顧客へのサンプル評価を進めました。
電子工業用高純度IPAについては、半導体デバイスの微細化・3次元プロセスに伴う高純度化ニーズに対応するため、高品質化の取り組みを強化しました。また、顧客の工程歩留まりに影響する因子を特定するための超微量不純物の評価技術開発にも取り組みました。
当セグメントに係わる研究開発費は
<ライフサイエンスセグメント>
プラスチックレンズ関連材料では次世代フォトクロミック材料の開発を進めました。医薬品原薬ではプロセス開発を進めました。医療分野、臨床検査分野では、臨床検査用の試薬・電極や情報システム、検体検査に係わる装置や検査自動化システムの総合的な製品開発を進めました。歯科医療分野では、充填用コンポジットレジン、歯科用接着材料、金属代替歯冠用レジンブロックなどの製品開発を進めました。ヘルスケア材料関連では化粧品用シリカエアロゲル、酪農用材料の開発を進めました。
当セグメントに係わる研究開発費は
<環境事業セグメント>
環境負荷低減に寄与する技術として、石膏ボード及び太陽光パネルのリサイクル技術の開発に注力しました。
当セグメントに係わる研究開発費は