第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「企業は社会の公器、企業の社会的責任遂行」という言葉を明確に自覚し、株主を始め、顧客、当社グループ社員、協力会社並びに地域社会からの信頼を得て、社会資本整備を通して「信頼と利益」の調和の取れた企業経営を目指しております。企業である限り競争は必然であり、そのためにより高度で特化した技術が必要であることを認識し、人材教育と技術開発を推進しております。

 

(経営理念)

・福祉国家建設の一翼を担って社会に奉仕する

・技術を究め創意をこらし自己の責任を完遂する

・和信協同し企業の繁栄と共に幸福を創り出す

 

(経営方針)

技術の研鑽と創意に努め、安全と安心の企業ブランドのもと、社会資本整備を通して国家建設に貢献するとともに、利益追求と社会的責任の調和を実現する。

 

(2)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

 建設業を取り巻く外的な環境のうち、目前に迫った重要でかつ確実に対応すべき課題として、2024年度から罰則付きで規定化される残業時間の上限規制があげられます。また、社内的な課題としては、2030年度を最終年度とする成長戦略「VISION2030」の前提となる、2025年度をゴールとした経営リソースの整備を計画通りに進めることがあげられます。一方、市場環境を概観すると、建築分野においては、新型コロナウイルス感染症の影響やインフレの進行にともなう原材料や燃料などの高騰問題により着工が遅れていたプロジェクトが、アフターコロナの急速な経済回復を背景に動き出すことが予想され、土木分野においても引き続き「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策(令和2年12月)」が市場を牽引し、老朽化したインフラの更新事業を中心に潤沢な市場が継続するとみています。したがって、当社においては、このような堅調な市場需要を確実に事業として取り込んで収益につなげていくために、生産性の向上を図りながら、「生産力」と「稼ぐ力」をつけていくための施策を効率的に進め、先ずは2025年のゴールでの業績目標である売上高350億円超、営業利益率5%超の達成につなげていくことが今求められている課題といえます。

 そのような中、第72期は「VISION2030」のスタートから3年目にあたり、ヒト・モノ・カネの要素で計画した経営リソース整備を60%以上の水準まで完了することが目標となります。グローバルな視点など多様性をキーワードとするリクルート活動、労働環境改善や生産効率性の向上をキーワードとする既存工場のリニューアル工事、また「DX推進」の一環としてスタートした現場業務支援のための「バックオフィス設置」など、すでに様々な施策に着手して一定の成果をあげています。今後は、全社の業務改善を対象としたさらなる「DXの推進・普及」、「工事のIT化施工の拡大」、そして働き方改革を含む社員への投資としての「教育・研修システムの充実」を図っていきます。また業績管理においては、これまで以上に工事採算性の管理精度をあげて厳密に行っていく必要があります。建築事業においては原材料や燃料などの価格高騰にともなうコストを確実に製品価格に転嫁するための交渉、土木事業においては、近年個々の工事が大型化、長期化する傾向にあることを踏まえ、特に共同企業体(JV)として施工する工事の工事原価管理及び代金回収について、JV構成員として主体的に関与して確実な工事利益の確保に努めるなど、これまでの管理方法の延長線に留まらない、新たな管理体制を構築して実践してまいります。

 以上、これらの重要課題への対応を確実に進めるとともに、カーボンフリーをはじめとする環境問題への取り組みなど、企業の社会的責任を果たしながら引き続き安定的な成長を目指してまいります。

 

(3)中期経営計画「VISION2030」について

 当社グループは、長期的な市場環境の変化をとらえ、PC技術の特性を核とした技術開発と事業の多様化で持続的な成長を実現するため2025年に向けて「VISION2016」を作成し、その達成を目指してまいりましたが、策定から5年が経過し、この間計画を上回る好調な成績を積み重ねてまいりました。

 一方で、想定した市場環境が変化し計画と実績に乖離が生じてきたことや、前提とした設備の拡張などをはじめとする生産環境の整備が思うように進まないなど、今後の成長を考える上で早急な対応を講じる必要も生じてきました。

 そこで改めて向こう10年を見据え、「新たな成長戦略に向けた経営リソース(人材、技術・生産設備、財務)の拡充」をメインテーマとした「VISION2030」を策定し、当連結会計年度を初年度としてスタートさせました。

 「VISION2030」では、通過点である2025年までの5年間で高収益体制の実現、経常的に経営資源を充実させていく体制・文化の構築を目指すべきゴールとして、「稼ぐ力」を蓄えるためのハード・ソフト両面での環境整備を集中的に行い、その後、2030年に向かってこれをテコに急成長を成し遂げることとしております。2030年にあるべき姿として「価値を創造するエンジニアリング企業」「顧客の要望にワンストップで応える企業」「世界レベルのSDGs達成に貢献する企業」を目標としております。

 

 この「VISION2030」を達成するための方針として、次の4つを掲げております。

事業方針:

  (ⅰ)2030年度のゴールに向けて、2025年度までに高収益体質が実現し、経常的に経営資源を充実させていく体制・文化の構築している状態を目指す

  (ⅱ)2030年度のゴールを、売上高450億円超・営業利益率5%超とし、2025年度に売上高350億円超・営業利益率5%超を目指し、選別受注及び利益優先主義を継続する

  (ⅲ)人員増加施策だけでなく、生産性の向上を図るため、大規模な設備増強や現場負荷軽減のための仕組みづくりに注力する

投資方針:

  (ⅰ)工場を中心に5年間で集中的な投資を行い、生産性の向上、製品売上比率の向上を図る

  (ⅱ)将来の工場製品売上の増加見通しに伴い、必要な時期において工場の生産能力の増強を検討する

  (ⅲ)継続的な研究開発を行うために売上高の0.3%を開発費に充てる

財務方針:

  (ⅰ)財務の健全性を重視し、投資は利益の範囲内とする

  (ⅱ)将来、大規模な投資が必要となった場合は、保有資産の活用も視野に入れる

  (ⅲ)ROEは7%超の維持を目標とする

株主還元方針:配当性向20%超の維持

 

また、「VISION2030」においては、SDGs<持続可能な開発目標>の17の目標への取り組みについても掲げております。

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 当社グループは、2015年に国連サミットで採択されたSDGsに対し、当社事業の重要な様相としてSDGsを位置付け、「世界レベルのSDGs達成に貢献する企業グループ」を目標に掲げ、SDGsが描く未来の現実に取り組むことで、さらなる社会貢献を図ること、及び事業活動を通じて、課題抽出と技術革新に取り組み環境負荷軽減を達成することは重要な課題と捉えております。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループでは、「世界レベルのSDGs達成に貢献する企業グループ」を活動方針とし、第5次中期経営計画「VISION2030」において、この方針に基づく取り組みのゴールとして以下の2点を挙げております。

SDGsが描く未来の実現に取り組むことで、更なる社会貢献を図ること

事業活動を通じて、課題抽出と技術革新に取り組み環境負荷軽減を達成すること

私たちは上記の取り組みを達成することで事業活動を通じて環境問題、社会問題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、当社グループの持続的な成長に努めてまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、ESG(環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance))の観点から5つの重要課題(マテリアリティ)を策定し、事業活動を通じて具体な取り組みを推進することで、サステナブル(持続可能)な社会の実現を目指しております。

当社グループにおいては、各業務執行部門が取締役会で定められた経営方針に基づき重要課題(マテリアリティ)の解決を目指した具体な活動計画書である「業務遂行計画マトリックス」を策定し、取締役・執行役員で構成する「業務遂行計画レビュー会議」において、各業務執行部門が立案・実施した活動報告を行い、それをモニタリング、進捗管理することにより実効性を担保し、確実な遂行を確保できる体制を整備しております。

 

(2)戦略

当社グループは、ESGの観点から策定した重要課題(マテリアリティ)に対して、各業務執行部門において活動方針(アクションプラン)を作成し、取り組んでおります。

 

重要課題

活動方針

戦略

低炭素社会の実現

 (1)地球温暖化の原因となる温室効果ガス排出量を削減する

(2)新たなシステムを導入し再生可能エネルギーの創出を図る

(3)環境ネジメントシステムへの取り組み

低炭素を目指した原材料の見直しを行うとともに、プレストレストコンクリート技術が用いられ、再生可能エネルギーを創出する「風力発電ハイブリッドタワー」の実用化に向けた取り組みの実施

持続可能かつ強靭なインフラ整備

 (1)高品質で耐久性に優れたインフラ整備

(2)100年先も持続可能な住宅技術

(3)自然災害に強いまちづくりに向けて

(4)BCP(事業継続計画)への取り組み

防災・減災への取り組みとして、河川堤防の補強に用いるPC矢板の技術開発を推進するとともに、耐久性に優れた建築用プレキャスト製品の需要拡大を図る

安心・安全なまちづくり

 (1)構造物のライフサイクルに寄り添う

(2)地域とともに災害からまちを守る

(3)LDC(後発開発途上国)での技術支援

真のダイバーシティ化の達成

 (1)ジェンダーレスで働きやすい職場環境の形成

(2)社員一人ひとりに寄り添った健康経営の促進

(3)障がい者雇用の促進

(4)すべての人が働きがいを持ち、自己成長を実現する

人材の確保と育成、労働環境の整備等について、重要課題を設定し、方針・戦略を立て達成を目指しております。詳細は下記の<多様性の確保に向けた人材育成方針、社内環境整備方針>を参照ください。

持続的な協力関係の構築

 (1)グループ会社、協力会社との関わり

(2)一人ひとりの環境保護への意識向上を図る

(3)ステークホルダーとのパートナーシップ

コンプライアンス経営を重視し、社会課題の解決に向けた取り組みを、事業活動を通じて行うことで企業価値の向上を図る

 

 

<多様性の確保に向けた人材育成方針、社内環境整備方針>

当社グループは、会社の持続的な成長に向けた経営リソースの一つである「人材」について、多様な人材が集まることで生まれる可能性を考慮のうえ、個々のスキルやオリジナリティを通して社員が「プロフェッショナル」として、働きがいという豊かさを感じる環境づくりに向けて、研修や適正配置などに取り組むことを人材育成方針としております。

また、社員が「誇り・魅力・やりがい」を感じて心身ともに健康で生き生きと活躍し能力を最大限に発揮できる環境整備として、働き方改革や健康経営の推進、ハラスメントの撲滅、並びに多様な勤務制度の導入、福利厚生制度の充実、処遇の改善などを図ることで、多様性の確保や個性を尊重し協働する企業文化を浸透させながら持続的な成長を目指し、真のダイバーシティ化の達成に向け取り組んでおります。

 具体的なテーマと活動方針、取り組みは以下の通りとなります。

 

   ①人材の確保と育成

活動方針

取り組み

新卒・中途を両輪とする要員計画を立案のうえ、多様性確保の観点から、女性・外国人・中途採用の人材を積極的に活用するとの認識に立ち、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な人材を確保し、育成する。

また、シニア人材のモチベーション向上とさらなる活躍を促進し、経験値の高い労働力を確保するとともに将来を担う若手技術者の離職を低減する。

▶キャリアモデル「人材開発レベルマップ」に基づく専門能力の習得及び資格取得の支援

▶階層別研修(入社時~各等級別)や安全・技術などの研修会による個々の成長支援

▶定年延長

▶役割と貢献の明確化やコミュニケーションの充実を図るための人事評価制度の整備

 

 

   ②労働環境の整備

活動方針

取り組み

労働力供給が減少し、働く人々の価値観が変化しているなかで、働き方を見直すことによりワークライフバランスと生産性向上との好循環を生み出す。

 

▶時差出勤、在宅勤務、サテライトオフィス勤務の推進

▶生産現場の業務を支援するバックオフィスの導入

▶生産現場の安全・衛生面を女性の視点でチェック、改善し、女性技術者の労働環境の整備を促す安全パトロール隊(FLAP)を結成

 

   ③健康経営の推進

活動方針

取り組み

社員の健康が経営の基盤であるという考えのもと、健康経営最高責任者(社長)による「健康経営宣言」を制定し、心身ともに健康で、個性や能力を最大限に発揮できる職場環境を構築する。

 

▶健康診断結果やメンタルヘルスチェックを踏まえた保健師・産業医の指導

▶健康を意識した自社企画イベントの実施や福利厚生(カフェテリアプラン)の整備

▶ハラスメント防止のためe-ラーニングや研修の定期実施

 

   ④パートナーとの協働

活動方針

取り組み

担い手不足が大きな問題となる中で、「人づくり」の重要性を鑑み、全国各地における様々な取引先とさらなる連携強化、信頼関係の構築に注力する。

 

▶経済産業省や中小企業庁が提唱する「パートナーシップ構築宣言」に賛同し、宣言

▶優良技能者の育成と待遇改善を考慮し、国土交通省が進めるキャリアアップシステムの基準を加味した当社独自のマイスター制度の導入

▶安全衛生教育、安全パトロール、各種表彰などの様々な活動を通じて、協力会社と一体となった安全衛生の向上

 

 

(3)リスク管理

 当社グループの重要課題(マテリアリティ)の達成を阻害するリスクとしては、気候変動、異常気象などによる自然災害の増加や原材料・燃料の価格高騰、長時間労働やステークホルダーとの関係悪化など様々なリスク要因がありますが、当社グループのリスク管理体制は、あらゆる経営危機に対して予防策を講じ、発生を未然に防ぐとともに、万一、経営危機が発生した場合はその損害を最小限に止め、信用・企業イメージの失墜、売上高の著しい減少、社会からの非難など二次的な危機を引き起こすことのないよう、2000年にリスク管理規程を制定し、組織的なリスク管理を行っております。
 リスク管理においては、リスクを重要度により分類し、経営トップを始め各責任者への迅速・確実な報告の徹底と、組織的かつ速やかな対応、原因究明、再発防止策の策定・実行する体制を整備しております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは創業以来、新製品や現場工事における施工方法の開発、製造技術の合理化など、社会のニーズに対応できるよう研究開発活動を行ってまいりました。

 引き続きこれらの研究開発を進めていくとともに、政府が2050年を目標としているカーボンニュートラルへの対応や、近年頻発し激甚化している風水害への対応を目指したプレストレストコンクリート構造物の研究開発を進めてまいります。

 なお、それぞれの活動に対して設定する数値目標等については現在検討中でございます。

 

<多様性の確保に向けた考え方、自主的かつ測定可能な目標及びその状況>

 当社グループは、上記「(2)戦略」において認識した、人材の多様性確保の観点から、女性・外国人・中途採用の人材を積極的に活用するとの認識に立ち、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な人材を確保し、会社の持続的な成長が図れるよう努めており、次のような指標を用いて管理しております。

 

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3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

)公共事業の市場環境の影響について

 当社グループの事業は公共土木事業への依存度が7割程度であります。国土強靭化策などにより公共事業は増加基調にありますが、我が国の財政事情などから、この増加基調が中長期的に継続するか否かは不透明であります。当社グループは公共事業に偏らない土木・建築を両輪とした安定的な事業構造への転換を進めておりますが、建築事業の拡大が進展しない場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、公共事業以外の受注活動も強化することで、リスクの軽減を図っております。

 

)現場での労災事故について

 建設業界は高所作業など危険作業が多く、産業界でも重大事故発生率が最も高い産業であります。当社グループは「安全なくして生産なし」をスローガンとして掲げ、グループを挙げてゼロ災害に取り組んでおります。しかしながら、万一、労災事故が発生した場合は、工事成績評点へのマイナス影響や、関係発注機関から指名停止を受けるなど業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、各支店に安全衛生委員会を設置し、安全パトロールや作業員に対する安全衛生教育を定期的に実施するとともに、日常の安全衛生活動では、安全朝礼、ツールボックス・ミーティング、危険予知活動(KY活動)を行い労災事故の防止に努めております。

 

)瑕疵担保責任及び製造物責任について

 「安全と安心」を企業ブランドとして掲げ、品質管理にはグループを挙げて万全を期しておりますが、万一、瑕疵担保責任及び製造物責任による損害賠償や補修工事などが発生した場合は、多額の補修費用の発生や関係発注機関から指名停止を受けるなど業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、工事受注後から設計照査を行い、品質パトロールを定期的に実施するなど、プロセスチェックを実施する品質管理体制により、厳密な品質管理を徹底することで、リスクの軽減を図っております。

 

)PC建築製品製作のための工場設備について

 当社グループの事業安定化のためには建築事業の拡大が不可欠であり、その主力製品は工場部材であることから、各地域市場に供給する工場設備の保有が必要であります。民間建築投資は景気、物価、賃金、雇用動向等に大きく影響を受けることから、景気の低迷等による需要低下で工場の稼働率が落ちるなど業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、公共事業を中心とする土木事業のプレキャスト化を推進することで、民間建築投資に過度に依存しない体制を構築し、リスクの軽減を図っております。

 

)官公需法の影響について

 官公需法とは、地元企業育成のために地元中小企業に優先的に公共事業を発注する制度を定めた法律であります。特に地方自治体は地域振興策を強化しており、官公需法の運用が堅持・強化された場合は、当社グループはこれら地元中小企業の下請けになるケースや地元企業との共同企業体となるケースが増加することなどが考えられます。

 元請けや共同企業体構成員となった地元企業が信用不安に陥った場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、契約前に取引先の信用調査を適切に実施することで、リスクの軽減を図っております。

)資材価格や外注労務単価変動の影響について

 様々な要因で資材の購入単価や外注労務単価が高騰し、契約条件にある請負金額のスライド条項などが適用されない場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、発注者との交渉を密にし、スライド条項が適用されるように働きかけることで、リスクの軽減を図っております。

(7)建設技術者や技能労働者の不足について

 少子高齢化の進展や建設産業の構造的な問題により、建設技術者や技能労働者の不足が顕著な問題となっております。労働者不足に関しては国をあげた課題として取り組まれており、この問題に適切に対応できない場合は施工能力が落ちるなど業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、建設技術者や技能労働者不足に対応するために、現場工事のプレキャスト化の推進や、女性技術者及び外国人技術者の採用を積極的に行うことで、リスクの軽減を図っております。

 

(8)大規模自然災害等

 地震や台風等大規模な自然災害の発生や感染症の流行により、当社グループの事業遂行に直接的または間接的な影響を受ける可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、事業継続に重大な影響を及ぼす大規模自然災害や感染症等の不測の事態に備え事業継続計画を策定するとともに、大規模災害を想定した避難訓練、安否確認訓練を実施し、リスクの軽減を図っております。

 

(9)法的規制等について

 当社グループの事業は、建設業法、建築士法、建築基準法等の法的規制を受けております。主要な事業であります土木・建築事業は、建設業法に基づき、特定建設業許可を受けておりますが、不正な手段による許可の取得や経営管理者・専任技術者等の欠格条項違反に該当した場合は、建設業法第29条により許可の取り消しとなります。

 当社グループでは、当該許可の諸条件や法令等の遵守に努めており、現時点において、これらの免許の取消事由に該当する事実はないと認識しております。しかしながら、万一、法令違反等によって許可が取り消された場合、当社グループの業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、法務部門が当該許可の諸条件や法令等を遵守していることを定期的に確認することでリスクの軽減を図っております。

 

  (許認可等の状況)

法令等

許認可等

有効期限

取消事由

建設業法

特定建設業の許可

国土交通大臣許可

(特—4)第2301号

2022年11月26日から

2027年11月25日まで

(5年ごとの更新)

建設業法第29条

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

   当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」と

  いう。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、個人消費や設備投資等が伸び悩む局面もありましたが、感染抑止対策の徹底と経済活動の活性化を両立する動きが進み、緩やかな回復基調となりました。しかしながら、緊張状態が続く国際情勢の動向に加え、世界的な原材料価格の高騰を背景とした物価上昇や金利・為替の変動による景気への影響を今後も引き続き、注視していく必要があります。

 当建設業界におきましては、土木分野は新型コロナウイルス感染症の影響は引き続き限定的であり、高速道路の老朽化に伴う維持更新事業や暫定2車線区間の4車線化事業など社会インフラ整備を中心に堅調に推移しました。土木分野の先行きにつきましては、従来の公共事業関係費に加え、2021年度からスタートした政府主導の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策(令和2年12月)」や高速道路会社の「中期事業見通し」などから、引き続きインフラ老朽化対策など必要性の高い事業を中心に底堅く推移していくと見込まれます。

 一方、建築分野は主に首都圏を中心とした再開発事業が順調に進んでおり、市場全体の縮小には至らないと予想しておりますが、資機材や製品輸送費の高騰など建設コストは総じて高い価格水準で推移しており、生産性の向上や収益の確保に向けた施策が必須となっております。

 このような経営環境のもと、当社グループは「新たな成長戦略に向けた経営リソース(人材、技術・生産設備、財務)の拡充」をメインテーマとした第5次中期経営計画「VISION2030」の2年目を迎え、本計画に掲げた成長目標の早期達成と次なるステージへのステップアップに向け、新設した研究所での技術開発や既存工場のリニューアルを本格的に開始するなど経営リソースの充実に取り組みながら企業活動を行ってまいりました。また、働き方改革を深化させるための新しい人事制度の運用や健康に関する福利厚生制度の充実、「DX」を推進するために組成した専門部署の本格的活動、「SDGs」の全社的展開を通じた社会的な企業価値の向上のための取り組み等、生産性の向上とあわせて社員及び協力会社従業員の働き方改革の実現に向けて様々な施策を実施してまいりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,004百万円増加し、28,791百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ906百万円増加し、18,862百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ98百万円増加し、9,928百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の受注高は36,128百万円(前期比4.1%減)、売上高は26,843百万円(前期比1.7%減)となり

ました。損益につきましては、売上高の減少により営業利益は221百万円(前期比78.9%減)、経常利益は226百万円(前期比79.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は123百万円(前期比84.1%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

土木事業

 土木事業は、官庁発注の工事が大型化・長期化の傾向がより強まる中で、長期の大型手持ち工事の確保と中・短期的な工事確保による安定経営を目指し公入札、民間受注活動を進めました。その結果、NEXCOが進める高速道路リニューアルプロジェクトによる大規模更新事業においてNEXCO中日本発注の長野自動車道岡谷高架橋改良工事を、また同じくNEXCOが進める新名神高速道路のダブルネットワークの強化を目指し6車線化工事として発注された錐ヶ瀧橋拡幅工事などの大型工事を共同企業体にて受注しました。国土交通省発注工事においてはWTO(政府調達協定対象工事)案件を中国地方整備局で2年連続、また四国地方整備局でも技術提案力・積算力の総合力で受注いたしました。このほか本社所在地での国土交通省九州地方整備局や福岡県での発注工事、また製品協力としては全国6ヶ所で展開する当社PC工場での床版取替工事用のプレキャストPC床版を代表とするPC製品製作の受注などをバランスよく進めました。また、連結子会社の駿河技建㈱においても、受注体制を整備し、元請けでの受注を行うなどグループ全体で受注活動を推進いたしましたが、一部の契約が翌年度へずれ込んだことから、受注高は28,750百万円(前連結会計年度比8.1%減)となりました。

 売上高は、大型工事の着工までに時間を要したことや一部現場における他工事との輻輳などによる工程遅延が発生しましたが、NEXCO各社発注の新設上部工工事や床版取替などの大規模更新事業、国土交通省発注案件による大型の繰越工事やプレキャストPC床版製作など工場製品の進捗も概ね順調に推移したことにより、21,020百万円(前連結会計年度比1.5%増)となりました。

 

 セグメント利益につきましては、採算性の高い工事の進捗が想定以上に遅延したことや、民間工事におけるコスト高騰の影響などにより2,681百万円(前連結会計年度比16.1%減)となりました。

 

建築事業

 建築事業は、九州、関西地区で予定していた耐震補強工事の発注遅れの影響はありましたがマンション事業の発注が順調に推移したことで受注高は7,121百万円(前連結会計年度比15.5%増)となりました。

 売上高につきましては、耐震補強工事の発注遅れと主に首都圏を中心とした民間マンション現場において元請都合による工事中断や進捗遅れが生じた影響で、5,566百万円(前連結会計年度比12.2%減)となりました。

 セグメント利益につきましては、売上高の減少と各種原材料、製品輸送費、労務費高騰など様々な建設コスト上昇の影響を受け550百万円(前期比40.4%減)となりました。

 

不動産賃貸事業

 不動産賃貸事業は、テナント獲得競争は依然として継続しているものの、安定した入居率の確保を目指して営業活動を展開した結果、受注高及び売上高は255百万円(前連結会計年度比4.2%増)となりました。

 セグメント利益につきましては、修繕費用の増加などにより141百万円(前連結会計年度比4.7%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は934百万円減少し、期末残高は2,321百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、使用した資金は1,162百万円(前連結会計年度は3,149百万円の獲得)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上、預り金の増加、未収入金の減少等によるものであります。支出の主な要因は、仕入債務の減少、未払消費税等の減少と未収消費税等の計上によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は1,100百万円(前連結会計年度は1,083百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が主な要因であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、調達した資金は1,327百万円(前連結会計年度は287百万円の支出)となりました。これは、長期借入れの返済、配当金の支払いにより資金が減少したものの、短期借入金の増加により資金が増加いたしました。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.受注実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

土木事業

28,750

△8.1

建築事業

7,121

15.5

不動産賃貸事業

255

4.2

その他

1

△762.8

合計

36,128

△4.1

 

b.売上実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

土木事業

21,020

1.5

建築事業

5,566

△12.2

不動産賃貸事業

255

4.2

その他

1

△82.9

合計

26,843

△1.7

(注)1.当社では生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。

2.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

 

 

相手先

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

 

 

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

 

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

西日本高速道路㈱

5,647

20.7

6,142

22.9

 

 

 (参考)提出会社の建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績は次のとおりであります。

 

(1)受注工事高、完成工事高及び繰越工事高

期別

区分

前期繰越
工事高

(百万円)

当期受注
工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成
工事高

(百万円)

次期繰越

工事高

(百万円)

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

土木工事

22,201

27,244

49,446

16,990

32,455

建築工事

155

1,217

1,372

821

550

22,357

28,461

50,819

17,812

33,006

その他

9,324

8,614

17,938

9,240

8,697

合計

31,681

37,076

68,757

27,053

41,704

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

土木工事

32,455

24,811

57,266

16,479

40,787

建築工事

550

979

1,530

541

989

33,006

25,790

58,797

17,020

41,776

その他

8,697

9,068

17,765

8,623

9,142

合計

41,704

34,858

76,563

25,644

50,919

(注)前事業年度以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注工事高にそ

   の増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。

 

(2)受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

土木工事

7.4

92.6

100

建築工事

100

100

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

土木工事

5.4

94.6

100

建築工事

100

100

(注) 百分比は請負金額比であります。

 

(3)完成工事高

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

土木工事

16,130

859

16,990

建築工事

558

263

821

16,689

1,122

17,812

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

土木工事

16,438

40

16,479

建築工事

320

221

541

16,758

262

17,020

(注)1.前事業年度の完成工事のうち請負金額2億円以上の主なものは、次のとおりであります。

西日本高速道路㈱

中国自動車道(特定更新等)常国橋他2橋床版取替工事、

中国自動車道(特定更新等)東ノ迫池橋(下り線)他1橋床版取替工事

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

北陸新幹線、第2三ツ屋橋りょう(PCけた)

中日本高速道路㈱

北陸自動車道(特定更新等)九頭竜川橋他2橋床版取替工事(その1)

西日本鉄道㈱

福岡都市計画都市高速鉄道事業5号 西日本鉄道天神大牟田線新線上部工工事

 

 2.当事業年度の完成工事のうち請負金額2億円以上の主なものは、次のとおりであります。

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

北陸新幹線、あわら・越前間軌道スラブ製作運搬

㈱横河ブリッジ

下万田・横町高架橋 PC床版

兵庫県

(主)香住村岡線 矢田橋 上部工工事

鹿島建設㈱

勝どき東地区第一種市街地再開発事業 施設建築物A1地区新築工事

国土交通省

令和3年度安芸バイパス熊野川高架橋第2PC上部工事

 

3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

西日本高速道路㈱

5,596百万円

31.4%

 

中日本高速道路㈱

1,786百万円

10.0%

当事業年度

西日本高速道路㈱

6,142百万円

36.1%

 

 

 

 

 

(4)次期繰越工事高(2023年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

土木工事

40,679

108

40,787

建築工事

903

85

989

41,582

194

41,776

(注) 次期繰越工事のうち請負金額4億円以上の主なものは次のとおりであります。

中日本高速道路㈱

岡谷高架橋改良工事

 

名神高速道路(特定更新等)木曽川橋床版取替工事

大阪モノレール株式会社

大阪モノレール PC軌道桁製作・架設工事

東海旅客鉄道㈱

中央新幹線相模川橋りょう他新設

西日本高速道路㈱

令和2年度 佐世保道路 佐世保高架橋(拡張)工事

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、のれん、貸倒引当金、完成工事補償引当金、工事損失引当金、株式給付引当金、退職給付に係る負債、収益認識に関する会計基準に基づく収益認識などの判断につきましては、過去の実績や合理的な方法により見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 上記のうち、見積り及び仮定の重要度が高いものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、28,791百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,004百万円の増加となりました。

 流動資産は、19,375百万円となり、前連結会計年度末に比べ277百万円の増加となりました。主な要因は、現金預金が934百万円、未収入金が323百万円減少したものの、受取手形・完成工事未収入金等が391百万円、未収消費税等が989百万円、流動資産その他が140百万円増加したことによるものであります。

 固定資産は、9,415百万円となり、前連結会計年度末に比べ727百万円の増加となりました。主な要因は、九州小竹工場のリニューアル工事の進捗により建物・構築物が増加したことなどにより有形固定資産が688百万円の増加、のれんの償却などにより無形固定資産が29百万円の減少、退職給付に係る資産の増加などにより投資その他の資産が67百万円の増加したことによるものであります。

 負債合計は18,862百万円となり、前連結会計年度末に比べ906百万円の増加となりました。

 流動負債は、16,476百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,684百万円の増加となりました。主な要因は、支払手形・工事未払金等が899百万円、電子記録債務が151百万円、未払法人税等が119百万円減少したものの、短期借入金が2,090百万円、預り金が1,325百万円増加したことによるものであります。

 固定負債は、2,386百万円となり、前連結会計年度末に比べ778百万円の減少となりました。主な要因は、長期借入金の返済による減少586百万円、退職給付に係る負債の減少206百万円によるものであります。

 純資産は9,928百万円となり、前連結会計年度末に比べ98百万円の増加となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益123百万円の計上、配当金162百万円の支払い、退職給付に係る調整累計額の増加140百万円によるものであります。

 以上の結果、自己資本比率は34.5%となり、前連結会計年度末に比べ0.9%低下いたしました。

 

2)経営成績

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、一部の大型工事が想定以上に遅延したことなどにより前連結会計年度に比べ458百万円減少(前連結会計年度比1.7%減)の26,843百万円となりました。

 なお、セグメント別の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」の項目をご参照ください。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における売上原価は、土木事業、建築事業ともに各種原材料、輸送費、労務費など様々な建設コストの高騰の影響を受け、前連結会計年度に比べ440百万円増加(前連結会計年度比1.9%増)の23,470百万円となりました。

 

 売上総利益は、売上高の減少と売上原価の増加を受け、前連結会計年度に比べ898百万円減少(前連結会計年度比21.0%減)の3,372百万円となりました。売上総利益率は前連結会計年度15.6%に対し、3.0%悪化の12.6%となりました。

 販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症の収まりに伴い通信交通費等の一部経費の増加はありましたが、業務効率化による残業時間の削減による労務費の減少や各種経費の節減などに努め前連結会計年度に比べ71百万円減少(前連結会計年度比2.2%減)の3,151百万円となりました。

 

(営業利益)

 営業利益は、売上総利益の減少により前連結会計年度に比べ827百万円減少(前連結会計年度比78.9%減)の221百万円となりました。営業利益率は0.8%となり、前連結会計年度に比べ3.0%低下いたしました。

 

(営業外損益)

 営業外収益は、前連結会計年度に比べ37百万円減少の86百万円となりました。鉄屑等の売却による物品売却益及び固定資産の経常的な入れ替え等に伴う処分益の計上が主なものとなります。

営業外費用は、前連結会計年度に比べ21百万円増加の81百万円となりました。借入金利息の計上が主なものとなります。

 

(特別損益)

 当連結会計年度における特別損益の計上はありません。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、売上総利益の減少により前連結会計年度に比べ651百万円減少(前連結会計年度比84.1%減)の123百万円となりました。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営に影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題」、及び「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

1)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

2)資金需要

当社グループの資金需要は、運転資金、投資資金及び株主還元に分けられます。

運転資金需要の主なものは、工事の施工及び工場の製品製造のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用や管理費用であります。

投資資金需要の主なものは、設備資金であり、工場における製造設備、工事現場における建設機材等固定資産の購入によるものであります。

また、株主還元については、財務健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施しております。

 

3)資金調達

当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、子会社(非連結・持分法非適用)を含めた資金調達は、原則として当社が一元管理しており、必要に応じて当社より子会社へ貸付けを行っております。

運転資金及び株主還元につきましては、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金により充当しておりますが、運転資金において不足が生じた場合には金融機関からの借入金を利用しております。

設備資金につきましては、設備投資計画に基づき資金計画を作成し、内部資金で不足する場合には金融機関からの借入金を利用しております。なお、工場建設等の大規模な設備投資の場合には、内部資金に加え長期借入金を初めとした複数の調達方法を検討しております。

当社は、健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フローの創出を維持するとともに、長期・短期の借入金のバランスを考慮した安定的な資金調達を行いながら、今後の事業成長に資するため事業運営上必要な手元流動性を高めることに努めております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、テーマを「新たな成長戦略に向けた経営リソース(人材、技術・生産設備、財務)の拡充」をメインテーマとした第5次中期経営計画「VISION2030」を前連結会計年度よりスタートさせ、当連結会計年度は2年目となりました。

この「VISION2030」における前半の5年間(「稼ぐ力」を蓄える期間)における具体的な数値計画は以下の通りとなっております。

(百万円)

 

2022年3月期

2023年3月期

(当期)

2024年3月期

2025年3月期

2026年3月期

売上高

28,160

29,400

31,200

33,000

35,300

営業利益

980

1,160

1,250

1,500

1,750

(営業利益率)

(3.5%)

(3.9%)

(4.0%)

(4.5%)

(5.0%)

 

 売上高及び営業利益(率)は、企業経営の基本的な指標であり、会社の本来の業務における収益性の判断材料として、重要な指標としております。

当連結会計年度における実績は、上記計画に対し売上高が2,556百万円下回り26,843百万円となりました。

この主な要因は、土木事業では繰越工事について、一部の大型工事において、取付道路の作業遅れ、下部工の進捗遅れに伴う引き渡し遅れなどを要因とした作業条件の見直しによる当社施工部分の工程遅れが発生したことによるものであります。また、建築事業では、耐震工事の発注遅れや首都圏におけるマンション建設現場において元請都合による進捗遅れに伴い、製品納入の遅延が発生しております。以上の要因により、当連結会計年度ではVISION2030の目標値を8.7%下回る結果となりました。

営業利益は、上記計画を938百万円下回り221百万円となりました。これは、売上高が計画を下回ったことに加え、海外の政情不安や供給不足、金融資本市場の変動、急激な円安による物価上昇など様々な要因により各種原材料、輸送費、労務費など諸々の建設コストの高騰の影響を受け、土木事業、建築事業ともに採算性が計画より悪化し売上総利益が減少したことによるものであります。工場等において原価低減に努め、販売費及び一般管理費の節減なども行いましたが、営業利益率は0.8%となり、VISION2030の目標値を3.0%下回る結果となりました。

 

投資につきましては、当社グループが建設業界に属していることから工事用機材の適切な維持更新は安全な施工を行うために不可欠であり、また、工場においても生産性の向上、省人・省力化等のために継続的な設備投資は不可欠と考えております。したがって、設備投資額を重要な指標のひとつとしております。

当連結会計年度における設備投資額は、1,248百万円であります。

老朽化設備の更新に加え、大型機材や工場製造設備といった設備増強、安全性・生産性の向上のための設備の取得などの設備投資が606百万円となりました。

さらに、生産力アップのため既存工場の本格的なリニューアル工事として、九州小竹工場リニューアル工事を前連結会計年度からスタートさせており、2年目を迎えた当連結会計年度においては、新FRW製造棟の建設を行い、クレーン等の機械装置の設置なども合わせ642百万円の設備投資を実施いたしました。今後の計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。

 

研究開発については、設立以来、新製品の開発、製造技術の合理化、現場工事における施工方法の開発、施工上の問題解決等の課題に挑戦しながら、社会のニーズに対応できるよう研究開発活動を実施していることから研究開発投資も重要な指標としております。新設した研究所での技術開発などを行った結果、当連結会計年度における開発費の額は154百万円で、売上高の0.6%となり、方針としている売上高の0.3%を達成する結果となりました。

 

財務につきましては、ROE(自己資本利益率)は投下した資本に対しどれだけの利益を獲得できたかを示す指標であり、重要な指標としております。

当連結会計年度においては、当期純利益がVISION2030の計画値を大きく下回る結果となったことに伴い連結で1.3%、個別で0.7%となり、方針としている7%超の目標を大きく下回る結果となりました。

また、当連結会計年度の設備投資額は、九州小竹工場のリニューアル工事の支出もあり1,248百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益123百万円の範囲を大きく超える結果となっております。そのため、自己資金に加え、借入金による資金調達を実施しております。

今後の工場リニューアルに関する資金については、翌連結会計年度においては自己資金での実施を予定しており、その後は借入金等による調達も視野に入れ検討しております。

 

当社グループは、株主に対する利益還元を経営の最重要課題の一つと位置付け、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を図りながら、安定配当を実施することを基本方針としており、配当性向を重要な指標としております。

当連結会計年度においては、前連結会計年度と同額の1株当たり9円の配当を実施し、配当性向は131.2%となり、方針としている20%超を維持しております。しかしながら、配当性向には期間損益に影響を受けやすいという特性もあることから、安定配当の指標として株主資本配当率(DOE)を配当検討の際の指標として加えることといたしました。株主資本配当率は1.5%超を目指すこととしており、当連結会計年度における株主資本配当率は1.6%であります。

 

また、「VISION2030」においては、SDGs<持続可能な開発目標>の17の目標への取り組みについても掲げております。「世界レベルのSDGs達成に貢献する企業グループ」を2030年に目指す姿の一つと定め、その実現に向けて、基本理念に基づいた重要と思われる5つの課題(マテリアリティ)及びその課題を解決するための活動方針(アクションプラン)を策定しております。

当連結会計年度において、当社グループではSDGs研修の実施をはじめとして、SDGsに寄与するため下記のような取り組みを実施いたしました。

① 前連結会計年度の北九州市に続き福岡市においても「福岡市SDGs登録制度」認定取得

② 4年連続で「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定取得

③ 社用車のハイブリット車への入替

④ 「いわき市カーボンニュートラル宣言」の賛同団体

 

福島県いわき市は、2022年11月24日に、市全体が一体となって2050年までに脱炭素社会を実現する想いと決意を市内外に表明するため、『いわき市カーボンニュートラル宣言』を行いました。同宣言は、気候変動に伴い増加する自然災害などの影響から大切な生命や暮らしを守り、ふるさとを将来世代に繋いでいくことを趣旨としております。

当社はこの趣旨に賛同し、2023年2月6日付でいわき市の「カーボンニュートラル宣言賛同団体」となりました。

当社は同市内でいわき工場を操業しており、同工場にて製品の製造工程におけるCO2排出量の算定や具体的な削減策の検討などを実施しております。また、敷地内には当社技術センターいわき研究所があり、カーボンニュートラルに資する技術開発も進めております。

今後も、他の5工場への展開を実施し、地球温暖化対策に積極的に取り組んでまいります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、設立以来より新製品の開発、製造技術の合理化、現場工事における施工方法の開発、施工上の問題解決等の課題を解決するため、社会のニーズに対応できるよう研究開発活動を行ってまいりました。

 当社グループでは、いわき研究所を中心とした研究開発活動を行っており、前連結会計年度は、いわき研究所の設備整備として事務所や材料試験設備等を有する研究棟の建設を行いました。今後も研究開発体制のさらなる整備を行う計画であります。
 当連結会計年度における土木事業・建築事業の研究開発総額は154百万円であり、主な内容は次のとおりであります。

 なお、研究開発費はセグメント別に管理しておりませんので、セグメント別の研究開発費の金額の記載は省略しております。

(1)土木事業、建築事業共通

① 省力化製造方法の開発

 近年、我が国では少子高齢化の影響により建設作業員の不足が顕在化し、今後もその傾向は強まるものと予想されています。当社グループでは、かねてより工場における製造方法の自動化・省人化に取り組み、製造効率の向上に努めてまいりました。さらに現場施工における生産性の向上と作業環境の改善を目指し、ICTを活用した施工方法の開発を進めております。

 

(2)土木事業

① 環境保全・防災に対応した製品・工法の開発

 政府は2050年を目標としたカーボンニュートラル達成にむけて、再生可能エネルギーの導入加速を求めています。当社グループでは、国・地方自治体・学協会と連携して風力発電の導入拡大の一端を担うべく、陸上ならびに洋上風力発電施設の発電コスト低減に寄与するプレストレトコンクリート構造物(ハイブリッドタワー・コンクリート製浮体)の研究開発を進めております。また、CO2の排出低減につながるコンクリート製品の製造方法の改良や製品の開発を進めております。

 近年頻発し激甚化している風水害に対応する防災インフラの製品・工法(PC矢板を用いた堤防強化構造)の開発を進めております。

 

② 各種メンテナンス工法の開発

 我が国では、構造物の老朽化が進む中、その長寿命化のためのメンテナンス工法の開発が求められています。当社グループでは新しい床版補修工法等にかかる高速道路各社等との共同開発など、高速道路リニューアルプロジェクトに対応した工法の開発を進めております。今後増加が見込まれる維持更新市場の中で、社会に求められる技術開発を進めます。

 

(3)建築事業

① 環境負荷低減型コンクリートを用いたプレキャスト部材の開発

 政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」を受け、建設業界においても低炭素化に対する取り組みが積極的に行われる中で、建築物におけるコンクリート躯体の低炭素化を実現すべく、低炭素型コンクリートを用いたプレキャスト部材の開発に着手し、早期の商品化を目指しています。

 

(4)不動産賃貸事業、その他の事業

研究開発活動は行っておりません。