第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

以下の文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。なお、当該将来に関する事項については、取締役会で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループの経営理念に「全員経営」「商品開発の考え方」「販売のための考え方」があります。

・「全員経営」では、社員のオープンでフラットな体制でプライドと人権を尊重します。

・「商品開発の考え方」は、商品の良し悪しを決定できるのはお客様のみであるという考え方です。

・「販売のための考え方」は、商品をお客様にお使いいただくようになるまでが販売であるとの考え方を示しております。

さらに、経営理念のこの3つの考え方には、社員の立場、お客様の立場、お取引先様の立場と、いずれも「相手の立場に立ちきる」という共通する考え方があります。

当社グループは、この考え方の下、人類の叡知により築き上げられた科学的成果を全社員の探求心と努力により発展、継承するとともに、次代の夢をコンピュータのソフトウエアという商品として実現させ、社会に提供することにより、社会の進歩と発展に寄与することを会社の目的としております。

 

(2) 経営戦略等

当社グループでは2022年5月に2022年度から2024年度を対象の事業年度とする中期経営計画をリリースいたしました。

中期経営計画では建設業界全体の構造変化が求められる中で、当社グループの社会的な存在意義及び長期的に目指す姿を明確にした上で、2025年度以降の新たなステップへ向けた成長起点を構築して参ります。

当社の長期的に目指すべき姿や2025年度以降の新たなステップへ向けた成長起点を構築、また定量目標達成のために『アカウント戦略の展開』『ターゲット規模に応じた戦略の展開』『人材機能・ガバナンスの強化』を重点施策として定めております。

『アカウント戦略の展開』では、「調査」「設計」分野においては次期システム開発でのリピート率向上へつながる提供方法へ変更を進めてまいります。次期システム開発は、着実な支援が行えるよう国策を捉え、継続的にキャッチ&リリースいたします。「施工」「維持管理」「情報共有」分野では新商品、クラウド、スマートデバイス分野で新規アカウントを獲得します。

『ターゲット規模に応じた戦略の展開』では、ターゲットをセグメント化しCADに加え既存商品や新たなサービスを含めたソリューション提供を行います。

『人材機能・ガバナンスの強化』ではターゲット別戦略を見据え、既存事業の持続的成長と新たな成長領域の展開が可能な機能再編し、併せて人材機能の強化にも取り組んでまいります。

また、本中期経営計画期間においては、成長への将来投資を行うため、イノベーティブ挑戦や事業持続性に向けた人材への投資や、事業拡大を先導するためのR&D投資にも取り組んでまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2022年度から2024年度を対象とする中期経営計画において、売上高営業利益率を目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として新たに定めました。

リソースの最適な配分により、更なる売上の増加、また収益の向上を目指し、各事業においてバリューチェーンを見直すことで、売上高営業利益率の目標達成に努めてまいります。

 

(4) 経営環境

当社グループを取り巻く経営環境は、建築業界では少子高齢化や世帯数の減少により市場の縮小が見込まれております。測量土木業界では、公共投資は短期的には一定の需要が見込まれますが、中長期的には人口減少や財政上の制約などを背景に市場の縮小が見込まれております。

一方で建設業界における新型コロナウイルス感染症対策として急速に広まったテレワークや遠隔臨場への対応は、今後の当社グループがソリューションの提供により支援できる課題として捉えております。

このように、建築・測量・土木分野に携わる企業は、厳しい経営環境の下、生き残りをかけた経営が求められております。当社グループは、こうした企業の遅れているとされますICTの活用を積極的かつ総合的に支援していくことが社会的使命であると認識しております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが属する建設業界は、少子高齢化、財政の逼迫に伴って中長期的に市場規模の縮小が見込まれます。このような環境の中、当社グループは以下の課題に取り組み、経営体質の強化に努めてまいります。

① 中長期的な成長へ向けた新製品・新サービスの創出

当社グループでは、中期経営計画にアカウント戦略によるユーザー数の拡大を掲げており、新たな製品・サービスの創出及び提供方法の見直しが課題であると考えております。この課題に対処するため、各事業のユーザーが求める製品の開発及びサービスの提供への取り組みを推進し、ユーザー数の増大を目指してまいります。

② 建設業のDX推進

当社グループは、調査・設計分野の建築・測量システムにおいて大きなシェアを有しておりますが、建設業界のDX推進にあたり、さらに施工・維持管理・情報共有分野における製品・サービスの開発強化を課題として捉えております。引き続きユーザーニーズに合致したシステムの開発及びサポート体制を充実させることにより、既存ユーザーの満足度向上を図るとともに、国策や法改正等を踏まえた市場のニーズを見極め、建設業界のDX推進を支援してまいります。

③ コーポレートガバナンスの強化

当社グループでは、独立社外取締役の選任やリスク・コンプライアンス活動、任意の諮問委員会の導入等を通じて、コーポレートガバナンスを強化して参りました。また、昨今の課題であるサステナビリティ経営のより一層の推進を図るため、サステナビリティ推進委員会を新設し、グループ全体でサステナビリティ経営の強化に取り組む体制を整備しました。引き続き、着実な事業の推進を支え、持続的な企業価値向上を後押しする経営基盤の強化の観点から、ガバナンス機能の強化及び法令遵守・内部統制の組織的整備に取り組んでまいります。

④ 人的資本への投資と職場環境等への配慮

中期経営計画における重点施策を迅速かつ確実に遂行するためには、イノベーティブ挑戦や事業持続性の実現ができる優秀な人材の確保、並びに社員教育が欠かせないと考えております。また、社員一人一人が求める人物像として成長、活躍するための職場環境整備や企業風土の醸成にも取り組んでまいります。

⑤ 気候変動対策・環境配慮の取り組み

当社グループでは、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を行い、気候変動がもたらす直接的な影響は軽微であると判断しておりますが、当社グループの市場である建設業界における影響は大きくなると予想され、市場の変化を見越した機会とリスクの見極めが課題となります。そのため、自社の再生エネルギー活用等の取り組みを進めるとともに、建設業界に対して最先端のICTソリューションを提供することで、GHG排出量低減に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、当該将来に関する事項については、取締役会で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。

 

サステナビリティ基本方針

当社グループは、建設業界における強みを活かして、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点で、中長期的に取り組むべき「マテリアリティ(重要課題)」を定めております。このマテリアリティに取り組むことで、ステークホルダーと共に、当社と社会の持続的な成長の実現に繋がると考えております。

また、環境や地域社会に関わるマテリアリティへ取り組む上では、各領域におけるペインやニーズを的確に捉え、ソリューションを提供していくことが重要と考えております。当社グループでは「建設業の思いを創る“INNOVATION for ALL”」をスローガンに掲げ、中期経営計画において重点施策を策定し、実現に向け取り組んでまいります。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、気候変動対策・人的資本戦略等のサステナビリティに関わる取組の管理・監督機関として、代表取締役を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しております。サステナビリティ推進委員会ではサステナビリティにかかわる基本方針や戦略案、課題への対応策、目標などの検討・協議を行うとともに、各事業会社及び部門における取組の進捗管理及び評価を行っております。また、サステナビリティ推進委員会で協議された事項は定期的に取締役会へ報告・提言される体制を整えております。特に、経営資源の配分や事業ポートフォリオ等の戦略にも関連する重要事項については、グループ各社の取締役及び執行役員が参加するグループ経営会議での情報共有を経て、グループ各社の取締役会にて決議するものとしており、最高意思決定機関である取締役会にて適切に監督される体制を築いています。

 

(2)戦略

 ① 気候変動

当社グループでは、サステナビリティ推進委員会にて気候変動関連リスク及び機会の特定・評価に必要なデータやパラメータの収集を行い、事業への影響度の評価を進めています。本報告年度中には国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の温度帯シナリオを参考に、脱炭素化が推進され2050年に社会全体でカーボンニュートラルが達成されるとした1.5℃シナリオ、地球温暖化が拡大し洪水をはじめとした風水害などの物理的被害が拡大するとした4℃シナリオの2つの仮定のもと、2030年時点における当社グループへの影響を分析しています。主な考察結果としては、脱炭素化を目指す国の方針としてカーボンプライシング制度の導入や再生可能エネルギーの普及促進など様々な脱炭素化への移行政策が拡大することを見込む中、当社グループへの直接的な財務的影響は軽微と考えているものの、こうした影響がお客様の財務圧迫につながり、システム投資意欲の低減から売上減少につながる間接的なリスクを想定しております。一方、環境データの管理や異常気象及び平均気温上昇といった影響を踏まえ、施工現場における省エネ化や省人化ニーズが想定されることから、そうしたニーズへの対応及び新製品・サービスの開発が機会となる可能性も認識しております。当社グループでは、これらの分析を踏まえ、2022年より進めている事業所における再生エネルギーの活用などの取り組みを一層促進していくとともに、当社グループの市場となる建設業界におけるGHG排出量の削減に寄与するため、これまで培ってきた技術力を活かし、さらなる対応策を検討してまいります。なお、より詳細な分析内容については、弊社ウェブサイト(URL  https://hd.fukuicompu.co.jp/sustainability/index.html)をご参照ください。

② 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社は、既存事業の更なる発展及び新たな価値創造のためには、基盤となる人的資本の充実が重要であると捉えており、採用・能力開発・人事評価等の各人事施策においては、経営戦略に照らし、当社が求める人物像を明確にした上で、公正性・納得性・透明性の高い人事制度を構築しております。また、当社グループでは、各人事施策の土台となる「職場環境・組織風土」の整備に注力し、そのうえで「人材採用」「能力開発」「人事評価/処遇」の各項目における施策の高度化に取り組むことで、人的資本投資の効果の最大化を図っております。これらの取り組みを通じ、個の成長が組織の成長を促す好循環型のスパイラルを生み出すことで、多様性の確保、従業員エンゲージメントの向上を図りつつ、新たな製品・サービスの開発及びそれらによるソリューション提案力の強化を目指してまいります。

また、多様性の確保については、当社は、当社グループの持続的な成長にあたり、性別、年齢、国籍等の属性に関わらない優秀な人材の採用及び社員育成が欠かせないと考えており、外部講師を招いた社員研修等を継続的に実施しております。また、期待する役割に対し優れた能力と実績が認められる社員については、性別、国籍、中途採用等の属性に関わらず管理職への登用を行う方針としております。

 

(3)リスク管理

当社グループにおけるリスク全般は、当社グループの定めるリスク管理規程に則って管理されております。また、リスク管理規程に基づいたリスクの洗い出しや評価、予防策の検討等をグループ全体で行うことを目的に、リスク・コンプライアンス委員会を設置しており、同委員会にてサステナビリティ関連リスクについても定期的に審議・検討を行っております。

各社各部門の従業員は、リスクの発生及び予測されるリスクに重要な変化があった場合、リスク・コンプライアンス委員会に通知することと定めております。また、外部環境の影響を受けやすいサステナビリティに関するリスクについては、サステナビリティ推進委員会と連携し、シナリオ分析等を通じてリスク評価を行うとともに、対応策についての検討・協議を行っております。リスク・コンプライアンス委員会にて重要と評価されたリスクやその対応策は、グループ経営会議を経て各社取締役会にて報告・決議されることとしております。また、決議された対応策は、取締役会の指示により各事業部門にて実行に移され、その進捗は内部監査やリスク・コンプライアンス委員会にて管理することとしており、これらの活動を通じ、取締役会にて実効的に監督しております。

 

(4)指標及び目標

① 気候変動

当社グループでは、国内経済界などの動向と足並みをそろえながらSBT基準に準拠したGHG排出量削減目標を設定し、2050年カーボンニュートラルの達成を目指しています。GHG排出量削減目標については、サステナビリティ推進委員会を主体として会社全体で進捗の確認を行っております。今後は、中長期的なGHG排出量の削減目標も検討の上、環境経営の指標の1つとしてその進捗を追ってまいります。なお、Scope1,2排出実績は、コーポレートサイト上にて定期的にその進捗状況を公開しています。

詳細につきましては、弊社ウェブサイト(URL https://hd.fukuicompu.co.jp/sustainability/index.html)をご参照ください。

② 人材の育成及び社内環境整備に関する方針における指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

現状では、人材の育成及び社内環境整備に関する方針における、定量的な指標及びその目標値については明確化できておりませんが、現状における実績については、「第1 企業の概況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」において記載しております。

なお、今後現状と理想とのギャップ及び動的な人材ポートフォリオの定量化に取り組んでいく過程で、適切な指標を定め、経営戦略に応じた目標値を設定のうえ、その実績を定期的に開示してまいります。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。また、当該将来に関する事項については、取締役会で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。

 

当社グループの業績は今後起こりうる様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。リスクが顕在化する可能性の程度や時期、またリスクが顕在化した際の当グループの経営成績等の状況に与える影響は外部環境に依拠することとなりますが、当グループでは下記、事業等のリスクに対し課題の顕在化を行った上で中期経営計画を策定し重点施策の取り組みによりリスクの低減に取り組んでおります。またリスク・コンプライアンス委員会の活動を通じてリスクの低減に取り組んでいます。

 

(1) 建築・測量・土木の各種CADソフトウエアへの依存について

当社グループは建築・測量・土木の各種CADソフトウエアの開発及び販売を主たる業務とし、またこれらのソフトウエアに関連する情報機器の販売も行っております。CADソフトウエア関連の販売実績の合計は、当連結会計年度における総販売実績の97.2%を占めております。また、当社グループが販売するソフトウエアの用途は、建築・測量・土木の専門分野に特化しており、当社グループの経営成績は、建設業界の動向に影響を受ける可能性があります。

また、当社グループは全国規模の営業網を効率的に運用することを目的として、主として販売代理店を活用し、事業展開を行っております。従って、何らかの事由により、当社グループとこれらの販売代理店との関係が悪化した場合等には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。この事業等のリスクに対し、課題の顕在化を行った上で中期経営計画を策定し、重点施策の取り組みによりリスクの低減に取り組んでおります。

 

(2) 急速な情報技術革新への対応について

当社グループの製品は、マイクロソフト社のOSであるWindowsで動作するソフトウエアが中心であります。昨今、アップル社のiOS、Google社のAndroid等のWindows以外のOSのタブレットやスマートフォンが急速に普及しており、建築・測量・土木の企業においても導入が進んでおります。また、さまざまなウェアラブル端末の登場や、インターネットを利用したクラウドサービスの展開が進んでいます。そのため当社グループは、iOSやAndroid等のWindows以外のOS対応、ウェアラブル端末やクラウドを利用したソフトウエアの開発及びサービスの展開、さらにマルチブラウザへの対応が急務であり、これらの対応時期の遅れや対応内容によっては、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

さらに、BIMやCIM等の普及に伴い、建設業界の業務体系にも大きな変化が起きる可能性があります。当社グループは、このような変化に対応する開発体制を整えることが必要であると認識し、また、先端技術に対する当社グループの製品の対応が可能であると考えております。しかしながら、技術革新に対する開発等のコスト負担が一時的に大きくなる可能性があり、また、対応の完了が遅れた場合等には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

(3) 知的財産について

ソフトウエア業界においては、多くの特許出願がなされており、当社グループにおいても新技術に対して積極的に特許出願を行っております。今後も数多くの特許出願が予測され、あわせて特許権侵害等の問題が生じることが考えられます。

現在、当社グループでは、必要に応じて顧問弁理士に調査を依頼するなど、製品開発において特許権の侵害等がないかチェックを行っております。また、リスク・コンプライアンス委員会の活動を通して課題と対応策の検討を行っております。しかしながら、見解の相違も含め、他社の特許権を侵害する可能性も含まれております。同様に、当社グループが保有する特許権について侵害される可能性もあります。

当社グループとしましては、第三者と知的財産権に関する問題が発生した場合、顧問弁護士及び弁理士と対応を協議していく方針ですが、案件によっては解決に時間と費用を要し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 個人情報保護について

当社グループでは、SaaSでのアプリケーション提供を行い、他企業の所有する個人データをクラウドで保有しております。

こうした個人情報の取扱いについて、当社グループは「個人情報の保護に関する法律」に従い、個人情報保護方針を策定し、社内及び当社ホームページにて公開しております。また、2008年6月に情報セキュリティ対策のための従業者の基本的行動指針を策定、ISMSに準拠した情報セキュリティシステムを構築し、個人情報の管理に努めております。

しかしながら、これらの対策にもかかわらず、重要な情報が漏洩した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の行動制限が緩和され経済活動の再開の動きが見られました。しかしながら、長期化したウクライナ情勢による影響を受け、原材料価格の高騰や国内外経済の下振れリスク、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があり、依然として不透明な状況が続いております。

一方で、大きく売上に寄与してきました国の施策であるi-Constructionの普及は継続しておりますが、後押しとなるIT導入補助金の対象主要事業の変更により、当社グループの主力事業である建設分野への影響は限定的となりました。

この結果、当社グループ(当社及び連結子会社)における当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高13,630百万円(前年同期比4.9%減)、営業利益5,583百万円(前年同期比11.6%減)、経常利益5,643百万円(前年同期比11.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,809百万円(前年同期比9.8%減)となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(建築システム事業)

建築システム事業の売上高は6,089百万円(前年同期比6.2%減)、営業利益は2,068百万円(前年同期比16.6%減)で減収減益となりました。当連結会計年度は、同セグメントにおきまして主に保守サービス及び3Dカタログサイトの継続取引社数が堅調に推移し、ストックビジネスは伸長した一方で、昨今売上を牽引したIT導入補助金が、主要対象事業の変更により採択件数が減少し、売上への寄与は限定的となりました。その結果、製品販売が伸び悩み前年同期比減収にて推移いたしました。

また、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限を緩和し、営業活動を再開したことで旅費及び展示会費等が増加し、前年同期比減益となりました。

(測量土木システム事業)

測量土木システム事業の売上高は7,044百万円(前年同期比0.9%減)、営業利益は3,338百万円(前年同期比1.9%減)となりました。測量土木システム事業におきましては、国の施策であるi-Constructionへの移行は今もなお継続しており、IT導入補助金が売上増加に寄与してきました。昨年度と比較し今年度はIT導入補助金の主要対象事業の変更により採択件数が減少しましたが、主に保守サービス等のストックビジネスは順調に推移したことにより、採択率低下が及ぼす売上高減少への影響は限定的となりました。その結果、売上は前年同期比概ね同水準となりました。

また、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限を緩和し、営業活動を再開したことで旅費及び展示会費、販促関連費等が増加し、前年同期比減益となりました。

(ITソリューション事業)

ITソリューション事業の売上高は497百万円(前年同期比31.8%減)、営業利益は189百万円(前年同期比29.6%減)と前年同期比で減収減益となりました。昨年度は2021年10月に行われた衆議院選挙の出口調査システムにかかわる大口の売上を計上しており、今年度は2022年7月の参議院選挙にかかわる売上を計上しておりますが衆議院選挙に比べ売上規模が小規模であるため、減収減益となっております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」)期末残高は、前連結会計年度末より1,026百万円増加し18,053百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因につきましては以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、2,981百万円(前連結会計年度は4,650百万円の獲得)となっております。主な要因としましては、税金等調整前当期純利益5,643百万円、減価償却費281百万円、未払消費税等の減少240百万円、法人税等の支払額2,713百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、714百万円(前連結会計年度は188百万円の使用)となっております。主な要因としましては、投資有価証券の取得による支出703百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、1,240百万円(前連結会計年度は1,033百万円の使用)となっております。主な要因としましては、配当金の支払いによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

建築システム事業(百万円)

5,860

93.5

測量土木システム事業(百万円)

6,686

99.3

ITソリューション事業(百万円)

497

68.2

合計(百万円)

13,044

95.0

 

(注) 金額は販売価格で表示しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

建築システム事業(百万円)

176

98.0

測量土木システム事業(百万円)

283

92.4

ITソリューション事業(百万円)

合計(百万円)

459

94.5

 

 

c.受注実績

当社グループは、主にパッケージソフトウエアの開発及び販売を行っており、個別受注に基づく製品の生産の割合が少ないため記載を省略しております。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

建築システム事業(百万円)

6,089

93.8

測量土木システム事業(百万円)

7,044

99.1

ITソリューション事業(百万円)

497

68.2

合計(百万円)

13,630

95.1

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、当該将来に関する事項については、取締役会で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。

a.経営成績等

1) 財政状態

(資産)

当連結会計年度末における総資産は、26,743百万円となり、前連結会計年度末より2,149百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金、投資有価証券の増加によるものであります。

(負債)

負債合計は5,059百万円となり、前連結会計年度末より570百万円減少しました。主な要因は、未払法人税等の減少によるものであります。

(純資産)

純資産は21,683百万円となり、前連結会計年度末より2,719百万円増加しました。これに伴い、自己資本比率は81.1%となっております。

 

2) 経営成績

(売上高)

当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の行動制限が緩和され経済活動の再開の動きが見られました。しかしながら、長期化したウクライナ情勢による影響を受け、原材料価格の高騰や国内外経済の下振れリスク、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があり、依然として不透明な状況が続いております。

一方で、大きく売上に寄与してきました国の施策であるi-Constructionの普及は継続しておりますが、後押しとなるIT導入補助金の対象主要事業の変更により、当社グループの主力事業である建設分野への影響は限定的となりました。

この結果、当社グループ(当社及び連結子会社)における当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高13,630百万円(前年同期比4.9%減)、営業利益5,583百万円(前年同期比11.6%減)、経常利益5,643百万円(前年同期比11.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,809百万円(前年同期比9.8%減)となりました。

製商品・サービスとしましては、ソフトウエアが前年同期比809百万円減少の7,165百万円となっております。これは主に、先述の「IT導入補助金」の対象主要事業の変更により、当社グループの主力事業である建設分野への売上への影響は限定的となったことによります。しかしながらストックビジネスである保守サービスの売上高5,582百万円(前年同期比325百万円増)は堅調に契約数を伸ばしております。

選挙関連の売上高は、前年度2021年10月に行われた衆議院選挙の出口調査システムにかかわる大口の売上を計上しており、今年度は2022年7月の参議院選挙にかかわる売上を計上しておりますが衆議院選挙に比べ売上規模が小規模であるため、388百万円(前年同期比226百万円減)となっております。

なお、セグメント別売上高につきましては、後述しております。

 

(営業費用)

当連結会計年度の営業費用は、前年同期比31百万円増加の8,047百万円となっております。これは主に、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限を緩和し、営業活動を再開したことによる旅費及び展示会費等の増加に伴うものであります。当社の特徴としましては、費用に占める人件費の割合が高く、営業費用の66.7% (前年同期は69.0%)を占めております。

 

(営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の営業利益は、前年同期比731百万円減少の5,583百万円となっております。

営業外損益では、営業外収益が69百万円となり、営業外費用では投資有価証券売却損を10百万円計上し、経常利益は前年同期比715百万円減少の5,643百万円となっております。
 特別利益、特別損失は発生せず、法人税等1,834百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比413百万円減少の3,809百万円となっております。
 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に挙げておりますとおり、当社グループの今後の成長と発展のためには、人材への投資が重要であると認識しております。そのために、採用、育成及び教育に注力してまいります。

 

b.セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高減の分析)

全体の売上高としまして、前年度14,331百万円、当年度13,630百万円となっており、当年度は700百万円(前年同期比4.9%減)と減少しております。建築システム事業の売上高が404百万円減少したこと、また、測量土木システム事業の売上高が64百万円減少、ITソリューション事業の売上高が232百万円減少したことによります。

(建築システム事業)

当連結会計年度における建築システム事業の売上高は、前年同期比404百万円減少の6,089百万円となっております。これは、先述の昨今売上を牽引したIT導入補助金が、主要対象事業の変更により採択件数が減少し、売上への寄与が限定的となったことによります。

 営業費用は、前年同期比7百万円増加の4,020百万円となっております。その結果、営業利益は、前年同期比412百万円減少の2,068百万円となっております。

(測量土木システム事業)

当連結会計年度における測量土木システム事業の売上高は、前年同期比64百万円減少の7,044百万円となっております。これは、先述の昨年度と比較し今年度はIT導入補助金の主要対象事業の変更により採択件数が減少しましたが、主に保守サービス等のストックビジネスは順調に推移したことにより、採択率低下が及ぼす売上高減少への影響は限定的となったことによります。

営業費用は、前年同期並の3,705百万円となっております。その結果、営業利益は前年同期比63百万円減少の3,338百万円となっております。

(ITソリューション事業)

当連結会計年度におけるITソリューション事業の売上高は、前年同期比232百万円減少の497百万円となっております。これは、先述の選挙における実施規模の差による影響であります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

1) キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2事業の状況 4(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2) 資金需要

当社グループにおける資金使途としましては、主たる事業が建築・測量・土木ソフトウエアの開発及び販売であることから、開発部門及び営業部門の人件費が中心となる営業費用、配当金や税金の支払いなどとなっております。

また2022年度から2024年度を対象とする中期経営計画において、市場深堀やイノベーションの新規市場開拓を目標にさらなる成長に向け努めており、目標達成のためのCVC投資、また事業拡大を先導するためのR&D投資も行ってまいります。

3) 将来投資

将来を見据え、次のような投資を検討の上、行ってまいります。

・建築、測量、土木が揃う「当社グループの強み」が活きるビジネスへの投資

・BIM(ビルディング インフォメーション モデリング)、CIM(コンストラクション インフォメーション モデリング/マネジメント)の推進につながる投資

・「メーカー」としての更なる成長のため、開発力の向上、新研究開発への投資

4) 財政政策

当社グループでは、現在、運転資金及び設備投資資金、CVC投資資金、R&D投資資金につきましては、内部資金で賄うこととしております。

自己株式取得につきましては、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を可能にするため、必要と判断した場合、市場環境、当社の財政状態を鑑みながら行ってまいります。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2022年度から2024年度を対象とする中期経営計画において、売上高営業利益率を目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として新たに定めました。

リソースの最適な配分により、更なる売上の増加、また収益の向上を目指し、各事業においてバリューチェーンを見直すことで、投入するリソースと利益水準を改善してまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動としましては、新技術の基礎研究と新製品の開発及び既存製品の改良・改善を主として行っております。当連結会計年度の研究開発費の総額は718百万円となっております。

当連結会計年度における各セグメント別の主な研究目的、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

 

(1) 建築システム事業

建築設計事務所、工務店向け3次元建築CADシステム「ARCHITREND」シリーズについては、2025年4月に予定される省エネ適合義務化対応を見据えた省エネ設計への対応や、クラウドを活用した設計支援機能を強化しました。

写真と見間違えるかのようなフォトリアルCGを簡易な操作のみで作成可能なオプションプログラム「ARCHITREND V-style」の表現力や操作性を更に向上し、訴求力の高いビジュアライゼーションを実現いたしました。

また、データ共有サービス「ARCHITREND Drive」では、社外の協力設計事務所と同一環境で建築設計が可能となる機能を実現し、「ARCHITREND ZERO」との連携により新しい設計業務フローを実現しました。

iPad専用の間取り作成アプリ「まどりっち」では、iPadアプリで作成したラフスケッチと3次元建築CADシステム「ARCHITREND ZERO」の相互連携を強化し、累計13万件以上の皆様にご利用頂いております。

 

BIM建築設計・施工支援システム「GLOOBE」シリーズについては、国土交通省が推進する建設現場の「生産性向上」「働き方改革」の実現に向けて、施工現場向け機能を強化し、2023年3月「GLOOBE 2023」としてアップデートしました。

3Dレーザースキャナーや、LiDAR(ライダー)等から取り込んだ3D点群データの加工・編集を簡易な操作で対応可能な「GLOOBE 点群アシストオプション」を新たに発売し、建築現場での点群データ活用による生産性向上にも取り組みました。

「GLOOBE Construction」では、建築本体工事の要となる躯体計画、さらには3Dモデルと完全連動する3Dモデル工程シミュレーション機能を搭載して“施工現場の見える化”を実現しました。「GLOOBE Architect」では、BIM建築確認申請を見据えた法規連携機能を強化いたしました。

 

以上の結果、建築システム事業に係る研究開発費は、379百万円となっております。

 

(2) 測量土木システム事業

2023年の原則BIM/CIM化により、建設業の全てのプロセスにおいて3次元データが流通し、利活用が推進されることが予想されます。その全てのプロセスにおいて、新しいソリューションを提供する為の開発を行っております。

 

測量業向けには、測量CADシステム「TREND-ONE」について、点群を活用した河川定期縦横断の新規オプション、UAV/TLSオプション機能強化など、3次元データ活用を強化したVer.6を2022年9月にリリースしております。また、用地測量を行う測量会社・建設コンサルタント向けに、土地実地調査書作成を支援するオプションも新たに提供を開始しております。

 

設計業向けには、道路設計3DCADシステム 「TREND ROAD Designer」を新規に開発し、2023年7月のリリースを予定しております。設計からの施工や維持管理に繋がるソリューション提供を目指しております。

 

建設業向けには、CIMコミュニケーションシステム「TREND-CORE」について、設計業務で作成された3次元データの流通を見据え、3次元モデル成果物作成要領(案)に対応したVer.9を2023年1月にリリースしております。

3D点群処理システム「TREND-POINT」については、i-Constructionの更なる普及促進と生産性向上支援を目的とした、点群による様々な出来形計測を実現したVer.10を2022年9月にリリースしております。

土木施工管理システム「EX-TREND武蔵」については、データ共有クラウドサービス「CIMPHONY Plus」を介して外業で利用する現場計測アプリ「FIELD-TERRACE」と連携し、外業内業双方の業務効率化を図る機能強化を行ったVer.23を2023年2月にリリースしております。

 

さらに維持管理業向けには、2021年4月に東北大学大学院工学研究科に開設した「インフラ情報マネジメントプログラム共同研究部門」において「インフラ情報マネジメントシステム」を構築し、2022年度より2つの自治体での運用が開始されております。自治体での運用を行いながら、引き続き新しいインフラメンテナンスサイクルシステムの実現に向けた活動を行っております。

以上の結果、測量土木システム事業に係る研究開発費は、271百万円となっております。

 

(3) ITソリューション事業

大規模建築の作業所において、作業間調整、連絡、確認作業にかかわるコミュニケーションや事務作業が、確実性の担保、生産性向上の足かせとなっています。この問題を解決するべく、引き続き大手ゼネコンとのプロジェクトを通じ、作業所で活用するスマートデバイスアプリ並びに作業所におけるユーザー管理について研究開発を行ってまいりました。

この結果、研究開発費は67百万円となっております。