(1) 会社の経営の基本方針
①当グループの原点
日本では明治時代以降に信託制度が導入され、1922年には「信託法」、「信託業法」が制定されました。これらにより、信託制度が確立され、本格的な発展期を迎えることとなりました。
1924年には「信託業法」に基づく日本最初の信託会社として三井信託株式会社が設立されております。1925年には住友信託株式会社が設立され、1962年には中央信託銀行株式会社が設立されております。これら信託会社・信託銀行が当グループの中核子会社たる三井住友信託銀行株式会社の母体となっており、「信託」が当グループの原点となっております。
当グループは、「信託」の受託者精神に立脚し、「信託」の力で各時代におけるお客さまのニーズや社会の要請に応じて、新たな価値創出に「挑戦」し、日本の発展に貢献する「開拓」の姿勢を、創業以来貫いてまいりました。
例えば、戦後の高度成長期には、重厚長大産業向けの設備投資資金ニーズに応える「貸付信託」を中心に、日本の経済成長を支えてきました。
1960年代からは、企業年金の制度設計・資産運用・資産管理を三位一体で提供する「年金信託」の受託者として、勤労者の充実した老後の生活を支援しております。
2000年以降は、「信託法」、「信託業法」の改正を契機に、時代に合った新たな商品・サービスの提供を通じて、社会課題に向き合っております。
当グループはまさに「信託」を原点とし、「信託」とともにその歴史を歩んでおり、今後もさらなる飛躍に向けて歩みを進めてまいります。
(三井住友信託銀行株式会社の主な変遷)

(三井住友信託銀行株式会社の信託財産残高推移)

(※)2012年3月期以前の信託財産残高については、三井住友信託銀行株式会社統合前の各社の信託財産残高を
合算して算出しております。
②当グループの基本方針
当グループは、目指す企業グループ像を明確にするため、次のとおり存在意義(パーパス)、経営理念(ミッション)、目指す姿(ビジョン)、行動規範(バリュー)を定めております。
信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる
①高度な専門性と総合力を駆使して、お客さまにとってトータルなソリューションを迅速に提供してまいります。
②信託の受託者精神に立脚した高い自己規律に基づく健全な経営を実践し、社会からの揺るぎない信頼を確立
してまいります。
③信託銀行グループならではの多彩な機能を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出し、株主の期待
に応えてまいります。
④個々人の多様性と創造性が、組織の付加価値として存分に活かされ、働くことに夢と誇りとやりがいを持てる
職場を提供してまいります。
「The Trust Bank」の実現を目指して
当グループは、信託の受託者精神に立脚し、高度な専門性と総合力を駆使して、銀行事業、資産運用・管理事業、
不動産事業を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出する、本邦最大かつ最高のステイタスを誇る
信託銀行グループとして、グローバルに飛躍してまいります。
当グループの役員・社員は、グループ経営理念を実践するため、以下の6つの行動規範を遵守してまいります。
お客さま本位の徹底 -信義誠実-
私たちは、最善至高の信義誠実と信用を重んじ確実を旨とする精神をもって、お客さまの安心と満足のために
行動してまいります。
社会への貢献 -奉仕開拓-
私たちは、奉仕と創意工夫による開拓の精神をもって、社会に貢献してまいります。
組織能力の発揮 -信頼創造-
私たちは、信託への熱意を共有する多様な人材の切磋琢磨と弛まぬ自己変革で、相互信頼と創造性にあふれる
組織の力を発揮してまいります。
個の確立 -自助自律-
私たちは、自助自律の精神と高い当事者意識をもって、責務を全うしてまいります。
法令等の厳格な遵守
私たちは、あらゆる法令やルールを厳格に遵守し、社会規範にもとることのない企業活動を推進してまいります。
反社会的勢力への毅然とした対応
私たちは、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力に対して、毅然とした姿勢を貫いてまいります。
(2) 金融経済環境
当連結会計年度の金融経済環境を見ますと、海外では、欧米を中心に高インフレと金融引き締めによって景気の減速感が強まりました。2023年3月に米国の地方銀行が利上げの影響を受けて破綻すると、欧米の金融システムへの懸念が広がりました。国内では、サービス部門を中心に景気は総じて持ち直しの動きが続きましたが、輸出は海外経済の減速を受けて2022年12月頃から弱さが目立ち、個人消費には物価上昇が重荷となりました。
金融市場では、世界的な景気後退懸念が株価の下押し要因となり、日経平均株価は27,000円を中心に軟調に推移しました。10年国債利回りは、日本銀行が設定する変動許容幅の上限の0.25%近辺で推移してきましたが、2022年12月に変動許容幅が拡大されると0.50%前後まで上昇し、2023年3月に米国の2023年内の利下げ観測が強まると、0.30%前後まで急低下しました。ドル円レートは、日米の金融政策スタンスの違いを反映して、2022年10月には150円前後まで円安が進みましたが、米国のインフレ率のピークアウトが明確になると、130円台まで円高方向へ調整されました。
(3) 事業の経過
当グループは、「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる」という存在意義(パーパス)のもと、事業運営を推進しております。
SDGs・ESG経営の加速やデジタル化の進展に加え、食料・エネルギー価格高騰によるインフレや海外での金融引き締めによって景気の減速感が強まる中、中期経営計画の最終年度にあたる2022年度は、パーパスの実現に向け、以下3つの重点テーマの取り組みを進めました。
① 好循環を加速する事業ポートフォリオの強化
当グループは、付加価値の高い商品・サービスの提供と、新たな価値を創出するための投資等を通じ、様々なステークホルダーによる「資金・資産・資本の好循環」を促進・先導していくことを目的として、三井住友信託銀行において、個人・法人・投資家のお客さまを軸とした事業体制への組織再編を実施しました。
個人のお客さまには、三井住友信託銀行において、「人生100年時代」を見据え、幅広いお客さまの資産形成をサポートするスマートフォンアプリ「スマートライフデザイナー」の提供を2022年4月に開始しました。預金・株式等の金融資産から、住宅ローン、年金まで、資産・負債に関する情報を一元的に把握し、ライフプラン設計と計画的な資産形成を後押しする取り組みを進めています。
UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント株式会社では、UBSグループの資産運用・証券サービスと当グループの相続・資産承継、不動産等の幅広い商品・サービスを組み合わせ、多様かつ複雑なニーズを抱えるお客さまに最適なソリューションを提供しています。
住信SBIネット銀行株式会社では、ネット銀行ならではの利便性とセキュリティを両立したアプリや、決済・預金・貸出などの銀行機能をパートナー企業に提供するNEOBANKサービスが高く評価され、預金口座数は600万件、預金総残高は8兆円を突破しました。また、2023年3月には東京証券取引所スタンダード市場へ上場し、引き続きグループ各社と新たな金融サービス実現に向けた協業を進めてまいります。
法人のお客さまには、「ESG/サステナブル経営」への取り組みが重要となる中、グループ各社が連携し、脱炭素へのトランジション(移行)に向けた対応、ガバナンス体制の整備、人的資本経営等へのソリューションを拡充しました。
三井住友信託銀行では、次世代エネルギー等の先進的な技術の社会実装や、企業の脱炭素やトランジションを後押しする「インパクト・エクイティ投資」の取り組みを本格化しました。
2023年1月には、米国の電力エネルギー・環境インフラに特化したプライベートエクイティマネージャーであるEnergy Capital Partners(ECP)と業務提携を行いました。ECPのエネルギー・環境に関する知見と投資ノウハウを活用し、トランジションにつながるソリューションを拡充・強化するとともに、脱炭素領域における市場創造を通じたお客さまへの投資機会提供に向けた取り組みをスタートさせています。
企業年金・公的年金基金や金融法人など投資家のお客さまには、当グループの投資機会の発掘力・商品の組成力を発揮し、不動産や非上場株式等のプライベートアセットの提供を拡大しました。三井住友信託銀行においては、株・債券以外の非伝統資産や実物資産などを運用対象とするオルタナティブ投資の商品開発・拡充を進め、預かり残高を拡大させました。
資産運用業務においては、グループ一体での運用戦略の下、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社において、ESG投資の世界的な拡大を捉え、気候変動対応や森林保護等の国際的なエンゲージメント活動に注力するとともに、日興アセットマネジメント株式会社においては、競争力のある運用商品の開発とラインアップの拡充を通じ、国内外のお客さまの多様なニーズにお応えしました。
資産管理業務においては、株式会社日本カストディ銀行や三井住友信託銀行を中心に、お客さまのニーズを起点に機能強化・サービス向上を図りました。また、デジタル技術を活用した業務プロセス改善や基幹システムの共通化による効率化・コスト削減を進め、競争力の強化に取り組みました。
② 持続的成長に向けた戦略投資の推進
お客さまや社会が抱える課題解決への貢献と、当グループ自身の持続的成長の両立に向け、新たな成長機会や市場創出に向けた戦略的な投資を加速しました。
オルタナティブ運用において世界トップクラスの実績を有するApolloグループと業務提携を行い、同グループが運用するプライベートアセットポートフォリオに、三井住友信託銀行が総額15億ドルの投資を行いました。同グループのビジネス基盤とノウハウを活用した海外市場へのアクセス強化や新たな運用商品開発により、国内のプライベートアセットの市場創出、投資機会の提供拡大によるソリューション強化に向けた取り組みを開始しました。
一方、政策保有株式については、「従来型の安定株主としての政策保有株式は原則すべて保有しない」方針のもと、三井住友信託銀行において、法人のお客さまとの丁寧な対話を重ね、取得原価ベースの削減目標(2年間)1,000億円を達成しました。これにより生み出された投資余力を活用し、気候変動対策・脱炭素などの取り組みを自らが投資者となって後押しするインパクト・エクイティへの投資を進めるなど、持続的成長に向けた経営資源の有効活用に取り組んでいます。
③ お客さまの信任に応える経営基盤の高度化の取り組み
イ.業務品質の向上
当グループでは、ステークホルダーへの価値提供の源泉となる、「業務品質」を競争優位の重要な要素と位置づけ、強化しています。
リスクの低減や未然防止に向けたガバナンス態勢強化という「守りの品質強化」の観点から、リスク管理・コンプライアンス態勢の分野への重点的な人員配置やシステム投資を行いました。
また、業務フローの集約や共通化による生産性の向上、お客さま評価を起点とした業務プロセス変革により、お客さまの期待を超えるサービス品質を確保するという「攻めの品質強化」の取り組みを進めています。
ロ.人材活躍の推進・人的資本投資
当グループ特有の専門性の高い業務を支えるのは、社員一人ひとりであり、社員が能力を最大限に発揮することが、お客さまや社会への価値の提供につながると認識しています。
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを一層加速するため、女性活躍推進、育児や介護と仕事の両立、人権・LGBTQに資する環境・人事制度の整備に向けた取り組みを進めました。その結果、Bloomberg社より、男女平等を推進する企業として「2023 Bloomberg Gender-Equality Index」に2019年以降5年連続で選定されました。
脱炭素やデジタル化等の注力領域では、テクノロジー・ベースド・ファイナンスチームをはじめ、専門知識を有するエキスパート人材の確保に注力し、多様な人材ポートフォリオの構築を進めました。
また、お客さまや社会への貢献や新たな価値創造の実現に向け、社員への人的資本投資強化の一環として、三井住友信託銀行の社員向けインセンティブ・プランであるRS信託(株式報酬制度)を導入しました。
ハ.サステナビリティ経営
2022年度はNet-Zero Banking Alliance(NZBA)やNet-Zero Asset Managers initiative(NZAMI)の枠組みに即した2030年中間目標の設定に関する状況のほか、当グループの機能を活用した脱炭素社会の実現に向けた取り組みについて公表しました。
また、環境・社会・経済に好影響を与える活動の継続的な支援を目的とする「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の取り組みや、インパクト評価に関する各種アドバイザリー業務などの商品・サービスの提供を拡大しています。こうした活動が評価され、21世紀金融行動原則「2022年度最優良取組事例環境大臣賞(総合部門)」を受賞いたしました。
(4) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
2022年は、信託法・信託業法の制定から100年の節目の年でした。2024年には、当グループの創業100年を迎えます。「信託の力」で各時代のお客さまのニーズや社会の要請に応じて、新たな価値の創出に果敢に「挑戦」し、我が国の発展に貢献する「開拓」の姿勢は、創業以来、いつの時代も変わりません。
当グループを取り巻く環境が急激に変化する中、創業の原点に立ち返り、信託グループとしての使命、果たす役割を改めて強く意識し、「『信託の力』で、次の100年を切り開く」をコンセプトとする新たな中期経営計画を策定しました。


具体的には、以下の3つのテーマを設定し、施策を実行してまいります。
① 信託グループらしいビジネスの成長と資本効率の向上
イ.価値創造領域への取り組み
我が国の最大の金融・社会課題は、約3,000兆円と言われる個人資産や企業の資金が、投資や消費に回らず、停滞していることであると考えています。
当グループが実現したい「資金・資産・資本の好循環」とは、個人を含む投資家が有望な事業に投資を行い、株価上昇や配当などの投資の果実が国民の資産形成に繋がり、企業は業績向上により投資や雇用の拡大を進める、という一連の行動による経済全体の持続的成長です。
銀行、機関投資家、不動産などの機能を有する当グループは、資金・資産・資本が動くあらゆる市場、インベストメントチェーンに関わる存在として、信託機能を活用し好循環を促す社会インフラの役割を担い、次の領域で新たな価値を創造してまいります。
(ⅰ)人生100年時代
個人のお客さまに対し、年金・不動産業務で培った知見を活かして、将来のキャッシュフローや資産・負債の全体像を捉えた、トータルなコンサルティングを提供します。これらの取り組みを通じた、人生100年領域における認知度とお客さま満足度の向上により、「本邦No.1の人生100年応援モデル」の確立を目指してまいります。
(ⅱ)ESG/サステナブル経営
法人のお客さまに対し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)に関する課題をサーベイ(調査)等で可視化し、お客さまとの対話に基づくグループ一体のソリューション提供により、課題解決や持続的成長に向けたトランジションを強力にサポートします。環境関連では、脱炭素に向けたソリューションの拡充等により、お客さまから「GX(グリーントランスフォーメーション)No.1金融機関」と評価されることを目指してまいります。
(ⅲ)地域エコシステム及びグローバルなインベストメントチェーン
当グループが実現したい「資金・資産・資本の好循環」に共感するパートナーとネットワークを構築し、当グループ単独では実現困難な価値を共創します。地域においては、産・官・学・金が連携し、地域の課題を解決するとともに、利益をもたらす資金循環プロジェクトを創出し、持続可能なエコシステムを構築します。グローバルにおいては、海外パートナーとの連携を強化し、プライベートアセット投資の小口化等により、個人を含む国内投資家に優れた投資機会を提供します。
ロ.資産運用・資産管理ビジネス戦略
資産運用では、アジア最大の資産運用グループとして、グループの強みを融合し、多彩な機能を組み合わせた独自のソリューションを提供するとともに、お客さまとの長期的な信任関係を構築します。
資産管理では、AI等により、業務の効率化・標準化を図り、特徴的なサービス提供を通じて、規模拡大の土台を確立します。さらに、プラットフォームビジネスの構築を進め、グループ内に留まらず、業界全体に展開することで、日本市場全体の発展に貢献してまいります。
ハ.DX戦略(信託×DX)
AIやクラウドサービスによって、多様な業務を取り扱う当グループ特有の情報・データを利活用する機会が拡大しています。
デジタル活用により、お客さま基盤の拡大や新たな市場の創出を図るとともに、信託グループとしての知見・ノウハウを標準化・汎用化し、高品質なサービス・ソリューション等を幅広く提供してまいります。
ニ.財務資本戦略
信託グループらしいビジネスモデルを推進し、2030年度までにROEは10%以上、親会社株主純利益3,000億円以上を目指します。また、社会課題の解決や市場の創出・拡大に貢献する投融資、資産運用・管理の残高(Asset Under Fiduciary)等の基盤を拡大し、早期にPBR1倍以上(時価総額3兆円以上)が達成できるよう、着実に歩んでまいります。
② 未来適合に向けた人的資本強化
社員のWell-beingを基軸とした人的資本の強化を図ります。自律的なキャリア形成を促し、一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮し、働きがいを実感できる環境を目指します。
また、付加価値の高い人材を育成し、多様性と専門性を有し、好循環を加速する人材のポートフォリオを構築します。キャリアプランやライフイベントに応じた多様な働き方をサポートする人事制度・運営への見直しを図ります。
加えて、多様な人材の違いを認め合い、少数者への配慮を欠くことなく、個々人の持ち味を尊重し、公平・公正に活躍できる企業風土を醸成してまいります。
③ 経営基盤の高度化
私たちは、お客さまの想いを実現するフィデューシャリー(受認者)として、お客さまの最善の利益のため、期待を超える堅確な業務運営と万全な管理態勢を追求してまいります。
業務インフラを高度化し、多様な社員が場所に依拠せず、最大限のパフォーマンスを発揮できる「新しい働き方」へ変革を進めます。
また、創業100年の節目を迎えるにあたり、社員一人ひとりが創業の原点に立ち返り、プロフェッショナルとしての働きがいを実感できるよう、各ステークホルダーに向けた発信等に取り組んでまいります。
資本運営については、資本の十分性と効率性の観点から、成長投資、株主還元、人的資本投資等、各ステークホルダーに対し、規律ある投資・分配を実施します。
報告セグメントにおける目指すべきビジネスモデルは、以下のとおりであります。
なお、当グループは、付加価値の高い商品・サービスの提供と、新たな価値を創造するための投資等を通じ、様々なステークホルダーによる資金・資産・資本の好循環を促進・先導していくことを目的として、2022年4月1日付で三井住友信託銀行株式会社の改組を実施し、報告セグメントを変更いたしました。
(個人事業)
人生100年時代を迎え、お客さまの「長く充実した人生を過ごすこと」への関心がますます高まるとともに、将来に向けた資産形成・運用や高齢期における資産管理、相続・資産承継に関する悩み・不安が、各世代における社会課題として顕在化してきています。
個人事業では、信託銀行グループならではの高度な専門性と多彩な商品・サービスを駆使しながら、個人のお客さまの世代やライフイベントなどに応じて変化する資産・負債の特性を踏まえたトータル・コンサルティングを通じてお一人お一人に寄り添った最適なソリューションをご提供することで、お客さまの「ベストパートナー」となり、長期間にわたる信頼と安心を培っていくことを目指しています。
(法人事業)
革新的なIT技術・産業素材・工業技術の登場とライフサイクルの短期化、デジタル化の急速な進展、ステークホルダーとの対話の重要性拡大、脱炭素化・SDGs実現に向けた対応の加速など、企業を取り巻く環境は従来以上のスピードで変化するとともに、ますます複雑さを増しています。
創業来培ってきた「信託銀行ならではの多彩さ・専門性を強化」し、これらを複雑・高度に融合させ、お客さまと社会の顕在化した課題はもとより、潜在的な課題の解決にも貢献する「トータルソリューションモデルを進化」させることを通じて、お客さまと社会から「ベストパートナー」に指名される金融機関を目指しています。
(投資家事業)
投資家事業においては、ESG投資など社会課題解決に繋がる運用商品の開発や社会的価値の創出に注力することに加え、資産管理事業においては、IT・デジタル技術の活用による資産管理・データサービスの強化など資金等の好循環を創出する各種サービスの高度化に取り組みます。また、地産地消型のエネルギー循環など地域経済エコシステム構築への貢献やライフプランマネジメントを通じたFinancial Well-beingサポートなど、多様な投資家のお客さまの経営課題に寄り添いながら社会課題解決に貢献していきます。
(不動産事業)
法人向け不動産仲介・コンサルティングは、国内外の金融機関・不動産会社等とのネットワークも生かして、不動産に関する多彩な機能をご提供し、企業価値向上と経営課題の解決を目指します。個人向け不動産仲介は、お客さまのライフステージに即した不動産情報のご提供を拡充し、お客さまの資産価値最大化を追求します。
本邦No.1の規模である不動産証券化信託や不動産投資法人関連業務は、不動産投資市場の拡大を支えるインフラとして、堅確な業務継続を実現し社会的使命を果たします。これらの業務を通じ、お客さまの不動産の「ベストパートナー」を目指します。
(マーケット事業)
先進国の金融政策、新興国の景気動向に加えて、世界的な政治情勢、地政学リスク、パンデミック発生など市場を取り巻く不確実性は高まっています。お客さまの保有資産やバランスシートにも市場リスクが存在しており、マーケットボラティリティ(市場変動)を適切にマネージするソリューションをご提供することでお客さまの資産価値を守っていきます。
マーケティング業務・マーケットメイク業務の知見に加えて、投資業務や財務マネージ業務における長年の経験に裏打ちされた市場リスクコントロールの技術も活用するなど、専門家集団によるボラティリティマネージのあらゆるノウハウを活用し、お客さまに最適なソリューションをご提供していきます。
(運用ビジネス)
今後も長期的にグローバルな資産運用ビジネスの成長が見込まれる一方、地政学リスク、新型コロナウイルス感染症などのパンデミックリスクに加え、競争激化や規制強化による運用手数料低下圧力が一層強まっており、短中期的なビジネス環境は不透明さを増しています。こうした環境を機会と捉え、グローバルベースの先駆的なESG活動を含めた海外ビジネスの拡大に加え、海外の運用会社への提携戦略(出資などを含む)を通じ、グループとしてグローバル展開を加速します。
また、グループ内に特長が異なる運用会社を複数持つ強みを生かして、パッシブからアクティブ、オルタナティブまでフルラインをカバーし、国内外の機関投資家から個人投資家まで幅広いお客さまの多様化する投資ニーズにお応えしていきます。
(5) 目標とする経営指標
当グループは、2023年度以降の新中期経営計画期間における財務目標(KPI)として以下を設定しております。資産運用・資産管理を軸とした信託グループらしいビジネスモデルの推進により、2030年度までにROE10%以上、親会社株主純利益3,000億円以上、AUF800兆円を目指し、早期にPBR1倍以上(時価総額3兆円以上)が達成できるよう、着実に歩んでまいります。
(注)1.自己資本ROE:自己資本に対する当期純利益の比率。利益を稼ぐ効率性を示す指標であり、この比率が高いほど、自己資本を効率的に使って純利益を稼いでいることを示します。
2.実質業務粗利益:当社及び連結子会社の業務粗利益に持分法適用会社の損益(臨時要因を除いた持分割合考慮後の金額)等を反映した社内管理ベースの計数。
3.実質業務純益:経常利益から与信関係費用や株式等関係損益などの臨時的な要因の影響を控除したもので、実質的な銀行(及びグループ)の本業の収益を表す指標。
4.AUF(Assets Under Fiduciary):社会課題解決と市場の創出・拡大に貢献する投融資、資産運用・資産管理の残高を合計したもの。
5.手数料収益比率:実質業務粗利益に対する各種手数料収益(受託財産に係る信託報酬や不動産仲介手数料、投資信託の販売手数料等)の比率。この比率が高いほど、当グループが注力する手数料ビジネスが粗利益の獲得に貢献していることを示します。
6.経費率(OHR):実質業務粗利益に対する総経費の比率。利益を稼ぐ効率性を示す指標であり、この比率が低いほど、経費を効率的に使って粗利益を稼いでいることを示します。
7.普通株式等Tier1比率:資本金、資本剰余金及び利益剰余金など、自己資本の中でも中核的な資本に対するリスクの割合を表すもの。資本の十分性を示す規制指標であり、この比率が高いほど、リスクに対する備えが厚いことを示します。
当グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
①価値創造プロセスの考え方
当グループは、自らの存在意義(パーパス)を「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる」と定義するとともに、「社会的価値創出と経済的価値創出の両立」を経営の根幹に掲げています。
社会的価値創出と経済的価値創出を両立させるには、存在意義(パーパス)に基づきステークホルダーの価値を最大化させながらポジティブインパクトを創造するプロセスと、当社自身の財務・非財務の経営基盤(6つの資本)を持続的に強化していくプロセスを有機的に結合するとともに、それを経営レベルで適切に管理する仕組みが必要です。当社は、この仕組みを「価値創造プロセス」として整理しています。当グループは、中長期的な価値創造プロセスに影響を与える重要課題(マテリアリティ)を特定していますが、企業活動が経済、社会、環境に影響(ポジティブインパクト/ネガティブインパクト)を与える項目を「インパクトマテリアリティ」、価値創造の根幹に影響を与える項目を「ガバナンス・経営基盤マテリアリティ」、財務パフォーマンスに影響を与える項目を「財務マテリアリティ」として3つに区分し、リスクアペタイト・フレームワークの中で適切に管理するマテリアリティ・マネジメントを実践しています。
②サステナビリティ方針
当グループは、「1.事業を通じた社会・環境問題の解決への貢献」「2.お客さまへの誠実な対応」「3.社会からの信頼の確立」「4.環境問題への取り組み」「5.個人の尊重」「6.地域社会への参画・貢献」からなる「三井住友トラスト・グループの社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」(以下、サステナビリティ方針)を取締役会において定めています。
また、サステナビリティ方針に関連する当グループの取組方針及び具体的な行動指針について、「環境方針」「気候変動対応行動指針」「生物多様性保全行動指針」「人権方針」を取締役会において定め、役員・社員に周知するとともに対外的に公表しています。
このうち、「人権方針」については、サステナビリティ方針で定めている、「あらゆる企業活動において、個人の人権、多様な価値観を尊重し、不当な差別行為を排除」することを徹底するため、国際連合人権理事会「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき2013年12月に制定したものですが、昨今の人権尊重の重要性の高まり、人権課題に対する国際的な要請に加えて、金融機関として取り組むべき人権課題が変化していることを踏まえ、2023年2月に改定しました。改定後の「人権方針」については、
③マテリアリティの特定
当社では、社会的価値創出と経済的価値創出の両立のあり方を踏まえ、経済、社会の情勢変化、ステークホルダーからの要請等も考慮に入れて、中長期的な価値創造プロセスに影響を与える重要課題(マテリアリティ)の特定を行い、取締役会において定めています。
当社では、2015年度に初めて14項目のマテリアリティを特定したのち、2019年度には改定を実施、17項目のマテリアリティを特定しました。2022年度には次年度からの新たな中期経営計画策定に向けて、網羅性を向上させつつ、経営戦略およびリスク管理体制への反映や社員への浸透における実効性向上の観点での項目数の絞り込みと、当グループ固有の強み・課題への適合性を高める見直しを実施しました。
具体的には、世界4大会計事務所が中心となってとりまとめた「持続可能な価値創造のための共通指標と一貫した報告を目指して」における共通指標(コモンメトリクス)における「ガバナンス」「地球」「人」「豊かさ」に分類される論点に基づき、従来マテリアリティとして特定していた17項目を見直し、27項目からなる「マテリアリティテーマ」を特定しました。このマテリアリティテーマを当社パーパスと経営戦略上のテーマから、実現したい社会と価値に関する項目に整理し、経営会議、各種諮問委員会、経営トップとのディスカッションを経て、3区分11項目のマテリアリティを特定しました。
(注)マテリアリティの3区分の定義は以下のとおりであります。
④サステナビリティ推進体制
当社では、サステナビリティ方針に基づき執行機関である経営会議がサステナビリティ推進に関する各種施策を協議・決定し、これに対して取締役会が監督を行う体制としています。
取締役会では上記のマテリアリティや運営のフレームワークについて、リスク委員会からの答申を受けて議論し、決定しています。経営会議では、グループ各社のサステナビリティに関する取り組みについて、社会的価値創出と経済的価値創出の両立の視点を踏まえ、議論の上で決定しています。
なお、2023年度からは、執行側における会議体再編の一環として、経営会議の諮問機関として当社および三井住友信託銀行株式会社にサステナビリティ委員会を設置しています。同委員会は、サステナビリティ推進部統括役員を委員長とし、経営企画部統括役員、人事部統括役員、及びIR部統括役員を委員として構成され、サステナビリティに関する事項は同委員会における審議を経て、経営会議に付議する体制となっております。これにより、サステナビリティに関する課題のユニバースを明確化した上で、課題認識、方針立案、対応実施、対外開示までの一連の取り組みを組織的に行う態勢の強化を図ります。
①社会的価値創出に向けたポジティブインパクトの創造
社会的価値は当グループの企業活動が生み出す場合もありますが、多くはステークホルダーからその先のステークホルダーへ影響が連鎖する中で形成されていくと考えています。SDGsの実現に貢献し最終的に経済(豊かさ)、社会(人間)、環境(地域)に対する良い影響(ポジティブインパクトの創造とネガティブインパクトの抑制)につながる活動が、当グループにおける社会課題解決型ビジネスです。
当グループは「信託」の多彩な機能を活用し、「資金・資産・資本の好循環」をキーワードに、個人・企業・投資家それぞれに生じる社会課題に対して付加価値の高い商品・サービスをお客さまに提供します。上記のマテリアリティの特定においても考慮した社会課題等を踏まえ、当グループでは、2030年に実現したい社会や当社の姿を見据え、好循環を促進する3つの重点戦略領域として、「人生100年時代」「ESG/サステナブル経営」「地域エコシステム・グローバルインベストメントチェーン(ネットワーキング)」を設定しています。
社会課題がますます高度化・複雑化するなか、当社固有の経営資源や顧客基盤だけでは社会課題を解決することは困難です。さまざまなステークホルダーとの連携やプラットフォームの構築を行い、新たな市場や機会を創出します。また、これらを実現するために、人的資本や設備投資を強化していきます。
②気候変動にかかる戦略
イ.気候変動対応に関する考え方
気候変動は、グローバルな経済・社会の持続性を脅かす最も深刻な環境問題の一つですが、当社のマテリアリティにおいては、「気候変動」を含む「ESG/サステナブル経営」をインパクトマテリアリティとして特定しています。「気候変動」に対しては、グループ共通のプリンシプル(行動原則)である「気候変動対応行動指針」のもと、気候変動がもたらすリスクと機会を適切に認識し、信託銀行グループの多彩なビジネスを通じて、ネガティブな影響の最小化とポジティブな影響の最大化に取り組んでいく方針です。
具体的には、中長期的な気候変動や異常気象による社会インフラ・自然等の物理的被害(物理的リスク)や気候変動に関連した政策変更・気候変動に対する金融市場の考え方や社会通念の変化、技術革新等による低炭素社会への急速な移行(移行リスク)を気候変動関連リスクと定義し、自らの事業活動による温室効果ガス(GHG)排出の抑制や、セクターポリシー等に基づく規律ある投融資のリスク管理・モニタリングに努めます。同時に、太陽光発電や風力発電等の利活用を促進する投融資や、地産地消型の再生可能エネルギービジネスの確立などの新たな投資機会を創造し、当グループ自身による投資も呼び水に、個人(家計)・企業・投資家間の資金循環に貢献したいと考えています。
ロ.気候変動に関するリスクの認識
当グループでは、移行リスクおよび物理的リスクが将来にわたって投融資ポートフォリオに与える影響を把握すべく、シナリオ分析を実施してきました。
三井住友信託銀行株式会社では、これをビジネスモデルや戦略の持続可能性に関する確認、および投融資先のお客さまとの気候変動に関する対話とエンゲージメントのツールと捉え、ポートフォリオ特性を踏まえつつ分析に取り組んでおります。
(ⅰ)移行リスク
移行リスクについては、2020年より、炭素関連資産に占める比率が高い電力セクターから分析を開始しました。2021年は、投融資ポートフォリオにおける重要性が高い海運セクターを分析対象に選定、財務シミュレーションによるシナリオ分析を実施し、投融資先のお客さまとの意見交換を行いました。
2022年下期の移行リスク分析では、対象セクターを国内全セクターへ、対象先を国内事業法人全融資先へと拡大し、NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)の気候変動シナリオごとに2050年までの信用格付の変動シミュレーションを実施のうえ、与信関係費用にどのような影響が生じるかを分析しました。分析手法としては、全セクターをカバーするセクターレベルのトップダウン方式による分析に加え、気候変動移行リスク・セクターヒートマップにおいて移行リスクが高いと判定されるセクターについては、個社レベルの財務シミュレーション(ボトムアップ方式)を組み合わせた信用格付シミュレーション分析を実施しました。
結果としては、移行リスク分析では、「Current Policy(3.0℃シナリオ)」との比較において、「NetZero2050
(1.4℃シナリオ)」では2050年までの累計ベースで92億円、「Delayed Transition(1.6℃シナリオ)」では135億円の与信関係費用が増加する計算となりました。同様に「Below 2.0(1.6℃シナリオ)」では12億円の減少となる計算となりました。
(ⅱ)物理的リスク
物理的リスクについては、急性リスクのシナリオ分析として、2020年に住宅ローン、2022年上期に不動産ノンリコース・ローンに関して、河川洪水による被害を受けた場合のリスクを分析しました。
2022年下期の物理的リスク分析では、不動産投資法人(REIT)を対象先に選定するとともに、急性リスクの対象として従来の河川洪水に高潮を加え、保有物件データを活用して2100年までの気候変動による財務影響分析を行いました。
結果として、物理的リスク分析では、与信関係費用の発生による影響は、500年に1度の確率で発生する災害を全物件が同時に受けたと仮定しても、0.2億円程度と限定的であることがわかりました。
ハ.気候変動に関する機会の認識
脱炭素社会の実現に必要な巨額の資金需要は同時に、低金利環境における機関投資家への魅力的な商品の提供や、人生100年時代における家計・個人の資産形成ニーズに対する投資機会の提供につながります。
当グループは、こうした企業の資金需要に対応することで企業価値の向上をサポートし、その果実を個人(家計)や機関投資家にもたらす「資金・資産・資本の好循環」を実現しながら脱炭素社会の実現に貢献することを目指しています。この好循環を健全な形で実現していくためには、インパクト評価を積極的に提供していくことで脱炭素等の社会的インパクト創出プロセスを可視化し、設備投資等を行う企業の意思決定やインパクト・マネジメントをサポートするのみならず、資金を供給する投資家に対する説明責任を果たしていくことが重要と考えています。
当グループは、社会の脱炭素化に向けて、投融資機能のみならず、信託銀行グループらしい資産運用・資産管理ビジネスを通じ、新たな市場・新たな投資機会を創出することで、環境的・社会的価値と経済的価値創出の両立を目指すビジネスをインパクトビジネスと定義し、さまざまな取り組みを進めてまいります。
ニ.カーボンニュートラルに向けた移行計画
当グループは、全世界で加速するGHG削減等の社会課題解決に向け、2021年10月にカーボンニュートラル宣言を公表するとともに、カーボンニュートラルの実現に向けて着実に歩みを進めていくために、ネットゼロを目指す銀行間の国際的なイニシアティブであるNZBA(Net-Zero Banking Alliance)に加盟しました。また、グループ会社である三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社は2021年7月、日興アセットマネジメント株式会社は同年11月に、2050年までに投資先企業のGHG排出量ネットゼロを目指す資産運用会社によるグローバルなイニシアティブである NZAMI(Net-Zero Asset Managers initiative)に加盟し、2050年までに投資先企業のGHG排出量ネットゼロの実現を目指していきます。両社はそれぞれグローバルに資産運用を展開する機関投資家として、投資先企業などのGHG排出量ネットゼロ実現に向けた施策を検討しています。
投融資ポートフォリオのGHG排出量については、NZBAの枠組みに即して中間削減目標を策定し、順次公表していきます。2022年10月には、一つ目のセクターの開示として電力セクターの中間削減目標を開示、二つ目の開示として、石油・ガスセクターを2023年2月に開示しました。また、中間削減目標の策定と併せて、削減状況等をモニタリングするリスク管理の枠組みも構築しました。
このほか、これまでプロジェクトファイナンスのみが対象であった石炭火力発電所向け融資の2040年度の残高ゼロ目標について、コーポレート融資(新設・拡張)も対象として拡大しました。こうした活動を加速し、投融資ポートフォリオのGHG排出量のネットゼロ達成を目指します。
自社グループのGHG排出量については、2030年までにネットゼロにすることを目標に、対応を進めています。まずは、グループのGHG排出量の多くを占める電力使用による排出量の削減に向けて、コーポレートPPA(需要家が発電事業者から再生可能エネルギーの電力を長期に購入する契約)への切り替えを進めています。また、営業車について内燃車から低排出車への切り替えを進めていくなど、電力使用以外のGHG排出量についても削減を進めていきます。三井住友信託銀行株式会社の国内拠点においては、上記対応や非化石証書の活用により2022年8月に100%再生エネルギー化を達成しています。
三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社、日興アセットマネジメント株式会社の運用ポートフォリオの2050年GHG排出量ネットゼロ化に向けては、それぞれがNZAMIの枠組みに沿って、2030年までの中間削減目標を策定し、開示しました。ネットゼロ及び中間削減目標達成に向けて、国際イニシアティブとも連携しながらエンゲージメント活動に取り組んでまいります。
③人的資本にかかる戦略:人事戦略とWell-beingの向上
当グループの掲げるパーパスを実現し、社会課題への取り組みを通じた資金・資産・資本の好循環の促進と市場の創出による成長を図るためには、非財務資本、その中でも人的資本の充実が重要と考えており、当社のマテリアリティにおいては「人的資本」をガバナンス・経営基盤マテリアリティとして特定しています。社員は価値創造の源泉となる重要な資本の一つ(人的資本)であり、社会的価値創出及び経済的価値創出の重要な担い手です。人的資本への投資による社員のWell-beingの向上を通じて、お客さまや社会に対する価値創出が実現し、社会の一人ひとりのWell-being向上につながります。その結果として、社会の成長とともに当グループの企業価値も向上し、それが社員一人ひとりの励みや誇り、やりがいといった社員のWell-being向上をもたらす「好循環」を創り上げると考えております。

価値創造の起点となる社員のWell-beingについて、当グループでは「イ.心身ともに健康で、ロ.会社のパーパスに共感しながら、ハ.多様性を認め合う良好な人間関係のもと、ニ.自分の価値や強みを活かして、働く幸せを追求していける状態」と定義し、社員のWell-beingを追求することで人的資本の向上を実現してまいります。

イ.健康経営(心身ともに健康)
当グループでは、社員が健康と幸福を実感し、持続的に能力を発揮することで人的資本の向上を目指しております。そうした心身両面での健康推進を目指した取り組みが評価され、当社は6年連続で「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定されております。
ロ.エンゲージメントの強化(会社のパーパスに共感)
当グループでは、社員が会社のパーパスに共感し、経営課題や社会的使命に取り組むことで、人的資本の向上を目指しております。
(注)1.FINANCIAL WELL-BEINGとは「お金や資産について、不測の事態に対する備えと将来に向けた準備ができて、安心できる状態」を指します。
2.株式交付信託と譲渡制限付株式の利点を組み合わせた社員向け株式報酬制度を指します。
ハ.組織力の強化(多様性を認め合う良好な人間関係)
当グループでは、「個々人の多様性と創造性を経営に生かす」ことを重視しており、多様な属性・背景を有する社員が公正・公平(エクイティ)な支援の下、その多様性と創造性が組織の付加価値となるよう、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの概念そのものを経営理念(ミッション)に掲げ、人的資本の向上を目指しております。
ニ.人材力の強化(自分の価値や強みを発揮)
当グループでは、「人材育成No.1金融グループ」を掲げており、2018年4月に制定した「人材育成方針」に基づき、各社員が未来に向けたありたい姿を自ら考え、実現に向けて自ら行動する「自律的なキャリア型人材」の育成に注力することで、人的資本の向上を目指しております。
①統合的リスク管理におけるサステナビリティ関連リスク
当社は統合的リスク管理において、定期的に当社子会社、グループ関係会社等の直面するリスクを洗い出し、洗い出したリスクの規模・特性を踏まえ、管理対象とするリスクを特定しています。この中で特に重要なリスクを「重要リスク」として、リスクドライバー、リスクカテゴリー等に分類した上で、重要リスク・インベントリーの管理をしています。重要リスク管理では、管理対象とした重要リスク・インベントリーの一つひとつについて経営にとっての重要度を評価し、トップリスク(1年以内に重大な影響をもたらす可能性があり経営が注意すべきリスク)、エマージングリスク(1年以内では重大な影響をもたらす蓋然性はないが、1年超、中長期に重大な影響をもたらす可能性があるリスク)等に該当するかを判断しています。
マテリアリティの特定においては、リスクと機会の両面から重要事項を網羅的に特定していますが、2022年度のマテリアリティ改定についても関連する重要リスクを踏まえて実施しており、マテリアリティを通じても、サステナビリティ関連リスクを組織的に認識しています。
②サステナビリティ関連リスク管理に向けた体制整備
当グループでは、サステナビリティ関連にかかる取り組みとして、気候変動対応に関する体制整備、人権方針見直し・重要人権リスクの特定を2022年度に実施をしています。リスク管理の面では気候変動関連リスク管理の枠組みをもとに人権等環境社会リスク管理を含むサステナビリティ関連リスク管理の体制整備を実施しています。
具体的には、本年4月より三井住友信託銀行株式会社のリスク統括部内にサステナビリティ関連リスクに対応する専門チームを設置し、サステナビリティ関連リスクに関する外部データを活用したデューデリジェンス等のリスク管理フローの導入に向けた詳細な業務内容の検討を実施しております。なお、当該管理フローは2023年度より与信業務等の一部業務を対象に導入する予定であり、その後は実務運営の定着等を踏まえた高度化等を推進する予定です。
③統合的リスク管理における気候変動関連リスク
当社では気候変動に関する当グループの基本的方針である「気候変動対応行動指針」のもと、2022年5月、気候変動関連のリスク管理に関し、取締役会の定める「リスク管理規程」の中で「気候変動関連リスク管理方針」を規定し、気候変動関連リスクに関する基本的な考え方、取締役会・経営会議・役員の役割と責任、3線防衛体制、リスクカテゴリーごとの気候変動を考慮したリスク管理方針等を明確化しています。
「気候変動関連リスク」については、環境分野の重要課題のうち、中長期的気候変動や異常気象により、社会インフラ、自然等が物理的被害を受けたり(物理的リスク)、気候変動関連政策の変更、気候変動に対する金融市場の考え方や社会通念の変化、技術革新等により低炭素社会への急速な移行が起こる(移行リスク)ことで、当グループ・顧客・市場・金融インフラ・社会が悪影響を受けることと定義しています。その上で、気候変動を各リスクカテゴリーに横断的に影響を与える「リスクドライバー」とした上で、各リスクカテゴリーで気候変動固有のリスク管理方針を定めています。また、気候変動関連リスク管理における3線防衛体制について整備をしています。
<気候変動固有のリスク管理方針>
(注)短期:1年以内、中期:1年超10年未満、長期:10年以上
<気候変動関連リスク管理における3線防衛体制>
④気候変動に関連したリスク管理
イ.三井住友信託銀行株式会社の与信業務における環境社会(ES)リスク管理
三井住友信託銀行株式会社では、社会への負の影響が大きい与信は禁止、抑制、または慎重な取り組みを行う必要があるとの観点から、「セクターポリシー」を定めて、定期的に投融資審議会で見直しを行い、経営会議に報告しています。また、投融資の取組判断のプロセスにおいて、セクターポリシーに十分留意する運営としています。
ロ.投融資先の気候変動移行リスク管理
三井住友信託銀行株式会社では、本年4月よりリスク統括部内に気候変動関連リスク管理チームを新設するとともに、高炭素セクターごとの投融資ポートフォリオGHG排出量をパリ協定に沿ったものへコントロールする目的で、投融資ポートフォリオ移行リスク管理体制を構築しました。
この中で、3線防衛体制における1線、2線の関連各部、チームの役割と責任、セクターポリシーの在り方、1線における与信先の移行リスク管理の実務プロセス(気候変動移行リスクセクターヒートマップを勘案した投融資先の移行リスク区分評価、エンゲージメントを通じたリスク削減に向けた協議、モニタリング等)、2線の牽制の在り方等を定めています。これらのリスク管理プロセスは、セクターごとのGHG排出量削減目標の進捗管理や、風評リスク管理と一体となって実施されます。
(ⅰ)気候変動移行リスクに対する対応方針
全世界でGHG排出量削減に向けた動きが加速する中、当グループは、2021年10月に「三井住友トラスト・グループ カーボンニュートラル宣言」を公表し、投融資ポートフォリオのGHG排出量を、2050年までにネットゼロにすることを目指しています。お客さまと協働し、お客さまの中長期的な気候変動移行リスクによる影響とその対応策について、継続して対話していくことを重視してまいります。
(ⅱ)気候変動移行リスク管理に対する考え方
投融資ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロに向けて、気候変動移行リスクセクターヒートマップを基にGHG排出量削減目標を設定する戦略上重要なセクターを特定してまいります。特定されたセクターについては、GHG排出量削減目標とそのモニタリング・管理、各種基準やセクターポリシーを設定してまいります。
(ⅲ)気候変動移行リスク管理プロセス
GHG排出量削減目標を設定したセクターについては、新規与信先・既存与信先に関わらず、移行リスクに関するデュ―デリジェンスを実施した上で、投融資の取組判断を行うこととしています。
特に、与信残高が一定以上となる場合は、リスクの重要性を勘案して、気候変動移行リスクを区分しています。この気候変動移行リスク区分は定期的に見直すとともに、必要に応じて、区分に応じた追加的リスク低減措置を検討します。
(4)【指標及び目標】
①気候変動関連の主な指標及び目標
当グループでは、気候変動に係る当グループの戦略とリスク管理の基本方針に基づき管理する具体的指標及び目標を設定し、グループにおける気候変動対応の状況をモニタリングしています。今年度における主な指標及び目標は下表のとおりです。なお、当グループは指標の状況を定期的に確認し、外部環境の変化や戦略の見直しに伴い、指標の見直しを行っております。
(注)1.2021年6月末時点の運用資産85兆円の50%にあたる約43兆円が対象
2.2021年12月末時点の運用資産31兆円の43%にあたる約13兆円が対象
②人的資本関連の主な指標及び目標
当グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。なお、施策の浸透とともに各種指標は上昇しております。

備考欄に「※」のあるものは当グループ全体、その他は三井住友信託銀行株式会社のデータ
(*1)関係会社17社のストレスチェック結果の単純平均
(*2)設問「自分自身の思考や行動に影響を与えている」についての、グループ17社のスコアの単純平均
(*3)設問「あなたは、この会社で働いていることに、満足している」についてのスコア
(*4)設問「自分の仕事に対して誇りを持っている」等、関連する10の設問についてのスコアの平均値
(*5)各年度中に育休を取得した男性労働者の数を、各年度中に配偶者が出産した男性労働者の数で割った比率であり、100%を超える水準となっている。
(*6)2022年度より集計開始しており、2021年度の実績数値なし。
(*7)新中期経営計画(2023-2025年度)にあわせて新たに設定した指標であり、過去実績値なし。
加えて、さらなる人的資本の向上に向けた主なKPIとして、次のとおり目標を設定しております。

備考欄に「※」のあるものは当グループ全体、その他は三井住友信託銀行株式会社のデータ
(*1)関係会社17社のストレスチェック結果の単純平均
(*2)設問「自分自身の思考や行動に影響を与えている」についての、グループ17社のスコアの単純平均
(*3)設問「自分の仕事に対して誇りを持っている」等、関連する10の設問についてのスコアの平均値
当グループでは、フォワードルッキングな視点で、1年以内に当グループの事業執行能力や業績目標に重大な影響をもたらす可能性があると考えているリスクをトップリスク、中長期的に重大な影響をもたらす可能性があると考えているリスクをエマージングリスクとして、経営者が定期的に選定のうえ、リスクの状況をモニタリング、コントロールしながら、対応策を講じ、取締役会等への報告を行っております。以下の記載における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当グループが判断したものです。
<トップリスク及びエマージングリスクの(リスク認識)の表記について>
当グループでは、管理すべき重要なリスクについて、それぞれの「発生可能性」と「影響度」で評価したリスクマップを作成し、定期的に取締役会等に報告しております。当グループのリスク認識として、各トップリスク及びエマージングリスクのリスクマップにおける位置を色と番号で示しています。

イ.トップリスクとリスク対応策
ロ.エマージングリスクとリスク対応策
(2) その他のリスク
トップリスク及びエマージングリスク以外の主要なリスクには以下のものがあります。
イ.事業面に関するリスク
当グループは収益力強化の観点から様々な事業戦略を展開しておりますが、以下の要因により当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(ⅰ) 経済環境・市場環境・企業業績の悪化、同業他社との競争激化等の外部要因の変化等によって、事業戦略が奏功せず、当初想定した成果を生まない可能性があります。
(ⅱ) 当グループは、顧客サービスの向上、コスト競争力の強化等を目的として、他社との提携や合弁等を通じて、効率的なグループ経営を行うことにより、当グループとしての中長期的な収益力強化を図っておりますが、他社との提携や合弁等に伴うコスト、採用する事業・再編戦略や会計方針、事業環境の変化、その他の外部要因等により、期待通りのサービス提供や成果を確保できない可能性があります。また、このような提携や合弁等には、当グループと相手先との利益相反や意見対立、提携や合弁等の解消等様々なリスクがあります。
(ⅲ) 当グループの業務範囲の拡大、金融サービスや管理システムの高度化に伴って、当グループが従来経験のない、もしくは予想されなかったリスクあるいはより複雑なリスクに晒される可能性があります。
当グループは、企業価値の向上を目的として、企業買収、出資、資本提携、子会社の設立等を行っており、今後も同様の企業買収等を行う可能性があります。しかし、これら企業買収等は、法制度の変更、競争環境の変化等により、想定通りの効果が得られない可能性があります。また、企業の財務内容や契約関係等の事前調査を十分に行っておりますが、買収後に未認識の偶発債務が発生した場合や、当該子会社等の利益が、期待した水準を大幅に下回った場合には、子会社株式及びのれんについて、相当の減額を行う必要が生じる可能性があります。これらにより、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
当グループは、グループ会社間の連携により、顧客基盤の拡大やソリューション提供力の強化等による連結収益の拡大に取り組むとともに、経費削減等を通じた効率性の向上に努めております。当グループがグループ内の連携による収益効果を得られるかどうかについては、将来の事業環境の変化による不確実性を伴うものであり、子会社・関連会社の事業又は経営の悪化により、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
④ 信託事業に関するリスク
当グループは、取引先に提供する信託商品のうち一部の合同運用指定金銭信託について、元本補てん契約を結んでおります。信託勘定には債権償却準備金を計上しておりますが、これを充当しても元本に損失が生じた場合には、その補てんのための支払を行う可能性があります。また、元本補てん契約のない信託商品についても、信託事業を遂行する上で、受託者としての責任において負担すべき債務・費用が発生する可能性があります。
また、資産運用業務において、運用成績が市場のベンチマークや他社の運用商品に劣る結果となった場合には、委託者が運用を委託している資金を引き揚げる可能性があり、当グループの業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑤ 規制・制度の変更に関するリスク
当グループは、事業活動を行う上で、様々な法律、規則、政策、実務慣行、会計制度及び税制の法令諸規制等の影響を受けております。これらの法令諸規制等は将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては、商品・サービスの提供が制限される、新たなリスク管理手法の導入その他の体制整備が必要となる等により、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
① 事務リスク
当グループは、内部規定及び事務処理体制の整備、事務処理状況の定期的な点検、本部の事務指導等によって、適正な事務の遂行に努めておりますが、役員・社員・外部委託先要員が事務処理の過誤や不正等を起こした場合、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
② 外部委託に関するリスク
当グループは、様々な業務の外部委託を行っております。外部委託を行うにあたっては委託先の適格性や委託内容、形態を含め十分な検討を行っておりますが、委託先の選択が不適切であった場合、委託先において重大な事務過誤等が発生した場合等には、当グループにおいても間接的・直接的に悪影響を受ける可能性があり、これにより、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
③ システムに関するリスク
当グループは、様々な業務を遂行するため多様なシステムを活用しております。システムに関しては十分なリスク管理体制を構築しておりますが、コンピュータシステムのダウンや誤作動、システムの不備、さらにコンピュータの不正使用等により、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。
④ 新技術リスク
情報通信技術の変化の勢いは加速し続け、お客さまの行動に影響を与えており、当グループは、従来のビジネスモデルを再定義する場合がございます。クラウドコンピューティングやブロックチェーン、人工知能等の新技術は、大きな機会を提供するだけでなく、慎重に管理する必要がある新しいリスクを生み出しております。当グループは、これら新技術に関しては慎重に管理するようにしておりますが、誤作動や不備等により、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑤ 情報セキュリティリスク
当グループは、内部規定及び情報管理体制の整備や社内教育の徹底等によって、顧客情報や社内機密情報の漏洩への対策を講じておりますが、役員・社員・外部委託先要員の不注意や不正行為等により顧客情報や社内機密情報が外部に漏洩した場合、当グループが行政処分や損害賠償等の請求を受ける可能性があり、これにより、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑥ 人材に関するリスク
当グループは、幅広い分野で高度な専門性を必要とする業務を行っており、有能な人材の確保・育成に努めておりますが、必要な人材を確保・育成することができない場合には、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑦ コンダクトに関するリスク
当グループ各社・役員又は社員の行為が、職業倫理に反していること、又はステークホルダーの期待と信頼(※)に応えていないことにより、当グループ・顧客・市場・金融インフラ・社会及び職場環境に対し悪影響を与える可能性があります。
(※)合理的な期待水準を把握のうえ当グループとして設定する適切なサービスレベル
⑧ 人的リスク
人事運営上の不公平・不公正(報酬・手当・解雇等の問題)、人権問題(ハラスメントを含む)等が発生した場合、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑨ 災害等の発生に伴うリスク
当グループは国内外の営業拠点やシステムセンター等の業務施設において事業活動を行っており、これら施設等や、その他当グループが保有する有形資産(動産・不動産・設備・備品等)及び従事する役員及び社員は、火災、爆発、停電、戦争、犯罪・テロ、資産管理の瑕疵、あるいは新型インフルエンザ等の感染症等による被害を受ける可能性があります。こうした事態が発生した場合、その被害の程度によっては、当グループの業務の全部又は一部の継続が困難になる等、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑩ 風評リスク
当グループや金融業界一般に対して否定的な内容の報道がなされたり、インターネット等の情報媒体において、否定的な内容の風評・風説が流布することがあります。その内容が正確か否かにかかわらず、こうした報道・風評・風説により、金融業界一般又は当グループのイメージや株価に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑪ 社会的リスク
当グループは、「三井住友トラスト・グループの社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」を掲げ、持続可能な社会の構築に積極的に貢献することが社会的な責任であると認識し、事業活動が社会に及ぼす影響に十分配慮しております。しかしながら、こうした取り組みが不十分で、お客さまとの取引又は外部調達先からの資源調達を通じて、結果的に、お客さまや外部調達先が深刻な人権侵害や健康被害を引き起こしたり、あるいはそのような行為に加担することに関与してしまう可能性があります。
⑫ リスク管理の方針及び手続が有効に機能しないリスク
当グループは、リスク管理の方針及び手続の強化に努めております。しかしながら、新しい分野への業務進出や急速な業務展開、又は外部環境の変化により、リスクを特定・管理するための方針及び手続が有効に機能しない可能性があります。また、当グループのリスク管理の方針及び手続の一部は、過去の経験・データに基づいて構築されたものもあること、将来のリスクの顕在化を正確に予測し対処することには限界があることもあり、有効に機能しない可能性があります。こうした当グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない場合には、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
① 信用リスク
(ⅰ) 不良債権の状況
国内外の景気動向、不動産・株式市場を含む金融経済環境の変化及び貸出先の経営状況等により、当グループの不良債権残高や与信関係費用が増加する可能性があります。
(ⅱ) 貸倒引当金
当グループは、貸出先の状況、差入れられた担保の価値及び経済全体に関する前提・見積りに基づいて貸倒引当金を計上しております。従って、実際の貸倒費用が貸倒引当金計上時点における見積りと乖離する可能性があります。また、経済情勢全般の悪化、貸出先の信用状況の変化、担保価値の下落その他予期せざる理由により、貸倒引当金の積み増しが必要となる可能性があります。
(ⅲ) 貸出先への金融支援
当グループは、貸出債権等の回収実効性を確保することを目的として、貸出先に債務不履行等が生じた場合においても、債権者として有する法的な権利を必ずしも行使せず、状況に応じて債権放棄や追加貸出等の金融支援を行うことがあります。このような場合には、不良債権残高や与信関係費用が増加する可能性があります。
(ⅳ) 他の金融機関の動向による影響
急速な貸出金回収や取組方針の変更等、他の金融機関の動向によっては、当該貸出先の経営状態が悪化する可能性や追加融資を求められる可能性があります。このような場合には、不良債権残高や与信関係費用が増加する可能性があります。
② 市場リスク
当グループは、バンキング業務又はトレーディング業務として、債券、株式、デリバティブ商品等の多種の金融商品に対し投資活動を行っております。これらの活動による損益は、金利、外国為替、債券及び株式市場の変動等のリスクに晒されており、その結果、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
③ 退職給付債務に関するリスク
当グループの年金資産の価値の下落や退職給付債務の計算の前提となる期待運用利回りの低下等の数理上の仮定に変化があった場合、当グループの未積立退職給付債務が変動する可能性があります。また、金利環境の変化等によって未積立退職給付債務や退職給付費用に悪影響が及ぶ可能性、年金制度の変更によって未認識の過去勤務費用が発生する可能性及び会計基準の変更によって財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
④ 繰延税金資産に関するリスク
繰延税金資産は将来の課税所得の見積額等に基づき計上されております。経営環境の変化等に伴う課税所得の見積額の変更等によって繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑤ 自己資本比率等に関するリスク
当グループには、銀行法に定める自己資本比率等に関する規制が適用されるため、自己資本比率やレバレッジ比率等の規制比率を所要水準以上に維持する必要があります。
当グループの自己資本比率やレバレッジ比率等が、要求される水準を満たすことができなかった場合には、その水準に応じて、金融庁から経営改善計画の提出や業務の全部又は一部の停止を含む様々な命令を受けることとなり、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑥ 資金繰りリスク
当グループの財務状況や業績の悪化、当グループに対する悪い風評、経済環境の悪化、市場の流動性の低下等によって、当グループの資金調達コストが上昇したり、資金調達が制限される可能性があります。その結果、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑦ 格付低下のリスク
格付機関が格付を引き下げた場合には、当グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、もしくは取引そのものが制限される可能性があります。また、当グループのデリバティブ取引に関して追加担保を要求される、既存の顧客取引が解約される等の事態が発生する可能性もあります。このような場合には、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(3) リスクガバナンス体制
当グループは、グループ全体のリスクガバナンス体制として、各事業によるリスク管理(ファーストライン・ディフェンス)、リスク統括部及びリスク管理各部によるリスク管理(セカンドライン・ディフェンス)、内部監査部による監査(サードライン・ディフェンス)の三線防御体制(スリーラインズ・オブ・ディフェンス)を構築しております。

(4) リスク管理のプロセス
当グループでは、リスク統括部及びリスク管理各部がセカンドラインとして、以下の手順でリスク管理を行っております。また、このリスク管理プロセスについては、関連するシステムを含め、サードラインの内部監査部により定期的に監査されております。
イ.リスクの特定
当グループの業務範囲の網羅性も確保した上で、直面するリスクを網羅的に洗い出し、洗い出したリスクの規模・特性を踏まえ、管理対象とするリスクを特定しております。この中で、特に重要なリスクを「重要リスク」として管理しております。
ロ.リスクの評価
管理対象として特定したリスクについて、グループ各事業の規模・特性及びリスクプロファイルに見合った適切なリスクの分析・評価・計測を行っております。「重要リスク」については、定期的に、「発生頻度」「影響度」及び「重要度」を評価し、トップリスクやエマージングリスクなどに該当するかどうかの判断を行っております。
ハ.リスクのモニタリング
当グループの内部環境(リスクプロファイル、配分資本の使用状況など)や外部環境(経済、市場など)の状況に照らし、KRI等の指標を設定した上で、リスクの状況を適切な頻度でモニタリングし、状況に応じ、グループ各事業に対して勧告・指導又は助言を行っております。モニタリングした内容は、定期的に又は必要に応じて取締役会、経営会議などへ報告・提言しております。
ニ.リスクのコントロール及び削減
リスク量がリスクアペタイトの許容レンジやリスク限度枠を超過したとき、もしくは超過が懸念されるなど、経営の健全性に重大な影響を及ぼす事象が生じた場合には、取締役会、経営会議などに対して適切に報告を行い、リスクの重要度に応じ、必要な対応策を講じております。
当連結会計年度における当グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、以下のとおりであります。
(経営成績の状況)
当連結会計年度の実質業務純益は、不動産仲介関連及び法人与信関連等の手数料収益が好調に推移した一方、海外の市場性調達金利の上昇等による実質的な資金関連の損益(※)の減益や総経費が増加したことにより、前年度比214億円減益の3,246億円となりました。
経常利益は、株式等関係損益の改善や与信関係費用の減少等により、前年度比561億円増益の2,858億円となりました。
その他、三井住友信託銀行における海外業務関連のシステム更改に伴う特別損失の計上等もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度比219億円増益の1,910億円となりました。
(※)資金関連利益に外国為替売買損益に含まれる外貨余資運用益を加算した損益
(資産負債等の状況)
当連結会計年度の連結総資産は、前年度末比4兆3,895億円増加し69兆227億円、連結純資産は、同772億円増加し2兆8,225億円となりました。
主な勘定残高といたしましては、現金預け金は、前年度末比3兆3,791億円増加し21兆6,024億円、貸出金は、同9,344億円増加し31兆8,109億円、有価証券は、同9,461億円減少し6兆9,330億円、また、預金は、同2兆1,571億円増加し35兆3,872億円となりました。当グループの連結貸借対照表は現金預け金、貸出金及び有価証券等の与信、預金等の受信ともに円貨が中心となっておりますが、全通貨ベースでの運用・調達の安定性のバランス確保はもちろん、外貨につきましても顧客性の預金やスワップ市場等を利用した円投取引、社債発行などにより調達構造の多様化・安定化を図る方針としております。当グループの資金調達(社債及び借用金)の状況につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑤連結附属明細表」に記載しております。
なお、当連結会計年度の信託財産額は、前年度末比8兆102億円増加し256兆2,257億円となりました。
(キャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは2兆6,162億円の収入(前年度比2兆7,364億円の収入増加)、投資活動によるキャッシュ・フローは9,602億円の収入(同1兆8,394億円の収入増加)、財務活動によるキャッシュ・フローは2,175億円の支出(同924億円の支出増加)となり、現金及び現金同等物の期末残高は19兆1,726億円となりました。
信託報酬は1,097億円、資金運用収支は1,088億円、役務取引等収支は3,174億円、特定取引収支は104億円、その他業務収支は1,953億円となりました。
うち、国内の信託報酬は1,097億円、資金運用収支は2,638億円、役務取引等収支は3,132億円、特定取引収支は102億円、その他業務収支は683億円となりました。
また、海外の資金運用収支は△444億円、役務取引等収支は532億円、特定取引収支は1億円、その他業務収支は1,267億円となりました。
(注)1.「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内に本店を有する連結子会社(以下、「国内連結子会社」という。)であります。
「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下、「海外連結子会社」という。)であります。
2.相殺消去額は、連結会社間の内部取引相殺消去額及び国内店・海外店間の本支店取引相殺消去額を表示しております。
3.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を控除しております。
資金運用勘定の平均残高は60兆2,238億円、利息は6,603億円、利回りは1.09%となりました。
資金調達勘定の平均残高は59兆7,254億円、利息は5,514億円、利回りは0.92%となりました。
うち、国内の資金運用勘定の平均残高は50兆67億円、利回りは1.13%となり、資金調達勘定の平均残高は48兆430億円、利回りは0.62%となりました。
また、海外の資金運用勘定の平均残高は14兆2,113億円、利回りは2.40%となり、資金調達勘定の平均残高は14兆1,897億円、利回りは2.72%となりました。
イ.国内
(注)1. 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の国内連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2. 「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内連結子会社であります。
3. 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度455,166百万円、当連結会計年度566,634百万円)を、資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度99百万円、当連結会計年度99百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)をそれぞれ控除しております。
ロ.海外
(注)1. 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、海外連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2. 「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外連結子会社であります。
3. 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度155,957百万円、当連結会計年度88,066万円)を控除しております。
ハ.合計
(注)1. 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2. 相殺消去額は、「平均残高」については連結会社間の債権債務の相殺金額の平均残高を、「利息」については連結会社間の内部取引相殺消去額及び国内店・海外店間の本支店取引相殺消去額を表示しております。
3. 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度535,674百万円、当連結会計年度586,311百万円)を、資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度99百万円、当連結会計年度99百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)をそれぞれ控除しております。
役務取引等収益は4,403億円、役務取引等費用は1,228億円となりました。
うち、国内の役務取引等収益は4,746億円、役務取引等費用は1,613億円となりました。
また、海外の役務取引等収益は646億円、役務取引等費用は113億円となりました。
(注)1.「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2.相殺消去額は、連結会社間の内部取引相殺消去額及び国内店・海外店間の本支店取引相殺消去額を表示しております。
特定取引収益は156億円、特定取引費用は51億円となりました。
うち、国内の特定取引収益は154億円、特定取引費用は51億円となりました。
また、海外の特定取引収益は1億円となりました。
(注)1.「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2.相殺消去額は、連結会社間の内部取引相殺消去額及び国内店・海外店間の本支店取引相殺消去額を表示しております。
3.特定取引収益及び費用は、国内・海外の合計で内訳科目ごとの収益と費用を相殺した純額を計上しております。
特定取引資産は1兆5,146億円、特定取引負債は1兆4,726億円となりました。
うち、国内の特定取引資産は1兆5,188億円、特定取引負債は1兆3,895億円となりました。
また、海外の特定取引資産は909億円、特定取引負債は831億円となりました。
(注)1.「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2.相殺消去額は、連結会社間の内部取引相殺消去額及び国内店・海外店間の本支店取引相殺消去額を表示しております。
信託財産額は、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む連結子会社の信託財産額であります。なお、連結子会社のうち、該当する信託業務を営む会社は三井住友信託銀行株式会社であります。
(注)1.上記残高表には、金銭評価の困難な信託を除いております。
2.「信託受益権」に含まれる資産管理を目的として再信託を行っている金額
前連結会計年度末 181,438,894百万円
当連結会計年度末 186,860,561百万円
3.共同信託他社管理財産 前連結会計年度末 193,265百万円
当連結会計年度末 191,886百万円
金銭信託
(注)1.信託財産の運用のため再信託された信託を含みます。
2.リスク管理債権の状況
※社債(当該社債を有する信託業務を営む金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部に
ついて保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法第2条第3項に規定する有価証券
の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、未収利息、仮払金、支払承諾見返及び有価証券の貸
付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)をいう。
(参考)
資産の査定は、貸出金等の各勘定について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
(億円・四捨五入)
○ 預金の種類別残高(末残)
(注)1.「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2.相殺消去額は、連結会社間の内部取引相殺消去額を表示しております。
3.預金の区分は次のとおりであります。
① 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
② 定期性預金=定期預金
○ 業種別貸出状況(末残・構成比)
(注)「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外連結子会社であります。
○ 外国政府等向け債権残高(国別)
該当ありません。
(注)「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げております。
○ 有価証券残高(末残)
(注)1. 「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2. 相殺消去額は、連結会社間の資本連結等に伴う相殺消去額を表示しております。
3. 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(参考)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては先進的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク規制を導入しております。
また、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準(平成31年金融庁告示第12号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
(単位:億円、%)
(単位:%)
(注)詳細は、当社ウェブサイト(https://www.smth.jp/investors/report/basel)に記載しております。
(生産、受注及び販売の状況)
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行持株会社における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、2023年5月時点において判断したものであります。
① 当連結会計年度総括
実質業務純益は、前年度の市況要因による収益押上げ効果の剥落を主な要因に、前年度比214億円減少し、3,246億円となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、実質業務純益が減少した一方で、与信関連費用及び株式等関係損益が改善したことから、前年度比219億円増加し、1,910億円となりました。
(主なKPI)
(実質業務純益及び親会社株主純利益の増減)

② 経営成績の分析
イ.実質業務純益
資金関連利益については、前年度における市況押上げ効果の剥落を主因に、前年度比1,567億円減少し、1,481億円となりました。外貨余資運用益を加えた実質的な資金関連の損益は同195億円減少し、3,006億円となりました。
手数料関連利益については、時価の下落等によって資産運用ビジネスが減益となった一方、不動産仲介手数料や法人与信関連が好調に推移し、前年度比124億円増加し、4,493億円となりました。
総経費は、粗利連動の経費の他、人的資本投資、システム関連費用の増加を主因として、前年度比274億円増加し、4,895億円となりました。
上記に所要の調整を加えて計算した、いわゆる実勢ベースの利益を表す実質業務純益は前年度比214億円減少し、3,246億円となりました。
ロ.与信関係費用
「与信関係費用」は、個別貸倒引当金繰入額の減少を主因に、前年度比311億円減少し、104億円の損失計上となりました。
ハ.株式等関係損益
「株式等関係損益」は、政策保有株式削減の着実な進展に伴い、政策保有株式売却益838億円を計上した一方で、期間損益に与えるリスクの縮減に向けたヘッジ投信の削減に伴う実現損793億円の計上等により、30億円の利益計上となりました。
ニ.特別損益
「特別損益」は、三井住友信託銀行株式会社における海外業務関連のシステム更改に伴う減損損失159億円を主因に、144億円の損失計上となりました。
③ セグメント別損益の内容
(注)1.「運用ビジネス」は、連結子会社である三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社(連結)、日興ア
セットマネジメント株式会社(連結)及び資産運用業務を行う持分法適用関連会社2社の合計であります。
2.金額が損失又は減益の項目には△を付しております。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。なお、前連結会計年度の数値については、変更後の報告セグメントに基づき作成しております。
報告セグメントごとの実質業務純益の主な増減要因は次のとおりであります。
(個人)
投資運用コンサルティング関連は、投信販売手数料が減少した一方、保険販売手数料が増加し前年同期並みの水準となりました。また、三井住友信託銀行(単体)の経費が減少した他、UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント株式会社からの収益寄与もあり、実質業務純益は三井住友信託銀行(単体)では前年度比76億円増益の213億円、連結では同92億円増益の415億円となりました。
(法人)
与信関連手数料の増加に加え、証券代行関連手数料が安定的に推移した結果、実質業務純益は三井住友信託銀行(単体)では前年度比119億円増益の1,111億円、連結では同133億円増益の1,408億円となりました。
(投資家)
年金業務が安定的に推移した他、海外の資産管理子会社が収益に寄与した一方、組合出資関連収益(外貨)が減少した結果、実質業務純益は三井住友信託銀行(単体)では前年度比163億円減益の431億円、連結では130億円減益の577億円となりました。
(不動産)
個人向け仲介が堅調に推移するとともに、法人向け仲介も大型案件の成約を含め好調に推移した結果、実質業務純益は三井住友信託銀行(単体)では前年度比45億円増益の339億円、連結では同52億円増益の421億円となりました。
(マーケット)
顧客サービス関連収益が好調に推移したことにより、実質業務純益は前年度比175億円増益の541億円となりました。
(運用ビジネス)
時価下落を主因とした資産運用残高の減少に伴う収益減少に加え、前年度に寄与した提携出資先からの配当が剥落した結果、実質業務純益は前年度比182億円減益の222億円となりました。
④ 損益の内容(参考情報)
(注)1.業務粗利益=信託報酬+(資金運用収益-資金調達費用)+(役務取引等収益-役務取引等費用)+(特定取引収益-特定取引費用)+(その他業務収益-その他業務費用)
2.実質業務純益は実質業務粗利益から総経費を除いたものであります(実質業務粗利益及び総経費は持分法適用会社の損益等も考慮した社内管理ベースの計数)。なお、実質業務粗利益と業務粗利益の差額及び総経費と経費の差額は主に持分法適用会社の経常利益(臨時要因調整後)×持分割合等であります。
3.金額が損失又は減益の項目には△を付しております。
⑤ 財政状態の分析
イ.貸出金
銀行勘定の貸出金は、前年度末比9,344億円増加し、31兆8,109億円となりました。また、信託勘定(元本補てん契約のある信託)の貸出金は、同28億円減少し、104億円となり、銀行勘定との合計では同9,315億円増加し、31兆8,213億円となりました。なお、三井住友信託銀行株式会社(単体・国内店)の中小企業等貸出金残高は、同1,622億円増加し、17兆9,794億円となり、住宅ロ-ン残高は、同822億円減少し、10兆4,615億円となりました。
(三井住友信託銀行株式会社単体・国内店)
(注)1.銀行勘定・元本補てん契約のある信託勘定合計の計数であります。
2.特別国際取引勘定分を除いております。
リスク管理債権について、銀行勘定は、前年度末比681億円減少し1,519億円となり、債権残高に対する比率は、同0.22%低下し0.45%となりました。債権区分別では、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が同92億円、危険債権が同328億円、貸出条件緩和債権が同261億円の減少となりました。
また、信託勘定(元本補填契約のある信託)においては、前年度末比6億円減少し0億円となり、債権残高に対する比率は、同5.08%低下し0.67%となりました。債権区分別では、危険債権が同6億円、貸出条件緩和債権が同0億円の減少となりました。
○リスク管理債権の状況(部分直接償却実施後)
(参考)金融再生法開示債権の状況等(三井住友信託銀行株式会社単体)
金融再生法開示債権は、銀行勘定・信託勘定(元本補填契約のある信託)合算で前年度末比652億円減少し、1,342億円となりました。また、開示債権比率(総与信に占める割合)は、同0.2%低下し、0.4%となりました。
債権区分別では、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が前年度末比82億円、危険債権が同316億円、要管理債権が同254億円の減少となりました。
銀行勘定の債務者区分ごとの引当率につきましては、要管理先債権の非保全部分に対する引当率は21.9%、その他要注意先債権の債権額に対する引当率は2.0%となりました。
○ 金融再生法に基づく資産区分の状況(三井住友信託銀行株式会社単体・部分直接償却実施後)
(億円・四捨五入)
(注)( )内は前事業年度の計数であります。
(注)( )内は前事業年度の計数であります。
○ 債務者区分ごとの引当額と引当率の状況(三井住友信託銀行株式会社単体・銀行勘定)
ロ.有価証券
有価証券は、国債の減少等により、前年度末比9,461億円減少し、6兆9,330億円となりました。
保有上場株式につきましては、「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」における保有規制の対象となる取得原価ベースでの金額は、前年度末比534億円減少し、4,954億円となりました。
(注)その他には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
○ 保有上場株式の残高
ハ.繰延税金資産
繰延税金資産・繰延税金負債の純額は、貸倒引当金損金算入限度超過額の減少等により、前年度末比263億円減少し、548億円の繰延税金負債の計上となりました。
ニ.預金
預金は、前年度末比2兆1,571億円増加し、35兆3,872億円となりました。
(注)預金は、譲渡性預金を除いております。
(三井住友信託銀行株式会社単体・国内店)
(注)1.「その他」は、公金、金融機関であります。
2.預金は、譲渡性預金及び特別国際金融取引勘定分を除いております。
ホ.純資産の部
純資産の部合計は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加等により、前年度末比772億円増加し、2兆8,225億円となりました。
⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
⑦ 連結自己資本比率(国際統一基準)
当社は、信用リスクについては「先進的内部格付手法(注1)」、マーケット・リスクは「内部モデル方式」、オペレーショナル・リスクは「先進的計測手法(注2)」を採用しております。
当連結会計年度末の「普通株式等Tier1比率」は10.79%、「Tier1比率」は12.01%、「総自己資本比率」は13.24%と、いずれも規制上の所要水準の7.53%、9.03%並びに11.03%(注3)を上回っております。
(注1)重要性の低い小規模子会社等は、「標準的手法」を適用しております。
(注2)重要性の低い小規模子会社等は、「基礎的手法」を適用しております。
(注3)各比率の所要水準に資本保全バッファー、カウンター・シクリカル・バッファー及び国内の金融システム上重要な銀行に対する追加的な資本賦課を勘案・加算したものであります。
(注)連結自己資本比率については、銀行法第52条の25の規定に基づく平成18年金融庁告示第20号に定められた算式により算出しております。
⑧ キャッシュ・フローの状況
「(1)経営成績等の状況の概要(キャッシュ・フローの状況)」に記載しております。
⑨ 資本の十分性、資本政策等について
イ.経営方針・経営戦略の遂行にあたっての資本の十分性について
当グループは、資金・資産・資本の好循環の実現と企業価値の向上を経営テーマとして掲げる中、財務面では、2030年までのありたい姿として「普通株式等Tier1比率」(バーゼルⅢ最終化ベース)について、安定的に10%以上確保することを十分性の目線としております。
2023年度以降の新たな中期経営計画においては、2025年度までに「普通株式等Tier1比率」(バーゼルⅢ最終化ベース)を9.5~10%程度とすることを目標としております。2023年3月末時点においては、前年比0.4%低下の9.5%程度となっております。これは、当グループの成長や社会課題解決に資する投資の増加、及び円安に伴う外貨建て与信(円換算額)の増加を主因としてリスク・アセットが増加したことが背景です。今後の環境変化に注意しつつ、信託グループらしいビジネスの成長と資本効率の向上を図り、規律をもって資本政策運営をしてまいります。

ロ.成長投資、手元資金、株主還元のバランス並びに資本コストに関する経営者の考え方について
当グループは、ステークホルダー資本戦略として、「普通株式等Tier1比率」(バーゼルⅢ最終化ベース)水準に応じた資本運営のプリンシプルを基本に、成長投資、株主還元、人的資本投資等、各ステークホルダーに対して規律ある投資・分配を実施していきます。規律に基づく資本運営により、イノベーションを生み出す源泉である当グループの多彩な事業の横断・融合力を一層高め、事業ポートフォリオ強化を進めてまいります。
2023年度以降の新たな中期経営計画における株主還元方針については、一株当たり配当金は累進的としつつ、利益成長を通じた増加を目指し、連結配当性向40%以上を目安に決定することとしております。なお、自己株式取得については、資本十分性の確保を前提として、中長期的な利益成長に向けた資本活用と、資本効率性の改善効果とのバランスを踏まえつつ、機動的に実施する方針です。
企業価値向上に向けた取り組みとして、手数料比率が高く安定した利益成長と適切なリスクコントロールにより、収益ボラティリティを抑制し、また、各ステークホルダーとの対話も充実させることで、定量・定性両面で資本コストや株価を意識した経営を継続し、早期にPBR1.0倍以上を達成することを目指します。
当社及び三井住友信託銀行株式会社は、Apollo Global Management, Inc.(以下、「Apollo」という。)グループ及びGreensLedge Capital Markets LLC(以下、「GreensLedge」という。)との間で2022年6月30日付で業務提携契約を締結し、三井住友信託銀行株式会社は、総額15億ドルのオルタナティブアセットポートフォリオに対する投資を行うことを決定いたしました。
Apolloは米国ニューヨークを本拠地とし、オルタナティブアセット等の運用において世界トップクラスの実績を有するアセットマネージャーであります。Apollo及び三井住友信託銀行株式会社が一部出資を行っている米国独立系投資銀行であるGreensLedgeとの業務提携を通じ、当グループは、より深度のある知見蓄積、金融ソリューション提供力の強化を企図しております。
<Apolloの概要>
該当事項はありません。