当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 経営理念および行動準則
積水化学グループは、経営に対する理念を体系化している。企業活動の根底にある考え方や方針を示す「社是」、社是をうけて中長期で当社グループが目指す姿を示した「グループビジョン」、グループビジョンを実現していくための具体的な「経営戦略」により構成されている。
①社是「3S精神」
当社の社章は、創業当時の社名「積水産業」の頭文字の「S」3つを化学記号ベンゼン環の中に配置して、
「水」という文字をかたどったものである。1959年11月、当社は、このマークに「3S精神」という明確な定義づけを行い、社是として制定した。
「企業活動を通じて社会的価値を創造する(Service)」「積水を千仞の谿に決するスピードをもって市場を変革する(Speed)」「際立つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する(Superiority)」の3S精神は、積水化学グループの理念体系の根幹をなすものであり、約2万7千名の全社員の間で、しっかりと共有されている。
<社是「3S精神」>
|
・Service :企業活動を通じて社会的価値を創造する ・Speed :積水を千仞の谿に決するスピードをもって市場を変革する ・Superiority:際立つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する |
②グループビジョン
積水化学グループは、ステークホルダーの期待に応え、社会的価値を創造し、事業を通して社会に貢献することを目指している。
地球規模での人口増加や気候変動、先進国を中心とする高齢化、都市基盤の老朽化などに加え、これらすべてに関連する資源エネルギー問題がこれまで以上に喫緊な社会的課題になりつつある中、グループがこれまで蓄積してきた「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」の分野に関する経験・知見を活用して、これらの社会課題の解決に資する価値を創造し続けることを目指している。
<グループビジョン>
|
積水化学グループは、際立つ技術と品質により、「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓し続け、世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献します。 |
③積水化学グループ企業行動指針
積水化学グループは、グループの役員・従業員が従うべき行動指針である「積水化学グループ企業行動指針」を定め、日々の事業活動を通じて社会的信頼を高め、より一層魅力ある会社を目指している。
<企業行動指針>
|
1 社会の発展に役立つ事業活動を行う。 2 個人の能力を最大限に発揮し、活力ある組織をつくる。 3 お客様・取引先・株主・地域など広く社会から信頼される企業をめざす。 4 あらゆる企業活動において法およびその精神を遵守し、誠実に行動する。 5 よき企業市民として、サステナブルな視点で地球環境問題と社会貢献に取り組む。 |
(2) グループビジョンを実現するための経営戦略
積水化学グループは、社是「3S精神」の下、グループビジョンに掲げる「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」を両輪として成長していくため、長期ビジョン「Vision 2030」、ならびに2023年度から2025年度までの3か年を対象期間とした中期経営計画「Drive 2.0」を策定し、以下の取り組みを推進している。
①長期ビジョン「Vision 2030」
長期ビジョン「Vision 2030」では、積水化学グループがイノベーションを起こし続けることにより、「サステナブルな社会の実現に向けてLIFEの基盤を支え『未来につづく安心』を創造していく」という強い意志を込めたビジョンステートメント「Innovation for the Earth」を掲げている。レジデンシャル(住まい)、アドバンストライフライン(社会インフラ)、イノベーティブモビリティ(エレキ/移動体)、ライフサイエンス(健康・医療)の4つの事業領域を設定し、「ESG経営を中心においた革新と創造」を戦略の軸にして現有事業の拡大と新領域への挑戦に取り組み、2030年の業容倍増を狙う。
<ESG経営>
積水化学グループの「ESG経営」では、「サステナブルな社会の実現」と「当社グループの持続的な成長」の両立の実現を目指し、その鍵となる以下の3つのステップをステークホルダーとともに取り組んでいる。
イ)環境・CS品質・人材の「3つの際立ち」と「ガバナンス」の磨き上げ
ロ)3つのアプローチ(量を増やす・質を高める・持続的に提供する)で社会課題解決を加速
ハ)4つの事業領域で「未来につづく安心」という価値の創出・拡大
このESG経営を加速するため、当社グループ主要施策について中長期目標を定めるとともに、今中期経営計画ではESG強化費550億円(設備投資+費用)を設定し、重大インシデントにつながるリスク軽減に向けた取り組みやDX(デジタル変革)・人材・環境など経営基盤の強化を推進する。
②中期経営計画「Drive 2.0」
<中期経営計画「Drive 2.0」の全体像>
長期ビジョンの第2フェーズとなる中期経営計画「Drive 2.0」では、積水化学グループの業容倍増に向け、“持続的成長”と“仕込み充実”により、長期ビジョンの実現を目指すことを基本方針とし、①戦略的創造、②現有事業強化、③ESG経営基盤強化の3つの基本戦略に取り組み、企業価値の向上を推進する。
<中期経営計画の数値目標>
|
|
2025年度目標 |
|
|
中期経営計画 |
中期増分 |
|
|
売上高 |
14,100億円 |
+1,674億円 |
|
営業利益(率) |
1,150億円(8.2%) |
+233億円(+0.8%) |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
820億円 |
+127億円 |
|
ROIC(投下資本利益率) |
8.5% |
+0.9% |
|
ROE(自己資本利益率) |
11.0% |
+1.0% |
|
海外売上高(比率) |
4,800億円(34%) |
+1,049億円(+4%) |
|
EBITDA |
1,750億円 |
+329億円 |
<基本戦略>
中期経営計画「Drive 2.0」の基本戦略は、ESG経営を実践し持続的に企業価値を向上させていくために、長期ビジョンの第2フェーズとして①戦略的創造、②現有事業強化、③ESG経営基盤強化の3つに取り組むこと、それらを牽引するドライバーとしてサステナビリティ貢献製品の創出と拡大を加速させることにある。
イ)戦略的創造(Strategic Innovation)
新事業領域の創出を目指した仕込みの具体化
ロ)現有事業強化(Organic Growth)
現有事業の着実な成長とポートフォリオの磨き上げ
ハ)ESG経営基盤強化(Strengthen Sustainability)
持続的成長と仕込み充実に資するESGマネジメント強化
<投資・財務戦略>
中期経営計画「Drive 2.0」の3年間に獲得するキャッシュに加え、適切かつ機動的な資金調達を行うため、投資枠6,000億円を設定する。設備投資枠(戦略投資+通常投資)、M&A投資枠としてそれぞれ3,000億円を設定し、市場開拓に伴う増産投資や、M&Aによる技術やノウハウ、グローバルの販路獲得などに活用する。また、環境負荷低減、人的資本投資、デジタル変革など長期的に資本コストを抑制し、企業価値向上に寄与する取り組みを実行するために、ESG強化費550億円(設備投資+費用)を設定している。
<株主還元>
中期経営計画「Drive 2.0」では、株主の皆様への「剰余金の配当等に関する基本方針」の内容を見直し、株主還元のコミットを強化・明確化した。連結配当性向40%以上、総還元性向50%以上(D/Eレシオ(負債資本倍率)が0.5以下の場合)としつつ、DOE(自己資本配当率)3%以上を確保し、業績に応じ、かつ安定的な配当政策を実施する。
③気候変動課題への取り組み
当社グループは、気候変動は大きな社会課題であると同時に、当社グループにとって大きなリスクであると認識し、その解決に積極的に取り組んできた。2018年、化学業界初となるSBT認証(注)を取得し、2030年にGHG排出量削減率を2013年度比で26%とする目標を掲げ、前中期は老朽設備更新の促進などの「エネルギー消費革新」、今中期は購入電力の再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)転換や自家消費型太陽光発電設備の導入などの「エネルギー調達革新」を進めてきた。
(注)SBT(Science Based Targets)認証:企業が定めた温室効果ガス削減目標が、長期的な気候変動対策への貢献と科学的に整合していると、国連グローバル コンパクトをはじめとする共同イニシアチブにより認証されたもの。
そして、気候変動がさらに喫緊の社会課題となる中、燃料使用設備の電化や低炭素燃料への転換、さらに「生産プロセス革新」による燃料由来GHG排出量の削減という技術的難易度の高い取り組みを前倒しで行い、2030年のGHG排出量削減率を以下の通り引き上げるという意思決定を2022年10月に行った。またこれらの目標値はSBT認証を再取得している(2023年3月)。
(注)1.Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
(燃料の燃焼、工業プロセス)
2.Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
3.Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出
(事業者の活動に関連する他社の排出)
④サステナビリティ貢献製品による「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献
気候変動などの社会課題が深刻化し、持続可能な社会の実現に貢献することを企業に求める声が高まってきていることを背景に、グループビジョンの中で「世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献する」ことを掲げる企業として、積水化学グループはさまざまな製品や事業を通じて、持続可能な社会の実現のために2030年までに世界が成し遂げるべき「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた企業活動を推進している。
中でも、自動車向け遮音・遮熱中間膜や太陽光発電システム搭載住宅、管路更生SPR工法といった、地球および社会環境における課題解決への貢献度が高い製品をサステナビリティ貢献製品と認定し、連結売上高に占めるサステナビリティ貢献製品比率を高めている。
⑤ダイバーシティ経営の取り組み
積水化学グループは、長期ビジョンの実現に向け「全員が挑戦したくなる活力あふれる会社」を目指している。上司自らが各組織の長期ビジョンを部下に伝える活動を、当社グループの全組織で継続して展開し、ビジョンの浸透を図っている。また全てのグループ会社でプロジェクトを構成し、ダイバーシティ、働き方改革、健康経営といった共通の課題の解決を目指している。
イ)ダイバーシティ
当社は社会課題に対応するべく、多様な人材(女性、両立支援、シニア等)の活躍を推進している。2022年度には取締役会直轄の諮問機関として、ダイバーシティ推進委員会を立ち上げ、各種審議を重ねている。核となる女性活躍推進については、2022年度は、管理職候補者に向けた育成プログラムや、若手・中堅層向けのキャリア研修などを実施した。またシニア層の活躍機会を増やすべく、2023年3月までに当社およびグループ会社28社にて定年延長(60歳から65歳)を実施した。2025年度中に全グループ会社で定年延長を実施する予定である。
ロ)働き方改革
生産性向上や柔軟な働き方(リモートワーク、ペーパーレス等)の推進を通じ、グループ従業員の労働時間削減を図ってきた。各種制度やツールを活用し、時間や場所に捉われない働き方を実践している。2022年度からは、労働の質の改善を図るべく、従業員一人ひとりが自律的に働くことで、生産性を向上させる取り組みを進めている。
ハ)健康経営
健康管理(従業員のからだとこころの健康、組織の健康)を通じ、働きがい・やりがい・生産性の向上を図っている。2019年度に策定した「健康経営基本方針」に基づき、健康アプリの活用による「7つの健康習慣」応援プログラムに加え、全従業員対象・管理職対象・人事総務担当者対象のメンタルヘルス研修を実施している。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
|
2023年度目標 |
連結売上高 13,120億円 |
親会社株主に帰属する当期純利益 700億円 |
|
連結営業利益 1,000億円 |
ROE(自己資本利益率) 10.0% |
2023年度は、中期経営計画「Drive 2.0」の初年度として、持続的な成長に向けた施策とESG経営基盤の強化を推進していく。
事業環境には不透明な要素があるものの、グローバルの自動車・スマートフォンなどの市況および住宅着工数は、下期に向けて徐々に回復していくと見込んでいる。環境変化を着実にとらえ、社会課題解決に資する高付加価値事業・製品販売の拡大を図るとともに、固定費削減・生産最適化・事業構造改革など収益体質強化策を推進し、全てのセグメントで増収・増益、全社の売上高の過去最高更新、営業利益および親会社株主に帰属する当期純利益の過去最高益を更新の見通しである。
また、長期ビジョン達成のための仕込み、ペロブスカイト太陽電池やバイオリファイナリーの事業化、DX 推進、研究開発強化や賃上げなども含めた人的資本投資などの成長投資も加速していく。
<住宅カンパニー>
|
2023年度は、物価高騰影響の継続など厳しい事業環境が見込まれる中、新築住宅やリフォーム、不動産など各事業の売上増大やコスト削減により、増収・増益の見通しである。 新築住宅事業では、スマート&レジリエンスやデザインを改善した商品の投入など競争力の強化に取り組み、受注棟数増大や棟単価上昇による売上高の増大を図る。また、施工の平準化など生産性改善や生産体制最適化などの収益性改善に取り組み、経営体質強化に注力する。 リフォーム事業では、営業人員増員や定期診断の拡充、スマート&レジリエンスに対応した商材の拡販により、収益の増大を図る。また、セキスイハイムオーナー以外の一般リフォーム市場における需要の獲得に向けた取り組みに注力する。 不動産事業では、買取再販住宅「Beハイム」などの拡大に注力する。 なお、4月1日付でカンパニーの組織改正を実施し、東日本営業統括本部および西日本営業統括本部を新設し、全国グループ販売会社のガバナンスの強化を図るとともに、従前のまちづくり事業推進部をまちづくり事業部に昇格させ、業容拡大に向け注力する。
|
|
<環境・ライフラインカンパニー>
|
2023年度は、国内非住宅、住宅市況の低迷が継続すると想定するが、社会課題解決に資する重点拡大製品の拡販と海外事業の拡大に注力するとともに、原燃料価格高騰に対応した売値改善によりスプレッドを確保し、増収、過去最高益更新を目指す。また、2022 年度下期に行った事業ポートフォリオ組替えによるシナジーの早期発現を目指す。 パイプ・システムズ分野では、引き続き人手不足やインフラ老朽化などの社会課題解決に資する重点拡大製品の拡販を図るとともに、好調が見込まれる半導体向けプラント設備投資需要、塩素化塩ビ(CPVC)樹脂需要を確実に取り込み、売上拡大を図る。 住・インフラ複合材分野では、不燃性ウレタン製品を中心に耐火材料事業の拡大、大型高排水システムや介護用製品のさらなる拡販を推進する。また合成木材については、海外での鉄道まくらぎ用途の採用を加速させるとともに、建設中である欧州生産工場の2023 年下期からの稼働開始に向けた準備を着実に進める。 インフラ・リニューアル分野では、管路更生の海外での受注拡大、タンクリニューアルの販売強化などにより売上拡大を図る。
|
|
<高機能プラスチックスカンパニー>
|
2023年度は、原燃料価格高騰については一服感がある中、戦略分野においてさらなる成長施策へのシフトを推進するとともに売値の改善効果を継続させることで、増収・増益の見通しである。 エレクトロニクス分野では、低迷を続けるスマートフォン市況の下期に向けた回復を見込むとともに、基板・半導体関連をはじめとする非液晶分野での拡販を加速させ、増収を図る。 モビリティ分野では、市況回復が見込まれる中、売値の維持を図り、ヘッドアップディスプレイ用を中心とした高機能中間膜の拡販を推進し、増収を図る。また放熱材料の北米生産拠点の稼働本格化に向け着実に準備を進める。 インダストリアル分野では、市況が徐々に回復すると見込み、成長領域に定めているフォーム材、長尺クラフトテープなどの施工省力化製品や環境対応製品の拡販を推進するとともに、売値改善の継続により増収を図る。 |
|
<メディカル事業>
2023年度は、国内外の検査需要の回復を見込み増収、3期連続の最高益更新を目指す。検査事業では、米国においてCOVID-19検査薬で一般用医薬品(OTC)市場参入を図るとともに、中国において血液凝固分析装置・試薬の拡販により血液凝固領域の拡大を図る。医療事業では、引き続き新規原薬の拡販や新規受注獲得に注力する。
(4) 株主との建設的な対話に関する基本方針
持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向け、株主との対話を行うことは極めて重要である。当社は、社長および経営戦略部担当取締役を中心に、株主総会はもとより四半期毎の決算説明会や国内外の投資家面談などを積極的に行い、株主との建設的な対話に努めている。
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向け、株主との建設的な対話に関して、以下の基本方針を定めている。
①中長期的経営戦略の立案およびIRを統括する経営戦略部担当取締役を責任者と定め、投資家との間で建設的な対話を実現するための体制整備・取り組みを行う。
②経営戦略部担当取締役は、各カンパニー、経営管理部、法務部、コーポレートコミュニケーション部、その他関係部署を中心に、インサイダー情報の漏洩に留意しつつ、対話を補助する部門間での情報共有を確実に行うなど有機的な連携を確保する。
③株主との建設的な対話を促進するため、株主構造の把握に努め、また対話の手段として、以下の取り組みを実施し、対話の充実に努める。
イ)社長や経営戦略部担当取締役などによる四半期毎の決算説明会の実施
ロ)国内外投資家との個別面談の実施
ハ)株主・投資家向け事業説明会などの適宜実施
ニ)当社ウェブサイトにおける国内外投資家へ向けた情報開示の充実(統合報告書、決算説明会資料、音声など開催模様含む)
ホ)当社ウェブサイトにおける意見投稿機会の確保
④経営戦略部担当取締役は「企業情報開示規則」に則り、対話によって得られた投資家の意見などを取りまとめ、適時適切に取締役会などで共有し、経営に活かす。
⑤「企業情報開示規則」および「インサイダー取引規制規則」に則り、情報管理を強化していく。株主との対話においても細心の注意を払う。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、様々な要因により実際の結果とは異なる可能性がある。
(1)サステナビリティ課題全般
①ガバナンス
当社グループでは、監督機能としての取締役会と、執行機能としての「サステナビリティ委員会」および傘下の7分科会からなる監督・推進体制により、ESG経営をグループ一体で進めている。
取締役会:
サステナビリティ委員会で審議した方針・戦略、全社リスクについて年2回報告を受け、最終決定するとともに、サステナビリティに関する執行側の取り組みを監督している。
サステナビリティ委員会:
社長を委員長、ESG経営推進部担当専務執行役員を副委員長とし、住宅カンパニー、環境・ライフラインカンパニー、高機能プラスチックスカンパニーの各プレジデントを含む業務執行取締役で構成され、年2回開催している。
委員会では、将来当社グループが直面する可能性のある全社的なリスクや機会を抽出・特定してマテリアリティを適宜見直すとともに、全社方針やKPIの決定、全社実行計画の策定を行います。また各分科会委員長による報告を受け、各マテリアリティの取り組み状況をモニタリングしている。
分科会:
サステナビリティ委員会の傘下組織として、当社グループのマテリアリティに関わる「環境」「CS品質」「人材」「安全」「コンプライアンス」「サイバーセキュリティ」「DX」の7分科会を設置している。各分科会は、コーポレートの担当役員を委員長とし、3カンパニーの担当役員および各カンパニー、コーポレート、コーポレート傘下のメディカル事業の主管部門長で構成され、年2回開催している。「サステナビリティ委員会」の決定内容に基づいたカンパニー別の具体施策立案と実行計画への落し込み、取り組み状況のモニタリングを行っている。その結果を各分科会委員長が「サステナビリティ委員会」に参加して報告、審議を行っている。
②戦略
当社グループでは、社会課題解決に取り組むことは、社会の持続性向上に直結しており、貢献の対価である売上高は、社会課題解決貢献量であると考えている。そしてその貢献の質・量を向上させることで当社グループの持続的な利益ある成長を図ることができ、またそのことで、お客様、株主、従業員、取引先、地域社会・地球環境といったすべてのステークホルダーへの貢献をさらに拡大していくことができると考えている。
・積水化学のESG経営
“Innovation for the Earth”というステートメントを中心に捉え、「サステナブルな社会の実現」と「グループの持続的な成長」の両立の実現を目指し、その鍵となる「Ⅰ.際立ち」「Ⅱ.社会課題解決」「Ⅲ.未来につづく安心」の3つのステップをステークホルダーとともに実践していくことを、当社のESG経営としている。
そして長期ビジョン「Vision 2030」実現のため、ガバナンス(内部統制)、DX、環境、人材(人的資本)、融合・イノベーションをESG重要課題(マテリアリティ)と特定し、各マテリアリティにそれぞれKPIを設定してESG経営の取り組みを進めている。
<3つのステップ>
Ⅰ.際立ち
社会に信頼される企業体制を「ガバナンス(内部統制)」と通じて実現し、際立つ「人材」の挑戦を原動力に「環境」「CS品質」で圧倒的な差異を持つ製品・サービスを生み出していく
Ⅱ.社会課題解決
「際立ち」をもとに、3つのアプローチ(貢献の量を増やす、質を高める、これらを持続的に提供していく)で社会課題解決を加速
Ⅲ.未来につづく安心
未来の世代も含めたあらゆる世代に安心してもらえるよう「未来につづく安心」という価値を、4事業領域(レジデンシャル、アドバンストライフライン、イノベーティブモビリティ、ライフサイエンス)で創出・拡大
・SEKISUI環境サステナブルビジョン2050
気候変動を含む環境課題に関しては、2050年に向けた方向性を「SEKISUI環境サステナブルビジョン2050」の通り描いている。また、“環境”における重要課題を認識し、2050年の到達目標からバックキャストして、中期にやるべきことを考え、環境中期計画を策定している。
当社グループが2050年に目指す地球の姿は、気候変動、資源循環、水リスクのすべての環境課題のゴールが同時に実現することで、生物多様性が健全な状態に保たれた、“生物多様性が保全された地球”である。企業活動において、地球上の自然資本、社会資本を利用していることを認識し、(1)サステナビリティ貢献製品の市場拡大と創出、(2)環境負荷の低減、(3)環境の保全、の3つの活動によって自然資本、社会資本のリターンに貢献し、気候変動、資源循環、水リスク、生物多様性といった地球上の課題解決に貢献する。そしてリターンへの貢献を加速していくために、当社のみならずステークホルダーの皆様と連携し、取り組みを推進していく。
③リスク管理
当社グループでは、専門領域別および海外地域別にリスク情報を網羅的に収集し、「起こりやすさ」と「インパクト」の2軸で評価を行っている。その結果を踏まえ、各専門領域の管掌役員による全社リスク検討部会において一元的評価を行い、全社重大リスクを特定している。これらリスクの発現を未然に防止する活動(全社リスク管理:ERM)と、リスクが顕在化した時に対応する活動(危機管理)を一元的に管理するリスクマネジメント体制を推進しており、この一元化により、組織の状況に応じて、常に変化するリスク危機に適応できる体制を構築している。
④指標及び目標
ESG重要課題(マテリアリティ)として特定したガバナンス(内部統制)、DX、環境、人材(人的資本)、融合・イノベーションについては、それぞれ全社KPIを定め、全社の中長期目標およびカンパニー別の中期・年度目標値を設定し、全社および各カンパニーの実行計画に落とし込まれている。
目標達成に向けた各種施策およびKPIの進捗状況は各分科会ならびに各カンパニーの予算会議でモニタリングされ、サステナビリティ委員会そして取締役会に年2回報告されるとともに、その進捗を経営層および一部管理職の賞与に反映させている。
※サステナビリティについての取り組みの詳細は、サステナビリティレポート2022を発行し、当社webサイトで開示を行っている。なお、サステナビリティレポート2023の発行は2023年7月を予定している。
<サステナビリティレポート>
https://www.sekisui.co.jp/sustainability_report/
(2)気候変動への対応(TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示)
①ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、前述のサステナビリティ課題全般のガバナンスに組み込まれている。特に、気候変動を含む環境課題の監督・執行体制については以下の通りである。
環境責任者会議:
再生可能エネルギーや資源循環など、重要案件ごとに設定し、定期的に開催(1回/月)。コーポレートとカンパニーの環境責任者が参加し、課題解決の進捗を確認し、解決策を検討。
②戦略
気候変動が当社グループおよび当社グループ事業に及ぼすリスクの抽出と、長期リスクに備えるための戦略を確認するにあたっては、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次・第6次評価報告書を参考にし、気候変動シナリオ設定を行っている。
気候変動シナリオ
設定した気候変動シナリオをもとに、気候変動リスクがもたらす事業領域ごとのインパクト分析を実施し、長期リスクに備える戦略を検討している。分析に際しては、1.5℃シナリオと4℃シナリオを元に、気候変動の緩和が進む/進まないという軸と社会システムが地方に分散する/大都市に集中するという軸の2軸を設定し、さらに他の環境課題が気候変動課題と相互に及ぼし合う影響も考慮して、4つの気候変動シナリオを想定している。
気候変動リスクのインパクト分析結果
緑字:1.5℃シナリオ見直しに伴った事項
太字:イノベーション関連項目
これら想定される社会において、考えられる当社グループのリスクと機会の分析を行い、各シナリオで描いた社会が実現した場合に適応するための当社グループの戦略について検討した結果の概要は以下の通りである。
A) 脱化石スマート社会/1.5℃×集中化シナリオ
B) 循環持続社会/1.5℃×分散化シナリオ
C) 地産消費社会/4℃×分散化シナリオ
D) 大量消費社会/4℃×集中化シナリオ
③リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、前述の
④指標及び目標
当社グループは、気候変動は大きな社会課題であると同時に、当社グループにとって大きなリスクであると認識し、その解決に積極的に取り組んできた。2018年、化学業界初となるSBT認証を取得し、2030年にGHG排出量削減率を2013年度比で26%とする目標を掲げ、老朽設備更新の促進などの「エネルギー消費革新」、購入電力の再生可能エネルギー転換や自家消費型太陽光発電設備の導入などの「エネルギー調達革新」を進めてきた。
そして、気候変動がさらに喫緊の社会課題となる中、燃料使用設備の電化や低炭素燃料への転換、さらに「生産プロセス革新」による燃料由来GHG排出量の削減という技術的難易度の高い取り組みを前倒しで行い、2030年のGHG排出量削減率を以下の通り引き上げるという意思決定を2022年10月に行っている。また、これらの目標値はSBT認証を再取得している。(2023年3月)
・新たなGHG排出量削減目標
|
|
従来目標 |
更新目標 |
更新目標達成の手段 |
|
Scope1+2 |
基準年:2013年 目標年:2030年 削減率:26% (2℃目標) |
基準年:2019年 目標年:2030年 (変更なし) 削減率:50% (1.5℃目標) |
従来の購入電力の再エネ化に追加し、 低炭素燃料へ転換、電化、生産革新による燃料由来GHG削減の取り組み前倒し |
|
Scope3 |
基準年:2016年 目標年:2030年 削減率:27% |
基準年:2019年 目標年:2030年 (変更なし) 削減率:30% |
資源循環の取り組み(非化石原料へ転換、再生材料の使用拡大、廃棄物の再資源化)を追加し、原材料起因や生産プロセス、お客様での廃棄の際の削減を促進 |
・2021年度の進捗
|
|
排出量合計 (千t-CO2) |
削減率 |
|
Scope1 |
220 |
16.9%削減(2013年度比) |
|
Scope2 |
523 |
|
|
Scope3 |
4,343 |
1.3%削減(2016年度比) |
※TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示の詳細は、TCFDレポート2022を発行し、当社webサイトで開示を行っている。なお、TCFDレポート2023の発行は2023年8月を予定している。
<TCFDレポート>
https://www.sekisui.co.jp/sustainability_report/report/#tcfd
(3)当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
「従業員は社会からお預かりした貴重な財産である」という考え方に基づき、従業員が活き活きと働くことができる環境づくりに取り組むとともに、一人ひとりが自分の“得意技”を磨き、挑戦を通じて成長していくことを支援するさまざまな機会を提供する。
①考え方
Vision 2030 の実現に向けて、「全員が挑戦したくなる会社」すなわち「革新や創造がなされ、社会課題解決への貢献が拡大する姿」を目指し、人材マネジメントの転換(役割機軸の人事制度、挑戦の促進)を図り、人事戦略を推進している。
②ガバナンス
人事戦略の実現に向けて、2022年度より「ダイバーシティ推進委員会」を設置した。これは、経営における人材の多様性確保に関する事項について、執行に対する監督並びに助言をする機関である。専門の知見を持つ社外取締役の参画により、ダイバーシティへの取り組みを強力に訴求することが可能となった。また監督側と執行側の役割分担を明確にすることにより、ガバナンス強化につなげている。
執行機関としては、サステナビリティ委員会の下、人事担当役員が委員長となり、各カンパニーの人事部門長で構成された「人材分科会」を設置している。
③戦略
全員が挑戦したくなる活力あふれる会社の実現に向け、人材育成方針(※1)のもと、事業の成長スピードや変化に対応すべく人材を育成し、ビジネスリーダーの後継者確保、ならびに適所適材の実現を推進している。また、社内環境整備方針(※2)を立て、各国・地域に対応した多様な働き方・安心して働ける職場づくりを目指している。
※1.人材育成方針
A) ダイバーシティの促進
一人ひとりが持ち味を発揮し、活き活きと活躍できる風土をつくる
B) 挑戦の奨励
自ら手を挙げ、挑戦し続ける人材を応援する
C) 際立つ人材の育成
学び自ら成長し、得意技を持つ人材を支援する
※2.社内環境整備方針(ダイバーシティマネジメント方針)
「100年経っても存在感のある企業グループであり続ける」ためには多様性が不可欠との認識に立ち、従業員一人ひとりの「仕事・生活両面における志向」や「持ち味」が異なることを理解し、認め、積極的に活かす。
その組織風土創りに向け、雇用や活躍機会の提供、成長を支援する様々な環境整備を、従業員との対話を通じて図り続ける。
④主な取り組み
イ)活力あふれる会社の実現
・挑戦の促進
長期ビジョン達成に向けては、従業員一人ひとりが、従来のやり方にとらわれず、挑戦し続けることが最も重要であると考え、人的資本のKPIとして、「挑戦行動の発現度」を設定している。従業員が実際に挑戦行動をとっているか、挑戦行動をとりやすい組織であるかを従業員へのアンケート調査で定期的に調査し、職場単位の改善につなげている。
・エンゲージメント向上
挑戦の土台となる、会社に対してのエンゲージメント(仕事に対する情熱・会社に対する愛着)を測定するため、定期的に従業員へのアンケート調査を実施している。
調査結果については、カンパニー、グループ会社、各組織単位で分析し、改善施策の立案・実施を行っている。
組織横断での取り組みとして、国内グループ会社の人事部門が集まり、エンゲージメント向上に向けた改善活動を行っている。プロジェクトでは、先進他社事例の勉強会、社内好事例の共有と表彰、組織開発手法のセミナーなどを実施している。
ロ)ダイバーシティ推進(多様な人材の活躍)
・多様な人材の活躍支援(女性、障がい者、両立支援)
「ダイバーシティマネジメント方針」に基づき、「多様性」を性別、年齢、人種等の外見からわかる違いでとらえるだけでなく、経歴、価値観、性格などを含めた違いにも着目している。従業員一人ひとりの違いを理解し、認め、強みとして活かしていく。
中でも、女性活躍推進については、「女性採用の強化」「定着と活躍」「管理職創出」「管理職登用後の育成」の4段階に分けて取り組みを進めている。新卒採用時における女性比率は過去5年間で概ね3割に達しており、今後もこの比率以上を維持する方針である。その中で、基幹的な役割を果たすビジネスキャリアコースへの女性の採用を増やし、新入社員~入社4年目までに経験学習サイクル・キャリア形成などの研修プログラムを実施するなど、早期からリーダーシップや自ら学び挑戦しながら成長する意識の醸成を図っている。また、様々な両立支援の中でも、育児両立に向けた取り組みとして、育児・介護休業法改正への対応と、管理職へのイクボスeラーニング(受講者3,237人)などの男性の育休取得促進のための環境整備を
行った。障がい者に向けた取り組みについては、障がい者の採用を進めるとともに、障がい者が働きやすい環境づくりやキャリア支援を推進している。障がい者雇用にあたってはグループ各社のニーズに合わせ、業務の切り出しから就業環境の整備まで含めて専門家による支援を取り入れている。
・働き方改革と健康経営
多様な人材が活躍できる環境を整えるため、働き方改革と健康経営を推進している。
働き方改革では、労働時間削減の取り組みに加え、仕事の生産性向上に取り組んでいる。健康経営では、健康経営の基本方針を策定し、従業員の心身健康の課題解決に向けて取り組みを推進している。
⑤指標と目標(単体※1)
|
項目 |
KPI |
実績(2022年度) |
目標(2025年度) |
|
人材マネジメント |
後継者候補準備率 ※2 |
77.0% |
100.0% |
|
|
研修時間 ※3 |
6.1時間 |
10.0時間 |
|
活力ある会社への変革 |
挑戦行動発現度 ※4 |
60.0% |
70.0% |
|
ダイバーシティ推進 |
女性採用比率 |
28.0% |
35.0% |
|
|
女性基幹職比率 |
4.5% |
5.0% |
|
|
男女賃金格差 ※5 |
68.6% |
- |
|
|
男性育休取得率 |
68.1% |
75.0% |
※1 連結ベースでの開示は困難であるため、提出会社単体の指標と目標を開示している。
※2 ビジネスリーダー最上位ポストの後継候補者数÷同ポスト数
※3 年度における従業員一人当たりの研修受講時間
※4 長期ビジョン達成に向けた挑戦行動を、従業員が実際に発現したかをアンケートで測定
※5 制度上の賃金格差はなく、労務構成(年齢および資格)比による格差
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、当社は、当社グループにおける各種リスク発生の可能性を把握し、発生の回避及び発生時に迅速・的確な対応ができるようにするための体制の確立に努めている。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものである。
(1) 経営環境に関するリスク
当社では、下記①~⑤に記載する、経済、市況、金融、災害、地球環境をはじめとした社会等に関する環境変化に対して迅速な対応をはかるべく、毎月の取締役会、および四半期ごとの予算編成会議において、各事業部門からの報告に基づいて対応策の議論と意思決定を行い、また、経営計画における指標や財務状況の適時・適切な見直しと開示に努めている。
① 経済動向および製品市況の動向
当社グループ製品の事業展開エリアである日本、北米、欧州、アジアなどでの経済環境の動向や、モビリティ、エレクトロニクス、住宅、建築、インフラなどの市場の動向は、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
具体的には、世界的に収束に向かっているとみられるCOVID-19の感染状況や、ロシアのウクライナ侵攻を契機とした原燃料価格の高騰、そこから波及した世界的な物価高は、消費マインドを減退させているが、今後の状況によって、当社グループの業績にも影響を及ぼす。
事業別に見ると、高機能プラスチックスカンパニーの事業のうち、モビリティ分野の事業が対象とする市場は、グローバルな自動車産業や航空機産業の景況・需要動向の影響を受けやすく、エレクトロニクス分野の事業が対象とする市場は、技術的な進歩が速く、また、需要の変動も大きく、短期間に縮小する場合もある。また、住宅カンパニーの事業では、国内の住宅取得に関する政策や税制、金利動向および個人消費や各エリアの経済動向の影響を、環境・ライフラインカンパニーの事業は、官公庁との取引を含むため、政府および地方自治体の政策によって決定される公共投資の動向による影響を受ける可能性がある。
当社グループでは、事業の多角化や展開地域のグローバル化等によりそのリスクをヘッジしているが、製品需要が大きく変動した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性がある。
② 原材料の市況変動及び調達
当社グループの生産活動に使用される鉄鋼、木材、塩化ビニル・オレフィン等石油関連の原材料の価格は、世界各国の経済環境や需給バランスの変動による供給の逼迫や遅延、供給国の通商政策の影響を受ける。また、一部の希少な原材料については、安定調達に関わるリスクがある。
急激な原材料価格の高騰は、生産コスト上昇につながり、また、希少原材料の需要動向やサプライヤーでのトラブルは当社グループの製品供給に支障をきたす可能性がある。
当社グループでは、原材料調達ソースの多様化等により、安定的な調達に努めるとともに、原材料価格の上昇に対しては、継続的な原価低減施策を行うと同時に、製品の付加価値を高め、必要に応じて販売価格の改定を行い、それらのリスクをヘッジしているが、価格変動が大きな場合等は、業績に大きな影響を及ぼす可能性がある。
③ 為替・金利・保有資産価格の変動
当社グループは、グローバルに事業展開しており、2023年3月期の海外売上高比率は30.2%となっている。そのため、外貨に対する円の価値変動は、外国通貨建ての取引や、在外連結子会社等の財務諸表項目の円換算額に影響を及ぼす可能性がある。外国通貨建ての取引では社内為替レートを使用しているが計画と実勢の乖離を回避すべく、四半期ごとに米ドルおよびユーロの社内為替レート見直しを行っている。また、現在の事業展開と規模において、乖離が出た際の営業利益への影響額は1円/米ドルにつき約5億円、1円/ユーロにつき約1億円と認識して開示している。
また、金利の変動は、当社グループにおける受取利息・支払利息の増減や、住宅事業の需要に影響を与える可能性がある。
当社グループが保有する土地などの不動産、その他棚卸資産や有形固定資産、のれんなどの無形固定資産、投資有価証券等の投資その他の資産についても、市場環境や経営環境の変化により減損処理が必要となるリスクがある。
これらによって、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性がある。
④ 大地震、自然災害等
当社グループの事業拠点における大地震・津波等の自然災害および感染症の蔓延等の発生に伴い、当社グループの事業活動の中断などのリスクが存在する。
それに伴い生ずる社会的信用の失墜、補償等を含む産業事故災害への対応費用、生産活動の停止による機会損失および顧客に対する補償等により、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性がある。
⑤ 政治・社会
当社グループは成長戦略の1つとしてグローバル展開を進めており、現在は22ヵ国に拠点を構え、生産および販売活動を行っている。
海外における事業活動では、世界経済全体の動向に加え、テロ・戦争などの政治的混乱、関税報復措置、予期しない政策・法律・規制の変更、税制改正、産業基盤の脆弱性、自然災害、感染症、人種差別、不買運動その他の要因による社会的または政治的混乱のリスクが存在する。
これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績および将来計画に影響を与える可能性がある。
当社グループは米国・欧州・中国・ASEANの4か所に地域統括会社を設置し、当社グループが拠点を構える各国の経済・社会・政治的状況や、各国法規制の動向について情報を収集している。
また対応が必要な事象が生じた際には、当該グループ会社、地域統括会社および日本本社の専門部門が連携して適宜対応している。
(2) 業務リスク、その他
積水化学グループでは、当社の持続的な成長および企業価値を毀損する可能性のあるリスク項目のうち、特に重大なものを全社重大リスクとして位置づけ、領域別の各分科会、サステナビリティ委員会、取締役会を経て、対応方針と施策を決定し、各部署の実行計画に落とし込んでいる。また、当社のサプライヤに対しても「持続可能な調達」調査の実施などにより、責任あるサプライチェーンを構築し、持続可能な調達の実現・維持に向けて取り組んでいる。
① 安全・衛生、産業事故
当社グループの工場および研究所における周辺地域に影響する大きな産業事故(火災や爆発、有害物質漏洩等)、それに伴い生ずる社会的信用の失墜、補償等を含む産業事故災害への対応費用が発生するリスクが存在する。
当社グループでは、火災や爆発、有害物質漏洩等の産業事故の未然防止に向けて、自然災害も想定した各生産拠点でのリスクマネジメント活動によるリスク抽出と対応を行うとともに、本社の専門部門による実地監査と是正指導(設備本質安全化等)をグローバルで定期的に実施している。
あわせて海外においては、海外危機管理事務局が中心となって地域統括会社とともに自然災害を含む危機管理情報の共有やタイムリーな注意喚起等を行っている。
② 製品、品質
当社グループでは品質に万全を期すための品質保証・向上の取り組みを継続している。
しかしながら、それらにも関わらず、重大な製品事故が発生した場合、製品に対する安全性・環境問題・各国法規制対応等に疑義が持たれた場合、知的財産に係る紛争が生じ当社グループに不利な判断がなされた場合等において、商品の回収や製造中止およびこれらに伴う補償や顧客からの信頼を失うリスクがある。
これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性がある。
当社グループは、お客様に継続的に選択していただける価値を常にお届けする「CS 品質経営」に取り組んでいる。「重要品質問題ゼロ」を当社グループの重要指標の1つとして設定し、商品化後に起こりうる品質リスクの開発段階での事前予測による品質問題の発生の未然防止、製造部門が実行すべき日常の管理の基本的指針の徹底など、バリューチェーン全体で一貫した品質管理を行い、そのレベルの向上を図っている。
また、当社グループでは、技術の「際立ち」を最大限に活かすために知的財産戦略を重視し、強い特許の獲得による事業競争力確保を目指しているが、あわせて他者の知的財産を侵害しないよう調査を行うとともに、知的財産侵害に対する回避・予防策などの適切な措置をとっている。
③ コンプライアンス
当社グループは事業の遂行にあたり、様々な法規制の適用を受けている。
これらの法規制の改正や予期しない法規制の導入等に起因した違反事案や、業績目標達成のプレッシャー等に起因した不正等の重大なコンプライアンス違反事案が発生した場合、その対応に要するコストに加え、顧客からの信頼を失い、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性がある。
当社グループでは、2003年に「コンプライアンス宣言」を制定し、「社会への貢献」「信頼される企業」「法やその精神の遵守」などの考え方を基本として、当社グループの理念体系や企業行動憲章に掲げられた精神に則り、コンプライアンスを通じて社会から高い信頼を獲得する姿勢を明確にしてきた。2020年10月には、当社社長加藤のもと、当社グループにとって成長の基盤となるものがコンプライアンスであり、役員・従業員(一人ひとり)が社会常識に反する行為をせず、高い倫理観と責任感を持った行動をとることを宣言している。
また、取締役会において、「コンプライアンスに関する基本方針等」の審議を行うとともに、当社および当社グループ会社におけるコンプライアンス体制の構築および実践を図ることを目的として、社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会の専門分科会として「コンプライアンス分科会」を設置し、コンプライアンスに関する重要事項の企画、検討及び決定を行っている。さらに、本社の専門部門による監査と是正指導をグローバルで定期的に実施している。
当社グループが広く社会から信頼されるよう、コンプライアンス意識の向上に今後も取り組んでいく。
④ 情報管理
当社グループは、生産、販売、研究開発、調達、会計などのビジネスプロセスにおいて、ITを効率的に活用する一方で、ITシステムへの依存度は高くなっている。また、これらビジネスプロセスの機密情報に加え、住宅事業ではその特性上、多くのお客様の個人情報を取り扱っている。
そのため、サイバー攻撃や停電、自然災害、機器やソフトウェアの障害・欠陥等に伴う事業の中断や損害賠償の発生、個人情報を含む機密情報の漏洩等のリスクが存在する。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性がある。
当社グループでは、指針となる「情報セキュリティ方針」を制定の上、対応強化のためにCSIRT(シーサート、Computer Security Incident Response Team)*を設置し、システム上でインシデント発生の有無を常時監視するとともに、万一の発生時には適切な対応と再発防止を図る体制を整備し、従業員教育による人的な情報漏洩の未然防止も図っている。
また、大地震などの自然災害等による基幹システム停止リスクに対しては、データセンターの複数か所への分散設置、重要業務システムの完全二重化等の対策を講じている。
⑤ 気候変動・環境問題
温室効果ガスが原因とされる気候変動や、資源枯渇、水リスク、海洋プラスチックごみ等に関わる問題は世界の共通社会課題であるとの認識のもと、当社グループでは長期ビジョン2030やSEKISUI環境サステナブルビジョン2050の実現に向け、社会課題解決による社会・地球環境の持続可能性向上と当社グループの持続的成長を図る「ESG経営」を推進している。
これらに対する取り組みが不十分な場合、社会からの信頼の喪失・レピュテーションや競争力の低下につながり、売上にも影響を与える可能性がある。
当社グループは、環境や社会の課題解決に寄与することで地球および社会のサステナビリティを向上するサステナビリティ貢献製品の創出・認定とその市場拡大、温暖化対策としての2030年までの購入電力の100%再生可能エネルギー化、燃料使用設備の電化や低炭素燃料への転換、非化石由来および再生材料の使用拡大、廃棄物の再資源化などにサプライヤとも連携してサーキュラーエコノミーの実現に取り組んでいる。また、海洋プラスチック問題を解決するための企業イニシアティブの「CLOMA※1」や「JaIME※2」にも参加するなど、産官学での連携を通じ、同問題の解決を促進する活動も行っている。
※1 経済産業省と農林水産省が主体となる海洋プラスチックに対処する企業イニシアティブ
※2 日本化学工業協会が主体となる海洋プラスチックに対処する企業イニシアティブ
(3) リスクの特定、管理体制
積水化学グループでは、専門領域別および海外地域別にリスク情報を網羅的に収集し、「起こりやすさ」と「インパクト」の2軸で評価を行っている。その結果を踏まえ、各専門領域の管掌役員による全社リスク検討部会において一元的評価を行い、全社重大リスクを特定している。これらリスクの発現を未然に防止する活動(全社リスク管理:ERM)と、リスクが顕在化した時に対応する活動(危機管理)を一元的に管理するリスクマネジメント体制を推進しており、この一元化により、組織の状況に応じて、常に変化するリスク危機に適応できる体制を構築している。
また、万一の災害、事故等の発生時においてグローバルでの早急に把握する緊急連絡網の体制を構築するとともに、適切な初動対応のための従業員教育を強化している。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
積水化学グループの長期ビジョン「VISION 2030」に基づき策定した、中期経営計画「Drive 2022」の最終年度となる2022年度の事業環境として、自動車生産は半導体不足による減産の影響があったものの、前連結会計年度を上回る水準で推移した。スマートフォン出荷台数は第2四半期以降の中国を中心とした在庫調整の影響により、前連結会計年度を大幅に下回って推移した。国内の住宅着工数は前期を下回って推移した。
そのような環境のもと、高付加価値品の販売拡大に加えて売値改善が進捗、為替の効果もあり、売上高は過去最高となった。
また、原燃料・部材価格の高騰の影響を大きく受けたが、売値の改善、高付加価値品の販売拡大、コストダウンなどにより挽回し、営業利益は増益となった。経常利益は為替の効果もあり増益となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に減損損失の計上があった影響で大幅な増益となった。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、過去最高益を更新した。
その結果、売上高は前連結会計年度比7.3%増の1,242,521百万円、営業利益は3.1%増の91,666百万円、経常利益は7.5%増の104,241百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は86.9%増の69,263百万円となった。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更している。詳細は、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](セグメント情報等)」に記載のとおりである。以下の前連結会計年度比については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分にて組み替えた数値で比較をしている。
セグメントごとの経営成績は次のとおりである。
イ)住宅事業
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比4.3%増の537,371百万円、営業利益は前連結会計年度比7.0%減の32,831百万円となった。当連結会計年度は、売上高は新築住宅、リフォーム、不動産、まちづくりの各事業が増収となり、カンパニーとして過去最高となった。一方、営業利益は特に新築住宅事業において部材価格高騰の影響を受け、増収減益となった。
施策面については、自然災害の深刻化などを背景にエネルギー不安が高まる中、新築住宅、リフォーム、まちづくりの各事業でスマート&レジリエンス訴求を図った。
新築住宅事業では、新型コロナウイルス感染症や物価上昇による購買意欲低下の影響などにより、受注棟数は前期を下回った。2022年10月に新分譲地ブランド「ユナイテッドハイムパーク」を立ち上げた。また、自社サイトを活用したウェブマーケティングの強化に加え、分譲・建売住宅の拡販に注力した。
リフォーム事業は、蓄電池などの拡販により受注が前期を上回った。定期診断の拡充や提案力強化に努めた。
ロ)環境・ライフライン事業
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比8.5%増の234,296百万円、営業利益は前連結会計年度比39.2%増の21,192百万円となった。当連結会計年度は、国内の非住宅建築市況が低調であったことに加え、第3四半期以降の住宅需要減少の影響を受けたが、売値改善によるスプレッドの確保、国内外の半導体向け設備投資需要が堅調であったことなどにより売上高は増収、営業利益は過去最高益更新となり、増収増益となった。
パイプ・システムズ分野では、国内の住宅向け、非住宅向けとも需要が想定を下回るも、国内外で半導体向け設備投資需要が増加しているプラント用管材、インドを中心とした海外での塩素化塩ビ(CPVC)樹脂の販売が堅調だったことを受け、売上高は前期を上回った。
住・インフラ複合材分野では、住宅向け需要が想定を下回るも、耐火・不燃材料、大型高排水システムなどの重点拡大製品や欧米を中心とした海外でのまくらぎ向け合成木材の販売拡大により、売上高は前期を上回った。
インフラ・リニューアル分野では、管路更生の海外での需要回復、国内外での売値改善、パネルタンクの需要の緩やかな回復などに支えられ、売上高は前期を上回った。
ハ)高機能プラスチックス事業
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比12.1%増の396,389百万円、営業利益は前連結会計年度比2.7%減の40,091百万円となった。当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症に伴う中国でのロックダウンやウクライナ情勢などに起因する自動車減産や、第2四半期以降のスマートフォンの在庫調整などによるエレクトロニクス市況の低迷の影響を受けたものの、高機能品の拡販、売値の改善、為替の効果などにより売上高は増収となった。営業利益は原燃料価格の著しい高騰やエレクトロニクス市況の減退の影響が大きく、売値の改善、高機能品の拡販、コストダウンにより挽回を図ったが、減益となり、増収減益となった。
エレクトロニクス分野は、第2四半期以降、中国におけるスマートフォンの在庫調整などによる想定を超えた著しい市況低迷の影響を受けるとともに、これまで堅調だった非液晶分野も市況が低迷し、売上高は前期を下回った。
モビリティ分野は、新型コロナウイルス感染症の影響や部材供給不足などにより中国を中心に自動車市況は停滞したものの、ヘッドアップディスプレイ用中間膜を中心とした高機能品の販売が伸長、為替の効果もあり、売上高は前期を上回った。
インダストリアル分野は、包装材市況減退の影響を受けたものの、フォーム材や長尺クラフトテープなどの省力化製品や環境対応製品の拡販推進、順調な売値改善、為替の効果もあり、売上高は前期を上回った。
ニ)メディカル事業
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比1.3%増の89,680百万円、営業利益は前連結会計年度比11.9%増の12,511百万円となった。当連結会計年度は、国内外の生活習慣病の外来検査需要が回復したこと、および米国でのインフルエンザ検査キット拡販、医療事業の新規原薬販売が堅調に推移したことにより、増収、営業利益は過去最高益更新となった。
ホ)その他事業
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比49.4%増の7,388百万円、営業損失は前連結会計年度比578百万円増の10,894百万円となった。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より48,531百万円減少し、当連結会計年度末には85,207百万円となった。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果増加した資金は71,543百万円(前連結会計年度は105,023百万円の増加)となった。これは、税金等調整前当期純利益99,494百万円、減価償却費48,995百万円に加えて、預り金の増加額7,512百万円等の増加要因が、法人税等の支払額37,897百万円、棚卸資産の増加額36,718百万円、仕入債務の減少額5,114百万円等の減少要因を上回ったためである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は59,430百万円(前連結会計年度は2,694百万円の増加)となった。これは、主に重点及び成長分野を中心とした有形固定資産の取得による支出44,674百万円、無形固定資産の取得による支出11,733百万円等があったためである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果減少した資金は62,906百万円(前連結会計年度は54,729百万円の減少)となった。これは、自己株式の取得による支出27,410百万円、配当金の支払額25,100百万円(非支配株主への配当金の支払額を含む)、有利子負債の純減8,665百万円等があったためである。
③ 生産、受注及び販売の状況
イ)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
住宅 |
561,978 |
9.9 |
|
環境・ライフライン |
234,157 |
7.9 |
|
高機能プラスチックス |
415,628 |
14.0 |
|
メディカル |
89,181 |
△ 2.0 |
|
報告セグメント計 |
1,300,946 |
9.9 |
|
その他 |
8,264 |
47.2 |
|
合計 |
1,309,210 |
10.1 |
(注)金額は販売価格による概算値であり、セグメント間の内部振替前の数値によっている。
ロ)受注状況
当連結会計年度における住宅事業の受注状況を示すと、次のとおりである。
なお、住宅事業を除くセグメントで取扱う製品については、主として見込生産を行っている。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
|
住宅 |
398,196 |
△0.3 |
164,300 |
△11.2 |
ハ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
住宅 |
537,067 |
4.3 |
|
環境・ライフライン |
221,305 |
8.9 |
|
高機能プラスチックス |
390,812 |
12.3 |
|
メディカル |
89,680 |
1.3 |
|
報告セグメント計 |
1,238,866 |
7.3 |
|
その他 |
3,654 |
14.8 |
|
合計 |
1,242,521 |
7.3 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去している。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態)
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末から29,209百万円増加し、1,228,131百万円となった。
イ)資産
流動資産については、前連結会計年度末より12,254百万円増加し、621,650百万円となった。主な要因は、棚卸資産が合計で42,961百万円、営業債権が合計で6,064百万円増加した一方、現金及び預金が43,453百万円減少したためである。
また、固定資産については、16,955百万円増加し、606,481百万円となった。
ロ)負債
未払法人税等が11,861百万円減少したが、前受金が7,446百万円、完成工事補償引当金が1,623百万円増加したことなどにより負債合計で561百万円減少し、495,606百万円となった。
ハ)純資産
当連結会計年度末の純資産は29,771百万円増加し、732,525百万円となった。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上69,263百万円及び為替換算調整勘定の増加13,746百万円の一方、配当金の支払23,816百万円及び自己株式の取得27,454百万円の減少があったためである。
(経営成績)
イ)売上高及び営業利益
当連結会計年度の売上高は1,242,521百万円(前連結会計年度比+7.3%、84,576百万円増)となった。
また、当連結会計年度の営業利益は91,666百万円(前連結会計年度比+3.1%、2,786百万円増)となった。
なお、売上高及び営業利益の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載している。
ロ)営業外損益
営業外収益については、持分法による投資利益が2,145百万円、受取利息が666百万円及び為替差益が378百万円増加したことなどにより、前連結会計年度と比較して2,915百万円増加した。営業外費用については、特定外壁点検保全費用が489百万円減少したことなどにより、前連結会計年度と比較して1,537百万円減少した。
ハ)特別損益
特別利益については、関係会社株式売却益870百万円及び投資有価証券売却益319百万円を計上した。
特別損失については、固定資産除売却損2,174百万円、のれん償却額1,974百万円、関係会社株式評価損1,319百万円及び減損損失468百万円の合計5,937百万円を計上した。
固定資産除売却損の内訳については「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1) [連結財務諸表]の[注記事項](連結損益計算書関係)」に記載のとおりである。
ニ)親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べて29,634百万円増加し、99,494百万円となった。税金費用と非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は69,263百万円となった。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載している。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、中期経営計画において、「負債も活用し、積極的に成長を志向する」ことを基本方針としており、資金調達については、内部資金を活用すると共に、必要に応じて借入・社債発行等による外部調達を行うこととしている。なお、外部調達に関しては、運転資金については借入金またはコマーシャル・ペーパーで、生産設備・M&A等の長期資金需要には長期借入金または普通社債の発行で調達している。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1) [連結財務諸表]の[注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
標章使用許諾に関する契約
当社が締結している標章使用許諾に関する契約は次のとおりである。
①相手方 積水ハウス株式会社、積水化成品工業株式会社、積水樹脂株式会社 他
②契約の内容 当社の標章(商標を含む)の使用許諾
③対価 それぞれの関係会社等につき、一定の額
当社グループは、住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックス、メディカルのそれぞれの事業部門で定めた狙いに対して、基礎研究や応用技術から新規事業の開拓まで、先端技術で際立つための研究・開発を進めた。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、
(1) 住宅事業
住宅事業では、「地球環境にやさしく、60年以上安心して快適に住み続けることのできる住まいの提供」という事業ミッションのもと、新築住宅分野では、鉄骨系及び木質系ユニット住宅の新製品開発・要素技術の開発を、リフォーム分野では、ストック型住宅事業の強化に向けたリフォーム技術・メニュー開発を行っている。当連結会計年度の主な成果としては、以下の通りである。
新築住宅分野では、ZEH区分の最高ランクである『ZEH』に標準対応し、環境・防災性能を高めたファミリー向け賃貸集合住宅「Letoit AZ『ZEH-M』モデル」を発売した(4月)ほか、大容量の太陽光発電システムと蓄電池の搭載によりエネルギー自給自足率を高めた木質系ユニット住宅「グランツーユーⅤ(ファイブ) GREENMODEL」を発売した(7月)。
リフォーム分野では、外壁・バス・蓄電池を中心とした商品ラインアップの拡充と対応力の向上、並びに断熱リフォームへの取り組みを行った。
当事業に係る研究開発費は
(2) 環境・ライフライン事業
環境・ライフライン事業では、持続経営力の強靱化と事業ポートフォリオの再構築に向けて、汎用品収益性大幅改善、成長エンジンでの勝ちパターン確立、生産性向上施策の発現、ガバナンス体制の強靱化に取り組んでいる。
研究開発部門では、ゆるぎない基盤技術とそれに支えられた社会課題解決に資する新製品開発の両輪で収益拡大に貢献している。
基盤技術確立では、汎用品収益改善および生産性向上施策の発現に資する生産技術革新で11テーマ、成長エンジンとなる新製品開発に必要なKey Technology構築で7テーマ、地球環境貢献に資する資源循環技術構築で1テーマを工場および新製品開発部門に技術移管した。成長エンジンおよびトップライン引き上げに資する新製品開発では17製品を上市した。
パイプシステムズ分野では、高速道路架橋などにおいてサイフォン技術を活用し、ゲリラ豪雨等の大量の雨水を従来と比較して小口径のパイプで排水し、かつ紫外線劣化に強いUVストロング雨水高排水システムを上市した。
住・インフラ複合材分野では、高速鉄道などの騒音を低減する先端型防音壁を上市した。インフラリニューアル分野では、下水道など老朽管リニューアル工法で下水を止めずに施工可能で、当社従来工法と比較してさらに工期が短く工事費を低減するSPR―NX01工法新verを上市した。
当事業に係る研究開発費は
(3) 高機能プラスチックス事業
高機能プラスチックス事業では、高機能素材、成形加工品の新製品及び新素材、生産技術の開発を推進している。
当連結会計年度の3戦略分野別の主な成果は以下のとおりである。
エレクトロニクス分野では、次の成長領域と位置づける半導体・実装関連で、工程材(セルファⓇ)や高速通信基盤に必要な層間絶縁フィルムなどの部材を上市済みであり、さらに開発を継続中である。
情報通信分野では、5G電波死角エリア解消を目的とした透明フレキシブル電波反射フィルムの新製品開発を進めている。
また、融合強化領域と位置づけるカーエレクトロニクス部材(分野横断)では、環境対応車のリチウムイオンバッテリー向け放熱材料の拡販、新製品開発を進めている。
モビリティ分野では、自動車の軽量化・省エネ・高度情報化に対応した新製品の開発に注力している。具体的には、自動車用中間膜において高性能遮音・遮熱などの新製品に加えて、搭載が拡大しているディスプレイ用途に向けた最適な製品の開発が進捗中である。また、発泡成形技術を利用した自動車用軽量化部材、薄膜技術を活用したADAS用ミリ波レーダーに用いる電波吸収体などの新製品開発・市場開拓を進めている。
インダストリアル分野では、高齢化社会に向けた介護士の負担を減らすセンサー(商品名ANSIEL®)を開発。介護記録ソフト等の周辺技術との連携を進めており、介護現場でのより一層の負担軽減、安全性向上のソリューションとして市場浸透を図っている。その他、昨今の新型コロナウイルスによる抗ウイルス製品ニーズの高まりを受け、建材市場(壁・床材など)に向けSIAA規格に準拠する製品の開発を進めている。
当事業に係る研究開発費は
(4) メディカル事業
メディカル事業では、検査事業と医療事業の研究開発を推進している。
検査事業分野では、新領域への参入と機器ビジネスの更なる伸長のための新プラットフォーム開発に注力している。具体的には、高感度免疫測定技術で「がん」領域の拡大、および、感染症遺伝子POCTシステムによる遺伝子検査市場参入を推進している。
医療事業分野では、新たなペプチド合成法によるペプチド製造技術の開発と独自のPALSAR核酸測定技術を活用した高感度核酸医薬分析の市場開拓を推進している。
当事業に係る研究開発費は
(5) その他事業
その他事業では、「新事業創出による新たな社会的価値の創出と社会貢献」を目指し、主に環境・エネルギー分野、ライフサイエンス分野などの社会課題の解決に繫がるイノベーション創出に注力している。
環境・エネルギー分野では、再生可能エネルギーの活用に向け、独自技術である「封止、成膜、材料、プロセス技術」を活かし、フィルム型ペロブスカイト太陽電池開発の肝といわれる屋外耐久性において10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築している。軽量・柔軟という特徴を活かし、東京都、NTTデータや、世界最大級の発電事業者であるJERAとの共同実証実験を開始した。並行してNEDOのグリーンイノベーション基金を活用し、1m幅での製造プロセスの確立、耐久性や発電効率のさらなる向上に向けた開発を進め、2025年の事業化を目指している。
また、定置型リチウムイオン電池事業では、災害に強いレジリエント住宅用の蓄電池開発に注力し、エネルギー自給自足型の暮らしに特化した大容量蓄電池システムに採用されている。
一方、持続可能な社会への大きな貢献が期待される炭素資源循環システムであるバイオリファイナリー技術(可燃ごみ由来のガスから微生物の力でエタノールを製造)の事業化に向けて、岩手県久慈市に建設した商用1/10規模プラントで実証運転を進めている。さらに製鉄の際に排出されるガスからCO2を分離・回収し、再利用の技術開発にも取り組んでおり、世界をリードする鉄鋼および鉱業会社であるArcelorMittal, S.A.と鉄鋼プロセスに活用するカーボン・リサイクルの国際共同研究開発を推進している。
ライフサイエンス分野では、細胞培養ソリューションとして足場材などの開発を進めている。
当事業に係る研究開発費は7,673百万円である。