第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、中長期的な成長及び企業価値の向上を図るべく、出版、映像、ゲーム、Webサービス、教育事業等において、多彩なポートフォリオから成るIP(Intellectual Property)を安定的に創出し、さらにテクノロジーをより一層活用することで、それらを世界に広く展開することを中核とする「グローバル・メディアミックス with Technology」の推進を基本戦略としております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2023年3月期から3か年の中期経営方針において、2025年3月期に売上高2,500億円(うち、海外売上高500億円)、営業利益250億円、EBITDA311億円を達成することを経営目標として掲げておりましたが、重点事業の一つであるゲーム事業の大きな成功により、本経営目標を初年度で達成いたしました。そのため、成長戦略に基づく新たな経営目標を策定し2024年3月期第2四半期決算発表時に公表する予定です。

また中長期的な目標として、ROE(自己資本利益率)10%を引き続き目指してまいります。
※EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費

 

(3)経営環境

当社グループを取り巻く事業環境は、国内出版市場においては電子出版が継続的に成長する中、紙出版は減少傾向が継続しています。一方で、海外でのコミック市場を中心とする日本コンテンツ需要の拡大が継続し、当社を取り巻く事業環境がますます国際化しております。

映画館やイベントについては、国内興行収入はコロナ禍前2019年の8割程度の水準に戻しており、規制緩和によりリアルイベント市場も回復傾向にあります。

また、映像配信、オンラインゲーム及びオンラインライブの普及により、デジタルのコンテンツ需要が世界的に高まるとともにコンテンツを中心に他者とつながる楽しみ方も広がっております。

こうした事業環境を捉え、当社は「グローバル・メディアミックス with Technology」を中期経営計画の基本方針とし、テクノロジーの進化を柔軟に取り込み事業のデジタルシフトを進めながら、IP創出と海外展開を強化するとともに、ファンコミュニティ運営を強化することで、IP価値の最大化と継続的な業績拡大に努めてまいります。

加えて、クリエイティビティ、モチベーション、テクノロジーをキーワードに従業員一人ひとりが創造性を最大限発揮できる社内基盤整備を継続し、イノベーション創出に挑戦してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

事業別の状況及び課題は以下のとおりであります。

[出版事業]

引き続き強力なIPの創出に努め、グローバルな作品流通を増やすとともに、国内では製造・物流の改革による返品率のさらなる改善や編集DXによる生産性の改善を進めてまいります。

IP創出においては、国内での小説投稿サイト「カクヨム」や「魔法のiらんど」等を通じたネット投稿作品の開発を継続強化するとともに、海外子会社と一体となってグローバルに作品を開発してまいります。また、スマートフォン読者層を拡大するため、縦スクロール漫画についても専用レーベル「タテスクコミック」を中心に開発本数を拡大してまいります。

グローバルな作品流通においては、多言語化の制作投資を行い、電子書籍でのサイマル流通や紙書籍での流通を拡大してまいります。

雑誌では、Webメディアを中心にデジタルシフトをさらに進めながら、収益性の向上に取り組んでまいります。

電子書籍では、電子書籍配信プラットフォーム「BOOK☆WALKER」において英語圏・繁体字圏に続いてタイ語での展開を2023年3月28日より開始いたしました。またIP創出においても、英語、中国語、マレー語、タイ語の賞を設けた「TATESC COMICS Global Awards」を開催しており、縦スクロール漫画、コミック、及びライトノベル等のテキスト系コンテンツのグローバル市場開拓に引き続き注力してまいります。

また、動画や音声コンテンツによる新たな体験価値の創出、児童書等の商品化の拡大、dマガジン等の他プラットフォームとの連携、及び電子書籍のサブスクリプションサービスを推進し、多様な楽しみ方を世界中の読者に提案してまいります。

 

[映像事業]

映像では、グローバルな映像配信に対応した企画制作一気通貫のIP創出体制を確立するべく、映像製作力の強化を進めております。

アニメでは引き続き自社制作力を強化し良質な作品をラインナップしながら制作規模を拡大してまいります。また、北米を中心とするマーケティングを強化し作品認知度を上げ、国内及び海外市場における権利販売や映像配信事業に注力してまいります。

実写映像の製作・配給におきましては、予算や契約の管理強化を含めた総合的な製作力の強化を進めてまいります。また、映像配信市場に対応した映画やドラマの海外企業との共同製作を推進するとともに、視聴態様の多様化に対応するための新たな枠組を引き続き検討してまいります。

 

[ゲーム事業]

ゲームでは、国内を含む世界市場が拡大する中で、当社原作のスマートフォンゲーム開発実績が出始めており、今後は開発ラインを拡大しながら、メディアミックスによるさらなる収益力の向上を図ってまいります。

PCや据置機のゲームにおいては、『ELDEN RING』の記録的大ヒットによるブランド力や開発力の高さを活用し、『ARMORED CORE』等の当社グループのシリーズタイトルの開発や他社からの受託開発を引き続き行ってまいります。

 

[Webサービス事業]

Webサービスでは、ニコニコのプレミアム会員数を増加に転じさせるための継続的な取り組みとニコニコチャンネルにおけるファンコミュニティの強化を行ってまいります。また、サービスの向上と開発効率の向上及び長期的な費用低減を行うため、クラウドサーバを活用したデジタルインフラへの投資を継続的に行ってまいります。

各種イベントの企画・運営では、2023年4月22日~30日の9日間にわたり日本最大級のユーザー参加型イベント「ニコニコ超会議」を開催いたしました。ネットとリアルのハイブリッドで開催し、4月29日~30日の幕張メッセでのリアル開催には昨年比24%増の11万8,797人にご来場いただきました。こうした大型イベントでユーザーの一体感と満足度を高めるとともに、ネットでの投稿や視聴を促進しユーザーの参加機会を拡大いたします。同時にイベントの選択と集中を高め収益の改善を図ってまいります。

 

[教育事業]

教育事業では、インターネットによる通信制高校であるN高等学校及びS高等学校の継続的な生徒数増加に伴い、両校等への教育コンテンツ提供事業が成長しているとともに、VR学習教材を提供することで教育コンテンツの高度化も進めております。今後もより付加価値の高いコンテンツを提供することで収益拡大を目指してまいります。

㈱バンタンにおいては、マンガやアニメ等グループシナジーを活用した分野の新コース設立、及び既存コースのエリア拡大により継続成長を図ってまいります。

 

[その他事業]

その他事業では、角川武蔵野ミュージアム、イベント、飲食などの商業施設を展開するところざわサクラタウンをはじめとするIP体験施設運営事業に関し、収益改善が困難なEJアニメホテル及び成田アニメデッキについて運営事業からの撤退と2023年上期中の営業終了を決議し、持続可能な事業への再編成を進めております。

今後のさらなる来場者増に向けて、企画イベントの質的向上やIP体験施設運営事業のノウハウを他施設に展開することで、引き続き収益力を高めてまいります。

 

財務面では、自己資本比率50%以上を維持し財務の健全性を確保しながら中長期でROE10%以上を目指すことを基本方針とし、持続的な事業成長と高い資本効率及び中長期的な企業価値の向上に向け、成長投資と株主還元を実行してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループではサステナビリティに取り組む方針として、「コンテンツのサステナビリティ」を定め、持続可能なコンテンツ創出を通じて、より多くの人々に知識や感動を届け、文化の普及と発展に貢献していくことを目指しています。その実現のためにも、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の観点から、時代とともに変化する社会課題の解決と事業成長の両立を図り、お客様をはじめ、株主、取引先、地域社会、従業員など様々なステークホルダーの皆様の期待に応えながら、より良い社会の形成と持続的な企業価値の向上を推進しています。

 

気候変動に関する考え方及び取組

当社グループは、気候変動は社会の喫緊の課題であると認識し、温室効果ガス削減や省エネルギー化に取り組んでいます。また「気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)」が公表した最終報告書(以下、TCFD提言)に賛同し、TCFD提言に沿った情報の開示をしています。

 

(1)ガバナンス

気候変動への対応については、社長を委員長とし、各部門のチーフオフィサーを委員とするリスク管理委員会において、全社的なリスクマネジメントの一環として、気候変動に関するリスク分析と対策を審議し、リスクへの適切な対応とCO2排出量の削減などの取り組みを推進しています。また、リスク管理委員会において審議された重要課題は、取締役会に報告され、取締役会が気候変動への実行計画等についても審議・監督を行っていきます。

 

(2)戦略

当社グループは、TCFD提言にて例示されている気候変動がもたらすリスク・機会を基に、シナリオ分析を実施しています。シナリオ分析においては、2℃以下シナリオを含む複数の温度帯のシナリオを選択、設定していく必要があるため、移行面で影響が顕在化する1.5℃シナリオと物理面での影響が顕在化する4℃シナリオの2つのシナリオを選択しました。それぞれのシナリオの概要、シナリオ毎の主なリスクと機会の分析は、当社ウェブサイト(https://group.kadokawa.co.jp/ir/esg/environment/climate_change.html)にて開示しております。

 

(3)リスク管理

当社グループではリスク管理規程を制定し、同規程に基づいてリスク管理委員会(事務局は内部統制部門)を組成しております。構成人員は、上記(1)ガバナンスに記載のとおりです。

当社グループのリスク管理活動は、内部要因(経営資源、事業特性等)と外部要因(感染症、気候変動リスク等)の観点から、各部門が重要リスクの選定と対策立案を行い、その取り組み状況を内部統制部門がモニタリングし、継続的な改善を行うプロセスとなっております。

特に、気候変動に関するリスクを全社的な重要リスクの一つと位置付けており、気候変動によって受ける影響を把握し評価するため、TCFDの枠組みに基づいたシナリオ分析をふまえ、当社グループへの影響を検討し、その結果をリスク管理委員会へ報告しています。気候変動リスクを含む、リスク管理の状況や重大なリスクの判断に関しては、取締役会への報告・提言を行っております。

 

(4)指標及び目標

気候変動に関する具体的な指標として、GHG(温室効果ガス)排出量と削減目標を開示しています。持続可能な社会の実現に向けて、SBT(Science Based Targets)として求められるCO2排出削減レベルを考慮し、Scope1(事業による直接排出)及びScope2(電力消費による間接排出)について、「2030年度に2020年度比50%削減・2050年度に実質ゼロ」の目標を設定しました。Scope1及びScope2の排出量については、当社ウェブサイト(https://group.kadokawa.co.jp/ir/esg/environment/climate_change.html)にて開示しております。

 

GHG排出量の削減にあたっては、社内の省エネ、節電に取り組むとともに、化石燃料を用いない再生可能エネルギーの導入や国が認証するJ-クレジット制度を積極的に活用し脱炭素社会の実現を目指していきます。

2023年1月1日より、都内にある自社ビル4棟(角川本社ビル、角川第2本社ビル、角川本社ビル別館、KADOKAWA富士見ビル)の全館で使用する電力を実質的に再生可能エネルギーからなる電力に切り替えました。これにより、当社の年間CO2排出量(2021年度実績)のうち26.5%(約1,111 t-CO2分)を実質ゼロにするものです。

さらに、拠点の一つであるところざわサクラタウンの電力も再生可能エネルギーからなる電力への切り替えを現在検討しています。またグループ会社への展開も検討し、各事業拠点での取り組みを推進し、目標の達成を目指してまいります。

 

人的資本に関する考え方及び取組

当社グループは、事業活動を行う国や地域における現地法令や労働基準を遵守し、従業員の権利を尊重しています。また、職場における差別や偏見、ハラスメントを許さず、従業員が多様な個性を認め合ってクリエイティビティを最大限に発揮できる環境が、グループの事業活動に不可欠であると考えています。

 

(1)ガバナンス

人的資本への対応については、取締役会の監督の下、社長とCHRO(Chief Human Resources Officer)のガバナンスの下で各種施策を立案・実行しております。個別の施策の実行にあたっては、事前に社長を委員長、委員は各部門のチーフオフィサーから構成される人事委員会の場で審議を行っています。

 

(2)戦略

当社グループでは公正かつ適正な労働環境の整備を前提とした上で、従業員にとってより働きやすい環境をつくるため、さまざまな取り組みを行っています。

中でも、中期経営計画の基本方針である「グローバル・メディアミックス with Technology」の推進を支える成長基盤として、「クリエイティビティ、モチベーション、テクノロジー」によるイノベーション推進を方針に掲げ、従業員のクリエイティビティがより発揮されるような環境づくりや、モチベーションを高める制度改革の推進、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務改革の深化を通じて、従業員の安心感を高めると共に挑戦の機会の提供に取り組んでいます。具体的な施策については、当社ウェブサイトにて開示しております。
 ・人材育成
  https://group.kadokawa.co.jp/ir/esg/social/human_resource.html
 ・働きやすい環境づくり
  https://group.kadokawa.co.jp/ir/esg/social/working_environment.html
 ・ダイバーシティ&インクルージョン
  https://group.kadokawa.co.jp/ir/esg/social/diversity_inclusion.html

 

(3)リスク管理

当社では、これらの取り組みを進めるうえで、人事基幹システムの刷新、組織コンディション調査・従業員モチベーションアセスメント等の実施と併せて、意見箱の設置や、全階層の社員と直に対話する場を設けることで、定量・定性の両面で経営戦略と人材戦略に関するリスクと課題を把握し、適切な目標設定と進捗確認を行うよう努めております。また経営陣は経営方針や各種施策の意図について、グループ向けビジネスチャットツールなどを介して、従業員に向けてダイレクトに発信する取り組みも行っております。

当社グループでは多彩なポートフォリオからなるIP(Intellectual Property)の安定的な創出と世界展開を推進するうえでの重要な基盤として人的資本を位置づけ、これからも従業員との対話を通じて課題を抽出しながら、引き続き戦略立案と実行に注力してまいります。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは多くの女性が事業の中核を担っています(グループ女性従業員比率43.2%)。人的資本に関する具体的な指標としては、2023年3月31日時点、当社及び国内連結子会社を合わせた女性管理職の比率は19.3%となっており、2030年度には30%を目指してまいります。目標の実現に向けて、すべての従業員の多様な働き方を支援するため、各種休暇制度や手当などを導入しております。また、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画も策定し、働きやすい環境を整えることで女性活躍の基盤づくりを行っています。とりわけ女性の活躍に関する取り組みの実施状況が優良な企業を厚生労働大臣が認定する「えるぼし認定」において、認定段階「3」を2017年9月に取得するなど、外部からの高い評価も受けています。その他人的資本に関する指標及び目標につきましては、2023年度に策定を予定している次期中期経営計画の中で審議の上、設定に取り組んでまいります。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループのリスク管理体制

当社では、取締役会の監督の下、社長を委員長とし、事業部門を始め各部門を統括するチーフオフィサーほかを委員とするリスク管理委員会(年2回)を設置し、全社的リスク管理体制を構築しております。リスク管理委員会では、リスクの発生懸念、発生状況を始め、当社グループを取り巻くリスクに関する情報の収集分析を行い、毎年、重点対応すべきリスクを選定し、対応を実施することで、リスクのコントロールを進めております。

 

(2)当社グループの主要なリスク

当事業年度において重点対応すべきリスクと位置付けたもののうち、主なものを記載しておりますが、その他のリスクについても、それぞれ対応を進めております。

 

社会環境に関するリスク

① 新型コロナウイルス感染症に伴うリスク

新型コロナウイルス感染症の全世界的な流行は、およそ事業活動を行う企業の全てにおいて、少なからぬ影響が生じており、当社グループにおいても同様です。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大による小売店舗等の営業縮小又は休止等、販売機会の減少の影響に関しては回復途上にあり、また、一方で、消費動向の変化により、電子書籍を始めとする電子配信事業は拡大する等、リスクの顕在化の恐れは低減しておりますが、今後新型コロナウイルス感染症の感染拡大が再燃した場合には、一定の影響が生じるリスクがあります。

業務環境においては、当社グループでは、早くから働き方改革を推進してきたことにより、在宅勤務への移行がスムーズに進んでおり、当社グループのIP創出活動においては、現在のところ、大きな影響は出ておりません。

今後、コロナ禍の沈静化後も人々の生活スタイルの変化、消費動向の変化は続くものと考えられます。

当社グループとしては、IP創出活動を軸に、DX推進と働き方改革を進めつつ、コロナ禍後(アフターコロナ)における事業の在り方を検討、推進してまいります。

 

② 気候変動に伴うリスク

気候変動の影響は年々深刻さを増しており、経済・社会・環境に大きな影響を及ぼしています。

当社グループにおいても、将来、気候変動による電力、原材料などのコスト増や異常気象の激甚化などのリスク懸念があることに加え、社会の一員として持続可能な社会の実現に向けた責任を果たすことが求められております。

当社グループでは、気候変動への対応が社会の喫緊の課題であると認識し、温室効果ガス削減や省エネルギー化に取り組むなど、気候変動リスクへの対応を進めております。対応策の詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

企業運営に関するリスク

③ 法令違反・コンプライアンス上のリスク

当社グループが行う事業では、様々な法の適用を受けており、適正な運用がなされない場合に法令違反が生じるリスクがあります。また、法令違反やコンプライアンスに反する事象が具体化した場合、社会的信用の低下などが発生し、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

当社グループでは、コンプライアンス(法令等遵守)を重要な経営方針と位置づけ、コンプライアンス規程の制定や業務フローにおける法務チェック体制及び内部通報制度の整備とともに、従業員啓発の研修等を通じたコンプライアンスの推進により、贈収賄・インサイダー取引等を含む従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。

 

④ 業務環境におけるリスク

当社グループのDX推進、働き方改革において、インフラとしてのIT環境に対しては、これまで以上に依存度が高まってきており、業務に使用するサーバやネットワークの不良・事故・故障によるリスク、またサイバーテロによるデータの改ざん・搾取などによる情報漏洩のリスクがあります。

顕在可能性や発生時期については、予測できるものではありませんが、可能性としては起こり得るものです。

これらの事態が生じた場合には、業務の中断などの事態が生じ、回復までの期間が長期間に及ぶことになった場合には、当社グループの収益に影響が出てくる可能性があります。

対応策としては、IT環境の整備は、当社グループのDX推進、働き方改革において、必須の装備であり、今後の当社グループの継続的な成長のために必要なものとして、適切な規模・品質を確保しつつ、適時に投入していくよう努めてまいります。

 

特定の事業に関するリスク

⑤ 新規事業におけるリスク

当社は、新たな収益機会の創造と持続的な成長を実現していくため、未来に向けたコンテンツの創造・文化の発信拠点として、埼玉県所沢市に書籍製造・物流工場、オフィス、ユーザーに新たなIP体験を提供するコトビジネス関連施設等から構成される複合拠点「ところざわサクラタウン」への投資を行っております。

しかし、新規事業の立上げにあたっては、設備費等の先行投資が発生し利益率が低下する可能性があり、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の期間を要することも想定されます。

また、事業環境の急激な変化や不測の事態等により、想定した収益が見込めない、又は想定していなかった多額の費用が発生する等、当初の計画どおりに進捗しない場合には、投資の回収が遅れる、又は回収できない等の要因により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

新型コロナウイルス感染症の全世界的な流行により、デジタル製造・物流工場の本格稼働のタイミングが当初想定より遅れておりましたが、現時点において重要なリスクが顕在化する可能性は高くないものと考えており、基本的な投資回収計画に大きな変更はありません。

当社では、当該事業に関する計画の進捗や需要予測を含む事業計画の見直し等について、適宜経営会議、取締役会での議論を重ねることにより、リスクの顕在化の可能性の低減を図っております。

 

⑥ 出版流通におけるリスク

ア.当社グループが製作・販売している紙の書籍、雑誌等の著作物は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(以下「独占禁止法」という)第23条の規定により、再販売価格維持契約制度(以下「再販制度」という)が認められております。再販制度とは、一般的にはメーカーが自社の製品を販売する際に、「卸売業者がその商品を小売業者に販売する価格」「小売業者が消費者に販売する価格」を指定し、その価格(「再販売価格」という)を卸売業者、小売業者にそれぞれ遵守させる制度であります。独占禁止法は、再販制度を不公正な取引方法の1つであるとして原則禁止しておりますが、著作物については独占禁止法の特例として再販制度が認められており、この再販制度が廃止されるリスクがあります。

顕在可能性や発生時期については、公正取引委員会は2001年3月23日付「著作物再販制度の取扱いについて」において、「競争政策の観点からは同制度を廃止し、著作物の流通において競争が促進されるべき」としながらも、「同制度の廃止について国民的合意が形成されるに至っていない」と指摘しており、当面、当該再販制度が維持されることとなっております。

影響度としては、当該制度が廃止された場合、出版業界全体への影響は大きく、当社グループの業績も大きな影響を受ける可能性があります。

対応策としては、再販制度に関する公正取引委員会の動向を注視し、また出版事業においては、再販制度の対象外である電子書籍事業の拡大を推進するとともに、映像事業、ゲーム事業を始めとする複数の事業領域を横断するビジネスを推進し、収益の最大化を目指してまいります。

 

イ.法的規制等には該当いたしませんが、再販制度と並んで出版業界における特殊な慣行として返品条件付販売制度があります。返品条件付販売制度とは、当社グループが取次及び書店に配本した出版物について、返品を受け入れることを条件とする販売制度であります。

当社グループではそのような返品に備えるため、過去の返品実績等に基づく将来返品見込額を返金負債として計上しております。ただし、この場合であっても、返品見込額と実際の返品受入額に乖離が生じた場合、当社グループの業績が影響を受けるリスクがあります。

顕在可能性や発生時期については、出荷額及び返品率が一定ではないため、常に発生し得ます。

対応策として、返品率そのものの低減を目指し、市場需要予測の精度向上や、計画刊行の推進に努めております。また、製造・物流を一体で行う最適な生産プロセス、物流システムの構築により、小ロット・適時製造・適時配送を本格稼働させ、返品率を改善させてまいります。

なお、返金負債の算出方法及び算出に用いた主要な仮定並びに翌年度の財務諸表に与える影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) 返金負債」に記載しております。

 

ウ.紙の出版市場が縮小を続ける状況下、業界を構成する企業や小売店舗において、信用力の低下リスクがあります。

顕在可能性や発生時期については、紙の出版市場が縮小を続けている中、常に発生し得ます。

影響度としては、顕在化した場合に、物流システムへの影響や、返品の増加などが発生する可能性があります。

対応策としては、こまめな与信管理の実施、また製造・物流を一体で行う最適な生産プロセス、物流システムの構築により、当社から小売店への直送を可能とする、自律的な物流配送システムの構築、拡大に努めております。

 

⑦ Webサービスにおけるリスク

Webサービス事業における動画コミュニティサービスでは、同様の動画投稿サイトやライブ映像配信サイトの参入、また映像コンテンツ権利元の動画配信サービスの参入など、今後も国内事業者及び海外事業者から多くの新規参入が予想され、激しい競争におかれるものと思われます。これら競合他社との競争において、サービス自体がユーザーのニーズに対応できず、利用者の増加が見込めない場合、当社グループの業績が影響を受けるリスクがあります。

現在、「niconico」においては、月額有料会員(プレミアム会員)の減少が続いております。Webサービス事業では、引き続き斬新なアイデアや高いネットワーク技術力による他にはない魅力あるサービス・コンテンツの提供に努めてまいります。

 

⑧ 出版・映像・ゲーム等のIP創出・展開におけるリスク

ア.当社グループは、IPを安定的に創出し、それらを世界に広く展開することを中核とする「グローバル・メディアミックス with Technology」の推進を基本戦略としております。出版事業、映像事業、ゲーム事業において、製品化、映像化にかかる過程でスケジュールの変動が生じることにより、市場への適切な投入時期を逸することや、製作コストが増加することで収益が悪化するリスク、また製品、作品が消費者のニーズに合致せずに売上が想定通りあげられないリスクがあります。

顕在化可能性や発生時期については、恒常的にIP創出活動を行っており、個々の製品、作品毎に常に生じる可能性があります。

影響度については、特に映像作品、ゲーム作品については、製作に時間、コストがかかることから、作品1点あたりの影響度は、出版物に比べると相対的に高くなります。

対応策として、マーケットリサーチ、綿密な刊行計画のトレースや適切なプロジェクト管理に努めております。

 

イ.IP創出に際しては、制作作業の一部又は全部を外注する場合がありますが、成果物の納入が完了する前に、外注先が倒産するリスクがあります。

顕在化可能性や発生時期については、当社グループのIP創出活動において、外注は恒常的に発生することから、常に生じる可能性があります。

顕在化した場合、他社へ発注し直すことなどにより制作費が増額となることで収益が悪化したり、また制作が遅延することにより、市場への適切な投入時期を逸するといった影響が生じる可能性があります。

対応策として、外注先への発注の際に、適切な与信を設定し、継続的に与信管理を行うことにより、外注先の管理に努めております。

 

ウ.当社は、「グローバル・メディアミックス with Technology」の推進を基本戦略としており、国内のみならず海外の企業に対してもIPのライセンス許諾を行っております。これら海外へのライセンス許諾に際しては、許諾先の地域での規制の変化や対日感情の変化などが生じた場合、想定どおりの収益が上げられないリスクがあります。

顕在化可能性や発生時期については、該当地域における法規制の制定や、社会情勢の変化により生じてきます。

影響度としては、対象となる地域単位で発生することとなるため、特定の地域に対する依存度が高い場合には、影響度も高くなります。

対応策として、各地域の状況の早期把握に努めていくとともに、IPを様々なメディアを駆使して展開し、複数の事業領域を横断するビジネスを推進して、収益最大化を目指してまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

当社グループは、中長期的な成長及び企業価値の向上を図るべく、出版、映像、ゲーム、Webサービス、教育事業等において、多彩なポートフォリオから成るIP(Intellectual Property)を安定的に創出し、さらにテクノロジーをより一層活用することで、それらを世界に広く展開することを中核とする「グローバル・メディアミックス with Technology」の推進を基本戦略としております。

 

当連結会計年度における業績は、売上高2,554億29百万円(前年同期比15.5%増)、営業利益259億31百万円(前年同期比40.0%増)、経常利益266億69百万円(前年同期比31.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益126億79百万円(前年同期比9.9%減)となりました。

 

当連結会計年度における各セグメントの業績は、以下のとおりです。なお、成長・重点領域としての事業の重要性が今後さらに高まると見込んでいるため、当連結会計年度より、従来「その他」に含めておりました「教育」を報告セグメントとして記載する方法に変更しております。

 

[出版事業]

出版事業では、書籍、雑誌及び電子書籍・電子雑誌の販売、雑誌広告・Web広告の販売、権利許諾等を行っております。当事業においては、メディアミックス展開の重要な源泉として年間約5,000タイトルにおよぶ新作を継続的に発行しており、蓄積された豊富な作品アーカイブが当社グループ成長の原動力となっております。

電子書籍・電子雑誌は、市場全体の成長が継続していることに加え、当社が得意とする異世界ジャンルのコミックやメディアミックス作品等を中心に他社ストア向け販売・自社ストア売上ともに好調に推移し、増収となりました。

書籍・雑誌では、日本IPの人気を背景として、北米・アジアを中心に海外事業の売上成長が継続しました。国内では、新刊点数の増加や継続的な返品率改善を実現したものの、市場全体の縮小影響が大きく、減収となりました。新刊では、『陰の実力者になりたくて!(8)』、『ファイブスター物語(17)』(コミック)、『パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち』(児童書)等の販売が好調に推移しました。権利許諾収入は増収となりました。

費用面では、中長期的な成長を見据えた人材への投資、インフレによる紙書籍の資材費等が増加しました。

この結果、当事業の売上高は1,399億90百万円(前年同期比5.3%増)、セグメント利益(営業利益)は131億55百万円(前年同期比24.3%減)となりました。

 

なお、さらなる返品削減、製造コスト削減、利益率の向上に向け、埼玉県所沢市において2021年4月より書籍製造ラインの稼働を開始し、文庫やライトノベル、新書、コミックス等のデジタル印刷による小ロット・適時製造を行っております。現在、製造ライン拡張を推進していることに加え、物流設備についても将来の稼働に向け、準備を進めております。

 

[映像事業]

映像事業では、実写映像及びアニメの企画・製作・配給、映像配信権等の権利許諾、パッケージソフトの販売等を行っております。

アニメでは新作本数の増加に加え、メディアミックス作品である『オーバーロードⅣ』や『陰の実力者になりたくて!』等の国内向け配信売上や海外向け売上が伸長し、引き続き力強く成長しました。実写映像では、劇場新作『わたしの幸せな結婚』や制作受託の貢献により増収となりましたが、第2四半期に一部の作品において一過性の評価減が発生しました。

この結果、当事業の売上高は432億89百万円(前年同期比30.7%増)、セグメント利益(営業利益)は21億69百万円(前年同期比61.8%増)となりました。

 

[ゲーム事業]

ゲーム事業では、ゲームソフトウエア及びネットワークゲームの企画・開発・販売、権利許諾等を行っております。

記録的大ヒットとなったゲーム作品である『ELDEN RING』が増収増益に大きく貢献しました。なお同作は海外ゲームアワード「The Game Awards 2022」において「Game of the Year」を受賞しました。また、共同・受託開発事業や㈱スパイク・チュンソフトの新作、自社IPのモバイルゲーム化作品である『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン』も増収に貢献しました。

この結果、当事業の売上高は303億51百万円(前年同期比55.7%増)、セグメント利益(営業利益)は142億18百万円(前年同期比173.4%増)となりました。

 

[Webサービス事業]

Webサービス事業では、動画コミュニティサービスの運営、各種イベントの企画・運営、モバイルコンテンツの配信等を行っております。

動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が3月末には131万人となり、前年3月末からは減少となりましたが、動画にアイテムを贈る「ギフト」や広告等の伸長により増収となりました。各種イベントの企画・運営では、今後のクリエイター投稿とユーザー視聴のさらなる増加を企図した『ニコニコ超会議2022』をリアル会場でも開催しました。コロナ禍ながら9.6万人が来場したことにより、チケット・物販売上が増収に貢献しましたが、大規模開催のための費用増加により、全体では減益となりました。

この結果、当事業の売上高は220億63百万円(前年同期比3.4%増)、セグメント利益(営業利益)は16億41百万円(前年同期比18.5%減)となりました。

 

[教育事業]

教育事業では、専門学校運営及びオンライン教育のための教育コンテンツ・システム提供等を行っております。

クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営する㈱バンタンでは、前期の新コース設立及び展開地域拡大や、ゲームクリエイターを多く輩出する「バンタンゲームアカデミー」等の生徒数が引き続き増加したことにより、増収増益に貢献しました。また、インターネットによる通信制高校であるN高等学校・S高等学校でも通学コース向け新キャンパスの開設等により生徒数が順調に増加しており、同校等に教育コンテンツ・システムの提供を行う㈱ドワンゴの収益貢献により、引き続き好調に推移しました。

この結果、当事業の売上高は124億75百万円(前年同期比15.5%増)、セグメント利益(営業利益)は17億68百万円(前年同期比138.2%増)となりました。

 

[その他事業]

その他事業では、IP体験施設の運営、キャラクターグッズ等の企画・販売を行うMD事業等を行っております。

IP体験施設の運営では、集客に苦戦する中、ところざわサクラタウンにおける施設横断的なイベント展開等の取り組みもあり、増収となりました。MD事業においても増収となりました。また、その他新規事業では一部サービスの開始等により売上高・営業利益ともに改善しました。

この結果、当事業の売上高は171億99百万円(前年同期比49.7%増)、セグメント損失(営業損失)は45億35百万円(前年同期 営業損失49億26百万円)となりました。

 

 

東京2020オリンピック・パラリンピックのスポンサー選考にかかり、当社役職員が贈賄の容疑で逮捕・起訴されました問題につきましては、関係するすべての皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます。

当社は、2023年1月23日に公表しましたとおり、本件に関する事実関係の調査、本件を生じさせた当社のガバナンス、内部統制を含めた根本的な原因の究明や再発防止策の提言を目的として設置されたガバナンス検証委員会より、同日付で調査報告書を受領しております。

当社はガバナンス体制をより強化するため、2023年6月22日開催の第9期定時株主総会における承認をもって、指名委員会等設置会社へ移行し、社外取締役を過半数とする取締役構成となりました。また、ガバナンス検証委員会のすべての提言項目に対応すべく、五輪事案の再発防止策具体化を目的として設置した経営改革推進委員会において、取締役会の監督機能強化と執行の役割分担明確化等を検討の上、その結果を取締役会へ報告し、課題を解消しました。引き続き、企業風土の改善、法令順守意識の醸成といった中長期的な課題についても取り組みを具体化し、ガバナンスの強化を継続してまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権及び契約資産の増加があった一方、税金等調整前当期純利益の計上等により、175億16百万円の収入(前年同期は217億8百万円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得や定期預金の預け入れ等により、162億59百万円の支出(前年同期は79億40百万円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、連結子会社における第三者割当増資等により、307億28百万円の収入(前年同期は266億90百万円の収入)となりました。

以上の結果、為替換算差額も含めて338億9百万円の収入となり、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、1,313億89百万円となりました。

当社グループの短期運転資金は基本的に自己資金より充当し、設備投資資金や長期運転資金につきましては、事
業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境を勘案の上、金融機関からの長期借入や社債発行及び株式発行に
より適宜調達を行っております。

また、複数の金融機関と総額150億円のコミットメントライン契約を締結し、流動性を補完しております。なお、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

出版事業

(百万円)

89,501

108.63

映像事業

(百万円)

33,723

135.12

ゲーム事業

(百万円)

11,046

101.38

Webサービス事業

(百万円)

13,833

106.43

教育事業

(百万円)

5,242

106.16

その他

(百万円)

13,369

131.64

合計

(百万円)

166,716

113.93

(注)1.金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。

2.金額は、製造原価によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績については、受注高の販売高に対する割合が僅少であることから、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

出版事業

(百万円)

139,990

105.28

映像事業

(百万円)

43,289

130.73

ゲーム事業

(百万円)

30,351

155.72

Webサービス事業

(百万円)

22,063

103.38

教育事業

(百万円)

12,475

115.48

その他

(百万円)

17,199

149.73

合計

(百万円)

265,369

115.78

(注)1.金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計方針及び当該見積に用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、会計上の見積りが必要となる事項については、過去の実績や将来計画等を考慮し、「棚卸資産の評価に関する会計基準」「金融商品に関する会計基準」「固定資産の減損に係る会計基準」「資産除去債務に関する会計基準」「退職給付に関する会計基準」「税効果会計に係る会計基準」「収益認識に関する会計基準」等の会計基準に基づいて会計処理を実施しております。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。

 

b.財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて575億79百万円増加し、3,828億98百万円となりました。これは主に連結子会社における第三者割当増資等により現金及び預金が増加したことや、売上の伸長等による売上債権の増加によるものであります。

負債は、前連結会計年度末に比べて101億48百万円増加し、1,597億27百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金、未払金等が増加したことによるものであります。

純資産は、前連結会計年度末に比べて474億30百万円増加し、2,231億71百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことや、連結子会社における第三者割当増資により資本剰余金及び非支配株主持分が増加したことによるものであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

(a)キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。

 

キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

2023年

3月期

自己資本比率

42.2%

43.3%

47.2%

52.8%

52.9%

時価ベースの自己資本比率

30.7%

34.5%

102.7%

137.8%

102.8%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

11.2年

4.0年

4.2年

3.0年

3.8年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

59.0倍

167.4倍

161.6倍

211.5倍

139.5倍

(注)1.各指標の算出は、以下の算式を使用しております。

自己資本比率

:自己資本 ÷ 総資産

時価ベースの自己資本比率

:株式時価総額 ÷ 総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

:有利子負債 ÷ 営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ

:営業キャッシュ・フロー ÷ 利払い

2.上記各指標は、連結ベースの財務数値により計算しております。
3.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

5.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また、利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(b)資金需要

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、製品の製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備投資を目的とした資金需要の主なものは、出版事業における製造・物流拠点の建設費、自社電子書籍サイトの機能拡張等によるものであります。

 

(c)財務政策

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。手元流動性につきましては、月次売上高の約2.5か月分を目安に運転資金を確保しており、これに今後の資金需要等を加味した金額を保持すべき現預金水準として設定しております。

短期運転資金は基本的に自己資金より充当し、設備投資資金や長期運転資金につきましては、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境を勘案の上、金融機関からの長期借入や社債発行及び株式発行により適宜調達を行っております。

また、2023年3月期より開始した3か年の中期経営方針において、財務健全性確保のために原則として自己資本比率50%以上を維持すること、資本効率追求・株主還元強化のためにROE(自己資本利益率)は中長期的に10%以上を目指すことを財務基本方針として掲げております。

なお、現金及び預金と有利子負債の推移は、以下のとおりであります。

 

 

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

2023年

3月期

現金及び預金  (百万円)

73,597

74,880

79,042

123,931

167,219

有利子負債   (百万円)

65,640

65,822

65,669

65,701

65,893

(注)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループでは、主にゲーム事業におけるパッケージゲーム開発等において研究開発をしております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は288百万円であります。