第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1) 経営方針

◇ 中長期経営計画

当社グループでは、グループ企業理念として「あしたを、つなぐ」を掲げております。この企業理念に基づき、2022年4月に当社グループが今後、持続的かつ高い利益成長を実現していくため、中長期経営計画を策定いたしました。

 

全体コンセプト

●野村不動産グループ 2030年ビジョン「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」の実現に向けて、

 価値創造の考え方・手法を進化・変革

●高い利益成長、高い資産・資本効率を実現。高還元と高成長を両立

●「当社グループの持続的な成長」と「持続可能な社会への貢献」を一体と捉え、サステナビリティを推進

 

(当社グループ経営体系図)

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 「将来当社グループがどういった価値を社会やお客様に提供している企業グループになりたいのか」という目指す姿を明確にすべく、「野村不動産グループ 2030年ビジョン」を定めました。そして、そのビジョンのもと、価値創造の考え方・手法を、進化させ、また変革してまいります。

 

野村不動産グループ 2030年ビジョン

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価値創造の進化・変革

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本計画では、「高い利益成長と高い資産・資本効率の実現」を目指し、「国内デベロップメント事業の更なる拡大」「サービス・マネジメント分野の高い利益成長」「海外事業の着実な成長」を成長に向けた重点戦略と位置付け、計画を推進してまいります。そして、本計画を通じた当社グループの成長の成果を、しっかりとステークホルダーの皆さまに還元してまいります。

 

 

 

(2) 経営環境

経営環境に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 外部環境

国内外における様々な社会課題、当社事業を取り巻く環境の変化、人々の住まいや働き方等に関する価値観・志向の変化等を踏まえ、特に注視する外部環境は以下のとおりです。

 

■ 全社

<中長期的に注視していく事業環境>

・ 労働人口の減少や人材獲得競争の激化

・ ライフスタイル・ワークスタイル・消費や余暇に関する価値観の変化

・ デジタルテクノロジーの加速度的な進化

・ サステナビリティに対する意識の高まり

・ 国内における少子高齢化の進展や人口の減少、世帯構成の多様化

・ 激甚化する自然災害の増加

・ サイバー攻撃の増加

 

<今期特に注視する事業環境(不動産関連市場・資金調達環境・海外情勢)>

・ ウクライナ情勢の長期化に伴うエネルギーコスト・資材価格の高騰による企業業績や消費動向への影響

・ 欧米金融機関の信用不安や国内外の金利上昇、インフレ進行等による経済情勢や資金調達市場の動向

・ 不動産売買マーケットやREIT 投資口価格の動向

・ 国内外の資材価格や人件費の高騰による更なる工事費の上昇

・ 海外事業の投資対象国における政治情勢・経済環境(金利・為替等)の動向

 

② 当社グループの競争優位性

 長年にわたる豊富な事業実績を通じて培ってきた、当社グループの競争優位性は以下のとおりです。

 

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(3) 経営戦略

外部環境の認識及び当社グループの競争優位性を踏まえ、高い株主還元と年平均事業利益成長率8%水準を達成するため、事業ポートフォリオ戦略と部門別の成長に向けた基本方針を策定しております。

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① 事業ポートフォリオ戦略

 各事業の特性を活かし、高い資産効率と利益安定性を両立する事業ポートフォリオを追求していきます。

 

 

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② 成長に向けた部門別の基本方針

部門

成長に向けた基本方針

住宅

・住宅分譲事業における「プラウド」の更なる進化(4,000~5,000戸の安定供給)

・多様化するニーズへの対応

・再開発・建替事業の取組強化

・ノンアセット事業の収益化

都市開発

・働き方の変化等に対応したサービス提供の強化や、高機能物流などの成長分野への投資

 拡大など、環境変化を事業機会に繋げる価値創造の進化

・戦略的な資産入れ替えによる、含み益の実現化と賃貸ポートフォリオの強化

・サステナブルな社会への貢献やデジタル技術を活用した新たな商品・サービス等の構築

海外

・成長著しいアジア各国における分譲住宅事業の着実な成長

・収益不動産事業の取組強化

資産運用

・賃貸バリューチェーンの活用によるREIT事業の着実な成長

・旺盛なオルタナティブ投資ニーズの獲得に向けた私募ファンド事業の強化

・野村グループとの協業による新たな領域(新規投資家層、新規セクター等)における

 事業機会の獲得

仲介・CRE

・リテール事業における、好調な実需を捉えた安定収益基盤の拡大

・ミドル事業における、野村グループや金融機関等との協業による各種ニーズの獲得

・ホールセール事業における、顧客基盤に基づくCRE提案の推進・ファンドの

 投資ニーズの獲得

運営管理

・運営管理における、高品質と省人化の両立

・受注工事における、技術力・提案力とデータ蓄積・分析の融合

・顧客ニーズに応え、競争力のある商品・サービスの開発・展開

 

 

 

 

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

① 利益目標に関する指標

国内における事業に加え、現地パートナー企業との共同投資を基本とする海外における投資・開発事業の利益及び戦略投資(M&A)の成果を適切に反映させるため、利益目標に関する指標を「事業利益」とし、段階的な成長を図るべく以下のとおり中長期的な指針を掲げております。

※ 事業利益=営業利益+持分法投資損益+企業買収に伴い発生する無形固定資産の償却費

 

 

2025年3月期

2028年3月期

2031年3月期

事業利益

1,150億円

1,400億円~

1,800億円~

 

② 財務・資本政策に関する指標

30%水準の自己資本比率を維持しながら、事業活動を通じた付加価値の創造により持続的な企業価値向上を図り、高い資本効率と安定的な株主還元を実現するため、財務・資本政策に関する指標を「ROA」・「ROE」・「総還元性向/配当性向」とし、以下のとおり中長期的な指針を掲げております。

 

 

2023年3月期~

2025年3月期

2026年3月期~

2028年3月期

2029年3月期~

2031年3月期

ROA

4.5%水準

5%水準

5%以上

ROE

9%水準

10%水準

10%以上

総還元性向/配当性向

総還元性向

40~50%

配当性向

40%水準

※ROA=事業利益/期中(平均)総資産

※ROE=親会社株主に帰属する当期純利益/期中(平均)自己資本

※総還元性向=(1株当たり配当額+1株当たり自社株買い金額)/1株当たり当期純利益

※配当性向=1株当たり配当額/1株当たり当期純利益

 

 

(5) 重点的に取り組む経営施策

◇ 着実な事業の推進と利益の積上げを図るための事業ポートフォリオの構築

各部門において、重点的に取り組む施策は以下のとおりです。

<住宅部門>

 住宅分譲事業においては、事業量の確保に向け、再開発・建替事業の取組強化、多様化するニーズへ対応する商品ラインナップの拡充に努めてまいります。また、商品におけるサステナビリティへの対応およびデジタル技術の活用によるお客様との接点におけるデジタル化の推進、顧客データ基盤の統合等により、生産性向上と新たなサービスの開発に取り組んでまいります。

<都市開発部門>

 オフィス事業において、テナント企業やワーカー向けに働き方の変化に対応した新しい商品・サービスの提供に努め、物流事業において、デジタル技術や自動化機器等の活用で物流オペレーションを最適化するための企業間共創プログラム「Techrum」の推進を図ると共に、脱炭素社会の実現に向け、保有する国内賃貸資産への再生可能エネルギー由来電力の導入等にも取り組んでまいります。

<海外部門>

 持続的な成長が見込まれるアジア諸国での開発事業において、当社グループがこれまで国内で培ってきたノウハウ・知見を発揮すると共に、新たな現地パートナー企業の探索、英米をはじめとした収益不動産事業への取り組みの加速、ガバナンス体制の強化によるリスク管理機能の向上にも取り組んでまいります。

<資産運用部門>

 REIT事業における着実な運用資産残高の拡大に加え、商品ラインナップの拡充等を通じた私募ファンド事業の拡大、野村リアルアセット・インベストメント株式会社の運用資産残高の早期積み上げ等に努めてまいります。

<仲介・CRE部門>

不動産の仲介・コンサルティング事業において、高度な専門性とデジタル領域での先進性を融合させ、法人・個人を問わず、多様化する顧客ニーズにワンストップで対応し、顧客満足度と生産性の向上に取り組んでまいります。

<運営管理部門>

運営管理事業において、デジタルテクノロジーの積極的な活用により、高効率且つ高品質なサービスの提供と中長期的な課題である人材不足の解消に向けた省人化を推進してまいります。また、請負工事事業において、提案力やデザイン力を活かし、受注量の拡大に努めてまいります。

 

◇ 賃貸資産ポートフォリオの戦略的入替の継続

 当社グループにおいては、中長期的な視点で、賃貸資産の戦略的な入れ替えを実施し、良質な賃貸資産ポートフォリオの構築に努めるとともに、適切な時期での売却により開発利益・含み益の実現化を図り、回収した資金を再度不動産開発事業に投資することで、高い資産効率と持続的な成長を実現させる方針としております。

 当連結会計年度においては、当社グループのサービス特化型商業施設「MEFULL川崎」や、主要構造部への木造ハイブリッド構造の導入としては不動産デベロッパー初となる「H1O青山」が竣工しております。また、「梅田スカイビル」等の物件について固定資産から販売用不動産に振り替えております。

 引き続き、2024年3月期に竣工予定のオフィスビル「野村不動産溜池山王ビル」、2025年3月期以降に竣工予定となる芝浦・日本橋等の大型複合開発プロジェクトを着実に推進するとともに、国内外の不動産市況の動向を踏まえた戦略的な売却を実践し、競争力のある賃貸資産ポートフォリオの構築に努めてまいります。

※ 主要構造部の柱・梁の一部について鉄鋼造との木造ハイブリッド構造を採用している中高層賃貸オフィスビルの竣工は不動産デベロッパー初となります

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◇ 価値創造の進化・変革につながるDXの推進強化

 当社グループが関係する様々な事業分野においては、お客様への商品・サービスの提供におけるデジタルテクノロジーの活用が必要不可欠となってきており、急速な技術革新や革新的な新規参入企業の出現による顧客ニーズの変化等への対応が遅れた場合には、当社グループの競争優位性が低下し、業績にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

 当社の「DX戦略委員会」においては、デジタル技術の活用によりビジネスモデルそのものを変革することで競争優位性を確立する『DX領域』の審議を強化しております。また、DX・イノベーション推進部にて、新領域事業の研究・開発、イノベーション創発、DX戦略等の企画・推進・支援等を行っております。今後も、加速度的に進化するテクノロジーとそれに伴う顧客ニーズの変化を的確に把握のうえ、各部門のDXに関する重点実行テーマを選定し、デジタル技術を活用した既存ビジネスモデルの深化を進めるとともに、業態変革・新規ビジネスモデルの創出に向けた取り組みを強化することにより、当社グループの競争優位性の向上に努めてまいります。

 

◇ 継続的な成長に向けた、よりチャレンジングな組織風土の醸成のための本社移転

 当社グループは、2022年4月に策定した中長期経営計画、及び2030年をターゲットとする当社グループビジョン「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」のもと、高い利益成長と高い資産・資本効率を実現するためには、ビジネス領域の拡大と、その基盤となる組織としての成長を継続的に行う必要があると考えており、これを実現するために、野村不動産㈱をはじめとするグループ各社の本社を、2025年2月に竣工を予定している大規模複合開発「芝浦プロジェクト」S棟に移転することを決定しております。

 

 この本社移転プロジェクトにより、グループのシナジー効果を最大化すると共に、下記の3つの環境を実現し、都心で空・海・緑を感じながら、自らその日の働きかたをデザインする新たな働きかた「TOKYO WORKation(トウキョウ ワーケーション)」を体現することで、継続的な成長に向けて、グループ全体でこれまで以上にチャレンジングな組織風土を醸成し、新たなビジネスへの挑戦・探索意欲を向上させ、 イノベーションの誘発や創出を実現していきたいと考えています。

 

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※グループ各社の移転対象範囲については検討中です。

 

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

① サステナビリティ課題全般

(サステナビリティに関する基本的な考え方)

 当社グループは、世界共通の課題である気候変動や災害の激甚化、人々の価値観の多様化など、経営・事業環境における変化を、新たな成長機会と捉えています。その機会を活かすには、グループとしての方向性を明確化し、社員一人ひとりが長期的な方向性をしっかりと共有することが必要であると考え、2050年のありたい姿として、サステナビリティポリシー「Earth Pride-地球を、つなぐ-」を策定・公表しています。このポリシーは、企業理念「あしたを、つなぐ」、そして、野村不動産グループ2030年ビジョン「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」と一体のものであり、私たちの進むべき道を示す指針と位置づけています。また、当社ならではのサステナビリティのあり方として、「人」にフォーカスしたポリシーになっているのが大きな特長と言えます。

 サステナビリティポリシーは、当社グループが大切にしたい「人間らしさ」「自然との共生」「共に創る未来」の3つのテーマをベースにしています。さらに、これらを実現するために、2030年までに特に取り組むべき5つの重点課題(マテリアリティ)として、「ダイバーシティ&インクルージョン」「人権」「脱炭素」「生物多様性」「サーキュラーデザイン」を特定しています。

 

サステナビリティポリシー(2050年のありたい姿)

 

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2030年までの重点課題(マテリアリティ)及び特定理由

 

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◇特定理由

「ダイバーシティ&インクルージョン」

・様々なバックグラウンドや価値観を持つ多様な人材が、お互いを受け入れ、尊重し合い、それぞれが能力を最大限に発揮する状態の組織を目指すことが、当社の持続可能な成長には重要

「人権」

・社内外の関心・期待が高く、企業活動を行う上では必ず取り組まなければならないものであり、人権を軽んじると企業として存続することが出来なくなる

・事業に関わる全ての方々が、お互いを尊重してこそ、当社グループ自身が持続可能

「脱炭素」

・当社グループの事業は、天然資源やエネルギーを多く利用しており、環境問題は事業継続に影響する

・環境問題は、当社グループの事業だけでなく、ステークホルダーの生活や事業にも影響する大きな課題

「生物多様性」

・自然環境への貢献のほか脱炭素社会の実現にも貢献できる

「サーキュラーデザイン」

・資源が循環するための仕掛けを予め製品・サービスに組み込むことや、製品そのものの寿命を延ばすことで、出来るだけ廃棄物を抑制するような取組みであり、この取組みは、脱炭素社会の実現にも貢献できる

 

(ガバナンス)

 当社グループは、サステナビリティ活動の一層の強化・推進を図るために、2020年4月にサステナビリティ推進部及び「サステナビリティ委員会」を新設し、2021年4月より野村不動産ホールディングス代表取締役社長兼グループCEOが委員長を務めています。

 サステナビリティ委員会では、サステナビリティ方針とその目標に対する進捗状況の確認、及び活動計画の審議、決定を行っています。また、審議した内容については、定期的に取締役会及び経営会議に報告し、経営計画や事業活動に反映させることで、監督される体制としています。

 なお、2022年度は、3回実施したサステナビリティ委員会にて、マテリアリティの定量化項目の検討を中心に「再生可能エネルギー調達方針」、「省エネルギー性能指標の役員報酬連動」、「調達ガイドライン改定・人権デューデリジェンス推進」、「インクルーシブデザイン推進」等に関する審議を実施しました。あわせて、社内の議論をより活発化する目的で設定したサステナビリティ小委員会、環境分科会、人権分科会を計12回開催しました。引き続きこの方針に沿ってPDCAサイクルを回し、サステナビリティ活動を推進していきます。

 

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(戦略)

 当社グループは、「サステナビリティに関する基本的な考え方」において示した、サステナビリティポリシー(2050年のありたい姿)「Earth Pride-地球をつなぐ-」の実現、2030年までの重点課題(マテリアリティ)への取組みによって、「当社グループの持続的な成長」と「持続可能な社会への貢献」に向け、事業を通じてサステナビリティを推進していきます。

 

(リスク管理)

 サステナビリティ関連のリスクに関しては、取締役会及び経営会議が管理・監督するとともに、経営会議の下部組織であるサステナビリティ委員会及びウェルネス・D&I推進委員会で都度審議しています。また、事業に関する個別事項(ビジネス企画・商品企画等)については各事業部門で管理しています。

・サステナビリティ委員会は、サステナビリティ推進に関する方針・計画策定及び実績管理、グループ社員への理解浸透・各種情報開示等に関する事項、並びにグループ全体としての気候変動関連の方針・目標・リスク等について審議しています。

・ウェルネス・D&I推進委員会は、活き活きと働くウェルネスの実現に向けた健全で働きやすい職場環境を維持し、多様性の確保に向けた人材育成方針の策定と社内環境整備の推進を図るため、ウェルネス推進、働き方改革、女性活躍推進等、グループの多様な人材の活用・活躍に係る中長期目標の設定と具体的な推進施策等について審議しています。

 上記に加え、グループ経営に関する様々なリスクの審議を行うため、経営会議をリスクの統合管理主体として定め、主要なリスクの状況について定期的にモニタリング、評価及び分析を行い、各部門及びグループ各社に対して必要な指導及び助言を行うとともに、その内容を定期的に取締役会に報告を行う体制としております。

 また、経営会議の下部組織として設置しているリスクマネジメント委員会では、リスク管理の実践を通じ、事業の継続及び安定的発展を確保するため、内部統制に関する事項及びグループ経営に係るリスクに関する事項等について審議しています。更に、各事業部門においても、マーケット(顧客企業、消費者)や法規制(建築、不動産等)に関するリスクを個々に調査・把握し、事業・商品等の企画に都度反映させるとともに、各事業部門で検討された事項のうち当社グループ全体に影響が大きい事項については、内容に応じて、取締役会・経営会議・サステナビリティ委員会・リスクマネジメント委員会に適宜報告されています。

 当社グループにおけるサステナビリティ関連のリスク(および機会)を含む各種リスクの識別・評価・管理体制については、「3 事業等のリスク」も併せてご参照ください。

 

② テーマ別

(1)気候変動

 当社グループは、土地やその他の天然資源、エネルギーを利用して事業活動を行っており、気候変動は当社グループの事業継続に大きな影響を及ぼす重要な経営課題であるとの認識のもと、2020年9月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明するとともに、国内賛同企業による組織「TCFDコンソーシアム」へ加入しています。

 

(ガバナンス)

◆取締役会による監督

 気候変動関連のグループ全体の方針・目標等については、「サステナビリティ委員会」で審議しています。同委員会は、これまで毎年3回以上開催のうえ、気候変動に関するリスク・機会の検討、グループGHG削減目標等の検討及びモニタリング等を行っています。また、サステナビリティ委員会の審議内容については、原則として半年に1回以上、取締役会及び経営会議に報告され、あわせて、グループ経営において重要な事項がある場合は、都度、取締役会及び経営会議に報告する体制としています。

 

◆経営陣の役割

 当社グループでは、野村不動産ホールディングス代表取締役社長兼グループCEOがサステナビリティ委員会の委員長を務め、グループ全体でサステナビリティ・気候変動への対応を進めています。なお、グループCEOは、取締役会及び経営会議における執行側の最高責任者であり、サステナビリティや気候変動課題への対応を含む、企業としての持続的な成長を実現するために最善の意思決定を下し、関連する重要な業務を執行する責任を負います。

 

(戦略)

 当社グループは、気候変動の戦略を検討するにあたり、IPCC第5次評価報告書及びパリ協定における合意内容等を踏まえ、シナリオを用いた定性的な分析を行いました。気候変動が当社グループにとってどのようなリスク・機会をもたらしうるかを検討し、それらのリスク・機会をとらえる戦略と施策を検討・実施しています。

※2021年8月発表の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書」も今年度以降の分析に活用予定です。

 

・分析の範囲

 当社グループは、住宅部門(マンション・戸建住宅の開発・分譲等)、都市開発部門(オフィスビル、商業施設、物流施設、ホテルの開発・賃貸・販売等)、海外部門(海外における不動産の開発等)、資産運用部門(REIT・私募ファンドの運用等)、仲介・CRE部門(不動産の仲介等)、運営管理部門(不動産の管理等)、その他より構成されますが、グループ全事業を分析の対象範囲としています。

 なお、GHG排出量の算定範囲として、当社グループのスコープ1・2・3すべてを対象としています。

 

<気候変動シナリオ分析の概要>

時間的範囲

2050年度迄

シナリオの設定

2℃シナリオ

パリ協定の達成および脱炭素社会の実現を念頭に置いた社会

4℃シナリオ

気候変動対策が十分に進展せずその結果として自然災害が激甚化した社会

参照文献

・国連IPCC第5次評価報告書(2014年)

「代表濃度経路(RCP)2.6」

「代表濃度経路(RCP)8.5」

・国連IPCC第6次評価報告書(2021年)

・IEA World Energy Outlook(2020年)

「持続可能な開発シナリオ(SDS)」

「すでに公表済みの政策によるシナリオ(STEPS)」

 

・リスク(及び機会)の特定

 TCFD提言では、気候変動リスクを移行リスク(政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク、評判リスク)・物理的リスク(急性、慢性)に分類しています。当社グループは、この分類に従い、各リスク項目について、当社グループへの影響を特定しています。本項目では、各リスク項目において主な影響を記載します。

分類

当社グループへの影響

当社の認識

リスク

機会

移行リスク

政策・法規制リスク

事業単位、物件単位(スコープ1・2)でのGHG削減規制等の施行・強化

想定される事例

・日本および海外における規制強化(省エネ法、東京都・環境確保条例、排出権取引制度、炭素税等)

・補助金制度の拡充(省エネ技術、ZEH・ZEB等)

市場リスク

建物(ビル、住宅等)のエネルギー効率向上や脱炭素技術の開発・導入の遅れ

想定される事例

・不動産の開発コストの増加

・脱炭素技術や省エネ設備の投資

・再生可能エネルギーの導入

評判リスク

顧客の環境・省エネルギー・防災に関する機能の要求の高まり

想定される事例

・顧客(ビル等の入居テナント、住宅の購入者、REIT等)のニーズ変化

・ZEH、ZEBに対する顧客評価の高まり

・当社が保有する不動産の鑑定評価への影響

技術リスク

投資家・消費者等から、当社グループの取組み・事業が評価されないリスク

想定される事例

・当社の事業・商品等に対する信頼性・ブランド価値の変化

・株主、投資家、金融機関等の評価による資金調達への影響

物理リスク

急性物理的リスク

台風、洪水、集中豪雨等の災害発生に伴う損失の発生

想定される事例

・災害の発生に伴う当社保有建物の破損・機能停止

・災害の発生に伴い、当社が開発中の不動産に関する工事の中断・遅延

慢性物理的リスク

平均気温の上昇に伴う、事業等への影響

海水面の上昇の顕在化に伴う、不動産の鑑定評価への影響

想定される事例

・真夏日の増加に伴う、顧客・従業員・取引先等への健康影響

・沿岸部等における不動産価値の毀損

 

 また、上記の定性的な分析に加え、以下に記載するような定量的な分析も進めております。今後、定量的な開示をより強化していく予定です。

 

2030年までに想定する財務影響

定量的インパクト(最大値・累計額)

リスク

災害増に伴う損害保険料の増加

600万円

カーボンプライシング/炭素税導入

15億円

機会

CO2削減目標達成による資金調達コスト減

1.5億円

建物環境性能向上に伴うエネルギーコスト減少

9億円

 

(リスク管理)

 気候変動関連のリスクは、サステナビリティ委員会で審議され、取締役会及び経営会議が監督しています。

 上記に加え、経営会議をリスクの統合管理主体として定めた当社グループのリスク管理体制のなかでも、気候変動に関するリスクをモニタリング・評価・分析し、取締役会に報告しています。なお、当社グループにおけるサステナビリティ関連のリスク(および機会)を含む各種リスクの識別・評価・管理体制については、「3 事業等のリスク」も併せてご参照ください。

 

(指標と目標)

 当社グループでは、気候変動への対応を進めるために、GHG排出量及びエネルギー使用量の削減に関して、以下3つの目標を掲げております。

① CO2排出量の削減

[長期目標]

 2050 年までに、当社グループ全体での Scope1・2及び3※1におけるカーボンニュートラルの実現を目指す。

 

[中長期目標]

 グループ全体のScope1・2及び3(カテゴリ1・11)※2のGHG排出量(総量)について、2019年度比、2030年度までに35%削減 ※2020年11月SBT(Science Based Targets)認定取得済

 

[短期目標]

 グループ全体のScope1・2及び3(カテゴリ1・11)の排出量を、総量で2019年度比、2025年度までに15%削減する。

 

※1 Scope1:燃料の燃焼などの直接排出量

  Scope2:自社で購入した電気・熱の使用に伴う間接排出量

  Scope3:Scope1・2以外の間接排出量

※2 Scope3については、カテゴリ1(建物の建設時等)およびカテゴリ11(販売した商品の使用時)を対象としており、2019年度実績で、Scope3の約94.21%をカバーしています。

 

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② エネルギー使用量の削減

[中長期目標]

 グループ全体の消費電力を、2050年までに100%再生可能エネルギー由来の電力とする。

(2022年1月RE100加盟済)

 

[短期目標]

 野村不動産が保有する国内すべての賃貸資産の消費電力を、2023年度迄に100%再生可能エネルギー由来の電力とする。

※野村不動産が電力会社と直接電力契約を実施する賃貸資産(テナント使用分含む)、野村不動産が他者と区分・共有して保有する資産、売却・解体対象資産及び一部賃貸住宅の共用部は除く。

 

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③ 太陽光発電の推進

 当社グループは、各事業の推進を通じて、太陽光発電による再生可能エネルギーの活用に取り組んでいます。具体的な取組みは以下のとおりです。

a. 物流施設における太陽光発電事業の実施

2022年3月時点で、物流施設「Landport(ランドポート)」の累計19棟に太陽光パネルを設置しており、ポートフォリオ全体における発電量は22,801千kWh/年でした。

b. 戸建分譲住宅への太陽光発電の導入

野村不動産では、東京電力エナジーパートナーと協働で分譲戸建「プラウドシーズン」に、メガソーラー発電と同規模の太陽光発電(総発電出力1,000kW)を導入する「バーチャルメガソーラー©」を2022年5月より始動しています。総発電出力1,000kWh級の太陽光発電を、首都圏の戸建分譲住宅(プラウドシーズンの屋根年間300戸)に導入する国内初の取組みであり、両社は休閑地が少ない首都圏において創エネを行う「電力の地産地消」の取組みとして推進していきます。

 

(2)人的資本

(人材戦略)

 当社グループでは、「多様な人材の活躍」と「成長分野の人材確保」の循環により、社員の幸せと、挑戦し続けられる会社を実現することを人材戦略の基本的な考え方としています。その考えのもと、「ダイバーシティ&インクルージョン」を、サステナビリティポリシーの実現に向けた重点課題(マテリアリティ)として特定し、「多様な人材(育児・介護等による短時間勤務者、性的マイノリティ、障がい者、シニア、外国人等)を受け入れる労働環境の整備が遅れることにより、必要な人材を確保できず、または確保した人材が活躍し続けられず、企業競争力の低下につながるリスク」を主要なリスクと位置づけ、各種取組みを推進しています。

 

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(社内環境整備方針)

 「多様な人材の活躍」に向け、「社員一人ひとりが活き活きと働くウェルネスの実現」と「多様な人材が活躍できるダイバーシティ&インクルージョンの推進」の2軸を中心に取り組む方針です。また、一部のグループ会社では複線型の人事制度の導入等に取組んでいます。さらに当社グループで働く社員が、仕事・職場・会社に対して日ごろ感じていることを明らかにし、それらを経営と共有し、よりよい職場づくりに活かす活動を継続して行うことを目的に、2022年度は初めてグループ全体での従業員エンゲージメント調査(「あなたの声があしたをつなぐ!」グループサステナビリティ・ウェルネスD&I意識調査)の実施に着手しました。引き続き、活き活きと働くことができる職場の実現に取り組んでまいります。

 

(ⅰ)社員一人ひとりが活き活きと働くウェルネスの実現

・社員の成長と働きがいのある企業グループへの成長

・社員一人ひとりの多様な能力を引き出すマネジメント人材・リーダー人材の育成

・社員一人ひとりが自発的にそれぞれの可能性を伸ばすリスキリングの導入

 

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(ⅱ)多様な人材が活躍できるダイバーシティ&インクルージョンの推進

・人権・ウェルネスD&I研修の推進により女性、シニア、LGBTQ、障がい者、外国人などのさまざまなバックグラウンドや価値観を持つ多様な人材が最大限に能力発揮できる職場環境を整備

・出産・育児・介護・傷病との両立支援、労働時間短縮に向けた意識啓発

 

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(人材育成方針)

 「成長分野の人材確保」に向け、「成長の起点となるデベロップメント分野の人材確保・育成」と「サービス・マネジメント分野の注力事業への人員配置」の2軸を中心に取り組む方針です。具体的には、以下の施策に取り組んでいます。

 

(ⅰ)成長の起点となるデベロップメント分野の人材確保・育成

・採用の強化による複合開発・再開発・建築など専門性の高い人材の獲得

・グループ間の人材流動化により成長分野にリソース配分

・グローバル人材の育成

・事業進出国におけるナショナルスタッフの採用・育成

 

(ⅱ)サービス・マネジメント分野の注力事業への人員配置

・グループでDX人材を獲得・育成し、生産性の高い人材を注力事業へ配置

※注力事業・・・(資産運用)私募ファンド事業、(仲介・CRE)ミドル事業、(運営管理)受注工事事業

※ミドル事業・・・中堅・中小企業、企業オーナー、一部の個人投資家や富裕層向け不動産仲介事業

 

(指標と目標)

 当社グループでは、サステナビリティポリシーの実現に向けた重点課題(マテリアリティ)として「ダイバーシティ&インクルージョン」及び「人権」を特定しており、計測指標(KPI)として以下を設定しております。その目標及び実績は下記の通りです。

目標

2023年3月期実績

女性マネジメント職層比率 20%

13.9%

男女育児休業取得率 100%

64.5%

1on1ミーティングの実施率 100%

83.0%

※「人権・ウェルネス・D&I 研修参加率(目標:100%)」については、2024年3月期から実績を開示予定

 

 

3【事業等のリスク】

(1) リスク管理の基本方針

当社グループでは、リスク管理を「企業グループの組織・事業目的の達成に関わる全てのリスクを統合的かつ一元的に管理し、自社のリスク許容限度内でリスクをコントロールしながら企業価値の向上を目指す経営管理手法」と捉え、リスクの適切な管理及び運営によって経営の健全性を確保することを目的として、「リスク管理規程」を定めております。

「リスク管理規程」において、リスク管理の実践を通じ、事業の継続及び安定的発展を確保することを基本方針と定め、主要なリスクを「A:投資リスク」、「B:外部リスク」、「C:災害リスク」、「D:内部リスク」の4つのカテゴリーに分類し、そのうち以下に該当するリスクを管理すべき重要なリスクと定め、リスクの規模・特性等に応じた有効かつ効率的な管理を行うこととしております。

 

<主要なリスクのうち管理すべき重要なリスクに該当するもの>

・グループ経営に大きな影響を及ぼすおそれのあるリスク

・社会的に大きな影響を及ぼすおそれのあるリスク

・訴訟等の重大なトラブルが発生するリスク

・その他野村不動産グループとして管理すべき重要なリスク

 

(2) リスク管理体制

当社では、グループ経営に関する様々なリスクの審議を行うため、経営会議をリスクの統合管理主体として定め、主要なリスクの状況について定期的にモニタリング、評価及び分析を行い、各部門及びグループ各社に対して必要な指導及び助言を行うとともに、その内容を定期的に取締役会に報告を行う体制としております。

「A:投資リスク」、「B:外部リスク」については、統合管理主体である経営会議が直接モニタリング等を行い、「C:災害リスク」及び「D:内部リスク」については、経営会議の下部組織として設置している「リスクマネジメント委員会」が定期的なモニタリング、評価及び分析を行うとともに、発生前の予防、発生時対応、発生後の再発防止等についての対応策の基本方針を審議しております。また、リスクマネジメント委員会委員長により指名されたグループ各社の取締役、執行役員等で構成される「グループリスク連絡会議」を設置し、グループ内でのリスク情報及び対応方針を共有しております。

リスク管理については、各部門長が所管する部門のリスク管理を統括し、その状況を必要に応じて経営会議またはリスクマネジメント委員会に報告するとともに、グループ各社の社長(野村不動産㈱においては各本部長)は、リスク管理に関する事項について適時適切に部門長に報告することとしております。

また、グループ各社において事業を掌る組織をリスク管理の「第1線」、当社及びグループ各社においてコーポレート業務を掌る組織を同「第2線」、当社及びグループ各社において内部監査を掌る組織を同「第3線」と定義し、当社の第2線及び第3線がグループ各社の第2線及び第3線に支援・指導・協働を行う等、それぞれの立場からリスク管理における役割を担うことで、ガバナンスとリスクマネジメントを支援する効率的な組織及びプロセスを構築しております。

緊急を要する重要な問題が発生した場合には、「リスク管理規程」に則り、リスクマネジメント委員会委員長が関係部室の担当役員等と協議のうえ対応策等の基本方針を決定し、社長執行役員(グループCEO)に報告を行い、その基本方針に則った対応等の指示を行います。

 

 

 

 

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(3) 主要なリスクの内容

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、主要なリスクのうち当社事業に与える影響の大きさや外部環境等を踏まえ、2024年3月期において特に注視するリスクを選定しております。

 なお、文中の将来に関する事項及びリスクの認識は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ないまたは重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

 

(主要なリスク)

リスクカテゴリー

定義

主要なリスク

A:投資リスク

個別の投資(不動産投資・戦略投資(M&A)等)に関するリスク

不動産投資に伴うリスク

戦略投資(M&A)・新規事業に伴うリスク

B:外部リスク

事業に影響を及ぼす外的要因に関するリスク

市場の変化によるリスク

経済情勢の変化によるリスク

政治・社会情勢・制度(法規制・税制・会計制度等)の変化によるリスク

事業の前提となる社会構造の変化・イノベーションに遅れることによるリスク

C:災害リスク

顧客及び事業継続等に大きな影響を与える災害に起因するリスク

顧客及び事業継続等に大きな影響を与える災害(地震・台風・洪水・津波・噴火・大火災・感染症の流行等)に起因するリスク

D:内部リスク

当社及びグループ各社で発生するオペレーショナルなリスク

法令違反によるリスク

品質不良の発生によるリスク

10

情報システム危機発生によるリスク

11

人材に関する事項への対応不備によるリスク

12

不正、過失等の発生によるリスク

 

  (特に注視するリスク)

A:投資リスク

・用地取得の競争激化等により、想定した事業量が確保できず、中長期経営計画で見込んでいる利益成長が実現困難なリスク

・資材価格の高騰に伴う工事費の上昇や工期の遅延、またエネルギー調達コストの高騰等により、想定した収益の獲得が見込めないリスク

・再開発事業など事業期間が長期間でかつ投資金額が大きいプロジェクトについて、経済情勢の変動により収益性の悪化や想定事業スケジュールの遅延等が生じるリスク

B:外部リスク

・国内不動産市場や金融情勢の変化により、分譲住宅の販売価格・収益不動産、更には資産入替物件の売却価格に影響が生じるリスク

・海外各国の経済・不動産市場の悪化やゼネコンやJVパートナーの財務状況悪化等により、海外事業の収益性悪化や利益回収時期の遅延が生じるリスク

・ライフスタイルや価値観の変化への対応、デジタルテクノロジーの加速度的な進化への対応、またサステナビリティ・人材への対応等が遅れることにより、当社事業の競争優位性が低下するリスク

C:災害リスク

・甚大化する地震、台風、豪雨等の自然災害により事業が継続できないリスク

D:内部リスク

・不動産開発事業における設計・施工の不備の発生によるリスク

・多様な人材を確保し、人材が活躍し続けるための人事制度の整備が遅れることによるリスク

・サイバー攻撃による情報流出、事業継続への影響、損害等の発生・拡大によるリスク

・資材価格、エネルギーコストなどの上昇を踏まえた受注者への適正な価格転嫁を実現するための取引体制の強化の遅れにより、法令等に抵触し、また相手方との円滑な取引の実現に支障が生じるリスク

 

(主要なリスクの内容と主な取り組み)

リスク項目

1 不動産投資に伴うリスク

リスクカテゴリー

A:投資リスク

リスクの内容

・予期せぬ土壌汚染等の判明、許認可の取得の遅れ、追加工事の発生、及び工事費・エネルギーコス   トの上昇等により、計上時期の遅れや収益性の悪化が発生し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼすリスク

主な取り組み

不動産投資・開発事業については、予めリスクの抽出及び分析・評価、リスクテイクまたはリスク回避の方針を検討の上、当社またはグループ会社の経営会議または取締役会等において判断をしております。特に、工事費の上昇リスクについては、事業用地の取得時に一定の追加コストを織り込む等の対応を実施しております。

なお、事業用地の取得後は、スケジュールが遅延するリスクや建築コストの状況等について、事業を所管する組織にて把握し、特に重要な事象が発生した場合には必要に応じて当社またはグループ会社の経営会議または取締役会等にて審議のうえ、課題への対応を行っております。

また、推進中及び完了した事業において、各事業の進捗のモニタリングや実績の振り返りを行い、事業種別ごとの課題や傾向等について把握・分析を行っております。

 

リスク項目

2 戦略投資(M&A)・新規事業に伴うリスク

リスクカテゴリー

A:投資リスク

リスクの内容

・戦略投資(M&A)において、投資した対象会社に期待する利益成長やシナジー効果等が実現できなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼすリスク

・新事業領域への取り組みや新たなアセットタイプへの投資等において、当初計画する事業計画やグループ各社とのシナジー効果等が実現できなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼすリスク

主な取り組み

 戦略投資(M&A)にあたっては、当社グループの既存事業とのシナジー効果や、対象会社の経営計画・財務内容・契約関係等を慎重に調査・検討し、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合に実行しております。また、戦略投資(M&A)実行後には、対象会社と当社グループとの統合プロセスの状況、経営課題及びその対応方針等について、取締役会または経営会議において定期的にモニタリングを行っております。

 新規事業の検討にあたっては、当社グループの既存事業とのシナジー効果や、事業計画等を慎重に調査・検討し、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合に実行をしております。また、新規事業への参画後は、事業の推移等を定期的にモニタリングし、計画の修正や再生等が必要な場合には、当社またはグループ会社の経営会議または取締役会にて審議を行っております。

 

 

リスク項目

3 市場の変化によるリスク

リスクカテゴリー

B:外部リスク

リスクの内容

・競合他社の動向、革新的な新規参入企業の出現、経済情勢・政治・社会情勢の変動、地政学リスクの発現、及び災害の発生等が事業環境や市況の変化につながり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼすリスク

主な取り組み

 当社グループでは、各事業についての外部環境の認識を定期的に更新し、業績への影響の把握と事業の進捗管理や精度の向上に努めております。

不動産投資・開発事業における投資決定にあたっては、現在及び将来の市況を把握または予測するとともに、過去のマーケットの推移等も確認し、市況の変動が発生した場合においても影響を一定程度に抑えることを基本としております。

また、市況に急激な変動が生じた場合でも、財務状況に関して一定の健全性を確保することができるように、リスク評価を実施したうえで、投資予算を策定しております。

 

 

リスク項目

4 経済情勢の変化によるリスク

リスクカテゴリー

B:外部リスク

リスクの内容

・国内外の景気後退により、住宅分譲事業における顧客の購買意欲の減退や、オフィスビル等の賃料水準の低下や空室率の上昇等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼすリスク

・市中金利の上昇により、当社グループの資金調達コストの増加、住宅ローン金利の上昇による住宅分譲事業における顧客の購買意欲の減退、及びキャップレートの上昇による資産価格の下落等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼすリスク

・為替レートの変動により、円換算での投資額・回収額の変動や、連結財務諸表上の外貨建ての資産及び負債額の変動等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼすリスク

・海外各国のゼネコンやJVパートナーの財務状況悪化等により、海外事業の収益性悪化や利益回収時期の遅延が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼすリスク

主な取り組み

経済情勢の変化については、外部環境の認識を定期的に更新し、業績への影響の把握に努めております。

借入金による資金調達にあたっては、長期・固定での借入を主とすることにより、短期的な金利上昇のリスクへの対応を図っております。

不動産投資・開発事業においては、賃料の低下やキャップレートの上昇による資産価格の下落等が発生した場合においても影響を一定程度に抑える投資判断を行っております。

為替変動のリスクについては、海外で展開する事業種別を踏まえた為替ヘッジ方針を定め、これに沿った運営をしております。

また、海外事業におけるゼネコンやJVパートナーの状況ついては、第1線による定期的なモニタリングとともに、海外事業リスク会議(海外事業モニタリング会議から名称変更)等を通じて、事業に影響を及ぼす事象やその対応について定期的に確認・審議し、必要に応じて当社またはグループ会社の経営会議または取締役会等においても審議を行っております。

 

 

リスク項目

5 政治・社会情勢・制度(法規制・税制・会計制度等)の変化によるリスク

リスクカテゴリー

B:外部リスク

リスクの内容

・ロシアによるウクライナ侵攻等に見られる地政学リスクの顕在化等、政治・社会情勢の変化が生じた場合、為替市場、エネルギー市場、及びサプライチェーンの混乱等により、建築費やエネルギーコストの上昇や事業スケジュールの遅延等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼすリスク

・海外事業において、その国固有の政治・社会情勢に基づくカントリーリスクにより、事業開始時には想定していない政治・社会情勢の変化が生じた場合、事業推進上の障壁等につながり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼすリスク

・当社グループの各事業に適用される国内外の各種法規制等について変更等が生じた場合、また今後の事業範囲の拡大により新たな法規制等の影響を受けることになった場合、新たな義務や費用負担等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼすリスク

・不動産事業に影響がある国内外の各種税制・会計制度等について変更等が生じた場合、資産の取得・保有・売却時の費用の増加、顧客の購買意欲の減退、及び企業のファシリティ戦略の転換・投資計画の修正等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼすリスク

主な取り組み

国内外の政治・社会情勢、各種法規制、税制及び会計制度の動向については、業界団体や専門家、取引関係先等からの情報を収集・分析して当社の第2線の各組織にて対応の検討を行い、重大な影響が予想されるものについては内容に応じて取締役会または経営会議にて審議を行っております。

特に海外事業においては、事業参画時に外部の専門家の知見を踏まえ、今後の政治・社会情勢の見通し、適用される法規制及び税制等を確認し、参画後には海外事業リスク会議等を通じて、事業の戦略・収支・推進等に影響を及ぼす政治・社会情勢、重要な関連法令の変更の状況等を定期的に確認し、変更がある場合には影響の評価・対応の方針等を検討のうえ、取締役会または経営会議にて審議を行っております。

 

 

 

リスク項目

6 事業の前提となる社会構造の変化・イノベーションに遅れることによるリスク

リスクカテゴリー

B:外部リスク

リスクの内容

・社会構造の変化や、急速な技術革新・革新的な新規参入企業の出現による産業構造の変化への対応が遅れた場合、当社商品及びサービスの競争優位性が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼすリスク

・少子高齢化の進展による人材確保難が当社商品及びサービスの展開能力を制約するリスク

・温室効果ガス削減規制等の施行・強化による顧客の環境・省エネルギー・防災に関する要求の変化や、高い環境性能・エネルギー性能に関する技術への対応に遅れた場合、当社商品及びサービスの競争優位性が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼすリスク

主な取り組み

当社グループはこれまでも事業環境の変化の中で、マーケットインの発想に基づく不動産開発力や、街づくり・不動産関連サービスにおける品質へのこだわりといった強みを活かし、独自性の高い新たな価値を創造し、社会とお客様に提供してまいりました。

この強みをベースに、社会構造・産業構造の変化や、社会や顧客のサステナビリティへの意識の高まりに対応すべく、当社に「DX・イノベーション推進部」と「サステナビリティ推進部」を設置し、新領域事業の研究・開発、イノベーション創発・デジタル戦略等の企画・推進、及びサステナビリティに関する取り組み等を行っております。

DX・イノベーション推進部を事務局として、当社グループ各社の従業員が、日常の業務の枠組みを超えて新規事業等を提案できる「事業アイデア提案制度」を設け、新規事業や新しい商品・サービスの事業化を推進するとともに、グループ内表彰制度「野村不動産グループアワード」を通じた、変革による価値創造に挑戦する風土の形成やグループ連携の強化に取り組んでおります。

また、コーポレートベンチャーキャピタルを通じて、出資先となる革新的技術やサービスを持つベンチャー企業と協業し、デジタルテクノロジーを活用したサービスの提供も継続しております。

さらに、人材確保難への対応として、デジタルテクノロジー等の活用による業務効率化・省力化に取り組んでおります。

なお、当社グループにおける温室効果ガスの削減、当社商品及びサービスに係る環境性能・エネルギー性能の向上等を含むサステナビリティに関する取り組みについては、P.20~P.27をご参照ください。

 

リスク項目

7 顧客及び事業継続に大きな影響を与える災害(地震・台風・洪水・津波・噴火・大火災・感染症の流行等)に起因するリスク

リスクカテゴリー

C:災害リスク

リスクの内容

・大規模な地震、風水害、感染症の流行等の災害による、当社グループが保有・運営する施設の営業の休止、または制約による賃料収入や運営収入の減少、営業機会の逸失による収入減少等、収益を逸出するリスク

・大規模な地震、風水害、感染症の流行等の災害による、住宅販売の営業の休止、または制約による計上時期の変更、建設業者による工事の休止等に起因する工期の延長による竣工・計上時期の変更等、収益機会が先送りされるリスク

主な取り組み

当社グループでは、様々な災害発生の増加を重要な社会課題と認識し、行政及び防災の専門家等との協議を踏まえ、災害時の安心・安全の確保に努めるとともに、災害が発生した場合には、その影響を最小限に抑え、生活や事業を継続できるように防災に取り組むとともに、災害発生時における事業継続に関する行動計画(BCP)を策定しております。

地震、風水害に関しては、BCPにて、非常時の指揮命令系統、事業継続のための任務分担などを定め、災害の影響を最小限に抑える体制を整備し、年に一度「災害対策本部設置訓練」を実施することで、規定内容の確認(役職員の生命や安全の確保、指揮系統の確立、事業復旧)を行い、非常時に備えています。感染症については、新型コロナウイルス感染症の当社グループにおける対応実績を踏まえ、今後の新たな感染症の発生に備えて、感染確認時から蔓延時まで、感染状況に応じた対応(指揮系統の確立、事業継続を目的としたコア事業の選定、感染予防等に関する共通ルールの策定等)について取りまとめた感染症に関するBCPを策定しております。また、国内だけでなく、海外での災害発生に対する準備・初動対応を定めたBCPも策定しております。

地震・火災・風水害等の突発的な事故の発生に関しては、当社グループの「品質マニュアル」における集中豪雨対策や浸水対策の規定、防災対応マニュアルの整備や防災ガイドブックの配布等の管理物件における居住者・管理組合・テナント企業・施設利用者等に対する防災支援等を行い、災害時の安心・安全を確保するための取り組みを行っております。

 

 

リスク項目

8 法令違反によるリスク

リスクカテゴリー

D:内部リスク

リスクの内容

・宅地建物取引業法、建築基準法、金融商品取引法、会社法、個人情報保護法、独占禁止法、下請法その他関係法令に違反し、信用の失墜や行政処分、罰金等が課されることにより、経営成績に影響を及ぼすリスク

主な取り組み

当社グループでは、役職員が法令及びグループ各社が定める社内規程等を遵守し、さらに、より高い倫理観に従って行動することを目的とし「野村不動産グループ倫理規程」を定め、役職員に対する継続的な教育、研修を行っております。

宅地建物取引業法等の主要な法令に関しては、法令遵守のため、各法令に応じた業務フローの策定を行い、研修やOJTによる周知徹底と法令遵守状況の定期的な自主点検を行っております。独占禁止法等に関しては、資材価格、エネルギーコストなどの上昇を踏まえた受注者への適正な価格転嫁を実現するため、グループ各社の業務特性や事業規模に応じた業務ルールの策定や、マニュアルの作成、研修の実施などを行い、取引体制の強化に取り組んでおります。また、外国公務員等への不適切な接遇に関しては、規程等を制定し、海外事業に関係する役職員及び海外現地採用職員を対象として、定期的な研修を実施しております。

 

リスク項目

9 品質不良の発生によるリスク

リスクカテゴリー

D:内部リスク

リスクの内容

・不動産開発事業における設計・施工等の不備、また、賃貸・管理する施設における管理上の不備等により、信用の失墜や想定外の費用及び開発計画、運営計画の遅延が生じ、経営成績に影響を及ぼすリスク

主な取り組み

不動産開発事業においては、一定の信用力・技術力を有する第三者に建物の設計・施工業務等を発注し、その設計・施工における品質を確保するため、当社グループにて「設計基準」(構造・建築・設備・電気)及び「品質マニュアル」等を定め、発注先による遵守徹底を図るとともに、発注者として施工状況の確認及び品質検査を実施しております(但し、他社との共同事業や再開発組合が主体となる再開発事業等においては、事業形態に応じて異なる方法を採用する場合があります)。また、賃貸・管理する施設に関しては、管理に係る業務標準書、修繕工事における安全・仮設ガイドライン等を策定して業務を行うとともに、万一の不備や事故等に備え、損害保険を付保しております。

 

リスク項目

10 情報システム危機発生によるリスク

リスクカテゴリー

D:内部リスク

リスクの内容

・サイバー攻撃や不正アクセス等の不測の事態により、万一、情報システムが正常に利用できない場合や個人情報が外部へ漏洩した場合、当社グループの営業活動や業務処理の遅延、信用の失墜及びそれに伴う売上高の減少や損害賠償費用の発生等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼすリスク

主な取り組み

インターネットやクラウドサービスを活用した業務変革や、持続的な成長の実現へ向けたDXへの取り組みを積極的に推進している状況において、情報セキュリティの確保はこれまで以上に重要性を増してきており、インターネットからの不正アクセス遮断や情報端末のウイルススキャン、万一マルウェアやボット等が侵入した場合に振る舞いを検知して不正送信を阻止する等のセキュリティシステムを導入し、さらにこれらのシステムからのアラート監視を行い、サイバー攻撃や情報漏洩に備えたICT環境の整備を進めています。また、クラウドサービスの利用においては、事前にセキュリティチェックを行っており、安全に利用するよう確認しております。

個人情報に関しては、関係する諸法令の遵守と適正な取扱いの確保に努めており、当社グループにおける情報の組織的管理とセキュリティのレベルの維持向上を図ることを目的として「情報セキュリティ規程」及び「情報取扱ガイドライン」を定め、定期的に社員への情報セキュリティ啓蒙を行い、顧客の権利や利益の保護と当社グループにおけるICT環境の安定的な運用を図っております。

また、万一の情報漏洩等の事故発生に備え、サイバー保険を付保しております。

 

 

 

 

リスク項目

11 人材に関する事項への対応不備によるリスク

リスクカテゴリー

D:内部リスク

リスクの内容

・当社グループの従業員の勤務時間が適切に把握されず、長時間労働が行われることによって従業員の健康が害されるリスク

・人事制度やその運用が労働基準に関する法制度に適合しないことで、当局から行政処分等を受けた場合に人材流出や信用の失墜、罰金等が課されること等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼすリスク

・多様な人材(育児・介護等による短時間勤務者、性的マイノリティ、障がい者、シニア、外国人等)を受け入れる労働環境の整備が遅れることにより、必要な人材を確保できず、または確保した人材が活躍し続けられず、企業競争力の低下につながるリスク

・海外拠点における人事労務面において、現地労働関係法令・慣習等に反する制度の導入や運用により、当局から行政処分等を受けるリスク、現地従業員の退職によりノウハウを喪失するリスク、駐在員の現地での生活を適切にサポートする仕組みがないことにより駐在員の健康が害されるリスク

主な取り組み

当社グループは「活き活きと働くウェルネスの実現」を行動指針として掲げ、持続可能な社会の実現に向けて、事業活動を継続し、企業価値を向上していくために、すべての役職員が心身ともに健康で活き活きと仕事に取り組むことが企業の持続的成長につながる「ウェルネス経営」を目指しております。

多様な人材が働きやすい労働環境の構築のため、有給休暇の取得推奨、テレワークの推進、育児・介護等による休業や短時間勤務制度等を導入するとともに、定期的な研修により、役職員の多様性に関する理解度向上に取り組んでおります。また、野村不動産など一部のグループ会社において、男性の出生時育児休業の一部有休化や積立有休制度を導入しております。

勤務時間の適切な把握のため、勤怠管理システムを導入して管理を行い、特に長時間労働については定期的な状況のモニタリングを行っており、また、人事制度やその運用の遵法性については、定期的に社外の専門家による検証を行い、リスク顕在化の予防に努めております。

また海外においては独自の法律、文化、慣習があることから、外部の専門家等の知見を活用した人事労務制度の構築、駐在員の相談窓口の整備、医療機関の斡旋や受診のサポートを行うサービスの整備等を行っております。

なお、当社グループでは、ウェルネス・働き方改革・人材の多様性の確保を一体的に推進すべく、社長執行役員(グループCEO)を委員長とする「ウェルネス・D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進委員会」、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に係る専任組織「グループ人材開発部/ウェルネス・D&I推進室」を設置しております。当連結会計年度より、当社グループのD&I推進方針及び中期・短期の推進ロードマップを策定・公表し、2024年3月期までをステップ1として『D&I意識醸成期間』と定め、キーゴールとして『①年次有給休暇取得目標達成 ②男女育児休業取得率100%達成』を設定しております。

 

リスク項目

12 不正、過失等の発生によるリスク

リスクカテゴリー

D:内部リスク

リスクの内容

・役職員の不正、不適切な管理による情報の流出、業務上の過失等により、信用の失墜や、それに伴う売上高の減少や損害賠償費用の発生等が生じ、経営成績に影響を及ぼすリスク

主な取り組み

当社グループでは、役職員が法令及びグループ各社が定める社内規程等を遵守し、さらに、より高い倫理観に従って行動することを目的とし「野村不動産グループ倫理規程」を定め、役職員に対する継続的な教育、研修を行っております。

また、当社及びグループ会社の各部室店にコンプライアンス推進責任者を配置することで、各職場におけるコンプライアンス活動の実効性を高める体制を構築しております。さらにグループ各社共用の内部通報制度「野村不動産グループ・ヘルプライン」によって、通報及び相談窓口を内部及び外部にそれぞれ設ける等、公益通報者保護法に基づく体制整備及び運用を行っております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況および分析の内容は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績及び財政状態の状況及び分析の内容

① 当連結会計年度の事業環境

 当連結会計年度におけるわが国の景況感は、新型コロナウイルス感染症への対応と経済社会活動の両立が進み、個人消費が回復し、企業の設備投資が増加する等、全般的に持ち直しの傾向が続きました。一方、世界的なインフレや欧米等における金融引締め、及びエネルギー・原材料価格の高騰等によって、一部に弱さと不透明感がみられる状況となりました。

 不動産市況については、住宅分譲市場では、首都圏において、2年連続で初月契約率が70%を超え、販売在庫数が約10年前の水準まで大幅に減少する等、堅調な販売動向が継続しています。賃貸オフィス市場では、前期と同様、空室率は直近数年間の中では高い水準で推移しましたが、価値観や働き方の多様化に即した、より付加価値の高いオフィスへの移転需要も見られました。また、コロナ禍の影響を大きく受けた商業・ホテル市場では、年度中盤以降、行動制限や入国制限の緩和等による、サービス消費やインバウンド需要の回復が進み、売上・稼働率が上昇傾向となりました。不動産投資市場では、前期と同様、国内の良好な資金調達環境と投資家の旺盛な投資意欲によって、物流施設・賃貸住宅等の物件取引量が堅調に推移し、市場規模の拡大が継続しました。不動産流通市場では、リテール事業において、旺盛な住み替え需要によって、首都圏中古マンションの取引件数が高い水準で推移し、平均取引価格の上昇が継続する等、堅調な市況が続いています。

 

② 当社グループの経営成績の状況及び分析の内容

 このような事業環境の下、当社グループの経営成績は、売上高は654,735百万円(前連結会計年度比9,686百万円、1.5%増)、営業利益は99,598百万円(同8,388百万円、9.2%増)、事業利益は105,172百万円(同12,406百万円、13.4%増)、経常利益は94,121百万円(同11,563百万円、14.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は64,520百万円(同9,208百万円、16.6%増)となりました。

 

(売上高)

 運営管理部門において、受注工事が増加したこと、海外部門において、住宅分譲事業の計上戸数が増加したこと等により、654,735百万円(前連結会計年度比9,686百万円、1.5%増)となりました。

 

(事業利益)

 海外部門において、住宅分譲事業の計上戸数が増加したこと、仲介・CRE部門において、売買仲介事業の取扱高が増加したこと等により、105,172百万円(前連結会計年度比12,406百万円、13.4%増)となりました。

 

(経常利益)

 事業利益が増加したこと等により、94,121百万円(前連結会計年度比11,563百万円、14.0%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 経常利益が増加したこと等により、64,520百万円(前連結会計年度比9,208百万円、16.6%増)となりました。

 

2023年3月期 経営成績の概要

0102010_021.png

 

0102010_022.png

 

 

 

◇ 経営上の目標の達成状況

経営上の目標の達成状況については以下のとおりであります。

指標※1

指針※1

当連結会計年度

事業利益

115,000百万円

(2025年3月期)

105,172百万円

 

ROA

4.5%水準

(2023年3月期~2025年3月期)

5.1%

 

ROE

9%水準

(2023年3月期~2025年3月期)

10.1%

 

総還元性向

40~50%

(2023年3月期~2025年3月期)

47.6%※2

 

 ※1 2022年4月に策定した中長期経営計画にて掲げている指標・指針となります。

 ※2 当連結会計年度の総還元性向については、2022年10月27日及び2023年1月26日開催の取締役会決議による自己株式の取得(取得期間:2022年10月28日~2023年4月14日)における取得価額の総額を考慮して算出しております。

 

        事業利益の推移                   ROA・ROEの推移

 0102010_023.png  0102010_024.png

                                         ※ROA=事業利益÷期中(平均)総資産

                                         ※ROE=当期純利益÷期中(平均)自己資本

 

   1株当たり配当額・総還元性向の推移

0102010_025.png

  ※総還元性向:(1株当たり配当額+1株当たり自社株買い金額)

            ÷1株当たり当期純利益

 

③ 部門別の経営成績の状況及び分析の内容

部門ごとの業績の状況及び分析の内容は、以下のとおりであります。

    (注)1.各部門の売上高は、部門間の内部売上高、振替高を含みます。
        2.端数処理の関係で合計数値があわない場合があります。
        3.当連結会計年度より以下のとおり報告セグメントの変更等を行っております。

(報告セグメントの変更等)
 当連結会計年度より、「海外部門」を新設し、「その他」に区分していた野村不動産㈱の海外事業本部、及び海外現地法人等の区分を変更しております。なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。

 

<住宅部門>

 当部門の売上高は302,480百万円(前連結会計年度比△6,745百万円、2.2%減)、事業利益は33,333百万円(同782百万円、2.4%増)と、前連結会計年度と比べ減収増益となりました。

 これは主に、住宅分譲事業において、計上戸数が減少した一方で、粗利益率が向上したことによるものであります。

 マンション分譲ではプラウドタワー芝浦(東京都港区)、「プラウドタワー亀戸クロス(東京都江東区)、「オハナ茅ヶ崎(神奈川県茅ケ崎市)、「プラウド阪急塚口駅前(兵庫県尼崎市)等を戸建分譲ではプラウドシーズン練馬春日町 静華の街(東京都練馬区)等計4,142戸(前連結会計年度比187戸減)を売上に計上いたしました

 また、当連結会計年度末における契約済未計上残高は3,819戸(前連結会計年度末比271戸増)となっており、次期計上予定売上高に対する期首時点の契約率は74.8%となっております。

 なお、共同事業における戸数、売上高、契約残高については事業シェア按分で計算しております。

 更に、事業活動を通じた持続可能な社会への取り組みとして、ZEH※マンションの開発、戸建住宅への太陽光パネルの設置による、メガソーラーと同規模の発電といった、省エネ、創エネの取り組みを推進しております。また、新たな価値創造に向けたDXの取り組みとして、メタバース空間にて住宅購入相談ができるサービスの導入、オンラインツールを活用した情報提供等、お客様との接点のデジタル化を推進しており、今後も、より先進的な顧客体験価値の追求に挑戦してまいります。

※ 新築物件における省エネルギー性能指標(ZEH-M Oriented基準による)

 

住宅分譲事業 売上高・粗利益率の推移

0102010_026.png

 

   売上高等内訳

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

計上戸数

売上高
(百万円)

計上戸数

売上高
(百万円)

住宅分譲

首都圏

2,944戸

210,413

2,718戸

199,905

 

関西圏

496戸

26,522

650戸

34,730

 

その他

889戸

47,079

773戸

39,025

 

小計

4,329戸

284,015

4,142戸

273,662

 

(うち戸建住宅)

(451戸)

(29,990)

(353戸)

(25,186)

収益不動産(注)

5,621

8,603

シニア・その他

19,588

20,214

合計

309,225

302,480

(注)不動産投資市場向けに開発・販売する賃貸住宅を指します。

 

   住宅分譲 期末完成在庫数(販売中)

 

前連結会計年度末

(2022年3月31日)

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

首都圏

74戸

119戸

関西圏

18戸

43戸

その他

38戸

60戸

合計

130戸

222戸

(うち戸建住宅)

(0戸)

(0戸)

 

   住宅分譲 期末完成在庫数(未販売)

 

前連結会計年度末

(2022年3月31日)

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

合計

253戸

199戸

(うち戸建住宅)

(0戸)

(0戸)

 

   住宅分譲 契約済未計上残高

 

前連結会計年度末

(2022年3月31日)

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

戸数

契約残高
(百万円)

戸数

契約残高
(百万円)

首都圏

2,555戸

197,478

2,968戸

251,819

関西圏

439戸

23,687

421戸

23,501

その他

553戸

28,705

429戸

21,090

合計

3,548戸

249,870

3,819戸

296,411

(うち戸建住宅)

(226戸)

(15,689)

(205戸)

(15,810)

 

<都市開発部門>

 当部門の売上高は199,309百万円(前連結会計年度比△3,150百万円、1.6%減)、事業利益は39,529百万円(同938百万円、2.4%増)と、前連結会計年度と比べ減収増益となりました。

 これは主に、収益不動産事業において、物件売却収入が減少した一方で、売却利益が増加したことによるものであります。

 オフィスビルでは「PMO EX日本橋茅場町」、商業施設では「MEFULL川崎」、物流施設では「Landport上尾Ⅱ」等、計16物件が竣工しております。

 また、企業ニーズの多様化や働き方の変化に対応して利便性を提供するオフィスブランド「PMO」、「H¹O(エイチワンオー)」、「H¹T(エイチワンティー)」を展開しており、サテライト型オフィス「H¹T」においては、当連結会計年度末時点で248店舗(提携先含む)まで拠点を拡大しております。

 更に、建設時のCO2排出量削減に向けた取り組みとして、主要構造部への木造ハイブリッド構造の導入を開始しており、「H¹O青山」は、本構造を採用する中高層オフィスビルとして、不動産デベロッパー初※の竣工物件となりました。

 また、物流DXへの取り組みとして、自動化機器等の効率的な活用で物流オペレーションを最適化するための企業間共創プログラム「Techrum」を推進し、物流企業や荷主の課題解決を図るとともに、EC需要の大幅な増加や深刻な人手不足等の社会課題に対応することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

※ 主要構造部の柱・梁の一部について鉄骨造との木造ハイブリッド構造を採用している中高層賃貸オフィスビルの竣工は不動産デベロッパー初となります。

 

 

   売上高内訳                          (単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

賃貸(オフィス)

45,666

41,191

賃貸(商業施設)

12,302

16,195

賃貸(その他)

4,131

3,323

収益不動産(売却)(注)

106,451

97,471

収益不動産(賃貸)(注)

13,977

16,786

フィットネス

13,624

15,040

その他

6,306

9,301

合計

202,460

199,309

(注)不動産投資市場向けに開発・販売するオフィスビル・商業施設・物流施設等を指します。

 

   賃貸収入(オフィス・商業施設)の増減分析

 

増減額(百万円)

主な要因

新規・通期稼働資産

3,021

KAMEIDO CLOCK(商業施設)、野村不動産

大手町北ビルの新規稼働

既存資産

△1,483

建替計画推進中の物件におけるテナント退去の影響

売却・振替え

△2,121

資産売却、棚卸資産への振替え

 

   賃貸床面積

 

前連結会計年度末

(2022年3月31日)

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

オフィス

658,902㎡

538,982㎡

商業施設

131,873㎡

158,102㎡

合計

790,776㎡

697,085㎡

 

   空室率(オフィス・商業施設)

前連結会計年度末

(2022年3月31日)

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

5.9%

4.8%

 

 

        賃貸床面積                   収益不動産の売却額の推移

0102010_027.png 0102010_028.png

 

<海外部門>

 当部門の売上高は6,770百万円(前連結会計年度比4,141百万円増)、事業利益は7,288百万円(同6,996百万円増)と、前連結会計年度と比べ増収増益となりました。なお当部門の事業利益に含まれる持分法投資損益は4,836百万円であります

 これは主に、住宅分譲事業の計上戸数が増加したことによるものであります。

 住宅分譲事業では、前連結会計年度に引き続き、ベトナム・ホーチミンにおける「Grand Park Phase2」等を計上いたしました。

 また、当連結会計年度においては、アジアでの住宅分譲事業に次ぐ収益の柱と位置づける収益不動産開発事業への取り組みとして、米国・ポートランドにおける再開発事業「Press Block プロジェクト」へ参画いたしました。

 更に、アジアにおける住宅分譲事業では、企画・開発フェーズからの事業参画、品質改善のためのプロジェクト「KAIZEN」活動に取り組み、各国における住宅の高品質化・長寿命化等の基本性能の向上を通じて、持続可能な社会の実現を目指しております。

 また、アジア・オセアニア地域での不動産テック企業に特化したベンチャーキャピタルファンド※ 「Real Tech Ventures Ⅰ」への出資等によって得た最先端のデジタル技術に関する知見等を活用し、今後の成長国における大規模な街づくりと新たな価値提供に挑戦してまいります。

※ 不動産や建築における課題解決に向け、新たなデジタル技術の開発を行うベンチャー企業の発掘と育成を目的としたファンド

 

 

   売上高内訳                          (単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

住宅分譲

1,785

5,876

賃貸

692

657

その他

150

235

合計

2,628

6,770

 

<資産運用部門>

 当部門の売上高は13,632百万円(前連結会計年度比827百万円、6.5%増)、事業利益は8,089百万円(同253百万円、3.2%増)と、前連結会計年度と比べ増収増益となりました。

 これは主に、国内運用会社において運用資産残高が増加したことによるものであります。

 基幹事業である国内REITビジネスにおいて、野村不動産マスターファンド投資法人(以下「NMF」)及び野村不動産プライベート投資法人(以下「NPR」)が、野村不動産株式会社より「Landport習志野」、「PMO浜松町Ⅱ」、「プラウドフラット上野松が谷」等、計8物件(取引額計52,484百万円)を取得したほか、投資家のニーズを捉えた私募ファンド組成が進む等、運用資産残高が順調に拡大しました。

 更に、NMF及びNPRでは、当連結会計年度において、2050年カーボンニュートラルの目標を掲げ、再生可能エネルギー由来の電力や2重サッシ導入等の省エネ施策を積極的に推進しております。あわせて、NPRではサステナビリティに特化した投資家説明会を開催しました。こうした取り組みの結果、NMF・NPRともに2022年度GRESB評価※では最高評価となる5スターを取得し、NMFは上場区分、NPRは上場・非上場区分において、アジア・総合型「セクターリーダー」を取得しました。引き続き、ESGの潮流と投資家ニーズを意識した運用を通じて投資主価値の向上を目指してまいります。

※ GRESB:不動産会社・ファンドのESG配慮を測る年次のベンチマーク評価

 

 

                                  (単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

売上高

12,804

13,632

 

   運用資産残高                         (単位:百万円)

 

前連結会計年度末

(2022年3月31日)

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

国内運用会社

REIT

1,424,772

1,465,984

私募ファンド等

196,370

252,957

海外運用会社

326,929

238,735

合計

1,948,071

1,957,676

 

 

期末運用資産残高の推移

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<仲介・CRE部門>

 当部門の売上高は47,700百万円(前連結会計年度比3,937百万円、9.0%増)、事業利益は13,822百万円(同2,106百万円、18.0%増)と、前連結会計年度と比べ増収増益となりました。

 これは主に、売買仲介事業における取扱高が増加したことによるものであります。

 野村不動産ソリューションズ株式会社におけるリテール事業では、2022年4月に「亀戸センター」、同年11月に「塚口センター」をオープンし、当連結会計年度末における個人のお客様向けの店舗数は88店舗となりました。

 また、野村の仲介+(PLUS)の新規店舗や移転店舗における、森林保全を目的とした「木製家具」や環境素材の「珪藻土クロス」等環境に配慮した店舗内装の採用の他、従業員の健康管理を考えた取り組み等が評価され、同社が5年連続で「健康経営優良法人2023(大規模法人部門(ホワイト500))」に認定される等、サステナビリティ経営を推進しております。DX推進においては、マイナンバーを活用した不動産取引のオンライン化の共同研究や電子契約手続を起点としたデジタル活用による顧客体験の変革など、積極的なDX投資による競争優位性の確立と営業生産性の向上に取り組み、更なる成長の加速に努めてまいります。

 

 

   売上高内訳                          (単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

売買仲介

39,833

45,257

 (リテール)

(21,825)

(24,071)

 (ミドル)

(8,326)

(9,613)

 (ホールセール)

(9,681)

(11,571)

その他

3,929

2,442

合計

43,762

47,700

(注)売買仲介の区分は以下の通りであります。

  ・リテール:個人向け

  ・ミドル:中堅・中小企業、企業オーナー、一部の個人投資家や富裕層向け

  ・ホールセール:大企業、ファンド、海外投資家向け

 

   売買仲介取扱件数・取扱高

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

取扱件数(件)

10,081

9,985

取扱高(百万円)

964,882

1,060,313

 

 

 

     リテール仲介手数料推移               ミドル仲介手数料推移

0102010_030.png 0102010_031.png

       ホールセール仲介手数料推移

0102010_032.png

 

<運営管理部門>

 当部門の売上高は105,474百万円(前連結会計年度比6,244百万円、6.3%増)、事業利益は9,878百万円(同673百万円、7.3%増)と、前連結会計年度と比べ増収増益となりました。

 これは主に、受注工事が増加したことによるものであります。

 なお、当連結会計年度末におけるビル等管理件数は782件(前連結会計年度末比10件増)、住宅管理戸数は189,574戸(同3,025戸増)となっております。

 また、野村不動産パートナーズ株式会社では、大規模修繕工事の長周期化商品「re:Premium(リ・プレミアム)」(2017年発表)、「re:Premium Duo(リ・プレミアム デュオ)」(2021年発表)の開発に続き、工事実施時期に修繕積立金が不足している管理組合向けに、独自の新しい瑕疵保険を用いて、工事実施時期を延伸する仕組みを開発しました。事前の調査・メンテナンスの実施で大規模修繕工事の着工時期を遅らせ、その間に修繕積立金会計を健全化する仕組みであり、本取り組みが、国土交通省が支援する「マンションストック長寿命化等モデル事業」に認定される等、事業活動を通じて、持続可能な街づくりに寄与する取り組みを推進しております。

 更に同社は、2022年住まいサーフィン「管理会社満足度調査」において14年連続総合1位を獲得しております。

 

 

   売上高内訳                          (単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

運営管理

58,264

59,502

受注工事

35,215

39,875

その他

5,750

6,096

合計

99,230

105,474

 

   管理受託数

 

前連結会計年度末

(2022年3月31日)

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

ビル等管理件数(件)

772

782

住宅管理戸数(戸)

186,549

189,574

 

 

ビル等管理件数・住宅管理戸数の推移

0102010_033.png

※20/3期以降、NREG東芝不動産ファシリティーズ㈱と野村不動産パートナーズ㈱の管理件数及び管理戸数を合算した数値を記載

19/3期以前は、野村不動産パートナーズ㈱の数値を記載

<その他>

 売上高は282百万円(前連結会計年度比155百万円増)、事業利益は147百万円(前連結会計年度は事業損失199百万円)となりました。

④ 財政状態の状況及び分析

(資産、負債及び純資産の状況)

                                            (単位:百万円)

 

前連結会計年度末

(2022年3月31日)

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

増減額

増減率

総資産

2,040,506

2,110,693

70,187

3.4%

総負債

1,419,107

1,454,956

35,848

2.5%

(うち有利子負債)

(1,022,735)

(1,121,548)

(98,812)

(9.7%)

純資産

621,398

655,737

34,338

5.5%

(うち自己資本)

(618,762)

(653,307)

(34,544)

5.6%

自己資本比率

30.3%

31.0%

D/Eレシオ

1.7倍

1.7倍

(注)D/Eレシオ=有利子負債/自己資本

 

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は2,110,693百万円となり、前連結会計年度末に比べ70,187百万円増加いたしました。これは主に、法人税還付等による未収税金を含むその他の流動資産(47,665百万円減)、現金及び預金(39,974百万円減)が減少した一方で、棚卸資産(104,896百万円増)、及び投資有価証券(40,875百万円増)が増加したことによるものであります。

各部門の資産は下表のとおりであります。

                                         (単位:百万円)

部門

前連結会計年度末

(2022年3月31日)

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

住宅

514,546

607,382

(内棚卸資産)

(458,049)

(514,774)

都市開発

1,204,549

1,225,125

(内棚卸資産)

(436,810)

(485,188)

(内有形固定資産)

(705,527)

(682,994)

海外

117,010

160,942

資産運用

43,220

44,064

仲介・CRE

35,787

29,088

運営管理

48,881

51,368

その他

777

1,324

調整額

75,733

△8,602

合計額

2,040,506

2,110,693

(内棚卸資産)

(894,229)

(999,125)

 

 

 主な用途別の有形固定資産の残高は下表のとおりであります。

                                         (単位:百万円)

 

前連結会計年度末

(2022年3月31日)

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

オフィス

523,769

506,854

商業施設

95,390

92,564

 

(負債)

 当連結会計年度末における総負債は1,454,956百万円となり、前連結会計年度末に比べ35,848百万円増加いたしました。これは主に、預り金(24,171百万円減)、支払手形及び買掛金(15,186百万円減)、未払金(13,196百万円減)、並びに繰延税金負債(12,378百万円減)が減少した一方で、有利子負債(98,812百万円増)が増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は655,737百万円となり、前連結会計年度末に比べ34,338百万円増加いたしました。これは主に、自己株式(13,591百万円減)の取得を行った一方で、利益剰余金(44,681百万円増)及び為替換算調整勘定(2,093百万円増)が増加したことによるものであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況及び分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① キャッシュ・フローの状況及び分析の内容

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末から40,023百万円減少し、27,770百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、42,809百万円の資金の減少(前連結会計年度比95,602百万円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益88,088百万円の計上があった一方で、棚卸資産の増加、預り金の減少、及び売上債権の増加があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、62,896百万円の資金の減少(同16,618百万円減)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得、並びに投資有価証券の取得による支出があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、65,675百万円の資金の増加(同75,295百万円増)となりました。これは主に、配当金の支払い及び自己株式の取得を行った一方で、長期借入れによる資金調達を行ったことによるものであります。

 

 

 

② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

◇ 資金調達の方法及び状況

 当社グループは、事業活動及び成長投資等に必要な資金を、営業活動により得たキャッシュ・フローで賄うことを基本とし、不足している場合については、外部からの調達により確保しております。

 外部からの調達に関しては、財務健全性の指標として自己資本比率を30%水準と設定した上で、中長期にわたる不動産開発事業の特性を踏まえ、主に、国内金融機関からの長期借入金や社債の発行等により、長期資金を中心とした資金調達を行っております。また、将来の金利上昇に備えて金利の固定化を進めるとともに、償還額の年度別の分散等を図ることで、借換えリスクの低減を図っております。加えて、将来における成長投資等の拡大に備えて、ハイブリッド社債(劣後特約付社債)による資金調達を実施しております。当連結会計年度におきましては、金融機関からの借入金等により必要資金の調達を行いました。また、国連環境計画・金融イニシアティブが提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」に則した「ポジティブ・インパクト評価」に基づく「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の融資契約を三井住友信託銀行株式会社と締結し、100億円を調達しました。並びに、株式会社日本政策投資銀行が行う「DBJ BCM 格付」において、「防災及び事業継続への取組みが優れている」という格付を取得し、同格付に基づき、20億円を調達しました。

 手許資金に関しては、資産効率性を損なうことなく、必要な資金を柔軟に確保するため、入出金管理に基づく必要最小限の現預金の確保と合わせて、当座貸越及びコミットメントライン契約を締結する等の対応を講じております。また、当社にて、グループ各社の資金を一元管理するキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上を図っております。

 

  なお、当連結会計年度末時点の有利子負債の状況については以下のとおりです。

                                          (単位:百万円)

 

前連結会計年度末

(2022年3月31日)

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

有利子負債残高(A)

1,022,735

1,121,548

総資産(B)

2,040,506

2,110,693

EBITDA(注)1

111,771

125,661

支払利息

8,825

10,221

有利子負債依存度(A/B)

50.1%

53.1%

D/Eレシオ(注)2

1.7倍

1.7倍

(注)1.EBITDA=営業利益+受取利息・配当金+持分法による投資利益+減価償却費+のれん償却額

2.D/Eレシオ=有利子負債残高/自己資本

 

   有利子負債残高の内訳                             (単位:百万円)

 

前連結会計年度末

(2022年3月31日)

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

長期借入金

754,235

853,684

社債

150,000

130,000

短期借入金

39,500

38,750

1年以内返済長期借入金

69,000

79,113

1年以内償還予定社債

10,000

20,000

合計

1,022,735

1,121,548

 

有利子負債/支払利息の推移

0102010_034.png

 

◇ 資金の主要な使途を含む資金需要の動向

 当社グループの主要な資金需要は、国内における分譲・売却事業における販売用不動産等の取得・開発等に係る資金、保有・賃貸事業における固定資産の取得・開発・運用等に係る資金、海外における投資・開発等に係る資金、M&A・資本業務提携等の戦略投資に係る資金、株主還元に係る資金等であります。

 

(成長投資と株主還元の考え方)

 当社グループは、2022年4月に策定した中長期経営計画において、高い利益成長、高い資産・資本効率の実現を重点テーマに掲げ、年平均8%水準の高い利益成長と高い株主還元の両立により企業価値の向上を図っております。当社グループでは、株主資本コストを7~8%と想定しており、これを上回る資本効率性を維持しながら、持続的な利益成長実現に向けた投資を拡大してまいります。

株主還元については、安定的且つ経営環境に応じた機動的な株主還元を行うため、配当に自己株式の取得を組み合わせることで、2023年3月期~2025年3月期における各事業年度の総還元性向を40~50%程度とすること、並びに、2026年3月期以降における配当性向40%水準にむけて段階的に配当性向を引き上げることを指針としております。

 この指針のもと、2023年3月期の配当については、利益成長をもとに安定した増配基調を確保する方針から期末配当を従来予想から増額し1株当たり65.0円とし、これにより実施済みの第2四半期末配当金とあわせた1株当たり年間配当金は120.0円、配当性向は32.9%となりました。

 また当事業年度において、財務健全性、株価水準、事業環境等を総合的に勘案し、自己株式について9,500百万円の取得を実施しており、結果、当事業年度の総還元性向は47.6%となりました。

 

(3) 生産、受注及び販売の実績

 生産、受注及び販売の状況については、「(1) 経営成績及び財政状態の状況及び分析の内容 ③部門別の経営成績の状況及び分析の内容」に記載のとおりであります。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、その作成にあたっては、経営者の主観的な判断を伴う見積りが必要になる項目があります。

経営者はその見積りが合理的であると判断していますが、市況の変化等により将来の結果が異なるものとなり、連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

当社グループの重要な会計方針のうち、特に重要性の高い会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループでは、顧客ニーズや社会環境の変化に着目し、商品・技術・サービスにおける革新や付加価値創造を実現するため、ハード・ソフト両面にわたる幅広い研究開発活動を行っております。

 主な活動として、オフィスの立地特性と生産性に関する研究や、シェアオフィスの予約管理システム及び検索アプリの開発等に関する調査研究等を行っております。

 なお、当社グループの研究開発活動は、報告セグメントに含まれない本社部門を主体として実施しており、当連結会計年度における研究開発費の総額は18百万円であります。