第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 当社グループの経営環境について

2022年度の日本経済は、2022年3月に新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置が全面的に解除となって以降、景気は緩やかに回復の兆しを見せています。一方で、ウクライナ情勢に伴う世界的な物価の上昇や、2022年度半ばにかけての円安に伴う国内物価の上昇は、個人消費・企業活動に影響を及ぼしました。ウクライナ情勢や世界経済の減速など、日本経済を取り巻く環境は依然として不透明感が強く、成長が失速する懸念が残っています。

しかしながら、国内のデジタル化に向けた動きは、堅調に推移しています。デジタル庁における「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の推進や政府によるアナログ規制の見直しなどの動きは、デジタル化を強く牽引していくとみられています。さらに、コロナ禍で浸透したテレワークや企業システムのクラウド化などは、今後もIT市場に追い風となることが想定されます。

また、2023年4月には「こども家庭庁」が発足しました。こどもを取り巻く支援やサービスに関するデジタル化の動きは、当社が強みを持つ福祉分野での需要の拡大や、DX需要につながると期待されます。

(2) 当社グループの経営戦略について

当社グループは、「創造と和と挑戦をもって お客さまからの信頼をもとに未来をひらき、世界中のお客さまと感動と喜びを分かち合い、豊かで安全・安心な社会の創生に貢献する」という経営理念に基づき、事業活動を通じた社会課題解決と、ITテクノロジーを活用した新たな価値の創造に取り組んでいます。

 

<対処すべき課題>

2024年3月期は、「2023中期経営計画」の最終年度にあたり、当社の強みである「強固な顧客基盤」、「豊富なサービスラインナップ」、「当社グループの総合力」を活かし、中期経営計画の実現とともに、持続可能な社会の創造に貢献するDX企業として、各種施策を推進してまいります。

①自治体情報システム標準化対応

当社の自治体情報システム「WebRings」の標準化対応を推進し、自治体の標準準拠システムへのスムーズな移行を支援いたします。確実な移行支援に向けて、組織体制の強化を図り、今年度後半より導入作業を開始する予定です。

また、政府の掲げる「異次元の少子化対策」や、「こどもまんなか」社会の実現を目的としたこども家庭庁が発足し、こどもと家庭の福祉や健康の向上支援が進められる中、WebRingsの福祉業務の拡販に努めてまいります。

②DX事業の推進

地域社会の抱える課題解決に貢献すべく、当社に強みのある自治体分野でのDXを起点として、地域・民間分野における顧客のDX化を推進してまいります。

「AI相談パートナー」や「手続きBaton」をはじめとした自治体のAI・RPAの利用促進、自治体行政手続きのオンライン化支援に取り組むとともに、株式会社三菱総合研究所グループや他企業とのアライアンスによる競争力のあるDXサービスを推進してまいります。

③サステナブル経営の推進

経営基盤の強化を図るべく、「コーポレート・ガバナンスの高度化・強化」、「品質向上への取り組み」、「アイネスウェルビーイング※」施策を推進してまいります。

監査等委員会設置会社移行によるガバナンスの高度化・強化、WebRings標準化対応に向けた品質向上施策に重点を置いて取り組んでまいります。

また、働き方改革、各種人事施策を推し進めて、社員一人ひとりが輝き、持続的に成長し、活躍することのできる環境・風土を醸成し、「アイネスウェルビーイング」を実現することにより、「お客様のウェルビーイング」に資するサステナブルな経営を引き続き推進してまいります。

※社員一人ひとりが『アイネスの一員であるプライドと喜びを持ち、働き続けたい』と思える状態

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) サステナビリティ全般

当社グループは、経営理念に謳われている「豊かで安全・安心な社会の創生」に向けて、事業活動を通じて社会課題解決に取り組み、事業成長とサステナブルな社会への貢献を実現していきます。

[ガバナンス]

当社はサステナビリティ活動を経営の重要事項と捉えており、中長期的かつ社外視点を反映させるため、「取締役会」を意思決定機関と定めています。

具体的な活動は、サステナビリティ推進部門が企画し、経営会議で協議、審議されたうえで取締役会に上程され適切かつ迅速に意思決定されます。決定された事項に基づき、サステナビリティ推進部門を中心に各部門・グループ会社でサステナビリティ活動に取り組んでいます。

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[戦略]

当社グループでは、「持続可能な社会の創造に貢献するDX企業」へと変革するため、サステナブル経営を通じて「経営基盤強化」に取り組んできました。「2023中期経営計画」ではステークホルダー施策として「ESG・SDGsの取組み」と「アイネスウェルビーイングへの取り組み」に注力するとともに、以下の基本方針に基づいて活動しています。

<基本方針>

地球環境問題への取り組み

・脱炭素社会実現への貢献に向け、すべての企業活動において気候変動リスクの低減に取り組みます。

社会との関わり

・すべてのステークホルダーへの適切な情報開示と対話により、信頼構築に努めます。

・持続可能な地域社会の実現に貢献する、高品質かつ価値あるサービスの提供に努めます。

人権の尊重

・あらゆる人権侵害、差別等の加担への回避に努め、いかなる場合にも人権を尊重します。

取引先との公正・適正な取引

・透明かつ適正な取引を行うことで取引先との信頼関係を強化し、あらゆる腐敗行為防止に取り組みます。

社員との関わり

・アイネスウェルビーイングを目指し、多様性のある組織づくり、働きがいのある職場づくりに努めます。

ガバナンス

・社会に向け持続的に価値を創出するとともに、透明性・信頼性の高い企業統治を行います。

 

[リスク管理]

当社は、サステナビリティ関連のリスクおよび機会を識別、評価し、管理するためのリスク管理体制を強化しています。

リスク管理については、リスク管理部門が全社リスクマネジメントを統括し、リスク項目ごとに関連する部門がリスクオーナーとして管理しています。リスク管理状況については、リスク管理部門より、取締役会、経営会議に報告を行っています。

<リスクマネジメントプロセス>

企業を取り巻くリスクは多種多様となっていることから、事業の遂行におけるリスクを網羅的、かつ一元的に把握する体制を構築しています。平時においてリスクの洗い出しを行い、リスクシナリオを整理したうえで、「影響度・発生可能性・管理体制充実度の評価」、「リスク対応策の策定」、「初期段階のリスク通報」、「予兆段階・危機段階の活動内容」を整理したリスク管理基準を設けています。

(2) 人的資本

当社グループでは、社員一人ひとりの成長が企業の成長につながるという基本方針のもと、社員が向上心と広い視野を持って業務に取り組める環境・風土づくりに取り組んでいます。

[ガバナンス]

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経営戦略・事業戦略と連動した人材戦略を実現するために、取締役会・経営会議における議論を経た戦略をベースに、人事担当役員・人事部門と経営企画部門・財務部門・事業企画部門との横断的な協議を行い、個別施策を立案・推進しています。

また、人材育成の面では、新技術の調査・研究を行うアイネス総合研究所内に「人材開発センター」を設置しています。調査・研究結果を人材育成に活用するとともに、他企業・大学とも連携することにより、多様な学びを得る機会とチャレンジし続ける人材の育成に取り組んでいます。

 

[戦略]

当社グループでは、「持続可能な社会の創造に貢献するDX企業グループ」へと変革すべく、「2023中期経営計画」を策定し、推進しています。

経営戦略・事業戦略を実現するための人材戦略として、①人材の育成、②新しい働き方の推進、③多様な人材の交流促進の3つを柱としています。

①人材育成

DX人材育成を目的としたテクニカル人材育成体系を構築し、DXリテラシーの向上を図るとともに、集中教育によるDX人材の育成に取り組んでいます。DX人材の役割を分類し、それぞれに必要なタスクを定め、スキルアップ、リスキルに必要となる具体的な研修メニューを充実させるとともに、毎年1回、IT人材育成指標である「iCD(iコンピテンシ ディクショナリ)」を活用して育成効果を可視化しています。アイネスの「スキル開発プランニング」では、iCDの診断結果を基に、社員一人ひとりがスキル開発計画を作成し、上司と計画を共有しています。目標を明確にし、実効性のある計画を立てることで、個人の成長を促しています。

また、診断結果は「人材ポートフォリオ」として可視化し、事業戦略に基づく全社の育成計画とのギャップを定量的に分析し、人材戦略の策定に活用しています。

<テクニカル人材育成方針・体系 全体像>

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②新しい働き方の推進

社員一人ひとりに応じた最適な働き方を通じ、ワークライフバランスの実現を図るとともに、従前とは異なる新しい発想による業務の遂行を狙いとした「新しい働き方」を2020年に標準化し、推進しています。

業務やライフスタイルに合わせて、成果を重視した最適な時間帯で働くことのできる「スーパーフレックス制度」、オフィス、自宅のほか社内・社外サテライトオフィスなど、どこでも働くことができる「テレワーク制度」、バーチャルオフィスなどのツールを活用した誰とでもシームレスなコミュニケーションができる働き方を進めています。

 

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③多様な人材の交流促進(ダイバーシティ)

当社グループでは、性別・国籍・キャリアなどを問わず、多様な人材がいきいきとやりがいを持って活躍できる職場づくりに努めています。

女性活躍の面では、2016年度に女性活躍推進プロジェクトを発足し、社員の意識改革、全社的な働き方改革、ライフイベントを意識した制度改革、プロモーション活動を中心に、各種施策を継続的に取り組んでいます(具体的な取り組み例は、<女性の活躍に関する取り組み例>に記載)。女性管理職比率は、当初目標を前倒しで達成するとともに毎年上昇し続けており、会社の様々な意思決定に多様な視点が入るよう進めています。

また、障がい者の雇用では、働きやすい設備とサポートのある農園での就労、働きながらITスキルを身に着けるトレーニング採用など、自分らしく活躍できる環境を整えています。

加えて、自律的なキャリア形成を目的としたキャリアアップ申告制度、キャリア相談窓口、自己のキャリアを考えるワークショップなどの機会も設けており、多様な人材が活躍し続けられる環境と仕組みを構築しています。

さらには、多様な人材が対話し、意見交換しやすい風土を醸成すべく、リアルオフィスとバーチャルオフィスを融合した全社イベントや任意参加型のディスカッション、首都圏5ヶ所のサテライトオフィスの活用など、「いつでも、どこでも、誰とでも」つながり、新しい発見や付加価値の源泉となるような交流を促進しています。

女性管理職比率(%) ※次年度期初時点

育児休業取得率(男性)(%)

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※<女性の活躍に関する取り組み例>

社員の意識改革

研修プログラム

・管理職の意識改革研修

・若手女性社員研修

ワークショップ

・全女性社員参加のワークショップ実施

働き方改革

新しい働き方

※②新しい働き方の

推進にて説明

・スーパーフレックス制度(コアタイムなしフレックス)

・テレワーク制度(サテライトオフィス、在宅)

・バーチャルオフィス等のツールを活用したコミュニケーション

制度改革

キャリア支援

・キャリアアップ申告制度

・女性キャリア相談窓口

育児支援

・パパ育児休暇(当社独自制度の有給休暇制度)

・パパ育休取得促進に向けた社長からの手紙

・育児休業(最長子どもが2歳または1歳の年度末まで)

・育児短時間勤務制度(5時間または6時間、最長子どもが小学3年生まで)

・企業主導型保育園による復職支援

プロモーション活動

ガイドブック

・仕事と家庭の両立サポートガイドブック

・新しい働き方ガイドブック

その他

心身の健康

・ストレスチェック(カウンセリングサービスあり)

・パルスサーベイの実施

 

 

④健康安全・労働慣行

社員がいきいきと働きがいをもって業務にあたり、持続的に価値を創出していくためには、体と心をバランスよく健康に保つことが不可欠です。当社では、社員のフィジカル面はもちろん、メンタル面の健康維持・促進のため、定期のストレスチェックに加え、いつでもメンタル面のセルフチェックや社外のカウンセリングを利用できる環境を整え、社員の心身の健康維持に力を入れています。

また、全役職員が年一回のコンプライアンス研修を受講し、人権の尊重、差別・ハラスメントの禁止をはじめとする業務を行う上で守るべき行動基準を確認し、受講後テストを義務付けています。労務管理面では、総労働時間や有給休暇の取得状況などの労務管理に関する報告を毎月の経営会議にて行うとともに、研修や人事部門から管理職・対象者への個別指導を通じて、規範意識の醸成と適切な労働環境の維持に努めています。

 

[リスク管理]

当社グループは、優秀かつ多様な人材の確保ならびに育成が十分に進まないこと、労働市場の流動性の高まりの影響などにより人材流出が進むことが最大のリスクと考えています。

このリスクに対応するため、社員の成長機会と活躍できる環境づくりに努めています。教育研修の充実、ダイバーシティ施策の推進、新しい働き方の環境整備、育児介護支援や社員の心身のケアのための制度等による環境整備と風土醸成に取り組んでいます。

 

[指標と目標]

人的資本に関する指標と目標(当社単体)

 

2021年度

2022年度

目標値

補足

人材育成に関する指標

一人当たり研修時間

110.1時間

113.6時間

---

任意参加型のディスカッションについては労働時間に含むが、本研修時間に含まず

一人当たり研修費用

287千円

306千円

---

同上

DX人材育成研修受講者数

(2020年度からの累計人数)

248名

382名

---

選抜研修受講者数

 

流動性に関する指標

3年後離職率

30.3%

24.5%

---

 

平均勤続年数

18.12年

18.39年

---

 

多様性に関する指標

女性社員比率

20.3%

22.1%

20%以上を維持

 

女性採用比率

29.7%

37.1%

35%以上

 

女性管理職比率

11.7%

12.2%

10%以上を維持

次年度期初数値

男女間賃金差異

82.5%

83.0%

---

男性を100とした場合の女性の割合(正規労働者)

若年層ジョブローテーション実施人数

(対象者に対する実施率)

---

32名

(74.4%)

---

2022年4月異動より実施

育児休業取得率(男性)

95.8%

93.3%

95%以上

当社独自制度のパパ育児休暇を含む(2010年度より導入)

育児休業取得率(女性)

100%

100%

100%を維持

 

健康安全・労働慣行に関する指標

平均残業時間/月(法定外)

15.9時間

15.4時間

---

目標:総実労働時間年間2,000時間

平均有給休暇取得日数

14.5日

15.9日

17日

 

テレワーク実施率

56.3%

57.4%

---

21年度は10月~3月平均

22年度は年間平均

※正規雇用労働者を対象として集計

(3) 気候変動への対応

[ガバナンス]

当社では、環境保全活動を推進するにあたり、環境に関する国際規格「ISO14001」に準じた環境マネジメントシステム(EMS:Environmental Management System)を構築し、継続的な改善に取り組んでいます。

[戦略]

当社は、「事業活動を通じた環境負荷の低減」と「オフィス活動を通じた環境負荷の低減」「環境関連法規制の遵守」の3つを柱に、「もったいない5R」を合言葉に当社独自の環境活動に取り組んでいます。「もったいない5R」とは、環境省が推進する3R(Reduce、Reuse、Recycle)に2つのR(Relationship、Reengineering)を加え、当社の目指すべき姿を目指した環境アクションプランを実践しやすく表したものです。

 

 

環境側面(5R)

活動

事業活動を通じた環境負荷の低減

Reengineering

(環境に配慮した製品の提供)

・お客様への環境配慮システムとインフラの提供

・高品質な製品の提供

オフィス活動を通じた環境負荷の低減

Reduce(省エネ)

Reuse(再利用)

Reduce・Recycle

(廃棄物の削減・抑制)

Relationship

(地域貢献)

・再生可能エネルギーを使用、省エネの設備搭載オフィスを選定(カーボンニュートラル)

・リサイクル原料使用のオフィス家具

・紙使用量、電力使用量の削減

・グリーン購入

・社内事務用品の再利用

・環境教育の実施による、従業員の環境に対する意識の向上

・地域清掃活動

環境関連法規制の遵守

Reduce・Recycle

(廃棄物の削減・抑制)

・廃棄物の発生抑制と徹底管理

・産業廃棄物管理マニフェストの管理

・外部機関による認証や内部監査による確認・評価

 2004年~:ISO14001の認証取得

 2018年~:経済産業省「SABC評価制度」でS評価取得

 

[リスク管理]

環境問題に関わるリスクについてはサステナビリティ全般のリスク管理に含み、リスクおよび機会を識別、評価し事業に与える影響に関して分析を進めるとともに、分析結果を踏まえた対応策に沿って取り組みを進めています。

 

[指標と目標]

ゼロカーボン(脱炭素)を意識した取り組みと、当社の事業形態に見合う環境法規制の100%遵守を目標に、環境活動を通じてエネルギー使用量などの削減に継続的に取り組んでいます。

環境パフォーマンスデータ

※経済産業省資源エネルギー庁「省エネルギー法定期報告書」より一部抜粋したものです。

①エネルギー使用量

 

2020年度

2021年度

消費電力(Kwh)

8,065

7,214

ガス(千㎥)

22

23

原油換算(Kl)

2,063

1,846

 

②CO2排出量

 

2020年度

2021年度

CO2排出量(t-CO2)

3,823

3,263

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の防止及び発生した場合の適切な対処に努めておりますが、予測されない事態が発生した場合には、業績に影響を与える可能性があります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境リスク

当社グループの属する情報サービス産業においては、顧客の情報化投資動向や情報技術動向の急激な変化、新規参入企業の増加等により事業環境が大きく変化する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。この事業環境の変化に対応するため、当社グループでは、顧客・業界における情報化投資の実行時期や実行規模を見極め、適宜事業ポートフォリオを見直し、適切な資源配分を行っております。また、常に技術革新動向を注視し質の高い技術者の育成に取組んでおります。

(2) システム開発リスク

ソフトウェアの受託開発及びパッケージ製品などにおいて、品質不良や納期遅延等が発生し、コスト増加により不採算案件が生じるリスクやソフトウェアの不具合により顧客の業務に影響を及ぼすリスクがあります。その結果、顧客との取引契約に関して債務不履行が発生した場合、顧客から契約上の損害賠償請求または提訴を受けるリスクや情報サービス企業として信用失墜のリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらを回避するために、当社では見積り段階での受注額の妥当性やリスクの評価、プロジェクトの進捗状況の管理、品質や見積り精度の向上、開発プロセスの標準化など、開発体制の充実に取組んでおります。

(3) システム運用リスク

アウトソーシングなどの運用サービスにおいて、大規模災害による想定外の損害や長期の電力不足、サイバー攻撃、運用ミスなどにより、システムダウンや回線障害が発生し、顧客の事業が停止もしくは中断した場合、顧客から契約上の損害賠償請求または提訴を受けるリスクや情報サービス企業として信用失墜のリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらを回避するために、当社ではITIL※1に準拠した体制の整備、データセンター設備の増強、バックアップ機能の充実、運用ツールの強化等の設備投資、運用管理レベルの向上、技術者教育、BCP※2の策定などに継続的に取組んでおります。

(4) 投資に関するリスク

当社グループは、事業拡大や競争力強化のため新規事業の立ち上げ、ソフトウェア開発投資、設備投資、資本提携などを行っております。しかしながら、社会情勢の変化や景気悪化などにより、投資案件が計画どおりに進まず当初見込んでいた利益が得られない場合、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらを回避するために、当社グループでは、投資に伴う事業計画、投資効果やリスク等について十分に検討したうえで、投資を実施しております。

(5) 情報漏洩リスク

当社グループは、業務上、顧客が保有する特定個人情報を含む個人情報や機密情報を含んだ情報資産を取り扱う場合があります。当該情報が漏洩した場合、顧客から契約上の損害賠償請求または提訴を受けるリスクや情報サービス企業として信用失墜のリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらを回避するために、当社ではISMS※3やプライバシーマーク※4など各種認証の維持・取得に積極的に取り組むとともに、研修や教育などを通じて社員への啓蒙活動を継続的に実施しております。

(6) 大規模災害に関するリスク

当社グループは、事業継続計画を策定し従業員の安全確保、被害の防止・軽減及び早期復旧等危機管理の徹底に取り組んでおります。しかしながら、首都直下型地震や南海トラフ地震等の大規模震災をはじめとする自然災害の発生など事業継続に支障が起きた場合や事業の一部調整を行った場合は、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これを回避または軽減するために、当社では、(3)システム運用リスクで述べた対策のほか、連絡体制の整備、訓練等社員への教育、事業拠点の見直し等を行っております。

(7) 感染症等の流行に関するリスク

当社グループは、重大な感染症等の流行に対し、従業員の安全確保、感染の防止及び感染者が発生した場合の対応等危機管理の徹底に取り組んでおります。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の再拡大や新たな感染症等の流行により事業継続に支障が起きた場合や事業の一部調整を行った場合は、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これを回避または軽減するために、当社では、テレワークの活用、事業のオンライン化、事業拠点の見直し等を行っております。

(8) 人材確保に関するリスク

当社グループの事業活動は人材に大きく依存しています。中長期的に、少子高齢化の環境のもと、社員流出や採用難が今後深刻化し、人員不足を起因としたサービスの低下や風評等につながる場合には、顧客の離反等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループは、人材の採用や育成を強化するとともに、人事制度や福利厚生制度の見直しを図ることで、多様で柔軟な働き方を提供する等、各種対策に取り組んでおります。

 

[用語解説]

※1 ITIL(アイティル):Information Technology Infrastructure Libraryの略

英国商務局が策定した、コンピュータシステムの運用・管理業務に関する体系的なガイドライン。ITサービス管理を実行する上での業務プロセスと手法を体系的に標準化しています。

※2 BCP(ビー・シー・ピー):Business Continuity Planの略

企業が、自然災害、大火災、パンデミック、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく事業継続計画です。

※3 ISMS(アイ・エス・エム・エス):Information Security Management Systemの略

情報セキュリティ管理の国際標準に基づき定められた情報セキュリティマネジメントシステムの適合性評価制度です。継続的に情報セキュリティリスクを管理しリスク回避や軽減を図り、この認証基準に適合したマネジメントシステムを構築・維持できている企業や団体が第三者機関により認証されます。

※4 プライバシーマーク

個人情報保護に関するJIS(JIS Q 15001:2006個人情報保護マネジメントシステム要求事項)基準に適合し、特定個人情報を含む個人情報の取り扱いを適法かつ適切に行うための体制を整備している企業や団体について、第三者機関が客観的に審査・評価し認定する制度です。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます)の状況の概要は次のとおりであります。

① 当連結会計年度の事業環境に対する経営陣の認識

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染対策と社会経済活動の両立を図るウィズコロナへの移行により経済の正常化が進み、物価高による消費の下押しはあるものの、景気は緩やかな持ち直しを継続しています。一方で、世界経済に目を転じると、依然として不透明なウクライナ情勢による社会情勢の不安、エネルギー関連を中心とした世界的な物価上昇や金利引き上げによる景気後退のリスクは大きく、世界経済の先行きが日本経済に影響を与える可能性が高まっています。

 

② 当連結会計年度の取り組み

このような状況下、当社グループは、強固な顧客基盤と豊富なサービスラインナップ、当社グループの総合力を強みとする、持続可能な社会の創造に貢献するデジタル・トランスフォーメーション(DX)企業グループへの変革を図ってまいりました。

なかでも、当社の主要事業である自治体ビジネス分野におきましては、総務省策定の「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」に基づき、自治体業務システムの標準化仕様に沿って、2025年度末までの当社自治体情報システムWebRingsの標準化移行を進めるとともに、自治体AI・RPAの利用促進、自治体の行政手続きのオンライン化に注力し、各種ソリューションの提供を推進いたしました。

業務資本提携先である株式会社三菱総合研究所グループや他企業とのアライアンスを推進し、かねてより販売中のAIを活用した自治体向けソリューションの拡販、自治体職員のDXスキル向上のための教育支援サービスの提供など、DX分野に取り組みました。2023年4月にアライアンス推進のための専任組織を強化し、今後とも、他社とのアライアンスを起点に、自治体から地域、民間分野におけるお客様のDX化を強力に支援してまいります。

さらに、2023年4月には、当社グループ内の事業再編を行いました。グループ内のBPOビジネスならびにシステム運用ビジネスの集約による事業の効率化と人的リソースの専門性・機動性を高め、収益性の向上を図ります。また、この事業再編を通じてガバナンスの高度化を図り、グループ経営基盤の強化に取り組んでまいります。

 

③ 経営成績及び財政状態の状況

当連結会計年度の売上高は424億4百万円と、主に公共分野や産業分野での増収を主因として前期比5.9%増となりました。

公共分野につきましては、新型コロナワクチン接種等に関わるBPO案件および福祉システム新規開発案件などにより、177億5百万円(前期比6.2%増)となりました。

金融分野につきましては、生保システム開発案件の縮小などにより109億65百万円(同4.0%減)となりました。

産業分野につきましては、小売業などのIT投資需要の回復に伴い82億17百万円(同18.4%増)となりました。

グループ会社につきましては、クラウドサービス案件が好調に推移したことなどにより55億15百万円(同10.2%増)となりました。

商品・サービス別では、公共分野における福祉システム新規開発案件などによりシステム開発が増加しました。

当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、以下、業種別及び商品・サービス別の売上高を示しております。

[業種別連結売上高]

(単位:百万円)

 

区分\期別

前連結会計年度

当連結会計年度

対前年
増減率

自 2021年4月1日
至 2022年3月31日

自 2022年4月1日
至 2023年3月31日

金額

構成比

金額

構成比

公     共

16,668

41.6%

17,705

41.7%

6.2%

金     融

11,419

28.6%

10,965

25.9%

△4.0%

産     業

6,942

17.3%

8,217

19.4%

18.4%

そ  の  他

5,003

12.5%

5,515

13.0%

10.2%

合     計

40,033

100.0%

42,404

100.0%

5.9%

 

[商品・サービス別連結売上高]

(単位:百万円)

 

 

区分\期別

前連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

当連結会計年度

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

対前年

増減率

金額

構成比

金額

構成比

システム開発

15,560

38.9%

17,333

40.9%

11.4%

運用

14,029

35.0%

14,831

35.0%

5.7%

システム保守

5,030

12.6%

4,853

11.4%

△3.5%

情報機器販売

1,126

2.8%

1,080

2.5%

△4.1%

その他

4,285

10.7%

4,304

10.2%

0.5%

合     計

40,033

100.0%

42,404

100.0%

5.9%

 

損益面においては、公共・産業分野を中心とした増収効果および前期に発生した自治体向けソフトウェア投資戦略の見直しに伴う一時的な費用計上の反動減により、営業利益は38億1百万円(前期比93.7%増)、経常利益は38億82百万円(同88.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は25億41百万円(同95.4%増)となり、営業利益・経常利益・当期純利益いずれもコロナ禍前の業績水準まで回復いたしました。

当連結会計年度末における財政状態は、総資産は485億23百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億95百万円増加しました。

流動資産は、主に売掛金の増加により26億円増加し、249億24百万円となりました。固定資産は、ソフトウエアや投資有価証券の減少等により9億5百万円減少し、235億99百万円となりました。

流動負債は、主に未払法人税等の増加により2億97百万円増加し、64億14百万円となりました。固定負債は、2億67百万円減少し、58億22百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により16億65百万円増加し、362億86百万円となりました。なお、2022年4月に自己株式44億91百万円を消却したことに伴い、資本剰余金も同額減少しております。この自己株式の消却による純資産額の変動はありません。

④ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます)は前連結会計年度末に比べ5億69百万円減少し、91億62百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、23億25百万円(前期比63.8%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上36億99百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は20億45百万円(同43.8%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出9億58百万円、無形固定資産の取得による支出6億67百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は8億49百万円(同84.9%減)となりました。これは主に、配当金の支払額8億31百万円等によるものです。

 

⑤ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における商品・サービス別の生産実績を示しております。

商品・サービスの名称

当連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

前年同期比(%)

システム開発(百万円)

17,365

115.1

運用(百万円)

14,850

105.8

システム保守(百万円)

4,871

96.4

情報機器販売(百万円)

1,088

128.6

その他(百万円)

4,310

101.1

合計(百万円)

42,485

108.2

 (注)金額は売価換算によっております。

 

b.受注実績

 当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における当社グループ全体の受注実績を示しております。

受注高(百万円)

前年同期比(%)

40,272

93.0

 

c.販売実績

 当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における商品・サービス別の販売実績を示しております。

商品・サービスの名称

当連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

前年同期比(%)

システム開発(百万円)

17,333

111.4

運用(百万円)

14,831

105.7

システム保守(百万円)

4,853

96.5

情報機器販売(百万円)

1,080

95.9

その他(百万円)

4,304

100.5

合計(百万円)

42,404

105.9

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載については、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ 経営成績及び財政状態の状況」に記載しております。

(財政状態について)

前年度に総額46億円の自己株式の取得を実施しましたが、当年度におきましては発行済株式総数の減少を通じてさらなる資本効率ならびに株式価値の一層の向上を図るため、自己株式3百万株の消却を実施しております。また、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ 経営成績及び財政状態の状況」に記載のとおり、当年度における業績などを勘案し、当連結会計年度の年間配当を前年度の1株当たり40円から5円増配し、45円といたしました。また、資本効率の指標であるROEは、利益水準の大幅改善や過年度の資本政策などの効果により前年度から大幅に改善し、7.2%となりました。

 

(経営成績について)

当社の過去10年の連結業績推移は図1のとおりであります。

過去10年の売上高の推移では、2018年度以前は300億円台後半が続いていましたが、2019年度以降は400億円台に拡大しました。

要因は、強固な自治体顧客基盤を強みとする公共分野において、2025年度に予定される自治体情報システム標準化を控え、顧客が新規システム導入に慎重な姿勢を取る中、少子高齢化などを背景とした福祉関連等のさまざまな法制度改正の需要を着実に取り込み、同分野における売上高の拡大を図ってきたことが大きく寄与しています。

2020年3月に新型コロナ緊急事態宣言が発出されましたが、実質的な「コロナ禍前」と考えられる2019年度をピークに2020年度、2021年度は減収傾向となったものの、直近の2022年度では2019年度並みの売上高水準に回復しております。

損益面では、営業利益において、2019年度のコア営業利益35億円(コア営業利益は、2019年度営業利益の太線点線で囲んだオフィス移転に伴う臨時的なコストを除いた営業利益を言います)を上回り、過去最高の38億円を達成、親会社株主に帰属する当期純利益も過去最高を計上することができました。

 

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当連結会計年度の業績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ 経営成績及び財政状態の状況」に記載のとおりです。連結全体で売上高は424億4百万円と前期比5.9%の増収となりました。

分野別では、図2のとおり、2020年度以降、新型コロナの影響を主因として、金融、産業分野を中心に売上高が低迷し、公共分野がこれを補う状況が続いてきましたが、当連結会計年度はコロナ影響も収束に向かい、民間分野、特に産業分野において回復が鮮明となりました。

公共分野では、新型コロナワクチン接種等に関わるBPO案件および福祉システムの新規開発案件などにより売上高は引き続き高い水準を維持し、前期比6.2%増収の177億5百万円となりました。

金融分野では、生保システムの開発案件の縮小などにより、前期比4.0%減収の109億65百万円となりました。

産業分野では、小売業などのIT投資需要の回復に伴い、前期比18.4%増収の82億17百万円となりました。

グループ会社(図2「その他」に計上)では、クラウドサービス案件が好調に推移したことなどにより、前期比10.2%増収の55億15百万円となりました。

損益面は、上記の増収効果、前年度に計上した自治体向けソフトウェア投資戦略の見直しに伴う一時的な費用の反動減等により、営業利益は38億1百万円(前期比93.7%増)、経常利益は38億82百万円(同88.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は25億41百万円(同95.4%増)となり、営業利益・経常利益・当期純利益はいずれもコロナ禍前である2019年度を上回りました。

以上の結果、図3のとおり基礎的収益力を示す売上高営業利益率は連結全体で前期の4.9%から大幅に改善し、9.0%となりました。なお、2024年3月期は「2023中期経営計画」の最終年度となりますが、当社の強みである「強固な顧客基盤」、「豊富なサービスラインナップ」、「当社グループの総合力」を活かし、中期経営計画の実現とともに引き続きROE7%と売上高営業利益率8%の達成を目指してまいります。

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(経営成績に重要な影響を与える要因について)

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローについて)

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況等は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ④ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(資本の財源及び資金の流動性について)

資本の財源につきましては、財務の健全性や資本の効率性など当社グループにとって最適な資本構成を追求しながら、将来の成長のための内部留保の充実と株主の皆様への利益還元との最適なバランスを考え、安定した財源を維持することを基本としております。

当社グループは、短期の運転資金につきましては原則自己資金で賄うこととし、設備投資や長期の運転資金につきましては自己資金または金融機関からの長期借入で賄うこととしており、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。なお、当連結会計年度末における金融機関からの借入金残高はありません。

また、新型コロナ感染症に関連した行動制限の解除による経済活動の正常化の一方で、ウクライナ情勢による社会情勢の不安やエネルギー関連を中心とした世界的な物価上昇等による景気後退リスクが懸念されます。

このような状況下、当社グループにおきましても今後の業績にマイナス影響を及ぼす可能性はありますが、現状の純資産額の水準ならびに資金状況から事業運営上、支障はありません。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。

(受注制作のソフトウェアに係る収益及び費用の計上基準)

受注制作のソフトウェア開発について、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合に、その進捗を発生したコストに基づくインプット法(原価比例法)により見積って収益を認識しております。なお、収益総額、見積原価総額及び決算日における進捗率について、当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。

(受注損失引当金)

受注制作のソフトウェア開発のうち、原価総額が収益総額を超過する可能性が高く、かつその金額を合理的に見積ることができる場合、損失見込額を受注損失引当金として計上しています。ただし、受注制作のソフトウェア開発は契約ごとの個別性が強く、また比較的長期にわたる契約が多いことから、契約時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況及び採算性等によって損失額が大きく変動する可能性があります。

(市場販売目的のソフトウェア)

市場販売目的のソフトウェアの減価償却方法につき、見込販売本数に基づく償却額と残存有効期間に基づく均等配分額のいずれか大きい額を減価償却費として計上しております。なお見積有効期間は3年以内であります。販売期間の経過に伴い、減価償却を実施した後の未償却残高が翌期以降の見込販売収益の額を上回った場合、当該超過額を一時の費用として計上しております。したがって、これらの金額は将来の当該ソフトウェアの販売見込により影響を受ける可能性があります。

(退職給付に係る負債)

退職給付債務及び年金資産は、割引率、年金資産の長期期待運用収益率等の将来に関する一定の見積数値に基づいて算定されています。退職給付債務の計算に用いる割引率は、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しています。また、年金資産の長期期待運用収益率は、将来の収益に対する予測や過去の運用実績を考慮して決定しています。見積数値と実績数値との差異や、見積数値の変更は、将来の退職給付債務及び退職給付費用に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(繰延税金資産)

繰延税金資産の回収可能性の判断に際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が変動した場合は繰延税金資産の計上額が大きく変動する可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度中において、経営上の重要な契約等はありません。

6【研究開発活動】

当社グループは、急激な変化を続けている社会環境の中で、新たな社会ニーズを見据え、今後の事業の中心となる製品・サービスの研究開発及び長期的成長の基盤となる基礎的研究や新技術の研究に注力しております。なお、当連結会計年度の研究開発活動に要した研究開発費は689百万円であります。

当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発活動を示しております。

今後の事業の中心となる製品・サービスの研究開発

国内のIT市場は、企業システムのクラウド化やサブスクリプションモデルの浸透、リモートワークの定着等により、景気に左右されないビジネス構造への移行が進んでいます。また、引き続き「デジタルトランスフォーメーション」(デジタル技術を活用した人々の生活や企業活動の革新)への関心度が高く、順調に成長を続けてきました。

その中で、年度後半には米オープンAI社の「ChatGPT」の発表を契機に「生成系AI」(大量のデータ学習により、画像や文章、音楽など多様な領域で新しいコンテンツの生成を可能とした人工知能)が社会現象となり、国内においても官民挙げて取り組む動きが見受けられました。

当社グループもこのような状況に対応するため「デジタルトランスフォーメーション」への取り組みを推進するとともに、当社グループの研究組織である株式会社アイネス総合研究所では、研究方針を「CPS(Cyber Physical System)の実現のための研究」とし、「アイネス版Society5.0」の方針に沿って、2026年度以降の地域のあり方をテーマの中心として研究を進めました。

具体的には「アイネスの事業において将来必要となる技術研究」として6件、「アイネスのビジネス化判断のための研究」として5件の研究を推進いたしました。なお、自治体のデジタルトランスフォーメーションに関する研究では官民学連携の上で研究を進めております。

① アイネスの事業において将来必要となる技術研究

・xR(extended Reality:現実世界と仮想世界を融合するIT技術)活用による疑似リアル研究

・メタバース研究

・施策検討のためのデータ分析研究(高齢者の健康寿命)

・新技術研究(クラウド、ノーコード、Web3等)

・自然言語処理研究

・経済安全保障におけるセキュリティクリアランスの研究

② アイネスのビジネス化判断のための研究

・自治体向け防災デジタルトランスフォーメーションシステム構想の調査・研究

・行政データ活用のビジネス化研究

・「AI相談パートナー」派生研究(自然言語処理、多言語対応、方言対応等)

・自治体リモートワーク実証(仮想デスクトップソリューションの活用)

・顧客(住民)向けスマホアプリPOC(Proof of Concept:概念実証)