第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

  (1)経営方針・経営戦略等

 出生率の減少のほか待機児童数は全国的に解消に向かっているものの、女性の就業率の上昇にともない保育園利用ニーズは当面底堅く、加えて政府において「次元の異なる少子化対策」が掲げられ、また2023年4月に「こども家庭庁」が発足し、国策としての少子化対策が今後一層強化されることが予想されます。

 こうした環境の下、当社グループは引き続き「人口問題を解決する」を使命に、東京都、千葉県、神奈川県及び大阪府において認可保育施設(AIAI NURSERY)と児童発達支援事業所(AIAI PLUS)を中心に展開し、主力事業であるAIAI NURSERYを軸に「保育」と「療育」と「教育」の3つの「育」を一体的に提供する「AIAI三育圏」の展開を推進します。

 

 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

AIAI NURSERYの収益化施設増加による安定的な収益基盤の維持・拡大を図るとともにAIAI PLUSの収益力強化等を図ることで利益率の向上を目指します。

当社グループは、2024年3月期から2026年3月期を計画期間とする「AIAIグループ中期経営計画2023〜2025」の中で、最終年度にあたる2026年3月期における目標数値として、グループ連結売上で120億円〜130億円程度、営業利益は3億円〜5億円程度を掲げております。

 

 (3)対処すべき課題

① AIAI NURSERYの基盤の維持・拡大

 待機児童が解消に向かいつつある局面でも、直営認可保育施設「AIAI NURSERY」について、引き続き高い投資対効果が見込めるエリアに絞ってドミナント戦略に基づく新規開設を継続するとともに、M&Aも視野に業界再編も見据えた取り組みを進め、安定的な収益基盤の維持・拡大を図ります。

 また、大学院との包括連携協定や社内ライセンス制度を通じた保育士の専門性向上カリキュラムを職員向けに提供し、職員の多様なキャリアパスの実現をサポートすることで離職率の低減を図るとともに、集中採用や効率的な配置によって引き続きコストの抑制に努め、安定的な黒字の維持に取り組みます。

 

② 保育と療育のシナジー効果の発揮

 待機児童が解消に向かいつつある一方で障害児の数は増加傾向にあるなか、児童の発達支援に関して利用者の多様化するニーズに応えるため、AIAI PLUSにおける専門的な療育サービスを引き続き提供し、インクルーシブな保育を推進します。

 また、AIAI PLUSでは従来の通所型サービスのほか、発達に関するプログラムの専門家が保育所等を訪問して同種のプログラムを提供する保育所等訪問支援サービスも展開し、AIAI NURSERYとの連携を一層強化していくことで、当社グループにおける保育と療育のシナジー効果を一層高め、収益力のさらなる強化を図ります。

 

③ 保育と教育のシナジー効果の発揮

 今後も選ばれる園として、引き続き保育の質の向上を図るとともに、AIAI NURSERY利用者の小学校へのスムーズな就学を支援するため、魅力的な幼児教育プログラムを展開します。

 小学校入学に不可欠な読み書きをはじめとした知識教育プログラムのほか、創造的な思考力を育む思考教育プログラム等、保護者や子どもにとって魅力あるカリキュラムを充実させ、園児の獲得と収益力のさらなる強化を図ります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、社会課題である少子高齢化に対して、当社グループが掲げる「人口問題を解決する」というミッションのもと、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献するとともに、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めます。

 当社グループは、保育を基幹とした公共性の高い事業を営む企業グループとして、公正、透明かつ健全な経営を堅持し、地域社会の重要な役割を果たし続けることで、お客さま、従業員、取引先及び株主等のあらゆるステークホルダーと共生し、豊かな社会の実現に貢献します。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、中長期的な持続的成長と企業価値の向上に向け、サービスの提供を担う人材の確保等、人的資本にかかる事項は重大なリスクの1つと考えています。少子高齢化による労働人口の減少は、保育を主事業とする当社グループの事業の継続に大きな影響を与えます。このリスクを回避すべく、当社グループは人的資本の投資を重視した取り組みを推進しています。代表取締役社長がトップマネジメントとして当社グループ全般の活動を統括するとともに、担当取締役が人材確保や育成にかかる方針とこれに基づく取組状況等について、経営会議及び取締役会に報告する体制を整備しています。

 

(2)リスク管理

 当社グループは、リスク及び機会に対する対応方針や課題について、経営会議にて優先度を選別・評価し、担当取締役が取締役会に報告するとともに、その対策に向けて全社で取り組んでいます。

 

(3)戦略

 待機児童が解消に向かいつつある一方で、障害児の数は増加傾向にある中、今後も選ばれる保育施設となり続けるべく、引き続き保育の質の向上を図るため、児童の発達支援に関して利用者の多様化するニーズに応えるための専門的な療育サービスの提供を強化するとともに、利用者の小学校へのスムーズな就学を支援するための魅力的な幼児教育プログラムの展開を推進しています。

 これらのサービスは当社グループの従業員一人ひとりによって支えられるものです。そのため当社では従業員一人ひとりを経営上重要な資産(人的資本)と捉え、継続的にその投資と強化を実行しており、経営理念、行動指針、社是に基づき、人材育成を推進する取り組みやすべての従業員が働きやすい社内環境の整備を促進しています。

 

(経営理念、行動指針、社是)

経営理念

夢に向かって成長しつづけよう

行動指針

誠実であること

貢献からの利益を追求すること

自らを世界に貢献できる人間へと向上させること

目標達成への努力を惜しまず、諦めないこと

社是

関わる全ての人々に自分の存在価値を高めること

 

人材育成

当社グループの主事業である保育事業について、高品質なサービスの提供を維持するため、グループ独自の社内ライセンス制度及び大学院との包括連携協定等の教育制度充実に取り組んでいます。

(ア)社内ライセンス制度

日々の保育において求められる「論理的思考力」や「コミュニケーション力」のほか、管理職に求められる「マネジメントスキル」や「ビジネススキル」を習得しキャリアパスを構築することを目的として、これらを包括して学ぶことができる社内ライセンス制度を整備、運用し、保育士のキャリアアップをサポートしています。

(イ)大学院との包括連携協定による教育修士制度

星槎大学大学院と、乳幼児教育の専門性向上、保育士のキャリアアップなどを目的とした包括連携協定を締結しており、施設長のキャリア形成をサポートしています。

大学院では、実践研究を通じて乳幼児教育や組織マネジメントなど幅広く専門的な知見を得るとともに、保育士が職務の中で見つけた課題を大学院での学びを通して解決していくことによる実践的な成長を図っています。

 

(キャリアアップのモデル例)

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(大学院との連携の模式図)

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② 働きやすい社内環境整備の促進

 従業員の心身の健康をサポートするとともに、それぞれの業務において持てる能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。

(ア) 有給休暇の取得奨励

 有給休暇と合わせて従業員が生活全般にゆとりを持ち、十分な休養のほか、趣味や学習、地域活動などを行う時間が確保できるよう努めています。また、社内制度としてリフレッシュ休暇及び誕生日休暇を設けています。

(イ) 出産休暇・育児休暇の取得

 出産休暇・育児休暇の取得を奨励し、全ての従業員がライフステージに合わせた働き方が実現できるよう努めています。

(ウ) 生活習慣病対策

 定期健康診断の完全実施を推進するとともに、産業医とも連携し従業員の健康改善等に取り組むほか、婦人科検診の推奨・補助を推進しています。

(エ) メンタルヘルス対策

 ストレスチェックの完全実施を推進するとともに、労働環境の改善、ストレスの軽減等に取り組んでいます。

(オ) 受動喫煙の防止

 オフィス・施設の全面禁煙を徹底しています。

 

(カ) 感染症予防対策の推進

 オフィス従業員のリモートワーク推進や施設の消毒等のほか、インフルエンザ予防接種を推奨するための補助を実施しています。

 

③ 指標及び目標

 当社グループでは、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)戦略」に基づき、人材育成を推進する取り組みやすべての従業員が働きやすい社内環境の整備を促進するための指標及び目標を定めております。

 当該指標及び目標並びに実績は次のとおりであります。

 

(指標及び目標(グループ連結))

指標

目標

実績(当連結会計年度)

男性労働者の育児休業取得率

2026年3月までに 50.0%

38.0%

社内ライセンス取得者数

2026年3月までに  110名

50名

有給休暇の取得率

2026年3月までに 80.0%

74.2%

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しておりますが、当社グループに関するすべてのリスクを網羅するものではございません。

なお、以下の将来に関する記載事項は、特に断りがない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 利用者の減少について

当社グループの主要な事業であるチャイルドケア事業及びライフケア事業は、国内の居住者を対象とした事業であるため、国内の人口や社会構造、家族形態、労働需給、ライフスタイルの変化等に伴い利用者の増減が生ずる事業です。

今後、国内においては少子化及び人口減少が見込まれますが、労働人口の確保のために、保育及び介護施設の利用率が高まり、結果として保育及び介護の市場規模は拡大することが予想されております。また、国内の人口減少に伴い、都市部への人口集約化が見込まれております。このような状況において、都市部については地方からの人口流入が継続し、保育及び介護のニーズは高い水準が継続すると見込まれることから、当社グループのチャイルドケア事業及びライフケア事業は東京都23区、千葉県内、大阪市内に集中して施設展開をしております。

しかしながら、今後施設展開をしている地域において、想定していない大きな人口減少や社会構造の変化等が生じた場合は、施設利用者が減少し、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 国や自治体による方針の変更や関連法規制等の改定等について

国による官業の民営化の方針に伴い、サービスの向上や費用削減を目的に、各地方自治体で保育所の民営化が進められております。株式会社も認可保育園の運営主体として認められるようになり、2015年4月には「子ども・子育て支援新制度」が施行され、国及び自治体は認可保育園の開設費用について補助金を拡充する等、待機児童解消に向けた様々な支援策を実施しております。また、2023年4月には「こども家庭庁」が発足し、総合的な少子化対策・子育て支援が展開されると予想されます。

しかしながら、今後、国や自治体の方針に変化が生じ、補助金の削減や制度の廃止等、株式会社による認可保育園の開設並びに既存の公立保育所の民営化が推進されなくなった場合、当社グループにおける保育事業の拡大が止まり、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

また、介護事業は介護保険法などをはじめとする各種関連法令改定によって影響を受ける事業であり、介護保険制度は定期的な見直し改定が行われております。今後、介護保険制度の改定により報酬引き下げ等の事象が発生した場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 許認可等について

当社グループは、チャイルドケア事業及びライフケア事業において、児童福祉法及び介護保険法等に基づき、認可保育園、小規模保育施設、多機能型事業所、サービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホーム等を運営しております。

いずれの事業も許認可権限、指定権限を持つ行政機関へ、施設開設前に設置の申請を行い、審査を経た上で許認可や指定が付与されますが、施設の運営が著しく適正を欠き、その後も運営の適正を期し難いと認められるときは施設運営の停止、指摘の公表措置、許認可等の取消といった行政処分が下される場合があります。本書提出日現在において、当社グループの事業において運営している施設に許認可取消、指定取消事由は発生しておりませんが、今後、何らかの原因により許認可や指定が行政機関から取消された場合等には、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 人材の確保及び育成について

当社グループでは、新規施設の増加に伴い、保育士、児童指導員や介護福祉士などの資格や要件を満たした人材の確保と育成が必要となっております。そのため、当社グループでは、採用担当の人員を増員し、幅広い採用活動を行いながらキャリアプランに沿った研修を年度を通して行い、人材の育成に取り組んでおります。しかしながら、その採用と育成が施設開設の速度に対応できない場合には、開設計画に遅れが生じ、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 新たに保育所等の施設を開設する場合の経営成績に対する影響について

新たに保育所等の施設を開設する場合、一般的に下記の影響が生ずる傾向があります。

営業損益:開設時においては、高年齢クラス(3歳~5歳児等)で定員を満たさず、開設初年度からの数年間は稼働率が低く売上が低位な傾向にあります。一方で、施設定員数に応じた保育士配置が必要であることや、開設準備のための従業員の新規採用コストや研修費、消耗品費並びに減価償却費といった経費が発生することから、施設開設後一定期間は赤字となる傾向にあります。その後、低年齢クラスの児童が進級を重ねることにより、稼働率が向上し売上が増加することで、通常開設後2~3年目以降に黒字化する傾向があります。

経常損益:開設に伴う設備投資に対して、所管する自治体から設備補助金が交付される場合があります。その場合、営業外収益に計上されます。補助金制度は各自治体が独自に設けており、支給条件も各様となっております。

開設予定エリアにおける用地及び物件の確保が困難となった場合や、必要とされる人員を確保できなかった場合、地域住民からの反対などにより開設が困難となった場合は、開設計画の見直し等により当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 大規模な災害について

当社グループでは、東京都23区、千葉県内、大阪市内を中心に保育施設及び介護施設を有しております。これらの地域において大規模な災害が発生した場合、施設が地震や津波、火災、台風、洪水などの被害を受け、利用者や従業員、建物などに被害が及ぶ可能性があります。その場合は、設備の損害、保育士や介護士の不足、社会の混乱による保育や介護需要の減退等が発生し、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 有利子負債への依存について

 当社グループでは、保育施設等の新規開設に関する設備資金等は、主に金融機関からの借入により調達しております。その結果、総資産に占める有利子負債の割合は、2023年3月31日現在において、71.54%と高い水準にあります。今後、急激な金利変動など金融情勢に変化が生じ、金利負担が増加した場合や、計画どおりの資金調達が出来ず、新たな保育施設等が計画どおりに開設できなくなった場合等には、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 個人情報の保護について

当社グループの保育施設及び介護施設においては、事業の性質上、利用者をはじめ、保護者や家族の氏名、住所及び職業などの情報を取得し保持しております。これら顧客の個人情報の取扱いについては厳重に管理し、万全を期しておりますが、万一漏洩するようなことがあった場合、顧客からだけでなく、広く社会的な信用を失墜することとなり、施設の許認可及び指定に影響が出るなど、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 保育市場の縮小がテック事業に与える影響について

当社グループのテック事業においては、主に保育事業者を対象とした保育園運営管理システムの販売等を行っております。したがって、保育市場が縮小した場合は、当該システムの需要が減退し売上高が減少するなどして、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 新型コロナウイルス感染症について

当社グループでは、新型コロナウイルス感染症対策として、お預かりするお子様・保護者の皆様・従業員の安全確保を最優先に考え、各施設に①換気の悪い密室空間②多くの人が密集する場所③近距離での密接した会話を避けるよう通達を出し、手洗いやうがいの徹底など予防に努めると共に、本社においては、在宅勤務や時差出勤等の対応を実施してまいりました。

2023年5月8日には、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行され、移動制限や行動制限が緩和されつつあり、園児の利用も回復していくことが見込まれます。しかしながら、新たな変異株の流行により、再び行動制限が強化されるような事態となった場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(11) 創業者への依存について

当社の代表取締役である貞松成は、AIAIグループ株式会社の創業者であり、当社グループ事業の創業者です。同氏は保育・介護業界に精通しており、経営戦略等の策定において重要な役割を果たしております。当社グループでは、役員等への権限移譲やコーポレート・ガバナンス体制の構築により、同氏に過度に依存しない経営体制を整備しておりますが、何らかの事情により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合は、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(12) 季節変動(保育施設の利用者の一時的な減少)について

チャイルドケア事業においては、毎年4月になると5歳児等クラスが小学校へ進級する一方、新規0歳児は自治体毎に定める入園可能月齢を満たした後に入園することから、児童数が一時的に減少する傾向があります。このため、上半期は下半期と比較して児童数・施設稼働率が減少する傾向があります。

 

(13) 食の安全性について

当社グループでは、保育施設・介護施設において利用者に対し食事を提供しております。当社グループでは、食品衛生法等に基づき厳正な食材管理及び衛生管理を実施して、食中毒、賞味期限切れ食材の使用、異物混入などの事故を起こさないように努力しており、これまで業績に多大な影響を与えるような事故等は発生しておりません。しかしながら、万が一何らかの原因により食の安全に関する重大な問題が発生した場合は、喫食者に対する補償、レピュテーションの低下や行政による運営停止措置等により、施設運営に支障をきたし、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(14) 運営施設における事故等について

当社グループは、施設運営において利用者の安全を確保する体制を整備しており、これまで業績に多大な影響を与えるような事故等は発生しておりません。しかしながら、万が一運営施設において重大な事故等が発生し、所管する自治体等からの事業停止命令を受けた場合や、保護者等から損害賠償請求を受けた場合、並びに風評被害等により利用者が大幅に減少した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(15) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社グループは、業績向上への意欲を高めることを目的として、当社グループの役員及び従業員に対して、ストック・オプションによる新株予約権の発行を行っております。今後においてもストック・オプション制度を活用することが考えられます。また、当社の業容の拡大に伴い、新たな事業資金が必要になることから新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性があります。現在付与している新株予約権に加え、将来的に付与される新株予約権について行使がなされた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。当社が発行したストック・オプション並びに資金調達のための新株予約権にかかる潜在株式の数は、2023年5月31日時点で271,000株であり、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は8.81%であります。

 

(16) 固定資産の減損に関するリスクについて

当社グループは、主にチャイルドケア事業及びライフケア事業において施設における建物や設備等の固定資産を保有しております。今後業績が著しく悪化し、投資回収が困難となった場合や、施設の撤退を決定した場合には減損処理が必要となり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(17) その他の関係会社等との関係について

株式会社アニヴェルセルHOLDINGSは、本書提出日現在、当社の発行済株式総数の34.85%を保有しております。このため同社は当社のその他の関係会社に該当いたしますが、当社は自ら経営責任を負って独立した経営を行っており、同社の承認を必要とする事項は存在せず、また取引関係及び人的関係はありません。

しかしながら、同社は今後も当社株式を継続的に保有する方針であり、同社の方針に変更が生じた場合、当社の事業活動に影響を与える可能性があります。

 

(18) 配当政策について

当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要施策の一つと認識しております。現時点では、当社は成長過程にあると考えており、事業拡大に向けた積極的な設備投資や財務体質の強化等を行うことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから、創業以来配当を実施しておらず、当面はこの方針を継続することとしております。

将来的には、各事業年度の経営成績や財政状態を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態の状況

(資産の部)

 総資産は11,742,756千円(前連結会計年度末比323,646千円減)となりました。

 流動資産につきましては3,362,376千円(同365,558千円増)となりました。これは主に、現金及び預金が358,150千円増加したこと等によるものです。

 固定資産につきましては8,380,380千円(同687,009千円減)となりました。これは主に、固定資産売却による有形固定資産の減少282,075千円及び無形固定資産346,882千円の減少等によるものです。

(負債の部)

  負債は10,401,809千円(同74,531千円減)となりました。

 流動負債につきましては2,012,744千円(同2,937千円減)となりました。

 固定負債につきましては8,389,065千円(同71,593千円減)となりました。これは主に、リース債務の増加131,971千円の一方、長期借入金の返済による減少155,010千円等によるものです。

 (純資産の部)

  純資産につきましては1,340,947千円(同249,115千円減)となりました。これは主に、新株予約権行使に伴う払込等の資本金及び資本剰余金の増加261,497千円の一方、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少506,112千円等によるものです。

 

b.経営成績の分析

 当社は、2021年11月18日開催の臨時株主総会における定款一部変更の決議により、決算期(事業年度の末日)を毎年12月31日から3月31日に変更いたしました。その経過措置として、前連結会計年度は2021年1月1日から2022年3月31日までの15カ月間となっております。このため、対前期増減については記載しておりません。

 

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の普及や緊急事態宣言の解除等により、厳しい状況が徐々に緩和され、社会経済活動正常化の傾向が見られております。

一方で、世界的な金融引き締め等が続く中、海外景気の下振れリスクは予断を許さない状況であり、世界的エネルギー高や物価高には引き続き注視する必要があります。

 このような環境の下、政府においては、「次元の異なる少子化対策」が掲げられ、また、2023年4月に「こども家庭庁」が発足し、国策としての少子化対策が一層強化されることが予想されます。出生率の減少、及び待機児童数も解消に向かっているものの、女性の就業率の上昇にともない保育園利用ニーズは当面底堅く、上述の政策的な後押しも期待できることから、良好な事業環境が引き続き継続することが見込まれます。

 人口問題の解決、少子高齢化社会への取り組みに貢献すべく、当社グループはチャイルドケア事業における新規施設の開設に取り組んでまいりました。当連結会計年度における新規施設の内訳は以下のとおりとなりました。

 

・チャイルドケア事業の新規開園施設

地域及び施設数

種類

入所定員

(名)

開園日

東京都 3施設

認可保育園

146

2022年4月1日

千葉県 2施設

認可保育園

130

千葉県 4施設

多機能型施設

40

千葉県 1施設

多機能型施設

10

2022年5月1日

             10施設 合計

326

 

 

これらの結果、当社グループが運営する施設数は下記のとおりとなりました。

[チャイルドケア事業施設数の推移]                               (単位:施設)

 

2018年

12月期末

2019年

12月期末

2020年

12月期末

2022年

3月期末

2023年

3月期末現在

認可保育園

34

48

65

71

76

小規模保育施設

8

8

8

8

8

受託・認可外

1

多機能型事業所

12

17

放課後等デイサービス

10

9

7

児童発達支援等

2

2

2

合計

55

67

82

91

101

 

[ライフケア事業施設数の推移]                                 (単位:施設)

 

2018年

12月期末

2019年

12月期末

2020年

12月期末

2022年

3月期末

2023年

3月期末現在

生活介護施設

1

1

1

1

1

サービス付き高齢者向け住宅

1

1

1

1

1

住宅型有料老人ホーム

1

1

1

1

1

合計

3

3

3

3

3

 

 また、下記の2023年4月1日開設の4施設はいずれも予定どおり開設が行われております。

その他神奈川県1施設において、利用定員数を拡大して移転いたしました。

 

(2024年3月期 開設予定 チャイルドケア事業)

地域及び施設数

種類

入所定員

(名)

開園予定

東京都  2施設

認可保育園

105

2023年4月1日

千葉県  1施設

認可保育園

55

神奈川県 1施設

認可保育園

60

4施設 合計

220

 

 

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は10,822,455千円、営業利益は80,713千円、経常利益は413,579千円、親会社株主に帰属する当期純損失は506,112千円となりました。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりです。

・チャイルドケア事業

 既存施設及び新規施設の稼働が順調に推移したことにより、売上高は10,219,197千円となりました。期首での採用費、新規開園に伴う関連費用が発生したものの、施設職員配置の適正化などの収支改善効果の結果、セグメント利益は392,275千円となりました。

・ライフケア事業

 既存施設の稼働は高水準を維持し、売上高は432,447千円となりました。一方で、採用費他原価の負担も重く、セグメント損失は18,400千円となりました。

・テック事業

 保育ICTシステム等の期中の売上高の伸びは限定的となり、売上高は277,709千円となりました。一方で、固定資産の減損処理を実施しており、減価償却費の負担減から、セグメント利益は46,533千円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は1,306,353千円となりました。各キャッシュ・フローの状況と主な要因は以下のとおりです。

   (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は873,868千円となりました。これは主に、減価償却費724,009千円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は809,071千円となりました。これは主に、認可保育園等の新規開設に関する有形固定資産の取得による支出785,756千円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は293,353千円となりました。これは主に、株式の発行による収入239,309千円等によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

チャイルドケア事業(千円)

10,180,335

ライフケア事業(千円)

432,358

テック事業(千円)

202,791

報告セグメント計(千円)

10,815,486

その他(千円)

6,969

合計(千円)

10,822,455

 (注)1.セグメント間の取引は含まれておりません。

    2.前連結会計年度は2021年1月1日から2022年3月31日の15ヵ月決算となっているため前年同期比の記載を行っておりません。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

大阪府大阪市

1,339,056

11.2

1,303,613

12.0

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ、合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積と異なる場合があります。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

 当社グループは、旺盛な保育ニーズに応じるべく、保育事業における認可保育園の新規開設に最大限注力し、企業規模の拡大を優先する方針としております。このため、新規設備投資は保育事業における認可保育園の投資が中心であり、その資金は金融機関からの長期借入金にて調達する方針です。

 

 当連結会計年度末における総資産は11,742,756千円(前連結会計年度末比323,646千円減)となりました。

 また、総負債は10,401,809千円(同74,531千円減)となりました。

 純資産につきましては1,340,947千円(同249,115千円減)となりました。これは主に、新株予約権行使に伴う払込等の資本金及び資本剰余金の増加261,497千円の一方、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少506,112千円等によるものです。

 以上により、自己資本比率は、前連結会計年度末の12.9%に対して、当連結会計年度末は11.3%と1.6ポイント減少しております。

 

b.経営成績

(売上高、売上原価及び売上総利益)

 当社グループの当連結会計年度の売上高は10,822,455千円となりました。主にチャイルドケア事業の売上高が施設数の増加や既存施設の充足率の向上に伴う利用者増によって増加したことによるものです。また、チャイルドケア事業における期首の採用や新規開園に伴う関連費用等の発生により原価が増加したものの、その後はコストコントロールの徹底や職員配置の適正化により順調に抑制し、売上原価は9,475,557千円となり、売上総利益は1,346,898千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費並びに営業利益)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、1,266,185千円となました。また、チャイルドケア事業における園児数の充足や職員配置の適正化のほか、オフィス組織の合理化等の販売管理費見直し等により、営業利益は80,713千円となりました。

 

(営業外損益並びに経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益は491,460千円であります。これは主に保育施設の新規開設に係る設備補助金収入によるものです。また、当連結会計年度の営業外費用は158,594千円であります。この結果、経常利益は413,579千円となりました。

 

(特別損益並びに親会社株主に帰属する当期純損失)

 特別利益を41,245千円計上しております。これは固定資産売却益を計上したことによるものです。特別損失を679,057千円計上しております。これは主に、減損損失を計上したことによるものです。

 また、法人税等は281,880千円となりました。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は506,112千円となりました。

 

c.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは、事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金については自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによって運営しております。チャイルド事業の新規設備投資資金については、金融機関からの長期借入金により調達しております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,306,353千円となっており、当面事業を継続していく上で十分な流動性を確保しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。