第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「先端技術を先端で支える」を経営理念とし、最先端の技術開発を通して社会の発展に貢献していくことを使命(ミッション)としています。社会課題の解決に、今後ますます半導体の役割が増していくと考えられる中、進化する半導体バリューチェーンで顧客価値を追求してまいります。そのミッションの遂行にあたっては、すべての役員および従業員が「The Advantest Way」を理解し、あらゆるステークホルダーの尊重と持続可能な社会の実現を目指すと同時に、当社の持続的な発展と中長期的な企業価値の向上に努めます。

 

(2)経営戦略等

 当社は、経営理念である「先端技術を先端で支える」を体現する会社であり続けるため、当社がどうありたいか、何をなすべきかを定めた中長期経営方針「グランドデザイン(10年)(2018年度~2027年度)」を2018年度に策定し、以後、この方針のもとで企業価値向上に取り組んでいます。

 

 そして2021年度に、「第1期中期経営計画(2018~2020年度)」(略称:MTP1)が成功裡に終了したこと、またグランドデザイン策定から3年が経過したことから、業績進捗と最新の外部環境認識に沿った内容へグランドデザインを更新しました。同時に、「第2期中期経営計画(2021~2023年度)」(略称:MTP2)を2021年5月に策定し、グランドデザインの実現をより確実なものとすべく全社一丸となり取り組んでいます。

 

1.グランドデザイン(10年)〔2018年度~2027年度〕

 

<ビジョン・ステートメント>

「進化する半導体バリューチェーンで顧客価値を追求」

 

<戦略>

 当社は、半導体の量産テスト用システムの開発・販売に加え、半導体量産工程の前後工程にある半導体設計・評価工程や製品・システムレベル試験工程といった近縁市場へ事業領域を広げることで、業容の拡大と企業価値向上を目指します。

 上記の達成に向け、「コア・ビジネスの強化、重点投資」、「オペレーショナル・エクセレンスの追求」、「さらなる飛躍への価値探求」、「新事業領域の開拓」、「ESGのさらなる推進」の5つの戦略課題に取り組んでいます。

 

 なお、グランドデザインでは当初、「売上高3,000~4,000億円」を目標としていましたが、デジタル革命の進展や市場シェア伸長などにより業績進捗が良好であったため、2021年度に中長期経営目標を「売上高4,000億円の早期達成」へ修正しました。しかしその後も半導体試験装置市場の拡大が継続したことなどにより、当初企図していた2027年度を待たず、2021年度をもってこれを早期達成しました。

 半導体需要の中長期的な拡大など、グランドデザイン策定当初より多くの成長機会を当社にもたらしてきた事業環境の変化や社会変化は、今後も継続することが見込まれます。そうした中、当社は今後も上記の5つの成長戦略を推し進め、さらなる企業価値向上を目指してまいります。

 

2.第2期中期経営計画〔MTP2、2021~2023年度〕の概要

 

<経営指標>

MTP2では、さらなる成長に向けた事業強化の取り組みを推進するとともに、成長投資と株主還元の双方を拡充し、企業価値向上を図ります。この考えに基づき、MTP2において重視する経営指標を売上高、営業利益率、当期利益、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)、基本的1株当たり当期利益(EPS)とし、これらの成長に努めています。なお計画の進捗を中長期視点で評価するため、経営指標には単年の業績変動の影響を平準化できる3カ年平均の値を用いています。

 

MTP2における経営指標については、当初、中期的な市場動向の予測に基づき算出した財務指標の見通しを2021年5月に公表しました。しかし、MTP2初年度となる2021年度において、半導体およびその関連市場はMTP2策定時の想定を超えた活況のもと推移したほか、当社の事業拡大策も順調に進展しました。その良好な計画進捗と、半導体用途の多様化がもたらした半導体試験装置市場の下方耐性、ハイエンド半導体におけるテスト難易度の上昇基調、大手半導体メーカーの先端技術投資に対する意欲など、2023年度までの事業環境予測を総合的に勘案し、かつ2022年からの世界経済の変調が通常の景気減速の範囲にとどまることを前提として、MTP2の経営指標を2022年7月に以下のとおり修正しました。

 

 

2021~2023年度(平均)

2021~2022年度

(平均実績)*3

 

2021年5月公表値*1

2022年7月修正値*2

売上高

3,500~3,800億円

4,800~5,200億円

4,885億円

営業利益率

23~25%

27~30%

28.7%

当期利益

620~700億円

980~1,200億円

1,089億円

親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)

20%以上

30~35%

34.9%

基本的1株当たり当期利益(EPS)

320~370円

510~630円

573円

 *1 2021年5月の公表時において前提とした為替レートは1米ドル=105円、1ユーロ=130円

 *2 2022年7月の改訂時において2022年度第2四半期~第4四半期および2023年度の業績予想の前提とした為替レートは1米ドル=130円、1ユーロ=140円(2021年度実績は1米ドル=112円、1ユーロ=130円。2022年度第1四半期実績は1米ドル=124円、1ユーロ=134円)

 *3 2021~2022年度(平均実績)の前提とした為替レートは、2021年度実績は1米ドル=112円、1ユーロ=130円、2022年度実績は1米ドル=134円、1ユーロ=140円

 

<進捗>

 MTP2では、中長期的にますます発展が見込まれる半導体市場の中で、当社がより大きく成長するための基盤固めを進める3年間として活動しています。2021年~2022年度においては、中長期的な視座のもと策定されたグランドデザインで掲げた5つの戦略課題に沿って、以下の取り組みを着実に実行しました。

 

<戦略課題に対する取り組みとその進捗状況>

① コア・ビジネスの強化、重点投資

  ⇒2021年度より「V93000 EXA Scale」をはじめとする各テスト・ソリューションの拡充を継続。さらに2022年度は、メモリ・テスト・セルの新機軸となる「inteXcell」投入や、パワー半導体用試験装置大手のイタリア・CREA社買収を通じ、成長基盤をさらに強化。

  ⇒継続的なセールス・サポート人員増強により、顧客ニーズへの対応力を向上。

 

② オペレーショナル・エクセレンスの追求

  ⇒TechInsights社顧客満足度調査において、3年連続半導体製造装置業界首位を達成。

  ⇒グローバル・ビジネス・オペレーション・イニシアティブを発足。業務プロセスの改革を目指す。

 

③ さらなる飛躍への価値探求

  ⇒システムレベルテスト事業において、AI/HPC、スマートフォン、車載関連市場を着々と深耕。

  ⇒テスト・インタフェース事業強化に向け、米・R&D Altanova社を2021年度に買収、台湾・Shin Puu社を2023年度第1四半期に買収完了。

  ⇒「Advantest Cloud SolutionsTM(ACS)」のサービス基盤を継続的に拡充。

 

④ 新事業領域の開拓

  ⇒蛍光検出システムなど、医療機器をはじめとした新事業推進に向け体制整備。

 

⑤ ESGのさらなる推進

  ⇒グローバル経営体制強化のため、CxO制を導入し経営陣のアカウンタビリティを明確化。

  ⇒ESG高度化の母体となる「ESG行動計画」を策定・推進。事業を通じた社会貢献の拡大と、2022年度におけるESG外部評価改善に寄与。

 

 MTP2最終年度である2023年度は、より強固で強靭な経営基盤づくりを推進する1年と位置づけ、MTP2目標の達成に向けて邁進してまいります。

 

<コスト・利益構造>

 長期持続的な企業価値創造を目指すにあたり、付加価値向上と持続的な競争力維持の礎となるR&D投資、人財確保と育成、部材の調達力について一層の強化を図ります。

 他方で、半導体などの部材不足の長期化、地政学的リスク、インフレの進行や消費の落ち込みなど、世界経済や当社の事業環境における将来の不確実性は高い状態にあります。必要に応じたコストコントロールの実施など、外部環境の変化に対する機動的な対応を通じ、上記経営目標の達成に努めてまいります。

 

<資本政策>

 MTP2期間においては成長に向けた事業投資を優先しつつ、資本効率と資本コストに配慮したバランスシート管理の見地から負債(デット)も柔軟に活用するという、これまでの基本的な考え方を継続します。また、経営基盤の強化および持続的企業価値創造のために、財務健全性を維持した上で適正な資本構成を追求するという方針も継続します。財務健全性については株主資本比率50%以上を、資本効率についてはROEを指標とします。

 

<成長投資と株主還元見通し>

 キャピタル・アロケーションに対する考え方としては、MTP2期間に予想される累計2,800~3,600億円の営業キャッシュ・フローを基本の原資とし、状況に応じて手元現金水準を見直しつつ成長投資および株主還元に適宜配分します。成長投資に対する資源配分については、半導体市場の長期的拡大と半導体のさらなる高性能化が見込まれる中、開発・生産設備投資を増強し、MTP2期間累計で設備投資に700億円を、M&A等の戦略投資に1,000億円を現時点では想定しています。

 また株主還元についてはMTP2期間における安定的な事業環境を前提に、これまでの還元方針を踏襲します。具体的には、配当については1株当たり半期50円・通期100円を最低額とした安定的な配当を継続しつつ、通期総還元性向※は50%以上を目途とし、配当や自己株式の取得を通じて株主還元を強化するとともに資本効率の向上を図ります。

(※) 総還元性向:(配当額+自己株式取得額)÷連結当期利益

 

(3)2023年度の経営環境および重点施策

 今後の当社を取り巻く市場環境を展望しますと、中長期的には半導体は社会のデジタル・トランスフォーメーションやグリーン・トランスフォーメーションを支えるインフラストラクチャーとして、さらに高い機能や信頼性が求められ、半導体市場の成長は揺るぎないものと考えます。AIを活用する新たなアプリケーションの台頭などによりデジタル革命が促進されるとともに、カーボンニュートラル対応の社会的要求の高まりから、エネルギー効率改善を実現する半導体技術の重要度も増しています。顧客においてもさらなる微細化をはじめとした次世代デバイスの開発が意欲的に継続されています。「安全・安心・心地よい」環境・社会を支える半導体を世の中に提供するための半導体試験装置の需要も半導体市場の成長と軌を一にして成長していくものと予想します。

 しかしながら、短期的にはインフレ進行や金利上昇などによる世界経済の景気後退リスクの増大に加え、地政学的リスクの拡大懸念、急激な為替変動リスクなど、事業環境の先行き不透明感がさらに高まっています。景気後退懸念が深まる中で半導体メーカーにおける在庫調整や生産調整は当面継続されることが予想され、暦年2023年の半導体試験装置市場は前年比で縮小するものと想定しています。なお米国および同盟国による半導体製造装置の対中輸出規制強化に関して、現時点では、当社の2023年度の業績に対する直接的な影響は限定的と考えておりますが状況を注視してまいります。

 これら不透明な市場見通しを基とした各事業の今後の見通しなどを踏まえ、2023年度の通期連結業績予想については売上高4,800億円、営業利益1,050億円、税引前利益1,035億円、当期利益780億円を予想しています。予想の前提とした為替レートは、米ドルが130円、ユーロが140円です。

 新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢に関して、当連結会計年度の当社業績に対する直接的な影響は軽微であったと認識しています。しかしながら、上述のとおり当社を取り巻く事業環境は不確実性を増しています。必要に応じたコストコントロールの実施など、外部環境の変化に十分に注意を払い機敏かつ柔軟に対応してまいります。

 

<2023年度重点施策>

MTP2目標の達成に向けて邁進するとともに、より強固で強靭な経営基盤づくりを目指す

・最先端の試験技術の開発を通じた、さらなる顧客価値の創造

 ‐AI関連やパワー半導体など、高成長領域のリーダー顧客に訴求するテスト・ソリューションの拡充

 ‐将来の事業拡大に向けた成長投資の継続

 ‐協業先との緊密な連携の元、データ・アナリティクス分野の事業基盤をさらに強化

・オペレーショナル・エクセレンスの追求

 ‐需要変動への追従力を高めるべく、サプライチェーン管理を高度化

 ‐全社オペレーションの効率向上のため、DXを積極的に活用(グローバル・ビジネス・オペレーション・イニシアティブの活動強化)

・中長期的な視座のもと、人的資本の高度化も含めESGのさらなる推進に尽力

 

2【サステナビリティに関する考え方および取組】

当社のサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)サステナビリティ全般

① 価値創造とサステナビリティ課題に関する考え方

<価値創造に関する考え方>

 企業は社会の発展や人々の生活を豊かにすることに貢献し続けることによってのみ存続し、成長することが可能です。したがって、社会や地球環境の持続可能性を高める経営を行わない限り、企業自身の持続的発展もあり得ません。

 当社グループの経営理念(パーパス&ミッション)は、「先端技術を先端で支える」です。すなわち、当社グループは、世界中の顧客にご満足いただける製品・サービスを提供するために、たえず自己研鑚に励み、先端のエレクトロニクス技術の開発を当社の測定技術で支えることによって社会の発展に貢献していきます。

 当社グループは、事業活動を通じて「安全・安心・心地よい」サステナブルな社会の実現に貢献することにより、中長期的な企業価値向上を目指すことを経営の目標としています。自社の事業を持続的に発展させるためには、地球環境を含む社会全体、顧客、株主、従業員、取引先などすべてのステークホルダーと良好な関係を構築すること、またその関係をバランスよく発展させることが重要と考えており、その結果として企業価値が向上し、ステークホルダー価値も高まるものと考えます。

 

<サステナビリティ課題に関する取り組み>

 当社グループは、サステナビリティをめぐる課題の解決と中長期的な企業価値向上のためには、経営理念に基づく経営の徹底が不可欠と認識しています。

 これに基づき、当社グループは、経営理念「先端技術を先端で支える」を体現する会社であり続けるため、中長期経営方針「グランドデザイン」を2018年に策定し、同時にコーポレート・ビジョンを「進化する半導体バリューチェーンで顧客価値を追求」と定めました。また、それを実現するための5つの戦略課題に現在取り組んでいます。

 さらに、グランドデザインに基づく企業価値の向上と経営基盤の強化を着実に成し遂げるために、当社グループでは財務目標とサステナビリティ目標を包含した3年単位の中期経営計画を推進する体制を構築しています。(現行の中期経営計画に関しては、「1. 経営方針、経営環境および対処すべき課題等 (2)経営戦略等」に記載しております。)

 他方で、当社グループは長年の事業拡大努力の結果、多様な文化、言語、慣習、価値観を内包する組織となっていることから、その力を最大化するための経営基盤の整備もまた重要と考えています。

 このような認識に基づき、当社グループは、グループ全体の理念体系である「The Advantest Way」を2019年に改訂し、価値創造の原動力となるグループの役員および従業員への浸透に注力しています。

 「The Advantest Way」は、以下の6要素から構成されます。1~3は、社会貢献と中長期的な企業価値向上に向けて当社グループがどうありたいか、なにをなすべきかを規定する一方、4~6はその実践にあたってグループの役員および従業員に求められる基本的な考え方や具体的な業務遂行にあたっての行動の指針などを定めています。

1. 経営理念(パーパス&ミッション):「先端技術を先端で支える」

2. ビジョン・ステートメント:「進化する半導体バリューチェーンで顧客価値を追求」

3. コア・バリュー:「INTEGRITY」

4. 「ESG推進によるサステナビリティ」

5. 「行動指針」:「本質を究める」

6. 「行動基準」

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 これら当社グループにおける中長期的な企業価値向上の取り組みの中で、サステナビリティを高める活動については、「ESG推進によるサステナビリティ」の一環として推進しています。具体的には、ESGへの積極的な取り組みが自社と社会のサステナビリティの両立に不可欠であるとの認識に立ち、その責務を果たす上での基本的な行動原則となる「ESG推進基本方針」を定めています。

 

[ ESG推進基本方針 ]

当社グループは、以下の実践を基本方針とします。

1. 環境保全および環境負荷の低減に取り組みます。

2. 豊かな社会の実現のため、グローバル企業として社会的な責任を果たしていきます。

3. 顧客を尊重し、顧客のニーズを満たす高品質の製品・サービスを安定的に提供します。

4. 株主・投資家を尊重し、適正な利益還元と情報開示を行います。

5. 従業員を尊重し、公正に処遇するとともに、働きやすい職場をつくります。

6. 取引先を尊重し、相互の発展に向けて協力関係を築いていきます。

7. 公平、効率的、かつ透明性の高いガバナンス体制を構築します。

 

 当社グループは、この「ESG推進基本方針」のもと、環境への配慮や社会との調和を図りつつ、中長期的な企業価値の向上を目指します。また、事業活動を通じたESGへの積極的な取り組みにより「持続的な開発目標(SDGs)」達成に向けて貢献してまいります。

 

② 推進体制とガバナンス

<推進体制>

 当社グループは、「ESG推進基本方針」に基づき、自社事業の成長と社会課題に対する貢献の双方を推進するため、経営会議直結の組織である「サステナブル経営推進ワーキンググループ (SMWG)」を2020年度より設置しています。この組織は、すべてのビジネス・ユニット、ファンクショナル・ユニット、リージョナル・ユニットのリーダーで構成される全社委員会であり、環境・社会・ガバナンスに関する目標やKPIの設定を行いつつ重点課題への中長期的な対応を行います。

 またSMWGのサポートのもと、各ユニットにおけるESG課題の重要性分析等をもとに、当社グループはサステナビリティ課題に対処するための「ESG行動計画」を策定し、その推進に努めています。

 

<サステナビリティに関するガバナンス>

 当社グループにおけるサステナビリティ・ガバナンスは、他の事業活動におけるガバナンスと同等に、当社グループのサステナビリティに関わる活動全体および進捗状況のモニタリングが適宜行われています。具体的には、「ESG行動計画」が経営会議での審議のもと承認され、その後、各ユニットにおける具体的な施策へ展開されます。「ESG行動計画」の進捗状況は、年に2度、経営会議および取締役会へ報告され、評価と是正策の検討がなされます。

 このほか、社外のステークホルダーに対しては、統合報告書やサステナビリティ・レポート等を通して適時適切な情報開示となるよう努めています。また、主要な実績数値に関しては、第三者による保証を取得しています。

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③ リスク管理

 当社のリスクマネジメントにおけるプロセス詳細は、「3. 事業等のリスク (1)当社のリスクマネジメント体制について」に記載のとおりであります。ESGに関わる重要なリスク要素に関しても、SMWGがESGの側面から各ユニットの施策立案と活動をサポートすることを通じ、他の事業リスクと同等の体制でマネジメントされます。

 

④ 企業価値向上のための戦略

 当社グループの企業価値向上においては、経済的価値向上のドライバーとステークホルダー価値向上のドライバーは必ずしも明確に区分されるものではなく、むしろ相互に不可分な要素から成り立っています。事実、当社グループにおける事業活動のすべては、半導体の性能改善や半導体の普及促進などを通じて直接的・間接的に持続可能な社会の実現に貢献するものです。これを踏まえ、当社は2021年度より中長期経営方針「グランドデザイン」における将来の企業価値向上に向けた戦略を下記の5項目へ改訂し、その推進に努めています。

 

[ 中長期経営方針「グランドデザイン」における5つの戦略 ]

1. コア・ビジネスの強化、重点投資

2. オペレーショナル・エクセレンスの追求

3. さらなる飛躍への価値探求

4. 新事業領域の開拓

5. ESGのさらなる推進

 

 また、上記5つの戦略の効果的な推進と着実な企業価値向上を担保するべく、当社グループでは中長期的な視座のもと重点施策を展開しています。具体的には、顧客価値向上など事業上の価値創造に関わる施策、人的資本高度化など事業基盤の強化に関わる施策、経営執行体制の見直しなど経営基盤強化に関わる施策、そして社会・環境面におけるグローバル・リスクへの対応など、網羅的な観点から重要施策を抽出し、それらに取り組んでいます。ESG課題への対応もこれらの取り組みの一環として実践されており、ESG課題の中で中長期的に重要度の高いものを「ESG行動計画」として整理し、戦略的に推進しています。当社グループにおける社会課題の重要性の変化に応じ、「ESG行動計画」における活動項目およびそれらの優先度は毎年見直されます。

 

⑤ 指標および目標

 当社グループが現時点で重要と認識するサステナビリティ領域・課題、およびそれらの目標や指標については、当社グループホームページに掲載している統合報告書またはサステナビリティ・データブックをご参照ください。

統合報告書(https://www.advantest.com/ja/about/annual.html)

サステナビリティ・データブック(https://www.advantest.com/ja/sustainability/report/)

 

(2)気候変動関連の取り組み

① TCFD提言への取り組み

 当社グループはThe Advantest Wayのもと、長期的な視点で「緩和策」と「適応策」の取り組みを継続し、重要な社会課題である気候変動への対策に事業を通して貢献します。2020年4月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同しました。本項目では、TCFDの提言に沿って気候変動関連の重要情報を開示します。

 

② ガバナンス

 当社グループにおける環境経営推進体制は、SMWGにおける環境経営グローバル・リードのもと、ビジネス・ユニット、ファンクショナル・ユニット、リージョナル・ユニットで構成されています。

 当社グループ全体の環境目標の設定については、「ESG行動計画」の策定およびその見直しを通じて行われています。具体的にはTCFDやSBTiのフレームワークを参照しつつ、業界団体における環境関連コンソーシアム等の動向を踏まえながら毎年見直しを行っています。

 

③ 戦略

 当社グループの環境活動は、「気候変動」「環境破壊物質」「資源循環」「生物多様性」の4つを重点テーマとして推進しています。これらの推進においては、顧客や取引先などの社外ステークホルダーとの協働が不可欠であることから、GHG排出削減と再生エネルギー導入を中心に、気候変動問題における課題ごとに中期的な目標を定め、社内外一体となったタスクフォース(TF)を設置し、環境課題に対する責任ある取り組みを推進しています。

 具体的には、顧客との協働によるスコープ3カテゴリー11に対処するためのTF1「製品開発におけるCO2削減」およびTF3「顧客との協働によるCO2削減」、サプライヤーとの協働によるスコープ3カテゴリー1に対処するためのTF2「取引先との協働によるCO2削減」、自社の生産プロセスによる直接排出スコープ1+2に対処するためのTF4「省エネ設備、再エネ導入による事業活動上のCO2削減」の4つのTFを通じ、活動を展開しています。

 

④ 気候変動のリスクと機会

 気候変動がもたらす影響に対応するため、TCFDの分類に沿って、気候変動のリスクと機会を検討しました。これらのリスクと機会について「重要度」と「影響度」による評価を行うとともに、「短期(現在から2027年まで)・中期(現在から2030年まで)」と「長期(2050年まで)」の時間軸に分類しました。

 シナリオ分析においては、2℃、4℃ともに、以下の時間軸で検討しております。

・移行リスクや機会に関するシナリオは政策動向などを正確に反映させるため2030年

・物理的リスクや機会に関するシナリオは物理的影響が如実に現れると考えられる2050年

そのため、移行リスクを「短・中期」、物理的リスクを「長期」としています。

 

<気候変動関連のリスク>

 気候変動関連の事業リスクについては、①主に2℃未満シナリオの途上に起こる「脱炭素社会への移行に関連したリスク」と、②世界のCO2排出量削減未達により4℃シナリオに至った場合に発生する「気候変動に伴う物理的影響に関連したリスク」の2つのシナリオに関し、TCFDの分類に沿って検討しました。

 

2℃未満シナリオ:脱炭素社会への移行リスク

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4℃シナリオ:気候変動に伴う物理的リスク

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<気候変動関連の機会>

 気候変動対策が強化された脱炭素社会においては、半導体が大きく貢献します。デジタル革命による半導体需要のすそ野の広がりなど、今後半導体生産数は増加の一途をたどることが想定できます。並行して半導体の技術進化・複雑化により、半導体試験の質と量が高まります。1チップ当たりのテスト内容の強化と半導体の物理的な増加、この2つの要素の掛け算で半導体テストの需要が増加することが見込まれ、当社グループは脱炭素社会を気候変動の機会と認識しました。こうした技術進化のための研究開発費や次世代に対応する人財づくりなど、先行的な投資も行い、当社グループは、半導体テストの事業と新たな半導体技術に対応する製品開発を通じて未来の脱炭素社会の実現に貢献していきます。

 

気候変動関連の機会

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⑤ リスク管理

 当社グループでは、事業経営の阻害要因となるものをリスクとしてとらえ、全社的なリスクマネジメントの体制を整備しています。全社的なリスクマネジメント体制は、「3. 事業等のリスク (1)当社のリスクマネジメント体制について」に記載のとおりでありますが、気候変動が及ぼすリスクもこの仕組みの中でマネジメントされます。具体的には、気候変動に伴う緊急性のあるリスクと、将来起こりうるリスクの事案の分析・評価を行い、そのリスクを回避・軽減する施策を実施しています。

 

⑥ 指標および目標

 気候変動関連のリスクおよび機会に関する指標と目標は「ESG行動計画」によって管理されています。当社グループでは、気候変動対策の中長期目標として、2050年度にScope1+2におけるGHG排出量ゼロを目標として掲げています。またScope1+2におけるGHG排出量を2030年度に2018年度比60%削減、Scope3におけるGHG排出量を2030年度に2018年度比15%削減する目標を掲げています。これらの目標はSBTi認定を取得し、当社グループのGHG削減目標が科学的根拠に基づいたものであると認められました。

 ESG行動計画および環境の取り組みの詳細については、当社グループホームページに掲載している統合報告書およびサステナビリティ・データブックをご参照ください。

 統合報告書(https://www.advantest.com/ja/about/annual.html)

 サステナビリティ・データブック(https://www.advantest.com/ja/sustainability/report/)

 

(3)人的資本

① ガバナンス

 当社グループでは、2022年にCHO(Chief Human Capital Officer)を設置し、CHOを頂点とするグローバル共通の人事課題への取り組み体制および各地域個別の人事課題への取り組み体制を整備しました。また、人的資本に関する事項の決裁権限については、グローバル組織およびグローバル職務権限規定で定めており、重要な事項の決裁にあたっては、CHOの事前承認またはCHOの決裁を求め、適宜取締役会に報告するなど、グループ全体を考えたガバナンスを確保しています。

 

② 戦略

 前述のとおり、当社グループは、経営理念「先端技術を先端で支える」を体現する会社であり続けるため、中長期経営方針「グランドデザイン」を策定し、それを実現するための戦略課題に取り組んでいます。

 これらの戦略課題実現にあたっては、人的資本、研究開発資本、製造資本、顧客関係資本等の整備、強化が必須です。人的資本は、これらの資本の基盤となるものでもあります。したがって、当社グループの人事戦略は、経営戦略と密接に結びついたものである必要があります。そのため当社グループは、人的資本の総合力を高めるべく、「個人の力」と「組織の力」を両輪として、様々な取り組みを進めています。「個人の力」を高めるために、当社グループは従業員の能力開発に一層の力を入れると同時に、採用およびリテンションプログラムの改善等を通じて必要な人財の確保を進めています。また、「組織の力」を高めるために、エンゲージメントの向上や多様な人財の定着・活躍に取り組んでいます。さらに、これらの両輪をつなぐものとして、経営理念の体現に必要な人事制度を継続的に見直しています。

 これらの人事戦略の一部である、当社グループの人財育成基本方針および社内環境整備方針は次のとおりです。

 

a. 人財育成基本方針

 当社グループは、人財を当社の持続的成長に不可欠な人的資本としてとらえ、人財の育成は人的資本への投資であり、育成により高めた「個人の力」とこれを活かす「組織の力」の両輪が従業員エンゲージメントを高め、当社の価値創造を推し進めると確信しています。The Advantest Way、コア・バリュー「INTEGRITY」を礎に、技術戦略や卓越した経営戦略のもとで、人財開発フレームワークに基づき、積極的、継続的かつ公正に人財の育成に取り組みます。

 

1.キャリア自律

 私たちは、従業員が積極的にキャリアアップすることを奨励し、目指すキャリアに求められる経験や知識を得るためのリソースやサポートを提供します。

 

2.グローバル人財

 私たちは、長期的な視野に立ち、グローバルな視点で専門性やマネジメントリテラシーを高める機会を提供し、人財を育成します。

 

3.最先端人財

 私たちは、経営理念「先端技術を先端で支える」を体現するため、長所をさらに伸ばすことにより、最先端にチャレンジするハイパフォーマーの育成を目指します。

 

4.Advantest Development Framework

 私たちは、The Advantest Wayおよび経営戦略に基づき、当社のすべての従業員のため、キャリアアップに求められるスキルをAdvantest Development Frameworkとして表し、必要なリソースを提供します。

 

b. 社内環境整備方針

 当社グループは、人財を当社の持続的成長に不可欠な人的資本としてとらえ、その価値を最大限に引き出すことが当社の企業価値向上に直結することを認識し、The Advantest Way、経営戦略およびこの基本方針に基づき、積極的、継続的かつ公平に人的資本に関する社内環境の整備に取り組みます。

 

1.企業文化

 私たちは、The Advantest Wayが、多様性に富む当社従業員をグローバルに結束したチームをつくる企業文化の礎であることを理解し、すべての従業員が日々の業務生活の中でThe Advantest Wayを体現、実践できるよう、継続的にThe Advantest Wayの定着および浸透に取り組みます。

 

2.人財開発・育成

 私たちは、意欲ある当社従業員の自律的なキャリア形成を促すため人財開発・育成の強化に取り組みます。人財の力強さと課題は、定期的なエンゲージメントサーベイにより把握し、適宜、当社の人財開発・育成の施策およびアクションプランに反映していきます。

 

3.健康経営

 私たちは、健康宣言のもと、従業員の健康維持・増進に経営的な視点から戦略的に取り組みます。

 

4.働き方、職場環境

 私たちは、従業員一人ひとりがワーク・ライフ・バランスを実現できるよう、多様な働き方を受け入れ奨励し、支援を行います。また、オフィス環境を整備するだけでなく、リモート勤務環境の強化についても必要なサポートを提供します。

 

③ リスク管理

 全社的なリスクマネジメント体制は、「3. 事業等のリスク (1)当社のリスクマネジメント体制について」に記載のとおりでありますが、人的資本に関するリスクもこの仕組みの中でマネジメントされます。そのほか、企業倫理ヘルプラインを設置し、職場だけでは解決が難しい人権についての問題や相談がある場合に、企業倫理相談室に報告・相談できる制度を設けています。報告・相談事項は企業倫理相談室が中心となって対応し、報告者・相談者が不利益な扱いや報復行為を受けることがないよう、名前を匿名化するなど、万全な注意を払っています。また、ヘルプラインの相談・報告をより行いやすくするため、外部の法律事務所(弁護士)への通報窓口を設けています。なお、これらのヘルプラインは当社グループ拠点所在地の全言語で利用が可能であり、グローバルイントラネットのトップページにリンクを貼っています。

 また、国内においては、労働組合とともに人権擁護・人事苦情処理委員会も設置し、国内の人権問題についての相談を受け付けています。相談者のプライバシーに十分配慮したうえで人権擁護・人事苦情処理委員会が適切な対応を実施し、迅速な解決を図っています。

 

④ 指標および目標

重点テーマ

目標

KPI

2022年度

実績

2023年度

目標

2030年度

目標

ダイバーシティ

人権の保護・尊重

ジェンダー間の公正な処遇

女性管理職比率

9.0%

10.5%

17.0%

 

人権方針の浸透・実践

人権教育・研修の実施(参加率)

99.5%

100%

100%

 

ワーク・ライフ・バランス

産休・育児休暇後の復職率(単体)

93.7%

100%

100%

 

 

男性社員の育児休職取得率(単体)

21%

25%

50%

従業員エンゲージメント

魅力ある企業文化の浸透、維持、向上

Gallup社サーベイのスコア

3.64(注)1

3.75

4.1

人財への投資

労働安全衛生の維持・向上

労働災害発生率(度数率)

0.47

0

0

 

健康経営推進

ホワイト500認定(日本)

認定

認定

認定

 

従業員の能力開発

教育・研修費用(億円)

4.8

6.0

10.0

(注)1.2021年度実績(2022年度はサーベイ未実施)

2.(単体)と記載している項目以外は、連結ベースでの数字となります。

3.提出会社の女性管理職比率および労働者の男女の賃金の差異は、「第1 企業の概況 5.従業員の状況」に記載しております。

 

3【事業等のリスク】

 

(1)当社のリスクマネジメント体制について

① 組織

 内部統制委員会が定めたリスクマネジメント方針のもと、各ユニットがリスクマネジメントを行い、その状況を内部統制委員会が監督・評価してフィードバックを行います。コンプライアンスに関するリスクはChief Compliance Officer(CCO)に情報が集約されます。その他、取締役会、監査等委員会、経営会議に直接報告されるリスク情報もあります。

 また、有事の際に迅速に対応するため、社長を本部長とする危機管理本部も設置しています。

 

② プロセス

 取締役会、経営会議が策定した経営計画を、各ユニットが自部門の施策に落とし込みます。

 内部統制委員会では、それらの施策達成を阻害する要因をリスクと定義し、各ユニットにリスクの特定およびリスク対応の報告を求めるとともに、全社的な視点から各ユニットのリスク分析およびユニット間の情報共有等をサポートしています。各ユニットは、自部門におけるリスクマネジメントの状況を、年2回内部統制委員会に報告します。内部統制委員会は各ユニットのリスクマネジメント状況を確認し、各ユニットに対してフィードバックを行います。内部統制委員会事務局から、各ユニットに対し、適宜、リスク分析・対応の提案、情報提供等の支援も行っています。

 また、コンプライアンスに関するリスクはCCOに情報が集約された後、CCOから取締役会、監査等委員会、経営会議に報告されています。リスクの性質に応じて、取締役会または経営会議に直接報告されるリスク情報もあります。取締役会または経営会議では、適時に意思決定をして関連ユニットに指示を出す等、コーポレートレベルでのリスク対応を行っています。

 緊急の案件が生じた場合には、危機管理本部の指示のもと、より迅速な対応が可能となっています。

 

(2)事業等のリスク

 当社グループの事業等に関連するリスクにおいて、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクとして、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項は、以下のとおりです。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。

 リスクにおいて想定されるシナリオならびに、リスクへの対応については、個々のリスク項目の中に記載しております。また、「発生可能性」については、短期的視点に加え中・長期的に発生する確率、「影響度」については、発生した際に売上高、当期利益に与える影響により、それぞれ評価しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

リスク項目マップ

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(注)図表の中の記号は、リスク種別ならびに通し記号であり、後述する各リスクの分類と一致しております。

(1)外部環境リスク

 (1) - a

 

当社グループの事業と業績は半導体産業の顕著に変動する需要に影響されます。

分類

発生可能性

影響度

(1) 外部環境

a 業界特性

 当社グループの事業は、半導体設計製造会社(IDM)、ファブレス半導体企業、ファウンドリーおよびテストハウスの設備投資に大きく依存しております。これらの企業の設備投資および一般投資は、主に半導体に対する現在および将来の需要、ならびに半導体を利用した製品に対する需要によって決定されます。また、その需要は世界経済の全体的な状況の影響を大きく受けます。

 今日までの経験として、半導体業界の不況時において、一般的に半導体メーカーのテストシステム投資を含む設備投資は、半導体の世界的な出荷額の減少率よりも大きく減少します。半導体業界では、過剰在庫の時期が繰返し発生するなど今まで周期的な動きを示しており、そのことが当社グループの製品を含め、半導体業界のテストシステムに対する需要にしばしば深刻な影響を与えてきました。

 近年の半導体の複雑化に伴い、信頼性確保の必要性が増大し、同時にテスト効率改善の難易度も高くなる傾向にあり、テスタ需要は今後、持続的に増加することを予想しておりますが、国際政治情勢の大きな変化や深刻な感染症の蔓延等による世界経済への影響による半導体需要変動、テスタ需要変動のリスクは有しています。

 半導体市場の顕著な需要の変動は、以下の様々な要因から影響を受けます。

  ・世界経済の全体的な状況

  ・半導体業界の動向

  ・通信インフラ投資の水準およびスマートフォンやウエアラブル機器などの通信機器端末の需要の動向

  ・データセンター、パソコンおよびサーバー業界の需要

  ・テレビ、ゲーム端末、VR(バーチャルリアリティ)/AR(拡張現実感)機器を含むデジタル・コンシューマー機器に対する消費者の需要

  ・自動車、ロボティックスおよび医療機器などの産業機器市場の動向

  ・ニューラルネットワークを活用したAI・人工知能、画像認識、音声認識サービス拡大による高性能半導体市場の動向

 当連結会計年度における半導体市場の需要と当社グループの業績については、「4.経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績の状況の分析」に記載のとおりであり、当社グループの業績は、引き続き半導体業界の顕著な需要変動に大きな影響を受けると考えられます。そのため、半導体業界における大規模な不況が発生した場合、過剰な在庫を抱えたことによる棚卸資産の評価損など当社グループの財務状況と事業成績に、悪影響を及ぼすこととなります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、半導体量産工程の前後にある、半導体設計・評価工程や製品・システムレベル試験工程といった近縁市場への事業拡大を図るとともに、生産のアウトソース化推進、リカーリングビジネスや新規事業を含むサービス他事業の強化により、需要の変動にも対応できる体制構築に取り組んでいます。

 

 (1) - b

当社グループの事業は、国際的な事業展開に伴う経済的、政治的またはその他のリスクを有します。

分類

発生可能性

影響度

(1) 外部環境

b 外部環境への感度

 当社グループは世界中で部品の調達、製品の生産および販売を行うため、その事業は国際的な事業展開に伴うリスクを有しております。当社グループの当連結会計年度の総売上高に対し、台湾、中国および韓国への売上が大半を占めるアジア地域(日本を除く)は85.5%、米州は7.7%、欧州は3.1%を占めております。海外事業での売上高は、今後も継続して売上高全体の大きな割合を占めると予想されます。また、当社の販売・サポートの子会社は米州、欧州および台湾、シンガポール、韓国、中国等のアジア地域に展開し、サプライヤーや生産工場も韓国やマレーシア、アメリカなどの海外に展開しております。したがって、当社グループの将来の業績は、以下を含む様々な要因から悪影響を受ける可能性があります。

 

・ 米中貿易摩擦等の保護主義政策を受けて輸出入制限や許認可制度の歪みにより当社製品の需要喪失や製品・サービスを供給できないリスクあるいは部品が調達できないことによる供給力低下リスク

・ 部品を調達し、製品を生産および販売する国における政治的、経済的な混乱、紛争、自然災害、疫病またはその他のカントリー・リスク

・ 感染症を含む疫病がグローバル経済発展に伴い世界へ拡散することにより、人の移動、物流を阻害し経済全体が停滞するリスク

・ パンデミックにより特定地域のサプライヤーの生産工場の閉鎖、稼働低下、また移動手段の制限による調達リスク

・ 政治、経済、技術の覇権争いあるいはテロ・戦争等における国家間の関係悪化等による社会的・政治的混乱が発生するリスク

・ 税法の改定または当局との見解相違による潜在的なマイナス影響

・ 移転価格税制等の国際税務に関するリスク

・ 事業展開が広範囲におよぶための人事・管理面の困難性

・ 異なる知的財産保護制度

・ 遠隔地であることおよび法規制が異なることによる売上債権回収の困難性

・ サプライヤーや生産工場が、機械加工および組立のインフラのレベルが発展途上の国にある場合の調達および生産における品質低下のリスク

・ 地球温暖化に伴う局所的な重大災害発生がサプライヤーや生産工場の操業停止を招き、製品製造や出荷が遅延・停滞するリスク

・ 各国、各地方環境当局の環境規制によるサプライヤーの生産停止リスク

・ サプライチェーンにおいて低品質品および模造品が混入した場合の、コストの増加や納期の遅延および商品修理費用が発生するリスク

・ サプライチェーンにおいて人権侵害に関与するリスク

●対応

当社グループは、リスクを軽減するため、海外拠点のリスクに関する情報収集をタイムリーに行うことに加え、顧客およびサプライヤーとの関係構築をより一層強化するとともに、サプライチェーンリスクの見える化、カスタム要素の高い専用部品の供給契約の締結、調達ルートや生産拠点の拡張を図りつつ、環境や人権などにも配慮したエシカルサプライチェーンの構築に向けての活動を進め、経済や政治動向に左右されにくい体制構築に取り組んでいます。またサプライチェーンにおける人権問題に関しては、調達方針を定めた上でサプライヤーに対して人権や労働安全に対する取り組みの理解を求める働きかけを行うことでリスクの軽減を行っています。

 

 (1) - c

利用している化学物質に対する規制の強化や環境関連の法規制の厳格化が行われた場合には、その対策に多額の費用が発生する可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(1) 外部環境

c 諸規則改変

当社グループが利用している化学物質の中で、その製造、処理および販売に関し、日本の政府機関や外国の様々な業界組織、またはその他の規制機関の環境関連法と規則が適用されるものがあります。そしてこれらの規制機関は、当社グループが使用する化学物質に対して、適用される既存の規制強化や、新たな規制に乗り出す可能性があります。当社グループは、製品に組み込む部材に含まれる有害物質の排除を進めておりますが、製品の信頼性の確保を優先するため、電子部品の取付けにおいては、一部の製品を除き鉛の含まれるはんだを使用しております。また、半導体・部品テストシステムやメカトロニクス関連製品の冷却方式では、使用に関わる法的規制を受けていないフッ素系液体を一部使用しております。当社グループは、製品の安全性や信頼性の確保を第一に、製品の環境対策を進め、化学物質の使用における規制を遵守していると考えておりますが、特定の国において規制要件が変更された場合には、関連する変更に対応しなければなりません。新しい要件への対応のために多額の費用がかかる可能性があります。関連する政府または業界規制への対応ができない場合、販売の継続または拡大の妨げとなる可能性があります。地球環境問題については、温室効果ガス排出規制、エネルギー効率規制、欧州サーキュラーエコノミに関する規制、炭素税等の環境関連の法規制が将来さらに厳格化した場合に、その対応のため多額の費用が発生する可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、環境規制に係る化学物質の動向ならびに法規制についてモニターするとともに、化学物質については代替技術の検討を行っています。

 

 (1) - d

当社グループは激しい競争に直面しており、シェアを維持、拡大できない場合は、ビジネスが損なわれる可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(1) 外部環境

d 競合他社

 当社グループは世界中で激しい競争に直面しております。当社グループの主要な競合企業は、半導体・部品テストシステムの市場においては、Teradyne, Inc.、Cohu, Inc.、YIK Corp.、UniTest Inc. および EXICON Ltd.等があります。メカトロニクス関連の市場においては、テスト・ハンドラでは、Cohu, Inc.、TechWing Inc.、および Hon. Precision, Inc.等、デバイス・インタフェースでは、TSE Co., Ltd.、ESA Electronics Pte. Ltd.、TFE Inc.および ISC.Ltd.等と競合しております。一部の競合企業は当社グループよりも多くの資金、その他の資源を有しております。

 当社グループはその事業において、テストコストの削減につながる半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品を望む顧客からの圧力が強まるあるいは顧客によるテストシステムの内製化など、多くの課題に直面しております。デバイス・インタフェースについては、リカーリングビジネスである特性(顧客のランニングコストに相当)故、常に強いコスト削減要求を受けており、競合企業がビジネス確保のため、コア技術部品のベンダーを買収したり、高性能を実現する上で不可欠なPCBの設計/製造技術が競合企業に流出した場合、製品性能の優位性と価格決定主導権を喪失し、ビジネスの維持/確保が困難になります。

 当社グループが競争に打ち勝ち、シェアを維持、拡大していくためには、継続的にそのビジネス・プロセスを改良して製品コストを削減する、あるいは全体的なテストコストを低減させる必要があります。また、競合他社が今後も価格と性能の向上した新製品を投入し、そのカスタマー・サービス/サポートの提供を増強し続けたり、新規参入企業による低価格テスタの投入などが予想されます。競争が大幅に激化した場合、当社グループの利益が減少する可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、顧客ニーズを把握した上で、競合についての情報収集・分析を行い、独自技術、付加価値の高いソリューションを提供することで、製品競争力が維持できるよう努めています。

 

 (1) - e

当社グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの感染症に関して以下のリスクを想定しています。

分類

発生可能性

影響度

(1) 外部環境

e 災害・壊滅的損失(感染症)

① 当社グループ、顧客、サプライヤーの従業員が感染することによる業務中断や効率低下

② 世界各地の移動制限や都市封鎖が長期化することで生じる次の問題

 i)   当社グループや委託先において製造人員の安定確保ができないことによる製品供給能力低下

 ii)  移動制限による顧客サポート能力低下

 iii) 世界的規模のサプライチェーン寸断(部材調達難、物流遮断等)による製品供給能力低下

③ 世界経済の悪化による最終需要減とエレクトロニクス業界全体への波及、半導体市場および半導体製造装置市場の減速

④ 顧客のサプライチェーン変動などを通じ、半導体産業の構造が中期的に大きく変化する可能性

⑤ ポストコロナ時の人々の生活様式および社会の変化がもたらす事業環境の変容

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、社長直轄の危機管理本部が主導して、(1)在宅勤務、出張禁止など従業員の安全と健康を最優先にした対応の徹底、(2)顧客へのオンラインサポート、(3)生産、販売、在庫、物流状況の世界レベルでの把握、(4)感染者が発生した場合のBCP対策、(5)グループ会社間の支援物資融通、(6)資金管理等、感染症への対応を図っています。

 

 (1) - f

主要な研究開発施設、生産施設、情報技術関連施設、製造委託先またはサプライヤーの施設が巨大な損害を被った場合、業績に重大な打撃を受けることになります。

分類

発生可能性

影響度

(1) 外部環境

f 災害・壊滅的損失(災害)

 当社グループの半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連事業の国内の主要な研究開発施設、生産施設ならびにサービスの拠点は、群馬県、埼玉県および宮城県にあります。また、主要な基幹システムサーバーとネットワークのハブは、ISMS(情報セキュリティマネージメントシステム)の承認を受けたシステムセンタに設置され、さらに、日本の一部の事業所にもローカルにサーバーが設置されております。

 日本は地震が起こる可能性の高い地域であり、これらの施設、特に半導体・部品テストシステムの工場が地震、洪水等による巨大な損害を受けた場合、事業に支障を来し、製造、出荷および収益に遅れが生じ、施設の修理または建て直しのために巨額の費用が発生する可能性があります。当社グループは、地震以外の原因によるほとんどの潜在的な損失をカバーする保険に加入しておりますが、これらの保険は起こり得る損失すべてを十分にカバーしない可能性があります。また、製造委託先、サプライヤーの施設、または情報サービス網の施設が同様の重大な損害を受けた場合も、当社グループの事業に支障を来す可能性があります。

 当社グループは、大規模災害等の危機発生時に備え、各部門で対応手順書を定めておりますが、さらに、基幹事業を停止させないこと、停止した場合でも重要な設備を含め可能な限り短期間で再開させることを目的として、事業継続計画(Business Continuity Plan)を策定し実施しております。しかしこのBCP計画が有効に機能しない場合には、大規模災害等の危機発生時に基幹業務が停止し、再開に長期間を要する可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、BCP計画を策定するとともに、生産拠点や外部サプライヤーの分散化、クラウドの活用によるデータの分散保存等により、事業運営に支障が出ないように努めています。

 

(2)意思決定リスク

 (2) - a

企業買収や資本業務提携により生じるのれんおよび無形資産等は、多額の減損損失を計上し、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(2) 意思決定

a 事業価値評価/投資判断

(M&A/資本業務提携)

 有形固定資産、のれんおよび無形資産については、減損の兆候が存在する場合に、減損テストを行っております。のれんについては、減損の兆候が存在する場合のほか、年次で減損テストを行っております。

 減損損失は、資産、資金生成単位(CGU)またはCGUグループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に認識しております。特に企業買収により生じるのれんおよび無形資産においては、利上げに伴う割引率の上昇や、期待されるシナジー効果が出せずに多額の減損損失を計上した場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは資本業務提携の推進等を目的として投資有価証券等を保有しております。株価の著しい下落、もしくは当該株式の発行会社の財政状態の著しい悪化により減損処理を行った場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

●対応

当社グループは、リスクを軽減するため、M&A等の事業取得に際しては、資本コストを意識した回収可能性を十分に考慮したうえで投資判断を行っています。また、M&A後に、戦略・販売網・管理体制・従業員意識・情報システム等を有機的に機能させるため、Post Merger Integration(PMI)計画を遂行し、シナジー効果の早期実現を目指しています。

 

 (2) - b

当社グループが顧客の技術面の要求を満たす新製品を競争力のある価格でタイムリーに投入できない場合、既存の製品が陳腐化し、財政状態および経営成績に影響を及ぼします。

分類

発生可能性

影響度

(2) 意思決定

b 製品ライフサイクル

当社グループは、急速な技術変化、新しい製品やサービスの頻繁な導入、変化する予測不可能なライフサイクル、進化する業界標準を特徴とするいくつかの産業界に向けて製品を販売しております。当社製品の将来の需要の大部分は、現在設置されている半導体テストシステムでは適切に対応されていない新しいテストニーズを生み出す半導体の技術革新によるものであると予測しております。これらの技術革新に対応する顧客のニーズ、および市場環境に対応したより高い費用効果と効率に対する顧客のニーズには、次のものが含まれます。

· より高度なメモリ半導体、ロジック、アナログまたはセンサ回路を搭載したSoC半導体に対応したソリューション

· 大小のモーター駆動を制御するパワー・デバイスのテスト・ソリューション

· 3D実装技術など先端パッケージ技術を用い、ロジックやメモリなどヘテロジニアス(異種)チップ同士を高度に集積した、複雑なSоCに対応するソリューション

· 電気的特性とタイミング特性を測定、評価することで最先端の半導体プロセスをモニターするパラメトリック試験ソリューション

· より高速に、正確に、安定的にデバイスを搬送するメカトロニクス関連製品

· 半導体チップに組み込まれる自己診断回路を用いた試験技術に対応したソリューション

· 試験チップ周辺回路に搭載される診断回路を用いた試験技術に対応したソリューション

· 最終製品の性能を保証するシステムレベルテストのソリューション

· 試験環境を動的かつ繊細にコントロールするテスト温度ソリューション

· 故障時の迅速な対応と修理に要する時間の最短化

· 顧客のテストコストを削減できるようなトータル・ソリューション

· 最先端フォトマスクのパターン寸法計測、および欠陥観察に対応したソリューション

· 顧客の最新のテスト対象デバイスとテスト仕様に合わせた治工具類

 

 

 また、当社グループは、半導体・部品テストシステムをはじめとする当社製品の需要が、パソコンや高速無線および有線通信のデータ・サービスならびにデジタル・コンシューマー機器、EV自動車、先進運転支援システム(ADAS)、さらにスマートフォン、ウエアラブルおよびデータセンターなどの通信端末に対する需要レベルに、強く影響されると考えています。これらの製品とサービスに使用されている技術の発展により、新しいテストシステムが必要になると思われます。当社グループが新技術を用いて効果的にテストおよび測定できる半導体テストシステムをタイムリーに投入しなければ、既存の製品とサービスは時間の経過につれ技術的に陳腐化します。

 当社グループが顧客の技術的要件を満たす製品を競争力のある価格であるいはタイムリーに供給できない場合、その製品が競合他社の製品または代替する技術ソリューションに置き換えられる可能性があります。さらに、当社グループが製品の価格競争力やタイムリーな供給に必要な人材を十分に確保できなかった場合や、顧客が要求する性能基準を満たし許容可能な価格で製品を提供できなかった場合、その顧客による評価を著しく損なうことになります。そのような評価の低下により、将来その顧客に対する製品やサービスの営業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、主要な顧客との技術交流イベントを開催し、最先端ソリューションに関する情報交換の機会を設けることで、次の技術革新、新しい製品、および目まぐるしいスピードで創出される新市場を特定することに努めています。そして、次世代や将来を見据えた要素技術の基礎的な研究や、製品開発の初期段階から量産に向けた生産技術の開発を行っています。また、当社グループは、PDF Solutions社との業務提携により、半導体製造工程のデータ解析を活用し、顧客ニーズをタイムリーに捉え潜在的な需要も考慮する新製品の研究を行っています。

 

 (2) - c

当社グループの主な製品の市場は極めて集中しており、販売機会が限られているため、製品の売上を拡大できない可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(2) 意思決定

c ビジネス・ポートフォリオ

 半導体・部品テストシステム事業の中でも、特にメモリ半導体用テストシステムの市場は極めて集中したものであり、少数の大きな半導体メーカーとファウンドリーおよびテストハウスが業界全体の売上に大きな割合を占めております。このような業界状況は、近年の半導体業界において、大手の半導体メーカー、ファウンドリーおよびテストハウスによる企業の買収や事業の統廃合などの再編が進むことにより、一層加速していると考えられます。当社グループの売上の増加は、大口顧客から受注を獲得し増加させることができるかどうかに大きく依存します。また、半導体メーカーの統廃合により過剰な設備が中古市場に流れた場合や、あるいは製品が個別仕様への対応に遅れをとった場合にも、製品の販売機会を失うリスクがあります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、様々なアプリケーションに対応した製品を展開することで、顧客とのパートナーシップを強化し、販売機会を逃さないよう努める一方で、新規事業の立ち上げ、M&A等により、事業領域の拡大を目指しています。

 

 (2) - d

当社グループは、設備投資を回収できない可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(2) 意思決定

d 事業価値評価/投資判断

(設備投資)

 当社グループは、設備投資を継続的に行っています。設備投資に対して、顧客の設備投資の抑制により想定した販売規模を達成できない、あるいは競合他社との激しい競争による製品単価の下落などにより、設備投資を回収することができない、または回収できるとしても想定より長い期間を要する可能性があります。そのような場合、当該資産が減損の対象になり、当社グループの収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、資本コストをベースとした回収可能性を十分に吟味したうえで投資判断を行っています。また、投資後は事業成長率をベースにモニターし、資産の有効活用を図ります。

 

 (2) - e

当社グループは新製品の開発コストを回収できない可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(2) 意思決定

e 製品開発

 既存製品の改良と新世代製品の開発は、ほとんどの場合多額な費用を必要とします。さらに、半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品の購入決定は高額な投資を伴うため、一般的に販売活動に要する期間が長く、販売に至るまで多大な支出と営業活動を必要とします。当社グループが製品を改良し新世代の製品を投入したとしても、顧客ニーズの変化、競合他社による新技術・新機能搭載製品の投入、顧客による異なる試験機能を必要とする新製品投入、または顧客の製品が当社グループの期待する速度、レベルで成長しないことにより短期間で時代遅れとなれば、開発と営業の費用を上回る売上高を達成できない可能性があります。場合によっては、業界動向を先取りし、顧客側の製品実用化よりも先に製品の開発を行わなければならないため、革新的技術によるビジネス上の実現可能性を判断する前に、多額の投資を行わなければなりません。したがって、顧客がそれらの製品を迅速に投入できない場合や、またはそれらの製品が市場に受け入れられない場合、当社グループは販売量の増加による製品開発投資のコストの回収に失敗する可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、技術交流会等を通じて顧客ニーズを満たす製品ロードマップの策定や、製品のプラットフォーム化による開発効率の向上、ROICによる投資効果の事前評価等により回収率の向上を図っています。

 

 (2) - f

当社グループの製品は価格低下圧力を受けております。

分類

発生可能性

影響度

(2) 意思決定

f 価格設定

当社グループが事業において受けている部材コストアップ、製品価格低下圧力は、営業利益率に悪影響を及ぼします。昨今、多くの当社取引先部品メーカーが材料費の高騰を理由に部品価格の値上げを実施しています。一方で、当社顧客の半導体メーカーは材料費高騰を生産性の向上、テストコスト低減等で吸収しようと努力しており、当社製品価格低下への圧力は依然強い状況です。

また、近年、複数社ベンダー方式を導入する顧客の増加により、一層の価格低下圧力を受けています。今後、価格低下圧力がさらに強まれば、当社グループの将来の財務状況と事業成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

当社グループは、リスクを軽減するため、独自技術、付加価値の高いソリューションを提供することで、顧客納得感のある製品価格が維持できるよう努めるとともに、生産コスト低減による利益率の向上にも継続的に取り組んでいます。

 

(3) 財務 価格リスク

 (3) - a

為替変動が収益性に影響を及ぼす可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(3) 財務 価格

a 外国為替

 当社グループの売上高の大半は日本国外の顧客への販売によるものです。当連結会計年度の売上高の96.3%は、海外顧客への製品売上によるものです。当連結会計年度の売上高のうち約78%は、米ドルを主とする円以外の外貨によるものです。当社グループが販売にあたり使用する外貨(主に米ドル)が円高に転じた場合、必ずしも製品価格に転嫁することはできないため、当社グループの売上に悪影響を及ぼす可能性があります。なおユーロについては、現状ユーロ建ての売上よりも費用の発生額の方が大きいため、円安水準で推移した場合、収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、円と外貨(主に米ドル)の間の大きな為替変動により、海外において円建てで販売される製品価格を引き下げなければならない場合や、また米ドルやその他の外貨建てで販売される製品売上の円相当額が減少した場合には、収益性に影響を及ぼす可能性があります。これらの変動により、製品価格が相対的に高くなり、潜在的な顧客による抑制または先送りが生じる可能性があります。過去において、当社グループが販売にあたり使用する外貨と円との間の為替レートに、大きな変動が生じたことがあります。

 また、子会社の報告通貨の外国為替レートが円に対して変動した場合、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。外国為替レートの変動は、外貨建ての金額を連結財務諸表の報告通貨である円に換算する金額に影響し、為替変動の向きによっては当社グループの財政状態、経営成績および純資産の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、保有通貨のバランスを調整することに加え、為替予約取引等の金融商品を利用すること、外貨建て金融資産負債が相殺されるようなバランスシート管理を行うことで、為替変動による影響を少なくするよう努めています。

 

(4) 財務 流動性リスク

 (4) - a

当社グループの売上高は、上位顧客の数社が大きな割合を占めるため、これらの1社または数社を顧客として失うことや上位顧客の設備投資の変動が、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの上位顧客の財政状態が悪化した場合、売上債権の回収リスクが発生します。

分類

発生可能性

影響度

(4) 財務 流動性

a 市場の集中

 当社グループの成功は、重要顧客との関係を継続的に発展させ管理することにかかっております。現在ではこれらの少数の顧客が売上高の大きな割合を占めております。顧客上位5社による売上高は、前連結会計年度の売上高全体の約34%および当連結会計年度の同約28%を占めております。これら主要顧客の1社または数社を失うことや主要顧客の設備投資の変動あるいは主要顧客の主要な製品の成否が、当社グループの事業に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、多額の債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払が得られない場合、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

当社グループは、リスクを軽減するため、営業効率に配慮しつつ、新領域の参入を含め、新興市場や新規顧客の開拓により、幅広い顧客層を獲得することを目指しています。

 

 (4) - b

当社グループは、必要な時に資金調達ができないリスクを有しています。

分類

発生可能性

影響度

(4) 財務 流動性

b キャッシュ・フロー

 当社グループは、必要な運転資金について、営業活動により稼得した現預金を充当するほか、企業買収や急激な経済状況の悪化などで資金調達が必要になった場合には社債の発行や金融機関からの借入れ等を行うことがあります。金融市場が不安定になったり、信用力悪化で当社の信用格付が引き下げられた場合には、当社グループにとって好ましい条件で適時に資金調達をできる保証はなく、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、急激な需要変動に耐えられるよう堅固な財務体質を築くとともに、コミットメントラインの活用などを通じて十分な流動性を確保しています。また、資金調達が必要な場合に即時に実行できるよう、複数の金融機関と良好な関係を維持しています。

 

(5) ガバナンスリスク

 (5) - a

Group CEO等経営層の後継者計画が機能しない場合、経営の安定性と持続可能性を確保できない可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(5) ガバナンス

a サクセッションプラン

 当社のGroup CEOを含む経営執行役員および各ユニットにおけるキーポジション(執行役員クラス)の後継者計画が機能しない場合は、経営の安定性と持続可能性を確保できない可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、Group CEOの後継者計画については、指名報酬委員会で、(1)求められる人財要件の整理、(2)候補者の選定、(3)候補者の人物評価、(4)候補者の絞り込み、(5)候補者の育成等について、経営執行役員から構成される経営チームの観点も考慮して、審議、実行しています。さらに、取締役会は指名報酬委員会からの報告を受け、主体的にその内容について議論しています。各ビジネス・ユニット、ファンクション・ユニットのリーダー等のキーポジションの後継者計画については、Group CEOを責任者とする検討委員会で毎年レビューされています。さらに、検討委員会で策定された方針に基づき、執行部門は後継者候補に対してトレーニングや育成計画を設計・実行し、指名報酬委員会および取締役会に適宜状況を報告しています。

 

(6) 評判リスク

 (6) - a

当社グループは、ブランド力の毀損または信用喪失などにより、財務状況および事業成績へ悪影響を受ける可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(6) 評判

a イメージ/ブランド力

 当社グループは、法令や社会的倫理に違反する行為、あるいは製造物責任を含む安全性・信頼性・製品性能などの低下によりブランド力の毀損または信用を喪失する恐れがあり、結果として取引の停止や制裁など社会的措置を受ける可能性があります。

 なお、ISO9001など世界的に認められている品質管理基準にしたがって製品の生産を行っておりますが、これらの製品について欠陥がないという保証はありません。一方、製造物責任賠償については、保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできる保証はありません。したがって部品の品質不良や製品の製造不良による出荷停止や納期遅延、製品の欠陥による大規模な事故の発生や、製品の障害発生および不適切な障害対応による顧客対応費用の増大や、損害賠償請求などを受ける可能性があります。

 

 

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、コンプライアンス部を設置し、会社信用保全のために法令等の遵守意識を高める活動を全社的に継続して行っています。また、安全性・信頼性が高い製品の提供ができるように設計段階でのデザインレビューや製品の生産過程において様々な品質確認を行っていることに加え、品質保証部門によるクロスチェックにより、品質の安定化に努めています。

 

(7) 情報処理 / IT リスク

 (7) - a

当社グループがビジネス上の基幹システムや基幹プロセスのデジタル・トランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことができなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(7) 情報処理/IT

a インフラ

 データとデジタル技術で企業の競争力を高める取り組みであるデジタル・トランスフォーメーションは、IoTや人工知能を駆使したデータ活用による製造現場の革新、生産設備と物流のデータ共有による新価値創出、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらした経営環境の変化への対応など幅広い分野で期待が高まっています。

 しかし、当社グループがデジタル・トランスフォーメーションを進めるにあたり、既存のITシステムの老朽化や複雑化やブラックボックス化により、データが十分に活用されない、あるいは既存システムの維持や保守に資金や人材が割かれ、新たなデジタル技術を活用するIT投資にリソースを振り向けることができない等によって、データ活用が進まなかった場合、競争力を失う、古いシステムの維持管理費が高額化する、またはシステムの保守運用担当者の退職や高齢化によるシステムトラブルやデータ滅失などが発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、保有しているITシステムを洗い出し、用途・継続性と市場の新しい技術への代替を推進しています。また、Digital Workplace(デジタル技術が創造する職場)のコンセプトをグローバルに展開し、組織がイノベーションを起こす機会に繋げることに努めています。

 

 (7) - b

当社グループの情報技術ネットワークやシステムが被害を受けたり妨害されたり停止した場合、業務の継続を妨げ、社会的信用を失いかつ多額の費用負担が発生する可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(7) 情報処理/IT

b セキュリティ

 当社グループは、機密データや個人情報を含む電子情報の処理、送信、蓄積のために、また製造、研究開発、サプライチェーンの管理、販売、会計などを含む様々なビジネス活動およびそのサポートのために、第三者によって管理されているものも含め、様々な情報技術ネットワークやシステムに頼っています。当社グループは情報セキュリティ委員会が、情報セキュリティ対策の方針制定を行っております。また、情報技術ネットワークやシステムについては、前述の方針に基づき、IT部門が構築・運用しております。しかし、ハッカーやコンピューターウイルスによる攻撃、情報セキュリティシステムの誤用、不注意な使用、事故や災害などがあった場合には、当社が実施する防御を超え、業務の継続を妨げ、情報の漏洩やその情報が改竄される恐れがあるだけでなく、法的請求、訴訟、損害責任、罰金を払う義務などが発生し、社会的信用、業績および財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、サイバー攻撃に対する常時監視による検知強化や定期的な情報セキュリティ教育を通じた従業員のリテラシー向上に努めています。

 

(8) 業務運営リスク

 (8) - a

部品が調達できないことにより製品をタイムリーに提供できない、あるいは市場の急拡大に伴う需要に対応しきれない場合には、将来の市場シェアおよび業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(8) 業務運営

a 外部からの調達

 当社グループは、その製品の製造に関し、組立作業の一部をサプライヤーに委託しております。また、当社グループの半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品における多くの部品は、サプライヤーが当社グループの仕様に沿って製造したものであります。サプライヤーへの依存により、生産工程に対する管理は届きにくく、生産能力の不足、出荷遅れ、基準未満の品質、労働力の不足、高コストなど、重要なリスクに直面する可能性があります。さらに、当社グループは、一部の部品または部分品に関して1社または少数のサプライヤーに依存しており、ほとんどの部品および部分品に関して長期間の供給契約を結ばずに個別の発注で購入しております。

 サプライヤーが部品または部分品を必要な数量または満足できる価格で提供できなくなった場合、サプライヤーの事業の撤退等により既に採用または今後採用するカスタム部品および汎用部品の生産もしくは販売が中止となった場合、あるいは大規模な災害や電力不足が発生した場合、条件に合った代替品を見つけて仕入れなければならず、それができなければ、テストシステムの供給能力が損なわれる可能性があります。

 今後半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連事業の市場が急激に拡大した場合には、人員増を含む生産能力を大幅に増強することや、需要が増加する部品を、サプライヤーから適時適切に確保することが必要となってきます。サプライヤーを選び、適切な代替部品または部分品を選定するのは時間のかかる作業であるため、それができなければ、顧客の要求に合った製品をタイムリーに提供できなくなる可能性があります。製品需要の大幅な増加に対応しきれない場合、既存の大口顧客を失う、または今まで取引関係の少なかった、あるいは全くなかった潜在的な大口顧客と強い関係を築く機会を失う結果を招く可能性に加え、受注取消し、製品納入時期の変更調整が発生する可能性があります。その結果、当社グループの将来の市場シェアおよび棚卸資産の評価損等、財政状態と事業成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、社内ワーキンググループ活動を行い、最新技術を考慮した製品設計に関するルールにしたがって、部品ライフサイクルを考慮しながら、複数調達先を候補とする標準部品リストを作成・更新し、特定のサプライヤーに過度に依存しない体制の構築に努めています。さらに、部品および部分品のサプライヤー選定時には、様々なリスクを考慮したベストパートナー探しを行い、継続的な評価・見直しを行っています。また、部品入手性を向上させる取り組みとして、主要サプライヤーとの供給保証契約の締結交渉や、前工程加工を済ませたウエハーの状態で備蓄する「ダイバンク」等で、中間品を確保する対応を行っています。

 

 (8) - b

労働力市場は競争が激しいため、当社グループが多様な専門技術スタッフや多様な運営上の重要なスタッフを採用し維持できない場合等により、事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(8) 業務運営

b 人的資本

 当社グループは、変化の激しいエレクトロニクス業界において事業を発展させるため、開発、製造、マーケティング、営業、保守サービスなどの分野において専門技術に精通した多様な人財や、経営戦略や組織運営上のマネジメント能力に優れた多様な人財の採用および育成を継続的に行い、維持していくことが重要であると考えております。

 しかしながら、必要な人財を継続的に採用し維持するための競争は激しく、働く環境の改善が遅れ、当社グループの制度が時流に則さないものとなったり、報酬水準の競争力が下がったりして従業員にとって魅力が薄れ人財が流出した場合、社員教育が不十分であった場合、または人財の高齢化、退職に対し知識や技術の伝承が不十分であった場合、当社グループの事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、多様で経験豊かな人財のグローバルベースでの幅広い採用、確保を目指します。そのため、経営戦略や人財育成基本方針、社内環境整備方針に基づき、中長期的な採用計画(新卒およびキャリア採用)の策定、ミッション・ビジョン・バリューの浸透活動、働く環境の改善やエンゲージメント向上の取り組み、外部競争力のある報酬水準の確保、社員教育への投資、知識・技術伝承の仕組みづくり等により人財の安定化を図っています。

 

 (8) - c

当社グループは、知的財産に関するリスクとして、第三者にその知的財産を侵害したと主張される可能性、および当社グループの知的財産を適切に保護できない可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(8) 業務運営

c 知的財産権

 当社グループは、意図せず第三者の知的財産権を侵害し、その結果、侵害の責任を問われる可能性があります。この場合、高額な賠償、裁判費用、またはライセンス料を支払わなければならない可能性や、製品を販売できなくなる可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、第三者の知的財産を侵害することのないよう、製品開発時や製品出荷前において知的財産調査等の実施に努めています。

 また、当社グループは、各国で特許権、実用新案権、意匠権、商標権および著作権等を取得することにより、当社グループの知的財産を保護しています。しかし、当社グループの知的財産を侵害していると思われる第三者の製品を入手し侵害を立証することは一般的に困難でもあります。当社グループは、その知的財産権を第三者による侵害から保護することを重要と考え、今後も第三者の製品を監視し、適切な知的財産権の保護に努めてまいります。また、当社グループの顧客に対してもコンプライアンス遵守する旨、発信していきます。

 

4【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況の分析

① 業績

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前年度比

(百万円)

前年度比

(%)

売上高

416,901

560,191

143,290

34.4

 売上原価

 販売費および一般管理費

 その他の損益

△180,994

△121,132

△41

△241,130

△152,042

668

△60,136

△30,910

709

33.2

25.5

営業利益

114,734

167,687

52,953

46.2

 営業利益率

27.5%

29.9%

2.4%

 金融損益

1,609

3,583

1,974

2.2倍

税引前利益

116,343

171,270

54,927

47.2

 法人所得税費用

△29,042

△40,870

△11,828

40.7

当期利益

87,301

130,400

43,099

49.4

当期利益の帰属:

 親会社の所有者

 

87,301

 

130,400

 

43,099

 

49.4

 当連結会計年度における世界経済は、地政学的リスクの高まりに起因する資源の高騰や新型コロナウイルス感染症の影響によるサプライチェーンの混乱などから世界的にインフレが進行しました。それを受けて欧米諸国を中心に政策金利が引き上げられ、さらに2023年に入ると米国発の金融不安が台頭し、景気後退懸念が一層深まりました。

 このような世界経済情勢のもと、半導体市場においても、スマートフォンやパソコン、テレビなど主要民生機器向け半導体の需要が減少し、特に2022年半ば以降、関連する半導体メーカーでは在庫調整や設備投資計画の見直しが顕著となりました。一方で自動車や産業機器向けなどの一部の半導体では依然として充足していない状況もあり、半導体市場はアプリケーションごとにはまだら模様ながら、全体としては減速感を強めつつ推移しました。

 当社の半導体試験装置ビジネスにおいても、民生機器向け半導体の需要落ち込みによる影響を受けましたが、半導体の高性能化を背景としたテスト需要の増加が民生機器向けでの半導体生産数量の落ち込みによる需要の減少を補いました。他方、部材不足や物流網の混乱が広範なサプライチェーンに影響を及ぼし、当社の部材調達は第3四半期までは前年度に引き続き厳しい状況が継続しました。

 このような環境のもと、半導体の品種ごとにテスト需要の強弱がある中で顧客の納期要求に最大限応えるべく、当社は戦略的な部材調達と生産品目の調整に注力し売上目標の達成に邁進しました。

 これらの結果、調達部材の価格上昇はあったものの、増収に加え円安も当社業績に追い風となったことから、当連結会計年度における売上高、営業利益、税引前利益、当期利益のいずれも過去最高額を更新しました。

 

 当連結会計年度の平均為替レートは、米ドルが134円(前年度112円)、ユーロが140円(前年度130円)となりました。

(売上高)

 半導体市場の減速感が強まり半導体の生産数量が減少する中でも、当社のビジネスとしては半導体の高性能化を背景としたテスト需要の増加が、生産数量の落ち込みによる需要の減少を補いました。SоCテスタでは、高水準なスマートフォン関連のアプリケーション・プロセッサ(APU)向けに加えハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)やAI関連の半導体向けテストが売上を牽引しました。加えて需要が強い自動車・産業機器向けなどにおいても売上が伸長しました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前年度に比べ143,290百万円(34.4%)増加の560,191百万円となりました。

 

(売上原価)

 当連結会計年度の売上原価は、前年度に比べ売上高の増加により、60,136百万円(33.2%)増加の241,130百万円となりました。売上原価率は、製品の売上ミックスにおいて好採算品の比率が高まり、前年度に比べ0.4ポイント減少の43.0%となりました。

 

(販売費および一般管理費)

 当連結会計年度の販売費および一般管理費は、売上高の増加に伴うサポート人員増加等に加え、円安による費用の増加により、前年度に比べ30,910百万円(25.5%)増加の152,042百万円となりました。

(その他の損益)

 当連結会計年度のその他の損益は、前年度に比べ709百万円増加の668百万円の利益となりました。

 

(営業利益)

 以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前年度に比べ52,953百万円(46.2%)増加の167,687百万円となり、売上高に対する営業利益の比率は、前年度比2.4ポイント増加の29.9%となりました。

 

(金融損益)

 当連結会計年度の金融収益と金融費用を合わせた金融損益は、前年度に比べ1,974百万円増加(2.2倍)の3,583百万円の利益となりました。これは主に、円安ドル高により為替差益が発生したことによります。

 

(税引前利益)

 以上の結果、当連結会計年度の税引前利益は、前年度に比べ54,927百万円(47.2%)増加の171,270百万円となりました。

 

(法人所得税費用)

 当社グループの法人所得税費用の実際負担税率は、当連結会計年度は23.9%、前年度は25.0%でありました。当社グループの当連結会計年度および前年度の法人所得税に関しては、連結財務諸表の注記16に記載しております。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

 以上の結果、当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年度に比べ43,099百万円(49.4%)増加の130,400百万円となり、売上高に対する親会社の所有者に帰属する当期利益の比率は、前年度比2.4ポイント増加の23.3%となりました。

 

② 生産、受注および販売の実績

 a.生産、受注実績

 当社グループは、原則として受注に基づいた生産を行っており、生産実績については販売実績と傾向が類似しているため、記載を省略しております。受注実績については、短期の受注動向が顧客の投資動向により大きく変動する傾向にあり、中長期の会社業績を予測するための指標として必ずしも適切ではないため、記載しておりません。

 

 b.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年度比(%)

半導体・部品テストシステム事業部門

404,252

39.9

メカトロニクス関連事業部門

59,874

41.5

サービス他部門

96,104

12.0

内部取引消去

△39

合計

560,191

34.4

 (注)1.セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しております。

    2.販売先が総販売額の10%以上におよぶ販売先は前年度、当年度ともにありません。

 

③ セグメントの業績

(半導体・部品テストシステム事業部門)

 当部門は、当連結会計年度において売上高の72.2%を占めております。

 当部門では、HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)デバイスやアプリケーション・プロセッサでの一段の技術進化や性能向上から、SoC半導体用試験装置において、先端プロセス品向けの販売が前年度の実績を大きく上回りました。また需要が強い自動車・産業機器などの成熟プロセス品向けにおいても、売上が伸長しました。メモリ半導体用試験装置については、メモリ半導体市況が大幅に悪化したものの、高性能メモリ半導体向けを中心とした顧客の投資が年度を通して継続され、当社製品の好調な販売が続きました。暦年2022年の半導体試験装置市場は前年比縮小したと見ていますが、当社はマーケットシェアを拡大し、売上が伸長しました。

 以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前年度に比べて115,393百万円(39.9%)増加の404,252百万円、セグメント利益は前年度に比べて57,531百万円(54.5%)増加の163,186百万円となりました。

 

(メカトロニクス関連事業部門)

 当部門は、当連結会計年度において売上高の10.7%を占めております。

 当部門では、半導体試験装置に対する顧客の旺盛な需要を背景にデバイス・インタフェース製品、テスト・ハンドラの売上が伸びました。また半導体メーカーにおけるEUV露光技術の普及や成熟プロセス向けフォトマスクの需要増加を受けて、ナノテクノロジー製品の販売も増加しました。利益面においては、増収効果に加え、製品ミックスが改善し、当セグメントの収益性向上に寄与しました。

 以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前年度に比べて17,569百万円(41.5%)増加の59,874百万円、セグメント利益は前年度に比べて8,863百万円増加(2.5倍)の14,964百万円となりました。

 

(サービス他部門)

 当部門は当連結会計年度において売上高の17.2%を占めております。

 当部門では、当社製品の設置台数の増加に伴い保守サービスの売上が伸長しました。しかしながら、特定顧客向けの売上比率が高いシステムレベルテスト事業において、民生機器向けの需要減少の影響により、下期の売上が急速に縮小しました。また当事業において、中長期的な事業成長を見越した生産体制および開発体制強化によりコストが増加していることに加え、一部製品において棚卸資産の評価損を計上したことから、当セグメントの利益額は前年度を大きく下回りました。

 以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前年度に比べて10,301百万円(12.0%)増加の96,104百万円、セグメント利益は前年度に比べて10,184百万円(57.2%)減少の7,629百万円となりました。

 

④ 地域別売上高

 当連結会計年度の海外売上比率は96.3%(前連結会計年度96.1%)となりました。

 

(日本)

 当連結会計年度の日本における売上高は、前年度に比べ4,141百万円(25.3%)増加の20,522百万円となりました。

 

(日本以外のアジア)

 当連結会計年度の日本以外のアジアにおける売上高は、前年度に比べ110,769百万円(30.0%)増加の479,459百万円となりました。これは主に、台湾と中国において、SоC半導体用試験装置が好調だったことによります。

 

(米州)

 当連結会計年度の米州における売上高は、システムレベルテスト製品、SоC半導体用試験装置およびナノテクノロジー製品が好調だったため、前年度に比べ22,632百万円増加(2.1倍)の42,882百万円となりました。

 

(欧州)

 当連結会計年度の欧州における売上高は、SоC半導体用試験装置が好調だったため、前年度に比べ5,748百万円(49.6%)増加の17,328百万円となりました。

 

(2)財政状態およびキャッシュ・フローの状況の分析

① 流動性および資金源

 当社グループの資金・財務政策は、当社の経理部門が所管しております。当社は資金需要に関して、営業活動により稼得した現預金ならびに手許の現金および現金同等物から充当するほか、必要に応じて債券の発行および株式等の発行ならびに金融機関からの借入れにより資金を調達することが可能であります。

 また、中期的に半導体業界および半導体・部品テストシステム業界の状況が低迷する場合、当社は将来の設備投資またはその他の運転資金需要のために債券の発行または希薄化効果を伴う株式等の発行等を行う可能性があります。

 

② キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末の現金および現金同等物は前年度末より31,045百万円減少の85,537百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度は、70,224百万円の収入となり、前連結会計年度と比べ8,665百万円の収入の減少となりました。これは税引前利益171,270百万円、棚卸資産の増加(△71,638百万円)、法人所得税の支払額(△40,166百万円)、営業債務およびその他の債務の増加(16,484百万円)、営業債権およびその他の債権の増加(△15,582百万円)の他、減価償却費などの非資金項目等の損益を調整した結果によります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度は、26,706百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ20,201百万円の支出の減少となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出(△22,535百万円)によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度は、77,434百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ8,698百万円の支出の増加となりました。これは主に、自己株式の取得による支出(△50,042百万円)と配当金の支払額(△25,418百万円)によるものであります。

③ 資産、負債および資本

 当連結会計年度末の資産は、前年度末に比べ105,528百万円増加の600,224百万円となりました。この主な要因は、現金および現金同等物が31,045百万円減少したものの、棚卸資産が74,069百万円、営業債権およびその他の債権が19,997百万円、有形固定資産が12,654百万円、のれんおよび無形資産が10,460百万円それぞれ増加したことなどによります。

 負債は、前年度末に比べ31,455百万円増加の231,530百万円となりました。この主な要因は、営業債務およびその他の債務が18,910百万円、リース負債が4,622百万円、未払法人所得税が3,821百万円、借入金が2,759百万円それぞれ増加したことなどによります。

 資本または親会社の所有者に帰属する持分は、前年度末に比べ74,073百万円増加の368,694百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は前年度末比1.8ポイント増加の61.4%となりました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載しております。

(4)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。

 この連結財務諸表を作成するために、会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす会計上の判断、見積りおよび仮定を用いております。見積りおよび仮定は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいております。また、新型コロナウイルス感染症については、見積りおよび仮定に重要な影響はないと判断しております。しかしながら実際の結果は、その性質上、見積りおよび仮定と異なることがあります。

 重要な会計方針および見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」(以下、「連結財務諸表の注記」という。)の注3、注4および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項」の(重要な会計方針)、(重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、2022年9月1日付で、下記のとおりコミットメントライン契約を締結いたしました。

借入極度額

300億円

契約期間

3年

担保・保証

なし

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、「先端技術を先端で支える」ために、エレクトロニクス、情報通信、半導体製造を支える計測技術の分野で、今後の事業の中心となる製品の研究開発を進めております。当社グループの研究開発は、新製品の開発と既存製品の改良に注力しております。特に半導体・部品テストシステム事業においては、市場競争力を保ち、顧客の様々なニーズに対応した多くの種類の製品を供給するために多額の研究開発投資を継続的に行う必要があります。また、当社グループは新しい基盤技術の基礎研究も行っております。当社グループの研究開発費は、前連結会計年度は484億円、当連結会計年度は601億円でありました。なお、研究開発部門の従業員は当社グループ人員の3割程度であります。

 当社グループの当連結会計年度における研究開発活動の成果および内容は以下を含みます。

(基盤技術)

· 光計測、光電融合デバイステストシステムに用いる光半導体デバイス、光源および光集積回路の開発

· 超高感度磁気計測に対応するセンサ技術、アルゴリズム技術および応用技術の開発

· 半導体・部品テストシステムに用いる、ピン・エレクトロニクス、パターン・タイミング発生および、DCテストリソース等の要素技術

· 半導体・部品テストシステムに用いる低歪デバイス、高速高周波デバイスなどの化合物半導体の開発

· 多値伝送を含む次世代のプロトコルや光信号インタフェースのテストが可能な技術の開発

· 超高速信号のタイミングや波形品質を多数ピン同時に調整可能なキャリブレーション手法の開発

· 設計工程からテスト工程まで、半導体のサプライチェーン全体にわたるデータ連携および解析手法の開発

 

(半導体・部品テストシステム事業部門)

· 超高速メモリ半導体を実動作速度で試験する半導体・部品テストシステムの開発

· DRAM半導体およびフラッシュメモリ半導体の試験の機能性を向上し、省スペース化した半導体・部品テストシステムの開発

· メモリデバイスの信頼性と機能性を多数個同時に測定可能な高速メモリ・バーイン・システムの開発

· 多ピン化、複雑化が進むSoC半導体を多数個同時測定でき、省スペース化した半導体・部品テストシステムの開発

· 高画素化が進むイメージセンサデバイス、複合化が進むディスプレイドライバデバイス等、応用が特化されたデバイス専用の半導体・部品テストシステムの開発

· ミリ波帯通信規格等の超高周波数および高密度伝送ネットワークに対応した半導体・部品テストシステムの開発

· 多ピン高速対応伝送技術および高速伝送信号コンタクト技術の開発

· 半導体設計環境と半導体・部品テストシステムとのインタフェース用応用ソフトウエアの開発および半導体不良解析用ソフトウエアの開発

· EV(Electric Vehicle)等で使用されるパワーデバイスを試験するための、高電圧、大電流に対応する半導体・部品テストシステムの開発

 

(メカトロニクス関連事業部門)

· 多数個同時測定、高スループット試験を可能とするメモリ半導体用テスト・ハンドラの開発

· 多様化するデバイス品種やパッケージに対応したSoC半導体用テスト・ハンドラの開発

· 高速、高発熱および高信頼性デバイスにおける高低温のリアルタイム温度コントロール技術の開発

· 小型高密度化するデバイスを高精度に搬送・位置決めするための画像位置決め技術の開発

· 高速デバイスを計測するためのデバイス・インタフェース部(基板/回路技術)の開発

· 半導体の小型/狭ピッチ化に対応した搬送技術とデバイス・インタフェース部の開発

· 最先端フォトマスクのパターン寸法計測、および欠陥観察・解析を目的とした、電子ビーム計測装置の開発

 

(サービス他部門)

· 最終製品の総合的な性能保証を目的とした、半導体やそれを組み込んだモジュールのシステムレベルテスト技術および手法の開発

· 多ピン、高速、高発熱および高信頼性デバイスのテスト用ソケットおよびサーマルコントロールユニットの開発

· 微粒子測定法、バイオセンサを用いた、微生物、生体由来物質などの検出のための技術およびシステムの開発

· 光、磁気を応用した、生体の検査、診断のための技術およびシステムの開発

· 高速通信向け材料等の特性を計測できるテラヘルツ分光技術およびシステムの開発

· 当社機器と新計算技術を活用したデータ分析ソリューションとビジネスの開発

 

 当社グループの研究開発施設は、日本、欧州、米国および中国にあります。

 当社グループは世界中の研究者の力を活用するために、研究所間の共同開発活動の促進に取り組んでおります。日本における半導体・部品テストシステム研究開発チームは、欧州および米国の研究開発チームと、ハードウエア開発ならびにソフトウエア開発で緊密な共同作業を行っております。