第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、「金型部品業界でのトップブランドを確立し、製販一体企業としての優位性を活かした高収益企業を目指す」ことを企業ビジョンに掲げ、持続的な企業価値の向上に努めております。また、経営の基本方針となり、全ての活動の指針としての経営理念については以下のとおりであります。

   (経営理念)

①私たちは常に、チャレンジ精神を持ち、お客様のニーズに応える先進技術の開発などをとおして、お客様や

 社会に提案しつづけます。

②私たちは常に、若い行動力とフレキシブルな発想を大切にし、人々の夢が実現できる活力ある企業(職場)

 を創造します。

③私たちは常に、環境への配慮や法令遵守の精神に則り、社会に愛される健全な企業活動を推進し、社会の発

 展に貢献します。

 

(2)経営環境

①企業構造

 プラスチック・プレス金型部品を中心に、さまざまな金型に必要となる、汎用性が高く高品質な標準製品やお客様のニーズにきめ細かくお応えすることが可能な特注品を豊富にラインアップし、金型部品単一セグメントとして、国内事業及び海外事業を展開しております。

②市場環境

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」)の感染症対策と経済活動制限緩和との両立により、先進国を中心に経済・社会活動の正常化が進みました。しかしながら、地政学リスクの高まり、世界的な資源高やエネルギー高、製造業全般の市場悪化等の影響により、依然として先行きが不透明な状況が継続しております。

③お客様動向

 当社グループは、主として自動車関連、電子部品・半導体関連、家電・精密機器関連の分野において、国内外で1万社を超えるお客様にお取引を頂いておりますが、特定業種の景気変動の影響を受けにくいバランスのとれたポートフォリオであるとともに、近年は食品・飲料関連、医療関連といった新分野への拡販にも注力しております。

④競合他社の状況

 当社グループは金型部品事業を主たる事業としておりますが、当該事業には高額な設備や高い技術力を有する加工者の確保等を必要とすることから、比較的参入障壁が高くなっております。

 そうしたなかで、標準製品については、お客様のニーズに応じた製品開発やWeb受注などの顧客利便性の向上を図るほか、製造原価の低減にも積極的に取組んで競争力の強化に努める一方、特注品については、高い技術力に裏打ちされた一気通貫の生産体制と顧客密着型の営業体制をより強化することで、他社との差別化を図っております。

⑤COVID-19拡大の影響等

 COVID-19の業績への影響は今後、緩やかに回復していくと見込んでおりますが、市況はダウントレンドに入っており、当面の間は低調な需要が続くと見込んでおります。

 

(3)経営戦略等

 当社グループは、経営環境の変化に対応するとともに、2022年4月からは、ものづくりにおける自動化・省人化需要を新たな成長エンジンにして、常に「お客様の第一候補」であり続けることを「当社のありたい姿」として設定し、「前・中期経営計画」の残課題や企業価値の向上に向けた新たな施策に取組む3ヵ年の中期経営計画「バリュークリエーション(以下、「VC」)2024」を策定し、これに取組んでおります。VC2024では、「新規・既存事業の拡大」、「生産体制の強化」、「R&D強化」の3つを重点経営課題として定め、この3つの課題への取組みを支える経営基盤の強化策として「DX推進」、「財務戦略」、「サステナビリティ」という縦串を刺すことで解決を図ってまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 経営戦略等で記載のとおり、「新規・既存事業の拡大」「生産体制の強化」「R&D強化」の3つを重点経営課題として掲げるとともに、それらの課題への取組みを支える経営基盤の強化策として「DX推進」「財務戦略」「サステナビリティ」に取組んでまいります。

 

重点経営課題

①新規・既存事業の拡大

 自動化・省人化需要を新たな成長エンジンにし、金型部品の特注品で培った技術力を応用して「FA領域の“特注品”の販売拡大」に取組みます。

 また、受注システム改良等による「お客様の利便性向上」「お客様フォロー体制の強化」への取組みを通じて日本・中国の販売強化を、さらには前・中期経営計画における「販売5極体制の強化」への取組みを発展・深化させ、日本・中国以外の販売網の拡大を狙います。

②生産体制の強化

 自社工場や協力工場の海外生産リソースを活用し、グローバル調達の強化を図るほか、海外工場の生産キャパシティ・技術・品質を改善するとともに、国内工場の生産量も向上させ、グループ生産体制の整備も行います。

 また、ITツールも活用した業務の効率化を行う等、自動化・省力化による生産性改善を図ります。

③R&D強化

 複数の部品を接合することにより、理想的な冷却回路等の作成を可能にする技術『P-Bas』(登録商標)(ピーバス:Punch Bonding and sintering)、3Dスキャナによる形状測定技術「3D計測パートナーズ」等、技術力の向上、新技術開発を継続的に推進し、R&D強化に取組みます。特に、超精密加工が要求される航空宇宙関連に注力しており、2023年5月、民間企業で世界初の月面探査に挑む株式会社ダイモンとの技術パートナー契約を締結しました。

 

経営基盤の強化

①DX推進

 ITツールを活用したお客様向けの新サービスの構築のほか、前・中期経営計画から継続して取組んできた、社内ITインフラの刷新やデータ整備・分析の強化等へ、引き続き取組みます。

 また、業務オペレーション改革によって創出された時間を人財教育へ振り向け、「DX人財」を育成していくことにより、データ分析の共通言語化と、戦略への活用を推進してまいります。

②財務戦略

 「ROIC経営」に注力し、稼ぐ力の強化によりROIC10%以上を安定的に確保し企業価値の向上を目指します。

 また、「株主還元方針」を見直し、配当は「連結配当性向30%以上、かつ株主資本配当率(DOE)3%以上」を指標とすることに加えて、自己株式取得は財政状態や株価等の市場環境の動向を踏まえ、必要に応じて機動的に実施することとします。

 さらには「成長戦略」を明確化し、創出されたキャッシュを最適なバランスで成長投資へ分配します。

 以上の取組みにより、企業価値の向上を図ってまいります。

③サステナビリティ

 脱炭素や人権尊重等、地球環境や社会の課題解決に積極的に取組み、これらを通じて企業価値の向上を図ってまいります。

 また、「人」は「資本」であり「企業価値の源泉」であるとの考えから、「人的資本経営」に取組むとともに、コーポレートガバナンスの強化で、公正で透明性の高い経営を目指してまいります。

 詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、中期経営計画「VC2024」において、経営基盤強化策の一つとして「サステナビリティ」を掲げています。これからの企業が「ビジネス環境」のみならず「社会環境」や「地球環境」との共存が求められていることを認識し、社会や地球環境で発生しているさまざまな課題の解決に取組み、本施策の推進を通じて、社会・地球環境へ貢献するとともに、さらなる企業価値の向上を図ってまいります。

(1)当社グループのサステナビリティ方針

 私たちは、世界のものづくりを支えることを通じて、たゆまぬ成長と企業価値の向上を実現し、社員やサプライチェーンに関わる全ての人々の暮らしと地球環境を守る企業を目指します。

 

(2)当社グループのマテリアリティ

 当社では、世界のものづくりを支える企業として、優先的に取組むべきことを、「ビジネス環境」「社会環境」「地球環境」における課題も踏まえて検討し、「地球環境への配慮」「人権の尊重」「人的資本への取組み」「『製品サービス』の品質・価値の追求」「コーポレートガバナンス」の5つをマテリアリティ(重要課題)として特定しました。

 詳細は、当社ウェブサイト https://www.punch.co.jp/csr/ をご参照ください。

 

(3)ガバナンス

当社グループのサステナビリティ全般のガバナンス体制は以下のとおりです。

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 サステナビリティ委員会は、サステナビリティ全般の基本方針の策定やマテリアリティの特定、マテリアリティごとの活動計画や目標設定ならびにその進捗管理、そしてそれらの情報開示に関する事項等の審議および業務指示を行い、定期的に取締役会へ報告・提案を行います。

 取締役会は、サステナビリティ委員会から報告を受け、サステナビリティ課題に対する監督・指示を行います。

 

<当事業年度の活動状況>

開催頻度:7回

審議内容:マテリアリティの特定、マテリアリティごとの活動計画、指標・目標設定

取締役会への報告:2回

 

(4)リスク管理

当社グループのリスク管理体制は以下のとおりです。

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<リスクの識別・評価プロセス>

 サステナビリティ委員会は、各タスクフォース及び事業部門・管理部門・グループ会社(以下、「タスクフォース等」という。)が認識しているサステナビリティ関連のリスクの識別・報告を指示します。

 サステナビリティ委員会は、報告されたリスクの発生可能性と影響度を評価し、タスクフォース等に対し、リスクを最小化するための具体的対策の取組み及び全社的な指標・目標の設定を指示します。

 

<リスク管理プロセス>

 タスクフォース等は、サステナビリティ関連リスクへの取組み状況を、定期的にサステナビリティ委員会に報告します。

 サステナビリティ委員会は、取組みに対する進捗状況をモニタリングし、その結果を取締役会に報告します。

 

<総合的リスク管理への統合>

 サステナビリティ委員会は、サステナビリティ関連リスクの管理状況を、四半期ごとに開催されるリスクマネジメント委員会に報告します。

 リスクマネジメント委員会は、すべての経営リスク・事業リスクを一元的に管理しており、ここにサステナビリティ関連リスクを統合することにより、これら全リスクに関する第三者評価、リスク管理上の課題・対応策を審議し、その状況について取締役会に報告します。

 

(5)戦略、指標及び目標

①気候変動に関するリスクと機会

気候変動が当社グループの事業活動に与えると想定されるリスクと機会について特定し、財務に与える影響を評価しました。今後、リスクの軽減及びビジネス機会の獲得に向けた対応策を検討してまいります。

区分

分類

気候変動リスク/機会

事業活動への影響

時間軸

評価

移行リスク

施策・法規制

炭素税・排出権取引の導入

炭素税や排出権取引によるコスト増加

省エネ・排出量等環境関連規制

排出規制等による事業活動の制限

技術

低炭素製品への移行にまつわる競争力低下

既存技術・製品の競争力低下

低炭素素材の調達・開発コスト増加

低炭素素材の調達・開発失敗

低炭素・高効率化機械の価格上昇

市場

原材料・生産コスト増加に伴う製品価格上昇による顧客離れ

気候変動対応技術・製品の価格上昇による顧客離れ

輸送手段の脱炭素化にともなうコスト増加

ガソリン価格の上昇、低燃費車導入による輸送コスト増加による顧客離れ

気候変動対応遅れによるサプライチェーン(川上・川下含む)からの排除

取引選定基準への不適合による取引停止

評判

気候変動対応遅れ、情報開示不十分による企業価値の毀損

ステークホルダーからの評価低下

物理的リスク

急性

風水害の激甚化による自社への影響(従業員の安全含む)

生産拠点の被災による事業停止

生産拠点以外の被災による機能停止

風水害の激甚化によるサプライチェーンへの影響

生産・物流の停止

慢性

海面水位上昇による拠点・調達網の移転・見直し

拠点・調達網の見直し、移転に掛かるコスト増加

気温の上昇によるエネルギー使用量の増加

エネルギー使用量の増加に伴うコスト増加

空調設備設置のコスト増加

気温の上昇による従業員の健康面への影響

体調不良者の続出による事業停止

機会

資源の効率化

再エネ・低排出エネルギー利用による補助金等支援政策活用

税制特例・補助金等の享受

高効率設備による操業コストの低減

製造コストの低減による販売機会・利益の拡大

物流の効率化・モーダルシフトによる運送コストの低減

物流コストの低減による販売機会・利益の拡大

エネルギー源

低価格エネルギー利用による操業コストの低減

製造コストの低減による販売機会・利益の拡大

低排出エネルギー利用による補助金等支援政策活用

税制特例・補助金等の享受

製品/サービス

環境対応・気候変動対応製品・サービスの提供

顧客の生産工程削減や省エネ・CO2排出量削減に貢献する製品の需要拡大

脱炭素関連製品における部品需要の取り込み

EV化による半導体・電子部品等の需要拡大

市場

サーキュラーエコノミーへの対応製品による新ビジネス

新規事業、新市場への参入

レジリエンス

自社及びサプライチェーンの強靭化による差別化

災害に強い工場・物流拠点構築による事業継続

 

②気候変動に関する指標及び目標

GHG排出量 scope 1・2

2018年実績

2030年

2050年

当社

8,134 t-CO2

2018年度比 30%削減

カーボンニュートラル

グループ全体

38,295 t-CO2

カーボンニュートラル

 

 

③人的資本に関する方針

 当社グループには、創業者の情熱や執念を今に伝えるべく明文化した「パンチスピリット」と呼ばれる企業アイデンティティがあります。社員一人ひとりの成長が企業の持続的な成長につながるとの認識のもと、創業者精神であるこのパンチスピリットを発揮し、成果として具現化できる人財の育成を進めるため、人財育成方針を定め、多様な施策や取り組みを行っております。

 また、社員のエンゲージメント向上のため、人財育成方針に基づいて社員が学び、成長できる「場」を提供し、一人ひとりが活き活きと働くことができるよう、社内環境の整備と組織風土の醸成を行う、社内環境整備方針を制定しております。多様性が尊重され、社員の健康への配慮がなされ、加えて、心理的安全性が担保された社内環境の整備に向け、各種取り組みを行ってまいります。

 なお、「人財育成方針」「エンゲージメント向上のための社内環境整備方針」は当社ウェブサイトhttps://www.punch.co.jp/csr/をご参照ください。

 

④人的資本に関する指標及び目標

指標

目標

実績(当事業年度)

全管理職に占める女性管理職比率(%)

5.0%

全役職者に占める女性役職者比率(%)

2024年度までに15%

12.8%

男性育児休業取得率(%)

2023年度までに30%

100%

総実労働時間

2024年度までに2021年度比100時間削減

2021年度比40時間削減

有給休暇取得率(%)

2024年度までに70%以上

72.1%

男女の賃金の差異(全労働者)(注)2

78.0%

 

うち正規雇用労働者(注)3

78.3%

 

うちパート・有期労働者(注)4

60.4%

(注)1.上記指標及び目標は、提出会社の状況であります。連結ベースでの目標及び指標は定めておりません。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

3.正規雇用労働者の男女の賃金差異の要因として、女性の管理職比率が少ない(全管理職中女性5%)、単身赴任者(手当付与)に男性が多い(全単身赴任者中女性4%)、夜勤労働者(深夜残業手当付与)に男性が多い、などが影響しております。

4.パート・有期雇用労働者については、パートタイマーは女性が多く、労働時間が短く、賃金もフルタイムよりも少ない。また、男性の有期雇用労働者に嘱託社員(定年後の再雇用社員)が多いため、男性の賃金のほうが高い傾向にあります。

 

 

 

 

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)リスクマネジメント体制

 当社グループは、全執行役員等で構成されるリスクマネジメント委員会を定期的に開催し、グループのリスクについて慎重かつ適正に審議を行っております。当委員会では、組織に関係する様々なリスクを一元的に洗い出し、その中でも当社グループとして事業に与える影響が大きなリスクを特定し対応策を講じるとともに、そのリスクの継続的なモニタリングを実施しております。また、リスクの発生可能性と影響度合いは、様々な社会環境の変化に応じて常に変動しているため、認識するリスクは毎期見直しを行っております。

(2)経営環境関連リスク

 ① 中国におけるカントリーリスクについて

 当社グループは1990年より中国事業を行っており、商慣習や雇用面で日本と異なる環境の中にあって、これまで事業の撤退や大規模な雇用調整もなく現在に至っており、連結営業利益の重要な基盤となっております。今後とも、新たな加工技術の開発や成長が期待できる分野への販売強化により、事業の拡大を見込んでおりますが、政情不安、通商上の摩擦、反日感情の高まり、都市開発政策による立退き命令、人件費の高騰等、事業環境に大きな変化があった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対し、政治・経済情勢、事業活動を規制する法律や政策、都市開発政策等について注視する一方で、何らかの変化・変更があった場合には迅速に対応する体制としております。現状の中国情勢を勘案するとこれらリスクの発生可能性はあるものの、影響の程度については、限定的と認識しております。

 ② 東南アジア及びその他の地域におけるカントリーリスクについて

当社グループは、2013年のマレーシアパンチ完全子会社化を契機に、その後ベトナムに工場を設置するなど東南アジアでの事業を拡大しているほか、インドや欧米での事業展開にも取組んでおりますが、現地の政情不安、規制強化、経済状況の変化、通貨不安等により事業環境に大きな変化があった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対し政治・経済情勢、事業活動を規制する法律や政策等について注視し、何らかの変化・変更があった場合には迅速に対応する体制としておりますが、顕在化するリスクやその影響は様々であると認識しており、海外グループ会社の所在国の現状を考慮すると、いずれのリスクも顕在化する可能性は低いと考えております。

 ③ 為替相場の変動について

連結決算においては、海外グループ会社決算を現地通貨から邦貨換算いたしますので、制度的に人民元、米ドル、インドルピー、マレーシアリンギット等による為替変動リスクがあります。

また、グローバル展開を加速したことにともない、外貨建取引が増加し、また当社においては借入金等の外貨建債権債務を有しており、為替が大きく変動した場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対しては取引通貨毎の債権債務のマリーや、先物為替予約等によるリスク対策を進めるとともに、為替変動に左右されない強い体質づくりに取組んでおります。為替変動による影響額の予測は困難でありますが、連結決算における人民元の変動による換算額への影響額は、当年度においては人民元の為替レートが1円変動した場合、売上については約14億円、営業利益については約1億円程度となります。

 ④ 有利子負債について

当社グループでは、事業拡大にともなう生産設備等への投資の実施により、相応の有利子負債残高を有しており、金融情勢や金融機関等の融資姿勢の変化により資金調達が困難となる場合や、市場金利の上昇等により資金調達コストが増大した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は、主要取引金融機関とのコミットメントライン契約に「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりの財務制限条項が付されております。これに抵触した場合には最大で24億円及び7百万米ドルの借入金について期限の利益を喪失することとなり、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対し当社グループでは、利益の確保や運転資金の圧縮による自己資金の創出により有利子負債依存度の軽減を図るほか、金融政策動向のモニタリングの実施や資金調達先の多様化の推進、取引金融機関との良好な関係を維持することで、資金調達リスクの低減を図っております。これらの影響については、顕在化するリスクの内容により、その影響額は様々であると認識しておりますが、昨今の金融情勢や金融機関等の融資姿勢を考慮すると、いずれのリスクも顕在化する可能性は低いと考えております。また、財務制限条項については、その遵守条件を充足するよう適切な事業運営を行っており、抵触する可能性は低いものと考えております。

 

(3)業界及び事業関連リスク

 ① 顧客の属する業界の動向について

当社グループは、国内外で1万社を超える顧客と取引をしており、特定の顧客グループへ依存することのない、バランスのとれた顧客構造であると考えております。一方、これらの顧客の属する業界は、自動車関連、電子部品・半導体関連、家電・精密機器関連が多く、従って、これらの業界の市況や価格動向、競争激化等が、生産動向や設備投資動向を左右し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状、顧客及び顧客の属する業界の動向については、日常の営業活動による情報収集を基に分析等を行い、大きな変動が予見される場合は、営業政策や生産体制の変更を含む適切な対応策を講じております。なお、リスクの具現化の内容や規模により影響額は様々であり、また、経済情勢や顧客の属する業界の状況により発生可能性も異なるため、リスクの程度を予測することは困難であると考えております。

 ② 競合について

当社グループの事業である金型部品事業につきましては、技術面、価格面、納期面等において同業他社との競合がありますが、策定した事業戦略が計画通り進捗しない場合や、想定を超えた同業他社の動き等があった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。競合リスクについては日常的に顕在化する可能性があり、その影響については顕在化する内容により変動するため合理的に見積ることは困難であると考えておりますが、現状の対応として、標準製品については、顧客ニーズに応じた製品開発やWeb受注などの顧客利便性の向上を図るほか、製造原価低減に積極的に取組み競争力の強化に努める一方、特注品については、高い技術力に裏打ちされた一気通貫の生産体制と顧客密着型の営業体制をより強化することで差別化を図っております。

 ③ 主要原材料の仕入れについて

当社グループは、主要原材料である鋼や超硬材等の仕入れの多くを特定の専門商社やメーカーに依存しております。当社グループは、これらの仕入先から、安定的に供給を受ける体制を構築しておりますが、仕入先の経営戦略の変更や取引条件の大幅な変更、業績変動などが、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これら仕入リスクについては主要仕入先との関係の維持・強化を図っており、現状、仕入先との友好的な取引関係に変化はなく安定的な原材料供給体制を維持・継続しております。従いまして当該リスクの顕在化の可能性は低いと考えております。

 ④ 製品の品質について

当社グループは、国際的な品質管理基準に基づき、製品の品質確保に万全を期しておりますが、製品の不具合による重大な事故、クレーム等の発生により損害賠償請求訴訟等が生じた場合、多額の補償費用等が発生する可能性があります。また、当該問題により、対象製品のみならず、当社グループの製品全体の評価にも重大な影響を与え、ブランドイメージの低下、顧客の流出などを招き、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状においては、当社グループは品質管理基準の適切な運用を実施しており、品質に関するリスクの顕在化の可能性は低いと考えております。

 ⑤ 未開拓・新分野事業について

当社グループは、既存のプラスチック金型部品やプレス金型部品に加え、今後の成長戦略として未開拓事業や新分野への事業参入を計画する場合がありますが、経済状況の変化、関連する技術革新の動向、競合他社等の動きによって計画が想定通り進捗しない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。未開拓や新分野事業に進出する場合は、ある程度リスクを受容することも必要と認識しておりますが、進出の際には当社の強みを活かせる分野に的を絞るほか、市場規模の算定や戦略体系の構築、競合先の状況把握等、事業シミュレーションを十分に行いリスクに備えております。これらのリスクが具現化した場合、その影響額は新規事業の規模や投資額等により異なるため予測は困難であると認識しております。

 ⑥ 債権回収について

当社グループは、国内外で1万社を超える顧客と取引をしており、それぞれの顧客に対して与信管理を徹底しておりますが、顧客の経営状態の悪化などにより債権回収が困難になった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。債権回収リスクに関しては、顧客の経営状態の把握や、売掛金年齢管理による回収促進の徹底、取引信用保険の契約等の債権保全策の導入など対策を講じておりますが、そのリスクを完全に回避できるものではなく、経済情勢等によっても変化するものと認識しております。しかしながら当社グループの取引先は数も多く分散していることから、リスクが顕在化した場合、その影響額は限定的であると認識しております。

 ⑦ 国内物流体制について

当社グループは、国内物流について、外部物流会社への業務委託により東京ロジスティクスセンター(以下、TLC)にて一括集中管理体制で運営することを基本とし、一部地域を除き翌日配送体制となっております。しかしながら、TLCでの何等かのトラブルや自然災害等による物流業務上での支障が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状、TLCにおける物流業務については、当社社員が常駐し委託先である外部物流会社と定期的な打合せを実施する一方で、トラブル発生時や自然災害発生時の物流対応についてルールを策定するなど業務上のリスク回避に向けた取組みを行っており、当該リスクの発生の可能性は低いと考えております。

 ⑧ 情報システムについて

当社グループの事業は、販売管理システム及び生産管理システムをベースにオペレーションが行われているほか、様々な業務管理システムとコミュニケーションツール等を利用して日常業務が行われており、これらのシステムの運用上の安全性は十分に確保されていると考えております。しかしながら、自然災害、ハードウエア・ソフトウエアの不具合等を原因とするシステム障害や、ネットワークへの不正アクセス、コンピューターウイルスの感染等による情報漏洩など、予測不可能な事象が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状、当社グループでは、各管理システムの安定稼働を維持するためデータセンターの活用を進めるとともに、情報システムの安全性や情報セキュリティ強化のため、関連規程を整備し、グループが保有する情報を適切に管理しております。また、昨今、在宅勤務等の拡大もあり、通信ネットワークの監視を通じた外部からの攻撃への対応等を強化するとともに、従業員の情報セキュリティ意識の向上を図るため教育・訓練を実施し、リスクの低減を図っております。これらの対応策により当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。

 ⑨ 固定資産について

当社グループは、顧客の幅広いニーズに対応すべく多くの生産設備等の固定資産を保有しております。これらについては「固定資産の減損に係る会計基準」を適用し、現時点で必要な減損処理は実施しておりますが、今後当社事業所及びグループ会社における損益やキャッシュ・フローの状況等によっては、さらに減損処理が必要となり当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、現時点で当該リスクの顕在化の可能性は低いと認識しておりますが、今後、経営環境の変化を注視しながら、さらなる受注獲得やコスト低減に取組んでまいります。

(4)その他のリスク

 ① 人材について

当社グループは、優秀な人材の確保と育成を重要課題としており、グループの人事制度に基づいた人事諸施策を実施しております。また、必要に応じ社外からの有能な人材の確保も行っております。しかしながら、これらの諸施策が有効に機能しなかった場合や、人材市場の状況により必要人材のタイムリーな確保ができない場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状においては、社員の働き方を改革し、ワークライフバランスの最適化やダイバーシティ経営の実現に向けた取組み等を推進しております。また採用計画に基づく適切な採用活動を通じて安定した人材確保に努めており、これらのリスクが顕在化する可能性は低いと考えております。

 ② 重要な訴訟等について

当社グループが、国内外で事業を行っていくうえで、各国の法制度の違いなどにより、知的財産権に関する訴訟の当事者となる可能性があります。このほか、事業を行っていくうえで重要な訴訟等が提起された場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいては、保有する知的財産権の維持・保護には最善の努力を尽くしており、また事業に係る法律関連事項については専門家と十分協議して推進しており、現状、第三者との間で訴訟に発展するような案件が発生する可能性は低いと考えております。

 ③ 税制度について

当社グループは、各国の税法を遵守し事業活動を行っておりますが、事業のグローバル化の進展にともない、特に海外において、税制の改正や税務行政の変更、また、税務申告や移転価格税制における各国の税務当局との見解の相違等により、予期せぬ税負担が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの対策として、各国の税制の理解や新たな税制改正の内容を正確に把握するなどグループ内の情報共有を緊密に行い、また、移転価格税制については、適宜専門家とも協議しながら移転価格ポリシーの整備等を進めており、これらのリスクが顕在化する可能性は低いと考えております。

 ④ 環境対策について

当社グループは、企業の社会的責任として、環境問題への取組みを非常に重要な課題と位置付けておりますが、予期せぬ環境問題が発生した場合や、関連法規などの改正等により、生産設備の変更や廃棄物処理方法の変更が必要となった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状、当社グループにおいては、「環境理念」や「環境行動指針」を定め、また、ISO14001を取得するなど、環境問題に積極的に取り組んでおり、当該リスクの顕在化の可能性は低いと考えております。

 ⑤ 災害・感染症等について

当社グループは、日本国内の他、中国・東南アジア・インド・米国に製造・販売拠点等をもって事業を運営しておりますが、これらの事業拠点において、地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害が発生した場合、あるいはそれらの災害により電力供給や通信インフラ等に深刻な支障が生じた場合、また、戦争・テロ等の勃発や感染症が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの災害等のリスクに対しては、被害の最小化と早期復旧を目的に、災害対応規程やBCP対応ガイドラインを定め、危機管理の徹底と速やかな対応体制の整備を図っております。なお、世界的な拡がりを見せたCOVID-19は、ここに来て、収束の兆しを迎えつつあるものの、新たな変異株の発生により事態が反転した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。この感染症への対応として、当社グループにおいては、従業員の健康を第一に考えるとともに今後の感染拡大を防ぐため、従業員の体調管理の徹底や在宅勤務の実施、Web会議の導入などの対応を継続的に実施して参ります。

これら災害や感染症等のリスクについては全てを回避することはできず、また、リスクの影響額を予測することは極めて困難であると考えております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

COVID-19と経済活動の両立に加え、円安による為替換算上の影響もあり、全ての地域において前年実績を上回る売上となりました。なお、当社グループの決算期は、当社及びピンテック、インドパンチは3月となっていますが、これらを除くグループ各社の決算期は主に12月となっており、2022年1月から12月の業績が当連結会計年度の業績となります。

地域別では、国内売上高は14,104百万円(前期比0.6%増)、中国売上高は23,451百万円(前期比11.9%増)、東南アジア地域の売上高は1,966百万円(前期比13.0%増)、欧米他地域の売上高は3,277百万円(前期比24.1%増)となり、連結売上高は42,799百万円(前期比8.7%増)となりました。

業種別では、自動車関連は18,082百万円(前期比10.0%増)、電子部品・半導体関連は7,866百万円(前期比2.2%減)、家電・精密機器関連は4,312百万円(前期比2.9%増)、その他は12,538百万円(前期比17.4%増)となりました。

利益面につきましては、製品への価格転嫁を上回る仕入れコストの上昇等による原価率悪化の影響、為替変動による海外子会社の採算悪化等により、営業利益は2,436百万円(前期比19.9%減)、経常利益は2,394百万円(前期比20.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,390百万円(前期比31.9%減)となりました。

また、資本効率につきましては、自己資本当期純利益率(ROE)が7.9%(前期14.2%)、投下資本利益率(ROIC)が8.1%(前期11.4%)となり、いずれも、目標(10%以上)を下回りました。

(財政状態の状況)

a. 資産の部

当連結会計年度末における総資産は30,455百万円となり、前連結会計年度末と比較し1,681百万円の増加となりました。これは、主として売上債権の増加等によるものであります。

b. 負債の部

総負債は11,403百万円となり、前連結会計年度末と比較し1,063百万円の減少となりました。これは、主として有利子負債の減少等によるものであります。

c. 純資産の部

純資産は19,052百万円となり、前連結会計年度末と比較し2,745百万円の増加となりました。これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加、為替換算調整勘定の増加等によるものであります。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ543百万円増加し、5,212百万円となりました。

a. 営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,560百万円の収入(前期は2,941百万円の収入)となりました。

これは、税金等調整前当期純利益2,075百万円、減損損失297百万円及び減価償却費1,130百万円の非資金項目の他、未払金及び未払費用の減少額276百万円、法人税等の支払額736百万円等によるものであります。

b. 投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは1,546百万円の支出(前期は1,099百万円の支出)となりました。

これは、有形固定資産の取得による支出1,138百万円等によるものであります。

c. 財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは756百万円の支出(前期は1,600百万円の支出)となりました。

これは、短期借入金の純減による減少額667百万円、長期借入金の返済による支出798百万円、株式の発行による収入918百万円等によるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当連結会計年度の生産実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

 

国内事業

(千円)

 

5,217,011

109.5

 

海外事業

(千円)

 

13,889,368

120.3

 

 合計

(千円)

 

19,106,379

117.2

(注)1.当社グループは、金型部品事業の単一セグメントであるため、「第1 企業の概況 3.事業の内容(2)当社グループの事業内容」に記載の国内事業及び海外事業の別に記載しております。

2.金額の表示は製造原価によっており、事業区分間の内部振替前の数値によっております。

 

b. 受注実績

 当社では標準製品の場合、受注から製造、出荷までを1日から数日で完了いたします。また、特注品でも、おおむね2週間以内の出荷となっております。したがって、受注残高は軽微であり受注実績の記載を省略しております。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

 

国内事業

(千円)

 

14,093,236

98.2

 

海外事業

(千円)

 

28,706,267

114.8

 

 合計

(千円)

 

42,799,503

108.7

(注)1.当社グループは、金型部品事業の単一セグメントであるため、「第1 企業の概況 3.事業の内容(2)当社グループの事業内容」に記載の国内事業及び海外事業の別に記載しております。

2.事業区分間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(当社グループの当連結会計年度の経営成績等及び経営成績に重要な影響を与える要因)

当連結会計年度における、中期経営計画「VC2024」の初年度の経営数値目標としては、売上高43,500百万円、営業利益3,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,100百万円を掲げておりました。

これに対して経営成績は、売上高42,799百万円、営業利益2,436百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,390百万円となり、全地域で増収を達成し、上場来最高売上を更新しましたが、仕入れコストの上昇による原価率悪化等の影響等により、営業利益以下は減益となりました。

また、財政状態につきましては、前連結会計年度末に対して、有利子負債が減少するなど、資金体質の改善が図られるとともに、利益剰余金の増加等により自己資本が増加し、自己資本比率が62.4%(前連結会計年度末は56.5%)まで増加するなど、財務基盤の健全性維持が図られた結果となりました。

 

翌連結会計年度(2024年3月期)は、世界的な地政学リスクの高まり、原材料・資源価格の高騰や部品不足等により、経営環境が厳しさを増す中、通期連結業績予想を減収減益としております。

また、中期経営計画「VC2024」につきましても大幅な遅れを余儀なくされており、当社としては、これまでの遅れのリカバリーに加えて、今後の新たな成長戦略も含めた計画のブラッシュアップが必要であると考えております。なお、「VC2024」のブラッシュアップ内容については、決定次第速やかに開示いたします。

 

(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

当社グループとしましては、事業の評価基準として売上高営業利益率を、経営の評価基準として自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標と定め、その向上に努めることを目標としております。

また、2022年4月からの中期経営計画「VC2024」開始とともに、新たに投下資本利益率(ROIC)を重要な経営指標のひとつに定めました。当社グループのROICは既に「加重平均資本コスト(WACC)」を上回る水準にありますが、稼ぐ力の強化によりEVAスプレッドをさらに拡大し、10%以上のROICを今後も安定的に確保することを目指します。

これまでと同様にROEと自己資本充実の両立を図るとともに、健全な財務基盤を維持しつつ、創出されたキャッシュを成長戦略投資と安定配当に最適なバランスで分配することで、中長期的な成長を目指してまいります。

 

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 世界経済は当連結会計年度においてCOVID-19への感染対策と経済活動の両立に転じ、引き続き堅調な中国や欧米での業績が支えとなり売上が増加、上場来最高売上を更新いたしました。一方、過年度において日本で抑制しておりました設備投資の正常化とM&Aによる投資によってフリー・キャッシュ・フローは1,013百万円となりました。

 

(資金需要)

当社グループの事業活動における運転資金の主なものは、材料等調達費用の他、製造費、販売及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金といたしまして、現存設備の修繕・維持の為の使用の他、単体では過年度において減損損失の計上により設備投資を抑制しておりましたが、当連結会計年度から中期経営計画「VC2024」の達成に向け、徐々に投資正常化を図るとともにM&Aを実施し株式会社ASCeの全株式を取得いたしました。

中国事業においては前連結会計年度から引続き、更新設備や研究開発部門への新規設備投資を継続して実施しております。

 

(財務政策)

 当社グループの資金需要を充たすための資金調達方法の基本的な考えは、内部資金及び金融機関からの借入であります。事業活動の維持拡大に必要な資金の安定的な確保、調達コストの抑制等を基本方針として、複数の取引金融機関と当座貸越及びコミットメントラインを契約しており、有効に活用しております。

 一方、前連結会計年度において実施した第4回新株予約権の行使による調達を当連結会計年度においても継続して実施いたしました。

 当連結会計年度において、グループ財務ポリシーを制定しガバナンスの強化・業務プロセスの標準化を構築いたしました。翌連結会計年度においては、当ポリシーに則りグループファイナンスの実施等に取り組み、高まるカントリーリスクへの対応やグループ内資金の効率化と有利子負債の抑制に取組んで参ります。

 

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 (株式取得による会社等の買収)

 当社は、2022年10月19日開催の取締役会において、FA機器設計・製作を手掛ける株式会社ASCeの全株式を取得し子会社化することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、品質、納期、コストそれぞれの面でお客様の満足度を高めていくことで企業価値の持続的向上を目指し、グループ横断的な研究開発機能の強化やグローバル市場へ向けた高付加価値製品の開発にも取組んでおります。

主たる内容としては、景気変動を受けにくく、将来の拡大が見込まれる業種、具体的には「食品・飲料関連」及び「医療関連」分野との取引拡大を目指しております。

当連結会計年度における研究開発費は546百万円(前期比7.4%増)となりました。

今後とも当社グループが長年培ってきた「ものづくり」へのこだわりを更にグローバルに発揮するため、新事業領域への積極的参入や成長領域への重点投資を実施し、収益性、効率性の向上を目指してまいります。