第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社の経営理念は、次のとおりです。

1.企業価値の追求と、その最大化を通じた人々・社会・経済の発展への貢献
2.「おいしさ・健康・美」の追求をコアコンセプトとする創造性、発展性ある事業への飽くなき探求
3.社会の一員としての責任ある行動の徹底 

 

ステークホルダーの皆様へお約束するコンセプトとして、「コアプロミス」を次のとおり定めています。

日清オイリオグループは、健康的で幸福な「美しい生活」(Well-being)を提案・創造いたします。そのために私たちは、無限の可能性をもつ植物資源と、最高の技術によって、あなたにとって、あったらいいなと思う商品・サービスを市場に先駆けて創り続け、社会に貢献することを約束いたします。

 

また、今般作成した「日清オイリオグループビジョン2030」において「2030年に目指す姿」を次のとおり

定めております。

私たちは、“植物のチカラ®”と“油脂をさらに究めた強み”で、食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担います。そして多様な価値を創造し、“生きるエネルギー”をすべての人にお届けする企業グループになります。

 

当社グループは、従来以上に事業活動による価値創造を通じて社会の持続可能性に貢献してまいります。

「ビジョン2030」策定時に、当社グループが2030年に目指す姿に至るために、行動の基本とするValues

(「真摯な姿勢」「つながる」「究める」「切り拓く」「しなやかに強く」)を定めました。また、理念を

実践していくための行動指針である「日清オイリオグループ行動規範」を2022年4月1日付で改訂しています。

 

日清オイリオグループ理念体系は次のとおりです。


 

(2) 中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 日清オイリオグループビジョン2030

近年、当社グループを取り巻く環境は、地球規模での環境課題の累積、新型コロナウイルス感染症の発生と蔓延、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻など地政学的なリスクの顕在化、国内における少子高齢化の急速な進展など大きな変化の渦中にあります。そしてこれらも反映した世界的な消費・生活行動の変容や一層の多様化の進展など、従来のビジネスのやり方やモノの考え方が大きく変化しています。さらに、企業市民として、今まで以上に持続可能な社会「サステナビリティ」に貢献していくことが求められています。

このようななか、2021年3月に策定した「ビジョン2030」で示した「2030年に目指す姿」と「戦略の指針」に沿って、当社グループは、社会課題の解決を通じた、多様な共有価値の創造(CSV)を成長のドライバーとすることで、将来にわたって持続的に成長し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

日清オイリオグループビジョン2030の概要

 

 


 

 

 

“植物のチカラ®”を価値創造の原点として私たちが生み出す商品・サービスを「生きるエネルギー」と定義し、

2030年に向けて当社は、「生きるエネルギー」をすべての人にお届けする企業グループになることを目指します。

〇生きるエネルギー

生きるために必要な根源的なエネルギー

おいしい食事で人を元気にするエネルギー

栄養機能で人を健康にするエネルギー

美を演出し活力を与えるエネルギー

油脂と相乗効果を発揮する素材・技術・事業から生み出されるエネルギー

 

また、「生きるエネルギー」をすべての人にお届けするためには、油脂を素材として提供するだけでなく、当社グループが持つ強みを活かして他の食品メーカーや素材メーカーなどと一緒に価値を共創することが非常に重要であると考えています。生活を支えるあらゆるチャネルでお客さまとの接点を持っている強みにより、社会課題解決のためのプラットフォームの役割を担うことで可能になると考えています。

 

2021年度~2024年度 中期経営計画「Value Up+」

「ビジョン2030」で目指す姿に向けた最初の4年間(2021年度から2024年度まで)を対象とした中期経営計画「Value Up+」の基本方針を「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」とし、マーケティング、テクノロジー、グローバリゼーションを基調とし、CSVを成長ドライバーに据え、これまで以上に成長路線を加速してまいります。

 

中期経営計画「Value Up+」の位置づけ

 

 


 

 

 目標とする経営指標

「Value Up+」最終年度である2024年度の経営目標について、営業利益は、非常に厳しいコスト環境のなかでもさらなる価格改定の実現と新たな価値創造を通じて170億円を目指します。また、ROEも当初計画どおり8.0%とします。

また、「Value Up+」においては資本効率性の改善を重要な目標にしており、ROICを経営目標に加え、2024年度の計画を4.6%とし、今まで以上に資本コストを意識したマネジメントを行ってまいります。なお、営業キャッシュフローについては急激な原料コスト上昇に伴う運転資金の増加により、4年間の累計額を修正計画の500億円から400億円に下方修正いたします。2023年度の経営目標については、営業利益160億円、ROE7%、ROIC4.4%としています。

※中期経営計画「Value Up+」の経営目標は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。また実際の業績等も当中期経営計画とは大きく異なる結果となる可能性がありますので、当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。

 

「Value Up+」経営目標実現に向けたKPI管理のフレームワーク(達成チャート)

3年目となる中期経営計画「Value Up+」では、成長性、積極投資、持続性、効率性の観点から、経営目標実現に向けた戦略を推進するフレームワークである「達成チャート」のもと、戦略におけるKPIの進捗状況を把握し、計画達成に向け着実に進めてまいります。このなかには「ビジョン2030」のCSV目標も包含しています。

 


※成長性における売上高の目標は、原材料価格の高騰を受けた販売価格の改定の影響を含まない、価値創造による売上拡大の金額

 

 

「達成チャート」の成長性においては、売上拡大を目指す領域別に、BtoC、BtoB、BtoBtoCの3つの目標を掲げております。これらの目標は価値創造と密接に関連し、CSVを成長ドライバーとする「Value Up+」の収益拡大における中心的なKPIと取組みを示しています。

BtoCにおいては、「油脂の価値向上」や「付加価値商品の拡販」に取り組んでまいります。研究面では、脂肪燃焼体質やフレイル・プレフレイルなどの領域での健康エビデンスの確立や、油脂による食品への乳感・塩味・うまみの付与など、おいしさの意図的創発の取組みを推進することで、その成果を独創的な商品開発につなげていきます。また、食用油における新しいカテゴリーとして味つけオイルの市場の育成を図ります。クッキングオイルについても、当社の技術をベースに、「吸油が少ない」「少量使い」といった新たな価値を提供する商品を販売し、収益性を高めてまいります。

BtoBにおいては、国内外で販売を拡大してまいります。国内の業務用や加工用を中心とするフードサービス分野では、お客さまとの多様な接点のなかでの当社グループの提案力、開拓力、物流力、サポート力の強みを活かします。海外では、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.(ISF社)を中心に、グローバルに事業を行っているチョコレートメーカーなどへのチョコレート用油脂を中心とするスペシャリティオイル&ファッツの販売を積極的に拡大してまいります。また、化粧品油剤では、テクニカルサポート機能の拡充などを通じて、グローバル市場でシェアを一層高めてまいります。

BtoBtoCにおいては、加工食品メーカー、流通と商品の共同開発を行うとともに、積極的にメディアを活用して油脂の栄養機能についての認知度を高めるなど、共創の取組みを拡げていきます。現在、取組みを進めているMCTの脂肪燃焼機能を訴求した機能性マーケティングにおいては、多様なユーザーにMCTの価値を知っていただくことで、加工食品など多様な売り場でMCT採用商品を増やしてきました。今後は、フレイル・プレフレイル対策など、他の機能へ訴求の対象を広げていきたいと考えています。

 

そして、「Value Up+」の経営目標を実現するために、積極的な投資を行ってまいります。現在、当社横浜磯子事業場で建設が進行中の「インキュベーション機能の強化・実装」に関する投資は、お客さまとの価値共創を通じて当社のコアコンピタンスである油脂を磨きあげ、油脂加工技術を究めることを目的としています。2024年度の設備の完成とともに、お客さまとの共創が開始できるよう準備を進めています。また、ISF社におけるチョコレート用油脂を中心とするスペシャリティオイル&ファッツの生産能力拡充投資や、当社名古屋工場をはじめとした生産拠点のスマートファクトリー化、堺工場のサステナビリティセンター化構想についても着実に進めてまいります。さらに、設備や情報システムなどの投資に加え、人材、研究開発、知的財産などの無形資産への投資も重要と考えており、特に組織能力の強化・開発を進めていく観点から人材への投資を積極的に実施してまいります。

また、従業員の心身の健康、働きがい、生産性の向上を目的として、経営トップが最高責任者となり健康経営を強力に進めており、「健康経営優良法人2023~ホワイト500~」に認定されております。引き続き従業員の健康保持・増進に積極的に取組んでまいります。

持続性の観点では、環境とサプライチェーンが大きなテーマです。「日清オイリオグループビジョン2030」の「地球環境」や「信頼でつながるサプライチェーン」などで掲げたCSV目標の達成に向け、しっかり取り組んでまいります。2022年度は、大豆とカカオの調達方針を策定し、自社ホームページにて公開しました。また、人権尊重への取組みとして、人権デュー・ディリジェンスを開始しました。2022年度は、グループ会社代表者を対象に、外部講師を招いての講演会の開催や、セルフモニタリング調査(SAQ(Self-Assesment Questionnaire))を実施しました。今後も引き続き、取引先の皆様などと協力して、サプライチェーン全体を対象として人権尊重の取組みを進めてまいります。

効率性の観点については、資本収益性の向上は最優先で取り組むべき課題であるとの認識から、ROICを経営目標として設定し、営業利益と投下資本の両面から改善を進めています。新たな価格の均衡点の形成にチャレンジするとともに、付加価値商品の構成比の向上やチョコレート用油脂を中心としたスペシャリティオイル&ファッツ、チョコレート、化粧品油剤など、付加価値型事業の構成比の向上に取組みます。また、非効率または不稼働の固定資産圧縮や政策保有株式の売却、キャッシュコンバージョンサイクルの改善に努め、資本の効率性を高めてまいります。

 

(3) 経営環境、課題及び対応

世界経済については、新型コロナウイルス感染症の影響が終息に向かい、消費者心理が改善、国境を越えた人の移動が進むなど、緩やかながら回復が期待されています。一方で、下振れの懸念材料として、物価上昇に応じた中央銀行による金融引き締め、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の長期化などの地政学リスク、人手不足、資源・エネルギー価格の高騰、継続するサプライチェーン(供給網)の混乱などが、今後の世界経済に重要な影響を与えると考えられます。

国内においては、2023年5月に新型コロナウイルスが感染法上の第5類に移行し、特例的な措置や制限が撤廃され、水際対策が終了することによるインバウンド需要の増加や外食・観光需要の喚起による景気の緩やかな回復が期待されています。一方で、資源価格や原材料価格の高騰による物価上昇が個人消費を抑制し、景気の下振れを引き起こす可能性があります。

当社グループへの影響が大きい大豆、菜種、パーム油などの原材料については、生産量の回復が見込まれているものの、世界的なコロナ禍による需要減退からの回復やバイオ燃料消費の拡大、サプライチェーン混乱の長期化、またオリーブ油においては産地での天候不順もあり、購買価格は高値圏で推移するものと想定しております。

このような事業環境下、当社グループは、長期的な視点で目指すべき姿と戦略の指針を示す「日清オイリオグループビジョン2030」を策定し、その実現に向け、2021年度から2024年度の当初4か年の中期経営計画「Value Up+」に取り組んでおります。この中期経営計画では、これまでよりもっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革していくための戦略、施策を実行しております。

2023年度は、国内油脂市場の付加価値化・ソリューションの強化、原料コストに見合った適正な販売価格の形成・維持、スペシャリティオイル&ファッツのグローバル市場での販売拡大、アフターコロナの中での油脂需要の回復や消費者動向の変化への対応などの課題にしっかりと取り組んでまいります。

 

 

 各事業の状況については、次のとおりです。

 

[油脂事業]

(油脂・油糧)

国内の油脂事業においては、主要原料相場、為替相場、物流費、資材費、エネルギーコスト、将来コスト・社会的コスト等を踏まえたうえで適正な販売価格を設定し、人々の暮らしや食品産業を支えるための安定供給が求められています。

ホームユースにおいて、当社はキャノーラ油のみならず、オリーブオイル、アマニ油などにおいても高い市場シェアを有しており、「かけるオイル」などの油脂の新しい使い方や油脂の栄養・健康機能を積極的に提案・紹介するなどして需要を喚起し、市場の拡大を牽引しています。国内市場は過去最大規模を更新しており、2022年度は年間で1,800億円(当社推計)を超える水準となっています。

業務用および加工用では、レストランなどの外食、コンビニエンスストア・量販店などの中食、製菓・製パンや加工食品業界などに向けた販売を行っております。競争の激しい市場環境ではありますが、ユーザーとのニーズ協働発掘型営業によるソリューション提案で需要を創造し、収益の獲得、拡大につなげております。

大豆、菜種を主原料とする商品については、バイオ燃料向けの需要の増加や、世界的に旺盛な油脂需要の拡大、主要産地の天候悪化による生産量の減少等による原料価格高騰の影響を受け、2021年度の4回の価格改定に続き、2022年度2回の価格改定を行いました。加えて、オリーブオイル、ごま油、こめ油等についても、需給逼迫や物流費、ユーティリティコストの高止まり等により、2回の価格改定を行いました。

ミールについては、国内の需給などの影響もありますが、国内の販売価格が国際価格と連動した販売を行っています。

中長期的には、国内の人口減少による油脂消費量の減少が見込まれることもあり、一層の合理化、効率化が必要と考えております。こうした環境が見通される中、2021年度より株式会社J-オイルミルズ社と国内搾油機能の全国統合を見据えた搾油合弁会社設立に関する検討を続け、2022年度に搾油機能の全国統合および西日本エリアにおける搾油合弁会社設立に関する基本合意に至りました。

また、脂質栄養の知見を活かした幅広い商品の開発や情報発信により、油脂を通じた価値創造を推進してまいります。

 

(加工油脂)

パーム油を活用したチョコレート用油脂を中心とするスペシャリティオイル&ファッツをグローバルに販売するマレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.(以下、ISF社)と日本国内での製菓・製パン向けにショートニングやマーガリンなどを製造販売する事業から構成されます。ISF社はパーム油の分別・精製における高度な技術を有しており、欧州などの高い品質基準を要求する顧客を中心に付加価値品の拡販に努めています。

チョコレート用油脂については、ロシア・ウクライナ情勢悪化の長期化による原料相場の高騰や将来的なチョコレート用油脂原料の調達への懸念はありますが、複数の手段を組み合わせて、必要な数量を適正価格で調達できるよう努めてまいります。

短期的にはチョコレート市場の成長鈍化などの影響を受けると考えていますが、中長期的にはチョコレートおよびチョコレート用油脂の需要は堅調に増加すると考えております。

 

[加工食品・素材事業]

チョコレート関連事業、ドレッシングなどの調味料、MCTを中心とした機能素材・食品、大豆素材・食品から構成されます。

チョコレートについては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けるものの、土産物需要は徐々に回復しつつあり、中長期的にはアジアの中間所得層の増加による、市場の拡大を見込んでいます。

調味料においては、おいしさの追求やアマニ油、MCTオイルなどの健康訴求油脂への関心の高まりなどを背景に油脂の機能を活かした商品開発および販売を展開してまいります。

機能素材・食品においてはMCTの脂肪燃焼やフレイル対策など、健康機能の高さを引き続き啓発し、機能性素材マーケティングによる売上拡大を目指してまいります。

 

大豆素材・食品においてはプラントベースドフードの市場拡大も見据え、大豆たんぱくの供給にとどまらず、油脂の活用による食感、おいしさなどのソリューションの提供を強化してまいります。

 

[ファインケミカル事業]

化粧品用の原料である油剤を主力商品としており、多くの国内化粧品メーカーや、欧米の大手化粧品メーカーと長期にわたり取引を行っております。国内ではコロナ禍からの需要回復が遅れておりますが、2022年度は、欧州子会社での化粧品油剤の販売が大きく増加しました。また、原材価格の高騰を踏まえた価格改定にも積極的に取組みました。

世界の化粧品市場は、中長期的にはアジアを中心に中間所得層の増加が見込まれるエリアでの成長により拡大しています。国内でも、アフターコロナを見据えた国内需要の高まりやインバウンド需要に対応した拡販に取り組んでまいります。

環境・衛生においては食の環境を中心とする衛生管理事業や植物資源を活用して環境に好影響を与える商品・サービスの開発を進めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 (1)サステナビリティ課題全般

当社グループは、「ビジョン2030」を目指す姿として掲げ、事業活動を通じた社会課題の解決により、社会との共有価値を創造し、当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展、すなわちサステナビリティの実現を目指しています。当社は、サステナビリティ課題全般に関し、以下の通り考え方を整理し取組みを進めています。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(ガバナンス)

当社グループは、取締役会が設置する審議委員会「サステナビリティ委員会(委員長は代表取締役社長)」にて、当社らしいCSV(社会との共有価値の創造)を軸とした事業活動の実践により当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展を実現するための基本方針の立案や重要課題の審議、CSV目標の設定・モニタリング等を行っております。その内容は取締役会に報告されるとともに、重要な案件については審議・承認されます。なお、2022年度は、サステナビリティ委員会は2回開催されています。

 

(戦略)

当社グループの価値創造の源泉は、無限の可能性をもつ植物資源と磨かれた技術力、そして価値創造力を掛け合わせた“植物のチカラ®”です。“植物のチカラ®”と私たちの“コアコンピタンスである油脂”を究めた強みでお客さまとともに社会課題を解決する油脂ソリューションを実現します。当社グループの事業にとって求められるニーズや当社グループがやっていくべきかという視点で定めた6つの重点領域(マテリアリティ)、すなわち「すべての人の健康」、「おいしさ・美のある豊かな生活」、「地球環境」、「食のバリューチェーンへの貢献」、「信頼でつながるサプライチェーン」、「人材マネジメント」の領域の中で多様な価値を持つ“生きるエネルギー”を生み出し、すべての人にお届けします。“生きるエネルギー”は社会課題を解決する一方で、次なる成長のための植物資源の循環や技術の進化を可能とする資本を生み出します。再度投入された資本によって、さらに油脂を究め、社会課題を解決する“生きるエネルギー”を生み出します。このプロセスの循環を通じて、当社らしいサステナビリティを実現していきます。(図1)

(図1)価値創造モデル


 

(リスク管理)

当社グループでは、取締役会が設置する審議委員会として「リスクマネジメント委員会」を設置し、サステナビリティ課題を含む、全社的なリスクを統括的に管理しています。影響度合と発生可能性をもとにリスクマップを作成し、優先順位付けを行ったうえで重要リスクを特定しています。2022年度は14個の重要リスクを特定し、主管部門を中心にPDCAサイクルによるリスクマネジメントを実施しています。また、リスクマネジメント委員会は全社的リスクの評価や対応方針・状況などを取締役会に報告しています。

 ( 14個の重要リスクの詳細につきましては、「3 事業のリスク (2) 当社グループにおける重要リスク」をご参照下さい。)

 

(指標及び目標)

当社は、今後予測される社会動向を分析し、当社における機会とリスク及び重要となる社会課題(図2)から、6つの重点領域(マテリアリティ)を設定しており、「重点領域」における課題解決を通じた社会との共有価値の創造(CSV)を、「日清オイリオグループビジョン2030」における成長ドライバーとしています。CSV目標の進捗状況はサステナビリティ委員会でモニタリングされており、その後の取組みに反映されています。

 

 

(図2)機会とリスク及び重要となる社会課題

 


 

 


社会課題:SDGs(国連)、食品産業戦略(農林水産省)、未来投資戦略(内閣府)、企業行動憲章(経団連)より抽出

 

「ビジョン2030」では「6つの重点領域」を定め、それぞれの重点領域での価値創造を通じた当社グループの企業価値の拡大を目指しており、その取組み状況を示すCSV目標と進捗状況は次のとおりです。

 


※1 MCTオイル・加工食品、健康オイル、サプリ的オイル、ウェルネス食品等、生活習慣病やフレイル等の対策に貢献できる商品

※2 低栄養、過栄養、パーソナルな健康課題等の解決に貢献できる商品

※3 脂質の健康情報とは、低栄養・過栄養の改善、ボディメイクなどパーソナルな健康課題の解決に役立ち、かつ油脂の正しい理解や価値向上につながる情報発信を指す1次掲載値のみ(計画策定時に閲覧数の想定が難しい転載は含まない)

 

 


※1 食シーンにおけるおいしさや食による美を追求するために開発した新商品

※2 化粧品原料(IQL、NOST含)、セッツ自社衛生管理事業

 


  ※1 ホームユース商品のうち、食用油およびギフトを対象とする。

 


 

・ CO2排出量削減に向けた取り組み

2021年に「環境目標2030」を策定し、ビジョン2030で目指すサステナビリティの実現に向けて、①地球温暖化の防止、②資源循環の構築、③自然資源/自然保全、④環境にやさしい開発の推進について、長期視点で取り組んでいます。

地球温暖化の防止については、脱炭素化を推進する戦略ロードマップの実行によりCO2排出量を削減してまいります。今後は水素等もエネルギー源として活用する体制・設備の整備も計画しており、これらの取り組みにより製造量増加に伴うCO2排出増加量を抑制してまいります。

 


 

 


  ※ ISFは当社グループ全体の約9割のパーム油を調達

 

・ 持続可能な原料調達への取り組み

事業活動を通じて持続可能な社会を実現・発展させていくためには、サプライチェーン全体としての取り組みが重要です。当社グループでは、「日清オイリオグループ調達基本方針」を制定し、この方針に基づく取り組みを広げるとともに、原材料の調達においては、サプライチェーン全体を含めた主要な調達原材料ごとの方針を策定しています。

特にパーム油については、森林破壊ゼロ、泥炭地における新規開発ゼロ、先住民、労働者への搾取ゼロへのコミットメントを遵守する、トレーサブルで透明性のあるパーム油サプライチェーン構築に向け、アクションプランを策定し取組みを進めています。今後の取り組みの実効性を更に高めるため、農園までのトレーサビリティ比率の向上、モニタリングの仕組みの構築等に積極的に取り組んでいきます。

アクションプランの指標:パーム油認証油割合100%、RSPOのSG認証油50%以上の確保

 


※ 女性管理職比率は4月1日を基準日とする。

※ 女性管理職比率の21年度実績について、これまで3月末時点の実績値を公表してきたが、4月1日時点の実績に改める。

(4.6% → 5.0%)

 

 

 (2)人的資本への対応

 ① 人的資本についての考え方

「ビジョン2030」および「Value Up+」で目指す姿の実現に向けて、社員一人ひとりの「成長」と「働きがい」を原動力に当社グループの組織能力を強化するべく、積極的な人的資本投資を行っていく方針です。人材が企業価値向上の最大の源泉であるという考え方のもと、人材の拡充や教育投資、働きやすい環境づくり等も含め、長期的視点で社員の成長や能力発揮に資する取組みを計画的に実行することで、全社員がビジョン実現に向けた強い想いを持ち、自身の能力を高めながら主体的に行動し、成長し続ける組織風土を醸成していきたいと考えます。

 

 ② 人材育成方針

長年に亘り人材育成を経営の最重要テーマとして位置付けており、「教育最優先の原則」のもと、社員の能力開発と発揮に主眼を置き、強い個を育て組織能力を最大化する取組みを推進しています。

また、ビジョン2030で掲げる成長シナリオを実現するためには、これまで以上に生産性向上を追求しつつ、新たな市場獲得・価値創造のために、多様な能力・経験・感性・価値観を有した人材が不可欠であると認識しています。厚みと広がりのある強固な組織・人材基盤を構築すべく、社員一人ひとりが自身の強みをさらに高め続けるとともに、経験者採用を強化することで、組織として社員の多様な強みや個性を活かすことができる環境の整備に取り組んでいきます。

これからも「社員の成長こそが会社の持続的成長の源泉である」という考え方に基づき、次代を担う人材の育成やリスキリングを強化するとともに、事業戦略遂行上で必要となる多様な人材を確保し、活躍を推進します。

 

 ③ 社内環境整備に関する方針

「健全かつ社員の持てる能力を存分に発揮できる職場環境を提供することが会社の責務である」との考え方のもと、柔軟かつ生産性高い働き方の実現、社内コミュニケーションの活性化、育児・介護・治療と仕事の両立支援、有給休暇の取得推進など、社員が安心して働くことのできる働きやすい職場環境づくりに取組んでいきます。

 

 ④ 健康経営の取組み

「社員の健康は、本人や家族の幸せの基盤であるとともに会社が持続的に発展していくための最も大切な財産である」との考えのもと、社員一人ひとりが活力高く働き、健康的で豊かな人生を送れるよう、社員の健康保持・増進に積極的に取組んでいます。重点テーマとして「生活習慣病予防」、「禁煙促進」、「こころの健康」を設定し、疾病予防や食習慣改善、禁煙の支援、運動・コミュニケーション促進などの取組みを進めていきます。

 

 ⑤ 人的資本に関する指標

2023年3月31日現在

 

2022年度実績

2024年度目標

年間教育研修費(一人当たり)

68千円

80千円

経験者採用比率

35%

40%

管理職に占める女性の割合(※)

6.3%

8.0%

年次有給休暇取得率

75.6%

80.0%

「働きがい」を感じる従業員の割合

63.0%

70.0%

 

 上記は、日清オイリオグループ㈱正規雇用従業員を対象としています

(※)管理職に占める女性の割合について、2022年度実績は2023年4月1日時点、2024年度目標は2025年4月1日時点で算出します。

 

 (3)気候変動への対応

日清オイリオグループの事業活動は植物資源をベースとしております。植物の生育に大きな影響を与える気候変動への対応は経営の重要テーマであり、2021年3月にTCFD提言に賛同を表明いたしました。気候変動に伴うリスク・機会の分析、財務影響などのシミュレーション等を通じてTCFD提言へ対応し、積極的に情報開示を行ってまいります。

 

1.TCFD提言が推奨する4つの開示項目

項目

内容

ガバナンス

・日清オイリオグループは、事業活動を通じた社会課題の解決により、社会との共有価値を創造し、当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展(サステナビリティ)の実現を目指しています。

・気候変動に伴う課題は、取締役会にて審議し意思決定を行っています。また、サステナビリテ  ィ実現に向けた基本方針の立案、戦略・施策は、取締役会の審議委員会であるサステナビリティ委員会の審議を経て、取締役会が承認しています。

・取締役会は気候変動課題解決に対して責任を持ち、目標進捗の監督を行います。また必要に応  じてサステナビリティ委員会や外部有識者を通じて十分な知見を獲得し、積極的に課題解決に取組みます。

・気候変動課題解決への貢献に対して提供されるインセンティブは、ESG目標の達成度に基づき取締役(社外取締役を除く)の賞与の支給基準に反映されています。

・気候変動対策として、環境目標2030の設定、専門部署(サステナビリティ推進室、環境ソリューション室(2023年4月))を設置しています。

戦略

・当社グループは、2021年度より、2030年に実現すべき姿「日清オイリオグループビジョン2030」と、その最初の4か年の取組みとなる中期経営計画「Value Up+」をスタートさせました。

 「日清オイリオグループビジョン2030」では、当社グループの強みの中核である油脂をさらに磨き上げ、成長の原動力とし、健康やおいしさ、美の多様な価値を創出いたします。その実現のため事業基盤となる地球環境の保全に努めます。また、原料のサステナビリティをグローバルトップレベルに深化させていきます。

・戦略立案にあたっては気候シナリオ分析を行い、2024年までの「Value Up+」を短期戦略、2030年までの「日清オイリオグループビジョン2030」を中期戦略、2050年までに「カーボンニュートラル実現」を目指すための長期戦略の検討を進めています。

・原料サステナビリティにおいて、持続可能性に配慮した原料(認証油等)の需要拡大に対応すると共に、気候変動に伴う気候パターンの変化による植物原料の生産量低下・価格上昇リスクに対応するため、同一原料の複数産地からの購入やサプライチェーンの複線化によるリスク回避を行っています。

・温室効果ガス排出量の少ない製品開発や環境負荷低減につながる商品開発が販売増加の機会となると認識し、環境にポジティブインパクトのある製品・サービスの開発等を行っています。一例として、調理時の使用量を抑えた製品、独自製法で賞味期限・使用期間を延長する製品、環境に配慮した容器包装を使用した製品等が該当し、ステークホルダーとの共創を通じ新たな価値を創出していきます。

・化粧品業界では、気候変動の影響により、原料のナチュラリティ(植物性志向や環境への配慮)を求める動きが広がっており、当社はこの動きへの対応がビジネスチャンスと捉え、化粧品油剤のリーディングカンパニーとなり、世界での存在感を高めることを目指していきます。

リスク管理

・取締役会の審議委員会であるリスクマネジメント委員会が、事業に対する財務または戦略面での重要なリスクを選定しており、気候変動に伴う物理的リスク、移行リスクの管理を行っています。

・重要なリスクはグループ全体を対象とし、影響度合いと発生可能性を分析し、重要度を3段階に分けて評価しています。また時間軸としても短期・中期・長期に分けています。

・重要なリスクは担当部門を特定し、PDCAサイクルによるリスクマネジメント及び緊急時対応を実施しており、リスク対応状況の評価として、リスクマネジメント委員会による取締役会への報告、内部監査室によるモニタリングを実施しています。

指標と目標

・当社グループは、環境理念、環境方針にもとづき、サステナビリティの実現に向けた具体的な取組みとして「環境目標2030」を策定。気候変動対策として温室効果ガス排出量削減を掲げ、「スコープ1及び2の温室効果ガス排出量をSBT WB2℃目標に準拠し、2030年度までに31% 削減する(2016年比)」を進めています。「スコープ3は、購入した製品・サービスおよび輸配送(上流)の排出量の70%に相当するサプライヤーに、2026年までに科学に基づく削減目標設定を促す」を目標としています。

・温室効果ガス削減は、カーボンニュートラルを見据えた脱炭素化ロードマップに基づき、高効率機器導入や太陽光・水素等の非化石エネルギーへの転換によるスコープ1・2削減、サプライチェーンへの働きかけによるスコープ3削減を推進しています。スコープ1・2・3排出量は統合報告書(サステナビリティデータ集)で公開しております。

・また、水資源を有効に活用するため、「2030年までに生産活動における用水原単位を2016年度比16%削減する」に取組み、下流域でも使用できるよう法令に基づく水質管理を行っています。

・廃棄物削減の取組みとして、軽量容器やロングライフ製品等の環境にやさしい開発による発生抑制、生産工程における副産物を活用したバイオマスボイラーの導入やゼロエミッションの実践による再資源化を行っています。

 

 

2.気候変動シナリオ分析

気候変動シナリオ分析の前提として、産業革命以降に気温を2℃上昇に抑えた世界、4℃上昇した世界を想定、それぞれの世界観のなかでリスクと機会の検討・抽出を行いました。同時に当社グループの事業活動への影響が大きいリスク・機会については、対策の検討と財務影響の試算を行いました。また、気温上昇を1.5℃に抑えた世界、4℃以上に上昇した場合について検討を進めています。

 

気候関連リスク

事業活動への影響が大きいリスクとして、2℃上昇時は炭素税によるコスト増加やCO2排出枠購入費用の発生等、4℃上昇時は自然災害が頻発・激甚化することに伴う原料生産量低下による調達コストの増加、台風等による洪水・停電等が生産工場で生じる事による製品供給能力の低下とそれに伴う売上減少が想定されました。

 

リスク分類

事業への影響

影響度

移行

政策・法規制

カーボンプライシング

炭素税の上昇・制度改正により、エネルギー・容器・輸送等のコスト増加のリスクがあります。また、企業のCO2排出量取引制度の導入により、排出枠購入費用が発生する可能性があります。

訴訟

気候変動による社会環境の変化や法規制の強化の影響により、サプライチェーンでの法令違反や森林破壊・人権問題による訴訟を受けるリスクがあります。

技術

脱炭素設備・生産方法への置き換え

生産体制の脱炭素化に向けた大規模な設備導入が進められ、設備投資費用増加が見込まれます。また、投資が想定通りの効果を発揮しないリスク、資金不足によりブレイクスルー的な新技術を導入できないリスクがあります。

市場

持続可能性に配慮した購買行動の高まり

パーム油等において、持続可能性を担保した製品への購買行動が高まり、結果として原料コストが上昇するリスクがあります。また持続可能性を担保できない場合、製品価値の低下から消費者離れに繋がり、売上が減少するリスクがあります。

評判

気候変動を含む持続可能性に配慮した投融資の加速

気候変動を含む持続可能性に対応する取組みが遅れた場合や、当社取組み状況の情報開示が不十分な場合、株価の低下や融資が停滞するリスクが生じます。また、当社の意図しない風評の拡散により企業価値が低下するリスクがあります。

物理的

急性

原料産地・生産拠点での自然災害の頻発・激甚化

原料産地でハリケーンや洪水等の被害が拡大した場合、減産に伴う原料価格の高騰により、調達コストが上昇するリスクがあります。また、生産拠点が被災した場合、生産・販売・物流能力が一時的に低下し、売上が減少するリスクがあります。

慢性

気象パターンの変化
(気温上昇、降水量変化等)

気象パターンが極端に変動した場合、主原料である大豆やパーム等の生産量が減少し、原料価格高騰による調達コスト増加のリスクがあります。また原料の品質・安全性や製品の安定供給に悪影響を受けるリスクがあります。

 

 

 

気候関連機会

事業活動へ大きく影響する機会として、CO2排出量を抑えた製品開発・販売、持続可能な原料の使用等による顧客満足度向上による売上増加が挙げられます。また、自然災害発生時の事業継続性強化も社会的価値の向上に繋がると捉えています。

 

機会分類

事業への影響

影響度

資源の効率性

エネルギー効率向上

効率的な機器の導入や高度な生産管理により、生産拠点でのエネルギー効率が向上し、生産コストを削減出来ています。

エネルギー源

再生可能エネルギーの
利用

再生可能エネルギーを活用し、CO2排出量(スコープ1&2)を抑えた製品を販売し、付加価値を訴求する事で、サプライチェーン排出量削減を目指す顧客満足度の向上と売上増加につながります。

製品・サービス

CO2排出量の少ない
製品の開発

顧客のサプライチェーン排出量削減要求に応え、調理時に吸油の少ない、通常品より賞味期限が長い等、LCA視点でCO2排出量を抑制した製品を開発する事で、顧客満足度向上による売上増加につながります。

市場

持続可能性に配慮した
購買行動の高まり

気候変動の影響を縮小するため、森林保護の重要性が高まっており、持続可能性に配慮した原料(製品)の需要が拡大しています。特に油脂の中で最も生産量が多いパーム油で、顧客が望む認証油を提供する事が、取引先との関係強化や新たな販売機会の獲得につながり、売上増加を達成できると認識しています。

化粧品業界での植物
由来製品の需要拡大

ナチュラリティ(植物性志向や環境への配慮)が広まる化粧品業界をターゲットとするファインケミカル事業において、植物由来製品の需要拡大による当社売上の増加を想定しています。また、油脂事業に続く主力事業に成長させることで、グループ全体の収益安定化に繋がります。

強靭性
(レジリエンス)

BCP強化

気候変動に由来する自然災害の頻発・激甚化に備えたBCPを強化することで、緊急時の製品供給体制を維持し、企業の社会的価値を高める事が可能です。結果として、売上高の増加や株価上昇に加えて資金調達の優位性に寄与すると捉えています。

容器包装のリサイクル
促進と安定調達

気候変動対応として、脱化石燃料化が進行しています。当社では製品容器の主原料にプラスチックを使用しており、リサイクル企業への投資による資源循環の確立、バイオプラスチックやプラ代替容器への切替えを行う事で、今後の容器原料の安定調達が図れると考えています。

 

 

気候関連リスク・機会への対応策

当社グループの事業活動へ大きく影響するリスク・機会への対応策は以下の通りであり、CO2排出量削減、環境・人権に配慮した持続可能な原料調達、法令順守・訴訟の回避、付加価値型製品の開発・販売、自然災害を考慮したBCP強化等を軸に対応を進めてまいります。

今後は、影響度の精査や、より長期にわたる植物原料の生育、基幹エネルギー源、顧客要求の変化等を分析していきます。

 

項目

対応策

リスク

機会

カーボン
プライシング

エネルギー効率
向上

・温室効果ガス排出量を2030年までに2016年度比31%削減する目標を設定

・脱炭素化ロードマップの策定と実践

・徹底した省エネ活動や、より効率的な設備への移行、再生可能エネルギーの拡大、新技術の導入

・インターナルカーボンプライシングを活用した、積極的な設備導入

脱炭素設備・
生産方法への移行

持続可能性配慮志向の高まり

・日清オイリオグループ調達基本方針(パーム油、大豆、カカオ)及び日清オイリオグループ人権方針を策定

・環境・人権に配慮した認証原料の調達を強化

- パーム油のRSPOサプライチェーン認証取得拠点(SG及びMB)の拡大

- 特に欧州で求められるRSPO認証SG品を重点的に拡大

- 複数の認証油を販売できるよう、マレーシアMSPO、インドネシアISPO調達に向けた準備

- 大豆等の原料について持続可能性を高める調達活動を推進

・認証原料に対する顧客及び消費者理解を醸成

・温室効果ガス排出量の少ない製品開発等、環境にポジティブインパクトのある製品・サービスを開発

・サプライチェーンに関わるステークホルダーを含めて法令順守を徹底し、訴訟リスクを低減

 

化粧品業界での植物由来製品の需要拡大

・付加価値エステル類の生産能力増強と化粧品認証へ適応した施設化を目的に、横浜磯子工場内に化成品工場を新設

成長事業の牽引力となるアジア市場の拡大と基盤となる先進国市場におけるグローバルビジネスを推進

自然災害の頻発・
激甚化

BCP強化

・原料供給の安定化、価格上昇リスク抑制のため、サプライヤーの複線化、原料産地の分散化、品質確認体制の強化

・生産拠点の風水害や地震等に対応した補強を計画。横浜磯子工場の護岸設備や搾油設備、ユーティリティの耐震補強を実施

・プラスチック原料のリサイクルを行う企業への投資により、将来的な容器包装原料の安定調達を実現。また、プラスチック代替容器の開発を推進

 

 

 

 (4)自然資本への対応

日清オイリオグループの事業活動は植物資源をベースとしています。主要原料となる大豆、パーム、菜種、カカオなどの“植物のチカラ®”を活用して、食品、飼肥料、化成品、化粧品原料などの製造・販売を行っています。大豆(米国、ブラジル)、パーム(マレーシア、インドネシア)、菜種(カナダ、オーストラリア)、カカオ(西アフリカ、南米)などは世界各地から輸入しており、特定の自然資本及び産地に依存しています。その認識のもと、植物資源の持続可能性確立に向けて、原料調達方針を策定するとともに、産地状況の調査、認証原料の調達、植林活動による生態系保全・復元などを進めており、特にパーム油は2024年までに農園までのトレーサビリティ100%達成を目指しております。また、植物資源を活用した、環境にポジティブインパクトを与える商品・サービスの開発にも取組んでいます。

情報開示及び目標、取組みは以下のとおりです。

 

項目

内容

情報開示

・日清オイリオグループ環境理念、環境方針の公開

・日清オイリオグループ調達基本方針の公開

・パーム油調達方針の公開、NDPE宣言の実施、アクションプラン及び実施状況を公開

・大豆調達方針の公開

カカオ調達方針の公開

目標

(パーム油)

 ・パーム油の農園までのトレーサビリティ体制を構築する(2024年に100%)

 - 持続可能なパーム油調達推進に向けて、パーム油認証油割合、2024年に100%を確保

 - RSPO認証油のSG比率、2024年に50%以上を確保

(大豆)

 ・大豆の持続可能性を高める取組みを推進する

(カカオ)

 ・持続可能なカカオの調達を推進する

(自然保全活動の推進)

 ・植林による自然保全活動(例:マレーシアでのマングローブ植林(2022~2024年に4,000本(約4ha)))

(水資源)

 ・生産に利用する水資源の効率的活用のため、2030年に生産活動における用水の原単位を2016年度比16%削減する

(環境にポジティブインパクトを与える商品・サービスの開発)

 ・2023年度までに50件、2024年度までに80件(2021年度からの累計)

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

 

(1) リスクマネジメントの考え方

当社グループでは、「ビジョン2030」や中期経営計画「Value Up+」で目指す姿の実現や当社が取り組む事業に対してネガティブな影響を及ぼす不確実性を「リスク」と定義し、リスクコントロールを行っています。リスクマネジメントに対する主体的な取組みを通じて、企業として安定した収益を上げるだけでなく、社会的責任を果たすことを通じて更なる企業価値の向上と発展を目指すことを目的としています。リスクマネジメント体制については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項 (b) リスク管理体制の整備の状況」をご参照ください。

 

(2) 当社グループにおける重要リスクについて

以下は、リスクマップの中から、リスクマネジメント委員会で選定した当社グループの重要リスクを示しています。

 


 

  なお、重要なリスク認識については、連結財務諸表「連結注記表 追加情報(ロシア・ウクライナ情勢による当社グループへの影響について)」をご参照下さい。

 

当社グループの重要リスクの内容と対応については次のとおりです。

なお、文中においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。

 

 

 

重要リスクの内容

対応

① 為替相場および原材料相場の変動

 当社グループでは、油脂事業および加工食品・素材事業における原材料である大豆、菜種、カカオ等は全量海外から輸入しております。また、マレーシアをはじめ東南アジア、欧州等において海外事業展開を行っております。このため、当社グループは原材料コストや外貨建てでの販売、外貨での借入金残高などにかかる為替変動リスクを有しており、為替相場の変動により業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 原材料においては、原材料国際価格の相場変動リスクに加え、原油価格高騰などに伴う輸送コスト等の変動リスクを有しております。原材料価格は当社グループのコストにとって重要な部分を占めることから、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼします。

 

 当社グループでは、「デリバティブ・商品先物取引等管理規程」等の規定に則った為替予約、先物市場を利用したヘッジ取引を機動的に行うことで当該リスクに対応しています。なお、ヘッジ取引の実施状況については、当社執行役員会にて四半期に一度、情報の共有化とモニタリングを実施しております。

 さらに原料価格に見合った販売価格の適正化、製造費等のコスト削減などを実施することにより価格変動による影響の抑制を図っています。

 

② 国内外の製品市況の変動

 特に油脂事業の販売におきましては、国内外の製品市況の変動による影響があります。油脂および油粕製品の国内販売価格は国際市況に概ね連動いたします。また、海外からの製品輸入動向が国内販売価格への影響要因となる可能性もあります。これら国内外の製品市況の変動が顕在化した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼします。

 

 

 当社グループでは、国内外の製品市況の変動に応じてコスト等に見合う適正な価格での販売に努めています。(2022年度は油脂製品の価格改定を2回実施)

また、高付加価値商品の拡販に取組み、徐々にその構成比を上げています。売上原価と販売価格の変動にタイムラグが生じる等の場合もありますが、当該リスクの業績への影響の低減に努めております。

 当社執行役員会では、毎月、経営計画の進捗管理を行っており、必要な施策の実施につなげております。

③ 地震・津波、異常気象(風水害等)

 地震・津波に加え、近年異常気象による風水害等のリスクが年々高まっていると認識しております。このようなリスクにより、従業員の安全面をはじめ、生産拠点の製造設備、物流設備、インフラ等に被害が生じた場合、サプライチェーンの要所への影響から製品の安定供給に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

 

 当社グループでは、地震・津波等の災害発生時対策として、従業員等の安否を確認する安否確認システムおよび東日本大震災の経験を踏まえて策定したBCP(事業継続計画)を構築し、随時見直しを行っています。並行して、従業員等の安全および生産体制の基盤強化のため設備面で耐震補強を進めるとともに、護岸・電力調達における地震対策の強化も行っています。

 また、総合防災訓練や教育を定期的に実施するとともに、近年の異常気象による風水害等のリスク軽減についても重要な課題とし、減災の取組みも含め、推進しております。

 これらの対策を超える甚大な影響のある事象についても継続して検証を行い、可能な限り被害を最小化するとともに、保険の付保を行い、当社グループの業績および財政状態への影響を低減することに努めております。

④ 品質関連(食の安全性について)

 食品の品質および安全性についての社会的関心の高まりから、より一層厳格な品質管理体制が求められております。品質問題が発生した場合は、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 当社執行役員会が設置する品質マネジメント委員会にてグループにおける品質保証に関する方針、施策の審議および実行の確認を行っており、国内の主要工場におきましては、ISO9001の認証および食品安全マネジメントシステムに関する国際規格であるFSSC22000の認証を取得し、一部の製造工程ではGMP認証を得るなど、厳しい品質保証体制を構築しております。

⑤ 原材料の調達におけるリスク

 当社グループの製品に必要な原材料のなかでも、特に油脂事業および加工食品・素材事業における大豆、菜種およびカカオなどの主要原料やオリーブ油およびパーム油をはじめとした原料油脂の調達環境が悪化し、十分な量の原材料が調達できない場合や、当社グループが求める品質・安全性を充たした原材料を確保できない場合には、製品の安定供給における多大なリスクが生じ、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 世界の人口増加や各地で頻発する異常気象等による食糧需給の不透明感は年々高まりつつあり、また、原材料の生産国における政策動向、地政学リスクの高まり等によっては供給が不安定化するリスクもありますので、細心の注意を要します。

 

 当社グループは、干ばつなど天候の影響、生産国での政策動向、地政学リスクの高まり等による原料の調達環境の変化にも対応できるよう、原料および原料油脂ともに生産国やサプライヤーの複線化により、安定的な調達に努めております。

 特に調達環境の動向が見通しにくい状況下においては、期先までの需要を見据えた調達、在庫確保に努めております。

 なお、安全性が確保された原材料を調達するため、新規の産地・サプライヤーの原材料購買を行う場合には分析や現地視察などによる安全性評価を実施するとともに、既存の購買原材料についても定期的な安全性評価の実施や、原料産地の情報収集を行うことで、安全・安心な原材料の確保に努めております。

 

 

 

重要リスクの内容

対応

⑥ 気候変動・環境に関するリスク

 地球温暖化対策や海洋プラスチックごみ問題などが今日的な課題として注目を浴びており、これらの課題に対応できない場合、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 植物資源を事業のベースとする当社グループにとって、地球環境や資源の保護は事業の持続性そのものと考え、脱炭素社会、循環型社会の実現に向けて以下の取組みを行っています。

<気候変動対応>

・2030年までにCO2排出量を31%(2016年度比)削減するための戦略ロードマップを策定し、グループ全体で削減のための施策を推進

・国内生産拠点にて新規に導入した設備投資の効果などによりScope1、2における2022年度のCO2排出量削減を8.6%削減(速報値/2016年度比)

・グループの主要な生産拠点に太陽光発電を導入

<持続可能なパーム油調達への取組み>

・「パーム油調達方針」に基づく、持続可能性に配慮した認証パーム油の調達とトレーサブルで透明性のあるサプライチェーン構築に向け、アクションプランを策定して取組みを推進

<プラスチック容器・包装の削減>

プラスチック容器について、当社ホームユース製品の一部にバイオポリ容器を導入

・横浜磯子工場における新たな環境対応型PET容器の充填ライン増強投資を決定

⑦ 人権に関するリスク

 当社グループおよび調達先が人権問題を起こしたり、人権上問題のある調達を行った場合、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

2022年に策定した日清オイリオグループ人権方針について、グループ会社への周知を図りました。また、ISFにおいて、Labour and Human Rights Policyを策定しました。

2023年度は、人権デューディリジェンスの仕組みの構築や苦情処理体制の整備に取り組んでまいります。

⑧ 消費者ニーズの変化への対応

 近年の消費者ニーズの変化は非常に早く、かつ多様化しており当社グループが認識する前に消費者のニーズが変化する可能性があります。また、認識しても対応できない可能性があり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

消費者ニーズの変化については、常に早期に把握するように努めておりますが、例えば、次のような対応を行いました。

2022年度は油脂価格の高騰により、従来、調理用としてキャノーラ油を購入していたユーザーが、価格優位性のある大豆油ブレンド品に急速にシフトしたため、早期に生産・供給体制を整え、安定した製品供給を実現しました。また、2021年度から続く油脂価格の高騰により加工食品メーカー等で、油脂の使用量を減らす動きが発生しました。こうした動きを機会と捉え、ユーザーへのソリューション提案をさらに強化しました。

デジタル技術を活用した顧客接点強化の取組みとしては、ウェルネス食品領域におけるインバウンド型営業体制の強化のため、医療従事者専用ホームページの「メディカルサポートサイト」を開設しました。

⑨ 海外拠点の運営に関するリスク

 当社グループは、日本国内のみならず、東南アジア、欧州等の国および地域において事業を展開しております。以下のような事象は、特に海外事業展開においては、リスクとなります。

ⅰ法律等の諸規制の予期せぬ制定または改廃

ⅱ不測の政治的・経済的事象の発生

ⅲテロ、紛争等による社会的混乱および

その他の地政学リスク

 これらの事象が発生した場合には当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 当社グループにおきましては、これらのリスクを最小限に留めるべく、情報収集に努め、危機管理体制のなかで的確かつ迅速に対応してまいります。

 

 

 

 

重要リスクの内容

対応

⑩ 伝染病、感染症等

(新型コロナウイルス感染症への対応)

 伝染病、感染症等が流行し、従業員等の感染、外部委託先も含めた事業活動の制限、原材料の調達不足等によりサプライチェーンの要所に影響が生じることから製品の安定供給に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、製品需要が大幅に変動した場合もこれらに影響を与える可能性があります。

 

 新型コロナウイルス感染症への対応について、当社グループは、従業員とその家族の安全確保を最優先とし、本社対策本部を中心に全社方針を適宜改訂しながら感染予防、拡大防止策を徹底のうえ、BCPをベースに事業活動を継続してきました。行政機関が推奨する感染対策を実施することで、従業員がより安心して働くことのできる環境を整備しました。

⑪  情報セキュリティ

 当社グループでは、生産管理、物流管理、販売管理および財務・会計をはじめとした業務の円滑かつ効率的な遂行のため情報システムを構築しております。また、事業上の重要情報、事業の過程で入手した機密情報および個人情報を保有しています。大規模な災害や停電、またはコンピュータウイルスやサイバー攻撃などにより、システム停止に伴う業務遅延や情報漏洩等が発生した場合、お客さまや市場の信頼が失われ、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 当社グループは、情報システムの安定稼働、信頼性向上、情報漏洩防止のため、ツールによるセキュリティ対策を導入するとともに、従業員教育や訓練を実施し、リスクが顕在化しないように取り組んでおります。

 また、セキュリティ事故発生に備え、対応マニュアルや連絡体制を整備しております。

 情報セキュリティ委員会では、情報セキュリティ対策について定期的な報告を受け、評価および見直しを実施しております。

⑫ 大規模な事故

 火災・爆発などの大規模な事故を起こした場合は、製品の安定供給に支障が生じ、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 当社では、全社的な安全・防災管理にかかわる統括責任を有する安全・防災担当役員を設置するとともに、安全・防災会議を中心とした全社防災体制、および事業場防災体制を構築しております。

 また、緊急時体制を規定のうえ、総合防災訓練や教育を定期的に実施し、事故の発生防止に努めるとともに、万一の発生に備えております。

 これらの取組みおよび保険の付保により、当社グループの業績および財政状態への影響を低減することに努めております。

⑬ 重要な外部委託先(物流委託先)の確保

 お客さまからのご要望通りに商品をお届けするため、必要な物流機能を適正なコストで確保すべく努めておりますが、これができない場合にお客さまへの商品の供給が滞り、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 日本国内では、ローリー車を含めたトラック運転士の不足や高齢化が進むなか、国内での輸送可能量が先々減少していく可能性があり、物流需給ギャップが生じる懸念があります。さらには、食品業界特有の長時間待機や納品付帯作業などの物流諸課題の改善遅れにより、商品をお客さまにお届けできなくなるリスクがあります。

 また、内航船に関しても同様に船員不足と高齢化が進んでおり、物流需給ギャップが生じる懸念があります。

 

 当社グループでは、油脂事業におけるホームユース領域および業務用領域の商品においては、納品リードタイムの見直し、出荷拠点の見直しや増設、鉄道や船舶等の代替輸送手段の確保などの施策をとるとともに、ホワイト物流の取組みや輸送料金の適正化を進め、当該リスクの低減に努めております。

 また、食品メーカー5社が出資する物流会社を通じた共同配送や物流改善につながる取組みを推進しております。

 さらに、より消費地に近い工場で生産し運ぶという、いわゆる地産地消を追求したサプライチェーン全体の最適化への取組みをデジタル技術の活用を含め検討を進めております。

⑭ 人材の獲得(育成)不足による競争力の低下

および継続性のリスク

 「日清オイリオグループビジョン2030」で目指す姿の実現に向けては、多様な価値観や専門性を有した人材が必要不可欠であり、不足すると競争力低下を招いてしまいます。

 また、安全・安心な製品を安定的に提供していくためには、特に製造や物流現場の活動を担う人材が不足することは事業継続性の大きなリスクであると認識しています。

 さらに、社員一人ひとりが、公私ともに充実し、当社グループで意欲的に能力を発揮し続けていくためには、自身の健康が最も大切な要素です。社員の健康リスクの発生は生産性などに影響が生じる可能性があります。

 

 

 当社グループは、社員の多様性を尊重するとともに、一人ひとりが成長できる人材育成プログラム投資の拡充や、必要に応じた外部からの人材登用、女性活躍の推進、健康経営の推進など、イノベーションを生み出す活力に満ち溢れた組織づくりに注力することで、必要な人材の確保と強化に取り組んでいます。

 安全・安心な製品を安定的に提供するにあたり、継続的な採用や教育、テレワークの積極的な活用、労働環境の最適化などにより人材の確保・定着に取り組むとともに、IoTやAI等の活用による作業の効率化や省力化を推進しています。

 当社グループでは、経営トップを健康経営の最高責任者とした推進体制を構築し、社員の心身の健康、働きがい、生産性向上を目的とした健康経営の各種取組みを推進しています。

 

 

2023年度のリスクマネジメントにおいては、日清オイリオグループビジョン2030で示した6つの重点領域における機会とリスクのガバナンス強化に努めていきます。

※ガバナンス体制については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」もご参照下さい。

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次の通りであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、米国や欧州を中心に景気の回復が見られましたが、ロシアのウクライナ侵攻を背景としたサプライチェーン(供給網)の混乱やインフレ抑制のための各国の金融引き締めによる景気後退リスクが懸念されています。
 また、日本経済は、新型コロナウイルス感染症による行動規制の緩和等により緩やかな持ち直しの動きがみられました。一方で、原材料価格やエネルギー価格の高騰等により物価が上昇していることで、企業収益の悪化や消費者マインドの低迷が懸念されています。
 このような環境下、当社グループは「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」という基本方針のもと、中期経営計画「Value Up+」(2021年度-2024年度)に取り組んでいます。6つの重点領域で設定したCSV目標を成長ドライバーとして成長路線を加速させるとともに、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じた持続的な成長を目指しております。

また、当社グループは、資本効率性の改善を重要な目標にしており、2022年度から新たにROICを経営目標に加え、今まで以上に資本コストを意識したマネジメントを行っております。2024年度の目標であるROE8.0%、ROIC4.6%の達成に向け、「成長性」「積極投資」「持続性」「効率性」の4つの視点でKPIと実行施策をフレームワーク(「達成チャート」)で整理し、経営目標実現に向けた取組みを進めております。
当連結会計年度の業績については、以下のとおりとなりました。

 

前連結会計年度

(百万円)

 当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

前期比

売上高

432,778

556,565

+123,786

128.6%

営業利益

11,670

16,186

+4,516

138.7%

経常利益

12,648

16,242

+3,593

128.4%

親会社株主に帰属する

当期純利益

8,595

11,157

+2,561

129.8%

ROE

5.7%

7.0%

+1.3P

ROIC

4.1%

4.5%

+0.4P

 

   (注)ROIC(投下資本利益率)は、以下の算定式に基づき算出しております(いずれの数値も連結ベース)。

      ROIC =(当連結会計年度の税引後営業利益+持分法投資損益)÷ 

          [{(当事業年度の投下資本)+(前事業年度の投下資本)}÷2]

 

 ② 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ299億46百万円増加し、3,744億53百万円となりました。主な要因は、売上債権が113億78百万円、棚卸資産が212億29百万円、無形固定資産が4億49百万円増加したことであります。
 負債は、前連結会計年度末に比べ228億42百万円増加し、2,030億34百万円となりました。主な要因は、仕入債務が62億17百万円、未払費用19億1百万円、未払法人税等が27億円、長期借入金が141億18百万円増加したことであります。
 純資産は、前連結会計年度末に比べ71億4百万円増加し、1,714億18百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が75億20百万円、為替換算調整勘定が25億70百万円増加したことであります。

 

前連結会計年度

(百万円)

 当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

資産合計

344,506

374,453

+29,946

負債合計

180,192

203,034

+22,842

純資産合計

164,314

171,418

+7,104

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ30億23百万円増加し、108億99百万円となりました。

 

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

営業活動によるキャッシュ・フローは、3億98百万円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益153億23百万円、減価償却費93億88百万円、仕入債務の増加41億87百万円によるキャッシュの増加および売上債権の増加94億16百万円、棚卸資産の増加197億10百万円によるキャッシュの減少であります。

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

投資活動によるキャッシュ・フローは、61億43百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出72億32百万円によるキャッシュの減少であります。

 

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

財務活動によるキャッシュ・フローは、63億42百万円の収入となりました。主な内訳は、短期借入金の純増10億91百万円、長期借入れによる収入150億12百万円によるキャッシュの増加および長期借入金の返済による支出68億12百万円、配当金の支払29億19百万円によるキャッシュの減少であります。

 

 

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

△26,631

398

投資活動によるキャッシュ・フロー

△9,327

△6,143

財務活動によるキャッシュ・フロー

34,473

6,342

現金及び現金同等物の増減額(△減少)

△1,381

3,023

現金及び現金同等物の期末残高

7,875

10,899

 

 

 

(3)生産、受注及び販売の実績

 

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比

油脂

事業

油脂・油糧

283,273

137.6%

加工油脂

122,759

134.4%

小計

406,032

136.6%

加工食品・素材事業

45,991

112.3%

ファインケミカル事業

18,949

128.4%

その他

1,813

97.6%

合計

472,787

133.3%

 

      (注) 金額は、原価計算に利用した価格等により算定しております。

 

② 受注実績

当社グループでは、主として計画に基づく生産を行っているため、記載を省略しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比

油脂

事業

油脂・油糧

350,356

130.8%

加工油脂

118,023

135.4%

小計

468,379

131.9%

加工食品・素材事業

65,103

111.9%

ファインケミカル事業

20,462

120.3%

その他

2,619

102.2%

合計

556,565

128.6%

 

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 経営成績および財政状態の分析

当連結会計年度における経営成績および財政状態の分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

② セグメントごとの財政状態及び経営成績の分析

セグメント別の資産では、前連結会計年度末に比べ油脂事業において273億26百万円増加、加工食品・素材事業において28億70百万円増加、ファインケミカル事業において2億46百万円増加しました。

セグメントの業績は次のとおりであります。

 

 ・売上高

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

前期比

油脂

事業

油脂・油糧

267,840

350,356

+82,515

130.8%

加工油脂

87,186

118,023

+30,836

135.4%

小計

355,026

468,379

+113,352

131.9%

加工食品・素材事業

58,185

65,103

+6,918

111.9%

ファインケミカル事業

17,003

20,462

+3,459

120.3%

その他

2,563

2,619

+56

102.2%

合計

432,778

556,565

+123,786

128.6%

 

 

・〔参考〕売上高(単体)

 

前事業年度

(百万円)

当事業年度

(百万円)

増減額

(百万円)

前期比

油脂

事業

油脂・油糧

236,444

317,062

+80,618

134.1%

業務用・加工用

98,027

132,883

+34,855

135.6%

ホームユース

60,144

74,654

+14,509

124.1%

油糧

78,271

109,525

+31,253

139.9%

加工油脂

9,936

13,420

+3,483

135.1%

小計

246,381

330,483

+84,102

134.1%

加工食品・素材事業

17,509

19,259

+1,750

110.0%

ファインケミカル事業

5,598

5,976

+377

106.7%

その他

338

342

+4

101.4%

合計

269,826

356,062

+86,235

132.0%

 

 

・営業利益

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

前期比

油脂

事業

油脂・油糧

4,716

9,097

+4,380

192.9%

加工油脂

4,258

5,528

+1,270

129.8%

小計

8,975

14,625

+5,650

163.0%

加工食品・素材事業

1,672

533

△1,138

31.9%

ファインケミカル事業

1,336

1,385

+48

103.6%

その他

351

462

+110

131.4%

セグメント間消去・調整

△665

△820

△154

合計

11,670

16,186

+4,516

138.7%

 

 

 

セグメント別の概況

≪油脂事業≫

油脂事業セグメントでは、コロナ禍からの世界経済の回復に伴う油脂需要の増加に加え、ロシアのウクライナ侵攻による原材料の供給懸念、日米の金融政策の乖離等を背景とした円安ドル高の進行等により原材料価格が一段と高騰するなか、生産性向上とコスト削減に最大限努めるとともに、適正な販売価格の形成に取組みました。また、付加価値品の拡販に加え、新たな市場創造やソリューション提案の強化に注力したことで、増収増益となりました。

 

◆油脂・油糧

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前期比

売上高

267,840

350,356

+82,515

130.8%

営業利益

4,716

9,097

+4,380

192.9%

 

 

[原料の調達環境]

 原料の調達面では、主要原料相場が前期に対して上昇し、またドル円相場も前期に対して円安ドル高で推移したことから、大豆価格、菜種価格ともに前期を大きく上回りました。

<主要原料相場>

大豆相場は、ロシアのウクライナ侵攻による穀物・油脂の供給不安や、乾燥による南米産大豆減産などにより、6月には1ブッシェルあたり16~17米ドル台の歴史的な高値圏まで上昇しました。9~10月には米国産大豆の収穫により値を下げる局面もありましたが、世界的な脱炭素の動きを背景とした油脂需要の増加が下支えしたことや、アルゼンチンの減産見通しによって、高値圏での推移が続き、前期比で大幅な高値推移となりました。

菜種相場は、世界的な需給逼迫による歴史的な高値圏での推移が続くなか、ロシアのウクライナ侵攻による穀物・油脂の供給不安や、天候不順によるカナダ産新穀の作付遅れ等から上昇し、4月には1トンあたり1,200カナダドルと史上最高値を更新する等、高値圏で推移しました。7月以降は、カナダ産や豪州産の豊作期待により800カナダドル台まで値を下げましたが、脱炭素の動きを背景とした油脂需要の増加が菜種価格を下支えし、前期比で大幅な高値推移となりました。

<為替相場>

ドル円相場は、3月以降、日米の金融政策の乖離等により、急激に円安ドル高が進行しました。その後も米国の金融引き締めが継続したことや、資源価格高騰を背景とした日本の貿易赤字拡大等により、10月には150円台まで円安ドル高が進行しました。11月以降は米国の金融政策転換への期待や日銀の金融政策修正等から円高ドル安となりましたが、前期比で大幅な円安ドル高推移となりました。

[油脂の販売]

 業務用については、原材料価格が高騰するなかで販売価格の改定に取組みました。また、生活者の行動変容、人手不足やコスト上昇など「変化への対応」と「ニーズ協働発掘型営業」によるソリューション提案の質の向上に継続的に取組みました。商品面では長持ち機能等を付加した「機能フライ油」や「日清炊飯油」等の機能性油脂を含む「付加価値型商品群」を重点カテゴリーとし、積極的な提案による拡販に努めました。新型コロナウイルス感染症の影響により外食需要や観光需要の本格的な回復には至らず、販売数量は減少しましたが、販売単価が上昇したことで売上高は増収となりました。

 加工用についても、原材料価格が高騰するなか、コストに見合った適正価格での販売に取り組んだことにより、売上高は増収となりました。
 ホームユースについても、販売価格改定に取り組むとともに、「かけるオイルの定着」や「味つけオイルの市場創造」など付加価値品の継続的な拡販を進めました。この結果、サプリ的オイルの販売数量は前期を上回り、ごま油、オリーブオイルの販売数量は前期と比較して減少したものの、市場全体の落ち込みに対しては減少幅を小幅にとどめました。また、揚げ物の吸油を抑えた「日清ヘルシーオフ」などの戦略商品の拡販に努めました。これらの結果、主要カテゴリーの販売数量増と販売単価上昇により売上高は増収となりました。
 以上の結果、油脂全体の売上高は増収、営業利益は増益となりました。

 

[ミールの販売]

大豆ミールについては、大豆・菜種の採算格差を背景とした大豆搾油の増加に合わせ、拡販に努めたことで販売数量は大幅に増加しました。また、主要原料相場が上昇したことやドル円相場が円安ドル高で推移したことにより販売単価が上昇し、売上高は増収となりました。
 菜種ミールについては、大豆搾油優位の環境が続き、前期に対して搾油量を減少させたことで、販売数量は減少しました。販売価格は、大豆ミール価格上昇の影響等から上昇し、売上高は増収となりました。
 

 

◆加工油脂

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前期比

売上高

87,186

118,023

+30,836

135.4%

営業利益

4,258

5,528

+1,270

129.8%

 

 

 海外加工油脂については、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、欧州を中心に高付加価値品であるチョコレート用油脂の販売にシフトし、汎用品の販売数量を減少させたことにより、全体として販売数量は減少しました。しかし、パーム油相場の高騰に伴う販売価格の上昇、高付加価値品の販売数量増、円安リンギット高による為替換算の影響等により、増収増益となりました。
 また、イタリアのIntercontinental Specialty Fats(Italy)S.r.l.においては、新たな生産設備の本格稼働を背景に販売数量が増加したこと等により、増収増益となりました。
  国内加工油脂については、需要が低迷する厳しい状況が続くなか、新規ユーザーの獲得および既存顧客での新規商品採用により販売数量は前期を上回り、販売価格についても段階的な価格改定を実現したことで、売上高は増収となりました。営業利益は価格改定の遅れに加え、主要原料であるパーム油の高騰やユーティリティ、包装資材等のコスト上昇の影響が大きく、営業損失となりました。
 なお、当期末において「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき回収可能性を検討し、減損損失13億32百万円を特別損失に計上しております。
 

≪加工食品・素材事業≫

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前期比

売上高

58,185

65,103

+6,918

111.9%

営業利益

1,672

533

△1,138

31.9%

 

 

加工食品・素材事業セグメントでは、販売価格の改定と海外子会社の為替換算の影響等はあるものの、原価率上昇等の影響が大きく、増収減益となりました。

 

チョコレートについては、大東カカオ㈱において、菓子需要の回復が遅れるなか、新規顧客開拓等に努めたことで販売数量は前期を上回りました。シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte.Ltd.においては、日本国内における調製品の需要減により、販売数量は前期を下回りました。インドネシアのPT Indoagri Daitocacaoにおいては、新型コロナウイルス感染症の影響により遅れていた新規顧客との取引が進展したことにより、販売数量が増加しました。一方で、原価率上昇の影響が大きく、チョコレート全体で増収減益となりました。
 調味料は、価格改定に伴い販売価格は上昇したものの、販売数量の減少および原価率上昇や販管費増加の影響が大きく増収減益となりました。

 

機能素材・食品は、加工食品メーカーとのMCT(中鎖脂肪酸)のコラボレーション商品の上市を進め、市場規模拡大に努めました。また、原材料価格の上昇に対する適正価格での販売に努めたものの、原価率上昇の影響と販管費の増加により、増収減益となりました。
 大豆素材・食品は、原材料価格の上昇に対する適正価格での販売に努めたものの、原材料価格の上昇や前期の連結子会社売却の影響により、増収減益となりました。

 

  ≪ファインケミカル事業≫

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前期比

売上高

17,003

20,462

+3,459

120.3%

営業利益

1,336

1,385

+48

103.6%

 

 

ファインケミカル事業セグメントでは、国内外の需要回復の遅れに伴い汎用品を中心に販売数量は減少しましたが、欧州子会社の好調な販売および原材料価格の上昇に対する適正価格での販売に努めた結果、増収増益となりました。

ファインケミカル製品については、国内および中国向け輸出需要が新型コロナウイルス感染症の影響により本格回復に至らず、販売数量は前年同期を下回りました。一方、スペインのIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.で、欧州域内において化粧品油剤の販売が大きく増加したことにより、セグメント全体として増収増益となりました。
 環境・衛生については、堅調なアルコール製剤の需要により販売数量が増加しましたが、売上高は前期並みとなり、原材料およびエネルギーコスト高騰の影響が大きく、営業利益は減益となりました。
 

  ≪その他≫ 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前期比

売上高

2,563

2,619

+56

102.2%

営業利益

351

462

+110

131.4%

 

 

情報システムをはじめその他の事業セグメントは、増収増益となりました。

 

    ≪地域別売上高≫

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前期比

日本

338,524

429,416

+90,892

126.8%

アジア

54,523

65,014

+10,490

119.2%

その他

39,730

62,134

+22,403

156.4%

海外売上高比率

21.8%

22.8%

+1.1P

 

 

原材料価格の高騰を背景とした販売価格の上昇や為替換算の影響等から、マレーシア、中国等のアジア向けおよび欧州、米国等のその他地域への売上高は増収となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度に比べ30億23百万円増加して108億99百万円となりました。当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費や仕入債務の増加によるキャッシュの増加および売上債権の増加や棚卸資産の増加によるキャッシュの減少により3億98百万円の収入(前連結会計年度は266億31百万円の支出)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などによるキャッシュの減少により61億43百万円の支出(前連結会計年度は93億27百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入などによるキャッシュの増加および長期借入金の返済による支出などによるキャッシュの減少により63億42百万円の収入(前連結会計年度は344億73百万円の収入)となりました。

 当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、資金調達方法として、当社取引銀行5行との間でシンジケーション方式により総額100億円のコミットメントライン契約を締結している等により、資金の流動性は確保しております。

 当社と国内子会社10社の間で「キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)」を構築しており、当該システムを利用し効率的な資金配分を行っております。

 設備資金、投融資資金等の長期的な資金需要については、金融市場動向、既存の社債の償還時期および借入金の返済時期等も総合的に勘案し、社債および借入金等による資金調達を行っております。

 今後の重要な資金の支出予定としては、横浜磯子事業場におけるインキュベーションセンター設立とマレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.における生産設備増強と品質・生産効率向上を予定しております。

 

当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。

当連結会計年度(2023年3月31日)

 

1年以内

(百万円)

1年超

(百万円)

短期借入金

32,545

社債

20,000

長期借入金

955

52,313

リース債務

415

5,593

合計

33,916

77,907

 

上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 

なお、経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等およびその達成状況については、「第2  事業の状況  1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等  (2) 中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題  <目標とする経営指標>」に記載しております。

 

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表等の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。

 

① 繰延税金資産

当社グループは、将来の課税所得見込額等に基づいて回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。

なお、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得等の見積りによるものであるため、その見積りの前提に変更が生じた場合は、繰延税金資産の計上に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 退職給付債務及び退職給付費用

当社グループは、退職給付債務および費用について、昇給率、退職率等の基礎率及び割引率を用いて計算しております。

なお、これらの前提に変動があった場合には、退職給付債務および費用に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価について、事業部等を基礎としてグルーピングされた資産グループごとの収益性の評価及び回収可能価額の算定を行い、収益性が著しく低下している資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額することとしております。

市場環境等の変化により収益性が著しく低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。

  なお、当連結会計年度については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係) ※7 減損損失の内容に記載のとおりであります。

 

当連結会計年度の連結財務諸表を作成するにあたって行った会計上の見積りのうち、当該会計上の見積りが当連結会計年度の翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあると判断したものはありません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

 

当社グループの研究開発部門では、長年の植物油脂研究による知見をベースに、技術開発と商品開発を両輪とした研究開発を進めてまいりました。油脂のおいしさ評価技術、栄養評価技術、油脂の製造および加工に関する技術を強みとし、これらを活用することで、技術力強化に取り組んでおります。

「日清オイリオグループビジョン2030」で掲げた6つの重点領域のうち、「すべての人の健康」においては、健康寿命延伸への貢献のため、脂質・たんぱく質の栄養研究を続けております。また、今後は、体質や体調といったパーソナルな健康課題へ向けても商品開発を進めてまいります。

「おいしさ、美のある豊かな生活」では、油脂が様々な食品の中で担っているおいしさについて、そのメカニズムの把握とコントロールを行う技術を確立し、油脂による「おいしさの意図的創発」を目指しております。

「地球環境」では、製造における副産物の再資源化やエネルギー削減につながる技術の開発、環境負荷の小さい容器・包装の開発などを通じ、脱炭素、食品ロス削減などの社会課題の解決を進めてまいります。

「食のバリューチェーンへの貢献」では、機能性油脂によるソリューションの提案、生活者の健康ニーズを捉えた素材提案やアプリケーション提案を行い、食品産業の発展に貢献いたします。

今後も、コアコンピタンスである「油脂」をさらに究めることで、お客さまのニーズや社会課題の解決に対応した、価値ある商品・サービスの提供を行ってまいります。

 

開発体制図


 

グループにおける研究開発の中核を担う中央研究所では、グループ全体の事業領域を対象とした研究開発を行っております。商品開発では、食用油と調味料、加工油脂、ウェルネス食品の開発を行っております。技術開発では、油脂の製造・加工、調味・調理評価、栄養評価に関する技術開発に取り組んでおります。これらの研究開発の推進にあたっては、大学や公的機関との共同研究や取引先との共同開発などを行い、成果の早期獲得と新たな研究開発領域の創出に努めております。また、海外での研究開発拠点として、パーム油の主要産地のひとつであるマレーシアに、Nisshin Global Research Center Sdn. Bhd.を置き、当社グループのパーム油脂、スペシャリティファットの製造および販売を行う事業会社Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.と連携のもと、高品質、高機能かつ持続可能なパーム油の研究開発にも取り組んでおります。

 

生産技術開発部では、油脂の製造・加工に関わる生産技術に関し、環境、品質、生産性の観点から開発に取り組むとともに、新たな付加価値製品のスケールアップと小規模生産に迅速に対応するなど、お客さまと価値を共創するためのインキュベーション機能を強化してまいります。

ユーザーサポートセンターでは、マーケット調査や周辺技術研究、ユーザーニーズに対応した商品開発やアプリケーション開発を推進し、販売と一体となった総合的な技術営業の展開、ソリューション提案を行っております。ユーザーとの接点の中で、ユーザーが抱える課題の解決や新たな価値の創造に関与することで、売上拡大や事業拡大を実現してまいります。

ファインケミカル事業部テクニカルセンターでは、化粧品領域、化学品領域、および食品領域におけるファインケミカル素材の開発ならびに、その機能評価に基づく価値開発やアプリケーション化を進めるとともに、生産部門と連携して製品の品質優位性を高めるための活動を行っております。また、事業のグローバル展開を支える基盤を形作るために、当社グループのIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.とは、エステル油剤開発、品質管理、生産技術などにおいて多面的な技術連携関係を構築しております。中国では当社グループの日清奥利友(上海)国際貿易有限公司とファインケミカル事業部テクニカルサポート課が連携して当社製品の技術的、品質的な特徴を顧客にアピールする活動を行い、中国における市場開拓を着実に進めております。

横浜磯子事業場内では、2024年の稼働を目指してインキュベーションセンターを建設し、お客さまとの価値の共創を加速していきます。

 

なお、当連結会計年度における研究開発費の合計は3,128百万円(前連結会計年度は2,702百万円)であり、セグメント別の研究開発費については以下のとおりです。

 

 

油脂事業

加工食品・素材事業

ファインケミカル事業

合計

2022年度(百万円)

2,010

576

542

3,128

 

 

〔油脂事業〕

1.油脂・油糧 

① 概要

油脂の健康価値が再評価をされるなか、新たなマーケットを創り、市場全体の拡大につながる商品群の開発を行っております。安全・安心・おいしさ・健康からの価値創造はもとより、環境負荷低減やフードロス削減といった課題にも向き合いながら、植物資源が有するポテンシャルを最大限に引き出す開発を進めてまいります。

 

② 主な成果、新商品

ホームユース領域では、お客様のニーズに応える新たな価値を提供し、家庭用食用油市場のさらなる活性化を目指しております。原料価格の上昇や環境意識の高まりを受け、いつもの1/2の油で調理ができる「日清キャノーラ油ハーフユース」シリーズを発売いたしました。ご家庭で最も多く調理されている炒め調理を、手軽に快適にできる「日清キャノーラ油ハーフユース炒め専用」を2022年10月に、また、ご家庭で一般的になってきている「揚げ焼き」調理を、揚げムラなく調理ができ、廃油を削減できる「日清キャノーラ油ハーフユース」を2023年3月に発売しました。

お客様にもっとオイルのおいしさを知っていただき、手軽に調味料感覚でご使用いただけるよう、味付けオイルシリーズを拡大してまいりました。2022年8月には「日清やみつきオイル海老ラー油」と「BOSCOシーズニングオイルレッドペッパー」を、また2023年3月に「日清やみつきオイルカレーオイル」を発売いたしました。さらに第3のブランドとして、当社グループ企業の株式会社ピエトロとのコラボレーションにより、90gのテーブルユースのガーリックオイルを2023年3月に発売し、味付けオイルとしては3つのブランドで10種類の商品ラインナップに拡大いたしました。

お客様のニーズに応える商品づくりとして、日本で最も売れている食用油である「日清ヘルシーオフ」に大容量タイプの1300gポリボトルを、また、機能性表示食品として、ごま由来の「セサミン、セサモリンがLDLコレステロールを下げる」ことが特長の「日清ヘルシーごま香油セサミンプラス」に小容量の130g瓶を発売いたしました。

 

地球環境に配慮した商品開発の一環として、再生可能な有機資源を原料としたバイオマスプラスチックを1000gポリボトル製品の容器の一部に導入いたしました。再生ペット樹脂の導入に加え、環境対応素材の活用範囲を拡大してまいります。また、食用油・調味料のプラスチック容器のリサイクルの仕組みを構築することを目指し、川崎市と協働で使用済みプラスチック容器の回収実証実験を実施し、再資源化に係る検討を進めております。

業務用食用油では、ユーザー様の様々な課題を解決する商品の開発を行っております。ベーカリー向けのフライ油は、固形脂が多く、その取り扱いにくさに多くのご相談をいただいておりました。そこで、液状油で油にじみが少ない機能を有し、使い勝手が良いことが特長の「ベーカリーフライオイルL」を上市いたしました。また、中食・外食向けに、それぞれのニーズへ対応した機能性油脂(炒め油、麺さばき油など)の開発を推進しております。

生活科学研究においては、コロナ禍やライフスタイルの変化、容器・保存といった技術進化なども要因となり、新たな取組みを実施する外食産業や中食市場の拡大とともに、生活者の食の選択方法や楽しみ方も変化していることを踏まえて、「’22 外食に関する調査<第3回>」および「’22 中食に関する調査<第3回>」を実施し、レポートをニュースリリースいたしました。 

また、調査研究活動から得られた結果をさらに分析することで、将来の生活者の消費行動を独自に予測する取組みとして、「生活者の消費マインド予測2023」を行い、ニュースリリースいたしました。

 

2.加工油脂 

① 概要

製菓・製パン商品のおいしさにおいて、油脂は風味や食感、口どけなど、大切な役割を担っています。当社では、エステル交換や分別技術などの油脂加工技術をベースに、マーガリン・ショートニング、チョコレート用油脂、クリーム用油脂、製菓・製パン素材などの製品を開発しております。また、これらの製品の主要原料油であるパーム油を生産する当社グループのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.および、業務用チョコレートを販売する当社グループの大東カカオ株式会社、両社の研究開発部門とも連携することで、油脂製造からアプリケーション開発にわたる領域のニーズに応える研究開発を行っております。

 

② 主な成果、新商品

コンビニエンスストアでのニーズの多様化やチルドデザートカテゴリーの増加に対応して、当社独自のエステル交換油を活用することで、サクサクとした食感やジューシー感が特長のシートマーガリンや、保形性と口溶けの良さを兼ね備えたバタークリーム専用のマーガリンを開発し、大手製パンメーカーやコンビニエンスストアのデニッシュに採用されました。また、機能性を有する素材と油脂を組み合わせた製パン用油剤を開発いたしました。これにより、従来よりもしっとり感があるパン生地に仕上がると同時に、日持ちの向上が期待できます。

 

〔加工食品・素材事業〕

油脂を食品素材と捉え、油脂が持つ「おいしさ」や「健康」の機能を様々な加工食品を通じてお客様にお届けする、商品開発やアプリケーション開発を行っております。

1.MCT

日清MCTオイルの機能性表示食品へのリニューアルに続き、ドレッシング、マヨネーズ、カプセル剤等の加工食品への展開を進めてまいりました。また、エビデンス×ストーリー×プロモーションを組み合わせた機能性素材マーケティングを実践し、ユーザー様との市場共創を進めた結果、MCTを原料に含む様々な商品が店頭化されました。引き続きマーケットでの認知向上や価値化を推進してまいります。

 

2.調味料

MCTオイルを、日々の生活の中でより手軽においしく召し上がっていただくために、「日清 MCTドレッシングソース」2品(チョレギ、フレンチ)を機能性表示食品として追加発売いたしました。「日清MCTドレッシングソース」は、第41回食品ヒット大賞(主催:日本食糧新聞社)の優秀ヒット賞を受賞しております。また、MCTのさらなる市場拡大へ向けて、「日清MCTマヨネーズソース」を新たに発売いたしました。

 

3.機能素材・食品

MCTを使用した商品として、食が細くなった高齢者の方でもエネルギーとたん白質を飽きずに毎日摂取できる商品として、「エネプリンプロテインプラス」の4風味(コーヒー味、抹茶味、いちご味、バナナ味)を追加上市いたしました。 エネプリンプロテインプラスは、第8回 介護食品・スマイルケア食コンクール(主催:日本食糧新聞社)で、農林水産省大臣官房長賞を受賞しております。また、先に上市していた4風味と合わせ、計8風味のラインアップが日本災害食学会の「日本災害食」の認証を取得し、災害時等の備蓄品としても最適なシリーズになっております。また、高齢者が必要な栄養素を選択的に摂取できる25mlの小容量のゼリーとしてミニタス3アイテム「エネルギー」「たんぱく」「食物繊維」を上市いたしました。

当社の独自技術による油脂100%の結晶性油脂では、MCTを配合した低融点タイプの「エネクイック」について、高齢者の低栄養改善に向けて介護施設や病院での用途拡大に取り組んでおります。また、化粧品などの非食品分野においても採用が続いております。今後も、特長とする体温付近での融解性の良さや融解時の冷涼感などにより、食品のみならず幅広い分野への用途開発を進めてまいります。高融点タイプの「コナファット」は、食感改善、分散補助、粉末の流動性改善といった機能を軸に食品用途で幅広くご利用いただいております。近年の地球環境問題への関心の高まりから、脱石油、脱ケミカルを目指し、非食品分野での活用方法についても用途開発、市場開拓を進めております。

 

4.チョコレート

大東カカオ株式会社と連携を取りながら、カカオを中心に、素材にこだわり、配合・物性・製造技術を磨き、他社がまねのできない多様な技術やユーザーの要求にこたえるための高付加価値技術を構築しております。

大東カカオ株式会社の強みであるロースト方法やカカオ産地を組み合わせた風味づくりを行うとともに、日清オイリオグループ株式会社との連携を強化し、油脂技術を活用した高機能なチョコレートの開発を進めております。また、持続可能な社会への貢献の一環として、サステナブル認証を受けたカカオ原料の導入を開始し、市場の要求や顧客からの要望に合わせて、認証原料への切り替えを進めるための検討を実施しております。原料価格の高騰への対応や原料の安定確保のために、従来以外の産地やメーカー、原材料の変更に対する評価・検証を実施して製品への影響を最小限にとどめるための検討も継続して実施しております。さらに、強みであるチョコレートの風味の向上を目指し、カカオ豆の発酵工程の調査、改善のために大学と共同での研究を進めております。

 

5.大豆食品素材

畜肉、魚肉、鶏卵など原料価格の高騰を背景に、主に食肉加工食品、水産ねり製品、冷凍総菜を商品化されているユーザー様に向けて、粒状大豆たん白、全脂大豆粉末、粉末状大豆たん白、脱脂大豆粉末を使用したアプリケーションを数多く開発し、ソリューション提案を実施してまいりました。また、昨年度上市した粉末状大豆たん白「ソルピーDM-1」が、高プロテイン飲料向けの素材として広く採用されました。全脂大豆粉末では、MCTなどの機能性油脂と組み合わせて飲料、スープにおいしさを加えて栄養・健康を訴求した提案をいたしました。今後、社内外の各部門と連携をとりながら、大豆食品素材と当社の「油脂を究める」技術を組み合わせることによりさらなる価値創造を進めてまいります。

 

〔ファインケミカル事業〕

化粧品領域における開発活動としては、グローバルな視野で化粧品業界に広く展開できる高機能素材や植物由来成分からなる素材の開発に取り組んでおります。

化学品領域における開発活動としては、情報関連分野・潤滑用途の素材を中心に顧客と直結した開発を進めております。

食品領域における開発活動としては、主力であるMCT製品の品質向上を図るとともに、新たな機能性素材の開発に取り組んでおります。

Industrial Quimica Lasem, S.A.U.との間では、技術的な相乗作用を得るために、製品のみならず原材料評価、品質管理、製品開発、および生産技術など多岐にわたる連携関係を構築してきました。同社が製造販売する、FSSC22000などの認証を背景とした高品質なMCT「QUOLIO(クオリオ)」については、国内展開を図るとともに、高品質な化粧品原料の製造が可能となる生産設備の改良を行い、グローバル供給体制確立への歩みを進めております。
 

 

日清奥利友(上海)国際貿易有限公司とは、中国における技術サービスの充実を目的として設置したラボ機能の有効活用を図るとともに、さらに発展させる形で、現地企業を対象とした原料セミナーを複数回開催し、当社製品の優れた特徴をアピールする活動を行い、中国における市場開拓を着実に進めております。

セッツ株式会社において、外食厨房や食品加工工場、介護施設や保育園等、生活のあらゆる場面の衛生管理に役立つ製品やソリューションの提供を通じて、「清潔・キレイ」「健康」「快適」な環境づくりに貢献すべく衛生管理事業を行っております。研究開発部門では、衛生管理の鍵となる微生物制御技術、洗浄技術を深化・融合させ、当社ならではの高付加価値商品および技術開発に取り組んでおります。大学や外部機関との共同研究も積極的に活用しております。

最重点商品の一つであるウイルス対策アルコール製剤「ユービコールノロV」に関しては、Key基剤であるブドウ種子抽出物によるウイルス不活化技術の一層の深化を図ることで、商品力の強化と商品ラインアップの充実化に注力しております。8月には処方を改良し使用感を向上させ品質改善に繋げました。昨年発売した「ユービコールノロV66」とともに、注力商品として引き続き育成してまいります。

一方、新型コロナウイルスの大流行で影響を受けている外食産業に向けて、従来の既存品に比べ安価でパフォーマンスの高い中性濃縮洗剤“ダイバークリーンコンク”を昨年リニューアルいたしました。このような考え方を、その他の既存商品についても展開すべく検討を行っております。今後、ユーザー様に受け入れ性の高い高付加価値商品を市場に提案してまいります。

また、顧客起点・現場主義を大切な行動指針として掲げ研究活動を実践しており、本年度も各地の食品工場を訪問し、課題解決に向けた対策や商品提案を積極的に行っております。本活動により、ユーザー様から高い信頼を獲得するとともに、現場で得られた知見をフィードバックすることで技術力や商品力の強化に繋げることが可能となりました。今後も顧客技術開発活動を精力的に継続してまいります。

学術活動では、WCOS2022(2nd World Congress on Oleo Science、Web開催)において「Extending the lifetime of frying oil by cleaning the fryer」のタイトルでフライヤー機器の効率的な洗浄による揚げ油の長寿命化、及びSDG’sへの貢献について(8月)、日本食品微生物学会学術総会において「環境からの製品汚染原因推定および環境分離菌株の特性」について発表を行いました(9月)。11月には、食品微生物科学協会「食の安全安心セミナー」にて、「食品加工工場における微生物汚染の原因とその対策事例」について講演を行いました。また、微生物学の国際学術誌 Journal of Applied Microbiology に「Salmonella contamination and hazard analysis in a storage facility for feed materials in Japan」が受理され(2022年133巻P2966–2978)、飼料分野における当社のHACCP手法が学術的に認められました。さらに、顧客訪問で取得した知見を元にHACCP管理を提案した「ケーススタディ:ゆで麺製造工場におけるPDCAサイクルによる微生物の分布と汚染源の特定」(第62巻 第3号)が第62巻論文賞を受賞し、11月の日本食品衛生学会において受賞式が行われました。3月には自社で得られている知見を元に「食品工場における微生物分布と汚染源解析」の内容で他企業様向けにWeb講習会を行い、業界の発展に向けても貢献できたものと考えております。

これら研究開発活動を通じて、引き続き当社衛生管理事業の拡大に努めてまいります。

 

 今後とも技術力の一層の充実を図り、新製品・新技術開発、新分野開拓に積極的に取り組んでいく方針であります。