第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは「SOFT(技術)・HARD(機械)・HEART(心)を創ります。人と地球に優しい製品を開発し社会に貢献します」の経営理念のもと、生産性の向上に役立つ切削工具等の開発・製造・販売に携わってまいりました。また、ブランドステートメントとして“「つくる」の先をつくる”を掲げ、お客様や社会のニーズに応える高付加価値製品を生み出し、モノづくりの夢と可能性を切り拓くことを経営の基本方針といたしております。

また、当社グループは、社会との共存と自社の持続可能性を同期させた「サステナビリティ基本方針」を策定しております。自社グループの中長期的課題と向き合い、社会と共生しつつ企業としての持続的成長を維持継続するため、超硬小径エンドミルを中心に「人と地球にやさしい高付加価値製品を、最小限の資源でつくり、環境負荷の低減に努める」ことで、精密・微細加工用工具分野で圧倒的な№1企業を目指します。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

当社グループの持続的成長と社会との共存を実現するため、当社の各部門とグループ企業体が互いに連携し、製品開発サイクルの好循環をつくり出すことで、高付加価値製品の継続的な創造、提供の実現を図ります。

 

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上記目的達成のため、開発・生産・販売の各部門においては、下記戦略を実施してまいります。

 

① 開発部門

新製品開発では、当社グループの強みである既存製品群の更なる品揃えの充実を図ると共に、現在の加工方法が変わるような他社に出来ない競争力のある製品の開発を目指します。新たな素材を使った工具の開発や、新たな工具の加工方法やコーティング技術の改良を推進するとともに、WebやSNSを活用して社内外における製品開発に関わる情報の収集と共有化を図り、ユーザーに支持される製品を開発してまいります。また、生産技術開発では、次世代加工技術への取り組みによる既存技術の革新を基本方針として、自社開発工具研削盤の更なる機能向上や画像処理技術による自動測定の範囲拡大を図ります。

② 生産部門

仙台工場で策定した「ものづくり行動指針」を生産活動の基本としつつ、自社開発機による自動化ラインの増強、自動化範囲の拡大等により無人化・省力化を引き続き推進し、高性能(高精度、高能率、多機能、長寿命)でバラツキの無い、かつ価格競争力のある製品を安定的に供給できる体制を深化させてゆきます。また、品質改善のための小集団改善活動「オレンジFC活動」(FCはFuture Challenge)を一段と強化してまいります。また、子会社工場での生産強化等による小径エンドミルのリスク分散体制の構築や、環境に配慮した生産活動を推進するため電力使用量の削減等を引き続き進めてまいります。

③ 販売部門

新規ユーザー開拓や既存ユーザーへの当社製品拡販を図るため、デジタルを活用した営業活動の可視化、情報の共有やデータの分析を進めます。環境変化に対応した営業展開として、WebセミナーやSNSでの発信、デジタルカタログの制作等のほか、リリース済の「NS Connect」の様なWEBを利用した情報発信やオンラインでの加工相談等をメニューに加えます。多面的なユーザーアプローチの展開により、当社製品の価値をユーザーに正しく伝える活動を行ってまいります。また、海外での精密・微細加工市場の開拓、拡大を目指し活動してまいります。

 

 

(3)経営環境について

当社グループの主力製品である超硬エンドミルは、切削工具の一種で、工作機械に取り付け、主に金型や各種部品の製作といった金属等の加工に使用されます。それらの金型や部品は様々な工業製品に用いられることから、当社グループの業績はそれら工業製品の生産動向に大きく影響されます。当社は刃径6mm以下の小径エンドミルに特化しており、自動車、半導体、電子部品、光学機器、日用品、医療機器等、多くの産業に製品を供給しております。

一昨年からの新型コロナウイルス感染症の拡大は、サプライチェーンの寸断や需要の縮小等、世界各国の製造業に大きな影響を与えました。当期はコロナ禍からの回復・正常化が期待されていた中、ロシアによるウクライナ侵攻により安全保障上の重大な懸念事項が発生し、中国を含めたグローバルサプライチェーンの分断が長期化する事態となりました。加えて、賃金や原材料となるタングステン価格、電力コストや物流コストの着実な上昇が継続したため、当期の途中において価格の一部転嫁のため製品価格の改定を余儀なくされました。次期においても引き続きコストアップ要因は無視できない状況にあります。

このような状況のもと経営環境は引き続き厳しい状態が続くものと認識しておりますが、新型コロナウイルス感染症の収束に伴いサービス産業を中心とした一部に景気回復の動きがあることや、デジタルトランスフォーメーション(DX)の着実な進展に伴い、デジタル機器や半導体・電子部品等への需要は変動を伴いつつも底堅いものがあることから、当社製品が強みを発揮する精密・微細加工向けの工具需要を下支えすることが期待されます。

また中期的には、上記に加え、自動車産業における電動化、自動化、コネクティッド化の進展に伴い、センサー、カメラ、通信モジュール等当社が得意とする精密・微細加工が増えてくるものと期待され、微小径工具の使用は増えるものと考えております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

我が国のモノづくりが圧倒的な強みを発揮する精密・微細加工分野を、工具の面から支えていくことが、当社グループの使命であると認識しております。その使命を果たすため、ユーザーが安心して新たな加工にチャレンジできる、高性能で品質の安定した高付加価値製品を、妥当な価格で安定的に供給していくことが当社グループにとって最も大切であると考えております。

当社グループが対処すべき課題につきましては、上記使命とサステナビリティ基本方針を踏まえた自社グループの中長期的な経営戦略を踏まえ、各部門とグループ会社がKPIを策定し、PDCAを実施しております。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、売上よりも利益を優先する経営を実行し、連結売上高経常利益率20%の確保を中長期的な目標としております。当期の連結売上高経常利益率は22.1%、前期比0.5ポイント減ながら、目標は達成いたしました。半導体や電子部品の底堅い需要に支えられ、精密・微細加工に適した小径工具の需要は安定推移した一方、原材料費、電力費及び人件費のコストアップを製造原価低減だけでは吸収できず、やむを得ず主力製品の値上げを実施しましたが、一部転嫁に留まったため利益率は低下しました。

次期につきましては、世界景気の悪化懸念や資源価格の動向等、経営環境は一段と不透明感が増すと考えており、販売予想が困難な一方で、原価、費用の一部は着実な値上がりが見込まれることから、連結売上高経常利益率は当期を3.6ポイント下回る18.5%を予想しております。

また、株主資本を効率的に活用する観点から連結自己資本利益率(ROE)10%の確保も経営指標として重視しておりますが、当期は9.0%に止まっております。厳しい経営環境が続く中、高付加価値の創造と提供による利益成長機会を確保し、中期的に両指標の達成を目指します。

 

(6)経営戦略の現状と見通し

製品につきましては、「中期的な会社の経営戦略」に記載の通り、生産現場での加工技術や測定技術の向上を図るとともに、自動化を推進してコストの低減を進め、製品開発のスピードアップや営業力のレベルアップ等を実現しております。一方で、CBN(立方晶窒化ホウ素)やPCD(多結晶ダイヤモンド)を使用した高付加価値製品の開発とそれらを用いた加工技術提案にも注力しております。CBN製品は、その有用性が徐々に認知され販売を拡大してまいりましたが、引き続き新製品を投入し、更なる耐久性や精度の向上により使用領域を拡げてまいりたいと存じます。PCD製品は、まだ用途が限られておりますが、製品性能の向上を図り、市場の拡大に努めてまいります。

製品の安定供給につきましては、仙台在庫センター、東京本社、香港子会社の3拠点に加え、当期より米国現法でも製品在庫の保有を開始し、4拠点から製品を供給する体制となっております。

 

(7)その他、会社の経営上重要な事項

① 内部管理体制の整備・運用状況

当社グループでは、社内規程や稟議制度を整備し、ルールに基づいた業務運営を実施しております。また、内部統制報告制度への対応につきましては、常務取締役を委員長とする「内部統制委員会」を設置し、内部統制の整備・運用の推進及びその評価、また監査法人により実施される内部統制監査への対応を行っております。

② 指名・報酬委員会の設置

当社グループでは、ガバナンス強化の観点から任意の指名・報酬委員会を設置しております。指名・報酬委員会は独立社外取締役が過半を構成し、委員長は独立社外取締役から選任される諮問委員会であり、取締役等の候補者の指名(監査等委員である取締役を除きます)や、取締役等の報酬(監査等委員である取締役を除きます)について取締役会より諮問を受け、審議内容を答申することで、取締役会の独立性を高めるものであります。

③ その他

その他の取組みといたしましては、監査等委員による各部門長へのヒアリングの実施、内部監査部門による各部門への内部監査の実施等を行っております。なお、内部監査につきましては、社長及び取締役会・監査等委員会へ報告、答申等を行うデュアルレポーティング制度を採用しております。コンプライアンスにつきましては、コンプライアンス担当役員を中心に推進を図っており、全社教育のテーマの一つとして従業員研修会やメール・マガジンで取り上げることにより、社内での周知に努めております。また「コンプライアンス相談窓口」を設け、内部通報制度の窓口といたしております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その実現を保証するものではありません。

 

(1)サステナビリティ基本方針とマテリアリティ

当社グループでは、社会と共存しつつ自社の持続的成長を目指す観点から、2021年11月に「サステナビリティ基本方針」を策定し、併せて当社グループの持続的成長に不可欠な構成要素(マテリアリティ)と共に公表しております。生産、開発、販売、管理の各部門が「サステナビリティ基本方針」と「マテリアリティ」を踏まえてKPIを設定し、高付加価値製品の創造、提供のための好循環サイクルの確立を目指しております。

 

<サステナビリティ基本方針>

日進工具は、経営理念である「SOFT(技術)・HARD(機械)・HEART(心)を創ります。人と地球に優しい製品を開発し、社会に貢献します。」を実践し、精密な小径エンドミルを全世界に向けて提供することにより、企業や技術者のイノベーションを支えております。また、2004年にISO14000を認証取得し、環境配慮の重要性を自覚して様々な取り組みを実践してまいりました。これからも日進工具グループは、人と社会と環境が調和した持続可能な社会の発展に貢献してまいります。

 

サステナビリティ方針

小径エンドミルのリーディングカンパニーとして、

これまでにない高付加価値製品を提供することにより、

社会と共生し、持続的成長を目指します。

 

マテリアリティ

1.環境問題への対応

人と地球にやさしい製品を、最小限の資源でつくり、環境負荷の低減に努めます。

2.人権の尊重

企業活動において、人権を尊重し、行動します。

3.地域・社会への貢献

小径エンドミルの事業を通じて、地域・社会における公益的な活動を実践します。

4.従業員の働きがい

すべての従業員に働きがいのある職場環境を提供します。

5.取引先とのパートナーシップ

取引先との相互理解を深め、公正な事業活動を通じて持続社会を目指します。

6.災害等の危機管理

いかなる状況でも安定した製品供給が可能な体制を構築します。

 

(2)サステナビリティ推進体制

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① ガバナンス

当社グループでは、経営の実務的戦略を検討する会議体として、従来の執行役員会議に各部門長と子会社社長を加えた部門長会議が当期新たに発足し、この分科会としてサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、気候変動、人的資本を含むサステナビリティ全般について年2回以上検討を実施して取締役会へ報告し、取締役会が報告内容を審議することでサステナビリティ体制の推進を図ります。サステナビリティに関する方針や決議内容の有効性評価やその実施状況の監視は、内部統制委員会が行っております。また、人的資本への対応では、管理職の人財評価を行う人事委員会や、人事制度の見直しを行う人事制度構築委員会が取締役会の諮問に対し答申を行い、公正な人事評価と人財育成、人財多様性の確保等に努めております。

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② 戦略

当社グループのサステナビリティ戦略は、自社の持続的成長と社会との共存に不可欠な要素として選定した6つの「マテリアリティ」(環境、人権、地域・社会、従業員、取引先、災害等)の各項目を踏まえ、ISO規格(品質及び環境マネジメントシステム)と連動することで、顧客アンケート(VOC)分析や自社グループのSWOT分析を用いて部門長会議(サステナビリティ委員会)がグループ全体の課題を抽出し、これを各部門や子会社毎の課題に分解し「マテリアリティKPI※」として具体的な目標に落とし込んで策定しております。

※KPI=Key Performance Indicator スケジュール化、数値化された重要な事業目標

また、マテリアリティ「従業員の働きがい」の項目に関連し、当社グループでは人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を以下のとおり決定しております。また、両方針の策定に伴い、マテリアリティ「従業員の働きがい」の説明文を以下の通り変更しております。

(人財育成方針)

日進工具は、企業と個人の成長のため、社是である「明るく、楽しく、創造をしよう。」を主体的に実践する人財を育成します。

(社内環境整備方針)

日進工具は、社是である「明るく、楽しく、創造をしよう。」を実現する組織と社内環境を整備します。

(マテリアリティ「4.従業員の働きがい」)

すべての従業員に働きがいのある職場環境を提供します

社是である「明るく、楽しく、創造をしよう。」を主体的に実践できる人財を育成するため、研修制度の充実や従業員との対話を通じ、企業と個人が相互に成長できる職場環境を整備します。

 

③ リスク管理

当社グループのサステナビリティ推進管理は、基本的に各部門におけるISOマネジメントシステムとリンクしており、各部門、子会社が自身のKPI(「マテリアリティKPI」を含む)についてPDCAを行い、これをISO事務局が取り纏めて毎月取締役会に報告を行っております。KPIの進捗状況については半年毎にISO事務局が総括を行い、これを取締役会に報告しております。また主要KPIの進捗状況についてはサステナビリティ委員会でも適宜モニタリングを行っております。

 

④ 指標及び目標

主要な「マテリアリティKPI」と当期の進捗達成状況は以下の通りであります。

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前述②における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針につきましては、上記4-7「子育てサポート企業として、3年後をめどに『くるみん』認定企業を目指し、女性社員比率を1%以上引き上げる」ことを目標としております。また、「従業員の状況」において記載した、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての目標に関しましては、当社グループの現状を踏まえ、目指すべき水準と必要な時間軸について検討を行ってまいります。

 

(3)環境問題(TCFDを含む)への対応状況

① TCFDを含む環境問題のガバナンス、戦略、リスク管理

環境問題は当社グループにとって重要な課題の一つとして、マテリアリティ項目「環境への対応」を構成しており、この中で気候変動に関する問題につきましても、サステナビリティ委員会で年2回以上検討を行い取締役会に報告しており、取締役会は必要に応じ議案の審議を行っております。

気候変動に関わる戦略策定のためのリスクの特定・評価につきましては、サステナビリティ委員会で、IPCCやIEA等が公表している2℃シナリオ・4℃シナリオを考慮したそれぞれの世界観を参考に、特に2℃シナリオを中心に当社グループにとってのリスクと機会の検討を行い、基本的な戦略策定作業を終了しております。

気候変動に関するリスク管理につきましては、上記戦略を踏まえ、各部門が気候変動対応を含めた「環境への対応」に関わる課題解決の中でマテリアリティKPIを策定し、他のマテリアリティに関するKPIと併せて社内でPDCAを行い、ISO 事務局から取締役会に報告するほか、サステナビリティ委員会でもモニタリングを行っております。

 

② 指標について

当社グループではGHGプロトコルスタンダードに基づいて、サプライチェーンを通じたスコープ1・2・3の温室効果ガス排出量を算定しております。2021年度のスコープ1・2排出量の合計は4,783トンとなり、2020年度から89トン減少致しました。当社グループでは従前より電力使用量の削減目標を設定して省エネに取り組んでおり、引き続きスコープ1・2の排出量削減に取り組んでまいります。

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3【事業等のリスク】

「有価証券報告書」に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性のある主な事項と当社の取組状況について以下に記載しております。なお、本文中における将来に関する事項は、「有価証券報告書」提出日(2023年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)新型感染症等の影響について

新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックの発生により、従業員が感染した場合や建物が封鎖された場合には、製品在庫の出荷が出来ず市場への製品供給が停滞する可能性や、生産体制に影響が出る可能性があります。

当社グループでは、新型感染症への対応として、社内規程を整備しチーム分けによる分散勤務体制や在宅勤務体制を導入し、併せて本社・工場・各事業所に抗原検査キットを常備して社内クラスターの発生防止に努める一方、製品在庫を仙台・東京・一部を海外現法にて分散保有し、また新潟工場の生産能力増強により、仙台工場との分散生産体制を推進するなど、複合的な対策を講じております。

 

(2)生産・開発拠点の集中について

これまで当社グループでは、生産・開発拠点を宮城県の仙台北部中核工業団地内に集約することで、効率的な生産・開発体制を構築し、製品の品質、精度、価格競争力等を高める一方で、生産・開発拠点における震災対策の強化・徹底にも注力してまいりました。また、前述の通り在庫の複数拠点での保有や新潟工場での生産拡充など、リスク分散のための対策も並行して行ってまいりました。しかしながら、当該地域にて大地震等の災害が発生した場合には当社グループの生産・開発体制全体が影響を受ける可能性があるほか、場合によっては市場への製品供給が滞る可能性があります。

当社グループでは特に仙台工場での地震対策に重点を置いて取り組んでおり、現場における日頃の対策の一段の工夫、徹底に加えて、新開発センターで採用した「オールラウンド免震」機構など、新たな技術を取り込むことで、より高度な地震対策が可能となっております。この結果、2021年2月、2022年3月に東北地方で発生した震度6強の地震に際しては、いずれも1両日で完全に生産復旧できており、一定の成果を生んでいると考えております。引き続き仙台地区での地震対策の充実と、在庫、生産拠点の分散による複合的な取り組みを推進してまいります。

 

(3)小径エンドミルへの集中について

当社グループは超硬小径エンドミルの製造販売に経営資源を集中しております。超硬小径エンドミルは、主に電子機器、民生機器、自動車部品等の精密金型製作や部品の精密・微細加工に広く使用されており、今後も様々な分野で精密・微細加工技術を使った部材や金型の需要が大きく増加すると考えております。精密・微細加工の方法としては、超硬小径エンドミルを使った切削加工が一般的ですが、将来は他の素材を使った製品や新たな加工方法に代替される可能性があり、この場合当社の事業に影響が出ることが予想されます。

素材につきましては、現時点で超硬素材に全面的に取って代わる素材の出現の可能性は低いと考えておりますが、今後他の素材に代替される可能性はございます。

当社グループでは以前より、CBN(立方晶窒化ホウ素)やPCD(多結晶ダイヤモンド)といった超硬合金以外の素材を使用した製品の開発・製造等も行っており、他の素材についても鋭意研究を進めております。

加工方法につきましては、ここ数年3Dプリンターの普及が進み、金属を積層焼結成形する製品も出てきており、またレーザー加工等、技術革新によりエンドミルを全く使用しない新たな精密・微細加工技術が開発される可能性もございます。

当社グループでは、高性能(高精度、高能率、多機能、長寿命)でバラツキのない、環境にやさしい小径エンドミルを合理的な価格で提供していくことにより、エンドミルを使った精密・微細加工の優位性をアピールしてまいります。

 

(4)競合について

当社グループが事業展開している小径エンドミル市場では、国内大手の工具メーカーや超硬メーカーがその成長性に着目して生産・販売体制を強化しており、また中国市場などでも、中国国内で製造された製品が徐々に出回ってきていることから、今後ますます競争が激化していくものと考えられます。

当社グループでは、小径エンドミルに経営資源を集中し、専用加工機の自社開発をはじめ、小径エンドミルに特化した開発・生産・販売体制を強化、充実することにより、高付加価値製品を低コストで創造、提供する事業モデルを構築できていると考えており、一段の体制強化を図ってまいります。

 

(5)原材料の調達及び資源価格の上昇について

当社グループの主要製品である超硬エンドミルの主要素材は超硬合金であり、その主要成分となるタングステンは国際市況商品で、供給量の8割強を中国が占めていることから、その価格は世界的な需給関係や産出国の思惑等によって大きく影響を受けます。また超硬合金で結合剤として使用されるコバルトはスマートフォンや電気自動車(EV)の電池にも使用されており、その需要拡大により需給逼迫が懸念されております。加えてタングステン、コバルトとも「紛争鉱物」として、以前より一部の生産地域において、その採掘過程での若年者労働や過酷労働による人権蹂躙が問題となっている経緯があります。

当社グループにおきましては、まず原材料のトレーサビリティーを徹底し、調達先から証明書の提出や原料調達方法の説明を受けるなどの方法により紛争鉱物の混入を排除しつつ、長期安定調達が可能な取引先を選んで材料の調達を行っております。また昨今の資源価格上昇に伴う材料価格や電気代、運賃等の上昇に関しましては、生産工程の効率化追求や製造経費の削減等、原価低減活動によりある程度までは自社でコスト上昇を吸収してまいりましたが、諸般の状況を考慮し、2022年11月に超硬製品の価格改定を実施しております。

 

(6)特定の仕入先・協力会社への依存について

当社グループは、超硬エンドミルの主要素材である超硬合金の大半を特定の仕入先より仕入れております。また、超硬エンドミル生産の主要工程の一つであるコーティングにおきましては、内製化を進めているものの一部を特定の協力会社に委託しております。これは、増産時の対応又は万が一のためのリスク対応等を狙いとするものであります。

当社グループと当該仕入先・協力会社とは、長年にわたり極めて緊密な関係にあり、今後ともこれまでの取引関係を維持発展していく方針でありますが、災害や不測の事態によるサプライチェーンの混乱等に備えるため、安全在庫の積み増しや、設備の増強による内製化比率の引き上げ等、製品の安定供給の観点から対策を講じております。

 

(7)製品の品質確保について

当社グループは、製造工程に自社開発専用機を投入し、独自の製造プロセスを創りあげることにより、当社特有の生産体制を構築し、この結果高性能でバラツキのない高付加価値製品を安定生産しておりますが、製造ラインが自社独自のものであり、市販の製造設備等での代替ができません。従って、製品の品質維持・確保のためには外部に頼らず自社のみで対応する必要があります。

当社グループは、ISO9001及び14001等の世界的に認められている品質管理及び環境管理のマネジメント基準に従って製品を製造することに加え、当社独自の「ものづくり行動指針」に基づき、社員自らが社内で不断に自社開発機や製造プロセスの見直しと改善を行うことで、高い品質確保のため盤石の体制を維持、発展させてまいります。

 

(8)環境問題について

当社グループでは、ISOの環境管理基準や「サステナビリティ基本方針」に従って、「人と地球にやさしい製品を、最小限の資源でつくり、環境負荷の低減に努めます」を目標に掲げ活動しております。一方で、環境に対する配慮を求める社会の要請は日々高まっており、GHGの排出削減、資源の3Rや再生可能エネルギーの利用など、販売先、仕入先や株主等の様々なステークホルダーから、より高い目線での対応が求められております。ステークホルダーからの様々な要請、期待に応えられない場合、企業としての社会的信用や事業の成長に影響が出る可能性があります。

当社グループでは、2021年にサステナビリティ委員会を設置して当社グループの環境問題について定期的に討議して報告を作成し、これを取締役会で審議しております。また、各部門のKPIを「サステナビリティ基本方針」に基づき策定することで、環境についても経営目標に織り込んで対応することとしております。気候変動への対応につきましては、TCFDに基づく情報開示を開始しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に関わる行動制限緩和が進み、経済活動は徐々に正常化へと向かいました。しかしながら、ウクライナ情勢や中国のロックダウンによるサプライチェーンの混乱、インフレ拡大に伴う世界的な金融引き締めによる円安等により原材料やエネルギー価格が高騰し、製造業の回復基調は緩やかなものとなりました。

当社グループ製品の主要需要先の状況といたしましては、自動車関連は半導体や部品不足の影響が継続し、生産台数の回復が遅れ、低調な動きとなりました。一方、半導体や電子・デバイス関連は、活況となっていたスマートフォンやPC関連等の需要減退により落ち着きがみられましたが、一部半導体・電子部品は好調だったこともあり、概ね堅調に推移しました。

このような環境のなか当社グループでは、物価上昇によるコスト増に対処すべく、内製化推進をはじめとした製造現場でのより一層のコスト削減に努めました。しかしながら、自助努力での価格維持が困難な状況となったことから増加コストの一部を価格転嫁することとし、他社の動向を踏まえ、11月受注分から主要製品の値上げを実施いたしました。なお、値上げ前には一部駆け込み需要も見られました。

営業面では、大阪と名古屋開催の「INTERMOLD2022」や米国シカゴ開催の「IMTS2022」、東京開催の「JIMTOF2022」等各種展示会への出展を通じて、様々なニーズに応える工具提案により新たなユーザーの開拓に努めました。

製品面では、新製品発売や規格拡大を実施し、高付加価値を実現した製品開発を行いました。2023年1月には刃先剛性と切りくず排出性を向上させた無限プレミアムPlus高硬度鋼高能率加工用小径3枚刃ロングネックボールエンドミル「MRBSH330」の規格拡大を行い、ラインアップの充実を図りました。

生産面では、仙台工場を中心に効率化やコスト削減のために「日進工具グループが将来に向けて挑戦する改善活動」である「オレンジFC」に加え、更なるコスト削減を目的とした活動も開始いたしました。この活動は温暖化ガス排出量削減にも貢献しており、削減実績が認められたことにより、2022年度日本機械工具工業会「環境特別賞」を受賞いたしました。

これらの結果、当連結会計年度における売上高は9,656百万円(前期比1.4%増)、営業利益は2,108百万円(同0.1%減)、経常利益は2,131百万円(同1.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,475百万円(同3.1%減)となりました。

なおKPIとしている売上高経常利益率20%の目標につきましては、エネルギー価格の上昇や営業活動の再開等による費用の増加はあったものの、上昇コストの一部転嫁のための価格改定や原価低減の奏功により、22.1%と目標を達成いたしました。しかしながら、もう一つの目標であるROE10%につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比3.1%減となったこと等から9.0%に止まり、目標を下回る結果となりました。

製品区分別の売上高では、「エンドミル(6mm以下)」が7,483百万円(前期比0.5%増)、「エンドミル(6mm超)」が891百万円(同2.0%減)、「エンドミル(その他)」が536百万円(同9.8%増)、「その他」が744百万円(同10.0%増)となりました。

 

(注)報告セグメントが1つでありますので、製品区分別に記載しております。なお「その他」の事業セグメントは、製品区分別の「その他」に含めております。

 

② 財政状態の状況

連結会計年度における財政状態は、資産合計が18,857百万円(前期末比983百万円増)、負債合計が1,657百万円(同51百万円減)、純資産合計が17,200百万円(同1,034百万円増)となりました。各資産・負債の増減要因は以下のとおりであります。

<流動資産>

当連結会計年度末における流動資産の残高は12,298百万円で、前期比490百万円、4.2%の増加となりました。これは主に、在庫拡充を目的とした棚卸資産の増加等によるものであります。

<固定資産>

当連結会計年度末における固定資産の残高は6,559百万円で、前期比492百万円、8.1%の増加となりました。これは主に、新規保険契約に係る保険積立金の増加等によるものであります。

<資産合計>

上記により、資産合計は前期に比べ983百万円、5.5%増加し18,857百万円となりました。

<負債合計>

当連結会計年度末における負債の残高は、1,657百万円と前期に比べ51百万円、3.0%の減少となりました。これは主に、未払法人税等の減少等によるものであります。

<純資産合計>

当連結会計年度末における純資産の残高は17,200百万円と前期に比べ1,034百万円、6.4%の増加となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当社は足元の業績に左右されず、今後の成長に必要な投資を継続的に行うこととしており、毎期5%程度の売上高の増加に対応できる設備投資を基本としております。具体的には、工具研削盤等の機械設備を中心に実施いたしておりますが、その計画において設置スペースのキャパシティーが不足すると判断された場合に、工場建設等大がかりな投資を行っております。資金の調達につきましては、無借金を前提としておりますことから、基本的には自己資金の範囲内とし、通常は営業活動により得られた資金を上回ることはありません。しかしながら、今後は製品開発や技術開発、生産設備増強の必要があると認識しており、従来に比べ投資活動による資金の使用は増える見込みであります。

また運転資本につきましては、販売、仕入れともに原則翌月決済とさせていただいており、当連結会計年度における売上債権回転期間は1.7ヶ月となっております。

手許資金につきましては、不測の事態に陥った場合でも雇用や設備を維持し、企業活動を継続できる資金を蓄えておく必要があると考えており、その額は現時点で40~50億円程度と想定しております。

株主還元につきましては、安定的な経営基盤の確保並びに事業展開のための内部留保を勘案しながら、業績に応じた利益還元策を実施していくことを基本方針としておりますが、安定性・継続性にも配慮しつつ、業績動向や配当性向等を総合的に勘案して実施いたしております。

なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。連結ベースでの現金及び現金同等物(以下(資金)という)は、前連結会計年度末に比較し、45百万円減少し8,397百万円(前期比0.5%減)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,614百万円(前期比28.6%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益2,110百万円による資金の増加と、棚卸資産の増加並びに法人税等の支払いによる資金の流出などを反映したものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,137百万円(同226.0%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出及び新規保険契約に係る保険積立金の積立による支出を反映したものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は560百万円(同26.5%減)となりました。これは主に配当金の支払によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当社グループは、報告セグメントが1つでありますので、製品区分別に記載しております。なお「その他」の事業セグメントは、製品区分の「その他」に含めております。

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績を製品別に示すと、次のとおりであります。

製品別の名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

エンドミル(6mm以下)

8,341,742

△2.5

エンドミル(6mm超)

973,156

△3.8

エンドミル(その他)

323,351

19.7

その他

550,737

△9.9

合計

10,188,987

△2.5

(注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績を製品別に示すと、次のとおりであります。

製品別の名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

エンドミル(6mm以下)

7,422,126

△1.3

457,387

△11.8

エンドミル(6mm超)

845,654

△8.3

60,865

△43.1

エンドミル(その他)

519,033

△1.4

142,293

△10.9

その他

789,337

20.3

79,019

129.1

合計

9,576,152

△0.5

739,565

△9.8

(注)金額は販売価格によっております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績を製品別に示すと、次のとおりであります。

製品別の名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

エンドミル(6mm以下)

7,483,517

0.5

エンドミル(6mm超)

891,836

△2.0

エンドミル(その他)

536,445

9.8

その他

744,813

10.0

合計

9,656,612

1.4

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社サカイ

1,434,125

15.1

1,417,247

14.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容

当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

●経営成績等

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高が前期比1.4%増加の9,656百万円、営業利益は同0.1%減少の2,108百万円となりました。

新型コロナウイルス感染症に関わる行動制限緩和が進み、経済活動は徐々に正常化へと向かいましたが、原材料やエネルギー価格の高騰等から、製造業の回復基調は緩やかなものとなりました。

当社グループの主要需要先においては、自動車関連は、半導体や部品の供給不足の影響により生産台数が伸び悩み、低調に推移した一方、半導体や電子部品・デバイス関連は、活況となっていたスマートフォンやPC等の需要減退に伴い、後半にかけて落ち着いた動きとなったものの、概ね堅調に推移しました。

 

●重要な影響を与える要因

当社グループの製品はそれ自体が人々の暮らしを支えるものではなく、人々の暮らしを支える様々な工業製品を作る際に必要となるものです。従いまして、その需要動向は精密・微細加工を必要とする製品群にリンクしています。例えば、スマートフォンのようにこれまでになかった新たな製品が登場し、それを世界中の非常に多くの人が持つようになると、大きな需要が生まれます。また景気が上向き、人々の所得が増えると自動車が売れるようになったり、より高い機能を持った高級品が売れるようになったりすることによって需要が膨らみます。このように当社の製品需要は世界の景気動向や新たな製品の登場等によって大きく影響を受けています。

当連結会計年度における状況は、第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)に記載のとおりでありますが、経済の先行きについては不透明感が増しており、当社グループを取り巻く経営環境は依然厳しいものになると予想されます。

当社グループの主要需要先においては、自動車関連は部品不足の解消等から生産台数が徐々に回復するものと見込まれます。半導体・電子部品関連は一部需要の減退は懸念されるものの、DXの拡大により通信や処理の高度化が進むと見込まれ、幅広い分野で一定の需要はあると予想されます。当社グループでは、それらの需要をいかにして取りこぼすことなく対応できるかが重要であると考えており、引き続き高精度、高能率、多機能、長寿命を実現する高機能・高付加価値製品の普及を図るとともに、CBNやPCDを用いた製品など、ユーザー様の多様なニーズに応え得る製品をご提供できるよう努めてまいります。

 

●資本の財源及び資金の流動性

当社グループでは、運転資金及び設備資金につきましては、原則内部留保で賄うこととしております。運転資金につきましては、売上に係る決済を原則締め日の翌月応当日とさせていただいており、当連結会計年度における売上債権回転期間は1.7ヶ月となっています。また、在庫拡充により棚卸資産が479百万円増加し、棚卸資産回転期間は5.5ヶ月となりました。当社グループにおいては、標準品の販売比率が高く欠品するとユーザー様にご迷惑をおかけしてしまうほか、失注に結び付く可能性もあるため、一定水準の製品在庫を揃えておく必要があります。設備資金につきましては、機械設備の継続的な投資を行いつつ、必要に応じて工場建設等の大きな投資を行っており、通常は営業活動により得られた資金を上回ることはありません。なお、当連結会計年度における設備投資は、生産設備を中心に686百万円と、前期に比べ27百万円増加いたしました。

 

●経営上の目標の達成状況

当社グループは、売上よりも利益を優先する経営を実行し、連結売上高経常利益率20%の確保を中長期的な目標としております。当期の連結売上高経常利益率は22.1%、前期比0.5ポイント減ながら、目標は達成いたしました。半導体や電子部品の底堅い需要に支えられ、精密・微細加工に適した小径工具の需要は安定推移した一方、原材料費、電力費及び人件費のコストアップを製造原価低減だけでは吸収できず、やむを得ず主力製品の値上げを実施しましたが、一部転嫁に留まったため利益率は低下しました。

次期につきましては、世界景気の悪化懸念や資源価格の動向等、経営環境は一段と不透明感が増すと考えており、販売予想が困難な一方で、原価、費用の一部は着実な値上がりが見込まれることから、連結売上高経常利益率は当期を3.6ポイント下回る18.5%を予想しております。

また、株主資本を効率的に活用する観点から連結自己資本利益率(ROE)10%の確保も経営指標として重視しておりますが、当期は9.0%に止まっております。厳しい経営環境が続く中、高付加価値の創造と提供による利益成長機会を確保し、中期的に両指標の達成を目指します。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、当社経営陣は資産、負債及び収益・費用の各報告数値に影響を与える見積りの仮定を過去の実績や状況に応じて合理的に設定し、算定しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

当社グループは、資源やエネルギー価格の高止まりやインフレ抑制のための諸外国の金融引き締め等の動きから景気減速がささやかれ、様々なコスト上昇が見込まれる中、今後の見通しを含め、重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に重要な影響を及ぼす事項であるかを検討いたしましたが、合理的な見積り及びその影響額等を勘案した結果、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす事項は無いと判断いたしました。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)販売代理店契約

相手方の名称

契約内容

契約期間

株式会社サカイ

売買基本契約

2021年9月1日から

2023年8月31日まで

株式会社東京山勝

売買基本契約

2021年9月1日から

2023年8月31日まで

株式会社山勝商会

売買基本契約

2021年9月1日から

2023年8月31日まで

(注)上記契約については、契約当事者双方から期間満了の3ヶ月前までに契約終了の申出がない場合、当初の契約期間が更に2年間延長され、以後も同様であります。

(2)仕入契約

相手方の名称

契約内容

契約期間

MMCリョウテック株式会社

商品売買基本契約

2022年4月1日から

2023年3月31日まで

(注)上記契約については、契約当事者双方から期間満了の6ヶ月前までに契約終了の申出がない場合、当初の契約期間が更に1年間延長され、以後も同様であります。

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度における研究開発活動は、(1)他社にできない競争力のある高付加価値製品の開発、(2)既存生産技術の革新を目的とした生産設備の自動化や機能向上、(3)開発人材の育成強化、を主な活動目標として、工具素材やコーティング、工具形状等の研究、自社工具研削盤の改良及び検査装置の自動化を進めるとともに、Webを活用した情報提供等に継続して取り組みました。

高硬度鋼の切削加工を可能にし、優れた工具寿命を発揮する無限コーティングプレミアムPlusを採用した新製品として、2022年6月に「MHRSH430RSF」、2022年9月に「MHDSH445」及び「MHDSH645」を順次発売いたしました。既存製品においては「MRBSH330」やPCDRBの規格拡大を行い、製品ラインアップの充実を図りました。

なお、『「MRBSH330」と「MHRSH430RSF」を複合使用し超精密・高能率・高耐久を実現する加工方法』が評価され、「超モノづくり部品大賞(主催:モノづくり日本会議/日刊工業新聞社)奨励賞」を受賞いたしました。

また、ユーザーの技術者の皆様と個別に意見交換を行う場として、Webによる「技術交流会」を継続して実施いたしました。ユーザーの抱える課題やニーズの深掘りに加え、今後の製品開発につながるヒントをいただくこともある、貴重な機会となっております。

当連結会計年度における研究開発費は422百万円であります。