第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

パウダーテックは、情報と市場を広く世界に求め、絶え間なく技術の前進を続ける企業であります。
当社の経営理念は、以下のとおりであります。
   1.技術を以て社会の繁栄に貢献する
   1.誠実を以て貫く
   1.チャレンジ精神、開拓精神に徹する
   1.社会のニーズに迅速に対応する

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは経常利益、ROE、新規機能性材料売上高比率を経営指標として経営基盤の強化に取り組んでおります。なお、中期経営計画では最終事業年度である2024年度に経常利益13.4億円、ROE6.9%、新規機能性材料売上高比率7.8%を目標としております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、3ヵ年ごとに中期経営計画を策定し、各年度の課題に取り組むことにより事業展開を図っております。

 

■中期経営計画「22中計」の進捗状況

2022年4月からスタートした「22中計」においては、当社の経営理念をもとに「独自技術で社会課題を解決し、社会に必要とされる『エッセンシャル企業』を目指す」をありたい姿とし、「既存事業の収益性維持強化」「新規事業の利益貢献実現」「新規事業の継続的育成」「事業基盤を支える本社機能強化」の4つの基本方針のもと、目標達成に向けて取り組んでおります。

外部環境の変化としましては、新型コロナ禍からの景気回復が想定通り進まなかったことと、ウクライナ情勢に起因する原燃料の高騰とサプライチェーンの混乱および半導体をはじめとする物不足などがあげられます。

2022年度は、機能性材料事業においては、中国でのロックダウンの影響や半導体不足による複合機等の生産抑制でキャリアの需要は計画より若干減少いたしました。また、新規機能性材料については、世界的なIT関連の景気減速の影響を受け、本格的な量産移行が遅れている状況です。鉄粉事業においては、新型コロナ禍が長引き、脱酸素剤の需要回復が遅れました。なお、鉄粉関連の事業構造改革は計画通り実施いたしました。損益としましては、エネルギーおよび原材料価格の上昇が想定を上回り、販売価格の適正化を進めましたが、経常利益は目標を下回りました。

2023年度は、世界的なインフレや金融不安等、世界経済の減速懸念は残りますが、アフターコロナが本格化することを前提に業績を予想いたしました。機能性材料事業においては、キャリアの需要は中期計画を若干下回りますが、新規機能性材料の本格的な量産立上げを見込みました。品質保持剤事業(鉄粉事業から名称変更)においては、脱酸素剤の需要は回復すると見込みました。以上から、経常利益は10億円と予想いたしました。

 

経営目標の進捗状況は以下のとおりであります。

 

 

22中計目標

進捗状況

 

2022年度

2023年度

2024年度

2022年度決算

2023年度予想

経常利益

10.0億円

11.3億円

13.4億円

7.4億円

10.0億円

ROE

5.9%

6.2%

6.9%

4.4%

5.5%

新規機能性材料売上高比率

3.2%

5.2%

7.8%

0.8%

3.6%

 

 

2023年度までの進捗状況は上記のとおりですが、各事業の基本戦略とESG経営の推進に取り組み、最終年度の目標とありたい姿を目指し企業価値の向上に努めてまいります。

 

(ご参考)中期経営計画「22中計」(2022年4月~2025年3月)の概要

 1. 経営理念

・技術を以て社会の繁栄に貢献する

・誠実を以て貫く

・チャレンジ精神、開拓精神に徹する

・社会のニーズに迅速に対応する

 

 2. ありたい姿

独自技術で社会課題を解決し、社会に必要とされる『エッセンシャル企業』を目指す

 

 3. マテリアリティ

・収益基盤事業の維持向上

・新規事業の継続的創出

・持続可能な環境整備

・本社機能の強化

 

 4. 中計基本方針

・既存事業の収益性維持強化

・新規事業の利益貢献実現

・新規事業の継続的育成

・事業基盤を支える本社機能強化(ESG経営推進)

 

 5. 財務KPI(経営目標)

 

 

2021年度実績

2022年度目標

2023年度目標

  2024年度目標

経常利益

11.4億円

10.0億円

11.3億円

13.4億円

ROE

6.8%

5.9%

6.2%

6.9%

新規機能性材料
売上高比率

1.3%

3.2%

5.2%

7.8%

 

 

 6. 非財務KPI

・ガバナンス強化

・働く環境 / 従業員満足度

・社会的評価 / IR活動・情報開示

・環境 / エネルギー原単位およびCO₂削減

 

 7.事業部門の基本戦略

(1)機能性材料事業

・徹底した改善と効率化によるコストダウンの実現

・キャリア商品開発において、お客様の新機種への搭載率を向上

・微粒フェライト粉の供給体制を確立

・新規市場のマーケティング強化と新製品の上市加速により計画プラスαの売上を目指す

(2)鉄粉事業(2023年4月1日から品質保持剤事業に名称変更)

 (脱酸素剤事業)

・営業の効率化(DXツール活用)と水分依存型一体化脱酸素剤を中心とした拡販

・労働生産性向上・省力化と歩留改善によるコストダウン強化

・環境配慮型脱酸素剤包材や酸素検知剤の強みを活かした新製品による新市場開拓の加速

 (鉄粉事業)

・鉄粉事業の事業構造改革推進

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)ガバナンスとリスク管理

当社グループは、サステナビリティに関連して、ESG経営の推進として取り組んでおります。

E(環境)については、環境方針に基づき、ISO14001認証を通じて環境への配慮を進め、サステナビリティの実現を目指しております。代表取締役社長を委員長とする省エネ推進委員会で毎月、省エネ活動、脱炭素の取り組みに関して検討し、その内容をCA会議で報告しています。

S(社会)、G(企業統治)については、行動指針、CSR方針、労働安全衛生方針、品質方針に基づき、ISO45001、ISO9001の認証を通じて人権、安全衛生、人材育成等に取り組んでおります。

 

社内体制としましては、2022年4月にESG推進室を新設し、リスク管理の統括を行っております。

重要な戦略と指標及び目標については、中期経営計画に盛り込み、取締役会の承認を得て、適宜進捗報告を行っております。

 

(2)戦略と指標及び目標

2022年度をスタートとする中期経営計画(22中計)で掲げた取り組みと目標については以下のとおりであります。

区分

非財務KPI

取り組み

目標

進捗状況

環境

エネルギー原単位及びCO2削減

・省エネ対策の実行

・政府目標に向けた計画の策定

・脱炭素に貢献できる製品の開発

・二酸化炭素排出量2024年度

「2013年度比△15%」

(政府目標:2030年 2013年度比△46%)

計画通り進捗

・2022年度「2013年度比△15%」

・太陽光発電設備「オフサイトPPA」を2024年度に導入

社会

働く環境/従業員満足度

・多様な人材が働き続けられる環境整備の実現

・安全衛生教育の強化

・育児休業の取得促進

・研修制度のアップデート

・新福利厚生棟利用開始

・労働災害の撲滅

・女性活躍推進(採用と育成)

計画通り進捗

・新福利厚生棟は柏市と避難所協定締結

・男性の育児休業取得率100%

・健康経営優良法人認定取得キックオフ

企業統治

ガバナンス強化

社会的評価/IR活動・情報開示

・取締役会の機能強化

・非財務情報の拡充

・コンプライアンス教育の継続実施

・取締役会のスキル公開、実効性評価とフィードバック

・ESG情報の開示

計画通り進捗

・管理職等コンプライアンス教育実施

・有価証券報告書にESG情報を掲載

 

 

人的資本に関する方針は以下のとおりであります。

□人材育成方針

当社グループは、技術開発の業務を主体とする会社であります。採用につきましては、計画的に技術者を中心に採用する方針を掲げております。また、多様性を確保するため、中途採用者を含め、性別、国籍、年齢を問わず公正な採用をしております。入社後は階層別・分野別教育を行い、人事考課面談などを通じ人材の育成に積極的に取り組んでおります。

□社内環境整備方針

多様な人材が働き続けられる環境の整備として、福利厚生施設の充実や働き方改革として、テレワーク制度、育児休業の推進、健康増進などを進めております。

 

 

ダイバーシティの推進と働き方改革をモニタリングするため、2022年4月1日~2025年3月31日の3年間は、以下のような指標を設定しています。

 

(女性活躍推進)

女性が活躍できる雇用環境整備

① 指標 : 性別に関係なく業務に適材となる人材を採用

  目標 : 女性新卒採用を3年間平均で最低15%

 

② 指標 : 女性管理職の増加に向け、女性が長期に継続就労できる環境を整備

  目標 : 女性管理職の増加(全管理職のうち目標5%)

 

(次世代育成支援対策推進)

従業員が仕事と家庭の両立ができるよう、働きやすい職場環境をつくることによって、その能力を十分に発揮できるようにする

① 指標 : 所定外労働時間の削減

  目標 : 年間360時間厳守と全社平均12時間/月

 

② 指標 : 年次有給休暇の取得しやすい職場環境の整備(取得率の向上)

  目標 : 有給休暇取得率70%

 

③ 指標 : 男女ともに子育てに関する諸制度を周知し、育児休業の取得促進

  目標 : 出産特別休暇もしくは育児休暇の取得100%

 

 

3 【事業等のリスク】

新型コロナウイルス感染症に対する各国での対策の廃止により経済活動の正常化が進む一方、世界的にインフレや金融不安などで、景気が下振れする可能性があります。

当社グループの主力製品であるキャリアの需要は、オフィスにおける複合機などの稼働状況が改善し、回復が継続すると見込んでおります。また、新規機能性材料としましては、微粒フェライト粉の量産化と売上高の増加を見込んでおります。

品質保持剤事業につきましては、食品の品質保持に使用される脱酸素剤の需要は、新型コロナウイルスによる行動制限の解除により回復すると見込んでおります。

 

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

分類

区分

リスクの内容・対応策等

顕在化した場合に緊急性の高いリスク

大規模自然災害

 地震や台風、集中豪雨等の大規模自然災害のリスクが増大しています。大規模自然災害のリスクが顕在化した場合、従業員、生産設備等の資産、サプライチェーンにおいて被害が発生し当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、同様に感染症のパンデミック(世界的大流行)や自社内でのクラスターの発生によって、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループはこれらのリスクが顕在化した際には、人命の保護を最優先に、BCP等を実施し、資産を守りサプライチェーンを維持し、操業の早期復旧と継続を図ります。当社グループでは、定期的にBCP等の対策の有効性を検討し、大規模自然災害に係るリスクの低減を図っております。また、感染症に対しては防止策を徹底し、感染症に係るリスクの低減を図っております。

情報セキュリティ

 サイバー攻撃や関係者の故意または過失等により、機密情報の漏洩、改ざん、消失が起きた場合、多額の損害賠償や訴訟の恐れがあります。その結果、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、ICTを活用し機密情報を統一的に管理し、情報システム管理規則の遵守や提携先との秘密保持契約締結により、情報セキュリティに係るリスクの低減を図っております。

環境事故

 当社グループの設備の故障や老朽化、または操作ミス等により環境事故が発生した場合、多額の損害賠償や訴訟の恐れがあります。その結果、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 重要な設備につきましては、予防的な保全計画を立てて、故障する前に主要部品等の交換をしております。他の設備については定期的なメンテナンスを行うとともに、突発的な修理にも対応できるよう予備部品を確保しております。操作ミス等の防止については、品質ISO9001に基づいた担当者の教育を実施しております。毎年継続して発生源対策等の環境対策投資を行い、リスクの低減を図っております。

資金調達

 金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しており、契約には一定の財務制限条項が付されております。当社グループがこれらに抵触した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループの財政状態は 、財務制限条項に照らして問題のない水準にありますが、随時モニタリングを行い、資金調達リスクの低減を図っております。

全社横断リスク

製品の品質

 当社グループの製品は、グローバルで高いシェアを持つキャリアや、食品に関連する脱酸素剤等があり、品質問題が発生した場合、顧客、社会への影響が大きくレピュテーションの低下も含め当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループは1995年に品質ISO9001を導入し、品質の管理と向上に努めております。万一、品質問題が発生した場合は、ISOのルールに則り原因の追求と再発防止策を講じております。

原材料等の安定調達

 著しい経済情勢等の変化により、原材料や副資材の安定調達が困難になった場合、当社グループの生産活動や経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 各地域の規制、制限、変化などの情報を収集することで、対応の迅速化を図っています。また、複数の原料ソースの確保、適正在庫の管理およびサプライヤーの監査等によりリスクをミニマイズしております。

労働力の確保

 日本国内における労働人口の減少に伴い、優秀な労働力の確保が難しくなる傾向にあります。優秀な労働力が不足した場合、製品開発力が低下し、また、交替勤務による安定生産ができなくなり、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、優秀な人材を確保するために、多様な人材が働きやすい職場環境を整え、また、定年延長等により人材の確保に努めております。さらに、生産設備の自動化にも以前から注力しており、労働力不足に係るリスクの低減に努めております。

化学物質規制

 当社グループは多種多様な化学物質を扱っていますが、世界各国地域で規制が強化されており、使用が禁止または制限されることにより製品供給に支障が出る恐れがあります。その結果、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 国内外の化学物質の法規制の制定・改定は定期的に専門部門がチェックし、当社グループに関係する制定・改定が予定されている場合は、迅速に対処できる仕組みを作っております。

 

 

分類

区分

リスクの内容・対応策等

経営成績等に影響を与えうるESGリスク

環境

 ESG環境リスクとして、温室効果ガス排出、 エネルギー管理、 水の管理、廃棄物と有害物質の管理を特定しております。今後、法規制強化により温室効果ガス排出にコストが発生する可能性があります。また、有害物質が流出・漏洩して環境汚染を引き起こす可能性があります。さらに、生産拠点が位置する地域の生物多様性に事業活動が影響を与える可能性があります。これらのことから、環境リスクが当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 生産設備のエネルギー効率の改善や省エネタイプの設備への転換、再生可能エネルギーの導入検討などを進めて、生産量あたりの二酸化炭素発生量の削減に努めております。排水に関しては、規制基準に基づいた適正な管理目標を設定し、自動モニタリングしながら汚染を起こさないための対応を徹底しております。また、当社グループは、環境ISO14001のマネジメントシステムに基づき、環境関連法規の最新版の運用管理や、廃棄物の分別や量の管理、さらに PRTR法に基づく届出対象物質の排出量に関しても、環境リスクのマネジメントを展開し継続的に削減等の改善を行っております。

社会

 当社グループは、ESG項目の内、社会リスクとして、「人権」、「安全衛生」を特定しております。

①人権

 サプライチェーン上での人権リスクの可能性があると認識しております。自らの事業またはサプライチェーンにおいて人権侵害が発覚した場合、調達や生産への影響だけでなく当社グループのレピュテーションリスクにもつながり、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 行動指針、CSR方針および就業規則に基づき、人権の保護に努めております。また、サプライヤーの潜在的リスクを洗い出し、抽出された課題についてはサプライヤーと共に改善し、人権リスクの低減を図っております。 

②安全衛生

 製造拠点において、従業員の安全や衛生に係る労働災害が発生するリスクがあります。災害による行政処分などのリスクが、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 労働安全衛生を徹底するために労働安全衛生IS045001を取得し、このマネジメントシステムに基づき継続的改善を図っております。また、従業員に対しては、安全衛生の関連法規やルールの遵守・危険感受性を高めるための訓練、非常時に備えた訓練、個別作業ごとの保護具の使用等についてトレーニングを実施し、安全衛生に係るリスクの低減を図っております。

企業統治

 将来、事業・外部環境の変化等により不測の事態が発生した場合、ガバナンスの実効性が低下し法令違反等のコンプライアンスのリスクにつながる恐れがあります。結果として、ガバナンスリスクが当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループは、持続的に企業価値を高めるため、コーポレート・ガバナンスの仕組みや機能を規律づけ、ガバナンスの実効性が強化されるよう改善を図っております。ガバナンスの実効性を確保するため、コーポレートガバナンス・コードへの対応や、取締役会における議論の活性化等によりガバナンス機能の強化を図っております。

セグメントにおけるリスク

機能性材料事業
セグメント

 機能性材料事業につきましては、キャリアは、テレワークの普及やペーパーレス化により、需要が徐々に減少する可能性があります。

 カラー化の進展、デジタル商業用印刷分野の拡大に向けて、次世代キャリアの開発とともに、工程改善・省エネ活動・歩留改善活動等によるコストダウン施策を進めております。また、デジタルトランスフォーメーションが社会の潮流となる中、当社は新たな成長領域で積極的に新規事業の展開を図っております。

品質保持剤事業
セグメント

 脱酸素剤関連製品は季節要因やインバウンド等の需要変動による在庫の著しい増加や減少などが生じる恐れがあり、タイムリーな需要動向の把握と最適な生産に努めております。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

①営業の全般的状況

 当期における経済情勢は、新型コロナウイルス感染症対策が緩和される一方、中国でのロックダウンやウクライナ情勢の長期化により、サプライチェーンの混乱やエネルギー価格の高騰など先行きに不透明感が増しました。また、米国では景気は回復基調が続きましたが、インフレ抑制のための金融引き締めが行われ、欧州では高インフレが続き、欧米の景気回復のペースは鈍化しました。中国ではゼロコロナ政策の影響や不動産市場の停滞で景気は減速しました。日本では資源価格の上昇と円安による物価高の影響はあったものの、行動制限の緩和を受け個人消費は持ち直しの動きがみられました。

 当社の主力製品である電子写真用キャリアの需要は、経済活動やオフィス稼働率の回復はあったものの、半導体等の不足や物流の混乱の影響もあり、前期並みとなりました。

 食品の品質保持に使用される脱酸素剤の需要は、行動制限の緩和を受け、前期を上回りました。

 この様な市場環境下、当期の連結売上高は鉄粉関連製品の販売終了はあったものの、8,834百万円(前期比0.03%減)となりました。

 損益面におきましては、エネルギーおよび原材料価格の値上がりと減価償却費の増加により、連結営業利益は700百万円(前期比37.2%減)となり、営業外損益を加えた連結経常利益は741百万円(前期比34.7%減)となりました。

 特別損益では、利益として鉄粉販売先の紹介手数料40百万円、損失として固定資産処分損49百万円を計上いたしました。

 この結果、連結税金等調整前当期純利益は731百万円(前期比33.7%減)となり、法人税、住民税及び事業税、ならびに法人税等調整額を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は544百万円(前期比33.5%減)となりました。

 

②セグメントごとの状況

   機能性材料事業

 当セグメントにおきましては、電子写真用キャリアの需要は前期並みでしたが、エネルギーおよび原材料価格の値上がりによる販売価格の適正化を進めた結果、売上高は7,456百万円(前期比1.3%増)となりました。セグメント利益は、主にエネルギーおよび原材料価格の上昇に対し販売価格の適正化が遅れたことと減価償却費の増加により1,034百万円(前期比28.4%減)となりました。

 

   鉄粉事業

 当セグメントにおきましては、脱酸素剤関連製品は増販となりましたが、鉄粉関連製品の販売を、20229月末をもって終了したため、売上高は1,378百万円(前期比6.8%減)となりました。セグメント利益は、原材料価格の値上がりを増販益と販売価格の適正化により相殺し113百万円(前期比0.7%減)となりました。

 なお、当セグメントの名称を202341日より「品質保持剤事業」に変更いたしました。

 

③経営成績の分析

当連結会計年度は、年度当初においては新型コロナウイルス感染症に対する各国での対策と行動制限の緩和や廃止により経済活動の正常化が進む一方、ウクライナ危機の長期化や中国のゼロコロナ政策による、サプライチェーンの混乱やインフレおよび金利の上昇などで景気が下振れする可能性があることを前提に業績予想を発表いたしました。

経営成績としましては、主力の電子写真用キャリアは、中国でのロックダウンの影響や半導体不足による複合機等の生産抑制で当初予想した売上高を下回りました。また、新規機能性材料は、世界的なIT関連の景気減速の影響を受け、本格的な量産移行が遅れました。脱酸素剤関連製品は、新型コロナ禍が長引き、需要の回復が遅れました。損益としましては、エネルギーおよび原材料価格の上昇が想定を上回り、販売価格の適正化を進めましたが、当初予想した経常利益を下回りました。

その結果、通期の業績としましては、売上高は当初予想の9,510百万円に対し7.1%減の8,834百万円となり、経常利益は当初予想の1,000百万円に対し25.9%減の741百万円となりました。

前連結会計年度と比較しますと、鉄粉関連製品の販売終了はあったものの、全体の売上高は前年度並みとなりました。損益面では、エネルギーおよび原材料価格の値上がりと減価償却費の増加により、営業利益は37.2%減、経常利益は34.7%減、税金等調整前当期純利益は33.7%減、当期純利益は33.5%減となりました。

 

④生産、受注及び販売の状況

(a) 生産実績

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

機能性材料事業

7,689,119

5.2

鉄粉事業

1,316,424

△8.8

合計

9,005,543

2.9

 

(注) 1.金額は販売価格(消費税等抜き)によっております。

 

(b) 受注状況

当社グループの主要製品については、見込み生産が主で受注生産はほとんど行っておりません。

 

(c) 販売実績

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

機能性材料事業

7,456,073

1.3

鉄粉事業

1,378,200

△6.8

合計

8,834,274

△0.0

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

富士フイルム
マニュファクチャリング㈱

1,369,199

15.5

1,384,372

15.7

㈱コニカミノルタサプライズ

1,003,138

11.4

1,220,855

13.8

京セラ
ドキュメントソリューションズ㈱

1,327,157

15.0

1,207,897

13.7

㈱リコー

1,143,941

12.9

1,102,437

12.5

上野キヤノンマテリアル㈱

987,485

11.2

1,093,418

12.4

 

 

(2) 財政状態

当期末は前期末に比べて、流動資産は預け金が減少したことにより、452百万円減少いたしました。固定資産は有形固定資産の減価償却発生金額が設備投資金額を上回ったことなどにより、237百万円減少いたしました。以上により、総資産は689百万円減少いたしました。

負債は未払金及び未払法人税等が減少しましたので、1,013百万円減少いたしました。

純資産は主に利益剰余金の増加により、324百万円増加いたしました。

自己資本比率は、負債の減少により85.8%と前期末比5.9%増加いたしました。

 

(3)キャッシュ・フロー

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,992百万円

648百万円

△1,344百万円

投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,035百万円

△1,262百万円

△227百万円

財務活動によるキャッシュ・フロー

△234百万円

△234百万円

△0百万円

現金及び現金同等物の期末残高

3,988百万円

3,150百万円

△838百万円

 

 

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が1,344百万円減少し、648百万円の収入となりました。主に税金等調整前当期純利益の減少、棚卸資産の増加、法人税等の支払が増加したことによります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が227百万円増加し、1,262百万円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出が増加したことによります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度並みの234百万円の支出となりました。

以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ838百万円減少し3,150百万円となりました。

 

また、当社は流動性をさらに確保するため、複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結し、全額未使用のまま10億円の融資枠を維持しております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準により作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。当社の連結財務諸表において採用する重要な会計方針及び新型コロナウイルス感染症の影響を含む重要な会計上の見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

上記のような仮定を考慮して見積り及び予測を行っておりますが、現時点で全ての影響について合理的に見積り及び予測を行うことは困難であり、また、収束時期等によっても変動する可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

  特記事項はありません。

 

 

 

6 【研究開発活動】

 機能性材料事業につきましては、環境対策用、微粒品キャリア等の新製品開発、品質保持剤事業につきましては、脱酸素剤等の新製品の開発、また、全社としては粉体技術を応用展開した新規用途開発に積極的に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費は、各事業に配分できない基礎研究費用を含め総額で509,619千円を計上いたしました。