当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
NTNグループは、企業理念の実践を通じて、「なめらかな社会※」の実現を目指します。ステークホルダーをはじめとした社会から信頼され必要とされる企業として、人権の尊重とコンプライアンスを重視し、事業活動に取り組んでまいります。
※「なめらかな社会」:人と自然が調和し、人々が安心して豊かに暮らせる社会
<企業理念>
新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する
1. 独創的技術の創造
2. 客先及び最終消費者に適合した付加価値技術及びサービスの提供
3. 着実な業績の伸長の下での社員の生活向上、株主への利益還元、社会への貢献
4. グローバリゼーションの推進と国際企業にふさわしい経営・企業形態の形成
<ステークホルダーへの姿勢>
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従業員 |
顧客 |
取引先 |
地域社会 |
株主 |
環境 |
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多様性と個性を尊重し、従業員が安全で健康的に働き、活躍できる職場環境づくりに努めます。 |
お客様と誠実に向き合い、安全・安心で信頼性の高い商品・サービスを提供することにより、お客様の満足を追求します。 |
公正で自由な環境のもと、取引先との相互信頼に基づく良好なパートナーシップを構築し、共に成長・発展をはかります。 |
事業を行う地域の文化や慣習を尊重し、事業活動を通じて、地域社会の期待に応え、長期的な信頼関係を構築します。 |
持続的な利益の創出による株主への利益還元に努め、積極的なコミュニケーションを通じて、長期的な信頼関係を構築します。 |
事業活動において自然との調和をはかり、環境負荷低減に寄与する技術と商品・サービスの提供を通じて、地球環境に貢献します。 |
(2)経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
「なめらかな社会」の実現に向けた具体的な取組みとして、2020年12月にSDGs対応のために当社グループが優先的に取組むべき13項目のマテリアリティを特定し、2021年5月に「TCFD提言」に賛同を表明しました。
特定されたマテリアリティについては対応施策を策定し、その進捗状況を定期的に確認しています。また、TCFDの提言に沿ったシナリオ分析の結果を、関連するマテリアリティの指標・目標に結び付け、事業活動に展開するとともに「カーボンニュートラル」と「安心安全、快適性の追求」に繋がる分野への研究開発資源の投入を拡大し、将来の成長に向けた研究開発活動を加速させています。
[中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2の概要]
2021年4月から開始した3年間の中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2では、事業構造の変革(Transformation)を加速するという方針のもと、3年間を財務体質の強化期間と位置づけ、現下の半導体の供給不足や物流費の高騰、急激に進むインフレ、紛争リスクの上昇等、急激かつ大幅な経営環境の変化にしなやかに対応できる企業体質の構築を目指しています。
1.基本戦略
(1)事業構造の変革
デジタル技術と当社が培った経営資源を融合させ、事業構造の変革を加速させます。基幹システムの刷新による経営管理の更なる高度化、スマートファクトリ化の推進、また顧客製品の状態監視や故障の事前予知等の新たなビジネスの創出・拡大に取組みます。
(2)財務体質の強化
目標とする売上高の8割程度でも利益を出せる財務体質を目指し、比例費低減、固定費抑制等による損益分岐点売上高の引き下げに取組んでいます。また、投資効率を追求し、効率化・省人化投資を進めるほか、遊休資産や有価証券の売却、事業統廃合等の選択と集中によりキャッシュ・フローの最大化に取組みます。
<取組み状況>
自動車事業の利益率向上と事業ポートフォリオ改善に向けた補修事業の拡販に引き続き注力するとともに、足元では、世界的に進行した材料価格、物流費、エネルギー費等のコスト上昇を販売価格へ転嫁する値上げ交渉を粘り強く継続します。特に米州地区や欧州地区での収益基盤の更なる改善を進めます。
2.事業別戦略
(1)補修事業
OEM・補修共通の販売戦略の下、ターゲット業種を攻略します。常備在庫の拡充、技術サポート・サービス対応の強化、自動車補修部門・機能の再編等の施策を進め、販売拡大に繋げます。また、センサ技術とIoTを活用した軸受の温度・振動・回転速度の情報を無線送信する「しゃべる軸受Ⓡ」の早期開発による状態監視ビジネスの確立と補修需要の囲い込み、遠隔支援カメラ等を活用した技術サービスの拡大を通じ、ハードの売り切りからソフト・サービスを加えたビジネスへの変革を目指します。
<取組み状況>
補修市場向け供給強化に向けて設備投資、常備在庫の拡充、海外製品の活用等に取組む一方、材料価格等のコスト上昇分の売価転嫁を進めています。
昨年6月に発表した「しゃべる軸受Ⓡ」は、複数の顧客からテストマーケティングの要望を受ける等、市場展開に向けた取組みを進めています。設備に取り付けるだけで手軽に軸受や設備の状態を診断する「NTNポータブル異常検知装置」については、グローバルでの販売拡大に向けてアプリケーションの改善や現地の法規制への対応等を進めているほか、振動分析で顧客の機械の安定稼働をサポートするレポートビジネスを開始しました。
また、目的や状況に応じて、対面・リモート・テクニカルサービスカー等を使い分けた技術講習会等で、顧客志向の技術サービスを強化しています。
(2)産業機械事業
既存商品の収益基盤の強化と新領域の早期確立を図ります。成長業種(風力発電、変減速機、工作機械、鉄道車両等)に経営資源を投入し販売を拡大します。
また、収益基盤を強化すべき業種(建設機械、農業機械、航空・宇宙等)は、抜本的な原価低減や生産性の向上、低収益・不採算型番の売価改善や販売縮小・撤退等の収益改善施策を進めます。一方、風力発電向け軸受メンテナンスサービスや、手首関節モジュール商品を活用した省人化提案を進めます。
<取組み状況>
世界的にカーボンニュートラルが進む中、生産設備を増強し、風力発電機向け軸受の受注拡大を推進しています。昨年提携した風力発電メンテナンス専門企業の株式会社北拓と協業し、軸受の供給から異常検知、メンテナンスまで一貫して提供する等、状態監視システム(CMS)・軸受診断アプリケーション等、「ソフト」による付加価値を提供するサービス・ソリューション事業を強化しています。
また、手首関節モジュール「i-WRISTⓇ」では、顧客のご要望を受けて動作速度や可搬性能等を向上させたシリーズを拡充する等、マーケットのニーズに沿ってロボティクス事業を強化しています。一方で、材料価格等のコスト上昇分の売価転嫁、及び予てより取組んでいる低収益ビジネスに対する値上げ・撤退交渉により、事業の利益率改善を進めています。
(3)自動車事業
SUVや電気自動車(EV)等の高成長・高収益セグメントへの受注シフトを進めるとともに、比例費低減、ものづくり改革の推進、売価管理の徹底等に取組み、利益率向上を図ります。同時に電動モジュール商品や環境対応商品の販売を拡大し、カーボンニュートラルに貢献します。グローバルで加速する「EV化・電動化」に対し、ハブベアリングやドライブシャフトでは高効率・低振動・低フリクション等の技術的な優位性を活かした販売機会の獲得を進め、電動オイルポンプやeHUB/sHUB、電動ブレーキ等の新領域分野での早期の事業化を目指します。
<取組み状況>
欧州市場で当社CFJ(次世代高効率固定式等速ジョイント)、第3世代円すいころハブベアリングの量産初採用が決定する等、当社グループがターゲットとしているセグメント(BEV、SUV、ピックアップトラック)における成果がグローバルで出始めています。
また、国内自動車顧客から、同社が内製するドライブシャフトを全量移管受注する等、駆動領域において、「圧倒的なスピード×ソリューションでお客様を笑顔にする提案力No.1企業」を目指しています。
一方で、半導体不足の長期化に伴い自動車顧客の需要回復が遅れており、自動車事業回復の足枷となっています。昨年来継続している材料価格等のコスト上昇分を確実に売価転嫁するとともに、低収益ビジネスの撤退や再建計画の実行を通じて、自動車事業の利益率改善を図っています。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
①長期ビジョン及び中期経営計画に関する目標
当社グループは、「新しい100年に向けた10年後(2028年3月期)の姿」として長期ビジョンを定め、売上高成長率は各地域のGDP成長率+α、営業利益率10%以上、総資産回転率1.0回転以上、更に為替変動による利益への影響を現状から半減させることを目指しております。それに向けて、2021年4月から開始した中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2では、最終年度の目標として下表のとおり目標値を設定しております。
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Phase 1 |
Phase 2 |
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2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2024年3月期目標 |
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連結売上高 |
733,846百万円 |
651,956百万円 |
562,847百万円 |
700,000百万円以上 |
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連結営業利益 |
27,222百万円 |
7,517百万円 |
△3,138百万円 |
42,000百万円以上 |
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フリー・キャッシュ・フロー |
△22,390百万円 |
△18,058百万円 |
18,535百万円 |
27,000百万円以上 |
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自己資本比率 |
27.4% |
20.6% |
20.4% |
20%以上 |
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ネットD/Eレシオ |
1.2 |
1.9 |
1.6 |
1.5以下 |
|
ROIC |
3.3% |
1.0% |
△0.4% |
5%以上 |
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棚卸資産回転率 |
3.8回 |
3.6回 |
3.2回 |
4.1回 |
②CO2排出量削減に関する目標
「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」[気候変動(気温上昇)対応]に記載のとおりであります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。
[サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理]
[気候変動(気温上昇)対応]
気候変動(気温上昇)による影響について、21世紀中の気温上昇を「4℃」、「1.5℃未満」としたシナリオ分析結果から想定されるリスクと機会は以下の通りです。
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気温上昇 |
想定されるリスク |
想定される機会 |
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4℃ (現状のまま、 世界がCO2を排出) |
・異常気象(大雨、洪水、暴風)による自社工場及びサプライチェーンの操業停止 ・工場等従業員の熱中症リスク |
自然災害による電力の遮断を防ぐライフラインの確保(定置型独立電源装置、移動型独立電源装置の市場提供) |
|
1.5℃未満 (脱炭素社会へ 移行) |
・炭素税等による調達や操業コストの増加 |
・脱炭素社会に向けた軸受による機械装置 省エネルギー化への貢献(基盤製品によるCO2削減) ・脱炭素社会に向けた風力発電装置の安定稼働への貢献(風力発電向け大型軸受、CMSサービスの提供) ・脱炭素社会に向けた水素エネルギー活用、普及への貢献(水素エネルギーに関わる装置への軸受類の製品技術開発と市場提供) ・自動車EV,CASEに対応する製品開発を通じた安全・快適な自動車社会への貢献(電動モジュール製品の製品技術開発と市場提供) |
上記のリスクと機会は、13項目のマテリアリティのうち、「エネルギーロスの低減」及び「気候変動への対応」等に結びついており、それぞれ対応施策を策定しています。このうち、「気候変動への対応」の目標を「2035年度カーボンニュートラル(サプライチェーンを含めて2050年度)」とし、2023年3月期以降のKPI(管理指標)として「2018年度比で、2030年度に事業活動におけるCO2排出量50%削減」を設定しています。
当事業年度の実績は、KPI(管理指標)に対し、CO2排出量は2018年度比で約22%※の削減となりました。計画の達成のためには、更なる取組みの強化が必要と認識しており、本年4月1日付でカーボンニュートラル推進の専担組織であるカーボンニュートラル戦略推進部を設置し、カーボンニュートラルに向けた諸施策の推進を強化しています。
※上記削減実績は、有価証券報告書提出日までに入手した情報に基づく第三者検証前の見込値を記載しています。
[人的資本]
近年の急激な環境の変化に適応しながら、中期経営計画の基本方針である「新しい100年に向けて、事業構造の変革(Transformation)を加速するとともに、財務体質と組織体制を強化し、経営環境の変化にしなやかに対応できる企業体質を構築する」には組織と人材の変革が必要です。
そのためには、様々な社会課題を解決し社会価値、環境価値、経済価値の向上に取組む組織風土を醸成し、働きがいをもって仕事に取組める多様な人材を育成する必要があります。その実現を目指し、当社グループでは、ESG課題の一つとして「豊かな人づくり」を掲げています。さらに「変革に挑戦する次世代を担う人材の確保」、「社員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」、「職場の学ぶ文化と育成する風土の醸成」、「安全・健康に働き活躍できる職場環境の実現」、「人権の尊重」を5つの柱とし、一つひとつ具体的な施策に着実に取組んでいます。
人材戦略の5つの柱
1.「変革に挑戦する次世代を担う人材の確保」
当社グループでは、取り巻くさまざまな環境や従業員と企業の関係性が急激に変化する中、従業員一人ひとりが情熱を持って、自ら考え、自ら行動することを促す環境を整備することで「変革に挑戦する次世代を担う人材の確保」に取組んでいます。
具体的な取組み
・執行役候補者の選抜によるサクセッションプラン導入
・経営層候補者の拡大と早期育成を目的とした選抜型研修(NTN Next Leader Program)の充実
・担うべき役割と職務の価値・報酬をリンクさせた管理職人事制度への見直し
・社内公募制度の充実等の自らの意思でキャリアを選択する権利・機会の拡大
・従業員の事業を通じたESG活動に対する表彰(NTN PROUD AWARD)の実施(2023年3月期:応募者数12か国・
478名)
2.「社員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」
当社グループでは、国籍や人種、文化、性別、年齢、障がいの有無などにとらわれず、多様な価値観を尊重し認め合い、さまざまな人材が自由な発想でより良いアイデアを出し、能力を最大限発揮できる「社員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」に取組んでいます。
具体的な取組み
・女性従業員に対するリーダー育成プログラム等のキャリアアップを実現する職場環境の整備
・男性従業員の育児参加に向けた啓発活動、企業の枠を超えた活動参画等の育児・介護と仕事の両立支援策の
強化
・中途採用の拡大による様々なキャリアバックグラウンドを持つ人材確保の強化
・多様な人材を国内外の拠点の責任あるポジションに積極的に登用が出来る環境・制度の整備
3.「職場の学ぶ文化と育成する風土の醸成」
当社グループでは、新入社員からリーダーまで個々の適性やキャリアを踏まえた成長機会を提供するとともに、学ぶことは従業員自らの成長のために不可欠で個人の成長が会社の成長につながるとの認識を共有し「職場の学ぶ文化と育成する風土の醸成」に取組んでいます。
具体的な取組み
・従業員が自律的に学ぶことが出来る人材育成プログラム(AIなどのWeb研修)の整備
・従業員の自発的な職場改善活動(QCサークル世界大会(2023年3月期:5か国8チーム参加)、エンゲージメ
ントサーベイフィードバック活動など)の推進等
・部下の職務能力の育成を目的とした人事考課制度を徹底するための考課者訓練の充実(毎年実施)
・1on1ミーティングの実施による部下の成長支援やキャリア支援
4.「安全・健康に働き活躍できる職場環境の実現」
当社グループで働くすべての人の安全と健康の確保は、経営の基盤として、あらゆる事業活動に優先する最も大切な価値であり、この基本姿勢のもと、「安全・健康に働き活躍できる職場環境の実現」を目指しています。
具体的な取組み
・安全を支える仕組みづくりとしての労働安全衛生マネジメントシステムの導入
・リスクアセスメント研修、危険予知研修による安全に強い人づくりの推進(2023年3月期:受講者数 延344
名)
・労働災害防止のため、現場の安全管理状態を確認指導する安全監査の実施
・従業員の健康増進と疾病予防や活力ある職場環境の実現に向けた、若年層メタボ対策、禁煙施策、ストレス
チェック等の実施
5.「人権の尊重」
当社グループは、持続可能な社会に貢献し、「社会に必要な企業」であり続けるためには、人権尊重に関する企業責任を果たし、社会からの信用を獲得することが必要不可欠であると考え、経営の基本方針の中に「人権の尊重」を掲げています。また人権基本方針を制定し、あらゆる形態の人権侵害に加担しないことを定めるとともに、当社グループの多様な従業員一人ひとりが安全かつ快適に働ける職場環境づくりに取組んでいます。
具体的な取組み
・従業員への人権尊重に関する教育及び啓発活動の充実
・海外関係会社を対象に人権に関するアンケート実施、結果の分析・評価実施
・差別やハラスメントに対する相談窓口設置による救済・苦情対応
・労使協議(企業の運営、機構や労働条件、賃金について)に基づく健全な労使関係の維持
人的資本に関する指標
「豊かなひとづくり」実現に向けた指標は以下のとおりです。
|
指 標 |
2021年3月期 実績 |
2022年3月期 実績 |
2023年3月期 実績 |
目 標 |
|
変革に挑戦する次世代を担う人材の確保 |
||||
|
サクセッションプラン 候補者数 |
8名 |
19名 |
19名 |
30名 2027年3月迄 |
|
社員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり |
||||
|
女性管理職比率(当社) |
3.9% |
3.9% |
4.4% |
9% 2024年3月迄 |
|
男性育児休業取得率(当社) |
5% |
11% |
37% |
30% 2024年12月迄 |
|
中途採用比率(当社) |
8.5% |
6.7% |
19.0% |
30% 2027年3月迄 |
|
障がい者雇用率(当社) |
2.34% (法定雇用率2.3%) |
2.55% (法定雇用率2.3%) |
2.57% (法定雇用率2.3%) |
その時点の 法定雇用率以上 |
|
職場の学ぶ文化と育成する風土の醸成 |
||||
|
従業員一人あたり研修時間(当社)(注2) |
10.6時間 |
11.6時間 |
16.2時間 |
対前年比増加 |
|
安全・健康に働き活躍できる職場環境の実現 |
||||
|
労働災害(休業)発生件数(当社)(注3) |
1件 |
3件 |
4件 |
0件 |
|
定期健康診断有所見率 (当社) |
52.7% |
61.3% |
60.7% |
47%以下 2024年3月迄 |
|
人権の尊重 |
||||
|
人権教育受講者数(延人数) (当社)(注2) |
1,097名 |
1,213名 |
1,354名 |
対前年比増加 |
(注)1.上記指標の対象は、特に指定の無い限り当社及び連結子会社であります。
2.従業員一人あたり研修時間、人権教育受講者数は、実績把握を開始した期間が新型コロナウイルス感
染症の影響により研修実施を控えるなどした期間であるため、具体的な目標については、今後の研修
実績を把握、分析し、改めて設定する予定です。
3.労働災害(休業)発生件数について、2023年3月期は2021年12月16日から2022年12月15日を同事業年
度に係る集計対象期間としており、2022年3月期以前の事業年度に係る集計対象期間もそれに準じて
おります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)外部事業環境に関するリスク
1)経済状況
当社グループ商品の製造拠点、販売拠点はグローバルな国と地域に及び、取引先も多岐の産業分野に亘っておりますため、特定の国や地域の経済状況の変動や取引先が属する産業の景気変動などにより、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
2)為替レートの変動
当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は50%を超えており、今後もグローバルな事業展開を加速させることにより、海外売上高の割合は増加の見込みであります。
海外子会社の現地通貨建ての経営成績及び財政状態は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。また当社が海外の顧客等に輸出する場合、その取引の多くは外貨建てで行われております。当社グループでは為替予約や現地調達の拡大によってリスクヘッジを実施しておりますが、現地通貨と円貨の為替レート変動による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへの影響を完全に回避できるものではありません。
3)市場価格の低下
当社グループの製造活動や販売活動における競争環境はグローバル規模で厳しさを増しております。中国をはじめとする新興国製品の台頭により軸受の一部では市場価格が下落してきております。また当社グループの売上の半分以上を占める自動車業界ではグローバルな価格競争を背景に価格引き下げ要請が厳しさを増しております。当社グループでは原価低減の継続的推進と同時に高品質、高付加価値の新商品開発を実施しておりますが、市場価格の低下圧力が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
4)原材料価格の上昇
当社グループでは、外部より様々な原材料の調達を行っております。特に材料費のなかで大きなウエイトを占める鋼材の価格上昇に対しては製品価格への反映や歩留り向上、VA・VE活動による材料コスト低減を図っておりますが、想定を超える上昇により財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
5)災害の発生や感染症の蔓延のリスク
当社グループ及び当社グループ取引先の事業拠点が、地震、洪水などの天災、火災や感染症の蔓延等による被害を受ける可能性があります。当社グループでは、大規模災害の発生に備え、安否確認システムの導入や防災訓練を実施し、感染症の蔓延対策においてはマスクなどの備蓄等の各種対策を講じております。危機発生時において即座に初動措置を行うことによって被害を最小限に止めるよう備えておりますが、完全なリスク回避は困難であり、結果として当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症に対して当社グループは、テレワークや時差出勤の活用などにより感染防止に努めております。海外においても在宅勤務等を推進し、各国の状況に合わせた対応を行っております。
6)気候変動リスク
当社グループが拠点を有する国と地域における気候変動(気温上昇)に伴う異常気象(大雨、洪水、暴風などによる操業、営業の停止等)や環境規制の強化(炭素税の導入による原材料、エネルギーの調達コスト増加等)などにより、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
なお、気候変動(気温上昇)による影響について、TCFD提言に沿ったシナリオ分析の結果は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」[気候変動(気温上昇)対応]に記載のとおりであります。
(2)事業運営に関するリスク
1)特定業界への依存
当社グループの販売は、軸受部門の約半分が自動車業界向けであり、等速ジョイント部門は、自動車の駆動輪へ動力を伝達するための部品で、その大半を自動車業界向けに販売しており、自動車業界への依存度が高くなっております。軸受や精密機器商品につきましては産業機械分野への販売拡大も進め、販売構成のバランスを常に考えた施策を推進しておりますが、自動車分野における急激な需要変動があった場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
2)製品の不具合
当社グループは、品質の確保を図るため、顧客の要求機能・仕様を満足し、かつ安全性に配慮した適正品質の追求に努めており、グローバルベースで品質管理の徹底を図っております。しかし製品に重大な不具合が存在し、重大な事故やクレーム、リコール等の起因となった場合、多額の製品補償費用等の発生により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。当社グループはグローバルな製造物責任保険に加入しておりますが、損害賠償等の損失についてその全てを担保するものではありません。
3)知的財産権
当社グループは、新商品開発を通じて多くの新技術やノウハウを生み出しており、経営資源として活用しております。しかし第三者から当社グループの知的財産権侵害、または予期せず、第三者の知的財産権の侵害等が発生する可能性があります。特許出願による権利保護等の知的財産権マネジメントの徹底を図っておりますが、上記のような知的財産権の侵害が発生した場合、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
4)グローバル事業展開
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結売上高に占める海外売上高は50%を超えております。海外での事業展開に伴い次のようなリスクがあります。
①各国間もしくは各国税制の予期せぬ変化に伴うリスク
②各国法規制の予期せぬ変化に伴うリスク
③人材確保の困難性
④新興諸国における未成熟な技術水準や不安定な労使関係
⑤各国での政情不安
これらのリスクに対しては、グループ内での情報収集等を行い、その予防及び回避に努めておりますが、これらの事象が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
5)情報セキュリティ
当社グループは、社内規程整備に加え、従業員教育を通じて、適切な情報管理方法の周知・徹底に努めております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルス侵入等により、万一これら情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの信用低下や生産及び販売活動などに支障をきたし、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
6)法的規制等
当社グループは、事業活動を行っている国及び地域で各種の法令・規則(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・アンチダンピング法・贈収賄関連法規等の経済法規、貿易・為替法規、証券取引所の上場規程等)の適用を受けております。
当社グループは、これらの法令・規則を遵守し公正な企業活動に努めておりますが、万一法令・規則違反を理由とする訴訟や法的手続において、当社グループにとって不利益な結果が生じた場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法令・規則が変更された場合や、予想できない新たな法令・規則が設けられた場合、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは以下の訴訟等を受けております。
① 当社及び欧州の連結子会社2社は、仏国リヨン商業裁判所(Tribunal de Commerce de Lyon)においてRenault S.A. 及び同社のグループ会社計15社(以下、「ルノー」)より損害賠償額6,670万ユーロ(暫定額)を支払うよう求める訴訟の提起を受けております。なお、ルノーは損害賠償請求額を、2020年12月に3,250万ユーロ(暫定額)に変更し、2022年4月に5,830万ユーロ(暫定額)に変更しました。
この訴訟は、2014年3月19日付の欧州委員会決定の対象となった欧州競争法違反行為に関連して、ルノーが損害を被ったとして提起されたものです。
② 当社グループは、独占禁止法違反行為に関連して、今後、損害賠償請求を受ける可能性があり、これらの請求に対して適切に対処してまいります。なお、その結果によっては当社グループの業績に影響を与える可能性がありますが、現時点ではその影響を合理的に見積ることは困難であり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに与える影響は明らかではありません。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、一部の地域で足踏みが見られたものの、経済活動の正常化が進んだことで、緩やかな持ち直しが続きました。日本経済については、国内企業物価、消費者物価は上昇しているものの、個人消費は緩やかに持ち直しました。海外においても、米国経済、欧州経済、アジア他のその他新興国経済で持ち直しの動きが続きましたが、中国経済は新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により、弱さが見られました。また、世界的な半導体不足やサプライチェーンの混乱、ウクライナ情勢やエネルギー情勢、物価上昇などの影響、また世界的な金融引き締め等がある中、世界経済は不透明な状況が続きました。
かかる状況下、2021年4月から開始した中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2で掲げた諸施策を着実に実行し、事業構造の変革(Transformation)を加速すると共に、財務体質・組織体制を強化し、経営環境の変化にしなやかに対応できる企業体質の構築を目指します。
当連結会計年度の売上高は773,960百万円(前連結会計年度比20.6%増)となりました。損益につきましては、欧米の自動車市場向けを中心に鋼材価格上昇や固定費の増加などはありましたが、売価転嫁や規模、為替の影響などにより営業利益は17,145百万円(前連結会計年度比149.2%増)、経常利益は12,047百万円(前連結会計年度比76.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,367百万円(前連結会計年度比41.2%増)となりました。
なお、営業利益の主な増減要因は、以下のとおりであります。
規模効果 12,131百万円
人件費 △10,710百万円
比例費 △31,372百万円
売価レベル 33,946百万円
為替 14,600百万円
経費他 △8,329百万円
セグメントの業績につきましては、以下のとおりであります。
1)日本
販売につきましては、補修市場向けは産業機械補修向けで増加しました。産業機械市場向けは建設機械向けや航空機向けなどで増加し、自動車市場向けは客先需要の回復などにより増加しました。全体としては売上高は、364,064百万円(前連結会計年度比13.4%増)となりました。セグメント損益は鋼材価格の上昇や固定費の増加などはありましたが、売価転嫁や規模、為替の影響などにより17,382百万円のセグメント利益(前連結会計年度比128.1%増)となりました。
2)米州
販売につきましては、補修市場向けは産業機械補修向けで増加し、自動車補修向けで減少しました。産業機械市場向けは建設機械向けや農業機械向けなどで増加し、自動車市場向けも客先需要の回復などにより増加しました。全体としては、売上高は243,569百万円(前連結会計年度比36.3%増)となりました。セグメント損益は鋼材価格の上昇や固定費の増加に伴う売価転嫁の推進、規模の影響などはありましたが、6,854百万円のセグメント損失(前連結会計年度は7,427百万円のセグメント損失)となりました。
3)欧州
販売につきましては、補修市場向けは産業機械補修向けで増加し、自動車補修向けで減少しました。産業機械市場向けは航空機向けや農業機械向けなどで増加し、自動車市場向けは客先需要の回復などにより増加しました。全体としては、ウクライナ情勢の影響等はありましたが、売上高は172,441百万円(前連結会計年度比20.2%増)となりました。セグメント損益は鋼材価格の上昇や固定費の増加に伴う売価転嫁の推進、規模の影響などはありましたが、3,411百万円のセグメント損失(前連結会計年度は4,265百万円のセグメント損失)となりました。
4)アジア他
販売につきましては、補修市場向けは産業機械補修向けで増加しました。産業機械市場向けは建設機械向けなどで減少し、自動車市場向けは客先需要の低減などにより減少しました。全体としては、売上高は165,506百万円(前連結会計年度比12.4%増)となり、セグメント損益は中国の都市封鎖に伴う操業停止や稼働率低下の影響などにより、12,538百万円のセグメント利益(前連結会計年度比11.0%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動の結果得られた資金は34,219百万円(前連結会計年度比25,263百万円、282.1%の増加)となりました。主な内訳は減価償却費42,048百万円、仕入債務の増加額11,443百万円の収入に対して、棚卸資産の増加額15,044百万円の支出であります。
投資活動の結果使用した資金は13,858百万円(前連結会計年度は2,512百万円の収入)となりました。主な内訳は有形固定資産の取得による支出19,705百万円、無形固定資産の取得による支出4,020百万円に対して、定期預金の払戻による収入8,709百万円であります。
財務活動の結果使用した資金は33,258百万円(前連結会計年度比8,042百万円、19.5%の減少)となりました。主な内訳は長期借入金の返済による支出52,832百万円に対して、長期借入れによる収入22,541百万円であります。
これらの増減に換算差額2,112百万円を算入しました結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は110,675百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,785百万円(8.9%)の減少となりました。
③生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年度比(%) |
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日本 |
336,155 |
114.2 |
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米州 |
194,411 |
139.5 |
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欧州 |
117,215 |
122.2 |
|
アジア他 |
82,139 |
103.0 |
|
合計 |
729,921 |
119.8 |
(注)上記金額は平均販売価格により表示しております。
2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年度比(%) |
受注残高 (百万円) |
前年度比(%) |
|
日本 |
214,340 |
113.0 |
40,782 |
114.6 |
|
米州 |
243,839 |
124.1 |
103,240 |
123.4 |
|
欧州 |
172,841 |
123.3 |
30,954 |
130.8 |
|
アジア他 |
155,503 |
105.9 |
49,914 |
116.2 |
|
合計 |
786,525 |
116.8 |
224,891 |
121.0 |
(注)上記金額は平均販売価格により表示しております。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年度比(%) |
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日本 |
364,064 |
113.4 |
|
米州 |
243,569 |
136.3 |
|
欧州 |
172,441 |
120.2 |
|
アジア他 |
165,506 |
112.4 |
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セグメント間取引消去 |
△171,621 |
115.6 |
|
合計 |
773,960 |
120.6 |
(注)相手先別の販売実績は、総販売実績の100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループに関する経営成績等の状況の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものです。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に与える見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」 1 (1)連結財務諸表 の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の項目が連結財務諸表の作成に影響を及ぼすと考えております。
1)収益の認識基準
当社グループの顧客との契約から生じる収益は、約束した財又はサービスを顧客に移転することにより履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識しております。
2)貸倒引当金の計上基準
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて、回収不能となる見込額を貸倒引当金として計上しております。将来、顧客の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
3)有価証券の減損処理
当社グループは、金融機関や販売又は仕入に係る取引会社の株式を保有しております。これらの株式は、株式市場の価格変動リスクを負っているため、合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。将来、株式市場が悪化した場合には、有価証券評価損を計上する可能性があります。
4)繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
5)退職給付費用及び負債の前提条件
当社グループは、退職給付費用及び債務を割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率、及び年金資産の期待運用収益率などに基づいて合理的に見積もっております。これらの前提条件が変化した場合には、実際の結果が見積りと異なる可能性があります。その影響は発生の都度、負債に計上され、将来にわたって規則的に費用計上されるため、費用及び負債に影響を及ぼす可能性があります。
6)固定資産の減損処理
当社グループが有する固定資産のうち、「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされるものについては、損益報告や経営計画などの企業内部の情報、経営環境や資産の市場価格などの企業外部の要因に関する情報に基づき、資産又は資産グループ別に減損の兆候の有無を確認し、企業環境の変化や経済事象の発生によりその帳簿価額の回収が懸念されているかなど、減損損失の認識を判定しております。
この判定により減損損失を認識すべきと判断した場合には、その帳簿価額を回収可能価額まで減損処理を行っております。経営・市場環境といった企業外部要因等の変化により、回収可能価額が変更された場合には、減損損失の金額の増加又は新たな減損損失の認識の可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響を加味した見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)売上高の分析
当連結会計年度の売上高は773,960百万円となり、前連結会計年度に比べ131,937百万円(20.6%)増加しました。為替の影響による増加額71,191百万円を考慮しますと、実質では60,746百万円の増加となりました。なお、海外売上高は572,358百万円となり、前連結会計年度に比べ111,091百万円(24.1%)増加しました。売上高に占める海外売上高の割合は74.0%(米州31.8%、欧州20.0%、アジア他22.1%)となり、前連結会計年度に比べ2.2ポイント上昇しました。
2)売上原価、販売費及び一般管理費の分析
当連結会計年度の売上原価は648,047百万円となり、対売上高比率は83.7%と前連結会計年度に比べ0.2ポイント上昇しました。
また、販売費及び一般管理費は108,766百万円となり、対売上高比率は14.1%と前連結会計年度に比べ1.3ポイント低下しました。
3)営業利益の分析
当連結会計年度の営業利益は17,145百万円となり、前連結会計年度に比べ10,265百万円(149.2%)増加しました。売上高営業利益率は2.2%となり、前連結会計年度に比べ1.1ポイント上昇しました。
4)営業外収益及び費用の分析
当連結会計年度の営業外収益及び費用は、5,098百万円の費用超過となりました。収益はデリバティブ評価益2,035百万円、持分法による投資利益1,459百万円、受取利息1,146百万円、受取配当金278百万円などにより7,419百万円となり、前連結会計年度に比べ48百万円の減少となりました。費用は支払利息5,910百万円、為替差損3,378百万円などにより12,517百万円となり、前連結会計年度に比べ4,985百万円の増加となりました。
5)経常損益の分析
当連結会計年度の経常利益は12,047百万円となり、前連結会計年度に比べ5,232百万円(76.8%)増加しました。売上高経常利益率は1.6%となり、前連結会計年度に比べ0.5ポイント上昇しました。
6)特別損益の分析
当連結会計年度の特別利益は、有形固定資産売却益1,716百万円を計上し、前連結会計年度に比べ12,617百万円減少しました。また特別損失は減損損失1,609百万円、事業再編損1,348百万円を計上し、前連結会計年度に比べ572百万円減少しました。
7)親会社株主に帰属する当期純利益の分析
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は10,367百万円となり、前連結会計年度に比べ3,026百万円(41.2%)増加しました。売上高当期純利益率は1.3%となり、前連結会計年度に比べ0.2ポイント上昇しました。
8)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
新しい100年に向けた10年後(2028年3月期)の長期ビジョンでは、売上高成長率は各地域のGDP成長率+α(当連結会計年度売上高773,960百万円)、営業利益率10%以上(当連結会計年度営業利益率2.2%)、総資産回転率1.0回転以上(当連結会計年度総資産回転率0.89回転)、更に為替変動による利益への影響を現状から半減させることを目指しております。さらに、これに向けての中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2における最終年度の目標値、及び当連結会計年度における実績は下表のとおりであります。
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|
2023年3月期実績 |
2024年3月期目標 |
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連結売上高 |
773,960百万円 |
700,000百万円以上 |
|
連結営業利益 |
17,145百万円 |
42,000百万円以上 |
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フリー・キャッシュ・フロー |
20,361百万円 |
27,000百万円以上 |
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自己資本比率 |
25.4% |
20%以上 |
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ネットD/Eレシオ |
1.18 |
1.5以下 |
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ROIC |
2.0% |
5%以上 |
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棚卸資産回転率 |
3.23回 |
4.1回 |
この結果と中期経営計画最終年度の目標値を踏まえて、さらには新しい100年に向けた10年後(2028年3月期)の姿に向けて、翌連結会計年度において費用削減や売価転嫁等の施策を推進してまいります。
なお、事業活動におけるCO2排出量削減の状況については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」[気候変動(気温上昇)対応]に記載のとおりであります。
事業形態別の業績につきましては、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) (単位:百万円)
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補修市場向け |
産業機械市場向け |
自動車市場向け |
合計 |
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外部顧客への売上高 |
112,196 |
126,104 |
403,722 |
642,023 |
|
営業利益又は 営業損失(△) |
14,668 |
4,074 |
△11,862 |
6,880 |
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) (単位:百万円)
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補修市場向け |
産業機械市場向け |
自動車市場向け |
合計 |
|
外部顧客への売上高 |
134,039 |
139,499 |
500,421 |
773,960 |
|
営業利益又は 営業損失(△) |
22,270 |
7,289 |
△12,414 |
17,145 |
(a) 補修市場向け
客先需要の拡大などにより売上高は134,039百万円(前連結会計年度比19.5%増)となりました。営業損益は鋼材価格の上昇や固定費の増加などはありましたが、売価転嫁や規模、為替の影響などにより22,270百万円の営業利益(前連結会計年度比51.8%増)となりました。
(b) 産業機械市場向け
建設機械向けや航空機向けの増加などにより売上高は139,499百万円(前連結会計年度比10.6%増)となりました。営業損益は鋼材価格の上昇や固定費の増加などはありましたが、売価転嫁や規模、為替の影響などにより7,289百万円の営業利益(前連結会計年度比78.9%増)となりました。
(c) 自動車市場向け
客先需要の回復などにより売上高は500,421百万円(前連結会計年度比24.0%増)となりました。営業損益は鋼材価格の上昇や固定費の増加に伴う売価転嫁の推進、規模や為替の影響などはありましたが、12,414百万円の営業損失(前連結会計年度は11,862百万円の営業損失)となりました。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社では、営業活動で獲得したキャッシュ・フローと、投資活動で支出したキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローを重要な指標の1つとしています。この指標を基に、成長投資や運転資金への充当、または、負債の返済や新たな資金調達の要否を検討するとともに、フリー・キャッシュ・フロー創出のための施策を立案・推進し、財務体質の強化を図っています。また、財務体質の強化を測る指標として、棚卸資産回転率、ネットD/Eレシオを使用しています。
また、当社グループが事業活動を維持拡大するために必要な資金を安定的に確保するため、営業活動で獲得した自己資金と外部資金を有効に活用しています。外部からの資金については、調達コストの低減を図りながら資金調達手段の多様化と資本効率の向上を目的に、金融機関からの借入、社債の発行、営業債権の流動化を行っています。取引金融機関とは長年に亘って築き上げてきた良好な関係を維持しており、資金調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。
更に、当社の一部子会社間については、当社グループが保有する資金をグループ内で効率的に活用するグローバル・キャッシュ・マネジメントシステムを金融機関と構築し、2022年9月より運用しています。それにより資金の偏在をならし、資金の効率化や流動性の確保を図っています。
また、経済活動の正常化が進み業況が回復したことに伴い、新型コロナウィルス感染症拡大等、緊急時の手元流動性確保を目的として設定しておりましたコミットメントライン契約は解消しました。
1)財政状態の分析
流動資産は前連結会計年度末に比べ16,993百万円(3.3%)増加し、529,024百万円となりました。これは主に商品及び製品の増加11,181百万円、原材料及び貯蔵品の増加7,045百万円、仕掛品の増加6,317百万円、受取手形及び売掛金の増加4,253百万円、現金及び預金の減少16,986百万円によります。固定資産は前連結会計年度末に比べ2,649百万円(0.8%)減少し、340,802百万円となりました。これは主に機械装置及び運搬具の減少4,335百万円、建設仮勘定の増加1,867百万円によります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ14,344百万円(1.7%)増加し、869,827百万円となりました。
流動負債は前連結会計年度末に比べ47,869百万円(14.9%)増加し、369,074百万円となりました。これは主に短期借入金の増加27,714百万円、電子記録債務の増加7,459百万円、支払手形及び買掛金の増加6,250百万円によります。固定負債は前連結会計年度末に比べ54,526百万円(17.2%)減少し、263,327百万円となりました。これは主に長期借入金の減少50,453百万円によります。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ6,656百万円(1.0%)減少し、632,402百万円となりました。
純資産合計は前連結会計年度末に比べ21,000百万円(9.7%)増加し、237,425百万円となりました。これは主に為替換算調整勘定の増加12,054百万円、利益剰余金の増加9,039百万円によります。
なお、自己資本比率は25.4%(前連結会計年度末比2.3ポイント上昇)となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は415.64円(前連結会計年度末比42.94円増)となりました。有利子負債は前連結会計年度末に比べ22,739百万円(5.8%)減少し、371,292百万円となりました。為替の影響による増加額5,529百万円を考慮しますと実質では28,268百万円の減少となりました。なお、有利子負債依存度は42.7%(前連結会計年度末比3.4ポイント低下)となりました。
正味運転資本は159,950百万円となり前連結会計年度末比30,876百万円減少しました。また流動比率は143.3%(前連結会計年度末比16.1ポイント低下)となりました。
棚卸資産回転率は3.23回転(前連結会計年度末比0.24回転増加)、総資産回転率は0.89回転(前連結会計年度末比0.14回転増加)となりました。
2)キャッシュ・フローの分析
営業活動の結果得られた資金は34,219百万円(前連結会計年度比25,263百万円、282.1%の増加)となりました。主な内訳は減価償却費42,048百万円、仕入債務の増加額11,443百万円の収入に対して、棚卸資産の増加額15,044百万円の支出であります。
投資活動の結果使用した資金は13,858百万円(前連結会計年度は2,512百万円の収入)となりました。主な内訳は有形固定資産の取得による支出19,705百万円、無形固定資産の取得による支出4,020百万円に対して、定期預金の払戻による収入8,709百万円であります。
財務活動の結果使用した資金は33,258百万円(前連結会計年度比8,042百万円、19.5%の減少)となりました。主な内訳は長期借入金の返済による支出52,832百万円に対して、長期借入れによる収入22,541百万円であります。
これらの増減に換算差額2,112百万円を算入しました結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は110,675百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,785百万円(8.9%)の減少となりました。
なお、営業活動による資金と投資活動による資金を合算したフリー・キャッシュ・フローは20,361百万円となりました。また、売上高営業キャッシュ・フロー比率は4.4%となりました。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況」「3.事業等のリスク」及び「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に記載しています。
技術供与契約
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相手先 |
国名 |
契約内容 |
契約期限 |
対価 |
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NATIONAL ENGINEERING |
インド |
ボールベアリング等の製造に関する技術の供与 |
2011年11月2日から 2023年12月31日まで |
販売価格の一定率 |
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台惟工業股份有限公司 |
台湾 |
等速ジョイントの製造に関する技術の供与 |
2003年3月26日から 2028年3月25日まで |
〃 |
当社は、2021年4月より、中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2に取組んでおります。「DRIVE NTN100」Phase 2では、持続可能な社会の実現に向けて13項目のマテリアリティを設定し、そのうちの3項目は、「エネルギーロスの低減」「自然エネルギーを利用した持続可能な社会の実現」「安全と快適の提供」とし、当社の独創的技術の創造を通じて社会に貢献するポジティブインパクトの強化として取組んでいます。
研究開発活動は、上記3つのマテリアリティに対して、当社の持続的成長を目的に「基盤商品、基盤技術の強化」と「新たな領域の展開」の二軸で進めています。「新たな領域の展開」では、成長が期待される6つのターゲット分野を設定し、それら分野に対して、当社のコアコンピタンスを活かした製品の開発に取組んでいます。
なお、当連結会計年度における研究開発活動費はグループ全体で
(1)自動車事業
カーボンニュートラルの達成には、自動車の電動化、EV化が必須であり、車両駆動に必要な電動駆動ユニットには、さらなる高効率化、小型・軽量化が求められて、モータをインバータ及び減速機と一体化したeアクスルの開発が活発化しています。これらに用いられる転がり軸受には、優れた高速回転性能が求められています。当社では、dmn値※1180万のEV・HEV用高速深溝玉軸受をすでに市場展開し、お客様より高い評価を得ています。更なる高速回転性能を追求するため、軸受の発熱と潤滑条件による熱収支のバランスを最適化する供給油量の計算手法の確立、遠心力による変形を抑制するための保持器形状の見直し、軸受の内部諸元の最適化に取組み、オイル潤滑下でdmn値220万の高速運転が可能な深溝玉軸受を開発しました。
自動車事業の大きな柱である等速ジョイント(CVJ)においては、世界最高水準の伝達効率により自動車の省燃費・電費化に貢献する固定式等速ジョイント「CFJ」を製品化し、モノづくり日本会議と日刊工業新聞社が主催する2022年「“超”モノづくり部品大賞」、及び日本トライボロジー学会の技術賞を受賞しました。従来のCVJの基本構造を大きく変え、内部部品にかかる力を相殺する独自の「スフェリカル・クロスグルーブ構造※2」を採用することにより、従来品の世界最高水準の軽量・コンパクト性はそのままに、トルク損失率を50%以上低減し、さらに高作動角時におけるトルク損失率の増加を大幅に抑えることを可能としました。自動車業界における、カーボンニュートラル達成に向けた、省燃費・省電費に寄与する独創性のある技術として高く評価していただき受賞となりました。
※1.dmn値:軸受の回転性能を表す指標で、軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1)
2.スフェリカル・クロスグルーブ構造:隣り合う転動溝を互い違いに傾斜させることで、ボールが内部部品を押す力の向きを交互に振分け、互いに相殺させる構造
(2)産業機械事業
製造現場の生産性向上に向けて、設備の稼働状態を監視し、そのデータに基づいて的確かつ計画的にメンテナンスや部品交換をすることで、設備のダウンタイム(稼働停止時間)を出来るだけ抑えたいという要望があります。さらに近年では、DXやIoT技術の進展に伴って、場所や時間の制約を受けない装置の遠隔監視や自動モニタリング、さらには、入手した状態監視情報の活用による製造品質の安定化や向上へのニーズも高まっています。当社では、このような状態監視ニーズに対するため、工作機械主軸用「センサ内蔵軸受ユニット」、「産業用IoTプラットフォーム向け軸受診断アプリ」、「NTNポータブル異常検知装置」を開発し、製造現場で多数採用いただいています。さらに、標準転がり軸受に、軸受寸法及び負荷容量を変更することなく、発電ユニット、無線通信デバイスを内蔵し、温度・振動・回転速度のセンシング情報を無線送信する「しゃべる軸受Ⓡ」を開発しました。軸受の回転により発電する電力を用いて、センサや無線通信デバイスを動作させ、センシング情報を自動で発信します。しゃべる軸受は、センサを内蔵しているため、装置ハウジングにセンサを外付けする場合に比べ、感度よく軸受の状態を検出し、より早期での異常検知が可能です。これら製品群により、当社は高度な状態監視を実現し、製造設備の高効率化、生産性向上に貢献します。
産業用ロボット分野では、ロボットが担う作業の多様化に伴い、動作精度の向上に対する要求が高まる一方で、構成部品点数の削減、部品の小型・軽量化も求められています。当社はロボットの関節機構を支持する深溝玉軸受に磁気リングとセンサを取り付け、回転速度や方向、絶対角の検出機能を持たせた「複列磁気エンコーダ付転がり軸受」を開発しました。当社独自の薄型・高精度角度センサを軸受の内輪に取り付け、外輪に搭載した磁気センサICで「複列磁気リング」の磁極変化を読み取ることで、業界最高水準の角度検出精度(最大20bit、分解能約0.0005°未満)でロボット関節の回転速度や絶対角を検出します。また、本品の適用により、関節機構の軸とロータリーエンコーダを繋ぐ動力伝達装置が不要となり、関節機構の小型・軽量化も合わせて実現します。
(3)新たな6つのターゲット分野
ロボット周辺モジュール分野では、回転円盤上から部品を供給し、自動で供給できる当社独自のピッキングロボット用フィーダ「TRINITTEⓇ」を発売し、ご好評をいただいています。「TRINITTEⓇ」は、カメラ、ピッキングロボットと連携接続し、円弧軌道上のワークに追従して移動中のワークを連続ピッキングするのが特徴です。また、「TRINITTEⓇ」と組み合わせて用いるピッキングロボット向けの小型・軽量な「ロータリアクチュエータ式ハンド」も開発しました。ロータリーアクチュエータの回転軸を中心にワークを掴むチャック部との締結部が回転することで、位置や姿勢を0から100°の範囲で設定可能です。スカラロボットに装着することで、横方向や斜め方向からのピッキングが可能となります。部品の取り逃がしを大幅に軽減でき、安価な装置構成で、部品の安定した連続ピッキングを実現します。また、すでに市場展開しているロボット向け手首関節モジュール「i-WRISTⓇ」については、多数ご要望をいただいた可搬性能の向上に対応するため、最大可搬重量を1kgから3kgに増加させた「IWS-C01」を開発しました。用途の幅が広がったと、市場からご好評を得ています。
水素関連分野では、水素の活用のために「つくる、はこぶ、ためる、つかう」のあらゆる場面で技術開発が活発に進められています。燃料電池自動車(FCV)の普及に欠かせない水素ステーションの高圧水素圧縮機に用いられる製品は、水素暴露や高圧など特殊環境下で使用されるため、より高信頼性、高耐久性が求められます。当社では、軸受の軌道輪表面に硬質で微細な金属化合物を多数分散させた新規鋼材を開発するとともに、新たに開発した特殊熱処理技術を組合せることにより、水素に起因する軸受の早期破損に対して、当社標準軸受と比較して3倍以上の長寿命化を実現した耐水素脆性軸受を開発し、サンプル納入を開始しました。また、当社の複合材料技術を駆使して開発した樹脂製品が水素環境用シール部材として採用されています。これら製品の更なる高機能化を産学連携で進めるとともに、さらに、水素関連分野のグローバルな連携やサプライチェーンの形成を推進する「水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)」にも参画し、水素化社会の実現に貢献します。