第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
コロナ禍により大きく落ち込んだ世界経済の回復に伴いチタン需要も段階的ながら回復しつつありますが、長期化するロシアによるウクライナ侵攻が発端となって大手航空機メーカーによりロシア製チタン展伸材の購入が忌避され、航空機向けチタンのサプライチェーンが大きく変化しています。一方、チタン鉱石等の各種原材料価格の騰勢が続いておりましたが、ウクライナ危機が起因して更なる価格上昇やエネルギー価格の急騰が起きており、依然として経済動向をはじめ事態の動静は不明な状況にあります。
このような事業環境において、当社事業におきましては好転した需要に対応するためスポンジチタン生産において工場稼働率を引き上げつつ対応するとともに、生産諸元の改善等の合理化をはじめ効率化による生産性の向上等、徹底したコスト削減に引き続き全社を挙げて取り組んでおります。また、高騰する原材料価格が業績回復の大きな制約となっており、チタン事業の収益力の改善に向けて販売価格の適正化をお客様にご理解を求めながら推進しております。
回復するチタン需要に対応しながらチタン事業の収益基盤の強化に取り組んでおりますが、今後の持続的な成長軌道への本格復帰を目指してスポンジチタンの生産能力増強の検討も並行して進めてまいります。
一方、中長期経営課題である事業構造の強化に向けて合金TILOPの事業成長の促進や、リチウムイオン電池用SiO負極材の早期事業化に向けて鋭意取り組んでおります。持続的な成長に資する新たな事業の創出にも継続的に経営資源を投入することで、長期ビジョンに描く事業ポートフォリオの実現にも取り組んでまいります。これらの取り組みによってチタン事業における安定的な収益確保と高機能材料事業の成長を加速し、財務体質の早期健全化と安定成長基盤の再構築を図ってまいります。
現在、以下の経営課題に対し基本方針を設定し、鋭意取り組んでおります。
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【経営課題】 ・価格適正化及び徹底したコスト削減によるチタン事業の収益力の回復 ・事業構造の強化による収益構造の補強と成長戦略の加速 ・財務体質の早期健全化による安定成長基盤の復元
【基本方針】 ・市場の成長軌道への回帰を背景にチタン事業を中核とする持続的成長戦略への復帰 ・事業構造の変革のため高機能材料事業の成長力と収益力の強化 ・事業ポートフォリオの変革の加速に向けた新規事業の萌芽、育成の着実な推進 ・カーボンニュートラル対応をはじめ環境負荷低減に向けた多面的な活動の推進 ・IT技術の積極的な活用(DX対応と業務改革、AI等を活用した生産技術の高度化) |
それぞれの事業セグメントにおける課題は次のとおりであります。
1.チタン事業
①収益基盤の強化
・長期的な事業の継続性を確保できる水準への販売価格及び販売構成の適正化
・革新的な技術開発によるコスト構造の改質と環境負荷低減への貢献
・安定かつ競争力ある原料調達体制の維持と低廉原材料の利用技術の強化
②高稼働率の維持と最適生産体制の追求
・炉当たり生産性の改善と労働生産性の向上の更なる推進
・生産技術の高度化のためのAI等の数理工学的アプローチの積極導入
・スポンジチタン生産能力増強の検討
2.高機能材料事業
①高純度チタンの顧客対応力強化による事業拡大
・技術営業力の強化による顧客対応力の強化と戦略製品によるシェア拡大
・先端ニーズを先取りした特長ある製品の開発と継続的な成長機会の捕捉
・高付加価値品の拡販とロスコスト削減による収益力の更なる強化
②球状チタン合金粉末(合金TILOP)の事業基盤の強化
・合金TILOP専用工場の戦力化による事業基盤の構築
・事業推進体制の強化による提案力の向上と顧客との連携深化
・プロセス技術の継続的な開発と差別化製品の市場投入
③リチウムイオン電池用SiO負極材料の事業化加速
・顧客ニーズへのきめ細かく迅速な対応で早期事業化を推進
・商業生産の開始と事業基盤の獲得
④高品質メニュー創出に向けた取り組みの継続
・全社横断体制による当社保有技術を活用した新規事業の探索と事業化検討
・経営資源の投入による新規事業候補の事業化検証の推進
3.全社的取り組み
①コスト構造の強化
・業務効率化や組織統合による間接人員の削減と機能的な人員配置
・事業ポートフォリオ変革に向けた柔軟な組織改革の推進
②技術開発力の強化
・生産プロセス技術の高度化に特化した組織体制の強化と社外研究機関との連携
・新たな製品や事業のための玉だし活動の継続
③人材確保と人材育成
・労働人口減少を見据えた多様な人材確保の仕組み創り
・次代を担うリーダーの計画的な育成に向けた人事施策の充実
・熟練者の経験やノウハウ等の可視化、共有化による技能伝承と技術スタッフの強化
④DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応推進
・基幹システムの刷新による業務改革の推進
・蓄積データの積極的な活用による更なる品質安定化と生産効率の向上
⑤ESG取り組み
・環境負荷低減への貢献
・安全で健康な職場環境の構築
・人材育成とダイバーシティの推進
・ガバナンスの充実による持続的成長
・先端素材の開発、提供によるサステナビリティ社会への貢献
当社は、環境をはじめとするサステナビリティに関する諸課題への対応は、企業の社会的責務であるとの基本認識のもと、サステナビリティに関する諸課題に、事業活動を通じて積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献することを通じ、中長期的な企業価値向上を図ってまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、企業価値向上にはサステナビリティが重要な経営課題の一つであり、持続可能な社会の実現への貢献と当社の持続的成長の実現の両立に向けた取り組みをより一層強化する観点から、サステナビリティに関するリスクと機会を監視・管理するために、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会を中心としたガバナンス体制を構築しております。
サステナビリティ委員会は、環境・社会・ガバナンスといったサステナビリティに関する重要課題への対応方針について議論し、取締役会へ答申を行っております。
また、委員会の下に、それら課題について具体的な検討を進める体制を構築し、持続可能な社会の実現への貢献と当社の持続的成長の実現を推進してまいります。
(2)リスク管理
当社では、サステナビリティ委員会の主導のもと、関連するリスク及び機会を識別、評価し、管理する「リスク管理プロセス」を整備しております。
「リスク管理プロセス」において、サステナビリティに関連するリスクと機会を定期的に検討、その影響を評価し、対策の策定とその実行を監督することでリスクの軽減と機会の最大化を図っております。
これらにより、当社はサステナビリティの課題への戦略的な対応を確保し、持続可能な社会の実現への貢献と当社の持続的成長の実現を推進してまいります。
当社では、短期、中期及び長期にわたり当社の経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連リスクとしては下記のリスクが該当すると認識しております。
①気候変動関連リスク
カーボンプライシング導入をはじめとする気候変動に関する環境規制の強化などが、当社の業績及び財務状況に大きな影響を与える可能性があります。
また、近年、洪水・台風に関する被害が激甚化する傾向にあり、気候変動による災害の増加により、生産量低下、サプライチェーンの混乱などが想定されます。
②人的資本関連リスク
当社では、人材の確保・育成に努めておりますが、これらに関する計画が想定どおりに進まないことで、当社の業績及び財務状況に大きな影響を与える可能性があります。
(3)戦略
当社が、短期、中期及び長期にわたり当社の経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があると判断したサステナビリティ関連リスクの当社への影響及び対処するための取組のうち重要なものは下記のとおりであります。
①気候変動関連リスクの当社への影響及び対処するための取組
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当社への影響 |
当社の取組 |
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2℃シナリオ (注1) |
政策・ 法制度 |
リスク |
カーボンプライシング導入による操業コスト増 |
製造工程の省エネルギー技術開発 クリーンエネルギーの調達 CCUS・DAC技術の導入検討 |
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機会 |
カーボンニュートラル関連製品の需要増に伴うチタン需要の増加 |
チタン製造販売促進 |
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市場と 技術移行 |
リスク |
カーボンニュートラル対応の研究開発、設備投資、操業コストの増加 |
製造工程の省エネルギー技術開発 CCUS・DAC技術の導入検討 |
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機会 |
自動車のEV化、航空機のCFRP化 推進に伴うチタン需要の増加 |
チタン製造販売促進 |
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評判 |
リスク |
カーボンニュートラルへの 取り組み及び情報開示の遅れによる企業の評判悪化 |
適切な情報開示 |
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機会 |
カーボンニュートラルへの積極的 取り組みを開示し企業の評判向上 |
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4℃シナリオ (注2) |
異常気象 |
リスク |
原料調達先の操業停止 サプライチェーンの混乱 |
BCPによるリスク回避 |
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工場操業・出荷停止 |
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機会 |
「国土強靭化」による需要の増加 |
チタン製造販売促進 |
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(参考:用語解説)
・CFRP : Carbon Fiber Reinforced Plastics(炭素繊維強化プラスチック)
・CCUS技術: Carbon Capture, Usage and Storage(二酸化炭素を固定化し貯蔵、活用する)技術
・DAC技術 : Direct Air Capture(二酸化炭素を直接回収する)技術
(注) 1 産業革命以前に比べて気温上昇を2℃以下に抑えるために必要な対策が講じられた場合のシナリオ
2 平均気温が4℃上昇するシナリオ、気候変動に対し必要な対策が講じられない場合の成り行きシナリオ
②人的資本関連リスクの当社への影響及び対処するための取組
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当社への影響 |
当社の取組 |
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人的資本 |
職場安全衛生 環境の整備 |
リスク |
災害発生による社会的信用の 喪失、人材流出 |
コミュニケーションの活性化を通じた安全ルール遵守の職場風土構築 機械設備のリスクアセスメント推進 製造工程の自動化、省力化の推進 |
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機会 |
安全文化の醸成 |
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働き方改革
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リスク |
労働生産性低下や人材流出 |
個々人の尊重、柔軟な働き方支援によるワークライフバランスの実現 製造工程の自動化、省力化の推進 |
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機会 |
従業員エンゲージメント向上 による組織力向上 |
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人材確保・育成 |
リスク |
要員不足、人材ミスマッチによる事業機会の喪失 |
操業を確立/維持するための要員確保 次世代を担うリーダー人材の計画的育成 従業員各層を対象とした育成、活性化施策の展開 |
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機会 |
従業員の活力、エンゲージメント向上による企業価値向上 |
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ダイバーシティ& インクルージョン |
リスク |
人材・属性の偏りによる画一的 発想と新たな事業機会喪失 |
ダイバーシティ推進体制の一層の充実 多様なソースからの採用推進 |
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機会 |
多様な価値観のコラボレーションによる革新的発想の醸成 |
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(4)指標及び目標
当社は、GRIスタンダード、SDGs、ESG評価機関の評価項目、世界のメガトレンドなどを参照し、マテリアリティ(重要課題)の候補テーマを選定したうえで、サステナビリティ委員会において、当社の「サステナビリティ基本方針」を踏まえ、中長期的企業価値向上の観点から各候補テーマの重要度を検討しマテリアリティを特定しております。
特定したマテリアリティのうち、特に重要であると判断したものは以下のマテリアリティであります。
①環境負荷低減への貢献
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指標・目標 |
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指標 |
目標 |
2022年度実績 |
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気候変動の緩和 |
生産プロセスにおけるCO₂削減 |
2030年度 46%削減への挑戦 (2013年度比) 2050年度カーボンニュートラルへの挑戦 |
- |
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再生可能エネルギー によるCO₂削減 |
太陽光発電能力増強 |
岸和田製造所 59MWh |
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先端素材供給による最終製品 使用時のCO₂削減 |
チタン製品によるCO₂削減貢献の定量化と公表 |
チタン製品でPCR認証取得 (日本チタン協会として取組) |
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資源循環対応 |
水のリサイクル率(循環冷却水) |
90%以上を維持 |
96.5% |
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廃棄物の再資源化 |
有価産業廃棄物の販売 |
3,382ton |
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②安全で健康な職場環境の構築
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指標・目標 |
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指標 |
目標 |
2022年度実績 |
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従業員が安心して働ける環境の整備 |
休業度数率、 死亡・重大災害件数 |
休業度数率 0.7以下 死亡・重大災害件数 0件 |
休業度数率 0 (2022年) 死亡・重大災害件数 0件(2022年) |
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安全に関する階層別教育 受講者数 |
- |
109人(2022年) |
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ストレスチェックの実施と 有効活用 |
- |
継続実施中 |
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働き方改革 |
年次有給取得日数 |
10日/人・年以上 |
17.6日/人・年 |
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年間総実労働時間 |
2,000時間未満 |
1,928時間/年・人 |
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3年未満離職率 |
30.0%未満 |
30.4% |
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男性育児休暇取得率向上 |
- |
23.5% |
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③人材育成とダイバーシティの推進
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指標・目標 |
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指標 |
目標 |
2022年度実績 |
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人材育成 |
総研修受講時間 |
- |
4,578時間 |
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ダイバーシティ& インクルージョン |
管理職に占める海外経験を 有する者の比率 |
10.0%以上 |
10.9% |
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管理職に占める中途採用者の 比率 |
20.0%以上 |
41.8% |
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新卒及び総合職中途採用者に 占める女性比率 |
20.0%以上 |
17.2% |
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女性総合職社員に占める 管理職比率 |
2030年度15.0%以上 |
10.0% |
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障がい者雇用率 |
2.3%以上 |
2.8% |
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)需要変動等によるリスク
当社の輸出向け金属チタン(スポンジチタン、インゴット)の主要用途は高品質の航空機用であり、航空機メーカーの受注並びに航空機のメンテナンス需要の変動や海外の金属チタンメーカーの動向により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
国内向け金属チタンの多くも、電力・化学・海水淡水化等プラント物件向けや船舶用のプレート熱交換器向け等の一般産業用として、展伸材メーカーから海外向けに直接または間接的に輸出されております。
そのため、チタン事業全体といたしましても世界経済の変動や多国間の通商問題等の国際的な環境要因により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
また、高機能材料事業につきましてもチタン事業と同様に、世界経済の変動や多国間の通商問題等の国際的な環境要因により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
ロシアのウクライナ侵攻の長期化の影響は、資源・エネルギー価格の高騰やサプライチェーンの再編等多岐にわたると想定しております。
(2)為替変動によるリスク
当社の輸出売上高の殆どが米ドル建てで、輸入原材料の米ドル建てでの仕入や、電力、LNG等の間接的な米ドルでの支払いを含めても、米ドルの受取超過になる傾向にあり、為替の変動により、当社の経営成績に影響をもたらす可能性があります。
(3)電力供給制限及び料金の変動によるリスク
当社の製造工程においては、大量の電力を消費するため、電力の供給に制限があった場合、また電力会社の発電構成の見直しや原油価格の変動等により電力料金の大幅改定があった場合、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
また、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化の影響は、電力供給及び料金にも影響をもたらす可能性があると想定しております。
(4)原料市場の需給変動及び価格変動によるリスク
チタン原料の需給バランスが崩れることにより調達量が制約されたり購入価格が大きく変動する場合、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
(5)自然災害及び感染症等によるリスク
当社の製品は全て自社工場で生産しておりますが、自然災害の発生や感染症の流行等により、経済活動の停滞、当社設備の損傷、従業員の被災、社内クラスターの発生等の事態が生じた場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
前事業年度以前より継続していた新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の抑制に伴う、航空機需要の減少・サプライチェーンでの生産活動の減速等による当社チタン事業への影響は当事業年度をもっておおむね終息したものと判断しております。
(6)重大な生産トラブルによるリスク
当社では、全ての設備の予防保全に努めるとともに設備の安全審査、保安管理体制の強化を図り、その維持及び改善に万全を期しておりますが、万一重大な生産トラブルが発生した場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、設備の調整不足や操業条件の不具合による生産トラブルが発生し所定の生産性や製品品質が確保できない場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)競合会社との競争等によるリスク
チタン事業におきましては、国内外に存在する競合他社との競争激化等により当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
また、ロシアによるウクライナ侵攻による世界的なサプライチェーンの見直しについても、先行きは不透明な状況にあります。
(8)情報の流出によるリスク
当社の保有する技術情報等の重要な機密情報が、不測の事態により外部に流出した場合、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。
(9)財務制限条項への抵触によるリスク
当社の借入金のうち、財務制限条項付融資契約について、財務制限条項に抵触した場合、期限の利益を喪失し当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)固定資産の減損損失の計上によるリスク
将来のキャッシュ・フローの見積りに変動が生じた場合、固定資産の減損が発生し減損損失の計上により当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)繰延税金資産の金額の変動によるリスク
将来の課税所得の予測・仮定に変動が生じた場合、繰延税金資産の金額の変動により当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)気候変動によるリスク
カーボンプライシング導入をはじめとする気候変動に関する環境規制の強化などが、当社の業績及び財務状況に大きな影響を与える可能性があります。
また、近年、洪水・台風に関する被害が激甚化する傾向にあり、気候変動による災害の増加により、生産量低下、サプライチェーンの混乱などが想定されます。
(13)人的資本の確保・育成によるリスク
当社では、人材の確保・育成に努めておりますが、これらに関する計画が想定どおりに進まないことで、当社の業績及び財務状況に大きな影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国及び海外経済は、新型コロナウィルス感染症に対する活動制限が緩和される中、経済活動も正常化に向かいつつあり、緩やかな景気回復基調となりました。しかしながら、ロシアのウクライナ侵攻による地政学リスクの長期化やこれに伴う資源エネルギー価格の高騰、世界規模でのインフレの進行、為替金融動向等、先行きは依然として不透明な状況にあります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社チタン事業におきましては、航空機需要の回復およびチタンのサプライチェーン再編によって、スポンジチタンの需要は急速に強まっております。このような事業環境の中、航空機用途向けが主体である輸出スポンジチタンの売上高は前年同期比で59.9%増となりました。また、一般産業用途向け主体の国内スポンジチタン需要も回復し、前年同期比51.9%増となりました。結果、チタン事業の売上高は39,273百万円(前年同期比57.0%増)となりました。
高機能材料事業では、足下の世界半導体需要は急速に悪化し、先行きは注視が必要な状況となっておりますが、当事業年度においては、スパッタリングターゲット用高純度チタン及び球状チタン合金粉末(合金TILOP)の販売量は引き続き増加、売上高は3,801百万円(前年同期比18.1%増)となりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は、43,074百万円(前年同期比50.9%増)となりました。
損益につきましては、チタン鉱石や電力価格の上昇といった悪化要因はありましたが、チタン事業における販売量の増加、価格是正、稼働率の向上等により、営業利益は4,780百万円(前年同期は1,914百万円の損失)、経常利益は4,723百万円(前年同期は1,719百万円の損失)、当期純利益は4,388百万円(前年同期は3,112百万円の損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末と比べ
3,694百万円減少し、6,971百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益等により741百万円の収入となりました(前事業年度は6,304百万円の収入)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により2,693百万円の支出となりました(前事業年度は1,452百万円の支出)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額等により369百万円の支出となりました(前事業年度は559百万円の支出)。
③生産、受注及び販売の実績
a生産実績
当事業年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
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チタン事業 |
35,521 |
77.5 |
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高機能材料事業 |
3,853 |
21.9 |
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合計 |
39,374 |
69.9 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
b受注実績
当事業年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
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チタン事業 |
44,489 |
65.7 |
12,793 |
68.9 |
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高機能材料事業 |
3,628 |
5.3 |
788 |
△17.9 |
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合計 |
48,118 |
58.9 |
13,582 |
59.1 |
c販売実績
当事業年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
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チタン事業 |
39,273 |
57.0 |
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高機能材料事業 |
3,801 |
18.1 |
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その他 |
- |
△100.0 |
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合計 |
43,074 |
50.9 |
(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
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相手先 |
第25期 |
第26期 |
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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住商メタレックス㈱ |
16,057 |
56.2 |
24,884 |
57.8 |
|
神鋼商事㈱ |
4,429 |
15.5 |
8,554 |
19.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 当社の当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当社チタン事業における航空機需要の回復およびチタンのサプライチェーン再編に起因する、スポンジチタンの需要の急速な強まりや、高機能材料事業における、スパッタリングターゲット用高純度チタン及び球状チタン合金粉末(合金TILOP)の販売量の引き続きの増加等により当事業年度の売上高は、43,074百万円(前年同期比50.9%増)となりました。
(営業利益・経常利益)
チタン鉱石や電力価格の上昇といった悪化要因はありましたが、チタン事業における販売量の増加、価格是正、稼働率の向上等により、営業利益は4,780百万円(前年同期は1,914百万円の損失)、経常利益は4,723百万円(前年同期は1,719百万円の損失)となりました。
(当期純利益)
当期純利益につきましては、上記要因に加え、繰延税金資産を計上したことに伴い法人税等調整額△515百万円(△は益)を計上したことにより4,388百万円(前年同期は3,112百万円の損失)となりました。
(財政状態)
(イ)資産
当事業年度末の総資産の残高は、81,544百万円と前事業年度末と比べ4,957百万円増加いたしました。これは、現金及び預金が減少したものの、売掛金、原材料及び貯蔵品が増加したことが主な要因であります。
(ロ)負債
当事業年度末の負債の残高は、51,070百万円と前事業年度末と比べ992百万円増加いたしました。これは、未払消費税等が減少したものの、買掛金が増加したことが主な要因であります。
(ハ)純資産
当事業年度末の純資産の残高は、30,474百万円と前事業年度末と比べ3,964百万円増加いたしました。これは、当期純利益により利益剰余金が増加したことが主な要因であります。
b セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
<チタン事業>
当社チタン事業におきましては、航空機需要の回復およびチタンのサプライチェーン再編によって、スポンジチタンの需要は急速に強まっております。このような事業環境の中、航空機用途向けが主体である輸出スポンジチタンの売上高は前年同期比で59.9%増となりました。また、一般産業用途向け主体の国内スポンジチタン需要も回復し、前年同期比51.9%増となりました。結果、チタン事業の売上高は39,273百万円(前年同期比57.0%増)となりました。
チタン鉱石や電力価格の上昇といった悪化要因はありましたが、チタン事業における販売量の増加、価格是正、稼働率の向上等により、4,424百万円の利益(前年同期は1,196百万円の損失)となりました。
当事業年度において、製造能力の維持更新を主な目的として2,876百万円の設備投資を実施しております。
<高機能材料事業>
高機能材料事業では、足下の世界半導体需要は急速に悪化し、先行きは注視が必要な状況となっておりますが、当事業年度においては、スパッタリングターゲット用高純度チタン及び球状チタン合金粉末(合金TILOP)の販売量は引き続き増加、売上高は3,801百万円(前年同期比18.1%増)となりました。
セグメント利益は、販売数量の増加等により356百万円の利益(前年同期は939百万円の損失)となりました。
当事業年度において、製造能力の維持更新を主な目的として106百万円の設備投資を実施しております。
※経営方針・経営戦略、経営上の目的を達成するための方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度のキャッシュ・フローの状況は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資金需要については、運転資金に加え製造設備の維持改善や研究開発等を目的とした設備投資等があります。これらの資金需要については、自己資金に加え、金融機関からの調達や、売上債権の流動化等により確保しております。
長期借入金の借り換えも実施しながら、安定資金の確保と財務体質の健全化に向けた取り組みを進めております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要と判断したもの及び、ロシアによるウクライナ侵攻の影響並びに、新型コロナウィルス感染症の影響に関する当社の仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社の研究開発活動は、チタン分野での業界トップクラスの技術開発力をベースに、基礎研究、製品品質の向上、生産性の向上、製造コストの低減に取り組んでおります。
また、高機能材料分野では、チタンやシリコンに関連した新規事業の創出・早期事業化のための開発に注力しております。
当事業年度の研究開発費は
セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。
<チタン事業>
チタン事業では、生産技術開発および基礎研究を加速しております。
具体的には、塩化蒸留工程、電解工程、還元分離工程での生産性向上、製造設備の長寿命化や生産効率改善、品質向上などのための研究開発を進めると同時に、その革新的技術開発を推進しております。
また、大学と共同でチタン製錬に関する基礎研究も継続しております。加えて、AI・IoTの活用範囲を更に拡大すべく、開発および人材育成を加速しております。
なお、当事業年度のチタン事業の研究開発費は
<高機能材料事業>
高機能材料分野では、高純度チタンの品質改善、生産性向上のための研究開発、および、3Dプリンタ用途などを主なターゲットとした球状チタン合金粉末(合金TILOP)の競争力強化に向けた研究開発に注力しております。
また、リチウム二次電池負極材用SiOは、本開発に特化した専門組織において、品質改善、生産性向上のための研究開発を進めており、早期の事業化を目指しております。
更に、新規事業の探索、萌芽促進の活動について全社を牽引する専門組織を拡充しております。
なお、当事業年度の高機能材料事業の研究開発費は