文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「わたしたちは、たゆみない努力で健康を願うすべての人々に新たな価値を創造し、豊かな社会づくりに貢献」することを経営理念に掲げ、自社のモノづくりの強みを生かし、世界に広がる販路を活用することで、グローバルヘルスケアトップ企業の一角として世界中の健康を願う皆さまのお役に立ち続ける企業を目指しております。
また、「グローバルの診断・ライフサイエンス、日本のヘルスケアサービスにおいて、ベストインクラスのプレシジョンとデジタルソリューションを提供するリーダーとなる」をビジョンとして設定しており、「糖尿病マネジメント」、「ヘルスケアソリューション」、「診断・ライフサイエンス」の3つのドメイン間でバランスのとれた収益構造を目指してまいります。
(2)経営環境
新型コロナウイルス感染症は、国内では感染症法上の2類相当から5類への位置付けの移行等も踏まえ、経済活動の制限の緩和が進められており、世界的にもワクチン接種の拡大等により収束傾向にあると考えられます。一方で、米中の通商問題の動向、ウクライナ情勢による影響等、世界経済の景気の不確実性は依然として残っております。刻一刻と変化するこれらの状況に対し、柔軟かつ迅速な対応を図ってまいります。
当社グループを取り巻くグローバルなヘルスケアビジネスにおける環境は、先進国で進行する少子高齢化と世界的な生活習慣病の増加やがん患者の増加、それらに対する様々な技術革新が行われています。その一方で各種医療基準・規制の強化に加え行政の医療費削減の動きが見られます。糖尿病マネジメントに関して、血糖値測定(Blood Glucose Monitoring(以下、「BGM」))システム事業の市場規模は、先進国市場における保険償還額の見直しや持続血糖値測定器(Continuous Glucose Monitoring(以下、「CGM」))の普及拡大等により、2022年では55億米ドル超となり今後3年間の年平均成長率は4%程度の縮小傾向と見込んでおります。一方、新興国市場では糖尿病患者数の増加等により市場規模は成長しております。ヘルスケアソリューションについては、日本の受託臨床検査市場では診療報酬改定を背景とした受託単価の下落影響はあるものの、それを上回る外部委託検査の需要があるのが近年の基本的な市場構造と考えております。競争環境は激化している中でも、医療及び健診需要の安定増加、新型コロナウイルスも含めた各種感染症検査、個別化医療進展に伴う遺伝子検査等もあり市場規模としては、増加傾向にあります。日本における電子カルテシステムの普及は未だ途上にあり、今後も新規開業時の導入や既存開業医においてもレセプトコンピュータ更新時に電子カルテシステムの導入が進むことが予想されます。直近では、2022年の医療制度改定等を後押しとした、病院やクリニック及び薬局におけるオンライン資格確認システム導入の2023年4月の原則義務化(2023年9月末まで経過措置が適用)や、2023年1月からの電子処方箋の運用開始等、医療分野でのデジタル化の動きが加速しております。また、「導入コストの削減」「システム運用・管理費用・人員の削減」「災害時対策」等を訴求点にクラウド型電子カルテが注目されており、導入が進む可能性があります。診断・ライフサイエンスにおいては、病理市場は、がんの発病や検査の増加及び個別化医療の進展によるがんの診断数の増加傾向等を背景に、デジタルパソロジーや人工知能(AI)を駆使した先進的な技術の活用も進んでいます。ライフサイエンス向け研究・医療支援機器関連の市場は、米国や欧州、中国等を中心に、再生医療・細胞治療に関する研究や臨床応用が活発ですが、細胞を用いた創薬についても積極的に進められており、近年、世界的に再生医療領域への投資が加速していることから、今後も世界市場の規模拡大が見込まれています。その様な環境の中、当社グループは、これまで培った高品質・高性能なモノづくりとデジタルソリューションによる顧客基点のイノベーションを強みとし、事業推進に取り組んでまいります。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、「グローバルの診断・ライフサイエンス、日本のヘルスケアサービスにおいて、ベストインクラスのプレシジョンとデジタルソリューションを提供するリーダーとなる」をビジョンとして掲げ、グローバルヘルスケアトップ企業の一角を目指しております。それらの到達を具現化するためには事業規模を拡大し収益性を向上させることが経営上重要であると認識し、売上収益、営業利益、(調整後)EBITDA及び(調整後)親会社の所有者に帰属する当期利益を重要な経営指標として位置づけ、事業の進捗とそれらの充足状況を分析し経営課題に対処していく方針です。なお、(調整後)EBITDAについては、①営業利益をベースとした指標であり、事業の収益性を示す指標であること、②事業の収益性を評価する指標としてグローバルに活用されている指標であること、③キャッシュ創出力を示す指標の1つであり、成長に向けた投資余力を示す指標であることから、当社グループにおける重要な経営指標の1つとして位置付けております。(調整後)EBITDA及び(調整後)親会社の所有者に帰属する当期利益の算定方法については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① グローバル規模での中長期の成長を支える社内体制の構築・強化
当社グループは、2016年のBayer AG社の糖尿病ケア事業の買収、2019年のThermo Fisher Scientific Inc.からの病理事業の買収及び株式会社生命科学インスティテュート(現三菱ケミカルグループ株式会社のグループ会社)からのLSIMの買収を経て、事業基盤の強化、事業拡大を進めております。一方で、急激な拡大に伴い海外子会社、従業員数等も増大しているため、グローバルでのグループガバナンスの向上、内部統制に係る体制の強化、各国での法令順守の徹底に向けた社内体制の構築・強化に努めてまいります。
② 事業及び収益基盤の拡大
当社グループは、顧客ニーズや技術革新の変化・進展が目覚しいヘルスケア業界の中で、「グローバルの診断・ライフサイエンス、日本のヘルスケアサービスにおいて、ベストインクラスのプレシジョンとデジタルソリューションを提供するリーダーとなる」ことを目指し、「糖尿病マネジメント」、「ヘルスケアソリューション」、「診断・ライフサイエンス」の3つの事業ドメイン間でのバランスの取れた成長を図るために、常に新たな事業成長・収益基盤の拡大・確立の機会を探し求めております。
当社グループは、2022年11月に中期経営計画「Value Creation Plan」の改定を実施し、2022年度~2025年度の中期経営計画を策定しました。
中期経営戦略として、下記のとおり、基盤となる3つの既存事業の更なる強化と、事業間シナジーを追求した3つの成長領域に取り組み、新たな顧客や市場を拡大していきます。
■ 基盤領域
<糖尿病マネジメント>
・血糖値測定システム (BGM)における成長セグメントの強化。
<ヘルスケアソリューション>
・デジタルヘルス領域におけるサービスのクラウド化や政策関連需要の取込み。検査サービス及び小型測定機器事業における、がん・遺伝子検査等の充実による、グローバル治験やPOCTの展開強化。
<診断・ライフサイエンス>
・省エネ性能とIoT化を追求したライフサイエンス機器の新製品開発、及び開発・製造のグローバルオペレーションの最適化。
・病理検査用機器のシェア拡大と、地域・セグメント別の販売チャネルの強化。
■ 成長領域
<個別化検査・診断ソリューション>
・持続血糖測定システム(CGM)拡販とPOCTの開発を強化。
<デジタルヘルスソリューション>
・事業間シナジーを通じた、従業員の健康・予防医療を支援する健康経営の充実、遠隔医療事務代行サービスによる医師向けソリューションの展開。医療ビックデータを統合・分析による、医療費低減・治療効率の向上に貢献。
<先端治療開発ソリューション>
・事業相互の製薬顧客ネットワークをフル活用した、グローバルでの拡販。細胞代謝分析装置や病理検査用機器の製品ライナップの拡充による、将来的な病院向けの高品質・高速モデの展開。
③ 借入金の返済について
当社の借入金は、過去に行ったM&A等により総資産の過半を占める水準となっておりますが、今後見込まれるフリー・キャッシュ・フローにより返済可能な水準であると考えております。当連結会計年度におきましては、新規調達は行わず、手元資金を活用して事業投資や設備増強、及び借入金の返済等を実施いたしました。引き続き事業における資金需要に鑑みつつ、早期の財務体質強化に努めてまいります。
④ PHCグループとしての認知度の向上
当社グループは、2014年にパナソニックグループよりカーブアウトし、2018年4月にはグループのコーポレートブランドを「PHC」に変更しております。各事業はそれぞれに長い歴史を持ち、長年お客様に親しまれてきた事業・製品ブランドを有しておりますが、2021年10月の東京証券取引所市場第一部(現在、東京証券取引所プライム市場)への上場を機に、今後はグループとしての認知度を更に高めるべく、各事業・製品ブランドの強化に努め、併せて様々な媒体を通じたIR・広報活動を行うことで、投資家をはじめとするあらゆるステークホルダーの皆様に対してPHCグループの認知度をグローバルに向上させるよう努めてまいります。
当社は、「わたしたちは、たゆみない努力で、健康を願うすべての人々に新たな価値を創造し、豊かな社会づくりに貢献する」という経営理念を掲げ、日々の企業活動を行っています。この経営理念を礎として、グローバル社会の「持続可能な開発目標(SDGs)」達成を目指し、糖尿病マネジメント、診断・ライフサイエンス及びヘルスケアソリューション事業を通じた様々な取り組みを推進しています。当社は、変化する社会情勢や環境変化を迅速に捉え、積極的に社会課題の解決に取り組むことで、持続可能な社会とより良い医療の実現に貢献してまいります。現在、PHC株式会社を中心に、以下5つのテーマについて活動を推進しております。
・環境・健康・人権尊重と多様性・社会貢献・ガバナンス
具体的な取り組みについては、PHC株式会社のホームページにて公表していますので、ご参照ください。
https://www.phchd.com/jp/phc/corporate/sdgs
現在当社代表取締役社長をトップとするESGプロジェクトを発足しています。プロジェクトメンバーは各事業部及び本社部門からグローバルに選出し、グループ全体のサステナビリティに関する方針の策定を進めております。具体的には社内外の関係者より当社における重要課題(マテリアリティ)特定のためのヒアリングを行い、社内研修やワークショップを通じ、そのデータ分析及び重要課題策定のための議論を行っております。今後更なる議論を重ねてマテリアリティ、KPI及び定量的な目標値を設定していきます。決定した事項についてはウェブサイト等で公表し、当社の持続的成長に向け取り組みを推進してまいります。
<グループ人財戦略と基本方針>
グローバルヘルスケア企業として互いの多様性を尊重し、連携しやすい環境と透明性高くコミュニケーションする活力ある組織・文化を目指しています。そのための活動方針として「多様性の尊重」「連携の基盤づくり」「人財の活性化」を3つの柱と掲げました。ダイバーシティ・インクルージョンを推進し、多様な人財の登用と活用、国内外及び異なる事業部間の人財交流、グローバル採用の強化等を行い、シナジーを発揮できる組織を目指します。また、社員が自律的に活躍し、多様な人財が連携する基盤としてグローバル人事システムの導入を進めています。更には、個人が変化に適応しチャレンジ・成長できる場を提供するため、従業員の主体的な学びを支援する環境の整備や、エンゲージメントを高める活動をしつつ、働きがいの創出、人財の活性化に取り組んで参ります。
<グループ人財戦略の社内環境整備方針>
「多様性の尊重」
・事業間で協業することでシナジーを起こし新たな価値を生みだせる人財を育成するために、国内外及び法人間・事業部間での人財交流を実施しています。
・グローバルに採用を強化し、多様な能力や経験をもつ人財が活躍できる環境をより充実していきます。
「連携の基盤づくり」
・グローバル人事システム導入により、人事データベースを統合することで国や事業を跨いだ人財の連携や、PHCグループの次世代幹部の育成をシームレスに実現できる体制を構築します。
「人財の活性化」
・グループ統一のエンゲージメントサーベイを実施し、組織と従業員の透明性あるコミュニケーションを活性化し、働きがいを高める取組を行います。
・キャリア構築を自ら行う自律的な人財を育成することで、個々人の成長を支えています。
・個人のチャレンジ・成長を支援するため、主体的に学ぶ環境を整備し、能力開発の機会を提供します。
当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。また、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるリスクを全て網羅的に記載したものではありません。
(1)経済環境について
当社グループは、世界125以上の国と地域において事業活動を展開しております。当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国や地域の経済状況の影響を受けます。当社グループの主要な市場における経済成長の減速、為替やクレジット市場におけるボラティリティ、失業率の増加、設備投資の水準の減退、各種政策の変更等により、当社グループの事業及び当社グループの顧客や取引先に悪影響を及ぼす可能性があります。世界の市場における景気後退等及びこれに伴う需要の減少により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうした経済環境に係る情報収集に努め、同時にコスト削減・業務効率の向上を図り、グローバルな事業基盤をさらに強化することによって、より強い収益体制の構築を目指してまいります。
(2)市場動向について
当社グループの属する業界は、各国の医療制度に密接に関連しております。国内外で、医療費抑制や、医療の質の向上を目的とした、医療制度改革が継続して進められており、これらの改革や新たな医療・技術の開発等の要因により、技術革新や費用対効果の高い製品・ソリューションの提供に対する需要が高まる可能性があります。当社グループは各事業分野の動向を注視しており、社内の研究開発活動だけでなく、相乗効果のある買収や提携を通じて、顧客のニーズに応えようとしていますが、今後の市場環境の変化に対応できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの診断・ライフサイエンスドメインの主要顧客である大学、官公庁、企業の研究機関における研究開発費は、経済状況によって変動する可能性があります。これらの顧客の多くは国や政府からの資金調達に依存しておりますが、国が支出する研究開発費のレベルは予算の優先順位や経済状況の変化の影響を受けるため、事前に予想しにくいという問題もあります。経済状況や国の支出削減政策は、国による研究開発費の支出に影響を及ぼす可能性があり、国から支出される資金の削減若しくは遅延により、顧客は当社グループ製品の購入を延期する、又は購入を見送る可能性があることから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これら業界の動向や国家予算の動向等について、積極的に情報収集を行う取り組みを推進してまいります。
(3)顧客動向/嗜好について
顧客を取り巻く事業環境や社会環境の変化、新技術の登場等により、顧客の需要は変化し続けることが予想されます。当社グループの糖尿病マネジメントドメインのユーザーである糖尿病患者からは、毎日使用する血糖値センサの測定精度の高さや価格の低さに加え、一度の装着でより長期間連続した測定が可能で、より痛みや出血の少ない低侵襲なセンサへのニーズが高まっております。当社グループのヘルスケアソリューションドメインの顧客である医療機関では、セキュリティやコスト等の観点から、クラウド型電子カルテ等への要望が高まりつつあります。また、当社グループの診断・ライフサイエンスドメインの顧客からは、従来製品に要求されていた正確性や安全性に加え、近年では、デジタル化された解析やワークフローの管理ツールの利用促進による顧客の業務フローの効率化・省力化や、環境負荷低減への配慮が求められるようになりました。当社グループはこのような顧客ニーズへの対応に取り組んでおりますが、顧客ニーズの変化に伴い当社グループが提供する製品・サービスの需要が低下する場合や、需要の変化への対応に必要な製品・サービス内容等の変更や新規製品・サービスの開発等が成功せず、顧客の要求水準や要求内容に見合う製品・サービスを提供できない場合、また、当社グループが顧客の需要の変化を適切に把握できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。今後も、一層の営業・マーケティング力の強化を図り、顧客動向やお客様のニーズの把握に注力し、より良い製品・サービスの提供に努めてまいります。
(4)競合他社について
当社グループは、世界各地で、広範多岐に渡る製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、様々なタイプの企業と競合しています。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも、優れた技術力、製品ラインナップを含めたマーケティング資源、多様なビジネスモデル、強固な財務基盤等を有している可能性があり、当社グループの製品は、それぞれ、特徴・品質・価格・サービスその他の点で競争にさらされております。また、当社グループが関わる医療技術産業は、技術の変化や開発のスピードが速く、競合他社による製品・プロセス・技術の新規開発や改良は、当社グループ製品の競争力をしのぐ可能性があります。さらに、新興国での事業においては、低コスト製造による低価格製品を実現した企業により、当社グループ製品のシェアが奪われる可能性もあります。当社グループは、常に競合他社の動向に注意を払い情報収集に努めるとともに、当社グループの製品・サービスの強みを活かした革新的な技術開発・商品開発の努力を継続して、競争力強化を図っておりますが、競合他社に対して十分な競争力を確保できない場合には、当社グループの売上が減少する可能性があり、その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)医療費抑制政策に伴う価格変動リスクについて
当社グループが販売する製品には、世界的な傾向となっている医療費抑制政策を受け、定期的に償還価格の引き下げの影響を受ける製品があります。日本においては概ね2年に一度、診療報酬、薬価及び特定保険材料の公定償還価格の改定が行われておりますが、国民皆保険制度の維持を目的とした取り組みの一環として、2022年3月期から薬価が毎年改定されており、今後、当社のBGMシステムを含む特定の製品の価格にも毎年の改定が拡大された場合、より頻繁に価格の引き下げが生じる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の検査に係る保険収載価格の見直しについて、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けの見直し等も踏まえ、通常の診療報酬改定時(直近では2022年4月1日)ではない時期に政府方針を踏まえて臨時的に引き下げが行われる可能性があります。米国においては、医療保険制度の改革により償還圧力が強まる中で低コスト化が顕著になっています。当社グループの主力製品であるBGMのセンサについては、過去にも米国における公的医療保険制度である「メディケア」の償還価格が大幅に引き下げられた経緯もあり、医療費抑制政策に伴う販売価格の変動を受けやすい製品になります。販売価格の変動の影響を限定するため、各国の事情に合わせて、保険でカバーされない自費購入者向けの販路拡大等にも努めておりますが、このような価格変動リスクは、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)海外事業展開について
当社グループは世界各地に製品を供給しており、地政学上及び経済動向の不確実性、国家間や地域内での戦争・紛争・テロ、宗教や文化の相違、現地における労使関係、疫病の発生・蔓延等による社会的混乱等のリスクに直面する可能性があります。また、取引先との関係構築・拡大等の点で、海外での商習慣に関する障害に直面する可能性があります。さらに、各国税制、契約慣習・慣行、知的財産保護制度、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、といった様々な政治的、法的あるいはその他の障害が生じる可能性があります。また、当社グループはグローバルに関係会社を有しており、関係会社管理の観点から法令順守・コンプライアンスを中心にグループとしての適切な管理に努めておりますが、関係会社において問題が発生した場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。輸出製品については、関税その他の障壁、あるいは輸送費用により、当社グループ製品の競争力が弱まる可能性があります。当社グループは、税率が日本よりも低い国でも事業展開しているため、当社グループ全体の実効税率は日本の実効税率よりも低くなっていますが、各国の税制又は税率の変更等が生じた場合は、その税負担軽減を享受できなくなり当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。新興国における国産品奨励政策による非関税障壁に対しては、現地生産化による対応を推進する等の他、今後も引き続き、自由貿易協定を最大限、積極的に活用していくとともに、上記の様々なリスクを総合的に勘案して、グローバルに最適な調達・生産・流通体制を構築していくよう検討を継続してまいりますが、このような試みが成功しない可能性があります。なお、今般のロシア・ウクライナ情勢に関連して、ロシアにおける販売の影響を受けるのは主に糖尿病マネジメントと診断・ライフサイエンスの事業ドメインとなります。現時点で当社グループ全体の売上に与える影響は軽微ですが、今後の動向次第では影響が拡大する可能性があります。
(7)中期経営計画について
当社グループが策定した中期経営計画では、基盤となる3つの既存事業の更なる強化と、事業間シナジーを追求した3つの成長領域に取り組み、新たな顧客や市場を拡大していく方針であり、新規顧客開拓、新製品投入により主力製品のシェア拡大を通じた成長加速と継続的なコスト削減策による収益性の向上、事業提携・M&Aによる非連続戦略により、3つの事業ドメインでの成長と利益率向上を目指しております。
この中期経営計画を策定するにあたり設定した多数の前提が想定通りにならない場合等には、当該計画における目標を達成できない可能性もあります。さらに、当社グループが正確に認識又は分析していない要因又は効果により、計画の施策がかえって当社グループの競争力を阻害する可能性もあります。
また、他社との競合状況が想定以上に厳しく成長の前提としたシェア拡大が図れないリスク、人員計画通り優秀な従業員を確保できないリスク、成長戦略、顧客戦略、商品戦略、コスト削減戦略等の諸施策が奏功しないリスク、新しい技術革新や顧客嗜好の変化に対応できない、又は対応に多額のコストを要するリスク、その他の想定していない事象の発生等、多数のリスク要因が内在しているため、目標を達成できない可能性、実施が困難になる可能性、施策自体が当社グループにとって有効ではなくなる可能性があります。
これらの結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)BGMシステム事業への利益依存について
2023年3月期におけるセグメント利益の合計(内部取引消去前)は35,501百万円となっておりますが、そのうち糖尿病マネジメントのセグメント利益は26,737百万円となっております。
当社グループとしては、BGMについては、市場規模が拡大している中国等の新興国市場での売上拡大と、市場規模が縮小している先進国市場でのシェア拡大を目指すとともに、CGMシステム製品の投入により糖尿病マネジメントセグメントの売上・利益を確保していく計画です。しかしながら、今後、BGMの販売における新興国市場での売上拡大及び先進国市場でのシェア拡大や、CGMシステム製品の展開が計画通りに進まない場合には、当社グループの利益減少に繋がる可能性があります。
加えて、診断・ライフサイエンスドメイン、ヘルスケアソリューションドメインの事業強化を推進し、3つのドメイン間でバランスのとれた収益構造を目指してまいりますが、新製品開発が計画通りに進捗しないリスクや競合他社の競争が想定以上に激しく各事業の強化が計画通りに進まないことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)為替リスクについて
当社グループの2023年3月期の地域別売上収益は、日本42.3%、欧州25.5%、北米21.0%、その他11.2%となっており、外貨建てで取引されている製品・サービスは、当社グループ売上の過半を占めており、その価格及びコストは、為替相場の変動により影響を受けるため、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループでは、連結財務諸表作成にあたり各地域における現地通貨建て財務諸表を円換算しています。従って、為替レートに変動があれば、換算に適用するレートが変動し、円換算後の連結ベースでの損益や資産等に影響を受けることになります。当社グループは海外工場への生産移管、海外からの原材料調達等の構造的対応を図ると共に、売上規模と販売地域に応じた為替ヘッジ取引を行っております。しかしながら、想定外の変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)生産・製造について
当社グループは、製品・サービスを世界各地に供給しており、市場への製品の安定供給に努めております。生産や製造に必要な金型・設備・ライン等は、それぞれの生産や製造に適合するように調整されており、適宜メンテナンスが必要です。当社は「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり、定期的なメンテナンスはもちろん、生産・製造技術の革新に常に取り組んでおりますが、新たな生産・製造技術に対する生産設備等に係る投資が発生した場合、当該投資に伴うコストの増加は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、設備の老朽化等により、既存の金型・設備・ライン等の使用に支障をきたした場合、当社グループへの材料及び製品の供給が一時的に滞るおそれがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)人員確保について
当社グループの製品開発・製造の中核子会社であるPHC株式会社の従業員の平均年齢は47.6歳(2023年3月期末時点)となっており、今後、想定通りに従業員の採用が進まない場合、又は、想定通りに現状よりも少人数でのオペレーション体制への移行が進まない場合には、生産技術の承継に支障をきたす可能性、また、生産、販売、本社の主要部門において労働力不足が生じる可能性があります。また、当社グループの事業は、経営陣の経験及びリーダーシップ並びにその他の重要な役員・従業員による貢献に支えられています。これらの重要な人材を喪失した場合や新たに獲得できなかった場合等には当社グループの事業に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループが必要とする優秀な人材については獲得競争が激しく、当社グループは優秀な人材の採用・育成・維持のために投資を行う必要があります。今後も、優秀な人材の採用に向けて、積極的に当社グループの魅力をアピール等してまいりますし、定年再雇用制度等を活用し、特殊な知識・経験を有する方に引き続き当社グループに従事頂くことにより、各職能のグループ全体のパフォーマンスの維持・向上や後継者の育成を図ってまいりますが、優秀な人材を計画通り確保できない場合や生産技術承継への支障又は労働力不足が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)調達について
当社グループの調達は、部材及び委託において、適時・適量を考慮した発注体制を構築しております。当社グループは、サプライチェーンリスクを考慮し、可能な限り複数の調達先ソースを設定検討しますが、一部については、調達品質の特殊性や合理性から、代替設定等には、変化点管理の重要性から、設定にかなりの時間を要するものも存在します。調達における支障は、想定を超えた事案(感染症影響・メーカー側でのフォースマジュール事案・民事再生・破産等)により、当社の事業に影響が生じた場合、手配を継続成立させるための必要人員工数や費用、また、各取引企業様との共存共栄を考慮した結果による費用が一時的に増加し、また、変更に伴う許認可の再取得のための費用負担増加が発生する可能性があります。また、市況相場の変動に伴い、当社事業の継続を目的のため、調達手配コストを見直す必要性から、原価上昇がやむを得ない判断となる可能性はあります。
(13)物流業務等の外部委託について
当社グループは、物流業務の効率化及び流通在庫の適正化を目的として、糖尿病マネジメントドメインの製品のうち、ADCグループによって販売される製品の物流業務等を、RR Donnelley社及びDHL社に外部委託しております。ADCグループによって販売される当社グループの製品の大半は、日本国内で生産された後、RR Donnelley社の米国、メキシコ及びポーランドの3箇所の配送センターに集約のうえ世界各国の法規制等に応じて外装梱包され、DHL社の物流施設を通じて販売先へ出荷されます。予期せぬ災害や事故等の不可抗力、その他外部委託業者の業務の継続が困難になる事象等、何らかの理由により外部委託業者からのサービスの提供の中断・停止が生じた場合、外部委託業者の業務上の過誤により当社グループの評判が低下したり法令順守上の問題が生じたりする場合、又は外部委託業者との基本契約が変更され、当社グループの業務運営上何らかの影響が生じ、かつ当社グループがこれに適切な対応ができない場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)品質について
当社グループが供給する製品には高い信頼性が要求されるため、当社グループは、設計、開発、製造段階で、万全の品質管理体制の下、製品の品質保証に取り組んでおります。また当社グループでは、体外診断用医薬品及び医療機器の製造も行っており、品質マネジメントシステムである国際規格ISOの基準等に基づいて、厳格な品質管理の下で製品の製造をしています。このように当社グループは、製品の安全性の確保について全力を挙げて取り組んでおりますが、万が一製品に品質問題が発生した場合には、当社グループの事業に必要となる許認可等の取り消しやその更新の遅れ等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、事故等の発生に当社製品が直接関与していないことが明らかであっても、将来的に当社製品にリスクが波及する可能性がある場合、予防的な対策、措置を講じることがあります。そのような場合には、売上の低下、又はコスト増等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、使用時の偶発的な不具合や副作用等により、他者に損害を与え、賠償責任を請求されるリスクがあります。これらのリスクに対応すべく、賠償責任や製造物責任についての保険契約を締結しておりますが、万が一保険範囲を超える請求を受けてそれが認められた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)研究開発について
当社グループが事業展開するヘルスケア分野は、法的規制や許認可等により、研究開発から製品を上市するまでの期間が長く、臨床・治験を経て製品化されるものも多くあります。そのため当社グループでは、中長期の開発戦略を策定し、それに基づいて新技術や新製品、生産プロセス改革等に必要な研究開発投資や設備投資を行っておりますが、上市までの期間が長いために研究開発の途上で環境の変化等の理由により、方針を変更若しくは研究開発そのものを断念する可能性があり、その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、顧客ニーズや価値観が多様化し、有望市場として新規参入を試みる企業が多い市場でもあり、当社グループが開発した製品について、想定した売上等の効果が得られない可能性があります。さらに、競合他社が投入した新技術・新製品開発によって、当社グループが製品化した新技術・新製品が予期せぬ陳腐化を起こし、結果として需要が減少する可能性があります。当社グループでは顧客ニーズの把握に努めておりますが、当社グループが常に顧客の求めるニーズに適切に応えられる製品を提供し続けられる保証はなく、また提供できる価格、数量、時期に関しても、常に顧客の要請に完全に応えられる保証はありません。顧客ニーズの多様化、新規参入の動向、競合他社による新技術・新製品の導入により、当社グループが顧客ニーズに応えられる製品を提供できなくなった場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)研究開発にかかわる人材確保・育成について
当社グループの事業においては、研究開発や新製品の開発を担う専門性を有した優秀な研究者やエンジニアを確保・育成すると同時に、開発・生産に携わる優秀な従業員を各地で確保・育成する必要があります。しかしながら、優秀な従業員を確保・育成できない場合、当社グループの事業に影響が生じる可能性があります。また、これらの人材が当社グループの競合他社に転職する場合、当該競合他社の競争力を向上させ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)技術革新について
当社グループが事業展開する分野は、今後の有望市場として他分野からも多くの企業が自社技術の同分野への転用を検討しており、非連続的な技術革新が起こる可能性があるとともに、既存の競合他社においても常に技術優位性を維持若しくは確保すべく、積極的な研究開発がなされている分野となっております。
当社グループとしましても、顧客ニーズに応えるべく自社の有する技術等を常により良いものにすべく技術開発に努めており、今後も、当社グループ自身による研究開発だけでなく、優れた技術を持つ他社との事業提携や買収等も視野に、技術革新の動向について注視してまいりますが、当社グループの製品を不要とする医療技術そのものの発展や、当社グループが有する技術的優位性を根底から覆す技術革新がなされた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18)有利子負債について
当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結しており、2023年3月期末時点における総資産に占める借入金の割合は約52%となっております。当該契約には財務制限条項が付されており、これに抵触した場合、貸付人の請求があれば同契約上の期限の利益を失い、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、当該契約における金利上昇リスクと財務制限条項への抵触による期限の利益喪失リスクに対応するため、主に以下の取り組みを実施しております。
・経営管理 … 当社グループは、事業の安定性維持と持続的成長のため、売上収益、営業利益、(調整後)EBITDA、(調整後)親会社の所有者に帰属する当期利益、及びそれらの成長率を重要な経営指標とし、具体的数値を目標設定した上で定点観測することにより、経営管理を行っていく方向です。
・資金管理 … 当社グループは、原則として事業から生じる営業キャッシュ・フローをベースに借入金の返済を見込んだ上で、投資の計画を策定しております。投資及び財務キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローの範囲内となるよう管理し、レバレッジの改善と手許資金の増加確保に努めます。また、当社グループ内の資金残高を随時確認すると共に、資金繰り見通しについても定期的に更新することで常時動向を把握しております。なお、当社グループの資金調達は原則として、当社財務部門が一括して行っております。
・金融機関との交渉 … 金融機関とは、経済環境や当社グループの事業の進捗状況を共有した上で、金利条件の改善、並びに、財務制限条項の縮小につき、随時交渉しております。また、グロス・レバレッジ・レシオの基準値に応じた金利スプレッドの低減等を契約に定めております。
しかしながら、かかる取り組みが成功しない可能性があり、また、事業活動により得た資金の相当な部分を負債の返済に充てる結果、研究開発や設備投資に使用できる資金や配当原資が減少する等の可能性があります。
(19)固定資産、のれんの減損について
過去のパナソニックからのカーブアウトとその後のM&Aにより、当社の連結財務諸表に計上されている無形資産及びのれんは2023年3月期末時点において総資産の52%を占めております。当社の連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しており、のれんは非償却資産であります。当社グループでは毎連結会計年度及び減損の兆候がみられる場合に減損テストを実施しており、当該のれんを含む資産グループから得られる将来のキャッシュ・フローの大幅な減少や事業環境等の重大な変化等は、減損に繋がる可能性があります。また、当社グループを取り巻く事業収益性の悪化等により、のれん等の資産価値が減損した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表に関する注記事項 11.のれん及び無形資産」をご覧ください。
(20)株価リスクについて
当社グループは業務上の関係を有する企業の転換権付貸付金を保有しており、当該貸付金は株価等の基礎データに基づき公正価値を測定されていることから、株価変動リスクにさらされております。また、当社グループが保有する投資株式についても、同様に株価変動リスクにさらされております。なお、前述の転換権付貸付金は、2023 年4月1日に同一発行企業の新株予約権に交換されております。当該新株予約権は株価等の基礎データに基づき公正価値が測定されるため、当該新株予約権についても、同様に株価変動リスクにさらされております。
業務上の関係を有する企業の株式や保有する投資株式の価格変動は、当社グループの財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(21)企業買収及び事業提携リスクについて
当社グループは、事業の拡大・成長に向けた手段のひとつとして、企業買収や事業提携を実施することがありますが、企業買収及び事業提携の適切な機会を見出せない、又は競合的な買収による場合を含め対象先との間で企業買収等に係る条件に合意できない場合には、当社グループの事業拡大に影響を及ぼす可能性があります。
また、企業買収においては、当該企業の経営状況、事業内容、財務内容、法令順守や契約関係等について詳細な事前調査を行い、リスクを吟味した上で決定してまいりますが、事前調査にて検出されなかった問題が生じた場合や買収後の統合作業において当初見積もっていた以上の経営資源の集中や期間を要する必要性が生じた場合、買収時点では予期していなかった事業環境の変化や買収時ののれん等の減損処理を行う必要が生じた場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
事業提携に関しても同様に、想定していたシナジーや業績を実現できない場合、事業環境の変化等を要因として提携事業を解消せざるを得ず、事業提携解消や事業撤退に際して費用等が発生する場合等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、Senseonics Holdings, Inc.との提携によるCGMシステム製品の展開については、競合他社との競争の激化や、製品の販売に係る米国食品医薬品局(FDA)への承認申請の手続の遅延等により、計画通りに事業展開が進まない可能性があります。
また、企業買収や事業提携を通じて複数の新規事業を自社の事業と統合することは、経営陣の多大な注意と資源を必要とする複雑なプロセスであり、統合が効果的に実施されない場合には、既存事業の業績にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(22)内部統制に係るリスク
当社グループは、財務報告の適正性と信頼性を確保するための体制を整備し、運用するとともに、継続的な改善を図っています。しかしながら、有効な内部統制システムを構築している状況においても、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動等、様々な要因により内部統制システムが機能しなくなる可能性があります。このような事象に適切に対処できない場合、将来的に法令違反等の問題が発生する可能性があり、また当社グループの社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じる、あるいは行政処分による課徴金や刑事訴訟による罰金、民事訴訟による損害賠償金等の支払いが生じることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、業務の有効性と効率性を確保するための体制についても、整備・運用をしており、継続的な改善を図っております。しかしながら、内部統制システム構築時点では想定していなかった事業・社会環境等の変化、また、こうした変化によるシステムの無効化に対して、社内の組織・機能が適切に対応できない等、様々な要因によりシステムが機能しなくなる可能性があります。このような事象に適切に対処できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(23)情報漏えいリスクについて
当社グループでは、事業を行うにあたり、顧客情報等の個人情報や自社製品開発に関する機密情報を多数扱っております。これらを適切に保護、管理するために、各種規程の整備及び定期的な社員教育を実施するとともに、情報システムに様々なセキュリティ対策を施して構築・運用しております。しかしながら、これらの情報に対する外部からの不正アクセス等の攻撃、社内管理体制の瑕疵、当社グループ従業員による故意又は過失、コンピュータウイルス等による情報漏えいが発生した場合、当社グループの社会的信用の低下、対応費用の発生、当社グループへの損害賠償請求等が発生する可能性があり、その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、個人情報や機密情報の保護に関する法令等が改正される場合には、これらに対応するためにシステムの改修等に費用が発生することも予想され、その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(24)情報システムリスクについて
当社グループは、製造工程やサプライチェーンの管理、商品の受発注、経営管理等に関するシステム等、事業全般にわたり、情報システムを整備し、そのシステムに基づいて事業を運営しております。そのため、これらのシステムの安全性や信頼性、効率化・能力向上は当社グループの事業展開において重要なものですが、これらのシステムの設計・運営については第三者に依拠しており、これらのシステムが効率的に稼動しない場合や、サイバー攻撃等でシステムのセキュリティが確保できない場合、災害・事故、ハードウェア・ソフトウェアの欠陥等によるシステム障害に陥った場合等により継続的かつ安定的にシステムが運営できない可能性があります。また、最近ではランサムウェア攻撃等のサイバーセキュリティ上の脅威が全般的に増加しています。そのような事態に備えて、各種重要システムの複製を距離の離れたデータセンターに保有しており、災害を含めた不測の事態の際には、そちらに切り替えた業務継続を可能としていますが、継続的かつ安定的にシステムが運営できない場合には、当社グループの経営や事業の遅滞、問題改善に対する費用の発生、当社グループの信頼性や評判を毀損する等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(25)訴訟等について
当社グループは、事業を展開していく過程において、各種契約違反、労働問題、知的財産権に関する問題、情報漏えいに関する問題等に関して、ユーザー、取引先、競合他社、当社グループ従業員、規制当局等より訴訟を提起される可能性やその他の法的手続きの当事者となるリスクを有しております。そのようなリスクを低減させるために、当社グループでは、グループ行動規範やコンプライアンス基本規程等を整備し、従業員に対して、階層別研修(新入社員研修、キャリア入社者研修、昇級者向け研修)の実施、e-ラーニングによる教育や法務に関する情報発信等を通じて、従業員のコンプライアンス意識を高めるための施策を実施しております。なお、当社グループ製品カテゴリーの多くは医療関係者による使用を想定した製品となっておりますが、血糖自己測定システムに関してはエンドユーザーである一般消費者が直接利用されるものになります。そのため、血糖自己測定システムの不備等があった場合、一般消費者により訴訟を提起される可能性があります。当社グループが当事者となり、訴訟やその他手続きにおいて、敗訴若しくは不利益な内容を甘受せざるを得ない場合、当社グループの評判及び信用等が毀損する若しくは影響を被る可能性があります。また、最終的な責任を負うか否かにかかわらず、かかる請求があった場合への対応に対して、費用や時間がかかり、結果として、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(26)法規制、許認可(薬事等)について
当社グループは、日本における「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」等、医療機器を対象とする世界各国の法的規制、事業を展開するに当たっての必要な許認可の取得を行っております。また、製造物責任、情報保護、知的財産権、コンテンツ規制、競争法、消費者保護、腐敗防止、税金等、世界各国での様々な法令等の適用を受けております。当社グループでは、社内の管理体制の構築や従業員の教育・啓発を行い、これらの法令順守に向けた取り組みを推進しておりますが、これら法令に違反する行為が行われた場合、若しくは法令の改正又は新たな法令、ガイドライン等が制定された場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
特に、新興国におきましては、国産品奨励の目的から非関税障壁が設けられる場合があり、これへの対応として、現地生産等の方法も検討しますが、現地の法整備が十分でなく、解釈が一貫していない等のケースも見受けられます。現地当局との十分な調整に努めても、計画通りに事業展開が進まないといった可能性もあります。
当社グループとして、各国の関係法令・許認可に対して迅速に対応することに努めてまいりますが、万一法令等に抵触し、許認可の取り消し等、何らかの行政処分等を受けた場合、また関係法令の制定や改訂への対応が間に合わない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(27)知的財産権について
当社グループは糖尿病マネジメント、ヘルスケアソリューション及び診断・ライフサイエンスの3ドメインにおいて、多くの知的財産権を保有し、その維持・管理を行っております。しかしながら、当社グループが保有する知的財産権が認められない、若しくは充分な保護が得られない地域・国がある可能性や模倣される可能性があり、当社グループが保有する知的財産権の保護が損なわれた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、研究開発や新製品の開発の際に、関連する第三者の知的財産権について、網羅的な調査を行い、第三者の知的財産権を侵害しないように努めておりますが、当社グループが展開する事業分野は多岐に渡っており、第三者の知的財産権の保有や登録等の状況を完全に把握することは容易ではないため、当社グループが意図せずに第三者の知的財産権を侵害する可能性や、当社グループの事業分野において新たに成立した第三者の知的財産権との間に、当社グループを当事者とする知的財産権の帰属等に関する紛争が生じる可能性や、それらに関して損害賠償や使用差止等の請求を受ける可能性があります。これらの結果により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(28)環境問題リスクについて
当社グループは、事業運営上適用される規制を順守すべく様々な対策を講じており、環境対応については主要な製造拠点ではISO14001を取得しその充実を図っております。もっとも、適用される規制を順守出来なかった場合や環境問題を引き起こした場合等には、損害賠償、生産停止、社会的評価の低下等の可能性、又は新しい規制への対応による費用負担の増加等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(29)自然災害及び地政学的脅威、疫病の発生・蔓延等による社会的混乱について
当社グループの生産拠点において、地震、風水害、津波、大雪、火災等の災害、事故又はテロや国際紛争等の地政学的な脅威、若しくは、疫病の発生・蔓延等による社会的混乱が発生した場合は、被害状況によっては、当該生産拠点における生産活動が停止し、製品の出荷が停止又は遅延し、又は生産設備の修理、代替等のために多大な損失・費用を被る可能性があります。また、仕入先や物流の取引先に災害、事故又は地政学的な脅威若しくは疫病の発生・蔓延等による社会的混乱が発生した場合、又は電力の供給不足や電力価格の上昇が生じた場合、当該仕入が中断し必要な原材料を確保できなくなる場合、若しくは製品の配送及び輸出ができなくなる場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、自然災害、及び地政学的脅威、疫病の発生・蔓延等による社会的混乱においては、当社従業員の安全配慮義務のため、事業場の閉鎖や事業中断を行う可能性があり、その際は休業補償や労働生産性の悪化が利益を圧迫する要因となり得る等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(30)パンデミックについて
当社グループの事業は、パンデミックによるリスクにさらされております。未知の感染症の世界的な流行は、世界経済の減速を招くと共に、その感染拡大を防止するために政府、企業及び個人が採った措置を含め、当社グループの製品・サービスに対する需要や、当社グループの事業、サプライチェーン及び流通システムに影響を与えます。
また、当社グループの従業員が感染症に感染した場合や各地域においてロックダウン措置が実施された場合には、従業員の業務遂行能力につき大きく影響を受ける可能性があります。当社は政府当局の勧告に従い、従業員の安全を優先して予防措置等を講じますが、これらの措置が功を奏さず、製造施設の一時的な閉鎖等が必要となる可能性があります。
(31)風評被害について
当社グループのコーポレートブランドであるPHC、Ascensia、Epredia、LSIメディエンス、Wemex、事業・製品ブランドであるCONTOUR、Medicom、PHCbi、Shandon、Microm、Menzel Gläser、Richard-Allan Scientific、SuperFrost、PrintMate、STACIA、PATHFAST等は、当社グループの事業にとって重要な商標であります。当社グループが保有する商標等の不正利用、製品・サービスへの苦情等、風評被害が発生・拡散した場合、その内容の正確性にかかわらず、安全性・信頼性のブランドイメージ及び社会的信用が毀損し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、従業員又は第三者が関与する不適切行為その他の事故によってもブランドイメージ及び社会的信用が損なわれる可能性があります。従業員に対しては、繰り返しコンプライアンス教育を実施して、不適切な行為等が発生しないように徹底しておりますが、これらの風評被害は当社グループの評判を毀損し、当社グループの売上に影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(32)ファンド株主(KKR PHC Investment L.P.)との関係について
当社は、グローバルな投資会社であるKohlberg Kravis Roberts & Co. L.P.のプライベート・エクイティ・ファンドであるKKR PHC Investment L.P.から出資を受けております。2023年3月末の時点においても、持株比率38.30%を所有しており、「その他の関係会社」の関係は継続しています。
(33)大株主(三井物産株式会社)との関係について
当社は、三井物産株式会社より出資を受け入れております。2023年3月末の時点においても、持株比率17.45%を所有しており、大株主としての関係は継続しています。
(34)大株主(株式会社生命科学インスティテュート)との関係について
当社は、株式会社生命科学インスティテュートより出資を受け入れております。2023年3月末の時点においても、持株比率9.81%を所有しており、大株主としての関係は継続しています。
(35)大株主(パナソニックホールディングス株式会社)との関係について
当社は、パナソニックホールディングス株式会社より出資を受け入れております。2023年3月末の時点においても、持株比率8.99%を所有しており、大株主としての関係は継続しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
a.財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて29,753百万円減少し、561,567百万円となりました。この主な要因は、現金及び現金同等物が34,298百万円減少したこと、過去の買収により発生した無形資産の償却が進み無形資産が8,015百万円減少したこと、Senseonics社の転換権付貸付金の評価損等によりその他の金融資産が6,221百万円減少したこと、欧州における政治不安等に備えた在庫確保と、日本国内の原材料不足に備えた先行購入手配等により棚卸資産が7,223百万円増加したこと、主に診断・ライフサイエンスセグメントにおける増収に伴い営業債権が5,553百万円増加したこと、診断・ライフサイエンスセグメントの病理事業においてのれんの減損を認識した一方、円安の影響を受けたことやM-M France SASU、Laurypath SASU2社の買収等によりのれんが1,952百万円増加したことによるものであります。
負債合計は、前連結会計年度末と比べて32,515百万円減少し、422,740百万円となりました。この主な要因は、返済等により借入金が15,320百万円減少したこと、配当源泉税が減少したこと等によりその他の流動負債が6,420百万円減少したこと、外貨建借入金に係る繰延税金資産の増加、Senseonics社の転換権付貸付金に係る繰延税金負債の減少等により繰延税金負債が4,477百万円減少したこと、売上減少に伴う返金負債の減少等により営業債務及びその他の債務が3,874百万円減少したことによるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて2,762百万円増加し、138,827百万円となりました。この主な要因は、在外営業活動体の換算差額等によりその他の資本の構成要素が13,500百万円増加した一方、親会社の所有者に帰属する当期損失と配当の支払い等により利益剰余金が11,271百万円減少したことによるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の22.9%から1.7ポイント増加して24.6%となりました。
b.経営成績の状況
2023年3月期(以下、「当期」)は、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が落ち着いてきたことによる経済活動の制限の緩和等、景気の持ち直しが見られた一方で、ウクライナ情勢の悪化や物価の高騰により、先行きが不透明な状況が続く1年となりました。
当期における当社グループの売上収益は、356,434百万円(前年同期比4.7%増)となりました。全般的に為替の好影響があり、糖尿病マネジメントは増収となりました。ヘルスケアソリューションでは、オンライン資格確認システムの需要を受けた好影響がありましたが、新型コロナウイルス感染症のPCR検査の診療報酬引き下げ影響が大きく、減収となりました。診断・ライフサイエンスでは、病理事業で製品価格の改定、デジタルパソロジーや消耗品の好調な売上により増収となり、バイオメディカ事業で研究・医療支援機器分野での一般需要の好調に加え、mRNAワクチン製造拠点における超低温フリーザーの需要も継続し、前年同期比で増収となりました。
営業利益は20,000百万円(前年同期比144.7%増)となりました。糖尿病マネジメントでは商品構成の変化による利益率の低下があったものの、減価償却費や一時費用の減少を受け増益となりました。ヘルスケアソリューションではPCR検査の診療報酬低下の影響が大きく減益となりました。診断・ライフサイエンスでは、病理事業において、売上収益は増加傾向にあり、様々な施策により利益率も改善傾向にあるものの、金利の上昇等による加重平均資本コストの上昇を補うには至らず、8,717百万円の減損損失を計上しました。前年同期比では、増収や利益率改善施策の効果及び減損額の減少により営業損失が減少となりました。
調整後EBITDAは64,882百万円(前年同期比9.7%減)となりました。主な当該調整項目としては、一時的なM&A関連収益・費用(加算578百万円)、一時的な事業構造改革関連収益・費用(加算4,289百万円)、一時的な役職員報酬(加算1,540百万円)、一時的なその他の収益・費用(減算145百万円)がありました。
税引前利益は179百万円(前年同期比94.0%減)となりました。この減少は主に、当社が非支配持分を有する上場会社であるSenseonics社への転換権付貸付金に対する公正価値評価に基づく評価損9,189百万円(前年同期は3,311百万円の評価損)と支払利息の増加や為替影響を受けた金融費用の増加によるものです。
親会社の所有者に帰属する当期損失は3,222百万円(前年同期は8,460百万円の損失)となりました。これは税引前利益に対し、前年同期は繰延税金資産の取り崩しに加え、前年同期、当期ともに、減損損失を計上していること及び税率の高い日本での利益割合が高かったこと等により、法人所得税費用が3,228百万円(前年同期は11,302百万円)となったことが影響しております。
キャッシュベースでの親会社の所有者に帰属する当期利益は22,473百万円(前年同期比9.5%減)となりました。
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|
(単位:百万円) |
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2022年3月期 |
2023年3月期 |
増減 |
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売上収益 |
340,452 |
356,434 |
4.7% |
|
|
営業利益 |
8,174 |
20,000 |
144.7% |
|
|
EBITDA |
57,656 |
58,583 |
1.6% |
|
|
調整後EBITDA |
71,872 |
64,882 |
△9.7% |
|
|
税引前利益 |
3,002 |
179 |
△94.0% |
|
|
当期利益 (△は損失) |
△8,300 |
△3,048 |
- |
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親会社の所有者に帰属する当期利益 (△は損失) |
△8,460 |
△3,222 |
- |
|
|
キャッシュベースでの親会社の所有者に帰属する当期利益 |
24,822 |
22,473 |
△9.5% |
|
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米ドル平均レート (円) |
112.34 |
135.36 |
23.02 |
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|
ユーロ平均レート (円) |
130.49 |
140.87 |
10.38 |
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(注)EBITDA、調整後EBITDA及びキャッシュベースでの親会社の所有者に帰属する当期利益は国際会計基準(IFRS)に基づく開示ではありませんが、当社はこの開示が投資家の皆様に有益な情報を提供すると考えています。
(EBITDA及び調整後EBITDAの算出表)
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|
|
(単位:百万円) |
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2022年3月期 |
2023年3月期 |
増減 |
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|
営業利益 |
8,174 |
20,000 |
144.7% |
|
|
+ 減価償却費 |
31,077 |
29,015 |
△6.6% |
|
|
+ 減損損失(有価証券等を除く) |
18,405 |
9,568 |
△48.0% |
|
|
EBITDA |
57,656 |
58,583 |
1.6% |
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(調整額) |
|
|
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|
+ 一時的なM&A関連収益・費用 |
1,570 |
578 |
△63.2% |
|
|
+ 一時的な事業構造改革関連収益・費用 |
5,126 |
4,289 |
△16.3% |
|
|
+ 一時的な資産の処分等収益・費用 |
△880 |
36 |
- |
|
|
+ 一時的な契約解除等に係る収益・費用 |
1,482 |
- |
- |
|
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+ 一時的な役職員報酬 |
4,057 |
1,540 |
△62.0% |
|
|
+ 一時的なその他の収益・費用 |
2,859 |
△145 |
- |
|
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調整後EBITDA |
71,872 |
64,882 |
△9.7% |
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(注) EBITDA及び調整後EBITDAを以下の算式により算出しております。
EBITDA=営業利益+減価償却費+減損損失(有価証券等を除く)
調整後EBITDA=EBITDA+一時的な収益・費用
(キャッシュベースでの親会社の所有者に帰属する当期利益算出表)
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(単位:百万円) |
||
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2022年3月期 |
2023年3月期 |
増減 |
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親会社の所有者に帰属する当期利益 (△は損失) |
△8,460 |
△3,222 |
- |
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(調整額) |
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+ M&A関連収益・費用(償却資産) |
11,834 |
12,274 |
3.7% |
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+ 減損損失(有価証券等を除く) |
18,405 |
9,574 |
△48.0% |
|
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+ 転換権付貸付金時価評価収益・費用 |
3,311 |
9,189 |
177.5% |
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+ 法人税見合い調整額 |
△268 |
△5,343 |
- |
|
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キャッシュベースでの親会社の所有者に帰属する当期利益 |
24,822 |
22,473 |
△9.5% |
|
(注)キャッシュベースでの親会社の所有者に帰属する当期利益を以下の算式により算出しております。
キャッシュベースでの親会社の所有者に帰属する当期利益
= 親会社の所有者に帰属する当期利益 + M&A関連収益・費用(償却資産) + 減損損失(有価証券
等を除く) + 転換権付貸付金時価評価収益・費用 + 法人税見合い調整額
c.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、34,298百万円減少し、当連結会計年度末には60,933百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、21,376百万円(前年同期比29,676百万円減)となりました。税引前利益は前年同期比2,822百万円減少し179百万円となりました。これは主に非資金項目である純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の評価損が9,088百万円となったこと、診断・ライフサイエンスセグメントの病理事業におけるのれんの減損損失を主とした減損損失を9,568百万円認識したこと、約定金利の変更を反映した会計処理により支払利息が前年同期比3,924百万円増加し6,814百万円となったためであります。また、法人所得税の支払額が前年同期比8,309百万円増加し15,403百万円となりました。なお、この支払額のうち4,750百万円は翌期に還付を受ける予定であります。その他の主な要因は早期退職を含むリストラクチャリングに係る支払いやワーキングキャピタルが変動したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は前年同期比4,998百万円増加し17,520百万円(前年同期は12,521百万円)となりました。この主な要因は経常的な設備投資を主とした有形固定資産及び無形資産の取得による支出が11,516百万円となったことや、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が1,797百万円となったためであります。またSenseonics社の新株予約権取得を主とし、投資の取得による支出が3,064百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、40,832百万円のマイナスであり、前年同期は7,015百万円のマイナスでした。この主な要因は、長期借入金の返済が25,931百万円となったことや、リース負債の返済による支出が5,749百万円となったためであります。また親会社の所有者への配当金の支払額は9,196百万円となりました。
d.生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自2021年4月1日 至2022年3月31日) |
前年 同期比 (%) |
当連結会計年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) |
前年 同期比 (%) |
|
|
糖尿病マネジメント |
(百万円) |
109,874 |
100.5 |
117,977 |
107.4 |
|
ヘルスケアソリューション |
(百万円) |
137,778 |
118.8 |
134,891 |
97.9 |
|
診断・ライフサイエンス |
(百万円) |
96,989 |
116.9 |
109,364 |
112.8 |
|
計 |
(百万円) |
344,642 |
111.8 |
362,233 |
105.1 |
|
その他及び調整・消去 |
(百万円) |
- |
- |
- |
- |
|
連結 |
(百万円) |
344,642 |
111.8 |
362,233 |
105.1 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.百万円未満を切り捨てて記載しております。
(b)受注実績
当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。
(c)販売実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自2021年4月1日 至2022年3月31日) |
前年 同期比 (%) |
当連結会計年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) |
前年 同期比 (%) |
|
|
糖尿病マネジメント |
(百万円) |
109,367 |
101.1 |
111,826 |
102.2 |
|
ヘルスケアソリューション |
(百万円) |
136,286 |
117.4 |
133,550 |
98.0 |
|
診断・ライフサイエンス |
(百万円) |
92,224 |
115.5 |
108,774 |
117.9 |
|
計 |
(百万円) |
337,878 |
111.1 |
354,151 |
104.8 |
|
その他及び調整・消去 |
(百万円) |
2,573 |
131.9 |
2,283 |
88.7 |
|
連結 |
(百万円) |
340,452 |
111.2 |
356,434 |
104.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は、外部顧客に対する売上収益を示しております。
3.百万円未満を切り捨てて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものであります。
a.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により国際会計基準(IFRS)に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
連結財務諸表の作成に当たっては、過去の実績や取引状況を勘案し、合理的と判断される前提に基づき見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合等、不確実性が存在するため、実際の結果がこれらの見積りや予測と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表に関する注記事項 3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表に関する注記事項 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績の状況
当期における当社グループの業績は、売上収益が356,434百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益が20,000百万円(前年同期比144.7%増)、減価償却費や一時的収益・費用を除いた調整後EBITDAは64,882百万円(前年同期比9.7%減)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
売上収益 |
営業利益又は損失 |
||||
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減 (%) |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減 (%) |
|
|
糖尿病マネジメント |
109,367 |
111,826 |
2.2 |
23,260 |
26,737 |
14.9 |
|
ヘルスケアソリューション |
136,286 |
133,550 |
△2.0 |
17,017 |
9,829 |
△42.2 |
|
診断・ライフサイエンス |
92,224 |
108,774 |
17.9 |
△14,140 |
△1,065 |
- |
|
計 |
337,878 |
354,151 |
4.8 |
26,137 |
35,501 |
35.8 |
|
その他及び調整・消去 |
2,573 |
2,283 |
△11.3 |
△17,963 |
△15,501 |
- |
|
連結 |
340,452 |
356,434 |
4.7 |
8,174 |
20,000 |
144.7 |
|
セグメントの名称 |
EBITDA |
調整後EBITDA |
||||
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減 (%) |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減 (%) |
|
|
糖尿病マネジメント |
37,414 |
36,437 |
△2.6 |
41,003 |
37,168 |
△9.4 |
|
ヘルスケアソリューション |
27,517 |
20,731 |
△24.7 |
28,009 |
21,994 |
△21.5 |
|
診断・ライフサイエンス |
9,644 |
16,044 |
66.4 |
14,078 |
16,054 |
14.0 |
|
計 |
74,575 |
73,212 |
△1.8 |
83,090 |
75,216 |
△9.5 |
|
その他及び調整・消去 |
△16,919 |
△14,629 |
- |
△11,218 |
△10,334 |
- |
|
連結 |
57,656 |
58,583 |
1.6 |
71,872 |
64,882 |
△9.7 |
(糖尿病マネジメント)
当期の糖尿病マネジメントの売上収益は、111,826百万円(前年同期比2.2%増)となりました。血糖値測定システム(BGM)事業では、為替の好影響で微増となりました。米国において、自費購入者チャネルで市場シェアを獲得したものの、販売協業の終了による影響が継続したため減収となった他、英国・イタリアも市場の縮小傾向が続く中で減収となった一方、アジア太平洋地域を含む新興国市場で増収となりました。持続血糖値測定機(以下「CGM」という。)の売上収益は、Senseonics社製の埋め込み型CGM「EversenseE3」が米国市場において第1四半期に販売を開始したことを受け、増収となりました。IVD事業の売上収益は、迅速検体検査(POCT)の成長と新しい電動式医薬品注入器の導入により、増収となりました。
当期の糖尿病マネジメントの営業利益は、26,737百万円(前年同期比14.9%増)となりました。前年同期に対する増加の主な要因としては、無形資産の償却期間終了等により減価償却費が減少したこと(前年同期比3,588百万円減)に加え、前年同期には一時的な費用としてBGM事業の営業体制見直しのための事業構造改革関連費用3,456百万円がありました。一方、減少要因として、商品構成の変化による利益率の悪化に加え、BGMの販売経費の削減に努めつつもCGM販売の営業体制を強化したこと及び為替影響による販売費及び一般管理費の増加がありました。
調整後EBITDAは37,168百万円(前年同期比9.4%減)となりました。主な当該調整項目として前年同期は、一時的な事業構造改革関連費用3,456百万円の加算及び一時的な資産の処分等収益・費用847百万円の減算がありました。
(EBITDA及び調整後EBITDAの算出表)
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
|
2022年3月期 |
2023年3月期 |
増減 |
|
営業利益 |
23,260 |
26,737 |
14.9% |
|
+ 減価償却費 |
13,141 |
9,553 |
△27.3% |
|
+ 減損損失(有価証券等を除く) |
1,011 |
146 |
△85.6% |
|
EBITDA |
37,414 |
36,437 |
△2.6% |
|
(調整額) |
|
|
|
|
+ 一時的なM&A関連収益・費用 |
- |
- |
- |
|
+ 一時的な事業構造改革関連収益・費用 |
3,456 |
204 |
△94.1% |
|
+ 一時的な資産の処分等収益・費用 |
△847 |
36 |
- |
|
+ 一時的な契約解除等に係る収益・費用 |
- |
- |
- |
|
+ 一時的な役職員報酬 |
965 |
186 |
△80.7% |
|
+ 一時的なその他の収益・費用 |
13 |
303 |
- |
|
調整後EBITDA |
41,003 |
37,168 |
△9.4% |
(注)EBITDA及び調整後EBITDAを以下の算式により算出しております。
EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + 減損損失(有価証券等を除く)
調整後EBITDA = EBITDA + 一時的な収益・費用
(ヘルスケアソリューション)
当期のヘルスケアソリューションの売上収益は、133,550百万円(前年同期比2.0%減)となりました。LSIM事業の売上収益は、95,621百万円(前年同期比7.5%減)、メディコム事業の売上収益は、37,928百万円(前年同期比15.0%増)となりました。
LSIM事業では、前年同期比で減収となりました。臨床検査事業では、新型コロナウイルス感染症第7波及び第8波の影響で一般患者数が減少し、同感染症抗原検査の簡易検査キットの普及や第8波の収束に伴い第4四半期にPCR検査の件数が急速に減少したことに加え、同検査の診療報酬引き下げの影響により、減収となりました。診断薬事業では、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時検査キットの販売も開始し、新型コロナウイルス感染症の抗原検査キットの販売が増収となりましたが、重症化率の低いオミクロン株に推移したことにより、主に重症化患者向けに使用されていた海外向け新型コロナウイルス感染症関連試薬の売上が減少した影響を受け、前年同期比で減収となりました。創薬支援事業は、新型コロナウイルス感染症ワクチンの治験や医薬品分析の好調を受け、前年同期比で増収となりました。
メディコム事業では、医科システムにおいて、診療所用カルテ医事システム「Medicom-HRfシリーズ」を主力商品として、2023年4月より導入が原則義務化されたオンライン資格確認システムとのセットでの提案等により販売を進め、自社製品の買替を中心に販売が好調に推移しました。調剤システムでは「PharnesVシリーズ」を主力商品として販売を進め、大手チェーン薬局向けの販売が引き続き好調に推移し、増収となりました。また、2023年1月26日より運用が開始された電子処方箋についても、大手チェーン薬局向けを中心に販売を開始いたしました。
当期のヘルスケアソリューションの営業利益は、9,829百万円(前年同期比42.2%減)となりました。これは、メディコム事業において、一時的な構造改革費用の増加を好調な売上に伴う増益が補った一方で、LSIM事業において、PCR検査の診療報酬引き下げと検査数の減少の影響が大きかった事が主な要因です。
調整後EBITDAは、21,994百万円(前年同期比21.5%減)となりました。主な当該調整項目として、一時的な事業構造改革関連収益・費用(当期1,029百万円、前年同期148百万円をそれぞれ加算)がありました。
(EBITDA及び調整後EBITDAの算出表)
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
|
2022年3月期 |
2023年3月期 |
増減 |
|
営業利益 |
17,017 |
9,829 |
△42.2% |
|
+ 減価償却費 |
10,500 |
10,856 |
3.4% |
|
+ 減損損失(有価証券等を除く) |
- |
45 |
- |
|
EBITDA |
27,517 |
20,731 |
△24.7% |
|
(調整額) |
|
|
|
|
+ 一時的なM&A関連収益・費用 |
73 |
139 |
90.4% |
|
+ 一時的な事業構造改革関連収益・費用 |
148 |
1,029 |
595.3% |
|
+ 一時的な資産の処分等収益・費用 |
△33 |
- |
- |
|
+ 一時的な契約解除等に係る収益・費用 |
- |
- |
- |
|
+ 一時的な役職員報酬 |
276 |
93 |
△66.3% |
|
+ 一時的なその他の収益・費用 |
26 |
- |
- |
|
調整後EBITDA |
28,009 |
21,994 |
△21.5% |
(注)EBITDA及び調整後EBITDAを以下の算式により算出しております。
EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + 減損損失(有価証券等を除く)
調整後EBITDA = EBITDA + 一時的な収益・費用
(診断・ライフサイエンス)
当期の診断・ライフサイエンスの売上収益は、108,774百万円(前年同期比17.9%増)となりました。病理事業の売上収益は、49,508百万円(前年同期比26.8%増)、バイオメディカ事業の売上収益は、59,265百万円(前年同期比11.4%増)となりました。
病理事業では、スライドガラスの売上は前年同期比で減少したものの、為替の好影響、製品価格の改定、デジタルパソロジーや欧州及びその他地域での消耗品の好調な売上により、増収となりました。
バイオメディカ事業では、研究・医療支援機器分野の売上は、前年同期比で大幅に増加しました。米州地域では製薬・バイオテック企業を中心にライフサイエンス研究施設の新設や拡張案件を多数獲得、また欧州地域では一般需要向け売上が大きく伸長したのに加え、mRNAワクチン製造拠点における超低温フリーザーの大型案件を獲得し、両地域では為替の好影響も加わり大幅な増収となりました。日本では一般需要向け販売が大きく伸長するも、前年第1四半期のmRNAワクチン保存用超低温フリーザーの特需を上回ることはなく、減収となりました。中国でも、第1四半期の上海ロックダウン影響をカバーすべく増販活動に努めるも、国産品優遇施策の強化や財政悪化による投資控えを主因とする販売低迷により減収となりました。調剤支援機器・その他の売上は、米州でOEM供給先のM&Aに伴う第2四半期における活動停滞等があったものの、為替の好影響等により、増収となりました。
当期の診断・ライフサイエンスの営業損失は、1,065百万円(前年同期は14,140百万円の損失)となりました。病理事業において、売上収益は増加傾向にあり、様々な施策により利益率も改善傾向にあるものの、金利の上昇等による加重平均資本コストの上昇を補うには至らず、8,717百万円の減損損失を計上しましたが、前年同期比では、増収や利益率改善施策の効果及び減損額の減少により営業損失が縮小しました。バイオメディカ事業では新型コロナ関連需要は前年同期比で減少したものの増益となりました。
調整後EBITDAは、16,054百万円(前年同期比14.0%増)となりました。主な当該調整項目には、サービス契約終了に伴う益を含む一時的なその他の収益・費用(当期1,055百万円減算、前年同期108百万円加算)、一時的なM&A関連収益・費用(当期439百万円、前年同期1,493百万円をそれぞれ加算)及び一時的な事業構造改革関連収益・費用(当期561百万円、前年同期1,444百万円をそれぞれ加算)がありました。
(EBITDA及び調整後EBITDAの算出表)
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
|
2022年3月期 |
2023年3月期 |
増減 |
|
営業損失 |
△14,140 |
△1,065 |
- |
|
+ 減価償却費 |
6,788 |
7,857 |
15.7% |
|
+ 減損損失(有価証券等を除く) |
16,995 |
9,252 |
△45.6% |
|
EBITDA |
9,644 |
16,044 |
66.4% |
|
(調整額) |
|
|
|
|
+ 一時的なM&A関連収益・費用 |
1,493 |
439 |
△70.6% |
|
+ 一時的な事業構造改革関連収益・費用 |
1,444 |
561 |
△61.1% |
|
+ 一時的な資産の処分等収益・費用 |
- |
- |
- |
|
+ 一時的な契約解除等に係る収益・費用 |
- |
- |
- |
|
+ 一時的な役職員報酬 |
1,387 |
63 |
△95.5% |
|
+ 一時的なその他の収益・費用 |
108 |
△1,055 |
- |
|
調整後EBITDA |
14,078 |
16,054 |
14.0% |
(注)EBITDA及び調整後EBITDAを以下の算式により算出しております。
EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + 減損損失(有価証券等を除く)
調整後EBITDA = EBITDA + 一時的な収益・費用
(b)財政状態の状況
「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 a.財政状態の状況」にて記載しておりますのでご参照ください。
(c)資本の財源及び資金の流動性についての分析
(イ)キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 c.キャッシュ・フローの状況」にて記載しておりますのでご参照ください。
(ロ)資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。販売費及び一般管理費の主なものは人件費及び広告宣伝費等です。
(ハ)資金調達と財務マネジメント
当社グループは、運転資金や設備投資のために、最適な資金確保と流動性の保持及び健全な財政状態を維持することを財務方針としております。
運転資金は基本的には手許資金でまかなうことを原則としております。基本的には当社が一元して資金を調達・運用し、運転資金が必要な各子会社に対しては当社グループ内から貸付を行うことで効率化を図っております。
また、設備投資等の長期資金需要に関しては、投資回収期間とリスクを勘案した上で調達方法を決定しております。なお、当連結会計年度は、設備投資及び研究開発活動等の資金について、主に営業活動の結果得られた資金から充当しております。
資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、銀行とコミットメント・ライン契約を締結しており、成長を維持するために必要とされる流動性を確保していると考えております。2023年3月末時点の借入残高は約2,900億円であり、取引金融機関とは良好な関係を維持しております。
(d)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの売上は、販売を行っている国又は地域の経済状況、医療制度、競合他社の状況、顧客動向や嗜好の変化等による影響を受け、また当社製品の販売価格は、世界的に浸透している医療費抑制政策の影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、外貨建てで取引されている製品・サービスが売上収益の過半数を占めていること等から、為替相場の変動により経営成績が影響を受ける可能性があります。費用面では、原材料価格等による影響を受けます。
当社グループの経営成績に影響を与える他の要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
(e)経営戦略の現状と見通し
当社グループの属するヘルスケア業界では、先進国における高齢化社会、世界的な生活習慣病の増加、各国における医療費削減等の経営環境に直面しております。
このような環境の下、当社グループでは、グローバル規模での中長期成長を支える社内体制の構築・強化、人材の確保と育成の強化、事業及び収益基盤の拡大等に取り組むことで売上拡大や利益の確保に努めていく所存です。
当社グループの経営戦略の現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にて詳細にご説明しておりますのでご参照ください。
(f)経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にて詳細にご説明しておりますのでご参照ください。
当連結会計年度における経営上の重要な契約等の決定又は締結等は、以下のとおりです。
(1)メディコム事業の集約を目的とした当社グループ内組織再編に伴う吸収分割契約及び吸収合併契約の締結
当社は、2022年11月16日付の取締役会において、当社子会社であるPHC株式会社のメディコム事業部(以下、「メディコム事業部」)及び同じく当社子会社であるPHCメディコム株式会社の統合準備会社として当社100%出資の事業子会社(以下、「準備会社」)を設立し、メディコム事業部との吸収分割(以下、「本吸収分割」)及びPHCメディコム株式会社との吸収合併(以下、「本合併」)による準備会社への統合(以下、「本統合」)を実施することを決議しました。
① 統合の背景と目的
1972年に、日本初となる医事コンピュータを発売して以来、メディコム事業部及びPHCメディコム株式会社が担うメディコム事業の製品・サービスは、医療機関・保険薬局等のIT化を強力に牽引してきました。今日においても、医療従事者の業務の効率化、患者様に提供する医療の質やサービスの向上、さらに新たな地域医療連携で必要となる病院・診療所・保険薬局・患者間の情報共有の実現等、ヘルスケア領域全般に大きく貢献しています。
今後の医療への更なる貢献を見据え、以下の観点からメディコム事業部及びPHCメディコム株式会社を統合し1つの会社とすることで、本事業をより一層推進し、デジタルヘルスをリードしてまいります。
a. 顧客への価値提供体制の強化
b. 市場環境変化への迅速な対応でデジタルヘルス事業を促進
c. 経営資源配分の最適化
② 統合(新会社設立及び本吸収分割・本合併)の概要
a. 新会社設立及び本吸収分割・本合併の方式
PHC株式会社メディコム事業部及びPHCメディコム株式会社を下記の方式により統合いたします。
(a) 新会社設立:当社の100%出資による事業子会社(準備会社)の設立
(b) 本吸収分割:PHC株式会社を分割会社、準備会社を承継会社としたメディコム事業部の吸収分割
(c) 本合併:PHCメディコム株式会社を消滅会社、準備会社を存続会社とした吸収合併
b. 日程
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準備会社設立承認取締役会 |
2022年11月16日 |
|
準備会社の設立(商号:株式会社メディコム事業統合準備会社) |
2022年12月12日 |
|
準備会社の商号変更(新商号:ウィーメックス株式会社) |
2022年12月23日 |
|
本吸収分割契約承認取締役会 |
2023年1月17日 |
|
本合併契約承認取締役会 |
2023年1月17日(ウィーメックス株式会社) |
|
本吸収分割/本合併承認臨時株主総会 |
2023年2月13日 |
|
本吸収分割/本合併の効力発生日 |
2023年4月1日 |
c. 本吸収分割・本合併に係る割当ての内容
本吸収分割・本合併による、株式その他の金銭等の交付はありません。
d. 本吸収分割による増減する資本金
本吸収分割による資本金の増減はありません。
e. 本吸収分割により承継する権利義務
本吸収分割における承継会社であるウィーメックス株式会社は、本吸収分割の対象となる事業(メディコム事業)に係る資産、負債、契約上の地位その他これらに付随する権利義務のうち吸収分割契約書において定めるものを承継いたします。
f. 債務履行の見込み
本吸収分割において、PHC株式会社(分割会社)及びウィーメックス株式会社(承継会社)が負担すべき債務について履行の見込みはあるものと判断しております。
③ 本統合における当事会社の概要
a. 本吸収分割の当事会社概要
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分割会社 |
承継会社 |
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(1)名称 |
PHC株式会社 |
ウィーメックス株式会社 |
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(2)事業内容 |
糖尿病マネジメント事業 診断・ライフサイエンス事業 |
ヘルスケアソリューション事業 |
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(3)設立年月日 |
1969年11月21日 |
2022年12月12日 |
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(4)本店所在地 |
愛媛県東温市南方2131番地1 |
東京都渋谷区渋谷3-25-18 NBF渋谷ガーデンフロント14F |
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(5)代表者の役職・氏名 |
代表取締役社長 |
代表取締役社長 |
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(6)決算期 |
3月 |
3月 |
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(7)資本金の額 |
7,907百万円 |
50百万円 |
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(8)発行済株式数 |
158,146,561株 |
500株 |
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(9)大株主及び持ち株比率 |
PHCホールディングス株式会社 100% |
PHCホールディングス株式会社 100% |
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(10)直前事業年度の経営成績及び財政状態 |
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決算期 |
2022年3月期 |
2022年3月期 |
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総資産 |
174,873百万円 |
― |
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純資産 |
49,576百万円 |
― |
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1株当たり純資産 |
313.48円 |
― |
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売上高 |
103,864百万円 |
― |
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営業利益 |
24,419百万円 |
― |
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経常利益 |
25,156百万円 |
― |
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当期純利益 |
19,221百万円 |
― |
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1株当たり当期純利益 |
121.54円 |
― |
(注)承継会社は、本吸収分割前は事業を行っていないため、直前事業年度の財政状態及び経営成績は記載しておりません。
b. 本合併の当事会社概要
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消滅会社 |
存続会社 |
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(1)名称 |
PHCメディコム株式会社 |
ウィーメックス株式会社 |
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(2)事業内容 |
医療情報システム等(電子カルテ、電子薬歴、レセプトコンピュータ等)の販売及び保守、機器操作、医療事務等に関する説明、新規開業・開局支援 |
ヘルスケアソリューション事業 |
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(3)設立年月日 |
1994年9月1日 |
2022年12月12日 |
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(4)本店所在地 |
東京都台東区上野1-4-8 上野横山ビル2F |
東京都渋谷区渋谷3-25-18 NBF渋谷ガーデンフロント14F |
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(5)代表者の役職・氏名 |
代表取締役社長 |
代表取締役社長 |
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(6)決算期 |
3月 |
3月 |
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(7)資本金の額 |
30百万円 |
50百万円 |
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(8)発行済株式数 |
600株 |
500株 |
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(9)大株主及び持ち株比率 |
PHCホールディングス株式会社 100% |
PHCホールディングス株式会社 100% |
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(10)直前事業年度の経営成績及び財政状態 |
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決算期 |
2022年3月期 |
2022年3月期 |
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総資産 |
8,632百万円 |
― |
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純資産 |
2,766百万円 |
― |
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1株当たり純資産 |
4,609,902.03円 |
― |
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売上高 |
32,047百万円 |
― |
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営業利益 |
953百万円 |
― |
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経常利益 |
951百万円 |
― |
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当期純利益 |
605百万円 |
― |
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1株当たり当期純利益 |
1,008,973.31円 |
― |
(注)存続会社は、本合併前は事業を行っていないため、直前事業年度の財政状態及び経営成績は記載しておりません。
④ その他
本統合により事業を承継するウィーメックス株式会社は、当社の完全子会社であるため、連結業績に与える影響は特段ございません。
(2)電子カルテ・レセプト関連事業を富士フイルムヘルスケアシステムズ株式会社から取得するための株式譲渡契約の締結
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約類型 |
契約内容 |
契約締結日 |
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当社、ウィーメックス株式会社 |
富士フイルムヘルスケア株式会社 |
日本 |
株式譲渡契約 |
富士フイルムヘルスケア株式会社が新たに設立する完全子会社(以下、「新会社」)に対して、富士フイルムヘルスケア株式会社の子会社である富士フイルムヘルスケアシステムズ株式会社の電子カルテ・レセプト関連事業を承継させた上で、ウィーメックス株式会社が新会社の全株式を取得する。取得時期は、2023年10月を予定。 |
2023年3月31日 |
当社グループは、ヘルスケア分野において、世界中の健康を願うすべての人々の豊かな社会づくりに貢献するため、技術の革新・融合により新たな価値を創造することを目指し、研究開発に取り組んでいます。2022年11月に公表した中期経営計画Value Creation Planでは今後のグループの成長を牽引する成長領域事業を定めました。研究開発活動においても成長領域を支えるテーマに優先的に資源配分を行い、重点的に取り組みます。研究開発の方針としては、自社で全てを行うのではなく我々の強みを増強できる社外パートナーとは積極的に協業しスピード感をもって技術・製品開発を行うこと、また従来のやり方にとらわれず、組織や文化のもと研究開発を行うことを掲げ、イノベーションを推進して参ります。
当社グループでは組織体制として、先行技術開発センターと、事業部の研究開発チームとが研究開発に取り組んでおります。先行技術開発センターでは、事業を横断するようなテーマや、基礎研究をベースとする要素技術開発等グループ全体の研究開発に取り組んでいます。事業部の研究開発チームでは、より製品化に近いテーマの研究開発や既存製品・サービスの継続的な開発を行っています。
当社グループの研究開発費は、
(1) 糖尿病マネジメントドメイン
糖尿病マネジメントドメインでは血糖値測定システム(BGM)、HbA1cや脂質等を測定できる簡易迅速検査器(POCT)、及び薬剤注射のために通院せず薬剤が自宅で自己注射できる電動医薬品注入器に関する開発を行っております。当連結会計年度には、「オスタバロ®インジェクター」を帝人ファーマ株式会社と共同開発しました。骨折の危険性の高い骨粗鬆症に対して効能・効果がある骨形成促進剤「オスタバロ®皮下注カートリッジ」専用の電動式注入器で、PHC株式会社が製造販売し、帝人ファーマが発売しました。また、TNF阻害薬治療を受ける関節リウマチ等の患者さん向けのTNF阻害薬用電動式医薬品注入器「APP-1000」について、欧州医療機器規則(EU-MDR)の認証を取得しました。
電動式注入器では処方量を簡単・正確に自身で自宅で注射できる一方で服薬管理も重要であることから、スマートフォン等で使える服薬管理アプリの開発にも力を入れています。JCR株式会社と共同で電動式成長ホルモン製剤注入器「グロウジェクター®L」と組み合わせて使用する、成長ホルモン治療服薬管理アプリケーションソフトウェア「めろん日記®」の機能を更新し、公開しました。投薬履歴をスマートフォンで確認することができる他、患児の注射に対する緊張感の緩和等を目的とした「お楽しみ機能」を搭載し、服薬アドヒアランス改善を目指しています。
また、血糖値測定の際に使用する採血用穿刺器具として、優しいユーザビリティで高齢者から子供まで簡単に操作できる、セミディスポーザブルタイプの採血用穿刺器具「ソフレット®」を株式会社三和化学研究所と共同開発し、販売しました。
持続血糖測定システム(CGM)については、資本業務提携をしているSenseonics Holdings, Inc.社(以下、「Senseonics社」)が研究開発に取り組んでいます。PHCグループが独占販売するEversense®は、超小型センサを皮下に埋め込み、利用シーンに応じて取り外し可能な送信機を通じてスマートフォン等でグルコース値がモニタリングできる画期的な製品です。当連結会計年度では6か月装着が可能なEversense® E3を米国及び欧州で発売開始しました。現在Senseonics社においてセンサ寿命を1年に延長したモデル等の新製品開発を行っております。
Senseonics社とは、新株予約権取得による1,500万米ドルの追加出資を行う等連携を強化しており、今後もCGMの成長における重要パートナーとして共に取り組んでまいります。
当連結会計年度の糖尿病マネジメントドメインにおける研究開発費は、
(2) ヘルスケアソリューションドメイン
メディコム事業では、診療所用医事一体型電子カルテシステム、保険薬局用電子薬歴システムを基軸に、次世代に繋がるクラウド関連の商品開発を進めております。当連結会計年度では、院内サーバーとクラウドサーバーの切り替えによる障害時対策や、医療クラウドサービスとの連携により将来的な拡張性を実現する「Medicom Cloud Connect API」対応の病院向けの医事コンピュータ「Medicom-HSi f」を発売しました。
中期経営計画において成長領域として掲げたデジタルヘルスソリューションに関連する開発にも注力しました。
クラウド連携システム「Medicom Cloud Connect API」の技術を活用したクラウド連携を強化し、診療所用医事一体型電子カルテシステム「Medicom-HRf」と、株式会社リクルートが手掛ける受付管理アプリ「Airウェイト」とのAPI連携、SB C&S株式会社が手掛けるモバイル型オールインワン決済端末「PayCAS Mobile」とのAPI連携を開始しました。
また、SaaS形式でスピーディーに利用開始でき、調剤薬局における売上データの収集・集計を自動化し、日々の集計業務にかかる手作業を大幅に削減可能な「digicareアナリティクス」の利用サービスを開始しました。
その他、「オンライン資格確認」と連携する医療機関・薬局向け医事コンピュータ用ソフトウェア導入を進め、累計導入件数で25,000件を超えました。厚生労働省が進める電子処方箋の運用に合わせ、医療機関向けシステム「Medicom-HRf」シリーズ・「Medicom-HS」シリーズ、及び調剤薬局向けシステム「PharnesV」 シリーズについて電子処方箋対応版ソフトウェアの全国提供を開始しました。
このように国の進める多様な医療・健康データとの接続に関する施策との積極的な連携を通じ、PHCグループによるデジタルプラットフォーム構想を実現していきます。
LSIM事業では、臨床検査事業、診断薬事業、創薬支援事業における、新たな商品、技術の開発を行っております。
当該事業年度、臨床検査事業では、新規マーカーの導入(上市)や検査手法の改良を、診断薬事業では、全自動血液凝固検査システム『STACIA CN10』や移動式免疫発光測定装置『PATHFAST』の装置、試薬の改良や新規検査項目の開発、海外薬事への対応、創薬支援事業では新しいモダリティと革新的な治療概念の普及に対応すべく、認知症の早期発見に関する研究、がん、神経疾患、感染症等各種疾患への治療薬開発に貢献する薬効薬理モデルの拡充(Patient-Derived Xenograftほか)や、イメージング質量分析法等、新たな分析技術の開発等に取り組みました。
当連結会計年度のヘルスケアソリューションドメインにおける研究開発費は
(3) 診断・ライフサイエンスドメイン
バイオメディカ事業では、医療、ライフサイエンス分野の研究で用いられる保存機器、培養機器、実験環境機器、及び病院や薬局等の調剤室で用いられる調剤機器、フードソリューション機器の商品開発を行っております。
当連結会計年度ではユーザビリティのさらなる向上とセキュリティ強化を追求したノンフロン-85℃超低温フリーザー「VIP ECO SMART」シリーズ(品番:MDF-DU703VHS1-PJ/DU503VHS1-PJ)を発売しました。省エネ性能も一段と向上させ、オフィス機器の国際的省エネルギー認証制度である「国際エネルギースタープログラム」において、米国環境保護庁(United States Environment Protection Agency)が定めた消費電力の基準を満たすとして「ENERGY STAR」認証を取得しています。
また、細胞の連続的な代謝変化をリアルタイムで可視化する「ライブセル代謝分析装置」のプロトタイプを開発しました。高品質な細胞医薬品の製造工程においては、培養環境の制御の判断基準が研究者の技量や経験に依存する部分が多い状況です。培地をサンプリングして細胞の状態を評価する方法では、データ点数の少なさや培地サンプリングの際のコンタミネーション(汚染)リスクの課題があります。「ライブセル代謝分析装置」は、独自のIn-Lineセンサを用いて培地を連続的に測定することで、培地をサンプリングすることなく、培養中の細胞の代謝変化をリアルタイムに可視化することができます。本技術を用いることで、細胞の代謝研究や細胞治療等の基礎研究分野において、これまで得られなかった新たな知見の獲得や、細胞治療の実用化に向け、安定した細胞製造の実現に寄与する基盤技術としての展開が見込まれ、早期発売に向け研究開発活動を推進します。
病理事業では、エプレディアのミッションであるEnhancing precision cancer diagnosticsを推進するための新製品の開発を行っております。当連結会計年度では3DHistech Ltd.社(以下、「3DHistech社」)と「Pathology Innovation Incubator」をハンガリー ブダペストに設立しました。3DHistech社は病理検査室向けデジタルスライドスキャン技術におけるビジネスパートナーであり、Pathology Innovation Incubatorでは、がん診断の基礎となる免疫組織化学(IHC)検査の高度な複合型医療技術ソリューションを開発予定であり、科学的かつ理論的アイデアの実用化により、腫瘍の診断の発展を促進させ、より効果的ながん治療を実現するソリューションの開発と改善を目指します。
また、再生医療療法の発見と実用化を加速する組織RegenMed Development OrganizationのRegeneratOR “Innovation Accelerator” プログラムに参画しました。当プログラムは再生医療技術を有する企業に対して研究場所と支援を提供する目的で創設され、PHCグループは、このプログラムへの参画にあたりEprediaやAiforia Technologies Plcを含む傘下事業会社、及びパートナー企業の現地オフィスを設けています。
診断・ライフサイエンスドメインでは独自の電気化学センサ技術を活用した細胞代謝モニタリングの開発や、パートナー企業との協業を通じたデジタル病理、免疫組織化学技術の開発を進め、中期経営計画における先端治療開発ソリューションの拡大を推進します。
当連結会計年度の診断・ライフサイエンスドメインにおける研究開発費は