第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、エンジニアリングをコアとしたトータルソリューションプロバイダーとして、顧客企業が求める多様なニーズにお応えすることをビジネスとしております。当社グループの基本方針として、以下の「我々が目指すもの」を常に念頭に置いた企業活動を行っております。

「我々が目指すもの」

・エレクトロニクスビジネスを通じて、人々の生活を豊かで快適なものにし、「未来社会に貢献」する

・創造力を駆使、携わるエレクトロニクス業界の技術の進歩に寄与し、「不可欠な存在」になる

・我々の真の事業は「問題を解決」することであり、顧客に満足いただく労苦を惜しまない

・先端技術に挑戦し続ける「パイオニア」になる

・創造力を発揮できる会社の仕組みづくりに心血を注ぐ、「誇りの持てる会社を実現」する

 

(2)経営戦略等

当社グループは創業以来の商社から転換し、「自社製品・サービスを軸に、顧客企業の設計・開発・検証・テストをサポートするソリューションプロバイダー」としての成長を目指します。商社ビジネスで培った顧客のニーズを把握する力を土台とし、最先端の技術を採用した様々なハードウェア・ソフトウェア・サービスの提供を可能とするのが当社グループの強みであると認識しており、利益成長の機会が豊富に存在していると考えております。

具体的な戦略として、2019年2月に公表した中期経営計画(2019年度から2023年度)においては、以下5つを掲げ実行してまいります。

利益成長の追求を図る戦略

・テストソリューション事業の成長

・自社製品売上の増加/メーカー機能の強化

・顧客ベースの拡大/海外市場開拓

・新規分野への積極的な取組

資本政策・投資戦略

・「資本政策に関する基本方針」(2018年2月7日公表)に則した資本効率の向上(資本コストを意識した投資)

また、長期的に企業価値向上に繋がる施策として、ESG/SDGs分野の活動も充実させてまいります。

 

(3)経営環境

当社グループが参画する先端エレクトロニクス業界は、中国や新興国の生産能力の拡大や経済安全保障強化に伴う半導体工場の新設、自動車産業のエレクトロニクス化の進展など中長期的には大きな成長が見込まれ、また先進国での人口減少に伴う生産性向上や脱炭素、省エネルギーへの対応要求にもエレクトロニクス技術のさらなる活用が必須であると考えられます。

一方、翌連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策に伴う社会経済活動への制約がほぼ解消され、コロナ禍で抑制されてきた個人消費や設備投資の回復などにより、緩やかに持ち直していくものと思われますが、欧米におけるインフレ対策としての急激な政策金利の引き上げによる景気後退リスクや米国による対中輸出規制強化、ウクライナ情勢などの地政学的リスクの影響が懸念されるほか、部材調達難の長期化や資源価格の高騰など、先行きが不透明な状況が続くものと予想されます。

当社グループの事業活動においては、テストソリューション事業は、半導体不足による部材調達難のリスクが依然として懸念されるものの、翌連結会計年度の後半から半導体市況回復に伴う国内向けメモリーテスターの需要増が期待されることに加え、メモリー以外の周辺ソリューションビジネスの拡大を目指すとともに、ファウンドリ顧客の新工場建設などにより信頼性テストシステムやプローブカードの需要回復を見込んでおります。

半導体設計関連事業は、EDAソフトウェアにおいては既存顧客との期間契約の確実な更新、新規分野の顧客開拓などにより堅調に推移するものと見込まれますが、LSI設計受託においては国内の半導体や自動車関連顧客の予算削減により需要が減退するものと予想されます。

システム・サービス事業は、部材不足や価格高騰の影響が依然として懸念されるものの、CPUボードやBOX型コンピューターの顧客需要が引き続き高いことや、自動車業界の需要回復による車載関連の組込みソフト検証ツール及び検証サービスの増収が期待されることに加え、社会経済活動の正常化に伴う決済端末出荷台数のさらなる増加やサービス収入の伸長などにより増収増益を見込んでおります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、多様化する顧客ニーズを読み取り、最適なソリューションを取り揃え提供していくことで、顧客にとって不可欠なパートナーであり続けることを目指して取り組んでおります。当社グループが対処すべき当面の課題として、2019年度から2023年度までの現中期経営計画において掲げた以下の事項に取り組んでおり、企業価値をさらに高めていく所存です。

①テストソリューション事業の成長

半導体製造装置の輸入販売事業から撤退したのち、ゼロから参入した自社製メモリーテスター事業は、現在当社グループの主力事業に成長しており、2014年度に買収したSTAr Technologies, Inc.も積極的な研究開発や人材投資などにより事業規模を拡大してまいりました。テストソリューション事業は、強みである顧客ニーズの把握とそれに応じた柔軟な設計に基づく専用テスターや信頼性試験装置、プローブカードの開発により、限られた分野ではあるものの確固たるポジションを築いておりますが、こうした強みを他の用途のテスター等に応用し製品ラインナップを拡充するとともに、海外顧客の獲得にも注力し事業の安定化とさらなる成長を目指します。

②自社製品売上の増加/メーカー機能の強化

近年、当社グループは先端的な自社ソリューション、自社製品の開発・展開を図ってまいりました。ガイオ・テクノロジー社やレグラス社の買収を含め、ここ数年で当社グループにおける自社製品/サービス売上の比率は急激に上昇してきており、当連結会計年度においては7割を超えております。売上高研究開発費比率も上昇してきており、優秀な技術者の確保や品質管理の強化などメーカーとしての機能を充実させるため、採用活動や品質管理の社内規則の制定などに積極的に取り組んでおります。今後も引き続き自社製品/サービスの拡充に注力してまいります。

③顧客ベースの拡大/海外市場開拓

当社グループの顧客は、従来の輸入商社ビジネスにおいては国内の大手エレクトロニクス企業に大きく偏っておりました。近年、テリトリー制限のない自社製品/サービス事業の展開により、当社グループの顧客層は車載、インフラ、医療などの他業種へ、さらにはアジアを中心とした海外へと拡大を見せ始めており、今後もさらにこの流れを推し進めてまいります。

④新規分野への積極的な取組

長期的な成長機会の獲得を見据え、新規事業の開拓にも積極的に取り組んでおります。コーポレートベンチャーキャピタルとして設立したFenox Innotech Venture Company VI, L.P.によるベンチャー企業への投資を含め、様々なビジネスチャンスを模索しており、AIを活用したロボットによる生産現場の省力化システムを納入するなど、少しずつ成果が現れ始めているほか、引き続き人工知能、ロボティクス、クラウド、ビッグデータ解析といった分野の事業立ち上げを目指してまいります。

⑤資本効率の向上

2018年2月7日に公表した「イノテックグループの資本政策に関する基本方針」を現中期経営計画においても踏襲し、ROE8%超の実現のため資本政策についても柔軟に対応するとともに、株主還元の充実にも引き続き注力してまいります。

⑥ESG活動の推進

わが国の企業を取り巻く規制や経営環境は日々変化しており、当社グループの事業や関連する外部環境も大きく変動しております。このような状況の下、当社グループでは国際的なビジネスに対応するためのガバナンス体制の構築、地域社会への貢献、社員に対する教育の充実、気候変動や環境への配慮等に関して、これまで以上に積極的に取り組むとともに、こうした活動について当社ウェブサイトに専用ページを開設し情報開示の充実を図っており、当社グループが社会にとって不可欠な存在であるということを理解していただけるよう努め、中長期の持続的成長の実現へと繋げてまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2019年2月に2019年度から2023年度を対象とした中期経営計画を公表しました。現中期経営計画では、「利益成長に伴う企業価値の拡大」を目指しております。

具体的には、ROE8%超を最低限の目標とし、利益やキャッシュ・フローの拡大と同時に「資本政策に関する基本方針」に基づいた適切な資本政策の実行により資本効率の向上を図り、両面からROE目標の達成を目指してまいります。

当社グループが中期経営計画において掲げている主な数値目標は以下のとおりであります。

・自己資本当期純利益率(ROE):中期8%超

・投下資本利益率(ROIC):ROICと加重平均資本コスト(WACC)のスプレッド拡大を実現し、8%を目指す

・負債資本倍率(D/Eレシオ):有利子負債による資金調達を行う場合においては0.5倍以下を目安とする

・配当性向:連結配当性向30%を下回らないこととし、急激な業績変化等が起こらなければ50%程度を目安とする。また、自己株式取得を機動的に行い、総還元性向を高め、自己資本額を適正に保つ

現中期経営計画期間における実績は次のとおりであります。

 

2019年度

(第34期)

2020年度

(第35期)

2021年度

(第36期)

2022年度

(第37期)

ROE

5.8%

7.8%

10.4%

7.3%

ROIC

4.5%

4.7%

6.7%

5.0%

D/Eレシオ

35.7%

42.5%

38.7%

38.7%

配当性向

49.4%

41.4%

38.5%

55.1%

引き続き現中期経営計画にて掲げた戦略の実行により上記目標の達成を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは、持続可能な社会の実現や企業価値の向上に向け、経営理念やサステナビリティ基本方針をベースとしたサステナビリティに関する5つの重要課題(マテリアリティ)を特定し、事業活動を通じてマテリアリティに掲げた課題に積極的に取り組むことにより、当社グループのサステナビリティ活動のさらなる充実を図ってまいります。

マテリアリティ

重点テーマ

ヒューマンキャピタルマネジメント

・人材確保・育成、ナレッジマネジメント

・ダイバーシティ&インクルージョン

・モチベーションの向上

・労働安全衛生、働き方改革・業務効率化

サプライチェーンマネジメント

・部材調達と製品供給の安定化

・持続可能エネルギーへのアクセス確保

・サプライヤーCSR行動基準

エレクトロニクス技術を通じた社会課題の解決

・環境負荷低減製品での環境貢献

・顧客企業の生産性向上

・新規技術・分野への取組

・品質マネジメントによる生産性の改善

・ディーセントワークの実現

社会との共生と持続可能な未来への貢献

・地球環境・気候変動への配慮、貢献

・イノベーション・価値創造の促進

・取引先とのパートナーシップ

経営基盤の整備

・資本効率の向上

・サクセッションプランニング

・情報セキュリティ、コンプライアンス

 

(1)サステナビリティ

①ガバナンス

 当社グループは、当社の代表取締役社長をCSO(Chief Sustainability Officer:最高サステナビリティ責任者、以下、CSOという。)、管理部門分掌の取締役をESG/SDGs推進担当取締役(以下、担当取締役という。)とし、サステナビリティに関する基本方針及びそれらに関する重要事項等を審議する場としてCSOが主催する「ESG/SDGs推進会議」(以下、推進会議という。)を設置、原則として毎月開催することによりサステナビリティに関する取組を推進しております。推進会議の主な参加者は、CSO、担当取締役のほか、常勤取締役、各事業部門長及び国内連結子会社の代表者であります。

 推進会議では、定期的に(年1回以上)サステナビリティに関するリスク分析を行い、最新の状況を踏まえた対応方針や具体的な取組を協議し、同様に機会の識別、評価も実施しながら事業戦略に反映するとともに、当社グループが掲げる目標や取組について進捗状況をモニタリングしております。CSO及び担当取締役は、サステナビリティに関するリスクと機会の状況について定期的に(年1回以上)取締役会へ報告し、リスクの管理状況を取締役会が適切に監視、監督できる体制を整えております。なお、取締役会は各種の経営判断を行う上で、サステナビリティに関する問題を考慮しております。

 また、常勤取締役を含めた全従業員が参加する年4回のコミュニケーションミーティングや、連結子会社の役員等も参加する経営会議等を通じてサステナビリティに関する知識の共有や、ESG投資等に関する投資家動向の認識の共有、外部環境の把握に努めております。これらにおいて、優先度や重要度が高い論点、重要課題が認められた場合には、必要に応じて取締役会に議題として上程し、社外取締役を含む役員全体で議論を進めております。

 

②リスク管理

 当社は、サステナビリティに関するリスクを的確に識別、評価、分析し、適切に対応することが、中長期の持続的な成長と企業価値の拡大に繋がると考えており、推進会議において、当社グループにとって重要なリスクを特定した上で対策を検討し、その進捗を管理しております。また、抽出したリスクの変化や、新たなリスク発生の有無を定期的に(年1回以上)確認し、発生の可能性と影響額の大きさをもとにあらためて評価、分析して重要なリスクの見直しを行った上で、対策の検討と進捗の管理を実施することにより、リスク管理水準の向上に努めております。推進会議で議論された内容は、定期的に(年1回以上)取締役会に報告され、リスクの管理状況を適切に監視、監督できる体制を整えております。

 

(2)人的資本

①戦略

 当社は、従業員一人ひとりが意欲を持ち、それぞれが多様な個性を発揮し、それぞれの多様な働き方で、新しいことに挑戦できる職場環境を目指すとともに、年齢、性別、性的自認や性的指向、国籍、障がいの有無等にかかわらず、全ての従業員を尊重し、ダイバーシティの浸透を図ってまいります。

イ.中核人材の登用方針

 当社は、年齢、性別、国籍、新卒・中途採用の別にかかわらず、中核人材である「管理職」に登用することでダイバーシティの浸透を図ってまいります。

ロ.人材育成方針

 当社は、当社グループの企業価値向上や成長は、個々の従業員の成長が基盤となって実現されるものと考え、事業規模の拡大に伴って必要となる人材の確保と教育、研修、人事制度の整備に加え、個々の従業員が実力を発揮できる組織づくりに積極的に取り組んでおります。また、個人の能力を最大限に尊重し、性別・国籍、障がいの有無を問わず、様々な価値観を評価し採用及び登用の判断を行っております。

ハ.人材育成や能力開発への取組

 当社は、さらなる成長を実現するために、次の3つの視点から事業構造改革を推進しております。第1は「製品ビジネスからソリューション・ビジネスへ」、第2は「国内ビジネスからグローバルビジネスへ」、第3は「半導体市場から最終製品市場へ」であり、これらの事業変革を実現するために必要と考える人材像として次の7項目を設定し、人材育成及び能力開発を進めております。

・新規ビジネス開拓等、失敗を恐れず自ら進んで新しいことに取り組む意欲のある人

・高い専門知識・能力をベースに、グローバルな視点を持ち、臆することなく海外展開できる人

・将来の見通しや具体策を明示し、決断、実行できる人

・当事者意識/自覚、責任意識を持ち、逃げずに前向きにやり遂げる人

・リーダーシップを持ち、チームで協力しながら目標を達成できる人

・相手の立場を理解し、謙虚さ・真摯さ・他者(社)への敬意を示し、良好な関係を築ける人

・成長意欲、自分の意見・意思を持ち、上司・顧客を問わず、臆せずに進言・提言できる人

 また、当社は事業領域の変化に対応する人材育成基盤となる研修制度を構築し、その円滑な運用と継続的な改善を統括する組織として2019年10月に「教育委員会」を発足させております。人材育成や能力開発には継続的な教育が不可欠であり、従業員が成長するためには、社会人としての汎用的なスキルである「基礎力」と、事業や業務に特化したスキルである「専門力」の両方を高めていく必要があるとの考えから、当社では、日々の業務を通じて「専門力」を磨く一方、「基礎力」向上のためのツールとして、全従業員を対象に教育研修プログラムを導入しております。

 さらに、従業員とのエンゲージメントは重要な活動であるという考えのもと、当社では当連結会計年度において外部のコンサルティング会社に委託して匿名式の従業員エンゲージメント調査を実施し、従業員が会社や職場についてどのように考えているかを調査・分析し、会社と従業員が同じ方向を向いて持続的な信頼関係を築けるように努めているほか、2014年から全従業員を対象とした記名式の人事に関するアンケート(年1回)を自社で実施しており、従業員一人ひとりの要望・悩み等の把握に努め、アンケート結果や改善策については、社外取締役や監査役の客観的な意見も交えつつ、様々な角度で議論され、状況改善に取り組んでおります。

 

②指標及び目標

 当社は、人材の多様性を確保する上で、当社及び国内連結子会社において管理職登用に男女差があることを課題として捉え、当社及び国内連結子会社の女性管理職比率を主要KPIとして設定し、これを実現するための施策を講じてまいります。

当社及び国内連結子会社における女性管理職比率

2022年度(実績)

2025年度(目標)

2030年度(目標)

3.6%

5.0%

10.0%

 なお、当社では人材の多様性を確保する上で、国籍によって管理職登用のプロセスに特段の差が生じているとは認識していないため、現時点では外国人について管理職登用の目標策定は行っておりません。また、管理職に占める中途採用者の割合は既に過半数に達しております。

 上記の目標を達成するため、当社では以下の重点施策を講じてまいります。

・女性社員と経営陣との間で定期的な意見交換の機会を設ける

・定期的なダイバーシティ推進研修を開催する

・新卒女性採用比率を30%以上とする

・年次有給休暇取得率向上、育児短時間勤務制度、在宅勤務など柔軟で効率的な働き方を推進する

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社グループは、以下のリスクに対応するため「リスク管理規程」を整備するとともに、代表取締役社長執行役員が委員長を務める「リスク管理委員会」を設置することにより業務遂行上のリスクの適切な管理や未然防止を図っております。リスク管理委員会は、リスク管理基本方針の立案やリスク情報の収集、抽出されたリスクの分析・評価(重要性の判断)、各部門における業務遂行上のリスク管理の監督等を行っております。複数の部門に係る重要度の高いリスクについては、各種委員会や事務局とも連携し、全社横断的なリスク対策を推進しております。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)特定取引先や業界への依存について

①特定の顧客への依存

 テストソリューション事業における主力製品である半導体メモリー向け自社製テストシステムの販売事業の顧客は、特定の半導体メモリー製造企業であり、当該セグメントの売上高に占める主要顧客への依存度が高い水準となっております。

 当社グループは、現中期経営計画において同事業のさらなる成長を目指しておりますが、同事業は、技術の進歩等により大きく成長する反面、当社グループが管理不能な事由で半導体市場の需給バランスが崩れ、一時的な市場収縮による顧客の設備投資の抑制、生産活動の停滞や、業界再編等に伴う顧客の事業撤退や事業売却により、当社グループの事業計画遂行や経営成績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクに対処するため、当社グループは、製品ラインナップの拡充や多様なアプリケーションの開拓による市場の拡大、顧客との密なコミュニケーション、最適なビジネスモデルの構築等に努めております。

②特定の業界への依存

 システム・サービス事業や半導体設計関連事業において取り扱う製商品・サービスの主要取引先には、国内の自動車メーカー及びその関連企業が含まれます。

 当社グループは、現中期経営計画において自動車関連市場向け事業のさらなる成長を目指しておりますが、パリ協定の合意以降、世界的に脱炭素化の流れが加速しており、ガソリン車の販売規制や世界的な自動車の電動化が進行するなか、急速な電動化への対応の遅れによる国内自動車メーカーの競争力低下や業界再編による市場の縮小などにより、当社グループの事業計画遂行や経営成績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクに対処するため、当社グループは、電動車向け製商品・サービスの強化や海外自動車メーカー等への販路拡大などに努めてまいります。

③特定の仕入先への依存

 当社グループは、取扱製商品や部材等を様々な企業から調達(仕入)しておりますが、半導体設計関連事業における主力商品である半導体設計用(EDA)ソフトウェアの販売事業は、特定の仕入先に依存しており、当該仕入先の予期せぬ企業再編行為や代理店契約の解消等により、当社グループの事業展開や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクに対処するため、仕入先との良好な関係の維持に努めるとともに、自社製品、サービス事業の強化による事業ポートフォリオの最適化を推進してまいります。

 

(2)人財確保に関するリスクについて

 当社グループが参画する事業領域は、技術革新が激しく、顧客ニーズを汲み取り最適なソリューションを提供するためには高度な技術力を必要とします。

 また、当社グループは、現中期経営計画において自社製品売上の拡大及びメーカー機能の強化を推進しており、特に製品の研究開発に必要な能力を満たす人財の採用や育成がますます重要になっておりますが、技術者の獲得競争は激しいものとなっており、仮に充分な技術者を採用できない場合や優秀な技術者が流出した場合には、事業計画の遂行や将来の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクに対処するため、海外の技術者を含めた積極的な採用を行っているほか、教育制度を充実させ技術力の維持・向上を図るとともに、外部の協力会社を活用して効率的なリソース配分に努めております。

 

(3)自然災害や地政学的リスク等について

 当社グループは、日本国内及びアジアを中心とした海外において事業活動を展開し、現中期経営計画においてさらなる拡大を目指しておりますが、それらの地域において地震、台風、水害等の自然災害や重大な感染症の世界的流行、地政学的リスクの顕在化等が発生した場合には、販売活動の停滞や商材・部材の調達困難、従業員の人命に係る事態等により、事業計画の遂行や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクに対処するため、仕入先の分散化や代替部材の並行評価、長期部材の先行確保、部品の共通化、事業継続計画(BCP)の見直しと管理体制の強化、安否確認システムの導入、防災訓練の実施、産業医と連携した感染予防・拡大防止策の策定等の対策を講じております。

 

(4)自社製品等の品質に関するリスクについて

 当社グループは、自社製品売上の拡大やメーカー機能の強化を推進しており、テストシステムや組込み関連などにおいて自社製品やサービス事業を展開しておりますが、製品等の不良による顧客生産ラインへの支障や顧客開発計画の遅延、クラウドサービスに係るサーバー障害等によるサービスの停止や情報の喪失などの損害が発生する可能性があります。特に半導体製造企業や自動車関連企業に対する損害賠償は甚大なものとなることも想定されます。また、全世界的に脱炭素への取組が活発化しており、当社製品の製造過程やサプライチェーンにおいても脱炭素が求められることが想定されますが、対応の遅れ等により顧客との取引が継続できなくなった場合、事業計画や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクに対処するため、製造物賠償責任保険等への加入のほか、品質管理や品質保証の担当部門等を設置し、「ISO9001」の認証を取得するなどして積極的な品質管理活動を行い、品質管理体制の強化を推進しております。また、カーボンフリーエネルギーの利用検討を積極的に進めるなどの対策を講じてまいります。

 

(5)コーポレート・ガバナンス、内部統制について

 当社グループは、国際的なビジネスや外部環境に対応するため、コーポレート・ガバナンスや内部統制が適切に機能することが重要であると認識しておりますが、M&Aの推進に伴う事業の急速な拡大等により、十分なガバナンスや内部統制構築の整備が追い付かない状況が生じ、従業員等の故意又は過失による法令違反行為の結果、当社グループの社会的信用の失墜により、財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクに対処するため、新たに買収した子会社等に対しては、規程の整備や会計方針の統一などに親会社が積極的に関与し、早期のガバナンス強化や内部統制構築を図っております。また、当社グループとして「内部統制基本方針」や「イノテックグループ倫理行動基準」を策定し、「イノテックグループ外部通報窓口」を設置するなど、内部統制システムを充実させ適切に運用するほか、当社の役員や従業員を子会社の役員として出向又は兼務させて子会社の経営に関与し、不正等の早期発見と適切な対応を図ることなどにより、法令遵守や財務報告の適正性の確保に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

①財政状態の状況

当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産が43,629百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,088百万円増加しました。一方、負債は19,039百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,665百万円増加しました。また、純資産は24,589百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,422百万円増加しました。

 

②経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策の緩和に伴い社会経済活動の正常化が進み、個人消費の回復などにより景気に持ち直しの動きがみられたものの、ウクライナ情勢や急激な円安の進行等を背景とした資源価格の高騰や物価高の影響に加え、部材供給難の長期化や米国による中国への輸出規制強化など、先行きについては依然として不透明な状況が続いております。

このような状況の下、当社グループにおける当連結会計年度の業績につきましては、半導体設計用(EDA)ソフトウェアや決済端末の販売が堅調に推移したものの、研究開発への注力や事業拡大に伴う人員増などが影響したことから、売上高38,629百万円(前期比3.7%増)、営業利益2,319百万円(同10.3%減)、経常利益2,480百万円(同16.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,666百万円(同24.1%減)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動により1,680百万円(前期比38.7%減)の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)を得た一方、投資活動において1,692百万円(同47.1%増)、財務活動において517百万円(同42.5%減)を使用した結果、当社グループの当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末に比べ346百万円減少し、6,134百万円となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

テストソリューション事業(千円)

9,773,699

96.19

半導体設計関連事業(千円)

2,971,573

99.69

システム・サービス事業(千円)

6,421,464

137.80

合計(千円)

19,166,736

107.67

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.一部の自社製品については、社外へ委託生産を行っており、上表の金額は外部委託先からの仕入価格を基準に記載しております。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

テストソリューション事業(千円)

3,037

2.70

半導体設計関連事業(千円)

7,366,303

108.03

システム・サービス事業(千円)

1,739,789

74.16

合計(千円)

9,109,130

98.19

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

c.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

テストソリューション事業

14,246,610

100.45

2,742,076

112.68

半導体設計関連事業

14,521,642

118.62

12,467,595

110.99

システム・サービス事業

12,213,066

112.60

3,833,498

126.74

合計

40,981,319

109.95

19,043,170

114.09

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

テストソリューション事業(千円)

13,938,015

96.47

半導体設計関連事業(千円)

13,287,564

106.90

システム・サービス事業(千円)

11,404,181

110.07

合計(千円)

38,629,761

103.74

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容

a.財政状態

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、25,957百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,767百万円増加しました。これは主に、部材不足の対応に伴う先行手配等により棚卸資産が増加したことによるものであります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は、17,671百万円となり、前連結会計年度末に比べ320百万円増加しました。これは主に、連結子会社における機械装置及び運搬具の取得によるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、17,068百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,456百万円増加しました。これは主に、固定負債からの振替により1年内償還予定の社債が増加したほか、支払手形及び買掛金や前受金が増加したことによるものであります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、1,970百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,790百万円減少しました。これは主に、長期借入金の調達を実行した一方、流動負債への振替により社債が減少したことによるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、24,589百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,422百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによるものであります。この結果、自己資本比率は54.1%となり、前連結会計年度末に比べ0.7ポイント減少しております。

 

b.経営成績

(売上高、売上原価、販売費及び一般管理費)

当連結会計年度の売上高は、半導体設計用(EDA)ソフトウェアや決済端末の販売が堅調に推移したことなどから38,629百万円となり、前連結会計年度に比べ3.7%増加しました。一方、売上高に対する売上原価の比率は、一部の事業において部材価格高騰の影響が継続したものの、決済端末事業の需要回復や自社製テストシステム事業における新製品の販売好調が寄与したことなどにより、前連結会計年度に比べ1.6ポイント減少し68.3%となりました。また、販売費及び一般管理費は、新製品の開発や業容拡大に伴い研究開発費や給与手当が増加したことなどにより前連結会計年度に比べ14.9%増加し、9,922百万円となりました。

この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ10.3%減少し、2,319百万円となりました。

報告セグメント別の経営成績は次のとおりであります。なお、セグメント利益は連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。

〔テストソリューション事業〕

 テストソリューション事業は、半導体メモリー市場等の顧客を中心に当社グループのエンジニアリング力を活かし、高付加価値製品の提供に注力するとともに、顧客ニーズに対応した製品の開発や新規市場の開拓に積極的に取り組んでまいりました。当事業においては、半導体不足に伴う一部部材の長納期化や価格高騰の影響を受けましたが、設計変更による代替部品への切り替えや新規調達先開拓などの対応により影響の最小化に努めてまいりました。自社製テストシステムは、市況悪化に伴う国内顧客の投資抑制によりメモリー向けテスターの需要が減退したことに加え、海外向け販売も低迷したことから減収となり、これに伴う在庫評価損を計上したものの、新製品の販売好調により一定の収益性は確保しました。台湾のSTAr Technologies, Inc.は、信頼性試験装置の需要が堅調に推移したものの、プローブカード販売の伸び悩みや部材調達難、研究開発への注力や事業拡大に伴う人員増などにより収益性は低下しました。

 その結果、当事業の売上高は13,938百万円(前期比3.5%減)、セグメント利益は957百万円(同37.6%減)となりました。

〔半導体設計関連事業〕

 半導体設計関連事業は、新型コロナウイルス感染症対策の緩和により社会経済活動の正常化が進むなか、インターネット等の活用に加え対面での営業活動を再開し、売上拡大及び収益の安定化に努めてまいりました。主力商品の半導体設計用(EDA)ソフトウェアは、新規顧客への販売が増加したほか、既存顧客からの受注が伸長したことなどにより増収となりました。三栄ハイテックス株式会社のLSI設計受託ビジネスは、海外事業がロックダウンの影響を受け伸び悩んだものの、国内における主力顧客の需要が概ね堅調に推移し増収となりました。株式会社モーデックのシミュレーションモデル製品販売や設計支援サービスも半導体や自動車関連向けを中心に概ね堅調に推移いたしました。

 その結果、当事業の売上高は13,287百万円(前期比6.9%増)、セグメント利益は632百万円(同4.3%増)となりました。

〔システム・サービス事業〕

 システム・サービス事業は、当社グループのエンジニアリング力を活かし、特徴ある製品の開発やサービスの提供に注力してまいりました。当事業においても、半導体不足やサプライチェーンの混乱等による一部部材の長納期化や価格の高騰が続いておりますが、先行手配や新規調達先開拓、代替部品への変更などの柔軟な対応により影響の最小化に努める一方、展示会への出展を再開し新規顧客の獲得や商談件数の増加を図るなど積極的な営業活動を行ってまいりました。自社製CPUボードやBOX型コンピューターなどの組込み製品は、社会インフラや産業機械向けなどを中心とした需要の高まりを受け増収となりました。アイティアクセス株式会社は、社会経済活動の正常化などに伴い決済端末の需要が回復したことに加え、クラウド決済サービスの収益も貢献し増収増益となりました。ガイオ・テクノロジー株式会社は、自動車関連の需要が本格的な回復に至らないなか、車載向け組込みソフト検証ツール販売は伸び悩んだものの、エンジニアリングサービスの需要が回復し増収増益となりました。一方、株式会社レグラスのAIカメラシステムは、建設機械向けの販売が増加したものの、量産案件が低迷したことに加え、受託開発もプロジェクトの遅れなどにより伸び悩み減収となりました。

 その結果、当事業の売上高は11,404百万円(前期比10.1%増)、セグメント利益は1,333百万円(同19.6%増)となりました。

(営業外損益)

当連結会計年度の不動産賃貸料は、テナントの一部退去があったことなどから447百万円となり、前連結会計年度に比べ1.9%減少しました。また、主に海外子会社における助成金収入や為替差益も減少しました。一方、不動産賃貸費用は、資源価格高騰に伴う水道光熱費の増加などにより、前連結会計年度に比べ3.2%増加の336百万円となりました。

この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ16.9%減少し、2,480百万円となりました。

(特別損益)

当連結会計年度の特別利益は、固定資産売却益を計上したことなどにより2百万円となりました。一方、特別損失は、国内子会社において補助金収入に係る固定資産圧縮損を計上したことなどから、0百万円となりました。

この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ16.6%減少し、2,482百万円となりました。

(法人税等)

当連結会計年度の法人税等は、海外子会社の税金費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ10.7%増加し、767百万円となりました。

この結果、当期純利益は、前連結会計年度に比べ24.9%減少し、1,714百万円となりました。

また、法人税等の税金等調整前当期純利益に対する比率は30.9%となり、前連結会計年度に比べ7.6ポイント増加しました。

(非支配株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は、主にSTAr Technologies, Inc.が減益となったことから、前連結会計年度に比べ45.6%減少し、48百万円となりました。

この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ24.1%減少し、1,666百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況

当社グループの当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末に比べ346百万円減少し、6,134百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は1,680百万円(前期比38.7%減)となりました。これは主に、棚卸資産及び前渡金が1,946百万円増加したものの、税金等調整前当期純利益を2,482百万円、減価償却費を1,197百万円それぞれ計上したことなどにより資金を得たためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は1,692百万円(同47.1%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得に1,076百万円、無形固定資産の取得に493百万円の資金を使用したことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は517百万円(同42.5%減)となりました。これは主に、長期借入れにより1,000百万円を得たものの、配当金の支払に918百万円、長期借入金の返済に530百万円の資金を使用したことなどによるものであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品や原材料等の仕入代金や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は経常的に発生するものではありませんが、生産設備を有する一部の子会社の設備投資や事業買収に係る費用等があります。これらの資金需要に対しては、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を使用し、不足分について金融機関からの借入などによる調達を実施することとしております。長期借入金や社債などの長期資金の調達につきましては、金利動向などの調達環境を考慮のうえ、調達規模や調達手段を適宜判断して実施することとしております。

また、自己株式の取得につきましては、「資本政策に関する基本方針」に基づき、実行の是非を判断することとしております。

 

③経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準により作成されております。

連結財務諸表の作成にあたって、経営者が採用した会計基準や、資産・負債及び収益・費用の計上並びに開示に影響を与える見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、研究開発の充実によって当社グループ自身のエンジニアリング力を高め、市場動向及びニーズを重視しながら自社の新製品・新技術の研究開発を積極的に進めております。

現在の研究開発は、当社グループの各技術部門を中心に推進されており、主に当社においては半導体テストシステムや組込み用途向けのCPUボード、子会社においては半導体向けの信頼性試験装置やプローブカード、キャッシュレス決済端末や車載向けの組込みソフト検証ツール等の開発を行っております。

当社グループの当連結会計年度の研究開発費の総額は2,071百万円となっており、このうち、テストソリューション事業に係る研究開発費が1,708百万円、半導体設計関連事業に係る研究開発費が42百万円、システム・サービス事業に係る研究開発費が320百万円となっております。

なお、当連結会計年度の主な研究開発活動の内容は以下のとおりであります。

 

(1)テストソリューション事業

当社のテストシステム事業では、3D NANDデバイスのさらなる多層化や微細化など、次期メモリーデバイストレンドに合わせたテストシステムの開発に向け、これまで蓄積してきた超多数個同時測定技術や高速データ転送技術などのコア技術強化に注力いたしました。イメージセンサー分野では、高画素化やインターフェースの高速化に対応した高速キャプチャインターフェースの開発を連結子会社である株式会社レグラスと共同で行いました。

また、STAr Technologies, Inc.は、信頼性試験装置事業においては、アプリケーションライブラリの拡張やRFデバイス向け信頼性試験装置の開発に取り組み、プローブカード事業では、先端のアドバンスト型プローブカードの開発を行いました。

 

(2)システム・サービス事業

自社ブランド「INNINGS」にて展開する当社の組込み用途向けCPUボード製品は、前連結会計年度から継続しておりましたインテル社製CPU「Atomシリーズ」の最新世代(ElkhartLake)搭載のCPUボードやそのCPUボードを搭載した小型BOX製品の開発が完了し、新製品として複数機種リリースすることができました。これらの新製品は、FA・産業機器等を中心とした組込み向け市場やエッジAI市場における顧客へ採用され始めております。翌連結会計年度はこれらの製品をベースとしたカスタマイズ製品の開発やインテル社製CPU「Coreシリーズ」(TigerLake)搭載製品の開発にも取り組んでまいります。また、当連結会計年度より「INNINGS」製品において顔認証を実現(エッジ顔認証技術)するためのエッジAI分野の製品開発を開始しており、個人情報保護を前提とした顔認証技術の市場ニーズを見極めながら、2024年度以降の量産開始を目指しております。

また、ガイオ・テクノロジー株式会社の組込みソフト開発・検証ツールについては、車載向けソフトウェアをはじめとした大規模化するソフトウェアに対し、既存製品では網羅できなかったLinux向けのテスト設計、テスト実行支援ツールの試作を進め、翌連結会計年度の製品化を目指しているほか、セキュリティ/セーフティのプロセス支援ツールの新規開発や、モデルベース開発に係る次世代製品の基礎研究などに取り組みました。

アイティアクセス株式会社の決済端末事業については、QRコード決済を含む各種電子マネーへの対応や各種認証のためのシステム開発、オフィスコンビニやアミューズメント向けの専用端末の開発などに注力しております。

株式会社レグラスのAIカメラ画像ソリューションについては、建設機械などに装着する安全装置向け人物検知システムの検知機能向上や建設機械自体の制御機能と連携するシステム開発などに注力し、安全機能のニーズが高まっている建機・フォークリフト市場へ向けた製品開発を推進しております。