文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは経営理念として「建設エンジニアリング※による価値創造を通して、従業員の自己実現と企業の持続的成長を目指す」を掲げています。
現在の我が国は、大量生産・大量消費による高度経済成長から多様化・環境保全による持続的成長への転換に向け、新しい社会のあり方が求められています。このような中で、当社グループは創業時から目指してきた建設施工の工業化から、建設に関わるあらゆる分野のエンジニアリング化へのステップアップをさらに推し進めています。
この経営理念の下、多様化する社会にエンジニアリングによる新しい価値を提供し続けることで、従業員一人ひとりの成長と幸福の実現、そして企業の持続的成長を目指してまいります。
※ エンジニアリングとは、工学という言葉の持つ「自然科学と人文社会科学の融合」「人間社会にとって望ましい環境を構築するという公共性」「時間、人員、予算等の経営資源とリスクの合理的なマネジメント」「環境に対する配慮(サステナビリティ)」「説明責任(アカウンタビリティ)」等を含めた広義のエンジニアリングです。
(2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
当社グループは持続的成長を実現していくために、2030年度の目指す姿を「課題解決&価値創造型企業」と定めました。この「課題解決&価値創造型企業」とは、顧客・地域・社会が抱える課題を解決するだけにとどまらず、より良い社会を実現するために建設エンジニアリングによる新たな価値を創造・提供することで、顧客・地域そして社会の持続的発展に貢献する企業です。
この目指す姿の実現に向けて、前半5年間を既存事業の深化・進化と新規分野・領域の探索・開拓を両立推進し、後半5年間で加速度的に成長するための基盤を構築する期間と位置づけ、2021年度を初年度とする中期経営計画を掲げております。
「中期経営計画(2021年度~2025年度)」の事業方針及び数値目標等は以下のとおりです。
①.事業方針
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~課題解決&価値創造型企業への変革~ |
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加速度的成長に向けた「つくる(造る・創る)力」の増強と持続的成長への基盤構築 |
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■ 既存事業の深化・進化 |
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■ 新規分野・領域の探索・開拓 |
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■ 成長を支える経営基盤の確立 |
②.数値目標(連結)
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2025年度 |
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売上高 |
1,300億円 |
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営業利益 |
100億円 |
③.配当方針
連結業績や財務状況を勘案しながら、継続的かつ安定的な株主還元を実施する。
自己株式の取得は成長投資の状況及び市場動向などに鑑み、必要に応じて臨機応変に実施を検討する。
[ 配当性向の目標 ]
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配当性向 |
30%以上 |
④.投資計画
10年後の目指す姿の実現に向けた基盤構築のための成長投資を実施する。
[ 投資金額 ]
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2021年度~2025年度(5年間) |
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成長投資 |
約300億円 |
(3)会社の経営環境と対処すべき課題
今後の経営環境につきましては、新型コロナウイルス感染症による国内外への影響に加え、資源及び原材料価格の高騰、供給制約の長期化、地政学リスク等により先行き不透明な状況にあります。国内建設市場においては、公共投資は引き続き堅調に推移し、民間住宅投資や民間設備投資も回復基調にあるものの、足元の競争環境は厳しい状況が続いており、建設資材の価格高騰や供給面において今後の動向に注視する必要があります。加えて、中長期的には人口減少に伴う建設需要の減少や産業の担い手不足への対応、そしてSDGsをはじめとした社会課題の解決が求められています。
このような事業環境のなか、当社グループは中期経営計画(2021年度~2025年度)で掲げた事業方針「加速度的成長に向けた「つくる(造る・創る)力の増強」と持続的成長への基盤構築」のもと、2030年度の目指す姿「課題解決&価値創造型企業」の実現に向け取組みを推進してまいります。
建設事業におきましては、事業規模拡大に向けた生産体制の強化と事業エリアの拡大、生産性向上に向けたICT技術の活用や工業化による施工の省力化・省人化への取組み促進、ターゲット市場に対する既存技術の改良及び新規技術の開発、次なるマーケットを見据えた新規ノウハウの習得・拡充など、既存事業の深化・進化と新規分野・領域の探索・開拓を両立した取組みを推進してまいります。
不動産事業におきましては、東海圏を中心に市場ニーズに即した産業・住宅用地の開発・販売に加え、官有地活用事業や土地区画整理事業等の開発ソリューションの拡充、リニア経済圏での開発エリアの拡大、更には産業用地の開発・販売を通じた新たな事業機会の創出など、収益基盤の安定化とグループ収益の最大化に向けた取組みを推進してまいります。
また、働き方改革の更なる推進をはじめ、安全・品質レベルの向上やコーポレート・ガバナンスの強化、社会的要請に対する活動等を通じて、成長を支える経営基盤の確立にも取り組んでまいります。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼすおそれのあるリスクとして、当連結会計年度末現在において当社が認識しているものを以下に記載しております。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、予見できない又は重要とみなされていないリスクの影響を受けるおそれがあります。
当社グループではこうしたリスクに備えるため、グループ全社にわたりリスクマネジメント活動を遂行しております。具体的には、リスク項目の抽出とその評価、統制手法及び運用手法の構築並びに統制活動の実施、これらの自己評価及び内部監査部門におけるモニタリングという活動を通じて、リスクマネジメントが有効かつ効果的に機能するようにしております。
① 経済・財政状況について
国内外の経済状況の変化に伴い、住宅を始めとする不動産投資意欲の減退や民間設備投資の縮小・延期等が行われた場合、又は国・地方自治体による公共事業に対する施策・予算措置の執行状況などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 売上の特定地域への集中について
当社グループは、その売上の大半が東海地方に集中しております。したがって、当該地域の景況や大規模な自然災害の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。
③ 関連当事者取引について
「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」に記載のとおり、当社は名古屋鉄道株式会社から継続的に建設工事を受注しており、売上高全体に占める割合も10%前後となっております。したがって、同社の設備投資額の変動により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 業種に特有な事情(完成工事未収入金)について
当社グループの主要な事業である建設事業においては、工事金の回収が目的物引渡しから一定期間の後となることがあります。したがって、工事完成後目的物引渡時点において、多額の完成工事未収入金が発生した場合、その回収状況によっては当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループでは、こうした業界特有のリスクに備えるべく、経理部門が中心となり厳格な事前与信審査及び目的物引渡前においても顧客の動向をチェックするなど与信管理については厳格な体制を敷くとともに、資金負担を緩和すべく営業部門とともに工事代金回収条件の良化を図っております。
⑤ 人材の確保及び育成について
中長期的には、人口減少と高齢化進展に伴う建設産業の担い手不足が深刻化することが予想され、求める人材の確保・育成が充分にできない場合や、より良い職場環境の実現が遅れることなどにより役職員が大量に社外に流出した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループでは、中途採用や新卒採用による人材の確保、および人事制度の充実等による人材の育成に積極的に取り組み、多様な中核人材を登用できる環境を中長期的に整備するとともに、性別や国籍、人種に関係なく、一人ひとりの個性や能力を最大限に発揮し、やりがいや成長を実感できる職場環境を実現してまいります。また、当社グループだけでなく協力業者の人材の確保及び育成にも注力し、建設産業の担い手確保に努めてまいります。
⑥ 原材料価格・労務費の高騰などについて
当社グループの主要な事業である建設事業においては、原価の約8割を材料費及び労務・外注費が占めておりますが、各プロジェクト受注時点から着工までに時間を要することもあり、その間に偶然不測の事故や戦争、暴動、騒乱、テロ等の災害又は経済情勢の変動などにより原材料価格や労務費の著しい高騰、資機材の調達難などが発生した場合には、受注時点で予測された利益の確保が困難になることがあり、業績に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループではこのような事態に備えるため、主要な原材料の調達についてはプロジェクト毎に行っており、また、着工時には原材料・労務の手配はほぼ完了することとしております。
⑦ 不動産開発事業について
当社グループは不動産開発事業を展開しておりますが、事業期間が長期間にわたる場合があることから、事業環境に著しい変化が生じた場合には、著しい時価の変動などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、こうした変化が生じることに備え適宜必要に応じて開発計画を見直すなど対処しております。
⑧ 瑕疵担保責任について
当社グループが営む建設業及び不動産業においては、万一重大な瑕疵が発生した場合には、金額が多額に上ることも想定され当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループでは、こうした場合に備え品質管理部門などを設け万全を期し管理を徹底するとともに、引渡し後の対応にあたる品質保全部門(アフターサービス部門)も設置し対応しております。
⑨ 資金調達環境について
当社グループの主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び銀行等の金融機関からの借入です。
これにより、事業活動に要する費用、設備投資及び研究開発等の長期的な資金、負債の元本及び利子の返済などを実施しております。
従って、国内外の経済状況や金融状況の変化によっては、当社グループの資金の源泉に影響を及ぼすおそれがあり、また、借入金利の上昇により当社グループの経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループでは、事業活動による短期及び中長期の資金需要を把握するとともに、経済状況及び金融状況の変化に照らした最適な資金調達手法を検討し資金を確保してまいります。
⑩ 投資有価証券等の価格下落
当社グループは、取引先との事業上の関係等を維持または促進するため、株式等の市場性のある有価証券を保有しております。このような市場性のある有価証券は市場性の下落リスクにさらされており、市場価格の下落により保有する有価証券の評価損が発生するおそれがあります。
当社グループでは、投資有価証券については取締役会での検証を経て保有の合理性があると判断された場合に限り保有することとしており、リスクの低減を図っております。
⑪ 退職給付に係る負債及び年金資産
当社グループは、確定給付型の制度として、退職一時金制度及び企業年金基金制度を採用しております。これにより数理計算によって算出される退職給付債務及び退職給付費用などが発生するとともに、外部に拠出している企業年金の運用成績による年金資産の変動の影響も受けます。
こうしたことなどにより、前提とした見積り条件と実績とが大きく乖離するような場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは実績に基づいた検証を行い毎期見積りを見直すとともに、年金資産の運用についても外部委託機関と協議のうえ適切な見直しを実施しております。
⑫ 建設事業における重大事故
当社グループの営む建設業においては、重大な工事事故や労働災害が発生するおそれがあり、社会的信用の失墜、企業イメージの毀損などにより、財政状態及び経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループでは、安全環境部門が定期的に安全教育・安全パトロールなどを実施し、工事事故、労働災害を撲滅する取り組みを行い、安全管理・施工管理を徹底しております。
⑬ 訴訟等の可能性について
本書提出日現在、当社グループが関係する重大な訴訟の事実はありません。
しかしながら、当社グループが売却した物件における瑕疵の発生、当社グループが行う開発工事にかかる近隣トラブル、当社グループが請け負った工事に対する顧客からのクレーム、入退去時のテナント等とのトラブル等を起因とする訴訟その他の請求が今後発生することがあり、これらの訴訟等の内容及び結果によっては当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループでは、こうした訴訟等に対応すべく法務部を設置し、関係弁護士を交えながら訴訟解決を目指して取り組んでおります。
⑭ 会計上の重要な虚偽表示のリスク
当社グループの主要な事業である建設事業においては、原則的に工事の進捗度に応じて収益を計上しており、工事収益総額、工事原価総額及び進捗状況などの見積り誤りによっては収益計上に重要な虚偽表示が発生するリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。
また、もう一方の当社グループの主要な事業である不動産事業においても、販売用不動産の評価基準として「原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)」を採用しており、この評価の結果収益計上に重要な虚偽表示が発生するリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループではこうした会計上の虚偽表示のリスクに備えるため、工事部門及び不動産部門で開催される会議等に経理部担当役員が参加するなど適時適切な情報収集に努め、適正な見積りを実施する体制を整えております。
⑮ 経営者の重要な判断を伴う会計上の見積りについて
近時の会計処理においては、「訴訟損失引当金」、「工事損失引当金」、「固定資産の減損」、「繰延税金資産の回収可能性」、「退職給付債務の見積り」等々、不確実性が相当程度に高いと識別される見積り要素が多く含まれており、これら見積りの結果収益計上に大きな変動が発生するリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループではこうした会計上の見積りの適正性を担保するため、必要に応じて外部の専門家(弁護士、不動産鑑定士、税理士等)から意見を徴収し会計処理をしております。
⑯ 法的規制について
当社グループの属する建設業界は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法、環境保全関係の諸法令等により各種法的規制を受けております。当社グループは、特定建設業者として「建設業法」に基づく許可を受け、また宅地建物取引業者として「宅地建物取引業法」に基づく免許を受けております。
そのため、上記法律の改廃、新たな法的規制の制定、適用基準の変更などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、こうした法令の改正に適時適切に対応するため、各部署が担当する法令を明示したうえで、その改正等があった場合には定められた関係各部署・各社へその内容を周知する体制を整えております。
⑰ システムトラブルについて
当社グループで利用するITシステムなどにトラブルが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループでは情報システム部門が中心となり、情報のセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取り組んでおります。
⑱ 個人情報の管理について
当社グループは、各事業において、見込顧客情報及び取引顧客情報等、当社グループ事業を通して取得した個人情報を保有しており、個人情報の保護に関する法律等による規制を受けております。万が一、外部漏洩等の事態が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。
これらの個人情報については、情報管理マニュアルを定めて適切な管理を実施するとともに、情報管理責任者を定めて適切な統制も実施しております。加えて、定期的に社内システムにより情報管理教育を全役職員に対して実施しております。
⑲ 偶然不測の事故・自然災害について
火災、破裂爆発、落雷、風、ひょう雪災、水災、地震火災、地震破裂、地震倒壊、噴火及び津波並びに電気的事故、機械的事故その他偶然不測の事故並びに戦争、暴動、騒乱、テロや感染症の災害により、当社グループの行う事業が停滞するおそれがあり、また保有する物件について滅失、劣化又は毀損し、その価値が影響を受けるおそれがあります。また、偶然不測の事故・自然災害により不動産に対する投資マインドが冷え込んだ結果、不動産需要が減り、当社グループの事業が影響を受けるおそれがあります。
⑳ 長期的な気候変動リスク
近年の気候変動が原因と考えられる異常気象や自然災害の頻発化・激甚化は、私たちにとって身近に迫った脅威となっており、こうした長期的な気候変動のもたらすものが当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、こうした気候変動への対応を重要な経営課題のひとつと捉え、温室効果ガス排出量削減などの気候変動に対する取組みを推進してまいります。(取組みの詳細につきましては、下記URLよりご参照ください。https://www.yahagi.co.jp/csr/ )
新型コロナウイルス感染症の影響
(業績について)
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は不透明な状況であり、建設業界におきましても住宅投資、民間設備投資への影響が見通せない状況となっており、引き続き今後の動向を注視していく必要があります。
なお、現時点では、当社グループの事業運営に直接的な影響を及ぼす具体的な事象は生じておりません。
(資金の状況について)
当連結会計年度末の連結貸借対照表における現金預金残高は220億円となっており、必要な資金量を確保しております。今後につきましても、適時適切な資金調達により安定的な資金運営を行ってまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しておりますが、経営成績等への重要な影響はありません。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響が長期化するなか、感染症対策と経済活動の両立への取組みが進んだことにより製造業を中心とした企業収益の改善や個人消費の回復等の景気持ち直しの動きが見られました。一方、資源価格の高騰や地政学リスクの上昇等もあり、依然として先行き不透明な状況が続きました。
建設業界におきましては、公共投資は堅調に推移し、民間住宅投資や民間設備投資にも持ち直しの動きが見られたものの、建設資材の価格高騰や納期遅延等の影響を受けて、経営環境は厳しい状況が続きました。
このような状況のもと、当社グループは持続的成長をしていくために、2030年度の目指す姿を「課題解決&価値創造型企業」と定め、この目指す姿を実現するための前半5年間を計画期間とする新たな中期経営計画(2021年度~2025年度)を策定し、その初年度として計画達成に向けた取組みを推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、受注高が92,639百万円(前期比13.9%増)、売上高は93,090百万円(前期比12.7%減)、営業利益は6,169百万円(前期比16.2%減)、経常利益は6,174百万円(前期比17.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,842百万円(前期比47.1%増)となりました。
また、当連結会計年度末の資産合計は116,423百万円(前期比10.3%減)、負債合計は58,891百万円(前期比21.7%減)、純資産合計は57,532百万円(前期比5.3%増)となりました。
受注高、売上高の部門別の内訳については、次のとおりであります。
〔受注高〕
|
区分 |
受注高 |
構成比 |
前期比増減率 |
|
|
建設事業 |
建築工事 |
60,072百万円 |
64.8% |
14.4% |
|
土木工事 |
32,567百万円 |
35.2% |
13.0% |
|
|
計 |
92,639百万円 |
100.0% |
13.9% |
|
〔売上高〕
|
区分 |
売上高 |
構成比 |
前期比増減率 |
|
|
建設事業 |
建築工事 |
50,300百万円 |
54.1% |
△14.2% |
|
土木工事 |
28,693百万円 |
30.8% |
△15.0% |
|
|
小計 |
78,993百万円 |
84.9% |
△14.5% |
|
|
不動産事業等 |
14,096百万円 |
15.1% |
△0.8% |
|
|
計 |
93,090百万円 |
100.0% |
△12.7% |
|
(建設事業)
建築工事では、当期は物流施設工事を中心に複数の大型工事を受注したことなどにより、受注高は60,072百万円(前期比14.4%増)となった一方で、売上高は物流施設やマンション工事などの大型建築工事を中心に期中の施工は概ね順調に進捗したものの、期初の手持工事高が前期に比べ減少していたことなどから、50,300百万円(前期比14.2%減)となりました。
また土木工事では、官庁工事や民間の造成工事、鉄道土木工事などの大型工事を受注したことにより、受注高は32,567百万円(前期比13.0%増)となりましたが、売上高は、高速道路関連工事など大型の官庁工事が大きく進捗した前期に比べ減収の28,693百万円(前期比15.0%減)となりました。
(不動産事業等)
不動産事業では、自社開発の産業用地販売が増加したものの、分譲マンション事業が大きく減収となったことにより売上高は14,096百万円(前期比0.8%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
|
(建築セグメント) |
耐震補強工事を含む建築工事全般及び建設用資材販売事業等から構成され、セグメント売上高は55,261百万円(前期比14.5%減)となり、セグメント利益は3,695百万円(前期比27.9%減)となりました。 |
|
(土木セグメント) |
土木・鉄道工事全般及びゴルフ場の経営・コース維持管理に関する事業から構成され、セグメント売上高は29,449百万円(前期比13.7%減)となり、セグメント利益は4,500百万円(前期比1.8%増)となりました。 |
|
(不動産セグメント) |
マンション分譲事業を中心とした不動産の売買、賃貸等に関する事業から構成され、セグメント売上高は13,802百万円(前期比1.4%減)となり、セグメント利益は2,042百万円(前期比51.6%増)となりました。 |
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、21,891百万円(前期比59百万円減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、15,841百万円(前期は6,757百万円の資金の使用)となりました。これは主に売上債権が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、1,549百万円(前期は220百万円の資金の使用)となりました。これは主に固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、14,351百万円(前期は15,356百万円の資金の獲得)となりました。これは主に借入金の返済を行ったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 受注実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) (百万円)(増減率) |
|
建築セグメント |
52,515 |
60,072( 14.4%) |
|
土木セグメント |
28,831 |
32,567( 13.0%) |
|
合計 |
81,346 |
92,639( 13.9%) |
b. 売上実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) (百万円)(増減率) |
|
建築セグメント |
58,927 |
50,256( △14.7%) |
|
土木セグメント |
34,027 |
29,310( △13.9%) |
|
不動産セグメント |
13,659 |
13,524( △1.0%) |
|
合計 |
106,615 |
93,090( △12.7%) |
(注)1.当社グループでは、不動産セグメントは受注生産を行っておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
4.最近2連結会計年度の主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
||
|
建築セグメント |
DH弥富開発特定目的会社 |
5,008 |
4.7 |
18,045 |
19.4 |
※ なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
④ 建設事業における受注工事高の状況
a. 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
|
期別 |
区 分 |
前期繰越 工事高 (百万円) |
当期受注 工事高 (百万円) |
計
(百万円) |
当期完成 工事高 (百万円) |
次期繰越 工事高 (百万円) |
|
前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
建 築 工 事 |
63,118 |
54,683 |
117,801 |
62,546 |
55,255 |
|
土 木 工 事 |
27,702 |
22,355 |
50,058 |
26,440 |
23,617 |
|
|
計 |
90,820 |
77,039 |
167,860 |
88,987 |
78,872 |
|
|
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
建 築 工 事 |
55,255 |
65,627 |
120,882 |
53,549 |
(67,332) 67,155 |
|
土 木 工 事 |
23,617 |
23,573 |
47,191 |
20,676 |
(26,514) 24,936 |
|
|
計 |
78,872 |
89,200 |
168,073 |
74,226 |
(93,847) 92,091 |
(注)1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含めております。
2.次期繰越工事高は、(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致しております。
3.経済情勢の変化等により事業計画が変更、中止となった工事(受注高1,180百万円)および会計基準の変更による影響額(575百万円)について、次期繰越高から控除しております。なお、()内は控除前の金額であります。
b. 受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
|
期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
建築工事 |
45.0 |
55.0 |
100.0 |
|
土木工事 |
37.2 |
62.8 |
100.0 |
|
|
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
建築工事 |
68.8 |
31.2 |
100.0 |
|
土木工事 |
24.4 |
75.6 |
100.0 |
(注)百分比は請負金額比であります。
c. 完成工事高
|
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
建築工事 |
- |
62,546 |
62,546 |
|
土木工事 |
11,101 |
15,338 |
26,440 |
|
|
計 |
11,101 |
77,885 |
88,987 |
|
|
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
建築工事 |
0 |
53,549 |
53,549 |
|
土木工事 |
5,356 |
15,320 |
20,676 |
|
|
計 |
5,356 |
68,869 |
74,226 |
(注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度
|
株式会社ニフコ |
|
(株)ニフコ北関東プラットフォーム事業本社工場新築工事 |
|
社会福祉法人 福寿園 |
|
特別養護老人ホーム田原福寿園(本館)増改築整備工事 |
|
矢作地所株式会社・野村不動産株式会社 |
|
(仮称)南阿佐ヶ谷新築工事 |
|
中日本高速道路株式会社 東京支社 |
|
新東名高速道路 新磐田スマートインターチェンジ工事 |
|
名古屋鉄道株式会社 |
|
名古屋本線 新安城駅自由通路及び橋上駅化工事に伴う土木工事 |
当事業年度
|
北本ロジスティック特定目的会社 |
|
GLP北本プロジェクト |
|
積水ハウス株式会社 |
|
「読売新聞中部支社跡地」有効活用計画 |
|
JR春日井駅南東地区市街地再開発組合 |
|
JR春日井駅南東地区第一種市街地再開発事業に係る施設建築物新築工事 |
|
矢作地所株式会社・トヨタホーム株式会社 |
|
(仮称)安城市桜町プロジェクト新築工事 |
|
名古屋鉄道株式会社 |
|
犬山線 布袋駅付近鉄道高架化事業に伴う本線土木(その4)工事 |
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
|
名古屋鉄道株式会社 |
11,452 |
百万円 |
13 |
% |
当事業年度
|
DH弥富開発特定目的会社 |
18,045 |
百万円 |
24 |
% |
|
名古屋鉄道株式会社 |
9,094 |
百万円 |
12 |
% |
d. 次期繰越工事高(2022年3月31日現在)
|
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
建築工事 |
- |
67,155 (67,332) |
67,155 (67,332) |
|
土木工事 |
7,150 (7,548) |
17,785 (18,965) |
24,936 (26,514) |
|
計 |
7,150 (7,548) |
84,941 (86,298) |
92,091 (93,847) |
(注)1.経済情勢の変化等により事業計画が変更、中止となった工事(受注高1,180百万円)および会計基準の変更に
よる影響額(575百万円)について、次期繰越高から控除しております。なお、()内は控除前の金額であります。
2.次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
|
八尾1ロジスティック特定目的会社 |
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GLP八尾Ⅰプロジェクト |
2023年2月完成予定 |
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大和ハウス工業株式会社 |
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(仮称)Dプロジェクト みえ朝日町新築工事 |
2023年6月完成予定 |
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合同会社 はまぐりONE |
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(仮称)アイミッションズパーク桑名 新築工事 |
2023年6月完成予定 |
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福玉株式会社 |
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福玉株式会社御供所南倉庫新築工事の内 建築工事 |
2023年7月完成予定 |
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東洋エンジニアリング株式会社 |
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蒲郡バイオマス発電設備建設工事 土木建築工事 |
2023年8月完成予定 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
a. 経営成績の分析
(売上高)
当社グループの当連結会計年度における売上高は、93,090百万円(前期比12.7%減)となりました。これは、建築工事、土木工事ともに期初の手持ち工事が減少したことにより、建設事業が減収となったことや、不動産事業において自社開発の産業用地販売が増加したものの、分譲マンション事業が大きく減収となったことによるものであります。
(売上総利益)
当社グループの当連結会計年度における売上総利益は、14,935百万円(前期比4.9%減)となりました。これは、三重県桑名市で手掛けた自社開発用地を販売したことなどから、不動産事業は増益となったものの、建設事業の減収による減益幅が大きいことによるものであります。
(営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益)
建設事業の減益により、営業利益は6,169百万円(前期比16.2%減)、経常利益は6,174百万円(前期比17.1%減)となりました。また、政策保有株式の売却益を特別利益に計上し、かつ前期のような多額の特別損失の計上がなかったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は4,842百万円(前期比47.1%増)と、前期実績を大きく上回りました。
b. 各事業の概況
当社グループは、建設事業においては、限られた経営資源の中で利益を最大化すべく、生産性の高い大型の一般建築・土木工事への取り組みを強化してまいりました。
また不動産事業では、分譲マンション事業を中核とする総合不動産デベロッパーとして、分譲マンション事業のみならず、工業団地や商業施設などの開発事業や、不動産賃貸事業、仲介・販売代理などの流通事業、マンション及びビルの管理事業に注力してまいりました。
なお、各セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
(建築セグメント)
建築工事の受注高は、物流施設工事を中心に複数の大型工事を受注したことにより、前期実績を上回りました。一方、売上高は、物流施設やマンション工事などの大型建築工事を中心に施工は概ね順調に進捗したものの、期初の手持ち工事高が減少していたことから、前期実績を下回りました。
(土木セグメント)
土木工事の受注高は、官庁工事や民間の造成工事、鉄道土木工事などの大型工事を受注したことにより、前期実績を上回りました。一方、売上高は、高速道路関連工事や北陸新幹線の新設工事を中心に大型の官庁工事が大きく進捗した前期に比べ減少しました。
(不動産セグメント)
不動産事業では、自社開発の産業用地販売は増加したものの、分譲マンションの引渡戸数が減少したことから、売上高は前期実績を下回りました。
c. 財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は80,435百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,833百万円減少しております。これは完成工事未収入金などの回収が進んだことにより、受取手形・完成工事未収入金等が減少(49,306百万円から32,351百万円へ16,955百万円減)したことが主要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は35,988百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,419百万円増加しております。これは賃貸物件の取得などにより有形固定資産が増加(25,613百万円から27,272百万円へ1,658百万円増)したことが主要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は45,148百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,316百万円減少しております。これは短期借入金の減少(37,740百万円から25,400百万円へ12,340百万円減)が主要因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は13,743百万円となり、前連結会計年度末に比べ10百万円増加しております。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の合計は57,532百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,892百万円増加しております。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加が主要因であります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、内部留保資金と金融機関からの借入などの調達手段により確保しております。当連結会計年度末のグループ全体の現金預金残高は約220億円、金融機関からの借入は約304億円となっており、緊急時の対応を含めて、必要な量を確保しております。来期以降につきましても、適時適切な資金調達によって、安定的な資金運営を実施してまいります。
当社は財務の健全性確保と資本の有効活用のバランスを最優先に、安定的な株主価値の向上に努めることを資本政策の基本方針としておりますが、今後も収益基盤の確立に向けた成長投資を適切に行っていく考えです。
当期も継続的に開発案件への投資などを進め、その資金につきましては、当期の営業活動によって獲得した資金と財務活動による借入にて賄っております。
また、経営基盤の強化と企業価値の向上に向けて、長期的な視点に立って株主資本の充実に努めるとともに、企業収益の配分については、株主への安定的な配当を継続実施することを基本方針としております。
③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的成長を実現していくために2030年度の目指す姿を「課題解決&価値創造型企業」と定め、この目指す姿を実現するための前半5年間を計画期間とする新たな中期経営計画(2021年度~2025年度)を策定し、その数値目標(最終年度)を売上高1,300億円、営業利益100億円、配当性向30%以上としております。本中期経営計画の初年度となる当連結会計年度においては、配当性向は目標を上回りました。
本中期経営計画期間においては、2030年度の目指す姿の実現に向けて建設生産プロセスの改革、新規技術・サービスの開発、事業エリアの拡大、様々なパートナーとの価値共創等に取り組むとともに、安全・品質レベルの向上、魅力的で働き甲斐のある職場環境の整備、SDGsへの積極的な取組みなど成長を支える経営基盤の確立に取組み、顧客・地域、そして社会の持続的発展に貢献する会社を目指してまいります。
④ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。これらの財務諸表の作成にあたっては、当社グループは重要な見積りや仮定を行う必要があります。会計方針の適用にあたり、特に重要な判断を要する項目は以下のとおりであります。
a. 収益及び原価の処理
当社の主要な事業である建築事業、土木事業において、一定の期間にわたり履行義務が充足される工事契約の収益認識については、工事原価総額を基礎として期末までの実際発生原価額に応じた進捗度に工事収益総額を乗じて完成工事高を算定しています。
一定の期間にわたり履行義務が充足される工事契約の収益認識については、以下の理由により、収益及び原価が変動する場合があるため、適時適切な見積りを実施する必要があります。
Ⅰ.工事収益総額・・・施工中の工法変更あるいは施工範囲の変更に伴う契約変更や対価の変動などにより、請負金の変動が発生する可能性があること
Ⅱ.工事原価総額・・・施工条件や資材、労務費、外注費等に係る価格変動などにより、工事原価総額の変動が発生する可能性があること
Ⅲ.工事進捗度・・・・工事原価総額を基礎として算定されるため、工事原価総額の変動により工事の進捗度の変動が発生する可能性があること
b. 退職給付
当社グループでは、確定給付型の制度として、退職一時金制度及び企業年金基金制度を採用しております。
従業員に対する確定給付費用及び確定給付制度債務は、
・債務の割引率
・企業年金の期待収益率
・退職率及び死亡率などの数理計算上の基礎率
などにより見積られており、実績と見積りとの差異は「その他の包括利益」として認識され、包括利益及び純資産へ影響を及ぼします。
したがって、これらの変数(見積り)については適時適切に見直しを実施しておりますが、実績との差異や仮定の変動は確定給付費用や債務に影響を与えます。
なお、これらに関する見積りや前提条件については、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」を参照願います。
c. 販売用不動産の評価
当社グループは、建設事業に加えてマンション販売や開発事業など不動産事業も手掛けており、これに係る資産を「販売用不動産」として連結貸借対照表に計上しております。
個々の販売用不動産の評価に係る会計方針としては、原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しており、毎期行う収益性の評価の結果、評価額が帳簿価額を下回る場合は、評価損を計上することとなります。
販売用不動産の評価に際しては、個々の特性に応じて一定の評価手法で評価額を算定しておりますが、予測を超えた市場変化などが発生した場合、販売用不動産の評価に影響を及ぼす可能性があります。
d. 繰延税金資産の評価
当社グループにおいて繰延税金資産の計上に当たっては、個々の発生原因ごとにその解消時期の予測及びこれらを考慮した将来の課税所得予測に基づき、その回収可能性が確実でない場合については「評価性引当」を計上し減額しております。
繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りや発生原因の解消時期の予測に依存するため、その前提とした条件や仮定に変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性に影響を及ぼし評価性引当額の増減が発生します。
当社グループの繰延税金資産及び評価性引当額については、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」を参照願います。
e. 減損損失
当社グループは、固定資産の減損損失の判定に際しては原則として継続的に損益の把握を実施している建築、土木、不動産の3つの報告セグメント区分をベースに、資産のグルーピングを行っております。また、賃貸用不動産と遊休資産については個々の物件ごとにグルーピングを行い、本社・福利厚生施設等については、独立したキャッシュ・フローを生み出さないことから共用資産としております。
これらのうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
なお、減損を認識した当該資産の回収可能価額は、主として正味売却価額(不動産鑑定評価に基づく鑑定価額)により測定しております。
f. 投資有価証券の評価
当社グループが保有する有価証券については、投資その他の資産に「投資有価証券」として計上しておりますが、個々の有価証券の実質価値が帳簿価額を著しく下回り、その低下が一時的でないと判断される場合には、評価損を計上しております。
評価損の計上に際しては、下落の期間や下落の程度など一定の基準により四半期ごとに計上の判断をしておりますが、予測を超えた市場変化などが発生した場合、有価証券の評価に影響を及ぼすおそれがあります。
特記すべき事項はありません。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費は、
当社グループは、研究開発プロジェクトを一元管理するエンジニアリングセンターを中心に、建築・土木分野における生産性向上や事業領域の拡大に加え、高度化・多様化するニーズやSDGs達成への貢献に対応するための新工法・新技術の研究開発を、施工部門・グループ企業と連携を図りながら進めております。また、企業や大学等との技術交流・共同開発にも注力しており、更なる技術メニューの拡充を推進しております。
当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発活動は、以下のとおりです。
1.建築セグメント
(1)大規模建築におけるコスト競争力向上に関する技術の拡充
大型物流施設など大規模建築の競争力向上を目的に、コスト低減や省力化を実現できる設計方法について、更なる改良を継続しています。外部環境の変化により発生が予想される課題について迅速に対応すべく、各種検証手順の変革にも着手しております。引き続き、大規模・超高層建築に関する技術の拡充に向けて、設計・施工技術の底上げと新工法の開発を進めてまいります。
(2)デジタル技術を活用した業務改革
顧客との合意形成の迅速化や業務効率化の観点から、建物の3次元モデルデータにコストや仕上げ、管理情報などの属性データを兼ね備えたBIMデータの活用を進めております。設計・施工フェーズにおけるデータ連携業務の改革実現に向け、設計・施工一貫システムの実績を積み重ね、最適なしくみを構築してまいります。また、建物の維持管理をはじめ建物のライフサイクルのあらゆる場面においてBIMなどデジタルデータを活用すべく、ウェアラブル端末やAI(人工知能)との連携に向けた研究も進めております。
(3)SDGs達成に貢献する技術の拡充
SDGsや脱炭素への取組みなどを背景に多様化する市場に対して持続的に価値を提供する取組の一環として、学識者や他企業など社外連携を活用し、環境配慮技術の研究開発を継続しております。データ測定や実証実験から得られたエビデンスを蓄積し、技術力・提案力の拡充を図ってまいります。
2.土木セグメント
(1)課題解決力の向上による創意改善実績と技術的ノウハウの蓄積~技術開発への発展
施主・発注者が抱える課題・困り事や工事現場で直面する課題に対して研究開発部門が主体的に参画し技術的に解決する活動を活発化してまいります。解決の過程で習得できる創意改善実績や様々な技術的ノウハウを新たな技術の開発につなげてまいります。
(2)デジタル技術を活用した生産システムの改革
特に民間市場の土地開発工事において、正確かつ迅速な工事契約を取り交わすことができるように、BIM/CIMを活用した設計への移行と、BIM/CIMデータから自動積算できるシステムの開発を進めてまいります。
当社の独自技術である「パンウォール工法」においては、業務の標準化と効率化を図ることを目的に自動設計積算システムを開発しており、フェイズ毎の実用化が予定通りに進んでおります。
また、現場の最重要管理項目である安全管理について、人的な管理の個人差を解消し、標準化と効率化を図るために安全管理サポートシステムの開発を進めております。
今後は、クラウドサービスやネットワークによる業務の部門間連携ネットワークの構築を進め、施工管理とバックオフィス業務との連携の効率化、さらには、AI(人工知能)を活用した業務の高度化を進めてまいります。
(3)防災・減災分野での独自技術の改良と新たな技術商品の開発
防災・減災の機能に優れ、全国で数多くの施工実績を持つ地山補強土工法「パンウォール工法」では、ニーズの多様性を考慮して、適用範囲の拡大、耐久性・施工性・経済性などの価値向上に向けた改良を進めています。また、脱炭素化や急激な原材料費の高騰に対して、使用部材等の選択肢の拡充を図るべく研究開発を進めてまいります。
新たな技術商品の研究開発分野では、基礎研究レベルで成果が得られたものについて、実用化に向けた実証実験を進めてまいります。また、技術公開や特許取得に向けた活動をより一層活発化してまいります。
(4)生産性向上を目的とした機械化施工、省人化・省力化技術の開発
軌道工事の安全な施工と技能労働者不足の解消を目的に、道床締固め機械やマクラギ更換機械の開発・実用化を進めております。
「パンウォール工法」においても同様に、安全な施工と技能労働者不足の解消を目的に、機械化施工の研究開発と部分的な機械化の実証実験を継続しております。将来的には、「パンウォール工法」の一連の作業を完結させることができる施工機械の開発を目指しております。
(5)SDGs、カーボンネガティブ・カーボンニュートラルに寄与する研究
持続可能な社会貢献と企業成長につながる研究開発をより一層推進いたします。環境負荷低減、労働環境改善、脱炭素、再生可能エネルギー、などに関わる研究を継続してまいります。
3.不動産セグメント
研究開発活動は特段行われておりません。