文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「Create Happiness」を企業理念に掲げ、テクノロジーを正しく活用し、地球に優しい、人に優しい、誰もが幸福な世界の実現へ貢献することを目指し、Mission(「お客様の成功」「従業員の成功」「社会問題の解決」)、Vision(WorkHack, LifeHack)、Value(Enjoy!)を軸に事業を展開しております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、売上高及び経常利益を重視し、その向上に努めております。また、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、売上総利益率、コンサルティングサービスにおける顧客企業の中での大企業売上比率を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでおります。売上総利益率については、サービス付加価値の源泉として重視しており、当該指標を向上させてまいります。また、コンサルティングサービスにおける顧客企業の中での大企業売上比率については、経営の安定化を測る指標として重視しております。併せて、キャッシュ・フローにつきましても重視しております。
(3)経営戦略
当社は、「WorkHack、LifeHack」というVisionを基に、経営理念を実現すべく、常に変化する経営環境、市場環境、競合の動きを的確に把握・対処しながら、企業価値及び社会的意義の向上に向けて事業展開を進めてまいります。
具体的に考えている戦略は、以下のとおりです。
① コンサルティングサービスの再構築・多様化
主力の「Salesforce」、「Anaplan」に続く新たなクラウド・コンサルティング領域を作ることで、コンサルティングサービスを多様化し、コンサルティング単価を向上してまいります。
② カスタマーサクセスのデジタル化を推進
当社は、従来派遣型のサービスを基本としていたカスタマーサクセス領域において、「Circlace®」の開発により「Remote Service」「Hybrid Service」という新たな形態のサービス提供が可能となりました。この人員数に寄らないサービスの提供により、顧客ニーズをとらえ、売上及び利益率の向上を目指してまいります。
③ 採用強化とサービス単価の向上
以下3つの施策により、採用強化とサービス単価の向上を図ってまいります。
・ダイレクトリクルーティングの強化による中途採用の強化、新卒採用拡大と新卒教育プログラム拡充
・コンサルティングサービスの組織強化による質と量、付加価値の向上
・カスタマーサクセス・コンサルタントの教育強化とDX推進による一層の効率向上
④ DXの拡大
以下3つの施策により、SaaS製品販売の拡大を図り、事業基盤化を推進してまいります。
・「AGAVE」 BPO(※1)パートナーとの協業強化、新パートナー開拓によるライセンス販売増
・「AGAVE」 追加機能開発によるオプション課金の増加
・「Circlace®」を利用中の当社顧客企業に対するSaaS製品としての「Circlace®」の販売
⑤ オリジナル教育サービスの立ち上げ
9年以上の社内外向けIT教育の経験を活かし、以下のようなリカレントIT人材教育事業を計画中です。
・中途採用・社内配置転換向けクラウド活用人材コース
・大学新卒向けクラウド技術者育成コース
⑥ 「Circular Economy(循環型社会)」の実現
当社は、常に自社のビジネス課題をとらえ、自社のDX化促進等により、ビジネスモデルの変革を繰り返してまいりました。しかしながら、未だ労働集約型のモデルであることを現状の課題と考えており、「Hybrid Service」による新しいサービス形態の提供、SaaS製品の販売等、この解決に努めております。今後は、これらのサービス提供に力を入れることはもとより、これまで培ってきたプラットフォームの開発・運営の知見を活かして、顧客と共同してプラットフォームの開発を行い、当該顧客と売上を分けあうRevenue Share型のプラットフォーム展開を目指しております。特に、資源の枯渇等、社会課題を解決するプラットフォームを開発していくことで、「Circular Economy(循環型社会)」の実現を目指してまいります。
(4)経営環境
当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響があったものの、一時的な沈静化の動きもあり、緩やかではありますが持ち直しの動きが見られました。一方で、急激な為替変動、ウクライナ情勢等に起因したエネルギーや原材料の価格高騰などによる物価上昇等もあり、景気の先行きは依然として不透明な状況です。
このような経済環境下ではありましたが、当社の属する国内パブリッククラウド(※2)サービス市場では、多くのユーザー企業がクラウドの導入/利用促進から高度活用へとシフトしています。この高度活用を進めていく上で、新しいツールの導入、新しい技術スキルの習得など企業には多様な取り組みが求められており、取り組みの中での課題も多く見られます。しかし、課題に手を付けなかったり、検討に長い時間をかけるのではなく、可能なことから実行に移す企業が増加しているのが現状です。このことが、国内パブリッククラウドサービス市場の成長を促進しています。この市場での2021年から2026年の年間平均成長率は20%超と見込まれており、2026年には4兆円超の市場となる予測がでており、依然として大きな市場であることに変わりありません。(出所:IDC Japan「国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表」、2022/9月)
このパブリッククラウドサービス市場において、当社が主力としているSalesforceプラットフォームを展開している米国Salesforce.comは、2023年3月1日に2022年度の通期業績を発表しました。売上高313億ドル(前期比18.3%増)、営業利益10億3,000万ドル(前期比88.0%増)、税引前利益6億6,000万ドル(前期比56.9%減)、純利益2億800万ドル(前期比85.6%減)という結果であり、過去10年で売上高成長率は20%をはじめて割りましたが、依然高い伸び率は継続しており、まだまだ成長が見込まれます。
また、国内コンサルティングサービス市場においても、2025年には1兆2,551億円になると予測されており、こちらも大きな市場であります。(出所:IDC Japan「国内コンサルティングサービス市場予測を発表」、2021/7月)
このように市場が拡大する中で日本企業のDXに対する取り組みは依然として活発であり、DX関連市場において、クラウド活用推進によるコンサルティング、システム開発、保守関連の需要は今後も拡大すると予測されます。
当社はそれら環境も踏まえ、積極的なエンジニア採用等を行うことにより、継続的な成長及び安定的な収益モデルの構築を推進してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
上記経営環境を踏まえ、当社が対処すべき課題は下記のとおりです。
① 優秀な人材の確保
当社が所属するクラウド業界は、エンジニアの人材不足が深刻化しております。当社の事業は、特にエンジニアの技術によるところが大きく、今後も伸びていくであろうクラウド業界において当社が成長していくためには、優秀なエンジニアを安定的に確保していくこと及び社内においても適材適所でエンジニアを活用することが課題であると認識しております。
IT人材不足を解消するため、当社では多くの非IT人材を採用し、短期間で高度IT人材へと育成する独自の人材育成モデルを構築済であります。このモデルでは、最短2か月でカスタマーサクセス・コンサルタントとして業務に従事できます。従事した後も様々なキャリアパスで活躍しています。今後は、同モデルを活用し、新卒を含めたIT未経験者採用を加速するとともに、お客様のIT人材育成事業の立ち上げを検討してまいります。
また、当社では、リモートワークの導入・在宅勤務手当の支給など、ダイバーシティ(働き方の多様性)に対応した施策を推進し、社員のライフ・ワーク・バランスの実現を積極的に図ることにより、優秀な人材の確保に努めてまいります。同時に、社員の能力向上のための研修、「Salesforce」認定資格取得のための研修料・試験料負担や人事評価制度の改善・運用など、社員の能力を最大限発揮できるような仕組みを確立してまいります。
② 事業ポートフォリオの拡大
当社の事業は、従来より「Salesforce」に特化し、継続して成長しているSalesforce市場とともに成長してまいりましたが、中長期的に見て、「Salesforce」以外のサービスの比率を高めることが必要と考えております。
そのため、「AGAVE」・「Circlace®」・「Prigister One」といった自社開発のSaaS事業、「Anaplan」に関連するサービス事業にも注力し、多角的に業務を進めてまいります。
③ 「Circlace®」の強化
当社が展開する統合型デジタルコミュニケーション・プラットフォーム「Circlace®」においては、既に当社サービス提供における重要な基盤であると考えており、中長期的に見て、当社の事業の柱になるべく注力してまいります。当面は、地方公共団体、BPO事業者、人材派遣業事業会社、士業にターゲットを絞りプロモーションを実施し、その後あらゆる事業者に向けて事業を展開してまいります。
また、当社の事業すべてにおいて「Circlace®」を利用した展開を実施し、DXを推進してまいります。
④ 地域事業の拡大
福岡県で行ってきた「中小企業向けSalesforce初期導入並びに活用支援サービス」が、2021年3月期に他県でも展開できるほどサービス内容が標準化でき、遠隔での対応が可能となり、今後、全国に向けたサービス展開を図ってまいります。
当社が安定して成長していく上で、現在主力である関東及び九州の地域だけでなく、全国に市場を拡大していくことは欠かせない事業であると考えております。
(※1)BPO
「Business Process Outsourcing」の略で、企業活動における業務プロセスの一部を一括して専門業者に外部委託することを指します。
(※2)パブリッククラウド
企業や個人等不特定多数のユーザーに対し、インターネットを通じて、サーバやストレージ、データベース、ソフトウェア等のクラウドコンピューティング環境を提供するサービスのことを言います。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社にとってのサステナビリティとは、事業を通じて社会問題の解決に寄与することであります。当社の持続的な成長が、雇用機会の創出、あらゆる働き方の実現及び技術革新への促進につながり、持続可能な社会の実現に貢献できる世界を目指すことです。その実現に向け、顧客、取引先、従業員、株主をはじめとするあらゆるステークホルダーとの良好な関係を継続し、サステナビリティを重視した経営を実践しております。
(2)具体的な取り組み
当社では、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しており、代表取締役社長佐藤潤がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有する立場になります。
取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しております。議案として提出された内容を、当社のサステナビリティのリスク及び機会への対応方針及び実行計画等についての審議・監督を行っております。
上記のガバナンスのもと、現在当社が取り組んでいるサステナビリティ課題は人的資本についてであります。
当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社では、①各種研修制度の確立②多様な人材の活用③働きやすい風土づくりという3つの柱により人材育成を行ってまいります。①については、新卒新入社員に対する長期研修プログラムの運営や認定資格の取得に対する社内トレーニングの充実、全社員に対する実践的なeラーニング研修の提供などを行ってまいります。②については、女性管理職の積極的登用、高度なスキルや実践経験を有するキャリア採用の積極的採用、外国人採用による異文化交流の推進などを進めてまいります。③については、「Circlace®」を積極的に活用した効率的なテレワーク環境の提供、育児や介護と仕事との両立を支援できる勤務体系、有給取得の推進、定期的な全社ミーティングによる理念の共有と一体感の醸成などを行ってまいります。Create Happinessをテーマに数々の施策のもと、多様性を認め合い、人材育成と社内環境整備を推進しております。
当社において、全社的なリスク管理は、リスクコンプライアンス委員会において行っております。現在はサステナビリティに関するリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込み等についても、リスクコンプライアンス委員会で行っておりますが、今後サステナビリティ委員会の設置を検討してまいります。
当社では、上記「②戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)「Salesforce」の契約の継続性について
当社のSalesforce Consultingの「Salesforce導入・運用コンサルティング」、カスタマーサクセスの「Salesforce運用支援・サポート」及びエデュケーションは、「Salesforce」に特化したサービスを提供しており、これらの売上が2023年3月期において全体の約9割を占めております。また、営業活動において、株式会社セールスフォース・ジャパンからの紹介によるところも大きく寄与しております。そのため、「Salesforce」の市場の拡大に大きく依存しております。こうした現状を踏まえ、DX、エデュケーションの新商品の取り扱い等「Salesforce」に依存しない事業拡大に努めておりますが、GDP(国内総生産)の増減、為替相場の円高・円安、消費者物価指数の上下等の影響により、「Salesforce」の市場縮小、経営戦略変更等があった場合には、契約の継続性に支障を来し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)クラウド市場の動向について
当社が事業を展開するクラウド市場は、ICT・業務の効率化に対する企業の期待やクラウドに対する注目度の高まりに伴って急速に成長しており、クラウドファーストの潮流が鮮明化しつつあります。当社は今後もこの成長傾向は持続すると見ており、「Salesforce」、「Anaplan」、そして自社SaaS製品の拡販とクラウドに関する事業の多角化を積極的に展開していく計画であります。
しかしながら、経済情勢や景気動向の悪化等により、企業の積極的な投資が控えられるようになった場合には、市場が縮小することも考えられ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)競合企業の動向について
当社が事業を展開するクラウド市場は、ここ数年で規模の大小を問わず競合企業が複数存在しており、クラウドの普及に伴い、今後も当社より規模が大きい競合企業の新規参入が予測されます。当社は、社内外研修やEラーニングを活用した継続した教育を行うことにより、エンジニアの高い技術力の維持・強化を図り、その技術力の高さによりサービス品質の更なる向上を目指し、競争力の維持に努めてまいります。
しかしながら、競合企業の動向によっては、市場に大きな影響を与える可能性があり、新規参入の拡大・競争の激化により、競合企業と差別化をうまく図れない場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)内部管理体制の強化について
当社は、業務の適正性及び財務報告の信頼性を担保するため、現在の事業規模に応じた内部管理体制を整備・運用しており、今後は事業規模の拡大に合わせ、コーポレート・ガバナンスの充実を図る多様な施策を実施していく方針であります。
しかしながら、事業規模の拡大及び人員の増加に合わせ、適時に内部管理体制の強化ができなかった場合、十分に適切な事業運営が行えず、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)人材の確保及び育成について
当社が今後も継続して成長するためには、エンジニアをはじめ各職種において優秀な人材を配置することが必要不可欠です。当社は継続的に従業員の採用及び育成を行っており、個々人が成長できる仕事環境の提供等の魅力による採用優位性の構築や社内各種制度及び教育制度の充実等に加え、統合型デジタルコミュニケーション・プラットフォーム「Circlace®」を用いたナレッジの共有等、多数の施策を実施しております。
しかしながら、人材の育成・採用がうまく進まない場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)株式会社パソナグループとの関係について
株式会社パソナグループは、当事業年度末現在における当社の発行済株式総数の34.07%を保有しており、当社は同社の持分法適用会社に該当します。
① パソナグループ内における当社の位置づけについて
当社は、「Salesforce」や「Anaplan」等に特化したコンサルティング事業、自社開発のDX事業及び主に「Salesforce」に関する研修を展開しているエデュケーション事業を展開しており、同様の事業を展開していない株式会社パソナグループ及びその子会社との競合関係はありません。
しかし、今後当社の経営方針及び事業展開を変更した場合、又は、株式会社パソナグループ及びその子会社が経営方針及び事業展開を変更した場合には、将来的に競合する可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 株式会社パソナグループとの取引及び取引条件について
2023年3月期における、当社と株式会社パソナグループとの取引について、当社の費用に係る総額は24,566千円であります。これらのうち、取引金額が1,000千円以上となる取引内容は以下のとおりであります。
株式会社パソナグループとの主な取引(2023年3月期)
(注)取引金額には、消費税等は含まれておりません。
なお、これらの取引は、独立第三者間取引と同様の一般的な取引条件で行っております。
③ 株式会社パソナグループとの人的関係について
本書提出日現在、当社取締役7名のうち、株式会社パソナグループより1名を選任しております。豊富な経営知識から、当社事業に関する助言を得ることを目的として招聘したものであります。なお、兼任している役員は以下のとおりであります。
なお、本書提出日現在において株式会社パソナグループからの出向者の受け入れは無く、今後も原則同社グループからの出向者の受け入れは行わない方針であります。
(7)TQUILA LIMITEDとの関係について
TQUILA LIMITEDは、当事業年度末現在における当社の発行済株式総数の32.88%を保有しております。
同社は、アイルランドにおいてグループ会社の経営指導を行っており、当社との事業上の競合関係はありません。
また、同社との取引関係はありませんが、創業当時より「Salesforce」に関する事業の助言を得ることを目的として、同社より取締役を1名招聘しております。兼任している役員は以下のとおりです。
なお、今後も同社との取引は原則行わない方針ですが、仮に取引を行う場合には、少数株主保護の観点から、取引条件等の内容の適正性を慎重に検討した上で、関連当事者取引管理規程に則った対応を行うこととしております。
(8)外注先の確保について
当社のコンサルティング事業では、システムの開発・連携・運用等において必要に応じて協力会社に外注をしております。協力会社とは、定期的なミーティングの実施による状況把握、関係構築を図ることで当社にとって優良なパートナー・外注先の確保に努めております。現状では、有力な協力会社と長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、協力会社において技術力及び技術者が確保できない場合又は外注コストが高騰した場合には、円滑なサービス提供等が阻害され、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)技術革新への対応について
当社が事業を展開するクラウド領域は、技術革新や顧客ニーズの変化が非常に速く、刻々と新たなサービスが開発・供給されております。
このような変化に対応すべく、当社は最新の技術情報の収集蓄積、分析及び習得、それに対応した新たなサービスの提供に努めておりますが、当社による技術革新への対応が遅れた場合、あるいは革新的な技術に対応するための多額の研究開発費用が追加的に発生する場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)法的規制について
当社は、電気通信事業法上の電気通信事業者として届出を行い受理されております。現在において、当社の事業に対する同法による規制強化等が行われるという認識はありませんが、社会情勢の変化等により、当社の事業運営を制約する規制強化等が行われる可能性は否定できません。当社は、これらの法規制を遵守した運営を行ってきており、今後の社内教育や体制の構築等を行っていく予定であります。万が一、かかる規制の強化がなされた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、近年、インターネット関連事業を規制する法令は度々変更・追加がなされており、今後新たな法令等の規制がなされた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)新規事業の展開について
当社は、「Circlace®」の開発・提供等、事業の拡大及び収益源の多角化を実現しうるために、新規事業への取り組みを継続して進めていく方針であります。しかしながら、新規事業が安定した収益を生み出すまでには一定の期間と投資費用を要することが予想されることから、その間、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新規事業は不確定要素が多く、当初の計画どおりに推移しなかった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)特定人物への依存について
当社代表取締役社長の佐藤潤は、当社の経営戦略の策定や事業推進において重要な役割を果たしております。当社は、事業拡大に伴い、取締役会等における役員及び幹部社員との情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に対して過度に依存しない経営体制の構築を目指し、人材の育成・強化に注力しておりますが、今後何らかの理由で同氏が当社の業務を遂行することが困難になった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)知的財産権について
当社は、運営する事業に関する商標・システム等の知的財産権の獲得に努めております。当社が使用する商標、システム等について、現時点において第三者の知的財産権を侵害するものはないと認識しております。今後も、事業活動において、第三者の特許権、商標権等の知的財産権を侵害しないよう、外部の専門家の知見も踏まえながら、適切な管理に努めてまいります。
しかしながら、仮に当社が第三者の知的財産権を侵害した場合は、当該第三者より、損害賠償請求、使用禁止請求等が発生する可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)情報管理体制について
当社は、提供するサービスに関連して、多数の顧客企業の情報資産を取り扱っております。これらの情報資産を保護するため、情報セキュリティ基本規程を定めるほか、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得する等、情報管理体制の強化に努めております。
しかしながら、何らかの理由によりこれらの重要な情報資産が外部漏洩するような場合には、当社の社会的信用の失墜、損害賠償請求の発生等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)システムトラブル等について
当社のSalesforce事業及びカスタマーサクセス事業は、Salesforce上の各種サービスを顧客企業に提供することを前提としており、Salesforce自体にシステム障害が起こるような場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、SaaSは、インターネットに接続するための通信ネットワークに依存しております。安定的なサービス提供のため、セキュリティ対策の強化や、定期的なバックアップ、稼働状況の監視、社内体制の整備等を行っておりますが、自然災害や事故等による予期し得ないトラブルにより大規模なシステム障害が起こるような場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)配当政策について
当社は、株主に対する利益還元が経営の重要課題であると認識しておりますが、当社は事業拡大過程にあり、将来の事業拡大に向けた投資等に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考え、創業以来配当を実施しておりません。
今後においては、事業基盤の状況や内部留保の充実状況及び当社を取り巻く事業環境を勘案し、配当実施を検討してまいりますが、現時点において配当実施可能性及びその実施時期等については未定であります。
(17)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、当社の役員、従業員並びに社外協力者に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションによる新株予約権を付与しており、2023年3月31日現在における発行済株式総数に対する潜在株式の割合は5.45%となっております。これらの新株予約権が行使された場合、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
(18)税務上の繰越欠損金について
当社は、税務上の繰越欠損金を有しております。当社の業績が順調に推移することで課税所得が発生した場合には、繰越欠損金の控除限度額を上回る課税所得に対して所定の税率に基づく法人税等の納税負担が発生するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は984,538千円となり、前事業年度末と比べ359,645千円増加しました。これは主に現金及び預金が385,485千円増加したことによるものであります。主な内訳は、現金及び預金675,346千円、売掛金244,037千円であります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は160,818千円となり、前事業年度末と比べ66,197千円増加しました。これは主に建物附属設備が42,169千円増加、ソフトウェア仮勘定が12,772千円増加、敷金及び保証金が45,460千円増加したことに対して、繰延税金資産が42,341千円減少したことによるものであります。主な内訳は、建物附属設備48,952千円、工具、器具及び備品12,866千円、ソフトウェア仮勘定12,772千円、繰延税金資産31,912千円、敷金及び保証金49,662千円であります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は267,845千円となり、前事業年度末と比べ104,193千円減少しました。これは主に短期借入金が30,000千円減少、賞与引当金が87,721千円減少したことによるものであります。主な内訳は、買掛金24,885千円、1年内返済予定の長期借入金56,520千円、未払金38,677千円、未払消費税等33,179千円、契約負債62,864千円であります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は71,090千円となり、前事業年度末と比べ56,520千円減少しました。これは長期借入金が56,520千円減少したことによるものであります。内訳は、長期借入金71,090千円であります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は806,421千円となり、前事業年度末と比べ586,556千円増加しました。これは主に資本金が287,873千円増加、資本準備金が287,873千円増加したことによるものであります。主な内訳は、資本金387,873千円、資本剰余金435,873千円であります。
② 経営成績の状況
当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響があったものの、一時的な沈静化の動きもあり、緩やかではありますが持ち直しの動きが見られました。一方で、急激な為替変動、ウクライナ情勢等に起因したエネルギーや原材料の価格高騰などによる物価上昇等もあり、景気の先行きは依然として不透明な状況です。
このような経済環境下ではありましたが、当社の属する国内パブリッククラウドサービス市場では、多くのユーザー企業がクラウドの導入/利用促進から高度活用へとシフトしています。この高度活用を進めていく上で、新しいツールの導入、新しい技術スキルの習得など企業には多様な取り組みが求められており、取り組みの中での課題も多く見られます。しかし、課題に手を付けなかったり、検討に長い時間をかけるのではなく、可能なことから実行に移す企業が増加しているのが現状です。このことが、国内パブリッククラウドサービス市場の成長を促進しています。この市場での2021年から2026年の年間平均成長率は20%超と見込まれており、2026年には4兆円超の市場となる予測がでており、依然として大きな市場であることに変わりありません。(出所:IDC Japan「国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表」、2022/9月)
このパブリッククラウドサービス市場において、当社が主力としているSalesforceプラットフォームを展開している米国Salesforce.comは、2023年3月1日に2022年度の通期業績を発表しました。売上高313億ドル(前期比18.3%増)、営業利益10億3,000万ドル(前期比88.0%増)、税引前利益6億6,000万ドル(前期比56.9%減)、純利益2億800万ドル(前期比85.6%減)という結果であり、過去10年で売上高成長率は20%をはじめて割りましたが、依然高い伸び率は継続しており、まだまだ成長が見込まれます。
このように市場が拡大する中で日本企業のDXに対する取り組みは依然として活発であり、DX関連市場において、クラウド活用推進によるコンサルティング、システム開発、保守関連の需要は今後も拡大すると予測されます。
上記のような市場の中、2023年3月期における当社の売上高は、エデュケーションを除いたすべてのサービスにおいて、前年を上回る結果になりました。
コンサルティングサービスは、前年比9.2%増という結果になりました。Salesforce Consultingが8.7%増と堅調な伸びを示したのに加え、Anaplan Consultingも13.8%増という増収を達成することができました。Salesforce Consultingにおいては、引き続き福岡営業所が好調であり、増収に大きく寄与しました。また、Anaplan Consultingにおいては、既存顧客である大企業からの安定した受注があり、増収を達成することができました。エンジニア不足という課題はありますが、この分野においては、今後も着実に業績を伸ばすことができるものと思われます。
プラットフォームサービスは、前年比15.2%増という結果になりました。カスタマーサクセスが15.4%増、DXが41.9%増となる一方、エデュケーションが2.0%減という結果になりました。カスタマーサクセスにおいては、Onsite Serviceは堅調な中、Hybrid Serviceが着実に業績を伸ばすことができました。今後も「Circlace®」を利用してノウハウを蓄積し、サービスの向上に努めてまいります。DXにおいては、「AGAVE」の売上が好調に推移しました。提携しております大手2社経由の売上が好調であり、当社独自の売上も着実に伸びてきております。「Circlace®」は、まだまだ売上規模は小さいですが、今後も拡販に努めてまいります。エデュケーションにおいては、微減ではありますが、安定した売上高をあげており、当社社員の教育にも貢献することができております。
一方で、2022年4月12日に東京証券取引所グロース市場に上場したことによる広告宣伝費の増加、租税公課の増加、本社移転関連費用の発生、人材採用にかかる社員募集費の増加などにより、販売費及び一般管理費が前年比9.1%増加しております。また、一部システム開発プロジェクトにおける納期遅延により、取引先に対して遅延損害金の支払いが生じ、損害賠償金を特別損失として計上しております。
人員においては、引き続き、エンジニアの採用は難航しておりますが、カスタマーサクセスにおける採用は順調であり、従業員数は期末時点で28名増加となりました。
以上の推移により、当事業年度の業績は、売上高2,527百万円(前期2,266百万円、対前期比11.5%増)、経常利益82百万円(前期139百万円、対前期比40.7%減)、当期純利益11百万円(前期175百万円、対前期比93.7%減)となりました。
なお、当社はデジタルプラットフォームサービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、675,346千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果、32,240千円の支出(前事業年度は117,073千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益54,129千円、減価償却費11,082千円及び売上債権の減少17,622千円があった一方で、賞与引当金の減少87,721千円及び前払費用の増加40,158千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果、73,184千円の支出(前事業年度は45,889千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出60,932千円及び無形固定資産の取得による支出12,252千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果、490,910千円の収入(前事業年度は22,188千円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入571,320千円があった一方で、短期借入金の返済による支出30,000千円及び長期借入金の返済による支出42,390千円があったことによるものであります。
当社が提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
なお、当社はデジタルプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当事業年度において、コンサルティングサービスの売上高は1,533,954千円(前事業年度は1,404,211千円)、プラットフォームサービスの売上高は993,184千円(前事業年度は862,069千円)となりました。エデュケーションで微減となったものの、その他のサービスにおいて前年を上回る実績を達成し、全社合計で前年を上回る結果になりました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度において、売上原価は1,271,760千円(前事業年度は1,045,443千円)となりました。賞与引当金の計上を行わなかったなどの減少要素もありましたが、一部システム開発プロジェクトにおける納期遅延に対応するために人件費や外注費の増加があったこと等により、前年比で大幅に増加しました。
この結果、売上総利益は1,255,378千円(前事業年度は1,220,838千円)となりました。
(営業利益)
当事業年度において、販売費及び一般管理費は1,167,923千円(前事業年度は1,070,339千円)となりました。上場に伴う広告宣伝費の増加、租税公課の増加、本社移転関連費用の発生、人材採用にかかる社員募集費の増加等があり大幅に増加しました。
この結果、営業利益は87,455千円(前事業年度は150,498千円)となりました。
(経常利益)
当事業年度において、営業外収益が1,077千円(前事業年度は35千円)、営業外費用が5,659千円(前事業年度は10,784千円)発生し、経常利益は82,872千円(前事業年度は139,749千円)となりました。
(当期純利益)
当事業年度において、特別利益が220千円(前事業年度は616千円)、本社移転による固定資産の除却・売却や損害賠償金の支払いによって特別損失が28,963千円(前事業年度は発生なし)発生し、法人税等合計は43,100千円(前事業年度は△35,204千円)となりました。
この結果、当期純利益は11,029千円(前事業年度は175,570千円)となりました。
財政状態とキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況及び③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資金の状況につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社における主な資金需要は、人件費等の運転資金及び設備投資資金であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、運転資金は自己資金を基本としつつ、投資資金は自己資金並びに金融機関からの長期借入及びエクイティファイナンスによる外部からの資金調達についても資金需要の額や用途、当該タイミングにおける金利及び資本コストを比較した上で優先順位を検討して実施することを基本としております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、売上総利益率、コンサルティングサービスにおける顧客企業の中での大企業売上比率を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでおります。
(パートナー契約)
(ベトナム合弁会社設立)
当社は、2023年4月13日開催の取締役会決議に基づき、株式会社ハイブリッドテクノロジーズ及び株式会社グロースリンクとの間で、ベトナム合弁会社を2023年6月に設立することを視野に入れ、同日付で基本合意書を締結いたしました。
また、同基本合意書に基づき、2023年6月15日に両社との間で合弁契約書を締結しました。
詳細については、「第5 経理の状況 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
当事業年度の研究開発活動は、DXにおいて、日々の運用をしていく上で軽微な活動はしておりますが、大規模な既存製品の機能追加、新商品開発等は行っておらず、研究開発費に計上するものはありません。