第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における予想、計画、目標等の将来に関する記述は、当社グループが当連結会計年度末現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の経営成績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

(1) 経営方針

当社グループは、電設資材及び産業機器等の卸販売並びに空調部材等の製造販売を通じて「省エネルギー、省資源など地球環境に配慮し、豊かで快適な社会づくりに貢献する」ことを経営の基本理念としております。

信頼される企業であり続けるため、コンプライアンス経営を第一義として、成長と変革によって企業価値の最大化を図り、すべてのステーク・ホルダー(株主、投資家、従業員、取引先、地域社会等の利害関係者)にご満足いただける企業を目指してまいります。

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、中期経営計画の策定に当たって、経営環境の変化や計画の進捗状況に応じ、毎年度、向こう3カ年の数値目標を更新するローリング方式を採用しております。

2023~2025年度中期経営計画における最終年度(2026年3月期)の数値目標は、次のとおりであります。

・連結売上高    3,570億円

・連結営業利益    219億円

(3) 経営環境及び対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境は、原材料価格の動向や地政学リスクの高まりなど先行き不透明な状況が続くものの、コロナ禍の行動制限緩和による社会経済の正常化や首都圏の再開発、2025年開催予定の大阪・関西万博に向けた建設需要の高まりが期待されます。

このような認識のもと、当社グループは中長期的な成長を目指し、①自社製品(PB商品を含む)の開発・拡充、②省エネ・省力化ソリューションの推進、③首都圏市場におけるシェア拡大、④グローバル展開の加速、⑤事業領域の拡大、⑥ESG経営の推進といった重点施策を着実に実行していくことによって企業価値の最大化を追求してまいります。

「①自社製品(PB商品を含む)の開発・拡充」に関しましては、コア製品である「因幡電工」ブランドとして業界に広く認知されている被覆銅管や空調配管化粧カバーの安全性、耐久性、施工性などの改良を重ね、高機能化や多機能化を図り、新たな需要を掘り起こしてまいります。また子会社パトライトは表示灯や回転灯の分野において国内外で高いシェアを持っており、新製品の開発等を通じて更なるシェア拡大を目指してまいります。

「②省エネ・省力化ソリューションの推進」に関しましては、LED照明をはじめとした環境配慮型商品の拡販に加え、省力化に向けた協働ロボットの導入やシステム構築などの支援に注力してまいります。

「③首都圏市場におけるシェア拡大」に関しましては、当社は西日本での売上比率が高く、首都圏は市場規模の観点から成長の余地があること、首都圏の再開発需要の継続が期待されることから、積極的な人材投入によって首都圏市場の需要の取り込みを目指してまいります。

「④グローバル展開の加速」に関しましては、アメリカでの「因幡電工」ブランドの拡販に向けて設立したInaba Denko Americaのほか、経済産業省のグローバルニッチトップ100選に選出された子会社パトライトにおける製品開発力や販売網に加え、子会社SOEによる空調部材の海外製造などを活用し、グループ一丸となって積極的な海外展開を推進してまいります。

「⑤事業領域の拡大」に関しましては、既存事業と隣接する情報通信設備や管工機材など、シナジーが見込まれる新たな分野に向けた営業推進や製品開発を通じて、顧客課題の解決に努めてまいります。

「⑥ESG経営の推進」に関しましては、実効性を高めるべく取締役会の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置するとともに、サステナビリティ基本方針を定めております。変化の激しい時代においても社会の発展と歩みをともにするため、サステナビリティの視座からこれからの社会課題をとらえ、「技術商社」として本質的なソリューションを提供し、あらゆる世代が豊かで快適に暮らせる明るい未来づくりに貢献してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。


(1)サステナビリティ
 当社は創業以来、社是「われわれは誠の心をもって世の中を明るくするためにはたらく」のもと、その時々の社会課題に経営資源を傾け、解決に資することで今日まで成長してまいりました。変化の激しい時代においても社会の発展と歩みをともにするため、サステナビリティの視座からこれからの社会課題をとらえ、「技術商社」として本質的なソリューションを提供し、あらゆる世代が豊かで快適に暮らせる明るい未来づくりに貢献してまいります。

 

①ガバナンス

 当社は、取締役会の諮問機関として、社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会は、サステナビリティ基本方針に基づき、当社が事業を通じ、当社のマテリアリティ(重要課題)に基づいた価値創造を行うために必要な施策を推進し、実行のモニタリングを行うことで、サステナビリティ基本方針と事業戦略との整合を図っております。

 サステナビリティ委員会は原則として年に1回開催し、委員長の社長のほか、委員は取締役、執行役員の全員が務め、取締役会に答申します。事務局は経営企画室が務めるほか、同委員会の下に各事業部門の実務リーダーを中心に構成する「サステナビリティ推進会議」を設置し、重要課題の遂行に努めております。

 

②戦略

 当社はサステナビリティ基本方針を以下のとおり定めております。

 

<サステナビリティ基本方針>

ⅰ.ビジネスを通じてマテリアリティに基づいた価値創造を行う

 当社のビジネスの柱は、三つのマテリアリティ「多様な商材とユーザーとの橋渡し」「安全な社会資本の整備」「人と技術と環境の調和」に基づく価値創造です。

 お取引先様や社会が抱える課題に対し、単なる商材供給ではなく、課題の背景と長期的な環境変化を踏まえたソリューション提供により、お取引先様や社会の持続可能な発展に貢献します。常に最善の提案ができるよう、当社の開発・メーカー機能の知財戦略や、お取引先様との協業を果断に進めてまいります。

ⅱ.従業員のエンゲージメントを高め、当社の持続可能性を高める

 従業員なくして企業の存続はあり得ません。従業員全員が企業人として同じ理想を仰ぐ風土を重んじつつも、一人ひとりの個性を尊重するとともに、労働環境や処遇の弛まぬ改善を行います。また、従業員の成長が会社の成長ととらえ、長期的な視野に立ち、人財戦略へ積極的に投資をすることで、将来に向かっての種まきを行います。

ⅲ.将来世代からの宿題である地球環境問題に真摯に向き合う

 気候変動をはじめとする地球環境問題は、人類共通の課題であり、将来世代からの宿題でもあります。情報が氾濫する環境問題を取り巻く現下の状況において、近視眼的な施策に走らぬよう自らを戒め、将来世代の視点を取り込んだ意思決定による環境経営を推進してまいります。

ⅳ.サプライチェーン全体の人権尊重を推進し、ビジネスの持続可能性を高める

 お取引先様と公正・適正な取引を行うなかで、当社が関わるすべてのビジネスにおいて人権の尊重を最優先します。自社のみならずサプライチェーン全体の人権尊重の底上げに取り組むことで、持続可能なビジネスモデルを構築します。

ⅴ.地域に根ざし、信頼される企業になる

 当社がビジネスを展開する国や地域の歴史、伝統、文化に敬意を表し、地域の皆様と交流を図りながら信頼される企業を目指します。

ⅵ.誠実な情報開示を行う

 すべてのステークホルダーの皆様との有意な対話を行うため、適切で正確な情報開示を行います。

ⅶ.一人ひとりが自ら行動を起こせる組織になる

 取締役及び管理職が率先垂範し啓蒙することで、サステナビリティに対する従業員の理解を醸成し、従業員一人ひとりが当基本方針の主旨を自らの行動に起こせる組織を目指します。

 

 また、当社における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。

 

<多様性の確保についての考え方>

 「経営の基本理念」の実現に向け、多様な人材や価値観を取り入れることが新たな価値創造につながり、企業価値向上において不可欠であると認識しております。

 グループ全体で多様性を尊重し、誰もが活躍できるよう、すべての従業員の健康増進に努め、かつ働きやすい職場環境を整備するほか、ワークライフバランスの充実に取り組み、性別や年齢、人種、国籍、障がいの有無、性的指向など、あらゆる多様性を受け入れる包摂的な企業文化を醸成してまいります。

 

<人材育成方針>

 人材が経営資源の核であり、企業価値創造の源泉であるとの認識のもと、従業員の自主性を尊重し、職務を通じた能力開発を推進しております。

 経営戦略の実現に向け、従業員一人ひとりが自ら考え主体的に行動・挑戦することで組織全体の生産性向上を図るとともに組織の活性化に取り組んでまいります。

 また、従業員は常に人格、知識、技能の向上を図り、相互の啓発と後進の育成に努め、会社は環境の配慮と成長機会を用意します。

 

<社内環境整備方針>

 すべての従業員が健康を保ち、かつ安心して働ける職場環境を会社が整備することは、企業競争力の維持において不可欠であると認識しております。

 会社は従業員との信頼関係の構築はもとより、労働組合との定期的な意見交換や過重労働の防止、健康診断・ストレスチェックの実施、コンプライアンスホットラインの設置など、社内環境の整備に努めてまいります。

 

③リスク管理

 当社グループでは、事業遂行上の危機や重大なクライシスに転じる可能性があるリスクを把握・検討し、重要リスクとして取締役会に報告しております。これらのリスクを適切に管理・統制するとともに、可能な限り、危機の発生防止に努めております。

 またサステナビリティ委員会は、全社リスクの中からサステナビリティ関連リスクを抽出・評価し、取締役会に答申します。取締役会は、答申を踏まえ、各事業部門にリスク対策を含む中期計画の作成を指示し、事業戦略に反映させます。

 

④指標及び目標

 人材の多様性の確保について、次の指標を用いております。

<女性・外国人・中途採用者の管理職への登用について>

 当社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等で特に制限を設けておりません。当該人材における管理職比率は「女性1.3%、外国人0.0%、中途採用者15.0%(2023年5月末現在)」であります。

 女性については、まずは総合職での採用や登用を推進し、将来の管理職候補を育成してまいります。外国人については、当社の事業が国内中心であるため管理職の登用実績がないのが現状であります。中途採用者については、新卒採用者と同水準の登用実績であります。

 なお、人材育成方針及び社内環境整備方針に関する指標につきましては、今後開示を検討してまいります。

 

(2)個別項目

 上記、ガバナンス、戦略及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

 

 ・気候変動

当社は2022年4月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言への賛同を表明しました

当社はTCFDの枠組みを参考に気候変動が当社の事業に与えるリスク・機会を把握分析し適切なリスクマネジメントを行いこれを経営戦略に反映させるとともに適切な情報開示に努めてまいります当社は事業を通じて地球温暖化の原因とされているCO2等の温室効果ガス排出の削減に貢献しながら持続的な成長を目指してまいります
 

 a.ガバナンス

 当社における気候変動関連のリスクや機会については、前述のサステナビリティ委員会が主導してこれを審議し、気候変動が当社事業に与える影響を分析、把握し、取締役会へ答申するとともに、各事業部門に助言を行い、事業戦略への反映に努めてまいります。

 

 b.戦略

 当社はいわゆるシナリオ(現在の延長線上成り行きの未来)」、「以下シナリオ(脱炭素が進む未来)を用いて2030年までのシナリオ分析を行い気候変動が当社事業へ与えるリスク・機会の主な要因を特定し当社の対応方針を検討しました
 4シナリオ以下シナリオともに2030年の当社事業に係る需要は2020年比で増加する見込みであり当社には気候変動リスクに対して相当程度のレジリエンスがあると認識しております両シナリオで需要増を見込んでおりますがシナリオに比べて2以下シナリオで想定される需要が大きくまた以下シナリオの世界観が当社サステナビリティ基本方針と軌を一にするものであることから当社は微力ながらも2以下シナリオの未来の実現に向け邁進してまいります

 

<リスク及び機会の認識と当社の対応方針>

分類

影響

期間

主な要因

リスクの側面

機会の側面

当社の対応方針

政策

 

 

炭素税導入

2℃以下シナリオでは炭素税導入が進みコスト増となる。
建設コスト増による建設投資減少のおそれや、価格転嫁による調達コスト増リスクもある。

省エネ・省力化ニーズが高まり、再エネ普及も進む。

自社排出のCO2対策は「指標及び目標」にて後述。ビジネス面では、省エネ・省力化ソリューションや再エネ商材の販売を強化する。

エネルギー

原油価格の

変動

4℃シナリオでは価格上昇でコスト増。
2℃以下シナリオでは4℃シナリオに比べ小幅の価格上昇ないし価格下落するものの、再エネ普及により電力価格が上昇し、総じてコスト増となる。

2℃以下シナリオでは省エネ需要増。

2℃以下シナリオにおいて省エネ商材の普及に努めることはもとより、4℃シナリオにおいても、2℃以下シナリオへの移行が進むことが原油価格下落に作用することから、4℃シナリオ下でも省エネ商材を訴求してゆく。

エネルギー

電力価格の

変動

2℃以下シナリオでは価格上昇でコスト増。
4℃シナリオでは2℃以下シナリオに比べ小幅の価格上昇ないし価格下落により、省エネ需要は伸び悩む。

2℃以下シナリオでは省エネ需要増。

自社事業の省電力を推進するとともに、4℃シナリオにおいても、省エネ商材のプライスダウンなどを図り普及に努め、社会の2℃以下シナリオ実現を後押しする。

エネルギー

 

再エネ普及

電力コスト増となるほか、再エネ普及により商材が多様化、複雑化し、既存の取扱商品が陳腐化するおそれ。
また、再エネ先進国である欧州企業等の新規参入可能性が高まり、当社事業環境の競争が激化するおそれ。

電力コスト増により省エネ需要増。

自社事業の省電力を推進するとともに、ビジネスにおいては、最適な再エネソリューション提案に必要な人材の育成や、再エネに強みを持つ企業との提携やM&Aを検討する。

資源

銅価格上昇

両シナリオとも銅需要増による価格上昇が予想される。2℃以下シナリオの方が想定される需要の増加幅は大きい。
空調部材(被覆銅管)の調達コスト上昇。
電線ケーブル類の仕入価格上昇。

適正な価格設定ができれば収益増加。

積極的な知財戦略によって、将来的な価格上昇幅が少ない素材への転換を模索する。
電線ケーブル類の調達マネジメントを強化する。

資源

 

 

プラスチック規制

2℃以下シナリオでは、プラスチック規制により、プラスチック使用の商材の調達コスト増や、空調部材(スリムダクト)の原価増。再生材使用による性能低下のおそれ。

適正な価格設定ができれば収益増加。

工場のスマートファクトリー化で生産効率を高める。製品の高機能化や、素材の転換による収益向上を図る。

市場

 

ZEB・ZEH普及

ZEB・ZEH物件への納入実績が乏しい場合に、レピュテーションリスクあり。(環境への意識や技術力を疑われる)

2℃以下シナリオで特に需要増。電気工事増加に加え、通信設備業界への参入機会が拡大する。

住宅向け自社製品ブランドでZEH向け製品の開発を模索するとともに、電設資材事業におけるZEB商材拡販等、通信設備、IoT機器分野の比重を高める。

市場

 

スマート

シティ進展

商材が多様化、複雑化し、既存の取扱商品が陳腐化するおそれ。

2℃以下シナリオで特に需要増。従前の電設資材の需要に加え、通信設備分野の需要が増加。

電設資材事業における通信設備、IoT機器分野の比重を高める。

市場

 

スマート

ファクトリー普及

商材が多様化、複雑化し、既存の取扱商品が陳腐化するおそれ。

2℃以下シナリオで特に需要増。従前の産業機器の需要に加え、通信設備分野の需要が増加。

産業機器事業における通信設備、IoT機器分野を強化する。

政策

防災・減災

需要増

実際に災害が起こらないとなかなかニーズが高まらない。(災害発生前の普及にはハードルがある)

国土強靭化計画によるインフラ修繕に伴う電気設備の更新が追い風となる。

災害時のリスク診断スキルを強化し、来る災害に備えて先手を打つためのソリューション提案を積極的に行う。

市場

 

空調需要増

空調機器の技術革新が進み、周辺部材の在り方が変わると既存の空調部材製品が陳腐化するおそれ。

2℃以下シナリオに比べ4℃シナリオで需要増。空調機器出荷増に伴い、空調部材製品の需要が増加。

既存製品のシェアを死守するとともに、知財戦略を進め、空調機器の技術革新に先んじた研究開発に取り組む。

慢性

気温上昇

夏場の工事遅延や、従業員の熱中症が増加。生産性が低下する。

省施工工具など、工期短縮や省人化を実現する商材の需要増。

PB商品にて工事の省施工に資する商材強化。従業員の熱中症対策には、テレワークやワーケーション(避暑地勤務)、サマータイム制の導入を検討する。

急性

台風、豪雨、洪水

自社物件の損害。サプライチェーンの被害による納期遅延、販売機会消失のおそれ。

災害からの復興需要のほか、防災・減災需要が喚起される。

自社物件のアセスメントを徹底し、安全な場所に拠点を構えるとともに、サプライチェーンのアセスメントも行い、総合的なリスク管理を行う。
また、災害時のリスク診断スキルの強化により市場のアセスメントも行い、災害からの復興需要に期待するのではなく、あくまでも防災・減災ビジネスに軸足を置く。

(注)期間はリスク・機会の本格化までの猶予(短:~3年中:3~7年長:7年~)

   分析対象範囲:因幡電機産業株式会社

 

c.リスク管理

 気候変動を含むサステナビリティ関連のリスク管理については、前述の通り、全社リスクマネジメントの枠組みの中で、サステナビリティ委員会がこれに主導的に関与するかたちで運用しております。

 

d.指標及び目標

 当社は、政府発表の「2050年カーボンニュートラル」の方針を受け、CO2排出量に関する削減目標を設定しております。
 当社は、自社の事業におけるCO2排出量(Scope1、Scope2)に関して、自社物件で使用する設備機器における環境負荷低減機種の選定や、社有車のエコカーへの切り替えなどをはじめとする省エネ施策の推進によって、2030年度までに2020年度比で30%削減を目指してまいります。

 なお、Scope3につきましては、引き続きCO2等の温室効果ガス排出量算定の充実に努めるとともに、削減目標の設定に向けて取り組んでまいります。

 

なお、サステナビリティに関する最新情報は当社ウェブサイトにて開示しております。

 https://www.inaba.co.jp/esg/

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものが挙げられます。

また当社グループでは、事業遂行上の危機や重大なクライシスに転じる可能性があるリスクを把握・検討し、重要リスクとして取締役会に報告しております。これらのリスクを適切に管理・統制するとともに、可能な限り、危機の発生防止に努めております。しかしながら、危機が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、以下のリスクは当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、あらゆるリスクを網羅している訳ではありません。

(1) 事業環境に関するリスク

①価格競争

当社グループは新規参入企業を含めた競合他社との厳しい価格競争に晒されております。

競争力強化に努めているものの、建設投資や設備投資が激減するなどの市場環境の変動により価格競争が熾烈化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

②債権管理

上述のような市場環境の変動によって、中小業者の倒産が増加する危険性があり、当社グループでは販売先の定期調査分析を実施するなど債権管理に細心の注意を払っております。

適正な貸倒引当金を計上し、営業保証金の受入や取引信用保険の活用など対策を講じておりますが、想定外の倒産が頻発した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 天候に関するリスク

当社が製造及び販売する空調部材等は空調設備に付随する製品であるため、その販売量はエアコン国内出荷台数の影響を少なからず受け、最需要期である夏季の天候に左右される傾向にあります。したがって、当社の空調関連製品における市場環境の季節的変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 事業の拡大・展開に関するリスク

①品質保証

当社グループは品質保証の専任部署を設置し、製品の品質管理を行っております。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく将来に損失が発生しないという保証はありません。欠陥の内容によっては、対外コストや製品の評価に影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

②知的財産

当社グループは空調分野、住宅分野、産業分野等において研究開発活動を進めており、知的財産保護のため特許権をはじめとする産業財産権を出願及び取得しております。しかしながら、違法に産業財産権が侵害され、これらを盗用した模倣品により損害を被る可能性、競合他社が当社グループよりも優れた技術を開発し、現有する産業財産権が陳腐化する可能性は否定できません。こうした知的財産にまつわる重大な問題が予期せず発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

③M&A

当社グループは成長戦略の一環としてM&Aを実施することがあります。しかしながら、M&Aにおける買収価格が常に適正、妥当であるという保証はありません。買収後の収益が、買収時に見込んだ将来の収益予想を大幅に下回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 調達に関するリスク

当社が製造及び販売する空調部材等は銅、鉄、ステンレス、樹脂等を原材料としております。これらは、国際的な価格変動により製造コストを変動させる可能性を有しております。原材料価格の高騰が当初の予想を上回りコスト増を自社で吸収しきれない場合、また原材料価格上昇分を製品価格に転嫁できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 法的規制に関するリスク

当社グループは多様な法的規制のもと事業活動を行っておりますが、将来において不可測な規制変更、当社グループに不利益な規制変更が起こった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

一例を挙げると、建築基準法・消防法などの改正によって当社が取扱う製品の競争力が失われる恐れや、会計基準及び税制の新たな導入・変更等による影響などがあります。

(6) 保有資産に関するリスク

当社グループが保有している土地、投資有価証券等において、その資産価値が時価等に基づき著しく下落した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループが保有する取引先情報や営業秘密・社外秘情報等が漏洩した場合、当社グループの管理責任を問われ損害賠償を請求される恐れがあるほか、情報漏洩によって毀損した社会的信用の回復には大変な時間や労力を要することが予想されます。

また、システム障害や外部からのサイバー攻撃などによって社内システムが停止すると、当該システムの対象業務が処理不能となり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(8) 天災・感染症等に関するリスク

地震・洪水等の自然災害や火災等の事故災害、新型コロナウイルス等の感染症の流行、テロや戦争、気候変動、その他の要因により社会的混乱等が発生した場合、事業活動の停止や建設工事や設備投資の先送りによる機会損失、設備の損壊による復旧のための多額の費用負担等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定

本項に記載されているすべての財務情報は本有価証券報告書における連結財務諸表に基づいております。同財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、経営者は、見積りが必要な事項については過去の実績や現状等を考慮し、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。ただし、将来に関する事項には不確実性があるためこれらの見積りと異なる可能性があります。重要な会計方針及び見積りにつきましては、「経理の状況」に記載しております。

 

(2) 経営成績の分析

<概況>

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、行動制限の緩和は維持され持ち直しの動きが見られたものの、原材料価格の高騰をはじめとする物価上昇や急速な為替の変動、ウクライナ情勢の長期化などが懸念されるなか、景気回復は足踏み状態が続きました。
 当社グループの係わる電設資材業界は、建築着工や企業の設備投資がコロナ禍前の水準に戻りつつあるなど回復基調となりました。また、自社製品の係わる空調業界は、第2四半期以降は猛暑による需要回復の動きや供給制約の緩和が見られましたが、第1四半期における半導体不足や中国のロックダウン等による影響からルームエアコンの出荷(国内914万台 前年同期比1.6%減)は伸び悩みました。
 このような情勢のなか、当社グループは中長期的な経営戦略に沿って、重点施策を着実に推進するとともに、積極的な営業活動を展開しました。

 その結果、過去最高業績を更新いたしました。

 

経営成績に重要な影響を与えた要因は、次のとおりであります。

<売上高>

売上高は前連結会計年度と比べ278億75百万円(9.6%)増加し、3,169億47百万円となりました。

電設資材事業は、銅価格等の高騰により電線ケーブル類をはじめ多くの電設資材の販売価格が上昇したほか、半導体不足等による供給面の制約を受けたものの、首都圏再開発や製造業の設備更新、データセンターなどの大型物件向けに防災設備や受配電設備等の納入があった結果、売上高2,106億15百万円(前年同期比8.6%増)となりました。

産業機器事業は、旺盛なデジタル関連需要や自動車業界のEV関連投資などの拡大を背景に半導体関連向けの販売が好調であったほか、製造業を中心とした設備投資が堅調に推移したことにより、制御機器及び電子部品の販売が増加した結果、売上高399億96百万円(前年同期比18.1%増)となりました。

自社製品事業は、ルームエアコンの出荷が伸び悩んだことによる空調関連部材の需要停滞や、前期の製品価格改定に伴う駆け込み需要の反動減が見られましたが、原材料価格の高騰を受け幅広い製品において価格改定の実施を継続したほか、首都圏や近畿圏をはじめとした大型物件向けの納入があったことなどから被覆銅管や空調配管化粧カバー「スリムダクトシリーズ」の販売が底堅く推移した結果、売上高663億35百万円(前年同期比8.3%増)となりました。

<売上総利益>

売上総利益は前連結会計年度と比べ41億62百万円(8.6%)増加し、523億23百万円となりました。また、売上総利益率は前連結会計年度と比べ0.2ポイント低下し、16.5%となりました。

<販売費及び一般管理費>

販売費及び一般管理費は前連結会計年度と比べ17億83百万円(5.6%)増加し、336億82百万円となりました。これは主に、人員増加等に伴う人件費や東京本社移転に伴う賃借料の増加によるものであります。

<営業利益>

営業利益は前連結会計年度と比べ23億79百万円(14.6%)増加し、186億41百万円となりました。また、売上高営業利益率は前連結会計年度と比べ0.3ポイント上昇し、5.9%となりました。

<営業外損益>

 前連結会計年度と比べ営業外収益は3億17百万円増加いたしましたが、これは主に、受取和解金の計上によるものであります。

<特別損益>

特別利益は前連結会計年度と比べ6億86百万円増加いたしましたが、これは主に、投資有価証券売却益の増加によるものであります。

<親会社株主に帰属する当期純利益>

以上の結果に加え、「賃上げ促進税制」の適用要件を満たしたことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べ31億61百万円(25.8%)増加し、154億27百万円となりました。

また、EPS(1株当たり当期純利益)は前連結会計年度と比べ57円44銭(26.1%)増加し、277円50銭となりました。

<ROE(自己資本当期純利益率)>

ROEは前連結会計年度と比べ1.7ポイント上昇し、10.6%となりました。

 

(3) 中期経営計画の進捗状況

 中期経営計画については、ローリング方式により策定しておりますが、当連結会計年度における経営成績は当初の予想を上回って推移し、目標達成に向けて順調に推移しているものと認識しております。しかしながら、原材料価格の動向や地政学リスクの高まりに関して先行き不透明な状況にあります。引き続き、重点施策を着実に実行していくことによって企業価値の最大化を追求してまいります。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る分析

 将来の成長に向けた投資資金については、自己資金で賄うことを基本方針としております。財政状態及びキャッシュ・フローの状況を踏まえ、必要な資金需要に対応できる財務健全性は確保されているものと判断しております。

 なお、株主還元につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

<財政状態>

総資産は前連結会計年度末に比べ102億26百万円増加し、2,456億46百万円となりました。これは主に売上債権の増加、有価証券の計上によるものであります。

負債は前連結会計年度末に比べ2億50百万円増加し、944億17百万円となりました。これは主に仕入債務の増加によるものであります。

純資産は前連結会計年度末に比べ99億75百万円増加し、1,512億28百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は61.3%となりました。

<キャッシュ・フローの状況>

現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ186億86百万円(25.8%)減少し、538億82百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べ収入が83億48百万円(75.6%)減少し、27億円のプラスとなりました。これは主に、売上債権の増加(86億68百万円)、法人税等の支払(70億95百万円)がありましたが、税金等調整前当期純利益(210億83百万円)、仕入債務の増加(13億94百万円)があったことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べ支出が101億80百万円(193.1%)増加し、154億52百万円のマイナスとなりました。これは主に、定期預金の払戻(100億円)と預入(250億円)の収支、有形固定資産の取得による支出(13億91百万円)、無形固定資産の取得による支出(4億2百万円)があったことによるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べ支出が2億29百万円(3.7%)減少し、60億44百万円のマイナスとなりました。これは主に、ストックオプションの行使による収入(15億96百万円)がありましたが、配当金の支払(61億20百万円)、自己株式の取得による支出(15億円)があったことによるものであります。

5【経営上の重要な契約等】

2023年3月31日現在における主な代理店契約等は次のとおりであります。

会社名

契約年月日

主な取扱品目

アイホン株式会社

1980年2月21日

インターホン

IDEC株式会社

1969年10月21日

制御機器

岩崎電気株式会社

1962年5月10日

照明器具

オムロン株式会社

1979年4月1日

制御機器

株式会社東芝

1968年4月1日

変圧器、受変電設備

東芝ライテック株式会社

1968年4月1日

照明器具、配線器具

株式会社フジクラ

1963年4月1日

電線ケーブル類

Universal Robots A/S

2016年5月25日

協働ロボット

 

6【研究開発活動】

当社グループは、中長期的な経営戦略の柱として「自社製品の開発・拡充」を掲げ、当社及び関係会社の開発部門等において新製品開発を重点的に推進するとともに、従来品については製品バリエーションの追加、機能・品質の向上、コスト削減のための製品改良及び製法改善に取り組んでおります。

当連結会計年度における研究開発費の総額は926百万円であり、そのほぼ全額が自社製品事業に係るものであります。なお、分野別の研究開発活動の概要は、次のとおりであります。

(1) 空調分野

空調の縦引き配管の自重や熱伸縮による負荷を軽減させる固定金具において、火を使うろう付け作業を行わずボルト締め付けのみで施工が完了でき、火気厳禁の現場に対応するとともに、施工時間短縮も実現した「パイプロックTKL(ろう付けレス)」を開発いたしました。

(2) 給排水分野

スプリンクラー設備などの配管支持部材において、様々なサイズの樹脂管・フレキ管に対応し、工具不要で施工性に優れた「パイプバンドZB-PB28」を開発いたしました。

(3) 防火材分野

防火区画貫通部の耐火措置工法部材「耐火貫通ブロックIRKB」において、消防評定の取得拡大に伴い高層マンションで採用の多い中空壁に対応し、壁設置前の配管施工が可能となることで工程管理が容易になりました。

(4) 表示灯分野

壁面取付け積層信号灯において、全段同色点灯・点滅による異常報知だけでなく、流れるような点灯による進行方向の表示やホタルのような優しい光での点滅など、9色で多彩な報知パターンが可能な「WE-LAN」シリーズを開発いたしました。