文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、溶射加工を中核とする表面処理加工の専業メーカーとして「技術とアイデア」「若さと情熱」「和と信頼」「グッド・サービス」を社是として掲げ、株主、取引先、社員、地域社会等あらゆるステークホルダーとの良好な信頼関係を基礎に、表面処理皮膜が持つ省資源化、省力化、環境負荷の低減等の諸機能を通じて社会に貢献し、「高技術・高収益体質の、内容の充実した企業グループ」を実現することを経営の基本理念としております。
当社は、「高技術・高収益体質の、内容の充実した企業グループ」を実現するため、以下の6項目を経営の基本方針として掲げております。
2021年11月に公表いたしました「中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)」では、当社グループの「ビジョン(2030年の目指す姿)」及び「ミッション」を次のとおり定めました。
≪ビジョン(2030年の目指す姿)≫
「人と自然の豊かな未来に貢献する」
≪ミッション≫
ESGを重視した継続的な成長による企業価値の向上
・高品質・高付加価値商品(皮膜)を生み出し顧客に提供すること
・いつまでも顧客・株主・取引先・地域の皆様から信頼されること
・地球環境保全に資する技術に貢献すること
・トーカロでイキイキと安全に働くことが従業員やその家族の誇りに思えること
2050年カーボンニュートラル(脱炭素社会)の実現に向けて大きく動き出している世界の中で、特に当社グループの成長の鍵となる社会の大きな変化(メガトレンド)は、①環境問題の深刻化、②ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)/デジタル化へのテクノロジーシフト、③資源・食料不足・人口増加の3つであり、これらの変化・課題に対して、トーカロの成長戦略、すなわち「新商品開発」と「新市場開拓」を推進してまいります。
「中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)」では、当社グループの成長戦略として特に注力する取組み分野を、大きく「人」「環境(自然)」の2つといたしました。「人」への取組み分野としては、半導体、FPD(フラットパネルディスプレイ)、医療・農業・食品などがターゲットとなります。「環境(自然)」への取組み分野としては、エネルギー、素材、輸送などが挙げられます。
既存事業である「半導体・FPD」「環境・エネルギー」分野における用途を拡大しつつ、新事業領域である「農業」や「医療」分野などを上乗せしていくことで、中期経営計画の最終年度における業績イメージとして、連結売上高530億円(うち、半導体分野向け売上260億円)、経常利益120億円を想定しております。
「人」と「環境(自然)」への取組み分野において、既存事業と新事業領域それぞれで案件創出や適用拡大を図ることにより、テクノロジー(人)、環境(自然)の両面で社会に貢献し、継続的成長による企業価値向上に努めてまいります。
「中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)」において、当社グループが目標として定めた財務関連指標は次のとおりであります。
<強い財務体質の維持>
・自己資本比率(70%程度)の維持(実質無借金継続)
<収益力の維持>
・ROE(自己資本利益率)の維持(15%を目標)
・経常利益率の維持(20%を目標)
・EPS(1株当たり当期純利益)の維持・向上
<配当性向>
・純利益の1/3以上を目途に安定配当
・DOE(自己資本配当率)の維持(5%を目標)
<設備投資>
技術優位性の維持・向上に向けた投資の継続 合計250-350億円(50-70億円/年)
半導体増産関連、新技術プロセス関連、生産効率化関連等
<研究開発費+技術開発費>
研究開発費:連結売上高比3%程度を維持
技術開発費:各工場の生産技術部門で投資継続
なお、上記記載の数値目標に関しては、当連結会計年度末現在において当社グループが判断した一定の前提に基づいたものであり、その達成を保証するものではありません。
当社の対処すべき主要な課題は、ウェブサイトにマテリアリティとして公開している以下5項目であり、これらの達成に向けて取り組んでおります。
当社は、「人と自然の豊かな未来に貢献する」をビジョンとして掲げており、半導体、インフラ、医療、農業など人々の暮らしを支える分野および、水力や風力、地熱発電、二次電池などの温室効果ガス排出削減に資する高機能皮膜開発を主要テーマとして潜在市場の開拓を進めてまいります。
脱炭素化(カーボンニュートラル)については、「2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%削減する」ことを目標に、省エネ、創エネ、廃棄物の削減、リサイクルを通じて、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでおります。
ものづくりの高度化については、DXの活用によるスマートファクトリー化を進めてさらなる生産性の向上を図ってまいります。
また、今後も安定的に顧客要求を満たす品質を提供し続けるため、生産工程の標準化を推進するとともに、社員に対し資格取得を推奨するなど、社内教育を充実させることで、更なる品質管理体制の向上を推進してまいります。
当社が持続的に成長するためには人財育成が必要不可欠であると認識しています。
また、女性活躍の推進をはじめ、さまざまな属性(国籍、年齢、障がいの有無など)の社員がその能力を発揮できるよう成長機会の公平な提供と実力本位の評価を行い、イキイキと働ける就業環境の整備を進めてまいります。
当社は、誠意と創意を持って、健全な事業活動を推進し、豊かな社会の実現に貢献する企業として、行動指針を定めております。コンプライアンス遵守の徹底については、社員全員に対して、e-ラーニング等による教育を定期的に実施しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
サステナビリティに関する方針の策定、計画の立案、取り組みの進捗確認を担う組織としてサステナビリティ委員会を設置し、気候変動に関する対応についても審議しています。同委員会は、社長を委員長とし、常勤取締役や各部門長などから構成され、基本的に年4回開催することとしています。
取締役会は、同委員会から気候変動を含むサステナビリティ課題全般に関する報告を受け、審議・承認を行っています。2021年10月に開催した取締役会では気候変動に関する目標を含む中期経営計画を、2021年12月に開催した取締役会では気候変動に関する取り組みを含むマテリアリティ(当社が重点的に取り組むべき課題)を承認しました。
当社は、2021年12月に「先進的皮膜開発と潜在市場の開拓」「環境負荷低減への対応」「ものづくりの高度化と品質向上」「多様な人財の育成と活躍」「コンプライアンスの徹底(企業倫理に則った行動の実践)」の5つのマテリアリティを特定し、各マテリアリティに対する取組みを進めています。
当社は「人と自然の豊かな未来に貢献する」ことをビジョンに掲げ、気候変動対応を経営における重要課題の一つと位置づけています。
2022年からTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づくシナリオ分析を開始し、気候変動に関するリスクと機会の洗い出しに着手しました。2022年6月にはトーカロ株式会社単体を対象範囲とし、主要なリスクと機会、およびその対応策を抽出しました。
2023年はさらに分析を深化させるため、それぞれのリスクと機会について財務インパクトの試算を行い、その結果から特に重要と思われる対応策について指標及び目標を設定しました。今後は、分析のさらなる精緻化とともに、設定した指標及び目標に基づきリスク軽減と機会増加の対応策を推進してまいります。
<リスク・機会の内容と財務インパクトおよびその対応策>
・対象範囲:トーカロ株式会社(単体)
・対象期間:現在~2050年
・主な参照シナリオ:
当社が求める人財像は、社是である「技術とアイデア」「若さと情熱」「和と信頼」「グッド・サービス」をもとに、「今よりもっと」を考えて取り組む人財です。
当社は、表面改質技術(皮膜)による価値創造を通じて顧客のベストパートナーとなるために、4つの重点テーマ「市場開拓の強化」「技術開発体制の強化」「ものづくりの高度化」「100年企業を目指した持続的成長」に自律的に取り組む人財を育成する必要があります。そのために、社員が持っている可能性や意欲を引き出すとともに、一人ひとりのキャリア開発を支援するさまざまな成長機会を提供します。
具体的な人財育成の方策は、以下のとおりです。
顧客の多種多様なニーズを捉え、その課題に対して最適なソリューションを提供するため、重点分野ブロジェクト参画や営業事例発表大会などの社内連携の機会を通して専門知識やアプリケーション事例の吸収・展開を促進し、提案営業力をさらに高める。
(ⅱ)ものづくりの創意工夫とその基盤固め(ひとづくり)
顧客の要望に応じたオーダーメイド皮膜の実現と生産能力の増強を両立するため、QA発表大会(ものづくり改善活動)などで生産効率化に向けた創意工夫の動機付けを行う。また、職長の指導・監督下で仕様書や作業手順書どおり確実に施工するための仕組み(ひとづくり)を維持・発展させる。
(ⅲ)品質管理手法を探求するためのスキル獲得
皮膜の状態は施工後に確認することが難しく、製造プロセス管理が極めて重要であることから、品質マネジメントシステムの運用を基礎とし、QC検定や非破壊試験技術者資格を奨励する。それによって、もっと優れた品質管理手法を探求するためのスキル獲得を促す。
(ⅳ)技術開発に柔軟な発想で取り組む風土の醸成
技術的成果を競う技術レポート発表大会や技術会議は、当社の社是「技術とアイデア」の原点ともいえるイベントである。このような取り組みで技術開発への情熱を湧き上がらせ、既成概念にとらわれない柔軟な発想で開発に取り組む風土を醸成する。
(ⅴ)デジタル教育の実施とDX人財の選出
デジタル化・DXはあらゆる業務の生産性や品質を向上するための手段として重要であり、デジタル教育を幅広く実施して全社のデジタルリテラシー(理解して活用できる能力)向上に取り組む。また、データやデジタル技術を活用してイノベーションに結び付けることのできる社員(DX人財)を選出し育成していく。
(ⅵ)グローバルチャレンジ制度で視座を高め戦略的思考を育む
グローバル展開の核となる人財のみならず、中長期的目線で当社を将来担っていく中核人財を育成するために、新たにグローバルチャレンジ制度を発足させる。それによって、チャレンジ精神をもった社員の視座を高め戦略的思考を育む。
当社は、社員がその個性と能力を発揮し、仕事と生活の調和を図ることができるよう、すべての社員が働きやすい社内環境の整備を行います。
具体的な社内環境整備の方策は、以下のとおりです。
自分の意見や気持ちを誰に対しても安心して発言でき、チャレンジングな姿勢をみんなで後押しする風通しのよい企業風土を醸成する。
(ⅱ)安全衛生に配慮した快適な作業環境の維持向上
労働基準法・労働安全衛生法などに基づき、職場における社員の安全と健康を確保するとともに、きれいで、機能的で、人にやさしい作業環境の維持向上に努める。
(ⅲ)成長機会の公平な提供と実力本位の評価
女性活躍の推進をはじめ、さまざまな属性(国籍、年齢、障碍の有無など)の社員が働きがいをもって能力を発揮できるよう、多様な人財を積極的に採用する。また、成長機会の公平な提供と実力本位の評価を行う。
(ⅳ)仕事と育児・介護の両立支援
育児や介護の状況にあっても安心してキャリア(仕事を通じた成長)を継続できるよう、育児や介護に関する各種制度(休業、休暇、時短勤務など)の整備・周知を行う。また、上司を含めた職場の理解と協力を促す。
(ⅴ)柔軟な働き方と健康的に働くことのできる職場環境づくり
柔軟な勤務制度(勤務場所、労働時間など)の導入・拡大と、社員が心身ともに健康的に働くことができる職場環境づくりに努める。それによって、生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの実現を図る。
(ⅵ)学習機会の提供と表彰制度の設置
さまざまな学習機会を提供して社員の能力向上や自己啓発を支援する。さらに、表彰制度などを設けて社員の働きがいを高める。
気候変動に関するリスクを経営における重要リスクの一つと位置付け、各部門においてその管理に取り組んでいます。また、サステナビリティ委員会がリスク管理の状況を横断的に監視しています。取締役会では、こうした監視結果等の報告を受けて全社的な対応策を検討・決定しています。
当社の使用するエネルギー(CO2換算)は、電気によるものが全体の94.67%にあたり、CO2排出量のほとんどを占めています。
当社は、スコープ1および2の2030年度の温室効果ガスの削減目標を「2013年度比46%減(54%以下に抑える)」と設定するとともに、その中間目標として、2025年度までに単体ベースで2013年度排出量の54%以下を達成することを目指して取り組んでいます。
また、金属の需要増加および採掘減少による加工材料費高騰への対応策として、廃棄物リサイクル率の向上(2025年度目標40%)に取り組んでいます。
受注機会の増加への対応策としては、当社のコーティング技術が顧客の省エネ、GHG排出低減に結びつくことから、環境分野の受注金額(環境エネルギー機器、補修・再生品)に2050年度目標を定めて、コーティング技術の開発とPRを推進しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、下記事項のうち、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
当社グループは自然災害や事故等から受ける生産活動への影響を可能な限り限定化し早期復旧を図るための対策・手順として危機管理マニュアルを作成するほか、従業員の安否確認等を適宜実施するなど事業継続のための体制の整備を進めております。しかし台風、豪雨、地震、津波又は火山活動等の自然災害や、事故、火災、テロ、ストライキ、騒乱等により、生産活動の停止、設備の損壊や給水・電力供給の制限等の不測の事態が発生する可能性があります。また、取引先においても同様に生産活動に支障をきたす可能性があり、いずれも長期間におよんだ場合には当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症拡大による事業への影響を最小限とすべく、各職場での感染防止対策の徹底を図り、手元流動性を高めるなどの対応を継続しておりますが、今後変異ウイルスや新型感染症の拡大による影響により、受注の先送りや取消しが多数発生した場合、当社グループの従業員に感染者が多数発生し、長期間の生産活動停止に陥った場合、仕入先や外注先の生産活動や物流等、サプライチェーンに発生した混乱や分断が長期間におよんだ場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの主力である溶射加工(単体)の中で、2001年3月期以降、半導体・FPD製造装置分野の売上高が大幅に増加し、2023年3月期では連結ベースの総売上高に占める割合は48.3%となっております。
このため、半導体・FPD関連業界の市況、関連装置の需要動向が悪化した場合や、特に海外などで競合企業との価格競争が本格化した場合には、装置メーカー等からの受注減や値下げ要請により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、半導体・FPD製造装置が溶射を必要としない構造に変更された場合にも、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
これらのリスクに対応するため、既に納入された装置部品へのメンテナンス需要や非溶射部品の溶射化等の開拓、次世代装置の適用皮膜の開発を進め、半導体装置メーカー向けの受注変動による影響を最小限に止めるよう努力してまいる考えであります。
溶射加工は、当社のような専業者だけでなく、材料メーカーやメタリコン業者が手がけているほか、大手機械メーカー等が製造プロセスの一部として自社内で溶射加工を行っている場合もあります。これらの大手機械メーカー等は、生産能力的にオーバーフローした場合や、自社で技術対応できない場合、自社に当該溶射装置を保有しない場合などに当社をはじめとする溶射加工業者に委託しておりますが、これらの大手機械メーカー等が全面的に溶射加工を内製化したり、内製化の比率を高めたりした場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは顧客から被加工品を受け入れて、当該被加工品に表面改質を行なっていることから、主要顧客の近隣に加工工場を設けるなど、顧客密着型の事業展開を行なっておりますが、主要顧客が生産拠点を海外等に移転させた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(注) メタリコン業者とは、構造物等の防食目的で、亜鉛、アルミニウム及びそれらの合金溶射による加工を行なう企業をいいます。
当社グループの東京エレクトロン株式会社グループへの販売依存度(総売上高に占める同社グループへの売上高の割合)は高水準であるため(2023年3月期については33.1%)、同社グループの半導体・FPD製造装置等の生産動向や同社グループからの受注動向が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、多様な業界に顧客を有し、溶射加工を中心とした表面改質加工を提供しており、それぞれの製品に合わせた品質管理体制のもと、製品を出荷しております。製品の不具合を防止するため、品質保証に関わる人員と組織の充実を図るとともに、新たな品質管理手法を取り入れるなど体制の強化に努めております。
また、当社の品質不具合を原因として製造物責任賠償を請求されるような万一の事態に備えるため生産物賠償責任保険等にも加入し、こうした事態の発生にともなう費用負担に対応しております。
しかし品質に対するクレームの内容や不具合の規模によっては製造業としての当社グループの評価の低下につながり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社は、新皮膜開発を通じて多くの新技術やノウハウを生み出しており、これらの知的財産を特許出願し、権利保護と経営資源としての活用を図っておりますが、特定の地域では十分な保護が得られない可能性や知的財産権の対象が模倣される可能性があり、知的財産権が侵害されるリスクがあります。また、当社グループが認識しない第三者の特許が既に成立しており、当該第三者より知的財産権を侵害しているとの事由により、損害賠償等の訴えを起こされた場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、半導体・FPD関連をはじめとして、顧客から預かった部品図面など重要技術情報を多数保有しております。これらを適切に管理するため、情報セキュリティに係る規程・細則の整備のみならず、情報技術の進歩や社会情勢の変化に応じた情報セキュリティルールの強化、適切な技術的対策のための設備投資、社内管理体制の整備や社員教育に努めております。しかし不正アクセスによる重大なシステム障害が発生した場合や、不測の事態により情報漏洩が明らかとなった場合等には、対応のための多額の費用負担や顧客からの信用の失墜等により、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、中国・台湾などのアジアや米国にて海外事業を展開しております。そのため、事業展開している各国の文化、宗教、商慣習、社会資本の整備状況等の影響を受けるとともに、経済情勢、政治情勢及び治安状態の悪化や急激な為替変動が、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
また、主要な顧客の中には国際的に広く事業展開している企業もあるため、国際政治情勢の変化により、懲罰的な関税措置を含む輸出入規制や、商品販売に係る許認可等の一方的な規則変更などにより、当該顧客が深刻な事業活動の制限を受ける可能性があります。この場合、間接的に当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社は「人と自然の豊かな未来に貢献する」ことをビジョンに掲げ、気候変動対応を経営における重要課題の一つと位置づけています。温室効果ガス排出削減をはじめとする様々なサステナビリティ課題に関しては、2022年4月に代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を新設し、方針策定、計画立案、取り組みの進捗確認などを行うとともに、リスク管理の状況を横断的に監視しております。また当事業年度に気候変動に関するリスクと機会の洗い出しを行い、その対応策をまとめる他、財務インパクトの試算を行いました。気候変動による環境問題の深刻化という社会的課題に対する取り組みは、気候変動に適応する顧客ニーズの取り込みや新規顧客獲得により収益拡大に繋がる機会とも捉えております。このため、これらの課題解決に適合する皮膜を開発するとともに、環境に配慮した成膜プロセスの開発にも注力してまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は前期比43億30百万円(9.9%)増の481億44百万円、営業利益は同3億02百万円(2.9%)増の105億58百万円、経常利益は同4億32百万円(4.1%)増の110億03百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同4億41百万円(6.4%)増の73億50百万円となり、売上、利益ともに過去最高を更新することができました。
なお、セグメント別の状況につきましては、以下のとおりであります。
半導体分野向け加工において世界的に活発な設備投資や増産が追い風となったことに加え、鉄鋼、産業機械、環境・エネルギー分野も好調であったことから、当セグメントの売上高は前期比31億40百万円(9.5%)増の361億84百万円、セグメント利益(経常利益)は同2億54百万円(3.1%)増の83億41百万円となりました。
国内の自動車関連は新型コロナウイルス感染症に起因する部品供給は改善しているものの、半導体不足により生産が停滞し、また電力料高騰などによる影響から、当セグメントの売上高は前期比14百万円(0.6%)増の24億14百万円、セグメント利益(経常利益)は同1億19百万円(25.2%)減の3億52百万円となりました。
半導体関連や鉄鋼関連の受注が概ね好調であったことに加え、円安の為替影響もあり、当セグメントの売上高は前期比9億26百万円(16.3%)増の66億22百万円、セグメント利益(経常利益)は同1億15百万円(7.5%)増の16億53百万円となりました。
溶射加工(単体)、国内子会社、海外子会社以外のセグメントについては、農業機械部品向けTD処理加工が好調であったことや、半導体および医療分野への新技術の適用が進んだことなどから、売上高の合計は前期比2億42百万円(9.7%)増の27億45百万円、セグメント利益(経常利益)の合計は前期並みの4億68百万円となりました。
当連結会計年度末における総資産は742億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ47億46百万円(6.8%)増加いたしました。流動資産は有価証券や原材料及び貯蔵品の増加などにより、24億62百万円増加いたしました。固定資産につきましては、当社東京工場鈴身事業所および神戸工場において工場用地を取得したことなどにより22億83百万円増加いたしました。
一方、負債は166億20百万円と前連結会計年度末比4億37百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が14億47百万円減少した一方、未払金などの債務が増加したことなどによるものであります。
当連結会計年度末における純資産は576億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ51億83百万円(9.9%)増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が73億50百万円となった一方で、剰余金の配当が28億89百万円であったことにより利益剰余金が44億61百万円増加したことなどによるものであります。この結果、当期末の1株当たり純資産は884円83銭(前期末比77円52銭の増加)、自己資本比率は72.5%(前期末比1.9ポイントの上昇)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前年度末に比べ3億78百万円増加し、195億20百万円となりました。
なお、当年度における各活動別のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、前期比20百万円(0.2%)増の98億94百万円となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益109億89百万円、減価償却費29億87百万円であり、支出の主な内訳は法人税等の支払額32億24百万円、棚卸資産の増加額11億91百万円であります。
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、前期比49百万円(1.0%)増の50億94百万円となりました。支出の主な内訳は、溶射加工(単体)セグメントを中心とした有形固定資産の取得による支出46億10百万円であります。
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、前期比13百万円(0.3%)増の45億61百万円となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払額28億88百万円、長期借入金の返済による支出14億47百万円であります。
前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症による影響に備え手元流動性を高め、慎重な資金運営を行った結果、フリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー)は47億99百万円と非常に健全な状態を維持していると考えております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額は、販売価格によっております。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、ロシア・ウクライナ紛争の長期化、米中の覇権争いなど地政学的リスクの顕在化による、エネルギー・原材料価格の高騰から、国内製造業においてコスト上昇圧力が高まりました。これに加え、年度後半からは半導体業界が調整局面に入り、当社グループを取り巻く事業環境も先行き不透明感が強まっております。
このような状況のもと、当社グループの売上高は、好調な受注が継続した半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)分野のほか、鉄鋼分野、産業機械分野ならびに環境・エネルギー分野なども堅調に推移し増収となりました。経常利益につきましても、労務費や電力費等の上昇の影響がありましたが、コスト削減に努めるとともに、受注価格の見直しも進めた結果、昨年7月に公表した業績の修正予想値には届かなかったものの、前期比では増益を確保いたしました。
当連結会計年度の売上高は481億44百万円(前期比9.9%増)となりました。
セグメント別の内訳は、溶射加工(単体)が361億84百万円(前期比9.5%増、構成比75.1%)、国内子会社が24億14百万円(前期比0.6%増、構成比5.0%)、海外子会社が66億22百万円(前期比16.3%増、構成比13.8%)、その他が27億45百万円(前期比9.7%増、構成比5.7%)、受取ロイヤリティー等が1億77百万円(前期比3.7%増、構成比0.4%)となっております。
売上原価が307億78百万円、販売費及び一般管理費が68億07百万円となり、当連結会計年度の営業利益は105億58百万円(前連結会計年度の営業利益102億55百万円に比べ3億02百万円(2.9%)増)となりました。なお、売上高営業利益率は、前期比1.5ポイント減少の21.9%であります。
また、当連結会計年度における研究開発費の総額は14億00百万円(連結売上高比率は2.9%)であり、これに加え、連結売上高比2.0%程度の水準で、各工場の生産技術部門において技術開発を実施しております。
当連結会計年度における営業外損益(収益)は、純額で4億45百万円となりました。この結果、経常利益は110億03百万円(前連結会計年度の経常利益105億71百万円に比べ4億32百万円(4.1%)増)となりました。なお、売上高経常利益率は、前期比1.3ポイント減の22.9%であり、前期に引き続き目標とする20%を達成いたしました。セグメント別の内訳は、溶射加工(単体)が83億41百万円(前期比3.1%増、売上高経常利益率23.1%)、国内子会社が3億52百万円(前期比25.2%減、売上高経常利益率14.6%)、海外子会社が16億53百万円(前期比7.5%増、売上高経常利益率25.0%)、その他が4億68百万円(前期比微備増、売上高経常利益率17.1%)となりました。
また、当連結会計年度における総資産経常利益率(ROA)は15.3%(前年度15.8%)であります。今後も収益性の向上と資本効率を意識した経営により、企業価値を高める努力を継続してまいります。
当連結会計年度においては、特別利益として固定資産売却益4百万円、特別損失として固定資産除売却損18百万円を計上いたしました。この結果、税金等調整前当期純利益は109億89百万円(前連結会計年度の税金等調整前当期純利益104億48百万円に比べ5億40百万円(5.2%)増)となりました。
当連結会計年度における実効税率(税金等調整前当期純利益に対する法人税等の比率)は28.7%で、当期純利益は78億38百万円となりました。非支配株主に帰属する当期純利益が4億87百万円となったため、親会社株主に帰属する当期純利益は73億50百万円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益69億09百万円に比べ4億41百万円(6.4%)増)となりました。また、1株当たり当期純利益は120円83銭(前年度113円62銭)、自己資本純利益率(ROE)は14.3%(前年度14.8%)であり、目標とする15%に届きませんでした。引き続き利益を積み上げ収益性を改善し、目標とする15%水準に戻していきたいと考えております。
財政状態に関する認識及び分析・検討内容は下記となります。なお、資産については、事業セグメントに配分していないため、財政状態についてのセグメント別内訳は記載しておりません。
当連結会計年度末における流動資産の残高は388億27百万円で、前連結会計年度末に比べ24億62百万円増加いたしました。主な要因は、有価証券の増加10億00百万円、原材料及び貯蔵品の増加9億91百万円であります。
なお、当連結会計年度末における流動比率(流動資産の流動負債に対する割合)は272.0%(前連結会計年度末は272.7%)であります。
当連結会計年度末における固定資産の残高は354億36百万円で、前連結会計年度末に比べ22億83百万円増加いたしました。主な要因は、溶射加工(単体)セグメントを中心に東京工場や神戸工場での工場用地取得や、次世代プロセス設備装置の設置のほか、台湾子会社での半導体・FPD分野での設備投資が行われた一方、減価償却が進んだことによるものであります。なお、当連結会計年度の設備投資総額は48億55百万円であります。
また、当連結会計年度末における固定比率(固定資産の純資産に対する割合)は61.5%(前連結会計年度末は63.2%)、固定長期適合率(固定資産の長期資本(純資産と固定負債の合計)に対する割合)は59.1%(前連結会計年度末は59.0%)であり、当社グループの設備投資の現状に関して、問題のない水準であると判断しております。
当連結会計年度末における流動負債の残高は142億72百万円で、前連結会計年度末に比べ9億37百万円増加いたしました。主な要因は、未払消費税等などの流動負債その他が3億73百万円、未払金が2億65百万円増加したことなどによります。
当連結会計年度末における固定負債の残高は23億47百万円で、前連結会計年度末に比べ13億75百万円減少いたしました。主な要因は、長期借入金の減少14億47百万円であります。
当連結会計年度末における純資産の残高は576億43百万円で、前連結会計年度末に比べ51億83百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が44億61百万円増加したことや、決算時の為替相場により在外子会社の純資産に係る換算差額が増加したことから為替換算調整勘定が2億25百万円増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末の1株当たり純資産は884円83銭(前連結会計年度末比77円52銭の増加)、自己資本比率は72.5%(前連結会計年度末比1.9ポイントの上昇)となりました。今後も50%以上の自己資本比率を維持することで、健全な財務体質を確保していくことが、当社グループにとりまして重要であると判断しております。
なお、当連結会計年度の剰余金の配当につきましては、1株当たり50円(うち中間配当22.5円)といたしました結果、連結配当性向は41.4%、純資産配当率(DOE)は5.9%となります。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は3億78百万円増加し、期末残高は195億20百万円となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループの運転資本や設備投資に係る財源としましては、営業活動により得られる資金以外に、資金需要に応じた金融機関からの借入を基本としております。
手許資金の流動性につきましては、適正な水準の現預金残高を維持するよう財務部門での資金計画に基づいた管理を行なっておりますが、運転資金の効率的な調達のため、取引銀行と30億円の貸出コミットメント契約を締結しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」における(重要な会計上の見積り)に記載しております。
(注) 上記については、ロイヤリティーとして販売価格の一定率を受取るほか、イニシャルペイメントを受取っている場合もあります。
当社は、72期の研究開発理念として「未来に貢献する革新的機能皮膜の開発」を掲げ、表面改質技術を軸足とする新時代ビジネスの模索を行うべく、新たなコーティング技術の創造やその周辺技術を含め、独創的なサービスの開発を進めております。多様化する顧客ニーズに対する様々な技術的アプローチを通じて、表面改質技術をコアとする顧客満足度の高い総合ソリューションの徹底追及とその実現に努めております。
当社の研究開発は、将来を見通した先行研究と顧客ニーズに即応する商品開発の2本柱で推進しております。また、以下の3点を重点研究開発領域としております。
① 溶射技術開発(一般産業機械・装置全般の部材開発、溶射プロセス開発)
② 半導体部品化技術(溶射技術を中心とした半導体・液晶パネル製造装置部品等の開発)
③ 成膜プロセス開発(レーザ応用、PVD、CVD、TD、ZAC)、有機コーティング
当社グループの研究開発活動は溶射技術開発研究所が中心となって推進し、顧客ニーズに対応する機能皮膜の開発を行うべく、近未来技術の模索や検討、機能皮膜の創生、知財化推進、学協会への参加や発表、また技術情報収集を通じて、研究開発のレベル向上を図っております。一方、多様化する顧客ニーズへの対応が求められる次世代商品開発や生産技術的な課題につきましては、各工場・拠点の営業、製造、技術部門と溶射技術開発研究所が相互に連携することで、迅速な対応を行っております。なお、PVD(物理蒸着)やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの薄膜プロセスに関しましては、連結子会社の日本コーティングセンター株式会社とも協力しながら研究開発を進めております。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は
72期では、弊社の中期経営計画の方針にあわせ「半導体・FPD」及び「環境・エネルギー」の用途拡大を重点テーマとして、高機能部材に対する表面改質技術の適用開発を推し進めてまいりました。半導体分野におきましては、製造装置メーカ向けにメモリICやロジックICの製造部品を中心に、チャンバー部品や静電チャックへのコーティング開発を継続しております。特にプラズマエッチング装置部品では、ビッグデータの活用や高速通信の普及などを背景に、ナノレベルの配線幅を持つ集積回路の生産に対応できる高性能なコーティングが求められており、酸化物や弗化物、または複合化合部等の新材料、主に皮膜組織の緻密化を目的とする成膜プロセスの開発、要素技術開発、計算科学の応用、製品展開における生産技術開発、またこれらに対応するナノレベルの評価設備を導入するなど、様々な角度から技術開発を進めております。FPD分野におきましては、大型静電チャックや有機EL向けチャックなどの高機能化に対応するべく、電極層を含む誘電膜の形成や皮膜表層の構造制御など、顧客の要求仕様を満足する皮膜開発を継続しております。環境・エネルギー分野におきましては、脱炭素と資源循環社会の実現に向けた取り組みの中で、ガスタービン火力発電などの高効率発電設備における新規熱遮蔽皮膜の模索やその性能評価を進めました。また、溶射皮膜自体を発熱体とする溶射ヒータの適用展開を開始しました。この皮膜は熱応答性や温度制御性に優れており、部材の局所的な加熱に適していることから、さまざまな応用が期待されます。一方、事業活動における環境負荷低減策として溶射施工時に発生する二酸化炭素の排出抑制技術に関する手法の開発や、溶射材料の廃材を原料としてリサイクルする検討も開始しております。
国内子会社の日本コーティングセンター株式会社では、主にPVDやDLCの被膜開発を行っております。昨年度は、初期チッピング性に優れた切削工具用被膜「ゼニスコート」を新たに開発し上市しました。また、自動車鋼板用プレス金型の表面処理に関して、IHI Ionbond AG社(本社:スイス チューリッヒ)と業務提携を行い、同社の「Ionbond™90Concept」と日本コーティングセンターの「ヴィーナスコート」を相互に成膜処理できる体制を確立しました。これにより、日本だけでなく、海外でも「ヴィーナスコート」が供給できるようになりました。また、新たなDLC被膜として、高硬度かつ摺動特性に優れる水素フリーDLC被膜の開発にも着手しました。
海外子会社である台湾の漢泰国際電子股份有限公司では、主に半導体、FPD製造装置部品への再コーティングを行っております。台湾の半導体製造メーカでは最先端製品の生産が行われており、漢泰国際電子股份有限公司では顧客の厳しい要求に応えるべく、FE-SEM装置やレーザ顕微鏡、ICP-MS分析装置などの分析装置を導入し、パーツ製品の評価を行いつつ皮膜開発を進めております。昨年度は顧客の要求品質に応えるため、一部の洗浄仕様を改善しリリースを行いました。また今年度は、皮膜の表面粗さを制御する新たな処理設備の導入や、新工場の稼働に向けた対応を進めて、競争力のある皮膜を提供できる体制を整えていく予定です。
当社は溶射加工以外に、TD処理加工やZACコーティング加工、PTA処理加工等、機能皮膜の継続的な商品開発を行っております。このうち、TD処理加工におきましては、従来のTD被膜の性能を上回る金型用被膜として新たに「UM-kote」を開発し、サンプル提供を開始しました。ZACコーティング加工におきましては、水素透過防止膜被膜として「MS-ZAC」の評価を進めました。有機系・無機系薄膜の開発では、新しい耐摩耗樹脂コーティングである「NP-kote」の適用開発や、新たな抗菌被膜の開発を進めました。新規成膜プロセスであるレーザクラッディング技術におきましては、一般産業機械向け部品への新規肉盛り技術、または補修技術としての適用開発を進めており、実機部品に対する施工実績が拡大しております。その他、レーザ技術の応用として、さまざまな成膜プロセスと複合化することで、耐摩耗性や密着性または非付着性など、従来性能を凌駕する皮膜開発を継続しており、各種皮膜の適用展開に取り組んでおります。
当社グループは積極的な特許出願によって、開発した技術及び皮膜商品の権利化に努めております。当連結会計年度の実績は、特許出願33件、特許登録22件であります。