文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「人の力を活かし、地球の資源をより有用なるものとして提供し、人類社会の幸福に貢献する」という経営理念のもと、以下のとおり経営方針を定めております。
①当社グループ全体の経営戦略を一体化して、グループ各社のシナジー効果を最大限に発揮すること。
②世界に誇る製錬技術の開発と品質向上に全力を傾注し、経営の効率化と競争力で世界有数の基盤を確立すること。
③コンプライアンスを推進すること。
④公正・透明・自由な競争を通して、適正な利益を確保すること。
⑤かけがえのない地球を守るため、あらゆる環境問題に積極的に取り組むこと。
⑥社員の個性を伸ばし創造性を十分に発揮させるとともに、物心両面のゆとりと豊かさを追求し、生きがいのある職場を実現すること。
⑦広く社会との交流を進め公正な企業情報を積極的に開示すること。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社グループでは、事業環境の変化に対応可能な経営基盤の確立及び継続的な成長のため、長期ビジョン「総合力世界トップクラスのフェロニッケルメーカーを目指す」を掲げ、長期ビジョンの達成に向け邁進してまいりましたが、取り巻く事業環境は、ニッケル鉱石供給国における資源ナショナリズムの具現化、主力製品の市場構造の変化等、益々厳しい状況になり、また、足下では、ウクライナ情勢の緊迫化による資源・エネルギー価格の高騰等、予断を許さない状況となっております。
このような事業環境のもと、さらなる基盤強化、SDGsへの貢献及びカーボンニュートラル実現等を当社における重要課題と位置づけ、課題解決を軸とした事業構造を構築し、展開することにより、持続可能な企業への成長を目指します。
これらから、新たな長期ビジョン「持続可能な循環型社会を共創する総合素材カンパニー」を掲げ、その実現に向けた中期経営計画(期間:2022年度~2024年度。以下、PAMCO-2024)を策定いたしました。
(1)長期ビジョン : 「持続可能な循環型社会を共創する総合素材カンパニー」
(2)PAMCO-2024のテーマ : 「さらなる基盤強化とサステナブル戦略の推進」
(3)重点課題(マテリアリティ)及び重点施策(①~⑨)
~重要課題(マテリアリティ)の解決を通じ、SDGsの達成に貢献する~
収益性を重視したフェロニッケル生産・販売体制の再構築
①生産戦略の見直しによる最適生産体制の構築
②調達戦略の見直しによるコスト競争力の強化
海外製錬事業への展開検討の加速
③海外製錬プロジェクトの推進と生産立上げ
社会に貢献する新規事業の創出
④LIB材料向け原料の製造販売事業の推進
循環型社会に貢献する国内事業の多角化
⑤リサイクル事業の再構築
サステナビリティ課題への対応による企業価値の向上
⑥サステナビリティ推進会議
~サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)に関する中長期的な取り組みの推進~
⑦GHG排出量の低減
⑧地域及び資源国の発展への貢献による共生促進
⑨ステークホルダーとの建設的な対話の推進
(3)会社の対処すべき課題
連結業績予想につきましては、世界的なインフレ、金融資本市場の行方、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)との共存及びウクライナ情勢等は、国内外の景気へ引き続き影響を及ぼしており、経済の先行きは、依然不確実性が高い状態で推移しております。
数量面について、ニッケル需給に緩みが見られること、また、ステンレス生産者は、生産コストを含めて価格優位性のあるニッケル銑鉄へ一部調達をシフトしており、ニッケル銑鉄の価格は当社の販売価格へも影響する環境になっているため、厳しい環境が予想されることから、前連結会計年度に引き続き一定の収益性を損なわない戦略的な数量の抑制方針の見込みです。
損益について、販売価格面では、前述のとおり、当社適用LMEニッケル価格と当社適用平均為替レートに加えてニッケル銑鉄の価格も一部参考とした価格水準としており、また、調達価格面については、フェロニッケル製品の主原料であるニッケル鉱石の価格及び世界的な資源高により原燃料や電力の価格は高水準に推移しており、価格面で大きな影響を与えることが見込まれます。
感染症及びウクライナ情勢に伴う影響は、翌連結会計年度においても継続するものと考えられますが、そうした事業環境等への対応は、当社グループの中期経営計画において掲げる基本方針等で取り組む活動に合致しており、引き続き、強く推し進めて参ります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは気候変動対応、サステナブルな社会の実現を重要な経営課題と位置づけております。そこでサステナビリティ推進会議を設け、マテリアリティに関する中長期的な取り組みや方向性の議論の他、ESG課題への対応、CSRの推進及びカーボンニュートラルへの取り組み等について、全社横断的に具体的施策をもって推進することを目的に四半期に一度開催しております。
サステナビリティ推進会議は、社長を議長、経営の執行責任者を構成員とし、実施内容は取締役会に報告し、適切な指示・監督を受ける体制としております。
推進体制図

当社グループでは、気候変動の対応では、2050年度のカーボンニュートラル達成に向け、2030年度に温室効果ガス排出量を2013年度比で46%以上削減、2050年度には実質ゼロを目指します。2022年度では、気候関連財務情報タスクフォース(TCFD)の低減へ賛同し、気候関連リスクのシナリオ分析を行い当社ホームページや統合報告書へ掲載いたしました。地域及び資源国へは、その発展への貢献活動を通じて共生の促進を図り、また、人的資本に関する取り組みについては、安全操業やダイバーシティ等のテーマに注力し、取り組んでおります。これらのサステナビリティ重要課題に関する中長期的な取り組みや方向性、ESG課題への対応、CSRの推進及びカーボンニュートラルへの取り組み等について、サステナビリティ推進会議において検討、推進しております。
当連結会計年度においては、「気候変動による移行的変化・物理的変化に関するリスク」と「気候変動緩和策・適応策による経営改革の機会」について、TCFDの分類に沿って検討しました。シナリオ分析は、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)を参照し、1.5℃シナリオと4℃シナリオを検討いたしました。
シナリオ分析 (GHG排出量はCО2換算)
前提条件:
・2030年断面でのリスクと機会としています。・気候変動影響による財務影響金額を想定しています。
1.5℃シナリオ:平均気温上昇を1.5℃に抑える努力を継続した状況。
4℃シナリオ:対策は取らず、成り行きに任せた状況。
当社グループにおける人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略については、「人の力を活かし、地球の資源をより有用なるものとして提供し、人類社会の幸福に貢献する」という経営理念を実現するため、多様な人材が活躍できる職場環境や教育体制の整備を進めています。
多様性の確保に向けた人材教育では、ダイバーシティ実現に向け、自己啓発を目的として研修等を行い、浮かび上がる課題の解消に向けて積極的に取り組むことにより意識改革と風土の醸成に努め、生産性とワークライフバランスの向上のための取り組みを継続していきます。また、2022年度に60歳を迎える従業員より65歳に定年年齢を引き上げており、健康に配慮しつつ、変わらぬパフォーマンスを発揮できる体制づくりに取り組んでまいります。
ダイバーシティについては、管理職に必要とされる女性を含んだ多様な人材の育成と活躍推進を実践できる力を身につけることを目的にダイバーシティの考え方、ダイバーシティマネジメントについて学び、ストレスの少ない職場づくりや従業員のモチベーション向上に向けた研修を行っております。
女性活躍推進を含む多様性の確保に向けた人材教育、環境整備等については、出産・育児及び介護等を支援するなど、仕事と家庭を両立させるための働きやすい環境づくりに常に努めていくとともに、女性社員を対象としたキャリア形成を支援するための研修、または、男性社員を対象とした研修等を実施し意識改革を図り、女性の活躍を推進するための作業環境と施設環境の両面から環境改善に取り組みます。その一環として、女性の活躍が期待される社会環境において、個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目指して、自分の価値を活かし、どのような働き方をして組織に貢献し続けるか、自分らしく幸せに生きるか、主体的に考える研修を行っております。
当社グループでは、気候変動に係るリスクも含む全社的リスク管理に関し、リスクマネジメント委員会を設けております。リスクマネジメント委員会は、社長指名の取締役が委員長となり、執行役員及び部・室長を委員とし四半期に一度開催し、定常的なリスク管理(リスクの把握、評価、監視等)を行っております。リスクに対する対応策は、リスクの発生頻度や影響度から優先順位付けをした上で、優先対応リスク低減活動に取り組み、その進捗管理を行っております。「気候変動関連のリスクと機会」は、年1回リスクマネジメント委員会で見直し、活動状況を年1回以上取締役会に報告し、適切な指示・監督を受けております。また、サステナビリティに関する重要課題として、従業員及び関係者の安全・衛生管理の推進や、多様性の確保に向けた環境整備と人的資本投資の拡充、地域社会発展への貢献、ステークホルダーとの建設的な対話の推進等に取り組んでおります。
当社グループは、2022年5月に発表した「PAMCO-2024」において、2050年度のカーボンニュートラル達成に向け、明確な目標とカーボンフリーエネルギーの活用、新技術の導入等の方策を以って取り組みます。
GHG排出量(CO2換算換算)の実績と目標

また、当社グループでは、前述「(2)戦略」において記載した人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略について、体制整備の段階であり、指標を用いた目標及び実績は現在設定しておりません。環境整備次第、指標化できるよう進めて参ります。
当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては、当社事業の大部分を占めるフェロニッケル製品に限定され、以下のものがあります。
なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループ事業の売上高の大部分をフェロニッケル製品の売上高が占めており、当製品価格の動向が当社グループ収益に大きな影響を及ぼしますが、当製品価格へ影響する主な要素としてLMEニッケル価格と外国為替相場があります。
LMEニッケル価格との関係では、当該価格が上昇すれば、フェロニッケル製品価格は上昇し、逆の場合は当製品価格が下降する関係にあります。
外国為替相場との関係では、US$と円との相場に関係しており、円安に進めば当製品価格は上昇し、逆の場合は当製品価格が下降する関係にあります。
どの要素も、当製品の国内外向けを問わず、当製品価格に影響いたします。
価格優位性の見られるニッケル銑鉄の価格は当社の販売価格へも影響する環境になっていることから、LMEニッケル価格と外国為替相場に加えてニッケル銑鉄の価格も一部参考とした価格水準としているため、ニッケル銑鉄の価格動向によって当社製品価格は変動する可能性はあります。
当社は、一定期間の収益を安定させるため、その収益を確保すべく変動リスク対応策を実施する方針であります。LMEニッケル価格の変動リスクに対しては、販売数量の一部について、当リスクヘッジを考慮に入れた売買契約を締結しております。
外国為替相場の変動リスクについては、販売金額の一部について、為替変動リスクヘッジを実施する方針であります。
当社のリスクヘッジとしてのデリバティブ取引等は実需の範囲以内としております。
当社は、収益の安定と確保のため、両要素の変動に最大限の注力を払っておりますが、市場の急激な大幅変動により、予想収益を確保出来ない可能性があります。
当社グループ事業の売上高の大部分をフェロニッケル製品の売上高が占めており、当製品販売数量の動向は当社グループ収益に大きな影響を及ぼしますが、主需要先であるステンレス鋼業界の厳しい環境に伴うステンレス生産者の稼働率低迷、並びに海外ステンレス生産者の原料調達が比較的価格優位性の見られるニッケル銑鉄等へシフトしたこと等もあって厳しい販売環境となっており、当該環境の進行及び収益性を鑑みた営業戦略の見直し等によっては、計画された販売数量を維持できない可能性があります。
主原料のニッケル鉱石につきましては、現在、フィリピン及びニューカレドニアより輸入しておりますが、当社は安定調達を目的として、各調達先鉱山会社とは長期購入契約を締結、フィリピンの鉱山会社には、資本参加並びに各社に対して鉱山開発及び探鉱開発等に係るアドバイスまた随時技術援助並びに資金援助等を行っております。
当社は、資源ナショナリズム進展等に伴った各諸国の動向により、計画された資源調達量を確保できない可能性があります。
当社グループは、棚卸資産の評価について、主として将来に販売が見込まれる棚卸資産の正味売却価格に基づき行っており、LMEニッケル価格の大幅な下落等により、棚卸資産の収益性の低下が認められた場合には、棚卸資産の簿価切り下げ額を売上原価に計上することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、将来的にも当社グループの固定資産の時価が著しく下落した場合や事業の収益性が悪化した場合には、固定資産減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
当社グループは、発生し得る全リスクを正しく把握し、その発生の可能性を低減させ、発生した場合の損失を軽減させる対策を事前に定め、発生した場合の危機管理を徹底し、被害を最小限に留め、早期回復への責任ある対応を実行するため、リスクマネジメントシステムを整備し、継続的に実践することを目的としてリスクマネジメント委員会を設置しておりますが、重大な労働災害、設備事故及び自然災害が発生した場合には、生産活動の停止又は制約等により、業績に重大な影響を被る可能性があります。
当社グループは、気候変動に伴い、気象災害等の物理的な変化に起因するリスク及び排出に関する規制等の脱炭素経済への移行に起因するリスクが考えられ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。気候変動による事業リスクについては、取締役社長を議長、経営の執行責任者を委員としたサステナビリティ推進会議を設け、2022年5月にTCFDの提言へ賛同を表明し、重要課題の解決へ向けて対策を積極的に進め、目標の達成に向けた取り組みを継続して参ります。
国内外に影響を及ぼしている感染症に対して、当社グループでは、取引先及び従業員の安全を第一に考え、「感染拡大防止に関する行動指針」を策定し、出張の自粛、在宅勤務及びWeb会議の活用、手洗い、うがい等の徹底による感染予防等に努めております。また、販売先及び調達先の各国と密にコミュニケーションを取りながら、事業活動等に与える感染症の影響について、低減を図っております。
しかしながら、感染症の流行が長期化する場合、国内外の稼働低迷及び物流の停滞等によって、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
ウクライナ情勢の緊迫化により、エネルギー価格高騰の影響は、当社グループの製造コストを上昇させる可能性はあります。数量に関して、生産面については、原燃料は安定したソースから調達しており、今後の生産数量への影響はないものと見込んでおり、販売面に関しては、直接的な影響はありませんが、製品の流通が変化する可能性は考えられます。このように、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性はあります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の動向に左右されながらも企業収益・個人消費等は持ち直している一方で、資源高及びドル高の同時進行は企業活動等に影響を及ぼしており、景気回復基調の中でも弱さの混在した推移となりました。
海外経済については、概ね雇用・所得環境等は堅調に推移しておりますが、金融資本市場の変動、ウクライナ情勢の長期化及びインフレ加速等の影響が重石となり、一部景気の持ち直しに足踏み状態が見られる推移となりました。
このような状況のもと、当社グループの売上高並びに損益の大半を占めるニッケル事業の主需要先であるステンレス鋼業界は、経済活動正常化の動きに伴い需要は持ち直し傾向にありましたが、中国ではステンレス需要回復の期待感が先行するもののその兆候は見えず、また、同国の感染症対策の影響や不動産市場の低迷及びウクライナ情勢の長期化等により市況の不透明感が増しており、生産設備の稼働率にばらつきの見られた推移となりました。
このため、フェロニッケル需要は、減速感の見られる推移となりました。
調達面においては、フェロニッケル製品の主原料であるニッケル鉱石の価格は、インドネシア未加工鉱石禁輸政策による影響及び底堅いニッケル鉱石需要等を背景に高水準で推移しており、また、世界的な資源高により原燃料及び電力の価格も高騰しており、生産コストの上昇幅が拡大する状況となりました。
ロンドン金属取引所(LME)におけるニッケル価格は、比較的高水準にある中で、金融資本市場の変動、ウクライナ情勢に関連する複合的な要因及び不透明な原油商品市況等の影響に加えて、インフレ加速による景気減速懸念も意識され、方向感の定まらない動きで推移しました。
その中で、当社のフェロニッケル販売数量は、前連結会計年度末直前に発生したフェロニッケル製造設備3基中1基の電気炉溶融物漏出事故に伴う生産数量減の影響で抑えた販売計画としており、加えて、ニッケル需給に緩みが見られること、また、海外ステンレス生産者は生産コストを含めても価格優位性の見られるニッケル銑鉄へ一部調達をシフトしており、ニッケル銑鉄の価格は当社の販売価格へも影響する環境になっていることから、一定の収益性を損なわない戦略的な数量の抑制へ方針をシフトしたため、前連結会計年度と比べ国内外向けともに減少し、全体では前年度比54.2%の減少となりました。
フェロニッケル生産数量は、電気炉溶融物漏出事故の影響等に伴い前連結会計年度と比べ減少しました。なお、対象の生産設備1基の復旧及び操業再開については翌連結会計年度の見込みですが、事業環境を注視しつつ、数量抑制方針を解除した段階で操業再開する予定です。
フェロニッケル製品の販売価格は、当社適用LMEニッケル価格は前年度比32.2%上昇及び当社適用平均為替レートは前年度比21.1%の円安となり、前年度比では価格高となりました。一方で、前述のとおり、当社適用LMEニッケル価格と当社適用平均為替レートに加えて、ニッケル銑鉄の価格も一部参考とした価格水準であるため、収入が伸び悩む厳しい販売環境へ急変しました。
このように、事業環境が急変しており、感染症及びウクライナ情勢等の影響は今後も継続するものと考えられますが、採算性重視の受注を徹底し、臨機応変な生産販売体制の構築等に努めております。さらには、海外事業展開・新規鉱山開発等の早期実現及びコストミニマムを追求するための業務効率改善策の強化等、業績の底上げ及び収益安定化に向けた取り組みを継続しております。
その結果、当連結会計年度の連結経営成績は、連結売上高が34,852百万円、前年度比では39.0%の減収となりました。損益面では、減収要因に加え、棚卸資産の収益性低下による簿価切下げ額の計上に伴う売上原価の増加等もあり営業損失は12,588百万円(前年度営業利益4,806百万円)、営業外収益において持分法による投資利益7,066百万円の計上等を含めた経常損失は4,960百万円(前年度経常利益12,999百万円)、特別利益において、電力会社の冬の節電チャレンジキャンペーン参加による電力使用量削減の特典として受取報奨金、特別損失では、電気炉溶融物漏出事故の復旧費用をそれぞれ計上した親会社株主に帰属する当期純損失は5,026百万円(前年度親会社株主に帰属する当期純利益11,368百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(ニッケル事業)
ニッケル事業についての経営成績は、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
その結果、当部門の売上高は34,135百万円、前年度比39.4%の減収、営業損失は12,441百万円(前年度営業利益4,950百万円)となりました。
(ガス事業)
ガス事業についての経営成績は、設備修繕に伴う費用計上等もありましたが安定した操業で、当部門は利益計上となりました。
その結果、当部門の売上高は774百万円、前年度比34.4%の増収、営業利益は4百万円(前年度営業損失10百万円)となりました。
(その他)
その他の事業部門につきましては、不動産事業では販売件数は少なく、また、廃棄物リサイクル事業は受注低迷等で、当部門は損失計上となりました。
その結果、当部門の売上高は38百万円、前年度比88.0%の減収、営業損失は160百万円(前年度営業損失142百万円)となりました。
なお、廃棄物リサイクル事業は、今後も採算性が見込めないため事業撤退いたしました。今後、廃棄物リサイクル事業の製造設備を活用した新たなリサイクル資源を原料とする事業を検討して参ります。
当連結会計年度末における当社グループの資産、負債及び純資産については、次のとおりであります。
資産合計は、前連結会計年度末に比べ11,027百万円減少し、78,825百万円となりました。
流動資産では、計画的な在庫数量の維持及び原燃料価格等の上昇の影響により商品及び製品等は増加しましたが、その決済による現金及び預金の減少等もあり、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ13,634百万円の減少となりました。
固定資産では、維持更新投資による有形固定資産の増加及び持分法による投資利益の増加に伴う投資有価証券の増加等により、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ2,607百万円の増加となりました。なお、当社の投資有価証券25,518百万円の主な内訳は、持分法適用による連結額16,249百万円、関連会社株式2,378百万円、フィリピンの株式市場へ上場している当社持分法適用関連会社のホールディングカンパニーNickel Asia Corporation株式6,324百万円であります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,907百万円減少し、6,791百万円となりました。
流動負債では、法人税等の支払いによる未払法人税等の減少もあり、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ2,969百万円の減少となりました。
固定負債では、電気炉溶融物漏出事故により停止していた生産設備の復旧工事に備えた見込み額である復旧費用引当金の増加等があり、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ62百万円の増加となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,119百万円減少し、72,034百万円となりました。
株主資本は、損失計上及び配当金の支払い等により8,051百万円の減少、その他の包括利益累計額はその他有価証券評価差額金の減少等により68百万円の減少及び非支配株主持分0百万円の増加となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主な増加要因である売上債権の増減額7,400百万円、利息及び配当金の受取額5,229百万円等に、主な減少要因である税金等調整前当期純損失4,287百万円、持分法による投資損益7,066百万円等を加減算し7,516百万円の支出で、前連結会計年度に比べ15,374百万円の支出増となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主な増加要因である有価証券の償還による収入1,600百万円、投資有価証券の売却による収入527百万円等に、主な減少要因である有形固定資産の取得による支出942百万円等を加減算し、974百万円の収入で、前連結会計年度に比べ3,884百万円の収入増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額等3,006百万円の支出で、前連結会計年度に比べ2,220百万円の支出増となりました。
現金及び現金同等物の増減額は、前連結会計年度に比べ13,728百万円の減少となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は17,248百万円となり前連結会計年度に比べ9,383百万円の減少となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1 金額は、販売価格により算出したものであります。
2 セグメントをまたがる取引のための生産実績は、各セグメントに含めて表示しております。
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。また、この連結財務諸表の作成にあたる見積りにつきましては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で行われている部分があります。これらの見積りにつきましては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
a 経営成績等の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりであります。
(売上高及び営業損失)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ22,277百万円の減収で34,852百万円となりました。また、営業損失は、前連結会計年度と比べ17,395百万円の減益で、12,588百万円となりました。
これは、主に、ニッケル需給に緩みが見られること、また、海外ステンレス生産者は生産コストを含めても価格優位性の見られるニッケル銑鉄へ一部調達をシフトしており、ニッケル銑鉄の価格は当社の販売価格へも影響する環境になっていることから、一定の収益性を損なわない戦略的な数量の抑制へ方針をシフトしたため売上が伸び悩んだこと、世界的な資源高により原燃料及び電力の価格は高騰しており生産コストの上昇幅が拡大したこと、また、売上原価へ棚卸資産の簿価切り下げ額を計上したこと等により、営業損失となりました。
(経常損失)
当連結会計年度の経常損失は、前連結会計年度と比べ17,960百万円の減益で、4,960百万円となりました。
これは、主に、営業外収益において持分法による投資利益7,066百万円を計上しましたが、売上高及び営業損失の減収減益要因の影響が大きく、経常損失となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、前連結会計年度と比べ16,395百万円の減益で5,026百万円となりました。
これは、経常損失になったことが大きく影響しました。
b 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
c 資本の財源及び資金の流動性について
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループは、事業活動のための適切な資金を維持するため、足許の環境下では、営業活動で得られた資金によって設備投資資金を賄うことを基本方針としており、また、短期流動性確保の手段として、コミットメントライン契約を締結しております。
資金の流動性に関しては、金融情勢等を勘案しながら、現金及び現金同等物の残高が適正になるように努めており、収益性向上を通じた営業活動によるキャッシュ・フローの改善を財政政策の最重要課題として位置付けております。
(提出会社)
ニッケル鉱石長期購入に関する契約
当連結会計年度の研究開発は、3カ年計画(2022年度~2024年度)に沿って、カーボンニュートラルに向けたGHG排出削減、ニッケルリサイクル資源の使用拡大、スラグの用途拡大、湿式精錬/製錬技術に関する研究開発及びリサイクル事業設備の活用に向けて研究を推進いたしました。
なお、当連結会計年度に支出した研究開発費は、総額
(1) ニッケル事業
① GHG排出削減
フェロニッケル製造工程に於けるGHG排出削減を目指した技術革新、研究開発に取り組んでいます。
② ニッケルリサイクル資源の使用拡大
フェロニッケル製錬コストの低減、天然資源の使用量削減、及び資源循環に向けた取り組みとしてニッケルリサイクル資源の使用拡大に取り組んでおります。
③ スラグの用途拡大
フェロニッケル生産の副産物であるスラグの新たな用途開発に向けて他社と協同で研究開発を進めております。
④ 湿式精錬/製錬技術に関する研究開発
湿式精錬技術の研究開発を行い「エマルションフローを活用したLIB材料向け原料の製造プロセス」の開発に成功し、事業採算性検討も並行的に進めております。また、海外事業展開を視野に入れた湿式製錬技術についても研究開発を継続しています。
(2) ガス事業
該当事項はありません。
(3) その他
既存のリサイクル事業設備を活用した新たな事業展開に向けて、研究開発と事業検討を行っております。