第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「より便利な、より快適な、より安全なインターネットライフに貢献していく」ことを企業理念として、あらゆるヒト・モノ・コトがインターネットでつながり、人々の生活をより豊かにする創造的・革新的な発展が可能となるインターネット社会を実現するために、ソフトウェアメーカーとして安心・安全・快適を提供してまいります。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、上述の経営理念に基づき、中期的には総合セキュリティメーカーへ成長していくことを目標に掲げ、2022年4月から2025年3月までの3ヵ年を対象とした中期経営計画をスタートさせました。多様化・高度化するセキュリティニーズに応え、トータルセキュリティの提供とブランドの更なる浸透を実現するために、3つの重点領域への取り組みを加速してまいります。
〈重点領域〉
・着実なオーガニック成長
・セキュリティ製品・サービスの拡充
・デジタルアーツコンサルティングによる高い専門性の訴求 
 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、中期的には総合セキュリティメーカーへ成長していくことを目標に掲げており、その経営上の目標の達成状況を判断するため、契約高成長率、売上高成長率、営業利益率、自己資本当期純利益率(ROE)を客観的な指標としております。当社主要製品の契約期間は1年以上であるため、当社グループ及び販売代理店は契約高の成長を目標として販売活動を実施していることから、一般的な経営指標に加え、契約高成長率を重視しております。
 中期経営計画における経営指標については、以下の目標を達成できるように取り組んでまいります。

(単位:百万円)

 

2023年3月
(実績)

2024年3月

(計画)

2025年3月

(計画)

連結売上高

10,436

11,500

13,000

連結営業利益

4,413

5,150

5,700

連結営業利益率

42%

45%

44%

 

 

(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループが属するセキュリティ業界におきましては、テレワーク・在宅学習の普及と様々なクラウドサービスの活用により社会のデジタル化が進み、インターネットの範囲が拡大し続けており、組織内部からの情報漏洩リスクに加えて、特定の企業や国家機関等の組織を狙った標的型攻撃等外部からのサイバー攻撃が高度化・巧妙化していることから、ますますセキュリティ対策の重要性が増しております。

 

 

中期経営計画の達成に向けて、当社グループが認識している対処すべき課題は以下の通りです。

 

既存事業の安定的・継続的成長

  当社グループは、ユーザーや販売代理店のご要望に真摯に向き合い、お応えすることで、長期継続的な関係を維持し、安定的・継続的な事業の成長を果たしてまいりました。引き続き、ユーザー、販売代理店との良好な関係を維持し、製品強化・サービスの向上を図り、安定的・継続的な事業の成長を目指してまいります。

 

② 新しいニーズの発掘

  クラウドサービス・IoT・AI・ICT等のIT技術の発展とインターネットの領域の拡大により、セキュリティ脅威が増しております。このような環境の中、当社グループでは、営業活動、開発活動及び市場調査を通じて将来の潜在的なニーズを予測し、新たなソリューションの研究開発により、製品ラインアップやサービスを拡充することで、新しいニーズを発掘してまいります。

 

③ 人材の確保と育成

  当社グループが中長期にわたり成長していくためには、優秀な人材の確保と育成が重要な課題であると認識しております。このため、当社グループでは、魅力的な給与水準及び公正な評価制度並びに充実した社員教育制度となるよう、継続的に人事制度を見直すとともに、積極的に新卒・中途採用活動を行うことで、優秀な人材の確保とその定着に努めております。

  また、社員の生産性向上と知識・スキルの習得を重点課題として、資格取得支援制度・職階別社内教育制度・外部専門家研修制度等を通じ、人材の育成に努めております。

 

④ サステナビリティへの取り組み

  当社グループは、企業理念に基づき、地球環境の保全と持続可能な社会の実現のため、「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティ方針をもとに、重要事項(マテリアリティ)の特定とそれらに対する取り組みを検討し、当社HPに公開しております。事業活動における環境負荷の軽減と効率性の向上だけでなく、社員ひとりひとりが考え、行動することにより、気候変動問題・環境汚染等の地球環境問題への取り組みを行ってまいります。また、事業活動を通じて、企業や公共団体の情報資産流出による経済損失を可能な限り抑制するとともに、子どもたちの安心・安全なインターネット利用や充実したオンライン学習環境を実現するために、様々な社会貢献活動を行ってまいります。

 

⑤ 普及・啓発活動

  当社グループの製品やサービスの普及には、インターネットを取り巻くセキュリティ脅威とそれに対するセキュリティ対策の重要性を正しく理解いただくことが重要であると考えております。そのため、当社製品の機能を利用して検知した、マルウェア感染の疑いやHPを改ざんされた疑いのあるインターネットユーザーへ、無償でお知らせをするサイバーリスク情報提供サービス「Dアラート」を提供するとともに、開発部門の専任チームが調査・分析した最新のセキュリティトレンドを「Digital Arts Security Reports」として発信し、セキュリティ脅威への注意を促しております。また、全国各地の自治体や学校からのご要望をもとに講演活動を行い、スマートフォンをはじめとしたモバイル端末の利用における情報リテラシーの向上に役立つ情報提供を行うとともに、フィルタリングの重要性を訴求しております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループでは、創業時から、社会課題の解決を標榜し、「より便利な、より快適な、より安全なインターネットライフに貢献していく」という企業理念に基づき、地球環境の保全と持続可能な社会の実現のために、国産セキュリティソフトウェアメーカーとしてさまざまな取り組みを行っております。

事業活動を通じて、企業や公共団体の情報資産流出による経済損失を可能な限り抑制するとともに、気候変動問題・環境汚染等の地球環境問題への取り組みや、子どもたちの安心・安全なインターネット利用や充実したオンライン学習環境を実現するためのさまざまな社会貢献活動を行っています。

 

(1)マテリアリティ

 当社グループは、企業理念のもと、サステナビリティ経営を推進するため、4つのグループと14項目からなるSDGs・ESGのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。これらの特定したマテリアリティを踏まえた情報セキュリティ事業を核とした経営計画の達成に向けて全社一体となった活動を行います。さらに、ステークホルダーの皆さまとの対話を通じて全社の活動を改善し、持続可能な社会の実現に貢献します。

 

(2)ガバナンス
 当社グループは、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化するため、2022年4月に「サステナビリティ委員会」を設置しました。当委員会は代表取締役社長が委員長となり、主要各部門の責任者を招集し、サステナビリティ全般の方針や目標・計画等の審議・決定、計画推進を検討・議論します。取締役会は、当委員会からの報告を受け、課題への取り組みや設定した目標をモニタリングし、監督します。

 

  ■サステナビリティ推進体制


 

(3)環境への取組

 当社グループでは、気候変動をサステナビリティ経営上の最重要課題の一つと認識し、SDGsやパリ協定の長期目標に示された脱炭素社会への貢献に向け、多様なステークホルダーとの対話・協働を通じ、気候変動に係るリスクへの適切な対応と成長機会の獲得に取り組んでいます。

 

①戦略

当社グループは、TCFD提言にて例示されている気候変動がもたらすリスク・機会を元に、シナリオ分析を実施しました。シナリオ分析においては、2℃以下シナリオを含む複数の温度帯のシナリオを選択、設定していく必要があるため、移行面で影響が顕在化する1.5℃シナリオと物理面での影響が顕在化する4℃シナリオの2つのシナリオを選択しました。

 

 


 

 炭素税の導入による影響

気候変動リスクによる財務的影響については、政府の環境規制強化に伴う炭素税の導入によるものが考えられます。そのため、GHG排出量が2021年度と同等の場合の4℃シナリオおよび1.5℃以下シナリオにおける2030年および2050年の炭素税導入に伴う影響額を試算しました。また、試算にあたっては国際エネルギー機関(IEA)のシナリオや国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のシナリオ、2022年4月現在の炭素価格(排出量取引制度、炭素税、エネルギー課税)を用いて試算しています。なお、今後、再生可能エネルギーの導入等によりGHG排出量を削減していく予定のため、実際に炭素税が導入される時点では、この影響は軽減される見込みです。

 


 

 

②リスク管理

当社グループのリスク管理体制は、取締役会で定められたリスク管理規程に基づき、事業活動に伴い発生する可能性のある経営上のリスクに関して、リスクに関する予防とリスクが発生した場合の対応に関する統合管理を行っております。また、サステナビリティ委員会において、環境問題に関する基本的な方針の策定および気候変動に伴うリスク管理を行っており、当社グループにとっての課題を把握するとともに、必要な施策について協議し、その進捗を定期的にモニタリングします。気候変動に関するリスクについては、気候変動によって受ける影響を把握し評価するため、シナリオの分析を行い、気候変動リスク・機会を特定しました。特定したリスク・機会はサステナビリティ委員会を中心とする推進体制のもと議論・審議し、リスク管理の状況や重大なリスクの判断に関しては、取締役会への報告・提言を行ってまいります。

 

③指標及び目標

当社グループの2021年度のGHG排出量は、258t(電力消費による間接排出)となっております。また、当社では、Scope1(事業による直接排出)は0であり、Scope2(電力消費による間接排出)を算出し、Scope2のGHG排出量について、2025年度に実質ゼロの目標を設定しました。GHG排出量の削減にあたっては、社内の省エネ、節電を心掛けるとともに、化石燃料を用いない再生可能エネルギーの導入や国が認証するJ-クレジット制度を積極的に活用し、脱炭素社会の実現を目指していきます。

 


 

(4)社会への取組

 当社グループは、事業を通じて社会課題を解決するためにイノベーションをけん引するリーダーと多彩な能力を発揮する人材の育成を目指しており、グループ全社員一人ひとりの能力発揮と成長を促進することを基本方針としています。また、大切な価値観のひとつとして「人間性の尊重」を掲げ、さまざまな考え方を持った多様な人材が、国籍・宗教・婚姻の有無・性別・性的指向または性自認等・障がいの有無等に関わらず、個性や能力を存分に発揮し活躍できる企業になることを目指しています。

 

 

①戦略

総合的な育成環境の構築を目指して、職階別の社内研修やスキル別研修、資格取得支援制度などの立上げ・充実を図っております。教育計画の立案や個別研修の企画・実行、研修実施後の職場実践フォローアップに至る社内の育成サイクルをまわし、着実にスキルアップできる環境づくりに努めております。

あわせて、従業員の成長をさらに加速させるべく、「自己成長に取り組む人材づくり」に取り組んでおります。具体的には、キャリアデザイン研修の開始や自己啓発活動の取り組み事例の全社紹介・表彰など、主体的なキャリア形成やスキル習得を促す仕組みづくり・風土づくりをおこなっております。

 

②指標及び目標

 今後は、新たに整備したジョブ別スキル要件を活用し、より実践的な職階別の社内研修やスキル別教育を提供していくことを目標に、総研修時間や社員1人あたりの研修時間等を指標として取り組んでいきます。

 

(5)ガバナンスへの取組

 当社グループにおけるコーポレート・ガバナンスは、「企業理念」に基づき、すべてのステークホルダーの支持を得て持続的な企業価値の向上を実現するために、「迅速な意思決定とそれに付随する役割と責任の明確化」、「社内・社外の両面からの客観的なチェック体制の維持」及び「タイムリーかつ公平なディスクロージャーの徹底」が重要と考えております。当社グループは、経営環境の変化に柔軟に対応できる組織体制のもと経営の健全性を確保し、コンプライアンスの徹底を図り、コーポレート・ガバナンスの充実に継続的に取り組んでまいります(第4 提出会社の状況-4 コーポレート・ガバナンスの状況等参照)。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2023年6月26日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(a) 主要な販売代理店の販売状況や経営環境の変化が当社グループに与える影響について

  当社グループの製品は大部分が販売代理店を経由しユーザーへ販売されています。従いまして、主要な販売代理店の販売状況や経営環境の変化(企業のM&Aや倒産等)によって、当社グループの売上高が大きく変動する可能性があります。また、主要な販売代理店は、当社グループの競合製品も取り扱っております。そのため、当社グループは販売代理店への働きかけにより売上高の拡大に努めておりますが、競合製品が当社グループ製品よりも先行して取り扱われる可能性があります。さらに、主要な販売代理店の販売状況や経営環境の変化(企業のM&Aや倒産等)により、当社グループへの債務の支払いが停滞、またはその回収が不可能となった場合、当社グループの業績や財務状況に大きく影響を与える可能性があります。

 

(b) 当社グループ製品の学校及び自治体等への販売が国家予算や自治体の政策方針により影響を受けることについて

当社グループ製品の国公立学校や地方自治体等に対する売上高は、国家予算の変動や地方自治体への予算配賦状況、地方自治体における予算の消化状況等によって大きく影響を受ける可能性があります。

 

(c) インターネットにおける法規制、NPO法人等による無料サービスの提供、並びにオペレーティングシステムへの無償での組み込みによって受ける影響について

インターネットにおける法規制等が進み、政府やNPO法人によって当社グループの「Webセキュリティ」ソフトに類似する施策や対応が低価格あるいは無償で行われた場合、当社グループにおいて事業及び収益モデルの変更を余儀なくされる可能性があります。

また将来において、当社グループが提供するWebセキュリティソフトまたはそれに類似するものが、コンピューターのオペレーティングシステム(OS)等に無償または非常に低価格で付加され販売される可能性があり、その製品が当社グループの提供するWebセキュリティの機能より劣っている場合でも、ユーザーがそうした製品を積極的に利用する可能性があります。このような場合には当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

(d) セキュリティ事業に特化していることによる影響について

当社グループは、Webセキュリティソフト及びメールセキュリティソフトの開発・販売等を行う「セキュリティ事業」に特化しております。今後、経済環境の悪化その他の要因により、セキュリティ市場の需要が低迷した場合等には、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

(e) 当社グループの売上高における四半期決算数値の変動について

当社グループの四半期における売上高は、第4四半期が他の四半期に比べ高くなる傾向にあります。これは、民間企業及び公共団体において、年度末である3月にIT製品の発注が行われることが多いためです。当社グループでは、この季節的変動を考慮した計画策定を行い、当該時期の売上の維持・拡大に努めておりますが、何らかの理由により当該時期の受注を計画通りに獲得できなかった場合や、販売代理店または顧客の都合等により発注が遅れた場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、契約時に契約額の大部分を会計上の売上として計上するタイプの製品に対し、契約金額の多くを繰延会計処理するタイプの製品の構成割合が高まる場合や、法律改正または政府主導の施策による一過性の特需が生じる場合には、四半期決算の数値が変動する可能性があります。

 

(f) 法規制等のリスクについて

当社グループは、企業活動に関わる各種法令の規制を受けておりますが、当社の事業継続に著しく重要な影響を及ぼす特有の法的規制は、本書提出日時点において存在しないと考えております。しかしながら、今後、既存法令等の改正や新たに当社事業を規制する法的規制が適用されることになり、当社の事業展開が制約を受けたり、対応措置をとる必要が生じたりする場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(g) 将来企業、学校、家庭等においてインターネットそのものの利用機会が衰退した場合の影響について

「インターネット」は世界的にも急速に発展を遂げ、今やなくてはならない情報インフラストラクチャーであります。現在、当社グループの売上の大部分がこの「インターネット」に関連した製品やサービスによって構成されているため、今後「インターネット」そのものの衰退や当社グループ製品の該当市場となる“企業”、“学校”、“自治体”、“家庭”等において、「インターネット」そのものの利用機会が大きく減少した場合、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

(h) 知的財産(特許等)の保護の限界について

当社グループは、独自に開発した技術やノウハウの保全に対して、国内外にてしかるべき対策を行っておりますが、一部地域において法的制限によって当社グループの知的財産権が完全にまたは限定的にしか保護されない可能性があります。このため、他社が当社グループの技術の分析や研究を実施すること、類似する製品の提供を行うことを完全には防止できない可能性があります。さらに、当社グループは他社の知的財産権や著作権の侵害については細心の注意を払い、製品の販売やサービスの提供を行っておりますが、将来他社から知的財産権や著作権を侵害していると見なされる可能性があります。

 

(i) 当社グループの技術の陳腐化や技術革新が進行し得なかった場合の影響について

当社グループでは、現在提供している製品やサービスにおける技術や品質向上と将来の新製品、新サービスの提供に向け、開発活動を行っております。しかしながら、将来的に当社グループが提供している製品やサービスの陳腐化や当社グループにおける技術革新が進行しなかった場合、当社グループが提供する製品やサービスが競合他社のそれと比較して競争力を獲得できない可能性があります。このことが将来において当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

 

(j) 当社グループが提供する製品のバグや欠陥の発生による影響について

当社グループでは「Webセキュリティソフト」を中心に、多くのソフトウエア製品を開発販売しております。ソフトウエアの開発から販売までの過程において数多くの品質チェックを行い、プログラムの動作確認には万全を期しておりますが、販売時には予期し得なかったソフトウエア特有のバグ(不具合)が販売後に確認されることもあります。その場合、当社グループでは速やかに製品のアップデート(修正)プログラムを提供し対応しております。しかしながら、こうしたバグによりサービスの提供ができなくなる場合、バグの解決に非常に長期間を要した場合、またはバグの解決に至らなかった場合は、製品の売上の減少や返品だけでなく、当社グループへの信頼が低下する恐れがあり、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

(k) 当社グループが所有する基幹システム(サーバ)等のトラブルによる影響について

当社グループの主要なサービスの大部分は、当社グループが管理するサーバよりURL情報等を提供する形態としております。当社グループではこれらのサーバを最重要基幹システムとして位置付け、サーバの二重化やデータのバックアップ取得による保全策等を実行し、サービスの安定的な提供に努めております。しかしながら、サーバはハードウェアであり予期せぬ動作の停止や誤作動及び重要データ(当社グループサービスの核となるURLデータベース、顧客情報、技術情報等)の喪失等が発生し、サービスの提供を行うことができなくなる可能性があります。

また、サーバを保管している施設の事業の停止によるサービスの停止、当社グループが利用するインターネットサービスプロバイダ、回線提供事業者及びその他のクラウドサービスにおけるトラブル発生、ハッキングまたは重要データの盗難による情報の流出等の情報セキュリティ事故によって、当社グループがサービスの提供の中断を余儀なくされる場合も同様です。当社ではプライバシーマークの取得に加え、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の要求事項に準拠した体制を整えておりますが、万が一、これらの事象によりサービスの提供が停止した場合、当社グループへの信頼が低下する恐れがあり、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

(l) 主要な経営陣への依存と、優秀な人材の確保及び育成について

当社グループの運営は、代表取締役社長である道具登志夫をはじめとする主要な経営陣に大きく依存しております。将来これらの経営陣において、病気やけがによる長期休暇、退職、死亡等の事態が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。また、優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、十分な人材の確保と育成ができない場合には、当社グループの競争力や効率性が低下し、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

(m) 企業の合併と買収、営業権の譲渡や獲得等による影響について

当社は東京証券取引所プライム市場への公開企業であり、代表取締役社長である道具登志夫が2023年3月31日現在の発行済株式14,133,000株(自己株式含む)のうち2,253,226株(保有する株式の割合 約16.1%、役員持株会保有分を含む)を保有し筆頭株主となっております。しかしながら、公開企業にとって企業の買収と合併の可能性は否定できず、将来当社グループにおいても企業全体または事業の一部や営業権について、買収、合併及び譲渡される可能性があり、このような場合、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

また、当社グループが企業買収、合併及び営業権の獲得を行った場合も同様の影響が発生する可能性があります。

 

(n) 天災、災害、テロ活動、戦争、感染症の流行等の発生や停電による影響について

地震や天災といった災害、国内外におけるテロ活動、戦争の発生、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症等に代表される感染症の流行等の予期せぬ事態により、当社グループの業績や事業活動が影響を受ける可能性があります。また、全国的、地域的な停電や入居しているビルの事情によって電力供給が十分得られなかった場合、当社グループの事業活動とサービスの提供が停止し、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和され、緩やかに経済活動は持ち直しつつありましたが、ウクライナ情勢の長期化や外国為替市場での急激な円安・ドル高を原因とする物価の上昇など景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社グループが属するセキュリティ業界においては、ランサムウェア・Emotetに加え、キーボード操作などから機密情報を窃取する遠隔操作型のマルウェアであるAgent Tesla等、多様化するサイバー攻撃被害が激化していることを背景としてセキュリティ製品に対する需要が拡大しており、大規模企業のみならず、相対的にセキュリティ対策が遅れている中堅・中小企業においても新規導入需要が拡大しております。

こうした中、当社はトータルセキュリティニーズの高まりに対応するため、主力製品「i-FILTER」、「m-FILTER」、「FinalCode」の連携・機能強化と多様なセキュリティソリューションを追加搭載し、独自の次世代SWG(Secure Web Gateway)の展開に注力しました。

従来から提唱している「ホワイト運用」に加えて、安全なWebサイト・メールからの安全なファイルのダウンロード・受信を実現し、セキュリティレベルが向上するだけではなく、マルウェア判定をリアルタイムに確認し、ログの一元管理も可能となり、利便性が向上する新オプション「Anti-Virus & Sandbox」の提供を開始し、順調に受注を拡大しました。

また、サイバー攻撃からの被害を最小化するために、SOC(Security Operation Center)やEDR(Endpoint Detection and Response)といったインシデントの検知や対応を行う重要性が高まっていることを受け、当社は、人材の確保やセキュリティコストへの課題を抱えているお客様向けに低コストでインシデントの迅速な検知を実現する新オプション「Dアラート発信レポートサービス」の提供を開始し、インシデントの検知・対応の領域へ進出いたしました。

 さらに、未知の脅威や悪性ファイルだけでなく、メールなどからフィッシングサイトに誘導するフィッシングの被害も増加しております。フィッシングサイトは金融機関や通販などのWebサイトを模倣しており、判別は非常に困難であります。このようなフィッシングサイトの脅威を防ぐため、当社独自の技術により安全性を確認したURLのみ認証情報の送信を許可し、安全性を確認できなかったWebサイトへの認証情報の送信をブロックする「クレデンシャルプロテクション」機能を「i-FILTER@Cloud」に新たに追加し、お客様のセキュリティレベルを向上させました。これらの施策を実施したことにより、当社が独自に提唱している「ホワイト運用」の利用者が当連結会計年度に新たに166万ライセンス増加し、1,168万ライセンスとなりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。

 

a.財政状態

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,807百万円増加し、21,149百万円となりました。これは主として、現金及び預金が1,245百万円増加したことによるものであります。

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて205百万円減少し、6,975百万円となりました。これは主として、前受金が496百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて2,013百万円増加し、14,173百万円となりました。これは主として、配当金の支払いによる減少を上回る親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加があったことによるものであります。

 

b.経営成績

当連結会計年度における売上高は10,436百万円(前期比15.3%増)営業利益は4,413百万円(同7.0%増)、経常利益は4,429百万円(同7.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,062百万円(同5.6%増)となりました。

 

連結経営成績の概況

(単位:百万円)

 

2022年3月

2023年3月

増減額

増減率

(%)

売上高

9,051

10,436

+1,384

+15.3

営業利益

4,126

4,413

+286

+7.0

経常利益

4,135

4,429

+293

+7.1

親会社株主に帰属する当期純利益

2,900

3,062

+161

+5.6

 

 

各市場の業績は次の通りです。

 

企業向け市場

企業向け市場においては、トータルセキュリティニーズへの対応として「i-FILTER」および「m-FILTER」それぞれにアンチウイルス機能およびサンドボックス機能の新機能オプションを提供開始したことにより新規案件獲得に寄与しました。また、PPAP(ファイルをパスワード付きZIPファイルにしてメールで送付し、パスワードを別送するファイルのやり取り)対策やEmotet等の標的型攻撃に対応した機能が高く評価され、「m-FILTER」を順調に拡販することができました。加えて、セキュリティコンサルティングサービスを提供している子会社デジタルアーツコンサルティングが、企業のサイバーセキュリティとDXにおけるコンサルティング需要の高まりを受けて、新規顧客の獲得を進め、売上高が増加しました。

 

 以上の結果、企業向け市場の売上高は、5,316百万円(前期比16.6%増)となりました。

 

公共向け市場

公共向け市場においては、前期以前から続く「GIGAスクール構想」案件の売上計上及び当期より本格化している自治体向けのセキュリティ対策強化に対応したソリューションの提案に注力した結果、地方自治体の受注獲得が好調に推移し、「i-FILTER」、「m-FILTER」の売上高が増加しました。

 

以上の結果、公共向け市場の売上高は、4,686百万円(前期比15.8%増)となりました。

 

家庭向け市場

家庭向け市場においては、携帯電話事業者やMVNO事業者等との連携、1つのシリアルIDで複数OSでの利用が可能な「i-フィルター for マルチデバイス」の販売に注力しました。

 

以上の結果、家庭向け市場の売上高は、433百万円(前期比2.6%減)となりました。

 

 

当連結会計年度(2022年4月1日2023年3月31日)の売上高

 

企業向け市場

公共向け市場

家庭向け市場

合計

 

百万円

百万円

百万円

百万円

2023年3月

5,316

4,686

433

10,436

2022年3月

4,559

4,046

444

9,051

 

                                     (百万円未満切捨)

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、1,245百万円増加し、17,018百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益4,430百万円及び減価償却費884百万円の計上等により、3,147百万円の収入(前連結会計年度は6,169百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得等により、867百万円の支出(前連結会計年度は978百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、1,051百万円の支出(前連結会計年度は810百万円の支出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

  a.生産実績 

 

当連結会計年度
(自 2022年4月1日
 至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

企業向け市場   (百万円)

5,002

113.7

公共向け市場   (百万円)

4,654

116.1

家庭向け市場   (百万円)

432

97.4

 合 計  (百万円)

10,089

114.0

 

 (注) 1 金額は販売価格によっております。

  2 当社グループは、セキュリティ事業のみの単一セグメントであるため、セグメントに係る記載は省略しております。

 

  b.受注実績

当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

  

 

  c.販売実績 

 

当連結会計年度
(自 2022年4月1日
 至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

企業向け市場   (百万円)

5,316

116.6

公共向け市場   (百万円)

4,686

115.8

家庭向け市場   (百万円)

433

97.4

合 計  (百万円)

10,436

115.3

 

(注) 1 輸出販売高はありません。

 2 当社グループは、セキュリティ事業のみの単一セグメントであるため、セグメントに係る記載は省略しております。

   3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

当連結会計年度
(自 2022年4月1日
 至 2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ダイワボウ情報システム

株式会社

2,045

22.6

2,683

25.7

SB C&S株式会社

1,541

17.0

1,747

16.7

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下の通りであります。

a.経営成績等の状況

(売上高)

当連結会計年度の売上高は10,436百万円となり、前連結会計年度と比較し1,384百万円増加(前期比15.3%増)となりました。

これは、企業向け市場においてテレワークの普及が追い風となりi-FILTERシリーズの受注が増加したこと、公共向け市場において「GIGAスクール構想」におけるi-FILTERシリーズの受注が増加したこと、さらにデジタルアーツコンサルティング株式会社において新規顧客による売上が拡大したことが主要因です。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は3,666百万円となり、前連結会計年度と比較し990百万円増加(前期比37.0%増)となりました。また、売上総利益は6,769百万円となり、前連結会計年度と比較し394百万円増加(前期比6.2%増)となりました。

 

当連結会計年度は、クラウドサービス系製品の拡販に伴うクラウドサーバー費用の増加、デジタルアーツコンサルティングのコンサルタント人員数の増強による労務費の増加等はあったものの、売上高の増加に伴い、売上総利益が増加いたしました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,356百万円となり、前連結会計年度と比較し108百万円増加(前期比4.8%増)となりました。また、営業利益は4,413百万円となり、前連結会計年度と比較し286百万円の増加(前期比7.0%増)となりました。

当連結会計年度は、デジタルアーツコンサルティングのコンサルタント人員数の増強による採用費用の増加等があったものの、売上高の増加に伴い、営業利益は増加いたしました。

 

(経常利益)

当連結会計年度は、為替差益12百万円等を営業外収益に計上したことにより、経常利益は4,429百万円(前期比7.1%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、3,062百万円(前期比5.6%増)となりました。

 

b. 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標についての分析

当連結会計年度における客観的な指標は以下の通りであります。

契約高成長率と売上高成長率が乖離する理由は、主に従来からの主要製品であるライセンス販売系製品は出荷時に契約高の大部分を一括で売上計上するのに対し、クラウドサービス系製品は、サービス提供期間を通じて月額按分で売上計上するためであります。

 

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

契約高成長率        (%)

△19.7

10.6

売上高成長率        (%)

32.6

15.3

営業利益率         (%)

45.6

42.3

自己資本当期純利益率(ROE) (%)

26.2

23.3

 

 

c. 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 資本政策につきましては、企業価値の持続的な向上を目指し、成長分野に対して迅速に投資可能な水準の内部留保の充実と株主の皆様への利益還元を総合的に勘案し、実施していくことを基本方針としております。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は17,018百万円となっているのに対して、有利子負債残高はございません。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、高付加価値なソリューションを提供するために必要な優秀人材の確保と育成に関する人件費等であります。内部留保については人材の確保と育成に対して優先的に充当し、既存事業の安定的・継続的な成長を持続すると共に、新しいニーズの発掘に積極的に取り組んでまいります。
 
d.経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、開発部で実施しており、当社製品のユーザビリティ向上のための調査、比較、分析を行い、現製品の改良に向けた検討を図っております。また次期事業のための製品及びサービス提供に向けた技術調査、研究、開発を行い、製品化に向けた活動を実施しております。

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、24百万円となっております。