文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、常に高品質で価値ある商品とサービスの提供を通じて社会・文化の向上に貢献するべく、法令等遵守のもと、各ステークホルダーの皆様と健全で良好な関係を維持しつつ、適正で効率的な経営に努めております。
また、当社グループは外部環境の変化に対応した強固な収益体質の構築を目指し、効率的な経営、生産効率の向上、研究・開発体制及び販売・サービス体制の強化等を行ってまいります。
当社グループは、「企業価値の向上」を経営方針の一つに揚げており、株主・従業員を含む全てのステークホルダーとのより一層良好な関係を構築し、企業価値を高める為、収益構造の改善と企業体質の強化に努めてまいります。
なお、2022年5月13日に公表した2023年3月期から2025年3月期までの中期経営計画「Reborn 2024」において営業利益率10.4%、自己資本純利益率(ROE)10%以上を中期目標としております。
(3)経営環境
①全般
長引いた新型コロナウイルスによるパンデミックの収束と平行して、コロナ禍からの脱却を目指し、正常化に向けた経済活動の再開が進んだ一年となりました。しかし、世界的な物価高と金融引き締め政策による内需の下振れ、さらに長期化しているロシアのウクライナ侵攻や中国の成長減速など多くの懸念材料がいまだ経済に重くのしかかっております。
国別に見ますと、米国では、物価高・金融引き締めから景気の成長ペースが鈍くなっている中、良好な雇用環境を背景として個人消費や輸出が底堅く推移しました。欧州においては、雇用の改善がみられる一方で、歯止めのかからない物価高騰により個人消費の景気は下押しとなり、また、エネルギーの供給制約が生産活動の失速につながっています。日本国内においては、オミクロン株の新型コロナウイルス感染が収束に向かい、5月8日から新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」へと移行されました。ウィズコロナの下で、政府の支援策もあり個人消費や設備投資は緩やかに持ち直しを見せましたが、物価高は家計に大きなダメージを与えています。ラテンアメリカやカリブ海地域では、世界経済の減速と各国の抱える政情不安が大きく影響し、経済に不透明感が漂っています。中国ではゼロコロナ政策の解除による経済活動の正常化並びに成長重視の政策運営方針により内需の持ち直しと今後の伸びが見込まれます。
今後の先行きについては、行動制限の解除から個人消費やサービス消費の持ち直しが見込まれますが、その一方で、継続する物価高と、インフレ抑制の金融引締めや不安定なウクライナ情勢や世界各地域・国における地政学リスクへの警戒感から、経済の成長は依然として予断を許さない状況です。
②家庭用機器事業
近年の家庭用ミシンの市場環境は、ミシンユーザーの減少やネット通販の伸長による低価格化の進行など、厳しい状態にありました。新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、一時的に手作りマスクへの関心が高まったことなどを契機にミシンの需要が急増いたしましたが、その後、販売に関しては落ち着きを取り戻しました。しかし、家での過ごし方としてミシンを楽しむ方が増加し、創ることへの楽しさを知るきっかけとなり、ハンドメイド文化の裾野は拡大していると確信しております。
感染症防止の行動制限の緩和に伴い、展示会や各種イベントなど、対面での活動が再開され、お客様との交流を持つ機会を増やすことができました。長年ハンドメイドに親しむミシン上級者から、ミシンを始めたばかりの初心者まで幅広く交流を深める貴重な機会となりました。また、ウェブサイトやSNSを通じた情報発信等も引き続き継続して、お客様とのコミュニケーションの多様化に一層取り組んでいくことで、国内外におけるソーイング文化の深化・浸透、潜在需要のさらなる掘り起こしに繋がるものと考えております。
国内においては、全国各地の直営支店での「訪問販売」の形態からシフトを行い、ミシン専門店以外のネット通販、量販店での販売等、時代に応じた販売チャネルを活用した積極的な販売活動を行うとともに、全国の学校に向けた販売や充実したアフターサービスなど当社の強みを最大限に活かすことで、国内シェアNo.1の堅持に寄与するものと考えております。
海外向けには、2022年4月に当社9年ぶりの新フラッグシップモデル「Continental M17」が北米・大洋州などの市場を中心として高評価を受け、同モデルを含めた高付加価値製品を中心に販売を伸ばし利益に寄与いたしました。その一方で、各国の金融引き締め政策などを背景とした世界経済の減速傾向は、欧州やそのほかの新興国を含む幅広い地域に深刻な影響を与え、これにより低・中価格帯機種の販売は停滞いたしました。また、ロシア向けには2022年3月よりミシンの出荷・販売を停止しており、生産・販売数に影響を及ぼす結果となりました。
重点市場のインドを含むアジア地域では同地域の経済状況に比例して、普及モデルのミシン販売が好調に推移いたしました。地域毎に需要やニーズを的確につかみ、さらなる市場拡大が見込める市場では、新たなミシンユーザーの獲得に向けて積極的な取り組みを推進していきます。また、ミシンの価値発展を伝えるパイロットショップ「Bobinage(ボビナージュ)」の国内外における多店舗化展開など、積極的な需要喚起を行っていきます。
ミシンは家庭にある唯一の生産財とも呼ばれ、手づくりによるリメイクやリユースなどエシカル消費にも繋がり、製品そのものがサステナブルでエコに貢献できるものと認識しております。こうした環境への貢献度が消費行動に直結する時代において、ミシンの持つサステナビリティを訴求していくことで、特にこれまでミシンに馴染みのなかった若い世代を中心に裾野の拡大が期待できます。モノづくりを通じて人々の生活を豊かにすることができ、また、ミシンの価値を再評価いただけているものと考えております。
③産業機器事業
日本産業機械工業会の発表によれば、2022年度の産業機械受注額は、前年度比106.4%の5兆2,652億円となり、2年ぶりに前年度を上回りました。
当社産業機器事業におきましては、景気回復とともに生産現場等における設備投資環境も好転し、引き合いは増加しつつあります。他方で、半導体をはじめとした電子部品の品不足による長納期化や原材料の高騰により、生産面で制約を受けており、情勢の回復には時間がかかるものと見込まれます。
足元では昨年から引き続き不透明感も残るものの、中長期的に見れば市場は拡大していくと考えております。特に国内を含めた先進国を中心に「脱炭素社会」を目指す動きが加速している中、主力市場である自動車業界は、電気自動車や自動運転の開発が進むなど大きな変革期を迎えており、今後、様々なビジネスチャンスの機会が増えてくるものと思われます。また、製造業におけるグローバル競争の激化や慢性的な人手不足から工場の自動化ニーズが高まっており、今後中小企業にも波及していくと見られ、これらに積極的なアプローチをかけることで、新規顧客の開拓にも繋がると考えております。
当社産業機器事業におきましては、これまで当社の第2の柱として着実に成果を上げてまいりましたが、外部環境の変化による煽りを受け、営業損失が続いております。これは、足元の市場環境が改善しつつある中、部品調達難による生産体制への影響が要因の一つではありますが、中国市場や自動車関連など特定の市場・業界への依存度が高いことも影響していると考えております。中期経営計画に基づき、これまでの重要市場への販売拡大にも注力しながら、新規顧客開拓を一層推し進め、新エネルギー、環境・エコ、医療関係など幅広い業種にアプローチを行っていくことで、外部環境に左右されない盤石な販売網が構築できるものと考えております。また、部品不足に対しては部品の社内加工化を推進するとともに、強固なサプライチェーンを構築していくことで、生産の安定化に繋がるものと考えております。
④IT関連事業
情報サービス産業におきましては、IoT、AIなどの「デジタルトランスフォーメーション(DX)」による「第4次産業革命」が徐々に社会に浸透してきております。これにより、企業などの生産者側からは、これまでの財やサービスの生産・提供の在り方が大きく変化し、生産の効率性が飛躍的に向上する可能性が指摘されており、かつその対象領域も広がりを見せることが期待されています。企業における競争力強化や生産性の向上のためのIT投資は引き続き堅調に推移している一方で、人材不足が顕在化しており、技術者の増強と育成が重要な社会的課題となっております。
その中で当社グループは、「課題解決型パートナー」としての対応を強化しております。システムインテグレーションでは、様々な業務のシステム構築を行ってきた経験をもとに、システム・ソフトウェア構築を支援しており、アウトソーシングでは、システム運用・監視・機器管理や情報処理業務に付帯するデータエントリー業務、オフライン業務全般をトータルでサポートしています。これら経営戦略・方策の下、新規顧客獲得、品質管理の徹底、人財育成などを実施し、収益基盤の安定・強化を進めるとともに、これまで培った知見を活かし、グループ全体のDXも推進してまいります。
当社グループは、持続的に成長する企業集団を目指しております。短期的に会社の規模や売上高の増大を求めるのではなく、商品とサービスのご提供を通じて社会・文化の向上への貢献に堅実に取り組みながら、そこで得られた利益が次の成長に繋がるような持続的成長企業となることが目指すべき目標であり、また課題であると考えております。企業が成長するための要素は様々ですが、当社の強みは創業以来培ってきた「信用」であり、またこれを支えているのは当社製品の品質への評価であると考えています。引き続き、これに満足することなく、品質の維持・向上に努めてまいります。
①サステナビリティ・ガバナンス経営の推進
当社グループは、持続的企業価値の向上を目指しており、この「持続的(=サステナブル)」は、当社の事業経営・ビジネスモデルが持続可能とすることを指すのは勿論ですが、同時に当社が存在し活動する基盤となる社会・環境・経済が持続可能であることは、その前提であると考えております。
当社グループはこれまでも、ESGの重要性を鑑み持続可能な社会の実現に貢献することが、企業の社会的責任であるとの認識の下、ESGのそれぞれの視点に立った事業活動を通じ、SDGsの各目標のうち持続的成長に向けた重要課題(マテリアリティ)を選定しその達成に取り組んでまいりました。引き続きこの姿勢は堅持しつつ、単に社会や環境に対し負荷を与えないような事業活動を目指すことに止まらず、広く持続可能な社会や環境に貢献するためにできることは何か、という課題に使命感を持って向き合い、自社の持続的企業価値の向上と一体的に取り組んでまいります。
・サステナビリティ推進委員会
当社は、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値向上の両立に向けて、グループ全体でサステナブル経営を一層推進し、企業の社会的責任である社会・環境問題をはじめとしたサステナビリティを巡る様々な課題への取り組みを加速させるため、「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。
同委員会は、代表取締役社長を委員長に社内横断的メンバーで構成され、当社サステナビリティに関する重要事項を審議し、課題に対する取り組みとその進捗状況を管理・評価しております。また、議長には社外取締役を置き、客観的視点から活発な議論を促しております。
②中期経営計画
2022年5月に策定した中期経営計画「Reborn 2024」では、「持続可能な成長に向けてサステナブル経営を推進する」の基本方針の下に、当社の3つの事業領域で「サステナブルな製品供給の推進」、「サプライチェーンの強化」、「重要市場への積極的な進出」を掲げ、各事業での施策を着実に遂行しています。技術やデザイン、使いやすさなど魅力ある製品や、環境に配慮した製品の開発・供給に力を入れ、家庭用ミシン、産業機器製品の両市場においてブランド力や企業価値の向上に寄与しています。しかしながら、部品調達難の状態はいまだ改善しきれておらず、外部環境の変化により一層柔軟に対応できるような強固な生産体制の確立を目指し、素早い市場ニーズへの対応と積極的な営業活動に努めます。「Reborn 2024」で掲げた目標を達成すべく、より一層の事業拡大への取り組みと事業横断型のプロジェクトの遂行により、社会的課題の解決と自らの持続的成長の実現を目指してまいります。
③家庭用機器事業
家庭用ミシンの市場としては、北米、欧州、大洋州を重要市場と位置付けて、特に高付加価値製品を当社の強みとし、売上拡大を図っております。その他の市場におきましても、市場ごとのニーズを的確につかみ、サービス・サポート体制の強化とブランドの浸透により普及に努めております。国内市場におきましても、多様なチャネルを通じてお客様のご要望に応え、トップシェアの確立を図ります。
コロナ禍においてミシン市場は裾野を広げたものの、旅行やサービス産業の回復とともにマスクづくり等に伴うミシン需要はコロナ前の落ち着きを取り戻しました。今後は手づくりの楽しさ、ミシンの魅力の訴求に力を入れて長期的な活動として取り組んでまいります。その反面、ウクライナ情勢の長期化やその他地政学リスクにより足元の経営環境は不透明感が高まっております。当社グループは、北米や欧州、大洋州などの重要地域をはじめ、中南米、アジア・中東など世界各国で販売しておりますが、今後の外的環境から受ける影響も踏まえ、未開拓市場や有望市場の開拓を進め、リスク分散を図ってまいります。
④産業機器事業
産業機器事業は、ロボット、エレクトロプレス(サーボプレス)及びダイカスト製品を主たる事業商品として、ミシン事業に次ぐ第二の事業分野と位置付けております。ロボットは、基板分割やねじ締めや塗布をはじめとする多様な用途に対応し、工場の様々な工程で活用されており、サーボプレスは、その動力がサーボモーターであることから、他のプレス機にはない高機能・高精度や環境優位性を実現し、これも様々な場面でご使用いただいております。
市場規模は、用途の広がりにつれて拡大が期待できますが、これを具現化するために、技術力、開発力の強化を行い、特に有望市場や未開拓市場でのサービス・販売拠点の拡充を図りつつ、新しい用途の可能性に繋がる提案型営業を進めてまいります。
コロナ禍を発端とした経済活動の混乱により、半導体をはじめ、部品調達が困難な状況が続いております。サプライチェーンの分散化・多様化を図り柔軟に対応しておりますが、一部で生産に影響が出ております。今後は一部構成部品の社内加工化を推進するなど、更なるリスク低減に努めてまいります。また、ロシア・ウクライナ情勢の影響で一段と高騰する原材料の価格上昇分につきましては、機能・品質の向上を図りながら、製品の付加価値を高め、適正価格の見直しを行うなどして対応してまいります。
眼前には様々な懸念が飛び交うものの、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展や、主力市場である自動車産業はEV化が進むなど過渡期を迎えており、中長期視点では市場の拡大が見込まれます。既存分野に捉われず、医療やインフラなどの新規開拓に向けて積極的にアプローチをかけながら、産業機器事業の早期回復を図ってまいります。
最大1250tのダイカストマシンを有すダイカスト事業におきましては、短納期の石膏鋳造による試作・小ロット生産から、精密機械加工が必要な小ロットから大ロットまでのアルミダイカスト並びにマグネシウムダイカスト製品を製造しており、主に精密機器、車載部品、産業用ロボット等で採用されております。高騰した原材料の価格上昇分を売値に転嫁する交渉を続け、採算向上を図ってまいります。
⑤IT関連事業
当社は、社内のコンピュータシステム導入による電算処理のノウハウを活かし外部に提供できるよう、1970年にグループ会社である㈱蛇の目電算センター(現㈱ジャノメクレディア)を設立いたしました。それから50年以上、目まぐるしく変化し続けるIT業界において自らも進化しながら時代に対応し、お客様に確かな技術とサポートをお届けしてまいりました。その結果、当社の主要事業セグメントとなる程の成長を遂げました。
現在のジャノメクレディアの強みは自社運用型サーバを基幹とするシステム構築・管理です。一方で企業ではクラウド型サーバの導入が進む中、DX化の急激な波が押し寄せるなど、IT企業に求められるスキルも変化及び多様化してきております。IT企業として更なる成長を目指すためには、時代に必要とされる技術を先読みし、これらの分野の経験を積む必要があります。現状を好機と捉え、まずは当社グループ内でDX化のためのシステム構築経験を蓄え、そのノウハウを強みとして外部へ向けて提供し、更なる収益増、及び事業安定化を図ります。
⑥研究開発・生産体制
当社は、国産初のミシンメーカーとして創業して以来、技術の改良を重ね、革新的機能の開発には常に先進的役割を果たしてまいりました。また、産業機器分野には、ミシンメーカーとして培った技術を応用・発展するなどして、高機能・高性能の商品開発を実現し、市場に送り出してまいりました。
「品質のジャノメ」として、世界のお客様に高い評価をいただいておりますが、今後はより高品質で耐久性に優れた商品を開発・生産し「品質のジャノメ」としての評価を確立し、信頼あるものづくりを行ってまいります。また、市場のニーズを的確に捉えた魅力ある商品をスピーディーにご提供してまいります。さらには、適地適産化や部品の社内加工化を念頭に、原価低減・生産性向上を推し進め、機動的な生産体制を構築するとともに、社会的要請が高まる環境に配慮した製品の開発や製造工程における環境負荷低減にも一層取り組んでまいります。
⑦働き方改革・ダイバーシティ&インクルージョン
当社では、働く全ての社員が社業の発展に向けて主体的・意欲的に取り組むことで、企業競争力や労働生産性を向上させ、それと同時に私生活も充実して過ごせるようにすることが目指すべき働き方であると考えております。当社は、業務での取り組み方や勤務態勢の見直し、時間外労働の縮小、年次有給休暇の積極的取得を一層進め、これらにより労働生産性を向上させ、ワーク・ライフ・バランスの充実を図ってまいります。
ダイバーシティ&インクルージョンでは、女性・外国人・中途採用者・障害者などの多様なバックグラウンドを持つ人財の積極的な登用を進めてまいります。そしてそれらの人財が働きがいを持って能力を発揮し、自らのアイデンティティが組織の成果達成に効果的に機能しているという実感を伴うよう、一体感を醸成してまいります。従来にない文化や価値観、考え方、新しい発想を尊重し、時に健全なコンフリクトも厭わずに取り入れていくことで、革新的なイノベーションの創出に繋げてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものでありま す。
当社グループの環境方針として、「「自然と人が調和した地球環境の保全」が人類共通の最重要課題の1つであることを認識し、企業活動の中で環境の保全に配慮し、社会の持続的発展に貢献する。」という理念の下、ESG経営の重要性を強く認識し、SDGsをはじめとした社会的課題の解決に向けて、中期経営計画「Reborn 2024」にも掲げる“サステナブル経営”を推進しております。
(1) 気候変動への取り組みとTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応
当社グループは社会の一員として、温室効果ガスの排出削減をはじめ、環境問題に積極的に取り組んでまいります。2022年4月に設置したサステナビリティ推進委員会では、重要課題の一つとしてこの課題を大きく取り上げており、同委員会が中心となって、当社グループの気候変動に係るリスクと機会を評価し、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示の充実に向けて取り組んでおります。
当社は、経営の意思決定において、サステナビリティの観点を取り入れ、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値向上の両立を目指しております。
気候変動をはじめとする環境問題に対しては、代表取締役社長を委員長に社内横断的メンバーで構成されたサステナビリティ推進委員会が当社グループの環境活動全般を統括いたします。
サステナビリティ推進委員会は、定期的に開催し、気候変動に係る重要事項の審議および課題・目標ならびに施策の決定とその実践の評価・推進等を担います。また、執行部門の目線だけでなく、客観的視点から当社サステナビリティに関する様々な重要テーマを審議していくため、議長には社外取締役を置きます。
さらに、課題対応所轄部署として、経営企画室、総務部、環境管理推進室が中心となり、各事業部門やグループ子会社における気候変動課題への対応を適宜フォローし、サステナビリティ推進委員会において課題に対する進捗状況を評価します。
サステナビリティ推進委員会における審議内容は年2回以上取締役会に報告し、取締役会は、同報告を受けグループ全体の環境活動を監督するとともに、気候変動に係る重要な方針等を決定し、経営計画をはじめとする事業戦略に組み込むなど、グループ全体で取り組みます。

当社は、全社レベルのリスク管理体制において、リスク管理委員会を設置し、各事業部門やグループ子会社からの報告またはヒアリングにより、年2回、グループ全体のリスク・機会の把握と適切な対応を審議し、取締役会に報告します。
気候変動に関連するリスク・機会は、サステナビリティ推進委員会においても共有され、重要度や具体的対応策について審議・決定し、その内容を取締役会に報告します。
取締役会は、リスク管理委員会およびサステナビリティ推進委員会より、気候変動に関連するリスク管理の状況等について報告を受け、監督します。

当社は、TCFD提言に基づき、2℃及び4℃の気温上昇時の世界を想定したシナリオ分析を実施し、気候変動が当社事業ならびにバリューチェーンにもたらすリスクと機会を特定し、財務影響等について検証いたしました。
シナリオ分析の結果、4℃シナリオでは、脱炭素が推進されず、異常気象の激甚化をはじめ自然災害が増加し、それに伴う設備への被害やサプライチェーンへの影響など、物理的なリスクへの対応が重要であることを確認いたしました。一方で、2℃シナリオにおいては、炭素税やプラスチック規制をはじめとした政策・法規制によるコストの増加など、生産・調達の面で影響が大きいことが分かりました。また、脱炭素社会が進むことで、環境配慮製品への置き換え需要の増加や消費行動の変化による低炭素素材、省電力化、部材の共用化など環境にやさしい製品のニーズの高まりなどが機会であることを確認いたしました。

当社グループは、グローバルに事業を展開しており、気候変動により様々な影響を受けることが予想されます。こうした影響を最小限に抑え事業を安定的に継続していくことはもとより、当社は社会を構成する一員として、環境問題の解決に向けて積極的に取り組むべき社会的使命があると考えております。
こうした考えのもと、気候変動への取り組みの一歩として、2021年度における当社事業活動等に伴うCO2排出量についてGHGプロトコルに基づき算定を行った結果、Scope1,2が16,621トン、Scope3が113,567トンとなりました。対象範囲は、Scope1,2が当社および連結子会社で、Scope3は当社となります。
今後は、算出した数値等も踏まえ、CO2排出量の具体的な削減目標やその達成に向けた施策などについて、サステナビリティ推進委員会を中心に協議・決定してまいります。
当社グループは、より一層環境に配慮した事業活動に取り組み、持続可能な社会の実現と会社の企業価値向上を図ってまいります。
(2)人財育成及び社内環境整備に関する方針
当社グループは従業員を会社の最も貴重な財産ととらえ、働き方改革の推進によるワーク・ライフ・バランスの充実ならびにウェルビーイングの向上に努めるとともに、様々な研修制度を採り入れ、個々人のスキルアップのための人財育成にも注力して取り組んでおります。
当社グループにおける人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下の通りであります。
人財育成方針
当社グループは、企業が企業たり得るのは、人によって営まれているからであり、人の活力によって支えられ成長するものであるとして、人を最も大切な基幹であると位置づけております。会計上、人は人件費・労務費とされコストと認識されがちですが、人は基幹であることから資本と位置付けるべきと考えます。よって、業況の好不調下においても、採用及び教育は当然に、継続的かつ確実に実施されなければなりません。その意味からも当社グループでは、「人財」と表記しています。
・採用
採用では、企業理念の理解と実践を通じて、永続的な企業価値向上のために、企業とともに成長できる人財を求めています。新卒定期採用を採用の基本とし、ここでの視点はポテンシャルであり、将来基幹要員としての成長の可能性を重点としております。高校卒業者から大学院課程修了者に亘り横断的に採用し、各学歴の修了教育課程に応じた修得教養・技能を生かした人財育成・人財登用を行い、より機能的・多面的な人財配置を目指しています。同様に中途採用についても重要視しており、それまでの就業経験による必要な技能・資格・経験等の発揮が期待でき、当社内に蓄積のない思考や発想が刺激となり、新たな可能性の広がりに繋がります。人財としての活躍には初期導入教育の多くを省略することが可能ですが、その能力の発揮をより早期に、より大きくするためには、組織との親和が重要となります。当社グループの業務は、個人の成績よりもチームとしての成果が重視されることが多く、多面的なコミュニケーションが求められており、企業風土に加え、この点がインクルージョン推進に寄与しています。
・育成
当社グループでは、価値ある商品とサービスの提供を通じて社会に貢献するためには、「人」が最も大切な基幹であるとの認識のもと、管理職を含めた全ての従業員の教育に継続して取り組んでおります。人財教育は重要な経営課題の一つであり、経営トップ以下全面的に教育研修に関わるなど、会社全体で人財育成に取り組むという姿勢を堅持し、これにより経営理念の実現及び企業業績の向上を目指します。
基本方針は次の通りです。①社員個々が持つ、「成長への意欲」「変化の必要性」に対し、会社はこれに報いる機会を提供し、かつ支援する。社員一人ひとりは、主体的・意欲的に自己成長・自己変革を目指す。②成長度合いが上がるにつれて、徐々に「教わる」教育から「学ぶ」教育、さらに「考える」教育へと段階を進める。社員には、自らを客観的に見つめ、多様な観点から振り返り、気づき、そして自律的成長を図るよう促す。③仕事を通じて体験(経験)するという学習が人の成長に大きな成長を齎すことから、会社は、社員が有益な体験を積む機会が得られるように努める。社員はこれを無為とすることなく、課題感を持ち、失敗に臆することなく取り組む。④教育課題に中には、緊急性・即効性を要するものもあるが、総じて人財教育は、促成栽培できるものではなく、またすべきでもない。人と人とがしっかりと対峙して、継続的に共に育ち(共育)続け、高め合うことが要諦である。
主たる教育領域としては、まずは①行動改革を促す長期的人財開発があり、これには、理念浸透及び行動憲章理解(会社全体の理念・指針の下で、自らの業務を行う目的・方向性についての意識を保持するための教育)、管理職教育、階層別教育、目的達成志向が含まれます。次に、②業務スキルや知識を習得する中期的訓練があり、これにはビジネスマナーや労務知識、法務知識、英会話等の継続的に必要な業務スキルや知識の習得が当たります。最後が、③緊急的課題解決を要する短期的教育があります。
一例として、階層別教育の一環として、入社3年目の従業員を対象に、これまでの仕事経験を振り返り、自律的キャリア開発の重要性を認識することで自己の強みや能力を明確にし、今後の方向性を決定することを目的とし、「入社3年目研修」を実施しております。その他、自己啓発を促進する取り組みとして、希望者にはオンライン英会話研修や通信教育講座、eラーニングなどを行っております。
当社の教育研修プログラムは当社ウェブサイト(https://www.janome.co.jp/recruit/careerpath/)をご参照ください。
社内環境整備方針
当社グループは、より良い労働環境の実現に向けて取り組んでおります。定期的な健康チェックやストレス管理を継続するなど、従業員の健康と安全を最優先課題とし、安全衛生委員会の活動を通し、安全対策や事故報告システムの整備を進めるなど、労働災害の予防と労働環境の改善に取り組みます。更に社内環境の向上と従業員の働きやすさを目指し、業務執行に適した職場環境・安全と健康に備えた作業環境の整備に、以下の取り組みを進めております。
・働き方改革の推進
当社グループでは、高齢者や障害を持つ人を含む方々が正社員・非正規社員などの雇用形態で、男女を問わず働いています。一人ひとりの社員がそれぞれの持ち場で、社業の発展に向けて意欲的に働き、生産性の向上に努め、また社外の私生活も充実して過ごせていることが目指すべき働き方であると考えております。ワーク・ライフ・バランスの実現に向けては、出産・育児や介護などのライフイベントに合わせ、就業しやすい制度を設けております。
当社は、長時間労働が常態化している訳ではありませんが、業務への取り組み方、業務プロセスの見直し、デジタルツールの導入を図ることで、時間外労働時間の縮小・年次有給休暇の消化率促進を一層進め、これにより労働生産性を向上させ、ワーク・ライフ・バランスの充実を図っていきたいと考えております。時間外労働防止の策として、毎週水曜日をノー残業デーとし、定時退社の帰宅を促すアナウンスを1日2回(始業時と終業時)実施しています。22時以降の労働禁止に加え、月間時間外労働時間を集計し、時間外労働の多い部署には警告することで長時間労働の防止に努めています。年次有給休暇の取得促進では、連続休暇の奨励やリフレッシュ休暇制度の導入、半日・1時間単位での有給休暇取得制度を設けるなど、従業員が安心してリフレッシュできる環境づくりに取り組んでいます。
・女性活躍の推進
当社グループでは、ジェンダーの多様性を尊重し、特に女性活躍の促進については、女性従業員の能力が十分発揮されることが企業の発展に寄与すると考えており、育児休業制度の充実や昇給・昇格査定時の男女の機会均等は当然のこととしております。2020年に「女性の役員・管理職登用に関する自主行動計画」を策定し、「2025年までに、本社の女性管理職を20%にする」ことを掲げています。育児に関する制度等では、当社は、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣が認定する「くるみんマーク」を2008年に取得しています。育児休業は、子供が満3歳に達する日までの間で取得でき、2回に分けての分割取得も可能としています。また、いわゆる産後パパ育休も制度化しており、この休業期間中14日間まで有給休暇扱いで取得できます。復職後も、子供が小学2年生の年度末まで短時間勤務が可能であり、また小学校就学前の子の看護休暇を1時間単位で最大5日間取得できます。
・人権尊重
当社グループでは、人権問題への取り組みは企業の果たすべき社会的責任であるという自覚に立ち、社内組織「人権啓発推進委員会」を設置・運営し、差別のない人権を尊ぶ明るい職場を作り上げるために、人権啓発研修の積極的な推進を図り、従業員一人ひとりの人権意識の向上に取り組んでおります。その一環として、外部講師を招いての人権啓発研修会の開催や、「人権は自分たちの身近にあること」を気軽に学べる機会として人権啓発DVD上映会を開催しております。また、毎年12月の人権週間に合わせて、従業員やその家族から人権啓発標語を募集し、社内入選作品は外部団体に応募するなど、人権意識を広く浸透させる取り組みを行っております。
さらに、東京人権啓発企業連絡会等の人権問題に取り組む企業連に加盟し、人権尊重の企業文化としての定着を目指し、企業の立場から社会啓発に繋がる活動に参画しています。
当社グループは、2020年に「女性の役員・管理職登用に関する自主行動計画」を策定し、「2025年までに、本社の女性管理職を20%にする」ことを目標として掲げております。
また、「社内向け女性活躍推進サイト」を立ち上げ、当社女性従業員の声として、管理職の立場や仕事と育児の両立について掲載するなど、女性従業員のキャリア形成を支援しております。
当社グループにおける、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。
[リスク管理体制]
リスクを把握し事前に対応すること、またリスクが顕在化した場合、その影響を最小限にとどめ業務の早期復旧を図ることを目的として、リスク管理委員会を設置しています。同委員会は、取締役を委員長に部長職以上で構成され、グループリスク管理体制の整備や教育、情報の収集などを行うとともに、当社及びグループ各社のリスク評価を行い情報を共有し、その管理・低減に努めております。また、コンプライアンス委員会をはじめとする各種委員会を設置し、グループ全体のリスクを総合的にマネジメントする体制を構築しております。
〈リスク管理体制図〉

[個別のリスク]
当社グループの経営成績、株価及び財務状況に影響を及ぼす可能性のある主なリスクとして以下のとおり認識し、その発生の回避を図るとともに、発生した場合の影響を最小限にとどめるよう対処してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(各事業におけるリスク)
①家庭用機器事業について
家庭用ミシンは、ネット通販の浸透から価格競争が進み、国内外で低価格化の傾向が見られます。また、コロナ禍における巣ごもりが、新たにミシンを始めるきっかけにもなっており、お手頃価格な初心者向けミシンの伸長にもつながりました。一方で、北米や欧州、大洋州においては、趣味を楽しむための道具として機能面で充実した高価格帯ミシンの需要も伸びております。
当社グループとしては、主力である中・高価格帯ミシンの販促に取り組み、当社ミシンの性能や品質の高さをアピールするとともに、お客様にソーイングの楽しみなどの付加価値を提供することで、潜在需要の掘り起こしと市場全体の活性化に繋がるものと考えており、安易な価格競争は当社の事業戦略とは相反するものであります。
しかしながら、想定以上に市場に低価格ミシンが浸透した場合、戦略に沿った展開が進まず、販売計画から大きく乖離する可能性があります。
海外においては、それぞれの国や地域により事業環境は異なり、ソーイングの文化が根付く北米や欧州では中・高価格帯を中心に需要が見込まれる一方で、ネット通販の台頭などにより普及モデルの増加も同時に進行しております。新興国市場では生活必需品として普及モデルの価格帯で成長が見込まれます。こうした市場環境や消費者のライフスタイルの変化への対応が遅れ、顧客ニーズに対応した商品やサービスの提供ができずに売上や利益が減少する可能性があります。
また、ロシア・ウクライナ情勢の長期化に伴い、ロシア向けの販売は停止しているため、売上が減少するだけでなく、工場の稼働率低下や生産調整などにも支障をきたす可能性があります。
国内においては、コロナ禍の巣ごもり需要を契機にミシン市場は裾野を広げたものの、コロナ前の落ち着きを取り戻しました。当社ではミシン文化の浸透・定着のため、展示会やミシン教室、SNSでの情報発信等を通じ当社製品を積極的にアピールしておりますが、再び市場が停滞傾向に転じ、売上や利益に影響が出る可能性があります。
コロナ禍に端を発した世界的物流の混乱や部品不足の影響は、ロシア・ウクライナ情勢により正常化への回復には時間がかかっております。こうしたサプライチェーンの混乱が想定以上に長期化した場合、生産や供給が滞り、売上や利益が減少する可能性があります。
②産業機器事業について
当社の産業機器事業は、ミシンで培った技術を応用した高性能な製品を開発・販売し、工場の自動化が進むとともに、当社事業の第2の柱として着実に成長を続けてまいりました。
しかしながら、米中貿易摩擦に端を発した設備投資抑制の動きが卓上ロボット・エレクトロプレス(サーボプレス)の販売苦戦に繋がっております。足元では改善も見られるものの、コロナ禍やロシア・ウクライナ情勢により、部品調達難や原材料の価格高騰が続いており、先行きは不透明です。このような状況が継続した場合、生産や供給に支障をきたし、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
他方で、製造業の高度化を目指す中国製造2025(中国)やIndustry4.0(ドイツ)、デジタル革新やイノベーションを最大限活用して新たな社会を実現するsociety5.0(日本)などにおいて、情報通信ネットワークの技術革新による工場のオートメーション化、コンピュータ化が急速に進んでおり、世界的な潮流になっております。また、「脱炭素社会」を目指す動きが世界で加速する中、自動車関連では100年に1度と呼ばれる大変革期を迎えております。足元では世界的な金融引き締め政策や長期化するロシア・ウクライナ情勢の影響はあるものの、長期的な視点に立てば、産業構造の変化に伴い産業機器市場は今後増々拡大していくものと見込まれます。このような産業構造の変化への対応が遅れた場合にはお客様のニーズに対応した製品・サービスを提供できず、販売機会を逸するなど、売上や利益に影響を与える可能性があります。
当社はこれまで世界の工場が集まる中国市場を主力市場と位置付け、主に自動車関連企業を中心に販売を伸ばしてきました。こうした重要市場への販売活動に一層注力しながらも、メキシコや東南アジアなど、有望市場の開拓を進めるとともに、新エネルギー、環境・エコ、医療関係など幅広い業種へ裾野を広げ、リスク分散を図ってまいります。
(各事業共通のリスク)
①為替変動がもたらす影響について
当社グループでは、家庭用機器事業及び産業機器事業における海外市場での積極的な営業展開により、連結売上高に占める海外売上高比率が70%前後で推移しております。そのため為替先物予約ならびに当社・子会社間のネッティング決済によって為替リスクを軽減しておりますが、海外売上高の大部分を占める取引を外貨建てで行っておりますので、為替変動により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②仕入れコストの上昇について
当社グループでは、日本、台湾、タイに生産拠点を構え、世界市場の需要動向に応じた効率的な生産を行っており、グローバルな視点からの部品の調達により、仕入れコストの安定ならびに低減を図っております。また、当社生産管理本部が国内、海外の生産拠点を統括管理し、グループ全体で、仕入れコストへの影響を最小限に抑える努力を続けておりますが、鉄、アルミニウム、銅、プラスチック(樹脂)など原材料費の上昇により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③カントリーリスクについて
当社グループでは、生産及び販売活動を行っている各国におきまして、政治体制の変化、法規制の変更、政治・経済の変動、地震・台風等の自然災害、戦争・テロ等が発生し、事業活動の継続が困難になるなどの場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④品質管理について
当社グループの製品に関しては長年に亘る製造ノウハウを有しております。また、PL(製造物責任)委員会を設置し、製品に関する安全性等について毎月審議するとともに、当社品質保証部を中心に当社グループ全体の品質保証活動の推進をしており、当社及び国内外の関係会社において生産するミシン、産業機器などに対する品質監査と品質状況の把握に努めております。万一、重大な品質問題が発生した場合、リコール費用の発生やブランドイメージの低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤法規制等について
当社グループは業務の適正化、財務情報の信頼性を確保するとともに、関連法規・定款等を遵守する経営を行うべく、内部統制の充実に向けた管理体制を確立しております。しかしながら、関連法規や規制を遵守できない事象が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥市場環境について
営業活動を展開するうえで競合他社との競争は避けられませんが、そのような状況に応えるべく開発・製造・販売が一体となって商品・サービスの品質向上に努めております。しかしながら、競争が激化するなど、市場環境が大きく変化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦個人情報の管理について
当社グループでは、「個人情報保護方針」及び「個人情報管理規定」等を策定し、個人情報管理委員会を設置するなど、個人情報保護法に基づく社内管理体制を確立しておりますが、万一、顧客情報をはじめ大量の個人情報が漏洩した場合は、当社グループの信用のみならず業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧金利変動について
当社グループの有利子負債には、金利変動の影響を受けるものがあり、金利上昇による金利負担の増加が当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑨固定資産の減損について
当社グループが所有する有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産等について減損処理が必要となった場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑩繰延税金資産について
当社グループは、繰延税金資産について適正な金額を計上しておりますが、将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合、あるいは制度面の変更等があった場合には繰延税金資産が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪退職給付債務について
当社グループは、退職給付債務について数理計算上で設定される割引率等の前提条件に基づき適正な金額を算定しておりますが、この前提条件が大きく変化した場合における退職給付債務の増加が、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑫借入金にかかる財務制限条項について
当社借入金の一部について、財務制限条項を付されているものがあり、抵触しますと金融機関から当該借入金の期限の利益喪失請求が行われる可能性があります。
⑬事業再編等について
当社グループは、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行うことがありますが、かかる事業再編が当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑭自然災害について
当社グループの工場などにおいて、万一大きな自然災害などが発生した場合には、工場設備の被災や原材料調達などサプライチェーンの障害に伴う生産活動の停止による機会損失などによって、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑮感染症等によるパンデミックについて
新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックによるロックダウンにより、取引先、サプライチェーンや物流の停滞・混乱により、売上の消失や製品供給の停滞など、当社グループの財政状態や経営に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの従業員への集団的感染の場合は、操業の一時的停止など事業活動への影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当期におきましては、コロナ禍からの日常生活を取り戻す動きが各国で進み経済活動の再開が本格化しました。しかしながら、世界的な物価高と金融引き締め政策や、長期化するウクライナ情勢、そのほか地政学リスクによる不安定な国際情勢が影響し、景気回復のペースが鈍化しました。国内においてはウィズコロナの下で個人消費は緩やかに持ち直しも見せましたが、物価高は家計に大きなダメージを与える結果となりました。
このような環境下、当社グループは、中期経営計画(Reborn 2024)の初年度として「持続可能な成長に向けてサステナブル経営を推進する」という基本方針に沿って事業運営に取り組んでまいりました。新製品の投入や成長市場へのアプローチに取り組みましたが、その一方で半導体など部品調達の長納期化や部品価格の高騰などがマイナス要因となり、依然として厳しい状況が続きました。
また、国内ミシン市場での訪問販売事業撤退に伴い、特別損失を計上いたしました。
この結果、当社グループの当期の売上高は38,571百万円(前期比4,344百万円減)、営業利益は2,120百万円(前期比1,539百万円減)、経常利益は2,400百万円(前期比1,424百万円減)、親会社株主に帰属する当期純損失は393百万円(前期は、2,549百万円の利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、セグメント情報に記載の通り、報告セグメントを変更しており、当期の比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
・家庭用機器事業
家庭用機器事業におきましては、海外向けフラッグシップモデル「Continental M17」が北米・大洋州などの市場を中心として高評価を受け、同モデルを含めた高付加価値製品を中心に販売を伸ばし、利益に寄与いたしました。アジアにおいてもミシン販売は堅調に推移いたしました。しかしながら、収束の見通しが立たないウクライナ情勢により、重点市場のひとつであるロシア向けの出荷停止の継続は生産・販売数に影響を及ぼしました。また、各国の金融引き締め政策等を背景とした世界経済の減速傾向は、欧州やその他の新興国を含む幅広い地域に深刻な影響を与え、これにより低・中価格帯機種の販売は停滞いたしました。
国内ミシン市場においても、各種展示会への出展・協賛や、SNSでの継続した情報発信、さらにはミシンの価値発展を伝えるパイロットショップ「Bobinage(ボビナージュ)」の多店舗化展開など、積極的な需要喚起を行ってまいりましたが、巣ごもり需要の反動減から販売は総じて苦戦が続きました。
この結果、海外・国内ミシンの販売台数は93万台(前期比67万台減)、家庭用機器事業全体の売上高は29,765百万円(前期比4,918百万円減)、営業利益は1,895百万円(前期比1,539百万円減)となりました。
・産業機器事業
産業機器事業におきましては、製造業を中心とした企業の設備投資が推し進められ、特にEV関連を中心としたエレクトロプレス(サーボプレス)への引き合いが堅調に伸び、前期に比べ53台増加し、1,070台となりました。卓上ロボットの引き合いも好調でしたが、部品不足等による生産体制の影響から、前期に比べ147台減少の1,964台の販売台数となりました。これは、早期の部品調達に注力したものの、半導体を含めた電子部品の品不足による長納期化や原材料の高騰による製造コストの上昇など、予定通りの出荷ができず、生産体制への影響が現れた結果となりました。
また、ダイカスト鋳造関連事業におきましては、家庭用機器事業向けの売上は減少したものの、生産現場におけるロボット設備の導入促進傾向により外部顧客からの受注が継続し、好調に推移いたしました。エネルギー価格高騰の影響はありましたが、生産性の向上や業務効率化に努めました。
この結果、産業機器事業全体の売上高は6,277百万円(前期比516百万円増)、営業損失は102百万円(前期は119百万円の営業損失)となりました。
・IT関連事業
ITソフトウェア開発や情報処理サービス、システム運用管理の受託等を行うIT関連事業では、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が増加する中、主力のソフト開発事業において、リモート環境下での業務の効率化や品質管理の徹底による生産性の維持向上を図り、顧客に満足いただけるサービス提供に努めました。
この結果、IT関連事業の売上高は2,320百万円(前期比68百万円増)、営業利益は338百万円(前期比7百万円増)となりました。
当社グループは、2023年3月期から2025年3月期を対象とした中期経営計画「Reborn 2024」において、「持続可能な成長に向けてサステナブル経営を推進する」を経営方針に沿って、営業利益率10.4%、自己資本純利益率(ROE)10.0%以上を目標(KPI)としております。
中期経営計画の初年度である2023年3月期は、家庭用機器事業において、北米や大洋州などの市場を中心としてフラッグシップモデル「Continental M17」を含めた高付加価値製品に主軸を置いた販売活動に一定の成果が出たものの、世界的な物価高と金融引き締め政策の影響を受けて、欧州地域や、その他新興国を含んだ地域では苦戦を強いられました。国内においては、コロナ禍での巣ごもり需要の反動を受け、販売は停滞いたしました。産業機器事業においては、製造業を中心とした企業の設備投資により、卓上ロボットやエレクトロプレス(サーボプレス)への引き合いが堅調に伸びた半面、電子部品の長納期化や原材料の高騰による製造コストの上昇など、生産への大きな影響により予定通りの出荷ができなかったこともあり、営業損失を計上する結果となりました。
この結果、2023年3月期の実績は営業利益率5.5%、自己資本純利益率(ROE)△1.2%となり、目標値から大きく乖離いたしました。当社グループといたしましては、今後も中期経営計画の達成に向けて積極的に取り組んでまいりますが、世界経済と情勢不安から起こる地政学リスクや同計画を策定した際には予見できなかった新たな事象も発生しており、これらを踏まえ目標数値などの見直しを行うことも必要であると考えております。
③ 財政状態
当社グループにおける財政状態の概況は次の通りであります。
当社グループの当連結会計年度末の総資産は、51,118百万円(前期比3,453百万円減)となりました。
資産の部では、流動資産が売掛金の減少、商品及び製品の減少等により、25,710百万円(前期比2,060百万円減)となりました。固定資産は土地の減少、有形及び無形固定資産の減価償却等により25,407百万円(前期比1,392百万円減)となりました。
負債の部では、短期借入金の減少、未払法人税等の減少等により、17,754百万円(前期比3,390百万円減)となりました。
純資産の部(非支配株主持分を含む)は、利益剰余金の減少、為替換算調整勘定の増加等により、33,364百万円(前期比63百万円減)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末から227百万円増加し、7,265百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益377百万円、減価償却費1,133百万円、事業再編損1,816百万円、棚卸資産の減少1,479百万円、法人税等の支払額2,006百万円等により3,361百万円の資金の増加となりました。(前期は219百万円の資金の増加)
投資活動によるキャッシュ・フローは、製造子会社の機械設備や新機種に係る金型等の有形固定資産取得による支出574百万円等により、523百万円の資金の減少となりました。(前期は150百万円の資金の増加)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額の減少1,728百万円、配当金の支払額483百万円等により2,464百万円の資金の減少となりました。(前期は3,368百万円の資金の減少)
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は製造価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
当社グループの生産は、主として見込み生産によっているため、記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産および負債または損益の状況に影響を与えるような会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
⑦ 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、安定した財務基盤を確保した上で、有利子負債を効果的に活用し、資本構成のバランスを図ることで、財務の健全性と資本効率の向上の両立を図ることを財務戦略としています。自己資本比率50%を目標とし、資本の健全性を維持するとともに、銀行借入を有効に利用することで資本コストの低減を進め、ROEの向上を目指します。
主な資金需要には、部品原材料の購入及び製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用と売掛債権の回収までを繋ぐ運転資金や、生産能力・機能の維持・拡大を目的とする設備投資があります。また、新製品や新技術開発のための研究開発費も挙げられます。事業活動により得られた資金は、これらの運転資金の圧縮や生産性向上をもたらす設備投資、更には主力事業である家庭用機器事業と産業機器事業を市場競争力強化に導く研究開発に再投入いたします。
適正な手元現預金の水準につきましては、概ね月商の1.5ヶ月相当としております。これは、可能な限り資金活用の効率化を図ったものですが、当社は主力金融機関によるシンジケーション方式のコミットメントライン(総額100億円)を設定しており、緊急の資金需要が発生した場合も機動的な資金調達が可能なことから、流動性の確保については対処されております。現在、新規の資金調達は、短期資金の銀行融資のみとしておりますが、今後、これとは別に、大型の事業案件などのまとまった資金需要が発生した場合には、株式発行による調達や社債発行などの直接金融による市場からの長期資金調達も含め、資本構成や資本コストへの影響を踏まえて検討してまいります。
株主還元につきましては、2017年3月期決算期の再開以降実施しております配当を、安定的に継続していく方針です。中長期的な目標としては、自社株買いなども含め、総合的に検討しつつ、総還元性向30%を目安としております。なお、本質的な株主還元は、総資本を効率的かつ有効に活用することで事業の成長を図り、企業価値の向上、時価総額の増大を目指すことであると考えております。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動については、顧客本位の価値ある商品とサービスを提供できるように、当社研究開発本部が中心となって、時代を先取りした家庭用ミシンと、ものづくりに必要とされる高機能を備えた産業用機器の開発で世界をリードしています。
電子部品を用いたマイコン制御技術によるミシン・産業用機器の応用開発、各種自動制御機構、金属素材の特殊鋳造加工技術・転写型技術など、あらゆるハイテク分野でその技術を蓄積し、次代を担う新技術・新工法の研究開発に積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発活動をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(1) 家庭用機器事業
家庭用機器事業では、刺しゅう機能付きコンピュータミシンを始めとする家庭用ミシン、小型ロックミシン及びその関連商品(刺しゅう専用ソフト他)、スマホ・タブレットから操作する刺しゅう専用ミシンの入門機種などの研究開発を行っております。
また、海外生産子会社においても新たな商品開発拠点としての機能をもたせ、開発設計業務のスピードアップを図っています。
当連結会計年度の研究開発費の金額は、
(2) 産業機器事業
産業機器事業では、ミシンの生産技術を応用した業界初のサーボプレス(電動モータプレス機)、同じくミシンの研究開発過程でその技術を応用した卓上ロボット、そしてインライン型のサーボスカラーロボットや直交ロボットなどの研究開発を行っております。
その開発手法はサーボプレス、ロボット関連商品それぞれで要素技術をプラットフォーム化した開発を行っており、サーボプレス、ロボットともにそのシリーズ化において、商品開発のスピードアップを図っています。
当連結会計年度の研究開発費の金額は、
以上、その他事業の研究開発費