第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループでは、「世のため、人のため」「お得意さまに学ぶ」という創業のこころを受け継ぎ、事業領域を「健康創造」と定め、医療と健康に関わる分野で、事業を通して世の中のお役に立つことを会社経営の基本方針としております。

当社グループのお得意さまは、医療機関、保険薬局、医薬品メーカーさまだけでなく、医療・介護に従事される方々、患者さま、さらには、地域住民、地域社会にまで広がっており、これまで築き上げてきたお得意さまとの信頼関係を「伝統資産」と位置づけ、「社会課題の解決」と「社会コストの低減」に貢献する新しい価値を創造し続けることが当社グループの存在意義(パーパス)となります。

当社グループは、今を「第3の創業期」と位置づけ、各事業で培ってきた機能や協業企業のサービスを組み合わせ、新たな価値を提供する「機能総体」の発想により、患者さまの「健康創造」に貢献する「健康創造事業体」を実現し、企業価値向上と持続的な成長を目指してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、2024年3月期から2026年3月期までの中期経営計画において、下記の定量目標を掲げております。

 

<主要財務指標>

項 目

期 間

目 標

ROE

2026年3月期

資本コスト以上の水準

営業利益率

2026年3月期

連結:1.5%以上

*卸売セグメント:1.0%以上

投資計画

3カ年累計

1,000億円以上

株主還元

各年度

      安定的な配当の継続

      総還元性向80%以上

政策保有株式の縮減

2026年3月期末

連結純資産額の10%以下

 

 

<サステナビリティへの取組み>

項 目

目 標

E

CO2排出量

(Scope1+2)

2030年度    2020年度比40%削減

(2020年度実績:87,561t-CO2)

S

女性管理職比率

2030年度    20%以上

(2021年度実績:9.8%)

男性育児休業取得率

2025年度までに 100%

(2021年度実績:18.4%)

G

コンプライアンス研修受講率

毎年100%必須

(2022年度実績:100%)

 

 

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループを取り巻く医療および医薬品産業の事業環境は、医療費抑制のための様々な施策が推進され、加えて規制緩和の促進、異業種の参入、デジタル化の進展など想定を超えるスピードで大きく変化しているものと認識しております。

当社グループは、2020年度からの中期成長戦略における最終年度である2022年度を、次の10年、100周年に向けた「Chapter ZERO」と位置付け、患者さまの健康創造に貢献する「健康創造事業体の実現」を目指しております。「Chapter ZERO」においては、「現事業の構造改革」と「新領域へのチャレンジ」に両利きで取り組み、新領域においては、グループや協業企業が持つ機能を組み合わせ、新しい事業を創造する「機能総体」という発想で、様々な取り組みを進めてまいりました。

2023年度から新たにスタートする中期経営計画の策定においては、スズケングループが「One Team」となって「Chapter ONE」のページを進め、健康創造事業体の実現により、変化するヘルスケアエコシステム※1に新たな「解」と「希望」を送り続ける存在として新たな価値を創出し続け、さらなる企業価値の向上と社会課題の解決に貢献してまいります。

 

※1:病院を中核プラットフォームとし、専門医療、医薬、情報、サービスなどの各種周辺事業を有機的につなぎ

   合わせることで、医療の質と効率性を高め、社会に貢献するための次世代型の医療インフラ

 

 

<2024年3月期~2026年3月期 中期経営計画スローガン>

 

 

 For your next heartbeat

~未来に向けた鼓動を創ろう~

 

<スズケングループが生み出す3つの“鼓動”>

・Beat1:地域住民の健康を守る

    外部企業との連携を拡大し、地域医療・自治体に対するサービスパッケージを確立する

・Beat2:需給調整機能で社会の無駄を削減

    効率的かつ安定的な流通機能を構築することで、医薬品ロスを低減し、安定供給を支える

・Beat3:未来価値の創生できる人材を育成

    自ら社会に新しいインパクトを提供することができる、創造的なリーダーシップ人材を育成する

 

<中期経営計画 骨子>

本中計期間では、「既存事業の変革」と「新たな成長事業の準備」を主なテーマと位置づけております。

「既存事業の変革」においては、サステナブルな社会インフラ基盤の確立に向けてヘルスケア流通改革を実践し、生産性を上げることで一層の利益体質へと転換してまいります。

「新たな成長事業の準備」においては、Chapter ZEROでの取組みと上記各Beatを連動させ、日本の新たなヘルスケアエコシステムの創生に向けて、オープンイノベーションによる発想で協業企業とともに新たな価値創造を図ってまいります。

 

1.サステナブルな社会インフラ基盤の確立

  ① ヘルスケア流通改革

  ② アジア(中国・韓国)事業の再構築

2.日本の新たなヘルスケアエコシステムの創生

  ③ スマートロジスティクス

  ④ デジタルヘルスケア

  ⑤ 地域医療介護支援

  ⑥ ヘルスケア製品開発

 

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

独占禁止法違反事件への対応

当社の連結子会社である㈱翔薬は、独立行政法人国立病院機構(NHO)の入札に関する独占禁止法違反について、2023年3月に公正取引委員会より、排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。

当社は、本件を厳粛に受け止め、再発防止に向けたコンプライアンス遵守徹底の取り組みについて、全グループをあげて取り組み、二度とこのような事態を起こさないことを通じ、信頼の回復に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営環境

さまざまな社会課題の顕在化やステークホルダーの価値観の多様化により、事業を通じて社会課題の解決に貢献する新たな価値を創造し、持続的な成長を目指すサステナビリティ経営が一層求められており、当社グループにおいても、医薬品流通という社会インフラとしての機能を維持しつつ、健康創造領域における事業や機能、サービスの提供を通して地域社会に貢献し続けるためには、サステナビリティ経営に取り組んでいく必要があると考えております。

 

(2)サステナビリティの基本的な考え方

当社グループは、「すべての人々の笑顔あふれる豊かな生活に貢献し続ける」という経営理念の下、「健康創造」という事業領域において社会インフラとしての使命を果たすとともに、事業を通じて社会課題の解決に貢献する新たな価値を提供することで、グループの企業価値も向上すると考えております。

価値創造にはバリューチェーンにおけるさまざまなステークホルダーとの協働が不可欠であり、ステークホルダーとの信頼関係を育みながら、社会課題を解決する大きな価値を生み出し、持続的な成長を目指してまいります。

 

(3)サステナビリティマネジメント

① ガバナンス

当社グループでは、グループ一体でのサステナビリティ経営の推進を図るため、2022年4月に社長直轄機構として「サステナビリティ委員会」を設置し、委員会を中心にグループ各社と連携した推進体制を構築しております。

サステナビリティ委員会は原則年1回以上の開催を予定しており、多様な事業を展開する当社グループが対応すべき社会課題やグループにおけるサステナビリティ活動および重要課題に対応した数値目標について検討し、進捗のモニタリングを図っております。なお、委員会の協議内容は取締役会に報告するとともに、当社グループにおけるサステナビリティ課題について意見交換を行うなど、グループ全体のサステナビリティ活動に生かしております。

 

サステナビリティ推進体制


 

 

② 戦略

当社グループは、2024年3月期から2026年3月期までの3年間の中期経営計画「For your next heartbeat ~未来に向けた鼓動を創ろう~」において、「健康創造事業体」の実現により、変化するヘルスケアエコシステムに新たな「解」と「希望」を送り続ける存在として新たな価値を創出し続け、さらなる企業価値の向上と社会課題の解決に貢献する姿を目指しております。このような姿を目指す当社グループにとって、サステナビリティ活動は事業そのものであると考えております。

「健康創造事業体」の実現を目指す中期経営計画における経営戦略に基づき、患者さまのヘルスケアライフサイクルのすべてに貢献する事業・サービスを通じた当社グループのサステナビリティ活動が、事業機会の拡大とリスクの低減につながり、持続的な成長と患者さまをはじめ、地域社会や従業員等のすべてのステークホルダーの皆さまに還元されることが当社グループの価値創造のプロセスであると考えております。

 

ESG重要課題における考え方・主な取り組みとSDGs


 

 

③ リスク管理

当社は、ESGを新たな価値創造を支える土台であると考え、サステナビリティ推進体制の下、当社グループのESGの取り組みを強化していくため、バリューチェーン全体を見渡し、事業に関わる情勢の変化や社会動向を踏まえ、「事業機会の拡大」と「リスクの低減」の観点からESG重要課題(マテリアリティ)を特定しております。また、特定したESG重要課題に関する取り組みは、SASBやGRIなどの国際基準、社会的責任投資のクライテリア、ステークホルダーの意見なども参考にし、定期的に見直すこととしております。

 

ESG重要課題(マテリアリティ)の特定プロセス


 

④ 指標及び目標

当社は、上記の取り組みを踏まえ、ESG重要課題(マテリアリティ)における指標及び目標を設定しています。指標及び目標を設定することにより、的確な進捗管理を行い、グループ一体でのサステナビリティ活動の展開・浸透につなげるとともに、事業の推進力に変えていくことを目指しております。

 

サステナビリティ指標及び目標

項目

目標

E

CO2排出量(Scope1+2)

2030年度 40%削減 ※2020年度比

S

女性管理職比率

2030年度  20%以上

男性育児休業取得率

2025年度までに 100%

G

コンプライアンス研修受講率

毎年100%必須

 

 

(4)環境保全への対応

当社グループは、21世紀の最も重要な課題の一つは地球環境保全であると認識し、「地球の健康とすべての人々の健康で笑顔あふれる豊かな生活に貢献するベストパートナー」を目指しております。

事業活動によるCO2の排出は、営業車両におけるガソリン使用と全国の営業拠点における電力使用が大半を占めており、事業活動と環境への負荷は相関関係にあります。そのため、環境に関する法律・規則などを遵守することはもちろん、事業活動を通じ、地域社会と協調しながら環境負荷の低減にも取り組んでおります。

また、日本国内では、医薬品の廃棄ロスや薬の飲み残し(残薬)が大きな課題となっており、当社グループでは、こうした社会的コストを最小限に抑えることを重要な経営テーマと位置付けております。

 

① ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティマネジメントのガバナンスに組み込まれており、「地球の健康とすべての人々の健康で笑顔あふれる豊かな生活に貢献するベストパートナー」を目指すという方針の下、持続可能な社会の実現に向け、事業活動における気候変動などによるリスク管理を行います。

 

 

② 戦略

当社グループは、事業活動に与える影響について、政府間パネル(IPCC)や国際エネルギー機関(IEA)が公表する複数のシナリオ※を元に、想定される気候変動リスク・機会について、財務的影響を定性・定量的に評価を行い、分析を行っております。

なお、パリ協定の長期目標である産業革命前からの気温上昇を「2℃未満」及びCO2排出量削減への取組みが不十分な「4℃」の2つのシナリオを想定しております。

※IPCC 第6次評価報告書(SSP5-8.5)、IEA WEO2022(STEPS、APS)などを参照

 

a 想定するシナリオ

2℃未満

・気候変動対応に対する事業運営コストの増加

・エネルギーコストの高騰

・環境意識の高まりによる新たな事業機会の発生

・環境負荷への対応企業への市場からの評価

4℃

・自然災害の多発、激甚化に伴う事業機会の喪失

・企業活動、消費活動に対する締め付けの強化

・エネルギーコストの高騰

・社員への健康リスクの発生及び対応コストの増加

・環境負荷への対応ができない企業への市場からの淘汰

 

 

b リスク・機会の概要、財務への影響

分類

概要

財務への影響

2℃
未満

4℃







法規制

炭素税や新たな税制導入によるコスト増大

技術・市場

再生可能エネルギーへの転換に伴うコスト増大

低炭素技術製品への転換に伴うコスト増大

地政学リスクによる燃料価格の高騰によるコスト増大

評判

気候変動対策不足によるステークホルダーからの信用失墜






急性

自然災害の多発、激甚化による対応コスト増大

慢性

感染症、熱中症の増加による社員の健康リスク増加及び事業機会の喪失

平均気温の上昇、気象パターンの変化による対応コスト増大


資源効率化

流通プロセス改革によるCO2排出量の削減

製品・
サービス

市場の環境意識の高まりによる新たなサービスの提供機会発生

感染症、熱中症の増加による市場からのワクチン・治療薬等のニーズ増大

強靭性
(レジリエンス)

気候変動に貢献することによるステークホルダーからの評価獲得

 

 

③ リスク管理

当社グループへの気候変動による影響については、サステナビリティ推進体制に基づき、サステナビリティ委員会にて協議を行うとともに、案件に応じて取締役会に検討内容の報告を行います。

また、「安心・安全かつ安定的な医薬品流通」という社会インフラとしての機能の維持はリスク管理における重要課題と位置付け、トータル・トレーサビリティやグローバル基準による品質向上に加え、自然災害などの発生時には、メーカー物流と卸物流の連携による東名阪を基盤とした全国BCPネットワークを構築するなど、有事の際も流通を途絶えさせない対策を推進しております。

 

 

④ 指標及び目標

当社グループは、2050年のカーボンニュートラル宣言に賛同し、CO2排出量削減目標についてグループ全体※で Scope1+Scope2 を2030年度40%削減(2020年度比)という目標を掲げております。サプライチェーン全体を見渡し、一層の効率化を図ることで、社会全体のCO2排出量の削減につなげていきたいと考えております。

 

2020年度 Scope1+Scope2  87,561(t-CO2)

2030年度 40%削減(2020年度比)

 

※㈱スズケン、㈱サンキ、㈱アスティス、㈱翔薬、㈱スズケン沖縄薬品、ナカノ薬品㈱、㈱スズケン岩手、㈱エス・ディ・ロジ、㈱三和化学研究所、㈱ユニスマイル、中央運輸㈱、サンキ・ウエルビィ㈱、㈱エスケアメイト、ケンツメディコ㈱、㈱エスマイル

 

(5)人的資本・多様性

当社グループにおける「人」は最大の経営資源であり、当社グループを取り巻く環境が想定を超えるスピードで大きく変化する中、当社グループが目指す、患者さまのヘルスケアライフサイクルすべてに貢献する「健康創造事業体」の実現に向けて、変化に対応する多様な発想を持った人材の育成が必要であると考えております。グループだけでなく協業企業とともに多様な人材が集い、「One Team」となって、事業を通じた社会への貢献に取り組み、一人ひとりの成長と、その能力を最大限経営に生かす人的資本経営を進めております。

 

① 戦略

人材戦略は中期経営計画「For your next heartbeat ~未来に向けた鼓動を創ろう~」の骨子に基づき、「リスキリング」「ダイバーシティ&インクルージョン」「ウェルビーイング」「エンゲージメント」という5つのアプローチにより、人材の活性化とポートフォリオの充実を推進しております。

また、中期経営計画においては、DXを戦略の柱と位置付け、デジタイゼーションとデジタライゼーションの両面において、実力を発揮する「スズケングループDX人材」の育成を人材戦略の中核としております。

 

a リスキリングの推進

(ア)求める人材像

社員に求める3つのコンピテンスを定めて、人材育成における基本的な考え方と位置付け、育成施策の立案・推進を図っております。

・Connect ~つなぐ~

お得意さまと「価値」を、デジタルとリアルでつなぎ、なくてはならない存在となる

・Agile ~小さく早く動く~

他より先に考え、勇気を持って早く動く

・Collaborate ~ともに考え・創る~

グループ内外のつながりを構築し、一緒になって考え、新たな価値を創造する

 

(イ)人材育成

・DX人材の育成

Eラーニングや資格取得等を組み合わせた「ランク別カリキュラムパッケージ」により、一人ひとりの着実な学びを支援するとともに、認定制度を構築し、グループや協業する企業への人員配置を行います。

 

・次世代リーダーの育成

当社グループにおける各事業の将来を担う人材に加え、グループや提携企業を含む外部企業との協業を推進し、「グループ機能総体」の発想で、新たな事業を創発、または育成できる次世代リーダーの育成に向けて、集合ミーティングやグループ内の選抜塾、グループ内外のローテーションなどの「リーダー育成プログラム」を構築してまいります。

 

 

b ダイバーシティ&インクルージョン

(ア)女性活躍の推進

当社グループでは、女性社員を積極的に採用し、新規プロジェクトへの登用を進めるなど、能力を最大限に発揮できる環境整備に努めており、当社及びグループ各社合わせて取締役に3名、執行役員に4名の女性が就任しております。

 

女性管理職の状況(2022年度)

男性管理職数

1,801人

女性管理職数

203人

女性管理職比率

10.1%

 

 

また、女性活躍推進法に基づく女性社員の活躍推進により、当社を含めたグループ会社3社が、女性の活躍推進状況が優良な事業主として、厚生労働省から「えるぼし」の認定を受けています。当社と㈱翔薬は、3段階のうち、2段階目の認定を受け、㈱エス・ディ・ロジは3段階目の認定を取得しております。

 

(イ)障害者雇用の促進

当社では2013年12月に特例子会社の㈱スズケンジョイナスを設立し、障害のある求職者の積極的な採用と一人ひとりの障害の特性を見極め、職務開発に取り組んでいます。2022年6月1日現在の障害者雇用率は2.6%であり、法定雇用率の2.3%を上回っております。

 

(ウ)シニア世代の活躍推進

定年前後の世代が70歳まで働ける環境を作り、経験、人脈を持っている方にも出来る限り長く活躍できる場を提供してまいります。

 

(エ)次世代育成支援

当社グループは、ワーク・ライフ・バランスの重要性が高まる中、ライフイベントを経ながらも働き続けることができる仕組みの整備と浸透を図っております。次世代育成支援対策推進法に基づいて育児支援に関する制度の充実を図り、当社を含めたグループ会社7社が子育てサポート企業として厚生労働省から「くるみん」の認定を受けております。今後は「男女を問わず育児ができる社会」を目指した改正育児休業法の趣旨に沿って、男性社員についても育児休業取得を促進してまいります。

 

男性育児休業取得の状況(2022年度)

配偶者出産数

171人

男性育児休業取得者数

54人

取得率

31.6%

 

 

(オ)ビヨンド協議会の設置

当社グループで働くすべての社員の実力を余すことなく引き出すために、「ビヨンド協議会」を設置します。ビヨンド協議会では、会社の枠を越えて活躍するための制度・ルール作りや均等な教育機会に関する協議、人材評価の基準作り等のテーマを協議します。様々な事業で活躍できるリーダー人材を見出し、育て、場を提供する協議をグループ横断で行います。

 

 

c ウェルビーイング

(ア)健康経営宣言

私たち一人ひとりが、“いきいきと明るく健やかでいること”を目指し、「からだ」と「こころ」の健康を維持・増進していくことが、患者さま、お得意さま、そして株主さまの「笑顔」につながっていくという「健康経営宣言」を行い、従業員と家族のみなさまの健康維持・増進に向けた取り組みを推進しております。

 

(イ)健康経営優良法人の認定

㈱スズケン、㈱サンキ、㈱翔薬、㈱エス・ディ・ロジ、ならびにスズケン健康保険組合は、優良な「健康経営」を実践している法人を顕彰する「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」と「健康経営優良法人 2023(中小規模法人部門)」にそれぞれ認定を受けております。当社グループでは、すべての人々の健康で豊かな生活に貢献し続けることを使命としており、この使命を果たすためには、従業員と家族の心身の健康を維持・増進していくことが重要と考えており、グループ各社の認定取得に取り組んでまいります。

 

(ウ)健康推進体制

健康管理の専門組織として、保健師が常駐する「健康相談室」を設置しています。健康相談室は、保健師が主体となって、定期健康診断の結果、再検査が必要な社員を個別にフォローして確実な再受診を促進するとともに、関連部署や産業医、健康保険組合と連携しながら、心身の健康管理・増進に関する取り組みや相談対応を行っております。

 

d エンゲージメント

(ア)グループコミュニケーションの強化

当社グループでは、グループ合同による研修やミーティングを実施し、グループ間や経営層とのコミュニケーションの場を増やしております。

 

(イ)グループ提案制度「チエノワ活動」の推進

当社グループ全社員の知恵を集結し、お得意さまのニーズにお応えする新しいグループ文化を醸成する取り組みとして、2022年4月からグループ提案制度「チエノワ」をスタートしました。業務改善や新規事業のアイデア募集をはじめ、社員からの提案をきっかけとしたプロジェクトの組成や、新たなアイデアの提案を募るイベントの実施などを計画しております。また、事業計画立案に向けた研修や勉強会も実施する予定です。「チエノワ」の推進により、「全員経営」の意識醸成と、新しい領域へ果敢にチャレンジする人材の育成・発掘、社内コミュニケーションの活性化を目指します。

 

② 指標及び目標

人材育成

2025年度までの目標

次世代リーダーの創出

100名以上

情報セキュリティマネジメント資格

1,000名以上

DX検定 600点以上

800名以上

 

 

ダイバーシティ&インクルージョン

女性管理職比率

2030年度  20%以上

男性育児休業取得率

2025年度までに 100%

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事業リスクを記載しております。

当社グループは、リスク発生の可能性を認識し、発生の回避に努めるとともに発生した場合は迅速かつ適切な対応に努める方針であります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、当社グループの事業等に関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1)医薬品卸売業界のリスク

 ① 法的規制について

<リスク解説>

医薬品卸売事業及び保険薬局事業では、全国に営業拠点・保険薬局を設けて、事業を展開しております。

営業拠点・保険薬局の開設及び医薬品等の販売や調剤に際しては、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)及び関連法令により規制を受けており、本店・支店・保険薬局店舗が所轄する都道府県知事より必要な許可、登録、指定及び免許を受けた後、事業活動を行っております。これらの許可等の状況により、医薬品卸売事業及び保険薬局事業の業績に影響を与えるリスクがあります。

<リスク対応>

医薬品卸売事業及び保険薬局事業では、各社の本社薬事担当部署が中心となり、各営業拠点・保険薬局の新規出店の際には、必要な各都道府県の許可等の点検・確認を実施しております。また、出店後は従業員に対し継続的な教育指導等を行い、許可業者として法令を遵守した活動を行っております。

 

 ② 医療保険制度改革について

<リスク解説>

医薬品卸売事業における主要取扱商品である医療用医薬品は、薬価基準に収載されております。

薬価基準は、「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法」として厚生労働大臣が告示するもので、保険診療で使用できる医薬品の範囲と医療機関が使用した医薬品の請求価格を定めたものであります。薬価基準は医薬品の実勢納入価格を薬価に反映させることを目的に毎年改定され、大半の品目の薬価が引き下げられております。このため、医薬品卸売事業の業績は、薬価改定後の販売価格低下等の影響を受けることがあります。

国民医療費は高齢化の進展等により増加傾向にあります。政府は全世代型の持続可能な社会保障制度の構築に向け、医療保険制度改革等に取り組んでおり、その内容によっては医薬品卸売事業の業績に影響を与えるリスクがあります。

<リスク対応>

頻回改定の影響を受け、メーカーの経営は厳しくなり、アローアンスの縮小が予想されていることから、当社としては卸機能の適正評価を依頼し、固定的なリベートへの移行を依頼しております。また、高利益品目の販売に集中し、収益性の改善にも努めております。

 

 

 ③ 特有の商習慣について

 a 価格未決定取引について

<リスク解説>

医薬品卸売事業では、医薬品を価格未決定のまま医療機関等に納入し、その後医薬品卸売業者と医療機関等の間で価格交渉を始めるという特異な取引形態があります。これは、医薬品が生命関連商品であるがゆえ、納入停滞が許されないという事情から生まれた習慣であります。

医薬品卸売事業においては、合理的な見積りによる決定予測価格で売上計上しております。

決定した価格が当初予測していた価格に比べ低下する場合、医薬品卸売事業の業績に影響を与えるリスクがあります。

<リスク対応>

取引価格の決まっていないお得意さまとの価格交渉については、毎月上長がお得意さまとの交渉状況をシステムを通して確認・指導を行う等の対応を実施しております。

また、取引価格の決定に際しては、決定価格をシミュレーションするシステムを利用することにより、適正な売上、利益確保の状況を上長が確認し、価格水準の適正化を図るとともに、価格決裁プロセスについても明確にしております。

 

 b 割戻金及び販売報奨金について

<リスク解説>

当業界では、医薬品メーカーから医薬品卸売業者に割戻金と販売報奨金が支払われます。

割戻金は仕入金額等に対して設定される割戻率によって支払われ、販売報奨金はメーカーと卸間で取り決められた販売数量、納入軒数等の達成によって支払われます。

割戻金及び販売報奨金は、仕切価格の引き下げ効果があり、売上総利益に影響を与えるため、これらの獲得に努めておりますが、メーカーの営業戦略等による割戻金及び販売報奨金の圧縮の進展により、医薬品卸売事業の業績に影響を与えるリスクがあります。

<リスク対応>

厚生労働省により策定された「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」を踏まえ、医薬品メーカーと医薬品等の安全かつ安定供給を継続するための流通経費や卸機能の適切な評価に基づいた価格体系の構築に向けて取り組んでおります。

また、当社グループが展開している各事業の経営資源とこれまで提携してきた協業企業とともに、新たな流通チャネル構築等による新しいソリューション開発を加速させることにより、地域医療へ貢献し、医薬品メーカーの課題解決を図るとともに、収益モデルの確立に向けて取り組んでおります。

 

(2)スズケングループのリスク

 ① 固定資産の減損について

<リスク解説>

当社グループは、事業用の様々な固定資産を保有しており、これらの資産については、今後の収益性の低下、市場価額の著しい下落により、将来キャッシュ・フローが生み出せない場合は、減損損失の計上が必要になり、各事業の業績に影響を与えるリスクがあります。

<リスク対応>

設備投資にあたっては、投資によって得られるリターン、発生するコストなど投資回収の採算性を評価し投資の意思決定を行っております。

また、設備投資後は、業績進捗について毎期モニタリングを実施するとともに、業績評価を行い、採算性の悪化が見込まれるため今後のキャッシュ・フローの獲得が期待できない場合には、速やかに業績向上に向けた戦略の立案を実施し、その実行に取り組んでおります。

なお、将来の投資効果が見出せないと判断した場合は、撤退も検討します。

 

 

 ② 債権の貸倒について

<リスク解説>

お得意さまに対する債権については、お得意さまの状況に応じて一般債権は貸倒実績率により、貸倒懸念債権は個別に回収可能性を見積り貸倒引当金を計上しております。しかし、今後の景気動向、新型コロナウイルス感染症の影響によるお得意さまの経営状況の変動によっては、実際の貸倒額が見積りを上回った場合、各事業の業績に影響を与えるリスクがあります。

<リスク対応>

各営業拠点に本社組織の管理部門を配置し、新規取引前後におけるお得意さまに関する情報の収集等の与信管理業務、お得意さまからの入金管理等の債権管理業務を行うことにより、営業部門に対するけん制機能を果たしております。

また、本社管理部門は、債権リスク情報等の情報収集を行い、注意喚起を促すアラート機能、信用不安発生時における各営業拠点の管理部門のバックアップ機能等を担っており、グループ会社管理部門も含めた各営業拠点の管理部門と連携した様々な取り組みにより、債権リスクの低減に努めております。

 

 ③ 新薬の開発について

<リスク解説>

新薬候補品の研究開発には多額の費用と長い年月が必要であり、その過程で当初期待した有効性が証明できなかったり、予期せぬ副作用が発現した等の理由により研究開発を断念・遅延する可能性があります。

また、臨床試験で良好な結果が得られても、新薬が実際に上市となるまでには様々な不確実性が存在します。

その様な理由により当初の期待を達成できなかった場合には、医薬品製造事業の業績に影響を与えるリスクがあります。

<リスク対応>

自社創薬のみでなく、開発パイプラインの導出入あるいは他社協業などのアライアンス活動を通じてポートフォリオ管理を図っております。

 

 ④ 品質問題について

<リスク解説>

医療用医薬品、体外診断用医薬品及び医療機器は医薬品医療機器等法その他の国内外の法規制の下で製造しております。しかし、使用する原材料、製造プロセス等で製品の品質に懸念が発生した場合、製品の回収や販売の停止等により、医薬品製造事業の業績に影響を与えるリスクがあります。

<リスク対応>

製品の品質を確保するため、原材料、製造プロセスの社内監査等を行い品質保証体制の強化に努めております。

 

 ⑤ 副作用問題について

<リスク解説>

医療用医薬品、体外診断用医薬品及び医療機器については、予期せぬ副作用や健康被害等で販売中止、製品回収などの事態に発展する可能性があり、医薬品製造事業の業績に影響を与えるリスクがあります。

<リスク対応>

副作用情報等を収集した場合は、速やかに評価、検討し、必要に応じ行政当局へ報告するとともに、必要な安全対策を速やかに実施いたします。

 

 ⑥ 保険薬局事業について

<リスク解説>

保険薬局事業では、処方元の医療機関が発行した処方箋をもとに保険薬局が薬歴管理や服薬指導等を行っています。今後、薬価改定、調剤報酬改定の内容や医療保険制度改革の内容によっては、当社グループの業績に影響を与えるリスクがあります。

また、調剤過誤防止の徹底に努めておりますが、万が一重大な調剤過誤が発生した場合には、社会的信用の失墜、訴訟の提起による損害賠償等により、業績に影響を与えるリスクがあります。

 

<リスク対応>

「患者のための薬局ビジョン」を実現すべく、在宅医療への対応やジェネリック医薬品の使用促進等、店舗毎に適切な対応方針を策定し実行することにより、調剤報酬改定、医療保険制度改革への対応を行っております。

また、調剤過誤防止については、鑑査機器の導入やインシデント、アクシデントを分析し、対策を店舗間で共有することにより、調剤過誤発生防止に取り組んでおります。加えて、ヒューマンエラーの防止に向けて、高いレベルの薬学的知識により調剤過誤を防止するための徹底した教育を実施し薬剤師の資質向上を図っております。

 

 ⑦ システムトラブルについて

<リスク解説>

当社グループは、営業活動、商品管理をはじめ、その事業運営は、コンピュータシステム及びそのネットワークに多くを依拠しております。大規模なシステムトラブルが発生した場合、各事業の業績に影響を与えるリスクがあります。

<リスク対応>

受注から納品業務に関わる基幹系システムの各種障害対応手順に基づき、トラブル時に対応できる体制をとり、迅速な原因究明と影響度の把握により、早期の復旧に努めてまいります。

また、システム安定稼働のため、定期的にシステムの使用状況と業務量を監視し、必要に応じて予防対策を実施するとともに、障害時に備えた想定訓練を実施しております。

さらに、万が一基幹系システムが停止した場合でも、受注から納品に関わる業務が継続できるように、代替できるシステムを稼働させております。

 

 ⑧ 個人情報保護について

<リスク解説>

当社グループは、顧客情報等の多数の個人情報を取り扱っております。個人情報保護には特に配慮し、情報セキュリティの強化と社員の情報管理意識の向上に努めておりますが、万が一、個人情報の漏洩等があれば信用を大きく毀損することとなり、当社グループの業績に影響を与えるリスクがあります。

<リスク対応>

個人情報保護規程や情報セキュリティ管理規程に基づいた適切な運用を徹底し、定期的な社員教育や社外へのメール送信時の上長とシステムによるダブルチェック、外部からの不正アクセスから保護する仕組みの導入等により、個人情報の漏洩を防ぎ、適切な個人情報保護に努めております。

 

(3)その他のリスク

 ① 自然災害等について

<リスク解説>

当社グループは、大規模な自然災害や事故等により、営業拠点及び物流拠点が深刻な被害を被った場合、当社グループの業績に影響を与えるリスクがあります。

<リスク対応>

大規模自然災害が発生した際には、BCP手順書に基づき速やかに災害対策本部を設置し、社員の安否や営業拠点および物流拠点の被災状況を確認するとともに、事業継続のための適切な対応がとれる体制を構築しております。

また、災害時でも安定した医薬品供給体制を維持するために、免震構造を採用した物流センターの構築や本社および主要拠点への非常用発電機の設置、受注から納品に関わる業務が継続できるように、本社以外の拠点にて代替できるシステムを稼働させております。

加えて、グループ会社を含めた安否確認合同訓練やBCP対応訓練等、定期的な訓練を実施し、BCP対応力の向上に努めております。

 

 

 ② 独占禁止法違反事件への対応について

<リスク解説>

当社は、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)の入札に関する独占禁止法違反について、2021年6月に東京地方裁判所より、同法違反により罰金支払いの判決を受け、2022年3月に公正取引委員会より、排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。

また、当社連結子会社の㈱翔薬は、独立行政法人国立病院機構(NHO)の入札に関する独占禁止法違反について、2023年3月に公正取引委員会より、排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。入札指名停止措置により、同機構等との取引が一定期間制限されるため、当社グループの業績に影響を与えるリスクがあります。

<リスク対応>

当社は、今回の一連の事態を厳粛に受け止め、再発防止に向けたコンプライアンス遵守の徹底について、全グループをあげて取り組み、今後、独占禁止法違反に関する被疑を受けることのないよう取り組んでまいります。

また、「医薬品の安定供給」という社会的使命を果たし続けるために、それぞれのお得意さまと向き合い、真摯に信頼回復に取り組むことを通じてリスクの最小化に努めてまいります。

 

 ③ 新型コロナウイルス感染症拡大について

<リスク解説>

国内外における新型コロナウイルス感染症拡大により、当社グループの事業継続が困難な状況となった場合、当社グループの業績に影響を与えるリスクがあります。

<リスク対応>

当社グループにおける新型コロナウイルス感染症対策については、集合形式の会議や面談、会食は原則禁止とし、出社については変形労働、時差出勤や直行直帰などを活用し、事務所内においては座席の分散、アクリル板の設置、こまめな換気を行うなどの三密対策を実施してまいりました。

また、社員及び同居家族等が感染の疑いがある場合の対応マニュアルを整備し、感染拡大の防止に努めております。

今後は、新型コロナウイルス感染症の位置づけが、2023年5月8日より5類感染症に移行しますが、引き続きお得意さまや当社グループ社員の健康に配慮したうえで、新型コロナウイルスの特徴を踏まえた基本的感染対策に万全を期してまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度より、メーカーへの販売情報提供に係る収入等について表示方法の変更を行っております。当該変更に伴い、前連結会計年度の業績について遡及処理を行っております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」をご参照ください。

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

a 財政状態の状況

( 資  産 )

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ43億79百万円増加し1兆1,460億97百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。

流動資産は前連結会計年度末に比べ47億67百万円減少いたしました。これは主に、受取手形及び売掛金が26億20百万円、有価証券が235億90百万円および商品及び製品が25億70百万円増加したものの、現金及び預金が323億50百万円減少したことによるものであります。

固定資産は前連結会計年度末に比べ91億47百万円増加いたしました。これは主に、有形固定資産が57億10百万円、投資その他の資産が36億48百万円増加したことによるものであります。

 

( 負  債 )

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ109億16百万円増加し7,345億71百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。

流動負債は前連結会計年度末に比べ133億95百万円増加いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が22億34百万円、独占禁止法関連損失引当金が43億14百万円およびその他が42億67百万円増加したことによるものであります。

固定負債は前連結会計年度末に比べ24億78百万円減少いたしました。

 

( 純資産 )

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ65億36百万円減少し4,115億25百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。

株主資本は前連結会計年度末に比べ53億54百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を203億45百万円計上したものの、剰余金の配当の支払が63億32百万円、自己株式の取得による減少が194億75百万円あったことによるものであります。なお、当連結会計年度において自己株式804億78百万円を消却しております。

その他の包括利益累計額は前連結会計年度末に比べ11億23百万円減少いたしました。

 

 

b 経営成績の状況

当連結会計年度においては、依然として新型コロナウイルス感染症再拡大の懸念は残るものの、感染防止対策と社会経済活動との両立を図る動きが進められております。一方、依然としてウクライナ情勢の終息時期が見通せないなか、外国為替相場の変動、電力・エネルギー価格や原材料価格の高騰による物価高が一層進展するなど、国内景気や企業収益については依然として先行き不透明な状況が続いております。
 当社グループにおける新型コロナウイルス感染症対応については、お得意さまや当社グループ社員の健康に配慮したうえで、感染予防対策に万全を期してまいりました。また、新型コロナウイルスワクチン流通に関しては、47都道府県すべてで地域担当卸の選定を受け、各自治体単位で流通を担っております。今後も引き続き医薬品等の安定供給に取り組み、企業の社会的責任を果たしてまいります。

 

そのようななか、当社グループは、当期を最終年度とする3ヵ年の中期成長戦略「May I “health” you? 5.0~第3の創業期~」を策定し、健康創造領域で社会に貢献する企業として、より一層、既存事業を進化させていくと同時に、日本が目指す新たなデジタル社会である「Society 5.0」において、社会の課題を解決できる新たな事業展開を目指し、更なる企業価値向上に取り組んでまいりました。
 加えて、今年度、創立90周年を迎えるにあたり、10年後の100周年に向け「健康創造事業体への転換」を果たすために、当期を次期中期成長戦略の「Chapter ZERO」と位置づけ、既存事業の深掘りと新規事業の探索を両利きで実践しております。

 

当連結会計年度においては、希少疾病薬や再生医療等製品を含むスペシャリティ医薬品の流通モデル構築、およびMS(※1)の活動による新たな収益モデル構築に向け、多様な企業との協業を進めております。また、医薬品卸売事業においては、売上・シェアに連動する収益構造が変化しており、コスト構造改革のみならず、新しい機能による新たな収益獲得を目指した取り組みを進めております。
 このようななか、医療流通プラットフォームの構築に向けて、スペシャリティ医薬品トレーサビリティシステムである「キュービックス」を全国の地域中核病院などへ導入し、医薬品の流通品質向上に取り組んでまいりました。加えて、サンバイオ㈱と共同開発した再生医療等製品における流通管理・投与スケジュールサポートシステム「R-SAT(※2)」に関する特許を共同で取得するなど、スペシャリティ医薬品流通において、国内への新規参入や新製品の上市を目指す製薬企業のご要望にお応えするとともに、新薬を待ち望む患者さまに確実に医薬品をお届けできる流通基盤の強化に努めております。

 

また、今後、よりデジタル領域の基盤強化や新規事業の創出を加速していくためには、最先端の技術・ビジネスモデル・アイデアを持った様々なヘルステック企業との連携が必要と考え、ヘルステック企業への投資を本格化させるためにCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンドを設立し、2022年11月には、CVCを通じた最初の投資案件として、食のパーソナライズによる健康・医療の最適化を目指す「㈱おいしい健康」、屋内における人の動きを検知するWi-Fi電波のセンシング技術とそのAI解析のためのデータ基盤の提供を通じて、全ての人のQoL(Quality of Life)が豊かになる世界を目指す「ai6㈱」、両社にそれぞれ出資を行い、資本業務提携を実施しております。

更に、2023年3月には、「中部電力㈱」と、医療・介護等のヘルスケアサービスを地域の生活者に提供する地域ヘルスケアプラットフォームの構築に向けた包括業務提携を締結し、今後、両社グループそれぞれの取り組みを掛け合わせ、高齢者をはじめとした生活者が、住み慣れた地域でより安心・安全に暮らし続けることを支援する「地域ヘルスケアプラットフォーム」の構築を目指してまいります。

既提携企業に関しましては、「Ubie㈱」、「㈱スマートショッピング」、「㈱Welby」それぞれに追加出資を実施するなど、協業強化を進めております。今後も、既に提携している企業とともに、新たな流通チャネル構築や、協業によるデジタルヘルス事業の構築を加速させ、革新的なサービスや情報ビジネスを推進し、製薬企業や医療機関、保険薬局、患者さまへの新たな価値の提供を目指してまいります。
   サステナビリティ(持続可能性)に関する取り組みについては、多様な事業を通じた社会課題の解決と、新たな価値提供による当社グループの持続可能な成長を目指すため、2022年4月1日付にて、社長直轄機構としてサステナビリティ委員会を設置いたしました。今後、グループ一体となったサステナビリティ経営を推進し、ESGやサステナビリティ活動に関する情報のさらなる充実と積極的な開示を進めてまいります。

 

 

株主還元方針に関しては、2021年5月11日に開示したとおり、安定的な配当の継続を基本に配当を実施するとともに、自己株式の取得を実施することで、中期成長戦略の最終年度である2023年3月期までの2年間の平均総還元性向を100%以上とし、株主還元の充実を図るとともに、既存事業の強化や成長への事業投資を行うことで企業価値と資本効率の向上を目指してまいりました。

上記方針を踏まえ、2022年11月11日開催の取締役会において、会社法第459条第1項の規定による定款の定めに基づき、自己株式の取得を決議し、取得総数:5,241,600株、取得総額:194億72百万円の自己株式を取得いたしました。

なお、自己株式の消却に関しては、2022年9月27日開催の取締役会において、会社法第178条の規定に基づき、自己株式(15,344,083株)の消却を行うことを決議し、2022年10月25日付で自己株式の消却を実施しておりますが、上記2022年11月11日決議に基づき取得した自己株式についても、譲渡制限付株式報酬(RS)等への充当を見込む10万株を除いた全数について消却を実施いたしました。
  (消却日:2023 年3月31 日、消却した株式の数:5,168,096 株)

これらの結果、2023年3月期までの2年間の平均総還元性向は104.7%となりました。

 

当社連結子会社の㈱翔薬は2021年11月9日に、独立行政法人国立病院機構(NHO)の入札に関し、独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会(以下、「公取委」)の立ち入り検査を受け、以降、公取委の検査に全面的に協力してまいりましたが、2023年3月24日に公取委より排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。

 

当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、医療用医薬品市場がわずかながら伸長したことに加え、スペシャリティ医薬品等の新薬や新型コロナウイルス感染症関連の治療薬・診断薬が寄与しました。営業利益、経常利益は、グループ全体での販売費及び一般管理費の抑制に努めたことに加え、適正利益の獲得に取り組みました。なお、㈱翔薬が排除措置命令および課徴金納付命令を受けたことなどを踏まえ、一連の事案に関し今後発生しうる損失額につき、44億47百万円を特別損失(独占禁止法関連損失)として計上いたしました。
  その結果、売上高は2兆3,148億28百万円(前期比3.4%増)、営業利益は326億5百万円(前期比62.1%増)、経常利益は363億76百万円(前期比55.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は203億45百万円(前期比41.4%増)となりました。

 

※1 MS(Marketing Specialist)

  :医薬品卸売業の営業担当者のこと。

   医療機関・保険薬局等を訪問し、医薬品の紹介、商談、情報の提供や収集を行います。

※2 R-SAT

:「R-SAT」は、Regenerative medicine(再生医療薬)、Safety(安全性)、Accuracy(正確)、Traceability(トレーサビリティ)の頭文字を取ったものであり、再生医療等製品を投与される患者さまの登録から、再生医療等製品の輸配送、投与および投与後のフォローまでの情報を一元管理し、製薬企業、製造業者、輸配送業者、医療機関などの関係者がそれらの情報を共有できる流通管理・投与スケジュールサポートシステムです。また、自家細胞製剤・他家細胞製剤とも対応可能となっています。

 

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

(医薬品卸売事業)

医療用医薬品市場は、薬価改定の影響などがあったものの、抗悪性腫瘍剤の市場拡大やスペシャリティ医薬品等の新薬が寄与したことにより、わずかながら伸長したものと推測しております。

そのようななか、売上高は、スペシャリティ医薬品をはじめとする新薬の販売増加、新型コロナウイルス感染症関連商材などの寄与により2兆2,269億18百万円(前期比3.5%増)、営業利益は、グループ全体での販売費及び一般管理費の抑制に努めたことに加え、適正利益の獲得に取り組んだことなどにより270億50百万円(前期比83.6%増)となりました。

 

(医薬品製造事業)

売上高は、薬価改定の影響があったものの、昨年度発売した二次性副甲状腺機能亢進症治療薬ウパシタ静注透析用シリンジの寄与などにより増収となりました。
   営業利益は、グループ全体での販売費及び一般管理費の抑制に努めたことなどにより、増益となりました。

これらの結果、売上高は443億82百万円(前期比1.0%増)、営業利益は12億21百万円(前期比56.5%増)となりました。

 

(保険薬局事業)

売上高は、調剤報酬改定・薬価改定の影響などにより減収となりました。

営業利益は、グループ全体での販売費及び一般管理費の抑制に努めたものの、減収の影響および前期に診療報酬上の臨時的な取り扱いとして実施された調剤感染症対策実施加算の影響などにより、減益となりました。

これらの結果、売上高は877億42百万円(前期比1.2%減)、営業利益は20億34百万円(前期比11.0%減)となりました。

 

(医療関連サービス等事業)

売上高は、主に、メーカー支援サービス事業(医薬品メーカー物流受託・希少疾病薬流通受託)の受託が増加したことなどにより増収となりました。

営業利益は、新会社の設立等、デジタルビジネスの事業化に向けた先行投資に係る費用計上などにより減益となりました。

これらの結果、売上高は2,286億91百万円(前期比25.8%増)、営業利益は20億18百万円(前期比9.1%減)となりました。

 

(注)セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高を含んでおります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ353億42百万円減少し1,328億72百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は372億70百万円(前期比277億50百万円増)となりました。

この主な要因は、法人税等の支払101億51百万円があったものの、税金等調整前当期純利益305億94百万円、減価償却費86億39百万円および独占禁止法関連損失引当金の増加43億14百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は463億61百万円(前期は14億39百万円の獲得)となりました。

この主な要因は、有価証券の売却及び償還による収入426億0百万円があったものの、有価証券の取得による支出682億60百万円、有形固定資産の取得による支出150億58百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は262億19百万円(前期比146億19百万円増)となりました。

この主な要因は、自己株式の取得による支出194億75百万円、配当金の支払63億31百万円があったことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品製造事業

19,053

102.4

医療関連サービス等事業

1,245

88.1

合計

20,298

101.4

 

(注) 金額は、製造原価によっております。

 

b 商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品卸売事業

医療用医薬品

1,878,327

102.2

診断薬

113,103

117.3

医療機器・材料

66,156

105.7

その他

41,215

104.6

2,098,802

103.1

医薬品製造事業

32,009

103.0

保険薬局事業

54,199

97.6

医療関連サービス等事業

222,167

126.6

小計

2,407,178

104.8

セグメント間消去

△268,693

121.0

合計

2,138,485

103.0

 

(注) 金額は、仕入価額によっております。

 

c 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

医薬品製造事業

2,804

91.6

999

103.1

医療関連サービス等事業

1,442

68.3

49

42.1

セグメント間消去

△376

50.8

△7

49.2

合計

3,870

87.4

1,042

97.1

 

 

d 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品卸売事業

医療用医薬品

1,977,974

102.8

診断薬

121,503

117.0

医療機器・材料

73,096

104.2

その他

54,344

117.3

2,226,918

103.9

医薬品製造事業

44,382

101.0

保険薬局事業

87,742

98.8

医療関連サービス等事業

228,691

125.8

小計

2,587,735

105.2

セグメント間消去

△272,907

120.7

合計

2,314,828

103.7

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株による感染再拡大により、引き続き当社グループの業績や事業活動に影響が生じております。このような様々な環境の変化に適応していくためにも、医薬品卸売事業をコア事業とする事業体から健康創造事業体への転換を早期に実現していく必要があると考えており、当連結会計年度におきましては新たな中期経営計画の「Chapter ZERO」と位置づけ、「現事業の構造改革」と「新領域へのチャレンジ」に両利きで取り組んでまいりました。

医薬品卸売事業におきましては、コロナ関連商材の寄与はあるものの、利益重視への社員の意識改革を徹底し、コストの見える化システムの活用や本部による価格承認体制を強化したことで売上総利益率の改善に繋がったものと考えております。また、販売費及び一般管理費の低減に努め、2016年度を基点に販売費及び一般管理費比率を1ポイント下げるOne Point Improvementの目標を達成することが出来ました。

医薬品製造事業におきましては、2021年8月に発売した「ウパシタ静注透析用シリンジ」の営業を強化するとともに、販売費及び一般管理費の抑制に努めてまいりました。

保険薬局事業におきましては、不採算店舗の閉局や業務の効率化に加え、グループ再編により㈱ユニスマイルを設立するなどガバナンス体制の強化を図ることで経営基盤の強化に努めてまいりました。

医療関連サービス等事業におきましては、スペシャリティ医薬品流通受託事業において国内一社流通受託の更なる獲得に向けて、グローバルに対応した品質管理の強化に取り組んでまいりました。

新規事業におきましては、グループや協業企業が持つ機能を組み合わせ、新しい事業を創造する「機能総体」という発想で様々な取り組みを加速させるためにCVCファンドを設立し、最先端の技術・ビジネスモデル・アイデアを持った様々なヘルステック企業との連携強化を図ってまいりました。

なお、株主還元方針におきましては、安定的な配当の継続を基本に配当を実施するとともに、自己株式の取得を実施することで中期成長戦略「May I “health” you? 5.0 ~第3の創業期~」の最終年度である2023年3月期までの2年間の平均総還元性向を100%以上としており、2年間の平均総還元性向は104.7%となりました。

 

今後は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標(3)中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、新たな中期経営計画「For your next heartbeat ~未来に向けた鼓動を創ろう~」に基づき下記の取組みを推進してまいります。早期に健康創造事業体への転換を実現するため、次期連結会計年度より組織の組み換えを行い、一部のセグメント変更を下記の通り実施し、既存事業の変革とより広いヘルスケアニーズに対応する新規事業の創出を、スピードを上げて実践してまいります。

医薬品卸売事業におきましては、引き続き利益重視の経営に努めるとともに、機能強化に向けた投資とコストのバランスを考慮しながら、販売費及び一般管理費比率の抑制に努めてまいります。

ヘルスケア製品開発事業におきましては、これまでの医薬製造事業に加え、医療機器製造事業から成るセグメントとしております。患者さまとの接点やグループ製品開発機能を活かし、当社グループ独自の“モノ”(医療・介護デバイス等)を開発してまいります。

地域医療介護支援事業におきましては、これまでの保険薬局事業に加え、介護事業、医療介護支援事業から成るセグメントとしております。各事業から地域の患者さまの情報を収集し、エリアごとに最適なパートナーシップを組むことで各地域に適した医療・介護サービスやソリューションを提供してまいります。

医療関連サービス等事業におきましては、武州製薬㈱とともに製造業務受託エリアと卸物流エリアを併設した複合型の新物流センターの構築を進めるなど、引き続きスペシャリティ医薬品流通の獲得に向けた更なる機能強化に努めてまいります。

新規事業におきましては、引き続き「スマートロジスティクス」「デジタルヘルスケア」「地域在宅支援」の3つを成長ドライバーと位置づけ、とりわけデジタルヘルスケアにおいてはこれまで提携してきた協業企業やお得意さまなどを総合的につなぐ「コラボポータル」の推進を進めております。医療従事者にとって魅力的なプラットフォームへと日々進化させ、情報ビジネスの事業化をより加速させてまいります。

 

株主還元方針におきましては、安定的な配当の継続を基本とし、中期経営計画の最終年度である2026年3月期までの3年間において、総還元性向80%以上の株主還元の実施を公表いたしました。株主還元の充実を図るとともに、既存事業や新規事業それぞれへの投資を行うことで企業価値と資本効率の向上を目指してまいります。

以上を踏まえ、当社グループが「One Team」となって新たな中期経営計画の「Chapter ONE」のページを進め、変化するヘルスケアエコシステムに新たな「解」と「希望」を送り続ける存在として新しい価値を創出し続け、さらなる企業価値の向上と社会課題の解決に貢献してまいりたいと考えております。

 

② 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、買掛金の支払や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、営業・物流・情報基盤の強化および新たな事業領域の拡大等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。

運転資金は自己資金を基本としており、投資はフリーキャッシュフローの範囲内を基本としております。ただし、有事における緊急的な措置としてコミットメントラインも保持しております。

なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,328億72百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されており、財政状態及び経営成績に関する以下の分析を行っております。

連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える事項について、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行い、それらについて継続して評価を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

a 収益の認識

当社グループの中心である医薬品卸売事業の売上高については、販売価格が未決定のものが一部含まれており、決定予測価格を合理的に見積り売上計上しておりますが、価格決定時において売上高の修正を行う場合があります。

価格決定の早期化と合理的な予測価格による売上計上に努めておりますが、価格決定までの期間が長期化し、決定価格が予測価格を大幅に下回った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

b 貸倒引当金

当社グループは、受取手形及び売掛金等の債権の貸倒れに備えるため、一般債権については過去の貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し回収不能見込額を計上しております。お得意さまの財務状況が悪化し、支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

c 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性がないと考えられる金額は、評価性引当額を計上しております。将来の課税所得及び実現可能性の高い継続的なタックスプランニングにより評価性引当額の必要性を検討しております。

過去に計上した繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産を取崩しております。一方、計上額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合は、繰延税金資産を計上しております。

d 退職給付

退職給付債務及び退職給付費用の見積りは、退職給付に関する会計基準等に準拠して行っております。また、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があり、将来認識される退職給付債務及び退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

e 独占禁止法関連損失引当金

独占禁止法関連損失引当金の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 業務提携に関する事項

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約期間

㈱スズケン
(当社)

㈱ソラスト

日本

1 医療・福祉に関する事業の研究及び協力

2 行政及び医療・福祉業界に関する情報交換等

2008年7月22日から1年間、以後3年毎に自動更新

 

㈱ポクサンナイス

韓国

1 韓国医薬品流通事業の全国展開における提携

2 韓国医薬品流通の周辺事業の事業化に向けた共同研究
  ・開発における提携

3 韓国市場における製品導入戦略に関する提携

4 人材交流における提携

5 両社の発展に寄与する機能、事業の共同研究・開発に
  おける提携 

2016年1月29日から

 

EPSホールディングス㈱

 

EPS益新㈱

 

 

 

日本

1 両社グループの経営資源を活かしたワンストップ受託

  モデルの構築及び新規事業の共同開発による新たな付
  加価値の創出

2 中国医療産業への更なる貢献を目的とする新たな付加

  価値の創出

3 アジアをはじめとするグローバルヘルスケア領域にお

  ける事業に関する共同研究及び事業化

4 教育・研修の協力による、双方従業員のレベルアップ

  と有効活用

5 その他両社グループの経営資源の有効活用に関する協

  力

2016年9月27日から

 

ヤマト科学㈱

日本

1 医薬品流通機能や機器開発、製造機能などの両社グループが保有する経営資源の活用による、「キュービックス」を中心とした、製薬企業や医療機関、保険薬局、患者さまへのスペシャリティ医薬品流通ソリューションの機能拡充及び展開体制の強化

2 両社グループが保有する取引チャネルやノウハウなどの活用による、病院グループや薬局チェーンなどのお得意さま向けソリューションの新規開発及び展開

3  両社グループが保有する取引チャネルや機能の活用による、製薬メーカー向け事業の強化や物流共同化による効率化などの既存事業の基盤強化

4 両社グループが保有する医療材料卸売事業の経営基盤と、RFIDやIT等のテクノロジーの活用による、医療材料卸売事業における新たなソリューションの新規開発や効率化に関する共同研究

5 メーカー物流機能やITやロボット等のテクノロジーによる創薬支援機能等、両社グループが保有する経営資源の活用による、再生医療分野における新たなメーカーやお得意さま支援モデルに関する共同研究

2017年9月25日から2018年9月30日まで、以後1年毎に自動更新

 

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約期間

㈱三和化学研究所
(連結子会社)

エルメッド㈱

日本

経口浸透圧利尿・メニエール病改善剤「イソソルビド内服ゼリー70%」の日本国内における販売に係るライセンス契約

2009年7月13日から10年間、以後1年毎に自動更新

 

キッセイ薬品工業㈱

日本

血液透析下における二次性副甲状腺機能亢進症の治療薬「ウパシタ静注透析用シリンジ」の共同販促

2021年6月23日から2031年3月31日まで、両社の協議により更新可

 

 

(2) 技術援助契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約期間

㈱スズケン
(当社)

ASD SPECIALTY HEALTHCARE,LLC

米国

1 ASD社のCubixxソリューションに関する独占的ライセンス契約

2 スズケンがその保管スペースをASD社のCubixxサーバー・システム及びウェブポータルに接続可能なRFIDキャビネットに転換するためのキットの購入

3  ライセンス料、接続されたRFIDキャビネットごとの料金及び出荷費用の支払い

2017年5月1日から5年間、以後1年毎に自動更新

 

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

㈱三和化学研究所
(連結子会社)

グラクソ・スミスクライン社

英国

消炎鎮痛剤
商品名:レリフェン

日本におけるレリフェン(成分名:ナブメトン)の製造及び販売に関する独占的権利の許諾

1997年5月から2003年4月まで以後2年毎に自動更新

 

興和㈱

日本

DPP-4阻害剤
商品名:スイニー錠

1 日本における共同開発、製造販売権の許諾

2 開発マイルストーンの受領

2008年8月18日から日本での発売後10年間又は特許満了までのいずれか遅い日、以後1年毎に自動更新

 

JW製薬

韓国

糖尿病治療薬
SK-0403

1 韓国における独占的開発、製造、販売権の許諾

2 開発マイルストーン及び販売ロイヤルティーの受領

2008年8月22日から韓国での発売後10年間又は特許満了までのいずれか遅い日、以後1年毎に自動更新

 

 

 

アナグリプチンとメトホルミンの
配合剤

1 韓国内における製品の独占的開発、製造、販売契約権のライセンス

2 契約時の一時金及び販売額に応じたロイヤルティーの受領

2016年4月15日から製品の発売の10年後又は特許満了日のいずれか遅い日、以後1年毎に自動更新

 

㈱富士薬品

日本

高尿酸血症・痛風治療剤
商品名:ウリアデック錠

㈱富士薬品が創製した新規の高尿酸血症・痛風治療薬「FYX-051」について、日本における共同開発及び商業化に関するライセンス契約

2009年10月7日から特許満了日若しくは製品発売後10年が経過した日のいずれか遅い日、以後1年毎に自動更新

 

メタファーマ社

加国

メタコリン塩化物

1 日本における独占的開発、承認取得、輸入、販売権の許諾

2 使用許諾料の支払

 

2012年12月19日から発売後8年間、以後2年毎に自動更新

 

参天製薬㈱

日本

メタコリン塩化物

日本における販売権の許諾

2016年4月12日から(注)

 

東亞ST㈱

韓国

持続型赤血球造血刺激因子製剤
ダルベポエチンアルファのバイオ後続品

日本における開発及び商業化に関する独占的ライセンス契約

2014年1月21日から契約品目の発売後10年間、以後1年毎に自動更新

 

キッズウェル・バイオ㈱

日本

持続型赤血球造血刺激因子製剤
ダルベポエチンアルファのバイオ後続品

1 日本における共同開発の許諾

2 開発マイルストーン等の受領及び発売後の分担金支払

2014年1月21日から契約品目の発売後10年間(利益分配金の支払終了まで)

 

クリネティクス社

米国

Paltusotine
(先端巨大症・神経内分泌腫瘍治療薬)

1 日本における独占的開発及び販売権を取得

2 その他開発・薬事・商業目的の達成に応じたマイルストーンおよび製品の売上高に応じた段階的なロイヤルティーの支払

2022年2月25日から再審査期間満了日若しくは主要特許の満了日のいずれか遅い日、以後1年毎に自動更新

 

(注)参天製薬㈱との契約期間は、2016年4月12日から参天製薬㈱が販売を終了する日、又は別途契約しているメタファーマ社(加国)との日本における販売権の許諾等の契約が終了する日のいずれか早い日であります。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループにおける医薬品製造事業として、㈱三和化学研究所において研究開発活動を推進しております。アンメットメディカルニーズを満たす新薬開発型メーカーへと進化するために、創薬研究開発活動と導入により開発パイプラインを充足して「2025年度には開発テーマ4本以上を獲得する」ことをミッションに、「“人にやさしいくすり”を具現化すべく、患者さんや家族の目線に立った医薬品を創出する」、「見過ごされた患者さんに治療薬をだれよりも早く創出する」および「画期的新薬が創製できる組織・体制とし、自社或いは共同研究から画期的新薬を創出する」を基本方針として、研究開発活動を推進しております。

当連結会計年度における研究開発スタッフは141人であり、研究開発費の総額は2,952百万円であります。なお、研究の主要課題および成果は次のとおりであります。

(1)先端巨大症および神経内分泌腫瘍治療薬SK-5307(Paltusotine)の開発推進
 米国のCrinetics Pharmaceuticals, Inc.(クリネティクス社)が、先端巨大症・神経内分泌腫瘍治療薬として開発中のPaltusotineについて、2022年2月に日本における独占的な開発/商業化権のライセンス契約を締結致しました。2022年9月から第Ⅰ相試験を実施しております。

(2)OSDrC(有核打錠技術)事業の着実な推進
 上市済みの4製品について、ロイヤルティー収入を獲得しております。
 OSDrC技術を用いた新規受託製造の可能性について、国内外の医療用医薬品メーカーに対して情報提供を行いました。2023年3月期第2四半期から協議を進めていた1社と秘密保持契約締結後、2024年3月期早期に製剤検討試験の委受託契約締結に向けた対応を進めております。また、その他にも複数のメーカーと秘密保持契約締結に向けた検討を実施しております。引き続き、営業活動および調査活動を継続的に実施してまいります。