文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、社会における存在意義、パーパスを「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」と定めております。すべての事業活動をこのパーパス実現のための活動として取り組んでおり、そのためには、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持続的に向上させることが重要と考えております。
<市場環境>
当社グループをとりまく市場環境については、従来型の基幹システムなどの既存IT市場は、緩やかに縮小していくと予測されています。一方で、レガシーシステムのリプレイスメントやモダナイゼーションへの投資は今後も堅調に増えると予測されています。さらに、AI(人工知能)やデータ活用などデジタル化に向けた投資は、社会や企業の成長・発展へのニーズに加え社会システムや生活様式の変化に向けたニーズもあり、今後も拡大すると想定されています。
このような状況のもと、当社グループは、2022年度を最終年度とする経営方針に則り、ますます需要が高まる企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を牽引し社会課題の解決に貢献する企業への変革を目指して活動してまいりました。また、2030年及びそれ以降の目指す姿の実現に向けて、2023年度から2025年度までの3年間を持続的な成長と収益力向上のモデルを構築する期間と位置付け、新たな中期経営計画を策定し達成に向けた取り組みを開始しております。
<2022年度までの経営方針振り返り>
2022年度を最終年度とする経営方針では、当社グループは、「お客様への価値創造」と「自らの変革」に向けて、それぞれ施策を設定し取り組んでまいりました。
「お客様への価値創造」においては、次の施策に取り組んでまいりました。
グローバルビジネス戦略の再構築として、サービスビジネスへのシフトとそのための体質強化を目指し、グローバル共通のポートフォリオに沿った重点アカウントの選定やオファリングの拡充及び体制の見直しを図ってまいりました。グローバル共通となるFujitsu Uvanceの提供をスタートし、2022年度で2,000億円の売上を達成しました。2022年4月に、欧州の2リージョンを統合したEuropeリージョン、アジアとオセアニアを一体化したAsia Pacificリージョン、そしてAmericasリージョン、Japanリージョンの合計4リージョン体制に再編しました。事業責任者のグローバルワイドでの最適配置にも着手しており、欧州にソリューションビジネス、北米にネットワークビジネスの責任者を配置しました。
日本国内での課題解決力の強化として、日本の社会課題解決やデジタル化に貢献するための体制強化を継続して進めてまいりました。デザイン思考でお客様の潜在ニーズを掘り起こし、お客様との共感を通じてDXをリードするビジネスプロデューサー8,000人の研修を完了しており、このビジネスプロデューサーを中心に、商談スタイルの変革を進めてまいりました。
お客様事業の一層の安定化として、グローバルで統一された手法での開発を促進するため、サービスデリバリーの標準化及び最適化を行うとともに、こうした手法で開発・デリバリーを行うグローバルデリバリーセンター(GDC)と、日本固有の商習慣やニーズを踏まえてデリバリーを標準化するJapan Global Gatewayの人員数を、合わせて3万人規模に増強しました。また、生産性の向上によるコスト競争力の強化を図ってまいりました
お客様のDXのベストパートナーとなるべく、お客様の事業や変革の達成をカスタマサクセスと定義し、その実現に向けたサポートの強化に取り組んでまいりました。開発や営業機能を一体化した組織において、お客様サポートを一元的に担い中長期の視点でお客様とともに動くAccount General Managerを育成していまいりました。また、DXコンサルティング会社Ridgelinez株式会社を起点に、全社でのコンサルティング力強化を図りました。
一方、「自らの変革」としては、当社グループ自身のDXのため、社内システムや人員、体制の強化も含めた社内変革を進めてまいりました。
データドリブン経営の強化策として、データを活用してグループ全体の経営を高度化するOneFujitsuプログラムを全リージョン横断で推進しており、2022年4月にはOneCRMを始動させ、パイプラインマネジメントの統合とグローバルで統一した管理手法の導入を行いました。グループ全体でERPを統合するOneERP+も、グローバルでの稼働に向けて準備を進めております。また、全社DXプロジェクト「フジトラ」を中心に、全社員参加型の社内変革を進めてまいりました。グローバルで人材の流動性を高めるため、ポスティング制度の適用範囲拡大や、パーパス実現への貢献を評価するグローバル共通の評価制度「Connect」及びジョブ型人事制度の適用拡大などを進めてまいりました。これらの施策の結果、生産性が向上し、2022年度の社員一人当たりの営業利益は、2019年度と比較して60%増加しました。
施策の実行にあたり、サービス・オファリングの開発やM&Aをはじめとする外部への投資、将来を見据えたDXビジネス拡大のための戦略的な投資に加え、高度人材の獲得や社内の人材・システムの強化のための投資を行ってまいりました。
財務面に加えて、非財務面での取り組みも強化してまいりました。当社グループの掲げるパーパスの実現には、あらゆるステークホルダーとの信頼関係を築くことが必要と考え、お客様からの信頼を示す「お客様ネット・プロモーター・スコア(NPS)」、社員との結びつきを示す「従業員エンゲージメント」、そして、組織、カルチャーの変革の進捗を経済産業省が推進する「DX推進指標」を非財務分野における評価指標と定め、改善に取り組んだ結果、お客様NPS及びDX推進指標で目標値を達成しました。
<新たな中期経営計画について>
当社グループは、5月24日に新たな中期経営計画を発表しました。
まず、パーパス実現に向けて必要不可欠な貢献分野であるマテリアリティを、地球環境問題の解決、デジタル社会の発展、人々のウェルビーイングの向上の3分野に定め、この3つの分野で、気候変動、情報セキュリティの確保、生活の質の向上に向けた医療ヘルスケアの推進など、重点的に取り組むべき11の課題を設定しました。全社でマテリアリティへの取り組みを推進し、富士通グループの企業価値向上と持続可能な世界の実現を目指してまいります。
今回の中期経営計画では、2030年及びそれ以降のあるべき姿を見据えて、2025年における当社のあるべき姿と、ステークホルダーへの提供価値の最大化を実現するための4つの重点戦略を定めました。一つ目、事業モデル・ポートフォリオ戦略、二つ目、カスタマサクセス/地域戦略、三つ目、テクノロジー戦略、そして四つ目、リソース戦略です。
一つ目、事業モデル・ポートフォリオ戦略では、成長領域への投資や効果をより明確にし、事業ポートフォリオのマネジメントを強化するため、事業セグメントの変更を行います。従来のテクノロジーソリューションを、サービスソリューションとハードウェアソリューションの2つに分類します。サービスソリューションは、Fujitsu Uvanceを中心とするグローバル横断なOn Cloudのデジタルサービスと、各リージョンが提供するサービスビジネスや従来型のOn Premiseのサービスなどで構成されています。サービスソリューションは、当社の今後の成長を牽引する領域として、コンサルティング力の強化やパートナーとの戦略的アライアンスの強化、当社の先端テクノロジーの強化及びビジネスへの実装、そして、デジタルサービスを提供するための人材育成などに取り組み、成長を目指してまいります。一方ハードウェアソリューションは、ハードウェアの販売及びハードウェアの保守ビジネスで構成されます。
二つ目、カスタマサクセス/地域戦略では、引き続き、コンサルティングを強化してまいります。Fujitsu UvanceのHorizontal領域をはじめとするテクノロジー軸のコンサルティングと、Fujitsu UvanceのVertical領域をはじめとする、事業、経営に関わるビジネス軸でのコンサルティングの両軸であるべき姿の実現に向けてお客様をご支援してまいります。リスキリングなどを実施し、2025年度までにコンサルティングスキルを持つ人員を、テクノロジーとビジネスで合わせて1万人に増強してまいります。
また、モダナイゼーションビジネスを強化します。お客様の既存資産をしっかりと受け継ぎながら、テクノロジーとビジネス両面でのコンサルティング力や長年培ってきたエンジニアリング力、モダナイゼーション専任の組織やグローバルでのデリバリー体制といった独自の強みを活かして、最適なソリューションをご提案してまいります。
地域戦略としては、日本においては、全業種のお客様のモダナイゼーションをサポートし、また、日本を起点にグローバルで事業を展開するお客様に、グローバル標準のサービスやサポートを提供する体制を強化してまいります。その他のリージョンでは、Fujitsu Uvanceを中心としたグローバルなソリューションやサービスの提供を拡大してまいります。また、お客様への提供価値をグローバルで高めるため、戦略パートナーとのアライアンスも強化してまいります。
お客様事業の一層の安定化に向けては、全社のガバナンス強化、情報セキュリティ強化、そしてシステム品質改善の3点を柱に取り組んでまいります。スピード感をもって各施策を確実に実行し、効果を測定して改善するというマネジメントを恒久的に実行してまいります。
三つ目、テクノロジー戦略では、Fujitsu Uvanceを支える5つのキーテクノロジーであるコンピューティング、ネットワーク、AI、データ&セキュリティ、そしてコンバージングテクノロジーに引き続きリソースを集中させ重点的に研究開発を行ってまいります。今後は、AIを核にキーテクノロジーを強化し、付加価値としてビジネスに実装してまいります。
四つ目、リソース戦略では、グローバル統一のJob Roleを定義し、人材ポートフォリオの見える化や事業と連動した人材の育成計画をグローバルで進めてまいります。リスキリングやアップスキリングを行い、成長領域のリソースを拡充するとともに、人的資本経営の強化として、より個人にフォーカスしたキャリア形成や、自律性、自主性を重視した施策を展開してまいります。
また、OneFujitsuプログラムを中心に、データドリブン経営の強化を進め、社内実践で得られた経験やノウハウを、価値としてお客様に提供してまいります。
以上4つの戦略の実行においては、成長に寄与する投資を継続して、最適なアロケーションを実施いたします。
財務面での経営目標として、2025年度は、連結で売上収益4兆2,000億円、調整後営業利益5,000億円、同利益率12%の達成を目指してまいります。
非財務の領域においても、環境、お客様、生産性、そして人材の4つの項目において2025年度のKPIを定め、達成に向けて取り組んでまいります。
環境でのKPIとしては、温室効果ガス削減量について、いずれも2020年度と比較しScope1・2では富士通グループで50%削減、Scope3ではサプライチェーンで12.5%の削減を目指してまいります。
お客様については、従来のKPIであるお客様NPSを継続し、2022年度比で20ポイント上昇を目指してまいります。
生産性については、従業員一人当たりの営業利益において、2022年度比40%の上昇を目指してまいります。
人材については、従来のKPIである従業員エンゲージメントを継続し、グローバルでのスコア75の達成を目指してまいります。また、ダイバーシティリーダーシップの指標として、まずグローバルでの女性幹部社員比率をKPIとし、2022年度の15%から2025年度で20%に拡大することを目標としました。これは、2030年度で30%の達成を目指し、そこからバックキャストして定めております。また、引き続き非財務面での取り組みが財務面に対しどのように寄与するかについて、定量的な分析を進めてまいります。
今回新たに、2030年に向けて、クロスインダストリーでサステナビリティに貢献するデジタルサービスを提供して、社会・お客様・株主・社員などのステークホルダーにとってネットポジティブを実現するテクノロジーカンパニーになる、という当社のビジョンを定めました。このネットポジティブとは、社会に存在する富士通が、財務的なリターンの最大化に加え、地球環境問題の解決、デジタル社会の発展、そして人々のウェルビーイングの向上というマテリアリティに取り組み、テクノロジーとイノベーションによって、社会全体へのインパクトをプラスにすること、と定義しております。
パーパスとビジョンを達成していくための活動によって創出されるアウトプット及びアウトカムとして、財務指標と3つのマテリアリティの項目ごとに2030年の指標を設定しました。財務資本、人的資本といった資本を投入し、4つの重点戦略に沿ってマテリアリティに取り組み、財務・非財務の両面でアウトプットやアウトカムを生み出し、それをまたインプットとして投じる、これを継続することでステークホルダーへの提供価値の向上を図ってまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティへの対応
富士通グループでは、サステナビリティに関する国際開示基準や、SDGs、パリ協定などのグローバルな動向を踏まえ、責任ある企業として取り組むべきサステナビリティの7つの重要課題(マテリアリティ)を設定し、重要課題については個々の目標の達成に向け、グローバルレスポンシブルビジネス(Global Responsible Business:GRB)という枠組みの中で、グローバルに活動を推進してまいりました。GRBの制定経緯及び取り組みについての詳細は下記②戦略をご参照ください。
なお、当社グループは、2023年5月の中期経営計画の策定に伴い、マテリアリティの改定を行いました。中長期的な視点で2030年を見据え、「自社」及び「ステークホルダー」の観点から評価を行い、持続的な成長に向けた解決すべき重要課題を新たに設定しました。お客様・社会に貢献する分野として、「地球環境課題の解決」、「デジタル社会の発展」、「人々のウェルビーイングの向上」を掲げ、これらを実現する土台として、「テクノロジー」、「経営基盤」、「人材」を強化していきます。
https://www.fujitsu.com/jp/about/csr/materiality/
①ガバナンス
<取締役会による監督体制>
富士通グループはサステナビリティ経営委員会において、サステナビリティに係るリスクと機会の共有、中長期的な課題の検討及び方針の策定を行っています。これらの結果は、経営会議を通じて取締役会に報告されます。
また、富士通グループは、全社レベルのリスクマネジメント体制において、取締役会の監督の下、代表取締役社長を委員長としたリスク・コンプライアンス委員会が、サステナビリティ課題を含むグループ全体のリスク分析と対応を行っています。同委員会は、グループ全体のリスクマネジメント及びコンプライアンスに関わる意思決定機関であり、抽出・分析・評価された重要リスクについて、定期的に取締役会に報告しています。詳細については、「
<リスクと機会の評価・管理における経営者の役割>
代表取締役社長は、サステナビリティ経営委員会及びリスク・コンプライアンス委員会の委員長を務め、最高位の意思決定の責任と業務執行の責任を担っています。取締役会は、経営会議及びリスク・コンプライアンス委員会を通じた報告をもとに監督する責任を有します。また、CSuO(Chief Sustainability Officer)はサステナビリティの最高責任者として、取締役会、経営幹部への変革提案とサステナビリティ関連業務の執行を推進しています。加えて、業務執行取締役の賞与に、ESGに関する第三者評価を評価指標として追加しています。
②戦略
富士通グループは、2010年にグローバルなCSR規範や社会課題を認識したうえで当社への期待と要請について外部有識者よりヒアリングを行い、CSR基本方針を制定し活動を推進してきました。
持続可能な開発目標(SDGs)の採択やパリ協定の発効など、地球規模の課題解決に向けた取り組みがより一層強く求められるようになったことを踏まえグループ横断でのマテリアリティ分析を実施し、その結果を元に「グローバルレスポンシブルビジネス(Global Responsible Business : GRB)」という名称で、グローバル共通のサステナビリティの重要課題を2019年度に以下の表のとおり設定しました。2020年度には、2022年度を目標年度とする目標・KPIを重要課題毎に定め、当事業年度においても継続的に活動を行ってきました。
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重要課題 |
概要 |
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人権・多様性 |
全企業活動で人間の尊厳に配慮し、人を中心として価値創造を行う。多様性を尊重し、誰もが自分らしく活躍できる企業文化を醸成する。 |
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ウェルビーイング |
すべての社員がいきいきと働くことができる環境をつくり、社員が自己の成果を実現させて、力を最大限に発揮できる機会を提供する。 |
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環境 |
気候変動対策としてパリ協定の1.5℃目標の達成と、革新的なソリューション提供による環境課題解決に貢献する。 |
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コンプライアンス |
Fujitsu Wayの「行動規範」を組織全体に周知徹底し、社会的な規範を含むより高いレベルの企業倫理を意識し、誠実に行動する。 |
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サプライチェーン |
自社サプライチェーンにおいて、人権や環境、安全衛生に配慮した責任ある、かつ多様性に富む調達を実現する。 |
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安全衛生 |
心とからだの健康と安全を守ることを最優先し、各国各地域の事情に合わせた、安全で健康的な職場環境を提供する。 |
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コミュニティ |
社会課題への共感を高めて活動し、社会経済に良いインパクトをもたらす。創出したインパクトをさらなる価値につなげる。 |
③リスク管理
富士通グループでは、サステナビリティ経営委員会において、サステナビリティに係るリスクと機会の共有、中長期的な課題の検討及び方針や目標を策定するとともに、進捗を確認しています。
また、リスク・コンプライアンス委員会は、国内外の各部門及び各グループ会社の事業活動と、それに伴う重要リスクの抽出・分析・評価(当社グループにおいて重要と考えられる33項目のリスクを中心に実施)を行い、これらに対する回避・軽減・移転・保有などの対策状況を確認したうえで、対策の策定や見直しを図っています。また、様々な対策の実行にもかかわらずリスクが顕在化した場合に備え、対応プロセスを整備しています。詳細については、「
④指標及び目標
<GRB2022年度目標と2021年度の主な実績>
富士通グループは、重要課題ごとにありたい姿、目標、2022年度末を達成期限とするKPIを定めておりました。この達成に向けて実効力のあるマネジメント体制を構築し、また各国の国内法や労働市場など国・地域ごとの違いを踏まえつつ、グローバルでより高いレベルの活動が実施できるよう、具体的なアクションを定め、目標達成に向けた取り組みを推進してまいりました。なお、2022年度の主な実績については、本有価証券報告書提出日現在においてデータ収集及び一部のデータにおいては、第三者審査機関による審査の過程にあるため、以下では2021年度の主な実績を記載しております。
GRBの目標と2021年度の主な実績
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項目 |
2022年度に向けた目標(KPI) |
2021年度の主な実績 |
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人権/ 多様性 |
◆人権 「人権尊重」の社内浸透 ・グローバルな人権に関する全従業員向け教育の受講率:80% |
・グループ全社員を対象とした「ビジネスと人権」に関するeラーニングを16か国語でグローバルに実施 実施率:92% |
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◆ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I) インクルーシブな企業文化の醸成 ・社員意識調査でのDE&I関連設問の肯定回答率向上: 連結66%(2019年度)→69% 単体59%(2019年度)→63% ・リーダーシップレベルにおける女性比率増: 連結8%(2019年度)→10% 単体6%(2019年度)→9% |
・社員意識調査でのDE&I関連設問の肯定回答率 連結:69% / 単体:65% ・リーダーシップレベルにおける女性比率 連結:10.3% / 単体:8.0% |
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ウェルビーイング |
いきいきと働くことができる職場環境の提供 ・社員意識調査「ワークライフバランス」「Well-being」に対するグローバル共通平均スコア:71 成長の実現と力を発揮できる機会の提供 ・社員意識調査「成長の機会」に対するグローバル共通平均スコア:70 |
・社員意識調査「ワークライフバランス」「Well-being」に対するグローバル共通平均スコア:64 ・社員意識調査「成長の機会」に対するグローバル共通平均スコア:68 |
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環境 |
社会的責任の遂行と環境課題解決への貢献 ・事業拠点の温室効果ガス(GHG)排出量を基準年比 37.8%以上削減する (2013年度実績の毎年4.2%削減) ・事業活動に伴うリスクの回避と環境負荷の最小化 ・ビジネスを通じたお客様・社会の環境課題解決への貢献 |
・GHG排出量の削減 ・目標:33.6%以上削減 (2013年度比 毎年4.2%削減) 実績:36.7%削減 ・再生可能エネルギー導入率:20.7% ・事業活動に伴うリスクの回避と環境負荷の最小化 <事業所> ・データセンターのPUE(注1)改善:目標1.57に対し実績1.56を達成 ・水の使用量:前年度から5.7万m3削減 ・製品の省資源化・資源循環性向上:新製品の資源効率を10.1%向上(2019年度比) <サプライチェーン> ・製品の使用時消費電力によるCO2排出量を51%削減(2013年度比) ・サプライチェーン上流におけるCO2排出量削減及び水資源保全:主要取引先への取組依頼を100%完了 ・ビジネスを通じたお客様・社会の環境課題解決への貢献 ・カーボンニュートラルに関する知見のビジネス部門、事業部門へのスキルトランスファー ・環境勉強会やOJTを通じた社内教育の実施による社員の専門スキル向上 ・社内レファレンスに基づくソリューション創出 ・環境課題解決に繋がるお客様提案に向けた支援 ・CO2排出量削減貢献量の評価ツール |
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コンプライアンス |
コンプライアンスに係るFujitsu Way「行動規範」の組織全体への周知徹底をさらに図るために、グループ全体にグローバルコンプライアンスプログラムを展開することで、高いコンプライアンス意識を組織に根付かせるとともに、経営陣が先頭に立って、従業員一人ひとりがいかなる不正も許容しない企業風土(ゼロ・トレランス)を醸成する。 ・社長、部門長またはリージョン長からコンプライアンス遵守の重要性をメッセージとして発信:1回以上/年 |
・国際腐敗防止デーに合わせたFujitsu Compliance Weekにおいて、社長・各リージョン長・各国グループ会社社長等の経営層から従業員に対し、コンプライアンス遵守徹底のメッセージを発信 |
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サプライチェーン |
・自社サプライチェーンにおける責任ある調達の実現 当社主要取引先による責任ある調達の国際基準への準拠へ向け、当社主力製品の主要な製造委託先・部品取引先より、下記文書のいずれかを入手する。 (目標KPI=100%) ・RBA (注2) 工場監査プラチナまたはゴールド判定書 ・当社CSR調達指針(=RBA行動指針)への誓約書 ・サプライチェーン多様性の推進 従来の取り組みと並行して、サプライチェーンの多様性確保をResponsible Businessの目標に位置づけ、グローバルに推進。 ・サプライチェーンにおけるGHG 排出削減 GHG 排出削減を取引先とともに推進するため、主要物品取引先に対して、国際基準に沿った数値の目標設定を依頼する。 |
・下記文書いずれかの入手率:100% -RBA工場監査プラチナまたはゴールド判定書 -当社CSR調達指針への誓約書 ・UK・Americas・オセアニアにおいて、中小企業(SME)・女性経営・少数民族企業等、多様な属性を持つ企業からの調達KPIを達成 ・293社あてに目標設定のための説明会への参加を要請 |
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安全衛生 |
グループ会社を含むすべての職場において、安全で働きやすい環境を実現し、心とからだの健康づくりを推進する。 ・重大な災害発生件数:ゼロ ・安全衛生に関するグローバルレベルでのマネジメントレビュー実施:1回/年 |
・重大な災害発生件数:ゼロ ・グローバル安全衛生管理リーダーが富士通グループのCOVID-19対応についてレビューを実施 |
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コミュニティ |
企業文化及び社員のマインドセット変革への貢献 ・社会課題に関連した社会貢献活動に参加した従業員数の増加率 ニューノーマル下において、2019年度比 +10% |
・2021年度より集計開始:2019年度比-2.9%(注3) |
(注)1.PUE:Power Usage Effectiveness
データセンターの電力使用効率を示す指標。データセンター全体の消費電力を、サーバなどのICT機器の消費電力で割った数値。1.0に近いほど効率的とされる。
2.RBA:Responsible Business Alliance
電子機器メーカーや大手サプライヤーなど、約140社が加盟する国際イニシアチブ。行動規範を定め、サプライチェーン上の環境や労働者の人権及び労働条件や、倫理・安全衛生などの改善を進めている。
3.コロナ禍の影響により対面での活動に制約。オンラインイベントの開催など、種々の施策展開により、2021年下期以降参加従業員数増加も、2019年度比減少の状況。
(2)気候変動への対応
気候変動は国・地域を超えて世界に影響を与える問題であり、グローバルに活動する当社にとっても重要な課題であると認識しています。例えば、気候変動によりもたらされる災害は調達・物流・エネルギー供給網を寸断し、各事業所への部品調達やエネルギー調達を困難にします。また、GHG排出量に関する法規制は、製品・サービスの製造、開発等に影響を与え、対応への遅れはビジネスチャンスの損失を招く恐れもあります。
① ガバナンス
富士通グループでは、サステナビリティ経営委員会やリスク・コンプライアンス委員会において、気候変動に関するリスクと機会の共有、方針策定、重要リスクに関する特定等を行い、取締役会へ報告しております。詳細については、上記の「
② 戦略
<中長期環境ビジョン>
富士通グループでは、気候変動対策において果たすべき役割や実現すべき未来の姿として、中長期環境ビジョン「Fujitsu Climate and Energy Vision」を策定しております。このビジョンは、(ⅰ)自らのCO2ゼロエミッションの実現、(ⅱ)カーボンニュートラル社会への貢献及び(ⅲ)気候変動による社会の適応策への貢献の3つの柱で構成されています。先進のICTを効果的に活用して富士通グループ自らのカーボンニュートラル化にいち早く取り組むとともに、そこで得られたノウハウを、富士通グループのソリューションとしてお客様・社会に提供します。それにより、ビジネスを通して気候変動の緩和と適応に貢献することを目指しています。
https://www.fujitsu.com/jp/documents/about/resources/reports/sustainabilityreport/2022-report/fujitsudatabook2022.pdf
<TCFDに基づいたシナリオ分析>
また、富士通グループでは、気候変動戦略のレジリエンス性を確保するため、2018年度に「2℃」シナリオ、2021年度に「1.5℃」及び「4℃」の外部シナリオを用いて、気候変動による事業インパクトを分析し、富士通グループの気候関連リスク・機会を特定するとともに対応策を検討しました。自社オペレーション、サプライチェーンにネガティブな影響を及ぼす移行・物理リスクに対応するとともに、お客様の気候関連リスクを理解することで価値創造の提案につなげ、ビジネス機会の獲得を目指します。
・シナリオ分析
当社は、ビジネスを加速し、社会課題に挑むソリューションとして「Fujitsu Uvance」を策定し、クロスインダストリーな重点分野を定めています。これらのうち、特に気候変動の影響が大きいと考えられるSustainable Manufacturing(検討領域:石油化学、自動車、食品、電子機器関連ビジネス)、Trusted Society(検討領域:公共、交通、エネルギー関連ビジネス)、Hybrid IT(検討領域:データセンター関連ビジネス)に対し、1.5℃及び4℃シナリオを用いて2050年までを考慮したシナリオ分析を実施しました。分析は「リスク重要度の評価」、「シナリオ群の定義」、「事業へのインパクト評価」、「対応策の検討」という4つのステップにて行いました。
Sustainable Manufacturing、Trusted Societyはお客様の気候関連リスクへの対応を支援するなど、当社におけるビジネスの「機会」を中心とした分析を行い、Hybrid ITは、自社事業及びお客様の気候関連リスクへの対応など、「リスク」と「機会」の両面で分析しました。分析結果シナリオで分析した機会についてオファリングの検討・開発方向と一致していること、また、リスクについても対応策を整備できていることを確認し、中長期的な観点から当社の事業は戦略のレジリエンスがあると評価しました。また、シナリオ分析の結果も事業検討の1つのインプットとして活用し、事業の注力領域の価値提供テーマとして、Sustainable Manufacturingにおける「Carbon Neutrality(CO2排出量の可視化・削減推進)」、「Resilient Supply Chain(不確実性に対する対応力向上)」、Trusted Societyにおける「Sustainable Energy & Environment(グリーンエネルギーによるカーボンニュートラル社会)」等を策定・発表しました。現在、シナリオ分析で導出した機会の対応策を踏まえ、オファリングの具体化等の検討を推進しています。
https://pr.fujitsu.com/jp/ir/integratedrep/2022/pdf/all.pdf
機会
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機会分類 |
対象期間 |
内容 |
主要な対応策 |
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製品・サービス |
短~長期 |
・高エネルギー効率製品・サービスの開発・提供による売上増加 |
・高性能・低消費電力の5G仮想化基地局、高性能・省電力のスーパーコンピュータ等の開発・提供 |
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市場 |
短~長期 |
・ICT活用により創出される気候変動対策に向けた新規市場機会の獲得 |
・サプライチェーンのCO₂排出量算定・可視化、ゼロエミッションに向けた新材料探索の効率化等の開発・提供 |
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レジリエンス |
短~長期 |
・レジリエンス強化に関する新製品及びサービスを通じての売上の増加 |
・防災情報システム、洪水時の河川水位を予測するAI水管理予測システム等の開発・提供 |
リスク
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リスク分類 |
対象期間 |
内容 |
主要な対応策 |
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移行 |
政策/規制 |
短~長期 |
・温室効果ガス排出やエネルギー使用に関する法規制強化(炭素税、省エネ政策等)に伴い、対応コストが増加 ・上記法規制を違反した場合の企業価値低下のリスク |
・温室効果ガス排出量の継続的な削減(再生エネルギーの積極的な利用拡大、省エネルギーの徹底) ・EMSを通じた法規制遵守の徹底 |
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市場 |
中~長期 |
・カーボンニュートラル社会の推進(電動化などの普及)に伴った電力価格が高騰 |
・社内基準の策定、革新的な技術開発などによる電力消費量の削減 |
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技術 |
中~長期 |
・熾烈な技術開発競争(省エネ性能、低炭素サービス等)で劣勢になり、市場ニーズを満たせなかった場合、ビジネス機会を逸失するリスク |
・お客様の気候変動課題解決に対応する製品・サービス開発、イノベーション推進 |
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評判 |
短~長期 |
・投資家・お客様等のステークホルダーからの要請への対応による対応コストが増加 ・外部要請への対応遅れによる評価・売上に対するネガティブ影響が発生 |
・中長期環境ビジョン、環境行動計画の策定・推進 ・気候変動戦略の透明性確保に向けた積極的な情報開示 |
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物理 (自然災害等) |
慢性、急性 |
短~長期 |
・降水・気象パターンの変化、平均気温の上昇、海面上昇、渇水などによる対応コストが増加 ・異常気象の激甚化によるサプライチェーンを含む操業停止、復旧コストが増加 |
・BCP対策強化、お取引先の事業継続体制の調査やマルチソース化などの対策実施 ・潜在的水リスクの評価とモニタリングの実施 |
③ リスク管理
気候変動を含むリスク管理プロセスは、リスクマネジメント・コンプライアンス体制によるプロセスに組み込まれています。詳細については、「
また、気候変動を含む環境課題に関するマネジメントについては、前述の仕組みに加え、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築しています。気候変動対策の方針策定及び進捗管理は、サステナビリティ経営委員会が担当しています。
④ 指標及び目標
GHG排出量に関しては基準年に対する排出削減比率<Scope1+2,3排出量>、再生可能エネルギー導入比率を指標として管理しています。なお、2022年度の主な実績については、本有価証券報告書提出日現在においてデータ収集及び一部のデータにおいては、第三者審査機関による審査の過程にあるため、以下では2021年度の主な実績を記載しております。
<Scope1+2,3排出量>
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項目 |
GHG排出量実績(2021年度) |
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Scope 1 |
68千トン-CO₂ |
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Scope 2(Location-based) |
524千トン-CO₂ |
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Scope 2(Market-based) |
422千トン-CO₂ |
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Scope 3(Category 1) |
1,207千トン-CO₂ |
|
Scope 3(Category 11) |
3,142千トン-CO₂ |
<目標と実績(2021年度)>
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項目 |
目標 |
実績 (2021年度) |
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自らのGHG排出量削減(注1) |
短期 |
2021年までに33.6%削減(注2) |
環境行動計画 |
37.2%削減 |
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中期 |
2030年までに71.4%削減(注2) |
SBT1.5°認定 |
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長期 |
2050年までに80%削減(注2)(注3) |
SBT認定 |
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バリューチェーンのGHG排出量削減(注1) |
中期 |
2030年までに30%削減(注4) |
SBT認定 |
46.9%削減 |
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再生可能エネルギー導入比率 |
中期 |
2030年までに40%導入 |
RE100加盟 |
20%導入 |
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長期 |
2050年までに100%導入 |
RE100加盟 |
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(注)1.2013年比
2.Scope1+Scope2
3.クレジット含まず
4.Scope3 Category1+Category11
(3)人的資本及び多様性
サステナブルな企業として、社会に価値を提供していくための最大の経営資源、そして顧客価値の源泉は「人」です。多才な人材が、エンゲージメント高く、一人ひとりのウェルビーイングを実現しながら、社会やお客様の課題を解決するためにパーパスを共有して俊敏に集い、社会のいたるところでイノベーションを創出する、そのような組織風土づくりを推進しています。
①ガバナンス
富士通グループは、事業戦略の実行に連動した最適な人材ポートフォリオを実現するため、当社代表取締役社長及び代表取締役副社長等の経営トップが参加する「人材戦略討議」を年2回開催し、人事・人材育成に関する具体的な課題や施策に関する検討、決定を行っています。また、人的資本や多様性を含めた人事・人材育成に関わる事項のうち重要なものについては経営会議及び取締役会に報告されます。
加えて、トップタレントレビューを年3回開催し、グローバルレベルで重要なポジションにおけるサクセッションプランニングの検討状況の共有や個別アポイントメントの検討、また経営者育成に向けた施策に関する議論を実施しています。
これらの活動は、CHROを責任者として、国内外の人事・人材開発育成責任者と連携して進めています。具体的には、Japanリージョン、Europeリージョン、Americasリージョン、APACリージョンにそれぞれ執行責任者を配置しています。
加えて、グローバルHRカンファレンスを年2回開催し、グローバルレベルでの人事戦略、人事施策の検討、各リージョンにおける人事施策の進捗状況や課題の共有等を実施しています。
②戦略
「多才な人材が、エンゲージメント高く、一人ひとりのウェルビーイングを実現しながら、社会やお客様の課題を解決するためにパーパスを共有して俊敏に集い、社会のいたるところでイノベーションを創出する企業」を実現するため、以下3つの状態を目指しています。
“Empowerment”
多様性を享受しオープンかつエンゲージメントの高い、信頼を基にした強固な文化を醸成します。
“Growth”
常にすべての従業員が魅力ある仕事に挑戦し、学び、成長する機会を提供します。
“Impact”
国境や組織の枠組みを越えてコラボレーションし、ビジネスと社会に強いインパクトをもたらす多様性あふれる集団を形成します。
上記を実現するために、2022年度は主に以下の取り組みを進めました。
(ⅰ)ジョブ型人材マネジメントの拡大と事業戦略にアラインした人材ポートフォリオの策定
当社グループ(日本)においては2020年4月に幹部社員、また2022年4月に全社員にジョブベースの人材マネジメントの考え方を導入し、グローバル統一の人材マネジメントをジョブベースに移行しました。
すべての事業部において策定された中長期ビジョンに合わせた人材ポートフォリオと人材要件が定義され、戦略実現に向けた人材獲得を進めています。従来の高度専門人材制度の改定を実施したことで、重点領域である3S領域(SAP, Salesforce, ServiceNow)の高度専門認定人材の認定数についても、前年度比倍増の57名を輩出し、より直接的なビジネス貢献につながっています。
また、新卒採用においてもジョブベースの採用を加速しており、面接時より配属先を約束する採用形態や、インターンシップの活用により入社後のミスマッチを防ぐ取り組みを展開しています。(2022年度新卒採用実績765名が入社)
加えて中途採用も積極的に実施しており、2022年度は中途入社者が新卒入社者よりも多くなり、ビジネス戦略実現に向けたタイムリーな人材獲得も進めています。(2022年度中途採用実績818名が入社)
さらに、中長期的なグローバルでの企業競争力のさらなる向上を目指して、2023年度より新卒入社者から幹部社員にわたる国内社員の月額賃金を平均で10%、最大で28%引き上げを実施しました。年収ベースでは平均で7%、最大で24%の引き上げとなり、リーダークラスの人材においては年収約1千万円以上、事業部長クラスの人材においては年収約2千万円から3千万円程度となります。
新卒者においても月額賃金を10%引き上げます。これにより、今後の企業価値向上の中核を担う人材の定着・獲得を図るとともに、即戦力人材やデジタルネイティブとして高いポテンシャルを持つ人材の獲得を一層推進します。
(ⅱ)ジョブポスティングの拡大とキャリアオーナーシップの実現
当社グループの人事戦略において、極めて重要な施策に、現有の社内人材の流動化があります。自律的な手上げ方式による社内ジョブポスティング制度を最大限活用し、年間3,419名が自らのキャリアオーナーシップのもと、キャリアチェンジを実現しています。
この取り組みは、2022年よりグローバルポジションにも拡大し、グローバルレベルでの人材流動も活発となり、適所適材が実現されています。
また、自らオーナーシップを持ち、主体的に行動を起こしていくための各種プログラムを多数提供しています。多様な人とキャリアを語る場の「キャリアCafé」は日本の社員の4人に1人が参加しています。また、個人の「今」のキャリアオーナーシップの状況を診断することができるキャリアオーナーシップ診断は2022年度に導入し、既に日本の社員の5人に1人が活用しています。学びの機会としてのUdemy Businessは日本の社員の2人に1人が活用しており、自律的な学びの文化が醸成されつつあります。
加えて、プログラムの提供だけでなく、職場・社員のキャリア形成を支援する専門家を社内に設置することで一人ひとりのチャレンジを後押しする取り組みも進めています。(2022年度相談実績1,128名)
(ⅲ)グローバル共通の評価制度「Connect」の導入
2021年4月より、当社グループ13万人が自律的に考え、行動を起こしていくためにグローバル共通の評価制度「Connect」を導入しました。
「Connect」は従来の単なる目標管理にとどまることなく、当社のパーパス/組織ビジョン実現に向け、Impact(インパクト)、Behaviours(行動)、Learning & Growth(成長)を三つの新たな評価軸として導入することで、行動規範とも一貫した形での体系的な評価の実施を可能としました。
さらに「Connect」は、「パーパスドリブン経営の実現」と「一人ひとりのチャレンジを促すこと」を志向しています。社員一人ひとりを中心に据え、パーパスやFujitsu Way、組織ビジョン、個人の成長ビジョン、そしてすべての人事施策をつなぎ合わせることによって組織や個人の成長/パフォーマンスの最大化を実現するコミュニケーションツールとして活用されています。
(ⅳ) エンゲージメント向上の取り組み
当社グループの持続的な成長を測る1つの指標として、2020年度より社員エンゲージメントを非財務指標に設定し、グローバル企業と同等の数値(75)に引き上げることを目標に掲げ、様々な取り組みを推進しています。
取り組みの一つとして、「Purpose Carving」が挙げられます。「Purpose Carving」は社員一人ひとりが歩んできた道のりや大切にしている価値観を振り返り、未来に向けて想いを馳せながら、個人のパーパスを彫り出していくプログラムです。2022年9月時点で、約7万人の社員が個人のパーパスを言葉にし、当社のパーパスとの重なり合いを変革の原動力としています。
また、社員の主体的なチャレンジや成長支援を促す対話の場として幹部社員と社員による1on1を推進しており、2022年度は社員一人当たりにつき、年間平均9.4回1on1を実施している状況です。
(ⅴ) DE&Iの実現に向けた取り組み
5つの重点領域(注1)の1つであるジェンダーはあらゆる企業にとって経営戦略上必須の課題となっており、当社グループにおいても各リージョンで施策を推進してきた結果、リーダーシップレベルにおける女性比率は2022年度末時点で15.0%を達成、さらなる向上を目指し、2025年20%のKPIを策定し、2023年度から当社グループの非財務指標としての設定も行いました。
新たに設定した上記KPIの達成に加え、多様な人材一人ひとりが異なる価値観や能力を活かし合える環境・カルチャーを実現するため、「マインド改革(注2)」、「ポジティブアクション(注3)」、「Work Life Shiftの推進を通じた働く環境の整備」等、多様な取り組みを推進しています。
(注)1.2022年に「Global DE&I Vision & Inclusion Wheel」を刷新し、その中でジェンダー、世代間、LGBTI+、文化・民族、健康・障がい・アクセシビリティの5つを当社の重点領域として設定
2.マインド改革とは、能力のある人が、適切な場所で自然に活躍できる状態を実現するための各種制度運用、データ活用を意味します(例:アンコンシャスバイアス研修、インクルーシブリーダー研修、エンゲージメントサーベイの活用)。
3.ポジティブアクションとは、ありたい姿に向けた意図的な採用・育成・登用施策を意味します(例:コミュニティの充実、メンター制度、キャリア支援)。
(ⅵ) Well-beingの実現に向けた取り組み
当社グループでは、パーパスの実現に向けて、グローバルで社会的責任を果たしていくため、「グローバル レスポンシブルビジネス(GRB)」という枠組みを確立し、その中でも事業活動の源泉である人に焦点を当てた"Well-being"は最重要課題の1つと位置づけています。(GRBの制定経緯及び取り組みについての詳細は上記
当社では“Well-being”の定義を「仕事もプライベートも、自分自身が大切にしている価値観に向き合い、自身の未来の幸せに日々向かっている状態」と定めました。一人ひとりのWell-being向上に向けて以下4つのカテゴリにまとめ、各カテゴリごとに方針を定めてグローバルで活動を実践しています。
Career & Growth Well-being:社員がキャリア実現のために自ら学び、成長し続けること
Financial Well-being:役割や貢献に応じた、適正で公正な報酬(心理的報酬を含む)が得られること
Social Well-being:職場の仲間、取引先やお客様との信頼関係や、良好な人間関係を構築、維持すること
Health Well-being:社員が自身や家族の心身の健康を維持・増進すること
Well-beingの2025年度目標として、「社員一人ひとりが自分のWell-beingを理解し、語ることができること」を目指しており、その実現に向けて「Well-beingの理解・浸透施策の展開」と「データドリブンな可視化と分析」についての取り組みを重点的に推進しています。
③ リスク管理
人的資本を含むリスク管理プロセスは、リスクマネジメント・コンプライアンス体制によるプロセスに組み込まれています。詳細については、「
また、CHROを人事部門の最高責任者として、全社経営・事業戦略とアラインした人材戦略を策定して事業への貢献を確実なものとするため、”経営トップが参画する『人材戦略討議』”、”中核人材の育成を目指す『トップタレントレビュー』”、”グローバルで一気通貫の人事戦略・施策を促進する『グローバルHR カンファレンス』”において人的資本に関する議論のサイクルを定期的に回すことで、優秀人材の離職や人材獲得競争が激化するリスクにスピーディに対応できる体制を構築しております。
④指標及び目標
組織・人材の流動化、活性化の観点において重要とされる、新卒/中途採用、従業員エンゲージメントスコア、女性管理職比率について、それぞれ中長期的に目標を定めマネジメントしております。
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指標 |
目標 |
2022年度実績 |
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23年度新卒採用数 |
750名程度 (注1) |
765名 (注1) |
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22年度中途採用計画数 |
300名以上 (注1) |
818名 (注1) |
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従業員エンゲージメントスコア |
25年度12月までに75 (注2) |
22年度12月時点で69 (注2) |
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管理職に占める女性労働者の割合 |
25年度までに20.0% (注3) |
15.0% (注3)(注4) |
(参考)人事戦略に関する指標
人事戦略の重要なテーマに関する参考指標は、以下のとおりです。
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指標 |
2022年度実績 |
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高度専門人材認定者数 |
全体78名(2021年度比32名増)(注1) |
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3S領域 |
57名(2021年度比32名増)(注1) |
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社内ポスティング異動人数 |
3,419名 (注2) |
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キャリアCafé参加者数 |
8,296名 (注2) |
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Udemy Business利用者数 |
36,764名 (注2) |
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キャリアオーナーシップ診断 |
15,187名 (注2) |
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Connect評価 |
富士通全社員がConnect評価の運用を開始 (注3) |
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「Purpose Carving」実施者(22年度9月時点) |
約7万人 (注3) |
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1on1平均実施回数 |
一人当たり年間平均9.4回実施 (注2) |
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全従業員に占める女性社員比率 |
24.8% (注3) |
(注)1.提出会社のみ
2.日本の連結対象会社のみ
3.富士通グループ全体の数値
4.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)又は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)における算定方法による算出
[方針・推進体制]
当社グループは、事業継続性、企業価値の向上、企業活動の持続的発展を実現することを目標とし、その実現に影響を及ぼす不確実性をリスクと捉え、これらのリスクに対処するために、取締役会が決定した「内部統制体制の整備に関する基本方針」に基づき、取締役会に直属し、グループ全体のリスクマネジメント及びコンプライアンスを統括する「リスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。リスク・コンプライアンス委員会は、代表取締役社長(CEO)を委員長として業務執行取締役等で構成しており、当社グループに損失を与えるリスクを常に評価、検証し、認識された事業遂行上のリスクについて、未然防止策の策定等リスクコントロールを行うとともに、リスクの顕在化により発生する損失を最小限に留めるため、顕在化したリスクを定期的に分析し、取締役会等へ報告を行い、再発防止に努めております。
内部統制体制におけるリスク・コンプライアンス委員会の位置づけ
また、リスク・コンプライアンス委員会は、グローバルな地域に基づく業務執行体制の区分であるリージョンごとに、下部委員会としてリージョンリスク・コンプライアンス委員会を設置し、国内外の部門やグループ会社、リージョンにリスク・コンプライアンス責任者を配置するとともに、これらの組織が相互に連携を図りながら、グループ全体でリスクマネジメント及びコンプライアンスを推進する体制を構築しております。
リスクマネジメント・コンプライアンス体制図
さらに、グループ全体のリスク管理機能強化のため、事業部門から独立した代表取締役社長直下の組織である全社リスクマネジメント室にリスク・コンプライアンス委員会事務局機能を設置し、CRMO(Chief Risk Management Officer)の下、リスク情報全般の把握と迅速かつ適切な対応を行っております。
これまでの取り組みを踏まえ、さらなる施策強化と実効性の担保を図るためには、これまで以上に経営者主導による全社的、組織横断的な対応が必須であると考え、当社グループ全体の品質責任者として最高品質責任者(Chief Quality Officer:CQO)を新たに任命することといたしました。さらに、CEOが委員長を務める当社リスク・コンプライアンス委員会の体制・機能を拡充し、恒常的・全社的な対応を実現する体制に強化いたします。
具体的には、これまで当社グループに関する重要なリスク・コンプライアンスについての審議の場であった同委員会のメンバーに新たに任命したCQOを加えるとともに、情報セキュリティ、システム品質に関する全社的な施策および個別事象への対応も含め、具体策まで踏み込んで決定し、迅速に実行する体制といたします。こうした体制を構築することで、CISO・CQOに対してこれまで以上に強化した権限を付与し、人事制度や投資リソース等その他の各CxOの領域を含む全体を統括する、CEO主導によるリスクマネジメント経営を徹底してまいります。また、施策実行の迅速性と実効性を担保するため、同委員会を毎月開催することといたします。
[潜在リスクマネジメントプロセス]
当社グループを取り巻くさまざまなリスクから、事業活動に伴う重要リスクの抽出・見直しをしたうえで、毎年、重要リスクの発生可能性・影響度・対策状況等について調査・分析・評価し、可視化を行っております。
評価結果を基に、リスク・コンプライアンス委員会において重要リスクを確認し、更なる対策等を指示するとともに、取締役会に報告しております。リスク・コンプライアンス委員会が決定した方針、対策等をグループ全体にフィードバックし、重要リスクごとに定めたリスク管理部門がグループにおける対策等を適切に管理することでリスクの低減を図っております。
なお、潜在リスクマネジメントプロセスにおいて得られた情報は、ステークホルダーに開示する有価証券報告書やサステナビリティデータブック等に反映しております。
このようなプロセスを実施することにより、グループ全体のリスクの低減と顕在化した際の影響の極小化を図っております。
リスクマネジメントプロセス
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日(2023年6月26日)現在において当社グループが判断したものです。なお、以下の内容は、当社グループの全てのリスクを網羅するものではありません。また、各リスクにおける対策の実施にもかかわらず、全てのリスクの発生を未然に防止できない可能性があります。
Ⅰ.経営方針・経営戦略等との関連性
当社グループは経営目標の達成に向けて「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載された様々な施策を進めてまいりますが、これらの施策に直接影響を与える可能性のある主なリスクとその対策は、以下の(1)~(6)、(8)、(11)、(13)において、経営方針・経営戦略との関連性も考慮して記述しております。
Ⅱ.当社グループの事業活動におけるリスク
(1)経済や金融市場の動向に関するリスク
①主要市場における景気動向
[リスクの概要と影響]
当社グループは、日本国内及び世界各国で、政府等の公共機関や企業等に、ICT分野において各種サービスを提供しております。また、事業ブランドであるUvanceビジネスは、グローバル共通の戦略として展開しております。これらの事業の売上及び損益は、景気動向及び各市場における急激な需給バランスの変化に大きく左右されます。特に、主要市場である、日本、欧州、北米、オセアニア、中国を含むアジアにおける景気動向及び急激な需給バランスの変化は、当社グループの事業に影響を与えます。
[対策]
急激な市場の変化に対応するため、グループ全体の戦略や事業ポートフォリオの方針を明確化するとともに継続的な構造改革を行うことで、リスクの低減を図っております。
②為替動向と金利変動及び資本市場の動向
[リスクの概要と影響]
当社グループは、海外での事業拡大を進めております。そのため、急激な為替変動は、海外に輸出提供する製品・サービスの価格競争力の低下や、海外からの部材等の輸入に影響を及ぼす可能性があり、海外ビジネスの売上及び損益に大きく影響します。海外に保有する資産・負債等についても、資産等が目減り、または負債等が増大する可能性があります。
さらに、有利子負債の中には金利変動の影響を受けるものが含まれているため、金利上昇により支払利息や調達コストが増加する可能性があります。
また、国内外の株式市場の動向は、保有する他社株式の評価額及び年金資産の運用状況に大きく影響を及ぼし、株式市場が低迷した場合、保有株式の評価減や、年金資産の目減りによる会社負担増大のおそれがあります。
[対策]
為替変動等の金融市場環境に関する情報収集や動向注視、金融機関動向の分析等を行いながら必要に応じて為替予約等のヘッジを実施しております。また、グループ全体に情報共有を行うとともに、影響の最小化を図っております。
(2)お客様に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループのビジネスは、日本政府、自治体、各国政府等の公共機関、情報通信事業、金融業、製造業、流通業、ヘルスケア産業等のお客様との取引割合が高く、また、海外ビジネスにおいては、各国における政府系のプロジェクトが重要な事業となっております。お客様の政策・方針や、業界の経営環境、市況変化、業界再編の動き等は、お客様のICT投資動向の変化につながり、お客様のICT投資計画やその見直し及びお客様の製品・サービスの売れ行き等は、当社グループの製品・サービスの需要や価格に大きな影響があります。また、お客様との信頼関係や、取引または契約関係が継続できない場合、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。
また、新型コロナウイルス感染症は、世界中の様々な業種のお客様に大きな影響を及ぼしており、これによりお客様の投資が抑制される一方で、テレワークやオンライン教育等の新たなICT関連需要が生じております。このような環境変化は、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、社会的な課題解決を念頭に置いた事業活動を行うとともに、市場動向、技術動向、お客様の状況の変化を注視しており、お客様のかけがえのないパートナーとなり、ICTのライフサイクルにわたるソリューションを提供し、長期的な信頼関係を築くことを目指しております。当社グループは、お客様を取り巻く環境変化に対して多様な業種への実績、理解とデジタルテクノロジーを活用し、人とデータを中心とした新たな生活様式を築いていく役割を果たしております。
(3)競合・業界に関するリスク
[リスクの概要と影響]
市況の変化や競争激化、技術革新等は、製品・サービスの価格下落につながる可能性があります。そのため、想定を上回る価格下落が生じた場合や、調達価格が大幅に変動した場合等には、十分なコストダウンや販売拡大を実現できず、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。
また、ICT業界では、既存の競合他社に加え、異業種を含めた新規参入者との競争も激しくなっています。現在、競争優位性を持っている分野においても、新規参入業者を含めた競合他社との競争に晒され、将来の事業において優位性を確保できない可能性があります。ICT業界では技術の進歩が大変速く、新製品や新技術であっても急速に陳腐化します。これらの技術開発競争で他社に優位性を奪われた場合、シェアや利益率が低下し、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、技術の進歩や競争激化等による製品・サービスの低価格化を想定し、社会動向に基づいた課題を洞察するとともにお客様のニーズや他社状況を把握し、競争力のある製品・サービスのラインナップを拡充することで販売拡大に努めるとともに、コストダウンに取り組んでおります。
また、競争力維持のためには、先端技術の研究開発を続けることが必要です。当社グループは適切な研究開発への投資を実行することで、当社グループ事業の強み、競合他社等との差異を明確にし、技術やサービスの優位性を確保するよう、努めております。
(4)投資判断・事業再編に関するリスク
[リスクの概要と影響]
ICT業界においては、競争力維持のために多額の研究開発投資、設備投資及び事業買収・売却、事業再編等が必要な場合があります。
当社グループが有望と考えた市場や技術、買収先が想定ほど成長しない場合や、需給悪化や価格下落が予想以上に早く発生した場合には、投資から十分なリターンを得られず、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、投資や事業再編にあたり、市場動向やお客様のニーズ、当社グループの技術の優位性、買収先の業績、当社グループの事業ポートフォリオ等を勘案するとともに、投資効率を検証し、評価指標とプロセスを定め、所要変動に応じて投資を複数段階に分けることやお客様等と提携することで、リスクの低減を図っております。
(5)調達先・提携等に関するリスク
①調達に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループが提供する製品・サービスは最先端の技術を使用しており、汎用的ではない部品や希少性の高い原材料等を使用することがあります。そのため、一部の部品・原材料等については、安定的な調達が困難な場合や、代替の調達先を確保できない場合、大量に調達が必要な部品・原材料等について、必要な量を調達できない可能性があります。また、お取引先において、自然災害、感染症の流行、事故、経営状況の悪化等が発生した場合は、当社グループに対する部品・原材料等の安定的な提供が困難になります。さらに、世界中で発生する異常気象やそれに伴う災害、国際情勢の不安定化等、部品・原材料等の安定的な調達に影響を及ぼす事象は増加傾向にあるため、部品・原材料等を十分に確保できない場合、製品・サービスの提供が遅れ、お客様への納期遅延や機会損失等が発生する可能性があります。
当社グループの調達部品等については、為替動向や需給逼迫等により調達価格が当初の見込みを上回り、製品・サービスの利益率の悪化や、値上げによる売上の減少が起きる可能性があります。
また、できる限り品質確保に努めておりますが、購入品の不良を完全に防げない場合には、納期遅延や製品不良が発生し、機会損失、修理回収費用、不良品廃却費用、お客様への賠償責任等が発生する可能性があります。
[対策]
当社グループでは、部品単位での製造拠点・調達先対策状況調査や、調達のマルチソース化、お取引先への事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)の働きかけ、支援の強化、及び適正な在庫の確保等をすることで、サプライチェーンの維持に努め、リスクの低減を図っております。
②提携・アライアンス・技術供与に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループは、グローバルなICTビジネス環境における競争力強化のため、業務提携、技術提携、合弁等の形で、多くの会社と共同で活動を行っておりますが、経営、財務、その他の要因により、協力関係を成立、または、継続できない場合や、これらの協力関係から十分な成果を得られない場合があります。当社グループの製品・サービスは、他社の許諾を受けて使用している多くの特許や技術、ソフトウェア、商標等を前提としておりますが、これらの技術等について、今後、当社グループが許容できる条件で、他社からの供与や使用許諾を受けられない場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、業務提携、技術提携、合弁等で他社との関係を構築する際、リスクを的確に認識・評価した上で契約条件等への反映を行うとともに、継続的なモニタリングを行うことで、当社グループへの影響を最小限に抑えるよう努めております。
(6)公的規制・政策・税務に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループは、グローバルにビジネスを展開しているため、各国・各地域の数々の公的規制、政策動向、税務法制、運用等の影響を受けます。事業展開する各国・各地域において、政府の政策、事業及び投資の許可、輸出入に関する制限等のさまざまな規制並びに、独占禁止、知的財産権、消費者、環境・リサイクル、労働条件、派遣・下請、租税等に関する法令の適用を受けております。
さらに、昨今の国際情勢は、各国・各地域の政策に影響を及ぼしており、特に、経済安全保障に基づく企業活動への規制が強化される傾向にあります。このような政策の変更や規制の強化は、当社グループが対象としている市場やサプライチェーン等に影響を及ぼし、対応コストの増加や仮に強化された規制等の違反が認定された場合の制裁金等の負担が発生する可能性があります。
また、当社グループがソリューションを提供する分野には、通信、医療、工事、個人情報の取扱い等、公的規制を受ける領域があるため、これらの市場における規制の動向が当社グループの事業へ影響を与える可能性があります。
[対策]
当社グループでは、各省庁や業界団体等から情報収集し分析を行うことで、各国・各地域における規制や政策の動向を注視しております。また、経済安全保障分野においては、規制が厳しくなる方向であると捉えており、国内外の規制動向、さらには政府・企業の動向も注視し対策を実施しております。
(7)自然災害や突発的事象発生のリスク
①自然災害・感染症・火災等に関するリスク
[リスクの概要と影響]
近年、世界的な気候変動により、台風・水害・大雪等の自然災害の発生頻度や影響度は高まっております。また、首都直下・南海トラフ等における巨大地震、感染症のパンデミック、火山噴火等の不測の事態は、被害想定を超えた規模で発生する可能性があります。このような事態が発生した場合、事業所の機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、部材メーカーからの部品供給の不足や遅れ、サプライチェーンへの被害等により、お客様へのサービス提供や製品出荷の停止等、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、防災に関する強固な連携体制の構築と事業継続対応能力強化を図るため、全社防災組織を編成し、様々な訓練を実施しております。また、過去の地震における対応を教訓として、事業所における耐震・浸水対策や定期点検の取り組みについても強化しております。さらに、地震や大規模な水害、火山の噴火等の自然災害、新型インフルエンザ等の感染症の流行、火災・爆発等の発生時にも、重要な事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するとともに、お客様が必要とする高性能・高品質な製品・サービスを安定的に供給するために、事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)を構築するとともに、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定や継続的な見直し及び改善を行っております。
また、新型コロナウイルス感染症の経験をふまえて、お客様、お取引先、従業員とその家族の安全確保を最優先とし、お客様への製品・サービスを継続して提供する体制を構築することにより重要な事業を維持し、社会的責任を遂行できるよう努めております。
②紛争・テロ・政情不安等に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループは、グローバルにビジネスを展開しているため、各国・各地域において、紛争・テロ・デモ・ストライキ・政情不安等が発生した場合、当社グループの事業に大きな影響を与える可能性があります。また、従業員等が巻き込まれ、安全が脅かされる可能性があります。
[対策]
各国・各地域におけるリスク情報の収集を行い、関係者間で共有するとともに、従業員の緊急連絡体制を構築し従業員の安全管理を行う等、情勢を見極めながら、ビジネスを継続するよう努めております。
(8)財務に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループに対して外部の格付け機関が発行する格付け(CSR・サステナビリティ関連の格付けを含む)は、資金調達や企業レピュテーションに大きな影響を及ぼすとともに、お客様やお取引先と取引する際の信用情報として使われることがあります。収益計画の未達や財務状況の悪化等の理由によりこれらの格付けが引き下げられた場合、当社グループの資金調達に影響を及ぼすほか、入札等、取引参加において不利になる可能性があります。また、お取引先の経営悪化や経済情勢の悪化等の信用不安等は売掛債権の回収に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、資金調達に関する対策として、流動性の確保、資金調達計画の策定、金融市場動向の分析等を行っております。また、与信管理に関する対策として、与信管理関連部門による意見交換、及び外部機関の企業信用調査情報等の関連部門との共有と動向監視、債権保全に関するアドバイス・指示及び注意喚起の実施等を行い、リスクの低減を図っております。
(9)製品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループでは、品質を事業活動の根幹に関わる事項として捉え、快適で安心できるネットワーク社会を支えるために、その維持・向上に日々たゆまず取り組んでおります。
システムの受託開発や製品・サービスの運用・保守業務、製品の設計・開発・製造において、お客様要求の高度化、システムの複雑化が進み、開発難度が高まり、製品の欠陥や瑕疵等が発生する可能性があります。また、競争の激化による価格低下により、納期遅延や不採算プロジェクトが発生する可能性があります。このような製品・サービスの欠陥、瑕疵等が発生した場合、製品回収や補修、システムリカバリー作業や、お客様への補償、機会損失等が当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。
また、万一、欠陥や瑕疵等への対応における判断誤りや組織的な不正があった場合、企業レピュテーションは低下し、当社グループの損益への影響を拡大させる可能性があります。
[対策]
システムの受託開発では、品質管理の全社ルールを定め、ソフトウェアのモジュール化、開発の標準化、セキュリティ監査等による品質向上に努めております。また、お客様との契約のあり方を見直すとともに、ビジネスプロデューサー・SEのビジネスプロセスの標準化を進め、商談発生時からプロジェクトの進行を通じてリスク管理を行い、納期遅延や不採算プロジェクトの発生を抑制しております。併せて損失の引当ても適時に実施しております。
製品・サービスの運用・保守業務では、安定稼動のため、お客様と協働での点検や品質、契約、ルール等を改善する活動を継続的に行っております。
製品の設計・開発・製造では、品質管理の全社ルールを定め、関連法規の遵守・最新基準への適合、品質の向上及び外部購入品の品質管理を進めております。
また、重大障害の抑止に向けて、全社的な品質保証体制強化のため、事業部門ごとの品質保証プロセスに加え、社長直轄組織による各プロセスの有効性の監視や、部門間での知見・ノウハウを共有する横断的な仕組みの導入・改善を進めております。
(10)コンプライアンスに関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループは、グローバルにビジネスを展開しており、国内外の関連法令・規制等を遵守する必要がありますが、これらの関連法令・規制等に抵触する事態が発生した場合、多額の課徴金や損害賠償を請求される可能性があります。昨今、欧州において人権に関するデューデリジェンスが義務化される等、人権尊重への取り組みが一層強く求められるように変化しており、当社グループはもとより、サプライチェーン上での労働環境や紛争鉱物等の人権に関するリスクを防止・低減できない場合、ビジネス機会の損失や、行政罰等により当社グループの社会的信用の失墜に繋がり、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。また、普及が進んでいるAI技術を利用したビジネスにおいて人権を侵害する事象が発生した場合、損害賠償等や当社グループの社会的な信用が低下する可能性があります。
[対策]
当社グループは、Fujitsu Wayにおいて、当社グループの従業員として厳守すべきことを行動規範(人権の尊重、法令遵守、公正な商取引等)として定めるとともに、これを詳細化して個々の従業員が行動する際のガイドライン(GBS:Global Business Standards)をグループで統一的に運用し、社内ルールの浸透と徹底、規範遵守の企業風土の醸成を図っております。また、そのための社内体制や仕組みの構築を推進するため、経営層からのトップメッセージの発信や定期的なe-Learningの実施等を行っております。「人権の尊重」においては、2021年度以降、グループの全従業員向けに「ビジネスと人権」に関するe-Learningを実施し、2022年度においては、人権デューデリジェンスのプロセスである人権影響評価を実施いたしました。最新の国際動向をふまえて、人権に関するリスクを整理し、重要性・事業関連性から優先課題を特定し、この評価を基に、当社グループの人権方針を改定し、当社グループやサプライヤーへの周知を行っております。
また、AIビジネスにおいては、AIへの「信頼」の維持・確保のために、当社グループのAI倫理指針である「富士通グループAIコミットメント」に基づき実践的なAI倫理ガバナンス体制を構築しております。
(11)知的財産に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループでは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積しておりますが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の地域では法的な制約のために知的財産としての十分な保護が受けられない場合があります。そのため、他社が当社グループの知的財産を使って類似製品等を製造、販売することを効果的に防止できない可能性があります。他社が類似、またはより優れた技術を開発した場合、当社グループの知的財産の価値が低下することがあります。また、当社グループの製品・サービスや技術について、他社の知的財産を侵害している、あるいはオープンソースソフトウェアを含む第三者のソフトウェアの利用形態が許諾条件に沿わないとされ、使用料支払いや設計変更費用等が発生した場合、当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。
従業員の発明に対する職務発明補償・報奨については、発明者から訴訟を提起される可能性があります。
[対策]
当社グループでは、他社の知的財産を侵害することのないよう、社内規程の整備や製品出荷前の他社知的財産調査の徹底等を行うとともに、他社による当社グループ知的財産の不正利用の調査と是正対応を行っております。
従業員の発明に対しては、法令等に基づいた職務発明補償・報奨を積極的に実施しております。
(12)セキュリティに関するリスク
①情報セキュリティに関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループは、コンピューターウイルスの侵入や不正アクセス等のサイバー攻撃による社内ネットワーク・システムの運用停止や情報漏洩、不正利用等を完全に防げるとは限りません。万一、情報漏洩により個人の権利・利益を侵害した場合やお客様の情報を漏洩した場合には、当社グループの信用は低下するとともに、個人情報保護法やGDPR等の法令違反による罰金や制裁金が科されるおそれがあります。
また、これらのリスクは当社グループのサプライチェーン上でも発生する可能性があります。委託先におけるセキュリティリスクが顕在化した場合、お客様や当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
お客様、お取引先、または当社グループの機密情報や個人情報の保護については、情報保護マネジメントシステム運用の強化を図り、社内規程の制定、従業員への教育、現場点検、監査、業務委託先も含めた指導等を実施しております。
また、当社グループの重要な事業活動基盤の一つである社内ネットワークにつきましては、ゼロトラストを実現するべく、IT基盤の特性に合わせて対策を講じています。標的型攻撃対策として不正アクセス対策やマルウェア対策に加え、デバイス管理、ID管理、データ漏洩対策を組み合わせた認証・認可基盤を構築し、巧妙化・多様化・複雑化するサイバー攻撃への対策を実施しております。
さらに、委託先におけるセキュリティリスクへの対処として、制度・セキュリティ強化の両面からサプライチェーンのセキュリティ強化施策を進めております。
②物理セキュリティに関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループは、敷地・建物・フロアの3層において物理セキュリティ環境を構築していますが、物理的な破壊による業務停止や情報漏洩等を完全に防げるとは限りません。このようなリスクが顕在化した場合、機密情報の漏洩や企業ブランド価値の毀損、ビジネス機会の喪失等、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループは、敷地・建物・フロアの3層において「人的警備」と「機械警備」を組み合わせた物理セキュリティ環境を構築しています。さらにより高度な物理セキュリティ環境を構築するために、なりすましを防ぐことが可能な静脈認証装置を組み合わせたセキュリティゲートを社内展開しています。
(13)人材に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループの成長と利益は、人材に大きく依存するため、経営者、優秀な高度専門技術者等、必要とする人材を採用及び育成するとともに、人材が継続して働くことができる環境を整備することが重要です。人材を採用または育成することができない場合、流出を防止できない場合や重大な労務問題が発生した場合は、当社グループの成長や利益に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、高度専門技術者に対する個別処遇やジョブ型人事制度等、多様性やチャレンジを尊重する組織風土を醸成するための人材制度改革を行うとともに、適切な労務管理を徹底することにより、優秀な人材を確保し活躍し続けられる環境を整備しております。
(14)当社グループの施設・システムに関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループでは、国内外に事業所・工場・データセンター等の様々な施設を保有・賃借するとともに、他社ベンダーのクラウドサービスを活用しております。地震、大規模な水害、火災、放射能汚染等の災害や感染症、テロ、デモ、ストライキ、施工品質の不足、運用ミス等が発生した場合、生産ラインの停止や、施設、社内基幹情報システム等の運用停止により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、社内基幹情報システム等においては、24時間365日体制によるシステム監視と運用体制を構築しています。また、いずれの施設・サービスについても、各国の建築基準その他の規制に準拠した独自の安全基準を設け、リスクの低減を図っております。
(15)環境・気候変動に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループでは、パーパスとして、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくことを掲げており、環境を含むサステナビリティ課題への対応を経営の最重要事項の一つと位置付けています。しかし、事業活動を通じて環境汚染等が発生した場合、当社グループの社会的な信用低下や、浄化処理等の対策費用発生等により損益に影響を及ぼす可能性があります。
また、近年、気候変動等により発生頻度・影響度が増大した自然災害は、調達・物流・エネルギー供給網を寸断し、気温の長期的な変化は空調エネルギー使用量の増加を招き、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。現在、世界各国が2050年までにカーボンニュートラルを目標に掲げていく中で、機関投資家も気候変動への取り組みを投資基準とする等、社会・経済のカーボンニュートラルへの流れが加速しています。温室効果ガスの排出量の規制強化や炭素税の導入に加え、顧客や社会のカーボンニュートラルへの貢献が求められていますが、これらの規制等に適合できない場合、企業レピュテーションの低下によるビジネス機会の損失や、規制への適合を条件とする入札に参加できなくなる可能性、規制適合のためのコストが増加する可能性があります。さらに、カーボンニュートラルに向けた技術開発競争が激化し、対応が遅れた場合、投資未回収や市場シェア及び利益率の低下に繋がり、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、法律・条令等に基づき社内規程を整備し環境負荷の低減や環境汚染の発生防止等に努めています。エネルギー使用量においては、環境パフォーマンス管理システムによる事業所のエネルギー使用量の把握を行うとともに、電力においては、社内の調達電力システムを活用し、各社の電力料金の比較・分析を行い、契約電力のコストやCO2排出量等の最適化を図っています。排水・排ガスにおいては、関連法律・条例等の排出基準よりも厳しい自主管理値を設定し、定期的な測定により数値の監視を行っています。また、当社グループ工場跡地では、土壌や地下水の調査及び浄化活動を行っています。
さらに、主要な外部評価の評価基準を分析し、環境経営の評価軸に組み込んだ情報開示、環境パフォーマンス向上を狙いとした改善を図るとともに、グローバルな環境リーディング企業として社会的責任を果たすために、気候変動対策としてパリ協定の1.5℃水準に沿った温室効果ガス排出量削減と顧客や社会のカーボンニュートラルを戦略的に推進しています。また、顧客や社会のカーボンニュートラルに貢献するため、効率的な環境価値取引のエコシステムの構築を目指す新たなプロジェクトを開始し、企業や国を超えたCO2削減量等の環境価値取引市場に対して、ブロックチェーン技術やカーボンニュートラル関連技術に基づく環境価値流通プラットフォームの市場適用と活性化に向けた取り組み等を行っております。
(1)経営成績等の状況の概要、経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における当社及び連結子会社並びに持分法適用会社(以下、当社グループ)の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要、経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において判断したものです。
文中において、当連結会計年度は当年度、前連結会計年度は前年度と、省略して記載しています。
① 前中期経営計画の振り返り
前中期経営計画では、お客様の価値創造と自らの変革の2つを軸に、7つの課題を定めて取り組んで参りました。
グローバルビジネスの再構築では、グローバル共通となるFujitsu Uvanceの提供をスタートし、2022年度で2,000億円の売上を達成しました。
グローバルで1万1,000人の営業担当のうち8,000人のリスキリングを行いました。グローバルデリバリーセンター(GDC)とジャパン・グローバルゲートウェイ(JGG)のリソースを3万人に増強し、グローバルビジネスを拡大するための基盤を強化しました。
また、Ridgelinezを設立し、ここを起点に全社でのコンサルティング力強化を図りました。
さらに、自らの変革では、全方位でのデジタルトランスフォーメーションに取り組んでまいりました。その成果はDX推進指標に表れており、グローバル企業の水準に届いたと考えております。また、データドリブン経営の中核となるOneFujitsuの取り組みや、Work Life Shiftといった働き方や人材マネジメント変革も進めております。
これらの施策の結果、一人当たりの営業利益は2019年度と比較して60%増加しており、生産性の向上につながりました。
② 持続的な成長と収益力向上のモデル構築への取り組み
昨今の事業の状況に合わせて、2023年度より事業セグメントを変更します。従来のテクノロジーソリューションを、サービスソリューションと、ハードウェアソリューションの2つに分類します。サービスソリューションは、Fujitsu Uvanceを中心とするグローバル横断なソリューションや、各リージョンが提供するサービスビジネスなどで構成され、ハードウェアソリューションは、ハードウェアおよびハードウェアの保守ビジネスで構成されます。
このように、事業構造をシンプルに分けることで、成長領域への投資や効果をより明確にし、事業ポートフォリオのマネジメントを強化してまいります。
サービスソリューションは、Fujitsu Uvanceを中心としたOn Cloud型のデジタルサービスと、従来型のOn Premiseのサービスで構成されます。2025年度までの3年間で、サービスソリューション全体として売上は現在の2兆円から約20%伸長、調整後営業利益率(*1)は現在の8%から15%をターゲットとしております。
On Cloudのデジタルサービスは、利益性の高い事業の売上規模を拡大することで、売上と利益の双方を伸ばしてまいります。そのための注力施策として、さらなるコンサルティング力の強化やパートナーとの戦略的アライアンスの強化、当社の先端テクノロジーの強化やビジネスへの実装、そして、デジタルサービスを提供するための人材育成などを掲げております。
On Premiseのサービスでは、デリバリーの標準化による生産性向上や、クラウドシフトにつながるモダナイゼーションの拡大に取り組み、利益を拡大してまいります。
*1 営業利益から事業再編、事業構造改革、M&A等に伴う損益ならびに制度変更等による一過性の損益を控除した、
本業での実質的な利益を示す指標(従来、本業利益として表記していたものと同一)
(ⅰ)財務目標
2025年度の財務目標として、売上収益4兆2,000億円、調整後営業利益は5,000億円、調整後営業利益率12%という目標を定めております。
Fujitsu Uvanceを成長のドライバーとして、サービスソリューションを中心に全社の収益性拡大を目指します。キャッシュの創出力として、コアフリーキャッシュフローは3,000億円、全社の資本効率性については、EPSのCAGRを14%から16%という目標にしました。
(ⅱ)非財務目標
2025年度の非財務目標は、環境、お客様、生産性、そして人材の4つの項目においてKPIを定め、目標達成に向けて取り組んでまいります。
環境でのKPIとしては、GHG(Green House Gas:温室効果ガス)を、いずれも2020年度と比較し、Scope1、2の富士通グループで50%削減、Scope3のサプライチェーンで12.5%の削減を目指してまいります。
お客様では、従来のKPIであるお客様NPS(*2)を継続してKPIとし、2022年度比で20ポイント上昇を目指してまいります。
生産性については、従業員一人当たりの営業利益を2022年度比で40%上昇を目指してまいります。
人材面は、従来のKPIである従業員エンゲージメントを継続してKPIとし、前回達成できなかったグローバルでのスコア75の達成を目指してまいります。また、ダイバーシティリーダーシップの指標として、まずグローバルでの女性幹部社員比率をKPIとして設定し、2022年度の14%から2025年度で20%に拡大することを目標としました。これは、2030年度で30%の達成を目指し、そこからバックキャストして定めております。
財務、非財務両面での目標達成を目指してまいります。
*2 お客様NPSとは、お客様との信頼関係=顧客ロイヤリティの客観的な評価を可能とする指標です。購入した商品
やサービスに対する満足あるいは不満の度合いを示す顧客満足度と異なり、顧客ロイヤリティは、お客様の愛着
度合いやリピート購入の見込みを判断できるという特徴があります。
(ⅲ)財務戦略・キャピタルアロケーション
財務戦略、キャピタルアロケーションの計画は、キャッシュ創出力を強化、それを最適にアロケートする事で企業価値向上に繫げてまいります。
アロケーションのもととなるベース・キャッシュ・フロー(事業成長投資前フリー・キャッシュ・フローにリース料支払を加えたもの)を大きく拡大させます。従来のキャピタルアロケーションポリシーでは、2020年から24年度までの5年間で 1兆円超のキャッシュ・フロー創出を計画しておりましたが、今回の計画では、2023年度から3年間において、1兆3,000億円のベース・キャッシュ・フロー創出を計画、従来計画から大幅に拡大させます。事業の成長によるキャッシュ・フロー拡大に加え、運転資本効率の改善や、ノンコアアセットの売却による収入も見込んでおります。
アロケート先は、事業成長投資に約7,000億円、株主還元に6,000億円です。事業成長投資を力強く進める事で、更なるビジネスの持続的成長に繋げ、インオーガニックな成長の為の投資や、今後のトランスフォーメーションなど事業変革も含めたリスク対応資金も含めて考えております。
一方、株主還元も、企業価値向上に繋がる重要なアロケート先であり、財務基盤や資本効率性も見極めながら大きく拡大させます。配当は、利益成長に対応しながら安定的かつ着実な増配を図ります。また、自己株式の取得は、財務基盤や資本効率を見極めつつ機動的に実施してまいります。既に、将来のキャッシュ・フロー拡大の蓋然性を踏まえ、先行して2022年度に1,500億円の自己株式取得を実施しました。2023年度以降、中期計画期間においても、キャッシュ・フローの拡大を確実に実現する事で、同規模の自己株式取得を計画しています。
これにより、総還元額は2020年から22年度の3年間の 約3,500億円 から、2023年度から始まる3年間総額で 約6,000億円規模に大幅に増加させる計画です。持続的な事業成長による利益とキャッシュ・フロー創出力の拡大を背景に、強固な財務基盤の確保と資本効率向上の両立をはかってまいります。
[2022年度決算ハイライト]
売上収益は3兆7,137億円、営業利益は3,356億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,151億円となりました。
テクノロジーソリューションでは、デジタル化やモダナイゼーションなどDX関連需要が拡大しました。部材供給遅延については、上半期までは影響が継続しておりましたが、第3四半期には底を打ち回復も進み、時間を追って売上収益・採算性共に改善しました。
事業構造改革や事業譲渡に関わる一過性の利益147億円を除く本業ベースの営業利益は3,208億円、本業ベースの営業利益率8.6%、と前年度比0.9ポイントの改善となりました。特殊事項として、当年度は事業譲渡益が含まれており、前年度にはDX企業への変革を加速するための施策を実施した費用を含んでおります。
(ⅰ)コストや費用の効率化の進捗状況
売上総利益は254億円増加し前年度比2.3%の改善です。その結果、売上総利益は1兆1,440億円、売上総利益率は30.8%となりました。
事業再編影響を除く売上総利益はソリューション・サービスが大きく改善する一方で、海外リージョンとデバイスソリューションが悪化しました。GDCを活用したグローバルでの開発・運用の標準化を継続し、生産性の改善を進めております。
営業費用は1億円増加しました。事業再編影響や事業成長投資を除いた営業費用・その他損益では306億円改善しております。働き方改革の効果の表れや遊休資産の売却などを実施したことによります。
(ⅱ)事業成長投資
事業成長投資は、1,310億円と前年度から460億円増加しました。価値創造に向けた投資が565億円、自らの成長に向けた投資が745億円です。
価値創造に向けた投資としては、Fujitsu Uvanceなどグローバルオファリングの開発、サービスデリバリーモデルの確立に向けたJGGの強化を推進しています。開発・保守業務の標準化と内製化を進め、GDCの強化など、サービスデリバリ変革への投資が中心です。
自らの変革に向けた投資としては、データドリブン経営の基盤としてOneFujitsuなどの社内DXを進めたほか、従業員のウェルビーイングを実現するWork Life Shiftと人材育成に継続的な投資を実施しています。データドリブン経営の高度化が進めば、より早く・詳細に財務情報を把握でき、さらに効率的・効果的な経営判断が可能になります。
③ 経営成績
<要約連結損益計算書>
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(億円) |
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|
前年度 (自 2021年4月 1日 至 2022年3月31日) |
当年度 (自 2022年4月 1日 至 2023年3月31日) |
|
前年度比
|
増減率 (%)
|
|
売上収益 |
35,868 |
37,137 |
|
1,269 |
3.5 |
|
売上原価 |
△24,681 |
△25,696 |
|
△1,014 |
4.1 |
|
売上総利益 |
11,186 |
11,440 |
|
254 |
2.3 |
|
販売費及び一般管理費 |
△8,527 |
△8,529 |
|
△1 |
0.0 |
|
その他の損益 |
△466 |
445 |
|
911 |
- |
|
営業利益 |
2,192 |
3,356 |
|
1,164 |
53.1 |
|
<本業ベース営業利益>(注1) |
<2,756> |
<3,208> |
|
<452> |
<16.4> |
|
金融損益 |
69 |
82 |
|
12 |
18.7 |
|
持分法による投資利益 |
138 |
280 |
|
141 |
102.4 |
|
税引前利益 |
2,399 |
3,718 |
|
1,318 |
55.0 |
|
法人所得税費用 |
△268 |
△1,270 |
|
△1,001 |
373.1 |
|
非支配持分に帰属する当期利益 |
304 |
296 |
|
△7 |
△2.5 |
|
親会社の所有者に帰属する当期利益 |
1,826 |
2,151 |
|
324 |
17.8 |
(注1)事業構造改善費用や事業譲渡に関する損益等一過性の利益または損失、M&Aに関するPPAを除いた営業利益
(ご参考)財務指標
|
|
前年度 |
当年度 |
|
前年度比 |
|
売上総利益率 |
31.2% |
30.8% |
|
△0.4% |
|
営業利益率 |
6.1% |
9.0% |
|
2.9% |
|
ROE(注2) |
12.0% |
13.5% |
|
1.5% |
|
EPS(注3) |
924.21円 |
1,107.63円 |
|
19.8% |
(注2)親会社の所有者に帰属する当期利益÷{(期首の親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
+期末の親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本))÷2}
(注3)基本的1株当たり当期利益
(ⅰ)売上収益
当年度の売上収益は3兆7,137億円と、前年度比で1,269億円の増収です。事業構造改革等の再編を除く本業ベースでは前年度比1,921億円の増収です。システムプラットフォームは10%伸長し、サーバ・ストレージを中心とするシステムプロダクトでは、前半は部材供給遅延の影響を大きく受けましたが、第3四半期以降はリカバリに転じ、前年度を大きく上回りました。ネットワークビジネスは5G基地局や北米フォトニクスの所要増に伴い、15%伸長しております。デバイスは2%伸長に留まりました。デマンドは上期までは力強く拡大、下期に入り急激に低下しました。
(ⅱ)売上原価、販売費及び一般管理費、その他の損益並びに営業利益
当年度の売上原価は2兆5,696億円で、売上総利益は1兆1,440億円、前年度比で254億円増加しました。販売費及び一般管理費は8,529億円と、前年度比で1億円増加しました。また、その他の損益は445億円の利益と、前年度比で911億円好転しました。
営業利益は、前年度が2,192億円、当年度が3,356億円となりました。特殊事項および事業再編の影響によるもので653億円の好転です。前年度はDX人材施策を実施した費用を含んでおり、当年度は事業再編影響による好転要因がありました。
前年度からの本業の変動要因は3点です。第1に増収効果で396億円の増益となりました。テクノロジーソリューションは各サブセグメントとも前年度から伸長しました。第2にコストと費用の効率化により375億円の増益となりました。GDCの活用に加え、インフラサービスでも保守、運用サポートの効率化を着実に進め、採算性が改善しました。第3に事業成長投資の増加により260億の減益となりました。Fujitsu Uvanceのオファリング開発など価値創造に向けた投資、および自らの変革に向けた社内DX投資を引き続きき進めました。
(ⅲ)金融損益、持分法による投資利益及び税引前利益
金融収益と金融費用を合わせた金融損益は82億円の利益と、前年度比で12億円の増益となりました。持分法による投資利益は280億円と、前年度比で141億円の増益となりました。
税引前利益は3,718億円と、1,318億円の増益となりました。
(ⅳ)法人所得税費用、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益
当期利益は2,448億円と、前年度比で317億円の増益となりました。当期利益のうち、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,151億円の利益で前年度から324億円の増益となりました。非支配持分に帰属する金額は296億円の利益で前年度から7億円の減少となりました。法人所得税費用は1,270億円と前年度比で1,001億円増加しました。税引前利益に対する税負担率は、前年度の11.2%から当年度は34.2%となりました。前年度に北米子会社の再編に伴い一部子会社を清算したことによる税効果影響280億円などを含んでおります。
親会社の所有者に帰属する当期利益を親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)で除して算定したROEは前年度12.0%から当年度は13.5%となりました。EPSは前年度924.21円から当年度は1,107.63円と増加し2019年度から2022年度末までの平均成長率は12%と計画に沿った達成状況です。
株主還元を安定的に拡大させる方針のもと、当年度の1株あたり年間配当は240円と、前年度から年間で20円増額、7期連続増配しました。また、当年度は自己株式約1,500億円を取得し、2022年4月に設定した1,500億円の自己株式取得枠の全額の取得を完了しました。
(ⅴ)税引後その他の包括利益及び当期包括利益
税引後その他の包括利益は255億円のマイナスとなりました。確定給付制度の再測定の影響が417億円のマイナス、その他包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産のプラスの影響が177億円ありました。当期利益と税引後その他の包括利益を合わせた当期包括利益は2,193億円となりました。当期包括利益のうち、親会社の所有者に帰属する当期包括利益は1,883億円、非支配持分に帰属する当期包括利益は310億円となりました。
(ⅵ)セグメント情報
当社グループは、経営組織の形態、製品・サービスの特性に基づき、複数の事業セグメントを集約した上で、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の3つを報告セグメントとしています。「テクノロジーソリューション」については、情報通信システムの構築などを行うソリューション/SI、クラウドサービスやアウトソーシング、保守サービスを中心とする「ソリューション・サービス」、ICTの基盤となる、サーバやストレージシステムなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送システムなどの通信インフラを提供するネットワークプロダクトにより構成される「システムプラットフォーム」、海外においてソリューション・サービスを提供する「海外リージョン」、テクノロジーソリューション全体に関する投資等を含む「共通」により構成されています。「ユビキタスソリューション」は、パソコンなどの「クライアントコンピューティングデバイス」により構成されています。「デバイスソリューション」は、半導体パッケージ、電池をはじめとする「電子部品」により構成されています。
当年度のセグメント別の売上収益(セグメント間の内部売上収益を含む)及び営業利益は以下のとおりです。
|
|
|
|
|
|
|
|
(億円) |
|
|
|
|
前年度 (自 2021年4月 1日 至 2022年3月31日) |
当年度 (自 2022年4月 1日 至 2023年3月31日) |
|
前年度比
|
増減率 (%)
|
|
テクノロジーソリューション |
|
|
|
|
|||
|
売上収益 |
30,563 |
31,765 |
|
1,201 |
3.9 |
||
|
営業利益 |
1,350 |
2,631 |
|
1,281 |
94.9 |
||
|
(営業利益率) |
(4.4%) |
(8.3%) |
|
(3.9%) |
|
||
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
ソリューション・サービス |
|
|
|
|
|
|
|
|
売上収益 |
18,405 |
18,193 |
|
△211 |
△1.1 |
|
|
|
営業利益 |
1,887 |
2,337 |
|
449 |
23.8 |
|
|
|
(営業利益率) |
(10.3%) |
(12.8%) |
|
(2.5%) |
|
|
|
|
システムプラットフォーム |
|
|
|
|
|
|
|
|
売上収益 |
6,175 |
6,781 |
|
606 |
9.8 |
|
|
|
営業利益 |
566 |
689 |
|
122 |
21.7 |
|
|
|
(営業利益率) |
(9.2%) |
(10.2%) |
|
(1.0%) |
|
|
|
|
海外リージョン |
|
|
|
|
|
|
|
|
売上収益 |
7,293 |
8,124 |
|
830 |
11.4 |
|
|
|
営業利益 |
239 |
59 |
|
△180 |
△75.1 |
|
|
|
(営業利益率) |
(3.3%) |
(0.7%) |
|
(△2.6%) |
|
|
|
|
共通 |
|
|
|
|
|
|
|
|
売上収益 |
△1,310 |
△1,334 |
|
△23 |
- |
|
|
|
営業利益 |
△1,344 |
△454 |
|
889 |
- |
|
ユビキタスソリューション |
|
|
|
|
|
||
|
売上収益 |
2,371 |
2,329 |
|
△41 |
△1.7 |
||
|
営業利益 |
58 |
△65 |
|
△124 |
- |
||
|
(営業利益率) |
(2.5%) |
(△2.8%) |
|
(△5.3%) |
|
||
|
デバイスソリューション |
|
|
|
|
|
||
|
売上収益 |
3,759 |
3,826 |
|
66 |
1.8 |
||
|
営業利益 |
783 |
790 |
|
7 |
0.9 |
||
|
(営業利益率) |
(20.8%) |
(20.7%) |
|
(△0.1%) |
|
||
|
全社消去 |
|
|
|
|
|
||
|
売上収益 |
△826 |
△784 |
|
41 |
- |
||
|
連結 |
|
|
|
|
|
||
|
売上収益 |
35,868 |
37,137 |
|
1,269 |
3.5 |
||
|
営業利益 |
2,192 |
3,356 |
|
1,164 |
53.1 |
||
|
(営業利益率) |
(6.1%) |
(9.0%) |
|
(2.9%) |
|
||
a テクノロジーソリューション
テクノロジーソリューションの売上収益は3兆1,765億円と、前年度比で1,201億円増、3.9%の増収です。営業利益は2,631億円と、前年度に人材施策に関する費用が含まれていたことと、また採算性が改善し前年度比で1,281億円の増益です。
ソリューション・サービスの売上収益は1兆8,193億円と、前年度比で211億円減、1.1%の減収となりました。営業利益は2,337億円と、前年度比で449億円の増益です。国内のSI/サービスの増収効果による利益改善に加え開発標準化や費用効率化など、今まで取り組んできた施策が確実に成果をあげております。
システムプラットフォームの売上収益は6,781億円と、前年度比で606億円増、9.8%の増収となりました。営業利益は689億円と、前年度比で122億円の増益です。部材供給遅延からのリカバリおよび、5G基地局の所要増や北米向けのフォトニクスの増収効果が寄与し、増益となりました。
海外リージョンの売上収益は8,124億円と、M&Aによるデジタル関連のケイパビリティ強化に伴いサービスビジネスが拡大したことに加え、為替影響もあり前年度比で830億円増、11.4%の増収となりました。営業利益は59億円と、前年度比で180億円の減益です。M&Aに関連した一過性のコストの発生や為替の影響を受けました。
テクノロジーソリューション共通の売上収益は1,334億円のマイナスと、前年度比で23億円の悪化です。
テクノロジーソリューションを価値創造のための2つの事業領域、「For Growth」と「For Stability」に分けて見た売上収益の状況です。
「For Growth」は1兆1,221億円と前年度比で713億円増、7%増収です。ソリューション・サービスは5%増収です。コンサルやモダナイゼーション、DX案件、アプリケーション、クラウドなどが拡大しました。システムプラットフォームも5G基地局や北米ネットワークビジネスがけん引し7%増収です。海外リージョンは39%増収です。ハイブリッドITやセキュリティ関連サービスが成長し、オセアニアで実施したM&Aによるケイパビリティ向上も成長に寄与しました。
「For Stability」は2兆544億円と2%増収と前年度並みになりました。
b ユビキタスソリューション
ユビキタスソリューションの売上収益は2,329億円と、前年度比で1.7%の減収となりました。営業利益は65億円の損失と、前年度比で124億円の減益です。為替変動によるコスト増に対し、追加のコストダウンや価格転嫁を進めてきましたが、全体をカバーするにはいたりませんでした。
c デバイスソリューション
デバイスソリューションの売上収益は3,826億円と、前年度比で1.8%の増収となりました。上半期までは強いデマンドが続いたものの、下半期に入り急速な市況の変化によるブレーキがかかり、物量が大幅に減少しました。それに伴う操業の低下もあり、年間を通すと前年度並みの水準です。
(ⅶ)事業別セグメント情報(国内海外売上高)
|
|
|
|
|
|
|
|
(億円) |
|
|
|
|
前年度 (自 2021年4月 1日 至 2022年3月31日) |
当年度 (自 2022年4月 1日 至 2023年3月31日) |
|
前年度比
|
増減率 (%)
|
|
テクノロジー ソリューション |
売上収益 |
30,563 |
31,765 |
|
1,201 |
3.9 |
|
|
国内 |
21,312 |
21,307 |
|
△4 |
0.0 |
||
|
海外 |
9,251 |
10,458 |
|
1,206 |
13.0 |
||
|
|
ソリューション サービス |
売上収益 |
18,405 |
18,193 |
|
△211 |
△1.1 |
|
|
国内 |
17,951 |
18,001 |
|
50 |
0.3 |
|
|
|
海外 |
453 |
191 |
|
△262 |
△57.8 |
|
|
|
システム プラットフォーム |
売上収益 |
6,175 |
6,781 |
|
606 |
9.8 |
|
|
国内 |
4,165 |
3,961 |
|
△204 |
△4.9 |
|
|
|
海外 |
2,009 |
2,819 |
|
810 |
40.3 |
|
|
|
海外リージョン |
売上収益 |
7,293 |
8,124 |
|
830 |
11.4 |
|
|
国内 |
6 |
5 |
|
0 |
△13.5 |
|
|
|
海外 |
7,287 |
8,119 |
|
831 |
11.4 |
|
|
|
共通 |
売上収益 |
△1,310 |
△1,334 |
|
△23 |
- |
|
ユビキタス ソリューション |
売上収益 |
2,371 |
2,329 |
|
△41 |
△1.7 |
|
|
国内 |
1,296 |
1,434 |
|
137 |
10.6 |
||
|
海外 |
1,074 |
895 |
|
△178 |
△16.6 |
||
|
デバイス ソリューション |
売上収益 |
3,759 |
3,826 |
|
66 |
1.8 |
|
|
国内 |
870 |
896 |
|
26 |
3.0 |
||
|
海外 |
2,889 |
2,930 |
|
40 |
1.4 |
||
|
全社消去 |
売上収益 |
△826 |
△784 |
|
41 |
- |
|
|
連結計 |
売上収益 |
35,868 |
37,137 |
|
1,269 |
3.5 |
|
|
国内 |
22,698 |
22,902 |
|
203 |
0.9 |
||
|
海外 |
13,169 |
14,234 |
|
1,065 |
8.1 |
||
|
|
海外売上比率 |
36.7% |
38.3% |
|
1.6% |
|
|
(ⅷ)海外リージョンの損益情報
当社グループは、グローバルでの売上収益の拡大と収益力向上を経営上の重要な課題の1つであると考えており、テクノロジーソリューションに含まれる海外リージョンの損益情報は当社グループの事業管理において重要な項目であるとともに、株主、投資家の皆様に当社グループの損益概況をご理解頂くための有益な情報であると考えています。
|
|
|
|
|
|
|
|
(億円) |
|
|
|
|
前年度 (自 2021年4月 1日 至 2022年3月31日) |
当年度 (自 2022年4月 1日 至 2023年3月31日) |
|
前年度比
|
増減率 (%)
|
|
Europe |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
売上収益 |
|
5,422 |
5,781 |
|
358 |
6.6 |
|
|
営業利益 |
|
144 |
41 |
|
△102 |
△70.8 |
|
|
(営業利益率) |
(2.7%) |
(0.7%) |
|
(△2.0%) |
|
|
|
Americas |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
売上収益 |
|
415 |
526 |
|
111 |
26.7 |
|
|
営業利益 |
|
14 |
26 |
|
11 |
78.6 |
|
|
(営業利益率) |
(3.4%) |
(4.9%) |
|
(1.5%) |
|
|
|
Asia Pacific |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
売上収益 |
|
1,289 |
1,618 |
|
328 |
25.4 |
|
|
営業利益 |
|
45 |
△24 |
|
△70 |
- |
|
|
(営業利益率) |
(3.5%) |
(△1.5%) |
|
(△5.0%) |
|
|
|
East Asia |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
売上収益 |
|
342 |
448 |
|
105 |
30.7 |
|
|
営業利益 |
|
4 |
15 |
|
11 |
275.0 |
|
|
(営業利益率) |
(1.2%) |
(3.3%) |
|
(2.1%) |
|
|
|
その他・消去 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
売上収益 |
|
△176 |
△250 |
|
△74 |
- |
|
|
営業利益 |
|
30 |
0 |
|
△30 |
- |
|
海外リージョン |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
売上収益 |
|
7,293 |
8,124 |
|
830 |
11.4 |
|
|
営業利益 |
|
239 |
59 |
|
△180 |
△75.1 |
|
|
(営業利益率) |
(3.3%) |
(0.7%) |
|
(△2.6%) |
|
|
売上収益は8,124億円と、M&Aによるデジタル関連のケイパビリティ強化に伴いサービスビジネスが拡大したことに加え、為替影響もあり、前年度比で830億円増と11.4%の増収となりました。営業利益は59億円とM&Aに関連した一過性のコストの発生や為替の影響を受け前年度から180億円の減益となりました。
なお、当年度に地域別の区分の見直しを行っております。詳細は1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
④ 財政状態
<要約連結財政状態計算書>
|
|
|
|
|
(億円) |
|
|
前年度末 (2022年3月31日) |
当年度末 (2023年3月31日) |
|
前年度末比
|
|
資産 |
|
|
|
|
|
流動資産 |
19,418 |
19,178 |
|
△240 |
|
非流動資産 |
13,899 |
13,477 |
|
△422 |
|
資産合計 |
33,318 |
32,655 |
|
△662 |
|
負債 |
|
|
|
|
|
流動負債 |
13,207 |
12,764 |
|
△442 |
|
非流動負債 |
2,953 |
2,523 |
|
△430 |
|
負債合計 |
16,160 |
15,287 |
|
△873 |
|
資本 |
|
|
|
|
|
自己資本 |
15,907 |
15,868 |
|
△38 |
|
非支配持分 |
1,250 |
1,499 |
|
249 |
|
資本合計 |
17,157 |
17,368 |
|
210 |
|
負債及び資本合計 |
33,318 |
32,655 |
|
△662 |
|
|
|
|
|
|
|
現金及び現金同等物 |
4,840 |
3,559 |
|
△1,281 |
|
有利子負債 |
2,853 |
2,111 |
|
△741 |
|
ネットキャッシュ |
1,987 |
1,447 |
|
△539 |
(注)自己資本 :親会社の所有者に帰属する持分合計
有利子負債 :社債、借入金及びリース負債
ネットキャッシュ :現金及び現金同等物-有利子負債
(ご参考)財務指標
|
|
前年度末 (2022年3月31日) |
当年度末 (2023年3月31日) |
|
前年度末比
|
|
自己資本比率 |
47.7% |
48.6% |
|
0.9% |
|
D/Eレシオ |
0.18倍 |
0.13倍 |
|
△0.05倍 |
(注)自己資本比率 :親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)÷資産合計
D/Eレシオ :有利子負債÷親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
当年度末の資産合計は3兆2,655億円と、前年度末から662億円減少しました。流動資産は1兆9,178億円と、前年度末比で240億円減少しました。売上債権、棚卸資産が増加した一方で、現金及び現金同等物は3,559億円と、前年度末比で1,281億円減少しました。非流動資産は1兆3,477億円と、前年度末比で422億円減少しました。退職給付に係る資産などが減少しました。
負債合計は1兆5,287億円と、前年度末比で873億円減少しました。流動負債及び非流動負債の社債、借入金及びリース負債を合わせた有利子負債は2,111億円と、前年度末比で741億円減少しました。この結果、D/Eレシオは0.13倍と、前年度末比で0.05ポイント低下しました。現金及び現金同等物から有利子負債を控除したネットキャッシュ残高は1,447億円と、前年度末比で539億円減少しました。
資本合計は1兆7,368億円と、前年度末比で210億円増加しました。利益剰余金は1兆2,265億円と、親会社の所有者に帰属する当期利益を計上したことなどにより前年度末比で1,381億円増加しました。その他の資本の構成要素は708億円と、前年度末比で72億円増加しました。また、自己株式は2,777億円のマイナスです。株主還元施策として当年度は自己株式約1,500億円を取得しました。これらの結果、自己資本は1兆5,868億円となり、自己資本比率は48.6%と、前年度末比で0.9ポイント上昇しました。
確定給付型退職給付制度の状況
|
|
|
|
|
(億円) |
|
|
前年度末 (2022年3月31日) |
当年度末 (2023年3月31日) |
|
前年度末比 |
|
a.確定給付制度債務 |
15,776 |
13,202 |
|
△2,574 |
|
b.年金資産 |
16,012 |
13,067 |
|
△2,944 |
|
c.積立状況 (b)-(a) |
235 |
△135 |
|
△370 |
国内外の従業員向け確定給付型退職給付制度の退職給付債務は1兆3,202億円と、前年度末比で2,574億円減少し、年金資産は1兆3,067億円と、前年度末比で2,944億円減少しました。この結果、積立状況(退職給付債務から年金資産を控除した金額)は135億円の不足と、前年度末比で370億円悪化しました。割引率の上昇により年金債務が減少したことおよび、金利変動による確定給付制度債務の現在価値の変動に制度資産を連動させる年金資産が減少したことなどによります。
⑤ キャッシュ・フロー
<要約連結キャッシュ・フロー計算書>
|
|
|
|
|
(億円) |
|
|
前年度 (自 2021年4月 1日 至 2022年3月31日) |
当年度 (自 2022年4月 1日 至 2023年3月31日) |
|
前年度比
|
|
Ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー |
2,483 |
2,203 |
|
△280 |
|
Ⅱ投資活動によるキャッシュ・フロー |
△592 |
△428 |
|
164 |
|
Ⅰ+Ⅱフリー・キャッシュ・フロー |
1,890 |
1,775 |
|
△115 |
|
Ⅲ財務活動によるキャッシュ・フロー |
△1,936 |
△3,135 |
|
△1,199 |
|
|
|
|
|
|
|
Ⅳ現金及び現金同等物の期末残高 |
4,840 |
3,559 |
|
△1,281 |
(ご参考)
|
ベース・キャッシュ・フロー |
2,118 |
2,500 |
|
382 |
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,203億円と、前年度に実施したDX人材施策に関するキャッシュアウトおよび事業成長投資の拡大などにより前年度比で280億円の収入減となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは428億円のマイナスと、前年度比で164億円の支出減となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは1,775億円のプラスと、前年度から115億円の収入減となりました。
成長投資実行前のフリー・キャッシュ・フローにリース料支払額を加えたベース・キャッシュ・フローは2,500億円プラスと前年度から382億円の収入増となりました。ベース・キャッシュ・フローは、事業ならびに保有資産最適化から生み出されたキャッシュ・フローで成長投資と株主還元への配分原資となるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは3,135億円のマイナスと、前年度比で1,199億円の支出増となりました。配当金の支払いで452億円、自己株式の取得で1,501億円支出しました。自己株式の取得は前年度から999億円増加しました。
当年度末の現金及び現金同等物は3,559億円です。当社グループは、緊急の資金需要に対応するため、月商の数カ月分を目安に十分な手元流動性を確保しています。また、当社は、グローバルに資本市場から資金調達するため、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(以下、ムーディーズ)、スタンダード&プアーズ(以下、S&P)及び株式会社格付投資情報センター(以下、R&I)から債券格付けを取得しています。本有価証券報告書提出日現在における格付けは、ムーディーズ:A3(長期)、S&P:A-(長期)、R&I :A+(長期)/a-1(短期)です。
当社グループは、事業や国・地域毎の特性やリスクを加味し、株主資本コストと借入コストの加重平均として資金調達コストを算定し、これに基づいて各事業における投資意思決定や回収可能性の判断を行っています。当社グループは、今後ますます需要が高まるDXビジネスに経営資源を集中し、中長期的に安定して高い収益性を獲得していくことによって、資金調達コストより高いリターンをあげることができると考えています。
⑥ 生産、受注及び販売の実績
富士通単独および富士通Japanの国内受注については、基幹システム刷新やモダナイゼーションへのデマンドが強いことに加え、お客様のDX変革に向けた価値提案が着実に商談獲得に繋がっており、前年度から3%増加しました。
ソリューション・サービスの事業別には以下の通りです。まず、エンタープライズ(産業・流通)では前年度比8%増加と年間を通して強いデマンドが続きました。特に第4四半期では、製造系や流通系のお客様の基幹システム刷新やモダナイゼーション商談を複数獲得しました。また、DX案件も増加しており好調な受注を維持しています。ファイナンス(金融・小売)でも前年度比3%増加し同じく第4四半期でネット銀行や保険のお客様向けの基幹システム更新などを含む大型商談を獲得しました。JAPANリージョン(官公庁・社会基盤他)でも第4四半期に官公庁向けの大型商談を複数受注したことにより、前年度比8%増加しました。富士通Japan(自治体・ヘルスケア・文教・民需(中堅他))では前年度比3%増加しました。
一方、ネットワークでは、前年度獲得した北米向けの大型受注の反動で18%減少です。
海外の受注状況です。Europeでは2%減少しましたが、サービスでは7%増加です。上期に大型の更新案件を獲得しました。Americasは前年度、カナダの公共向けで複数年の大型商談を獲得した反動をうけ10%の減少です。Asia Pacificでも2%の減少ですが、サービスは20%増加です。下半期に公共の大型案件を複数獲得したことで前年度を上回りました。また、M&Aによるデジタル関連のケイパビリティが増えたことも受注増に寄与しています。
⑦ 重要な会計方針及び見積り
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営陣は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用に影響を与える判断、見積り及び仮定を必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。また、見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した連結会計期間及び影響を受ける将来の連結会計期間において認識されます。連結財務諸表の金額に重要な影響を与える見積り及び判断については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」をご参照ください。
(1) 技術提携契約
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相手方 |
国名 |
契約製品 |
契約内容 |
契約期間 |
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Intel Corporation |
米国 |
半導体装置 |
特許実施権交換 |
1998年6月5日から 関係特許の有効期間中 |
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Intel Corporation |
米国 |
半導体装置 |
特許実施権交換 |
2008年6月5日から 関係特許の有効期間中 |
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International Business Machines Corporation |
米国 |
情報処理組織 |
特許実施権交換 |
2015年12月18日から 関係特許の有効期間中 |
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Microsoft Corporation |
米国 |
ソフトウェア |
特許実施権交換 |
1997年9月16日から 関係特許の有効期間中 |
(注)上記の契約は、全て当社を契約会社としたものです。
(2) 合弁契約及びその他の契約
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契約会社名 |
相手方 |
国名 |
契約内容 |
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合弁契約 |
富士通株式会社 (当社) |
Lenovo Group Limited、 Lenovo International Coӧperatief U.A. |
中国、 オランダ |
2017年11月2日、グローバル市場に向けたPC及びPC関連製品の研究開発、設計、製造及び販売に関する戦略的な提携について、富士通クライアントコンピューティング株式会社を合弁会社とする合弁契約及び株式譲渡契約を締結しました。 |
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その他の 契約 |
富士通株式会社 (当社) |
Oracle America, Inc. |
米国 |
2004年5月31日、Sun Microsystems, Inc.(現 Oracle America, Inc.)との間で、 SPARC/Solarisサーバ製品の開発、製造及び販売に関する協力関係を規定する諸契約を締結しました。 |
(3)重要な契約
当社は、2022年4月28日開催の取締役会において、株式会社PFU(以下、PFU)の発行済株式のうち80%を、株式会社リコーに譲渡することを決議し、同日、株式譲渡契約を締結いたしました。2022年9月1日に本株式譲渡を実行し、PFUは当社の連結子会社から持分法適用関連会社となりました。
当社グループでは、デジタルテクノロジーにより、「人」「企業」「システム」「プロセス」「データ」などが複雑かつ無限につながる社会において、あらゆる局面で求められる信頼「Trust」を確保することを重要な技術戦略に位置付けております。そして、このデジタル時代のTrustの実現と共に、デジタル技術とデータを駆使して革新的なサービスやビジネスプロセスの変革をもたらす、DX(デジタルトランスフォーメーション)企業を目指し、イノベーションが絶えず生まれるために必要な先端テクノロジー開発に取り組んでおります。
当社グループの事業は、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の各セグメントにより構成されており、上記の研究開発方針のもと、それぞれの分野ごとに研究開発活動を行っております。「テクノロジーソリューション」では、次世代のサービス、サーバ、ネットワーク等に関する研究開発を行っております。「デバイスソリューション」では、電子部品(半導体パッケージ及び電池)等の各種デバイス製品及び関連技術に関する研究開発を行っております。
当社グループの当年度における主な研究開発活動の成果は、以下のとおりです。また、当年度における研究開発費の総額は、
・一般的なミリ波センサーを用いることで、プライバシーに配慮し、人の姿勢を高精度に推定できる技術を開発しました。本技術では、対象者の動作から得られる粒度の粗い点群の時系列データから、粒度の細かい点群データへと拡張する技術と、拡張したデータから姿勢を高精度に推定するAIモデルを実現し、様々な姿勢をリアルタイムに検出可能としました。今後、病院などプライバシー性の高い施設でも、安心安全な環境づくりに貢献します。
・人の歩く映像から、顔などの情報を使用せずに歩き方で人物を照合できる歩容照合技術を開発しました。本技術では、従来では精度が低下していた人の映り込む位置の違う映像でも、人の関節点情報に対して独自開発の汎用的に照合可能な空間への変換技術により、複数のカメラ映像から作成した約1,700人の評価データセットにおいて約90%の照合精度を実現しました。今後、迷子や高齢者の捜索での活用など、安心安全な街づくりに貢献していきます。
・専門的な知識なしで次世代コンピュータを容易に利用できる、新たなソフトウェア構想「Computing Workload Broker」の実現を目指し、その先駆けとなる量子・HPCハイブリッド計算技術を開発しました。利用者が解きたい量子化学計算(分子の性質や構造を電子や原子の相互作用をシミュレートして解析する技術分野)の問題に応じて最適な計算手法をAIが自動で組み合わせて選択するため、量子・HPCといった計算資源を意識せずに、自身の要望に最も沿う形で、量子化学計算の問題を解くことが可能になります。
・冷凍マグロの鮮度評価を、超音波AI技術により非破壊で評価することに世界で初めて成功しました。マグロ産業は世界で急速に発展しています。冷凍マグロの品質は尾を切断し、その断面を熟練者が目で見る破壊的検査が主流でした。また、破壊をしない超音波での検査では冷凍マグロの肉質による超音波の減衰の影響が大きいことが課題でした。冷凍マグロの超音波検査が可能な超音波の周波数帯を発見し、鮮度不良の場合は中骨からの反射波が特徴的であることから、機械学習を用いて非破壊で鮮度の判定を行うことに成功しました。
・アンモニアは燃焼してもCO2を排出しない次世代クリーンエネルギーとして注目を集めています。アンモニアをクリーンに合成するための触媒探索の期間を大幅に削減する、量子化学シミュレーション高速化技術を開発しました。更に富士通独自のAIである因果発見技術を適用し、アンモニア合成に適した化合物の性質推定が可能です。HPCとAIを活用した技術開発により、触媒候補探索期間を半分以下に削減することに成功しました。
・第6世代移動通信システム(6G)に向けて、現行の5Gを大きく超えた高速無線通信を省電力で実現することが求められています。高速無線通信の候補であるサブテラヘルツ領域で、基地局の消費電力を低減可能な、世界最高の電力変換効率を有する送信用パワーアンプを開発しました。電子が高速に移動できるInP(リン化インジウム)材料系を用いたHEMT(高電子移動度トランジスタ)で、絶縁ゲート構造を有するMOS構造を実現し、高出力と省電力の両立を可能にしました。
・老朽化した広域ネットワーク設備を最新の光ネットワーク設備へ移行する、ネットワークのモダナイゼーションで、「デジタルアニーラ(Fujitsu Quantum-inspired Computing Digital Annealer)」を活用し移行プランの最適化に成功しました。実在する複数の広域ネットワーク構造に基づき、膨大な回線が複雑に絡み合うネットワークから「デジタルアニーラ」に適した組合せ最適化問題を導出する技術を開発し、移行プランを探索しました。その結果、一般的な商用最適化ソフトウェアを用いた場合に比べ、移行期間中の旧設備の運用コストを最大30%削減し、技術者の移動コストを最大80%削減できることを確認しました。
・計算速度が飛躍的に向上すると見込まれている量子コンピュータは、様々な課題解決に向けて早期実用化が期待されています。量子コンピュータでの高精度計算に不可欠な量子エラー訂正には大量の量子ビット(量子情報の最小単位)が必要です。これに対し、基本量子ゲートセットを新たに定義し、必要な量子ビット数を約1/10に低減する量子計算アーキテクチャを確立しました。これにより、現行コンピュータの性能を超える実用的な量子コンピュータの実現を早めることが可能となります。