当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
「スペシャリティーケミカルをベースに社会の進化・発展に貢献する」の企業理念の下、電子・情報・医療といった先端技術産業が求めるニーズ機能を、化学技術を基にして、単に化学品を受託製造するのではなく、それらに関連した情報を組み合わせることにより、オリジナリティーのある製品を提供し、世界への貢献を行います。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、投下資本の運用効率と収益を重視し、自己資本利益率(ROE)を経営管理の重要指標としており、当社グループでは長期的な目標値を10%以上に設定しております。
(3)経営戦略等
当社グループは、これまでファインケミカルをベースとして主に国内市場を対象として取組んでまいりました。しかしながら、近年は海外品との競合が激化し、当社グループを取り巻く事業環境は、少子高齢化による国内需要の減少や環境コストの上昇等厳しい状況が引続いております。
こうした中で、当社グループは①新たなマーケットである国際市場を目指した環境対応とグローバル・スタンダード対応の強化、②海水化学で培った臭素化・ヨウ素化技術への自信を誇りに、新しい技術開発、新しい分野への開拓の継続、③高機能製品・高付加価値製品の提案を通じたスペシャリティーケミカルの未来の構築が必要と考えており、その実現のために必要な施策を着実に実行してまいります。
(4)経営環境
当社グループは、これまでファインケミカルをベースとして主に国内市場を対象として取組んでまいりましたが、経営環境の変化により海外品との競合が激化しております。当社グループを取り巻く事業環境は、少子高齢化による国内需要の減少や環境コストの上昇等厳しさを増しており、引続き厳しい経営環境が続くものと予想しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題、対処方針
地政学リスク、国内外の経済情勢、原材料・燃料エネルギー・設備資材等の価格高騰、物流の不透明感や為替の影響等により、当社グループの生産体制、物流体制、営業活動等の事業活動の継続に支障が生じた場合には、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このような経営環境のもとで当社グループは、原材料・燃料エネルギー・設備資材等の価格高騰や調達難化への対応を重要な課題と認識しております。工場の生産効率化による更なるコストダウンに取り組むとともに、製品価格への一部転嫁等の継続的な取り組みを行ってまいります。また、サプライチェーン上、調達が不安定な状況になっている、もしくはそのような状況が想定される製品については、安定的な原材料調達を行えるよう複数購買対象の拡大等、調達プロセスの改善を行ってまいります。
各セグメントにおいては以下の課題を認識しており、その課題解決に向けた施策を推進してまいります。
ファインケミカル事業につきましては、既存製品の収益性向上、グローバル展開及び医薬関連製品の安定生産及び供給体制の構築を課題として認識しております。その施策として、当社グループのマナック株式会社福山工場において安定生産及び供給のために必要な維持投資を着実に実行してまいります。
難燃剤事業につきましては、既存難燃剤の収益性向上及び新製品開発の必要性を認識しております。その施策として、中国現地法人であるマナック(上海)貿易有限公司を活用し、需要が旺盛な中国市場に向けた拡販、工場におけるコストダウン及び当社グループの各研究所において難燃不燃材料等の新製品開発活動を継続的に行ってまいります。
ヘルスサポート事業につきましては、サプライチェーンの維持に努め、顧客ニーズに合わせた人工透析用原料や抗菌剤原料等、社会に必要とされる製品を安定的且つ持続的に供給してまいります。
加えて、当社グループは、企業の社会的責任を認識し、内部統制の有効性を高め、コンプライアンスを徹底いたします。また、優秀な人材の確保・育成を図り、安全操業、環境に配慮した事業活動を行ってまいります。さらに、自然災害の発生等に備え、定期的な災害防止活動やBCPの運用等、事業リスクの最小化に向けた施策を改善・継続してまいります。
サステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、当社グループの主要な事業を営む会社において、ESGへの取組み及び人的資本に関する具体的な取組みが行われておりますが、連結グループにおける記載が困難であることから、当社グループの主要子会社であるマナック株式会社について記載をしております。
(1)ESGへの取組み
スペシャリティーケミカル(機能性化学品)は医薬・先端技術分野では欠かせない原料であり、当社グループは、その製造のみでなく、スペシャリティーケミカルを活用することによって人々の生活に貢献してまいります。また、ステークホルダーとの共存共栄を目指し、今までの経営基盤を強化しながら迅速かつ果断に挑戦し続けることにより、持続的成長と企業価値向上の実現を目指してまいります。
①ガバナンス
ISO14001に基づいた環境マネジメントシステムを構築しており、代表取締役はそのシステムにおいて、トップマネジメントとして地球温暖化及び環境汚染防止対応を含む全ての環境活動を統括しております。
代表取締役は、「環境基本理念」、「環境方針」を掲げ、年2回実施されるマネジメントレビューを通して環境マネジメントシステムの適切性、妥当性、有効性を評価し、その継続的改善に関して決定する責任と権限を有しております。
②リスク管理
地球温暖化及び環境汚染防止対応は大きなリスクになる一方で、これからのマナック株式会社にとっての機会にもなり得ると考えております。
下記は、ISO14001に基づいた環境マネジメントシステムにより特定されたリスクと機会の一例であります。
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事 象 |
リ ス ク |
機 会 |
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危険性、有害性のある化学物質を多種、多量に取り扱っている。 |
事故、漏洩が発生した場合、環境汚染が懸念される。 |
多くの知識が得られ応用力の増加が期待できる。 |
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エネルギーを多量に使用している。 |
エネルギーの大量使用により、地球温暖化への影響が懸念される。 |
省エネへの取組みの意識向上やその結果が期待される。 |
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関連法令が多く対応すべき事項が多い。 |
理解不足による不遵守が懸念される。 |
適切な対応により優位性を保つ機会が得られる。 |
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自然災害の発生が増加している。 |
事故、漏洩が発生した場合、環境汚染が懸念される |
防災、監視等の対策強化の機会となる。 |
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環境影響に関する開示要求が多岐にわたって求められる。 |
新規採用や資金調達への影響が懸念される。 |
優秀な従業員の採用や環境関連投資の機会となる。 |
代表取締役を最終決裁者とし、災害リスクや環境リスクも対象としたリスク管理規程を定め、リスクの積極的な予見や適切な評価、回避や適切な措置を図っております。
③戦略
下記環境方針のもと、環境マネジメントシステムで特定されたリスクと機会、環境影響及び関連法令等の遵守に関する目標を設定し、その達成に向け取組んでおります。
環境方針
1.地球温暖化や環境汚染の防止を念頭においた事業活動に努めます。
2.活動の各段階において、大気への排出の抑制、廃棄物の削減、省エネルギーに取組みます。
3.全従業員に対して積極的な教育・訓練を実施し、環境に対する意識と知識の向上を図り、汚染の予防に努めます。
4.環境保全に関する各種法令・協定等を理解し遵守します。
5.環境マネジメントシステムを効果的に運用し、定期的にレビューを実施するとともに、継続的改善を図ります。
④指標及び目標
環境方針に掲げている地球温暖化及び環境汚染の防止を目指し、主に下記取組みを行っております。
(マテリアルフロー)
事業活動に伴い投入するエネルギーや資源、排出される物質を定量的に把握し、重要な環境課題の特定や課題解決に役立てております。
(エネルギー使用)
主なエネルギー使用は熱源、動力としての利用になります。また、省エネ法における「特定事業者」であり、エネルギー管理者を選任し、使用状況の報告を毎年行っております。
(温室効果ガス排出量)
排出する温室効果ガスのほとんどはエネルギー起因CO2になります。従いまして、省エネ活動がそのまま地球温暖化の防止活動となります。
(省エネルギー)
全社的に省エネルギーを推進しております。マナック株式会社福山工場の熱源であるボイラーは、ガス専焼の小型高性能機を台数制御運転しております。一方、電力削減は工場の原動機を中心に事務・生活系の一般電力も含めた節電に継続的に取組んでおります。
(化学物質の管理)
「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(PRTR法)に基づき、対象事業所となるマナック株式会社福山工場においては、化学物質の環境への排出量・移動量を把握しております。ISO14001システムと連動し、対象化学物質の排出抑制を環境目標活動として継続的に取組んでおります。
(廃棄物排出量)
マナック株式会社では、廃棄物の分別回収、溶媒のリサイクル等廃棄物の適正な処理と再資源化に努めております。また、廃棄物の処理に関しては優良認定処理業者を選択し、3R(Reduce、Reuse、Recycle)を推進し、廃棄物の発生抑制に取組んでおります。
(2)人的資本
モノづくりを基盤に成長してきたマナック株式会社は、よりプロフェッショナル意識を持ち、主体的に判断し、行動する集団になるため、各層のレベルアップ、人材の確保・育成を推進することにより、経営基盤の強化を図ります。また、一人ひとりがコンプライアンス意識を持ち、個性を最大限に発揮できる組織を目指してまいります。
①ガバナンス
マナック株式会社の取締役会、経営戦略会議において、人事方針や計画を審議決定するとともにその進捗状況についての確認と評価を行い、人事施策に反映しております。
また、社内ネットワークを通じて全従業員に人事施策が行きわたるよう整備しており、部下指導の観点において、年1回実施している幹部職研修は、幹部職全員の受講を義務付けております。
②リスク管理
人材の流出や採用が困難になることは、人事戦略において最大のリスクと考えております。マナック株式会社では、タレントマネジメントシステムを利用し、人事情報の一元化とともに、正しい評価・指導に結び付く仕組みを整備しております。従業員に対して成長の機会を提供し、働きやすい環境を整えることでリスク低減に努めております。
③戦略
スペシャリティーケミカルをベースに社会の進化・発展に貢献し続けるため、人材の採用、教育、心身の健康等人的資本への取組みを積極的に行っております。
企業の持続的成長を考えた際、特に製造部門において、リーダー人材の高齢化が進み、次世代を担うリーダーの人材不足が課題となっており、今後の事業展開と人員構成に応じた採用計画に沿って人材確保に努めております。
また、人材個々の能力を高め、多様性、人格、個性を尊重する働き方を実現するとともに、仕事と生活の調和、健康と安全に十分配慮した働きやすい職場環境の構築に努めてまいります。
④指標及び目標
(1)リーダー人材の採用
製造部門において、次世代を担うリーダーの育成には時間を要することから、継続的な採用は欠かせない人事戦略と考えております。
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指標 |
目標 |
採用実績 |
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製造部門における 将来のリーダー候補者の採用 |
継続的な採用 |
2021年度 5名 2022年度 5名 |
(2)賃金水準の底上げ
優秀な人材の採用、人材の流出を防止するためには、賃金水準の底上げは欠かせない人事戦略と考えております。
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指標 |
目標 |
労働組合員平均賃上げ実績 |
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賃金水準の底上げ |
継続的な賃上げ |
直近3ヵ年平均 2.6% |
(3)働きやすい環境の提供
マナック株式会社は、健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」、若者雇用促進法に基づく認定制度において「ユースエール認定企業」に認定されております。
それぞれの制度において継続認定されることを目標とし、認定基準の適合に向けた取組みを行ってまいります。
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指標 |
目標 |
実績 |
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ユースエール認定企業の認定 |
継続的な更新 |
4年連続更新 (参考)直近3年の定着状況 23名新卒入社のうち 2名離職(離職率8.7%) |
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健康経営優良法人の認定 (中小規模法人部門) |
継続的な更新 |
2023年3月取得 |
上記取組みに加え、役職員がメンタルヘルス不調に陥ることを未然に防ぎ、職場環境改善につなげるため、年1回、役職員全員にストレスチェックを行っております。役職員自身のストレスへの気付きを促すとともに、ストレスチェックの集団分析、及びその結果を踏まえたラインケア教育を通じて職場環境の改善に取組んでおり、数値化されたストレス度合が国内全企業平均値を下回ることを目標に取組んでおります。
また、多様な働き方の推進として、在宅勤務制度、フレックスタイム勤務制度、及び時間単位年休制度等の柔軟な制度を導入しており、今後も状況に応じた施策を検討してまいります。
(4)教育制度の充実
教育制度の充実のため、WEB研修制度を導入しております。従業員個々のステージに応じた受講や関心のある分野の積極的な知識習得、弱点の補強等に活用しております。また、会社として従業員のリスキリングを推進することを宣言し、今後のDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略において、新たに必要となる業務・職種に順応できるよう従業員のスキルアップを支援しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)国内外の経済情勢・需要変動
当社グループの製品は、電気製品、OA機器、電子材料及び情報関連分野等、多岐にわたる分野で使用されております。そのため、当社グループ製品の需要は、製品を販売している様々な分野の経営状況の影響を受けることになります。従いまして、国内外の関連市場における景気後退による需要の縮小は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、製品リストラクチャリングの実施や新製品及び新技術の研究開発等を継続的に行うことで市場環境の変化への対応力を高めております。
(2)価格競争
当社グループが事業を展開する多くの市場において国際競争が激化しております。競合先には価格面で当社グループより競争力を有している可能性があります。また、新しい競合先の市場参入に伴い、当社グループ製品が厳しい価格競争にさらされる可能性もあります。その結果、価格面での圧力、又は競争の激化によるシェアの低下により、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これらに対応すべく、工場におけるコストダウン及び増産体制の整備に取組み、製造原価の低減に努めております。
(3)原材料の調達
当社グループは、原材料を多数の供給業者から調達しております。供給業者における災害及び事故、中国をはじめとした海外における政策や米中貿易摩擦、ウクライナにおける地政学上のリスクの高まり等により原材料調達への支障が生じた場合には、生産活動の停止等の影響が考えられ、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、売買契約及び品質保証書等により品質保証された原材料の調達を行っており、国内外の複数の調達先との取引関係を強化することで、安定的な原材料調達が行える体制構築に努めております。
(4)原材料の市況変動
当社グループの使用する原料は、直接的あるいは間接的に石油化学原料と関係しているものが多くあり、原料価格の動向は、ナフサ価格や為替相場の変動の影響を受けます。国際情勢の状況次第では、原料価格が上昇する可能性があり、また需給バランスが崩れ、供給不足の状況になった場合においても原料価格が上昇する可能性があります。今後、市況が高騰した場合には原材料費の上昇により、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、随時、市況価格や為替相場を注視し、適切な原材料調達が行える体制構築に努めております。
(5)自然災害
当社グループの主要な生産拠点であるマナック株式会社福山工場と郷分事業所の所在地は、いずれも広島県福山市であります。地震や台風等の自然災害によって、これらの生産拠点が甚大な被害を受ける可能性があり、当社グループの生産体制、物流体制、営業活動等の事業活動の継続に支障が生じた場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、定期的な災害防止活動や設備点検の実施、BCPの策定等、事業リスクの最小化に向けた施策を実施しております。
(6)法的規制等
当社グループの事業の遂行にあたっては、遵守すべき各種法令等の規制があります。また、環境問題に対する世界的な意識の高まりから、環境に関する各種規制は強化される傾向にあります。これら法的規制の強化等により、事業活動の制限、追加の設備投資、費用等が発生した場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、工場部門における環境保全に対する取組みの実施や、各種業界団体への加盟等により必要な情報の的確な収集を行い、各種法令等の遵守に向けた従業員教育に努めております。
(7)海外での事業活動
当社グループは、2016年3月に中国現地法人であるマナック(上海)貿易有限公司を設立し、中国をはじめとした国際市場における事業展開を行っております。しかしながら、海外において、政治体制の変動、法規制の変更、為替の急激な変動等があった場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、マナック(上海)貿易有限公司を中心に、海外において事業活動を行う上で必要な情報を、迅速且つ的確に収集することに努めております。
(8)新製品及び新技術開発
当社グループが事業を展開する多くの市場においては、技術の進歩、革新的な新製品の登場等急速に変化しております。当社グループの将来の成長は、既存事業の強化に加え、新製品の開発と販売、新規事業の育成に依存すると予想しております。市場の変化への対応の遅れや開発状況の遅れ等により、新製品及び新技術を開発できない場合には、将来の成長と収益性が低下し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、研究環境の整備と研究員の自律的成長を促すため、次世代の研究拠点のあり方を検討していきつつ、新製品及び新技術の研究開発や新規事業の育成に取組んでおります。
(9)事故
不慮の事故等により、工場周辺地域あるいは製造設備に重大な被害が生じた場合には、被害補償、設備補修等に多額の費用が発生することも考えられます。このような場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、日常的及び定期的な設備の点検・保守・安全関連投資等の実施、従業員に対する労働安全衛生教育を行い、製造設備の安定操業及び安全確保に努めております。
(10)品質問題
製品に予期せぬ欠陥が生じた場合には、社会的信用の低下及び問題解決に関わる多額の費用が発生することも考えられます。このような場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、製品の品質保証体制を確立し、その信頼性の向上に努めております。また、製品の不良等による万が一のトラブル発生に備え、賠償責任保険へ加入しリスク低減を図っております。
(11)訴訟等
当社グループの事業又は活動に関連して、訴訟、紛争、その他の法的手続が提起される可能性があります。現在、当社グループの業績と財政状況に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来において、重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、企業行動憲章の制定を行い、国内外の各種法令等の遵守に努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における国内経済は、コロナウイルス感染拡大の影響による行動制限の緩和に伴い、緩やかな景気回復の兆しが見られました。しかしながら、原材料やエネルギー価格の高騰、円安の進行、ウクライナでの地政学上のリスクに加え、物価上昇による消費マインドの低下懸念もあり、先行き不透明な状況は継続しております。
このような環境の下で当社グループは、国内外の市場における顧客への取引深耕に一体となり積極的に取組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高11,853百万円(前期比+1,150百万円、10.7%増)、営業利益991百万円(同+251百万円、33.9%増)、経常利益1,179百万円(同+297百万円、33.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は821百万円(同+108百万円、15.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
ファインケミカル事業
ファインケミカル事業につきましては、電子材料製品や工業薬品等は安定した需要を維持いたしました。一方
で、連結子会社である八幸通商株式会社における一部製品は需要が減少いたしました。
この結果、売上高4,343百万円(前期比△191百万円、4.2%減)、セグメント利益は768百万円(同+130百万円、20.5%増)となりました。
難燃剤事業
難燃剤事業につきましては、昨年来の原燃料価格等の高騰はあったものの、電子材料部材や家電製品に使用されるプラスチック用難燃剤、各種工業薬品用無機臭化物等の需要は堅調に推移いたしました。また、円安による為替の影響も追い風になりました。
その結果、売上高は6,245百万円(同+1,251百万円、25.1%増)、セグメント利益は1,313百万円(同+319百万円、32.2%増)となりました。
ヘルスサポート事業
ヘルスサポート事業につきましては、主力の人工透析用原料は安定した国内需要を維持いたしましたが、各種原材料価格の高騰があり利益面に大きな影響を及ぼしました。また、広島大学と共同開発(特許取得)し製品化した固定化抗菌剤「Etak®」の需要はコロナ禍の収束とともに落ち着いてまいりました。
この結果、売上高は1,264百万円(同+90百万円、7.7%増)、セグメント利益は31百万円(同△127百万円、80.4%減)となりました。
財政状態に関しましては、次のとおりであります。
(資産、負債及び純資産の状況)
当社グループの当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて1,427百万円増加し、
15,012百万円となりました。これは主に、棚卸資産が1,214百万円増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて681百万円増加し、3,972百万円となりました。これは主に、原料価格高騰に連動する買掛金等が増加したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて745百万円増加し、11,039百万円となりました。これは主に、利益剰余金が増加したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,681百万円増加し、当連結会計年度末には、3,721百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,647百万円(前年は714百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は199百万円(前年は422百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の売却等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は125百万円(前年は200百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ファインケミカル事業(百万円) |
3,875 |
94.1 |
|
難燃剤事業(百万円) |
6,708 |
139.5 |
|
ヘルスサポート事業(百万円) |
686 |
59.1 |
|
合計(百万円) |
11,270 |
111.7 |
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ファインケミカル事業(百万円) |
616 |
92.4 |
|
難燃剤事業(百万円) |
35 |
87.1 |
|
ヘルスサポート事業(百万円) |
549 |
127.1 |
|
合計(百万円) |
1,200 |
105.4 |
c.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ファインケミカル事業(百万円) |
4,343 |
95.8 |
|
難燃剤事業(百万円) |
6,245 |
125.1 |
|
ヘルスサポート事業(百万円) |
1,264 |
107.7 |
|
合計(百万円) |
11,853 |
110.7 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先
|
前連結会計年度 (自2021年4月1日 至2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
第一工業製薬株式会社 |
1,578 |
14.7 |
2,041 |
17.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積り及び判断は、過去の実績や当該取引の状況、入手可能な情報に基づいておりますが、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
売上高
売上高は前連結会計年度に比べ1,150百万円増加の11,853百万円(前期比10.7%増)となりました。これは、ファインケミカル事業において、電子材料製品や工業薬品等が安定した需要を維持したこと、及び難燃剤事業において、電子材料部材や家電製品に使用されるプラスチック用難燃剤、各種工業薬品用無機臭化物等の需要が堅調に推移したことが主な要因であります。
営業利益
営業利益は前連結会計年度に比べ251百万円増加の991百万円(前期比33.9%増)となりました。これは各事業において原材料価格高騰に伴い、価格転嫁、製造原価低減及び経費削減に努めたことが主な要因であります。
経常利益
経常利益は前連結会計年度に比べ297百万円増加の1,179百万円(前期比33.8%増)となりました。これは、営業利益と同様の要因であります。
親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ108百万円増加の821百万円(前期比15.2%増)となりました。これは、営業利益と同様の要因、及び保有する投資有価証券の一部を売却したことが主な要因であります。
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因として、国内外の景気動向及び当社グループが使用する原材料の市況変動に影響を受ける可能性があります。
資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは事業運営上必要な資金の流動性の向上と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資及び投資有価証券の取得等であります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の資金調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金の合計残高は290百万円となっており、現金及び現金同等物の残高は3,721百万円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社グループは投下資本の運用効率と収益を重視し、自己資本利益率(ROE)を経営管理の重要指標として位置付け、長期的な目標値を10%以上に設定しております。
当連結会計年度におけるROEは7.4%(前期比0.5ポイント増)であります。これは製造原価低減及び経費削減に努めたこと等により親会社株主に帰属する当期純利益が増加したことが主な要因であります。引続き当該指標の改善に向けグループが一体となり取組んでまいります。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
ファインケミカル事業
電子材料製品や工業薬品等は安定した需要を維持した一方で、連結子会社である八幸通商株式会社における一部製品は需要が減少したことから、前期比で減収増益となりました。
難燃剤事業
昨年来の原燃料価格等の高騰はあったものの、電子材料部材や家電製品に使用されるプラスチック用難燃剤、各種工業薬品用無機臭化物等の需要は堅調に推移したことから、前期比で増収増益となりました。
ヘルスサポート事業
主力の人工透析用原料は安定した国内需要を維持いたしましたが、各種原材料価格の高騰があり利益面に大きな影響を及ぼしたことから、前期比で増収減益となりました。
該当事項はありません。
当社グループの研究所では、過去から培ってきた技術の進化拡大を通し、競争力ある製品群の創出に取組んでおります。ファインケミカル事業部、マテリアル・ソリューション事業部、及びヘルスサポート事業部が一体となったマーケティング活動により顧客ニーズを的確に把握し、当社グループのコア技術である臭素化、ヨウ素化や各種有機合成技術、精製技術を駆使することで、顧客ニーズに合った製品の早期開発を行っております。一方、臭素化学懇話会やヨウ素学会等の学会活動や種々の公的研究開発法人及び国立大学法人等との共同研究を通じ、先端技術等のシーズ育成にも努めております。
また当社グループが運営する郷分ラボ、富山ラボ、湘南ラボ及び昨年開設した浜松ラボでは、事業領域の拡大と自社製品・自社技術開発の活性化を目的として、より一層活発的な開発を進めております。これら研究開発環境の整備とともに、新しい事業及び当社グループにおける強みの創出に挑戦していきます。
当連結会計年度における各セグメント別の研究の主要課題及び施策、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
(1) ファインケミカル事業
医薬中間体開発については、技術優位を意識したプロセス開発と工業化検討を推進し、受託品開発・自社製品開発を行っております。受託品開発においては、グローバル展開品2品目(がん関連医薬品原料、婦人科領域治験薬中間体)を中心に実機生産を繰り返し、定常生産実現に向けた開発を推進しております。また、自社製品開発においては、酸化剤として利用される超原子価ヨウ素化合物のパイロット試作を実施して課題の抽出・対策を施し、スケールアップ生産に向けた開発を推進しております。
電子材料の中間体については、新規の特殊ハロゲン化合物及びそれら誘導体の経済的プロセスの開発を推進しております。例えば、フラットパネルディスプレイ分野における有機EL部材といった、高付加価値化合物の骨格構成に有用な臭素化合物、ヨウ素化合物及び異種ハロゲン化合物の開発や、それらを利用した高次化合物の開発を積極的に進めております。また、培った開発技術については半導体分野や光学材料分野等その他分野へ展開していくことも推進しており、半導体分野の高次化合物におけるパイロット試作を実施しております。
当事業に係る研究開発費は
(2) 難燃剤事業
バイオマス素材を活用した材料開発においては、トクラス株式会社よりWPC(ウッド・プラスチック・コンポジット)事業を譲り受け、浜松ラボを開設しました。新設ラボとのコラボレーションにより機能性WPCの研究開発を加速させ、早期事業化に向けた活動を推進しております。また、一昨年度より参画した研究コンソーシアム「高機能リグニン」において、引き続き改質リグニン系次世代バイオベース材料の開発に取組んでおります。加えて、プラスチック用難燃剤として環境調和型ポリマータイプ難燃剤「ポリマーナ®」シリーズの市場開発も継続しており、整備した機能評価体制を活用することで先端分野における難燃・不燃化に向けた研究開発の加速に取組んでおります。これらの研究開発活動を推進するため、関連する国内研究機関への研究員派遣や大学法人・公的研究機関等と複数の共同研究・共同開発を実施しております。
当事業に係る研究開発費は
(3) ヘルスサポート事業
無機薬品については、「医薬用途向け無機塩化物の川下化製品」の開発活動を積極的に継続実施しております。
また、ヘルスサポート事業における新規事業展開の一環として、広島大学大学院医系科学研究科(歯)の二川浩樹教授と共同開発(特許取得)した、持続型の固定化抗菌成分「Etak®」及び本成分を含有した新規の除菌・抗菌コーティング剤「Etak®セーフティーコート®」の市場拡大に向けた用途開発に関して積極的に取組んでおります。
なお、「Etak®」は広島大学のベンチャー企業である株式会社キャンパスメディコの登録商標です。
当事業に係る研究開発費は