第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

「2020-2025中期経営計画」フェーズ1(2020-2022中計)の振り返り

 「2020-2025中期経営計画」フェーズ1(2020-2022中計)では、この先の持続的な成長を実現するために、徹底的な構造改革に取り組み、着実なオーガニック成長の実現や重点事業への集中、有形資産を軽くするアセットライトを推進しました。また、2022年4月からは「スピードアップ×スケールアップ」を掲げ、意思決定と執行のスピードを速める企業文化の変革を進め、不透明な社会状況の中での原料安定調達やコストアップへ迅速に対応する等、当社の適応力向上を加速させています。

 「2020-2025中期経営計画」フェーズ1(2020-2022中計)で掲げた財務・非財務の各目標は、ほぼ達成し、1年前倒しで再成長ステージに入ることができました。重点事業売上高比率及び従業員エンゲージメントスコアは未達となりましたが、従業員エンゲージメントスコアについては、より実態を把握できる測定方法に変更した上で、無形資産の価値を高める源泉である人財資産の強化に継続して取り組み、ASVの志で結ばれた個人と組織の共成長を図ることで、このスコアを更に高め、企業価値向上につなげていきます。

 

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“Our Philosophy” ~食と健康の課題解決、その先へ~

 味の素グループでは、これまで3か年の中期経営計画を策定し取り組んできました。しかし、常に変化する社会や経済情勢下において、先行きが不透明な3年先の経営数値を精緻に作り込むことに主眼がおかれ、挑戦的な取組みや成長が不十分ということが課題となっていました。そのため、3年分の数字を精緻に積み上げすぎて計画倒れや計画疲れになりがちだった従来型の中期経営計画を廃止し、長期視点のありたい姿から挑戦的な「ASV指標(*1)」を掲げ、バックキャスト(*2)して2030年までのありたい姿への道筋である「中期ASV経営 2030ロードマップ」を策定することとしました。

 「中期ASV経営 2030ロードマップ」を描くにあたり、味の素グループの「志(パーパス)」を「アミノ酸のはたらきで食と健康の課題解決」から「アミノサイエンス®(*3)で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」へと進化させ、味の素グループの理念体系である“Our Philosophy”をより簡潔かつ明確に整理しました。その上で、「ASV指標」による「中期ASV経営」へのマネジメント変革を行い、食と健康の課題解決のその先へ、アミノサイエンス®により人・社会・地球のWell-beingへ貢献、そして“Eat Well, Live Well.”を実現していきます。

 *1 味の素グループが事業を通じて得た財務パフォーマンスを示す経済価値指標と、提供・共創したい価値に基づく社会価値指標から成る、更なる成長やチャレンジを後押しする指標。

 *2 未来を起点に現在を振り返り、今何をすべきか考える未来起点の発想法。

 *3 創業以来、アミノ酸のはたらきに徹底的にこだわった研究プロセスや実装化プロセスから得られる多様な素材・機能・技術・マーケティング・サービスを総称したもの。また、それらを社会課題の解決や“Well-being”への貢献につなげる、味の素グループ独自の科学的アプローチ。

 

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味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)

 多様な関係者の皆様とも対話を重ね、社外有識者を中心としたサステナビリティ諮問会議からの答申を基に、長期視点で味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)とそのつながりを次のようにユニークに整理しました。

 図中にある「アミノサイエンス®によるWell-being」とは、人間が求める豊かさの質を“Well-being”へと転換し、アミノサイエンス®の力で地球環境を再生し可能性を広げることでサステナブルに成長していく味の素グループの未来に向けての考え方を示しています。また、無限大のメビウスの輪は、サステナブルな成長を意味しています。そして、このポジティブな成長の考え方はまさに、「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」という「志(パーパス)」と重なるわけです。「志(パーパス)」とマテリアリティのつながりを意識し、今後具体的な取組みや目標KPI等を経営戦略の一環として設定・測定・開示しながら、多様な関係者の皆様と対話をしていきます。

 なお、サステナビリティ諮問会議の議長を務めていただいた立教大学のデイヴィス スコット教授を社外取締役に招聘し、この取組みを絵に描いた餅ではなく、確実に実行していきます。

 

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「中期ASV経営 2030ロードマップ」

(1)中期ASV経営へのマネジメント変革

 「中期ASV経営 2030ロードマップ」の1つ目のポイントは、「中期ASV経営」へのマネジメント変革です。計画中心から継続的に実行力を磨き込む経営に進化させていきます。中期経営計画の策定を廃止し、「ASV指標」への挑戦をし続ける「中期ASV経営」を推進します。そのために、「2030年のありたい姿」に向けて、挑戦的な指標を掲げ、そこからバックキャストして2030年度までの道筋(ロードマップ)を策定しました。その指標が「ASV指標」であり、「ASV指標」は経済価値だけでなく、経済価値へとつながる社会価値の指標も示しています。

 これを進める中ではうまくいく事ばかりではないと思います。その兆候をしっかりと捉えて機敏に打ち手を打ち続けることで実行力を磨き込んでいきます。高い目標に対し挑戦を続けることで従業員一人ひとりも成長し、それらも原動力に企業価値を飛躍的・継続的に向上させていきます。

 なお、単年度ごとの業績予想はこれまで通り公表して、その実現を目指していきます。

 

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(2)ポートフォリオマネジメントの進化

 2つ目のポイントは、最適な資産配分を検討するポートフォリオマネジメントの進化です。事業・機能・地域等の各種ポートフォリオについて、その配分を「志」と「中期ASV経営」に照らしてシフトさせていきます。これまでは、成長性と効率性の軸で、特に、6つの重点事業への集中やアセットライト(資産の保有を抑え、財務を軽くすること)を優先して進めてきました。今後も効率性向上やアセットライトは継続しながら、より中長期の成長性を意識していきます。新たなポートフォリオの考え方では縦軸に中長期の成長性を、横軸には競争優位性の構築や持続可能性を取り、成長分野に経営資源を集中させ、高収益な事業構造への転換を図ると同時に、将来を見据えた種蒔きを続け、機敏な撤退判断も行いながら、①集める、②変える、③始める、④止める、によってポートフォリオを常に新しく進化させていきます。

 

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(3)無形資産への重点投資

 最後のポイントは、無形資産への投資です。当社における競争優位の源泉は技術資産・人財資産・顧客資産・組織資産といった無形資産にあると考えており、その「見える化」を進めながら更に磨き込んでまいります。

 まず、技術資産には、おいしさ設計技術®や先端バイオ・ファイン技術に代表されるアミノサイエンス®が挙げられます。この技術資産には、生活者の心がどう動くかということを見極める、マーケティングの技術も含まれています。無形資産の中で一番重要なものは、人財資産です。「志」への「熱意」あふれる人財や、顧客と技術をマッチングさせイノベーションを生み出す人財、現地・現場に寄り添う人財が味の素グループの強みであり、今後は、更に多様な価値を創出できる人財を獲得・育成していきます。顧客資産では、B2B、B2C、業種、エリア等多様かつグローバルな顧客との関わりがあることが強みです。最後に、組織資産とは、企業で共有されている組織全体としての力を指しますが、「志」とそれへの熱意や「ASV経営」、「味の素グループWay」やコーポレートブランドが味の素グループの強みです。一方で成長へとシフトしていくためには、現地・現場で起こるイノベーションを「スピードアップ×スケールアップ」していく仕組みを強化する必要があると考えています。そのためにも、2030年までに約1,000億円の人財投資を行い、ワークショップや研修を通じて学ぶ機会を増やし、統合的に組織資産、組織風土を活性化させていきます。

 これら無形資産投資・強化の取組みは、ASVの実現と密接に関わると考えており、ASV実現プロセスを、従業員エンゲージメントスコアを測定する項目として毎年確認していくことで、継続的に企業価値を向上させていきます。

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ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(多様性・公平性・包括性)

 多様性を高めるため、重点3指標(性別、国籍、グループ企業所属籍)の取組みを進めます。その一環として、執行役では2023年4月より女性3名、外国籍2名を登用し、社外取締役では外国籍1名を候補としました。また、既に導入されているポジションマネジメント(*4)の仕組みを活かして、味の素グループの優秀な人財が企業や国を超えて更にグローバルに活躍できるよう人財委員会も活用して取り組んでいきます。リーダーシップ層においても、2030年に多様性3指標30%を実現していきます。そのための人財プールの充実化と見える化、グローバル人財育成プログラム「味の素グループアカデミー」での能力開発、地域間異動なども含めた適所適財の人財登用を推進していきます。

 *4 事業戦略の実現のために組織に必要な職務を明確化し、それぞれの職務の要件とその職務を担うために必要な人財の要件を決定すること。

 

リスクマネジメント体制の強化

 近時、事業環境の変化は激しく、これまで以上に包括的なリスクマネジメントが重要であると認識しています。このため、2023年4月、経営リスク委員会を設置しました。それまでは、味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)に基づく全社経営課題のリスク及び機会の対策を立案するサステナビリティ委員会の下部機構であるリスククライシス小委員会がリスクマネジメントを担う体制としていましたが、パンデミックや地政学リスク等について十分に先取りした対応ができていなかったとの反省がありました。新設の経営リスク委員会は、「中期ASV経営 2030ロードマップ」の実現の妨げとなるリスクを早期に特定し、味の素グループへの影響評価を実施して対応策を立案することで、味の素グループのリスクマネジメント力を向上させます。マテリアリティに基づくリスクと機会である環境課題やサプライチェーンにおける人権課題等は、今後もサステナビリティ委員会が対応していきます。経営リスク委員会とサステナビリティ委員会の緊密な連携を通じて、味の素グループのリスクを適切に管理します。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

<味の素グループのサステナビリティに対する考え方>

 味の素グループは、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献することを目指しています。そのためには、2030年までに「環境負荷を50%削減」と「10億人の健康寿命を延伸」のアウトカムを両立して実現することが必要と考えています。

 味の素グループの事業は、健全なフードシステム(*1)、つまり安定した食資源と、それを支える豊かな地球環境の上に成り立っています。一方で、事業を通じて環境に大きな負荷もかけています。地球環境が限界を迎えつつある現在、その再生に向けた対策は当社グループの事業にとって喫緊の課題です。気候変動対応、食資源の持続可能性の確保、生物多様性の保全といった「環境負荷削減」によって初めて「健康寿命の延伸」に向けた健康でより豊かな暮らしへの取組みが持続的に実現できると考えています。

 味の素グループは事業を通じて、おいしくて栄養バランスの良い食生活に役立つ製品・サービスを提供するとともに、温室効果ガス、プラスチック廃棄物、フードロス等による環境負荷の削減をより一層推進し、また、資源循環型アミノ酸発酵生産の仕組み(バイオサイクル)を活用することで、強靭で持続可能なフードシステムと地球環境の再生に貢献していきます。

 さらに、味の素グループの強みであるアミノサイエンス®を最大限に活用し、イノベーションとエコシステムの構築により、フードシステムを変革していきたいと考えています。

 *1 食料の生産、加工、輸送及び消費に関わる一連の活動

 

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(1)ガバナンス

 味の素グループでは、グループ各社及びその役員・従業員が順守すべき考え方と行動の在り方を示した味の素グループポリシー(AGP)を誠実に守り、内部統制システムの整備とその適正な運用に継続して取り組むとともに、サステナビリティを積極的なリスクテイクと捉える体制を強化し、持続的に企業価値を高めています。

 持続可能性の観点から企業価値を継続的に向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しており、その概要は提出日現在で以下のとおりです。

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 取締役会は、サステナビリティ諮問会議を設置する等、サステナビリティとESGに係る当社グループの在り方を提言する体制を構築し、ASV経営の指針となる味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)を決定するとともに、サステナビリティに関する取組み等の執行を監督しています。

 経営会議は、下部機構としてサステナビリティ委員会を設置し、「マテリアリティに基づくリスクと機会」を選定・抽出し、その影響度合いの評価、施策の立案、進捗管理を行う体制を構築しています。なお、2022年度はサステナビリティ委員会から2回の報告を受けています。

 サステナビリティ諮問会議は、2023年4月より第二期サステナビリティ諮問会議として、引き続きサステナビリティの観点で味の素グループの企業価値向上を追求するため、その活動を継続します。第二期サステナビリティ諮問会議は、主として投資家・金融市場の専門家からなる社外有識者4名で構成され、議長は社外有識者が務めています。取締役会からの諮問に基づき、マテリアリティの実装、その進捗についての開示及び対話、それらを通じてステークホルダーとの関係構築を行っていくことについて、取締役会のモニタリングを強化する視点で検討を行い、取締役会に答申します。第二期サステナビリティ諮問会議は1年に1回以上開催され、審議の内容及び結果を取締役会に報告します。

 サステナビリティ委員会は、中期ASV経営を推進するため、マテリアリティに則して、施策の立案、経営会議への提案、サステナビリティ施策の進捗管理を行います。また、マテリアリティに基づく全社経営課題のリスクの対策立案、その進捗管理に関する事項を行うとともに、味の素グループ全体のサステナビリティ戦略策定、戦略に基づく取組みテーマ(栄養、環境、社会)の推進、事業計画へのサステナビリティ視点での提言と支援、ESGに関する社内情報の取りまとめを行います。

 経営リスク委員会は、経営会議の下部機構として、サステナビリティ委員会と並列で設置され、経営がイニシアチブをもって対処すべきリスクを特定し、その味の素グループへの影響評価を実施して対応策を立案します。特定されたリスクをサステナビリティ委員会が取り扱う方が実効性高く対応できると判断された場合は、サステナビリティ委員会に対応を委ねるなど、サステナビリティ委員会と緊密に連携します。

 

(2)戦略

 味の素グループは、食品事業について調味料・食品から冷凍食品まで幅広い商品領域を持ち、またヘルスケア等の分野にも事業を展開していることから、当社事業は、農、畜、水産資源や遺伝子資源、水や土壌、昆虫等による花粉媒介などのさまざまな自然の恵み、つまり生態系サービスに大きく依存しています。これら自然の恵みは、多様な生物とそれらのつながりによって形作られる健やかな生物多様性によって提供されています。生物多様性に関する問題と気候変動、水資源の減少、資源廃棄物、水質・大気・土壌汚染などの環境問題は相互に密接にかかわり合っており、分けて考えることはできません。この相互の関係性を考慮しながら、生物多様性の保全や生物資源の持続可能な利用と、温室効果ガスの排出抑制や資源の有効活用、廃棄物の削減などの他の環境負荷低減の取組みを進めていきます。

 また、味の素グループでは人財資産を全ての無形資産の源泉と考え、従業員のエンゲージメントが企業価値を高める重要な要素と位置付けています。志を持った多様な人財が、生活者・顧客に深くより添い、イノベーションの共創に挑戦できるよう、人財への投資を強化していきます。

 

(3)リスク管理

 2つのアウトカムを含む「中期ASV経営 2030ロードマップ」を実現する上で、的確にリスクを把握し、これに迅速かつ適切に対応することが極めて重要です。味の素グループでは、経営リスク委員会が、経営がイニシアチブをもって対処すべきリスクを特定し、その味の素グループへの影響評価を実施して対応策を立案し、味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)に基づく全社経営課題のリスクの対策立案とその進捗管理はサステナビリティ委員会が行いますが、両委員会の間に取り残されるリスクがないよう、両委員会は緊密に連携しており、経営リスク委員会にてすべてのリスクを包括的に捉え、取締役会へも報告します。

 国内外の各現場では、個別の事業戦略や現地の政治・経済・社会情勢を考慮してリスクを特定し、対応策を策定するリスクプロセスを回しています。経営リスク委員会は、リスクプロセスを継続的に改善するとともに、各現場が特定したリスクを取りまとめ、経営がイニシアチブをもって対処すべきものに対応します。また、各事業・法人においては、有事に備え、事業継続計画(BCP)を策定し、経営リスク委員会は、その有効性を常に検証するための体制を整備しています。

 サステナビリティ委員会は、マテリアリティに基づき分析・評価したリスクについて、グループ全体の対応策を策定、実行するとともに、リスクへの対応状況を定期的に監視・管理しています。

 

(4)指標及び目標

 2030年に環境負荷50%削減のアウトカム実現、さらには2050年ネットゼロの達成に向けて引き続き取り組みます。2030年に向けては、これまでの主要なテーマである温室効果ガス、プラスチック廃棄物、フードロスの削減、持続可能な調達の実現といった目標を継続し、これらの取組みを推進します。

 スコープ1・2における温室効果ガス(GHG)削減、フードロスの削減については計画を上回る進捗となっています。スコープ3におけるGHG削減については、2022年度は、まずタイのMSG原料から、サプライヤーとの協業に向けた対話を開始しました。2023年度はこれらを着実に進めるとともに他のエリアにも横展開していきます。プラスチック廃棄物削減については、リデュース・リサイクル可能な包材への転換とリサイクルの社会実装への貢献を進めています。サステナブル調達については、重点原料での取組みを進めるとともに、2023年度は生物多様性への取組みも進めていきます。

 また、ASV指標の実現を支える無形資産強化として、従業員エンゲージメントスコアの向上を推進します。

 

ASV指標

 2030年の環境負荷50%削減、そして2050年のネットゼロ達成に向け取組みを進めます。

 また、従業員エンゲージメントスコアについては80%(FY25)、85%(FY30)への向上を目指します。

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 *2 測定方法を、「ASV自分ごと化」の1設問から、より実態を把握できる「ASV実現プロセス」の9設問の平均値へと2023年度スコアから変更します。

 

 

<味の素グループの気候変動に対する考え方>

(1)ガバナンス

 気候変動課題に対する当社のガバナンスは、<味の素グループのサステナビリティに対する考え方>に記載のとおりです。

 

(2)戦略

 当社グループは、食品事業について調味料・食品から冷凍食品まで幅広い商品領域を持ち、またヘルスケア等の分野にも事業を展開しています。気候変動は、大規模な自然災害による事業活動の停止、農作物や燃料などの原材料調達への影響、製品の消費の変化など、さまざまな形でグループの事業に影響を与えます。

 

①シナリオ分析の前提

 2022年度は、2100年に地球の平均気温が産業革命後より1.5℃又は4℃上昇するというシナリオで(*3)、グローバルのうま味調味料、及び国内・海外の主要な製品に関する2030年時点と2050年時点の気候変動による影響に関するシナリオ分析を実施しました。

 中長期における生産に関する事項として、気候変動の影響のうち、渇水、洪水、海面上昇、原料の収量変化等を物理的リスクとして、炭素税の導入やその他の法規制の強化及びエネルギー単価の上昇、消費者嗜好の変化等を移行リスクとして捉え分析しました。

 1.5℃と4℃シナリオにおける2030年時点の平均気温差は0.2℃程度であり物理的リスクに大きな差が見られないと考え、平均気温差が1℃程度予想され物理的リスクに差があると考えられる2050年時点のシナリオ分析のリスクと機会を②・③の表において示しています。

 なお、これまでに当社が実施したシナリオ分析に係る前提の推移を要約すると以下のとおりです。

 

 

2020年度(*4)

2021年度

2022年度

2023年度(予定)

事業

うま味調味料(グローバル)、国内の主要な製品

うま味調味料(グローバル)、国内の主要な製品

うま味調味料(グローバル)、国内・海外の主要な製品

うま味調味料(グローバル)、国内・海外の主要な製品に加えて、その他の加工食品など

発現の時期

2030年

2030年/2050年

2030年/2050年

2030年/2050年

シナリオ

2℃/4℃

2℃/4℃

1.5℃/4℃

1.5℃/4℃

売上高基準カバレッジ

24%

24%

55%

67%

 *3 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるSSP1-1.9(1.5℃シナリオ)、SSP5-8.5(4℃シナリオ)及び国際エネルギー機関(IEA)によるシナリオ等を参照しています。

 

 *4 過年度に実施したシナリオ分析の結果については、過年度に発行したサステナビリティデータブックをご参照ください。https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/ir/library/databook.html

 

 

②シナリオ分析:リスク

1.5℃シナリオ(2050年):GHG排出量削減に向けた一定の政策的対応が行われ、化石燃料の消費が減少する場合

リスク

平均気温上昇

洪水・渇水の重大性と頻度の上昇

製品に対する命令及び規制

消費者嗜好の移り変わり

右の対象は当社グループ全体

カーボンプライシングメカニズム

リスクの分類

移行リスク

物理的リスク

移行リスク

移行リスク

移行リスク

事業インパクト

炭素税等による原料調達のコストアップ(コーヒー豆ほか)

創業時より実施している供給継続対策

使用する原料に関する法規制の強化によるコストアップ

(想定:原料のトレーサビリティやリサイクル使用の法規制)

気温上昇による需要減

(想定:みそ汁、スープ類、ホットコーヒー、加熱調理からレンジ調理へのシフト)

炭素税の導入・増税や排出権取引により、使用する燃料のコストアップ

潜在的財務影響

2億円/年

僅少

2030年:130億円/年(*5)

2050年:300億円/年(*5)

対応策

・原料産地の支援

・別製法で作られた原料の検討

・調達地域の多様化

・代替原料の研究開発

・サプライチェーン上下流の包括的な協力体制構築

・ASV訴求活動(栄養価値)を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション

・アイス飲用に適したマーケティング活動

・レンジ調理メニューの探索・提案

・内部カーボンプライシングによる財務影響の見える化

・燃料転換

・再生可能エネルギー利用

・環境配慮型の製法開発

 

 

 

4℃シナリオ(2050年):GHG排出量削減に向けた政策的対応を行わない、成り行きの場合

リスク

平均気温上昇

洪水・渇水の重大性と頻度の上昇

消費者嗜好の移り変わり

燃料のコスト増加

リスクの分類

物理的リスク

物理的リスク

移行リスク

移行リスク

事業インパクト

農畜水産物の生産性低下によるコストアップ

(想定1:養殖の生育環境悪化、想定2:家畜の増体率低下、

想定3:乳牛の乳量低下、

想定4:家畜の感染症流行、

想定5:農産物の生育不良や病害虫流行)

原料調達のコストアップ、操業停止、納期遅延による売上高の減少

(想定1:タイの洪水、

想定2:タイの渇水、

想定3:日本の局地豪雨による冠水)

 

気温上昇による需要減

(想定:みそ汁、スープ類、ホットコーヒー、加熱調理からレンジ調理へのシフト)

化石系の燃料や電力の価格上昇

潜在的財務影響

45億円/年

1億円/年

25億円/年

対応策

・調達地域の多様化

・サプライヤー・農家との連携強化

・エキス削減レシピの開発

・代替原料の研究開発

・高温耐性品種の導入

・販売価格への反映

・調達地域の多様化

・代替原料の研究開発

・節水生産の継続・改善

・供給体制・物流体制の整備

・ASV訴求活動(栄養価値)を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション

・手軽な加熱調理コミュニケーションへの改善

・アイス飲用に適したマーケティング活動

・レンジ調理メニューの探索・提案

・燃料転換

・再生可能エネルギー利用

・環境配慮型の製法開発

 *5 SBT(Science Based Targets)イニシアチブに認定された当社グループの2018年度の基準GHG排出量に、IEA:International Energy Agency(国際エネルギー機関)の1.5℃シナリオに相当する2030年炭素税・排出権取引の予測:新興国=15$/t-CO2、ブラジル・中国=90$/t-CO2、先進国=130$/t-CO2、2050年炭素税・排出権取引の予測:新興国=55$/t-CO2、ブラジル・中国=200$/t-CO2、先進国=250$/t-CO2を乗じて算出。4℃シナリオは現状の成り行きであり炭素税・排出権取引の追加・増税は想定しておりません。

 

 

③シナリオ分析:機会

1.5℃シナリオ(2050年):GHG排出量削減に向けた一定の政策的対応が行われ、化石燃料の消費が減少する場合

機会

低排出量商品及びサービス

消費者嗜好の移り変わり

機会の分類

製品及びサービス

製品及びサービス

事業インパクト

エシカル志向の拡大により環境負荷が低い製品として売上増加

・健康志向によるニーズ拡大=売上増加

・気温上昇による飲料などのニーズ拡大=売上増加

対応策

・環境配慮型の製法や製品の開発

・ESGの好評価を取得する取組み推進

・低環境負荷を証明するエビデンス強化

・中大容量品へ顧客嗜好をシフトする推進策

・栄養価値が向上する製品開発

・栄養価値訴求を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション

・環境配慮型の製法や製品の開発

 

4℃シナリオ(2050年):GHG排出量削減に向けた政策的対応を行わない、成り行きの場合

機会

低排出量商品及びサービス

消費者嗜好の移り変わり

機会の分類

製品及びサービス

製品及びサービス

事業インパクト

エシカル志向の拡大により環境負荷が低い製品として売上増加

・健康志向によるニーズ拡大=売上増加

・気温上昇による飲料などのニーズ拡大=売上増加

対応策

・環境配慮型の製法や製品の開発

・低環境負荷を証明するエビデンス強化

・中大容量品へ顧客嗜好をシフトする推進策

・栄養価値が向上する製品開発

・栄養価値訴求を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション

・環境配慮型の製法や製品の開発

 

④シナリオ分析結果の戦略への反映

(ⅰ)事業戦略への反映

 シナリオ分析における事業への影響を踏まえ、今後一層のGHG排出量削減に向け、燃料転換・再生可能エネルギー利用・環境配慮型の製法に関する投資を計画していきます。また、サステナビリティに対する取組みが製品の付加価値向上につながる「ASV」の実現に向けて、新たな事業戦略の策定に取り組んでまいります。

 また、2023年度以降のシナリオ分析においては、分析の対象製品、対象リスクをそれぞれ広げることにより、リスク・機会の分析を高度化していきます。

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(ⅱ)資金調達戦略への反映

 当社は、各種取組みに対して必要な資金については、サステナブルファイナンスを基本としており、2021年10月発行のSDGs債、2022年1月のポジティブ・インパクト・ファイナンスによるコミットメントラインに続き、サステナビリティ・リンク・ローンによるコミットメントライン契約を2022年12月に締結しました。また、直近では2023年6月にサステナビリティ・リンク・ボンドを発行しています(*6)。

 これら資金調達により、当社グループが掲げる2030年までの2つのアウトカムのうちの1つ「環境負荷を50%削減」の実現、及び持続可能な社会の実現に向けた取組みをより一層加速させていきます。

 *6 これらの詳細に関しては、以下の「サステナブルファイナンス」サイトをご参照ください。

https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/csr/finance/index.html

 

(3)リスク管理

 気候変動課題に対する当社のリスク管理は、<味の素グループのサステナビリティに対する考え方>に記載のとおりです。

 

(4)指標と目標

 当社グループは、SBT(Science Based Targets)イニシアチブによるネットゼロを含む新たなGHG排出削減目標への適合を宣言するコミットメントレターを提出しました。これにより、当社グループはSBTイニシアチブより認定を受けている気温上昇を1.5℃に抑えるGHG排出削減目標の取組みをさらに加速させるため、ネットゼロ基準に沿って目標と戦略の見直しを行っています。

 

(ⅰ)目標

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 スコープ1・2合計のGHG排出量については、2030年度に2018年度比で50%削減を目標(総量目標)としています。

 スコープ3の生産1トンあたりのGHG排出量(GHG排出原単位)については、2030年度に2018年度比で24%削減としている目標(原単位目標)の見直しを行います。

 

(ⅱ)2022年度実績

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 スコープ1・2のGHG排出量では、前年度比およそ26,000t-CO2e減、基準年である2018年度に対して28%減と、2021年度から微減となりました。都市ガス供給不安定のため自家発電量が減り、買電量が増加した事業所があったものの、ペルーにおける再エネ電力発電所との直接契約や当社・東海事業所における再エネ証書調達による打ち返し策により、微減となりました。また、2030年度のGHG排出量目標(2018年比△50%)に対しては、現時点での計画によりおよそ8割の達成目途が見えていますが、一層の排出量削減に向け、更なる削減活動を検討してまいります。

 スコープ3のGHG排出原単位では、前年度比およそ4%減少し、基準年である2018年度に対しおよそ2%減少となりました。味の素AGF社の「ブレンディ®」ボトルコーヒーの製造・販売をサントリー食品インターナショナル㈱へ承継したことが削減の主な原因です。2023年度は、スコープ3の原料サプライヤーとの協働のトライアルを行う予定です。サプライヤー含めた外部との連携を今後加速し、GHG排出量の削減に向けて取組みを進めてまいります。

 

(ⅲ)目標達成に向けた取組み

 スコープ1・2の目標を達成するための施策として、省エネルギー活動やGHG発生の少ない燃料への転換、バイオマスや太陽光等の再生可能エネルギー利用、エネルギー使用量を削減するプロセスの導入を進めています(化石燃料からバイオマス燃料への転換の検討、中国及び当社・九州事業所における再エネ証書の調達など)。

 スコープ3については、製品ライフサイクル全体のGHG総排出量の約60%を原材料が占めていることから、原料サプライヤーへのGHG削減の働きかけや、アンモニアのオンサイト生産等の新技術導入に向けた検討を進めています。

 

 

<味の素グループの人的資本に対する考え方>

 当社グループは経営戦略の実現にあたり、4つの無形資産(技術・人財・顧客・組織)が重要であると考えています。特に無形資産全体の価値を高める源泉であり、技術と顧客をマッチングさせイノベーションを生み出す人財資産の重要性は高いと考えています。また、志(パーパス)の実現に向けた主たる課題は下記と考えています。

・味の素グループ全体で共有する価値観や志の更なる浸透

・食品とアミノサイエンス、地域、ジェンダー、キャリア等を融合するダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの考え方の下、クロスセクショナルチームの取組みを推進し、イノベーションを共創する力の強化

・創業以来、大切にしている価値観の一つである開拓者精神(新しい事業、新市場の開拓に常に挑戦し続ける精神)の強化

 

(1)人財育成方針

 志に共感する仲間が集い、対話を通じた“志の醸成と共感”の促進に加え、“多様性”と“挑戦”を加速することでイノベーションを共創し、継続的に人財資産を強化します(人財投資額(*7):2022年度約100億円/23-30年累計1,000億円以上)。当社グループは従業員のエンゲージメントが企業価値を高める重要な要素と位置付け、従業員エンゲージメントスコア(*8)の向上を推進します(実績:2022年度62%、目標:2025年度80%/2030年度85%)。また、従業員のWell-beingは人財資産の強化を支える基盤と考え、健康増進や資産形成等、広い観点で従業員のWell-being向上にも取り組みます。
 *7 機会投資含む金額

 *8 測定方法を、「ASV自分ごと化」の1設問から、より実態を把握できる「ASV実現プロセス」の9設問の平均値(2022年度実績:75%)へと2023年度スコアから変更します。

 

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(2)人財に係るマネジメント体制

 当社グループは各国・地域の多様な人財を横断的に育成・登用し、人財の適所適財を実現するための基盤として、グローバル人財マネジメントシステムを導入しています。本システムは基幹ポストと基幹人財を可視化する仕組み(ポジションマネジメント×タレントマネジメント)から構成されています。

 また、グローバル人財マネジメントシステムや人財資産の強化に係る各種施策等の円滑な運営を目的に、経営会議の下部機構として、最高経営責任者を委員長とし、経営会議メンバーで構成される人財委員会EX及び人財委員会を設置し、2022年度実績で全6回の議論を行っています。特に人財パイプラインの構築という観点では、指名委員会との連動も踏まえたグローバルでの重要ポジションのサクセッションプラン作成、さらに先を見据えた次世代リーダー層の人財プール等を形成、戦略的な育成や登用を強化しています。

 

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(3)志の醸成と共感

 当社グループは「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」という志(パーパス)の実現に向けたマネジメントサイクル標準化による志の醸成と共感の促進、各取組みの結果として現れるエンゲージメント向上に向けた取組みを組織的に推進しています。

 

 

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CEO対話/本部長対話

当社の全組織や主要関係会社の従業員とCEOや本部長が直接対話する機会を設定し、会社の志の浸透を進めています。

(2022年度実績:CEO対話:63回 本部長対話:67回)

個人目標発表会

各従業員が会社の志と自身の志や業務との接点を考え、1年間の自身の目標を発表する会をグローバルで実施しています。

(2022年度実施:主要G会社含む29社で実施)

ASVアワード

2016年からASVを体現した秀逸な事例の表彰を実施。また受賞した事例をグローバルで共有することで、ASVの理解浸透を進めています。今後は更に社外関係者等を含むステークホルダーの方々とのコミュニケーションに活用し、志の共感を広げていきます。
(詳細は当社HP:https://story.ajinomoto.co.jp/report/082.html)

エンゲージメントサーベイ

2017年よりグローバルで全社員に対するエンゲージメントサーベイを実施しています。ASV理解・納得から組織としての成果創出までの各プロセス(ASV実現プロセス)とそれに付随する設問やスコアの可視化に加え、各社・各組織に専門担当者を設定することで、各社・各組織の課題を明らかにし、適切な対策検討と実行が行われる体制を構築しています。また、過去のエンゲージメントサーベイのスコア結果から「志への共感」「顧客志向」「生産性向上」の項目については1人あたりの売上高と事業利益に正の相関があることが分かっています。

 

(4)多様性

 性別、年齢、国籍、障がいの有無、経験等によらず、社員一人ひとりが互いに尊重し合い活躍する会社となり、社内外の多様な「個人」が集い、「組織」が多様な個の強みを活かして共成長し、未来に向けた継続的なイノベーションを創出するというダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンがイノベーションの創出には不可欠であると考えています。

リーダーシップ層(*9)の多様化

執行役、事業部長や各組織の長等の重要ポジションの多様化を加速。2030年までに多様性(*10)を持った人財の構成比30%を目指します。(2023年3月末時点:16%)

女性の登用・活躍推進

グループ全体で27%(2023年3月末時点)の女性管理職比率を、2030年を目途に40%まで向上することを目指します。特に比率の低い日本では、女性のキャリア形成機会を提供するAjiPannaアカデミー等を通じ、女性管理職候補者や現在の女性管理職のサポートを行い、2030年までに30%の達成を目指します。(当社は2019年より「30% Club Japan」に参画しています)

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キャリア採用

高度なスキルや新規事業立上げの知見等を有する人財を中心にキャリア採用を拡大。事業状況に応じて、最適な構成比を目指します。

2022年度実績:当社の年間採用数のうちキャリア採用者の構成比33%

2023-24年予定:当社の年間採用数のうちキャリア採用者の構成比約50%

 *9 執行役及び事業部長や組織長、それに準ずる重要なポジション

 *10 多様性:ジェンダー・国籍・所属籍等

 

 

(5)挑戦

 当社グループは多様な人財一人ひとりが持てる能力を最大限に発揮し、志の実現に向けて自律的に挑戦することが組織と個人の共成長には不可欠であると考えています。

手挙げでの異動・プロジェクト参加

手挙げによる部門異動や複数部門での横断プロジェクトへの参画を加速。2022年度から当社では社内公募による異動を本格化。事業状況等も踏まえながら手挙げ文化の醸成を推進します。

ネットワーク型の働き方

ビジョン・志への共感と信頼をベースに、自身の資格や専門性を活かした貢献や社外とのプロジェクト参加等、柔軟な方法で価値創出する機会提供を推進しています。(例:栄養リテラシー教育コンテンツ作成、キャリアアドバイザー、タイにおける産官学含む約40団体との連携プロジェクト等)

自律的な成長の支援

協業先や外部研究機関、MBAや専門大学院への派遣等
(例:一橋大学、国際大学、スタンフォード大学等)

A-STARTERS(新規事業創出プロジェクト)

当社及び国内の主要グループ会社の従業員を対象に、新規事業立ち上げを望む社員を公募・選抜し、新規ビジネスプランの事業化を推進しています。2020年度からスタートし、2022年度は51件の応募があり、採択されたアイデアは事業化に向けた検討を推進しています。

1 on 1(対話)を通じた支援

当社では各従業員の志の実現や挑戦を支援すべく、1 on 1での対話を大切にしています。特に自身のキャリア実現に向けて、上司と毎年約1時間のキャリア面談や半期毎のフィードバック面談(1時間程度)を1980年代から実施しており、1 on 1での対話は当社の人財育成の基盤となっています。また、質の向上という観点で全管理職に対してコーチング研修を実施予定です(当社:2023年度実施予定)

 

(6)Well-beingに関する取組み

 当社グループは従業員のWell-beingは人財資産の基盤と考えており、健康や資産形成等の観点からもWell-beingの醸成を促進します。

健康経営

当社では従業員のセルフケアの向上と健康寿命延伸に向けて、年1回、産業医・保健スタッフが日本で勤務する全ての従業員(パート社員含む)と面談を実施(国内グループ会社は隔年1回)。健康診断やストレスチェックの結果等を踏まえた保健指導を実施しています。また、休業中の従業員を対象に独自の「メンタルヘルス回復プログラム」を導入しており、休業開始から職場復帰までの継続サポート等も実施しています。

資産形成

外部専門家とも連携し、自社の制度や施策を踏まえた資産リテラシー教育プログラムを年間通じて従業員に提供(のべ約2,800名が受講)。無料でファイナンシャルプランナーとの個別相談(任意)の機会提供も行い、従業員の資産形成に対する施策も実施しています。

また、従業員一人ひとりが中期視点での企業価値向上サイクルへの参画意識の向上と共に自律的な資産形成の観点で持株会に関する取組みも推進しています。(当社+国内グループ会社の計20社の加入率:71%(*11))

 *11 2023年5月時点

 

(7)人的資本経営に関係する外部機関等からの評価

健康経営優良法人2023

(大規模法人部門~ホワイト500~)

令和4年度「なでしこ銘柄」

PRIDE指標2022(ゴールド)

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認定歴:2017~2023年 連続認定

選定歴:2016年、2017年、2021年、2022年(2019年、2020年「準なでしこ」に選定)

認定歴:2020~2022年 連続認定

 

 味の素グループの人的資本に対する考え方は、志の実現に向けた人財資産強化のストーリーであり、戦略、指標及び目標について区分することが困難であるため、一体的な文章で記載しています。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループは、マクロの環境変化や、発生の蓋然性(高・中・低)、影響の大きさ(大・中・小)などを総合的に勘案して、組織横断的な管理が必要なグループ全体のリスクと機会を特定しており、その内容は以下のとおりです。

 当社グループではこのような経営及び事業リスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすための様々な対応及び仕組み作りを行っておりますが、以下はすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

 また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。なお、以下の表においては、●をリスク、〇を機会として記載しております。

 

(1) 財務に関わるリスクと機会

主要なリスクと機会

総合

評価

前年

比較

味の素グループの

主な取り組み

減損

●買収した子会社等の事業計画未達

●金利の急激な上昇

注視

・企業提携等審議会や経営会議等における買収価格の適切性に関する審議

・買収後のシナジー実現に向けたフォローアップやマクロ経済環境の定期的なモニタリング

資金調達

●金融危機による資金の枯渇

●格付けの低下

●各種リスク要因により計画を達成できないことで生じる追加の資金調達などのリスク発生、格付けの悪化

●主に新興国における流通量低下等によるUSD等主要通貨の調達難リスク

重要

・資金調達方法先及び期間の適度な分散

・財務体質の維持・強化

・各種リスク要因の適時の分析と対応

・最新の情報に基づく適時の計画の見直し

・グループ各社での流動化等活用促進

・グローバル・プーリングの活用(ノーショナルプーリング他)

・USD建コミットメントラインの維持

・各種資金使途に柔軟に対応できる地域別CMSの運営

・一部新興国の経済指標等の定期的モニタリングと金融機関との密な情報交換

・外貨調達の多様化

得意先の

経営破綻

●海外を含めた予期せぬ得意先の経営破綻の発生

注視

・情報収集、与信管理等(グループ全体に適用する与信管理ガイドライン作成及びモニタリング)、債権保全

為替・

金利変動

●為替・金利の急激な変動による事業収益への影響(海外での事業活動の停滞、海外子会社業績の円貨への換算影響)

注視

・(予定取引における)為替予約の検討

・借入資金の長期化及び社債の発行、サステナブルファイナンスの活用

・長期資金については当社での調達集中

・外貨調達の多様化

インフレー

ション

●原燃料コストの上昇による収益の悪化

○製品価格の適正化を通じた収益の改善

極めて

重要

・主要原燃料のモニタリング

・製品価格への適時の反映

・製品改定

・コストダウン

カントリー

リスク

●収用リスク

●戦争や紛争などの発生リスク

重要

・進出国の適度な分散

租税制度・

繰延税金資産

/負債の変動

●○租税制度・繰延税金資産/負債の変動による税負担変動

●繰延税金資産の取り崩し

注視

・各国における税制や税務行政の変更への対応策を実施

・税金及び税務関連費用を最小化する方策又はスキームを立案実行

 

 

(2) 味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)に関わるリスクと機会

 当社は、ありたい姿の実現や長期視点での企業価値向上にむけて、味の素グループにとって重要な事項(マテリアリティ)とそのつながりを整理しました。これは、4つのドメインと12の要件から構成され、項目やつながりを意識しながら具体的な取組みやKPI等を今後、経営戦略の一環として測定・開示し、ステークホルダーの皆様と対話をしていきます。

 提出日現在、各マテリアリティに対して当社グループとしてどのように取り組むか、各関係者とともに議論を深めております。当社グループとしての取り組みが定まり次第、四半期報告書をはじめ、各種開示をいたします。

 

 

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主要なリスクと機会

関連する

マテリアリティ

要件

総合

評価

アミノ

サイエンス®

〇味の素グループの強みであるアミノサイエンス®を活かした事業成長の機会、および市場におけるモダリティの進化を先取りしアミノサイエンス®で貢献する機会

●アミノサイエンス®だけでは市場におけるモダリティの進化に対応し切れないリスク

1.1 変革能力

極めて

重要

ブランド

●MSGや甘味料に関するネガティブ情報が拡散され、コーポレートブランドが棄損されるリスク

〇地域に根付く強いブランド力を活かした事業成長の機会

1.2 透明性・客観性

極めて

重要

人財

●人財の需給imbalanceにより、イノベーションや事業活動に必要な人財が確保できないというリスク

〇当社の志に共感して集う人財が、“多様性”と“挑戦”にフォーカスした積極的な人財投資のもと、共創価値をスケールするという機会

 

1.1 変革能力

2.1 ホリスティック&インクルーシブ視点

3.1 ヒューマン・ウェルビーイング

3.2 コミュニティー・ウェルビーイング

4.3 ソリューションによる価値創造

極めて

重要

非財務データの収集・定量化

〇技術革新により、従来測定・分析できなかった非財務データの収集が可能になり、機会を評価できる定量化メソッド開発へと貢献し、効果的なスタンダード作りと展開に参加しやすくなるという機会

●社会価値の評価・測定の水準(社会要請)の高まりに対応が遅れ、事業機会を逃すリスク

1.2 透明性・客観性

極めて

重要

SDGsネイティブ世代の台頭、SNS普及、未来志向

●若者に見放され事業成長が抑制されるリスクや「おいしさ」が食の重要な要素ではなくなるリスク

〇フードシステム上に存在する他企業・機関とのサステナブルなソリューション共創の機運が高まり、リジェネラティブなフードシステム実現のためのエコシステム構築が容易になるという機会

 

2.3 未来世代の視点

3.3 地球のウェルビーイング

4.3 ソリューションによる価値創造

極めて

重要

気候変動、資源枯渇

●気候変動の環境影響や動物資源枯渇課題(プロテインクライシス等)の顕在化により地球全体のサステナビリティが確保できなくなり、原材料の調達ならびに生活者への食の提供、事業継続が困難になるというリスク、およびリジェネラティブなフードシステムの実現が困難になるというリスク

 

1.3 共同力

3.1 ヒューマン・ウェルビーイング

3.3 地球のウェルビーイング

4.1 健幸寿命

4.3 ソリューションによる価値創造

極めて

重要

技術革新

(フード・農業・環境・デジタル分野)

〇リジェネラティブなフードシステムを実現するソリューションの選択肢の幅が広がるという機会、高栄養価の農作物など健康的なライフスタイルに資する技術が普及するという機会、またデジタル化やAI技術導入により広範囲にバリューチェーンを形成しやすくなるという機会

●食を取り巻くテクノロジーの進化(調理自動化、培養肉など)への対応遅れが事業成長を抑制したり事業機会を損失するリスク

 

1.2 透明性・客観性

2.3 未来世代の視点

3.2 コミュニティー・ウェルビーイング

3.3 地球のウェルビーイング

4.1 健幸寿命

4.2 コー・ウェルビーイング

4.3 ソリューションによる価値創造

重要

サステナビリティ消費・習慣

●サステナビリティ消費・習慣の一般化により、サステナビリティに関する取り組みが経済価値に転嫁できず投資・コストを吸収できないリスクや 日々進化を続けるサステナビリティやグリーン化に係る技術が先行し、地域によって生活者や社会の受容性に遅れが生じるリスク

1.1 変革能力

2.1 ホリスティック&インクルーシブ視点

2.2 地域コミュニティー視点

3.1 ヒューマン・ウェルビーイング

3.2 コミュニティー・ウェルビーイング

3.3 地球のウェルビーイング

4.3 ソリューションによる価値創造

重要

人口増加、

途上国への資本流入

〇世界人口増加や公的機関による途上国への資本の流入の促進により健康・栄養をベースにしたソリューションの需要が高まるという機会やヘルスケア市場が大きく拡大する機会、新興国も含めたソリューション共創が促進される機会

 

2.3 未来世代の視点

4.1 健幸寿命

4.2 コー・ウェルビーイング

4.3 ソリューションによる価値創造

重要

法規制

●法規制の整備や一部地域で再生可能エネルギーの選択肢を選べず事業継続が困難となるリスク

〇フードシステムのレジリエンス向上に関連する法規制に適切に対応することで生まれる事業機会

1.1 変革能力

1.3 共同力

3.1 ヒューマン・ウェルビーイング

3.3 地球のウェルビーイング

4.2 コー・ウェルビーイング

重要

ガバナンス

●コンプライアンス違反や品質・安全管理の不備等により基盤リスクマネジメントが疎かになることによる事業継続リスク

〇当社らしい安全・品質・環境マネジメント活動の継続によりステークホルダーからの信頼が蓄積されることで生まれる機会

 

1.2 透明性・客観性

2.2 地域コミュニティー視点

3.1 ヒューマン・ウェルビーイング

重要

パンデミック、紛争

●パンデミックやウクライナ侵攻等に伴う物資の不足によりイノベーションの推進や事業活動が困難となるリスク、および紛争・貿易戦争等により国をまたぐ情報共有が制限され、全社および事業戦略の浸透や開発が滞るリスク

1.1 変革能力

1.3 共同力

2.2 地域コミュニティー視点

3.1 ヒューマン・ウェルビーイング

3.2 コミュニティー・ウェルビーイング

4.1 健幸寿命

4.2 コー・ウェルビーイング

4.3 ソリューションによる価値創造

重要

テロリズム・クーデター

●テロリズム・クーデターにより現地幹部・駐在員が拘束されるリスクや特定国の事業活動が継続できなくなるリスク

1.1 変革能力

1.3 共同力

2.2 地域コミュニティー視点

4.2 コー・ウェルビーイング

重要

ITセキュリティ、知的財産

●ナレッジマネジメントの不備や急速な技術革新により戦略・重要機密などが漏洩・紛失されるリスクやサイバー犯罪のターゲットとなりセキュリティが脆弱化するリスク

〇グローバル視点での知的財産ポートフォリオの構築をはじめとする知的財産戦略の強化により、さらなる競争優位性と事業成長を後押しする機会

1.1 変革能力

1.2 透明性・客観性

重要

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

 当社グループは、IFRSの適用に当たり、投資家、取締役会及び経営会議が各事業の恒常的な業績や将来の見通しを把握すること、取締役会及び経営会議が継続的に事業ポートフォリオを評価することを目的として、「事業利益」という段階利益を導入しております。当該「事業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費」、「研究開発費」及び「一般管理費」を控除し、「持分法による損益」を加えたものであり、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」を含まない段階利益です。

 

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 2020年度から2022年度までは、再成長に向けた構造改革のフェーズと位置付けて、ROICの向上と着実なオーガニック成長、コア事業への集中、アセットライトの推進に重点的に取り組んできました。

 WACC(加重平均資本コスト)を上回るROICの改善に向けては、味の素グループの経営と現場が一体となって、「成長性」と「効率性」の2つの軸で経営資源の最適配分を行い、収益性の持続的な向上と現有資産の効率的な活用を現場で実行して参りました。また、重点事業への集中とアセットライトの推進により、約1,300億円規模の事業資産の圧縮や、約800億円規模のリソースアロケーション、政策保有株の売却を行ってきました。この結果、当初目標としていた2022年度までの構造改革をほぼ計画通り終え、今後は成長力強化に向けた財務戦略に移行していきます。

 

2030年のありたい姿の実現に向けた3つの方針

① 事業戦略と資本戦略の適合による、企業価値最大化のためのキャッシュ・アロケーション方針

② 株主価値の継続的な向上に向けたマネジメント方針

③ 株主還元の継続的な強化方針

 

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① 事業戦略と資本戦略の適合による、企業価値最大化のためのキャッシュ・アロケーション方針

・成長投資・M&Aの投資を最優先

 キャッシュ・アロケーションについては、WACCを上回る投資として重点事業のオーガニック成長力を強化する投資を最優先します。加えて、ビジネスモデル変革(BMX)でシフトする4成長領域(ヘルスケア、フード&ウェルネス、ICT、グリーン)での成長を加速する投資に集中し、味の素グループ全体の成長力を向上します。更に、既存事業の非連続成長や新規事業領域創出を実現するためのM&A投資も積極的に検討・実施していきます。

 

・ネットD(*1)/Eレシオ30~50%の範囲内で機動的な株主還元

 事業成長力強化に必要な投資を行ったうえで、営業キャッシュ・フローに余力がある場合、ネットD/Eレシオ30~50%の範囲内で、新たな方針による機動的な株主還元を行っていきます。なお、直近のネットD/Eレシオはこの範囲の下限で推移していますが、中期的にはこの上限に上げ、収益力の拡大とキャッシュ創出力の更なる向上で、格付を維持させていきます。

 *1 有利子負債-現預金×75%

 

 

 

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② 株主価値の継続的な向上に向けたマネジメント方針

・ローリングフォーキャストによる、継続的かつ確かな事業成長

 業績見通しをタイムリーに更新し、業績動向の把握から打ち手の検討、その効果の確認に至る一連のプロセスであるローリングフォーキャストを通じ、継続的な事業の成長を確かなものにしていきます。また、業績のリスクとなる原燃料・物流費高騰に対してTDC(*2)マージンのモニタリングを強化するなど、事業環境に応じたKPIを設定しています。これらの取り組み浸透の自分事化を目的として、当社決算の概要や株価形成に関する従業員へのリテラシー向上施策も実施しております。

 *2 Total Delivered Cost/物流費を含めたトータル・コスト

 

・実効税率のマネジメント方針

 味の素グループでは、事業を展開する各国法定実効税率のミックスや配当に伴う税金負担等を総合的に考慮して、グループ標準税率を27%(2023年度)と設定しています。また、グローバルでの税務リスクモニタリング、サステナビリティ投資における税務恩典の活用等で、実効税率の低減を進めていきます。

 

・資本・資産効率の向上(機動的な自己株式取得、現預金の圧縮)

 機動的な自己株式取得の継続で、EPSの分母である発行済株式総数を継続的に圧縮し、ROICの向上、ひいてはそれを上回るROEの実現に繋げます。並行して、手元現預金の水準を最小化して、余資を成長投資や株主還元に活用していきます。

 

・WACC(加重平均資本コスト)の低減

 味の素グループの企業価値算定式の重要な要素であるWACCを低減させるため、様々な施策に取組んでいます。具体的には、ローリングフォーキャスト推進による業績の安定化、サステナブルファイナンス活用による調達コストの低減、ネットD/Eレシオのレンジ内上限への変更、個人株主の比率拡大による相対的な株価安定化等が挙げられます。なお、2023年度の全社トータルのWACCは6%です。

 

WACC上昇要因と低下のための施策

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③ 株主還元の継続的な強化方針

・累進配当政策の導入

 累進配当とは、業績が一時的に悪化した場合でも現状の一株あたり配当金を維持することを指します。2023年度以降は減配せず、増配又は配当維持の方針とします。

 

・ノーマライズドEPSに基づく配当の導入

 減損損失の計上等、非定常的な利益変動の影響を受けにくい事業利益をベースとする考え方を導入し、「ノーマライズドEPSに基づく配当」と呼ぶことにしました。この新たな配当金額算定式は、事業利益に味の素グループ標準税率27%(2023年度)を加味し、還元係数は35%としています。この算定式によって算出した過去の配当理論値と、実際の配当を比べてみると、より強化されて魅力的な配当額となることが分かります。事業利益を着実に増加させ、今後もさらなる増配を図ります。

 

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・機動的な自己株式取得の継続、総還元性向50%~の方針維持

 総還元性向50%~(対当期純利益)はこれからも継続します。また、自己株式取得についても、事業環境、金融環境、資本効率、株価水準等を勘案し、機動的かつ積極的に実施してEPSの向上につなげていきます。

 

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・自己株式保有方針の明確化

 当社では4つの成長領域への投資を加速し、成長へとシフトする方針ですが、投資の源泉の多様性をはかるため、及び持続的な企業価値向上を目的とした従業員への株式報酬を検討するため等の理由から、発行済株式総数の1%程度を上限に、取得した自己株式を保有する方針としております。

 

④ その他

・予測できない急激な環境変化への対応

 

 原燃料価格や為替レートの急激な変化、また金利や資金調達環境等の金融環境変化に対応し、安定的に事業継続していくために財務資本戦略を強化しています。

1) グローバルでの各地域内、地域間で資金を有効活用するためのキャッシュマネジメントの仕組みの整備

2) 社債、コマーシャル・ペーパー、金融機関借入、売上債権流動化等調達手段の多様化と期日の分散、及びこれをバックアップする円貨、外貨のコミットメントラインの整備

3) 長期かつ固定金利での資金調達の志向

4) 適切な為替ヘッジ等を実施するためのグループポリシー、ガイドラインの整備

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(2) 生産、受注及び販売の実績

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また製品のグループ内使用(製品を他のセグメントの原材料として使用)や、受注生産形態をとる製品が少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため生産、受注及び販売の実績は、「(4) 当連結会計年度の経営成績の分析」における各セグメント業績に関連付けて示しております。

 

(3) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載しております。この連結財務諸表の作成に当たって必要な見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び同「5.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。

 

(4) 当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は、換算為替の影響に加え、調味料・食品セグメント、冷凍食品セグメント及びヘルスケア等セグメントいずれも増収となり、前期を2,097億円上回る1兆3,591億円(前期比118.2%)となりました。

 事業利益は、原材料等のコスト増の影響を受けたものの、換算為替の影響やヘルスケア等セグメントの増収効果等により、前期を144億円上回る1,353億円(前期比111.9%)となりました。

 営業利益は、その他の営業費用で味の素フーズ・ノースアメリカ社に係るのれんについて減損損失の計上等があったものの、その他の営業収益で固定資産(遊休資産)の売却益の計上等があったため、前期を243億円上回る1,489億円(前期比119.6%)となりました。

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期を183億円上回る940億円(前期比124.2%)となりました。

 

当連結会計年度のセグメント別の概況

 セグメントごとの業績は、次のとおりです。

 

対前期実績

売上高(億円)

事業利益(億円)

第145期

前期増減

前期比

第145期

前期増減

前期比

調味料・食品

7,750

1,107

116.7

829

17

102.1

冷凍食品

2,672

455

120.5

2

9

 

ヘルスケア等

2,996

484

119.3

525

91

121.1

その他

171

50

141.2

△4

25

 

合計

13,591

2,097

118.2

1,353

144

111.9

(注)各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」をご参照ください。

 

① 調味料・食品セグメント

 調味料・食品セグメントの売上高は、換算為替の影響に加え、海外における単価上昇や販売数量増等により、前期を1,107億円上回る7,750億円(前期比116.7%)となりました。事業利益は、原材料等のコスト増の影響があったものの、換算為替の影響や増収効果等により、前期を17億円上回る829億円(前期比102.1%)となりました。

 

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<主要な変動要因>

・調味料は、全体で大幅増収。

 日本は、前年の内食需要拡大の反動等により、減収。

 海外は、為替影響に加え、単価上昇、販売数量増により、大幅増収。

・栄養・加工食品は、全体で増収。

 日本は、減収も、コーヒー類の構造改革影響を除くと増収。

 海外は、為替影響に加え、単価上昇、即席麺や飲料等の販売数量増により、大幅増収。

・ソリューション&イングリディエンツは、加工用うま味調味料の単価上昇や為替影響、外食向け製品の販売増等により、大幅増収。

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<主要な変動要因>

・調味料は、全体で減益。

 日本は、原材料等のコスト増や減収の影響等により、大幅減益。

 海外は、原材料等のコスト増影響あるも、増収効果、為替影響等により増益。

・栄養・加工食品は、全体で減益。

 日本は、原材料等のコスト増影響等により、大幅減益。

 海外は、原材料等のコスト増影響あるも、増収効果、為替影響等により大幅増益。

・ソリューション&イングリディエンツは、原材料等のコスト増影響あるも、増収効果、為替影響等により、全体で大幅増益。

 

② 冷凍食品セグメント

 冷凍食品セグメントの売上高は、換算為替の影響や単価上昇等により、前期を455億円上回る2,672億円(前期比120.5%)となりました。事業利益は、原材料等のコスト増の影響があったものの、増収効果や換算為替の影響等により、前期を9億円上回る2億円となりました。

 

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<主要な変動要因>

・冷凍食品は、全体で大幅増収。

 日本は、構造改革の影響あるも、業務用製品の復調や単価上昇等により、前年並み。

 海外は、為替影響や単価上昇等により、大幅増収。

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<主要な変動要因>

・冷凍食品は、全体で増益。

 日本は、戦略的費用の投入や原材料等のコスト増影響等により、減益。

 海外は、原材料等のコスト増影響あるも、増収効果、為替影響等により、増益。

 

③ ヘルスケア等セグメント

 ヘルスケア等セグメントの売上高は、バイオファーマサービス&イングリディエンツ、ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)等の販売増や換算為替の影響等により、前期を484億円上回る2,996億円(前期比119.3%)となりました。事業利益は、増収効果や換算為替の影響等により、前期を91億円上回る525億円(前期比121.1%)となりました。

 

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<主要な変動要因>

・バイオファーマサービス&イングリディエンツは、バイオファーマサービス(CDMO)、医薬用・食品用アミノ酸の販売増に加え、為替影響により、大幅増収。

・ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)は、主に電子材料の販売増により、大幅増収。

・その他は、為替影響に加え、メディカルフード等の販売増により大幅増収。

 

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<主要な変動要因>

・バイオファーマサービス&イングリディエンツは、大幅増収に伴い、増益。

・ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)は、大幅増収に伴い大幅増益。

・その他は、戦略投資増等により、減益。

 

④ その他

 その他の事業の売上高は、前期を50億円上回る171億円(前期比141.2%)となり、事業利益は、4億円の損失となりました。

 

当連結会計年度の連結損益計算書の段階ごとの概況

① 売上高

 売上高は前期を2,097億円上回る1兆3,591億円(前期比118.2%)となりました。地域別に見ますと、日本では、前期を241億円上回る5,099億円(前期比105.0%)となりました。海外では、前期を1,856億円上回る8,491億円(前期比128.0%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ3,520億円(前期比123.4%)、3,539億円(前期比134.8%)及び1,431億円(前期比123.7%)となりました。売上高海外比率は62.5%(前期は57.7%)となりました。なお売上高は販売元の所在地を基礎とし国又は地域に分類しております

 

② 売上原価、販売費、研究開発費及び一般管理費、持分法による損益

 売上原価は、売上高の増加に伴い、前期から1,652億円増加し、8,887億円(前期比122.8%)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、原材料等のコスト増の影響等により、2.4ポイント悪化し、65.4%となりました。販売費は、主として為替影響や海上輸送費の高騰による物流費の増加等により、前期から176億円増加し、1,864億円(前期比110.4%)となりました。研究開発費は、前期から10億円増加し、258億円(前期比104.1%)となりました。一般管理費は、為替影響等により、前期から147億円増加し、1,270億円(前期比113.1%)となりました。持分法による損益は、43億円の利益(前期は9億円の利益)となりました。

 

③ 事業利益

 事業利益は、前期を144億円上回る1,353億円(前期比111.9%)となりました。地域別に見ますと、日本では560億円(前期比102.7%)、海外では793億円(前期比119.5%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ514億円(前期比108.4%)、183億円(前期比156.9%)及び95億円(前期比132.1%)となりました。事業利益海外比率は58.6%(前期は54.9%)となりました。なお事業利益は販売元の所在地を基礎とし国又は地域に分類しております

 セグメント別の事業利益の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記7.セグメント情報」をご参照ください。

 

④ その他の営業収益(費用)

 その他の営業収益は、固定資産(遊休資産)の売却益の計上等があったことにより、前期から141億円増加し、409億円(前期比153.0%)となりました。その他の営業費用は、味の素フーズ・ノースアメリカ社に係るのれんについて減損損失の計上等があったことにより、前期から42億円増加し、273億円(前期比118.4%)となりました。

 

⑤ 営業利益

 営業利益は、前期を243億円上回る1,489億円(前期比119.6%)となりました。

 

⑥ 金融収益(費用)

 金融収益は、前期から7億円減少し、60億円(前期比88.8%)となりました。金融費用は、前期から60億円増加し、149億円(前期比167.2%)となりました。

 

⑦ 親会社の所有者に帰属する当期利益

 親会社の所有者に帰属する当期利益は前期を183億円上回る940億円(前期比124.2%)となり、1株当たり当期利益は175円97銭(前期は139円42銭)となりました。

 

(5) 当連結会計年度の連結財政状態の分析

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の1兆4,570億円に対して546億円増加し、1兆5,117億円となりました。これは主として、原材料価格等の上昇の影響による棚卸資産の増加に加え、円安の進行に伴う換算為替の影響による各資産残高の増加によるものです。

 負債合計は、前連結会計年度末の7,173億円に対して285億円減少し、6,887億円となりました。これは主として、有利子負債の減少によるものです。なお、有利子負債残高は、社債の償還や借入金の返済等により、前連結会計年度末に対して274億円減少し、3,364億円となりました。

 資本合計は、主に円安の進行に伴う在外営業活動体の換算差額の増加により、前連結会計年度末に対して832億円増加しました。資本合計から非支配持分を引いた親会社の所有者に帰属する持分は、7,686億円となり、親会社所有者帰属持分比率は50.8%となりました。

 

セグメントごとの概況は、次のとおりです。

① 調味料・食品セグメント

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の5,971億円に対して31億円増加し、6,003億円となりました。

② 冷凍食品セグメント

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の1,961億円に対して42億円増加し、2,003億円となりました。

③ ヘルスケア等セグメント

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の3,035億円に対して338億円増加し、3,373億円となりました。これは主として、為替影響及び設備投資に伴う有形固定資産等の増加によるものです。

 

(6) キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況

 

 

 

(億円)

 

2022年3月期

2023年3月期

差額

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,455

1,176

△279

投資活動によるキャッシュ・フロー

△615

△300

314

財務活動によるキャッシュ・フロー

△1,230

△1,110

119

現金及び現金同等物に係る換算差額

88

48

△40

現金及び現金同等物の増減額

△301

△186

114

現金及び現金同等物の期末残高

1,514

1,327

△186

 

 営業活動によるキャッシュ・フローは、1,176億円の収入(前期は1,455億円の収入)となりました。税引前当期利益が1,400億円であり、減価償却費及び償却費718億円、棚卸資産の増加416億円や法人所得税の支払額391億円があったこと等によるものです。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、300億円の支出(前期は615億円の支出)となりました。有形固定資産の取得による支出683億円や有形固定資産の売却による収入402億円があったこと等によるものです。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,110億円の支出(前期は1,230億円の支出)となりました。配当金の支払額316億円、自己株式の取得による支出300億円や社債の償還による支出200億円があったこと等によるものです。

 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,327億円となりました。

 

(7) 当連結会計年度の資金の流動性及び資金の調達、使途

① 資金の流動性について

 当連結会計年度は短期流動性に関し、手元流動性確保のために、コミットメントライン、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパー発行枠等の調達手段を備えております。

 十分な手元流動性比率の維持に加え、主要取引銀行と締結しているコミットメントラインにより資金の安全性を確保しております。当連結会計年度末のコミットメントラインの未使用額は円貨で1,500億円、外貨で100百万米ドルです。さらに、資金流動性リスク等が発生する可能性のある海外連結子会社に対して、当社が緊急貸付枠を設定し、一時的な資金繰りの支援体制を整備しております。

② 資金の調達

 当連結会計年度の資金調達は、調達コストとリスク分散の観点による直接金融と間接金融のバランス及び長期と短期の資金調達のバランスを勘案し、コマーシャル・ペーパー発行等による資金調達活動を行いました。

③ 資金の使途

 当連結会計年度の資金の使途は、主として事業資金です。

 

(8) 経営上の目標の達成状況について

 経営上の目標の達成状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

技術援助を受ける契約等

契約会社名

契約締結先

国名

契約内容

対価

契約期間

味の素㈱

味の素食品㈱

コノプコ社

アメリカ

日本国内におけるスープ、ブイヨンその他の食品に係る独占的商標使用権の許諾

左記製品販売高の一定率

対象商標が日本で有効に登録されている限り

 

重要な固定資産の譲渡

 当社及び当社グループは、2023年2月28日及び同年1月31日開催の取締役会決議に基づき当社及び当社グループの所有する固定資産を譲渡する不動産売買契約を同年3月7日に締結いたしました

 

(1)譲渡の理由

 当社は2020-2025中期経営計画において、重点事業に成長投資を集中し、構造改革により非重点事業の割合を縮小するとともに、グループ内のリソースアロケーションを行っていくアセットライト化を推進しており、当該施策の一環として当社及び当社グループの保有する固定資産の一部(遊休資産)を譲渡することといたしました。

 

(2)譲渡資産の内容

資産の名称及び所在

譲渡益

神奈川県川崎市高津区下野毛 他

 土地:46,732.81㎡

 建物:31,086.66㎡(延床面積)

約280億円

(注)譲渡価額については、譲渡先との守秘義務契約により公表を控えさせていただきますが、競争入札による適正な価格での譲渡となります。譲渡益は、帳簿価額及び譲渡に係る費用等を控除した概算額を記載しています。

 

(3)譲渡先の概要

 譲渡先は国内事業法人ですが、譲渡先の意向により詳細につきましては開示を控えます。なお、譲渡先と当社及び当社グループとの間には、資本関係、人的関係、取引先関係および関連当事者について、特記すべき事項はありません。

 

(4)連結損益へ与える影響

 当該固定資産譲渡により、当連結会計年度において、約280億円をその他の営業収益に計上いたしました。

 

(5)日程

契約締結日

2023年3月7日

物件引渡日

2023年3月7日

 

 

6【研究開発活動】

 味の素グループは2030年に向け、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する企業になることを目指します。ここでアミノサイエンス®とは、創業以来、アミノ酸のはたらきに徹底的にこだわった研究プロセスや実装化プロセスから得られる多様な素材・機能・技術・サービスを総称したものであり、また、それらを社会課題の解決やWell-beingの貢献につなげる、味の素グループ独自の科学的アプローチであり、他企業が容易には真似できない味の素グループの競争優位の源泉のひとつとなります。2030年に向け、フードシステムで繋がる健康栄養課題の解決と環境への貢献をセットで取り組み、「環境負荷を50%削減」と「10億人の健康寿命を延伸」の2つのアウトカムを実現していきます。また、味の素グループの成長戦略では、中長期の成長が期待される市場において、味の素グループならではの強みであるアミノサイエンス®を活かし、持続的に社会価値を提供できる、4つの成長領域(ヘルスケア、フード&ウェルネス、ICT、グリーン)にフォーカスし、既存事業の確実な成長と、事業モデル変革(BMX)による成長ドライブにより、2030年に向けて飛躍的な成長を目指します。

 

 当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は25,867百万円です。

 また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約4,000件です。

 当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。

 

(1) 調味料・食品セグメント

 味の素㈱食品研究所が中心となり、味の素AGF㈱、味の素冷凍食品㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携し、味、香り・風味、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、製品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。

 また、日本国内の少子化・高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった課題に対し、「おいしさ」、「食へのアクセス(あらゆる人に栄養を届ける)」、「地域や個人の食生活」の3つを妥協しない基本姿勢とし、課題解決先進国の日本で磨いたモデルをグローバルに展開しています。グローバルな製品開発体制のもと、マーケティング力、ブランド力を強みに、各国生活者の嗜好とニーズに適応した調味料、加工食品の開発に継続して取り組んでいます。

 

<調味料(日本)>

 2022年度の調味料事業商品は、本格中華のご飯ものメニューが手軽に楽しめるメニュー用調味料等、生活者の嗜好に合うおいしさや健康課題に応える新製品を開発・発売しました。肉や野菜などの素材と炒め合わせてソースを加え、ご飯にのせるだけで、ご家庭で簡単に本格中華のご飯ものメニューが楽しめる、これまでにない中華合わせ調味料「Cook Do®今夜は中華飯」を発売しました。また、子どもから大人まで一緒に楽しめる味わいの「Cook Do®」<甘口麻婆茄子用>を発売しました。「スチーミー®」では<鶏のうま煮用>や<鶏手羽バーベキュー味>を、「Bistro Do®」では<鶏のガーリックトマト用>を、「Cook Do® きょうの大皿®」では<鶏ももなす用>を開発し、ラインアップを拡充・発売しました。「丸鶏がらスープTM」では、当社独自技術を活用することで、じっくり煮出した丸鶏の香り・風味を強化し、更においしくなりました。「ほんだし®」、「味の素KKコンソメ」等で、内袋(小袋・スティック)は紙製容器包装になりました。個装(ピロー袋)はモノマテリアル化によりリサイクル可能なプラスチック包装になり、軽量化も実現しています。これらのリニューアルにより、プラスチック使用量を削減します(今回の改定により年間29tの削減見込)。

 

<調味料(海外)>

 事業展開している各国・地域の健康志向やライフスタイルの変化に対応した高付加価値製品のラインアップ拡充、統計解析技術を活用した生活者意識・行動解析による商品開発の高度化を推進しています。都市化やライフスタイルの変化が進む中、簡便で加工度の高い製品や健康価値を有する製品への需要も増加しています。味の素グループの減塩技術、新規独自素材の導入により、メニュー用調味料製品(ペルー「Aji-no-mix®」)では、塩分値を従来製品より下げながらおいしさを向上させる製品を開発しています。

 今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。

 

<栄養・加工食品(日本)>

 2022年度の栄養・加工食品事業商品は、個食・即食・簡便ニーズに加え、ライフスタイルの変化に対応した新製品を開発・発売しました。スープ市場においては、スナックスープの中でも、“おいしさ”に加えて“カフェで食べるようなおしゃれなメニューが楽しめて、これ一品でおなかが満たされる”「クノール®スープDELI®」は、リニューアル及び<サーモンとほうれん草のクリームスープパスタ>(3食入袋)、<男爵いもの濃厚ポタージュ パン入り>(容器入)の新品種を発売しました。また、体調不良時のみならず、毎日の食事にも適した鶏むね肉入りでかつおだしの味わいが豊かな、「味の素KKおかゆ」<鶏がゆ>を発売しました。Z世代をターゲットとした、レンジであたためるだけで健康的で本格的な世界の味が楽しめる新感覚カップお粥「粥粥好日(カユカユコウジツ)」をECサイト及び渋谷スクランブルスクエアにて期間限定で販売しました。「本格的なおいしさ」と「食物繊維の充足」双方のニーズを満たす製品として、「クノール®」ブランパンポタージュを新たに開発し、新たなD2Cサイト「GOOOD GOOOD TABLE(グーグーテーブル)」において「クノール®」ブランパンポタージュ<海老のビスク><4種のチーズ>を発売しました。更に、たっぷりのフリーズドライ具材とサッと溶ける風味豊かな“だし味噌”が入った即席味噌汁「具たっぷり味噌汁」を開発・発売しました。

 

<栄養・加工食品(海外)>

 加工食品では、事業を展開する各ローカル市場の慣習や食の嗜好、資源、原料、ステークホルダーを尊重し、アミノ酸のはたらきを活かして、おいしく減塩したり、たんぱく質等の栄養素を摂取したりできる製品を提供し、子供から大人まで、食とライフスタイルに起因する健康課題の解決に向けた取り組みを進めています。

 今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。

 

<コーヒー類>

 スティックコーヒー市場では、リモートワークの浸透をはじめとした在宅時間の増加を背景に、従来缶コーヒーやペットボトルコーヒーを購入していた男性の購入者比率が拡大しています。《「ブレンディ®」スティック》シリーズから初めてのノンカフェインティーオレ《「ブレンディ®」スティック ルイボスティーオレ》を発売しました。また、《「ブレンディ®カフェラトリー®」スティック》の“濃厚シリーズ”から<和栗カフェラテ><抹茶あずきラテ><ほうじ茶きなこラテ>の3品種及び“ザ・シリーズ”から<ザ・ロイヤルミルクティー><ザ・抹茶ラテ>の2品種を発売しました。また、「ちょっと贅沢な珈琲店®」ブランドから新たなシリーズとして《「ちょっと贅沢な珈琲店®」スティック カフェラテ》を発売しました。機能性表示食品《「ブレンディ®」毎日の腸活コーヒー》シリーズからスティックタイプの《「ブレンディ®」 スティックブラック 毎日の腸活コーヒー》を発売しました。

 

<ソリューション&イングリディエンツ>

 十勝産きたあかりの甘味とホクホク感を活かした手作り品質のロングライフサラダ業務用「十勝ポテトサラダ」<きたあかり>を発売しました。

 

<甘味料>

 植物由来原料に関心の高い生活者のウォンツにも応えるため、植物由来の原料のみを使用した、カロリー50%カットの甘味料「パルスイート®植物由来」を発売しました。「パルスイート®植物由来」の主な甘味原料には、南米原産のキク科の多年草から抽出したステビアを採用しました。また、パッケージ(個装)には、プラスチック廃棄物削減の観点から紙包材を採用しました。

 

 調味料・食品セグメントに係わる研究開発費は、6,802百万円です。

 

 

(2) 冷凍食品セグメント

 味の素冷凍食品㈱研究開発センターと海外グループ会社の開発部門を中心に、現地の嗜好とニーズに適応した商品開発に取り組んでいます。更に味の素㈱食品研究所との連携により、減塩等の健康価値の向上や、シェフ/パティシエの技の工業化に取り組んでいます。

 

<冷凍食品(日本)>

 生活者のライフスタイルの多様化や喫食シーンの変化に応じて、食卓カテゴリーを中心としたラインアップを展開するとともに、メニュー提案や店頭訴求、体験型イベントの開催等の取り組みを通じて、冷凍食品の提供価値向上に取り組んできました。2022年新製品として、食卓のメイン料理として楽しめる、素材と味わいにこだわった「黒豚大餃子」と「海老大餃子」を発売しました。また、食卓のプラス1品に最適な、豚肉と大ぶりの海老がゴロッと入った「海老肉焼売」を発売しました。家飲みを手軽に楽しめるおつまみの冷凍焼売「おつまみ焼売」、「しびれ麻辣焼売」、「濃厚チーズ焼売」を発売しました。「適正糖質」シリーズアイスケーキ3品種(チーズ風味・抹茶・チョコレート風味)を公式オンラインストアにて発売しました。また、フライパンで焼くだけで、ふっくらジューシーな手作りハンバーグが出来上がる「私が仕上げるハンバーグ デミグラスソース」を発売しました。

 味の素冷凍食品㈱では2001年から20年の歳月をかけて実現した「国内全工場の大型フリーザーの脱フロン化・省エネ化」の取り組みにおいて日刊工業新聞社主催「第25回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」の環境大臣賞を受賞しました。また、一般財団法人食品産業センター及び公益財団法人食品等流通合理化促進機構が共催する「第44回食品産業優良企業等表彰」の環境部門<容器包装リサイクル推進タイプ>にて、農林水産大臣賞を受賞しました。「地鶏釜めし」の紙を一部使用した袋パッケージの技術開発をはじめとしたプラスチック削減など、環境負荷低減に取り組む企業として評価されました。

 

<冷凍食品(海外)>

 北米や欧州では、日本食人気の高まりやコロナ禍における新しい生活様式により、特にリテール製品におけるアジアン冷凍食品市場が成長しています。

 今後も日本で培われた生産技術で簡便な調理、かつおいしさを提供していくと共に、健康機能を付与した製品を市場投入する等、製品の付加価値を常に向上させながら、更なる事業拡大に貢献していきます。

 

 冷凍食品セグメントに係わる研究開発費は、1,424百万円です。

 

(3) ヘルスケア等セグメント

 味の素㈱バイオ・ファイン研究所、食品研究所、味の素バイオファーマサービス、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも連携し、世界中の人々の健康や生活に貢献するための商品及びソリューションを提供しております。

 

<医薬用・食品用アミノ酸>

 医薬用・食品用アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めています。また、動物細胞培養用の培地事業は味の素ジェネクシン社をプラットフォームとし、国内外のバイオ医薬品メーカーとの開発を継続、拡大しています。

 味の素ジェネクシン社を通じて、JSR社が開発した新しい高性能培地を当社の培地製品ラインアップに加え、バイオ医薬用培地事業のグローバル展開においてJSR社と協業することに合意し、販売を開始しました。

 

<バイオファーマサービス(CDMO)>

 製薬メーカーからの原薬受託製造について、低分子医薬品原薬、高活性原薬(HAPI)、ペプチド/オリゴ核酸、タンパク医薬、抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate:ADC)などの幅広い開発・供給体制の充実を図り、継続的な案件の受注に繋げています。

 低分子医薬品原薬製造においては、バイオ技術との融合による効率的かつ環境配慮型のプロセスの研究を進めています。タンパク質発現技術(「CORYNEX®」技術)においては、味の素アルテア社と連携して、グローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。オリゴ核酸の受託製造においては、㈱ジーンデザインと連携して固相合成を活用した少量多品種製造から「AJIPHASE®」の液相合成技術による大量製造までの開発体制を構築し、味の素アルテア社、味の素オムニケム社との連携も深めながら、味の素バイオファーマサービス(CDMO)事業全体としてオリゴ核酸製造受託事業を推進しています。

 

 

<ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)>

 電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代PC、データセンター向けサーバー、5G通信ネットワーク用途向けに「味の素ビルドアップフィルム®(ABF)」の開発を推進しています。また、国内外の主要ICT関連企業が設立したIOWN(Innovative Optical and Wireless Network) Global Forumに参画し、未来の高速大容量通信社会の実現を目指し研究開発に取り組んでいます。

 

<その他>

-機能性栄養食品-

 スポーツ栄養科学研究に基づき、アミノ酸の独自配合によるスポーツサプリメントの開発に取り組んでいます。運動時に大切なアミノ酸(BCAA、グルタミン、アルギニン)が入った、500mlの水に溶かして飲むことで、水分を体内に素早く吸収することができるハイポトニック飲料「アミノバイタル®BCAAチャージ」ウォーターを発売しました。

 当社は、長時間の登山を安全に行うための栄養補給として、アミノ酸の摂取を推奨しており、2008年よりガイド協会と共同で、山岳遭難事故対策支援の一環として、全国の山岳ガイドを対象にしたアミノ酸摂取方法等の勉強会や、登山者への「アミノバイタル®」製品提供を実施しています。また2015年には、長野県山岳遭難防止対策協会と「アミノバイタル®」のサプライヤー契約を締結し、同協会への「アミノバイタル®」製品の供給や事故が多発する下山前の摂取を促し山岳パトロール・救助活動の支援を行ってきました。山梨県警察及び山梨県山岳連盟、公益社団法人日本山岳ガイド協会、ヤマレコ社と、同県の安全登山啓発活動に関する連携協定を2022年7月に締結し、当社は、同県を訪れた登山者に対し「アミノバイタル®」製品サンプルセットを提供しました。

 

-健康基盤食品-

 主力製品の「グリナ®」は長らく自社通信販売で販売しておりましたが、よりお客様に手軽にお買い求めいただけるよう2021年度にドラッグストア・コンビニエンスストア向けに発売し、更に2022年度「グリナ®」<スティック3本入箱>を全国にエリアを拡大し販売をしました。また、大腸の善玉菌までアミノ酸を届けることができる「乳酸菌アミノゼリー」を通販サイト限定で発売しました。植物性乳酸菌が1本あたりヨーグルト1L分に相当する100億個含まれ、さらに小腸で吸収されにくく大腸の善玉菌まで届くアミノ酸「ポリグルタミン酸」と糖質「ガラクトオリゴ糖」のダブルの栄養の“届くチカラ”により、健康維持・増進に貢献します。

 2023年1月より、日常の中で新しいおいしさに出会うことで、こだわりある充実した食卓を叶える新たなD2Cサイト「GOOOD GOOOD TABLE(グーグーテーブル)」を公開しました。「GOOOD GOOOD TABLE(グーグーテーブル)」にて展開する製品として、「Daily Plus™」<セサミン>及び「Daily Plus™」<大豆イソフラボン>の2品種を発売しました。生活者のデジタル上での情報取得や企業との双方向のコミュニケーションが容易となり、より嗜好に合った選択や体験価値を重視する傾向が強まっています。こうした状況を受け当社D2C事業においても、デジタル戦略を強化し、食に関する体験価値提供とユーザーとの価値共創の実現を目指します。

 

-アミノインデックス®-

 2022年9月、医療従事者向けサイトを大幅リニューアルしました。また、血中の必須アミノ酸濃度と将来のアルツハイマー型認知症発症について、アミノインデックス技術関連の新しい論文がFrontiers in Nutrition誌に掲載されました。

 

-パーソナルケア素材-

 アミノ酸由来の洗浄剤、湿潤剤、メークアップ素材を中心に研究開発を行っています。環境への負荷が低いマイクロプラスチックビーズ代替原料の工業化に成功し、2022年度に上市しました。顧客ニーズに応えた、サステナビリティに貢献するアミノ酸系香粧品素材の開発を引き続き進めていきます。

 

-飼料用アミノ酸-

 乳牛用アミノ酸製剤「AjiPro®-L」などスペシャリティ事業にフォーカスした研究開発を推進しています。

 

 ヘルスケア等セグメントに係わる研究開発費は、9,674百万円です。

 

(4) その他

 その他セグメントに係わる研究開発費は、364百万円です。

 

 

(5) 全社

 当社が想定する2030~50年の未来図からバックキャストし、グループの将来を担うと期待される領域での事業展開を見据え、関係する研究テーマを全社研究とし、資源を集中的に投資し、開発を進めています。

 全社研究では、味の素㈱食品研究所、バイオ・ファイン研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・独自素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。

 無形資産への投資も増強していきます。まず技術資産には、おいしさ設計技術®や先端バイオ・ファイン技術に代表されるアミノサイエンス®が挙げられます。今後、より一層顧客に寄り添うためにはデジタルのケイパビリティが欠かせないと考えています。顧客と技術をマッチングさせイノベーションを生み出す人財資産、顧客資産、それらの基盤となる組織資産への投資も増強していきます。

 

<DX関連>

 経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2022」に選定されました。経済産業省と東京証券取引所は、2015年より、経営革新、収益水準・生産性の向上をもたらす積極的なIT利活用に取り組んでいる企業を、「攻めのIT経営銘柄」として選定しており、2020年からは、デジタルでビジネスモデルを変革し、新たな成長・競争力強化につなぐDXに取り組む企業を「DX銘柄」として選定しています。今年度は33社が選定され、当社はこの度初めて選定されました。

 

<栄養関連>

 消費者庁では、消費者志向経営に関する優れた取り組みを行う事業者を表彰することで広く周知啓発し、消費者志向経営の推進を図ることを目的として、2018年度から「消費者志向経営優良事例表彰」を実施しています。当社は、日本の栄養課題改善に向けた「減塩」への取り組みが評価され、「令和4年度消費者志向 経営優良事例表彰」において消費者庁長官表彰を受賞しました。

 また、当社は、うま味をきかせた減塩の推進に関する活動の一環として、2022年7月25日(うま味調味料の日)より、Z世代に向けてうま味調味料「味の素®」を活用した『うま味でおいしい減塩』を推進するプロジェクト「LOW SALT CLUB~うま味DE減塩部」を開始しました。お酒を飲む人も飲まない人もお互いが尊重し合える社会の実現を目指す「スマートドリンキング」を推進するスマドリ㈱は、Z世代に向けて適切なアルコールの楽しみ方と、適正な塩分の食事体験を推進するため、スマドリ㈱が運営する「スマドリバー渋谷(SUMADORI BAR SHIBUYA)」にて、うま味調味料「味の素®」を活用した「ローソルト(減塩)メニュー」の提供を期間限定で開始しました。

 

<アミノ酸関連>

 これまで当社では、日本国内でトップアスリートへの強化支援事業「ビクトリープロジェクト®」によって、「アミノバイタル®」製品や「勝ち飯®」(当社が提案する、アスリートの栄養環境を改善するために実施する栄養プログラム)の提供などの“アミノ酸のはたらき”を活用した栄養サポート活動を実施してきました。その知見を活かし、全日本大学ストリートダンス選手権、及び、ミスカレッジダンサー(主催・運営:一般社団法人全日本大学ストリートダンス連盟)に、プラチナスポンサーとして特別協賛することを決定し、若年層に絶大な人気を誇るストリートダンスの支援を通じて、これらZ世代ダンサーの食と健康の課題解決に貢献します。大会名称は「味の素株式会社 presents 全日本大学ストリートダンス選手権」及び「味の素株式会社 presents ミスカレッジダンサー」となります。また、公益社団法人日本ダンススポーツ連盟(Japan DanceSport Federation:略称JDSF)ブレイクダンス本部とパートナー契約を締結しました。パリ2024オリンピックに向けて、新競技となる「ブレイキン(ブレイクダンス)」の選手に対するサポートを開始することとなりました。当社は日本代表及び強化選手への栄養サポート活動を通じて、競技力向上に貢献していきます。また、2022年から、国民の祝日である「スポーツの日」(10月第2月曜日)の前日を、「スポーツアミノ酸の日」として制定し、一般社団法人日本記念日協会に認定されました。

 国立長寿医療研究センターとの共同研究成果を活用した認知機能維持サポートアプリ「100年健脳手帳®」で実用化している認知機能キープスコアと将来の認知機能低下との関連性を明らかにしました。これにより、「100年健脳手帳®」による認知機能低下リスク低減の可能性が示されたことになります。なお、研究成果の詳細は2023年1月に行われた第26回日本病態栄養学会年次学術集会において発表されました。

 

<オープン&リンクイノベーション>

 本社と北米に世界の先端イノベーション情報・活動に直接アクセスし、出資・協業・M&Aなどをスピーディに検討・判断するインテリジェンス機能(Search & Partnering)を集中化させたイノベーション戦略チームを組成します。

 

<サステナビリティ>

 国際的な環境非営利団体であるCDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)より、2022年度の「気候変動Aリスト」に選定されました。これは、当社の気候変動に関する開示の包括性や先駆的な取り組みなどが評価されたもので、当社のAリストへの選定は3年連続となります。CDPは、環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や大手購買企業の要請に基づき、企業や自治体に対して、気候変動、水資源保護、森林保全等の環境問題への取り組みの促進と情報開示を求める活動を行う非営利団体です。同団体は、世界の主要企業の環境活動に関する情報を収集・分析・評価しており、2022年度は世界の時価総額の約半分に相当する18,700社以上の企業がCDPのデータ開示要請に応じました。今年度、気候変動に関する取り組みと情報開示において最も優れた企業を選定する「気候変動Aリスト」に、対象となった約1,700の国内企業より74社が選定されました。

 うま味調味料「味の素®」や核酸などを生産するタイの基幹工場(タイ味の素社カンペンペット工場)において、再生可能エネルギーであるもみ殻を燃料とするバイオマスコジェネレーションシステムを導入すべく、2020年8月に着工、2022年9月のオープニングセレモニーより本格稼働を開始しました。工場で使用する全ての蒸気をバイオマス由来の蒸気に置き換え、同時に蒸気タービンで発電を行い、購入電力の一部を自家発電に切り替えることで、CO2排出量削減を推進するとともにエネルギーコストの低減を実現します。

 フードロス削減の取り組みをさらに推進していくためのスローガン「TOO GOOD TO WASTE~ 捨てたもんじゃない!~」とロゴを新たに決定しました。味の素グループでは、直接の事業活動(工場での原料受け入れから卸店や小売店などへ商品を納品するまで)だけでなく、フード・サプライチェーン全体でのフードロス削減を目指しています。具体的には、味の素グループの直接の事業活動で発生するフードロスを2025年度に半減(対2018年度)、また味の素グループが関わるフード・サプライチェーン全体で発生するフードロスを2050年度に半減(対2018年度)することを目標として掲げています。

 2030年度に温室効果ガス排出量(スコープ1・2の合計)を2018年度比で50%削減することに取り組んでいます。さらに、2050年度までに温室効果ガス排出量を正味ゼロ(ネットゼロ)とするカーボンニュートラルを目標として設定しています。

 

 全社に係わる研究開発費は、7,601百万円です。