(1)経営の基本方針
[企業理念]
[ビジョン]
[行動指針]
[長期ビジョン]
当社グループは2021年3月に、「2032年度までに当社グループがありたい姿」を描いた長期ビジョン「RAIZNEXT Group V-2032」を策定し、従来の「ビジョン」を「長期ビジョン」に改め、次のように定めました。
また、あわせて「第2次中期経営計画-RAIZNEXT SYNERGY POWER」(2021年度から2024年度まで)を策定しました。第2次中期経営計画は、第1次中期経営計画に続く「シナジー効果創出」の期間であるとともに、長期ビジョンの実現に向けたファーストステップと位置付けております。
(2)経営環境及び対処すべき課題
この長期ビジョンは、政府が2050年までに実現を目指しているカーボンニュートラル社会の到来や、デジタル革命の進展等を見据え、変革する新時代に備えた準備を早急に進めていく必要があるとの認識のもと12年先(中期経営計画4年間×3回)である2032年度までの「ありたい姿」および基本方針を示したものです。長期ビジョンおよび第2次中期経営計画との関連・計画の方向性は次のとおりです。

なお、第2次中期経営計画では、次の経営数値目標を掲げております。
① 業績計画
第2次中期経営計画最終年度(2024年度 2025年3月期)業績目標
<連結>
② 経営指標の目標値
自己資本当期純利益率(ROE)・・・ 8%以上
連結配当性向 ・・・・・・・・・・40%以上
長期ビジョン、第2次中期経営計画の詳細につきましては、当社ウェブサイトに掲載しておりますので、そちらをご参照願います。(https://www.raiznext.co.jp/)
当社グループの事業に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のような項目があります。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生回避および発生した場合の対応に努める所存であります。なお、これらの項目のうち、将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(2) 特定の取引先・製品・技術等への依存
(3) 特有の法的規制・取引慣行・経営方針
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況で推移しました。経済活動は停滞し、個人消費が低迷するとともに、景況感や企業収益において業種間格差が広がるなど、先行き不透明な状況が続きました。
当社を取り巻く事業環境につきましては、石油業界では、精製能力の削減や稼働率の調整が行われており、加えて新型コロナウイルス感染症の影響等により製品需要が減少しました。
また、石油化学や一般化学業界では、一部で需要回復の兆しは見られるものの、全般的には新型コロナウイルス感染症の影響により、製品需要が低迷した状況が続きました。
こうした状況下、受注高につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う設備投資の中止や延期の影響を受けましたが、完成工事高につきましては、主要顧客である石油・石油化学業界において定期修理工事が多い年であったことから、堅調に推移しました。
また、収益面におきましては、人手不足により外注加工費が高水準で推移する中、直接工事費や経費の削減、稼働の効率化等により個々の工事における採算確保と収益性の向上に努めました。
(財政状態)
当連結会計年度末における資産合計は、971億21百万円で、前期末より22億26百万円減少しました。これは、受取手形・完成工事未収入金が43億63百万円増加したものの、未成工事支出金が44億12百万円、繰延税金資産が24億43百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
当期末における負債合計は、232億31百万円で、前期末より82億97百万円減少しました。これは、支払手形・工事未払金が13億57百万円、短期借入金が42億41百万円、未払法人税等が24億99百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
当期末における純資産合計は、738億90百万円で、前期末より60億70百万円増加しました。これは、利益剰余金が44億73百万円、その他有価証券評価差額金が9億29百万円、退職給付に係る調整累計額が6億19百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(経営成績)
当社グループの連結の業績は、受注高1,430億95百万円(前期比13.5%減)、完成工事高1,459億14百万円(前期比3.8%増)、営業利益103億86百万円(前期比3.4%増)、経常利益106億57百万円(前期比4.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益73億44百万円(前期比40.1%減)となりました。
当社単体の業績は、受注高1,339億79百万円(前期比13.8%減)、完成工事高1,368億96百万円は前期比5.1%増、営業利益94億15百万円(前期比12.1%増)、経常利益99億43百万円(前期比11.8%増)、当期純利益66億30百万円(前期比42.7%減)となりました。
なお、受注高は前期比減となっておりますが、前期の受注高は旧JXエンジニアリング株式会社の受注残高を統合時に当社の受注高として受け入れており、当期はこの影響がなくなりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、経営統合に伴う負ののれん発生益を計上しました前期と比較して大幅に減少いたしました。
受注高の工事種類別内訳 (単位:百万円)
完成工事高の工事種類別内訳 (単位:百万円)
(注)その他は、不動産の賃貸、保険代理店業務などであります。
当連結会計年度末における連結ベースの現金および現金同等物は、前期末に比べ3億17百万円(前期比5.0%)増加し、期末残高は66億86百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュフローは、85億91百万円の増加となり、前期に比べ149億75百万円の増加になりました。主な支出は、売上債権の増加額43億11百万円、主な収入は、税金等調整前当期純利益106億49百万円、未成工事支出金の減少額44億円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュフローは、11億1百万円の減少となり、前期に比べ7億41百万円の減少となりました。これは主に、有形および無形固定資産の取得による支出10億70百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュフローは、71億70百万円の減少となり、前期に比べ20億27百万円の減少となりました。主な支出は、短期借入金の純減少額42億31百万円、配当金の支払額28億71百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
事業セグメント別
事業セグメント別
工事種類別(その他の事業除く)
(注) 1 当社グループでは、エンジニアリング業以外は受注生産を行っておりません。
2 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載を省略しております。
3 主な相手先別の完成工事高および総完成工事高に対する割合は、次のとおりであります。
4 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、期末日現在の資産、負債および期間中の収益、費用の報告額に影響する判断および見積りが要求され、過去の実績および状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っております。
当社グループは特に以下の会計方針の適用において見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合もあります。
また、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5経理の状況」の「1連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)(新型コロナウイルス感染症拡大の影響)」に記載したとおりであります。
1)貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等の特定の債権については、保守的に見積った回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。
取引先の財政状態および業績が見込以上に悪化した場合等、貸倒懸念債権等の特定の債権の回収可能性の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において貸倒引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
2)工事損失引当金
当社グループは、受注工事に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における未引渡工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積もることができる工事について、損失見込額を工事損失引当金として計上しております。
実際の工事施工状況が予定から乖離する等、工事損失発生の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において工事損失の追加計上が必要となる可能性があります。
3)完成工事補償引当金
当社グループは、完成工事に係る瑕疵担保等の費用に備えるため、過去の経験割合に基づく一定の算定基準を基礎に、期末日現在において予定されている瑕疵担保等の費用を合理的に見積った補償見込額を加味して完成工事補償引当金として計上しております。
瑕疵担保等の費用の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において補償損失の追加計上が必要となる可能性があります。
4)退職給付に係る負債
当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、見積りを反映した各種の仮定に基づく数理計算により算出された退職給付に係る負債を計上しております。
これらの各種仮定には、割引率、長期期待運用収益率、予想昇給率等が含まれており、実際の結果が見積りの前提と異なる場合、または前提が変更された場合、来期以降の連結財務諸表において退職給付債務および費用に影響する可能性があります。
5)繰延税金資産
当社グループは、期末日後将来的に発生する課税所得を見積り、当該課税所得に係わる税金負担を軽減する効果を有すると判断した回収可能額を繰延税金資産として計上しております。
将来課税所得の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において繰延税金資産の調整額の計上により損益に影響する可能性があります。
6)完成工事高および完成工事原価の計上基準
当社グループは、当期末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事について、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を適用しております。
実際の工事施工状況が予定から乖離する等、工事収益総額および工事原価総額の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において工事損益に影響する可能性があります。
7)固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについては、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
減損の兆候の把握、並びに減損損失の認識および測定の前提となる割引前将来キャッシュ・フローの見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
1) 経営成績等の状況
当社グループの当期の経営成績は、受注高1,430億95百万円(前期比13.5%減)、完成工事高1,459億14百万円(前期比3.8%増)、営業利益103億86百万円(前期比3.4%増)経常利益106億57百万円(前期比4.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益73億44百万円(前期比40.1%減)となりました。
ア 受注高および完成工事高
受注高が前期比で223億8百万円減少となった要因は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う設備投資の中止や延期の影響を受けたこと、および前期は経営統合時において旧JXエンジニアリング株式会社の受注残高を受け入れたが当期はその影響がないこと、によります。完成工事高につきましては、主要顧客である石油・石油化学業界において定期修理工事が多い年であったことから堅調に推移し、前期比で53億35百万円の増加となりました。
イ 営業利益
営業利益は、人手不足により外注加工費が高水準で推移する中、直接工事費や経費の削減、稼働の効率化等により個々の工事における採算確保と収益性の向上に努めた結果、前期比で3億46百万円増加となりました。
ウ 経常利益
経常利益は、営業外損益において収支差し引きでプラス2億71百万円となり、前期比で4億17百万円の増加となりました。
エ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に経営統合に伴う負ののれん発生益51億3百万円を計上したことから前期比で49億14百万円減少となりました。
なお、前期の負ののれん発生益51億3百万円を除く親会社株主に帰属する当期純利益71億54百万円と比較した場合は、前期比1億89百万円の増加となります。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2事業等のリスク」に記載したとおりであります。当社グループを取り巻く環境は、国内の石油製品の需要減少により、経営環境は楽観できない状況が続くものと予想されます。
当社グループの当期末における現金および現金同等物は、前期末に比べ3億17百万円(5.0%)増加し、期末残高は66億86百万円となりました。概要については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当期におけるキャッシュ・フロー施策として、JXエンジニアリング株式会社との経営統合により、新規分野、新規事業への参入を行い、健全なキャッシュ・フローを維持できる収益の確保に努めてまいりました。
また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、金融機関との取引関係の維持、調達先の分散など、資金調達リスクを軽減するため様々な対策をとっております。
当社グループは、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題」に記載したとおり、将来の事業環境を踏まえ、2021年3月に「2032年度までに当社グループがありたい姿」を描いた長期ビジョンである「RAIZNEXT Group V-2032」を策定いたしました。また、あわせて2021~2024年度を対象とする「第2次中期経営計画-RAIZNEXT SYNERGY POWER」を策定いたしました。第2次中期経営計画は、第1次中期経営計画に続く「シナジー効果の創出」の期間であるとともに、長期ビジョンの実現に向けたファーストステップと位置付けております。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、当社が顧客に提供するソリューション・サービスに係る技術力の強化を目指して取り組んでいるものであります。
当連結会計年度は経営統合後の第1次中期経営計画の最終年度として、「メンテナンスとエンジニアリングの技術力強化」をキーワードに活動を展開しました。具体的には、作業の非熟練化、軽労化、作業の機械化、および現場業務のIT化を踏まえた各種先進技術の活用・導入を図ってまいりました。
なお、当期の研究開発費の総額は
(1)メンテナンス作業の機械化
既存技術の付加価値向上に加え作業員の非熟練化、軽労化および安全性の向上を目的とした作業の機械化に取り組みました。
①熱交換器のメンテナンスに関連する技術
熱交換器のカバー類の脱着について、狭所における支保工材を活用した工法の改善策としてより軽量で取扱いが容易な部材の採用や冶具の開発を行いました。来期は現場における有効性を確認したうえで本工法の標準化を図ってまいります。また、高温高圧の環境下で使用される熱交換器の開放作業においては、焼き付き、かじりによってボルトの取外しが困難となる状況が度々発生します。これに対応するため、火気によるボルトの溶断や手作業による切断等に関し、より安全で効率的な工法への取組みを開始しました。
②配管切断技術
ウォータージェットを利用した切断機の有効性が現場において検証できたことから、来期以降、さらに適用実績を蓄積して改良を重ね、既存の技術を含むコールドカッティング技術全体のメニュー化を図ってまいります。
③自動溶接の適用範囲拡大
前期はタンク側板の周継手に係る自動溶接について現場で適用できることが確認できました。当期においては自動溶接の適用範囲を縦継手まで拡大すべく、溶接条件の検討を行ってまいりました。来期には現場で適用できるよう継続して溶接条件の検討を行ってまいります。また、タンク屋根板の自動溶接にも取り組み、現場での施工に問題がないことを確認しました。
④溶接士不足への対応
将来的に溶接士の不足が懸念されることから、前期に引き続き、自動溶接機による配管の溶接実験を継続して行い、来期には現場適用できるように取り進めてまいります。また、溶接士がいつでも技能の向上を図ることができるよう訓練機の開発にも着手しました。
今後も、メンテナンス技術力の強化を目標にメンテナンス作業の機械化を進めてまいります。
(2)現場業務のIT化
現場で必要となる情報の一元化、情報取得の省力化等により、現場管理業務を効率化するとともに業務品質を向上させることを目指して、ITツールの開発とその活用法に取り組みました。
①メンテナンスデータベース
当社が自社開発したメンテナンスデータベース(S-TORAGE)は、機能改修とクラウド化によって複数の定期修理工事現場においてその有効性を発揮できることを確認しておりましたが、当期前半において最終の機能改修を行い、一連の開発が完了しました。また、当データベースを活用した文書管理にも取り組みました。引き続き、定期修理工事現場における活用の拡大を図ってまいります。
②工事情報共有化・工事進捗管理システム
当社が自社開発した工事情報共有化・工事進捗管理システム(SPIRIT)は、多くの定期修理工事現場においてお客様や他の元請会社にご活用いただいております。当該システムの開発、運用から7年が経過したことから、最新のIT技術を活用してこれまで以上にユーザーフレンドリーなシステムにすべく抜本的に見直し、再構築するためにPoC(Proof of Concept:概念実証)を実施いたしました。このPoCによって、新たに開発する機能等の実現性が検証できたことを受け、社内外のユーザーをメンバーとするプロジェクト体制を組んで当期後半から開発に着手いたしました。来期には開発を完了させ、定期修理工事現場へ導入してまいります。
③位置情報管理技術の開発
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を用いて現場機器等の管理を行うため、位置情報管理システムの開発を進めておりますが、前期において近距離無線通信の活用によって位置測位精度の向上を図ることができました。これをGPS技術と組み合わせることで広域における大まかな位置情報と狭域における精度の高い位置情報の取得が可能となりました。今後は、測位機材を簡易に設置できるよう改良を施し、来期における現場での適用を視野に入れた本システムの実用化を図ってまいります。
④VR(Virtual Reality:バーチャル・リアリティ、仮想現実)映像の現場活用
これまでVR映像の現場活用に取り組んでまいりましたが、当期は安全体感VRの有効性を検証し、現場での安全教育へ導入、運用を開始しました。さらに、熱交換器チューブバンドルの抜出し、挿入に使用するハイドロエキストラクターの操作VRの制作にも取り組み、次期には完成させて実機操作前の教育に活用してまいります。
⑤AI(Artificial Intelligence:人工知能)
AIを現場管理業務に適用するため、「予測系AI」「認識系AI」「対話系AI」によってどのような現場業務に効果が見出せるか、の検討を開始しました。また、AIを活用した各種ツールが急速に普及しておりますが、その有効性と現場活用について調査を実施しました。引き続き、具体的な導入に向けて検討を進めてまいります。
これら現場業務のIT化に関する研究開発は、業務効率化や省力化による業務品質の向上だけでなく、働き方改革にも寄与する取り組みとして、社内標準化を目指して継続的に推進してまいります。
(3)その他の技術等
①溶接技術の確立
溶接補修により溶接熱影響部のクリープ寿命に著しい影響を及ぼすといわれている材料について、適切な溶接技術を確立するための材料評価を実施しております。前期までに基礎データの採取が完了しておりますので、当期においては溶接補修を施した試験片の製作と硬度およびクリープ試験によるデータ採取を行いました。来期は基礎データと比較することで溶接欠陥への対処に関する知見を獲得し、リスクを回避した溶接施工方法を確立してまいります。
②FREND検査™
当社は、熱交換器、ボイラチューブの内・外面腐食検査を高精度かつ迅速に行うことができる、独自の検査技術(FREND検査™)を有しております。この技術をUベンドを有する熱交換器チューブに適用すべく、曲率半径の小さなUベンド部を通過できるセンサの開発に着手し、良好な結果を得ることができました。来期には異なる型式の熱交換器チューブへも適用範囲を拡大することを目指して開発を進めてまいります。
③ドローンの活用
活用法が急拡大しているドローン技術について、点検・検査に止まらずメンテナンス現場やエンジニアリング分野での活用について検討を開始しました。
④レーザー計測の設計業務への活用
設計業務に活用するレーザー計測について、精度の向上や機器の信頼性等に関する研究を行い、実業務へ反映させました。
当社グループの主要顧客である石油業界や石油化学業界においては、既存プラントの安全・安定操業に対するニーズの高まりや設備の経年劣化による事故・トラブルの未然防止への取組みに加え、先進技術を活用したスマート保安の動きが広がりを見せるなど、プラントメンテナンスの重要性がますます高まっております。このような事業環境において、当社のようなメンテナンス請負企業に対する労働安全、品質管理への要求が厳しくなっていることに加え、先進技術の活用による生産性向上に対する要求も強まってきています。さらに社内においては時間外労働時間の削減が重要課題となっており、業務効率化を含めた働き方改革が求められております。
当社グループはこれからも、こうした顧客ニーズや事業環境の変化に対応するため、研究開発活動を実施してまいります。研究開発のテーマ選定にあたっては、これまでどおり国内のみならず欧州や米国等における技術および市場調査の成果を有効に活用するほか、第2次中期経営計画に掲げた「DX(Digital Transformation)推進」に向けて、デジタル技術や先進技術を活用したテーマにも取り組んでまいります。