第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する記載は、当年度末現在において当社が判断したものであり、当社としてその実現を約束するものではありません。

 

(1) 経営方針

当社グループは、コーポレート・ステートメントである「Dream up the future. 未来創発」を掲げ、「新しい社会のパラダイムを洞察し、その実現を担う」、「お客様の信頼を得て、お客様とともに栄える」ことを使命としています。さらに、「夢と可能性に満ち、豊かさを実感する、活力ある社会」、「人々の英知がつながり、環境にやさしい持続可能な社会」、「強くてしなやかな、安全で安心に満ちた社会」を当社グループが創発する社会とし、これらを企業理念の中に位置づけています。当社は、1965年に国内・民間初の総合シンクタンクとして誕生したルーツを持ち、創業時における設立趣意書で「産業経済の振興と一般社会への奉仕」を目的に掲げました。経済価値と社会価値の一体的な追求は、創業時から50年以上にわたり当社グループにおいて培われてきました。

今後、社会課題はますます複雑化し、産業構造の流動化、技術の進化とコモディティ化、価値観・働き方の多様化など、企業を取り巻く経済環境も大きく変化していくことが予想されます。そのような事業環境下において当社グループは、未来のありたい姿を洞察し、それをデジタル技術で実現するというユニークな強みを有しています。当社グループは、このような複雑で予測できない環境変化のうねりの中でこそ、自社の強みを活かし真価を最大限発揮することができるものと自負しています。

2023年4月に発表した「NRI Group Vision 2030」(以下「V2030」という。)においては、ビジョン・ステートメントを「Envision the value, Empower the Change(まだ見ぬ価値をともに描き、変革にさらなる力を)」とし、当社グループが2030年に目指す姿を「経営とテクノロジーの融合で時代を先駆け、DXの先にある豊かさを洞察し、デジタル社会資本で世界をダイナミックに変革する存在へ」としました。今後、コア領域の深化・進化と、DX(デジタルトランスフォーメーション)領域やグローバルでのさらなる成長を志向します。このV2030では、「持続可能な未来社会づくり」と「NRIグループの成長戦略実現」を一体的に追求する上で、2030年に向けて重点的に取り組むテーマとして「創出する価値」、「価値を生み出す資本」、「経営基盤(ESG)」の3層で計8つのマテリアリティを特定し、当社グループのサステナビリティ基本方針に位置づけました。これらのマテリアリティは、当社グループの2030年に目指す姿及び成長戦略の実現を確かなものにする重要な要素です。

 

●マテリアリティ:2030年に向けて重点的に取り組むテーマ

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●創出する価値:「持続可能な未来社会づくり」を実現

マテリアリティ

2030年に目指す姿(目標)

デジタル社会資本の充実を通じた活力ある未来社会の共創

優れた人的資本・知的資本と、そこから価値を生み出すためのデジタル社会資本が充実し、あらゆるひとが豊かに暮らす、活力ある社会の実現に貢献している。

社会資源の有効活用を通じた最適社会の共創

ビジネスプラットフォームの共同利用、データによるリアル空間の可視化や予測等を通じて、社会資源 (人材・公共財・知的財産等を含む) の有効活用や自然資源の循環等、スマートな社会の実現に貢献している。

社会インフラの高度化を通じた安全安心社会の共創

社会インフラやデータが、災害やサイバーリスクに強く高度で安定稼働するIT基盤によって守られ、あらゆるひとが安心して様々なデジタルサービスを享受できる、強くてしなやかな社会の実現に貢献している。

 

●価値を生み出す資本:「人的資本」及び「知的資本」が価値共創を支える

マテリアリティ

2030年に目指す姿(目標)

多様なプロフェッショナルの挑戦・成長による人的資本の拡充

高い専門性や多様な価値観を持つ人材が集い、プロフェッショナルとして自律的に挑戦・成長し続ける場を生み出し、価値創出につながっている。

個々の知を組織力に昇華させる知的資本の創出・蓄積

個々の知を組織力に昇華させる優れた知的資本 (ビジネスモデル・ブランド・ケイパビリティ) を創出・蓄積し、価値創出につながっている。

 

●経営基盤(ESG):NRIらしいESGを、サプライチェーンへ拡張

マテリアリティ

2030年に目指す姿(目標)

ビジネスパートナーとの協働による地球環境への貢献

再生可能エネルギーのさらなる高度利用を進めるとともに、Scope3を視野にビジネスパートナーと協働しながら、自然資本への配慮と持続可能な地球環境づくりに貢献している。

ステークホルダーとの関係強化による社会的責任の遂行

ステークホルダー (ビジネスパートナー、従業員、社会など) との良好な関係を形成し、健全な雇用・労使関係、人権への配慮等、サプライチェーン全体で社会的責任を遂行している。

戦略的なリスクコントロールを実現するガバナンスの高度化

グループ・グローバル全体で長期視点のリスクコントロールを実現するため、戦略に応じたリスクテイクも含む、バランスの取れたガバナンスに取り組んでいる。

 

●V2030の全体像

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(2) 経営戦略

<中期経営計画>

企業はグローバルで進展するデジタル社会に適応し、より競争力を高め且つ効率的にビジネスを行うために、DXを活用したビジネスプロセスやオペレーションだけでなく、ビジネスモデル自体の変革も推進しています。一方で、DXを推進するために必要な新技術の導入や社内システムの再整備、それらを支える専門組織の確立や技術者の確保が重要な経営課題となっています。また、ガバナンスの強化や個人情報保護・情報セキュリティへの対応、さらにそれらを遵守させるための社内浸透活動や社員教育など、企業が対応すべき経営課題は多岐に亘ります。

このような事業環境のもと、当社グループはV2030の実現に向け、2023年4月に前半3か年の「NRIグループ中期経営計画(2023-2025)」(以下「中計2025」という。) を策定しました。中計2025では、コアビジネス領域、DX進化 、グローバル、マネジメントの4つの領域でそれぞれ成長戦略の柱を掲げており、顧客との価値共創を通じて、当社グループの持続的成長と持続可能な未来社会づくりを目指します。

 

中計2025の成長戦略の柱

・コアビジネス領域:コンソリューション(ビジネスITを企画・構想する段階からコンサルティングとソリューションが並走し、顧客に継続的に価値を創出するビジネスモデル)で顧客との価値創造をさらに深める「コア領域の深化・拡大」と、ビジネスプラットフォーム拡大と抜本的な生産革新で圧倒的な競争力と高付加価値を実現する「コア領域の進化」を同時に実現

・DX進化:顧客の業務プロセス変革・インフラ変革(DX1.0)、ビジネスモデルそのものの変革(DX2.0)に加え、企業や産業を超えて社会にインパクトをもたらすDX3.0に挑戦

・グローバル:日本・アジア、豪州に加え、巨大かつ高い成長力をもつ市場である北米への展開を通じ、世界3極での事業運営に向けた体制を整備

・マネジメント:人的資本の拡充と、サステナビリティ経営や環境対応を強化し、経営基盤を盤石化

 

当社グループは、中計2025の最終年度(2026年3月期)に、売上収益8,100億円、うち海外売上収益1,500億円、営業利益1,450億円、営業利益率17.9%、ROE20%以上を目指します。

 

(3) 目標とする経営指標

当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させていくことを経営の目標としています。経営指標としては、事業の収益力を表す営業利益及び営業キャッシュ・フローを重視し、これらの拡大を目指しています。また、資本効率の観点からROEを重視し、持続的な株主価値の向上に努めています。

 

(4) 経営環境及び対処すべき課題

<経営環境の認識>

当社グループはこれまで、国内市場においては主として金融業や流通業における顧客基盤の構築や金融分野でのビジネスプラットフォームの提供を通じて、グローバル市場においては日本企業のグローバル化への対応と、主にアジア、豪州に加え、北米での事業基盤拡大を通じて成長してきました。近年では、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に顧客企業におけるDX関連のIT投資が増加し、業務プロセスを変革するだけでなくビジネスモデルそのものを変革するニーズが急速に高まっています。

V2030ではこうした経営環境を踏まえ、成長戦略と一体であるサステナビリティ基本方針を中核とし、2030年に目指す姿とそこに至る成長ストーリーを策定しました。またV2030の前半にあたる中計2025では、当社グループが今後さらなる成長を実現するため、ITソリューション及びコンサルティングサービス等の国内外既存事業(コアビジネス領域)における付加価値と生産性を高めることで競争優位を維持拡大しつつ、DX領域において顧客から信頼されるパートナーとしての地位を確立し、顧客との取引を大型化する必要があると考えています。このような成長戦略により、社会課題の解決と持続可能な未来社会の実現に貢献してまいります。その実現にはDX事業やグローバル事業を推進する人材の確保が必要であり、採用と育成の強化が重要であると認識しています。

 

<コアビジネス領域の深化と進化>

コアビジネス領域では、従来型のビジネスモデルに加えプラットフォーム型事業のさらなる成長と様々な生産革新により、確かな利益成長を実現していきます。

コンサルティング部門では、実行支援型コンサルティングサービスの提供により顧客の変革を継続的に支援するとともに、コンサルティングとソリューションの連携をさらに強化することで事業領域の拡大を目指します。金融ITソリューション部門では、金融ビジネスプラットフォームを拡充し高付加価値な事業モデルへのシフトを図ります。産業ITソリューション部門では、デジタルIP(知的資産)の拡充と適用範囲の拡大によりシステム開発における生産性の向上を図り、さらなる競争優位性の確保を目指します。IT基盤サービス部門では、企業における老朽化したITシステムの刷新対応やクラウド上でのアプリケーション開発のニーズを捉え、従来のプライベートクラウドに加えパブリッククラウドを活用したサービスを拡充し、また同時に情報セキュリティを中心としたサービスのさらなる拡充にも取り組みます。

 

<DX事業の推進>

DX領域においては、AIやブロックチェーンといった新しい技術の活用が進んでいます。顧客の業務プロセス、ビジネスモデルを変革していくためには、戦略策定からソリューションの実装まで、顧客とともに仮説検証を繰り返しながらビジネスを創出する必要があります。当社グループは、顧客のDXパートナーとしてコンサルタントとシステムエンジニアが一体となり切れ目なく変革活動を支援し、顧客の業務プロセス変革・インフラ変革(DX1.0)からビジネスモデルそのものの変革(DX2.0)、さらには単独の企業では実現が難しい社会課題解決のためのパラダイム変革(DX3.0)にも取り組みます。その実現に向けて当社グループでは、シンクタンク機能を強化しDX2.0/3.0の創出を加速させるとともに、マイナンバー関連サービスやNRI-CTSなどのデジタル社会資本の実績を積み上げて、新領域の開拓・拡大を目指します。

 

<グローバル事業の推進>

グローバル事業では、これまでアジア・北米を中心に当社グループが設立した現地法人による内部資本での成長に加え、豪州・北米ではM&Aによる事業拡大を進めてきました。引き続きグローバルでの競争力確保に向けて、日本・アジア、豪州、北米の3極におけるシナジーを活かした取り組みを進めていきます。

また、2030年のグローバル事業目標の実現と経営基盤の確立に向けて、豪州で培った知見を北米事業にも活用し、サービス拡充と事業基盤の大型化を目指します。また、豪州はNRIブランドの下に結集し、安定成長と収益力の向上を目指します。引き続きグローバル戦略を着実に推進していくために、グローバル本社機構を中心として、グローバル戦略の策定や実行をしていくとともに、海外子会社のCEOを支える経営層の充実とガバナンスの強化を図っていきます。

 

<マネジメントの高度化>

これらの施策を着実に実行していくには、付加価値の源泉である人材の確保と育成が不可欠です。現状では特にDX領域やグローバル事業を着実に推進できる人材の確保が急務となっており、新卒・キャリア採用の強化と人材育成に取り組みます。

また、価値観や働き方の多様化に伴い、多様な従業員が活躍・チャレンジできる風土の醸成を推進し、グループ全体で従業員エンゲージメントの向上を図っていきます。

サステナビリティ基本方針においては、「創出する価値」、「価値を生み出す資本」、「経営基盤(ESG)」の各領域で定めたマテリアリティへの取り組みを通じて当社らしさを進化させるとともに、グループ・グローバル、さらにサプライチェーン全体を意識した活動へと広げていきます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ共通

① ガバナンス

当社グループは、サステナビリティを重要な経営課題に位置づけています。取締役会の構成や監督においてサステナビリティを考慮し、サステナビリティに知見のある社外取締役の選任に加えて、サステナビリティ基本方針(マテリアリティを含む)を取締役会で決議しています。

また、取締役会の監督のもと、サステナビリティ経営推進担当取締役を委員長とするサステナビリティ会議を設置しています。その下部委員会としてそれぞれ常務執行役員を委員長とする価値共創推進委員会、サステナビリティ推進委員会があり、グループ全体のサステナビリティを推進し、活動の進捗を定期的に取締役会へ報告しています。サステナビリティ推進委員会は、ESGの観点で基盤となる活動を推進する役割を担っています。5つの検討チームに分かれ、シナリオ分析をはじめとしたESG情報開示や、サプライチェーン全体での脱炭素化、人権関連調査等といった各種サステナビリティ施策に取り組み、サステナビリティ経営を支える活動を推進しています。サステナビリティ会議を含む当社のガバナンスの状況は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりです。

なお、取締役(社外取締役を除く。)及び執行役員その他の従業員(役員待遇)に対して支給する株式関連報酬の決定においては、温室効果ガス排出量削減、人的資本拡充を含む当社グループのサステナビリティ指標の達成に向けた取組状況を考慮する仕組みを導入しています。

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② 戦略

当社グループは、サステナビリティに関連するリスクと機会を踏まえたマテリアリティを特定し、それらを事業や戦略へ反映しています。リスクと機会の概要、事業及び財務への影響、主な取組みは以下のとおりです。

マテリアリティ

事業及び財務への影響

主な取組み

内容

リスク

機会

顕在時期

影響度

活力ある未来社会の共創

社会課題が複雑化、深刻化する中で、持続可能な未来社会づくりと当社グループの成長が一体的に進み、事業及び財務に影響。

短~長期

・顧客のビジネスモデル変革

・社会・制度提言、情報発信 など

最適社会の共創

・顧客のビジネスプロセス変革

・ビジネスプラットフォームによる共同利用促進 など

安全安心社会の共創

・持続可能な社会インフラ実現

・ITインフラ変革

・安定サービス運用

・防災・減災政策提言・復興支援 など

人的資本の拡充

人材獲得競争が激化する中、優秀なプロフェッショナル人材を獲得できるか否か、その人材を成長させる人材マネジメントシステムが機能するか否かが、事業及び財務に影響。

中~長期

・一人ひとりの成長機会の拡大

・ダイバーシティ&インクルージョンの定着

・成長ストーリーを実現するケイパビリティの増強 など

知的資本の創出・蓄積

社会や事業環境の不確実性が高まる中、未来予測や社会提言の発信とともに、事業活動を通じて得られたノウハウを実践的な知的資産として活用し競争優位性を発揮できるか否かが、事業及び財務に影響。

中~長期

・ビジネスモデルの進化(ソフトウエア資産の拡充等)

・進化し続けるブランドの形成(情報発信のコンテンツ充実等)

・事業展開を支える組織ケイパビリティの強化(品質監理、生産革新等) など

地球環境への貢献

Scope3を含む温室効果ガス排出量削減に取り組まなければ、社会や顧客からの信頼を得られず、事業及び財務に影響。

中~長期

・温室効果ガス排出量削減・再生可能エネルギー利用の促進(Scope1+2)

・Scope3における温室効果ガス排出量削減に向けた対応 など

社会的責任の遂行

社会的責任を遂行しなければ、顧客、従業員、パートナー会社の信頼を失い、事業及び財務に影響。

短~長期

・従業員のウェルビーイング

・人権・労働慣行に関する取組み(AI倫理等含む)

・パートナー会社との協力関係強化、ステークホルダーやコミュニティとの関係形成 など

ガバナンスの高度化

適切なガバナンスが機能しなければ、顧客や投資家の信頼を失い、事業及び財務に影響。

短~長期

・グループ全体でのガバナンスと内部統制システムの整備・運用

・統合リスク管理(ERM)

・品質監理、情報セキュリティ管理の強化

・情報開示促進と透明性向上

・コンプライアンスの徹底 など

(注) 影響度は影響額、発現の蓋然性等を加味して総合的に判定。

 

③ リスク管理

当社グループにおけるサステナビリティに関連するリスクは、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループ全般のリスク管理体制、管理方法の中で識別、評価、管理しています。加えて、サステナビリティ会議及びサステナビリティ推進委員会において重要指標のモニタリング及び進捗管理、取締役会への報告を行っています。また、サステナビリティ推進部を設置し、サステナビリティに関する動向や規制の把握、当社グループへの影響を確認しています。

マテリアリティ

主な機会とリスク

「3 事業等のリスク」に記載の関連リスク

活力ある未来社会の共創

様々なパートナーとの共創を通じた社会課題解決と、それに付随した売上増加と企業価値向上(機会)

(3)特に重要と認識するリスク ①品質に関するリスク、②情報セキュリティに関するリスク

(4)重要と認識するリスク ①経営戦略に関するリスク

最適社会の共創

安全安心社会の共創

人的資本の拡充

人材獲得、人的資本拡充の成否が競争力に直接影響(機会/リスク)

(3)特に重要と認識するリスク ⑥人材確保・育成に関するリスク

知的資本の創出・蓄積

知的資本の創出・蓄積、組織ケイパビリティ強化の成否が競争力に直接影響(機会/リスク)

(3)特に重要と認識するリスク ①品質に関するリスク、③プロジェクトに関するリスク

(4)重要と認識するリスク ②コンプライアンスに関するリスク a. 知的財産権について

地球環境への貢献

気候変動の物理的影響や規制リスクによる収益性低下、レピュテーション低下(リスク)

(3)特に重要と認識するリスク ⑤事業継続に関するリスク

(4)重要と認識するリスク ④サステナビリティに関するリスク (気候変動・人権等)

社会的責任の遂行

人材流出、人的資本毀損による競争力低下、パートナー会社を失うことによる事業継続困難、訴訟等の発生、レピュテーション低下(リスク)

(3)特に重要と認識するリスク ⑥人材確保・育成に関するリスク

(4)重要と認識するリスク ③パートナー会社に関するリスク、④サステナビリティに関するリスク(気候変動・人権等)

ガバナンスの高度化

重大な障害等の発生による実害、訴訟等の発生、法令・コンプライアンス違反、のれんの減損、レピュテーション低下(リスク)

(3)特に重要と認識するリスク ①品質に関するリスク、②情報セキュリティに関するリスク、③プロジェクトに関するリスク、④グループガバナンスに関するリスク

 

④ 指標及び目標

当社グループは、サステナビリティに関連するリスクと機会を評価、管理するため、中計2025において、重要指標(マテリアリティ指標)と目標値を定めています。

マテリアリティ

重要指標

2026年3月期目標

(参考)2023年3月期実績

活力ある未来社会の共創

業界・社会変革を実現するDX2.0/3.0 ※1

総投資額・施策額

630億円※2

(2024年3月期より計測)

最適社会の共創

最適社会に貢献するビジネスプラットフォーム売上高

1,410億円

1,285億円

安全安心社会の共創

強くてしなやかな社会を支える安全安心関連売上高※3

2,160億円

1,698億円

価値共創共感度※4(当社国内グループ)

70%

64%

人的資本の拡充

従業員エンゲージメント(当社)の総合スコア

女性への機会付与率※5(当社)

総合スコア:70以上継続

機会付与率:17%

総合スコア:71

機会付与率:14.3%

知的資本の創出・蓄積

知的資本創出・蓄積のための投資額

410億円※2

132億円

地球環境への貢献

温室効果ガス排出量削減率・再生可能エネルギー利用率

(基準年:2020年3月期)

2031年3月期目標

Scope1+2:ネットゼロ※6

Scope3:30%削減

再生可能エネルギー利用率:100%

Scope1+2:66%減

Scope3:5%増

再生可能エネルギー利用率:73%

社会的責任の遂行

「NRIグループビジネスパートナー行動規範」※7への同意または同等規範の保有率※8

当社国内グループ 90%

(参考:当社グループ80%)

当社国内グループ 63%

(参考:当社グループ56%)

ガバナンスの高度化

重大なリスクの発現件数(規制当局への報告またはそれに準ずる当社グループ責の事案)

0件

1件

外部評価指標 DJSI World

(Dow Jones Sustainability Indices)

選定継続

選定

(注)※1 デジタル技術で新しいビジネスモデルそのものを生み出すDXを「DX2.0」、社会課題を解決し、パラダイム変革を実現するDXを「DX3.0」と定義。

※2 中計2025期間の累計値。

※3 IT基盤サービスセグメント売上高(内部取引を含む)。

※4 「価値共創」や「3つの社会価値」の概念に強く共感する社員の割合。

※5 プロジェクトや事業における責任者の女性比率。

※6 Scope1+2の排出量を97%削減、残余排出量は中和化。なお、残余排出量とはネットゼロ目標年度の時点で当社グループのバリューチェーン内で削減できない排出量、中和化とはバリューチェーンの外で炭素除去技術等を活用し残余排出量を相殺することを指します。

※7 環境・人権等を含む行動規範。

※8 システム開発委託先など、当社グループの調達先企業における同意または同等規範保有率。

 

(2) 気候変動

① ガバナンス

気候変動に関連するガバナンスについては、「(1)サステナビリティ共通 ① ガバナンス」に記載の事項に加えて、サステナビリティ推進委員会の「ESG情報開示」検討チーム及び「脱炭素化」検討チームにおいて、気候変動に特化した検討・対策を推進し、これらの検討結果は取締役会へ報告されます。取締役会は、気候変動による影響について経営・事業戦略への反映等に向けた議論・方針の決定に加え、監督を行っています。なお、サステナビリティ推進委員会の「ESG情報開示」検討チームでは、TCFDシナリオ分析を実施し、気候関連のリスク・機会について検討と対策を進めています。「脱炭素化」検討チームでは、当社グループにおいて多くの電力を消費しているデータセンターのカーボンニュートラル、Scope3排出量削減、再生可能エネルギー調達などの各種サステナビリティ施策の検討と対策を進めています。

 

② 戦略

当社グループでは、2019年3月期より気候変動によるリスク・機会の特定や当社グループへの財務的影響についてシナリオ分析を継続して実施しています。

2019年3月期

当社グループ事業の全体でのリスク・機会の特定

・2℃、4℃シナリオでのリスク・機会を特定

(現在は「2℃シナリオ」を「1.5℃シナリオ」に読み替えて適用)

2020年3月期

重要度が高い事業を対象にシナリオ分析

・データセンター事業を対象に実施

2021年3月期

収益部門を対象にシナリオ分析

・資産運用ソリューション事業、コンサルティング事業を対象に実施

2022年3月期

シナリオ分析の対象事業の拡大

・証券ソリューション事業を対象に実施

当年度~

シナリオ分析継続、開示体系検討

・シナリオ分析を継続

・より進化した情報開示の枠組みを検討

 

<当社グループ事業の全体でのリスク・機会の特定(2019年3月期)>

2019年3月期は、当社グループ事業の全体でリスク・機会を特定しました。シナリオとして2℃に気温上昇を抑える「2℃シナリオ」と現在想定されている以外の対策が実行されない「4℃シナリオ」を設定し、「コンサルティング」「金融ITソリューション」「産業ITソリューション」「データセンター(IT基盤ソリューション)」の4つの事業分野を対象としました。なお、現在は「2℃シナリオ」を「1.5℃シナリオ」に読み替えて適用しています。

対象事業分野

1.5℃シナリオ

4℃シナリオ

コンサルティング

顧客企業に脱炭素への変革が求められるため、当社の持つ、サステナビリティに関する知見やソリューションへの需要が高まる。

4℃シナリオで想定するような自然災害の激甚化は、マクロ経済の停滞や顧客の収益を悪化させ、事業の売上に影響するリスクがある。

金融ITソリューション

当社の共同利用型サービスは個別企業が独自にシステムを開発する場合より、消費電力やCO2排出量、コストを大幅に削減することができ、さらにRE100の達成に向けた再生可能エネルギー利用率を増加させることで、需要は増加する。

気候変動が資産の損失やマクロ経済の長期停滞の要因となり、金融機関の収益が悪化した場合には、提供するサービスへの需要に影響するリスクがある。

産業ITソリューション

サプライチェーンや物流プロセスの効率化支援は、低炭素化につながるものであり、今後関連する取組みが進展することは、需要増加の機会になる。

クラウド型システムの提供により、自然災害が生じた場合の被害を最小限にとどめることが可能であり、顧客のリスクを抑えることができる。

データセンター(IT基盤ソリューション)

当社は、全ての電力を再生可能エネルギーで賄う、脱炭素型のデータセンターを目指しており(※)、顧客の環境配慮が強まれば、需要増加の機会になる。

自然災害を考慮した立地選定とともに、複数のデータセンターによる相互バックアップで事業停止リスクを抑制しているため、需要増加の機会になる。

自然災害に伴う電力障害や真夏日の増加は、機器のメンテナンス・更新費用や冷却費用を増大させるリスクになる。

(注)1. +:対象事業全体に正の影響が働く。 -:対象事業全体に負の影響が働く。

2. ※:分析時点。当年度末時点では当社グループ保有の全てのデータセンターの電力は全て再生可能エネルギー由来。

 

<個別の対象事業におけるシナリオ分析(2020年3月期~)>

上記対象事業のうち、「コンサルティング」「金融ITソリューション(資産運用ソリューション/証券ソリューションに区分)」「データセンター」については、気候関連の事象を想定して、当社グループとしてのリスクと機会や当社グループへの財務的影響をより具体的に分析しました。下表はその結果を示したものです。

なお、2020年3月期、2021年3月期の分析では「2℃未満シナリオ」及び「4℃シナリオ」を、2022年3月期の分析では「1.5℃シナリオ」及び「4℃シナリオ」を適用しています。

対象事業

(シナリオ分析の実施時期)

シナリオ

気候関連事象によるリスク・機会と影響

リスク

機会

事象

影響

コンサルティング

(2021年3月期)

2℃

未満

カーボンプライス(炭素税等)の導入、新技術に対する補助

脱炭素化への移行に向けた戦略構築、事業構造変革等の必要性が高まることによるコンサルティング事業へのニーズ増加。

一方で、長期的には脱炭素化への移行に失敗をした企業が多い場合には、コンサルティング事業の売上に影響を及ぼす可能性がある。

市場における気候変動を加味した取引条件の設定

新たな環境技術による市場構造の変化

4℃

自然災害の激甚化

自然災害による損害が生じたことに起因して、経済活動が停滞することでコンサルティング事業の売上に影響を及ぼす可能性がある。

一方で、対応策の構築に向けたコンサルティング事業へのニーズの増加可能性もある。

気候パターンの変化

資産運用

ソリューション

(2021年3月期)

2℃

未満

カーボンプライス(炭素税等)の導入、新技術に対する補助

企業の競争力、企業価値が変化し、資産残高に影響が生じる。

企業へのESG/気候関連の情報開示の強化の要請、標準化の促進

企業から開示される情報量が増加。また、開示内容が標準化されていくことで、資産運用会社において企業情報の整理ニーズが増加。

資産運用会社への情報開示強化

監督当局、アセットオーナーより運用におけるESG投資、サステナブルファイナンスに関する開示強化により、その支援に対するニーズが増加。

金融商品のESG情報開示の強化

資産運用会社が開発する個人向け金融商品におけるESG関連の項目についての説明等が求められる。

個人のESGや気候変動への関心増加

環境・社会問題への関心が高いミレニアル世代・Z世代を中心にESG投資やインパクト投資への需要が高まることで、資産運用による環境・社会への影響の可視化へのニーズ増加。

4℃

自然災害の激甚化

自然災害により損失が生じたことに起因して、経済活動が停滞し、資産残高は一時的に下落。

証券

ソリューション

(2022年3月期)

1.5℃

カーボンプライス(炭素税等)等移行に向けた政策の導入・強化

企業の競争力、企業価値が変化し、資産残高に影響が生じる。

カーボンプライス(炭素税等)の導入

カーボンプライシングによる光熱費の高騰に伴い、サーバーなどの機械製造コスト増加。

市場改革(サステナブルファイナンス関連)、環境配慮行動への圧力・要請拡大

サステナブル関連の市場改革(区分の設定、税制優遇など)と環境配慮行動への高まりにより個人投資家のサステナブル投資が拡大する。

取引条件の変化、環境配慮行動への圧力・要請拡大

取引条件に再生可能エネルギー利用率の導入が要請される。

取引条件の変化、環境配慮行動への圧力・要請拡大

上記に対して、再生可能エネルギー調達をする場合は一部コスト増加。

ただし、再生可能エネルギー費用が削減されればコスト抑制が可能。

4℃

自然災害の激甚化

自然災害の激甚化に伴い、市場での取引が停止。

(一方で対応策を他よりも整備することで競争優位を創出)

自然災害の激甚化

自然災害の激甚化への対応策として、広域被災への対応が求められる。

自然災害の激甚化、気象パターンの変化

自然災害の激甚化に伴い、海外での開発停止を国内で代替することで費用増加。

資源価格などの高騰に伴う人件費増加。

データセンター

(2020年3月期)

2℃

未満

カーボンプライス(炭素税等)の導入

2℃未満シナリオで想定する炭素税が導入されたことにより電気代が上昇。

再生可能エネルギーの利用拡大

再生可能エネルギー導入目標達成のために費用負担が発生。

ただし、目標が達成されれば、炭素税導入の影響緩和が可能。

4℃

自然災害の激甚化

データセンターの設備が自然災害から影響を受ける。

(取水制限・断水、水害(集中豪雨等)、強風被害、電力供給障害等。ただし、ハザードマップ等を分析した結果、影響は小さいと評価)

 

<財務的影響に関する分析(2020年3月期~)>

各対象事業の分析においては、気候変動による当社グループへの財務的影響についても分析しています。2020年3月期には、特定したリスクと機会の中で最も気候変動の影響が大きいデータセンター事業を対象に、2℃未満シナリオにおける炭素税や再生可能エネルギー導入による財務的影響について、ベースライン、ケース1、ケース2の状況を想定して評価しました。ベースラインでは、炭素税が導入されたことにより、電気代が2019年3月期比で21~28%上昇した世界において、当社として再生可能エネルギーを調達しなかった場合を想定しました。これに対してケース1は2020年3月期時点の目標として掲げていた「2031年3月期までに再生可能エネルギー調達比率36%」を達成した場合を、ケース2ではケース1と同じ条件で、かつ再生可能エネルギー調達価格が下落した世界を想定しました。結果、2℃未満シナリオでは、再生可能エネルギー調達目標の達成により、炭素税導入の影響緩和が可能であることがわかりました。

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当社グループでは、このような財務的影響に関する分析結果を踏まえ、再生可能エネルギー導入等の温室効果ガス排出量削減の取組みがカーボンプライス(炭素税等)の導入や環境配慮行動への要請拡大等によるリスクを緩和する施策となるとの認識のもと、対応を進めています。具体的には、当社グループの温室効果ガス排出の多くが電力に起因していたことから、事業で使用する電力を再生可能エネルギー由来のものに切り替えることが、脱炭素に向けた重要な取組みであると考えています。これらの認識のもと、当社グループが保有する全てのデータセンターの電力は、当年度末時点で全て再生可能エネルギー由来となっています。また、オフィスにおいても、2022年3月期から一部の主要なオフィスの電力を再生可能エネルギー由来に切り替えています。

なお、当社グループは2023年2月に温室効果ガス排出量の削減目標を改定し、「④指標及び目標」に記載の目標を掲げています。さらに現在、2030年及び2050年を見据えて長期的かつ安定的な再生可能エネルギーの調達方法について検討を進めています。

 

③ リスク管理

「(1) サステナビリティ共通 ③リスク管理」及び「3 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループ全般のリスク管理体制、管理方法の中で識別、評価、管理しています。

また、気候関連リスク及び機会の特定、評価、対応に関しては、2019年3月期よりサステナビリティ推進委員会において、気候関連リスク(自然災害の激甚化などによる事業継続リスクも含む)について、外部環境やイニシアティブの状況、サービス提供部門からの情報等を勘案し、各気候関連リスクに対する施策の検討及び決定を行っています。

 

④ 指標及び目標

当社グループでは、グループのバリューチェーン全体の脱炭素化を目指すために、SBTイニシアティブの「企業ネットゼロ基準」に則り、2023年2月に、以下のとおり環境目標を改定しました(SBTイニシアティブによる削減目標の認定については2023年6月時点で申請中です)。また、当社は2019年2月にRE100に参加しています。

指標

目標

当年度実績

(参考)

当年度排出量実績

温室効果ガス排出量削減率

(基準年:2020年3月期)

[2031年3月期]Scope1+2:ネットゼロ※1

66%減

20千t※3

[2031年3月期]Scope3:30%削減

5%増

190千t※3

[2051年3月期]Scope1+2+3:ネットゼロ※2

12%減

211千t

再生可能エネルギー利用率

[2031年3月期]再生可能エネルギー利用率:100%

73%※3

(注)※1:Scope1+2の排出量を97%削減、残余排出量は中和化。

※2:Scope1+2+3の排出量を90%削減、残余排出量は中和化。

※3:実績値は第三者保証を取得しています。

 

(3) 人的資本・多様性

① ガバナンス

人的資本・多様性の拡充に関連するガバナンスについては、「(1)サステナビリティ共通 ① ガバナンス」に記載の事項に加えて、取締役会の監督のもとで、コーポレート部門管掌取締役を委員長とする人材開発会議において検討・議論を行っています。各施策を主管部で推進し、重要な事項については、定期的に経営会議、取締役会でその実施結果を報告・審議しています。

 

② 戦略(人材の育成及び社内環境整備に関する方針)

当社グループでは、人的資本・多様性を拡充するための仕組みを「人材の成長サイクル」として定義しています。人材の成長サイクルは、「多様な優秀人材の採用」「チャレンジングなアサインメント」「仕事に対する誇りの醸成」「個々人・組織の成長」の4つの要素が連動して機能することで、当社の人的資本の強みである「プロフェッショナリズム」「変化対応力」「自律的成長力」「異才(彩)融合」がより強固なものになるという考え方です。人的資本・多様性の拡充には、成長サイクルを支えるための制度の拡充、改善をしていくことが重要であり、V2030に向けては、成長サイクルを更に加速させるための取組みとして「成長ストーリーを実現するためのケイパビリティ増強」「ダイバーシティ&インクルージョンの定着」「一人ひとりの成長機会の拡大」の3つの分野で施策を検討・推進しています。

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また、当社グループでは、従業員の健康と安全を経営の視点で考え、戦略的に実践することを目的に、社長をCHO(Chief Health Officer)とした上で「健康経営」を表明しています。安全衛生に関連する各種法令(労働基準法、労働安全衛生法等)への準拠は当然のこととして、健診後対応への支援、禁煙支援、運動促進の活動など、安全衛生を守るための様々な取組みを実施しています。

 

③ リスク管理

当社グループでは、人的資本が価値を生み出す源泉と考えており、人的資本・多様性の拡充の取組みが停滞することが重大なリスクにつながります。そのため、人的資本・多様性拡充に関する取組みについて、「3 事業等のリスク (3)特に重要と認識するリスク ⑥人材確保・育成に関するリスク」に記載の事項に加えて、独自のKPIを定め各事業本部単位に進捗状況を可視化、連携した上で、施策の浸透と推進を実施しています。その実施状況については、人材開発会議に報告し、リスクへの対応を管理・検討しています。

 

④ 指標及び目標

「(1)サステナビリティ共通 ④指標及び目標」及び「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載のとおりです。

 

(4) 知的資本

① ガバナンス

知的資本の創出・蓄積に関連するガバナンスについては、「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」に記載の事項に加えて、取締役会の監督のもとで、常務執行役員を委員長とする事業開発会議、システム開発会議等を開催し、定期的に経営会議、取締役会にその実施結果を報告し、重要な事項の審議を行っています。

 

② 戦略

当社グループでは、知的資本を「卓越したビジネスモデル」「進化し続けるブランド」「事業展開を支えるケイパビリティ」の3つと定義しています。

当社グループは、創業以来培われてきた洞察力と緻密な実装力を活かした高付加価値サービスを提供しています。知的資本は、当社グループの競争力の源であり、独自の重要な要素です。知的資本の創出と蓄積によって個の力を組織力に昇華するとともに、時代を超えて知識・ノウハウを継承しています。こうした知的資本のマネジメントを通じて、当社グループは顧客との長期的な関係を続け、事業の成長を実現しています。

 

③ リスク管理

「(1) サステナビリティ共通 ③リスク管理」及び「3 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループ全般のリスク管理体制、管理方法の中で識別、評価、管理しています。

 

④ 指標及び目標

(1)サステナビリティ共通 ④指標及び目標」に記載のとおりです。

 

3【事業等のリスク】

当社グループの事業等において、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。

なお、これらは当年度末における事業等に関するリスクのうち代表的なものであり、実際に起こり得るリスクはこの限りではありません。また、本文中の将来に関する事項は、当年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 当社グループのリスク管理体制

当社グループ全般のリスク管理のため、リスク管理担当役員を任命するとともに、リスク管理統括部署として統合リスク管理室を設置しています。

統合リスク管理室は、リスク管理の枠組みの構築・整備、リスクの特定・評価・モニタリング及び管理態勢全般の整備等を実施しています。

リスク管理担当役員を委員長とする統合リスク管理会議を年2回開催し、リスク管理PDCAサイクルの評価やリスク対応策の審議等を行い、その結果を取締役会に報告しています。

 

(2) 当社グループのリスク管理方法

① リスクの設定

当社グループの業務遂行上発生しうるリスクを13項目に分類し、さらにリスク分類ごとにリスク項目を設定します。リスク項目は、定期的にリスクの主管部署が評価し、リスク項目・重要度・影響度の見直しを行っています。13のリスク分類のうち、年度ごとに、特に重要度が高いと認識するものを「リスク管理に関する重点テーマ」として統合リスク管理会議で選定しています。2024年3月期のリスク管理に関する重点テーマは下記のとおりです。

・稼働システムの品質リスクに対する適切なマネジメントの継続

・情報セキュリティ管理態勢の高度化

・プロジェクトリスクに対するマネジメントの徹底

・NRIグループの内部統制システムの定着

・事業継続責任を果たすための適切な備え

・多様な働き方に適応した労働環境の質の向上

 

② リスクの対策

リスク項目ごとに、リスク主管部署がリスク低減策を検討し実施します。リスク低減策はリスク管理統括部署に連携し、必要に応じて統合リスク管理会議で審議します。

 

③ モニタリング

リスク低減策の実施状況はリスク管理統括部署に連携し、定期的に統合リスク管理会議に報告し評価します。必要に応じて統合リスク管理会議で追加のリスク低減策の策定・実施を指示します。

 

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(3) 特に重要と認識するリスク

当社において特に重要と認識するリスクは、次のとおりです。これらのリスクは、「(2) 当社グループのリスク管理方法 ① リスクの設定」に記載した「リスク管理に関する重点テーマ」を基に選定しています。

① 品質に関するリスク

当社グループが開発する情報システムは、顧客の業務の重要な基盤となることが多く、完成後の安定稼働が重要であると考えています。特に金融サービス業のシステムについては、当社顧客のみでなく金融市場全体の信頼性に関わる場合もあり、その重要性を強く認識しています。

当社グループは、運用面での品質の向上に注力しており、ISO(国際標準化機構)27001に準拠した情報セキュリティマネジメントシステム及びISO20000に準拠したITサービスマネジメントシステムにより、運用サービスの品質の維持及び向上に継続的に努めています。また、金融サービス業のシステムについては重点的に管理状況等の点検を行うほか、万一障害が発生した場合の対応整備を進めています。

データセンターについては、経済・社会に不可欠なインフラであり、その重要性を強く認識しています。一層の安全確保に向けて運営体制を整備し、その運営の評価・検証を定期的に行っています。

また、顧客の業務プロセスを受託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスをはじめとしたアウトソーシング業務については、誤入力や誤送付などのオペレーションリスクが内在することを認識しており、より一層の管理体制の整備を進めています。

しかしながら、運用上の作業手順が遵守されないなどの人的ミスや機器・設備の故障、電力等のインフラの障害等により、顧客と合意した水準での安定稼働が実現できなかった場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があるほか、当社グループの信用を失う可能性があります。

 

② 情報セキュリティに関するリスク

インターネットがインフラとして定着し、あらゆる情報が瞬時に広まりやすい社会になっています。こうした技術の発展により、利用者の裾野が広がり利便性が増す一方で、サイバー攻撃等の外部からの不正アクセスによる情報漏洩のリスクが高まっており、情報セキュリティ管理が社会全般に厳しく問われるようになっています。特に情報サービス産業は、顧客の機密情報を扱う機会が多く、より高度な情報セキュリティ管理や社員教育の徹底が求められます。

マイナンバーを含む個人情報の管理においてはプライバシーマークの付与認定(個人情報保護マネジメントシステムの適合性認定)を受け、また、一部の事業について情報セキュリティマネジメントシステムの認証を取得し、機密情報の適切な管理を行っています。常に高度なセキュリティレベルを維持するため、システムによる入退館の管理や、パソコン・サーバー及びクラウドサービスのセキュリティ管理の徹底、個人情報保護に関する研修の実施等を行っています。特に、顧客の基幹システムの運用を行うデータセンターでは、X線検査装置による持込持出チェックなど、厳重な入退館管理システムを採用しています。さらに、事業活動のグローバル化に伴う海外子会社の増加に対して、情報セキュリティ関連規程の確認やアセスメントの実施など、当社グループ全体の統制強化に努めています。

このような取組みにもかかわらず、情報漏洩が発生した場合には、顧客等からの損害賠償請求や当社グループの信用失墜等により、業績が影響を受ける可能性があります。

 

③ プロジェクトに関するリスク

情報システムの開発は、原則として請負契約であり、納期までに情報システムを完成させ納品するという完成責任を負っていますが、顧客要請の高度化・複雑化や完成までの諸要件の変更等により、作業工数が当初の見積り以上に増加し、納期に遅延することがあります。また、引渡し後であっても性能改善を行うなど、契約完遂のため想定以上に作業が発生することがあります。特に複数年にわたる長期プロジェクトは、環境の変化や技術の変化に応じた諸要件の変更等が発生する可能性が高くなります。また、情報システムは重要な社会インフラであり、完成後の安定稼働に向け、開発段階からの品質管理、リスク管理が重要であると考えています。特に金融サービス業のシステムについては、当社顧客のみでなく金融市場全体の信頼性に関わる場合もあり、その重要性を強く認識しています。

当社グループは、教育研修等を通じプロジェクトマネージャーの管理能力の向上に努め、また、ISO9001に準拠した品質マネジメントシステムを整備するなど、受注前の見積り審査や受注後のプロジェクト管理を適切に行う体制を整えています。特に一定規模以上のプロジェクトは、システム開発会議など専用の審査体制を整え、プロジェクト計画から安定稼働まで進捗状況に応じたレビューの徹底を図っています。また、金融サービス業のシステムについては重点的にシステム開発プロセスの点検・改善を進めています。

しかしながら、作業工数の増加や納品後の性能改善等による追加費用が発生した場合には、最終的な採算が悪化する可能性があります。また、納期遅延やシステム障害等により顧客の業務に支障を来した場合には、損害賠償請求を受ける可能性があるほか、当社グループの信用を失う可能性があります。

④ グループガバナンスに関するリスク

当社グループは、将来の事業機会をにらみ各事業会社に出資しているほか、事業上の関係強化を図るため、取引先等に対して投資採算性等を考慮に入れつつ出資しています。また、グローバルの事業基盤拡大に向けM&Aや提携を進めています。

これらの実施に当たっては、対象となる企業の財務内容や事業について詳細な事前審査を行い、意思決定のために必要かつ十分な情報収集と検討を行った上で決定しています。グローバル戦略を推進していく体制として、北米、アジア及び豪州においては地域統括会社又は持株会社を設置し、主に買収子会社に対するガバナンス体制の強化を進めており、また、当社においては新たに設置したグローバル本社機構を中心にグローバル戦略の策定や執行を支援するとともに、買収子会社を含む海外子会社全般のガバナンスの強化を進めています。

しかしながら、M&Aや提携などの実施後に当社グループが認識していない問題が明らかになった場合や、期待した成果を上げられなかった場合には、のれんの減損処理を行う必要が生じるなど、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

⑤ 事業継続に関するリスク

事業活動のグローバル化やネットワーク化の進展に伴い、災害やシステム障害など万一の事態に想定される被害規模は大きくなってきており、危機管理体制の一層の強化が求められています。

当社グループは、新型コロナウイルス等の感染症、大規模地震・台風・水害等の自然災害、大規模災害、大規模障害、事業や業務遂行に関わる事件・事故が発生した場合に備えて、初動体制と行動指針をまとめたコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)を策定し、事前対策や訓練を重ね、より円滑な事業継続に向けた体制の構築や事業継続に必要なインフラの整備など、危機管理体制の整備・強化に取り組んでいます。当社グループが入居する主要オフィスは、事業を継続する上で高度防災機能を有しており、特に、東京本社、横浜総合センター及び大阪総合センターは、国内最高水準の高度防災機能を有しています。また、当社グループが保有するデータセンターはセキュリティ対策や耐震等の災害対策においても国内最高の水準にあり、関東地区と関西地区のデータセンターを連携した相互バックアップや機能分散など、広域災害への対策を整備しています。データセンター内にある当社グループの情報資産についてバックアップ体制の更なる強化を図るとともに、顧客から預かる情報資産については顧客と合意した水準に基づいて対策を進めています。

また、新型コロナウイルス感染拡大による出社率抑止や大規模自然災害等で出社不可となる事態においても業務遂行が可能となるよう、テレワーク環境での危機対応体制を構築しました。あわせて、事業継続計画の継続的な見直しを行っています。

しかしながら、一企業のコントロールを超える特別な事情や状況が発生し、業務の中断が不可避となった場合には、顧客と合意した水準でのサービス提供が困難となり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

⑥ 人材確保・育成に関するリスク

当社グループは、社員個々人の高い専門性こそが、高付加価値サービスを顧客に提供するための土台であると考えています。専門性を備えた人材を確保・育成し、十分に能力を発揮できる人事制度や労務環境を整備することが、当社グループが中長期的に成長するために必要であると認識しています。

当社グループは、人的資本の拡充を重視し、人材の確保・育成のための仕組み作りを進めています。人材確保については、優れた専門性を有した人材の採用に努め、また、ワークライフバランスを重視し、働き方や価値観の多様化に対応した人事制度の構築や労務環境の整備に取り組んでいます。人材育成については、各種資格の取得を支援する制度を設けているほか、教育研修の専用施設やオンラインで、DX(デジタルトランスフォーメーション)領域の新技術の習得をはじめとした多くの人材開発講座を開催しています。また、当社グループ独自の社内認定資格を用意するなど社員に自己研鑽を促しています。このような取組みにもかかわらず、顧客の高度な要請に的確に応え得る人材の確保・育成が想定どおり進まなかった場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、労務環境が悪化した場合には、社員の心身の健康が保てなくなり、労働生産性の低下や人材流出につながる可能性があります。

 

(4) 重要と認識するリスク

① 経営戦略に関するリスク

a. 運用サービス事業の安定性について

運用サービスの展開に際しては、データセンターに係る不動産や運用機器、ソフトウエア等の投資が必要であり、投資額の回収は顧客との運用サービス契約に基づき長期間にわたって行います。

運用サービスの契約は複数年にわたるものが多く、また単年契約であっても自動更新されることが多いため、売上高は比較的安定していると考えられます。さらに、当社グループは慎重な事業進捗管理と継続的な顧客の与信管理を行うことにより、投資額の回収に努めています。

しかしながら、運用サービスの売上高の安定性は将来にわたって保証されているわけではなく、顧客の経営統合や経営破綻、IT戦略の抜本的見直しなどにより、当社グループとの契約が更新されない可能性があります。

b. ソフトウエア投資について

当社グループは、製品販売、共同利用型サービス及びアウトソーシングサービス等の事業展開を図るため、ソフトウエア投資を行っています。多くの場合、ソフトウエアは特定用途別に設計するため、転用しにくい性質を持っており、投資に当たっては慎重な検討が求められます。

当社グループは、事業計画の妥当性を十分に検討した上でソフトウエアの開発に着手しています。また、開発途中及び完成後であっても、事業計画の進捗状況の定期的なチェックを行い必要に応じて速やかに事業計画を修正する社内体制を整えています。

しかしながら、投資の回収可能性は必ずしも保証されているわけではなく、資金回収ができずに損失を計上する可能性があります。

c. IT産業における技術革新について

情報サービス産業においては、情報技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化に迅速に対応することが求められています。

このような環境認識の下、当社グループは、情報技術に関する先端技術や基盤技術、生産・開発技術の調査・研究に、社内横断的な体制で取り組むことで、技術革新への迅速な対応に努めています。

しかしながら、広範な領域において技術革新が急速に進展し、その対応が遅れた場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

d. 他社との資本関係について

当年度末において、野村ホールディングス㈱が当社の議決権を22.5%保有(間接保有11.6%を含む。)しています。野村ホールディングス㈱による議決権行使が、当社の他の株主の利益と必ずしも一致しない可能性があります。

 

② コンプライアンスに関するリスク

a. 知的財産権について

情報システムやソフトウエアに関する知的財産権の重要性が増しています。

このような環境認識の下、当社グループは、情報システムの開発等に当たっては第三者の特許を侵害する可能性がないかを調査するとともに、教育研修等を通じて知的財産権に対する社員の意識向上に努めています。一方、知的財産は重要な経営資源であり、契約対応や産業財産権取得によって当社グループの知的財産権の保護にも努めています。

このような取組みにもかかわらず、当社グループの製品やサービスが第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償請求を受ける可能性があるほか、情報システムの使用差止請求を受けサービスを停止せざるを得なくなるなど、業務遂行に支障を来す可能性があります。また、第三者により当社グループの知的財産権が侵害される可能性があります。

b. 法令・規制について

当社グループは、事業活動を行う上で、国内外の法令及び規制の適用を受けています。また、近年、労働関係の法令については、より一層の法令遵守が求められています。当社グループでは、コンプライアンス体制の構築に加え、法令遵守の徹底及び労務環境の整備に努めています。

しかしながら、法令違反等が発生した場合、また新たな法規制が追加された場合には、当社グループの事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

 

③ パートナー会社に関するリスク

当社グループは、生産能力の拡大や生産性の向上及び外部企業の持つノウハウ活用等のため、外部企業に業務委託していますが、これらの多くは請負契約の下で行われています。

a. 良好な取引関係について

当年度において、生産実績に占める外注実績の割合は約5割であり、当社グループが事業を円滑に行うためには、優良なパートナー会社の確保と良好な取引関係の維持が必要不可欠になります。

当社グループは、定期的にパートナー会社の審査を実施するほか、国内外を問わずパートナー会社の新規開拓を行うなど、優良なパートナー会社の安定的な確保に努めています。また、特に専門性の高い業務ノウハウ等を持つパートナー会社である「eパートナー契約」締結先企業とのプロジェクト・リスクの共有や、パートナー会社に対するセキュリティ及び情報管理の徹底の要請など、パートナー会社も含めた生産性向上及び品質向上活動に努めています。

パートナー会社は、海外にも広がっており、オフショア(海外)企業への委託は外注実績の約2割を占めています。このため、役職員が海外のパートナー会社を定期的に訪問し、プロジェクトの状況確認を行うなど、協力体制の強化に努めています。

このような取組みにもかかわらず、優良なパートナー会社の確保や良好な取引関係の維持が実現できない場合には、事業を円滑に行うことができなくなる可能性があります。特に、海外のパートナー会社への委託については、日本とは異なる政治的、経済的、社会的要因により、予期せぬ事態が発生する可能性があります。

b. 請負業務について

請負契約の下で行われる業務委託に当たっては、労働関係法令に則った適切な対応が求められます。

当社グループは、請負業務に関するガイドラインを策定し全社的な問題意識の共有化・定着化を図り、また、パートナー会社を対象とした説明会を開催するなど、適正な業務委託の徹底に努めています。

このような取組みにもかかわらず、請負業務の趣旨から逸脱して業務が遂行され、偽装請負問題などが発生した場合には、当社グループの信用を失う可能性があります。

 

④ サステナビリティに関するリスク(気候変動・人権等)

サステナビリティに関するリスクは、上述の、品質に関するリスク、情報セキュリティに関するリスク、プロジェクトに関するリスク、グループガバナンスに関するリスク、事業継続に関するリスク、人材確保・育成に関するリスク、経営戦略に関するリスク、コンプライアンスに関するリスク、パートナー会社に関するリスクのほか、以下の気候変動・人権等に関するリスクが該当します。

近年、地球規模での社会課題の深刻化が進み、企業にはサプライチェーン全体での脱炭素化や自然資本・人権への配慮などが求められています。

気候変動問題では、再生可能エネルギーの活用など脱炭素化に向けた取組みが進展しています。一方、気候変動に関する将来動向は不確実性が高く、炭素税の影響及び再生可能エネルギー価格は政治及び技術的な取組状況に大きく左右されます。そのため、当社グループは「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の最終提言に基づき、気候変動による事業へのリスクと機会を特定するシナリオ分析を実施しています。また、気候変動への対応として、当社グループは、2031年3月期までにScope1+2の温室効果ガス排出量をネットゼロ(※1)、Scope3の温室効果ガス排出量を30%削減、再生可能エネルギー利用率を100%とし、2051年3月期までにScope1+2+3の温室効果ガス排出量をネットゼロ(※2)とするネットゼロ目標を掲げています(いずれも基準年は2020年3月期)。特に、データセンターにおける省エネルギー対策及び再生可能エネルギーの導入が重要と認識し、当年度末時点で当社グループが保有する3カ所全てのデータセンターは、国内最高水準の環境性能を備えるとともに、ISO14001に準拠した環境マネジメントシステムを導入しています。また、全てのデータセンターで使用する電力は、当年度末時点で全て再生可能エネルギー由来です。Scope3の排出量削減では、特に、開発パートナーにおける削減が重要と認識し、当年度より開発パートナーの環境目標策定を支援する活動を推進しています。しかしながら、目標とする再生可能エネルギーへの転換やScope3の温室効果ガス排出量削減への取組みが遅延した場合、あるいは気候変動に対する社会からの要請が急速に進展しその対応が遅れた場合、気候変動の物理的リスクや規制リスクの顕在化により、収益性が低下する可能性や、当社グループの社会的評価に影響を与える可能性があります。

また、自然資本については、2021年6月に「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」が設立され、2022年12月には国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されるなど、自然資本や生物多様性に対する取組みも急速に広がっています。当社グループは「生物多様性行動指針」を策定し、生物多様性の保全と生物資源の持続可能な利用の促進に向けた取組みを推進しています。また、現在TNFDの検討を支援する企業・団体等が集まった組織である「TNFDフォーラム」に参加しており、サプライチェーンを含む企業の自然資本及び生物多様性に関する財務的なリスクや機会の適切な評価・開示枠組みの構築に寄与することを目指します。これらの知見を活かし、今後TNFDのフレームワークを用いた自然関連のリスク・機会の特定に向け検討を進めていきます。しかしながら、自然資本や生物多様性に関する課題に適切に対応できなかった場合、気候変動等の物理的リスクや規制リスクの顕在化により、収益性が低下する可能性や、当社グループの社会的評価に影響を与える可能性があります。

また人権について、当社グループは、グローバルで従業員17,394人、パートナー会社約14,500人の事業規模に拡大しており、グローバルなサプライチェーンを含む人権課題への対応が不可欠となっています。当社グループでは、人権に関する活動内容や今後の方針を示した人権報告書の発行、AI倫理ガイドラインの策定などを行い、人権デューデリジェンスの実施など負の影響を低減させる取組みを進めています。情報サービス産業においては、事業活動で扱う個人情報は慎重な取扱いが必要となり、AI(人工知能)のシステム開発及び利活用では、人権を考慮した設計、運用が必要となります。しかしながら、これらの人権課題に対して適切な対応が取られない場合、また、AI等の技術を活用する際に適切な対応が取られない場合、訴訟等の発生や、当社グループの社会的評価及び事業継続に影響を与える可能性があります。

※1:Scope1+2の排出量を97%削減、残余排出量は中和化。なお、残余排出量とはネットゼロ目標の時点で当社グループのバリューチェーン内で削減できない排出量、中和化とはバリューチェーンの外で炭素除去技術等を活用し残余排出量を相殺することを指します。

※2:Scope1+2+3の排出量を90%削減、残余排出量は中和化。

 

⑤ 保有有価証券に関するリスク

当社グループは、顧客の主要事業への当社ソリューションの提供等を通じた事業開発や取引先やパートナーとの協力関係・提携関係等の維持・強化等を目的として株式を、また資金運用を目的として債券等を、保有しています。

これらの有価証券について、発行体の業績悪化や経営破綻等が発生した場合には、投資額を回収できないことがあります。また、経済環境、市場動向や発行体の業績動向等によって時価が変動するため、当社グループの財政状態に影響を与えます。

 

⑥ 退職給付に係る資産・負債に関するリスク

当社グループは、確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を設けています。退職給付に係る資産・負債は、確定給付制度債務と制度資産等の動向によって変動します。

確定給付制度債務については、従業員の動向、割引率等多くの仮定や見積りを用いた計算によって決定されており、その見直しによって大きく変動することがあります。制度資産については、金利動向等により変動します。また、年金制度を変更する場合、退職給付に係る資産・負債が影響を受ける可能性があります。

 

(5) その他

新型コロナウイルス感染症に関するリスク

新型コロナウイルス感染症に対する具体的な取組みとして、テレワーク(在宅勤務)の推進による出社率の抑止、会食の自粛、執務エリアの分散や再編成、AI機器導入による来訪者の健康状態の確認等の施策を実施し、役職員等の健康維持を図りました。また、社内で感染者及び感染疑いが発生した場合の報告体制や濃厚接触者の確認手順及び消毒等の対応手順を整備・実施しました。

危機管理会議事務局で検討・実施した内容については、定期的に経営会議や取締役会に報告・協議しました。

なお、新型コロナウイルス感染症により受注や生産等当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる懸念がありましたが、感染状況は低水準で推移していることや、2023年5月8日に感染症法上の位置づけが5類に移行されたことにより、当社グループへの影響は小さくなったと判断し、危機管理会議を中心とした特別対応体制を解除し平時の対応体制に戻しています。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する記載は、当年度末現在において当社が判断したものであり、当社としてその実現を約束するものではありません。

 

(1) 連結経営成績等の状況の概要

① 連結経営成績の状況

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月 1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月 1日

至 2023年3月31日)

前年度比

増減額

増減率

売上収益

611,634

692,165

80,531

13.2%

海外売上収益

76,519

123,207

46,687

61.0%

海外売上収益比率

12.5%

17.8%

5.3P

事業利益

102,881

110,032

7,150

7.0%

営業利益

106,218

111,832

5,613

5.3%

営業利益率

17.4%

16.2%

△1.2P

EBITDAマージン

23.9%

22.5%

△1.4P

税引前利益

104,671

108,499

3,827

3.7%

親会社の所有者に帰属する

当期利益

71,445

76,307

4,861

6.8%

ROE

(親会社所有者帰属持分当期利益率)

21.3%

20.7%

△0.6P

(注)1. 事業利益は、営業利益から一時的要因(のれん減損及び固定資産減損等)を除いたものであり、恒常的な事業の業績を測る利益指標です。

2. EBITDAマージン=EBITDA(営業利益+減価償却費+固定資産除却損±一時的要因)÷売上収益

 

当年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症対策や各種政策の効果により、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直しました。情報システム投資については、デジタル技術を活用したビジネスプロセス及びビジネスモデルの変革を行うDX(デジタルトランスフォーメーション)を中心に企業の投資需要が引き続き活況を呈しています。一方、世界的な金融引締め等が続く中で海外景気の下振れが国内景気に及ぼすリスクに加え、米国の銀行破綻を契機とした金融市場の混乱、急激な為替変動、物価の上昇やサプライチェーンの制約など先行き不透明な状況が続いています。また、今後の業績の変調によっては企業投資が絞られる可能性もあります。

このような環境の下、当社グループは、コンサルティングからシステム開発・運用まで一貫して提供できる総合力をもって事業活動に取り組みました。

当年度は、長期経営ビジョン「Vision2022」(2015年度~2022年度)の実現に向け策定した「NRIグループ中期経営計画(2019年度~2022年度)」(以下「中期経営計画2022」という。)の最終年度となり、より一層の生産性向上と既存事業の拡大に取り組むとともに、中期経営計画2022の成長戦略である(1)DX戦略、(2)グローバル戦略、(3)人材・リソース戦略の実現を推進しました。

(1) DX戦略:当社グループは、顧客のビジネスプロセス及びビジネスモデルの変革に対して、戦略策定からソリューションまで、テクノロジーを活用し、総合的に支援しています。

ビジネスプラットフォーム戦略においては、金融分野を中心に共同利用型サービスの拡大をさらに進めるとともに、業界構造の変化に合わせて異業種から金融業へ参入する顧客に向けては、新たなビジネスプラットフォームを提供することで、顧客の新事業創出や新市場進出の支援をしています。

クラウド戦略においては、顧客のレガシーシステムのモダナイゼーション(※1)やクラウドネイティブ(※2)のアプリケーション開発などを通じて、顧客のビジネスのアジリティ(機敏性)を高め、ITコストの最適化を実現しています。

(2) グローバル戦略:当社グループは、豪州と北米を主たる注力地域とし、M&Aなどによる外部成長を軸としたIPの獲得も含めた事業基盤の拡大を進めています。

M&Aにより取得した子会社については、さらなるシナジーの創出に向け、グローバル本社機構を中心に、経営管理制度や業務管理体制の構築など買収後の経営統合プロセスを進めています。

 

(3) 人材・リソース戦略:当社グループは、顧客のビジネスを成功に導くために、デジタル時代を支える人材の採用と育成を強化しています。また、社員が活躍・チャレンジできる風土の醸成とダイバーシティの推進を行うとともに多様な働き方を推進し、当社グループらしい働き方改革を実現しています。

 

当社グループの当年度の売上収益は、コンサルティングサービスを中心に全てのサービスで増加し、692,165百万円(前年度比13.2%増)となりました。売上原価は452,336百万円(同14.4%増)、売上総利益は239,829百万円(同11.0%増)、販売費及び一般管理費は131,580百万円(同15.9%増)となりました。良好な受注環境、生産活動を背景に収益が向上したことに加え、横浜野村ビルにおける信託受益権を売却したことに伴い固定資産売却益2,238百万円を計上し、営業利益は111,832百万円(同5.3%増)、営業利益率は16.2%(同1.2ポイント減)、EBITDAマージンは22.5%(同1.4ポイント減)となりました。

 

※1 レガシーシステムのモダナイゼーション:老朽化した基幹システムなどのソフトウエアやハードウエアのシステム基盤やアプリケーションを最適化、近代化を行う手法。

※2 クラウドネイティブ:クラウド上での利用を前提として設計された情報システムやサービス。

 

<株式の売出し>

当社は、当社株主2社による当社株式の売却意向を受け、当社株式の円滑な売却の機会を設定するため、2022年11月25日付の取締役会決議により株式の売出し及び第三者割当による自己株式の処分を決定しました。当社は、本売出しを通じて長期的な視点に立って当社の成長戦略に理解を示す株主層の拡大と、当社株式の市場流動性の向上を期待しています。本売出しは、2022年12月28日をもって全ての手続きが完了しました。なお、当年度において、株式の売出しに伴う第三者割当による自己株式の処分(5,545,200株、16,007百万円)を行いました。当社は、本売出し後も引き続き野村ホールディングス㈱の関連会社です。

 

<自己株式の取得>

2022年11月25日付の取締役会決議により、本売出しに伴う株式需給への影響を緩和し、既存株主への影響を軽減する観点から、自己株式の取得を決定しました。取得する株式の総数は8,000,000株(上限)(2022年9月30日時点の発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合1.35%)、株式の取得価額の総額は20,000百万円(上限)、取得期間は2022年12月23日から2023年3月31日までとし、取得の方法は自己株式取得に係る取引一任契約に基づく市場買付け(ただし、当社の各四半期決算発表日の翌営業日より10営業日の間は取得を行わない。)とし、当年度において、自己株式の取得(6,501,900株、19,999百万円)を行いました。

 

<自己株式の消却>

2023年3月10日開催の取締役会決議により、当社普通株式17,700,958株(消却前の発行済株式総数に対する割合 2.90%)を消却することを決議し、2023年3月31日に手続きが完了しました。

 

② 連結キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月 1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月 1日

至 2023年3月31日)

前年度比

増減額

増減率

営業活動によるキャッシュ・フロー

98,137

118,899

20,761

21.2%

投資活動によるキャッシュ・フロー

△130,547

△61,190

69,357

△53.1%

フリー・キャッシュ・フロー

△32,410

57,709

90,119

財務活動によるキャッシュ・フロー

△7,995

△44,921

△36,925

461.8%

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

△37,576

13,646

51,223

現金及び現金同等物の期末残高

115,610

129,257

13,646

11.8%

 

当年度末の現金及び現金同等物は、前年度末から13,646百万円増加し129,257百万円となりました。

営業活動による収入は、営業債権及びその他の債権が減少したこと等により、前年度と比べ20,761百万円増加し、118,899百万円となりました。

投資活動による支出は61,190百万円となり、前年度と比べ69,357百万円小さくなりました。前年度は、米国のConvergence Technologies, Inc.、豪州のSQA Holdco Pty Ltd及びAustralian Investment Exchange Limitedの株式取得により、子会社の取得による支出75,105百万円がありました。当年度の主な投資内容は、共同利用型システムの開発に伴う無形資産の取得でした。

財務活動による支出は44,921百万円となり、前年度と比べ、36,925百万円大きくなりました。前年度は、M&A及び自己株式取得の原資として借入れを実施したことで、短期借入金の純増減額(収入)53,425百万円がありました。また、取締役会決議に基づく自己株式の取得による支出59,999百万円がありました。当年度は、米国のConvergence Technologies, Inc.のM&A原資として前年度に借入れた資金の借換えを実施したこと等による短期借入金の純増減額(支出)65,048百万円及び長期借入れによる収入59,755百万円がありました。第9回、第10回及び第11回無担保社債の発行による収入64,807百万円及び第5回無担保社債の償還による支出25,000百万円がありました。また、取締役会決議に基づく自己株式の取得による支出19,999百万円及び自己株式の処分に伴う自己株式の売却による収入22,722百万円がありました。その他の支出の主な内容は、いずれの期も配当金の支払いです。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりです。

セグメントの名称

金額

(百万円)

前年度比

(%)

コンサルティング

24,843

13.4

金融ITソリューション

255,856

7.8

産業ITソリューション

184,882

15.0

IT基盤サービス

115,217

10.1

小 計

580,800

10.7

調整額

△129,180

451,620

13.0

(注)1. 金額は製造原価によっています。各セグメントの金額は、セグメント間の内部振替前の数値であり、調整額で内部振替高を消去しています。

2. 外注実績は次のとおりです。なお、外注実績の割合は、生産実績に対する割合を、中国企業への外注実績の割合は、総外注実績に対する割合を記載しています。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前年度比

(%)

 

金額

(百万円)

割合

(%)

金額

(百万円)

割合

(%)

外注実績

194,766

48.7

214,166

47.4

10.0

うち、中国企業への外注実績

36,730

18.9

37,436

17.5

1.9

 

② 受注実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの受注実績(外部顧客からの受注金額)は次のとおりです。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額

(百万円)

前年度比

(%)

金額

(百万円)

前年度比

(%)

コンサルティング

49,189

10.5

11,929

35.7

金融ITソリューション

342,201

7.9

212,716

7.2

産業ITソリューション

266,947

10.7

130,186

5.5

IT基盤サービス

53,781

19.2

21,283

19.6

712,120

9.9

376,116

8.0

(注)1. 金額は販売価格によっています。

2. 継続的な役務提供サービスや利用度数等に応じて料金をいただくサービスについては、各年度末時点で翌年度の売上見込額を受注額に計上しています。

3. 受注高は、従前は期首受注残高より生じる為替変動影響を含んでいましたが、当該影響を含めない方法に変更しています。なお、前年同期比は、遡及修正後の数値に基づき計算しています。

 

③ 販売実績

a. セグメント別販売実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの外部顧客への売上収益は次のとおりです。

セグメントの名称

金額

(百万円)

前年度比

(%)

コンサルティング

46,100

7.7

金融ITソリューション

328,576

8.2

産業ITソリューション

267,190

20.0

IT基盤サービス

50,298

18.0

692,165

13.2

 

b. 主な相手先別販売実績

前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の売上収益及び当該売上収益の連結売上収益に対する割合は次のとおりです。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前年度比

(%)

金額

(百万円)

割合

(%)

金額

(百万円)

割合

(%)

野村ホールディングス㈱

63,025

10.3

72,921

10.5

15.7

(注) 相手先別の売上収益には、相手先の子会社に販売したもの及びリース会社等を経由して販売したものを含めています。

 

c. サービス別販売実績

当連結会計年度におけるサービスごとの外部顧客への売上収益は次のとおりです。

サービスの名称

金額

(百万円)

前年度比

(%)

コンサルティングサービス

156,582

24.8

開発・製品販売

211,512

7.9

運用サービス

292,874

7.3

商品販売

31,195

80.6

692,165

13.2

 

(3) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容

① 当年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させていくことを経営の目標としています。経営指標としては、事業の収益力を表す営業利益及び営業キャッシュ・フローを重視し、これらの拡大を目指しています。また、資本効率の観点からROEを重視し、持続的な株主価値の向上に努めています。

当年度におけるこれらの指標は、営業利益は111,832百万円(前年度比5.3%増)、EBITDAマージンは22.5%(同1.4ポイント減)、ROEは20.7%(同0.6ポイント減)となりました。

 

当社グループは、長期経営ビジョンVision2022の実現に向け、2019年4月に中期経営計画2022(※1)を策定しました。中期経営計画2022における財務数値目標(連結)及び進捗状況は次のとおりです。

 

中期経営計画2022(2020年3月期~2023年3月期)

(単位:百万円)

 

実績

中期経営計画2022

 

2023年3月期

2023年3月期(目標)

 

売上収益

692,165

670,000以上

 

海外売上収益

123,207

100,000

 

営業利益

営業利益率

111,832

16.2%

100,000

14%以上

 

EBITDAマージン

22.5%

20%以上

 

ROE(親会社所有者帰属

持分当期利益率)

20.7%

14%

 

※1 中期経営計画2022の詳細については、当社が2019年4月25日付で公表した「『NRIグループ中期経営計画(2019-2022)』説明会資料」をご参照下さい。

 

また、長期経営ビジョンV2030の実現に向け、2023年4月に中計2025(※1)を策定しました。中計2025における主な財務数値目標(連結)は次のとおりです。

 

中計2025(2024年3月期~2026年3月期)

(単位:百万円)

 

実績

中計2025

 

2023年3月期

2026年3月期(目標)

 

売上収益

692,165

 810,000

 

海外売上収益

123,207

150,000

 

営業利益

営業利益率

111,832

16.2%

145,000

17.9%

 

ROE(親会社所有者帰属

持分当期利益率)

20.7%

20%以上

 

※1 中計2025の詳細については、当社が2023年4月27日付で公表した「NRIグループ中期経営計画(2023-2025)を策定」(適時開示資料)及び「1. 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略」をご参照下さい。

※2 2026年3月期(目標)は、M&Aを含んでいません。

b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営成績等に特に影響を与える大きな要因としては、情報技術動向、市場動向、品質及び事業継続に対する取組みなどがあります。

情報技術動向については、クラウド、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの新しいデジタル技術が次々に登場し、従来の技術、手法では対応できないテーマが増えています。当社グループは、情報技術に関する先端技術や基盤技術、生産・開発技術の調査・研究に、社内横断的な体制で取り組むことで、技術革新への迅速な対応に努めています。

市場動向については、他業種からの新規参入や海外企業の台頭、パッケージ製品やクラウドサービスの普及などが進んでおり、IT産業は厳しい競争の環境下にあります。また、デジタルを活用してビジネスモデルを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速しています。顧客のDXに対する取組みを実現するためには、顧客のビジネスを深く理解していなければ実現することが出来ません。当社グループは、様々な業界や業務プロセスに精通したコンサルタントと、実用性までを考慮して最新のITを駆使できるシステムエンジニアという2つの人的資本があり、顧客のDXの取組みの拡大において、大きな競争優位性があると考えています。

品質及び事業継続に対する取組みについては、複数のデータセンターを保有し、社会インフラとしての情報システムを担う責任に加え、不測の不採算案件が発生した場合の業績への影響もあることから、当社グループの事業活動の根幹として特に重視しています。品質監理を専門とする組織を中心に、受注前の見積り審査や受注後のプロジェクト管理を適切に行う体制を整えていることに加え、一定規模以上のプロジェクトは、システム開発会議など専用の審査体制を整え、プロジェクト計画から安定稼動まで進捗状況に応じたレビューの徹底を図り、不測の不採算案件の発生防止に取り組んでいます。災害やシステム障害などの事業継続に対しては、大規模災害、大規模障害などの発生に備えて、初動体制と行動指針をまとめたコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)を策定し、事前対策や訓練を重ね、より円滑な事業継続に向けた体制の構築や事業計画に必要なインフラの整備など、危機管理体制の整備・強化に取り組んでいます。

 

c. 経営成績

当年度の連結経営成績は、「(1)連結経営成績等の状況の概要 ①連結経営成績の状況」をご覧ください。

当年度のセグメントごとの経営成績(売上収益には内部売上収益を含む。)は、次のとおりです。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月 1日

 至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月 1日

 至 2023年3月31日)

 前年度比

 増減額

 増減率

コンサルティング

売上収益

44,414

47,821

3,407

7.7%

営業利益

12,820

12,329

△490

△3.8%

営業利益率

28.9%

25.8%

△3.1P

金融ITソリューション

売上収益

308,376

334,141

25,765

8.4%

営業利益

43,877

49,710

5,832

13.3%

営業利益率

14.2%

14.9%

0.6P

産業ITソリューション

売上収益

229,921

276,031

46,110

20.1%

営業利益

25,449

24,429

△1,019

△4.0%

営業利益率

11.1%

8.9%

△2.2P

IT基盤サービス

売上収益

157,598

169,840

12,242

7.8%

営業利益

20,955

23,346

2,391

11.4%

営業利益率

13.3%

13.7%

0.4P

調整額

売上収益

△128,676

△135,669

△6,993

営業利益

3,116

2,015

△1,100

売上収益

611,634

692,165

80,531

13.2%

営業利益

106,218

111,832

5,613

5.3%

営業利益率

17.4%

16.2%

△1.2P

 

(コンサルティング)

当セグメントは、政策提言や戦略コンサルティング、業務改革をサポートする業務コンサルティング、ITマネジメント全般にわたるシステムコンサルティングを提供しています。

コロナ禍をうけて顧客の経営環境が急速に変化している中、デジタル技術を活用した企業変革が加速しています。また、脱炭素等の社会課題の解決を経営戦略に取り入れる企業が増加しており、具体的な成果につながる実行支援型のコンサルティングサービスによる社会課題解決が期待されています。

当セグメントは、顧客のDXを支援するコンサルティングを強化し、顧客ニーズへの的確な対応に努めるとともに、グローバル領域においては、これまでの顧客基盤を維持強化しながら欧米等の先進国におけるサービス拡大に努めました。また、脱炭素等の社会課題の解決を起点にした新たなコンサルティングサービスの創出に向けた取組みを行いました。

当年度の売上収益は、前年度に引き続きDX関連や社会課題案件のコンサルティングが好調に推移し、47,821百万円(前年度比7.7%増)となりました。営業利益は、国内のDX関連や社会課題案件が活況であったものの、海外の収益性悪化により、12,329百万円(同3.8%減)となりました。

 

(金融ITソリューション)

当セグメントは、主に証券業や保険業、銀行業等の金融業顧客向けに、システムコンサルティング、システム開発及び運用サービス、共同利用型システム等のITソリューションやBPОサービスを提供しています。

社会における高齢化の一層の進展、異業種からの金融業への新規参入やデジタルアセットの拡大、低金利の継続及び人口減少による国内市場の縮小など、金融業を取り巻く環境は大きな構造変化を迎えています。また、顧客におけるデジタル化やビジネスモデル変革のニーズも急速に高まっています。

当セグメントは、これらの環境変化に対応し、顧客の新規事業や新サービスの創出を支援するため、新たな金融ビジネスプラットフォームの創出と拡大、マイナンバー等のデジタルガバメント政策に資する新たなDXビジネスの推進、金融グローバル事業の安定稼働と事業拡大に努めました。

当年度の売上収益は、証券業向け開発・製品販売及び運用サービス、銀行業向け開発・製品販売が増加し、334,141百万円(前年度比8.4%増)となりました。営業利益は、海外の収益性悪化があったものの、良好な受注環境や生産活動等により収益性が向上し、49,710百万円(同13.3%増)となりました。

 

(産業ITソリューション)

当セグメントは、流通業、製造業、サービス業や公共向けに、システムコンサルティング、システム開発及び運用サービス等のITソリューションを提供しています。

産業分野の顧客におけるDXの取組みは、既存のビジネスモデルの効率化や高度化のみならず、コロナ禍を経てデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルを創造する領域にも広がっています。

当セグメントは、DXビジネスの領域で顧客や業界を問わず活用可能なデジタルIPの開発に注力し、顧客のビジネスモデルの創出からシステム構築や運用の高度化まで総合的に支援しました。また、グローバル事業では、豪州は買収子会社間の連携強化・機能統合により、北米は買収子会社を中核としたオーガニック成長に加え、地域拡大・ケイパビリティ強化に資するM&Aにより、さらなる事業拡大と持続的な価値向上を目指しています。

当年度に、ASG Group Limitedのブランドを“NRI”に統合し、社名を「NRI Australia Limited」に変更しました。この度の社名変更により、豪州IT市場におけるNRIブランドの浸透を促進するとともに、豪州内の各事業会社がNRIというブランドのもと一体となり、より一層、事業連携、融合を進め、NRIグループのグローバル事業の柱として着実に成長することを目指します。

当年度の売上収益は、豪州事業の成長や前年度に買収した北米子会社の連結影響が寄与し、276,031百万円(前年度比20.1%増)となりました。営業利益は、豪州事業で収益改善がみられたものの、海外子会社の連結に伴い識別した無形資産の償却費影響等により、24,429百万円(同4.0%減)となりました。

 

(IT基盤サービス)

当セグメントは、主に金融ITソリューション部門及び産業ITソリューション部門を通じて、データセンターの運営管理やIT基盤・ネットワーク構築等のサービスを提供しています。また、様々な業種の顧客に対してIT基盤ソリューションや情報セキュリティサービスを提供しています。このほか、ITソリューションに係る新事業・新商品の開発に向けた実験的な取組みや先端的な情報技術等に関する調査、研究を行っています。

DX時代のシステム開発は、新たな開発手法や、よりスピーディーな開発が求められるとともに、AI(人工知能)やブロックチェーンなどの新しいデジタル技術の活用も必要となります。クラウド領域においては、多様化・複雑化するシステム基盤を高い品質で総合的に運用していくことが必要となります。また、近年ではサイバー攻撃が多様化・進化しており、顧客のDXの要となるクラウドサービスの導入・活用を安全安心に実施するために、サイバーセキュリティ対策の重要性が高まっています。

当セグメントは、これらの環境変化に対応し、DX時代のシステム開発手法や生産革新ツールの開発を行うとともに、マルチクラウドサービス(※1)及びマネージドサービス(※2)の拡大、ゼロトラスト(※3)事業やマネージドセキュリティサービス(※4)の推進に取り組みました。

当年度の外部顧客に対する売上収益は、オフィスの生産性向上に貢献するDWP(デジタルワークプレイス)事業やセキュリティ事業で増加し、内部売上収益はDWP事業が増加しました。この結果、売上収益169,840百万円(前年度比7.8%増)、営業利益23,346百万円(同11.4%増)となりました。

 

※1 マルチクラウドサービス:複数のクラウド基盤を組み合わせて、一元的に管理するサービス。

※2 マネージドサービス:顧客のIT部門に代わり、システム全体を最適化して総合的に支援するサービス。

※3 ゼロトラスト:ネットワークの内部と外部を区別することなく、守るべき情報資産やシステムにアクセスするものは全て検証するというセキュリティの新たな考え方。

※4 マネージドセキュリティサービス(MSS):企業や組織の情報セキュリティシステムの運用管理を、社外のセキュリティ専門企業などがトータルに請け負うサービス。

 

d. 財政状態

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

前年度末比

増減額

増減率

流動資産

333,645

349,102

15,456

4.6%

非流動資産

456,010

489,122

33,111

7.3%

資産合計

789,655

838,224

48,568

6.2%

流動負債

298,342

198,247

△100,094

△33.6%

非流動負債

148,826

237,570

88,743

59.6%

資本合計

342,486

402,406

59,919

17.5%

親会社の所有者に帰属する持分

339,360

399,006

59,645

17.6%

親会社所有者帰属持分比率

43.0%

47.6%

4.6P

有利子負債

209,627

205,823

△3,803

△1.8%

グロスD/Eレシオ(倍)

0.62

0.52

△0.10

ネットD/Eレシオ(倍)

0.27

0.19

△0.08

(注)1. グロスD/Eレシオ(グロス・デット・エクイティ・レシオ(負債資本倍率)):有利子負債÷親会社の所有者に帰属する持分

2. ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ(正味負債資本倍率)):(有利子負債-現金及び現金同等物等)÷親会社の所有者に帰属する持分

3. 有利子負債:社債及び借入金+その他有利子負債(信用取引借入金及び有価証券担保借入金)

   信用取引借入金(前連結会計年度末608百万円、当連結会計年度末1,284百万円)は、連結財政状態計算書上の営業債務及びその他の債務に、有価証券担保借入金(前連結会計年度末802百万円、当連結会計年度末1,578百万円)は、連結財政状態計算書上のその他の流動負債に含めています。

4. 現金及び現金同等物等:現金及び現金同等物+資金運用目的投資

 

当年度末において、流動資産349,102百万円(前年度末比4.6%増)、非流動資産489,122百万円(同7.3%増)、流動負債198,247百万円(同33.6%減)、非流動負債237,570百万円(同59.6%増)、資本合計402,406百万円(同17.5%増)となり、資産合計は838,224百万円(同6.2%増)となりました。また、当年度末におけるグロスD/Eレシオ(グロス・デット・エクイティ・レシオ)は、0.52倍、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は、0.19倍となっています。

前年度末と比べ増減した主な内容は、次のとおりです。

営業債権及びその他の債権は4,086百万円減少し131,592百万円、契約資産は5,314百万円増加し55,980百万円となりました。

のれん及び無形資産は、国内における共同利用型システムの開発に伴う無形資産の取得等により、26,539百万円増加し237,283百万円となりました。

社債及び借入金は、第9回、第10回及び第11回無担保社債を発行した一方、第5回無担保社債を償還したこと等により、5,254百万円減少し202,961百万円となりました。

このほか、現金及び現金同等物が13,646百万円増加の129,257百万円、営業債務及びその他の債務が1,880百万円増加の55,681百万円、未払法人所得税が7,554百万円減少の13,093百万円となりました。

 

e. キャッシュ・フローの状況

「(1) 連結経営成績等の状況の概要 ② 連結キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。

 

f. 当社グループの資本の財源及び資金の流動性

当社グループは社会インフラとしての情報システムを担う社会的責任から、不測の事態が発生した場合でもサービス提供を継続するため、比較的厚めの自己資金を保持する方針としています。

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、コンサルティングやシステム開発を担う従業員の労務費及びパートナー会社に対する外注費のほか、事業活動を支える不動産費や販売費及び一般管理費などがあります。投資資金需要としては、共同利用型サービスやアウトソーシングサービスを提供するためのデータセンターの建設やサービス提供用機器、自社利用ソフトウエアの開発費用に加え、事業拡大のためのM&A資金などがあります。

当社グループはこれらの資金需要に対して、事業の継続的な拡大を背景に、安定的にキャッシュ・フローを創出しており、事業運営上必要な資金は、自己資金でまかなうことを基本としています。毎期のソフトウエア投資など事業運営で必要な設備投資資金については、減価償却費の範囲内で行うことを基本としていますが、M&Aをはじめとした中長期的な投資資金については、資本と負債のバランスなどの財務健全性や資金調達手段の多様化を考慮し、社債や借入れによる負債を一定以上活用した資金調達を行う方針としています。マーケットとの対話を意識し、ネットD/Eレシオ(ネットデット・エクイティ・レシオ)は0.5倍を上限としています。当年度末における有利子負債の残高は205,823百万円(前年度末比1.8%減)、現金及び現金同等物等の残高は131,235百万円(同11.8%増)、グロスD/Eレシオは0.52倍、ネットD/Eレシオは0.19倍となっています。

また、当社グループは、事業内容及び財務状況について第三者から客観的な評価を得ることで、経営の透明性と対外的な信用力を高めるとともに、事業機会に即した資金調達手段の多様化、資金調達の安定性向上に努めており、高い信用格付の維持を目指しています。本有価証券報告書提出日現在において、㈱格付投資情報センターより「AA-」の格付を、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱より「A」の格付を取得しています。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しています。その作成にあたり、経営者は会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の計上額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行っています。これらの見積りや仮定は、過去の実績や現在の状況などを勘案し合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積り及び仮定と異なる可能性があります。

なお、当社の連結財務諸表で採用する会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4. 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、次の3つの領域において研究開発を行っています。

1. 新規事業・新商品開発に向けた研究並びに事業性調査、プロトタイプ開発、実証実験

2. 情報技術に関する先端技術、基盤技術、生産・開発技術の研究

3. 新しい社会システムに関する調査・研究

研究開発は、当社グループの技術開発を担う生産革新センター、及び政策提言・先端的研究機能を担う未来創発センターにおいて定常的に取り組んでいるほか、各事業部門においても、中長期的な視点に立った事業開発・新商品開発に取り組んでおり、必要に応じ社内横断的な協業体制の下で進めています。研究開発戦略を提起するとともに全社的な視点から取り組むべき研究開発プロジェクトを選定する場として、研究開発委員会を設置しており、立案から成果活用に至るまでプロジェクトの審査・推進支援を行っています。

当年度における研究開発費は4,908百万円であり、セグメントごとの主な研究開発活動は次のとおりです。

 

(コンサルティング)

当社は、永年の社会・産業分野における調査研究活動を基礎として、かねてより日本が抱える社会課題に関する調査研究・提言を行っています。

近年は、政府や地方公共団体のDX化推進に係る提言、子育て支援、少子高齢化対応などを中心とした雇用・労働政策に関する提言等を行ってきました。

また、昨年度からの継続研究テーマとして、中長期的な国家レベルの課題であるカーボンニュートラルやゼロエミッションに係る取組みを実施し、2023年3月期はソリューション構築を視野に入れ、技術検証やノウハウ構築、情報発信等を実施しました。

労働人口減少やEC拡大などにより負荷が高まっている物流インフラについては、共同配送を支える仕組みやソリューションの研究などを実施しました。

当年度における当セグメントに係る研究開発費は1,492百万円でした。

 

(金融ITソリューション)

個人認証の手段として活用される領域が拡大するなど、社会インフラとして重要度が高まっているマイナンバーについて、引き続き、利便性向上やセキュリティ強化などを中心に調査研究を実施しました。マイナンバーの制度設計段階から参画してきた知見と、政府や民間企業向けにサービス提供を行ってきた経験を踏まえ、社会インフラとしての責任を果たすべく、さらなるソリューションの高度化を図ってきました。

金融機関においては、経済・金融環境、社会環境の変化への対応力を高めるため、かねてより非金融分野での収益力強化を模索しています。制度改正により銀行業の広告事業への参入が可能となったことから、これらに対応するサービスの研究、企画を実施しました。取引先企業等から広告を受託する事業に参入する際、必要となるデータの分析や広告営業、広告運営などを支援するサービスの提供を企図しています。

また、ブロックチェーン技術の社会への浸透は着実に進んでおり、公共・民間を問わず、多様な活用場面が想定される環境となっています。2023年3月期は規制法が成立したステーブルコイン(※1)などを中心に調査研究を進めてきました。

当年度における当セグメントに係る研究開発費は1,675百万円でした。

 

(産業ITソリューション)

販売チャネルとしてのECの重要性は引き続き高まっている状況に加えて、自社サイトの活用やSNS等も含めたデジタルマーケティングの影響も大きくなっています。これらの状況を踏まえ、マーケティング戦略策定、サービスデザイン、システム構築、プロモーション施策などデジタルマーケティングに係るソリューションを一貫して提供可能な体制を構築するため、ノウハウの収集・蓄積・共有、人材育成、ソリューション開発等を実施しました。

インフラの老朽化が社会課題となる中、これらの効率的な修繕、運営管理が求められています。工事・整備に関する業務のデジタル化を進めるために、研究、ソリューション開発を実施しました。

当年度における当セグメントに係る研究開発費は1,009百万円でした。

 

(IT基盤サービス)

チャット形式で利用できるテキストベースのAIがマスメディア等で話題になるなど、AI技術が広範に活用される機運が高まっています。昨年度までの研究成果を踏まえて、引き続き、機械学習、音声認識、画像認識などの技術研究及びこれらを活用したソリューション開発を実施しました。

需要が拡大しているデータアナリティクス領域について、ノウハウ獲得、共有、人材育成などについて昨年度までの取り組みをより発展・深化させ、ニーズを先取りする体制構築、技術獲得を図りました。

また、社会全体に大きな変容を促す可能性がある、ブロックチェーン技術を基盤としたWeb3.0(※2)関連技術について、調査研究を行いました。併せて昨年度より引き続き暗号資産(※3)、NFT(※4)、メタバース(※5)などの要素技術について研究開発を実施しました。

当年度における当セグメントに係る研究開発費は731百万円でした。

 

※1:ステーブルコイン:価格が法定通貨(円、米ドル等)、または市場で取引されるコモディティ(金、銀、原油等)などと連動するよう設計されている暗号通貨。

※2:Web3.0:ブロックチェーン技術を用いることでインターネットがさらに分散化の度合いを強めた姿を指す言葉。データの所有や信頼性担保、決済処理などのインターネット上のコンテンツ運用の仕組み自体が利用者側に分散化されることで、非中央集権型の新しいエコシステムが創出できる。

※3:暗号資産:インターネットを通じて不特定多数の間で商品等の対価として使用できるもの。銀行等の第三者を介することなく、財産的価値をやり取りすることが可能な仕組み。代表的な暗号資産は、ビットコインやイーサリアムなど。

※4:NFT:Non-Fungible Token、非代替性トークンのこと。ブロックチェーンを基盤にして作成された代替不可能なデジタルデータを指す。

※5:メタバース:インターネット上の3次元で構成された仮想空間。