第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社は経営理念として、①地域社会に対する貢献、②企業の持続的成長を目指す、③人的資源の尊重を掲げております。

 

(2)経営環境及び経営方針・戦略等

◆当社グループを取り巻く経営環境

当連結会計年度における我が国の経済は、ポストコロナ社会への移行による経済活動の正常化や原材料供給制約の緩和により、景気は緩やかに持ち直しました。エネルギーの分野では、2015年のパリ協定(COP21)を契機としてカーボンニュートラルの動きが急速に拡がる中、コロナ禍からのリバウンド、ロシアによるウクライナ侵攻により、グローバル規模でサプライチェーンが混乱し、エネルギー原料価格は記録的なレベルでの高騰が続きました。加えて、米中対立といった世界の分断の深化による従来の国際秩序の崩壊、ブロックチェーン技術を基礎としたNFT、スマートコントラクト、Web3.0等のテックの革新的進化は、既存の中央集権型社会システムを分散型へと変容させつつあり、経営環境は、新しい時代へのターニングポイントにあると考えています。

 

◆エネルギー業界に対する当社の認識

地球温暖化という未曾有の危機、天災の発生増加や激甚化、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などを踏まえた社会情勢は、上流から下流までの一貫して安定したエネルギー供給が当然のものではなくなったことを明らかにしました。大きく変化する経営環境のもと、お客さまや地域社会がエネルギー会社に求める価値はエネルギーの最適利用に移り、必要とされるのは、①再生可能エネルギーや蓄電池(EV等)の利用を前提としながら災害時でもエネルギーを強靭に自律的に供給できるレジリエントな分散型のエネルギーシステムの構築、そして②エネルギー業界のインフラや機能(営業・保安・システム・人材)などを共通化し、業界のオペレーション最適化に向けた、エネルギーインフラ・システムの共同利用(=プラットフォーム化)と考えております。

 


 

 

◆事業モデルの進化 "NICIGAS3.0" と新たな価値提供

 この課題に対し当社グループは、従来のガスや電気を仕入れて販売するという総合エネルギー事業を進化させ、①お客さまと②エネルギー業界のそれぞれに、新たな価値を提供し、成長させてまいります("NICIGAS3.0")。

①電気とガスをセットでお客さまに提供することを前提に、太陽光発電設備、蓄電池としてのEVやハイブリッド給湯器、EV充電設備などの分散型エネルギー(DER)を普及させ、各家庭のスマートハウス化を推進し、その上で広く地域社会に対して最適なエネルギー利用を実現する「エネルギーソリューション」を提供します。需要側の自律分散型エネルギーマネジメント(ソリューション事業)をいち早く実現。既存の中央集中型エネルギーインフラを補完する役割を担い、小売事業を強化・深化させて収益基盤を拡大してまいります。

②エネルギー業界に向けては,当社の高効率なオペレーションを他社と共同利用する環境を構築し、業界全体でのシェアリング(プラットフォームの利用)を進めます。設備・サービス・インフラ・システムの共同利用でエネルギー業界全体のインフラの最適化を図りながら、プラットフォーム事業収益を拡大いたします。

 

◆組織再編

この事業モデルの進化を踏まえ、当社グループは、近未来の地域社会の姿を想定し、お客さま(=需要家)側の視点で新たなエネルギーの在り方を実現することを目的として、当社及びグループ都市ガス3社(当社完全子会社)を統合し、その上で「総合エネルギー小売会社」と「エネルギープラットフォーム会社」の2つに分ける組織再編を実施することを決定いたしました。具体的には、①当社が、会社分割により子会社3社(東彩ガス、東日本ガス、北日本ガス)のエネルギー小売事業を承継するとともに、②当社、東日本ガス、北日本ガスのガス導管事業等を東彩ガスが会社分割及び吸収合併により承継するものです。(効力発生日:2024年1月1日) 

 


 

 

◆3ヶ年計画

LPガスと電気の顧客基盤を拡大する利益成長に加え、今後本格化させるエネルギー・ソリューション事業とプラットフォーム事業の成長を実現する、3ヶ年計画を発表しました。
顧客基盤の拡大に加え、1件当たり営業利益を追求、DXで全体の販管費の伸びを抑制し、2026年3月期に営業利益220億円、純利益150億円、ROE22%を達成する計画です。

 


◆資本政策

当社は、資本政策とは、株主資本の効率性を最大化するために行う能動的な戦略と位置付けています。そしてその効率性を端的に表す指標であるROEを財務上の最重要KPIと設定し、これを高めることを経営の重要課題をしております。なぜならROEが株主の皆さまにとっての投資利回りであり、経営にとってはお預かりした株主資本をどれくらいの効率で増やせたかを表す指標と認識しているからです。投下資本利益率(ROIC)の向上に努めながら、「不要な株主資本はお預かりしない」資本政策を徹底することで、ROEの向上を追求します


 

ROE向上には、バランスシートの能動的なコントロールが最重要事項となります。

資産(の運用)サイドでは、これまでと同じように全体の資産規模を大きく増やさず、収益性の高いLPガスの商圏買収やICT投資、次世代投資等の「高収益資産」を積み増し、資産全体の収益性(ROIC)を高めてまいります。

また、調達サイドにおきましても、適正自己資本比率を設定し、この水準を超える株主資本(不要な資本)を株主の皆さまからお預かりせずコントロールすることで、ROICの向上をダイレクトにROEにつなげております。今年度は、グループ再編で将来の企業体の在り方を定める中で、有利子負債の調達能力を検証し、最適な自己資本比率を見直しました。従来設定しておりました同比率を45%~50%(23年3月期は48%)から26年3月期までに40%まで引き下げ、最適化してまいります。


 

当社は、キャッシュフローの配分では、高収益資産への成長投資を重視しながら、株主さまに対して高いレベルで還元することの二つを両立させております。24年3月期から26年3月期の3年間のキャッシュ-イン(営業キャッシュフローと借入によるキャッシュの獲得)として、860億円を見込んでおりますが、このキャッシュから、成長投資に385億、株主さまへの還元に475億を振り向ける方針です。

 


 

 

 

還元につきましては、20年3月期以降、総還元性向は100%程度の水準を続けております。これは、積極的な投資を行いながらも不要な資産を売却、資産を圧縮して資産全体の規模を抑えているため、株主資本を積み増す必要がないからです。24年3月期から26年3月期までの3年間につきましても、利益からの総還元100%を計画しております。また、同期間には、自己資本比率を40%に最適化する還元も計画しており、実質的な総還元は100%超を想定、還元の方法については、株主の方々のご意向を反映し、配当の割合を高める方針です。

 

 


 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

気候変動、人的資本、多様性などのサステナビリティへの取り組みは、中長期の企業価値向上の前提と考えております。当社はこれらの取り組みについて、統合報告書などで情報開示を進めております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 当社の使命はエネルギーを通じた「地域社会への貢献」であり、この実現には時代に合ったエネルギーを提供する必要があります。当社は消費者がエネルギーを作り、コミュニティの中で融通し合い、地域社会の中でエネルギーを最適利用する世の中を見据え、新たなエネルギー環境の中でお客さま側(需要側)からのアプローチでエネルギーの需給バランスという社会課題を解決し、新たなエネルギー価値を提供していく方針です。各家庭、地域コミュニティに対して最適なエネルギー利用を提案するエネルギーソリューションへと事業を進化させるとともに、DXによる高効率な自社のインフラをプラットフォームとして業界全体でシェアリングし、中長期的な企業価値向上とCO₂削減を実現してまいります。

 

 <ガバナンス体制>

 サステナビリティ、即ち企業が持続的に成長していくためには、短期的な利益のならず、環境、社会といった当社を取り囲む広範なステークホルダーとの共栄、その点も含めたガバナンス体制の構築が欠かせないものと認識しております。当社は取締役会の諮問機関としてESG経営推進委員会を設置し、ESG経営の観点を重視した議論ができる体制を整えております。

 


 

<リスク管理体制>

 当社は、リスクとは、事業を運営することで直面する不確実性と認識しています。経営としてその不確実性を把握し、考え得る最も適切な手段でリスクに対処するため、グループリスク管理委員会を設置、そのリスクを発生頻度と重要度合の二つの観点からマッピングし、本当に重要なリスクの把握を進めております。その上で、マイナスの影響を与えるリスクには適切な対策を講じ、プラスの機会には機動的な意思決定を行うことで新たな収益源創出を図っております。中長期的に事業や業績に影響を与え得る課題については、ESG経営推進委員会(取締役会の諮問委員会)でトピックを絞った議論を行った上で、取締役会にてマテリアリティとして項目を特定、全社対応方針を議論・決定しております。

 

(2) 重要なサステナビリティ項目

 

① 気候変動への対応
 当社は地球温暖化や災害激甚化などの気候変動に対応することは、中長期的な企業価値向上に影響を与える重要な課題であると認識し、ラストワンマイルを担う企業として立場からCO₂削減の取り組みを強化しています。お客さま先のエネルギー最適利用を提案するエネルギーソリューションへとビジネスモデルを進化させるとともに他社とのパートナーシップによる共創で業界全体のCO₂排出量を削減し、中長期的企業価値の向上と2050年までのCO₂排出ネットゼロを目指します。

当社は気候変動に関する取り組みを、TCFDの枠組みに基づいてお伝えしております。「2021-2022年統合報告書」では、シナリオ分析の考え方を開示しております。

 

<ガバナンス>

気候変動関連のリスクや機会の評価、目標設定、その進捗の確認について、前述の「ESG経営推進委員会」で議論し、その内容を四半期に1回、取締役会に報告・提案し、取締役会で議論しております。

 

<リスク管理>

上記「ESGに関するガバナンス体制」において気候変動関連のリスクや機会を評価し、各取り組みの進捗を管理しております。各取り組みの具体的な内容は、1.5°C、2°Cおよび4°Cシナリオにおける事業環境の想定にもとづく戦略を踏まえ、ESG経営推進委員会を経て取締役会で特定しました。

 


<事業戦略(リスクと機会)>

短期:今後3年程度、中期:2030年まで、長期:2050年までとして時間軸を分けて分類し、企業価値を向上しながら気候変動に対応するための戦略を検討しております。当社は迅速な意思決定で事業機会に取り組みます。

 


 

<指標と目標>

当社は、2030年までを目途としたCO₂削減目標として、下記の3つの目標を設定しています。

①LPガス業界のCO₂排出量(LPG託送による):約▲50%

②世帯あたりCO₂排出量:約▲50%

③削減貢献量:約145万t-CO₂(2030年時点)

 

 

②人的資本、多様性に関する取り組み方針

 

 当社の中長期的な企業価値向上の原動力となるのは、内部・外部環境の変化に対応し、新たな取り組みに挑戦し続けるグループ全社員一人ひとりの力です。当社は、①エネルギーソリューションによる新たな地域社会への貢献、②DXによる高効率なインフラを業界全体でシェアリング、という経営戦略の実現に向け、グループを横断する組織再編を通じ、人的資本への投資を強化してまいります。

 

<ニチガスが目指す姿>

 当社グループは、脱炭素社会や地域分散型社会への移行など、エネルギー業界の変化を踏まえ、従来のガスや電気を仕入れて販売するという事業モデルから、①地域社会には最適なエネルギー利用を提案し、②エネルギー業界に向けては、LPガスの充填や配送などのインフラをシェアリングするビジネスモデルへと進化させます("NICIGAS3.0")。具体的には、①お客さまに電気とガスをセットでお届けしながら、太陽光発電、蓄電池やハイブリッド給湯器などの分散型エネルギー源を普及させ、各家庭でのエネルギーのスマートハウス化を推進し、その上で広く地域社会に対して最適なエネルギー利用を実現する「エネルギーソリューション」を提供します。そして②エネルギー業界に向けては当社の高効率なオペレーションを他社と共同利用する環境を構築し、業界全体でのシェアリング(プラットフォームの利用)を進め、環境という社会課題に対応しながら持続的に企業価値を成長させてまいります。

 

<目指す社員像(To be)>

 この事業の進化を進めるうえで必要な社員像、それは「内部・外部環境の変化に対応し、新たな取り組みに挑戦し続ける社員」と考えております。具体的には、エネルギー業界の変化に対応し、LPガス、電力、都市ガス、次世代エネルギーを含め、総合エネルギーの最適利用の提案が可能な人材、ソリューションやプラットフォーム分野における新ビジネスの創出スキルを持つ人材です。また、多様化する地域社会のニーズに対応し、より必要とされるサービスを提供するためには、性別、年齢、国籍、新卒・中途、学歴など、異なる経験・技能・属性、様々なバックグラウンドや考えを持った社員が必要となります。

 

<現状のニチガス社員(As  is)>

 当社グループは、LPガスや都市ガスを安心、安全にご提供、地域の皆さまの信頼を得るように努め、成長してまいりました。従いまして、社員はLPガスや都市ガスに関する工事、メンテナンス、保安に必要となる専門知識を有し、お客さまのお困りごとへの対応に強みを有しておりますが、次世代エネルギーを含め、エネルギーの最適利用等のご提案については、知識、ノウハウともに発展途上の段階にあります。また、地域社会の個人をお客さまとするBtoC営業に十分な経験を有しておりますが、ソリューションやプラットフォームを業界全体にひろめるために必要なBtoB営業は成長が必要な領域です。インフラ事業者として、地震などの災害時や日頃からガスの安全を守るために、深夜を問わず緊急出動対応をしたり、日々の業務でも、約90kgの重たいLPガスボンベを運搬するなど体力を使う仕事も多く、従来から男性社員の比率は高い傾向にありました。

 

 当社は、この目指す社員像と現状とのギャップを、(1)人材育成方針 「人材ポートフォリオの組替」「リスキリング」「他社との連携」、(2)社内環境整備方針 「多様な働き方」「ダイバーシティーの推進」「健康経営の推進」により埋めてまいります。

 

(1)人材育成方針

◆人材ポートフォリオの組替(グループを横断する組織再編による人材の活性化)

「経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載の通り、2024年1月を効力発生日として、当社及びグループ都市ガス3社を統合し、その上で「総合エネルギー小売会社」と「エネルギープラットフォーム会社」の2つに分ける組織再編の実施を決定いたしました。 

・グループの全営業を集約することで、LPガス、電力、都市ガスと総合エネルギーの提案が可能な人材へと育成してまいります。自由化以降競争市場で培ったLPガス営業のマインドを、都市ガス含めた全ての全営業人員に浸透させ、グループ全体の営業マインドを高めます。また、都市ガス事業が保有する大口法人顧客からの要望に答えられる高い技術能力等も共有可能となり、より丁寧な提案でソリューション営業の開拓能力も高めます。

・組織ごとに必要であった間接部門を効率化し、人材を再配置いたします。外部派遣や研修等によりソリューション事業やプラットフォーム分野のリスキリングを図り、営業力と企画力を融合した提案営業のできる人材に育成してまいります。

・今回の組織再編により、グループ都市ガス3社の社員を当社に承継することも決定いたしました。グループ全社員を当社の籍とすることにより、人材を会社に紐つけることなく、適材適所の人材を流動的にかつ迅速に配置し、グループ企業価値向上の最大化を図ります。


◆リスキリング

 営業員の営業力強化は、先輩社員が現場で業務に必要な知識やスキルを実践しながら伝承するOJTをメインとしておりますが、従業員一人ひとりが環境の変化に対応し、新たな取り組みに挑戦するマインドを持つ支援となるよう、総合エネルギーの最適利用の提案やプラットフォーム分野等、各種研修を実施し、リスキリングしてまいります。

・ハイブリッド給湯器や太陽光、蓄電池、充電設備などの分散型エネルギー源をお客さまにご提供する営業ノウハウや知識、技術等の研修会を実施。説明動画・資料の提供を通じて多数が参加できる仕組みを構築します。

・IT/DX関連では東大メタバース工学部に選抜派遣や、デジタル人材との共創などの取り組み、全従業員にITパスポート資格取得に向けてサポートを行うなど、従業員のIT/DX関連の知識向上に努めます。

・営業部門の従業員および営業委託先が、弁護士が監修する研修を定期的に受講し、営業品質の向上に資する取り組みを継続的に実施しております。

 

◆他社との連携

 当社がもっていないスキルや考えを外部から取り入れて価値を共創し、企業価値向上に繋げていく方針です。

目指す姿を明確にしながら、専門知識や技術、ノウハウを持つ外部人材との協業を構築してまいります。

既に実績として、電力事業部長(現当社執行役員)を含め東京電力グループからの出向受入により、電力事業のノウハウを当社に取り入れて電力事業部が立ち上がりました。また、当社と東京電力EPとの折半出資で設立したTEAにおいては、都市ガス小売事業参入を志向する異業種企業の受け皿となるプラットフォーム事業(ガス調達・保安・業務システム等の受託)を展開しております。さらに、ガスメーターをオンライン化し、自動検針などを実現したスペース蛍も、当社とIoTプラットフォーム企業のソラコムで共同開発したプロダクトです。

・パワーエックスやITベンチャー、東京電力グループに出向させる等、人材交流を通じて専門人材を育成してまいります。

・他社との連携により外部人材の採用も、積極的に実施してゆく予定です。  

 

(2)社内環境整備方針

 中長期的な企業価値向上には、全社員が、それぞれの特性を活かし、個々の人生の目的、人生のステージに合わせて、意欲を持って、個人の能力と個性を最大限発揮できるような環境の整備が必要と考えます。

 

◆多様な働き方

・働き方改革(場所や時間の制約を受けない柔軟な働き方)      

 場所や時間の制約を受けず、能力をフルに発揮できる職場環境の整備を目的とし、時差出勤・フレックスタイム制度、時間単位有給休暇、リモートワーク、育休取得、リフレッシュ休暇、誕生日休暇など、柔軟な働き方を可能とする各種制度を導入しています。

・ジョブ型雇用制度(高度人材向け)

 高度な専門業務を担う役職員を、成果に応じて報酬が決定されるジョブ型雇用制度で処遇しています。個人は専門性にもとづいた職務遂行の結果で評価されるため、本人のモチベーションアップにも繋がるとともに、多様な専門性を持つ個人に活躍の場を提供することで、経営戦略の実現に繋げていきます。

・副業の推進

 2020年4月に副業制度を導入しました。多様な雇用形態や機会を提供することで組織に縛られることなく、成果をもたらす人材の活用を目指しています。副業により、より広い視野で当社の業務を行うことも可能となり、多様な考え方を取り入れることで当社のイノベーション創出にも繋がるものと期待しています。

 

◆ダイバーシティーの推進

・女性の活躍

 近年、新都市ガスや電気事業など、当社業務の拡大に伴い、営業、ガスの保安検査員、配送員など、従前よりも多様な場での女性の活躍をすすめております。管理部門においても、人事部長、経財部長(共に執行役員)をはじめ、女性の活躍が徐々に拡大しています(本社管理職における女性比率は20%)。2023年3月末現在、当社グループ全体の女性社員比率(嘱託・パート含)は約21%、女性管理職比率は約4%です。女性キャリア研修などを通じて自己啓発・スキル向上などの人材育成と、配置などを工夫し女性の活躍を促進しながら、能力のある女性の登用を進めております。

・中途採用人材の活躍

 当社の中途採用社員比率は56%、管理職における中途採用社員の比率は約52%です(2023年3月末時点)。今後も比率にとらわれることなく、スキルや能力を持ち、当社の企業価値向上に向けて挑戦する意向のある方を積極的に採用していく方針です。

・外国籍の方の活躍

 当社の外国籍の社員(派遣社員含)は、2023年3月末で8名です。地域社会の多様化(外国籍の方々の増加など)を踏まえ、外国籍社員の活躍の機会を増やしていく方針です。外国籍の社員についても、当然ながら、能力に応じて管理職へ登用していきます。

 

◆健康経営の推進

 ・労働安全衛生

 毎月、各事業所(支店・本社・グループ会社など14事業所)単位で、安全衛生委員会を開催し、職場の巡視点検、環境測定、感染症対策、残業時間、休暇取得、労災、車両事故、健康診断受診など、従業員の安全衛生に係る状況を把握しています。各分科会では、産業医も参加し業務効率化や安全確保に向けた取り組みなどを共有し、より働きやすい環境の整備に向け、議論しています。

 ・健康管理

 毎年、全社員とパート社員を対象とした健康診断、管理職以上を対象とした脳ドックの受診を必須としており、それぞれの受診率は100%です。健康診断結果はデジタル化し、スマホから一目で過去の推移の把握が可能、個人の健康管理に繋げています。有所見者には産業医が個別に指導、保健師が検診後の対応状況や健康状態をモニタリングしています。さらに、従業員やその家族が、臨床心理士などの専門家に電話・Web・対面で悩みを相談できる「心の健康ホットライン」や「first call」を導入しています。

  ・グループヘルプライン(内部通報制度)の設置

 当社は、グループ全社員向け内部通報制度として、グループ・ヘルプラインを設置し、ハラスメント行為や腐敗、贈収賄など、コンプライアンス違反の早期発見・未然防止、従業員の保護、およびコンプライアンス違反の解決と再発防止を図っています。

 

 

<指標及び目標>

当社グループでは、上記(1)人材育成方針及び(2)社内環境整備方針について、次の指標を用いております。

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2026年3月までに10.0%

4.0%

女性社員比率

2026年3月までに23.0%

21.0%

男性の育休取得率

2026年3月までに50.0%

36.1%

 

 

 ダイバーシティの推進では取締役会の諮問機関であるESG経営推進委員会にて、ダイバーシティの定量目標や具体的施策を議論し、取締役会で方針を決定しています。2021年12月には女性、中途採用人材、外国籍の社員の活躍に向け定量的な目標、および行動計画を策定しました。目標や行動計画の実施状況は取締役会がモニタリングしてまいります。また、男性の育休取得率についても重要な指標として定めております。これは、当社は、今後、女性活躍を強く推進しながら成長していく方針であり、そしてその前提は、男性による育児と家事への積極的な参加と考えるためです。男性の育休取得率は、当社の中長期的な成長を表す重要な指標であることのみならず、我が国が持続的発展を遂げるために、社会の構成員である当社が積極的に負担する義務と考えております。2022年10月に同比率について30%を目標値に定めましたが、男性従業員の育休が取得しやすい制度導入・風土醸成により2022年度の実績は36.1%(前年度11.1%)と大幅に向上、目標値を改め、より高い数値に設定いたしました。

  現在開示する指標は上記となりますが、組織再編を踏まえ、当社が目指す人的資本を整えていく上での適切な指標・目標につきましてはESG経営推進委員会(取締役会の諮問委員会)で専門性の高い議論を行った上で、取締役会にて、議論・決定してまいります。

 

3 【事業等のリスク】

(1)リスク管理体制 

 当社は、リスクとは、事業を運営することで直面する不確実性と認識しています。経営としてその不確実性を把握し、考え得る最も適切な手段でリスクに対処するため、グループリスク管理委員会を設置、そのリスクを発生頻度と重要度合の二つの観点からマッピングし、本当に重要なリスクの把握を進めております。その上で、マイナスの影響を与えるリスクには適切な対策を講じ、プラスの機会には機動的な意思決定を行うことで新たな収益源創出を図っております。中長期的に事業や業績に影響を与え得る課題については、ESG経営推進委員会(取締役会の諮問委員会)でトピックを絞った議論を行った上で、取締役会にてマテリアリティとして項目を特定、全社対応方針を議論・決定しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<ガバナンス体制>


(2)主要なリスク

①原料等の安定調達

 当社はラストワンマイルでお客さまにエネルギーをお届けしており、輸入などの、所謂、上流事業は行っておりません。そのため外部からガスや電源等のエネルギーを調達する必要があります。これに対して当社は、エネルギー毎にパートナーと調達関係を構築し、各エネルギーを安定的に調達しております。

■LPガス:LP ガスの調達は輸入を前提としており、需給や原産国の政情等に起因する原料価格や為替レートの変動の影響を受けます。これに対して当社は、複数の取引先から調達を行い、リスクを分散し、安定した調達を行っております。また、原料価格と為替の変動は原則として販売価格の変更で対応します。これにより、原料と為替相場の変動は中長期的に業績に大きな影響を与えません。

■都市ガス(LNG):当社は広範なアライアンス関係にもとづき、東京電力グループから都市ガスの原料を安定的に調達しております(一部除く)。原料費の変動は「原料費調整制度」により、最大5ヶ月後にはガス料金に反映されます(会計年度を超えて料金に反映される場合があるため年度によっては原料費の変動が利益に影響する場合があります。また、季節により販売量に変動があるため、売上や利益には一定のブレが生じます。所謂、スライドタイムラグ)。

■電源:当社は発電設備を保有しておらず、外部から電源を調達する必要があります。当社は都市ガスと同様、東京電力グループとの広範なアライアンスにもとづき販売する電源の全てを同グループから安定調達しております。毎月の仕入れにおける燃料費や市場価格の変動は「燃料費調整制度」により、同月の小売料金に反映しています。

 

②エネルギー利用の変化

 昨年以降、原料調達難や価格高騰などエネルギー業界における社会課題が顕在化しており、今後、消費者の省エネ、節エネ意識の高まりが予想されます。蓄電池などの新しい技術の進歩もエネルギーの在り方を変える大きな要因となっています。この状況に対し当社は、需要側(消費者)のアプローチで、お客さまのエネルギーの最適利用を実現する「エネルギーソリューション」に事業モデルを進化させ、いち早く新たなエネルギー価値を提供してまいります。電気とガスのセット販売を前提に、分散型エネルギー源(DER)を普及し、各家庭のエネルギーの最適利用、更には地域コミュニティ全体のエネルギーの最適利用、分散型エネルギーシステムの構築に取り組んでまいります。

 

③大規模災害

 大規模地震や豪雨災害などの自然災害が激甚化しており、大規模災害が発生した場合、エネルギーの安定供給に支障をきたす恐れがあります。これに対して当社は、下記の各観点で対策を講じております。

■災害への事前対策

 LPガスではマイコンメーター(※1)の100%設置、感震遮断弁設置のほか、張力式放出防止ホース(グラピタ)(※2)を標準仕様としております。都市ガスでは業界に先駆け耐震性に優れたポリエチレン製の導管使用を進めており、本支管の全て、グループ全体の99%がポリエチレン製の導管に入れ替えを完了しております。

 また平時より災害マニュアルを作成し、グループ会社間の広域支援体制を確立。災害発生時に備えた緊急措置、緊急対応要員、緊急用資機材整備等、災害発生時に迅速かつ安全な対応をなし得る体制を整えております。防災訓練ではGoogle Meetを使い映像を映しながら有事を見据えた明確な指示出し訓練を行っております。従業員が現場に急行できるよう近隣の宿泊施設と事前協議を行い、有事の際の宿泊施設の確保にも努めております。

※1 地震発生時等、異常発生時に自動でガスを止める機能を持つガスメーターのこと

※2 ボンベが転倒した際等、外部へのガス放出を防止する高圧ホースのこと

■災害発生時

 大規模地震発生時はガスを自動停止、ガス供給設備の安全を確認し、異常が確認された場合は速やかに対応します。震度5弱以上では従業員が出動し、自主点検をしております。災害時にはコールセンター要員や優先電話等を確保し、お客さまからの連絡に対応します。スマホや衛星電話等で被害情報を迅速に収集・共有し、集めた情報にもとづき災害対策本部からの人員配置指示のもと災害時緊急対応を行っております。迅速な復旧対応への準備として、工事会社やメーカー等の協力会社と災害時復旧対応の協力体制も確立。昨今の豪雨被害増加に伴い、ドローンによる上空からの設備状況点検の仕組みも導入しております。有事のエネルギー源の確保では主要拠点にLPガスで稼働する自家発電機を設置、太陽光発電設置営業所では災害時にEVバイク用交換式バッテリーを緊急時の電源とし、地域の皆さまにご利用いただける体制を整備しております。

■分散型エネルギーの普及

 LPガスは災害に強い分散型エネルギーです。災害等でガスが遮断された場合も、各家庭に設置されたガスの供給設備に異常がないことが確認でき次第、早期復旧が可能です。病院や学校等、災害発生時に速やかな復旧が求められる重要施設をあらかじめ把握し、優先的に供給再開します。通常、各お客さま宅にはボンベが2本設置されており、ガスが備蓄されている状態です。そのため、万が一の場合もガスボンベを備蓄エネルギーとして使用いただくことが可能です。中長期では太陽光や蓄電池、EV等の分散型電源を普及して広く分散型エネルギーネットワークを構築し、地域社会のエネルギーの最適利用を実現してまいります。

 

④情報システムおよび情報セキュリティ

 当社は事業活動を通じてお客さまの個人情報をお預かりしており、適切な管理は重要な責務です。万が一情報漏洩が発生した場合は、信用の失墜や損害賠償責任、業績に影響が生じる可能性があります。これに対して当社は、個人情報保護法、各関係法令に則った「個人情報保護方針」、「情報セキュリティ基本方針」および社内規程を制定し、役員・社員(嘱託・パート含む)、当社が業務を委託する取引先を含めた関係者を対象に教育や研修を実施、適切な情報管理の徹底に努めております。加えて部門横断的に情報管理を推進する体制「情報セキュリティ対策チーム」を設置し、各種セキュリティ対策やインシデント(セキュリティを脅かす事象)への対応マニュアル策定、インシデント未然防止のための注意喚起や教育・研修の実施、サイバー攻撃等の有事が生じた場合には迅速かつ適切に対処できるよう必要な情報管理の体制を整備し、適切に取り組んでおります。

 情報セキュリティへの技術的な対策としては下記の各仕組みの導入によりセキュリティを担保しております。

1)セキュリティ対策ソフト:コンピューターウイルスの検知・除去、新型のコンピューターウイルスの検知(不審な挙動の検知)など端末ごとのウイルス対策

2)統合型エンドポイント・マネジメント:ブラウザへのアクセスログを把握し、不正なインシデントを検出

3)モバイルデバイス管理サービス・システム:スマホにダウンロードできるアプリの制限、アプリ単位のVPN設定による不要なトラフィックの閉域網アクセス制限

4)ユーザ認証とアクセス制御:システム毎にIDとパスワードを設定、業務システムへのアクセスを制限

5)サイバー対策・リスク管理システム:ネットワークに接続を許可される端末以外からの接続があった際のアラート機能やネットワークの脆弱性の洗い出し

 Chat GPTなど新たな技術に関しては、リスクを十分に把握、検証したうえで問い合わせや企画、業務効率化、デジタルマーケティングなどの業務を対象に、前向きに導入を検討してまいります。

 

⑤人材の確保・育成

 中長期で持続的に企業価値を向上するためには、内部・外部環境の変化に対応し、新たな取り組みに挑戦し続ける人材の確保・育成が重要です。これに対し当社は、多様な働き方の導入による優秀な人材の確保、ダイバーシティの推進を進め、異なる経験・技能・属性を持つ個人が、それぞれの特性を活かし、意欲を持って個人の能力と個性を最大限発揮できる環境の整備に注力しています。具体的にはグループ全従業員が能力や生活スタイル、人生の目的・ステージに合わせて柔軟に働き自らの価値を最大限に引き出せるよう、多様な働き方(人事制度)やジョブ型雇用制度などを導入し、優秀な人材を確保しております。またITや資本政策などに関する基礎研修、営業力強化に向けた営業研修など、当社が今後エネルギーソリューションやプラットフォームなど新たな事業を推進するうえで重要となる知識や技術を習得するための人材育成も進めています。

 LPの物流を支える配送員については、労働力人口の減少や働き方改革(2024年問題)の影響により人員の採用に困難が生じる可能性があります。これに対して当社は夢の絆を起点とする高効率な配送システムを導入し、配送員の負担を軽減、物流の効率化を図っております。またガスの検針ではスマートメーター化して人の業務をなくすなど、デジタルを活用。また、プラットフォーム事業として同様の問題を抱える他社に提供し、当社の収益に繋げております。

 

⑥レピュテーションリスク

 当社に対するネガティブな評判や噂、誤った情報が拡散された場合、当社イメージの低下やお客さまをはじめとするステークホルダーの皆さまからの信頼を低下させる可能性があります。これに対して当社は、レピュテーションに影響があると考え得る情報をいち早く把握することに努め、問題が生じた際には迅速に対応方針を協議・決定し、状況を速やかに開示して説明することでリスク顕在化の防止、影響の最小化に努めております。
 コンプライアンスについてはグループ役員および全社員(嘱託・パートを含む)を対象に教育・研修を行い、コンプライアンスの重要性を日常的に周知し、基本方針や研修資料は社内のポータルサイトに掲示しています。 コンプライアンス意識調査(年に1度実施)とその遵守状況は適宜社員に開示して状況を共有しており、内部監査の対象としています。営業委託先に対しては定期的に法務部が主催する講習において双方向の実践的なコミュニケーションを取り入れた研修を実施し、確認テストへの合格を必須としています。コンプライアンス意識の不十分な委託先とは契約を解除するなど、厳格に対応しています。また、訪問販売や電話を通じて新規にお申込みいただいた全てのお客さまに対し、その意思を十分に確認するため契約後の再確認の電話を実施し、申し込み内容に間違いがないか、不明点はないかなどを確認しています。

 

⑦感染症

 感染症拡大は当社の営業活動やエネルギーの安定的な提供に影響を及ぼす可能性があります。これに対し当社は、お客さま・従業員・取引先の健康と安全を第一に、グループリスク管理委員会を中心に感染予防や拡大防止対策を講じております。新型コロナウイルス感染症拡大時の経験を経て、お客さまとの信頼を構築しながら、Zoomによるガス機器の販売会やデジタルでのコミュニケーションなど対面以外の方法も取り入れております。保安においてはリモートで定期的な点検を行う「リモート保安」の仕組みを構築し、有事の際にも遅延ないオペレーションとお客さまサービスを継続する体制を整備、生産性の向上にも繋がっております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の分析

23年3月期の業績は以下の通りです。                          (単位:百万円)

 

22年3月期

23年3月期

前期差

前期比

売上高

162,552

207,890

45,337

27.9%

売上総利益

66,593

69,820

3,226

4.8%

営業利益

12,786

15,215

2,428

19.0%

経常利益

12,930

15,401

2,471

19.1%

親会社株主に帰属する

当期純利益

9,972

10,628

655

6.6%

 

 23年3月期は、暖かな気候を要因として前期より家庭用ガス販売量が減少いたしましたが、原料価格の上昇分を適切に販売価格へ転嫁することで利幅を確保し、売上総利益を伸長させることができました。営業利益以下全ての段階におきましても、ガスと電気をセットできるお客さまに重点をおく営業戦略を徹底することにより販管費を抑え、過去最高益を更新しております。
 

<セグメント別の状況>

◇ LPガス事業 (附帯事業としてLP機器・工事の他、プラットフォーム事業等を含む)  
 LPガス事業による売上総利益が426億35百万円(前期比25億39百万円増)、附帯事業による同利益が37億90百万円(同5億円増)となりました。
 LPガス事業による売上総利益の増加は、原料高騰に対応して実施した価格改定の効果によるものです。附帯事業による同利益の増加は、前年から続いたガス機器の納品の遅れが概ね正常化し、ソリューション事業に繋がるハイブリッド給湯器も含めた機器販売が増加したことによるものです。
  営業面では、中長期の顧客基盤強化に向けて、電気セットの対象となりやすいファミリー層に重点をおきながら顧客基盤の拡大をすすめ、お客さま数を前期末から2万6千件積み重ね、97万3千件としております

 

22年3月期

23年3月期

前期差

前期比

売上総利益

(百万円)

LPガス

40,096

42,635

2,539

6.3%

機器,工事,

プラットフォーム等

3,289

3,790

500

15.2%

ガス販売量

(千トン)※

家庭用

195

186

△9

△4.5%

業務用

120

121

1

0.9%

お客さま件数(千件)

946

973

26

2.8%

 

 ※ 収益認識基準適用により、検針基準の販売量に期末日までの販売量を調整して算出しております。

 

◇ 電気事業 

 電気事業セグメントの売上総利益は、29億59百万円(前期比1億68百万円増)となりました。
この利益の増加は、当社のガスを既にご利用のお客さまに新たにセットで契約をいただた電気契約数の増加によるものです。電源の市場価格は高騰いたしましたが、当社は、電源を市場を介さず、東電グループから調達を行うことで、安定した利幅の確保を実現しております

 営業面では、営業対象となる規制料金契約ユーザーの電気料金が、認可の関係で価格見直しが遅れていたことから、自由化料金より安くなるという逆転現象が生じましたが、電源供給を市場に依存する新電力のユーザーへの価格競争力は上昇、獲得を伸ばし、お客さま数は前期末より4万2千件増加の32万件、電気のセット率は前期末16.7%から当期末に19.5%に上昇しました。このガスと電気のセット契約は、今後のエネルギーソリューションのステップとなる、ハイブリッド給湯器、太陽光、蓄電池の販売に繋がっていきます。

 

22年3月期

23年3月期

前期差

前期比

売上総利益

(百万円)

電気

2,790

2,959

168

6.1%

電気販売量

(GWh)※

家庭用

1,160

1,297

137

11.9%

お客さま件数(千件)

279

320

42

15.0%

 

 ※ 収益認識基準適用により、検針基準の販売量に期末日までの販売量を調整して算出しております。

 

◇ 都市ガス事業 (附帯事業として都市ガス機器・工事等を含む) 

  都市ガス事業セグメントの売上総利益は、都市ガス事業による売上総利益が193億71百万円(前期比72百万円減)、附帯事業による同利益が10億62百万円(同90百万円増)となりました。
 都市ガス事業による売上総利益の減少は、家庭用ガスの使用量が前期より暖かな気候を背景に減少したことによるものです。

 

22年3月期

23年3月期

前期差

前期比

売上総利益

  (百万円)

ガス

19,444

19,371

△72

△0.4%

機器,工事等

972

1,062

90

9.3%

ガス販売量

(千トン)

家庭用

184

169

△15

△8.2%

業務用

208

210

2

1.0%

お客さま件数(千件)

722

667

△55

△7.6%

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(基本方針)

当社は、株主資本の収益率「ROE」を財務上の最重要KPIと設定し、株主価値の増大に向け、ROEを2026年3月期には22%に向上させていく方針です。ROEを向上させる方策として、資産の収益性を高めるべく、投下資本利益率(ROIC)をKPIとして設定し、その向上に努めております。収益性の高い資産(LPガスとIT)に集中して資本を投下しながら、一方で低収益資産の売却等をしてバランスシートの中身を入れ替えることにより、必要以上に総資産規模を膨らますことなく資産の収益力を高めています。また、資本の調達サイドでは、有利子負債の調達能力を検証し、最適な自己資本比率を45~50%から見直しを実施し、2026年3月期には40%まで引き下げることを計画しております。最適な自己資本比率に向けて不要な株主資本は持たず、適切に借入を活用することで、ROICの向上をダイレクトにROEにつなげてまいります。

手許資金は最低限とするべく、グループ内の資金についても、一元管理するキャッシュマネジメントシステムを導入するなど取り組みを続け、原則、仕入れ高の1か月+α程度を大きく超えないようコントロールしております。

 

(当連結会計年度の財政状態の分析)

・23年3月期末の資産の部は、1,534億円と前期末より3億円減(0.3%減)の同水準となりました。
資産が同水準となりましたのは、販売価格の上昇により営業債権が39億円膨らみましたが、一方で手元の現預金を39億円減少させたことによるものです。

・同期末の負債の部は、799億円と前期末から20億円減少(2.5%減)、純資産の部は、735億円と前期末から16億円(2.3%増)増加しております。負債の部が減少いたしましたのは、原料価格の高騰に伴い仕入債務が36億円増加しましたが、一方で借入を55億円減らしたことによるものです。また、純資産の部が増加した主な要因は、当期純利益106億円が、株主還元総額(配当66億円、自己株式の取得24億円)を上回ったことによるものです。

・デットエクイティレシオは0.6倍、自己資本比率は47.9%と、財務基盤の安定性を確保しながらも、最適な資本構成を心掛け、調達コスト(WACC)を意識した資本調達を行なってまいります。

                                        (単位:百万円)

 

 

22年3月期末

23年3月期末

増減

流動資産

49,467

51,001

1,534

 

内 現預金

17,020

13,049

△3,971

  営業債権

21,474

25,435

3,961

固定資産

104,344

102,427

△1,917

有利子負債

45,941

40,582

△5,359

自己資本
(自己資本比率)

71,887
 (46.7%)

73,524
(47.9%)

1,637

総資産

153,811

153,429

△382

 

 

 

(当連結会計年度のキャッシュフローの分析)

 23年3月期末における現金及び現金同等物は、前期末と比べ40億49百万円減少し、128億63百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュフローは、195億94百万円の収入(前期比10億99百万円減少)となりました。
減少した主な要因は、政府が行った電気代とガス代に対する特別支援金の回収が翌期にズレ込んだこと、及び消費税等の支払増加によるものです。消費税は売上に加算された税から仕入に加算された税を差し引きして支払います。「夢の絆・川崎」等の大規模投資により、仕入に加算された消費税が一時的に増加、その後、仕入金額が平準化したことから差し引く税金が減少、結果、納税額が増加しました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュフローは、75億81百万円の支出(前期比12億10百万円減少)となりました。
減少の要因は、ROICを意識し設備投資の採算性を厳しく検証することにより、導管投資が減少したこと、デポ用地等の投資機会に恵まれなかったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュフローは、160億70百万円の支出(前期比86億62百万円増加)となりました。
営業CFから投資CFを差し引いたフリーキャッシュフローは120億13百万円の収入(同1億10百万円増加)。手許資金を「仕入高の1か月+α程度」と最低限の保有にコントロールし、高水準の還元を続けながら、借入の返済をすすめました。
                                         (単位:百万円)

 

 

22年3月期

23年3月期

前期差

営業キャッシュフロー

20,694

19,594

△1,099

投資キャッシュフロー

△8,792

△7,581

1,210

財務キャッシュフロー

△7,407

△16,070

△8,662

現金及び現金同等物の増減

4,501

△4,049

△8,551

現金及び現金同等物の期末残高

16,912

12,863

△4,049

 

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2023年4月27日に開催した取締役会において、2024年1月1日を効力発生日(予定)として、Ⅰ当社が、会社分割により子会社3社(東彩ガス、東日本ガス、北日本ガス)のエネルギー小売事業を承継するとともに、Ⅱ当社、東日本ガス、北日本ガスのガス導管事業等を東彩ガスが会社分割及び吸収合併により承継する当社グループの組織再編について決議を行い、当社は子会社3社と吸収分割に関する契約を、子会社間において吸収合併に関する契約を締結いたしました。

 

1.  本組織再編の目的

当社グループは近未来の地域社会の姿を想定し、お客さま(=需要家)側の視点で新たなエネルギーの在り方を実現することを目的に本組織再編を実施いたします。

 

2.  本組織再編の要旨

Ⅰ. 連結子会社3社(東彩ガス、東日本ガス、北日本ガス)のエネルギー小売事業を当社へ集約

(1)分割の要旨

 ① 分割の日程

吸収分割契約の承認 取締役会決議日(承継会社) 2023年4月27日

吸収分割契約の承認 臨時株主総会(分割会社) 2023年4月27日

吸収分割契約締結日 2023年4月27日

吸収分割効力発生日 2024年1月1日(予定)

※本会社分割は当社(承継会社)において、会社法796条第2項に規定する簡易分割に該当するため、

株主総会の承認決議は行いません。

 ② 会社分割の方式

当社を承継会社とし、東彩ガス、東日本ガス、北日本ガスを分割会社とする吸収分割です。

 ③ 会社分割にかかる割当ての内容

本会社分割に際し、株式その他の金銭等の割当てはありません。

 ④ 分割に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い

該当事項はありません。

 ⑤ 分割に伴う資本金の増減

本会社分割に伴う当社の資本金の増減はありません。

 ⑥ 承継会社が承継する権利義務

当社は、本件対象事業に関する資産、負債及び契約上の地位等の権利義務のうち、吸収分割契約において定めるものを承継します

 ⑦ 債務履行の見込み

本会社分割において当社が負担すべき債務の履行に問題はないと判断しています。

 

(2)承継する事業部門の概要

 ① 承継する部門の事業内容

東彩ガス   ・・・ 都市ガス、LPガス、電気の小売及びこれに付帯する事業

東日本ガス ・・・   同上

北日本ガス ・・・   同上

 ② 承継する部門の経営成績(2023年3月期実績)

東彩ガス   ・・・ 売上高 51,115百万円

東日本ガス ・・・ 売上高 16,532百万円

北日本ガス ・・・ 売上高 14,912百万円

 ③ 分割する資産、負債の項目及び金額(2023年3月期実績)

東彩ガス  ・・・  流動資産 16,508百万円、流動負債 7,728百万円

 固定資産  1,920百万円、固定負債   682百万円

東日本ガス ・・・  流動資産  4,207百万円、流動負債 2,261百万円

 固定資産  1,092百万円、固定負債   384百万円

北日本ガス ・・・  流動資産  1,990百万円、流動負債 2,037百万円

 固定資産  1,404百万円、固定負債   275百万円

 

※上記の金額は2023年3月31日現在の貸借対照表を基準に算出しているため、

実際に承継される金額は、上記金額に効力発生日前日までの増減を加除した数値となります。

 

 

Ⅱ. 当社及び連結子会社2社(東日本ガス、北日本ガス)の都市ガス導管事業等を東彩ガスへ集約

 

◆吸収分割により、当社の都市ガス導管事業等を東彩ガスへ集約

(1)分割の要旨

 ① 分割の日程

吸収分割契約の承認 取締役会決議日(分割会社) 2023年4月27日

吸収分割契約の承認 臨時株主総会(承継会社)  2023年4月27日

吸収分割契約締結日  2023年4月27日

吸収分割効力発生日  2024年1月1日(予定)

※本会社分割は当社(分割会社)において、会社法796条第2項に規定する簡易分割に該当するため、

株主総会の承認決議は行いません。

 ② 会社分割の方式

当社を分割会社とし、東彩ガスを承継会社とする吸収分割です。

 ③ 会社分割にかかる割当ての内容

本会社分割に際し、承継会社である東彩ガスは普通株式500千株を発行し、それらをすべて当社に対して割当て交付します。

 ④ 分割に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い

該当事項はありません。

 ⑤ 分割に伴う資本金の増減

本会社分割に伴う当社の資本金の増減はありません。

 ⑥ 承継会社が承継する権利義務

本件対象事業に関する資産、負債及び契約上の地位等の権利義務のうち、吸収分割契約において定めるものを承継します。

 ⑦ 債務履行の見込み

本会社分割において承継会社が負担すべき債務の履行に問題はないと判断しています。

 ⑧ 割当株式数の算定根拠

東彩ガスは、当社の都市ガス導管事業及びLPインフラ事業の承継を行うに際し、対価として同社の株式を当社に割当てます。当該吸収分割は、当社と当社の100%出資子会社間での吸収分割であることから、当社と東彩ガスの合意により、発行する株式数は500千株といたしました。

 

 (2)分割する事業部門の概要

 ① 分割する部門の事業内容

都市ガス導管事業、LPインフラ事業等

 ② 分割する部門の経営成績(2023年3月期実績)

売上高  1,130百万円 (注)外部売上高を記載しております。

 ③ 分割する資産、負債の項目及び金額(2023年3月期実績)

流動資産  ― 百万円、流動負債  327百万円

固定資産 24,877百万円、固定負債 15,000百万円

※上記の金額は2023年3月31日現在の貸借対照表を基準に算出しているため、

実際に承継される金額は、上記金額に効力発生日前日までの増減を加除した数値となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◆合併方式により、東日本ガス及び北日本瓦斯の都市ガス導管事業等を東彩ガスへ集約

(1)合併の要旨

① 合併の日程

吸収合併の承認 臨時株主総会(存続会社、消滅会社) 2023年4月27日

合併契約締結日 2023年4月27日

合併効力発生日 2024年1月1日(予定)

② 合併の方式

      東彩ガスを存続会社、東日本ガス、北日本ガスを消滅会社とする吸収合併方式です。

③ 合併にかかる割当ての内容

本合併は当社の完全子会社間の合併であるため、本合併による新株発行及び金銭等の交付はありません。

④ 消滅会社の新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い

該当事項はありません。

 

3. 本組織再編後の当社の状況

(1)商号

日本瓦斯株式会社

(2)所在地

東京都渋谷区代々木4丁目31-8

(3)代表者の役職・氏名

代表取締役社長執行役員 柏谷邦彦

(4)事業内容

総合エネルギー小売事業

(5)資本金

7,070百万円

(6)決算期

3月31日

 

 

4. 本組織再編後のガス導管事業等承継会社(現 東彩ガス)の状況

(1)商号

未定

(2)所在地

未定

(3)代表者の役職・氏名

未定

(4)事業内容

エネルギープラットフォーム事業

(5)資本金

450百万円

(6)決算期

3月31日

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。