第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

①企業理念

一.私たちは信用を重んじ、社会の発展と豊かな環境づくりに貢献します。

一.私たちは時代のニーズに対応し、常に変貌する企業を目指します。

一.私たちは社員相互の信頼のもと、人材を育成し、希望に満ちた企業を創造します。

一.私たちは常に学ぶ姿勢を持ち、自己と企業の進歩、改善を目指します。

②経営ビジョン(あるべき姿)

業界に先駆けて高付加価値の製品・工法を開発し、持続的成長を可能にする企業グループ。

高度な社会インフラ整備の実現に向け、常に「オンリーワン」技術にチャレンジし、豊かな社会資本・インフラ整備に貢献する専門家集団としての責務を果たす。

③経営基本方針

ファスニング分野の新しい価値を創造する専門家集団として、「持続的成長」、「新規事業の創出」、「業務の効率化」、「内部体制の強化」により経営基盤を強化し、リーディングカンパニーとしてのあくなき挑戦を実践する。

 当社グループは上記の企業理念、経営ビジョン(あるべき姿)及び経営基本方針のもと、社会インフラの整備・維持を担う企業として“ファスニング分野におけるエンジニアリングの専門家集団”を標榜し、技術力による新しい付加価値を提供することによって、活力ある国土づくりと社会の発展に貢献してまいる所存であります。

(2) 経営環境

 当社は1965年、日本初の「あと施工アンカー」の専門企業として設立され、建築構造物のファスナーに関する専門業者として、また、トンネルを掘削するためのファスナーいわゆるNATM工法の先駆者として、常に新技術の導入と普及に努めてまいりました。また、専門性の高い工事においても国内外より高い評価を得ており、企業規模も順調に拡大してまいりました。1997年に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、2015年3月には皆様のおかげをもちまして、会社設立50周年を迎えることもできました。

 しかしながら、社会全体の景気低迷や建設業界における需要の絶対量不足、受注競争の激化などにより、厳しい経営環境が続いております。建設業界におきましては、各種インフラ整備やリニア新幹線などの大型プロジェクト、インフラ補修等の受注環境は一時的には追い風ではありますが相対的には減少傾向にあり、工事の対象が新設から維持・補修にシフトすることも予想されます。また、原材料価格や労務単価の上昇、少子高齢化に伴う人材不足、若年層労働者の確保や働き方改革による労働環境の多様化など業界全体としては多くの課題を抱えている状況にあります。

 このような情勢のもとで当社は、公共事業を中心とした政府建設投資の需要に確実に応えるため、需要先のニーズを的確に捉えた技術提案型営業を推進し、商品の拡販と建設工事の受注に努めております。さらに、収益改善に向け総コストの圧縮や固有技術の一層の改良と新技術・新工法の開発を行うとともに管理面では情報の一元管理と共有化を目的とした社内情報システムの導入など、将来へ向けての取り組みを行っております。また、2015年3月に会社設立50周年を迎えたことを機に新たな50年、100年を目指して、今一度当社グループの原点である“現場重視”に徹し、ビジネス環境の変化に対応しお客様のニーズや市場動向などの最先端情報をいち早く経営に反映できる体制づくりを行っております。

(3) 経営戦略

 上記のような経営環境の中で当社は、ファスニング分野のリーディングカンパニーとして、安全・安心を最優先とした社会インフラの新設・維持・補修を通じて社会の発展に貢献する企業を目指し2021年5月27日に「ケー・エフ・シーグループ中期経営計画(2021~2023年度)」を策定いたしました。本計画に基づき将来的に持続的成長を目指すケー・エフ・シーグループが「あるべき姿」に向かって経営資源を有効活用し、経営基盤のさらなる強化を推進してまいります。また、あらゆる社会の変化に対しても迅速に対応するとともに、経営課題にしっかりと向き合い安定した経営を目指すことによって、すべてのステークホルダーの皆様から高い信頼と評価を得ることができるよう役職員一同一丸となって本計画の目標達成に向けて取り組んでまいります。

 

 中長期的な経営戦略としましては、低成長が続く時代にあっても、景気動向に左右されない常に安定した収益基盤を確保するために、当社グループが永年培ってまいりました技術力・営業力を結集し、社会のニーズに対応した新商品、新工法の開発に力を入れるとともに、既存事業の活性化や固定費の圧縮に取組んでおります。また、更なる企業競争力、企業体質の強化を目指し、下記の重点課題について、施策を積極的かつ継続的に推進してまいります。

ⅰ 「収益力の向上」

 当社は創業以来、付加価値の高い営業活動を行い今日に至っており、ユーザー・施主のニーズに対応した技術提案型営業を強化して他社との優位性を保ち「オンリーワン」企業を目指すとともに、各現場からの意見を取り入れた新しいコンセプトのあと施工アンカー及び特殊ボルト・ナット類や効率的な工法など、新商品・新工法の普及及び既存商品・工法の更なる改良を行うとともに、持続的な成長を目指して「新規事業の創出」を行うために開発営業部を設置し、更なる「収益力の向上」を図ってまいります。

ⅱ 「技術・開発力の強化」

 建設業界においてはデジタルトランスフォーメーション(DX)、技術者の不足、高齢化による技術の承継問題や環境負荷への配慮等の社会課題がある中で「技術・開発力の強化」を行い、当社の既存事業分野のみならず、新規事業分野においても積極的に研究開発を行っていき、当社独自の「オンリーワン」技術にチャレンジしてまいります。

ⅲ 「働き方改革」

 システム導入による業務の効率化や就労環境の整備により、職場環境の充実を図ることで、より良い人材の確保や従業員ひとりひとりのワーク・ライフ・バランスの向上を行い、従業員をはじめとしたステークホルダーの満足度を高める「働き方改革」を行ってまいります。

ⅳ 「経営基盤の再構築」

 現在の厳しい市場環境やめまぐるしく変化する社会情勢に迅速かつ的確に対応するために、経営の効率化とスリムな経営を行い、環境や社会的責任に配慮した組織力の強化、人材の確保・育成・活用に努め、盤石な組織体系づくりを行うとともに、新たな投資戦略を通じて「経営基盤の再構築」に取り組んでまいります。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①新規事業の創出

 市場環境の変化を見据え、ビジネスチャンスを最大限に活かす体制づくりを進め、「安全・安心」、「環境」、「省力化および建設DX」のニーズに対応した付加価値の高い新規事業の創出の推進に取り組んでまいります。

②研究・技術開発

 建設材料・施工・点検技術までの一貫した技術開発により、インフラ構築・維持管理において社会的課題を解決できる「オンリーワン」商品の開発を行ってまいります。

 具体的には、昨今課題となっているDX、技術者不足や環境負荷の軽減を解決するために、「熟練作業者不足を補う」、「省人化&ICT」、「環境」をキーワードに既存事業分野や新規事業分野において、「研究・技術開発」を加速させてまいります。

③知的財産

 安心・安全・持続可能なインフラ構築・維持管理に携わる企業として、知的財産の保護を図りつつ、オープン・イノベーション戦略により蓄えた技術・経験・知的財産を抱え込むことなく社会に還元する循環型知財を目指してまいります。

④業務の効率化

 働き方改革の要請への対応を強化し、「業務の効率化」による労働生産性の向上を目指してまいります。

 具体的には、システム導入をはじめとした社内ITインフラの整備や新卒採用や中途採用の強化を行い、労働生産性の向上や従業員の満足度の向上に取り組んでまいります。

⑤経営基盤の再構築

 環境や社会的責任に配慮した取り組みを継続して実施するとともに、活力ある職場づくりを通じて、ケー・エフ・シーグループの組織力の強化、人材の育成に努め、強固な「経営基盤の再構築」を図ってまいります。

 具体的には、コンプライアンスの強化等による盤石な組織体系づくり、人材の確保・育成・活用、成長分野への投資戦略を柱として、中長期的な持続的成長の実現ができる体制を作ってまいります。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 利益配分の基本方針に従い、安定的な配当を継続するとともに、上記中期経営計画に従い、企業価値の増大による利益還元及び当社グループとして持続的成長の実現を行うため、自己資本を基盤とした財務体質の強化が必要と認識しており、2022年3月期より自己資本当期純利益率(ROE)15%以上及び配当性向30%以上を目標とする経営指標としております。毎期上記目標以上を達成できるよう企業努力を行ってまいります。

(6) 対処すべき課題

 今後の見通しにつきましては、世界的な物価上昇の影響を受けながらも、コロナ禍からの社会経済活動の再開で個人消費や設備投資並びにインバウンド消費が活発化するものと見込まれますが、引き続き金融情勢、地政学リスクに注視が必要な状況にあります。

 一方、建設業界においては、建設資材価格や運搬費の高騰、少子高齢化に伴う人材不足、若年労働者の確保や働き方改革による労働環境の多様化など多くの課題を抱えており、事業環境をめぐる見通しは今なお不透明な状況が続いております。

 このような状況のなか、当社は今後の成長に向けて、「ケー・エフ・シーグループ中期経営計画(2021~2023年度)」において掲げた「収益力の向上」「技術・開発力の強化」「働き方改革」「経営基盤の再構築」の基本戦略を再度徹底し、コアコンピタンスを磨いてまいります。

 更には、常にオンリーワン技術にチャレンジしてきた当社の成長の方程式に照らし、時代のニーズに対応するため新たな技術開発体制を構築し、豊かな社会資本・インフラ整備に貢献する「業界のリーディングカンパニー」として企業体制を確立してまいります。

 これらの着実な積み重ねにより、持続的成長を可能にする強固な経営基盤を確保し、いかなる市場環境においてもステークホルダーの皆様のご期待に応えることができる企業力を築いてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、企業理念の一つである「私たちは信用を重んじ、社会の発展と豊かな環境づくりに貢献します。」に基づき、これまで培ってきたファスニング技術と道路やトンネルなどの維持補修技術を活用し、事業を通じて環境・社会・経済の課題の解決を図る取り組みを行い、持続的成長と企業価値の向上を実現するとともに、SDGsへの貢献を目指してまいります。

 

(1) サステナビリティ

① ガバナンス

 当社グループは、トンネルや道路等のインフラ整備及び二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの削減など、環境・経済に関する事項、並びに人材の確保や育成など、社会に関する事項につきましては、経営会議において、リスク及び機会を認識しております。また、取引先との不適切な関係や法令をはじめとした社会的ルールの順守など、社会に関する事項につきましては、コンプライアンス委員会において、リスクを認識しております。経営会議及びコンプライアンス委員会で認識したリスク及び機会については、取締役会へ報告を行い、リスク及び機会を管理しております。

 なお、経営会議につきましては、社外取締役を含む取締役、執行役員及び各管理部門の部門長が出席する会議であります。

② リスク管理

 当社グループは、取締役会に報告されたサステナビリティに関するリスク及び機会について、議論を行い、担当の部門へ指示を行っております。指示された部門において、サステナビリティに関するリスク及び機会について、詳細な検討を行い、実行に移しております。検討や実行の結果につきましては、担当の取締役を通じて、取締役会へ進捗状況の報告を行うことにより、サステナビリティに関するリスク及び機会について、管理を行っております。

 

(2) 人的資本

① 戦略

 当社グループでは、事業運営上、サービスの品質及び効率の観点から、多くの質の高い人材を長期的に確保していくことが重要であります。少子高齢化による人手不足等により、これらの必要な人材が確保できない場合には、サービスの品質の低下、業務効率の悪化により当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、企業戦略を支えるのは人材であると認識しており、新卒採用活動の強化のほか、中途採用やカムバック採用等、採用制度の改定を行っており、安定的な人材確保にグループ全体で努めてまいります。また、中長期的な視点で人材を確保するために、ワーク・ライフ・バランス及び人材の多様性の実現を図り、働きやすい職場づくりに努めてまいります。

② 指標及び目標

 当社グループは、従業員ひとりひとりが心身ともに健康で活き活きと働くことができ、その能力を最大限に発揮できるよう支援することで組織の活性化を図ってまいります。

 当社グループでは、上記「(2) 人的資本 ①戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の目標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

新規雇用者の人数

毎期5名以上

23名

有給休暇の消化率(注)

2026年3月までに65%

65.7%

女性労働者の割合(注)

2026年3月までに20%

16.6%

(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

① 建設市場の動向を中心とした市場環境について

 当社グループの事業内容は、「あと施工アンカー」や「ロックボルト」などの建設資材の販売や道路、トンネルなどの設備工事を行っており、当然ながら公共投資の削減などの建設業界の動向や設備投資の動向によっては受注が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、中期経営計画で策定した各種戦略・重点施策を着実に推進し、確固たる収益基盤の柱を複数構築することを含め、事業のポートフォリオの強化を図っております。

② 事業内容の見直し

 当社グループでは安定した収益を確保するために付加価値の高い商品、工法の開発や市場投入及びコスト削減施策を実行することにより収益力の向上に努めております。「収益力の向上」を目指し、適宜既存事業の見直しも行っており、これにともなう損失が発生する可能性があります。

③ 法的規制について

 当社グループの事業及び主な取引先は建設業界に属しており、「建設業法」「建築基準法」等により法的規制を受けております。当社グループは販売・施工にあたり、建設業許認可及び登録をしており、これらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努め、現状において当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかし、法令違反等によりその許認可等が取り消された場合には、当社グループの運営に支障をきたし、財政状態及び経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
 また、これらの法律の改廃や新たな法的制度、基準が設けられる場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

④ 原材料等の市況変動及び労務費の高騰の影響について

 当社グループでは、原材料として主に鉄鋼、石油製品を使用しており、これらの原材料価格の高騰などにより当社グループの仕入調達価格が上昇する場合があります。その際に状況によっては価格上昇分を販売価格に転嫁できない場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、労務費につきましては着工時には手配をほぼ完了することとしておりますが、受注時から着工時までに時間を要することもあり、また、何らかの要因により工期が延長されることもあります。その間に著しい高騰があった時には、受注時点で予測された利益の確保が困難となる場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、国内外の複数の調達先や協力業者との取引関係を強化することで、常に最適かつ安定的な調達ができる体制を構築しております。

⑤ 製品の品質管理について

 当社グループでは、製品の品質を重視しており、主力事業所においてISO 9001の認証を取得する等、品質管理体制には万全を期しております。しかしながら、当社の予測を超えた事象により製品に欠陥が生じた場合、点検や回収等に伴う費用が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、独自の品質基準を設け商品の品質向上に取り組むとともに、関連法規の遵守に努めております。また、商品の不良等による万が一の重大なトラブルの発生に備え、賠償責任保険へ加入しリスクの低減を図っております。

⑥ 施工物件の瑕疵について

 当社グループでは、「あと施工アンカー」類の施工や道路、トンネルなどの設備工事を日本全国で行っており、工事の際には十分な現地調査、基礎設計、施工方法等の事前検討を行っておりますが、工事は予期せぬ障害物が現れることもあり、予見できない瑕疵によって施工品質の悪化や施工期間の延長が生じる可能性があります。瑕疵に伴う損害賠償請求等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 労災事故災害について

 当社グループでは、全国で年間数百件もの工事を行っており、その作業現場は重機に囲まれた屋外作業が中心となっているため、他の産業に比べ重大な労災事故が発生する危険性が高いものと認識しております。仮に死亡事故等の重大災害が発生した場合は、人的損失はもちろんのこと、それに伴う社会的信用の失墜、補償等を含む災害対策費用、工期の遅れによる収益の悪化等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループとしては、専門部署を設置し、現場の安全教育の徹底や定期的なパトロールの実施等により事故の発生防止に全力を挙げております。また、事故が発生した場合の金銭的な損失に備え、各種損害保険に加入しております。

⑧ 売上の季節変動による影響について

 当社グループの得意先は建設業界となるため受注形態の特性上季節的な変動があり、とりわけ、公共事業関連の工事については、予算の執行上、年度末に向けて完工物件が多くなる傾向があるため、上期より下期に売上が計上される傾向にあり、場合によっては翌期にずれ込む可能性があるため、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

⑨ 取引先の信用リスクについて

 当社グループの与信管理は販売顧客の業容・財政状態に応じて与信枠の設定を行うとともに、一定期間ごとに継続して信用状態の把握を行い、不良債権の発生を防止しております。当社グループの主たる得意先はゼネコン、サブコン、商社及び代理店等が中心でありますが、景気動向等の要因により顧客の信用リスクが顕在化し倒産する懸念があります。また、建設業においては、工事完了まで長期間を要し、かつ取引先の取引額も大きく、建設等工事目的物引渡し時に多額の工事代金が支払われる条件で契約が締結されます。このため工事終了前に取引先が信用不安に陥った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、徹底した与信管理を行うために複数の調査会社で調査するとともに、リスクヘッジの目的で、必要に応じ信用保証機関を利用しております。

⑩ 価格競争

 当社グループが販売及び施工している市場において近年競合他社との価格競争の激化が続き、適正価格の維持が困難になった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑪ 在庫のリスク

 当社グループでは、マーケットの急激な環境変化等により、当社グループの想定を上回る需要の変動があった場合、仕入商品が不稼働在庫となり、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、仕入先との連携強化による生産リードタイムの短縮、受注予測システムによる受注精度の向上等の対策を推進しております。

⑫ 物流コストの上昇リスク

 当社グループでは、配送パートナーの協力のもと最適な配送網を構築しております。しかしながら、原油価格の高騰による物流コストの上昇や配送ドライバーの人手不足問題等により、お客様からのご注文量の増加に対応した配送網の構築が間に合わない場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

⑬ 特許権等について

 当社グループでは、多数の特許権等知的財産を有しており権利保護に努めているとともに第三者の知的財産侵害にも細心の注意を払っておりますが、仮に国内外において当社が把握できない範囲での第三者の知的財産を侵害している可能性もあり損害賠償等を請求された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑭ 未知の感染症の拡大や大規模な自然災害等の異常事態リスク

 当社グループでは、複数の事業拠点、物流施設等を使用し事業運営をしております。新型コロナウイルス感染症拡大のようなパンデミックや巨大地震などの大規模な自然災害等の異常事態が当社の想定を超える規模で発生し、事業運営が困難になった場合、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、事業復旧の早期化・省力化を図るため、事業運営機能やオフィスの分散化、物流拠点の多拠点化を実施しております。また、有事の際には拠点別管理方針の発信により、テレワークや時差出勤等勤務体制の変更、従業員の行動基準の策定、異常事態発生時の対応マニュアル発動等、BCPの策定や事業リスクの最小化に向けた施策を推進します。

⑮ 減損会計の影響

 当社グループが所有する固定資産のうち、来期以降将来キャッシュ・フローが充分に見込めない資産又は資産グループが新たに存在すると判定された場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

⑯ 工事契約の収益認識について

 当社グループが行う工事契約については、一定の期間にわたり充足される履行義務と判断し、収益を計上しております。具体的には、工事出来高に対応して発生した見積工事原価に対する割合により算出した進捗率により完成工事高を計上しております。工事完了までに発生すると見込まれる総原価の見積りおよび代金の追加請求のための追加工事契約が合意に至る可能性の見積りについては、不確実性が高いため、実際の結果が、これらの見積りと異なる場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、利益管理プロセスとして工事契約ごとの収支管理や工期管理を行っており、工事原価総額の見積りにおいても内部統制を整備・運用しております。

⑰ 人材の確保におけるリスク

 当社グループでは、事業運営上、サービスの品質及び効率の観点から、多くの質の高い人材を長期的に確保していくことが重要であります。少子高齢化による人手不足等によりこれらの必要な人材が確保できない場合には、サービスの品質の低下、業務効率の悪化により当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、企業戦略を支えるのは人材であると認識しており、新卒採用活動の強化のほか、中途採用やカムバック採用等、採用制度の改定を行っており、安定的な人材確保にグループ全体で努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、度重なる新型コロナウイルスの感染拡大によって多大な影響を受けたものの、移動制限の緩和などにより一定の回復傾向が見られました。

 しかしながら、原材料価格の上昇や電子部品の供給不足、国際情勢に端を発するエネルギーコストの上昇などにより、企業活動や消費動向に未だ不透明感が残るなど、予断を許さない厳しい状況が継続いたしました。

 当社グループの関連する建設業界においては、建設資材価格の上昇や慢性的な人員不足の問題等が依然として山積し、厳しい経営環境が続いております。

 このような状況のもと当社グループは、従来より強化している技術提案型営業によって需要先のニーズを的確に捉え、当社の有する豊富な製品・工法群より最適なソリューションを提案することで、公共事業を中心とした政府建設投資の需要に確実に応え、商品の拡販と建設工事の受注に努めてまいりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は、226億27百万円(前年同期比12.8%減)で、その内訳は、商品売上高が95億95百万円(前年同期比2.9%減)、完成工事高は130億31百万円(前年同期比19.0%減)となりました。

 セグメント別の売上高は以下のとおりであります。

〔ファスナー事業〕

 西日本地区をはじめとして橋梁等の土木耐震工事の受注に注力いたしましたが、上下水道施設に関わる耐震補強工事において、工事の進捗が遅れる等の影響により、完成工事高が伸び悩みました。また、当社製品を織り込んだ設計業務や工事物件発注の遅れが影響し、あと施工アンカーをはじめとする建設資材の販売は、前期を下回りました。その結果、売上高は70億77百万円(前年同期比13.9%減)となりました。

〔土木資材事業〕

 北海道・東日本地区においては当社の独自技術を活用したトンネル掘削補助工法の資材販売が順調に推移しましたが、西日本地区における大型案件の減少や工事着工の遅れなどの影響による資材販売減少を補いきれず、売上高は67億79百万円(前年同期比2.2%減)となりました。

〔建設事業〕

 当社の得意とする構造物補修工事で大型物件を3件受注したほか、トンネル補修・補強工事と橋梁補修工事において大型元請物件が4件竣工いたしました。北陸自動車道や関越自動車道の設備工事に付随した「フェイルセーフシステム(取付物落下防止対策商品)」の販売も寄与いたしましたが、大型工事物件が一巡したことなどにより、売上高は87億70百万円(前年同期比18.8%減)となりました。

 財政状態につきましては、当連結会計年度末の総資産は261億91百万円と前連結会計年度末に比べ、17百万円減少しました。これは主として完成工事未収入金が32億20百万円減少したためであります。負債は66億34百万円と前連結会計年度末に比べ4億12百万円減少しました。これは主として、工事未払金の減少によるものであります。なお、純資産は195億56百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.7ポイント増加しております。

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ22億63百万円増加し、59億89百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動における資金は、税金等調整前当期純利益15億26百万円(前年同期比41.0%減)を計上し、売上債権も30億72百万円減少しましたが、棚卸資産が1億84百万円増加したことなどにより、37億50百万円の収入(前年同期比259.1%増)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動における資金は、投資有価証券の取得による支出などにより、9億58百万円の支出(前年同期は10億20百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動における資金は配当金の支払などにより、5億20百万円の支出(前年同期は6億93百万円の支出)となりました。

 

③受注工事高、完成工事高、繰越工事高、施工高、手持工事高、商品仕入及び販売の状況

イ.受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高

項目

工事別

期首繰越

工事高

(千円)

期中受注

工事高

(千円)

(千円)

期中完成

工事高

(千円)

期末繰越

工事高

手持工事高

(千円)

期末繰越

工事高

うち施工高

(千円)

期末繰越

工事高

うち施工

比率(%)

期中施工高

(千円)

前連結会計年度

(自2021年4月1日

至2022年3月31日)

環境工事

900,580

1,588,038

2,488,618

1,262,880

1,225,738

1,240,795

リニューアル工事

4,037,412

3,391,471

7,428,883

5,272,743

2,156,140

5,246,593

トンネル及びその他の設備関連工事

2,366,317

3,183,364

5,549,681

3,319,081

2,230,599

3,295,748

耐震関連工事

2,832,390

5,571,870

8,404,260

5,904,937

2,499,323

5,867,035

その他の工事

97,255

259,234

356,490

320,258

36,232

313,812

10,233,955

13,993,979

24,227,935

16,079,900

8,148,034

15,963,986

当連結会計年度

(自2022年4月1日

至2023年3月31日)

環境工事

1,225,738

142,257

1,367,995

824,342

543,653

824,342

リニューアル工事

2,156,140

5,683,652

7,839,792

4,210,396

3,629,395

4,210,396

トンネル及びその他の設備関連工事

2,230,599

1,654,847

3,885,447

2,717,554

1,167,892

2,717,554

耐震関連工事

2,499,323

4,982,410

7,481,734

4,991,151

2,490,582

4,991,151

その他の工事

36,232

270,347

306,579

287,987

18,591

287,987

8,148,034

12,733,515

20,881,549

13,031,433

7,850,115

13,031,433

(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更新により請負金額に変更があるものにつきましては、期中受注工事高にその増減額を含んでおります。従って、期中完成工事高にもかかる増減額が含まれております。

2.期末繰越工事高うち施工高は未成工事支出金により手持工事高の工事進捗部分を推定したものであります。

3.期中施工高は、(期中完成工事高+当期末繰越工事高うち施工高-前期末繰越工事高うち施工高)に一致します。

 

ロ.受注工事高及び完成工事高について

 当社グループは、建設市場の状況を反映して工事の受注工事高及び完成工事高が平均化しておらず、最近3年間についてみても上半期は次のように季節的に変動しております。

期別

受注工事高

完成工事高

1年通期(A)

(千円)

上半期(B)

(千円)

(B)/(A)

(%)

1年通期(C)

(千円)

上半期(D)

(千円)

(D)/(C)

(%)

第57期

19,362,764

10,349,029

53.4

17,504,701

6,943,672

39.7

第58期

13,993,979

6,604,293

47.2

16,079,900

7,555,897

47.0

第59期

12,733,515

5,935,261

46.6

13,031,433

5,970,599

45.8

 

ハ.完成工事高

期別

区分

官公庁

民間

合計

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

環境工事(千円)

1,186,148

76,732

1,262,880

リニューアル工事(千円)

5,146,086

126,656

5,272,743

トンネル及びその他の設備関連工事(千円)

3,177,547

141,533

3,319,081

耐震関連工事(千円)

3,623,563

2,281,373

5,904,937

その他の工事(千円)

85,544

234,713

320,258

合計(千円)

13,218,890

2,861,009

16,079,900

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

環境工事(千円)

759,674

64,668

824,342

リニューアル工事(千円)

4,022,811

187,585

4,210,396

トンネル及びその他の設備関連工事(千円)

2,607,214

110,339

2,717,554

耐震関連工事(千円)

2,819,952

2,171,199

4,991,151

その他の工事(千円)

62,050

225,937

287,987

合計(千円)

10,271,704

2,759,729

13,031,433

(注)1.当社グループが総合建設会社等民間企業を通じて受注した官公庁発注工事につきましては、官公庁欄に計上しております。

2.完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。

前連結会計年度の完成工事のうち請負工事1億円以上の主な工事

工事名

発注社名

 東名高速道路静岡管内遮音壁補修工事(2020年度)

中日本高速道路株式会社

 福知山高速道路事務所管内南部地区橋梁補修工事

西日本高速道路株式会社

 東北自動車道十和田管内高速道路リニューアル工事

東日本高速道路株式会社

 中国自動車道(特定更新等)仏坂トンネル他2TN覆工補強工事

西日本高速道路株式会社

 安房峠道路安房トンネル補修工事(平成29年度)

中日本高速道路株式会社

 令和元年度山陽自動車道周南高速道路事務所管内橋梁はく落対策工事

西日本高速道路株式会社

 本牧)第2六層耐震補強工事(1期工事)

日産自動車株式会社

 印東加圧ポンプ場1・2号調整池耐震補強工事

印旛郡市広域市町村圏事務組合

 新東名高速道路伊勢原大山IC~秦野IC間照明設備工事

中日本高速道路株式会社

 小仏トンネル他1シェルター非常用設備更新工事

中日本高速道路株式会社

 

当連結会計年度の完成工事のうち請負工事1億円以上の主な工事

工事名

発注社名

 首都圏中央連絡自動車道久喜遮音壁(外回り)工事

東日本高速道路株式会社

 福知山高速道路事務所管内南部地区橋梁補修工事

西日本高速道路株式会社

 中国自動車道(特定更新等)仏坂トンネル他2TN覆工補強工事

西日本高速道路株式会社

 令和3年度中国自動車道三次高速道路事務所管内構造物補修工事

西日本高速道路株式会社

 北陸自動車道敦賀トンネル補強工事のうち背面空洞注入工

中日本高速道路株式会社

 姫路高速道路事務所管内トンネル覆工補修工事(令和3年度)

西日本高速道路株式会社

 高松自動車道国分寺高架橋他5橋耐震補強工事

西日本高速道路株式会社

 関越自動車道山本山トンネル照明設備更新工事

東日本高速道路株式会社

 中央自動車道土岐IC~小牧東IC間コンクリート構造物補修工事

中日本高速道路株式会社

 北陸自動車道山王トンネル照明設備更新工事

東日本高速道路株式会社

 

ニ.手持工事高

(2023年3月31日現在)

 

区分

官公庁

民間

合計

環境工事(千円)

536,096

7,557

543,653

リニューアル工事(千円)

3,619,058

10,337

3,629,395

トンネル及びその他の設備関連工事(千円)

1,139,662

28,229

1,167,892

耐震関連工事(千円)

1,583,777

906,804

2,490,582

その他の工事(千円)

14,873

3,718

18,591

合計(千円)

6,893,468

956,647

7,850,115

(注)1.当社グループが総合建設会社等民間企業を通じて受注した官公庁発注工事につきましては、官公庁欄に計上しております。

 

2.手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。

手持工事(2023年3月31日現在)のうち請負金額1億円以上の主な工事

工事名

発注社名

完成予定年月

令和4年度中国道千代田高速道路事務所管内構造物補修工事

西日本高速道路株式会社

2025年6月

中国道山口高速道路事務所管内(西地区)構造物補修工事

西日本高速道路株式会社

2024年11月

中央自動車道土岐IC~小牧東IC間コンクリート構造物補修工事

中日本高速道路株式会社

2024年10月

一般国道122号蓮田岩槻バイパス並木工区道路改良工事

さいたま市

2024年3月

北陸自動車道山王トンネル照明設備更新工事

東日本高速道路株式会社

2025年4月

石畑給水所耐震補強工事

東京都水道局

2024年12月

高松自動車道国分寺高架橋他5橋耐震補強工事

西日本高速道路株式会社

2024年7月

高松自動車道高松西IC~大野原IC間耐震補強工事(その2)

西日本高速道路株式会社

2026年2月

呑川防潮堤耐震補強工事(その208)

東京都第二建設事務所

2024年3月

北山田浄水場配水池耐震補強工事

草津市上下水道部

2024年12月

 

ホ.商品仕入実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

ファスナー(千円)

1,730,596

1,657,122

土木資材(千円)

3,871,670

4,011,167

建設(千円)

1,641,368

1,637,831

合計(千円)

7,243,635

7,306,121

(注) 金額は、仕入価格で表示しております。

 

ヘ.売上実績

セグメントの名称

区分

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

比率

(%)

金額(千円)

比率

(%)

ファスナー

商品売上高

2,675,780

 

 

2,471,446

 

 

完成工事高

5,547,476

8,223,257

31.7

4,606,122

7,077,568

31.3

土木資材

商品売上高

6,605,735

 

 

6,273,069

 

 

完成工事高

325,828

6,931,563

26.7

506,243

6,779,312

29.9

建設

商品売上高

596,203

 

 

851,372

 

 

完成工事高

10,206,595

10,802,799

41.6

7,919,068

8,770,440

38.8

合計

商品売上高

9,877,719

 

 

9,595,887

 

 

完成工事高

16,079,900

25,957,620

100.0

13,031,433

22,627,321

100.0

(注)1.販売数量につきましては、販売品目が多岐にわたり表示が困難なため、記載を省略しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.当連結会計年度の経営成績について

① 売上高、受注工事高の状況

 当連結会計年度の売上高は、建設事業における商品売上高や土木資材事業における完成工事高の増加があったものの、ファスナー事業及び建設事業における完成工事高の減少があったことなどにより、226億27百万円(前年同期比12.8%減)で、その内訳は、商品売上高が95億95百万円(前年同期比2.9%減)、完成工事高は130億31百万円(前年同期比19.0%減)となりました。また、当連結会計年度の受注工事高は127億33百万円(前年同期比9.0%減)となり、当連結会計年度末の手持工事高は78億50百万円(前年同期比3.7%減)となりました。

② 営業利益、経常利益の状況

 収益面につきましては、売上高の減少や、材料や人件費をはじめとした仕入れコストの増加などにより、営業利益12億77百万円(前年同期比48.7%減)、経常利益13億96百万円(前年同期比46.3%減)となりました。

③ 親会社株主に帰属する当期純利益の状況

 法人税、住民税及び事業税を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は10億52百万円(前年同期比42.8%減)となりました。

ロ.当連結会計年度の財政状態について

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて17百万円減少した結果、261億91百万円(前連結会計年度比0.1%減)となりました。

① 資産の部

 流動資産は、163億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億81百万円(前連結会計年度比3.4%減)の減少となりました。これは主に、完成工事未収入金について、前連結会計年度末において完工物件の増加や工事が進捗したことによる増加があったものの、当連結会計年度末においては工事代金の入金があったことや完成工事高の減少があったことなどによるものであります。固定資産は、98億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億63百万円(前連結会計年度比6.1%増)の増加となりました。これは主に、関東流通センターの土地の取得による増加及び投資有価証券の増加によるものであります。

② 負債の部

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べて4億12百万円減少した結果、66億34百万円(前連結会計年度比5.8%減)となりました。

 流動負債は、63億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億円(前連結会計年度比4.5%減)の減少となりました。これは主に、完成工事高の減少に伴う工事関連の支払債務の減少によるものであります。固定負債は、2億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億12百万円(前連結会計年度比30.7%減)の減少となりました。これは主に、関東流通センターの土地の取得に伴う資産除去債務の減少や投資有価証券の売却や時価評価に伴う繰延税金負債の減少によるものであります。

③ 純資産の部

 純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3億94百万円(前連結会計年度比2.1%増)増加し、195億56百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。

ハ.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

〔ファスナー事業〕

 ファスナー事業の売上高は70億77百万円(前年同期比13.9%減)となりました。商品販売につきましては、鋲螺関係の売上高は堅調に推移したものの、付加価値の高い「あと施工アンカー」等の販売を見込んでいた工事物件の発注遅延が重なったことなどにより売上高が減少したことから、商品売上高は24億71百万円(前年同期比7.6%減)となりました。また、工事につきましては、上下水道施設に関わる耐震補強工事において、特に東日本地区を中心に工事の進捗の遅れなどがあったことなどより、完成工事高は46億6百万円(前年同期比17.0%減)となりました。利益面につきましては適正な原価管理に努めましたが、売上高の減少や原材料価格の高騰などにより経常利益は5億89百万円(前年同期比55.1%減)となりました。

 

〔土木資材事業〕

 土木資材事業の売上高は、67億79百万円(前年同期比2.2%減)となりました。商品販売につきましては、主力商品のロックボルトの販売や北海道・東日本地区におけるトンネル掘削補助工法の資材販売が順調に推移しましたが、西日本地区において大型案件の減少や工事着工の遅れなどの影響による資材販売減少を補いきれず、商品売上高は62億73百万円(前年同期比5.0%減)となりました。また、ロックボルトの販売で得たノウハウを活かし、主に既設トンネルのリニューアル工事を請け負っております。それらの工事につきましては、工事受注高の増加により、完成工事高は5億6百万円(前年同期比55.4%増)となりました。利益面につきましては、鋼材等の原材料価格は引き続き高止まりで推移、また、物流における人件費の高騰による運搬発送費等の上昇などの影響もあり、一部販売価格へ価格転嫁を進めてはおりますが、経常利益は65百万円(前年同期比44.4%減)となりました。

〔建設事業〕

 建設事業の売上高は87億70百万円(前年同期比18.8%減)となりました。商品販売につきましては、引き続き安全対策への需要が継続しており、「フェイルセーフシステム(取付物落下防止対策商品)」の販売が順調に推移していることなどから、商品売上高は8億51百万円(前年同期比42.8%増)となりました。リニューアル工事において当期の受注が堅調に推移し、大型元請物件も順調に竣工いたしましたが、大型工事物件が一巡したことなどにより、完成工事高は79億19百万円(前年同期比22.4%減)となりました。利益面につきましては、売上高の減少や人件費や原材料等のコストの増加などにより、経常利益は7億41百万円(前年同期比36.6%減)となりました。

ニ.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。

ホ.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成状況について

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 当連結会計年度における自己資本当期純利益率(ROE)は5.4%(前年同期比4.5ポイント減少)となり、配当性向は35.0%(前年同期比7.0ポイント増加)となり、配当性向については目標達成となりましたが、ROEについては目標未達成となりました。当該目標を達成できるよう企業努力を行ってまいります。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容について

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローは37億50百万円の収入(前年同期比259.1%増)であり、投資活動によるキャッシュ・フローは9億58百万円の支出(前年同期は10億20百万円の支出)、財務活動によるキャッシュ・フローは5億20百万円の支出(前年同期は6億93百万円の支出)であります。フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は、27億92百万円(前年同期は23百万円)であります。また、当社グループは、複数年にわたる工事も受注していることから、単年でのキャッシュ・フローに加え、3年間累計のキャッシュ・フローも指標として考えております。3年間累計のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローは53億78百万円の収入であり、投資活動によるキャッシュ・フローは24億44百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは18億26百万円の支出であります。また、3年間累計のフリー・キャッシュ・フローは29億33百万円であります。

ロ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報について

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、持続的成長に向けた投資の継続と株主還元のためのフリー・キャッシュ・フローを創出することを基本としております。その創出されたフリー・キャッシュ・フローを財源として、成長投資や株主還元を行ってまいります。成長投資として、既存事業での投資と新規事業創出のための研究開発投資を行い、将来の成長を見据えた人材の確保・育成・活用のための投資を行ってまいります。また、株主還元として、盤石な財務体質を維持しつつ、安定的かつ継続的に配当を行ってまいります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、未成工事支出金、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、有形固定資産及び無形固定資産の取得等によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債である借入金の残高は4億90百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は59億89百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債の数値、並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える様々な要因・仮定に対し、継続して可能な限り正確な見積りと適正な評価を行っております。

 工事契約に該当するものについては、一定の期間にわたり充足される履行義務と判断しております。履行義務の充足に係る進捗率の見積りにあたっては、工事原価総額に対する実際発生原価の割合を合理的に見積る必要があります。工事契約に係る収益の計上の基礎となる工事原価総額は、契約ごとの実行予算を使用して見積りを行っておりますが、工事契約等の実行予算の策定にあたっては、工事等の完成のために必要となる作業内容及び工数の見積りに不確実性を伴うため、当社グループの業績を変動させる可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発は技術部を中心に行っておりますが、各事業部門、管理部門、子会社からの情報を基に各部門の担当者も研究開発活動に参加し、協力してスピーディに技術開発・改良を行い、社会的ニーズに応えることをモットーとしております。

現在の研究開発は、ファスナー事業、土木資材事業、建設事業の3事業分野における新製品開発のみならず、新規分野も含め、材料と施工は常に一体であるとの基本理念の下で、効率的な施工方法の研究、関連する施工機器開発、点検診断機器開発にまで及んでおります。

建設投資の軸足が新設からメンテナンスへと移行しつつある現実を踏まえ、当社グループは保有技術をベースにした、将来の核となるべき新技術・新工法の開発や知的財産の有効活用等も視野に入れ、全社を挙げた総合的な取り組みを行っております。特に、技術革新の必要性がより高まっている現状に対しては、従来から推進してまいりましたオープンイノベーションの活用が極めて重要との認識の下、優れた技術を保有する異業種企業、大学、研究機関、発注機関との技術交流・関係強化を図りつつ、製品、施工技術、点検及びモニタリング技術と建設分野のDX推進に役立つデジタル技術を組み合わせた技術開発を推進しております。

なお、当連結会計年度末におけるグループ全体の研究開発費は、122,389千円であります。

当連結会計年度末における主要な研究開発課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。

 

(1)ファスナー事業

あと施工アンカーは、当社の基盤となる重要技術であり、アンカー単体はもとより、付属する部材や関連機材についても保有技術を応用した研究開発を行っております。その中でもコンクリート構造物せん断補強工法「RMA工法」に注力し「適用範囲を拡大し、かつ施工性や有効率を高めた」建設技術審査証明の更新取得を目指し、研究開発を継続しております。これまでに積み重ねてきた建設技術審査証明範囲の拡大によって着実に適用市場が広がり、競争力の高さも相まって、引き続き業績に貢献し、完工実績は1,500件を超えました。今期は技術審査証明の定期更新年度に当たり、公益社団法人日本水道協会(JWWA)が定めた新規格に上水道施設向けのせん断補強用「RMA-AFカプセル」が適合していることを確認し、更新に反映することができました。本カプセルは上水道施設や水門・堰などの河川構造物、農水事業関連施設等の今後も需要が見込めるせん断補強に最適な製品であります。

道路トンネルの維持管理において市場から求められている、あと施工アンカーが関係する各種の安全対策(緩み止め機能、フェイルセーフ機能等)製品の開発・改良、施工性・確実性・長期耐久性に着目した研究とともに、アンカー点検診断機器開発や施工上のうっかりミスを未然に防ぐプリベンション機能付きの製品の研究開発を継続しております。

アンカー点検診断機器開発においては、開発した機器による点検診断業務を鉄道事業者から継続して受注することができました。建設業界以外のお客様からも様々なお問い合わせをいただいており、ご要望にお応えするべく改良改善を進めてまいります。

一方、今後需要の広がりが予想される、あと施工アンカー用注入式無機系定着材として開発を進めていた「SRインジェクションカプセル」は、前期の1,000mlタイプの上市に続き、2,000mlタイプを上市し、計画していたラインナップの開発が完了しました。また、本製品群は、これまで対象としていた先充填方式だけでなく、あと注入方式の施工においても十分な性能を発揮することが確認されたことから、あと注入方式を標準的施工方法に加えるべく、最終の品質チェックを進めております。

また、コンクリート構造物の小片はく落対策製品「ガイナメッシュ」の固定用アンカーとして埋込長15d仕様の「ホーク・ガイナフィックス」、マンホール補修用の「ホーク・MGSアンカー」を上市しました。前者は、ガイナメッシュシートとの併用で小片はく落はもとより不安定になりやすい被りコンクリートをコアコンクリートに固着可能なあと施工アンカーであり、期中に販売実績を上げました。後者は、公益社団法人日本下水道協会のG4規格を満足し、1~3号マンホールに使用可能なエポキシ樹脂併用ねじ込み式アンカーです。

今後もあと施工アンカーに対する市場の声をいち早く製品に反映することに傾注し、順次新製品を上市してまいります。

(ファスナー事業研究開発費 26,450千円)

 

(2)土木資材事業

山岳トンネル新設工事におけるロックボルト、各種補助工法、防水シートの改良開発をプロジェクトごとの対応を中心に継続しております。これらは、施工現場のニーズに即応し、売上に直結した研究開発活動となります。

今期は、SDGsの取り組みの一環として、二酸化炭素削減を目的とした「SNエコモルタル」を開発しました。この製品は使用するセメント量をフライアッシュに置き換えた製品で、製造時に多量の二酸化炭素を発生するセメントの使用量を減じ、産業廃棄物であるフライアッシュを再利用する地球に優しい製品であります。さらに既存製品であるモルタル自動投入機「こぞうさん」を採用することでモルタルを梱包している袋体が不要となり、袋体製造時および廃棄時の燃焼にて発生する二酸化炭素量も低減することができます。

ロックボルト、補助工法の施工は、山岳トンネル新設工事において掘削断面である切羽に近い場所での作業となり危険度が高く、また作業員の高齢化や人材不足などの理由により、作業の自動化や省力化が求められております。ロックボルト打設の自動化では、ロックボルト連結時にドリルジャンボで簡単に接続できるロックボルトと特殊ジョイントスリーブを開発しました。モルタル充填の自動化では、機械メーカーと共同でセメントカプセルの自動装填システムの開発に取り組んでいます。また、定着材が不要な鋼管膨張型ロックボルト「RPEロックボルト」の自動化では、施工技術のノウハウを活かしてドリルジャンボの大きな改造を伴わずに、コンパクトなユニットを取り付け、注水ポンプの改良を加えることで機械式打設が可能となるシステムの開発に取り組んでおります。

トンネル工事のICT化では、すでに販売を開始している「SMERTジャッキ」に加えて、防水シートの加圧試験、負圧試験の省力化と計測のデジタル化、無線化を目的とした、試験装置の開発に取り組んでいます。

ウォータータイトトンネル分野では、鋼製支保工に固定する新型吊り鉄筋金具「インテロック」を開発しました。防水シートに穴をあけて「インテロック」を取り付けますが、高水圧下でも十分な止水性を備えていることから、防水シート工の品質向上と鉄筋組立作業時の安全確保の両面で貢献できる製品となっております。

既設トンネルの補強工事では、定着材が不要なロックボルト「セイバーEX」の高耐力タイプ、小断面からも打設可能な連結タイプの開発も進めており適用範囲の拡大に努めています。また、製品販売だけでなく工事分野にも注力し、トンネル補強工事をターゲットとして前期に開発した「新型のクローラードリル」は、NEXCO覆工再生事業の一環での北陸自動車道曽々木トンネルをはじめ、長野県外沢トンネル、長野自動車道一本松トンネル等においてロックボルト補強工事で稼働実績を上げました。

新規事業分野においては、建設工事に伴って発生する重金属を含むずり処理対策製品として上市した吸着層工法用シート「パデムシート」は、NETIS登録が完了して多くのお問い合わせをいただいており、引き続き製品改良の継続と積極的な営業活動に取り組んでまいります。一方、着手7年を経過した「微生物を用いたセレンの無害化工法開発」においては、「微生物利用指針」の審査が環境省・経済産業省との面談まで進展致しました。60期中の「微生物利用指針」の認証を目指し、製品上市に向けて研究開発に取り組んでまいります。

また、新規事業分野として、斜面の防災・補強もターゲットとして研究開発を進めております。これまでに優れた耐食性能を有する「IBO-Zロックボルト」を斜面安定工法にも適用できるよう施工システムの開発に取り組んできましたが、小型の機械でも施工できる工法「ホーク・ネイリング工法(仮称)」の完成に目途が立ち、試験施工を経て来期には上市の見込みです。

今後も、各種の新設・補修補強プロジェクトにおいて求められる技術開発、既製品の改良に加え、新規事業分野の有望技術の研究開発に取り組んでまいります。

(土木資材事業研究開発費 62,379千円)

 

(3)建設事業

トンネル内装工、耐火工、背面空洞充填工、コンクリート補修・補強工法等に適用する材料、工法、機器の改良開発、トンネル維持管理補修工事の安全対策ソリューション開発のほか、点検診断の省力化につながるシステムの研究開発を継続しております。

今期は、前期に上市した「ガイナトンネル内装シート」の粘着技術を応用した視線誘導ラインシートの試験施工を東名高速道路の供用中のトンネルで実施しました。得られた様々な知見をもとにシートの改良を進めており、来期には視線誘導ラインシートを上市し本格的に工事受注と販売の両面で積極的に取り組んでまいります。

繊維接着系工法を用いる道路トンネルの補修・補強工事において、結露が発生した際の品質確保と施工効率向上を両立する新技術としての「結露抑制システム」について、中国自動車道の元請け現場において実装機を導入し連続的に結露抑制効果を確認しました。来期はシステムの適正化や機動性の向上を図り実用化を目指してまいります。

はく落対策工法では、現場の安全・作業環境の改善を図るため、既存開発製品の皮膚感作性樹脂の低減や、冬季施工など寒冷化の気象条件に左右されないSGA樹脂を構成材料に加え、来期中の上市、工事への導入に向け、改良・改善を進めてまいります。

新幹線大規模改修工事に向けた各種の製品開発を進めております。今期は、トンネル目地部のはく落対策製品「ガイナメッシュ」シリーズに新たなフェイルセーフ機能を追加し、上市に向け、供用中のトンネルにおける試験施工を実現するべくPRを進めてまいります。

高目付繊維補強材料である「SHシート」について、改良や詳細な性能評価を進めてまいりました。その結果、新たに「SHシートボード工法」として上市しました。コンクリート構造物だけでなく鋼構造物にも適用可能な高目付繊維補強工法として、来期にはNETIS登録や技術資料などの販売ツールを整備し、スペックイン活動を本格化してまいります。

また、トンネル分野以外の道路付帯施設、橋梁等の補修補強工事、点検診断維持管理技術、解析技術に総合的に取り組む事業体制をさらに強化するための研究開発のほか、橋梁下部工や、斜面、盛土等の「基礎分野」の補修補強、維持管理技術等の新規分野においても、研究開発・保有技術の応用展開を継続しております。

既設基礎の補強や構造物の支持力対策、地盤・斜面の補強、橋梁下部工耐震補強に適用できる小口径鋼管杭「STマイクロパイル工法」は、国土交通省土木研究所と当社を含めた民間企業との共同研究開発からほぼ20年となり、現在でも着実な売り上げを堅持していますが、工法としての信頼性を高めるためセンサを利用した「支持層地盤探査システム」の研究開発を進めており、学会発表、特許取得と並行して実際の現場でも良好な試行結果が得られており、来期の上市を目指しております。

また、新たな事業分野となる橋梁モニタリングシステムの開発に取り組んでおります。全国に2m以上の橋梁は約70万橋ありますが、2023年には約17万橋、10年後の2033年には約27万橋が建設後50年を経過します。このような状況の中、多数の橋梁の維持管理を効果的、かつ効率よく行うには、劣化の進行程度を把握するモニタリングが必要とされています。当社が開発中の橋梁モニタリングシステムは、データ無線送信機能付加速度センサを用いて橋梁がもつ固有の振動データを計測し解析を行うことにより、橋梁の劣化進行度の把握を可能にするシステムとなっております。また、被災した橋梁の状態把握にも活用可能であります。劣化進行度を把握することにより、メンテナンスが必要とされる橋梁を抽出して維持管理のサポートが可能となる橋梁のモニタリングシステムを目指しております。

新工法開発、工法改良、各種安全対策ソリューション等の成果が、トンネル補修補強工事の元請け受注や他社への技術提供につながることから、今後も施工品質と長寿命化をキーワードに研究開発に取り組むとともに、長期的なインフラ維持管理に欠かせないIoT技術とその活用に必要なAIの適用研究にオープンイノベーションを通じて取り組み、建設分野のDX推進に貢献してまいります。

(建設事業研究開発費 33,560千円)