文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「誇りうるナンバーワンホテルグループの創造を通じ、社会に貢献すること」を経営の基本理念としております。そしてお客様に「感動と満足を提供するホテルとなること」を目指して、「新規需要の開拓」と「マーケット毎の施策推進」を戦略の柱に、多様なお客様のニーズに対応した商品(サービス)を開発して事業の発展を図ることで「最高級のホテルとしてのブランド」を確立し、お客様・株主・従業員などすべての利害関係者が求める「企業価値」を高めていくことを基本方針としております。
(2) 経営環境
① 市場環境
(プラスの環境)
・大阪・関西万博の開催(2025年)
・統合型リゾート施設(IR)の開業
・なにわ筋線の開業
(マイナスの環境)
・新型コロナウイルス感染症の影響
・新規開業ホテルの増加
② 競合他社の状況
当社グループは、ホテルの経営を主たる事業としておりますが、当該事業は比較的参入障壁が低く、中小事業者を含め、市場には多数の競合が存在します。また、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中、他業種の新規参入が相次ぐ等、ホテル市場は供給過多が懸念されております。
当社グループは、主要ホテルがフルサービス型のシティホテルであるため、宿泊、宴会、レストラン部門などバランスのとれた売上構成であります。当社が培ってきた永年の歴史に裏打ちされた顧客基盤を有し、顧客セグメントに応じてそれぞれの部門において販売施策を講じております。
③ その他
社会のデジタル化が急速に進展する中で、変化にスピーディーに対応し、様々な新しい技術を積極的に取り入れ、当社グループの生産性向上・業務効率化並びにお客様の利便性向上につなげることが必要不可欠であると認識しております。
(当社グループにおけるデジタル化の取り組み)
・新会員サービス「リーガメンバーズ」システムの活用
・購買・調理・物販製造等の新システムの導入
・IT企業との人材交流 等
(3) 中期経営戦略ならびに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の見通しにつきましては、長期化するウクライナ情勢や円安による物価上昇、原材料・エネルギー価格の高騰等、依然として不透明な状況が続いておりますが、新型コロナウイルス感染症による行動制限がなくなり、社会経済活動の正常化に向け大きく前進することが期待されます。
ホテル業界におきましても、原材料費・光熱費の増加による収益の悪化が懸念される一方、訪日外国人客数が増加するなどの明るい兆しも見えております。
こうした環境認識を踏まえ、引き続き「生産性と業務効率の向上」を柱に、「ホテルビジネスの再構築」、「マーケティング力の強化」、「人事運営の改革」に取り組んでまいりますが、特に「ホテルビジネスの再構築」については、BGOとの資本業務提携等を踏まえ、以下の通り、これまでの資産保有と運営が一体化されたビジネスモデルから運営に特化したビジネスモデルへの転換を図ると共に、当社グループの中核を担うリーガロイヤルホテル(大阪)のブランド価値向上等に取り組んでまいります。
① アセットライトなビジネスモデルでの新規ホテルの展開
新規ホテルの展開は、運営に特化したビジネスモデルで成長するために欠かせないと考えております。
本資本業務提携先となるBGOは、国内ホテルアセットに対して約500億円の投資実績があり、今後も3,000億円超をホテルアセットに投資することを計画しております。今後、BGOとのパイプライン契約も積極的に活用しながら、国内を主体に優良な運営ホテル数を増加させ、ロイヤルホテルグループとしての展開拡大を図ってまいります。
② リノベーションによるブランド価値の向上
リーガロイヤルホテル(大阪)は、2025年3月を完了目途として、リノベーションを行います。リノベーション対象は客室のみならず、宴会場やレストラン、公共エリアも含んでおり、劣化が見られたハード面の全面的な刷新を予定しております。リーガロイヤルホテル(大阪)の伝統や歴史に重きをおいた改修・改装デザインに加えて、IHGのラグジュアリーセグメントのブランド基準を満たす施設となることで、リーガロイヤルホテル(大阪)の競争力を大幅に高めることが期待されます。
これにより、2025年に開催される大阪・関西万博やその後に続くIR開業による収益機会の最大化と、国内外のお客様の満足度の更なる向上に向けた準備が整い、当社グループの中核を担うリーガロイヤルホテル(大阪)ブランド価値の向上を図ります。
③ インバウンド対応力の強化によるホテルオペレーターとしての能力の向上
リーガロイヤルホテル(大阪)は、インターコンチネンタルホテルズグループ(IHG Hotels Limited 及びIHG Japan (Management) LLCを総称して、以下「IHG」という。)のラグジュアリーセグメントであるVignette Collectionの導入にあわせて、IHGが有するグローバル販売網を最大限に活用することで、海外富裕層をはじめとした新たな顧客層を取り込みます。IHGが運営する会員組織「IHG One Rewards」は全世界で1億人以上の会員数を誇り、この会員組織を活用することで、当社の海外マーケットにおける販売ネットワークを充実させることができます。アフターコロナのインバウンド需要は従前以上に増加することを見込んでおり、その需要を効率的に取り込める仕組みを速やかに構築してまいります。また、リーガロイヤルホテル(大阪)で培ったホテルオペレーターとしての各種ノウハウをグループホテルに横展開することで、ロイヤルホテルグループ全体の競争力強化を図ってまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
未だに新型コロナウイルスの感染症の収束が見通せず、業績に与える影響も不透明であることから、新たな中期経営計画は作成しておりません。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社では気候変動への対応も含めたサステナビリティに関する事項(ただし、コンプライアンス及びリスク管理に関する事項を除く)を審議・議論し、方針を決定する機関として「サステナビリティ委員会」を設置しています。推進委員として本社部門長、グループホテル総支配人が任命され、サステナビリティに関する取り組みを年2回の委員会で報告しております。その内容は経営会議・取締役会へも報告され、その活動を監督しています。

当社は日本全国および海外においてホテルおよびホテル附帯事業とその新規開発を行っております。サステナビリティ活動については5つのマテリアリティを定め、中でも特に当社の事業活動において影響の大きい「環境」「人材」面を重視し、これらのリスクや機会に対応することで持続可能な社会の実現に取り組んでいます。
1.環境
気候変動による気象災害増加は、営業活動における売上機会損失や原材料・エネルギーコスト高騰による利益圧迫など当社の事業活動に大きな影響を及ぼします。当社ではCO2排出量の軽減、食品ロスの削減等の対策により環境負荷軽減に努めます。
①CO2排出量の算出および削減
照明のLED化など省エネ効果の高い設備への切り替え、バックオフィスにおけるクールビズ・ウォームビズの推奨による空調温度の適正化を行うことでCO2削減を図ります。また、更に削減を図る為、まずは各事業所におけるCO2排出量の算出を推進し、CO2排出量の可視化に取り組んでいます。
②特定プラスチック製品提供・排出量の削減
2022年4月の「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」施行にあたり、当社の各事業所において特定プラスチック製品の提供合理化、再生プラスチックへの素材転換、水平リサイクル、軽量化を実施しました。これからも引き続きプラスチック製品提供・排出の削減に努めてまいります。
③食品ロスの削減
大型の宴会場やレストランを備えるホテルでは、食品ロスは大きな課題の1つとなっていますが、製造過程では野菜の端材まであますことなく使用するよう工夫しています。また廃棄食材から作られた堆肥で育てたお米を従業員食堂で提供することで食の循環にも取り組んでいます。
2.人材
サービス業全般において人材不足が課題となるなか、人的資本の価値向上が当社の企業価値の向上に不可欠であると考えています。すべての従業員が自身の能力を最大限に発揮し、心身ともに健康的に働ける「働きやすい会社」、仕事に誇りや価値を感じられ、会社・従業員同士を信頼でき、自身の成長を感じられる「働きがいのある会社」、これらの実現を通じて企業の成長を図ってまいります。
①人材育成の方針
・幅広い人材を確保する採用活動
高等学校や専門学校へ卒業生などをリクルーターとして派遣し、意欲の高い学生の確保に努めています。採用後はメンターを設置し、メンタル面のサポートを行うことでエンゲージメントの向上と離職率の低下を図っています。
専門性の高い職種においては中途採用を推進することで組織力の向上を図っています。また、外国人の採用も積極的に行い、インバウンド対応力の強化を図っています。
・多彩なキャリアを支援する研修制度
階層別の研修を行うことで従業員本人のキャリア志向を具体化し、ステップアップを支援します。
調理など専門性の高いスキルを磨く研修や、経営管理能力向上のための研修など、多彩なキャリアの人材を育成することで企業の持続性を高めます。
②社内環境整備
・ライフステージにあわせた支援制度
女性・男性の育児休業取得推進や休業中・休業後の支援、介護・看護休暇などライフステージに合わせた支援制度を充実し、働きやすい環境の整備を進めています。
・女性活躍推進
女性ライン管理職へ役員のメンターをつけることで、さらなるキャリアアップを後押しし、意欲的に管理職を目指す女性が生まれやすい土壌を醸成します。
当社では各事業に相当程度の影響を与えうるすべてのリスクを発見・特定し経営レベルで掌握、各々のリスクが経営に与えるインパクトを客観的に計測し、対応の優先順位を明確化されることなどを目的として「リスク管理委員会」を設置しております。
「リスク管理委員会」はリスク管理における意思決定機関として、リスク管理取組全体の方針・方向性の協議・検討を実施し、必要に応じ取締役会、経営会議に諮ることで適切に監督を行っております
1.環境
環境を守るための行動を常に継続します。
① CO2排出量の削減
・リスク:気象災害発生増加・激甚化による売上機会減と仕入れコスト増
・機会 :省エネ推進によるコスト削減
・対応 :照明のLEDへの変更、エレベーター稼働数制限等
・指標 :CO2排出量削減
・目標 :2023年度内にCO2排出量把握(測定システム導入)、2025年度より排出量削減目標を策定予定
② 特定プラスチック提供量の削減
・リスク:燃料費高騰によるコスト増
・機会 :提供量の軽減・見直し・リサイクル実施によるコスト減
・対応 :原材料の転換・水平リサイクルの実施
・指標 :特定プラスチック提供量
・目標 :2025年度特定プラスチック使用製品の提供に係る原単位(g)が2019年度の提供量(※)に対して
△77%(バイオマス・再生プラスチックを除く。)
※ コロナ影響前の直近年度で且つ提供量(仕入れ量・製品の重さ)の把握が可能な年度
2.人材
あらゆる人材が自身の人生を充実でき、能力を発揮できる環境を目指します。
① あらゆる人材が輝ける職場環境づくり
・リスク:人材の流出・獲得困難、ノウハウの逸失、エンゲージメントの低下
・機会 :生産性の向上、採用コストの削減、インバウンド対応力強化
・対応 :育児・介護休業取得の推進、女性活躍プロジェクトチーム設置、ダイバーシティ推進、
メンター・メンティ制度設置
・指標及び目標 :「指標及び目標」については、「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。
② 能力開発のサポート
・リスク:事業の継続的成長が望めなくなる
・機会 :自己実現の機会提供による生産性の向上、多様な事業への対応機会
・対応 :各種研修実施、自己研鑽制度の整備、リスキリングの機会提供
・指標 :調理職海外研修派遣、社内コンテスト開催、各種研修実施
・目標 :調理職海外研修派遣 :派遣開始よりの延べ人数 129名へ(2023年度内)
社内コンテスト :調理職・サービス職別に交互に年1回以上開催
各種研修 :英語、IT研修、社外オンライン研修等、2023年度の参加者数を把握し、
2024年度以降の目標を策定予定
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)主要なリスク
① 景気、海外情勢等(新型コロナウイルス感染拡大のリスク)
当社グループは、宿泊、宴会、婚礼、食堂等の事業を中心に展開しておりますが、一般消費者の消費動向や企業の業績動向の他、国家間の関係悪化、テロ、自然災害、流行疾患等の影響が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
その程度については、当該事象の内容により様々であると認識しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性については、2011年に東日本大震災、2019年に日韓関係の悪化、2020年に新型コロナウイルス感染症等が発生しております。
当該リスクへの対応については、リスク管理委員会を設置し、各種リスクの分析と評価を行うとともに、対策マニュアルやBCPを策定しております。また、実際に自然災害等のリスクが顕在化した場合は、速やかに対策本部を立ち上げ、対応する体制を整備しております。
なお、当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限が緩和され、感染症法上の位置づけの見直しが発表される等により宴会及びレストラン等の売上は増加いたしましたが、不透明感が強く、今後長期化、深刻化した場合には、当社グループの業績はさらに深刻な影響を受ける可能性があります。
新型コロナウイルス感染症への対応については、お客様及び従業員の安全、安心を第一に考え、各種業界ガイドラインに沿った感染防止策を徹底するとともに、従業員の日々の健康チェック、手洗い・うがいの徹底等を実施しております。また、感染者が発生した場合の対策マニュアルやBCPを策定しております。
② 食品の安全性及び表示
当社グループは、食事の提供と食品の販売を行っており、食品の安全性及び消費・賞味期限、産地、原材料等の表示については日頃より十分な注意を払っておりますが、食中毒あるいは誤表示等、食の安全に対する信頼を損なう事態が生じた場合、信用の失墜から、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
その程度については、当該事象の内容により様々であると認識しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性については、近年においては開示及び当局への届出を余儀なくされる事態が数件発生しております。
当該リスクへの対応については、社内に安全衛生管理室を設置し、衛生管理マニュアル等の整備を通じて「食品衛生法」「JAS法」「景品表示法」等の法令遵守の徹底を図るとともに、定期的な衛生検査、メニュー表示チェック等を実施し、食中毒の未然防止、食品検査の充実、メニュー・食品表示の明確化等に努めております。
③ 個人情報の管理
当社グループは、顧客等の個人情報を保有しており、社内教育を通じて個人情報管理体制の強化を図る等、その管理は厳重に行っておりますが、万一個人情報が漏洩した場合、信用の失墜から、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性及びその程度については、当該事象の状況により様々であると認識しております。
当該リスクへの対応については、「個人情報保護法」の趣旨に則り、社内規程の整備、情報システムのセキュリティ向上、従業員教育の充実等により、管理体制の強化に努めるとともに、保険を付保することによって業績への影響に備えております。
④ 労務関連
当社グループは、多くのパートタイム従業員を雇用しており、今後、社会保険や労働条件等の労務環境に変化がある場合、人件費の増加から、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、パートタイム以外の従業員の処遇等についても、関連法令や労務環境に変化がある場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
その程度については、当該事象の状況により様々であると認識しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性については、近年各種保険料率は上昇傾向にあり、多少なりとも影響が生じております。
当該リスクへの対応については、「人事運営の改革」を重要戦略の1つとして掲げ、従業員のモチベーションの向上や労働環境の整備等を進めております。
⑤ 施設の毀損、劣化等
当社グループは、事業用に相応の固定資産を所有しており、火災、台風、地震等の災害により施設の毀損、劣化等の事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
その程度については、当該事象の状況により様々であると認識しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性については、2018年に台風21号により修繕を必要とする建物被害が発生しております。
当該リスクへの対応については、計画的に建物・設備の点検・補修を行い、耐震補強等の防災対策工事を推進するとともに、保険を付保して業績への影響に備えております。
⑥ 財務関連
a.減損会計
当社グループは、事業用に相応の固定資産を所有しており、将来における地価の動向や収益状況によっては、減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
その程度については、当該事象の状況により様々であると認識しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性については、当連結会計年度、東京都新宿区のホテルの資産グループにおいて、回収可能価額にまで帳簿価額を減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響が今後長期化した場合は、更なる減損損失計上の可能性が高まるものと認識しております。
当該リスクへの対応については、設備投資計画時に資産性を慎重に判断したうえで、将来キャッシュ・フローが十分に見込まれる事業用固定資産を計上するように努めております。
b.投融資
当社グループは、国内各地でホテル展開を行っており、投融資先の個別ホテルの業績動向によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
その程度については、投融資先の個別ホテルにより様々であると認識しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性については、新型コロナウイルス感染症の影響が今後長期化した場合は、当該リスクも高まるものと認識しております。
当該リスクへの対応については、投融資先の個別ホテルに対する運営指導を徹底し、業績の向上に努めております。
(2)リスクへの取り組み
当社グループは、リスク管理を体系的に規定する「リスク管理規程」に基づき、取締役常務執行役員浅沼吉正を委員長とする「リスク管理委員会」を設置し、リスク管理体制の整備・運用を行っております。
当連結会計年度も、「リスク管理委員会」においては、経営層、部門長、全従業員の3ルートから、アンケート・ヒアリング等により、当社グループ内のリスクを収集し、発生可能性と重要度の観点から評価・分析しました。そのうえで、各所管部署にフィードバックを行い、各所管部署における対応策の検討状況をモニタリングするとともに、特に重要なリスクに関しては、リスク管理委員会が所管部署と協働して、対策推進に取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
ホテル業界におきましては、まん延防止等重点措置が解除され、全国自治体による旅行・宿泊割引キャンペーン等が実施され、2022年10月には政府による全国旅行支援が開始されました。また、外国人観光客の入国制限が見直され、訪日外国人数が増加するなど、明るい兆しも見えております。一方、原材料費・光熱費をはじめとした各種コストの上昇により、引き続き厳しい事業環境下に置かれております。
こうした環境下、当社グループはお客様の安全安心を第一に考え、感染予防を徹底した上で営業活動にあたるとともに、「生産性と業務効率の向上」を柱に、「ホテルビジネスの再構築」、「マーケティング力の強化」、「人事運営の改革」に取り組んでまいりました。
「生産性と業務効率の向上」につきましては、事務部門の従業員がレストランや宴会場の応援に出向き、接客、会場設営、片付け等を支援する制度を拡充するなど、部門を越えたサポート体制を充実し多役化の練度向上を図りました。また、基幹システムである購買・調理・物販製造のシステム更改を実施いたしました。
「ホテルビジネスの再構築」については、2022年4月に当社グループにとって28年ぶりとなる海外での新ホテル「リーガロイヤル・ラグーナ・グアム・リゾート」がオープンいたしました。さらに、2023年4月には京都市内に3軒目となる新ホテル「リーガプレイス京都 四条烏丸」を開業いたしました。地下鉄「四条」駅から徒歩2分と交通利便性に優れ、観光・ビジネスの拠点として便利な宿泊主体型のホテルです。
「マーケティング力強化」の取り組みとしては、スマートフォン向けアプリを活用した「リーガメンバーズ」の会員数が2023年3月末時点で約26万人と1年前から倍増し、多くのお客様にご利用いただいております。ホテルの宿泊・レストラン・メリッサ・オンラインショップ等のご利用毎にポイントが貯まり、クーポンやキャンペーン情報を定期的に受け取っていただけます。
「人事運営の改革」については、エンゲージメントサーベイ(従業員満足度調査)の継続、メンタルヘルス講演会の実施等、コロナ禍における従業員のモチベーション維持・向上に努めました。若年層教育の一環として、直属ではない先輩から各種サポートを受ける「メンター制度」をグループホテルに展開いたしました。さらに、女性の視点から働きがいの醸成と働きやすさの整備について考える部門横断チーム(Royal Women’s Committee)の活動を、アドバイザーに女性の社外取締役を迎えスタートしました。また、従業員の健康増進にも取り組み、「健康経営優良法人」に3年続けて認定されました。
また、当社は、2023年3月にベントール・グリーンオーク・グループ(注、以下「BGO」)との間で、
① 資本業務提携
② リーガロイヤルホテル(大阪)の土地、建物の信託受益権等のBGOへの譲渡
③ リーガロイヤルホテル(大阪)の運営受託
を主な内容とする契約を締結いたしました。
(注)BGOは、カナダの大手生命保険会社グループである Sun Life Financial Inc.傘下の不動産プライベート・エクイティファンドを運営する企業グループです。世界28拠点にオフィスを構え、2022年9月末現在で、ファンドエクイティ総額約800億米国ドルを組成しています。日本市場においては、これまでに7,000億円程度の不動産関連資産への投資実績を有しており、今後3,000億円超の資金をホテルアセットに投じることを計画しています。
リーガロイヤルホテル(大阪)は、引き続き当社が運営するホテルとして営業を継続しながら、BGOによる2025年3月完了を目途とした総額135億円の大規模なリノベーションが行われ、世界最大級のホテル運営会社の一社であるIHGのソフトブランドである「Vignette Collection」(注)を導入することといたしました。リノベーション完了後は、リーガロイヤルホテル(大阪)の名称を「リーガロイヤルホテル(大阪) -Vignette Collection」に変更したうえでリニューアルオープンすることを予定しております。
(注)Vignette Collection は、世界100ヵ国以上で6千件以上のホテル運営を手掛ける世界最大級のホテル運営会社の一社であるIHGのソフトブランドです。Vignette Collectionは、IHGブランドの中で最上級のラグジュアリーセグメントに位置付けられており、各ホテル独自の展望とストーリーを持った個性的なホテルの構築を目指しています。今回のリーガロイヤルホテル(大阪)への導入が本邦初のVignette Collectionホテルとなります。
本契約締結を決断した経緯、理由等は次の通りです。
当社は、1935年にリーガロイヤルホテル(大阪)の前身である新大阪ホテルを開業して以降、87年に亘り国内外でホテル運営を手掛けてまいりました。その中でも、1965年に開業した現在のリーガロイヤルホテル(大阪)は、関西財界各社の協力のもと、約60年に亘り大阪の迎賓館として国賓をはじめ多くのお客様をお迎えしてまいりました。
アフターコロナを見据え、大阪・関西万博やIR開業等で予想されるインバウンド需要の拡大や中之島5丁目地区の再開発への対応について、その道筋を明確化するためには、抜本的な経営戦略の見直しと財務体質の改善が急務であると判断し様々な検討を重ねてまいりました。
その結果、当社グループの中核を担うリーガロイヤルホテル(大阪)のブランド価値向上と運営継続を前提として、これまでの資産保有と運営が一体化されたビジネスモデルから、運営に特化したビジネスモデルへの転換を図ることが、将来的な企業価値の向上に最適な戦略であると判断いたしました。
さらに戦略の実現に向けて、BGOとの資本業務提携も含めた検討を行う中で、以下の点から当社の課題解決及び成長戦略に資する内容であると判断いたしました。
① リーガロイヤルホテル(大阪)のブランド価値及び競争力向上に必要なリノベーション投資が実現すること
② リーガロイヤルホテル(大阪)へのIHGのソフトブランド導入により更なる差別化が図れ、富裕層を中心としたインバウンド対応力の強化が期待できること
③ 関西財界の「賓客のための近代的なホテルを大阪に」という要望から当社が生まれたという歴史的な経緯やビジネスモデルが尊重され、リーガロイヤルホテル(大阪)を再開発する場合にもラグジュアリークラスのフルサービス型ホテルが含まれ、且つ当社によるホテル運営が継続される契約となっていること
④ 財務体質の改善と今後の成長資金の確保が可能となること
⑤ BGOが取得する優良なホテルに対する運営受託の優先交渉権が得られ、当社の運営ホテル数拡大が期待できること
BGOとの資本業務提携の主な内容は以下の通りです。
① BGOによる当社への資本参加
BGOが設立した株式取得SPCが、株式会社三井住友銀行が保有する当社のA種優先株式300,000株のうち174,500株を取得し、普通株式を対価とした取得請求権が行使されました。取得請求権の行使後、BGOが保有する総株主の議決権数に占める割合は約33%となりました。なお、当社は、BGOに対して、代表取締役1名を含む当社の取締役2名を指名する権利を付与いたしました。
② ホテル展開に関するパイプライン契約の締結
今後、BGOが取得するホテルに関する運営受託契約等の優先交渉権を当社が保有いたします。これにより、当社は運営に特化したビジネスモデルへの転換を図る上で大きな戦略的アドバンテージを得ることができ、優良な運営物件を効率的に拡大することが可能になると考えております。
本譲渡後、当社は金融機関からの借入を全額返済するとともに、B種及びC種優先株式の全額償還を行いました。なお、BGOが取得しない残りのA種優先株式は、株式会社三井住友銀行が継続保有する予定です。株式会社三井住友銀行は当社の創業以来の主力取引銀行であり、今後も当社の経営及び財務面をご支援いただく予定です。
また、リーガロイヤルホテル(大阪)の土地、建物の信託受益権等をBGOへ譲渡した件につきまして、当社は、BGOが設立した不動産取得SPCに対して、15億円の匿名組合出資を行いました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、26,397百万円と前期比9,932百万円(60.3%)の増収となりました。
損益面では、連結営業損失2,986百万円(前連結会計年度は連結営業損失8,217百万円)、連結経常損失2,129百万円(前連結会計年度は連結経常損失4,550百万円)となりました。リーガロイヤルホテル(大阪)の土地、建物の信託受益権等を譲渡したことに伴い、固定資産売却益15,576百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は13,315百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失4,811百万円)となりました。
なお、当社グループは、ホテル経営及びホテル附帯業務を事業内容としており、事業セグメントが単一であるため、セグメント情報を省略しております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
(部門別売上実績)
(注) 受注生産は行っておりません。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ27,815百万円減少し32,105百万円となりました。
内訳では流動資産が同11,383百万円増加し17,305百万円となりました。これはリーガロイヤルホテル(大阪)の土地、建物の信託受益権等を譲渡したことに伴い、現金及び預金が10,802百万円増加したこと等によります。固定資産は同39,198百万円減少し14,799百万円となりました。これは上記と同様、土地、建物の信託受益権等を譲渡したことにより有形固定資産が40,639百万円減少したこと等によります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ30,669百万円減少し13,162百万円となりました。これはリーガロイヤルホテル(大阪)の土地、建物の信託受益権等の譲渡代金の一部を借入返済に充当したことに伴い、借入金が31,800百万円減少したこと等によります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ2,854百万円増加し18,942百万円となりました。これはB種優先株式及びC種優先株式を全株取得し消却したことに伴い、その他資本剰余金が10,492百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を13,315百万円計上したこと等によります。これにより自己資本比率は、前連結会計年度末の26.8%から59.0%になりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、投資活動による資金が増加したため、前連結会計年度末と比べ10,802百万円増加し、14,361百万円となりました。
当連結会計年度の営業活動により得られた資金は、81百万円(前連結会計年度は4,100百万円の資金の減少)となりました。これは主に前連結会計年度は税金等調整前当期純損失が4,799百万円であったのに対して、当連結会計年度は税金等調整前当期純利益が13,328百万円であったこと等によるものです。
当連結会計年度の投資活動により得られた資金は、53,419百万円(前連結会計年度は1,128百万円の資金の減少)となりました。これは主に有形固定資産売却による収入が55,500百万円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度の財務活動により使用した資金は、42,698百万円(前連結会計年度は4,033百万円の資金の増加)となりました。これは主に借入金の返済や自己株式の取得による支出等によるものです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、固定資産の譲渡により適切な資金を確保することができました。健全な財政状況を目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出により長期安定資金を確保する方針としております。
資金計画につきましては、基本的に営業活動により得られた資金を有効活用し、設備投資等に充当しております。
当社グループのキャッシュ・フロー指標は次のとおりであります。
(注) 1 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
2 第95期及び第96期の債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
(4) 重要な会計上の見積り及び該当見積りに用いる仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
繰延税金資産については、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、将来の回収可能性を慎重に検討して計上しております。詳細は、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社は、2023年3月10日にベントール・グリーンオーク・グループ(注、以下「BGO」)との間で、①資本業務提携 ②リーガロイヤルホテル(大阪)の土地、建物の信託受益権等のBGOへの譲渡 ③リーガロイヤルホテル(大阪)の運営受託を主な内容とする契約を締結し、2023年3月31日に実行いたしました。
主な内容は以下の通りです。
①資本業務提携
BGOが設立した株式取得SPC(Blossoms Holding HK Limited)が、株式会社三井住友銀行が保有する当社のA種優先株式300,000株のうち174,500株を取得し、普通株式を対価とした取得請求権が行使されました。取得請求権の行使後、BGOが保有する総株主の議決権数に占める割合は約33%となりました。なお、当社は、BGOに対して、代表取締役1名を含む当社の取締役2名を指名する権利を付与いたしました。
今後、BGOが取得するホテルに関する運営受託契約等の優先交渉権を当社が保有いたします。これにより、当社は運営に特化したビジネスモデルへの転換を図る上で大きな戦略的アドバンテージを得ることができ、優良な運営物件を効率的に拡大することが可能になると考えております。
②リーガロイヤルホテル(大阪)の土地、建物の信託受益権等の譲渡
リーガロイヤルホテル(大阪)の土地、建物の信託受益権等をBGOへ譲渡し、BGOが設立した不動産取得SPC(合同会社さくら)に対して、15億円の匿名組合出資を行いました。また、本譲渡後、当社は金融機関からの借入を全額返済するとともに、B種優先株式及びC種優先株式の全額償還を行いました。
③リーガロイヤルホテル(大阪)の運営受託
当社は不動産取得SPCが設立するリーガロイヤルホテル(大阪)の運営のための特別目的会社(RRHOオペレーションズ株式会社)と運営委託契約を締結いたしました。本運営受託により安定した受託収入を享受でき、事業収支のボラティリティを最小限に抑えることが可能となります。なお、リーガロイヤルホテル(大阪)を建て替える場合には、ラグジュアリークラスのフルサービス型ホテルが含まれ且つ当社によるホテル運営受託が継続されます。Vignette Collectionの導入に伴い、RRHOオペレーションズ株式会社とインターコンチネンタルホテルズグループ間においても運営委託契約が締結されました。
特記事項はありません。