文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「今までにない発想と、限りない技術の追求をもって、人々が躍動する世界を創造し続ける。」を企業理念として、人と世界を結び、瞬時に多くの情報を伝えるインターフェースであるディスプレイを世界中のお客様にお届けしています。現代社会の基盤技術であるこれらディスプレイの供給において、当社グループは、価値創造の源泉である「世界初、世界一」の独自技術とそれを支える人財力を有効に活用し、社会と人の課題解決に取り組んでまいります。そして、全てのステークホルダーの皆様のための未来価値創造実現に向け、全社一丸となって取り組む成長戦略として、2022年5月に「METAGROWTH 2026」を策定いたしました。
「META」は「広範囲で、高度な、普遍的な」を意味し、「METAGROWTH」は当社グループの今後の飛躍的な成長を表しております。
以下は、「METAGROWTH 2026」の2026年に向けた基本方針であります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
① 全体戦略
当社グループは、私たちの存在で、社会が、世界が、コミュニティが今より良くなる社会の実現に向けて、現代社会の基盤技術であるディスプレイの探索と深化を進め、他の追随を許さない競争優位性を確立し、社会の発展にとって不可欠な企業として顧客価値・社会価値を創造いたします。
以下は、「METAGROWTH 2026」における3つの重点施策です。
(ⅰ) 「世界初、世界一」テクノロジーリーダーシップ
・ eLEAP、HMO、メタバース向けの超高精細ディスプレイ、透明ディスプレイ等、既に「世界初、世界一」独自技術で実証しているように、当社は、グローバルディスプレイ業界においてテクノロジーリーダーシップを取り戻しました。この盤石な技術基盤をさらに強化し、飛躍的な顧客価値創出と株主価値向上を実現してまいります。
(ⅱ) 革新的な技術、飛躍的な成長
・ グローバルディスプレイ業界はテクノロジー産業であり、テクノロジーカンパニーである顧客のニーズは、高いコストパフォーマンスを持つ優れたテクノロジーです。当社は、圧倒的なコストパフォーマンスを有するeLEAP等、「世界初、世界一」独自技術を通じて顧客ニーズに対応し、顧客の価値創造と競争優位性をサポートいたします。
・ コモディティ競争に参加せず、唯一無二の革新的な技術で抜本的な収益力向上と飛躍的な成長を実現いたします。
(ⅲ) GreenTech・サステナビリティ経営
・ 環境性能に優れたeLEAP、HMO等のGreenTechにより環境問題に取組むとともに、ESG意識の高い顧客の付加価値創出に寄与します。
・ 企業の存在意義は社会貢献にあり、サステナブル社会に資する経営を堅持してまいります。
・ 「世界初、世界一」への挑戦ができる会社として、社員一人ひとりの成長を支え、風通しの良い企業文化を促進いたします。
② 6つの成長ドライバー
当社グループの「世界初、世界一」の独自技術を「6つの成長ドライバー」として位置付けました。技術基盤を価値創造の源泉とし、脱過当競争・脱コモディティ化により収益性の抜本的な改善を図ります。
(3) 目標とする財務指標
当社グループは、成長戦略「METAGROWTH 2026」において、2027年3月期を最終年度とする5か年の財務目標(KPI)を設定いたしました。しかしながら、世界的インフレに伴う顧客需要の減退や部材・エネルギー費の高騰等により、「METAGROWTH 2026」略策定時から事業環境が大幅に変動したこと、また、外部企業との戦略提携に基づき、今後の事業展開が従来計画から変動する見込みであることから、これらの影響を精査の上、新たな財務指標を設定する予定です。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
当期の業績は、激しい競争環境の継続と世界的なインフレ進行の影響を受け、大変厳しい結果となりました。こうした状況にあって、当社グループは、成長戦略「METAGROWTH 2026」で目指すところの、「『世界初、世界一』の独自技術とそれを支える人財力を経営基盤に新たな顧客価値の創造を実現する」ことが、厳しい事業環境からの脱却とその後の成長に不可欠であることを改めて強く認識しております。当社グループは、盤石な技術基盤をさらに強化し、飛躍的な顧客価値創出と株主価値向上を実現するため、引き続きグループ一丸となって「METAGROWTH 2026」の遂行に取り組んでまいります。
以下は、「METAGROWTH 2026」に基づき「技術立社」としての当社グループが取り組む課題として特に重要なものです。
① 収益力の向上
足元の収益改善に向けては、引き続き固定費の削減に取り組むほか、高騰が続くエネルギー費や、上昇した部材費、輸送費の販売価格への転嫁を図ります。また、設備投資や研究開発は、将来の収益力向上に確実に寄与する案件を厳選し、キャッシュ・フローを重視した経営を行ってまいります。
中長期的な高収益体質の実現に向けては、「世界初、世界一」の独自技術とそれを支える人財力により顧客価値を創出し、脱過当競争・脱コモディティ化による収益力の抜本的な改善を図ります。競合状況の厳しいスマートフォン用ディスプレイから早期の撤退を図り、「6つの成長ドライバー」に経営リソースを集中して、事業ポートフォリオの変革を加速化いたします。成長ドライバーは、①圧倒的なコストパフォーマンスを有する次世代OLED eLEAP、②超低消費電力、高精細化、大画面化を実現するバックプレーン技術 HMO、③メタバース、④AutoTech、⑤Rælclear(レルクリア(透明インターフェイス))、⑥新技術・新製品・新事業の6分野です。これらの技術・製品の提供を通して顧客の価値創造と競争優位性を更に強化することで、収益力の向上を図ってまいります。
また、当社グループは、ロイヤリティ収入獲得のため、知的財産権をさらに積極的に活用してまいります。ディスプレイの基盤技術であるeLEAP及びHMO技術については、他企業にライセンス提供して普及促進を目指すオープン戦略をとっており、2023年中にパートナーとなるライセンス先との契約を締結し、協業の開始を目指します。加えて、当社グループが長年培ってきたIPS(In Plane Switching)技術に係る特許等についても、今まで以上にライセンシング活動を積極的に展開し、ロイヤリティ収入の拡大を目指します。
② 持続的成長と企業価値向上の実現
当社グループは、顧客や市場に求められる技術や製品を継続して開発、生産、供給するための前提となる健全な環境・社会の維持に配慮するサステナビリティ経営を推進します。これにより、持続的な成長を実現することで、企業価値の向上を目指してまいります。
技術・製品の開発においては、環境や社会への貢献を重要な基準とし、ESG意識の高い顧客の付加価値創出にも寄与します。例えば、eLEAPは、生産過程において有機材料の廃棄ロスやCO2排出量を大幅に低減し、HMOは、ディスプレイの消費電力を大幅に低減することを可能とするグリーンテクノロジーです。また、液晶技術を用いて照明の光の広がり方を自在に制御するLumiFreeも、利用シーンに応じた照明環境の最適化を通して使用エネルギーの削減に寄与します。このような環境や社会貢献に資する新たな価値創造に継続して取り組みます。
加えて、当社が2021年8月に署名した世界最大のサステナビリティ・イニシアティブである「国連グローバルコンパクト」の「人権、労働、環境、腐敗防止」の4分野10原則への取組みをグループ全体で推進するほか、数年内には、パリ協定が求める水準と整合した温室効果ガス排出削減中長期目標の「SBT」の認定、及び事業を再生可能エネルギー100%で賄うことを目標とする「RE100」への加盟を目指してまいります。
さらに、これらの当社グループの課題を解決し、飛躍的な成長を実現するために不可欠である人的資本の更なる強化に向け、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できるための環境づくりに取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する考え方
当社グループは、「企業の存在意義は社会貢献にある」との信念のもと、サステナブル社会に資する経営を堅持すべく、サステナビリティ経営を経営戦略の中核として位置づけています。社会貢献の実現に向け、事業を通じた社会と人の課題解決に取り組むとともに、持続的な成長と企業価値向上の実現を目指しております。
また、当社グループは、「今までにない発想と、限りない技術の追求をもって、人々が躍動する世界を創造し続ける。」ことを掲げております。人々が躍動する世界を創造するためには、まず、人、社会、地球が健全であることが前提と考え、この前提の実現に向けて、次の3つを「サステナビリティ基本方針」と定め、活動を推進しています。
① 企業倫理の遵守
当社は、人、社会、地球が健全であるために、企業倫理を遵守した経営を実施していくことを目的として、全ての役員及び従業員が遵守すべき具体的指針となる「JDI倫理規範(JDI Ethics)」を制定し、活動の基盤としています。JDI倫理規範では、人権の尊重や職場環境整備、地球環境保全への取組、地域社会との良好な関係維持や社会通念に反する不適切な行為を行わないこと、誠実に社会的良識に従い行動すること等を謳っています。
② ステークホルダーとの共生と共創
当社は、「社会」「お客様及び取引先」「競合会社」「株主・投資家の皆様」「従業員」等のステークホルダーとの関係を良好に保つとともに、社会的価値の共創に努めます。
③ 持続可能な成長
当社では、上記の施策を基に、豊かなグローバル社会の実現への貢献、サプライチェーン全体の環境負荷低減、地域社会をはじめとする社会への幅広い貢献等に取り組むとともに、ガバナンス経営による効率化と健全性を実現し、企業として持続可能な成長を目指してまいります。
(2) サステナビリティへの取組
当社は、環境マネジメントシステムやコンプライアンス委員会等、環境・社会・ガバナンスに関する委員会やマネジメントシステムを設置し、サステナビリティ関連課題に取り組んでいます。取締役会は、各委員会・マネジメントシステムの運営組織からの報告を受け、重要な課題や対応策についての議論と監督、及び重要な決定事項について承認を行います。
また、当社は、サステナビリティ活動に関する基本計画の策定、教育・啓発の実施等、サステナビリティ業務を行う主管部署として、CFO管掌下にサステナビリティ推進部を設置しています。サステナビリティ推進部は、各委員会・マネジメントシステムと連携し、グループ内各部門のESG課題への取組を俯瞰し全社での取組を推進するとともに、サステナビリティ推進活動全体について取締役会への報告を行っています。今後、これらの機能を統合した「サステナビリティ推進委員会」の設置を検討します。
更に当社は、生産技術統括部内にサステナビリティ技術部を設置し、各生産拠点の省エネルギー推進や再生可能エネルギーの利用拡大に向けた検討を行っています。
上記体制に加え、各事業部・機能部門では、事業活動を通じて社会課題を解決するための独自技術の開発、新規事業の創出に取り組んでいます。
「すべてのステークホルダーの皆様のための未来価値創造実現」に向けて、当社グループが取り組むべき課題としてマテリアリティを特定いたしました。各マテリアリティへの取組により、社会の発展にとって不可欠な企業として顧客価値・社会価値を創造し、持続的な成長を図ります。
マテリアリティの1つである人的資本については、社員のエンゲージメント向上及び新たな価値を創造し続ける組織の構築に向け、各種取組により社員一人ひとりの価値の最大化及び多様性の確保を推進します。
気候変動への対応については、2022年度から気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提言する気候変動のシナリオ分析とリスク・機会の選定、財務インパクトの評価を開始しており、脱炭素社会の実現を目指した取組を加速化いたします。(3)気候変動への対応をご参照下さい。
当社グループでは、全社的なリスク管理は、「3 事業等のリスク」に記載のとおり「リスク管理規則」で定めるリスク管理フローに沿って実施しています。気候変動への対応を含むサステナビリティに係るリスクについては、全社的なリスク管理において、重要リスクとして特定し、サステナビリティ推進部が主担当部門としてこれを管理するとともに、マテリアリティとも関連付けた対応を行っています。サステナビリティに係るリスクは、前述の推進体制の下でモニタリングされ、その内容は取締役会へ報告されます。
人的資本
(注)実績及び目標は、国内生産拠点が対象です。
(3) 気候変動への対応
当社は、気候変動への対応をマテリアリティの一つとして位置付け、2022年度からTCFD提言に基づいたシナリオ分析を開始し、気候変動に関する重要リスク・機会の特定、それらが及ぼす財務的影響の評価をいたしました。この分析結果に基づき、気候変動対応策の経営戦略への組み込みを図るとともに、ステークホルダーに対する情報開示にも積極的に取り組んでまいります。
以下は、TCFD提言に沿った取組事項です。
① ガバナンス
当社は、気候変動問題を経営重要課題の一つと認識し、環境・社会・ガバナンスに関する委員会やマネジメントシステムを複数設置し、ESG課題に取り組む中で、気候変動問題についても対応しております。気候変動問題に対する執行レベルの最高責任者はCEOです。
取締役会は、年に一度の気候変動問題を含むサステナビリティ関連報告及び適時適切なマネジメントシステムからの報告を受け、必要に応じた議論と課題についての監督及び重要な決定事項について承認します。
② 戦略
当社は、脱炭素社会を実現するための省エネの推進、再生可能エネルギー活用の検討等、温室効果ガス排出量削減を目指しています。気候変動による気温上昇が社会に及ぼす影響は甚大と認識し、2022年度から1.5℃、4℃シナリオを用いて、2050年までを考慮したシナリオ分析を実施しました。当社は、このシナリオ分析に基づいて特定された重要なリスクと機会を踏まえて、統合的な気候変動戦略の策定を目指してまいります。下表は当社のリスク・機会要因と事業へのインパクトに対する対応策の一例です。
当社のリスク・機会、事業インパクト及び対応策の一例
(シナリオ分析の結果)
2050年の1.5℃世界では、eLEAP、HMO等の低炭素社会への移行に有効な独自技術の活用により、大きな機会獲得が期待できることが分かり、これら技術を成長ドライバーとする成長戦略「METAGROWTH 2026」の推進が、長期的な機会をもたらすことを確認いたしました。
リスク対応策による低減を図り、当社の強みである独自技術によって、2050年1.5℃世界の実現を目指してまいります。
③ リスク管理
当社グループは、サステナビリティ推進部が主管部署となり、気候関連リスク及び機会の特定を行っています。事業活動に係わるリスク管理フローに沿って、担当する各部門にて想定される新たな規制、製品・サービス、市場に関する気候関連リスク及び機会の特定を行っています。主管部署は気候関連を含む全社リスクの識別・評価、管理プロセスについて、リスク管理規則に基づき適切に管理しています。
④ 指標と目標
環境負荷の指標は、自社のScope1、Scope2に加え、Scope3排出量についても全体像の把握と優先的に削減すべき対象の特定を目的に、2021年度実績から該当カテゴリ全ての排出量を算定し開示しています。温室効果ガス排出量削減に向けて、中長期的な削減目標を設定し、数年内のSBT認定取得を目指します。併せて、直近の2025年度の再生可能エネルギー比率の目標を設定して取り組むとともに、バリューチェーンを通じた環境負荷低減を積極的に推進してまいります。
気候変動への対応
(注)実績及び目標は、国内生産拠点が対象です。
当社グループでは、「内部統制システム構築の基本方針」に規定する「損失の危機の管理」に基づき、リスクの未然防止及び発生時の影響の最小化に向けて、「リスク管理規則」等の必要な規則及び体制を整備しています。リスク管理規則では、「リスクを特定・分析し、対策を講じる」プロセスを毎年実行し、持続的、かつ円滑な事業運営を図ることを目的としたリスク管理の運用ルールを定め、サステナビリティ推進部が主管部門となって運用を行っています。
事業に係るリスクは、リスク管理フローに沿って担当各部門にて、想定されるリスクの起こりやすさ(頻度)と起こった場合の影響度(売上・利益への影響等)を評価し、重要度の高いリスクを優先に回避策・軽減(低減)策・移転策を検討・立案・実行しています。これらの対策については、期中にサステナビリティ推進部が担当部門に対するヒアリング等を通じて有効性評価を行い、実施状況を継続的に確認しています。年度毎のリスク評価結果は、マネジメントレビューを経て、取締役会に報告されるとともに、全社員に展開されます。また、事業計画や中期事業計画等の策定においては、その策定プロセスの中でリスクを分析し、対策も合わせて計画に織り込んでいます。
なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
当社グループでは、事業のリスクを以下のとおり「事業活動リスク」「財務リスク」「経済リスク」「自然・事故災害リスク」「法務リスク」「労務リスク」「社会リスク」「政治リスク」の8つに分類しています。
(1) 事業活動リスク
① 市場動向・商品市況・競争環境の変動
当社グループは、売上の大半をディスプレイに依拠しており、事業及び業績は、国内外におけるディスプレイ市場及びディスプレイを搭載する完成品市場の影響を受けます。完成品の市況は、景気の変動等による個人消費の動向、消費者の嗜好、季節性等に大きく左右され、これらの変動により受注が減少した場合には、部品や完成品の過剰在庫、又は工場稼働率低下による機会損失が生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、競合他社との競争の結果、販売価格が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループは、「世界初、世界一」独自技術を価値創造の源泉とし、脱過当競争・脱コモディティ化を図り、販売価格水準の維持及び向上を目指すとともに、原材料や部品の削減、歩留りの改善等によるコスト低減に取り組み、販売価格の下落に備えておりますが、脱過当競争・脱コモディティ化が進展せず、当社グループでのコスト低減幅以上に販売価格が下落した場合又は利益率の低い製品の販売比率が拡大する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 技術・研究開発
当社グループは、高度な技術を必要とするディスプレイの製造・販売を行っているため、技術の優位性の確保は、当社グループの競争力にとって極めて重要です。当社グループは、従来技術と比較して大幅な低消費電力や高精細化を実現するバックプレーン技術や次世代OLED等、唯一無二の技術を開発し、ディスプレイ市場におけるニーズをけん引している状況にあると認識しておりますが、最新の技術を利用した製品を迅速に顧客に提供するためには、継続的な研究開発は不可欠です。
かかる研究開発において、当社グループでは、明確な開発方針のもと、研究開発対象の厳選、開発段階での進捗レビュー及び継続是非の判断を実施しています。しかしながら、こうした施策にもかかわらず、成果が収益に繋がらない場合、又は想定した成果を得られず当社グループの技術優位性が損なわれる場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 生産活動
当社グループが営むディスプレイ事業は、大規模な生産設備の取得及び維持、大量かつ安定的な電力供給、並びに多くの従業員の雇用を要する、固定費比率が比較的高い事業です。したがって、顧客需要の減少、他社との競合等により当社グループの工場の稼働率が低下する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、電力会社による電力供給の制限や、石油・天然ガスの輸入価格の高騰又は円安等による電気料金の値上げが行われる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、原材料・部品等を複数の仕入先から購入しており、原材料等が適時、適量に調達できることを前提とした生産体制を敷いています。しかしながら、原材料・部品等の一部については、その特殊性から仕入先が限定されているものや仕入先の切替えが困難なものもあります。仕入先の経営環境の悪化や災害等により必要な原材料・部品等の供給遅延、供給不足又は価格高騰等が生じた場合には、当社グループの製品の納期に遅延が生じる可能性、又は他の仕入先からの購入のための費用増加が生じる可能性があります。また、調達した原材料・部品等に欠陥や瑕疵が存在した場合や、当社グループ若しくはその顧客の求める仕様が満たされていない場合には、当社グループの製品の品質及び評価に影響を及ぼす可能性、当社グループ又はその顧客に対するクレーム、訴訟に発展する可能性、又は調達した原材料・部品等の評価減や返品等に伴う費用増加が生じる可能性があります。
更に、高精細、低消費電力といった高付加価値のディスプレイの生産には、精緻な生産技術と成熟したスキルを要します。当社グループが生産する製品はカスタム品が大半であり、製品ごとに部材や製造装置の設定が変更となることが多いため、特にノウハウの蓄積が少ない新技術を採用した製品の生産活動においては、製品の歩留り向上に時間を要することや、品質トラブルが生じることがあります。また、顧客との契約に基づく供給義務の履行のため、歩留りが低い状況においても製品の製造を継続する必要が生じる場合もあります。当社グループでは、開発、設計、プロセス、製造、品質保証の各分野の摺合せを綿密に行うことで、そうした問題の発生の極小化を図るとともに、問題が発生した際には早期に解決を図るための体制を構築し、生産ライン従事者のスキル向上のための教育プログラムも完備しています。しかしながら、そうした対策をもってしても、歩留りの悪化や品質トラブルが生じた場合には、当社グループの製品の評価に影響を及ぼす可能性、又は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 経営戦略
当社グループは、企業競争力強化や収益性向上、長期的な供給体制の維持、新技術及び新製品の開発のため、部材メーカー、装置メーカー、完成品メーカーを含む外部企業との協業を実施しており、今後も研究開発、製造等の分野において競争力を強化するため、外部企業との新たな協業に加え、戦略的提携及び買収等を実施する可能性があります。これらの協業、戦略的提携及び買収等は、資金調達の制約、戦略上の目標変更、技術管理又は製品開発等の事業上の問題の発生、若しくは許認可等の規制上の問題、市場の変動等により、実施又は維持ができなくなる可能性があるほか、実施後に十分な成果が得られない可能性があり、そのような場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの売上高は、特定のアプリケーション又は製品、及び特定の顧客への販売に相当程度依存しています。当該アプリケーション又は製品の市場における需要の減退、当該顧客のブランド力の低下、当社グループの製品が顧客の要求する水準を満たせない場合、又は競合他社による当社グループ製品に代替する新製品の開発等による当社グループ製品の競争力低下等により、受注の減少、利益率の低下、又は取引条件の悪化が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、多くの有形固定資産を保有しています。固定資産の連結貸借対照表計上額につきましては、当該資産から得られる将来のキャッシュ・フローの見積りに基づく残存価額の回収可能性を定期的に評価していますが、競合やその他の理由によって事業収益性が低下し当該資産が十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合には、減損の認識が必要となり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 事業構造改善費用
当社グループでは将来にわたり競争力を確保するため、必要に応じ生産効率の低い生産拠点の閉鎖や研究開発の中止等の事業構造改善を実施する場合があります。その場合において、設備の減損や従業員の処遇に関する事業構造改善費用が発生するほか、技能を有する従業員の流出等の可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 気候変動リスク
当社グループは、2022年度からTCFDの枠組みに基づくシナリオ分析を実施し、気候変動に伴うリスクと機会を明確化しており、今後対策を今後脱炭素化(カーボンニュートラル)への取組みを強化してまいりますが、かかる取組みに伴う費用負担や、将来的なカーボンプライシングの導入による費用の増加が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、カーボンニュートラルに向けた取組みが顧客からの要求水準に満たない場合、顧客との取引が制限される可能性があります。更に、慢性的な気温上昇に伴う自然災害の頻発化や甚大化によるサプライチェーンの混乱や、生産性の低下、洪水等に備えるためのBCP対応コストの増加が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 財務リスク
① 資金調達・資金繰り
当社グループを取り巻く事業環境は、世界的なインフレによる民生機器出荷台数の減少及び部材・エネルギー費等のコスト上昇により厳しい状況にあり、当社グループにおいては、当期も厳しい業績とフリー・キャッシュ・フローの赤字が継続する見込みとなっております。一方、当社は、前期においていちご及びINCJの支援を受けたことにより、当連結会計年度末現在の借入金残高は0円の無借金状態となり、財務状況は大幅に改善しております。(その後、2023年5月30日付でいちごより40億円の短期借入を行っております。)また、2023年3月22日付で、いちごに対する第三者割当により第13回新株予約権を発行しており、今後、いちごによる当該新株予約権の行使がされた場合は、最大約1,734億円の調達がされることとなるため、当面の資金繰りに目途は立っております。
しかしながら、いちごにより当該新株予約権の行使がなされない場合、若しくは行使が一部に留まり十分な資金が確保できない場合、かつ、金融機関等からの調達が十分に実行できない場合には、手許資金が当社の事業遂行上必要な水準を下回る場合があります。
なお、第13回新株予約権の半数の行使期間は、2023年6月1日から2028年5月31日までであり、残り半数の行使期間は、2023年12月1日から2028年11月30日となっております。
② 大株主との関係
いちごは、本有価証券報告書提出日現在、当社の発行済株式に係る議決権数の78.2%に相当する株式を直接保有する支配株主となっており、当社の株主総会の特別決議を要する事項(他社との合併等の組織再編、重要な資産や事業等の売却、定款の変更等)及び普通決議を要する事項(取締役の選解任、剰余金の処分や配当の決定等)について、拒否権を含む重大な影響力を有しております。また、いちごとの間の投資一任契約に基づき、いちごから投資運用に関する権限を受託しているいちごアセットマネジメント・インターナショナル・ピーティーイー・リミテッドへの投資助言を行う、いちごアセットマネジメント株式会社の代表取締役社長であるスコット キャロン氏は、当社の代表執行役会長CEO兼取締役です。
この状況に対し、当社は、2021年3月期に指名委員会等設置会社に移行しており、社外取締役が過半数を占める監査委員会、指名委員会及び報酬委員会を設けることで独立性の担保を図っています。また、事前承認事項等の設定はありません。更に、スコット キャロン氏は、当社によるいちご及びその関係会社との取引において利益相反の懸念を回避する観点から、かかる取引に関する取締役会の審議及び決議には参加しておりません。それでもなお、株主総会の承認を必要とする事項に関し、いちごが影響を及ぼす可能性があります。
また、いちごは、当社の企業価値向上を支援するスポンサーとして、長期的視点から株式を保有する意向を当社に対して示しておりますが、一方で、「④上場維持基準への不適合」に記載のとおり、当社は、東京証券取引所プライム市場における上場維持基準の適合に向けて、いちごの持株処分による持株比率低下を図る必要があります。かかる状況下、今後、当該上場維持基準への適合に向けていちごが当社株式の一部を売却した場合、又はその他の理由に当社株式の一部又は全部を売却した場合には、売却の方式、タイミング、規模等によっては、当社株式の需給関係及び市場価格に影響を与える可能性があります。
また、当社第2位の株主であるINCJにつきましても、当該上場維持基準への適合に向け、持分処分による持株比率の低下を図る必要があります。なお、INCJは、産業競争力強化法等の一部を改正する法律(平成30年法律第26号)による改正前の産業競争力強化法に基づく経済産業大臣の認可を得た上で行われた、旧株式会社産業革新機構(現株式会社産業革新投資機構)からの新設分割により設立された会社であるところ、当該認可に係る告示(20180913経第4号)における「認可条件」として、産業競争力強化法(設立時の名称は「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(産活法)」)に基づき設立されておりますが、同法により2025年3月までに保有する全ての株式等を処分する必要があります。
③ 株式の希薄化
当社の本有価証券報告書提出日現在の発行済株式数は、普通株式3,880,388,022株、及び普通株式の取得請求権を有し議決権のないE種優先株式5,540株です。また、いちごに対し、普通株式を目的とする第13回新株予約権を発行しております。
E種優先株式の全てが普通株式に転換された場合に交付される株式数2,308,329,640株(議決権数23,083,296個)に、第13回新株予約権が全て行使された場合に交付される株式数3,852,444,400株(議決権数38,524,444個)を合算した総数は6,160,774,040株(議決権数61,607,740個)であり、本有価証券報告書提出日現在の普通株式の発行済株式総数3,880,388,022(議決権数38,803,443個)を分母とする希薄化率は158.77%(議決権ベースの希薄化率は158.77%)に相当します。
このように、E種優先株式の普通株式への転換請求権が行使された場合や、第13回新株予約権が行使された場合は、当社普通株式の1株当たりの株式価値及び持分割合が希薄化し、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。
④ 上場維持基準への不適合
前連結会計年度末現在において、当社の「流通株式比率」は14.6%であり、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準である当該比率35%以上を満たしておりません。東京証券取引所の規則上、当社は2022年4月4日付の市場区分の変更前に東京証券取引所市場第一部に上場していたことから、2025年3月末までの経過措置期間内に適合することが必要となります。一方で、東京証券取引所の規則には、第三者が事業再生を支援するために一定の上場株券等を所有する場合であって、5年以内に上記の上場維持基準に適合する見込みを有すると東京証券取引所が認めるときには、5年間(又は東京証券取引所が認めた期間)、上場維持基準の適合の猶予が認められる特例があります。当社は、事業再生支援目的でいちごとの資本提携契約を締結し出資を受けていることから、5年後の2028年3月末までを計画期間とする特例適用が認められております。
プライム市場の流通株式比率に適合するためには、前連結会計年度末現在78.2%の当社普通株式を保有するいちごの持株処分による持株比率低下を図ることが最大の課題であります。また、同時点で当社普通株式の5.5%を保有する当社第2位の株主であるINCJの持分につきましても、持株処分による持株比率の低下が必要となります。
当社は、プライム市場の流通株式比率の適合に向けていちご及びINCJと持株比率の低下等について協議をしてまいりますが、そのためにも、成長戦略「METAGROWTH 2026」に沿って、早期の業績等改善を進めていく必要があると認識しており、今後一層業績改善に向けた取組みに注力してまいります。しかしながら、こうした取組みをもってしても、2028年3月末までの猶予期間内に流通株式比率が上場維持基準に適合しない場合は、上場廃止となります。
⑤ 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、当連結会計年度において6期連続で営業損失及び重要な減損損失を、9期連続で親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当該状況を解消するため、当社グループは、全社的な事業構造改革として、設備利用効率の改善、資産規模の適正化による生産性向上及びサプライチェーンの見直し等によるコストの更なる削減に取り組んでおります。この戦略的取組みの一環として、2022年10月28日開催の取締役会において、製造連結子会社SEの全株式をSuzhou Dongshan Precision Manufacturing Co., Ltd.に売却することを決議し、同社との間で株式譲渡契約を締結し、2023年1月までに株式譲渡を含む全ての手続を完了いたしました。また、2023年3月を目途に生産終了を決議していた東浦工場に関して、同年3月10日付の取締役会決議に基づき、同工場内一部建物の賃貸先であるソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社に対し、2024年4月1日を物件引渡日として同工場の建物を譲渡することにつき、同社との間で最終契約を締結いたしました。今後も既存事業の選択と集中を進め、収益性の更なる向上に向けた経営資源の最適化に引き続き取り組んでまいります。
上記施策に加え、技術基盤を価値創造の源泉とし、脱過当競争・脱コモディティ化により収益性の抜本的な改善を図るための成長戦略「METAGROWTH 2026」を2022年5月13日付で発表し、引き続き推進しております。本成長戦略における主な事業戦略として、同年3月30日に発表した超高移動度酸化物半導体バックプレーン技術「HMO」、同年5月13日に発表した次世代OLED「eLEAP」のほか、車載及びVR製品、並びにそれらに関連する知的財産権の積極活用等を中心に製品・事業ポートフォリオを再編し、早期の黒字体質の安定化と事業成長を図っていく方針であります。
財務面では、世界的なインフレ高進やサプライチェーンにおけるリスクに備えた手許資金確保の重要性に鑑み、INCJとの間で、2019年9月2日付当社借入金(元本総額200億円)の2023年2月28日までの返済期限再延長につき合意した後、同年2月10日付の取締役会決議に基づくいちごからの短期借入(元本総額200億円、以下「2023年2月10日付当社新規借入」といいます。)を原資として、全額を返済完了いたしました。
また、本追加資本提携契約に基づき、いちごは、当社に対する債権総額約1,017億円(2022年12月22日付Short-Term Loan Agreementに基づく当社借入280億円、2023年2月10日付当社新規借入200億円及び同年2月27日付でINCJから譲渡された当社債務約537億円の合計に相当)のうち150億円を、2023年2月27日付で放棄しました。
さらに、本追加資本提携契約に基づき、いちごに対する当社普通株式(一部放棄後の債権残額の現物出資による総額約867億円の調達)及び当社普通株式を目的とした第13回新株予約権(行使時の調達総額:最大約1,734億円)について、2023年3月22日付でそれぞれ払込み及び発行手続を完了しております。
以上の施策により、当社借入金の全額が自己資本に振り替わったことで、大幅な負債圧縮、長期安定的な資本構成及び将来的な資金需要に対する財務施策の機動性向上を確保することとなりました。加えて、今後の資金需要に応じた機動的な借入実施(いちごからの同年5月30日付元本総額40億円)、第13回新株予約権の行使のほか、低効率資産の売却又は流動化等も含め、引き続き適時適切な資金調達策を講じてまいります。
一方で、昨今の世界的な原材料費の高騰、エネルギー費高騰による動力費や輸送費の負担増加及びグローバルな消費減退等の影響により、早期の業績回復による黒字転換が遅延し、当社グループ資金繰りに重要な影響を及ぼす可能性を勘案すると、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
(3) 経済リスク
① 経済状況の変動
当社グループは、グローバルに事業活動を行っているため、世界経済の動向に起因する完成品需要の変動により、当社グループの事業、業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。とりわけ、VR機器等高価な民生機器や耐久消費財である自動車の需要は、経済状況の影響を強く受けるため、国内外の景気が悪化する場合等には、それら完成品に採用される当社製品の需要が減退し、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 為替相場の変動
当社グループは、取引先及び取引地域が世界各地にわたっており、外貨建で取引されている製品・サービス等のコスト及び販売価格は為替の影響を受けるため、為替相場の変動により当社グループの事業、業績及び財政状態が悪化する可能性があります。加えて、海外子会社の現地通貨建の資産・負債は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、当社グループの財政状態は為替相場の変動による影響を受けます。
(4) 自然・事故災害リスク
① 災害・その他の要因による影響
当社グループは、製造拠点を日本及びフィリピンに、販売拠点をグローバルに展開しています。また、中国及び台湾のEMS(電子機器受託製造)企業と提携し、後工程生産を委託しています。地震、津波、豪雨、洪水、落雷等の自然災害、コンピュータウィルスの感染、顧客データの漏洩、部品調達先等の罹災によるサプライチェーン上の混乱、疫病の発生や蔓延、戦争、テロ行為、暴動あるいは労働争議等が発生し、当社グループの拠点やEMS企業が大打撃を被った場合には、生産・出荷や販売活動が停止する恐れがあります。また、災害により電力供給量の低下や物流ルートの遮断等、社会インフラが不安定化した場合には、生産能力の低下、原材料の調達難、製品供給の遅延等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
かかる災害による損害の発生に備え、当社グループは、建物、構築物、装置、在庫及び運搬中の貨物の代替コスト及び、事業の中断、製造物責任等に対して適切と判断するレベルの補償範囲をカバーする各種保険に加入しておりますが、当該保険には免責金額が設定されているものがあるなど、全ての損害額がカバーされるものではありません。
② 環境規制その他の法的規制
当社グループの事業は、国内外の様々な法令、規則等による制約を受けています。また、世界各地域において、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁、有害物質、廃棄物処理、製品リサイクル、地球温暖化防止、エネルギー等に関する様々な環境関連法令の適用を受けています。当社グループは、これらの規制に細心の注意を払いつつ事業を行っておりますが、製品の製造販売活動や設備投資が制約を受けるなど、事業展開に支障が生じる可能性があるほか、各種の法規制が制定又は変更された場合には、その遵守対応のための費用が増加する可能性があります。また、当社グループにおいてこうした法規制の違反が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性や社会的評価に影響を与える可能性があります。
(5) 法務リスク
① 重要な訴訟の発生
2020年7月16日付で、当社の過年度決算における不適切な会計処理により損害を被ったとして、当社の株主1名及び当該株主が代表取締役を務める国内法人株主2名から、当社並びに当社の元取締役及び現取締役合計10名に対し、連帯して約3,858百万円の損害賠償を請求する訴訟が提起されております。当社は、原告の主張を踏まえて適切に対応してまいります。
② 知的財産権
当社グループは、当社技術の保護に向け、適切な国・地域での知的財産権の取得に努めていますが、一部の国・地域によっては固有の事由により知的財産権による保護が十分にされていない可能性があります。また、当社グループは、第三者からの使用許諾を受けて第三者の知的財産権を使用する場合がありますが、今後、必要な使用許諾を第三者から受けられなくなる可能性や、当社グループにとって不利な条件での使用許諾しか受けられなくなる可能性、競合他社が当社グループより有利な条件で第三者から使用許諾を受け当社グループの競争力が相対的に低くなる可能性があります。
③ 訴訟その他法的手続
当社グループは、先端技術を用いたディスプレイの製造及び販売を行っていますが、先端技術を用いた製品については欠陥や瑕疵が製品の出荷までに発見されにくく、製品の出荷後に品質問題が発生した場合には、製品の回収及び修理、デザインの変更等に多大な費用を要するとともに、技術者等人的資源の投入を要する可能性があり、また、顧客との関係及び当社グループへの信用に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの製品の欠陥や瑕疵により当社グループ又はその顧客に対する訴訟が提起される可能性もあり、当社グループはグローバルに事業活動を展開しているため、各国で訴訟その他の法的手続の当事者となるリスクを有しています。当社グループが訴訟その他の法的手続の当事者となった場合、各国の法制度・裁判制度の違いもあり、事案によっては巨額の損害賠償金や罰金等の支払を命じられる可能性もあります。
また、当社グループは、ディスプレイ事業における競争法違反の可能性に関し、日本及び他の国・地域において、調査の開始又は訴訟の提起がされる可能性があります。これらの調査や訴訟の結果、当社グループに対して、複数の国・法域において課徴金や損害賠償の支払が命じられる可能性があります。かかる規制当局による処分や訴訟について、その結果を予測することは困難ですが、その解決には相当の時間及び費用を要する可能性があるとともに、その結果によっては、当社グループの事業、業績、財政状態、及び社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 労務リスク
① 人材確保
当社グループは、技術部門において専門性の高い優秀な人材を採用又は育成することにより、競争優位性を確保することができると考えています。しかしながら、専門性の高い優秀な人材は限られていることから、人材の採用及び確保の競争は激化しております。優秀な人材を確保又は育成できない場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループから、専門性の高い優秀な人材が競合他社に移籍した場合には、その者が有する当社グループの知識やノウハウの流出により、当社の競争力が相対的に低くなるおそれがあります。また、当社グループの経営は、現経営陣の能力と貢献に相当程度依存しており、何らかの理由により経営陣が辞任しその代替が確保できない場合や、経営陣の健康状態、訴訟その他の不測の事態への対応により当社グループの経営に十分注力できない場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 社会リスク
① 情報セキュリティ
当社グループは、当社グループ・顧客・取引先の技術、研究開発、製造、販売及び営業活動に関する機密情報、並びにステークホルダーの個人情報を様々な形態で保持及び管理しています。当社グループにおいてはこれらの機密情報を保護するために適切な管理を行っていますが、かかる管理が将来にわたって常に有効である保証はありません。予期せぬサイバー攻撃等の事態により当社グループが保持又は管理する情報が流出し、第三者がこれを不正に取得又は使用するような事態が生じた場合には、当社グループに対して損害賠償を求める訴訟が提起されるなど、当社グループの事業、業績、財政状態、及び社会的評価に影響を与える可能性があります。
② 感染症の拡大
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大時に、従業員に対する在宅勤務や時差出勤の推奨、作業スペースの隔離、また不要不急な出張の禁止やウェブ会議システムの活用等により接触を抑える対策を実施し、社員やその家族の安全を優先しつつ、生産体制の維持を図りました。また、サプライヤーとの連携により、最大限の部材確保に努め、生産への影響の最小化を図りました。
新型コロナウイルスは、感染症法上5類に位置付けられましたが、今後感染が再拡大した場合、又は他の感染症が流行した場合は、当社又は当社の事業活動に関係する調達、生産、物流等の取引先において、原材料の調達、製品生産の遅れ、又は販売先からの受注減少が予想され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ サプライチェーンにおける人権に関わるリスク
2020年にオーストラリアのシンクタンクが、当社を含む複数の企業がウイグル人の強制労働によって製造されたとされる部品を調達しているとの報告書を出しました。これについて、当社は、強制労働を行っていたとされた、サプライヤーの下請企業2社について事実関係の調査を行いましたが、強制労働があったことを示す事実は確認されませんでした。強制労働があったことを示す事実は確認されなかったものの、その後、上記サプライヤーからは、当該下請企業2社との取引を停止し、それぞれ他のサプライヤーへの切り替えを完了したと報告を受けており、当社も当該事実を確認しております。
当社グループは、全てのサプライヤーに対して「サプライヤーCSR推進ガイドブック」を配布し、強制労働や児童労働をはじめとするいかなる人権侵害にも加担しないことを要請するとともに、「サプイヤーCSR自己監査票」による調査の実施、及び定期的なモニタリングを実行してまいりますが、将来にわたって常にこれら施策が有効である保証はなく、サプライヤーにおいて人権侵害が起きた場合、当社の事業活動に必要な部材の調達が困難となることや、顧客、その他の取引先との取引が停止されることにより、当社グループの業績、財務状況、社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。
また、米国で2022年6月21日「ウイグル強制労働防止法(UFLPA)」に基づく輸入禁止措置が施行され、中国の新疆ウイグル自治区が関与する製品は、強制労働により生産されたとみなされ輸入が原則禁止されています。UFLPAに基づく輸出管理規制により、サプライヤーとの取引関係悪化や、国レベルでの制裁措置による貿易制限が生じることにより、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 内部統制
当社グループは、コンプライアンス遵守、財務報告の適正性確保を達成するために内部統制システムを整備し、運用してまいりましたが、2020年3月期に、過年度決算において架空在庫計上や費用先送り等による不適切な会計処理を継続的に行っていたことが判明し、財務報告に係る内部統制に重要な不備があったことが判明しております。当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を十分認識しており、不備を是正するため、2020年4月にガバナンス向上委員会を設置の上、同委員会が検討・策定した内部統制機能の強化を含む再発防止策について、具体的な詳細を定め、全社一丸となって実行いたしました。
その結果、2021年3月期末日においては、開示すべき重要な不備が解消しており、内部統制は有効である旨、2021年6月28日付「内部統制報告書」において開示いたしました。当社は、再発防止の取組みを今後も継続的に実行し、一層コンプライアンス重視の経営を行っていくほか、社内の意思疎通・相互理解の促進によるコミュニケーション向上等により、内部統制の強化を図っております。その一環として、財務報告に係る内部統制の整備及び運用を重要な経営課題の一つとして位置付け、グループを挙げて関係会社の管理体制等の点検・改善等に取り組んでおりますが、将来にわたって常に有効な内部統制システムを整備及び運用できる保証はなく、また、内部統制に本質的に内在する固有の限界があるため、今後、上記の対応が有効に機能しなかった場合や、財務報告に係る内部統制の不備又は開示すべき重要な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。
(8) 政治リスク
① 地政学的リスク
当社グループは、日本とフィリピンに製造拠点を有し、中国と台湾に後工程の製造委託をしています。また、グローバルに販売拠点を有し、海外顧客への売上高が当社グループ全体の売上高の大きな割合を占めております。海外事業の展開にあたっては、グローバル子会社の異動、外国における経済情勢や政治情勢の不安定化、新興国でのインフレーション等に基づく賃金の上昇及び現地従業員との関係悪化、外国為替管理の強化、予期しない法規制の新設又は変更、税制、法制度及び事業環境の差異及びその不利益な変更、課税等の行政上の措置、戦争及びテロ等の軍事的影響、反日感情による非買運動等の地政学的リスク要因があり、これらの要因が当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
当連結会計年度(以下「当期」といいます。)における当社グループを取り巻く経営環境は、従前よりの厳しい競争状況に加え、スマートフォン用ディスプレイの有機EL(OLED)へのシフト、半導体等の部材不足、世界的なインフレに起因する民生機器出荷台数の減少や部材・エネルギー・輸送費のコスト上昇等、これまで以上に厳しい状況となりました。
こうした状況のもと、当社グループは、収益改善に向けて経営効率の一層の向上を図るため、引き続きアセットライト化による固定費の削減・変動費化を進めたほか、2022年5月に策定した成長戦略「METAGROWTH 2026」に基づき、脱過当競争・脱コモディティ化に向けて取り組みました。アセットライト化の一環としては、2022年5月に生産性とコスト競争力において大型ガラス基板の工場に劣る東浦工場(愛知県知多郡)での生産を停止することを決議し、2023年3月にこれを完了したほか、2022年10月には中国の連結製造子会社SEの全株式譲渡を決議し、同年12月に当該株式譲渡の手続きを完了いたしました。
脱過当競争・脱コモディティ化に向けては、競争環境が非常に厳しいスマートフォン事業の大幅縮小を決定するとともに、「METAGROWTH 2026」において、「世界初、世界一」の独自技術をベースとした「6つの成長ドライバー」を定め、これら成長分野の強化に取り組みました。中でも、当社が2022年5月に世界で初めてマスクレス蒸着及びフォトリソ方式による量産技術を確立した次世代OLED「eLEAP」は、その性能と環境性の高さから顧客及び他のディスプレイメーカーからの高い関心を得ております。当期第4四半期にはeLEAPの初受注を獲得しており、2024年から量産出荷を開始する予定としております。また、この技術を他企業にもライセンス提供すべく、複数の候補企業と協議を進めました。
これらの取組みの効果の発現は当期において限定的でしたが、2024年3月期以降に段階的に発現する見通しであり、取組みの継続により中長期的に大きな成果に結びつくものと考えております。
上記の結果、当期の売上高は、前期比25,200百万円減少(8.5%減)の270,746百万円となりました。売上高の減少に加え、高騰した部材・エネルギー・輸送費の価格転嫁に遅れが生じたことにより、営業損失は44,386百万円(前期は8,576百万円の損失)、経常損失は42,924百万円(前期は7,964百万円の損失)となりました。また、特別利益として、中国の連結製造子会社の株式売却に伴う関係会社株式売却益13,471百万円、いちごによる貸付金債権の放棄に伴う債務免除益15,000百万円を計上したほか、特別損失として、減損損失2,803百万円、及び事業構造改善費用5,884百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純損失は25,818百万円(前期は8,096百万円の損失)となりました。
なお、営業利益(損失)に営業費用である減価償却費及びのれん償却額を加算して算出したEBITDAは、マイナス36,198百万円(前期はプラス161百万円)となりました。
アプリケーション分野別の売上高の状況は次のとおりです。
(モバイル分野)
スマートフォン、タブレット用のディスプレイを含むモバイル分野の当期売上高は、75,689百万円(前期比35.7%減)となり、全売上高に占める割合は、前期の39.8%から28.0%に低下しました。
当分野では、世界的なスマートフォン出荷台数の減少に伴う需要減に加え、米国主要顧客向け液晶ディスプレイの需要減少トレンドの継続、当社におけるスマートフォン用ディスプレイ事業の戦略的縮小により、前期比大幅減収となりました。
計器クラスターやヘッドアップディスプレイ等の自動車用ディスプレイからなる車載分野の当期売上高は、134,555百万円(前期比25.8%増)となり、全売上高に占める割合は、前期の36.1%から49.7%に上昇しました。
当期は、中国の新型コロナ政策により生じたサプライチェーンの混乱や半導体等の部材不足による自動車メーカーでの生産制約の影響を受けましたが、旺盛な需要と、前期における半導体不足による自社での大幅な生産制約の反動もあり、前期比大幅増収となりました。この結果、車載分野の売上高は過去最高となり、全売上高に占める割合は、通期で初めてモバイル分野を超過しました。
ウェアラブルやVR等の民生機器用ディスプレイ、医療用モニター等の産業用ディスプレイのほか、特許収入等を含むノンモバイル分野の当期売上高は、60,500百万円(前期比15.3%減)となり、全売上高に占める割合は前期の24.1%から22.3%に低下しました。
物価高やメーカーの製品価格値上げの影響等によりVR機器及びウェアラブルデバイス用ディスプレイの需要が減少し、前期比減収となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、その性能、構造、形式、販売条件等は一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いこと等から、販売価格による生産額の集計は行っておりません。また、当社グループの生産体制は、主として国内の生産拠点で担っている前工程、海外の製造子会社による後工程に区分して管理されております。
そのため、前工程及び後工程の生産量の単純合計がそのまま連結ベースの生産量ともならないことから、生産実績を金額又は数量で示すことはしておりません。
当社グループは顧客から提示された生産計画に基づく見込生産を行っているため、記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社のグループは単一セグメントであるため、アプリケーション分野別に記載を行っております。
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比35,578百万円減少の222,696百万円となりました。これは、主に損失の計上による現金及び預金の減少、モバイル及びノンモバイル分野の売上高の減少に伴う売掛金の減少、有償支給取引の減少に伴う未収入金の減少等によるものです。
負債合計は、前連結会計年度末比87,242百万円減少の98,265百万円となりました。これは、主にいちごへの第三者割当増資による86,680百万円の債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)及びいちごによる15,000百万円の債権放棄等に伴う借入金73,680百万円の減少によるものです。
純資産合計は、主に親会社株主に帰属する当期純損失25,818百万円の計上による利益剰余金の減少及び中国の製造連結子会社SE売却による当社連結対象からの除外に伴う為替換算調整勘定の減少の一方、いちごに対する第三者割当の方法による86,680百万円の増資により、前期末比51,663百万円増加の124,431百万円となりました。
上記の結果、自己資本比率は55.8%と前連結会計年度末に比べて改善しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失21,893百万円の計上及び棚卸資産の増加等により、65,665百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、税金等調整前当期純損失の拡大等により、43,992百万円の支出増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得による支出8,630百万円の一方、中国の製造連結子会社SE株式の譲渡に伴う収入(子会社株式の売却による収入)18,208百万円により、9,777百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、子会社株式の売却による収入の増加により、9,681百万円の収入増加となりました。
この結果、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと固定資産の取得による支出の合計)は、74,296百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の増加による収入28,000百万円等により、27,685百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、株式の発行による収入が剥落した一方、短期借入金の増減による収支が純減から純増へ転じたことにより、12,916百万円の収入増加となりました。なお、当連結会計年度に非資金取引として、86,680百万円相当の債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)を実施しております。
これらの結果及び為替の影響により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は25,754百万円となり、前連結会計年度末に比べ25,185百万円減少しました。
当社グループの主な資金需要は、生産、販売活動に必要な運転資金、先端技術の開発や生産性及び品質の向上を目的とした研究開発費及び設備投資です。他方、当社グループでは、過年度に実施した大規模な設備投資や事業環境の急速な変化等の結果、当期純損失の計上が継続していることから、これらの資金需要が自社グループのキャッシュ・フローで賄えておらず、当連結会計年度まで数年にわたりフリー・キャッシュ・フローの赤字が継続しております。そのため、当社グループは、後述の財務戦略の基本的な考え方に沿って、適宜資金調達を検討してまいります。
当社グループは、安定収益の確保と着実な成長を目的として、計画的かつ機動的な財務戦略を立案し、実行しております。
事業活動を支える資金調達及び資金管理に関しては、安定的に資金確保し、CCC(キャッシ・コンバージョン・サイクル)改善によるキャッシュ・フロー創出、グループ内CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)等による資金効率化によって財務体質を強化することを目標として取り組んでいます。また、事業展開においては、現地のカントリーリスクに伴うサプライチェーンの混乱による受注減少のリスク等、不測の事態が発生することも想定し、政府系金融機関による各種支援メニューや民間金融機関によるアセットファイナンス及びプロジェクトファイナンスの組成等、その都度最適な資金調達方法を検討しております。
また、当社グループは、将来の成長のための設備投資等の資金需要に対応しつつ、流動性リスクを軽減し、経営の安定化を図るため一定の手許流動性を維持することが肝要だと考えております。手許流動性の水準を考慮するにあたっては、連結売上高1.0か月分を目安に、手許現預金及び追加ファイナンスによって賄うこととしております。
更に、手許現預金が中長期にわたり必要額に満たなくなると想定される場合には、金融投資家等からの借入金等を通じて、適宜必要な資金を確保する方針です。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(いちごとの追加資本提携契約の締結)
当社は、2023年2月10日開催の取締役会の決議に基づき、同日付で、いちごとの間で、いちごに対する第三者割当による普通株式(調達総額867億円)及び普通株式を目的とする第13回新株予約権(行使時の調達総額1,734億円)の発行による追加の資金調達に関する追加資本提携契約(以下、「本追加資本提携契約」という。)を締結いたしました。
(いちごとのShort-Term Loan Agreementの締結)
当社は、2023年2月10日開催の取締役会の決議に基づき、同日付で、いちごとの間でShort-Term Loan Agreementを締結いたしました。なお、本Short-Term Loan Agreementにつきましては、同日付の本追加資本提携契約に基づく、2023年3月22日付の普通株式に係る払込みにおいて、金銭債権の現物出資(デット・エクイティ・スワップ)により、返済が完了しております。
(INCJとのA種優先株式譲渡契約の締結)
当社は、2023年2月10日開催の取締役会の決議に基づき、同日付で、INCJとの間でA種優先株式譲渡契約を締結いたしました。なお、2023年2月27日付で取得したA種優先株式1,020,000,000株につきましては、2023年3月10日付で全て消却しております。
(ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社との東浦工場譲渡契約の締結)
当社は、2023年3月10日開催の取締役会の決議に基づき、当社東浦工場の建物及び付帯設備等をソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社に譲渡(帳簿価額:53.7億円)することを決議し、同日付で同社との間で物件引渡日を2024年4月1日とした最終契約を締結いたしました。
(株式会社JOLEDとのスポンサー支援に関する基本合意書の締結)
当社は、2023年3月27日開催の取締役会の決議に基づき、同日付で、株式会社JOLEDとの間でスポンサー支援に関する基本合意書を締結いたしました。
当社は、先進の発想を具体化し、人々の生活と文化発展に貢献することを目標にし、商品開発から基礎的な要素技術開発まで幅広い研究開発活動を行っています。
顧客からの要求に即した商品開発及びそのための技術開発は事業部が担当しています。生産プロセス及び生産技術開発は生産・品質保証本部、近い将来から次世代までの技術開発はR&D本部が担当しています。また、大学、公的研究機関、関連メーカー、技術ベンチャーとの研究開発活動も積極的に行っています。
当連結会計年度の研究開発費は
当連結会計年度の主な研究開発の成果は、下記のとおりです。
・世界初 マスクレス蒸着+フォトリソ方式の次世代OLED「eLEAP」の量産技術を確立
当社は、世界で初めて(当社調べ)マスクレス蒸着とフォトリソを組み合わせた方式で画素を形成する次世代OLED「eLEAP」の量産技術を確立いたしました。
eLEAPはOLEDディスプレイの量産に使用されているファインメタルマスク(FMM)を用いた有機材料の蒸着方式と比較して、製品性能(発光領域の拡大による長寿命・省電力・高輝度、高精細化、フリーシェイプ)の優位性及び生産性(製造時の基板の大型化、OLED材料効率等)の優位性があり、ディスプレイデバイスに革新的な飛躍をもたらすものと考えております。
environment positive(環境ポジティブ)
Lithography with maskless deposition(マスクレス蒸着+フォトリソ方式)
Extreme long life, low power, and high luminance(超長寿命・省電力・高輝度)
Any shape Patterning(フリーシェイプ・パターニング)
・世界初 照明の配光特性を制御可能にする自由照明「LumiFree」の量産技術を確立
長年培ってきた液晶技術を用いて照明の光の広がり方(以下、配光特性)を自在に制御可能とする自由照明「LumiFree」を新たに開発し、世界で初めて(当社調べ)量産技術を確立いたしました。
LumiFreeは、従来の照明器具において生産・導入後に困難であった配光特性の制御を可能にするものです。「必要な時間、必要な場所に、必要な量の光を届ける」ことが可能になることから、新しい照明演出による人・物・場所への価値創出、利用シーン毎での照明環境の最適化による利用エネルギー削減、過剰な照明の利用により生じている光害(ひかりがい)の改善等を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されます。