第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

   当社グループは、社是に掲げた“創造、迅速、確実”をモットーとして、品質の高い製品を医療現場に提供し、

  日々進歩する医療に対して提案できる企業であることを基本方針としております。この基本方針のもと、当社グルー

  プは、健全なる企業の発展と企業価値の向上に努め、株主の皆様をはじめ医療関係者の方々の信頼を高めてまいりま

  す。

 

(2)経営戦略等

   当社グループは、上記の経営方針に基づき、製品の開発から生産、販売に至るまでの業務を一貫して手掛け、品質

  の高い製品を効率的にお客様にお届けする体制を構築しております。それとともに、販売会社である当社と開発及び

  製造を行う連結子会社である東郷メディキット㈱を別会社とするという企業構造をとることにより、それぞれの会社

  の役割を明確化し、成長性と収益性の双方をバランスよく追求すべく取り組んでおります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

   当社グループは、連結売上高、連結売上原価率、連結売上総利益(率)、連結営業利益(率)を重視しておりま

  す。特に、販売会社である当社は、成長性の観点から売上高、連結子会社(製造会社)である東郷メディキット㈱

  は、収益性の観点から売上原価、売上原価率を重視しております。

 

(4)経営環境

 当連結会計年度におけるわが国経済は、度重なる新型コロナウイルスの感染症の拡大、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰、円安の進行等によるインフレ進行等が重しとなり、景気の回復は緩やかなものとなりました。

 当社グループの属する医療関連業界においては、新型コロナウイルス第7波、第8波の感染者数がピーク時25万人レベルにのぼる規模となる中、各医療機関は医療態勢の維持に取り組んでおられましたが、手術件数や検査件数の回復の動きが見られました。一方、当連結会計年度は診療報酬改定の年でしたが、材料価格は▲0.02%となり、引き続き厳しい状況が続いております。

 このような中、当社グループは2021年12月に公表しました中期経営計画“NEXT300”の達成に向け、当社の行動指針に従い、より良い製品を医療現場に提供することを通じ、更なるビジネスの拡大に取り組んでおります。具体的には、国内において、人工透析類では針刺し防止機構付き止血弁内蔵透析用留置針「ハッピーキャスProFlex」、静脈留置針類ではパッシブタイプの針刺し防止機構付き留置針「スーパーキャス7」の販売・普及に努めるとともに、インターベンション類において、スーパーシースの機能性を向上させた「スーパーシースCoat Plus」、新製品として不整脈治療用のブレイデッドシース「AbRoad STOUT」及びスティーラブルシース「AbRoad FLEX」の販売を開始しました。また、今後の成長に向けたストラテジックな取り組みとして、脳血管内治療分野において先進的な製品開発を行う株式会社Bolt Medicalを昨年12月に買収しました。同社が有する技術は、脳血管疾患の大半を占める脳卒中患者に対する低侵襲治療の可能性を更に広げるもので、当社既存事業との間に高い相乗効果が見込めることから、将来的に当社の更なる成長のドライバーとなることを期待しております。

更に、海外に関しては、国内で高い評価をいただいております、透析針、静脈留置針、シースイントロデューサー等の販売・普及を図るべく、積極的にプロモーションに取り組むとともに、欧州において、一定の費用負担が生じたものの、新規制MDRへの対応を進めました。

 一方、石灰化病変治療デバイスの国内販売契約を本年1月末に終了することとなりましたが、他社とのアライアンス事業に関しましては、収益性や当社のビジネスとの親和性等を勘案しつつ、今後とも前向きに取り組んでまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

  当社グループは、「成長性」「収益性」「安全性」をキーワードとして、①グループ連携の強化、②安全性と新商

 品提供、③グローバル展開、④生産体質の強化を課題と考え、業務を行っております。

 

①グループ連携の強化

  当社グループは、グループ会社間の連携が製品の開発から生産、販売、物流までの一連の流れを強化することに繋が

 るものと確信しております。販売会社は、顧客ニーズを探求し販売に繋げること、製造会社は、ニーズを踏まえた開発

 と製造、お互いの役割を明確化したうえで一体となって取り組むことで、市場ニーズを捉えた製品のスムーズな市場投

 入を実現してまいります。

 

②安全性と新商品提供

 当社グループは、品質保証・安全管理体制を構築し、安全性を重視した商品の開発・販売を行っております。また、

患者様はもちろんのこと、使用される医療従事者様に対しても安全な製品の提供は、医療機器製造販売業者の責務であ

り、既存製品についても引き続き改善・改良等に取り組んでまいります。

 

③グローバル展開

 海外展開の拡大を重要な戦略分野と位置付け、グローバルレベルでの開発力、商品力、販売力の強化に取り組むとと

もに、海外薬事への対応も着実に進めてまいります。

 

④生産体質の強化

 当社グループの持つ技術及び生産能力を最大限に発揮するための品質管理とコスト管理を行い、競争力強化に努め、効率的且つ柔軟な生産管理体制の強化を推進してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 当社グループは、医療機器メーカーとして、医療を通じて社会に貢献することを理念として掲げ、医療における

社会課題の解決に取組むとともに、社会の一員として、地域コミュニティへの参画、環境への取組、ガバナンスの

向上など様々な側面よりサステナビリティの実現・強化に努めております。具体的には、これまで以下①~④など

に取組んでまいりました。

 

①医療機器メーカーとしての社会課題への取組

 「製品の安全性重視」「低侵襲な医療機器の提供」「医療従事者の安全性に配慮した製品の提供」「開発途上国への医療貢献(JICAプロジェクト)」等

②当社の工場所在地である宮崎県日向市をはじめとする地域コミュニティへの参画

 「宮崎県立芸術劇場におけるネーミングライツの取得」「日向工場および中島美術館見学などを通じた教育活動への取組」「屋上を津波発生時の避難場所として開放することなども想定した、日向工場生産・避難棟の建設」等

③環境負荷の軽減

 「日向第二工場敷地での太陽光発電の敷設」「メディキットさくらの森を整備することを通じた、森林保全・育成への取組」等

④D&Iの推進

 「女性・外国人・中途採用者の積極的な採用」「女性社外取締役・女性の海外子会社社長就任」等

 

 上記の通り、当社グループでは、これまで数々の取組を行ってまいりましたが、社会情勢の変化などを踏まえますと、更なる取組の強化は必要不可欠であると思われます。よって、それらを体系化し、内容を高度化し、迅速・確実に実行していくことが必要だと考えられます。こうした点を踏まえ、更なる取組の第一歩として「サステナビリティ準備委員会」を発足致しました。当該準備委員会においては、当社グループの経営理念、ビジョン、行動指針を踏まえたうえで、当社グループとしてのこれまでの取組を振り返るとともに、重要な経営課題(マテリアリティ)の洗い出し、それらの優先順位付けを改めて行う予定です。また、サステナビリティの重要性を踏まえ、委員長は代表取締役社長が担います。更に、当社グループの中核機関の一つである「リスク管理委員会」とも連携し、各経営課題への対処に生じ得る諸リスクについて、具体的に対応策を協議、実践してまいります。

 

(2)人材の多様性の確保を含む「人材の育成に関する方針」「社内環境整備に関する方針」

 当社グループは、これまで、女性の職業生活における活躍に関する法律(平成27年法律第64号)等に則り、管理職に占める女性労働者の割合の向上について目標を公表し、その対応に向け取り組んでまいりました。当該比率は一朝一夕で改善できるものではなく、中長期的視点での活動が求められますが、まずメディキット株式会社(販売を担う)におきましては、フレックスタイム制の導入を始めとして、一人一人が柔軟な働き方ができる社内環境整備に取り組んでおります。また、東郷メディキット株式会社(製造を担う)におきましては、正社員採用者(大卒社員含め)における女性比率を向上させることなど、女性が活躍できる機会の創出に取り組んでおります。今後は、これら内容を含め、上記のサステナビリティ準備委員会などで議論を深め、新たな視点を加え、更なる具体策を講じてまいります。

 

人的資本に関する目標

提出会社及び連結子会社

指標

目標

実績(当連結会計年度)

メディキット㈱

管理職(課長以上)に占める女性労働者の割合(数)

2026年3月までに

2名以上に

2.1%

(女性管理職者数:1名)

東郷メディキット㈱

2026年3月までに

2名以上に

0.0%

(女性管理職者数:0名)

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、これらは全てのリスクを網羅したものではなく、これら以外にも投資家の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 当社グループはこれらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

(1)医療機器の製造・販売について

① 医療制度改革について

・リスク認識(概要、顕在化の可能性の程度や時期、経営への影響など)

 日本国内の医療を取り巻く環境は、急速な少子高齢化や医療技術の進歩等といった大きな変化をしており、厚生労働省によって行われている医療制度改革は、こうした環境の変化に対応するための医療制度構築を目指しております。このような医療制度改革の一環として、2000年以降、厚生労働省が定める特定保険医療材料の償還価格の改定が基本的に2年に1度実施されております。この改定によって、保険償還価格は全体として低下傾向にあり、これに連動する医療機器販売業者が医療機関に対して販売する製品価格も低下傾向にあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

・対応策

当社グループといたしましては、販売価格の低下に対応すべく、生産効率の高い生産設備の導入と絶え間ない生産技術の改善による原価の低減、物流費を抑えるための物流計画を含む販売コストの抑制、高付加価値製品の販売に注力することによる販売効率の改善を進めております。

 

② 法的規制について

・リスク認識(概要、顕在化の可能性の程度や時期、経営への影響など)

 当社グループの行う医療機器の開発、製造及び販売は、販売先各国の法令等により規制を受けております。各国における規制は強化される傾向にあり、各種許認可に対応する薬事担当部門の対応力強化に努めておりますが、販売先各国において許認可が得られなかった場合、既に取得している許認可が取り消された場合、あるいは許認可が適時に得られなかった場合には、事業計画の遅延や見直しが生じるため、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

・対応策

 当社グループでは、販売先各国の法令等による規制に対応すべく薬事担当部門を設置しており、規制強化の流れの中、情報の収集、適切な対応等に取り組んでおります。

 

③ 品質保証体制について

・リスク認識(概要、顕在化の可能性の程度や時期、経営への影響など)

 当社グループは、高度な技術を要する医療機器を取り扱う事から、社内において徹底した品質管理体制を確立しております。しかし、製品の製造や輸送段階等における不良品の発生や医療現場での適切でない取扱いが行われる可能性は、完全に否定する事ができません。医療事故等が発生した場合には、製造物責任により、係争事件等に発展する可能性があります。また、販売先各国の法令等により、関連する製品の回収責任が生じる可能性があります。このような場合、訴訟費用や回収費用等の発生により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

・対応策

 当社グループは、品質マネジメントシステムの国際規格ISOに基づき、徹底した品質管理を行うとともに品質保証体制を確立しております。また、斯様な対応にも関わらず発生する可能性が完全には否定できない医療事故に対しては必要な保険により対応しております。

 

④ 原材料・部品の供給と価格について

・リスク認識(概要、顕在化の可能性の程度や時期、経営への影響など)

 当社グループの生産活動は、当社グループ外の供給業者からの原材料及び部品の供給に依存しております。供給業者の都合により供給に支障が出た場合、製品の生産・出荷の遅延を招く恐れがあり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 また、当社グループが製造する製品の原材料は、その大半をプラスチック及びステンレス鋼が占めており、特にプラスチックの調達価格については原料となるナフサ並びに原油の価格に概ね連動しております。これら原材料の価格が高騰した場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

・対応策

 当社グループは、複数の供給業者からの購買・供給と新規供給ルートの開拓に取り組むとともに、調達コストの削減に努めております。

 

⑤ 販売先の信用状況等について

・リスク認識(概要、顕在化の可能性の程度や時期、経営への影響など)

 当社グループの販売経路は、病院への直接販売と医療機器販売業者への卸売販売の2つに分けられます。医療機器販売における販売価格の低下や競争激化の影響等により、これらの販売先の中には経営に厳しさを増してくる取引先が出てくる可能性があります。そして販売先の信用状況が大幅に悪化した場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、信用状況以外でも販売先の状況や販売先との関係に大きな変動が生じた場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

・対応策

 当社グループといたしましては、販売先の信用状況をウォッチし、必要に応じて担保の預入をお願いするなど、売上債権の管理に留意しております。

 

⑥ 特定製品への依存について

・リスク認識(概要、顕在化の可能性の程度や時期、経営への影響など)

 当社グループは、人工透析類、静脈留置針類、インターベンション類という3つの品目の製品を提供しておりますが、各品目ともその中では主力製品が高い比率を占めております。このため、当社グループの主力製品が、過度な価格競争等に巻き込まれ販売価格の低下を余儀なくされた場合や製品が陳腐化し競争力が著しく低下した場合には、当社グループの事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

・対応策

 当社グループといたしましては、製品の改善・改良を継続的に行い製品の競争力の維持・強化に努めております。また新たな高付加価値製品の開発、製品ラインアップの拡充にも取り組んでおります。

 

⑦ 生産拠点の集中について

・リスク認識(概要、顕在化の可能性の程度や時期、経営への影響など)

 当社グループが販売している製品のほとんどは、当社の連結子会社である東郷メディキット㈱において開発・製造を行っております。東郷メディキット㈱の主な製造工場は宮崎県日向市にあり、製造工場が地震、津波、台風、水害、火災等の災害による被害を受けた場合、生産活動の停止や復旧に時間を要して製品の出荷に影響を及ぼし、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

・対応策

 当社グループといたしましては、Medikit Vietnam Co., Ltd.での生産・出荷数量の増加、臨海地域に立地する日向工場の津波避難棟を兼ねた生産棟の活用、内陸部に位置する日向第二工場の増築並びに日向第三工場に滅菌施設の新設、主に東日本をカバーする佐倉流通倉庫での製品在庫の保持などのリスク分散を推進しております。

 

⑧ 知的財産権について

・リスク認識(概要、顕在化の可能性の程度や時期、経営への影響など)

 医療関連業界の技術進歩は著しく、知的財産権に対する認識は高まっております。そうした中、当社グループが自社の知的財産権を十分確保できずに類似品による攻撃を受けた場合、あるいは他社の知的財産権の侵害が疑われ係争に発展した場合、その内容と結果次第では、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

・対応策

 当社グループは、製品の開発・製造・販売に関し、競争上の優位性を維持する観点から、専任担当者を配置し、知的財産権の確保に努めており、また、製品に関連し得る他社の知的財産権の侵害防止に努めております。

 

⑨ 技術革新への対応について

・リスク認識(概要、顕在化の可能性の程度や時期、経営への影響など)

 医療関連業界の技術進歩は著しく速く、今後検査及び治療方法を革新する新技術が開発された場合には、当社グループの提供する製品が陳腐化してマーケットシェアの減少や販売価格の低下を招き、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

・対応策

 当社グループは、企業が成長を続けるためには、新製品の研究開発が必須であるとの認識のもと、販売会社である当社は顧客ニーズを探求、連結子会社(製造会社)である東郷メディキット㈱はニーズを踏まえた開発に努め、両社が連携して多様化、高度化する市場の変化や顧客ニーズに応える製品を提供することを基本としております。

 

(2)今後の事業展開について

 当社グループの更なる成長には海外での製造、販売が重要であり、積極的に海外展開を行う方針であります。新たな市場における販売ルートの確立を引き続き慎重に進めていく所存でありますが、予期せぬ政情の変化が起こる可能性や原油など資源価格の高騰による原材料価格上昇など、海外環境の動向等により海外事業が計画通りに展開されない可能性があります。仮に、このような事態が発生した場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、新規事業につきましては、起こりうる様々なリスクを想定して事業を実施しておりますが、予測と異なる状況が発生する等により、事業が計画通りに進まない可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」とい

う。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 a.財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比(以下前期末比という)2,128,450千円増(4.2%増)の

53,186,344千円となりました。流動資産は同365,119千円減(0.9%減)の38,176,304千円、固定資産は同2,493,569

千円増(19.9%増)の15,010,040千円となりました。

 流動資産減少の主な要因は、現金及び預金が525,139千円減少したこと等によるものです。

 固定資産のうち有形固定資産は、同396,504千円減(3.7%減)の10,438,162千円となりました。

 無形固定資産は、同2,965,642千円増の3,092,272千円となりました。

 無形固定資産増加の主な要因は、買収によるのれんが1,935,896千円増加したこと等によるものです。

 投資その他の資産は、同75,568千円減(4.9%減)の1,479,604千円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前期末比608,786千円増(11.5%増)の5,894,363千円となりました。流動負債は

同258,825千円増(5.9%増)の4,673,645千円、固定負債は同349,960千円増(40.2%増)の1,220,717千円となりま

した。

 流動負債増加の主な要因は、未払法人税等が161,096千円増加したこと等によるものです。

 当連結会計年度末の純資産は、前期末比1,519,663千円増(3.3%増)の47,291,981千円となりました。この主な要

因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払いにより、差引き利益剰余金が1,354,274千円増加し

たことによるものです。

 この結果、自己資本比率は88.9%となりました。

 

 b.経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、度重なる新型コロナウイルスの感染症の拡大、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰、円安の進行等によるインフレ進行等が重しとなり、景気の回復は緩やかなものとなりました。

 当社グループの属する医療関連業界においては、新型コロナウイルス第7波、第8波の感染者数がピーク時25万人レベルにのぼる規模となる中、各医療機関は医療態勢の維持に取り組んでおられましたが、手術件数や検査件数の回復の動きが見られました。一方、当連結会計年度は診療報酬改定の年でしたが、材料価格は▲0.02%となり、引き続き厳しい状況が続いております。

 このような中、当社グループは2021年12月に公表しました中期経営計画“NEXT300”の達成に向け、当社の行動指針に従い、より良い製品を医療現場に提供することを通じ、更なるビジネスの拡大に取り組んでおります。具体的には、国内において、人工透析類では針刺し防止機構付き止血弁内蔵透析用留置針「ハッピーキャスProFlex」、静脈留置針類ではパッシブタイプの針刺し防止機構付き留置針「スーパーキャス7」の販売・普及に努めるとともに、インターベンション類において、スーパーシースの機能性を向上させた「スーパーシースCoat Plus」、新製品として不整脈治療用のブレイデッドシース「AbRoad STOUT」及びスティーラブルシース「AbRoad FLEX」の販売を開始しました。また、今後の成長に向けたストラテジックな取り組みとして、脳血管内治療分野において先進的な製品開発を行う株式会社Bolt Medicalを昨年12月に買収しました。同社が有する技術は、脳血管疾患の大半を占める脳卒中患者に対する低侵襲治療の可能性を更に広げるもので、当社既存事業との間に高い相乗効果が見込めることから、将来的に当社の更なる成長のドライバーとなることを期待しております。

更に、海外に関しては、国内で高い評価をいただいております、透析針、静脈留置針、シースイントロデューサー等の販売・普及を図るべく、積極的にプロモーションに取り組むとともに、欧州において、一定の費用負担が生じたものの、新規制MDRへの対応を進めました。

 一方、石灰化病変治療デバイスの国内販売契約を本年1月末に終了することとなりましたが、他社とのアライアンス事業に関しましては、収益性や当社のビジネスとの親和性等を勘案しつつ、今後とも前向きに取り組んでまいります。

 その結果、当連結会計年度の業績は、売上高21,607,233千円(前年同期比7.3%増)、営業利益4,118,187千円(同

6.9%減)、経常利益4,177,707千円(同8.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,864,589千円(同4.3%減)

となりました。

 当社の商品区分である品目別の売上高は以下のとおりであります。

 人工透析類におきましては、7,526,040千円(前年同期比3.6%増)となりました。静脈留置針類におきましては、

5,871,053千円(同12.0%増)となりました。インターベンション類におきましては、8,198,744千円(同7.7%増)

となりました。

(注) 当社グループは、医療機器の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省

   略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、以下に記載のキャッシュ・フ

ローにより、前連結会計年度末に比べ525,139千円減少し、当連結会計年度末には17,592,949千円となりました。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動の結果得られた資金は4,480,319千円(前年同期比42.1%増)となりました。内訳の主なものは、税金

 等調整前当期純利益4,291,340千円と、法人税等の支払額1,036,154千円等であります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果使用した資金は3,582,343千円(前年同期比108.3%増)となりました。内訳の主なものは、連結

 範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,460,851千円と、有形固定資産の取得による支出982,723千円であ

 ります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動の結果使用した資金は1,509,626千円(前年同期比67.5%増)となりました。内訳は、配当金の支払額

 であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績については、単一セグメントのため品目区分別に記載しております。

品目別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

人工透析類

(千円)

6,968,702

△2.5

静脈留置針類

(千円)

5,946,020

14.9

インターベンション類

(千円)

5,751,691

11.5

合計

(千円)

18,666,414

6.8

 (注)金額は平均販売価格によっております。

 

 b.受注実績

 当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績については、単一セグメントのため品目区分別に記載しております。

品目別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

人工透析類

(千円)

7,526,040

3.6

静脈留置針類

(千円)

5,871,053

12.0

インターベンション類

(千円)

8,198,744

7.7

 

うち石灰化病変関連

(千円)

1,524,102

12.9

その他

(千円)

11,395

△2.5

合計

(千円)

21,607,233

7.3

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は次のとおりであります。

 ・経営成績の分析

 「第2 事業の状況  4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1) 経営成績等の状況の概要  ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 ・財政状態の分析

 当社グループは、適切な流動性の維持、事業活動のための自己資金の充実及び健全なバランスシートの維持を財務

方針としております。

 なお、財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況  4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシ

ュ・フローの状況の分析  (1) 経営成績等の状況の概要  ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり

ます。

 

・経営成績に重要な影響を与える要因について
 「第2 事業の状況  3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

・キャッシュ・フローの状況の分析

 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成

績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

・資本の財源及び資金の流動性

 資金需要

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を

目的とした資金需要は、主に設備投資であります。

 財務政策

 当社グループは、運転資金及び設備投資資金については、原則自己資金により調達することとしております。

 当社グループは、財務の健全性を保ち、営業活動によるキャッシュ・フローを基本に将来に必要な運転資金及び設

備投資資金を調達していく考えであります。

 

 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて

は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとお

りであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)株式譲渡契約

 当社は、2022年12月23日開催の取締役会において、株式会社Bolt Medicalの発行する株式及び新株予約権の全てを取得することに合意し、連結子会社化することについて決議しました。それに基づき2022年12月26日付で株式譲渡契

約を締結し、同日に当該全株式を取得しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(2)独占販売権を受けている契約

 当社と米国 Cardiovascular Systems,Inc.との間で締結していた石灰化病変治療デバイスの国内独占販売契約は、2023年1月31日をもって終了しました。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、コロナ禍や不安定な国際情勢を受け環境がますます変化する中、多様化、高度化して広汎な範囲に

わたる顧客ニーズに応える製品を研究開発して、価値提供を追求することを基本方針としております。このため情報収

集から製品化までにわたる基礎技術及び応用技術の研究開発についての役割を分担し、6部門・46名のスタッフにて活

動しています。内容は①顧客ニーズの情報収集、②既存製品の改良、③医療現場で行われている安全対策について医療

機器からの提案、④患者のQOL(Quality of Life)への寄与に関する医療機器からの提案、⑤カテーテル技術応用

展開になります。なかでも医療現場で行われている安全対策について医療機器からの提案である誤刺事故防止機構付き

針製品、及びインターベンション関連の血管内治療用カテーテル製品の研究開発にウエイトを置いております。このよ

うな取り組みによって当連結会計年度の研究開発費は323,092千円(売上高比率1.5%)となりました。

 なお、医療機器の製造・販売事業の単一セグメントであるため、品目区分別に記載しますと次のとおりであります。

 

 人工透析類

 2022年度は、止血弁を内蔵し、安全機構を装備した透析用留置針「ハッピーキャスProFlex(プロフレックス)」の

外套針に改良を加え品質向上を図りました。医療従事者の使い易さを追求し、性能の見直しを行い外套針全体の性能を

高めました。また、既存の透析用留置針「ハッピーキャスC-Pro、ProFlex」の安全機構作動時の安定性と精度向上を行

った改良品を市場投入しております。今年度は海外欧州への展開を拡充すべく「Supercath Clampcath」、「Supercath

NEO」及び「Supercath Pro」を主軸とした透析用留置針について欧州医療機器規則(MDR)に対応するため規制当局へ

の申請を実施しており当局との照会対応を行っております。加えて、「Supercath NEO」の海外展開として中国への拡

販を目的として薬事申請を進めており現在臨床試験を実施中です。

 新たな分野として、今後は様々ながん治療における高精度医療とともに組織生検のニーズが高まるものと予測される

ため、放射線科領域・泌尿器科領域で有用性の高い製品の開発に努めており、昨年から引き続き、当社の針加工技術の

強みを生かした切れ性能の高い検査用針の開発を進めてきており設計検証作業が概ね完了いたしました。

 

 静脈留置針類

 当社グループは、安全機構と圧迫止血補助弁の開発により静脈用留置針の国内トップシェアを獲得しましたが、更な

る品質安定化と性能向上を目指し改善改良を続けております。今年度はパッシブタイプの針刺し防止機構付きの静脈用

留置針「スーパーキャス7」において、パッシブ型留置針市場のシェア拡大を目指し販売を推進しておりますが、顧客

要望として挙がっているバックフローの視認性能を最大限向上させるため、改善改良に取り組んでいます。また、Ztu-

Vのデザインを全面的に見直し、スーパーキャス5の形状構造に近づける設計変更に着手し、モデルチェンジを検討致

します。また、輸出製品として中国向けの製品においては、輸出国からの要望により、タブ付きS5やZtu-V2”のモデ

ルをラインナップへ追加し有効期限5年の製品出荷を開始しております。

 加えて、欧州市場への販路拡大の為、欧州医療機器規則(MDR)に対応するため、規制当局へ申請を実施しました。

 

 インターベンション類

 カテーテル、及びカテーテルイントロデューサ(シース)の研究開発、ならびに医療現場のニーズに沿った新製品の

開発を行っております。2022年度は、循環器分野における不整脈治療で使用される付加価値の高い製品として、「メ

ディキットブレイデッドシース(ニックネーム:AbRoad STOUT)」及び「メディキットスティーラブルシース(ニッ

クネーム:AbRoad FLEX」の製造販売を開始いたしました。臨床現場からのご意見を参考に、一連の手技におけるユー

ザビリティーを最大限考慮するとともに品質向上のため、改善改良を継続しております。循環器・脳外科分野で用いら

れるラディアルアプローチ用のシースに関して、潤滑性コーティングを付与したメディキットスーパーシース「Coat

Plus(肉薄型)」の製造販売を開始しました。また、輸出製品としまして、小児用の血管造影用カテーテル

「Mongoose」の欧州医療機器規則(MDR)対応品を2022年6月より販売開始しております。

 今年度より、脳血管内治療用のデバイスとして、脳血管内の遠位までの安全かつ正確なカテーテル誘導と治療におけ

るバックアップ性の向上を目的とした中間カテーテルの開発に着手しております。

 また、昨年のトピックとして「株式会社 Bolt Medical 」を子会社化しました。株式会社 Bolt Medicalで開発した

製品は脳血管内治療を実施するためにより適切な位置にカテーテルを挿入支援するためのデバイスです。このデバイス

によって今まで以上の安全性と治療効果が期待でき、より難易度の高い治療についても低侵襲な血管内治療を選択でき

るものと考えております。