当社グループは価値とあり方を言語化したパーパス「人と知と技術で、可能性に満ちた“余白”を、ともに。」と大切にすべき価値観・行動指針を定めたバリューズで構成する経営理念を制定しております。
当社グループはこの経営理念のもと、お客さまやその先の社会に向け当社グループらしい「事業的価値」「社会的価値」を提供することで、更なる成長と豊かな世界の実現を目指してまいります。
① 前中期経営計画「Innovation2023」の総括
当社グループは、前中期経営計画「Innovation2023」(2021年3月期~2023年3月期)において、「サービス化による事業構造の変革」「データドリブンビジネスの推進」「経営基盤の強化」の3つの重点施策に取り組んでまいりました。
3つの施策とも順調に進捗した結果、2023年3月期の営業利益は5,118百万円と目標としていた4,600百万円を上回る結果となりました。特に重点施策「サービス化による事業構造の変革」においては、サービス体系の刷新や共創を軸とした魅力的なサービスの取り込み、自社サービスの開発等を積極的に進めた結果、情報ネットワークソリューションサービス事業におけるサービスの売上構成比を45%にまで押し上げることに成功し目標達成に寄与いたしました。ROEにつきましても利益の増加と適切な資本コントロールにより、目標としていた9%を上回る10.4%を達成いたしました。
② 経営環境
当社グループを取り巻く環境はサステナビリティ意識の高まりや、ICTによる事業変革・社会課題解決の期待の高まりなど目まぐるしく変化しております。そのような中、当社グループは「最新技術への挑戦」と「成長領域の見極め」をしながら、社会のサステナビリティを担う企業活動にこれまで以上に取り組んでいくことが必要不可欠になっております。
このような考えのもと、当社グループがこの先もステークホルダーの皆さまから選ばれ続ける企業であるために、どのような姿になっている必要があるのかを考え、長期ビジョンを策定いたしました。
2032年5月の創業100周年に向け、ありたい姿を「Growth Navigator」と定め、「成長をナビゲートし、ともに創り上げる集団」への変革を目指して3つの活動軸で取組みを進めてまいります。今後10年の営みにより提供価値とポジションを高め、営業利益100億円、売上高1,500億円に挑戦いたします。

事業の成長に向け、成長領域と新領域に比重を置いたポートフォリオへの変革をポイントに、経営資源へのアプローチを大きく変えてまいります。特に、M&Aや資本業務提携を視野に入れた新技術の取り込みや、人への投資を攻めに転じ、新領域の拡大に注力いたします。
また、これまで以上にESG視点を強く持った「社会課題」起点のビジネスに挑戦し、社会的インパクトを生み出す企業へと成長を遂げてまいります。

長期ビジョン達成に向け、2026年3月期までを「リソースをシフトし成長事業を軌道に乗せる」1stステージと位置づけ、中期経営計画「Transformation 2026」を策定いたしました。事業戦略とそれを支える財務戦略・経営基盤強化の施策を実行してまいります。

ⅰ)事業戦略
情報ネットワークソリューションサービス事業においては、利益率が高く市場成長も見込める成長領域を6つ特定し、その強化に向けた重点施策を実行すると同時に、既存領域の効率を上げることで成長領域に経営資源を集中いたします。電子デバイス事業については、成長性と収益性が見込める商品の拡販により既存のデバイス・システムビジネスの収益性を高めつつ、新たなソリューションの創出に挑戦することで利益率を高めてまいります。
ⅱ)財務戦略
ROE10%以上の確保を目指し、資本コストを意識した財務運営、バランスシートの最適化を通じた資金の創出、キャピタルアロケーションの最適化に努めてまいります。創出した資金の使途といたしましては中期経営計画の期間に研究開発、商品開発、人材、社内DX等に80億円の投資を計画しております。また、事業領域及び技術領域の拡大、社会課題起点の事業確立などに向けたM&Aや資本業務提携に100億円の投資を実行してまいります。
なお、当社グループは、株主のみなさまに対する利益還元について、2024年3月期より配当方針を変更し、連結配当性向40%を目安としております。詳細については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。
ⅲ)経営基盤強化
当社グループの成長の源である人材のパフォーマンスやエンゲージメントを高めるため、事業戦略に沿った人材の育成および多様な人材が自ら挑戦・活躍できる文化の醸成に力を入れてまいります。また、ガバナンスの更なる高度化を目指し、グループガバナンスの強化、取締役会の実効性向上、投資家のみなさまとの建設的な対話頻度の増加に努めてまいります。加えて、持続可能な社会の実現に寄与するため、事業を通じたサステナビリティ向上の取り組みを更に強化してまいります。
なお、人材育成およびサステナビリティ向上の取組みの詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当社はこれまでも事業を通じた社会貢献に取り組んでまいりましたが、昨今の社会や環境の大きな変化を受け、「持続可能で豊かな社会への貢献」と「持続的な成長」の両立がより重要であると考え、サステナビリティ活動に注力しております。基本方針および当事業年度から3年間の活動テーマは以下の通りです。
(サステナビリティ基本方針)
(3か年の活動テーマ)
1.人を育む環境整備(人的資本強化)
2.知/技術を育む環境整備
3.責任ある企業行動の推進(環境負荷の低減)
当社は経営トップ主導のもとサステナビリティに配慮した経営を主導する「サステナビリティ経営委員会」と、各取り組みの連携により課題の協働解決を目指す「サステナビリティ推進委員会」の2つの委員会のもとで活動を行っております。
取締役会は「経営会議」および「サステナビリティ経営委員会」で協議・決議された内容の報告を受け、対応方針および実行計画等についての論議・監督を行っております。当事業年度は、「人的資本強化」および「環境負荷の低減」を重要視し論議いたしました。

(人的資本に関するガバナンス)
取締役会の決議事項として、「取締役および従業員等の人事に関する事項」「組織・規程に関する事項」を定め、毎年、戦略に基づいた組織・人材配置について審議しております。また人事戦略を議題に、社外取締役と多様な観点から意見交換を行い、立案しております。
(環境負荷低減の取り組みとTCFDへの対応)
当社は、重要課題(マテリアリティ)の一つに「人・社会・地球環境の変化をとらえ、調和ある共存に貢献」を定め、環境負荷低減に取り組んでおり、活動の一環として2022年5月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。
本活動はサステナビリティ活動の一つとして実施しており、リスクと機会の特定及び評価は環境推進委員会が担っております。その後は次ページに記載のフローでサステナビリティ経営委員会が重要課題(マテリアリティ)を設定し、経営会議・取締役会に報告するガバナンス体制を構築しています。
当社は経営理念の実現に向け、3つの重要課題を特定いたしました。自社の成長に向けた取り組みと共に本活動を推進することで企業価値を永続的に高めるとともに、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する企業となることを目指しております。
<3つの重要課題(マテリアリティ)・自社の成長に向けた取り組み>
・重要課題1:心身共に健康で、愛される人材・チームの開発
- 挑戦を支える土台作り(健康経営、働き方・働く場改革、安全衛生)
- 多様な人材の活躍支援(人材開発、ダイバーシティー&インクルージョン)
・重要課題2:人・社会・地球環境の変化をとらえ、調和ある共存に貢献
- 環境負荷低減(環境マネジメント、CSR調達の推進、製品・サービスにおける環境配慮)
- ステークホルダーとのコミュニケーション活性化(社会貢献、ステークホルダーとのコミュニケーション、理念浸透)
・重要課題3:情報通信技術による信頼性高く、革新的なサービスの提供
- 安心・安全なサービスの提供(高度な情報セキュリティサービスの提供、製品・サービスの品質向上、安全安心に寄与する独自ソリューションの開発・提供)
- 社会課題解決への挑戦(顧客との共創/コラボレーションの推進、DXによる新たなビジネスの創出)
・自社の成長に向けた取り組み
(コーポレートガバナンス、リスクマネジメント、コンプライアンス、情報セキュリティ)
(人的資本に関する戦略)
当社は、お客様に寄り添い、多様なご要望に応えるだけでなく、市場のニーズを捉え直し、様々な角度から新たな価値創造を行い、多様なお客様とのつながりを生み出し続けることを目指しております。そのためには社員一人ひとりが多様な視点・専門性・つながりによってアイデアを創出することが重要であると考えております。そういった人材を育てるため、人事戦略の柱を「組織と個人の活性化にこだわる」と定め、組織開発(組織を強くする)と人材開発(個人を強くする)の2つの側面から活動を強化してまいります。
当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下の通りであります。
(人材育成方針)
「リーダー人材育成」、「多様なプロ人材育成」、「自律的に社内外に働きかけるチームづくり」の3本柱を基本方針としております。これまで次世代経営人材やDX人材の育成、自己申告や研修を通じた自律的キャリア開発を行ってまいりました。今後は各育成施策の手挙げ式・募集型への見直しによる自己責任化を進めるとともに、高度専門人材の採用も行い、成長戦略に必要なプロ人材の育成と組織能力の強化を図ってまいります。また、社内人材流動性を高め、幅広いニーズに応えられる能力を組織・個人の両面から高めていきます。
(社内環境整備方針)
リーダー人材と多様なプロ人材が自ら挑戦できる土台づくりと多様な人材の活躍支援を行える環境を整備してまいります。これまで健康経営やオフィスリニューアル等の働き方改革やディーセントワーク推進、ワークショップによる風土改革・ダイバーシティー&インクルージョン推進、技術専門管理職を生み出す人事制度改定等を行ってまいりました。今後はこれまでに確立した仕組みの整備・改善を進めるとともに、人事制度の抜本的見直しおよび意識・風土改革によって共感を生み出し、自律性の向上と多様な人材が挑戦・活躍できる文化の醸成を図ります。
当社は以下のプロセスを通じてサステナビリティ関連のリスクと機会の特定及び活動の管理を行っております。
「人的資本」および「環境マネジメント」について、以下の指標を設定し目標達成に向けた取り組みを推進しております。
なお、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針にかかる指標については、当社においては関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が一部困難であります。このため、一部指標に関する目標及び実績は連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
(注)1 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。
(環境マネジメントに関する指標及び目標)
Scope1・2の温室効果ガス排出量を指標及び目標に定めております。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、本文の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
情報サービス業界においては、技術の急速な進化に伴うDX対応といったお客さまのニーズの変化や、当該業界へ異業種からの新規参入等による企業間の競争激化への迅速な対応が常に求められております。
当社グループがこれらへの対応に遅れ、お客さまに提供している技術やノウハウ等の競争力が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、最新の技術並びにお客さまの動向を把握することに努め、成長する領域に注力することで競争力の強化を図っております。
また、当社グループの総合力によりお客さまの課題を解決することで、競合他社との差別化を図るとともに、提供するソリューションの陳腐化を防ぎ、競争優位性の向上に取り組んでおります。
システム開発の請負等に係る受注案件では、仕様確定に関する不備、プロジェクト体制の問題、技術的な検証不足等の様々な想定外の事象の発生により、プロジェクトが予定された範囲、予算、納期及び品質で実施できず追加対応に伴うコストが増大した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、商談に至る前の商談審査会や見積り作成時の見積審査会といった審査会を開催することにより、リスクの明確化と対応策の検討及び開発工程管理や成果物等の品質管理の徹底に努めております。
また、進行中のプロジェクトに関しても、状況把握のため、定期的な会議を開催することで、問題の早期発見・対策に取り組んでおり、プロジェクトから独立した部門がリスクの評価分析及びその結果に基づくプロジェクトの遂行に関する助言、勧告等を行っております。
当社グループは様々な情報を電子データとして保管・活用しており、これらの情報がサイバー攻撃などにより毀損ないしは社外流出等した場合には、社会的信用の失墜や費用負担の発生など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、情報セキュリティ統括責任者を運営責任者とする管理組織が中心となって情報の管理・保護を進める一方、経営層と直結した情報セキュリティ内部監査チームが監査を行うなど、情報管理体制を整備しております。また、「情報セキュリティポリシー規程」や「情報セキュリティ基準」の制定、情報セキュリティ管理に関する定期的な社員教育、ウイルス対策ソフト導入やソフトウエア更新による脆弱性解消等、情報資産に対するさまざまなセキュリティ対策を講じることで、安全性の確保に努めております。
また、多くのお客さまに対してもシステムや通信インフラ等を提供しており、これらがサイバー攻撃により何らかのダメージを受けた場合には、当社にて損害又は改修費用の負担が発生する可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、サイバー攻撃対策指図書やガイドライン等のセキュリティ開発指図書を制定するとともに、従業員向けの教育や、お客さまシステムでインシデントが発生した場合の対応訓練も定期的に行うなど、さまざまなリスク低減策を実施しております。
当社グループは、富士通株式会社、株式会社ソシオネクスト等と経営上の重要な契約を締結し、多くの製品やサービスを両社から仕入れ、お客さまに販売しております。これらの企業の経営方針の変更や経営状況の悪化等により、商品・サービスの提供中止や仕入れ条件の変更等が行われた場合、当社グループの競争力が低下する可能性があります。また、これらの企業の製品の生産が部品不足等により滞り納期が遅延した場合や、製品の原材料価格の高騰等により仕入れ価格が上昇した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、両社との連携を密にして、方針、パートナー戦略、動向変化等に適宜必要な対応をとれるようにしております。また、特定の取引先への依存度を低減させるために、競争力のある仕入先との取引拡大及びAI、IoT、クラウド型コンタクトセンターといった成長分野における独自ビジネスの拡販によって、環境変化に強い事業基盤の構築に取り組んでいます。
お客さまに対して最適な製品、サービス及びソリューションを提案していくために、優秀な人材を獲得し維持する必要がある中、優秀な人材が多数離職したり、新規に採用することができなかったりした場合には、当社グループの事業目的の達成が困難になる可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、適正な採用計画を立案し、将来を見据えた新卒採用と、既存事業の強化や事業領域の拡大のために必要な即戦力となるキャリア採用をバランスよく、かつ機動的に行っています。
また、自社の人材育成プログラムを通じた人材の育成、健康経営優良法人(ホワイト500)の認定取得等ニューノーマル時代に即した労働環境の確立及び自律的なキャリア支援施策を実施することで従業員の定着率向上に努めており、離職率は低い水準にあります。
地震等の自然災害や感染症のパンデミック等が発生した場合、事務所等の物的損害や人的被害等の直接的な被害のほか、社会インフラの毀損やサプライチェーンの停滞等が発生する可能性があります。これらの事象の発生は、設備の修復や人員の代替等に巨額の費用を要するとともに、仕入、受注及び販売活動等に大きな支障をきたすため、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、事業継続計画(BCP)を策定し、緊急事態発生時における災害対策本部設置体制の整備等によりリスク低減に努めております。
また、従業員の安全確認・確保のため、安否確認システムや緊急連絡網の導入を行うとともに、在宅勤務や分散勤務等の事業継続に向けた環境整備に努めております。
当社グループのお客さまの多くは、代金後払での製品の購入・サービスの依頼をしていることから、多額の債務を有するお客さまが財務上の問題に直面した場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況はその影響を受ける可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、与信管理規程に基づき、取引先ごとに回収条件・与信限度額を設定し、定期的に企業動向を調査し、与信額の見直しを行っています。
また、回収遅延や信用不安が発生した場合は、債権回収管理基準に基づき、個別に債権回収、条件変更、担保・督促等の債権保全策を講じ、貸倒リスクの低減に努めております。
業務の効率化や有効なコミュニケーションツールなど、課題を解決するために開発したソフトウエア等を無形固定資産として維持管理しております。しかしながら、急速な環境変化や技術革新により新たなサービスが普及することでソフトウエアが陳腐化し、収益性が大きく低下する場合、資産価値について見直す必要があります。状況によっては評価損の対象となり、業績に影響を与える可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、技術革新や新たなニーズの変化に対応すべく、最新情報の把握や分析に取り組み、ソフトウエア等の改善を進めております。
また、こうした重要なソフトウエア投資の決定及び価値評価の見直しについては、経営会議にて、定期的に市場動向、投下資本の回収実現性等を総合的に検討したうえで行っております。
このようなリスクのもと、当社グループは、成長領域の拡大及び既存領域の収益性向上に向けた取り組みを推進するとともに、リスク管理の一環として、コンプライアンス体制の強化、セキュリティ管理、プロジェクト管理等を徹底し、企業価値の向上に努めてまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において判断したものであります。
当期における我が国経済は、経済社会活動の正常化が進む中において緩やかな持ち直しの動きが継続しました。ただし、世界的な金融引締め等による海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなり、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響等も相まって依然不透明な状態が継続しました。
当社グループの属する情報・通信サービス産業については、コロナ禍を経て企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れに拍車がかかり、ICT設備投資の拡大傾向が継続しました。電子デバイス産業については、半導体の需給バランスが正常化に向かう中、世界的な物価上昇に伴う個人消費の減少等、環境の変化もあり、市場の成長に減速がみられるようになりました。
このような環境のもと当社グループでは、お客さまのDX対応や競争力強化を実現する「イノベーション・サービス・プロバイダー」を目指し当期を最終年度とする中期経営計画「Innovation 2023」を実行してまいりました。持続的成長と企業価値向上に向け、事業構造の変革や経営基盤の強化の取組みが着実に進捗しております。当期においては、「サイバーセキュリティ経営支援サービス」や「TCloud for SCM 動態管理サービス(サプライチェーン・ロジスティクス業界向け車両運行管理システム)」等の新サービスを数多くリリースし、またDigital Platformer株式会社との業務提携等、パートナーとの共創により、サービス基盤を強固にする取組みを推し進めました。
中期経営計画最終年度における当期の業績は売上高123,899百万円(前期比3.8%増)、営業利益5,118百万円(同27.6%増)、経常利益5,355百万円(同26.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,521百万円(同25.8%増)となりました。
情報ネットワークソリューションサービス事業においては、クラウド型コンタクトセンターサービスをはじめとするサービスが伸長したことに加え、機器導入の大型案件が増加したことで、受注高・売上高・受注残高いずれも前年を上回る結果となりました。ただし開発・構築についてはサービスへのシフトにより減少しました。利益面では、増収効果に加え、原価率改善により前年を上回る結果となりました。
電子デバイス事業については、前期から継続していたお客さまの先行手配は減少したものの、主力市場であるFA・産業・車載機器のお客さまにおいて、半導体をはじめとする電子部品や脱炭素・省エネに関わる製品向けのパワー半導体が好調に推移しました。その結果、受注高は前年を下回り、売上高、受注残高は前年を上回りました。利益面では、販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収効果により前年を上回る結果となりました。
<売上高の変動要因>

<営業利益の変動要因>

当連結会計年度におけるセグメント別の状況は次のとおりです。
当期では、受注高102,490百万円(前期比7.9%増)・売上高93,905百万円(同1.7%増)・営業利益4,155百万円(同22.2%増)と、いずれも前年を上回る結果となりました。
〔ビジネスモデル別実績〕
機器 :公共機関、流通・小売業、運輸業など幅広い業種のお客さま向けにPCやネットワーク機器等の導入が進みました。一部で影響が残っていた半導体不足に伴う納期長期化は解消に向かい、当第4四半期は大型案件を中心に好調に推移しました。その結果、受注高45,068百万円(前期比16.7%増)・売上高37,943百万円(同2.2%増)と前年を上回りました。なお、当第4四半期の受注活性化に伴い、受注残高も17,442百万円(同69.1%増)と前年を大きく上回る水準で増加しております。
開発・構築:運輸業・金融業のお客さま向けのネットワーク構築や医療機関向けの電子カルテシステム開発等、ネットワーク増強やシステム開発案件が好調に推移しましたが、クラウドシフト(サービスモデルへの転換に伴う開発・構築の減少)の加速により、通期としては受注高14,039百万円(前期比8.5%減)売上高は13,840百万円(同4.6%減)と、前年を下回る結果となりました。
サービス :当社のサービス体系であるTSF(Total SolutionService Framework)を軸にラインナップ強化に注力してきたことが奏功し、大規模なセキュリティ商談の獲得に加え、クラウド型コンタクトセンターシステムをはじめとする各種クラウドサービスが好調に推移しました。その結果、受注高43,382百万円(前期比5.7%増)・売上高42,121百万円(同3.5%増)と、前年を上回りました。受注残高が3,744百万円 (前期比50.7%増)と増加しているのは、機器販売の受注残高増加に伴い、付帯する保守サービスも積み上がっているためです。
利益面につきましては、商談活性化に伴う営業活動の増加により販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収効果に加え、機器導入案件の原価率改善及び利益率の高いサービスモデルの増加が寄与し前年を上回る結果となりました。
当期では、受注高32,198百万円(前期比9.4%減)・売上高29,993百万円(同11.1%増)・営業利益954百万円(同61.1%増)と受注高は前年を下回ったものの、売上高・営業利益は前年を上回る結果となりました。
デバイスビジネスにつきましては、前期から継続していたお客さまの先行手配が減少した一方、売上については引き続きFA・産業機器・車載機器市場が活性化し、半導体をはじめとする電子部品や省エネに関わるパワー半導体が好調に推移しました。その結果、受注高は前年を下回ったものの、売上高は大きく上回りました。
システムビジネスにつきましては、半導体不足による生産調整の影響と一部製品の販売終息に伴い、車載機器向けSSDや民生機器向けHDDの売上が減少しました。一方、産業機器向けIT投資需要は増加傾向にあり、組込機器やメモリーストレージが堅調に推移しました。また、半導体不足解消に伴い車載機器向け液晶パネルが復調しました。その結果、受注高は前年を下回ったものの、売上高は前年同等となりました。
利益面につきましては、既存ビジネス拡大及び新ビジネスモデル構築への人員確保等で経費は増加しましたが、増収効果による利益の押し上げにより、前年を上回る結果となりました。
② 仕入、受注及び販売の状況
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主要な販売先につきましては、全ての相手先について、販売実績が合計の100分の10未満のため記載を省略しております。
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末と比較して3,981百万円増加し、83,207百万円となりました。この主な増加要因は、棚卸資産の増加4,199百万円によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して1,794百万円増加し、47,820百万円となりました。この主な増加要因は、長期借入金の増加3,958百万円及び支払手形及び買掛金の増加1,836百万円によるものであり、主な減少要因は、1年内返済予定の長期借入金の減少4,150百万円によるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して2,187百万円増加し、35,387百万円となり、自己資本比率は42.0%(前連結会計年度末は41.5%)となりました。この主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益3,521百万円の計上によるものであり、主な減少要因は、剰余金の配当932百万円に伴う利益剰余金の減少によるものであります。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが4,263百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが39百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローが2,612百万円の支出となりました。
この結果、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比較し1,714百万円増加し、20,845百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは4,263百万円の収入(前期は5,560百万円の収入、前期比23.3%減)となりました。この主な収入の要因は、税金等調整前当期純利益の計上5,579百万円及び減価償却費2,124百万円であり、主な支出の要因は、棚卸資産の増加額4,188百万円であります。
前期との比較では、1,297百万円収入が減少しております。この主な減少要因は、棚卸資産の増加額4,361百万円(当期は4,188百万円の増加に対して、前期は173百万円の減少)であり、主な増加要因は、仕入債務の増加額2,439百万円(当期は1,817百万円の増加に対して、前期は621百万円の減少)であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは39百万円の収入(前期は4百万円の支出)となりました。この主な収入の要因は、投資有価証券の売却による収入741百万円であり、主な支出の要因は、無形固定資産の取得による支出807百万円等であります。
前期との比較では、44百万円収入が増加しております。この主な増加要因は、有形固定資産の取得による支出の減少額778百万円(当期は283百万円の支出に対して、前期は1,061百万円の支出)であり、主な減少要因は、有形固定資産の売却による収入の減少額642百万円(当期は266百万円の収入に対して、前期は908百万円の収入)であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは2,612百万円の支出(前期は2,413百万円の支出、前期比8.2%増)となりました。この主な支出の要因は、長期借入金の返済による支出4,291百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出1,318百万円であり、主な収入の要因は、長期借入による収入4,100百万円であります。
前期との比較では、198百万円支出が増加しております。この主な増加要因は、長期借入金の返済による支出の増加額4,130百万円(当期は4,291百万円の支出に対して、前期は161百万円の支出)、短期借入金の減少額535百万円(当期は323百万円の減少に対して、前期は211百万円の増加)であり、主な減少要因は、長期借入れによる収入の増加額4,100百万円(前期は発生しておりません)であります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。
※ 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
(資金需要の動向及び資本の財源)
当社の主な資金需要は、運転資金、成長のための投資資金となっております。資金の源泉は主に営業活動によるキャッシュ・フローとしておりますが、必要に応じて短期借入及び長期借入にて調達しております。なお、借入れに関しては、当社の資金需要や借入残高、金利情勢などを総合的に勘案し、財務の安定性を確保すべく最適な手段を選択しております。
資金配分については、財務の健全性を維持しつつ投資の強化と株主還元の充実を図る方針であります。当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。
子会社については、利益の内部留保積上げによる資金及び当社からの資金調達、一部の子会社では金融機関からの借入れを資金の財源としております。
<配当金の推移>

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに報告期間における収入・費用に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。経営陣は見積り及び判断に対して、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき継続して評価を行っております。しかし、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
また、当社グループでは、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、期末時点で入手可能な情報を基に検証を行っております。
当社グループは、お客さまの支払不能時及び貸付金等の回収懸念時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
当社グループは、仕掛品については個別法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を、商品及び製品・原材料及び貯蔵品については先入先出法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しております。
システム開発の請負等に係る受注案件については、仕様確定に関する不備、プロジェクト体制の問題、技術的な検証不足等の様々な想定外の事象が発生し、プロジェクトが予定された範囲、予算、納期及び品質で実施できなかった場合は、損失等のリスク発生の可能性があります。当連結会計年度において該当ありませんでしたが、将来に損失が発生する可能性が高いと見込まれ、かつ当該損失額を合理的に見積ることが可能なものについては、受注損失に備えるため、将来の損失見積額を受注損失引当金として計上することとなります。なお、実際の損失額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性に関する判断においては、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2018年2月16日改正)に基づき、当社及び連結子会社各社を過去3年及び当期の課税所得や税務上の繰越欠損金発生状況、経営環境の著しい変化の有無等により企業を5つの分類に区分しております。会社分類については、連結会計年度末における各社の状況に基づき、毎期見直しております。繰延税金資産については、実現(回収)可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するに当たっては、将来の課税所得及び、慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現(回収)できないと判断した場合、その判断を行った会計年度に繰延税金資産の調整額を費用として計上いたします。
2023年3月31日現在、繰延税金資産に対して総額で326百万円の評価性引当金を計上しています。
当社の退職給付制度は退職一時金、確定給付企業年金及び確定拠出型年金を採用しており、一部の連結子会社においては、簡便法による処理を行っております。確定給付型退職給付制度の退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。なお、長期期待運用収益率は年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮しております。年金資産の長期運用利回りは前連結会計年度において2.3%、当連結会計年度において2.4%であります。また、長期期待運用収益率は債券32%、株式26%、生保一般勘定0%及びその他資産41%の資産構成を前提として算定しております。退職給付債務の残高、使用している割引率等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」をご参照ください。
当社グループは開発・構築案件(ただし、工期がごく短い案件を除く)について、財又はサービスに対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転する場合には、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、当連結会計年度末までに発生した原価が、予想される原価総額に占める割合に基づいて行っております。
原価総額の見積りについて、契約の履行に必要となるすべての作業内容に関して想定される原価を含めて算定しております。また、当事者間の新たな合意による契約の変更、作業方法の見直し等、作業開始後の状況の変化による作業内容の変更について、適時・適切に見積りを行い、原価総額に反映しております。なお、仕様確定に関する不備、プロジェクト体制の問題、技術的な検証不足等の様々な想定外の事象により、作業工数や範囲が変更となる可能性を有しております。このため、当該見積りについては、不確実性を伴うものであり、想定していなかった原価の発生等により、実際に生じた金額が見積りと異なった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
2023年3月31日現在、以下の経営上の重要な契約を締結しております。
2023年3月31日現在、以下の経営上の重要な契約を締結しております。
当社グループでは、持続的な成長を実現するために最新技術の習得や、今後の事業の中心となるサービスの研究開発活動に取り組んでおります。その結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は
当連結会計年度における各セグメント別の活動内容及び研究開発費は次のとおりであります。
なお、上記研究開発費には、資産計上分は含まれておりません。資産計上分を含めた研究開発関連投資の総額は、488百万円であります。
当セグメントにおける研究開発費の金額は