当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社グループは、「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」をミッションに掲げ、超高齢社会に代表されるような社会課題に対し、高いAI技術力・ビジネス適用力を活かし、その課題を解決することを目指しております。
社会課題の解決にあたっては、AIプラットフォーム事業を通じて、様々な業界の顧客企業と協働・提携することで、多様な産業・社会課題を発見し、その革新を実現し続けることを目指して事業を推進しております。こうして各業界・様々な顧客との産業課題・社会課題解決を推進して得られた知見をもとに、AIを用いたプロダクトの開発・提供を行うことで、AIプロダクト事業において継続的に革新的なサービスを創出し、より広範な社会の課題を解決することを目指しております。
(2)経営環境及び事業対象市場
2000年以降のインターネットの普及によるビッグデータの蓄積と、2012年頃から本格化した深層学習技術に代表されるアルゴリズムの発展、そして2022年からの大規模言語モデルの提供により、AIサービスは着実に幅広い産業で利用され、近年では新規サービスとして実装段階に至るまで発展を遂げてまいりました。
<AIプラットフォーム事業>
当社グループでは、AIプラットフォーム事業においては、国内におけるAIソフトウエア・サービス市場の規模が29.0億ドル(2022年)から73.3億ドル(2026年)に年平均で26.0%成長(注1)し、関連して国内におけるDX(デジタル)投資費用が522億ドル(2022年)から1,125億ドル(2026年)に年間平均成長率(CAGR)15.8%で成長(注2)すると見込まれる中、特に成長性が著しいAIソフトウエア・サービス市場におけるビジネスを拡大することにより、DX市場に優位性をもってリーチすることが可能になると捉えております。
より広義の視点では、国内におけるIT投資額が5.8兆円(2022年)から11.9兆円(2026年)に年平均19.6%で成長(注3)をすると見込まれる中、企業顧客のDXを通じた戦略的なIT支出を取り込むことにより、広大な市場にアクセスが可能であると考えております。
(注)
1.IDCが「Worldwide Artificial Intelligence Spending Guide」(2023年3月)で定めるSoftware及びServices分野を当社にて合算
2.IDCが「Worldwide Digital Transformation Spending Guide」(2022年V2)で定めるSoftware及びServices分野のDX関連費用を当社にて合算
3.IDC Japanが「国内クラウド市場予測、2023年~2027年」(2023年5月)で定めるクラウド市場の売上高より当社推定
また、当社グループが独自にコア・フォーカス領域と位置付けている企業顧客数(時価総額上位1,000社)と、それら企業顧客の戦略的なIT投資金額(約54億円、注4)から、当社は約5.4兆円をAIプラットフォーム事業の初期的な市場規模(TAM、注5)と想定しております
(注)
4.*2023年6月現在の日本の時価総額上位1,000社の平均直近年度売上高(約8,577億円)×**JUASによる日本企業のIT予算収益の割合(2.1%)×「戦略的IT投資」が日本のIT支出合計に占める割合(30.0%)(当社推定)
* 開示資料
**一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS) 企業IT動向調査報告書 ~ユーザー企業のIT投資・活用の最新動向(2022年度調査)(2023年3月)
5.TAMはTotal Addressable Marketを表し、あるサービス・プロダクトにおいてさまざまな条件が満たされたときに実現する最大の市場規模を意味しています。このため当社が掲載するTAMの数値は当社が本書提出日現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示すものではありません。当社グループの提供する各種サービス・プロダクトのTAMは、外部の統計資料や公表資料を基礎として、当社社内の事業進捗や知見に基づく一定の前提を用いて当社が推計した金額であるため、高い不確実性を伴うものであり、今後実際に実現する市場規模は大きく変動する可能性があります。
現在、国内企業が戦略的なIT投資に投じる金額はIT支出予算の54%相当額と見られておりますが、今後はその約2倍である73%相当額の水準まで上昇(注6)することが見込まれており、斯様な環境下、当社グループの事業機会はさらに増大していくものと考えております。
(注)
6.IDC Japanが「国内クラウド市場予測、2023年~2027年」(2023年5月)で定めるクラウド及び従来型IT分野の支出規模を当社にて合算したものを「日本企業のIT支出」、クラウド分野の合計支出を「戦略的IT投資」、従来型ITの支出を「伝統的IT支出」と当社にて定義
<AIプロダクト事業>
当社グループでは、事業の対象とする社会課題をひとつに特定せず、一例として下記に挙げられるような、超高齢社会、社会保障費の増大、出生率の低下、労働力の需給ギャップ、先進国に劣後するデジタル競争力をはじめ、様々な社会課題の解決をAIプロダクトの利活用を通じて図ってまいりたいと考えております。
当社グループは対象市場の一つとして、知的・単純労働の効率化、高度化の領域を掲げています。将来的な労働人口の減少を補うべく、これまで人が担ってきた業務の一部をAI・ソフトウエアで補完することで生産性を維持、向上すること、また業務を高付加価値なものにすることを視野に入れております。斯様な観点では、これから10年間では430万人(22兆円相当、注7)20年間で1,300万人(66兆円相当、注8)の労働力不足が見込まれます。当社グループでは、足元10年間の労働力の10%をAIの利活用を通じて補うことで、2.2兆円(注9)の市場規模(TAM)が生まれるものと考えております。
また当社グループでは、AI・ソフトウエアの利活用を通じて社会課題解決を図るうえで、既に厳しい人手不足が生じている介護現場や、育児現場における業務従事者の負担を軽減しながらも、同時に被介護・被扶養者や、その家族・関係者の人間的な幸福・満足度を高めていくことを中長期的に達成したいと考えております。また日本の社会保障費に占める介護費用が約10.5兆円(注10)、うち介護従事者の給与が7.2兆円(注11)であり、現状及び将来における財政面の大きな課題であるとも認識しております。斯様な市場環境下において、国内の介護施設や保育園数に対して、当社グループの介護関連サービスの1施設あたり平均年間売上高を適用することで、約345億円(注12)の市場規模(TAM)が生まれるものと考えております。将来的には、本市場へのAI利活用において培われるデータの利活用を通じて、より幅広い用途における当社のサービス提供の拡充が可能となり、介護や育児の現場における社会課題解決に多面的に貢献できるものと考えております。
(注)
7.国立社会保障・人口問題研究所の2020年~2030年の予想(約5百万人の労働力減少)及び国税庁民間給与実態統計調査(2021年)による正社員(正職員)である労働者の平均給与(5.08百万円)を掛け合わせ当社にて推計
8.国立社会保障・人口問題研究所の2020年~2040年の予想(約1,400万人の労働力減少)及び国税庁民間給与実態統計調査(2021年)による正社員(正職員)である労働者の平均給与(5.08百万円)を掛け合わせ当社にて推計
9.当社DX AIプロダクトにより10%稼働率が上昇する想定
10.厚生労働省「令和2年度介護保険事業状況報告」(2021年8月)に基づく介護を必要とする日本人の支出総額
11.厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」(2020年10月)による国内の介護職員数及び「厚生労働省令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」(2021年10月)による国内の介護職員の平均年収を掛け合わせ当社にて推計
12.厚生労働省「令和2年度社会福祉施設等調査」(2021年10月)及び2023年3月時点での当社グループ介護関連サービスの平均単価の合計を掛け合わせ当社にて推計
(3)経営戦略等
当社グループでは、上記の経営環境への認識をふまえ、大企業との提携や協働を通じて企業のDXやAI導入を推進するとともに、そこで得られた技術や知見をもとに、自社でAIを用いたサービスを開発、広く提供することで、社会課題を解決することを基本的な戦略としております。
① 顧客企業内における契約単価の上昇
当社グループでは、様々な業界の企業顧客に対するAIプラットフォームの導入を実施しております。そのサービスを提供するうえで、導入効果として顧客の事業に財務上の良好なインパクトが発現することに伴い、成果報酬が生じることや、契約単価の上昇を目指します。また当初は顧客内における限定的な業務領域での関与だったものが、より幅広い領域へと関与・サービス提供を拡大することにより、当社グループの契約単価の上昇を目指します。2023年3月期は142社(「exaBase コミュニティ」加入・継続を通じて収益計上された顧客企業数を除く)の企業顧客から報酬が生じており、上位10顧客からの平均売上高は229百万円の水準となりました。
② 顧客企業との契約の長期化
当社グループでは、様々な業界の企業顧客に対するAIプラットフォームの導入を実施しております。初期的には課題の特定、概念検証を行い、それらの結果を踏まえて中長期的にはAIモデルの実装や運用へと領域を拡充いたします。従いまして、その成果に応じて、顧客企業との契約期間が長期化することが見込まれております。現在、当社グループでは4四半期以上の継続契約企業顧客からの売上を長期継続顧客売上と定義づけており、2023年3月期は73.9%の水準であり、今後もこの比率の上昇に努めてまいります。
③ 顧客企業数の増大
当社グループにおける2022年3月期の企業顧客数は117社でしたが、2023年3月期においては142社に対してAIプラットフォームの導入を手掛けております。今後も既存顧客企業との契約長期化に伴う良好な関係維持を重視しつつ、一方で「exaBase コミュニティ」、「JEDIN」などの当社ネットワークコミュニティや「ExaWizards Collaboration Day」「ExaWizards Forum」等の自社開催イベントを通じて、見込み顧客の獲得や、より多くの顧客企業に対するサービスの提供を手掛けてまいりたいと考えております。2023年3月末時点において、「JEDIN」には企業経営幹部を中心に80名以上が登録しており、今後も顧客企業の拡大に務めてまいります。
④ PaaS型課金の増大
当社グループでは、「exaBase」の提供を通じて様々な課金体系で企業顧客に対するサービスを提供しております。AIモデルの提供にあたっては、顧客のアルゴリズムの導入形態や稼働状況に応じてPaaS型の課金手法に基づいた一定の継続課金をさせて頂くことがあります。今後も「exaBase」のユースケースや機能拡充を進めることで、幅広い産業・業務への汎用性を備え、効率的かつ的確に顧客課題にソリューションを提供するAIプラットフォームへと進化することで、PaaS型課金の件数、金額ともに増加させてまいりたいと考えております。
⑤ 開発したアルゴリズムソリューションの他社への水平展開
当社グループでは、それぞれの産業におけるコア課題に対して、AIの利活用を通じた一定の解決策を提供し、顧客に良好な財務インパクトとして導入成果が発現するように実装・運用することを目指しております。それら運用・実装の経験を通じて培った独自のノウハウや、当社グループ独自のユニークな技術・知的財産をexaBaseに蓄積し、同業界内又は他業界内において類似したサービスやソリューションの提供を行うことで、営業の効率化や、更なる高付加価値の実現を目指しております。
⑥ 顧客企業に対するAIプラットフォーム及びAIプロダクト間のクロスセル
当社グループでは、AIプラットフォームと、AIプロダクトの双方の事業を展開しております。個別の事業課題に向けてAIプラットフォームの利活用を行った企業顧客が、より一般的な業務の効率化にはAIプロダクトを活用することや、またその逆の事例も出現しております。中でもAIプロダクト事業に属する「exaBase DXアセスメント&ラーニング」は約900社の導入企業数(2023年3月末時点)となっており、アセスメント受検後の人材育成や事業変革・DX推進に向けて、当社グループのAIプラットフォーム事業のサービスを紹介・提供する入り口としても機能しています。顧客企業に当社グループの価値を最大限に提供するために、今後もこのような施策の実現を目指しております。
⑦ 「exaBase」の更なる補完機能の拡充
当社グループでは、顧客企業が内製主導で設計・開発、運用を行うことを可能にするAIソフトウエアの開発環境であるexaBase Studioをはじめとした「exaBase」が有する機能の拡充を早期に図ってまいりたいと考えております。従いまして、自社内での開発に向けての人員採用、技術・顧客基盤の強化、補完機能の拡充は当然ながら、適切なパートナーとの連携や業務提携、出資・買収を含めた様々な可能性についても探索しつつ、収益性や財務健全性及び当社グループの経営ポリシーに鑑みて案件を精査しております。
⑧ 継続的な新規AIプロダクトを創出する仕組み
当社グループでは、顧客企業へのAI導入を通じて、多様なユースケースでのAI導入実績を有しております。これらを通じて、業務・業界ごとのAIの導入余地やその導入によるインパクト、AIアルゴリズムの汎用化可能性などを判断でき、より広範に多企業に対して提供可能なAIアルゴリズムについては自社で作り込んでソフトウエア化し、AIプロダクトとして広範な顧客へ提供しております。このプロセスによりAIプラットフォーム事業の推進と同時に需要の高いプロダクトの市場調査を並行して実施できるため、当社グループは限られた研究開発コストで企業のニーズに即した新たなAIプロダクトを継続的に創出することが可能になると考えております。現状では特に企業の生産性向上を目的としたDX AIプロダクト関連を中心に着実に事業規模が拡大していますが、今後も強みを生かした新規プロダクトの探索を進めます。
⑨ 財務上の課題について
現時点で当社グループは財務上の課題を認識してはいませんが、AIプロダクト事業への先行投資により、2023年3月期まで連続して親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。しかしながら、AIプラットフォーム事業単独では引き続き黒字を計上、かつ売上も伸長しており、同事業を中心として収益力の向上を目指しております。経営戦略上も、今後のAIプラットフォーム事業の売上高が継続的に成長するとともに黒字の継続及び拡大並びに収益性が改善すること、及びAIプロダクト事業へと積極的な投資を行うことを前提としております。今後財務基盤の安定性を強化する上では、営業活動によるキャッシュ・フローの水準を注視することは重要と考えています。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、連結売上高成長率及び連結売上総利益率を重要な経営指標と捉えております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 開発体制の強化
安定的かつ着実な事業拡大を図るにあたっては、顧客企業数・案件数が増加した場合でも、収益率を高水準に維持し、かつ高いレベルのサービスを顧客企業へ提供していくことが重要であると考えております。そのためにも「exaBase」の開発投資を中心に、引き続き卓越した能力を持つエンジニアを採用するほか、開発プロセスの改善、社内におけるノウハウの共有や教育等に努めてまいります。
② 更なる新規プロダクトの創出と拡大
当社グループの戦略は、AIプラットフォーム事業により顧客企業へのAI導入を通じて蓄積した知見をもとに、広範に提供可能なAIプロダクトを開発・提供していくことにあります。今後も継続的に新たなAIプロダクトを創出し、より多くの顧客へ提供していくことが必要と考えております。
③ 内部管理体制の強化
当社グループは一層の事業拡大を見込む成長段階にあり、事業の拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。経営の公正性・透明性を確保すべく、コーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築を図ってまいります。
④ 情報管理体制の強化
当社グループはサービス提供やシステム運用の遂行過程において、機密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、情報管理規程等に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修実施やシステム整備などを継続して行ってまいります。
⑤ グループ経営体制の確立
当社グループは近年の事業成長及び事業領域の拡大とともに、事業子会社の設立、協業先との合弁会社の設立、競争力強化を目的とした企業買収等を行ってきたことでグループ会社数が増加しております。当社グループはこれに対応して、グループガバナンスの強化と経営資源配置の最適化を実現するグループ経営方針の設定、及びその持続的な遂行を担保する体制の確立を進めてまいります。
⑥ サステナビリティへの取組み
当社グループは、事業を通じた社会課題解決のためには、社内外のステークホルダーの期待に応え成長を継続していくこと、またそのための環境を構築することが不可欠であると考えております。このためステークホルダーの観点と、当社グループの持続的な成長基盤への重要性の観点から事業環境下の諸課題を検討し、そこから当社グループとステークホルダーの両者にとって特に重要と考えられる課題を特定し、以下の5つを当社のマテリアリティとして定義しました。
1. 多様な人材の活躍
2. 幅広い産業分野への事業展開
3. 技術的優位性の確保と向上
4. 強固なセキュリティによる安全なサービスの提供
5. ガバナンス・リスク管理体制
当社グループはこれらのマテリアリティに基づく企業活動を通じ、サステナビリティの推進と持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」をミッションとし、当社のすべての活動の基本としております。
また、当社は、サステナビリティに関する課題を経営上の重要課題として、それに関わるリスク及び機会の把握につとめ、損失の低減と同時に社会課題解決につながるビジネスモデルの創出を図っていくことが、当社のミッション及び中長期的な成長持続の実現のために重要であると認識し、以下のとおりサステナビリティ推進体制を構築し、サステナビリティに関する取組みを実施しております。
(1) サステナビリティ体制
①ガバナンス
<取締役会>
取締役会は、広範なサステナビリティの課題へ積極的かつ適切に対応していくため、サステナビリティ重要課題であるマテリアリティの特定を行い、サステナビリティに関するリスク及び機会について監視し、管理するための統制及び枠組みを定めたサステナビリティ基本方針の決定を行います。マテリアリティの特定は、以下のプロセスを経て行っています。
(ⅰ)事業環境下の諸課題を各種国際規格や主要なESG評価項目などを参考に検討、抽出
(ⅱ)ステークホルダー視点での重要性、及び当社が社会や環境に与えうるインパクト・当社にとっての重要性の二つの軸で事業活動を整理する
(ⅲ)取締役会での議論を経て、マテリアリティを特定する
<経営会議>
代表取締役社長を議長とする経営会議が、取締役会が決定したサステナビリティ基本方針に基づき、当社グループ全体におけるサステナビリティに関する活動を統括します。
サステナビリティに関する具体的な活動は、経営会議の指揮命令のもと、マテリアリティに関連する各領域を担当する執行役員及び技術担当役員を中心に、または必要に応じ各領域に関する委員会を組成し行っております。
また、サステナビリティに関する活動を円滑に進めるため、コーポレート統括部に事務局を置き、事務局にてサステナビリティ活動に関する報告を取締役会へ行うと共に、サステナビリティに関する情報開示を行います。
なお、取締役会及び経営会議については、「第4(提出会社の状況) 4(コーポレート・ガバナンスの状況等) (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」の「a 取締役会」及び「c 経営会議」をご参照ください。
なお、当社グループでは以下のとおりマテリアリティを定め、特に当社グループ及びステークホルダーへの影響度の高い課題から、適時に取組みを進めております。
②リスク管理
当社グループは、リスク管理を統合管理する主体を経営会議とし、サステナビリティの活動を通じたリスク管理を実施していくものとしています。経営会議の指揮命令のもと、各執行役員及び技術役員は、各部門やプロジェクトのリスク・機会の識別及び管理等を行うものとし、経営会議は、各部門やプロジェクトにおいてリスクの特性や状況に応じた適切な対策がなされていることをモニタリングしています。
また、当社のコーポレート・ガバナンスを支える内部統制上の重要性の観点から、取締役会で定める規程に従い経営会議の下位組織としてリスク管理委員会及びコンプライアンス委員会を設置し運用しています。
サステナビリティに関するリスクは潜在的なものを含め多岐にわたり、中長期的な対応を要することから、その管理については事業の状況に照らし優先順位付けを行った上で実施しております。
(2) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針
①戦略
<基本的な考え方>
当社は、「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」というミッションの達成には、社会課題の解決のためにAI技術によって解くべき課題を発見・設定し、個々の課題から社会一般汎用的な課題を見出し、それを解決するサービス・プロダクトを創り出すことが必要不可欠であると考えています。そのため、国籍、年齢、性別等にかかわらず、社会課題解決への強い想いを持ち、高度な能力を有する多様な人材、社名の由来でもある“10の18乗の魔法使い”が集まり、お互いを高めあう組織を目指しています。
当社は、このような人事・組織に関する基本的な方針及び考え方を示したCredoとD&I Statementを制定し、これらに基づく取組みを推進しています。
Credoの各項目は、社会課題に気づき(Cultivate Collective Awareness)、課題に対しチームで挑むことで(Mission-Driven Teamwork)、社会課題解決の過程を自社や従業員自身の成長にもつなげていく(Elevate Your Craft)という、当社の社会課題探索と解決の考え方に対応しています。また、難易度の高い課題に挑み続け、期待を超えた成果を生み出すという、当社及び従業員のありたい姿(Tackle the Biggest-Challenges,Above and Beyond Expectations)を表しています。
また当社は、Credoの実践を企業価値につなげるため、多様な人材一人一人が能力を最大化できる環境を作り、組織全体としてのパフォーマンスを向上することを目的としてD&I Statementを定め、D&Iを実現するための重要な取組みとして、機会の提供、支援の提供、ベースとなる文化の醸成、オープンな環境の整備の4点を推進しています。
<戦略推進のための取組み>
当社では、採用、育成及びタレントマネジメント並びに、社内のインナーコミュニケーション及びD&I(Diversity & Inclusion)の浸透を重点施策として、以下の取組みを行っています。
当社は、これらの取組みを通じて、新たな社会課題領域に挑戦し、それを解決するサービス・プロダクトを連続的に生み出せる組織を作っていきます。
・採用
当社のミッションへの共感性の高い人材を前提に、スキル多様性を確保するための専門人材の採用を推進しています。特に現在は新卒を中心とした若手人材の採用に重点的に取り組んでいます。
・育成及びタレントマネジメント
若手従業員の早期戦力化、特にビジネスとテクノロジー両方のスキルを有するハイブリッド人材の育成に取り組んでいます。また、複数領域で社会課題を解決するサービスを生み出すために、次世代の経営人材育成を目的とし、若手従業員を積極的に管理職登用する方針です。
・インナーコミュニケーション及びD&Iの浸透
事業成長のために必要な人材を幅広い層から集めるため、国籍、年齢、性別やバックグラウンドの異なるメンバーが、それぞれの強みを最大限に発揮できる体制及び職場環境の構築に取り組んでいます。
特に、エンジニア及びビジネス職につきましては、業界全体として男性の比率が高いなど外部要因による属性の偏りが生じていますが、多様性確保の観点から、女性従業員比率の維持・向上への課題認識を深め、社内制度の拡充等を通じて対応を行っています。
また、属性やバックグラウンドの異なるそれぞれのメンバーが持つ知見や考えを会社の共通の価値とするべく、全社会やオフサイトミーティング、社内勉強会等をはじめとした部門間交流や情報共有の場を設け、「組織内の誰が何を知っているか・考えているか」をメンバー同士が知る機会を作っています。
②指標及び目標
当社では、これらの活動の成果を以下の指標によって測定、評価しています。
<社会課題解決に強い想いを持つ人材の採用、活躍>
当社では、多様な人材を集めながらも一体感ある組織運営を目指すべく、組織の現状把握と課題発見のためのアセスメントのひとつとして、四半期ごとの従業員エンゲージメント調査を2018年から継続して行っています。エンゲージメント調査は、会社への信頼度や、会社が目指す方向と従業員自身の志向とのマッチング等に関する設問に対して従業員が10段階で評価しその理由等を記述する方法、従業員自身の考えや想いに当てはまる項目を選択する方法等を組み合わせて行っています。
当社では、この調査の分析結果から得られる示唆をもとに、従業員が持つ社会課題解決への想いの強さを定量的に表す指標として以下の項目を定量目標として設定し、その維持と向上を目指しています。
・会社に対するポジティブな評価要因のうち「ビジョンへの共感」が上位3項目以内(注1)
・「私は会社が掲げる使命に対して心から貢献したい」との項目に対する評価の平均値が10段階中8ポイント以上(注2)
なお、当事業年度においては、ポジティブ要因における「ビジョンへの共感」は13項目中3位、「私は会社が掲げる使命に対して心から貢献したい」については8.2ポイントとなりました。
<スキルの多様性の確保>
当社グループ全体での各職種の人員割合について、エンジニアの職種比率を50%程度(当事業年度の実績は48.8%)、女性従業員比率25%(同26.4%)、外国籍エンジニア比率40% (同40.0%)程度を目安とし組織運営をしていきます。(注3)
なお、技術革新や事業環境の変化に応じて柔軟な見直しができるよう、各指標を動的KPIとし、状況に応じたKPI変更や、具体的な取組みの変更の可能性を踏まえてモニタリングするものとしています。
(注)
1.会社のビジョンや方向性、経営陣のリーダーシップ、人間関係・チームワーク、働き方、自身の成長実感等の13項目のうち、特に共感できる要因、他者に会社を勧めたいと思える上位3要因を選択し回答するアンケート形式の調査項目で、全回答に対し1位:3点、2位:2点、3位:1点として集計し、全体得点(6点×回答者数)のうち、各要因が占める割合を算出し順位付けを行っております。
2.当事業年度中に実施した4回の調査における平均値を計測しています。
3.エンジニアの職種比率は当社グループ全体、女性従業員及び外国籍エンジニアの比率は当社単体の目標及び実績です。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要であると考えられる事項については積極的に開示しております。
当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
当社グループのリスク管理を統合管理する主体は経営会議とし、統括する責任者を社長としてリスク管理にあたっています。当社のリスク管理体制については、「第4(提出会社の状況) 4(コーポレート・ガバナンスの状況等) (1)コーポレート・ガバナンスの概要」の「②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」及び「③企業統治に関するその他の事項 a 内部統制システムの整備の状況」をご参照ください。
本項に記載している将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるリスクの全てを網羅していることを保証するものではありません。
(1)事業に関するリスク
① AI関連市場の成長性
当社グループの事業領域であるAI関連市場は、技術革新や各産業分野におけるAIの利活用の拡大・DX(デジタルトランスフォーメーション)の取組みの加速などの影響を受け、市場成長率は好調に推移しており、今後もさらなる市場規模の拡大を続けることが予想されます。しかしながら、今後の市場成長率は、AI技術に対する新たな法規制・政策の導入、関連市場の動向、景気変動によるユーザー企業のAI関連投資の縮小などの外的要因による影響を受けるため、これらの影響による市場成長率の鈍化により、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
② 技術革新
AI技術の有用性・重要性はいまや世界的に認識されており、全世界の研究機関、企業、大学等によりAIの研究開発が進んでおります。そのためAIの技術革新の速度は極めて速く、AI関連市場のさらなる成長や最新技術の取り入れによるビジネス拡大の機会につながる一方で、技術革新のスピードや新たなビジネスモデルの出現による市場環境の変化に当社グループが対応できない場合には、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 競合の動向
当社グループの事業領域であるAI関連市場においては、多数の既存事業者が存在するほか、今後も業種にかかわらず大手企業から高度に専門化した新興企業まで、様々な事業者による新規参入が見込まれます。当社グループでは独自開発のAI技術と様々な業界や業務に関する知見を組み合わせたAIサービスを主軸とすることで圧倒的な競争優位性を保持しており、AI関連事業者の増大が直ちに競争上の脅威となるものではありませんが、当社グループより優れた技術開発力、営業力、ブランド又は知名度を有する他の事業者の動向によっては、当社グループの期待通りに顧客を獲得・維持できないことも考えられます。
当社グループとしましては、他の事業者と差別化を図ったAIサービスを開発・提供できるよう引き続き邁進してまいりますが、競争環境の激化等により、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 新規事業
当社グループの開発するAIサービスは、商品特性から幅広い産業に対して提供することが可能であり、今後も積極的かつ継続的に新サービス及び新規事業に取り組んでまいります。これによりシステム投資や人件費等、追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新サービス及び新規事業の導入・拡大・成長が当初の予測どおりに進まない場合、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 合弁事業、出資・買収による事業拡大について
当社グループでは、「exaBase」が有する機能の拡充を早期に図ってまいりたいと考えております。従いまして、自社内での開発に向けての人員採用、技術基盤の強化、補完機能の拡充は当然ながら、適切なパートナーとの合弁事業などを通じた連携や、出資・買収を含めた様々な可能性についても探索しつつ、収益性、財務健全性及び当社の経営ポリシーに鑑みて案件を精査しております。
合弁事業の展開においては、パートナーとなる対象企業の業績や財政状態等についての詳細な調査をすることに加え、当該合弁事業にかかる事業計画や相互の役割の定義、ガバナンス体制等について事前に合意することによって可能な限りリスクを回避するように努めてまいりますが、合弁事業開始後に双方の経営方針に相違が生じ、意図していたシナジー効果が得られないといった可能性も否定できません。この場合においても、投資資金の回収が困難となる可能性や当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
出資・買収においては、対象となる企業の財務や税務、法務などの契約関係及び事業の状況等について事前に社内外の専門家と詳細なデューデリジェンスを実施し、価値評価に関しては第三者評価機関の見解も踏まえ、可能な限りリスクの低減に努めてまいります。しかしながら、出資・買収後に、事業環境に急激な変化が生じた場合やその他予期し得ない理由により当初の計画通りに事業が進展しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、出資・買収後に予期せぬ偶発債務の発生や未認識債務が判明するリスクを完全に取り除くことは困難であり、かかるリスクが顕在化した場合には当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
買収に伴いのれんを計上した場合、対象会社の業績の悪化等により減損の兆候が生じ、その将来的な効果である回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る場合には、のれんの減損処理を行う可能性があり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
買収を実施する際は自己資金、金融機関からの借入、社債及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としております。当社が資金需要に応じて適時かつ適切な条件で買収資金を調達できる保証はなく、必要な資金調達ができなかった場合、又は当社にとって不利な条件での資金調達をせざるを得ない場合や、新たなファイナンスによる負担や株式価値の希薄化及び自己資本の変動のほか、新たに借入金を利用した場合、市場金利の変動の状況によっては、借入金利息の負担の増大等により、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 業績の季節変動
わが国においては、商習慣上3月を期末月とする企業が多く、当社グループの一部サービスは企業向けに事業転換・事業創出を支援するものであることから、当社グループの顧客企業は新年度である4月に向けて、3月末までに当社グループのサービス提供を求める例が多くみられます。そのため、当社グループの売上高は、当社グループの第4四半期(1月から3月まで)、特に3月に偏在する傾向があり、特定の四半期業績のみをもって当社グループの通期業績見通しを判断することは困難であります。
⑦ 特定の顧客企業における投資行動の変化等のリスク
当社グループは多数の顧客企業との取引がありますが、連結売上高の約半分は上位10社の特定の顧客企業からの売上によるものです。特定の顧客企業と良好な取引関係を継続していることは当社グループの強みでもありますが、それら顧客企業におけるIT投資行動の変化や経営方針の変更、事業環境の急変、特定業種における規制・制度変更等によっては、当社グループの経営成績や営業活動に影響を与える可能性があります。
⑧ システム障害
当社グループがクラウドで提供しているAIサービスの大半は、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しております。したがって、自然災害や事故によりインターネット通信網が切断された場合には、サービスの提供が困難となります。サイバー攻撃等により当社サービス基盤への攻撃を受けた場合には、システム障害により事業遂行が困難になることや、事業上の重要機密が漏洩する可能性があります。また、予想外の急激なアクセス増加等による一時的な過負荷やその他予期せぬ事象によるサーバーダウン等により、当社グループのサービスが停止する可能性があります。これまで当社グループにおいて、そのような事象は発生しておりませんが、今後このようなシステム障害等が発生し、サービスの安定的な提供が行えないような事態が発生した場合には、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
⑨ 知的財産権におけるリスク
当社グループのビジネス上、当社グループの開発した独自の方法や技術及び当社グループが開発し又はライセンスを受けている特許その他知的財産権の保護は重要であります。当社グループは、運営するコンテンツ及びサービスに関する知的財産権の獲得に努めておりますが、当社グループの知的財産権が十分に保護されない場合には、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性につきましては、可能な範囲で調査を行っておりますが、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。かかる場合のロイヤリティの支払や損害賠償請求等により、あるいは当社グループの知的財産が侵害された場合において、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
⑩ 法的規制
現在、当社グループが営むAI関連事業そのものを規制する法令はありませんが、当社グループがAIを用いてコンテンツ及びサービスを展開する領域においては、医療関連の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」や金融関連の「銀行法」(電子決済等代行業に対する規制)などの特定の事業に対する法的規制のほか、「不当景品類及び不当表示防止法」「特定商取引に関する法律」「個人情報の保護に関する法律」などの一般的な法的規制を受けております。
当社グループでは、これらの法令を遵守するために、コンプライアンス体制の整備等を含む管理体制充実に取り組んでおります。しかしながら、将来において、当社グループが提供するコンテンツ及びサービスが法的規制に抵触する可能性を完全に否定することはできず、また、今後上記の法的規制が変更されたり、新たな法令等の制定や法解釈の変更がなされることにより、当社グループの事業が制約され、これらにより当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
⑪ のれんの減損リスク
当社グループは、企業買収の際に生じたのれん及び無形固定資産を計上し、一定期間で償却を行っております。当該のれんについては将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、事業環境の変化等により期待する成果が得られなかった場合には、当該のれんについて減損損失を計上し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑫ 無形固定資産(ソフトウエア)の減損リスク
当社グループは、自社利用のソフトウエアのうち第三者提供目的(クラウドサービス)のソフトウエアについて、将来の収益獲得が確実と認められるものに限り無形固定資産として資産計上しており、一定期間で償却を行っております。
ソフトウエアの開発に際しては、市場環境等を慎重に見極めておりますが、市場や競合状況の急激な変化などにより、今後利用が見込めなくなった場合や、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、除却あるいは減損の対象となる可能性があります。
このような場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)経営管理体制に関するリスク
① 人材の採用及び育成
当社グループは、事業の拡大に伴い、積極的に優秀な機械学習領域等のアルゴリズムを開発するエンジニアや、インフラやアプリケーション制作等のソフトウエア開発を行うエンジニア、また顧客企業のデジタル・AI戦略やAIのビジネス活用を促すコンサルタントの採用・育成を進めております。しかしながら、事業規模の拡大に応じた当社グループ内における人材育成、外部からの優秀な人材の採用等が計画どおりに進まず、必要な人材を確保することができない場合には、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
② 特定の人物の影響力
当社グループの創業者である代表取締役社長春田真は、経営戦略、事業戦略等当社グループの業務に関して専門的な知識・技術を有し、重要な役割を果たしております。当社グループでは取締役会等において役員及び従業員への情報共有や権限移譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、経営体制の整備を進めており、経営に対するリスクを最小限にしております。しかしながら、春田が当社グループを退職した場合、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 内部管理体制
当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るために、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、人材、資本、サービス、情報資産の適正かつ効率的な活用をすることが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しております。
そのためにも、当社グループでは内部管理体制の充実に努めております。しかしながら、今後の事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
④ コンプライアンス体制
当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るために、コンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えており、コンプライアンスに関する社内規程を策定するとともに、役員及び従業員を対象として社内研修を実施し、コンプライアンスの重要性の周知徹底を図っております。しかしながら、これらの取組みにもかかわらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社グループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 情報管理
当社グループのAIが学習対象とする情報の中には、顧客の経営戦略上極めて重要かつ機密性が高い情報が含まれる場合があります。また、当社グループが提供するサービスでは、ユーザーの個人情報及びユーザーが保有する第三者の個人情報を取り扱っております。これらの情報の取扱いについては、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得し、情報管理に関する諸規程の整備及び適切な運用に努めておりますが、従業員及び委託先関係者の故意・過失、事故、災害、悪意をもった第三者による不正アクセス、その他予期せぬ要因等により情報の漏洩、不正使用または不適切な取扱が発生した場合、損害賠償責任やセキュリティシステム改修のための多額の費用負担を負う可能性及び当局による行政処分等の対象となる可能性があるほか、顧客からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び業績に重大な影響を与える可能性があります。
⑥ 損失の継続計上及び営業活動によるキャッシュ・フローのマイナス計上
当社グループは、AIプロダクト事業への先行投資により、2023年3月期まで連続した親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。これは、組織拡大による人員増に伴う採用費や新規サービス開発のためのシステム投資や人件費が先行して発生していること等によるものです。
一方で、AIプラットフォーム事業については黒字を計上、かつ大きく売上も伸長しており、同事業を中心として着実に収益力を高めております。経営戦略上も、今後のAIプラットフォーム事業の売上高が継続的に成長するとともに黒字の継続及び拡大並びに収益性が改善すること、及びAIプロダクト事業へと積極的な投資を行うことを前提としております。
しかしながら、今後売上成長のための先行投資が想定以上に発生する場合や、売上成長が想定通りに達成できなかった場合、投資した金額が回収できない等により当社グループの業績及び資金繰りに影響を与える可能性があります。
(3)その他のリスク
① 大規模な自然災害等
当社グループは、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波、感染症等の自然災害等が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
② 感染症の発生及び拡大による影響
当社グループでは、感染症の発生及び拡大に伴うリスクに対応するため、リモートワーク環境の整備・強化及びオンラインでの社内コミュニケーションの促進に努めるとともに、全社員に対してワクチン接種等の感染予防のための機会の提供、感染疑いや体調不良時の就業に関する対応方針の周知徹底等を行い、業務基盤を強化しております。また、当社グループの営業活動及び採用活動、エンジニアの開発プロセスやサービス基盤の運用・保守体制等についても、リモートワーク環境下を前提に、柔軟に顧客との事業活動を継続できる体制の整備に努めております。
しかしながら、今後感染症の大規模な流行が発生し、当社グループの想定していない事業環境の変化を招き事業展開が計画どおりに進まない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 訴訟等
現時点において、当社グループにおいて係属中の訴訟はありません。しかしながら、将来において当社の取締役、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、予期せぬトラブルや訴訟等が発生する可能性は否定できません。かかる訴訟が発生した場合には、その内容や金額によって、当社グループの業績、財政状態及び事業展開に影響を与える可能性があります。
④ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化
当社では、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しており、2023年3月末における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は7.7%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
⑤ 配当政策
当社は株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、当社グループは現在、成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、より一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び当社グループを取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
⑥ 資金使途
上場時に実施した公募増資による調達資金につきましては、プロダクト開発投資、採用費、マーケティング費用、借入金の返済、運転資金及び研究開発費に充当する予定であります。
しかしながら、急激に変化する事業環境により柔軟に対応するため、現時点における計画以外の使途にも充当される可能性があります。また、計画に沿って資金を使用した場合でも想定通りの投資効果を上げられない場合、当社グループの経営成績並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 繰越欠損金
当社グループは、税務上の繰越欠損金を有しております。これは法人税負担の軽減効果があり、今後当該繰越欠損金の繰越期間の使用制限範囲内において納税額の減少をさせることにより、キャッシュ・フロー改善に寄与することが見込まれます。
しかしながら、当社グループの業績が順調に推移することで繰越欠損金を上回る課税所得が発生した場合、及び当社グループの業績の下振れ等により繰越期限の失効する繰越欠損金が発生した場合は、課税所得からの控除が受けられなくなり、通常の税率にもとづく法人税等の納税負担が発生することで、当社グループの業績及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 当社設立からの経過年数
当社は2016年2月に設立された社歴の浅い企業となります。当社グループは現在成長過程にあると認識しており、今後も積極的な成長投資が必要となるため、その投資のタイミングや成果によっては一時的に損益が悪化する可能性があります。また当社グループはIR・広報活動などを通じて経営状態を積極的に開示していく方針でありますが、当社の過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な分析材料とはならず、このため今後の業績等の将来的な予測における基礎情報としては不十分である可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」とのミッションの下、AIプラットフォーム事業においては、顧客課題解決を通じて、様々な業界の産業・社会課題を発見し、その革新を実現し続けることをめざして事業を推進しています。またAIプロダクト事業においては、広範な顧客向けに、最小限の追加調整で即座に業務で活用可能なAIソフトウエアを提供し、社会課題を解決することをめざして事業を推進しています。
(経営成績)
売上高
当連結会計年度における売上高は5,591百万円(前期比+16.2%)となりました。これは主に、AIプラットフォーム事業において顧客数が増加したことによるものです。
売上原価、売上総利益
当連結会計年度における売上原価は2,455百万円(前期比+39.4%)となりました。これは主に、人件費等及びソフトウエアの減価償却費が増加したことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度の売上総利益は3,135百万円(前期比+2.8%)、売上総利益率は56.1%となりました。
販売費及び一般管理費、営業損益
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,513百万円(前期比+8.1%)となりました。これは主に人件費等が増加したことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度の営業損失は378百万円(前年度は201百万円の営業損失)となりました。
営業外損益、経常損益
当連結会計年度の営業外収益は4百万円(前期比△97.4%)、営業外費用は1百万円(前期比△96.8%)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常損失は375百万円(前年度は97百万円の経常損失)となりました。
特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益
当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は88百万円(前年度は194百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。特別利益として、第1四半期にAIプロダクト事業に属する一部事業の譲渡により13百万円、第4四半期に介護事業者向けサービス「CareWiz ハナスト」に関する事業の譲渡により280百万円を計上しました。
また、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、繰延税金資産の取り崩し(注)等に伴い法人税等合計で67百万円を計上したことにより、141百万円(前年度は137百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
(注)当社は、今後の業績の見通し等を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産の一部を取り崩し、2023年3月期第4四半期決算において、37百万円を法人税等調整額に計上することといたしました。本会計処理は実質的な支出を伴わず、当社のキャッシュ・フローに影響を及ぼすものではありません。
(セグメント業績)
AIプラットフォーム事業
当連結会計年度においては、引き続きAIプロジェクトによるイノベーション創出を多数の大手企業と取り組んでいます。AI・DX支援に関する企業の強いニーズも後押しとなり、取引社数が増加しました。
この結果、売上高は4,703百万円(前期比+12.5%)、売上総利益は2,757百万円(前期比△1.1%)、売上総利益率は58.6%(前期比△8.1pt)、営業利益は314百万円(前期比△55.9%)、売上高に占める長期継続顧客売上(注)の比率は73.9%となりました。
(注)AIプラットフォーム事業において、当社が4四半期以上連続で契約している顧客に係る売上高
AIプロダクト事業
当連結会計年度においては、既存プロダクトの販売拡大に加え、AIプラットフォーム事業によって得られた知見をもとに、新たなサービス開発にも取り組んでまいりました。
DX AIプロダクト群では、企業のDX人材の発掘・育成のための「exaBase DXアセスメント&ラーニング」を中心に導入企業数が増加しました。
ソーシャルAIプロダクト群では、「CareWiz トルト」がパートナー企業との協業により販売拡大が進みました。また、当社と株式会社ケアコネクトジャパン(以下「CCJ」という。)との事業協力を一層強化するため、「CareWiz ハナスト」に関する事業をCCJへ譲渡し、また2023年4月28日に同社に対してマイノリティ出資を行いました。
その中で、これらの需要に応えていくためのソフトウエア開発活動等により、ソフトウエア等の減価償却費や人件費等が増加しました。
この結果、売上高は888百万円(前期比+40.8%)、売上総利益は377百万円(前期比+45.4%)、売上総利益率は42.5%(前期比+1.4pt)、営業損失は692百万円(前年度は914百万円の営業損失)となりました。
(財政状態)
資産
当連結会計年度末における資産合計は7,939百万円となり、前連結会計年度末に比べ73百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が306百万円減少した一方で、ソフトウエアの増加等により無形固定資産が307百万円増加、また、工具、器具及び備品が45百万円増加したことによるものです。
負債
当連結会計年度末における負債合計は1,321百万円となり、前連結会計年度末に比べ88百万円増加いたしました。これは主に、未払費用が人員増加に伴う給与関連費用等により50百万円増加したことによるものです。
純資産
当連結会計年度末における純資産合計は6,618百万円となり、前連結会計年度末に比べ14百万円減少いたしました。これは主に、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金の合計で126百万円を計上した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失141百万円を計上したことによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ306百万円減少し、5,231百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは71百万円の収入(前連結会計年度は24百万円の収入)となりました。これは主に、事業譲渡益の発生293百万円や売上債権の増加119百万円等の減少要因があった一方で、減価償却費394百万円や助成金の受取95百万円等の増加要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは483百万円の支出(前連結会計年度は701百万円の支出)となりました。これは主に、事業譲渡による収入456百万円等の増加要因があった一方で、無形固定資産の取得にかかる支出845百万円等の減少要因があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは105百万円の収入(前連結会計年度は3,878百万円の収入)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入125百万円によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b 受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
AIプラットフォーム事業 |
4,703 |
112.5 |
|
AIプロダクト事業 |
888 |
140.8 |
|
合計 |
5,591 |
116.2 |
(注)
1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、前連結会計年度においては、総販売実績に対する割合が10/100以上の相手先はありません。
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相手先 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
|
金額(百万円) |
割合(%) |
|
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株式会社ビッグモーター |
584 |
10.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについては、連結財務諸表作成時に入手可能な情報及び合理的な基準に基づき判断しておりますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、前記「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社サービスを新規開発、拡大していくための開発人員の人件費及び顧客獲得のための広告宣伝費であります。これらの資金需要に対しては、自己資金、金融機関からの借入、社債及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としております。
④ 経営成績に重要な要因を与える要因について
経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、前記「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当社は、2023年2月14日開催の取締役会において、当社の「CareWiz ハナスト」事業を株式会社ケアコネクトジャパンに譲渡することを決議し、同日付で事業譲渡契約を締結の上、同月28日をもって事業譲渡いたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。
当社グループは、AIによる社会課題の解決を目指して、AI技術を活用した各種のプロダクトの研究開発に取り組んでおります。研究体制はAIプラットフォーム事業部、AIプロダクト事業部及び技術統括部にて取り組んでおります。当連結会計年度において計上された研究開発費の総額は
(1)AIプラットフォーム事業
主として医療・ヘルスケア分野の研究開発を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は
(2)AIプロダクト事業
主として既存プロダクトに関連する研究開発を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は