文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は、1954年(昭和29年)の設立以来「技術革新」をコンセプトとし、事業活動を通して社会に貢献したいとする経営理念のもと、つねに患者様のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上や医療現場の課題などのユーザーニーズに応える製品開発を推進しております。
製品競争力・市場シェアともに世界トップを目指し、「地産地消」のコンセプトのもと、グローバルに事業展開を行っております。
当社グループは、医療現場におけるニーズ、シーズを積極的に捉えながら、現場の要望に応える商品開発を行いつつ、製造工程の改善によって製品の生産能力を高め、品質の安定とコスト競争力のある製品を提供することによってグローバル市場でシェアを獲得し、販売を拡大することを基本戦略としてまいりました。また、医療、医薬、医薬用包装材料(ファーマパッケージング)の3事業にまたがる当社内の独自技術やその他の経営資源を有効に活用して、ユーザー目線に立ったより安全性の高い、価値ある製品の開発に取り組んでおります。ますます先行きが見えないこの激動の時代においても、製品競争力、市場シェアともに世界トップを目指し、「地産地消」のコンセプトのもとにグローバルで存在感のある企業グループへ発展し、全世界的に総合医療メーカーとしての供給責任を果たしてまいります。
医療関連事業の国内販売におきましては、主力のダイアライザ(人工腎臓)を中心とする透析関連製品に加え、注射・輸液関連製品、糖尿病関連製品、検査関連製品、バスキュラー関連製品、SD(サージカルデバイス)関連製品などの領域において品揃えの充実と新規販路開拓を強力に推し進め、シェア拡大を図ります。また、医療従事者の働き方改革や、オンライン診療、オンライン服薬指導に役立てるシステムの提案を通じて地域医療に貢献してまいります。後発医薬品につきましては、医療用医薬品の製造・販売を行う企業としての安定供給への使命を今一度しっかり認識し、患者様目線を基本理念として、引き続き品質確保、安定供給へ真摯に取り組んでまいります。また、総合メディカル企業として重点卸との関係を強化し、医療機関、調剤薬局などへ貢献できるよう引き続き取り組んでまいります。
海外販売におきましては、学術営業や技術営業を通じ、基幹商品の商品価値を高め、サービスを向上させることで、患者様、医療従事者への付加価値を創造し、顧客満足度を高め、利益を高めてまいります。また、商品別販売組織の強化、新しい治療分野への事業展開を行い、売上の拡大に努めてまいります。特に世界各地域で展開する「バスキュラー商品」および「感染対策商品」としてイオンレス®次亜塩素酸水等の販売準備を進めてまいります。加えて、コンプライアンスの強化やデジタル化の推進、環境への取り組みを行うとともに、ポストコロナ時代の社会と市場の変化に柔軟かつスピーディーに対応してまいります。そのために、特に多くの人口を抱える市場であるアジアパシフィック地域を重点戦略市場として、グローバルマーケティングによるブランド強化により、ニプロブランドを世界の隅々まで浸透させてまいります。さらに、中南米・アジア地域を中心に引き続き自社透析センターにおいて、質の高い治療の提供を続け、地域医療に貢献、またショールーム化による差別化を進めてまいります。
管理面においては、物流最適化を促進し、ハブ倉庫を活用した輸送の効率化の一方、全世界の患者様に遅滞なく製品を届けるため安全在庫を確保し、安定供給を進めてまいります。このように今後も顧客目線での活動を行い、顧客満足度を高め、さらなる販売拡大に努めてまいります。
医薬関連事業におきましては、高品質な医薬品を安定的に市場へ供給することを使命とし、その中でも品質の確保を最優先事項と位置づけて、医薬品の製造事業の拡大に邁進してまいります。ニプロファーマ株式会社では、GMP監査部門の直下にラインQAを新設し、工場の各生産現場で直接作業手順の確認を進めることにより、作業担当者とラインQAが日々コミュニケーションを図ることで、課題や発生した問題を迅速にエスカレーションが出来る品質風土作りに努め、クオリティカルチャーの醸成に注力し、より強固な品質保証体制の構築に取り組んでまいります。
また、安定供給に関しましては、生産設備の拡大および災害対策・老朽化した設備の再構築を行うことにより生産の安定化を図り、事業継続性の向上に努めてまいります。注射剤については、顧客からの需要が高いシリンジとバイアルの生産能力の拡充により、新規案件の受託推進と事業の拡大に取り組んでおります。新たに国から採択された製剤化・充填拠点の整備事業として、平時には受託製剤を製造し、有事の際には速やかに国内で供給可能なワクチン充填ラインの敷設を滋賀県近江で計画しております。経口剤についてはBCPの観点を踏まえ、新たな生産拠点の構築も視野に入れた体制の確立に取り組むことで、引き続き生産能力の向上と生産体制の強化を行います。研究開発においては、今後予定されている後発医薬品の上市に向けて、生産部門との緊密な連携による準備を進めております。また、今後ニーズが高まると予測される高活性製剤に対応した研究設備の増強や、バイオシミラーの研究開発に取り組んでおります。
ファーマパッケージング事業におきましては、「信頼される医薬品包材メーカーとして人々の健康に貢献する」ことを使命としております。医療先進国における高機能商品のニーズの充足、発展途上国の急速な需要拡大に対応するため、開発・生産・サプライチェーン・販売の各バリューチェーンに立脚する4つの基本戦略を設定しております。まず「商品競争力の向上」に関しては、主力品であるバイアルやシリンジといったガラス容器の機能強化・付加価値化に加え、コンビネーション医療機器や在宅医療用機器分野へリソースを投下します。また開発体制を整備することで、最大の市場である欧米顧客のニーズを的確に捉えた製品を上市し、当事業部全体としてのシナジー発現に努めます。次に「製造原価の低減」については、製造工程の自動化やDXの活用、作業効率の改善といった旧来の一工場内での改善活動に留まらず、材料や設備の共同発注や工場間での製造品目移管等、製造事業全体における最適化を加速してまいります。「安定供給」面では、引き続き段階的な設備増築を進める傍ら、ユーザーの需要に柔軟に応えられるよう新製品の迅速な立ち上げに注力いたします。また国内外16工場のほか、外部の仕入先を含め、品質・コスト・納期に優れたサプライチェーンの再構築を推進します。最後に「市場カバー率の拡大」については、ガラス関連製品、ゴム栓、調製デバイスを含むワンストップソリューションをグローバル展開することで、顧客満足度を向上させ、顧客当たり販売高を向上させてまいります。また地域面では既存市場である日米欧に加え、二大成長市場である中国、インドのシェア率向上、将来的には中米やアフリカ等の市場を積極的に開拓して行く計画です。
当社は、2030年度連結売上高1兆円の企業グループとなることを目標に掲げており、そのためにユーザーニーズに即した製品開発により競合他社との差別化をはかり、売上高成長率7%以上を維持することと製品力による営業利益率の向上を目指します。そのうえで一定水準の成長投資を維持しながらキャッシュ・フローの改善により債務償還年数の圧縮と自己資本比率の向上を実現してまいります。
また、2030年度連結売上高1兆円を達成するために、当社グループが実施すべきと考えることは、次のとおりであります。
当社グループは引き続きユーザー目線にたっての新商品、新技術の開発を進め、技術革新により社会貢献を志向する事業展開を継続し、医療関連、医薬関連およびファーマパッケージングの各事業において着実に成長を図り、目標達成を目指してまいります。
医療関連事業におきましては、メディカル営業部門では、輸液関連製品、糖尿病関連製品、透析関連製品、バスキュラー関連製品、SD(サージカルデバイス)関連製品の各々におきまして、医療の安全、安心に配慮した設計と、環境への負荷を低減する製品開発に努め、多様化する市場ニーズ・シーズに応えられる製品を積極的に市場展開、販売強化を行い業績の拡大に取り組んでまいりますとともに、医療従事者の働き方改革をDXで支えるニプロ総合医療ネットワークシステムを普及してまいります。
また、医薬営業部門では、毎年の薬価改定と原材料の高騰により後発医薬品業界はもちろん、製薬業界全体が非常に厳しい経営環境となる中、適正価格を念頭に総合メディカル企業として在宅医療、地域医療連携をはじめ医療現場のニーズを捉えた提案営業を続け、さらなるニプロブランドの向上に努めてまいります。
さらに、供給問題につきましても、増産体制の強化を図るとともに、医薬品卸や医療従事者の方々への丁寧な説明と対処へ引き続き真摯に取り組んでまいります。
グローバル市場においては、生活習慣病などの都市型疾患への変遷に対応すべく特に新興国を中心に医療インフラの整備と医療体制の普及を視野に入れた事業を進めておりますが、全世界的な新型コロナウイルス感染拡大により、感染症に対する脆弱性が全世界で露呈する格好となりました。再びこのような混乱が起こらぬよう感染症予防と治療に必要な防護用品やワクチン接種用のシリンジ等のホスピタル関連製品に関しても製品ラインナップの拡充と生産能力の強化をしっかりと継続して行います。このように当社グループは医療現場のニーズに応え、メーカーとしての製品供給責任を十分に果たすために全世界で製品生産能力の増強を継続的に行ってまいります。
特にダイアライザを代表とする透析関連製品に関しては、対応する生産拠点の能力増強を計画通りに推し進め生産規模拡大を図り、継続する旺盛な需要に対応してまいります。
医薬関連事業におきましては、受託製造の伸長や、継続する後発医薬品の供給に関する課題に対処するため、生産能力の増強と拡充を確実に進めております。滋賀県近江に新たな製造工場の建設、伊勢工場ではシリンジの製造ラインの稼働を進めており、増産およびBCP対策を含めた事業継続性に努め、供給責任を果たしてまいります。
一方、兼ねてより品質向上に努めておりましたが、2023年2月にニプロファーマ大館工場が業務改善命令を受けたことを真摯に受け止め、品質保証体制の見直しと改善に取り組んでまいります。試験業務に従事する人員の不足を起因とする業務負荷を軽減するため、外部機関および他工場へ試験業務を移管し、業務負荷の分散を進めております。
また、今年度設置したGMP監査部門では、定めた手順と実作業の齟齬が起こらないように現場で監視する体制を構築いたします。2023年度内にはニプロファーマ株式会社にQC本部を新たに設置し、埼玉県に試験棟、大阪府に品質管理センター(QCセンター)を竣工し、さらなる試験機能の強化を行います。また、教育面ではGMPに関する基礎教育を繰り返し全社的に行うことで、法令遵守および品質意識を根付かせてまいります。
ファーマパッケージング事業におきましては、ファーマパッケージング事業を取り巻く環境は、バイオ医薬品やワクチン等、ガラス包装容器を使用した新薬開発が活発であることに加え、発展途上国における医療水準の向上とも相俟って、今後も堅調に拡大することが見込まれます。新薬に係る事業機会の獲得に向けては、新薬に適合したガラス容器加工の技術向上、多様なガラス容器の供給体制整備、ゴム部材やデバイス等を含めた提案型技術営業の強化が課題であり、グループ内外のステークホルダーと協業し、種々のプロジェクトを進めております。
他方でコロナ後の厳しい財政状況の中、各国は感染症対策の拡充を求められていることから、医療費抑制の圧力が強まることが予想されます。また今後のインフレ動向も予断を許さないことから、製造原価の低減は引き続き最重要テーマの一つです。
具体的には材料の調達コスト低減、労働生産性の向上、機械稼働率の最大化、エネルギー効率の改善などが挙げられますが、各工場(世界8ヵ国16箇所)内での独自の原価削減計画に加え、地域内の横断的なKPI改善活動も積極的に推進しております。
当社グループは、「未来に向かって、世界の人々の健康を支え、医療ニーズに応える商品、技術および事業の創造革新を行い、社会に貢献し、自己実現を図る」という経営理念に基づき、真にグローバルな総合医療メーカーとして、サステナビリティ経営の推進に取り組んでおります。
当社グループのサステナビリティ経営に関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、事業を通じたあらゆる社会的課題の解決に向け、サステナビリティ経営の推進に取り組むべく、体制強化を図っており、代表取締役社長 佐野嘉彦が当社グループにおけるサステナビリティ経営に関する総括責任者となっており、経営判断の最高責任者として、気候変動関連事項を取締役会などの機関決定において責任を有しております。
また、サステナビリティ経営に関する取り組みの最高サステナビリティ責任者(以下「CSO」という。)を任命し、推進体制の強化を図っております。現在のCSOはニプロ株式会社常務取締役経営企画本部長 余語岳仁が担当しております。CSOは、当社グループのサステナビリティ経営の課題に対応するサステナビリティ委員会の委員長を担い、各事業部門におけるサステナビリティ経営に関する活動を統括管理しております。
サステナビリティ委員会は、さらに「環境委員会」、「ソーシャル委員会」、「ガバナンス委員会」に区分され、ESG取り組みの管理・推進を行っております。
管理・推進状況については四半期に一度以上の頻度で取締役会の審議事項として上程され、戦略の審議および指導、KPI設定およびその進捗管理などを審議し、その内容は各委員会を通じて各事業部に還元される体制としております。

当社グループでは、「経営リスク管理規程」を策定し、事業に大きな影響を与えうる経営上のリスクを的確に把握し、適切な企業経営に努めております。また、想定されるリスクが一定額を超過する場合には都度取締役会に上程され、迅速にリスク管理の経営意思決定を行っております。
当社グループは、気候変動を事業継続に大きな影響を及ぼす重要な課題であると認識しております。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、TCFDのフレームワークに沿った情報開示の拡充を進めております。
気候変動に関するガバナンスについては、サステナビリティ経営で掲げるガバナンスに包括されております。詳細については「(1)サステナビリティ経営 ガバナンス」をご参照ください。
当社グループにおける気候変動の影響は、今後社会がカーボンニュートラルに向け変遷する過程で生じる政治的な影響や新技術の確立、市場ニーズの変化などによる「移行」に関わるものと、地球温暖化が進行することによって生じる異常気象の多発やそれに伴う災害の発生、平均気温上昇などの「物理的変化」によるものに大別されます。
当社グループは総合医療メーカーであり、これらの影響を各事業部門の観点から分析し、リスク管理・機会についてそれぞれ特定を行い事業戦略に組み込んでおります。
・気候関連機会
気候変動に関するリスク管理については、サステナビリティ経営で掲げるリスク管理に包括されております。詳細については「(1)サステナビリティ経営 リスク管理」をご参照ください。
当社グループは、温室効果ガス排出量(単位:t-CO2)を気候変動に関するリスクを評価・管理するための指標として定めています。また、温室効果ガス排出量の削減を推進するために、2045年までにScope1・2においてネットゼロ達成を目指し、その中間目標として2030年までにScope1・2において2021年比37.8%削減を目指しております。直近の主な削減事例としては、ニプロファーマ株式会社(日本)の大館工場では、化石燃料の代わりに、間伐材チップを燃焼することでタービンを回し発電する「バイオマスボイラー」から生成する蒸気を生産工程で活用しており、GHGの削減を行っております。また、Scope1・2の排出量削減には再生可能エネルギーや非化石証書などの活用を行い、グループ全体のGHG排出量削減を図って参ります。
また、気候変動に関するその他の取組は以下のとおりであります。
当社グループは、多数の国・地域で製造・販売を行っており、グローバルなサプライチェーンを展開しております。ビジネスのグローバル化に伴い、当社だけでなく、取引先との協働および管理体制の構築が不可欠となり、取引先への働きかけを実施しています。気候変動についてはサプライチェーン全体での温室効果ガス削減に向けて、取引先由来のGHG排出量(Scope3)の算定に注力しており、今後は取引先との協働も進めていく予定です。「パートナーシップ構築宣言」と「サプライヤーさまへのお願い」を制定し、環境・人権課題等も踏まえたサプライチェーン全体での付加価値向上に邁進いたします。
当社グループの製品は、様々な資源を使い生み出されています。限りある資源を効率的に活用するとともに、持続可能な循環型社会の実現が求められています。廃棄物の環境に及ぼす影響を最小化するために、当グループでは製造過程で生じる産業廃棄物を焼却炉で燃やす際に発生する熱を発電や温水などに再利用するほか、産業廃棄物の減量化を図っており、包材のリサイクル率から向上させるべく検討を開始しております。
当社グループは、「意欲:willingness」を社是としており、すべての活動に「意欲」をもって取り組むことを従業員の行動の基本としております。意欲ある、すべての人材にチャンスを与える社風を守るため、あらゆる背景を持った従業員ひとりひとりが自己実現を図ることのできるよう、環境を整備していくことを目標として、実践しております。
当社グループにおける人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針、戦略は以下のとおりであります。
意欲ある人材を登用していくため、2017年に刷新した人事制度においては、昇進・昇格の基準を明確化し、能力によっては年齢にかかわらず課長、部長に登用できる仕組みを構築し、従業員全体の意欲向上に効果を発揮しております。また、自らのニプログループにおけるキャリア形成を見据えたうえで人事異動に手を上げることのできる社内公募制度も、今後さらに拡充していきます。
ボーダーレス時代において、80億人の世界市場に果断に向かっていくには、日本語以外の言語能力を獲得することが必要不可欠になっています。そのため、選抜された従業員に対しては英語を中心とした言語教育プログラムを提供し、語学力を高める機会を創出しています。
また、当社グループは、「コミュニケーションの中でしか成長は生まれない」という信念に基づき、コロナ禍においても、集合型研修を、感染症予防対策を十二分にとりながら行っておりました。研修内では相互のコミュニケーションを取るプログラムを多く取り入れることで、意欲向上や知識拡充だけでなく幅広く社内の異なる背景の人材どうしの理解を深める機会が生まれ、エンゲージメントの向上や離職率の低下につながっています。今後も、集合型研修の拡充を行ってまいります。
当社グループは、働く人の行動指針として、FISH哲学を推進しています。FISH哲学とは「態度を選ぶ」、「仕事を楽しむ」、「注意を向ける」、「人を喜ばせる」という4つの基本マインドであり、その考え方を意識することで「意欲的に働こう」という気持ちを湧き立たせ、さらに周りの人間も巻き込んで働きやすい活気のある職場環境にしようという考え方です。このFISH哲学は全社的に推進されており、社内イベントとして各事業所・工場などのFISH活動を紹介・表彰する「FISHフェスティバル・FISHアワード」が開催されています。こうした取り組みにより、さらなるFISH哲学の浸透と、従業員のコミュニケーションの円滑化、職場環境の向上を図っています。
2023年3月に竣工した新本社屋においては、FISH哲学を意識した『出会う 繋がる 創造する』というコンセプトを掲げ、共創スペース、リラクゼーションルームなど、従業員のコミュニケーションをさらに活性化させる仕掛けを用意いたしました。
今後も当社グループは、人生の各ステージにおいて、育児・介護をはじめとした理由により離職せざるをえないといった選択をすることがないよう、就業環境を整備していきます。医療機器・医薬品において、開発から実際に現場で利用されるまでに至るすべての過程で、それに携わった経験値というものが、大きな力を発揮します。意欲をもった従業員ひとりひとりが、永くその力を発揮し続けられるよう、必要な環境を整備してまいります。
当社グループは、世界の人々の健康を支えるという経営理念のもと、健康寿命を延ばすことを目標としております。そのためにも、従業員自身の健康も重要と考え、健康経営を推進しています。CHO(最高健康責任者)のもと、健康経営推進委員会が構成され、各事業部から選出されたメンバーとともに様々な課題に対する討議を行っています。特に重点課題として挙げられている禁煙・メンタルヘルス・職場活動活性化などに関しては、新本社屋を敷地内全面禁煙にするほか、従業員の健康リテラシーを高めるためのセミナーの開催や健康アプリの導入などの施策を実施しています。
当社グループでは、上記「戦略」において記載した、人的資本に関する方針及び戦略について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。
(注) 1 これらの指標、目標はニプロ株式会社単体の数値となります。
2 従業員ワークエンゲージメントは、従業員個人の仕事に対するポジティブな心理状態を表し、偏差値で示しております。なお、本調査における製造業全体の平均値は49.3、最も数値の高い企業で56.2となっております。
3 従業員10年定着率は、同一年度入社者(新卒・中途含む)のうち10年後に在籍している割合を示しております。
4 管理職全体に占める女性の割合を示しております。
5 年に一度実施している生活習慣のアンケート結果を元に算出しております。なお、2020年度については本アンケート調査が未実施となっております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは数々の供給者から事業に使用する材料、部品などを仕入れており、重要な部材の中には一社からしか入手できないものや、供給者が限定されるものがあります。当社グループは、継続して市場に製品を供給し続けるため、材料・部品の長期安定供給を受けるための努力を行っておりますが、受け続けられるかどうかは、当社グループが制御できないものを含め、需要の急増に伴う供給不足、供給先からの供給遅延および供給停止等、多くの要因による影響を受けます。また、当社グループの製品には、プラスチックなどの石油化学製品を原料とするものがあり、石油化学製品等原材料の価格高騰により調達コストが増加する場合があります。このような事態が発生し、当社グループの生産活動に影響を及ぼし、顧客への製品の納入や品質確保に支障をきたす場合には、経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは様々な品種や産地などの原材料を分散調達することによって、安定した数量を確保し、主要製品の生産場所の複数化を進めてまいります。
当社グループの販売する製品には、国内においては診療報酬、薬価および保険医療材料の償還価格の引下げの影響を受ける製品があります。また、世界的にも医療費抑制策は浸透されており、これらに起因して市場における企業間競争が激化し、販売価格が想定を超えて下落し、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは生産能力の拡充、安定供給体制を確保することによって、製造コストの抜本的な削減を実現し、利益の確保に努めてまいります。
当社グループの属する業界は、医療制度に密接に関連しており、医療保険制度や医薬品医療機器等法(旧薬事法)などの行政機関の規制を受けております。今後、医療行政において予測できない大改革が行われ、その環境変化に対応できない場合には、当社グループの経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは積極的な研究開発活動のもと、新商品、新技術の開発を進め、医療業界における環境変化にも対応してまいります。
当社グループの事業または製品が、他人の特許等の存在を知らないで使用したことによる知的財産権侵害などを理由とした訴訟の対象とされる可能性があるほか、当社グループの製品によって損害を与え、このために訴訟等を提起される可能性もあり、その訴訟等の内容によっては、多額の損害賠償を要求され、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは自社が製造する製品に関する特許および商標を多数保有し、権利を多数取得しており、また第三者の特許や独占権の侵害、技術に関して締結したライセンス契約についても違反などを回避すべく万全を期しておりますが、意図せぬ第三者からの損害賠償を請求され、当社グループの抗弁が退けられた場合には、経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当社製品に採用される技術を特許出願により確実に保護するとともに、他社による権利侵害が持続しないように対処しております。また、技術開発・製品設計プロセスの複数段階で調査を実施し、第三者の知的財産を侵害しないよう努めております。
当社グループは医療機器および医薬品の設計、開発、製造段階で、製品の安全性の確保について全力を上げて取り組んでおりますが、使用時の偶発的な不具合や副作用などにより、他者に損害を与え賠償責任を請求されるリスクがあります。
従いまして、これらのリスクに対応すべく、賠償責任や製造物責任についての保険契約を締結しておりますが、万一保険範囲を超える請求が認められた場合には、経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは独自の品質基準を設け製品の品質・安全性の向上に取り組むとともに、関連法規の遵守に努めております。
当社グループでは海外子会社を含め、主に米ドルおよびユーロ等の外貨建取引を行っており、当連結会計年度における海外売上高の割合46.8%となっております。従って、為替レートの変動により、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは一部の外貨建輸出債権を対象とした為替予約によるリスクヘッジを実施し影響を最小限にするよう取り組んでおります。
当社グループは、事業資金・投融資資金を金融機関からの借入または社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。金融市場の混乱や、金融機関が貸出を圧縮した場合、また、格付会社による当社の信用格付の大幅な引下げ等の事態が生じた場合、当社グループは、必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、調達コストが増加する可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、金融機関からの借入の一部には、財務制限条項が付されているものがあり、当該条項に抵触し、期限の利益を喪失した場合等には、当社グループの資金繰り等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは事業資金の効率的かつ安定的な調達を図るため、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結することで、資金調達の確保に努めております。
当社グループの資産には、株式などへの投資が含まれており、これらは各証券の発行者との良好な事業関係を築くことや、新製品の開発、新規事業機会に関する有益な情報を収集することなどを目的としておりますが、これらの投資が株式市場などの下落や発行者の状況あるいはこうした投資についての会計処理方法の変更などにより投資価値が大幅に減少した場合には、経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度末現在の投資有価証券の連結貸借対照表計上額は37,220百万円となっております。
当社グループは、M&Aや業務提携等を通じた事業基盤の強化に取り組んでおります。これらを実行するにあたっては、対象企業の入念な調査、検討を行いますが、未認識債務の判明等や事業の展開等が計画どおりに進まない場合、当社グループの経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは対象企業の経営計画に対する精緻な精査、経営状況および市場環境に対するモニタリングに努めております。
当社グループが保有する個人情報の保護については厳重な方策を講じて機密を守っておりますが、万一不測の事故および事件により個人情報が外部に漏洩することになった場合には、当社グループの信用や得意先を失い、経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは情報管理に係る規則を定め厳格な運用を行うとともに、必要と思われるシステム対策を講じております。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症等、大規模な感染症の流行により、経済活動が制限され、サプライチェーンの分断、工場の生産停止、急激な需要の減少等が発生した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは感染拡大防止への対策として、マスク、消毒液等必要な感染拡大防止用品の備蓄や、時差出勤、在宅勤務等の実施、リモートワークツール等の積極的な活用により、業務を継続できる環境を確保しております。
当社グループが事業展開している地域や事業所で予期せぬ火災、地震、テロ、戦争、疫病、環境問題、法規制等の変更や政治的・経済的変動等が発生した場合、生産、販売、物流、サービスの提供などが遅延したり停止したりする可能性があり、これらの遅延や停止期間が長期化した場合には、経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の各種規制が緩和されたことに伴い、経済活動は緩やかに持ち直す動きが見られました。
一方、世界経済におきましても、中国ではいわゆるゼロコロナ政策が緩和され、経済活動が持ち直しておりますが、世界的インフレーションの加速と金融引き締めに加え、銀行の破綻が金融システム不安を招く懸念があり、景気の先行きは依然不透明な状況で推移しました。
医療機器、医薬品業界におきましては、新型コロナウイルスのパンデミック下において多くの課題が浮かび上がる状況のなか、当社グループは全社一丸となってこれに立ち向かう責務を自覚し、国内におけるシェア拡大と海外販売網の拡大ならびに生産コストの低減に取り組み、ユーザー目線にたった製品開発を進め、業績の向上に努めてまいりました。当社グループはこれからもすべての人が適切な医療を受けることができる持続可能な世界の実現を目指して、今後もより安全な医療環境の整備の一翼を担うべく、医療機器・医薬品メーカーとしての責任と役割を果たしてまいります。
当連結会計年度における連結売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されていく状況のなか、概ね好調に推移いたしました。前期に比べ、為替相場が円安方向に推移したことにより海外売上高は大きく押し上げられました。特に透析関連製品やホスピタル関連製品、バスキュラー関連製品は引き続き順調に推移し、全体の売上高増加を牽引しました。また、当社2つめのオーソライズド・ジェネリックとなるエソメプラゾールは12月の販売開始とともに好調な売上となりました。医薬品受託事業につきましては、新規受託品の製造、出荷が本格化したことによる増加の一方で、一部製品での生産終了もあり、売上高は前期比では若干の減収となりました。医薬用容器に関しては中国向けのワクチン用途のバイアルは大きく売上を落としたものの、欧米でのワクチン用途以外の製品の需要が引き続き堅調に推移しており、また、医薬用容器の材料となる硝子管の生産能力も回復したこともあって売上高は好調に推移しました。この結果、連結売上高は前期比10.2%増加の5,451億99百万円となりました。
利益面におきましては、原材料・エネルギー価格の高騰、円安による輸入原材料等仕入価格の上昇に加え、一部工場の操業度の低下、中国上海市のロックダウンに伴う工場操業停止などによる製造原価の上昇が減益要因となりました。また前期より続く運送費の高騰や、営業活動の正常化に伴う経費増加などもあり、営業利益は前期比25.8%減少の177億29百万円となりました。
これに対して、経常利益は、主に上半期において円安が進行したことで為替差益が多額に計上されましたが、下半期以降ピークアウトしたことでその額は縮減しました。また持分法による投資損失の増加や、子会社における超インフレ会計の適用の影響等で一過性の営業外費用を計上したことにより営業外損益は大きく損失方向に振れました。この結果、前期比44.4%減少の153億46百万円となりました。
さらに一部の所有地や政策保有株式の売却による固定資産売却益および投資有価証券売却益を計上したものの、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比66.0%減少となる45億74百万円となりました。
なお、当期におけるセグメント別の概況は以下のとおりであります。
<医療関連事業>
国内販売におきましては、メディカル営業部門ではバスキュラー関連製品や透析関連製品の販売が引き続き好調に推移したとともに、中国上海市のロックダウンの影響も緩和され、注射輸液、検査関連製品も復調いたしました。さらに新型コロナウイルス抗原定性検査キットの販売が好調に推移しました。
医薬営業部門では、市場での供給問題がいまだに解消を見通せないなか、丁寧な説明と誠意を持った対応など真摯に取り組む姿勢が市場の信頼につながっております。また、ネキシウムのオーソライズド・ジェネリックであるエソメプラゾールは順調にシェアを拡大しております。一部の他社プロトンポンプ・インヒビター(PPI)製剤が出荷調整にあるなか、当社のエソメプラゾールが市場への安定供給に貢献できると考え、PPI市場全体も見据えプロモーションに努め、さらなるシェア拡大に取り組むとともに、エソメプラゾールで当社の認知度をさらに向上させ業界内での存在感も高めてまいります。
海外販売におきましては、ポストコロナとしての経済活動が推進され、1月にはシンガポールで開催のバスキュラー学会に参加、またアラブ首長国連邦ドバイにて開催された中近東・アフリカ医療機器展示会に出展など、世界各国での販売強化を図ってまいりました。
このような状況下、主力の透析関連商品は、中国や欧州でのダイアライザ販売増等、各地域での販売が順調に推移した結果、前期比は増収となりました。
自社透析センターにおいても、従来から拡大を続ける中南米に加え、世界各国でも市場を拡大しており、当第4四半期においては中国、マレーシア、ブラジルで各1施設、南アフリカで2施設の計5施設を開設いたしました。引き続き新興国を中心に質の高い治療ができる環境を整え、地域医療に貢献してまいります。
運送費は改善傾向にあり、今後も地産地消の促進、物流の最適化、安全在庫の確保などにより、安定供給および経費削減を推進してまいります。これらの活動を通し、医療現場のニーズに迅速に対応することにより、顧客満足の向上に努め、販売強化および管理強化による売上の拡大、利益の確保に繋げてまいります。
生産拠点におきましては、大館工場で発生した第5工場の火災では、関係者の皆様方には大変ご迷惑、ご心配をお掛けしておりますことを深くお詫び申し上げます。従業員は全員退避し負傷者は発生しておりませんが、ダイアライザ生産ラインの一部が損傷いたしました。これによる供給能力減少に対して、大館工場では早期生産再開に向け鋭意取り組んでおり、さらに昨年ダイアライザの生産ラインが追加された合肥工場および予定通り2月に新生産ラインの稼働が開始したインド工場においても増産に取り組み安定供給に努めてまいります。
この結果、当事業の売上高は4,199億57百万円(前期比12.4%増)、セグメント利益(営業利益)は385億99百万円(前期比1.6%減)となりました。
医薬関連事業におきましては、国内における複数の新規製品の本格的な出荷・商用化が開始されたことによる売上高増加への貢献、またバングラデシュのニプロJMIファーマにおける順調な売上高伸長の一方で、既存品における受注数量の減少や受託製造終了および資材や製造設備のトラブルによる生産数量の減少等が生じた結果、売上高は前期比で微減となりました。
営業利益につきましては、売上高減少の要因となった生産数量の減少と、著しい原材料・エネルギー価格の高騰による製造経費の増大により、前期比で大きく減少しております。
この結果、当事業の売上高は727億34百万円(前期比2.2%減)、セグメント利益(営業利益)は56億15百万円(前期比42.8%減)となりました。
ファーマパッケージング事業におきましては、国内外を問わず販売価格の適正化や生産効率の向上に取り組むことで、インフレーションによるコスト急騰に対応し利益確保に努めてまいりました。
欧米では当期中のガラス管(医薬用ガラス包装容器の材料)生産能力の大幅増加、また兼ねてからの積極的なプロモーションが奏功し、バイアルやアンプル等のガラス包装容器の出荷量が伸長しました。中国市場では、ゼロコロナ政策の解除を受け、営業活動を本格的に再開することで存在感の強化に尽力しました。日本市場においては、ガラス関連製品のほか、樹脂バッグやゴム栓、調製デバイス等を含むワンストップソリューションを展開、併せてシングルユースバッグ等の新規品の拡販に注力しました。
この結果、当事業の売上高は517億54百万円(前期比11.6%増)、セグメント利益(営業利益)は27億39百万円(前期比5.2%減)となりました。
その他事業におきましては、不動産賃貸等による売上高が7億52百万円(前期比34.5%増)、セグメント利益(営業利益)は2億57百万円(前期比153.9%増)となりました。
また、財政状態の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産合計は、1兆273億99百万円(前期比10.4%増)で、前連結会計年度末に比べて970億78百万円の増加となりました。このうち流動資産は518億30百万円の増加、固定資産は452億47百万円の増加となりました。流動資産の増加の主な要因は、受取手形及び売掛金が199億86百万円増加したことによるものであり、固定資産の増加の主な要因は、建設仮勘定が330億54百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、7,852億25百万円(前期比7.5%増)で、前連結会計年度末に比べて547億71百万円の増加となりました。このうち流動負債は90億83百万円の減少、固定負債は638億55百万円の増加となりました。流動負債の減少の主な要因は、短期借入金が201億5百万円減少したことによるものであり、固定負債の増加の主な要因は、長期借入金が489億41百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、2,421億73百万円(前期比21.2%増)で、前連結会計年度末に比べて423億6百万円の増加となりました。このうち株主資本は8億53百万円の増加、その他の包括利益累計額は202億24百万円の増加となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は846億95百万円と前連結会計年度末と比べ53億75百万円(前期比6.0%減)の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、103億95百万円の収入超過(前期比84.8%減)となりました。収入の主な項目は、減価償却費462億75百万円、税金等調整前当期純利益167億77百万円であり、支出の主な項目は、棚卸資産の増加額250億18百万円であります。
投資活動の結果使用した資金は、717億37百万円の支出超過(前期比8.5%減)となりました。支出の主な項目は、固定資産の取得による支出848億35百万円であります。
財務活動の結果得られた資金は、430億77百万円の収入超過(前期比318.3%増)となりました。収入の主な項目は、長期借入れによる収入1,150億25百万円であり、支出の主な項目は長期借入金の返済による支出749億63百万円であります。
(注) 1 金額は、製造原価によって算出しております。
2 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
(注) 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
売上高は前連結会計年度に比べ504億9百万円増加し、5,451億99百万円(前期比10.2%増)となりました。これは主に、国内販売が前期比3.6%、海外販売が18.8%とそれぞれ増加したことによるものです。この結果、各セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、医療関連事業が77.0%、医薬関連事業が13.4%、ファーマパッケージング事業が9.5%、その他が0.1%となりました。
営業利益は前連結会計年度に比べ61億53百万円減少し、177億29百万円(前期比25.8%減)となりました。これは主に、販売費及び一般管理費が前期比203億33百万円増加したことによるものです。主に運送費が83億66百万円増加しております。
営業外収益は前連結会計年度に比べ32億23百万円減少し、73億2百万円(前期比30.6%減)、営業外費用は前連結会計年度に比べ28億59百万円増加し、96億84百万円(前期比41.9%増)となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ122億36百万円減少し、153億46百万円(前期比44.4%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税および法人税等調整額などの法人税等を計上したことにより、45億74百万円(前期比66.0%減)となりました。
なお、財政状態の分析内容及びセグメントごとの経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。なお、当社グループの設備投資額は,2023年3月期の実績は959億円、2024年3月期は621億円を予定しております。
次期以降の配当に関しましても業績連動の利益配当方針は維持しつつも、長期的な視点に立った安定的な配当を継続する方針で現在検討をおこなっております。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結することで、資金の流動性を確保しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
当社グループは、のれんに関して効果の発現する期間を見積り、その期間で定額法により償却しておりますが、その資産性の評価について検討した結果、当初想定したキャッシュ・フローが見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、キャッシュ・フローが減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、滋賀県草津市のニプロ・ライフサイエンスサイト内にて、医療機器および医薬品の研究開発業務を当社が中核となり推進しております。
医療関連事業におきましては、今期は、円安の影響や物価上昇に伴い、特にエネルギー価格の高騰は、医療機器および医薬品の研究開発を行う環境には、マイナス要因となりました。
その環境の中で「どうするべきか、どのようにしたら良いか」を考え、基本にもどり、医療従事者の方々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上や、新たな医療製品が生まれ育つよう取り組んでまいります。
一方、医薬関連事業におきましては、薬剤費の低減や医療の質の向上に対するニーズに応えるため、あらゆる疾患領域、剤形の先発医薬品を対象とし、高品質なジェネリック医薬品の開発を行っております。さらに、患者様にとって飲みやすさに配慮した口腔内崩壊錠や医療現場での取り扱いやすさに配慮したキット製剤などの付加価値製品の開発にも注力しております。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
主に当社の総合研究所および酵素センターが中心となって、以下の研究開発を行っております。
経腸栄養分野で新しい規格(ISO80369-3)のコネクタが汚れやすいという市場の声に応え、拭き取りしやすい形状とした「ENスライド栄養カテーテル」(塩化ビニル)および「フィーディングチューブクリア」(ポリウレタン)を販売いたしました。また、規格(ISO80369-3)に適応したシリンジに接続し、新生児の口腔内を傷つけることなく安全にミルク等を与えられる「新生児向け採液投与アダプタ」も販売いたしました。さらに、内視鏡検査時に患者様の口腔内に留置し、介助者を要することなく持続的に唾液を吸引できる「ニプロ唾液吸引チューブ」を販売いたしました。
操作性が良く、血小板付着を抑制するコーティングが施された動脈フィルタ内蔵型の人工肺を今年度に承認取得し、国内販売を予定しております。また、現行品の「血液透析濾過器マキシフラックス®MFX®-S ecoシリーズ」の中空糸膜内径寸法を変更し、透析患者様の病状にあわせた、より細かな治療を行うため「血液透析濾過器マキシフラックス®MFX®-SW ecoシリーズ」を販売いたしました。さらにリンパック透析剤TA5は、現行品目であるリンパック透析剤TA1およびTA3に加え、新たな市場ニーズに対応すべく、3製剤品目を開発いたしました。加えて、リンパックTA5は、透析液として調製した際にカルシウム濃度が既存製剤の中間となるよう設計いたしました。既存製剤を用いた場合と比較し、マグネシウムおよびブドウ糖濃度が高く、酢酸濃度が低くなる特徴があります。
他社よりライセンス受諾し、国内開発した血糖自己測定器「ニプロFS Next」や、HN LINEなどのシステムと連携することで、電子カルテにも記録可能な、臨床検査用の血糖測定器「ニプロケアファスト プロ」を販売いたしました。また、新型コロナウイルス抗原検査(医療用・一般用)キットや、特殊健康診断の有機溶剤診断用の測定試薬も販売を計画しております。さらに、真空採血管ネオチューブ用の添加剤(タンパク分解酵素阻害剤)アプロチニンを中国へ供給を始め、外部供給原料(ウシ由来タンパク質)のコストダウンと原料の安定供給を目的に開発しております。
細胞培養、薬剤調製、薬剤保存に使用するクリーンな容器として、シングルユースバッグやバイオ医薬品メーカー向けにExtractables試験、USPクラス6にも対応可能な商品販売を行っております。
ドリルのモーターユニットがセミディスポ設計で、内視鏡脊椎治療を行う医師にも使いやすく、脊椎だけではなく、関節の内視鏡的な治療に使えるドリルバーを販売し、品揃えのため、大学と共同開発を進めております。
また、腰部ヘルニアに対して内視鏡的にヘルニア組織、黄色靱帯等を除去する際に用いられ、複数回滅菌使用できるような材料で洗浄ルートを設計追加し、材質にはスーパーエンプラのプラスチック材料を採用し、耐久性と軽量化を両立した複数回の蒸気滅菌にも耐えうる仕様の鉗子を販売いたしました。さらに、手の外科等の小さな関節に対して使用できる鉗子も開発し、カット面がラチェットによる回転機構により方向が変えられることで、一本で様々な角度に使えるようになり、洗浄やメンテナンスの手間を省くことができる仕様で、スーパーエンプラの採用で軽量化することにも成功し、販売を進めております。
高齢者の嚥下機能を診断し、誤嚥を防止する為の二段アングル内視鏡を販売し、これまで死角になっていた気管後壁の状態が二段アングルにより観察できる特徴的な内視鏡を販売いたしました。また、緑内障の原因となっている眼圧上昇は、眼球水晶体の辺縁部隅角にある、繊維柱帯が目詰まりを起こすことにより組織液の流れを妨げることで起こるため、隅角を内視鏡的に観察しながら、繊維柱帯を切開する手技を行える、先端が屈曲した細経内視鏡を大学と開発・販売を行い、新しい緑内障の手技のデバイスを市場に広めてまいります。
細胞の凍結保存中の汚染リスクを低減できる閉鎖系凍結保存容器「フローズチューブ」の5mL容量タイプや不妊治療デバイスで、精子数の少ない患者様からでも精子を遠心濃縮して回収を可能とする極少精子回収用試験管「SFNT-P」を販売いたしました。
診断支援、治療支援などを行うプログラム医療機器の開発を目的に、昨年MDx研究室を組織し、SaMDだけではなくSaMDと連携するnon-SaMDのソフト開発も視野にいれて、共同研究や新規テーマの探索を始めております。
国内iMEP(医療研修部門)は、9年目を迎え、ドラマ撮影にも活用され始めましたが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり施設利用者数は、伸び悩んでおります。
一方、海外(ベルギー)iMEPは、新型コロナウイルス感染症の規制も緩和され、遠方から多くの医療従事者を、施設に誘致できるようになり、施設利用者数が増加しております。
透析カテーテル留置ハンズオン研修では、近隣のベルギー・オランダだけでなく、アフリカを含め、約10カ国の医師が参加、透析シャント・グラフト作製のカタバ研修では、受講生の血管外科医から高い評価を得ました。
また、新設したX線研修室を用いたシャントPTA研修会や、超音波下血管マッピング、集中治療・心血管領域の研修会を新たに順次開催する予定です。
なお、当事業に係る研究開発費は
主に当社の医薬品研究所が中心となって、以下の研究開発を行っております。
通常のバイアル製剤、バッグ製剤などに加え、医療現場での利便性向上を企図したキット製剤の開発も積極的に進めております。前立腺癌や閉経前乳癌などの治療に用いるリュープロレリン酢酸塩のダブルチャンバー型のプレフィルドシリンジ(1箇月製剤)(先発:「リュープリン」武田薬品工業)を既に販売しておりますが、この様な開発難易度が高い徐放性注射剤などの分野に注力して、開発を進めております。
なお、今期は、2成分2品目のプレフィルドシリンジ製剤の製造販売承認を取得いたしました。
一般的な経口剤(錠剤、顆粒剤など)に加え、高難度な徐放性製剤の開発も行っております。一方、医療現場での利便性を高めるため、錠剤に成分名などを印刷することや、個包装、アルミピロー包装などの包装仕様にも工夫を凝らした製品も提供しております。
なお、今期は、4成分8品目(但し、オーソライズド・ジェネリック除く)のジェネリック医薬品を上市し、また、3成分5品目の製造販売承認を取得いたしました。
粘着剤や軟膏剤の自社技術を生かしたジェネリック医薬品の開発を進めております。また、「皮膚に貼る注射剤」という今までにない新しい概念の経皮吸収製剤であるマイクロニードル製剤の開発に取り組んでおります。
なお、今期は、1成分1品目の含嗽用製剤のジェネリック医薬品を上市いたしました。
わが国において、急速に市場拡大しているバイオ医薬品ですが、一般的に高薬価で、医療費削減の観点から、より低薬価であるバイオ後続品の必要性が増大しております。この状況を踏まえ、弊社でも共同開発や自社単独開発を含め様々な形態で製品開発を進めております。
なお、当事業に係る研究開発費は