第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営の基本方針

 

[企業理念]

産業インフラを支える。豊かな未来を拓く。

 

・安全で安定的なプラントの操業を支え、人、暮らし、環境の未来に貢献します。

・メンテナンスとエンジニアリングによって、プラントおよび設備の最適化を実現します。

・多様性・自主性を尊重し、従業員・パートナー企業の幸せを追求します。

 

 

[長期ビジョン]

 

 RAIZNEXT Group V-2032


変革の時代に、進化したプラントサービスを

 

・エネルギーに携わる企業としての社会的責任を全うし、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。

・常に最新の技術を導入・洗練し、メンテナンス・エンジニアリングの両輪でパートナー企業と共に最大限の顧客価値を提供し続けます。

・人々の暮らしを支えるプラントの安定稼働を守る柱であるというプライドを持ち、従業員がやりがいをもって働くことのできる会社を目指します。

 

 

 

[行動指針]

進取果敢

 

既存の枠組みに捉われず

新しい発想で積極的に

挑戦します。

 

誠心誠意

 

お客様によりそい

一つひとつの仕事に

心を込めて取り組みます。

 

共存共栄

 

関係する全ての人を尊重し

ステークホルダーとともに

発展します。

 

 

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

 世界的なカーボンニュートラル社会への移行の潮流から、将来的には石油製品を含む化石燃料の消費減退を受け、当社主力の石油精製、石油化学関連のプラントメンテナンス・エンジニアリング市場は縮小傾向となると予想されます。一方、新たに再生可能エネルギーへの旺盛な設備投資が見込まれ、この分野への更なる進出が課題となります。

 またウクライナ問題の長期化により、今後ステンレス鋼などの一部の資材の不足や長納期化が懸念される中、これを見据えた当社の調達戦略が課題となります。

 さらに、2024年から建設業界にも適用される時間外労働上限規制への対応が求められており、DX技術を活用した業務効率化、生産性を向上させるための更なるICT技術の導入が喫緊の課題です。
 当社はこれら喫緊の課題に対処する一方、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指して、サステナビリティ経営を推進いたします。2023年度は当社のマテリアリティ(重要課題)の解決に向け取り組んでまいります。

 第2次中期経営計画における進捗としては、メンテナンス事業においてはこれまでの3事業部体制から1事業部へ集約する組織改編を実施しました。これにより、メンテナンス事業における人員等の最適化による更なる大型定修工事の受注や意思決定の迅速化を目指しております。また日常保全工事と定期修理工事においては、新規エリア参入を達成しております。エンジニアリング事業においては、新規メガソーラー発電所やグリーンアンモニア製造プラントの建設工事を受注し、カーボンニュートラル社会に向けた工事受注を積み重ねております。

 また、閉鎖製油所の将来計画への積極的な参画に向け、まずは無害化工事や設備撤去工事等の基盤整備工事を受注しております。社会的な需要が高まる非鉄金属事業においては、新設・改造工事の受注も強化しております。タンク事業においては、未参入の石油備蓄会社、石油精製会社のタンク工事を新規受注したほか、水素に加えアンモニア貯蔵タンクの設計・施工技術の調査・検討も実施しております。

 経営基盤の強化については、ガバナンス強化のため全社的リスクマネジメント体制を整備いたしました。また、サステナビリティ経営をスタートし、マテリアリティ(重要課題)とKPIを策定し企業価値向上の取り組みを進めております。従業員に対しては、働きやすい職場環境実現のため、工事現場事務所等の環境改善やフリーアドレス制度の導入を行いました。2024年時間外労働上限規制への対応においては、派遣監督の増員と定期修理工事業務の標準化による業務効率向上を進めております。あわせてデジタル戦略部を新設し、より一層DXを推進し生産性の向上を目指しております。

 

① 業績計画

第2次中期経営計画最終年度(2024年度 2025年3月期)業績目標

<連結>                               

 

2024年度目標(2025年3月期)

完 成 工 事 高

1,450億円

営 業 利 益(率)

105億円(7.2%)

親会社株主に帰属する当期純利益(率)

 70億円(4.8%)

 

 

② 経営指標の目標値

     自己資本当期純利益率(ROE)・・・ 8%以上

 連結配当性向 ・・・・・・・・・・40%以上

 

 長期ビジョン、第2次中期経営計画の詳細につきましては、当社ウェブサイトに掲載しておりますので、そちらをご参照願います。(https://www.raiznext.co.jp/)

 

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ経営

  サステナビリティ基本方針

 レイズネクストグループは、「産業インフラを支える。豊かな未来を拓く。」という企業理念のもと、健全で透明性の高い経営と社会・環境に調和した事業活動を通じて、ステークホルダーの皆さまの信頼をより確かなものにするとともに、社会の持続的発展への貢献と中長期的な企業価値の向上を図るため、積極的にサステナビリティへの取り組みを推進します。

 ① ガバナンス

 当社は、社会の持続的発展への貢献と中長期的な企業価値の向上を目的として、社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティ経営に関する戦略を中心に協議しています。

 また、サステナビリティ委員会の下部組織「サステナビリティ推進会議」にて、その戦略に基づく具体的施策の進捗状況の管理等を行う体制としています。

 なお、サステナビリティ委員会における協議結果は、取締役会に報告し、取締役会にて適切に監督されています。

 


 

 ② 戦略

 2050年へ向けてのカーボンニュートラル社会を目指す世界的潮流において、当社はエネルギー産業を支える会社として、社会的な課題に対する挑戦に貢献できるものと考えております。このようなエネルギー産業の変革の時期を踏まえて、当社は2021年に、長期ビジョンRAIXNEXT Group V-2032を策定し、2032年までの中長期的に目指す“ありたい姿”を掲げ、カーボンニュートラル社会の実現に向けて取り組んでおります。

 


 


 

 ③ リスク管理

 当社は、長期ビジョンの実現に向けて、企業価値向上およびサステナブルな事業をおこなうため、サステナビリティ経営に関わる重要課題(マテリアリティ)を特定しております。特定された重要課題(マテリアリティ)ごとに、リスクを把握したうえで、取り組み項目を決めております。

 

 また、リスクに関しては、全社的リスクマネジメント委員会において、サステナビリティ経営に関わる事項も含めてリスクを管理しております。全社的リスクマネジメント委員会において管理されたリスクの中で、サステナビリティ経営に関わる重要課題(マテリアリティ)に関するリスクは、翌年度のサステナビリティに関する取り組みを決定する際に確認され、必要に応じて取り組み項目に反映しております。

 

 ④ 指標及び目標

 当社は、サステナビリティに関する事業上のリスクを特定したうえで、当社のマテリアリティを選定し、毎年取り組み項目を定めております。2023年度の取り組み項目および指標は以下のとおりです。


 


 


 


 

(2) 気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)

  ① ガバナンス

 ・気候変動に関わる基本方針や重要事項、リスク(脅威と機会)などについては、経営企画部管掌役員を委員長とする「全社的リスクマネジメント委員会」で討議・検討・評価します。

 ・「全社的リスクマネジメント委員会」で気候変動に関する検討を行い、取締役会に年1回報告し、取締役会が管理・監督を行います。

 ・取締役会で報告された内容は、各部門に展開され、それぞれの経営計画・事業運営に反映します。

 

 

 ② 戦略

  中長期的なリスクの一つとして「気候変動」を捉え、関連リスクを踏まえた戦略と組織のレジリエンスについて検討するため、当社はIEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオ(2℃シナリオおよび4℃シナリオ)※を参照して、2040年までの長期的な当社への影響を考察し、メンテナンス事業とエンジニアリング事業を対象にシナリオ分析を実施しました。

※2℃シナリオ(移行):気温上昇を最低限に抑えるための規制の強化や市場の変化などの対策が取られるシナリオ

  4℃シナリオ(物理):気温上昇の結果、異常気象などの物理的影響が生じるシナリオ

 

 ③ リスク管理

 ・気候変動リスクに関するワーキンググループを設置してシナリオ分析を実施しました。気候変動リスクの優先順位付けとして、リスクの自社への発生可能性と影響度の大きさを勘案しながら、重点リスク要因に注力して 取り組みます。今後は、「全社的リスクマネジメント委員会」で継続的に確認していきます。

 ・気候変動リスクの管理プロセスとして、「全社的リスクマネジメント委員会」を通じて、気候変動リスクに関する分析、対策の立案と推進、進捗管理等を実践していきます。

 ・「全社的リスクマネジメント委員会」で分析・検討された内容は、経営会議に報告後、取締役会に報告し、全社で統合したリスク管理を行います。

 



 

 ④ 指標と目標

・気候変動リスクが経営に及ぼす影響を評価・管理するため、温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)の排出量を指標とします。従来からの取り組みに加えて、再生可能エネルギーや新エネルギー関連技術の導入、脱炭素の資材や機材の使用等で、脱炭素社会への貢献に向けて取り組んでいきます。

・対象範囲をレイズネクスト株式会社および連結子会社とし、当社グループは自社の事業活動に関わるScope1とScope2の排出量について、2030年度までに2021年度比で30%の削減を目指します。

 


(注)記載事項のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、入手可能な情報等に基づいて基づいた予測です。

 

(3)人的資本 

 当社は、企業理念や行動基準、行動指針をきちんと認識し、コンプライアンスや社会規範を守りながら、既存の枠組みに捉われず、新たな発想で積極的に挑戦できる人材を継続的に育成しています。また、従業員ひとりひとりの個性、考え方、ライフプラン等を尊重し、個々の成長に向けた自主的な取り組みを積極的に支援する体制を整備しています。

 

 具体的には、「マルチステークホルダー方針」に基づき経営資源を有効に活かし企業価値を向上させるため、人事部に人材育成グループを設置し、体系的な知識や専門的なスキルを身につける教育を実施するとともに、自己啓発を奨励する制度を整えております。また、当社事業の核である監督者育成については、工務部に教育・訓練グループを設置し、個人の力量に応じた各種技術研修を実施することで、施工管理能力の維持・向上を図っております。

 

  ① ガバナンス

 当社は、年に2回教育訓練検討会議を開催し、教育・訓練の基本方針、教育・訓練計画などを協議しております。

  本協議に基づき策定された教育訓練計画は年に2回開催される拡大マネージメントレビュー会議にて、経営層に共有しております。

 

 

  ② 人材育成の方針

  当社にとって、最大の資産は「人」です。「生涯育成」をテーマに、新入社員からベテラン社員までの全階層に、さまざまな成長の機会を提供しています。

  その一つとして、技術系社員については、入社後6年目までの教育プログラムを策定し、当社事業の柱でメンテナンスとエンジニアリングの両事業で活躍できる監督者の早期育成に努めております。

 

 


 


 

  ③ 社内環境整備方針

  当社は、企業理念(『産業インフラを支える。豊かな未来を拓く』)の実現に向けて、従業員それぞれの人格や 性別、年齢、国籍、思想信条、宗教、障害の有無、人権、ライフステージ等の多様性を尊重し、ワークライフバランスと心身の健康を保ち、安全、安心で、やりがいをもって働ける社内環境(労働環境や諸制度など)を整備しています。

  また、既存の取り組みに捉われず、新たな発想で積極的に挑戦できる人材を計画的に育成するために、従業員がお互いを高め合いながら、自主的に努力を継続でき、成果が適正に評価される仕組みをつくっています。

  具体的には、テレワークや男性の育児休業取得を推進し働きやすい環境を整えることで、従業員の定着化および多様な人材の確保を図っております。さらに、企業理念や経営戦略の共有、社員の多様な意見の吸い上げを図るべく、社長と若手社員の意見交換会を、また、女性活躍推進という観点から、女性社員と経営者との意見交換を実施しております。加えて、経営統合後、従業員意識アンケートを2度実施し、その結果を踏まえて、社員が、より力を発揮できる働きやすい環境への改善を進めております。

 

 

 

社内制度

  支援制度の特徴

 

 

 

 

従業員の健康管理

定期健康診断

法定外検査や女性向けに特化した検査

メンタルヘルスケア

各種相談窓口(社外含む)

・ハラスメント相談窓口

・面談カウンセリング

・なんでも相談窓口

・育休専用相談窓口

・介護専用相談窓口

年1回のストレスチェックを実施

 

 

 

ワークライフバランス支援

産前産後休暇(女性)

休業から復帰した後も1日の勤務時間を短縮できる制度があり、家庭と仕事の両立しやすい

育児・介護休業制度

フレックスタイム制度

コアタイム外の時間帯において始業および終業時刻を従業員が自由に設定

テレワーク勤務制度

従業員が働く場所を選ぶことができ、家庭と仕事の両立がしやすい

リフレッシュ休暇制度

一定の勤続年数に達するたびに、連続3日の休暇および給付金の支給

従業員エンゲージメント

従業員と経営層の意見交換会

若手社員や女性社員が直接、社長、副社長と意見を交わす意見交換会を開催

従業員意識調査アンケート

全社員の意識調査を実施し、その結果を方針等に反映

 

 

   ④ 指標と目標・実績 

 2023年度の指標としては、前述当社サステナビリティにおける指標および目標に記載のとおり、マテリアリティ「全ての人にとって、働きがいのある魅力的な職場環境の実現」への取り組みとして、人材育成、社内環境整備への取り組み項目、KPIを掲げております。

 

    当事業年度の実績

当事業年度

管理職に

占める

女性労働者の割合

(注)1

男性労働者の

育児休業等

取得率

(注)2

 

労働者の男女の

賃金の差異

(注)1

 

障がい者

雇用率

 

年次有給

休暇取得率

 

定期

健康診断

1.4%

64.4%

全労働者

67.7%

2.66%

81.3%

年2回実施

正規雇用労働者

70.5%

有期労働者

59.3%

 

注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

      2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等の所得割合を算出したものであります。

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のような項目があります。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生回避および発生した場合の対応に努める所存であります。なお、これらの項目のうち、将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 連結会社(当社および連結子会社)の経営成績等の状況の異常な変動

 

分類

内容

統制活動の内容

受注工事高減少(メンテナンス事業)

 当社グループの事業は、石油・石油化学・一般化学等のプラント関係のメンテナンスをコアビジネスとしております。

 ここ数年は、当社グループが特に影響を受けやすい石油燃料に関わるプラントの停止等がみられ、プラントメンテナンス市場の縮小に伴う受注工事高の減少が今後も懸念されます。

 当社グループでは、長期ビジョンRAIZNEXT Group V-2032、第2次中期経営計画を策定しております。これに基づき、受注工事高の大幅な減少など経営成績に大きな影響を及ぼすことのないよう、既存顧客のシェア拡大や新規顧客の開拓など、各種の施策を推進してメンテナンス事業に係る受注工事高減少に対処しております。

受注工事高減少(エンジニアリング事業)

 当社グループは、メンテナンス事業と並んで、石油・石油化学・一般化学等のプラント関係のエンジニアリング事業(新設および改修工事)にも力を入れております。

 エンジニアリング事業においては、主要顧客の既存領域については、製品の需要動向等の要因から設備投資が減少しており、これに伴う受注工事高の減少が懸念されます。

エンジニアリング事業においては、大型装置改造・改修工事、FS・FEED業務からの参入によるプラント建設工事に加え、新たな事業領域としてカーボンニュートラル案件等の脱炭素社会に向けた投資案件の受注拡大を目指すなど、エンジニアリング事業に係る受注工事高減少に対処しております。

資機材価格高騰

 プラントのメンテナンスおよび建設関係に使用する資機材等の価格が高騰した際、それを請負金額に反映することができずに業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 特に、工期が長期間にわたる場合に、当社が見積り・受注する時点と、協力会社等に工事を発注する時点との間にタイムラグがあり、この間に価格が高騰した場合には、当初の想定よりも収益が低下する恐れがあります。

 資機材価格の高騰に関して、それぞれの価格動向に関する情報の収集・発信に努めるとともに、資機材の早期発注、多様な調達先の確保、工事価格への転嫁等の対策を実施し、リスクの低減に努めております。

工事従事者不足

および賃金高騰

 工事監督者や工事作業員等の工事従事者が不足した場合、また、これらの要因により工事従事者の賃金が高騰した場合には、定期修理工事や建設工事の遅延、工事原価の増加により工事採算が悪化し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、第2次中期経営計画において、メンテナンス事業遂行体制の強化として、協力会社の施工体制強化と協力会社への支援・指導を掲げております。

 プラント市場における建設労働力の動向や将来の中期的な工事需要の予測に基づき、必要な工事従事者数の把握に努めております。また、これらの情報を協力会社と共有化して連携を強化することにより、工事従事者不足のリスク低減を図っております。あわせて、工事従事者の賃金が高騰していることに対し、工事価格への転嫁や工事需要に基づいて安定的・計画的に協力会社等へ工事を発注することにより、急激な賃金高騰リスクの低減に努めております。

 

 

 

(2) 特定の取引先・製品・技術等への依存

 

分類

内容

統制活動の内容

特定業界・特定取引先への依存

 当社グループの事業は、石油・石油化学業界が主要な顧客であり、当該顧客に対する受注高・完成工事高が大きなウエイトを占めております。

 このため、国内におけるエネルギー政策や石油製品の需要、設備の合理化や事業再編等、業界の動向が当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 石油・石油化学業界では、将来的な石油製品需要の減少が予想され、業界再編や設備再編等が進展するなか、大規模な設備投資が見込めない状況にあります。

 現状においてはプラントの経年化対策工事や安全・安定稼働のためのメンテナンス需要に対応して業績の維持・拡大に努めるとともに、長期ビジョンRAIZNEXT Group V-2032や第2次中期経営計画で謳っておりますカーボンニュートラル案件等の新規領域における受注拡大を目指しております。

 

(3) 特有の法的規制・取引慣行・経営方針

 

分類

内容

統制活動の内容

コンプライアンス

 当社グループは、建設業法をはじめ様々な関係法令の適用を受けております。

 当該法令のみならず、当社の社内規程の遵守を含めた当社グループのコンプライアンス体制が十分に機能しなかった場合、当社グループが行政処分や訴訟等の対象になるなど、当社グループの信用、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 当社グループは、行動基準の第1項に「法令および社内規程の遵守」を掲げ、公正で透明性の高い企業活動を行う旨宣言しており、これを当社グループ内に周知・徹底しております。

 また、次のとおり、当社グループのコンプライアンス体制を整備・運用しております。

1.コンプライアンス委員会を年2回開催し、コ 

 ンプライアンス体制強化に係る年度活動計画の 

 策定および活動状況のチェックを行う

2.全員参加型の自主点検活動である「遵法状況

 点検」を毎年実施し、遵守法令の確認、コンプ

 ライアンス上疑義のある行為の早期把握・是正

 に努める

3.社内法務部および社外の法律事務所を窓口と

 した「コンプライアンス・ホットライン制度」

 の整備・適正運用を図る

4.建設業法、安全保障貿易管理関連等重要法令

 に係るコンプライアンス関連教育・研修を実施

 する

5.執行部門から独立した内部監査部門による内

 部監査の実施

 

内部統制

 内部統制体制が十分に機能しない場合、業務の適正を確保できなくなり、当社グループの業績および財政状態、財務報告の信頼性等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、社会的信頼の失墜につながる不正行為の未然防止や会社目標達成に向けたルールや仕組み作り等、内部統制システムの整備・運用を図っております。

 具体的には、当社取締役会で決議された「内部統制システムの整備・運用に関する基本方針」に基づき、業務の適正を確保する体制を構築・運用しています。体制としては内部統制委員会を設置し、この委員会において毎年定期的に内部統制システムの整備・運用状況の確認およびこれに係る計画を確認したうえ、その結果を経営会議において審議し取締役会で報告しています。また、財務報告の信頼性確保のため金融商品取引法に基づく内部統制にも対応しております。

 

 

 

(4) 重要な訴訟事件等の発生

 

分類

内容

統制活動の内容

重要な訴訟

 当社グループの事業活動に関連して、当社グループに対して訴訟その他法的措置が提起された場合、その内容によっては、当社グループの信用、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 各事業活動に係る契約の事前審査、社内決裁や取締役会決議に先立つ徹底したリーガルチェックの実施など、コンプライアンス体制の整備・適正運用を通じて、訴訟リスクの未然防止・軽減に努めております。また、取引先との間で紛争に発展する恐れのある事態に備え、あらかじめ社内法務部門に相談する体制を整備しております。さらに、万一、訴訟等が提起された場合に備え、社外の法律事務所と連携し、訴訟等に的確に対応する体制を整備しております。

 

 

(5) その他投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項

 

分類

内容

統制活動の内容

品質管理

 設計・施工の品質管理には万全を期しておりますが、契約不履行責任および製造物責任に基づく損害賠償が発生した場合には、当社グループへの信頼、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 当社グループでは、長期ビジョンRAIZNEXT Group V-2032、第2次中期経営計画において、品質の確保を掲げております。

 事業に関連する各種法令や、ISO9001に基づく品質マネジメントシステム、各種技術基準等の遵守をはじめ、社内教育の充実や適正な人員配置等のマネジメント強化、業務遂行に関するルール・手順の見直し・整備、情報共有の強化により、設計や施工等の品質確保と品質不適合の発生防止に努めております。

 また、当社の契約不履行による品質トラブルが発生した場合に備え、これに対応する各種保険に加入することにより、費用負担の軽減に努めております。

 

情報セキュリティ

 当社グループは、事業の遂行に必要な顧客や取引先情報、個人情報を管理しているほか、技術・営業・施工・経営情報等の事業に関する機密情報等を保有しております。

 コンピュータウイルスの感染、外部からの不正なアクセス、標的型のメール、サイバー攻撃、その他不測の事態により、重要な情報が社外に漏洩した場合は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、顧客や取引先の情報、個人情報、技術情報等についての秘密保持に係る規程を整備するとともに、取引基本契約に秘密保持条項を盛り込む等の対策をとっております。

 コンピュータのウイルス感染やサイバー攻撃については、情報漏洩、悪用を防ぐためのセキュリティ対策や、定期的な教育、標的型攻撃メール訓練の実施等を通じて従業員の意識の向上に努める等、これらのリスクの回避・影響の最小化に努めております。

自然災害

 地震、台風等の自然災害によって、正常な事業活動ができなくなる可能性があります。

 当社グループでは、「危機管理規程」に基づき、大地震、台風等の自然災害のリスクが顕在化した場合の対応に備えております。災害発生時においては、ただちに従業員の安否確認を実施するなど、人命と安全に最大限に配慮しつつ、顧客との連携を密にして、プラントの早期復旧に取り組むこととしております。

 また、東日本大震災以降、主要仕入先の所在地・在庫品目・在庫量等について都度モニタリングを行い、不測の事態が発生した場合も供給体制が整えられるよう努めております。

 なお、平時においては、安否確認システムの整備、非常用物資の備蓄、情報資産のクラウド化、顧客との災害時応援協定の締結など災害発生時に備えております。さらに、首都直下地震により本社が被災した場合に備え、首都圏外の事業所に暫定的な対策本部を設置することなどを含む事業継続計画を策定し、当該計画の運用・見直しを進めております。

パンデミック

 国内や全世界的な感染症拡大によるパンデミックにより、経済活動に重大な影響や制限が発生し、当社グループの従業員への感染等により事業活動が大きく制限された場合は、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、パンデミックによる緊急事態への対応にあたり必要と判断した場合は、「危機管理規程」に基づき対策本部を設置し、感染症に係るタイムリーな情報収集と各種対策・ロードマップの立案・実施等により、感染症が事業に重大な影響を及ぼすことのないよう体制を整備しております。

 また、「テレワーク勤務規程」を定め、テレワーク環境の整備を行うなど、極力、事業活動が制約を受けないよう努めております。

 

 

 

 

分類

内容

統制活動の内容

プラント事故

 当社グループがメンテナンスや建設工事に携わったプラントに、何らかの原因によって操業停止、爆発、火災等の重大事故が発生し、その発生原因が当社グループの責任である場合には、損害賠償責任、プラントの復旧に係る負担等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、「危機管理規程」に基づき緊急事態に備えております。また、事業に関連する各種法令や、ISO9001に基づく品質マネジメントシステム、現地工事安全衛生管理基準、作業安全基準、各種技術基準等の遵守を徹底することで、施工上の事故や品質不適合の発生防止に努めております。加えて、事故や契約不履行が発生した場合に備え、各種保険に加入することにより、費用負担の軽減に努めております。

労働災害

 当社グループは、プラントのメンテナンスや建設工事にあたり、工事上の安全について徹底した管理を行っております。しかしながら、万一、労働災害、事故が発生した場合は、当社グループへの信頼の失墜につながり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、長期ビジョンRAIZNEXT Group V-2032、第2次中期経営計画において安全の確保を掲げております。

 プラントのメンテナンスや建設工事にあたり、安全衛生に係る各種法令や規程・マニュアル等の遵守など工事上の安全について徹底した管理を行うとともに、労働災害・事故が発生した場合に備えて各種保険に加入することにより、費用負担の軽減に努めております。また、事業活動に重大な影響を及ぼす労働災害が発生した場合には、「危機管理規程」に基づき対応することとしております。

人材の確保

 当社グループは、事業の維持・成長に必要な人材の確保に努めております。国内の少子・高齢化や景気動向による労働市場の需給バランスの変化、人材の流動化の進展等により、人材の確保が想定どおりに進まない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、長期ビジョンRAIZNEXT Group V-2032、第2次中期経営計画において、人材の確保と育成を掲げております。

 安定的に事業を継続するためには、長期的な視点に立った人材の確保が必要です。人材の確保については、新卒採用だけでなく、積極的な中途採用を進めるとともに、女性社員の積極的採用と育成、人材の多様化促進にも取り組んでまいります。また、人事諸制度に基づいた公平な評価、処遇の充実など仕組みの構築を図り、従業員の帰属意識を高める施策により人材の定着を図っております。

 なお、人材育成については、新たに若手技術系社員の教育プランを制定し、早期育成に取り組んでおります。

労働基準法改正への対応

 法改正に基づき、2024年4月から、建設業の労働時間の上限規制が施行されます。上限規制を遵守できない場合は罰則が科せられ、その結果、当社グループへの信頼を失い、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 当社グループでは、長期ビジョンRAIZNEXT Group V-2032、第2次中期経営計画において時間外労働対策を掲げ、時間外労働時間の削減、健康管理への取組み、有給休暇取得の推進・強化のための各種施策の徹底を図っております。

 具体的には、2020年度より「時間外労働管理ガイドライン」を制定し、時間外労働時間の管理・徹底を図るとともに、人員の増加・適正な配置等も計画的に実施しております。

 また、現場においては大型案件に従事する人員の調整や負荷の多い責任者クラスの早期育成による増員対策にも取り組んでおります。あわせて、人手不足や工事の集中化などによる長時間労働の対策として、工事工程の調整や休日の確保などの施策を顧客と協力して取り組み、労働時間のさらなる削減に努めております。

 

新技術への対応

 新技術やデジタル技術の活用が遅れ、生産性の向上が図られず、競争優位性が損なわれ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、各種工事の機械化に加え、デジタルツールを用いた工程管理等を積極的に導入し、効率化を図っております。

 また、2023年度よりデジタル戦略部を新たに設置し、当社におけるデジタル技術の活用を引き続き推進していく予定です。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
 ① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国経済は、物価上昇の影響により一部に弱さがみられるものの、ウィズコロナの下での各種政策の効果もあり、個人消費や企業収益が改善し、景気は緩やかに持ち直しています。他方、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが国内景気を下押しするおそれと、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等のリスクが懸念される状況が続いております。

 当社を取り巻く事業環境につきましては、石油業界では、ウクライナ侵攻に端を発した原油価格の高騰に加え、自動車の低燃費化を主要因とする構造的な需要の低下により精製能力の削減と稼働調整が行われており、製品需要は減少傾向が継続しています。また、石油化学や一般化学業界では、一部で需要回復の兆しは見られるものの、全般的には自動車生産量の低下や産業用途の製品需要の低迷などを背景に需要回復には至っておりません。

 工事施工にかかわるステンレス鋼などの一部資材は、ウクライナ情勢の長期化により価格が高止まりしているものの、国内在庫が確保されており、当期も資材調達に大きな問題はありませんでした。ただしウクライナ情勢の長期化により、資材納期については引続き注視する必要があります。

 当社グループにおきましては、当期の受注高は、メンテナンス分野では、定期修理工事の工事量が増加したことにより、前期比で増加しました。また、エンジニアリング分野は、カーボンニュートラル関連の大型工事の受注があったものの、複数の大型工事の受注があった前期からの反動で、前期比で減少しました。完成工事高は、メンテナンス分野では、受注高と同様に定期修理工事の工事量が増加したことにより、前期比で増加しました。また、エンジニアリング分野では、前期に受注した大型工事の計上により、前期比で増加しました。

 

(財政状態)

 当連結会計年度末の資産合計は、1,141億68百万円で前連結会計年度末より、133億86百万円増加しました。これは、現金及び預金が49億27百万円、受取手形、完成工事未収入金及び契約資産が73億95百万円、土地が12億29百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

 当連結会計年度末の負債合計は、308億84百万円で前連結会計年度末より、94億46百万円増加しました。これは、未払法人税等が9億48百万円、未成工事受入金が5億12百万円それぞれ減少したものの、支払手形・工事未払金が49億20百万円、その他が48億88百万円、退職給付に係る負債が8億37百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

 当連結会計年度末の純資産合計は、832億83百万円で前連結会計年度末より、39億40百万円増加しました。これは、退職給付に係る調整累計額が5億76百万円減少したものの、利益剰余金が45億99百万円増加したこと等によるものであります。

(経営成績)

 当社グループの連結の業績は、受注高1,388億49百万円(前期比1.7%減)、完成工事高1,400億61百万円(前期比7.9%増)、営業利益109億18百万円(前期比0.6%減)、経常利益112億43百万円(前期比0.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益77億41百万円(前期比0.1%減)となりました。

当社単体の業績は、受注高1,313億8百万円(前期比0.7%減)、完成工事高は1,323億22百万円(前期比9.2%増)、営業利益99億56百万円(前期比1.3%減)、経常利益104億58百万円(前期比1.3%減)、当期純利益73億65百万円(前期比14.5%減)となりました。

 

    受注高の工事種類別内訳                          (単位:百万円)

 

受注高

前連結会計年度(2022年3月期)

当連結会計年度(2023年3月期)

前期比

増減率

 

メンテナンス

90,167

93,196

3,028

3.4%

 

エンジニアリング

51,062

45,653

△5,409

△10.6%

エンジニアリング業

141,229

138,849

△2,380

△1.7%

 

 

    完成工事高の工事種類別内訳                        (単位:百万円)

 

完成工事高

前連結会計年度(2022年3月期)

当連結会計年度(2023年3月期)

前期比

増減率

 

メンテナンス

87,032

89,884

2,852

3.3

 

エンジニアリング

42,679

50,067

7,387

17.3

エンジニアリング業

129,711

139,952

10,240

7.9

その他事業

121

109

△11

△9.8

合 計

129,832

140,061

10,228

7.9

 

 

  (注)その他は、不動産の賃貸等などであります。

 

  ② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金および現金同等物は、前期末に比べ49億23百万円(前期比38.4%)増加し、期末残高は177億58百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、100億69百万円となり、前連結会計年度に比べ10億87百万円の減少になりました。主な支出は、売上債権の増加額66億56百万円、法人税等の支払額44億47百万円、主な収入は、税金等調整前当期純利益114億8百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、△18億80百万円となり、前連結会計年度に比べ3億44百万円の増加となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出19億10百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、△32億81百万円となり、前連結会計年度に比べ4億32百万円の減少となりました。主な支出は、配当金の支払額31億40百万円によるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

 1) 受注実績

事業セグメント別

区分

前連結会計年度(百万円)

当連結会計年度(百万円)

エンジニアリング業

 

 

  石油・石油化学関係

92,378

98,091

  一般工業関係

48,851

40,757

合計

141,229

138,849

 

 

 2) 売上実績

事業セグメント別

区分

前連結会計年度(百万円)

当連結会計年度(百万円)

エンジニアリング業

 

 

  石油・石油化学関係

90,458

92,949

  一般工業関係

39,252

47,002

129,711

139,952

その他の事業

121

109

合計

129,832

140,061

 

 

工事種類別

区分

前連結会計年度(百万円)

当連結会計年度(百万円)

エンジニアリング業

 

 

  メンテナンス

87,032

89,884

  エンジニアリング

42,679

50,067

129,711

139,952

その他の事業

121

109

合計

129,832

140,061

 

(注) 1 当社グループでは、エンジニアリング業以外は受注生産を行っておりません。

2 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載を省略しております。

3 主な相手先別の完成工事高および総完成工事高に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

完成工事高(百万円)

割合(%)

完成工事高(百万円)

割合(%)

ENEOS株式会社

44,730

34.5

49,686

35.5

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、期末日現在の資産、負債および期間中の収益、費用の報告額に影響する判断および見積りが要求され、過去の実績および状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っております。

当社グループは特に以下の会計方針の適用において見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合もあります。

1)貸倒引当金

当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等の特定の債権については、保守的に見積った回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。

取引先の財政状態および業績が見込以上に悪化した場合等、貸倒懸念債権等の特定の債権の回収可能性の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において貸倒引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

2)工事損失引当金

当社グループは、受注工事に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における未引渡工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積もることができる工事について、損失見込額を工事損失引当金として計上しております。

実際の工事施工状況が予定から乖離する等、工事損失発生の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において工事損失の追加計上が必要となる可能性があります。

3)完成工事補償引当金

当社グループは、完成工事に係る瑕疵担保等の費用に備えるため、過去の経験割合に基づく一定の算定基準を基礎に、期末日現在において予定されている瑕疵担保等の費用を合理的に見積った補償見込額を加味して完成工事補償引当金として計上しております。

瑕疵担保等の費用の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において補償損失の追加計上が必要となる可能性があります。

4)退職給付に係る負債

当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、見積りを反映した各種の仮定に基づく数理計算により算出された退職給付に係る負債を計上しております。

これらの各種仮定には、割引率、長期期待運用収益率、予想昇給率等が含まれており、実際の結果が見積りの前提と異なる場合、または前提が変更された場合、来期以降の連結財務諸表において退職給付債務および費用に影響する可能性があります。

5)繰延税金資産

当社グループは、期末日後将来的に発生する課税所得を見積り、当該課税所得に係わる税金負担を軽減する効果を有すると判断した回収可能額を繰延税金資産として計上しております。

将来課税所得の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において繰延税金資産の調整額の計上により損益に影響する可能性があります。

6)収益及び費用の計上基準

当社グループは、履行義務の充足に係る進捗度の合理的な見積りができる工事については、一定期間にわたり履行義務が充足されると判断し、履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識しております。進捗度は、当連結会計年度末までの既発生原価累計額を工事完了までの見積総原価と比較することにより測定しております。また、履行義務の充足に係る進捗度の合理的な見積りができない工事については、原価回収基準、工事期間が短いメンテナンス工事については、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識しております。

実際の工事施工状況が予定から乖離する等、工事収益総額および工事原価総額の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において工事損益に影響する可能性があります。

7)固定資産の減損

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについては、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。

減損の兆候の把握、並びに減損損失の認識および測定の前提となる割引前将来キャッシュ・フローの見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、来期以降の連結財務諸表において減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1) 経営成績等の状況

当社グループの当期の経営成績は、受注高1,388億49百万円(前期比1.7%減)、完成工事高1,400億61百万円(前期比7.9%増)、営業利益109億18百万円(前期比0.6%減)経常利益112億43百万円(前期比0.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益77億41百万円(前期比0.1%減)となりました。

  ア 受注高および完成工事高

 受注高が前期比で23億80百万円減少となった要因は、エンジニアリング分野で、カーボンニュートラル関連の大型工事の受注があったものの、複数の大型工事の受注があった前期からの反動で、前期比で減少したことによるものです。完成工事高が前期比で102億28百万円増加となった要因は、メンテナンス分野で定期修理工事の工事量が増加したことに加え、エンジニアリング分野で前期に受注した大型工事を計上したことによるものです。

 イ 営業利益

 営業利益は、前期での好採算工事による総利益押し上げの反動があり、当期は完成工事高が増加したものの、総利益は前期比で微増となったことに加え、販売費及び一般管理費の増加により、前期比63百万円減少10918百万円となりました。

 ウ 経常利益

 経常利益は、営業外損益において収支差し引きでプラス3億24百万円となり、前期比27百万円減少の11243百万円となりました。

 エ 親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比で6百万円減少7741百万円となりました。

 

2) 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「3事業等のリスク」に記載したとおりであります。当社グループを取り巻く環境は、石油業界では、国内需要の低下により、製品需要は減少傾向が継続するものの、閉鎖製油所や遊休地の有効活用に向けた基盤整備工事の需要が新たに発生するものと予想されこれら需要の取り込みが当社の課題と考えております。

3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの当期末における現金および現金同等物は、前期末に比べ49億23百万円(38.4%)増加し、期末残高は177億58百万円となりました。概要については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当期におけるキャッシュ・フロー施策として、新規分野、新規事業への参入を行い、健全なキャッシュ・フローを維持できる収益の確保に努めてまいりました。

また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、金融機関との取引関係の維持、調達先の分散など、資金調達リスクを軽減するため様々な対策をとっております。

4) 経営戦略の現状と見通し

当社グループは、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題」に記載したとおり、将来の事業環境を踏まえ、2021年3月に「2032年度までに当社グループがありたい姿」を描いた長期ビジョンである「RAIZNEXT Group V-2032」を策定いたしました。また、あわせて2021~2024年度を対象とする「第2次中期経営計画-RAIZNEXT SYNERGY POWER」を策定いたしました。第2次中期経営計画は、第1次中期経営計画に続く「シナジー効果の創出」の期間であるとともに、長期ビジョンの実現に向けたファーストステップと位置付けております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、当社が顧客に提供するソリューション・サービスに係る技術力の強化を目指して取り組んでいるものであります。

 当連結会計年度は第2次中期経営計画の2年目として、「メンテナンス事業の強化」をキーワードに活動を展開しました。具体的には、作業の非熟練化、軽労化、作業の機械化、および現場業務のIT化を踏まえ、DX(Digital Transformation)の推進を目指し、各種先進技術の活用・導入を図ってまいりました。

 なお、当期の研究開発費の総額は60百万円であり、主な取り組みは次のとおりです。

(1)メンテナンス作業の機械化

  既存技術の付加価値向上に加え作業員の非熟練化、軽労化および安全性の向上を目的とした作業の機械化に取り組みました。

①熱交換器チューブバンドルのリチュービング作業に関連する技術

  技術者不足の懸念がある熱交換機チューブバンドルのリチュービング作業への取組みを行いました。当期においては、訓練用熱交換器を活用した既存製品(スギノマシン社製クイックプーラー等)の評価、ロボットアームを使用した工場内でのリチュービング作業や自動シール溶接機の導入検討を実施いたしました。翌期ではこれらの活動を継続しつつ、既存製品を活用した現場作業の効率化を計画しており、当社オリジナル製品の開発も含めてリチュービング作業に適した機材のパッケージング化を行う事で、安定した品質の確保を目的に活動を進めてまいります。

②熱交換器内面洗浄の自動化検証

  作業者の高齢化が顕著な高圧水を使用した洗浄作業において、当期は熱交換器の内面洗浄の自動化の検証を行いました。海外製品を改良し、自動化に向けた電動化の検証と課題抽出、ならびに海外製品の導入を行いました。特に当期末に導入した海外製品は事前に熱交換器のチューブ配列の寸法を入力する事で、半自動的に洗浄作業を行えるもので、アジア圏で初導入になるものです。翌期はこれらの現場適用を行い、改良点の抽出や、3Dスキャニング技術を活用し、さらに進んだ自動化技術について検証を進め、機械による安全で高品質な洗浄作業の普及を目指してまいります。

③配管切断技術

  以前より活動を実施しているウォータージェットを利用した切断機に関して、配管の外径に限定されていた工具をフレキシブルに対応すべく専用機材の設計を行い、現在改善と検証を行っております。翌期は機材が安定的に稼働し、適用実績も増えてきたことから、当社関連会社の港南通商株式会社へ移管を行い、コールドカッティング技術による切断作業の普及を図ってまいります。

④タンク工事に向けた自動溶接の適用範囲拡大

  当期においてはタンク側板自動溶接の適用範囲を縦継手まで拡大すべく、溶接条件の検討並びに実験を行ってまいりました。板厚による溶接条件の確立や安定した溶接の品質確保を目標に、現場への適用拡大を目指してまいります。また、需要が高まる低温タンクへの適用についても、同技術を生かして、取り組みを進めていく計画です。

(2)現場業務のIT化

  現場で必要となる情報の一元化、情報取得の省力化等により、現場管理業務を効率化するとともに業務品質を向上させることを目指して、ITツールの開発とその活用法に取り組みました。

①プロット情報共有システム

  当社が自社開発した通行止め情報等を共有する、プロット情報共有システム(SKY-Ai)は、多くの定期修理工事現場において、お客様や他の元請会社にご活用いただいております。当該システムの開発、運用から7年が経過したことから、最新のITを活用してこれまで以上にユーザーフレンドリーなシステムにすべく抜本的に見直し、再構築について検証(PoC:概念検証)を実施いたしました。このPoCによって、新たに開発する機能等の実現性が検証できたことを受け、当期より開発に着手いたしました。翌期は運用にてニーズの高かった機能を中心に実装を進め、2023年9月頃に現場への初回導入を計画しております。また、同じく当社が自社開発した工事情報共有システム(SPIRIT)や、その他の社内システムと連携を見据えたシステムとする事で、社内業務の効率化を図ってまいります。

②プロジェクト可視化に向けたシステム開発

  現在、工事のプロジェクト情報は、Excel等で個別に管理されているケースがほとんどであり、全体的に確認する方法がありません。また、各プロジェクトに付随する、監督者数や協力会社の動員計画人数及び、実績人数等は、膨大なデータ量であり、それらの確認や比較に非常に手間と時間を要しております。そこでプロジェクト情報を一元的に可視化することで、社内全体のプロジェクト状況を容易に把握できるようにし、データを俯瞰して分析することで、工事の状況把握を行い、トラブルの予測や原因究明、対策立案にいち早く対処できるようなシステムを構築すべく、既存システムを含めて調査、導入に着手いたしました。

③XR(Cross Reality:クロス・リアリティ、VR(仮想現実)など、現実世界と仮想世界を融合し、新しい体験を作り出す技術の総称)

  カメラをかざして画像認識することで環境やモノを特定する技術(VPS技術)を活用し、スマートホンで対象物に向ければ、工事対象機器の仕様や、立ち入り禁止エリアの表示等を視覚的に確認する事ができるようになります。社内並びに既存のシステムとの連携を視野に入れ、現実の機器や場所に合わせて、情報を画面内に自動に出すことで業務改革を目指すべく、技術の検証やシステムの開発に着手いたしました。

 

    当社グループの主要顧客である石油業界や石油化学業界においては、既存プラント設備の老朽化が進み、安全・安定操業に対するニーズの高まりや経年劣化による事故・トラブルの未然防止への取組みに加え、先進技術を活用したスマート保安の動きが広がりを見せるなど、プラントメンテナンスの重要性がますます高まっております。このような事業環境において、当社のようなメンテナンス請負企業に対する労働安全、品質管理への要求が厳しくなっていることに加え、先進技術の活用による生産性向上に対する要求も強まってきています。さらに社内においては時間外労働時間の削減が重要課題となっており、業務効率化を含めた働き方改革が早急に求められております。

    当社グループはこれからも、こうした顧客ニーズや事業環境の変化に対応するため、研究開発活動を実施してまいります。研究開発のテーマ選定にあたっては、これまでどおり国内のみならず欧州や米国等における技術および市場調査の成果を有効に活用するほか、第2次中期経営計画に掲げたDXの推進に向けて、他部署との連携を強化し、デジタル技術や先進技術を活用したテーマを積極的に推進してまいります。