第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、新たに策定したパーパス「Making the Image Intelligent」のもと、当社創業以来のユニークな強みである画像インテリジェンスの力により、現実世界の問題を解決し、ステークホルダーに価値をもたらす革新的な製品とサービスの創造に努めております。顧客課題、社会課題等の解決と収益・利益の獲得を両立させることにより、企業価値の向上を果たしてまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

 世界的な社会・環境の大きなトピック・課題である「少子高齢化」、「気候変動」等に対して、その克服に社会や政界・経済界全体として取り組む機運が高まっています。当社グループは、これらの社会環境の変化をチャンスと捉え、社会・環境課題、顧客課題の解決に貢献することによって、利益を獲得し企業価値向上を実現することを、中長期的な経営戦略の基本方針としております。

 

①顧客製品・サービスの開発サイクル全体に亘る付加価値提供

 企画から量産までの顧客製品・サービスの開発ライフサイクル全体に亘り、アルゴリズム、ソフトウエアから、当社の強みであるハードウエアまでの一貫開発体制をもって、IPコアライセンス事業、製品事業、プロフェッショナルサービス事業を展開、付加価値を提供することで、LTV(顧客生涯価値)の最大化を図ってまいります。また、顧客プロジェクトで培ったテクノロジー・ノウハウに基づく標準製品・サービスの開発・提供により、顧客開発に柔軟、迅速に対応するとともに、利益率の向上を図ってまいります。

 

②注力市場での取り組み

 当社は、創業以来の強みであるグラフィックス技術を生かし、絶対的な市場規模を持つアミューズメント分野のキープレーヤーとして存在感を発揮しております。また、グラフィックス技術とそこから派生、涵養したAI(人工知能)・ディープラーニング技術を活用することで差異化が可能で、市場成長が期待でき、社会・環境課題解決にも貢献する、セーフティ分野、ロボティクス分野に注力しております。

 

a. アミューズメント分野

 本分野は、遊技機市場の漸減傾向が続き、2020年にはコロナ禍の影響もあり、パチンコの販売台数は約90万台、パチスロの販売台数は約40万台まで落ち込みましたが、2022年は半導体不足の影響はあるものの、パチンコは約100万台、パチスロは約70万台まで回復しました。とりわけ、パチスロは、ゲーム性が向上した新規則6.5号機および2022年11月に導入が開始されたスマートパチスロ(スマスロ)の稼働が好調なことを受け販売台数が伸びています。スマスロは、物理的なメダルを使用せず電子情報で貸し出しすることが特徴であるため、効率的なプレーができ、かつ衛生的であることに加えて、不正予防や騒音軽減といったメリットもあり、タイトルの充実により更なる市場の活況が期待できます。

 当社の画像処理半導体RS1は、従来別々の半導体を使用していた2Dタイトルと3Dタイトルの共通プラットフォーム化を実現し、さらには、遊技機向けに仕様を最適化したことで、複数の基板で構成された機能のワンボード化も可能にしております。これにより遊技機メーカーの課題である遊技機の製造コスト削減や、コンテンツ開発環境の統合によるタイトル開発コストの削減が可能になります。

 当社は、このユニークな2D・3D統合チップであるRS1を引き続きスマスロを含むパチスロやパチンコ向けに量産出荷するとともに、その優位性を発揮できる市場セグメントにおけるシェア拡大を目指してまいります。

 

b. セーフティ分野

 本分野は、改正道路交通法の施行やドライブレコーダー特約付き自動車保険の拡充等もあり、ドライブレコーダーを活用したリアルタイムの事故防止やヒヤリハット事象を活用した安全運転教育の需要が拡大しております。

 当社においても、2021年3月期からランニングロイヤリティ収入やサブスクリプション収入を計上するなど、初期ライセンスやプロフェッショナルサービスの提供に加えて、リカーリングビジネスの展開が始まっております。当社は、クラウド(ZIA Cloud SAFE)からエッジ(ZIA SAFE)までの一貫サービスが提供できる競争優位性により、既存顧客案件の深耕と新規顧客への参入を果たし、マーケットリーダーを目指してまいります。

 また、ドライブレコーダーの活用に留まらず、市場拡大が期待できるより広範なセーフティ領域である公共交通機関の危険検知・予知やスマートシティ関連(人の属性・流れ・数、危険検知・予知等)の分野において、エコシステムとの連携により、PoC案件の発掘・獲得から将来的な商用化時のビジネス獲得に備えております。

 

c. ロボティクス分野

 本分野は、労働人口の減少を受け、製造業、運輸物流業、農業を始めとした様々な産業における省人・省力化、生産性向上の流れの中で、自律走行ロボットや協働ロボットの市場拡大が予想されています。

 当社は、ロボティクス分野向けZIAシリーズとして、ローコストで環境変動に強いビジュアルSLAM(VSLAM)であるZIA SLAMとそれをベースにした自律運転のフルパイプラインであるZIA MOVE並びに高速かつ高精度な距離推定を実現するステレオビジョンIPであるZIA SVを取り揃えております。ロボット導入効果の高い製造業、運輸物流業、建設業、ビルの施設管理等向けのサービスロボットの開発においてAMR/AGVベンダーとの協業を進めてまいります。

 協働ロボットの目の役割を果たすCambrianビジョンシステムのビジネスについては、精度、速度、ピッキング対象の広範さ、外乱光に対する堅牢性等の競合他社優位性が評価され、製造業を中心に販売、商談が拡大しており、また三品(食品、医薬品、化粧品)産業向けも引合いが活性化しております。今後は、顧客の組み立てラインへの導入を加速させ、ビジネス規模の拡大を図ってまいります。

 

③持続的な競争優位性・成長の確保

 注力分野であるセーフティ分野とロボティクス分野の強みの連携による付加価値向上を図ってまいります。ZIA SAFEとZIA MOVEの協調動作により、ZIA MOVEによるロボット自律走行中にZIA SAFEがリアルタイムで周囲監視を行い、危険事象の認識、マップへの各種情報の付加等を行います。加えて、ZIA Cloud SAFEのサービスにより、ビッグデータ解析による傾向分析や外部システムとの連携サービスの提供を目指してまいります。

 また、注力事業分野におけるサービスの競争力の強化・補完に資するM&Aや事業提携により、ノンオルガニックな成長も積極的に検討してまいります。

 以上の取り組みにより、持続的な競争優位性の確保、持続的成長を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

(1) サステナビリティの基本方針と取組み

 当社グループは、存在意義ともいえるパーパス「Making the Image Intelligent」のもと、当社創業以来のユニークな強みである画像インテリジェンスの力により、現実世界の問題を解決し、ステークホルダーに価値をもたらす革新的な製品とサービスの創造に努めております。パーパスを起点とし、社会および当社の中長期的な持続可能性の観点から、取締役会での決議を経て、サステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)として「事業活動を通じた持続可能な社会の実現」を特定し、それを支える「人的資本のアライメントと充実」とともに、方針とKPIを定めております。

 また、当社グループは、社会・環境の課題・リスクを成長の機会と捉え、社会・環境課題、顧客課題の解決に貢献することによって、利益を獲得し企業価値向上を実現することを、中長期的な経営戦略の基本方針と位置付けることにより、サステナビリティと中期経営計画の統合の取組みを行っております。

 

(2) サステナビリティ重要課題に対する取組み

[事業活動を通じた持続可能な社会の実現]

 当社グループは注力分野であるロボティクス分野およびセーフティ分野において、少子高齢化による労働人口不足の克服、安心安全社会の実現といった持続可能な社会の実現に資する製品・サービスの創造、提供を進めております。また、IPコアライセンス事業において、低炭素社会の実現に資する製品・サービスの創造、提供を進めております。

 

① ガバナンス

 サステナビリティに関する方針や計画および進捗は毎月の定時取締役会にて審議、報告されます。また、年一回事業計画立案時、並びに必要性に応じて社長によるレビューを行い、各部門およびグループ会社の重要課題を確認し、取締役会にフィードバックされます。

 

② 戦略

 ロボティクス分野では、労働人口減少の克服に向けて、製造業、運輸物流業、農業を始めとした様々な産業における省人・省力化、生産性向上の取組みがされている中、自律走行ロボットや協働ロボットの市場拡大が予想されています。当社グループは、自律走行ロボットの開発に資する製品・サービスの創造・提供、並びに協働ロボットの目の役割を果たすCambrianビジョンシステムのビジネスの拡大により、労働人口減少の克服に貢献してまいります。

 また、セーフティ分野では、ドライブレコーダーを活用したリアルタイムの事故防止やヒヤリハット事象を活用した安全運転教育の需要が拡大しております。当社グループは、クラウドからエッジまでの一貫サービスが提供できる競争優位性により、安全運転実現に貢献するとともに、より広範なセーフティ領域である公共交通機関の危険検知・予知やスマートシティ関連(人の属性・流れ・数、危険検知・予知等)の分野における製品・サービスの創造・提供により、安心安全社会の実現に貢献してまいります。

 さらには、IPコアライセンス事業において、顧客製品の省電力化ひいては低炭素社会の実現に資する製品・サービスの創造・提供を進めてまいります。

 

③ リスク管理

 リスク管理については、年一回事業計画立案時、並びに必要性に応じて社長によるレビューを行い、サステナビリティに関わる潜在的なリスクや機会を特定し、適切な対策を講じます。その実効性の評価は、監査役や内部監査部門が実施することで、透明性と信頼性を確保しております。

 

④ 指標及び目標

 ロボティクス分野、セーフティ分野およびIPコアライセンス事業の売上高を着実に成長させてまいります(2023年3月期売上高実績:500百万円)。

 

(3) 人的資本に関する取組み

 当社グループには、世界各国からGPUやAIの優れた研究者・開発者が集まり、Diversity & Inclusion(多様な人材が集まり、皆が活かされていること)の経営理念のもと、国際競争力につながる多様な発想を生かした先進的な研究開発が行われています。

 当社グループは、パーパスにある「現実世界の問題を解決し、ステークホルダーに価値をもたらす革新的な製品とサービスの創造」には、パーパスに共感、共鳴する人材がそれを業務遂行や意思決定の指針とし、自らスキルを高め、革新的な製品・サービスを創造していく、好循環を作り出すことが重要と考えております。

 

① 戦略

 挑戦する風土の醸成、自律的キャリアの形成、優秀な人材の育成・採用、生産性向上に資する人事施策を推進するとともに、パーパスへの共感、共鳴を含む従業員のエンゲージメント向上を重視した施策を実行してまいります。

 

② 指標および目標

 従業員のエンゲージメント指標を継続的に改善してまいります(2023年7月に第一回調査を実施予定)。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する項目のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)並びに株価等に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、リスクが顕在化する可能性の程度や時期については、そのリスクの複雑性から明確化は難しいものの、当社グループが研究開発を重視したファブレス半導体・IPベンダーであるという特性とリスクの関係性の高さから、「特に重要なリスク」と「重要なリスク」に分類しております。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(特に重要なリスク)

①技術の進展等について

当社の事業は、画像処理やグラフィックス処理技術およびAI技術に密接に関連しておりますが、これらの技術の進展は著しく、短期間で新製品が発売され、高機能化も進んでおります。

当社としては、技術動向を注視しつつ、技術力を向上させることで、技術の進展に対応していく方針であります。しかしながら、当社が予想しない新技術の開発・普及により事業環境が急変し、当社が迅速または適切に対応できない場合、または、競合他社が当社を上回る技術を開発し、当社技術が陳腐化した場合には、当社の製品・サービスの売上減少により、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

②販売先の市場動向による経営成績への影響について

当社製品は、アミューズメント機器、車載製品、産業機器、モバイル・コンシューマー機器等の市場向けであり、これら顧客の機器製品にソフトウエアおよびハードウエアとして組み込まれて使用されております。これら市場の製品はいずれもライフサイクルが短く、技術革新のスピードも早いため、当社の売上・利益を維持し、増大させるためには、市場の動向を見極めた上で新市場の開拓を積極的に行う必要があります。

当社としては、日頃から顧客や外部機関等からの情報を分析することにより、市場動向の変化に応じて、新規製品の開発、新市場の開拓に取り組んでおりますが、これら市場の動向に当社の予想以上の変化があり、当社の新規製品の開発または新市場の開拓が遅れた場合には、当社の製品・サービスの売上減少により、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

③研究開発について

当社は、画像処理、グラフィックス処理、AI等の分野において、今後のニーズの変化に対応できる新技術と新製品の開発を行っております。このための各研究開発プロジェクトは、成長する市場が必要とする機能を想定しながら実施しておりますが、投下した研究開発費の全てを回収できるとは限らず、この場合、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、何らかの事情で開発が大幅に遅れたり、開発自体が頓挫する事態に至った場合、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

④人材の確保・育成について

当社は、今後の事業拡大に向けて、優秀な人材の確保・育成が不可欠であると認識しております。そのため、人材に報いるための報酬体系、株式報酬制度等を導入しておりますが、いずれも継続的な人材の確保を保証するものではなく、適格な人材を十分確保できなかった場合には、当社の事業拡大が制約を受けることにより、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(重要なリスク)

①代表者への依存について

当社の代表取締役である山本達夫氏は、過去にエンジニアとして従事していた経験もあり、当社の事業内容、技術全般に精通しております。また、これまでに培った広い人脈を活かして、自ら国内外への営業活動も行っており、当社の技術面・営業面での同氏への依存度は高くなっております。

このような状況下において、退任等何らかの要因により、山本氏の当社における業務執行が困難となった場合、当社の事業活動に支障が生じ、当社の経営成績等および事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

②LSI製品の販売体制について

当社は、LSI製品の販売は商社を介した代理店販売を基本としております。当社の主要販売代理店である株式会社レスターエレクトロニクスに対する当連結会計年度の売上高は1,195百万円で全売上高の71.7%を占めており、その大半はLSI製品の売上高であります。同社含め販売代理店とは良好な関係を構築しておりますが、今後販売代理店との関係に問題が生じた場合には、LSI製品の販売に支障が生じ、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

③LSI製品の製造委託について

当社は、製造設備を持たない会社として研究開発業務に特化した事業活動を行っておりますので、LSI事業の製品製造に関しては半導体メーカーやモジュールメーカーに委託しております。製造委託先については、その技術水準、製造能力、管理能力、経営安定度等を慎重に検討した上で、選定しております。しかしながら、製造委託先において十分な生産枠が確保できない場合や通常想定することができない事象により製造委託先の設備に問題等が発生するなど、何らかの理由により委託先における製造に支障が生じた場合、または、委託先との製造委託契約が終了し、適切な代替委託先が確保できない場合、LSI製品の製造に支障が生じ、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

④半導体、部材等の供給不足について

当社はファブレス企業であるため、製品事業において、製造委託先や仕入先に製品の製造を依存しております。そのため、生産ラインの事前確保、製品・支給部品の早期発注等により、機会損失を可能な限り低減させておりますが、世界的な需要増やサプライチェーンの脆弱性等に伴う半導体、部材等の供給不足の影響により、当社への製品納入が停滞した場合には、当社の製品売上の減少により、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、半導体・部材の供給不足により、当社のLSI製品、IP、ソフトウエア等を搭載した顧客製品の製造が停滞した場合にも、当社の製品売上やロイヤリティ収入の減少により、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑤第三者の知的財産権を侵害する可能性について

当社は当連結会計年度末現在において、提供するIPコア・LSI製品の技術および制作する表現物等に関して、第三者より知的財産権を侵害する旨のクレーム、侵害訴訟等を提起する等の通知は受けておりません。

当社は、当社のIPコア技術が第三者の特許権を侵害する可能性につき調査を行っておりますが、当社が提供するIPコア・LSI製品の技術および表現物等が、特許権その他第三者の知的財産権を侵害する可能性を完全に排除することは困難であり、今後このような第三者の知的財産権を侵害する旨のクレームを受け、または侵害訴訟を提起され、当社の事業が差し止められ、または損害賠償等の金銭的な負担を強いられる等の結果となった場合、当社の経営成績等および社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

⑥自然災害及び事故等について

当社及び当社取引先の事業拠点が、地震、台風等の自然災害や火災等の事故、テロ等により被害を受けた場合、当社の事業活動に支障が生じ、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑦新型コロナウイルスの感染再拡大等によるリスク

新型コロナウイルス感染症は概ね収束傾向にありますが、今後の感染再拡大や、別の感染症の流行発生により遊技機市場が著しく低迷した場合や顧客の開発投資意欲が低下した場合、それぞれ当社の画像処理プロセッサー「RS1」の販売減少やプロフェッショナルサービス事業の停滞により、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑧情報管理体制について

当社は研究開発をはじめとする当社の事業活動に際して情報管理が重要であると認識しており、このため、コンピューター・ウィルスの検知、ファイアウォールの構築等の外部からの侵入に対する予防策および情報へのアクセス可能な管理者の制限、当社と役職員および顧客等との間における機密保持契約の締結、入退出管理等の情報流出対策を講じるとともに、ハード面での障害時により業務への支障が生じないようデータ管理の多重化を行うなど、情報管理に関するシステムと社内体制の構築を行っております。

しかしながら、これらのシステム・体制によっても情報漏洩の可能性を完全に排除することは困難であり、今後何らかの理由により当社の技術情報等重要な情報が社外に流出した場合、当社の競争優位性が損なわれ、当社の経営成績等および事業運営に影響する可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行が第6波から第8波まで周期的に継続する中、行動制限の緩和や社会経済活動の活性化の取り組みにより、景気に緩やかな持ち直しの動きが見られました。しかし、急激な円安、物価やエネルギーコストの高騰等による経済、国民生活に与える影響が顕在化しています。先行きについては、2023年5月8日の新型コロナウイルス感染症の2類相当から5類への分類移行もあり、社会経済活動の正常化に大きく舵が切られましたが、周期的な感染拡大のリスクへの対応など課題は残されています。また、世界においては、金融引き締めによる影響に加え、ウクライナ情勢の影響による原材料、食料価格の高止まりや供給面での制約等に伴う景気後退リスクが顕在化しています。

 当社グループの属する半導体業界では、様々な産業における旺盛な需要による半導体の供給不足が継続し、自動車を含め半導体を使用した電子機器の生産に影響が出ました。中期的にも、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTや人工知能(AI)、ビッグデータ、次世代高速通信規格、自動運転向けの需要拡大が見込まれます。

 当社グループの事業領域であるAI/ビジュアル・コンピューティング分野においては、少子高齢化に伴う労働人口の減少、コロナ禍、気候変動等の社会・環境課題の解決や安全安心社会の実現に向けたイノベーションの加速やAIの果たす役割の増大が予想されます。

 このような環境下において、当社グループは、社会・環境課題の解決への貢献と収益・利益の獲得を両立し、企業価値を向上させるCSV(Creating Shared Value)経営を実現することを、中期経営計画の基本方針としております。注力分野であるセーフティ分野およびロボティクス分野において、企画から量産までの顧客製品・サービスの開発ライフサイクル全体に亘り、アルゴリズム、ソフトウエアから、当社の強みであるハードウエアまでの一貫開発体制をもって、IPコアライセンス事業、製品事業、プロフェッショナルサービス事業を展開し、付加価値を提供することで、LTV(顧客生涯価値)の最大化を図ってまいります。

 

 当連結会計年度の注力分野における具体的な取り組みと成果としては、まずセーフティ分野において、安全運転支援向けとして、エンドユーザー車両にすでに搭載されているドライブレコーダーに当社のソフトウエアを無線で実装するOTA(Over the Air)案件を含むエッジからクラウドに亘る既存プロジェクトからのリカーリング収益を獲得するとともに、新規顧客や既存顧客の新規プロジェクト向けに新規ライセンスやプロフェッショナルサービスを提供いたしました。また、業務用車両の周辺監視用途ZIA C3キットを量産出荷いたしました。

 

 ロボティクス分野においては、顧客のPoCプロジェクトを発掘、推進するとともに、製品のロバスト性向上等の取り組みを行い、加えて、自律走行ロボット、協働ロボット等のアプリケーションにおいて、高速・高精度な距離計測を実現するStereo Vision IP「ZIA SV」の提供を開始いたしました。また、資本業務提携先のCambrian社の協働ロボット向けビジョンシステムについては、自動車産業を中心とした製造業等の最終顧客の省人化や生産性向上に向けた案件が進捗するとともに、エコシステムを拡張すべく、国内外の協働ロボットへの接続対応を進めております。

 アミューズメント分野においては、稼働が好調なスマートパチスロを含むパチスロやパチンコ向けに画像処理半導体「RS1」の量産出荷を継続しており、「RS1」を搭載した株式会社ジーグ(サミー株式会社と株式会社ユニバーサルエンターテインメントの合弁会社)の筐体の販売が10機種10万台を突破いたしました。引き続きこのユニークな2D・3D統合チップの優位性を発揮できる市場セグメントにおけるシェア拡大を目指してまいります。

 また、その他の取り組みと成果として、高精細エッジAIプロセッサー「ZIA DV720」がTVS REGZAのテレビ「レグザ」の新商品2シリーズに採用され、当年度よりランニングロイヤリティ収入を計上しております。また、現行製品の性能を大きく上回るAI IPプロセッサーの開発を進めております。

 

 当連結会計年度の業績につきましては、製品事業において画像処理半導体「RS1」の量産出荷を継続するとともに、量産向けZIA C3モジュール、量産ドローン向けカメラモジュール、Cambrianビジョンシステム等を出荷いたしました。IPコアライセンス事業においては、AI/GPUランニングロイヤリティ収入に加えて、セーフティ分野、ロボティクス分野においてリカーリング収益を計上いたしました。また、プロフェッショナルサービス事業においては、AI/GPU受託開発サービスを提供いたしました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は、2,322百万円(前連結会計年度比39.2%増)、営業利益は27百万円(前連結会計年度営業損失126百万円)、経常利益は28百万円(前連結会計年度経常損失122百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は22百万円(前連結会計年度親会社株主に帰属する当期純損失157百万円)となりました。

 

 当社グループは、単一セグメントであるためセグメント別の記載はしておりませんが、事業別業績の概要は以下のとおりであります。

 

①IPコアライセンス事業

 ディジタルスチルカメラ、4Kテレビ、OA機器等のディジタル機器向けAI/GPUランニングロイヤリティ収入に加え、新規ライセンス収入やOTAを含むセーフティ分野およびロボティクス分野におけるリカーリング収益の計上により、売上高は261百万円(前連結会計年度173百万円)となりました。

②製品事業

 「RS1」の好調な量産出荷に加えて、業務用車両の周辺監視用途ZIA C3キット、量産ドローン向けカメラモジュール、Cambrianビジョンシステム等の売上の計上により、売上高は1,956百万円(前連結会計年度1,199百万円)となりました。

③プロフェッショナルサービス事業

 顧客開発案件の減少により、売上高は104百万円(前連結会計年度295百万円)となりました。

 

また、分野別業績の概要は以下のとおりであります。

 

①セーフティ分野

 業務用車両の周辺監視用途ZIA C3キットの量産出荷売上、プロフェッショナルサービス収入、OTAを含むリカーリング収益等により、売上高は170百万円(前連結会計年度163百万円)となりました。

②ロボティクス分野

 IPコアライセンス事業における収入、製品事業におけるCambrianビジョンシステムや量産ドローン向けカメラモジュールの売上等を計上したものの、プロフェッショナルサービス事業における顧客開発案件の減少により、売上高は185百万円(前連結会計年度236百万円)となりました。

③アミューズメント分野

 「RS1」の量産出荷売上等の計上により、売上高は1,821百万円(前連結会計年度1,155百万円)となりました。

④その他分野

 GPU IPライセンス収入、ディジタル機器向けAI/GPUランニングロイヤリティ収入等の計上により、売上高は144百万円(前連結会計年度111百万円)となりました。

 

(2)当期の財政状態の概況

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計額は3,842百万円となり、前連結会計年度末に比べ369百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が433百万円、売掛金及び契約資産が444百万円増加し、早期償還に伴い投資有価証券が499百万円減少したことによるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債および固定負債は合計で717百万円となり、前連結会計年度末に比べ341百万円増加しました。これは主に、買掛金が292百万円および契約負債が29百万円増加したことによるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計額は3,124百万円となり、前連結会計年度末に比べ28百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が22百万円増加したことによるものであります。

 これらの結果、自己資本比率は81.3%となりました。

 

(3)当期のキャッシュ・フローの概況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ433百万円増加し2,435百万円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、37百万円の支出(前連結会計年度は39百万円の支出)となりました。主な増加要因は、仕入債務の増加額292百万円、減価償却費71百万円および税金等調整前当期純利益28百万円であり、主な減少要因は、売上債権の増加額444百万円であります。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、465百万円の収入(前連結会計年度は77百万円の支出)となりました。主な増加要因は、投資有価証券の償還による収入500百万円であります。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、0百万円の支出(前連結会計年度は0百万円の支出)となりました。減少要因は、自己株式の取得による支出0百万円であります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率(%)

83.8

92.2

93.5

89.2

81.3

時価ベースの自己資本比率(%)

548.5

162.3

250.2

128.5

225.1

2021年3月期より連結ベースの財務数値により計算しております。

自己資本比率:自己資本/総資産

 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

 

(4)生産、受注及び販売の状況

a.仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

仕入実績(千円)

前連結会計年度比(%)

IPコアライセンス事業

製品事業

1,339,527

152.5

プロフェッショナルサービス事業

合計

1,339,527

152.1

(注)金額は仕入価格によっております。

 

b.受注状況

 当連結会計年度の受注状況を事業部門別に示すと次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前連結会計年度比

(%)

IPコアライセンス事業

製品事業

1,762,331

62.9

1,408,205

87.8

プロフェッショナルサービス事業

89,595

32.9

合計

1,851,927

60.2

1,408,205

87.0

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.IPコアライセンス事業には、受注という概念が馴染まないため記載しておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

販売実績(千円)

前連結会計年度比(%)

IPコアライセンス事業

261,041

150.2

製品事業

1,956,425

163.1

プロフェッショナルサービス事業

104,645

35.4

合計

2,322,112

139.2

 

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社レスターエレクトロニクス

1,195,113

71.7

1,497,736

64.5

株式会社PALTEK

343,552

14.7

2.前連結会計年度の株式会社PALTEKについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状況および経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績の状況は以下のとおりです。

・売上高 2,322百万円(前連結会計年度比39.2%増)

製品(RS1)の売上に加えて、IPの新規ライセンス、ランニングロイヤリティ収入、プロフェッショナルサービスにおけるAI関連の受託開発売上等を計上しました。詳細は、後述の事業別の経営成績(売上高)に関する認識および分析・検討結果に記載のとおりであります。

・売上総利益 860百万円(前連結会計年度比42.3%増)、売上総利益率37.1%

売上原価に製品の仕入原価、プロフェッショナルサービスに係る受託開発原価等を計上したことによるものです。

・販売費及び一般管理費 833百万円(前連結会計年度比14.0%増)

労務費、研究開発費等を計上しました。

・営業利益 27百万円(前連結会計年度営業損失126百万円)

・経常利益 28百万円(前連結会計年度経常損失122百万円)

・親会社株主に帰属する当期純利益 22百万円(前連結会計年度親会社株主に帰属する当期純損失157百万円)

法人税等を6百万円計上したことによるものです。

・1株当たり当期純利益(EPS) 7円17銭(前連結会計年度1株当たり当期純損失△49円93銭)

 

当社グループは単一セグメントでありますが、当連結会計年度の事業別の経営成績(売上高)は以下のとおりです。

・IPコアライセンス事業 261百万円(前連結会計年度173百万円)

当連結会計年度は、ディジタルスチルカメラ、4Kテレビ、OA機器等のディジタル機器向けAI/GPUランニングロイヤリティ収入に加え、新規ライセンス収入やOTAを含むセーフティ分野およびロボティクス分野におけるリカーリング収益を計上したことにより、売上高は伸長しました。

 

・製品事業 1,956百万円(前連結会計年度1,199百万円)

当連結会計年度は、当社の画像処理半導体「RS1」の好調な量産出荷に加えて、業務用車両の周辺監視用途ZIA C3キット、量産ドローン向けカメラモジュール、Cambrianビジョンシステム等の売上等を計上しました。主に、旧規則遊技機から新規則遊技機への入れ替え需要に伴う「RS1」の大型受注により、売上高は伸長しました。

 

・プロフェッショナルサービス事業 104百万円(前連結会計年度295百万円)

当連結会計年度は、顧客開発案件の減少により、売上高は減少しました。

 

当連結会計年度末の財政状況は以下のとおりです。

・流動資産 3,683百万円(前連結会計年度2,784百万円)

主な内訳は、現金及び預金2,435百万円、売掛金及び契約資産833百万円、有価証券300百万円であります。

・固定資産 158百万円(前連結会計年度688百万円)

主な内訳は、有形固定資産65百万円、ソフトウエア24百万円であります。

・流動負債 700百万円(前連結会計年度358百万円)

主な内訳は、画像処理半導体の仕入計上に伴う買掛金553百万円、未払金34百万円、未払消費税等28百万円であります。

・固定負債 17百万円(前連結会計年度18百万円)

・純資産 3,124百万円(前連結会計年度3,095百万円)

主な内訳は、資本金1,838百万円および資本剰余金1,858百万円、親会社株主に帰属する当期純利益22百万円を計上した結果による利益剰余金△575百万円であります。

・自己資本比率 81.3%

 

 以上の財政状況および経営成績の状況を踏まえた経営者の視点による分析・検討内容は以下のとおりです。

・当連結会計年度の経営成績は、アミューズメント市場向けのグラフィックプロセッサー「RS1」の販売が顧客からの大型受注を受けて量産出荷を継続しており、売上高は前連結会計年度比39.2%増となりました。利益面は、売上高の伸長に伴い大幅に改善し、営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益を計上する結果となりました。

・今後につきましても、2021年5月14日に公表した中期経営計画に沿って、社会・環境課題解決への貢献と利益獲得・向上を両立させることで、引き続き企業価値の向上に努めてまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ433百万円増加し2,435百万円となりました。活動毎のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

・営業活動によるキャッシュ・フロー 37百万円の支出(前連結会計年度は39百万円の支出)

主な増加要因は、仕入債務の増加額292百万円、減価償却費71百万円および税金等調整前当期純利益28百万円であり、主な減少要因は、売上債権の増加額444百万円であります。

・投資活動によるキャッシュ・フロー 465百万円の収入(前連結会計年度は77百万円の支出)

主な増加要因は、投資有価証券の償還による収入500百万円であります。

・財務活動によるキャッシュ・フロー 0百万円の支出(前連結会計年度は0百万円の支出)

要因は、自己株式の取得による支出0百万円であります。

当社の運転資金需要のうち主なものは、製造委託しているLSI製品の仕入費用および製造費用、販売費および一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、システム投資等によるものです。当社は、運転資金ならびに投資目的の資金需要には、主として自己資金を充当することを基本方針としております。この方針に従い、当連結会計年度における運転資金、IT機器等の設備投資資金については、自己資金を充当しました。

今後の資金需要のうち、主なものは、運転資金の他、事業拡大に向けた技術優位性の維持向上と開発体制の強化のための人的投資等であります。これらの資金についても、基本方針に基づき、自己資金を充当する予定であります。

 

③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 業務資本提携契約

相手方の名称

契約締結日

契約内容

株式会社UKCホールディングス(現株式会社レスターホールディングス)

2014年5月9日

業務提携

①マシンビジョン・ソリューション共同開発

②IP販売

③事業展開に資する経営資源の相互活用

④その他提携事項

資本提携

当社株式の保有

ヤマハ発動機株式会社

2019年5月10日

業務提携

①AI技術の応用によるアルゴリズム開発から製品搭載に至る最終製品化プロセスにおける協業

②低速度領域における自動・自律運転システムの開発

③ロボティクス技術を活用した農業領域等における省力化・自動化システムの開発

④モビリティ製品全般に向けての先進安全運転支援システムの開発

資本提携

当社株式の保有

Cambrian Inc.

2021年4月29日

販売代理

①Cambrian社製ビジョンシステムの日本国内での独占販売

②Cambrian社製ビジョンシステムのアジア地域での販売

2021年5月3日

業務提携

①ソフトウェアの共同開発

②導入・技術コンサルティング

2021年6月10日

資本提携

Cambrian社株式の保有

 

 

6【研究開発活動】

1.研究開発体制

当社グループは、GPUに関わるIPコア、人工知能に関わるIPコア、ソフトウエア、ソリューションおよびモジュール並びにLSI開発に係る研究開発活動を行っております。

なお、当社は単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。

2.開発状況および開発成果

人工知能技術を用いた画像認識・解析に関わる組み込み機器向けハードウエアIPコアおよびソフトウエアの開発を進めております。また、これら技術を活用したソリューション提供も推進しており、グラフィックスLSIについてはアミューズメント業界向けにプラットフォームの量産出荷を行っております。

(1)開発状況

①人工知能に関わるソリューションの開発

 人工知能に関わるIPコア技術を活用したソリューションや、顧客ニーズに合わせた人工知能関連ソリューション開発およびモジュール開発を推進しております。

 顧客ニーズに合わせたソリューション開発として、セーフティ分野では、ドライブレコーダーを活用したDMS(Driver Monitoring System)やADAS(Advanced Driver Assistance System)向けプラットフォームである「ZIA SAFE」、「ZIA Cloud SAFE」の堅牢性の向上、機能拡張、低電力デバイスへの最適化等、研究開発を継続しています。また、本分野で蓄積した技術・ノウハウを活用し、より広範な公共安全に資するソリューションの開発を行っております。

 ロボティクス分野では、低速車両をターゲットとした自律走行用パイプラインである「ZIA SLAM」、ZIA MOVE」の堅牢性の向上、機能拡張、精度向上を継続するとともに、自律走行ロボット、協働ロボット等のアプリケーションにおいて、高速・高精度な距離計測を実現するStereo Vision IP「ZIA SV」を開発いたしました。また、資本業務提携先の米国Cambrian社の協働ロボット向けビジョンシステムの用途開発を行いました。

さらには、当社の自律走行用パイプラインを実装した自律走行ロボットとCambrian社のビジョンシステムを搭載したロボットアームを組み合わせた先端AMRのPoC開発を行いました。

②人工知能に関わるIPコアの開発

 現行製品の性能を大きく上回るAIプロセッサの開発に取り組んでおります。

③アミューズメントプラットフォーム向けグラフィックスLSI等の開発

 株式会社バンダイナムコセブンズと共同開発した、次世代アミューズメントプラットフォーム向けグラフィックスLSI「RS1」の量産を継続するとともに、顧客向けサポートを行っております。また、同分野において、さらなる付加価値向上に向けた研究開発を行っております。

 

(2)開発成果

①人工知能に関わるIPコア

 TVS REGZA株式会社の4Kテレビの2シリーズに採用された高精細エッジAIプロセッサ「ZIA DV720」に関わるランニングロイヤリティを当連結会計年度より計上しております。

②人工知能に関わるソリューション

ドライブレコーダーを活用した安全運転支援分野において、OTA(Over the Air)案件を含むエッジからクラウドに亘る既存プロジェクトからのリカーリング収益を獲得するとともに、新規顧客や既存顧客の新規プロジェクト向けに新規ライセンスやプロフェッショナルサービスを提供しております。

また、米国Cambrian社の協働ロボット向けビジョンシステムは、その対象部品認識精度・速度、外乱光に対する堅牢性が評価され、製造業を中心に販売、商談が拡大するとともに、三品(食品、医薬品、化粧品)産業向けも引合いが活性化しております。

③アミューズメントプラットフォーム向けグラフィックスLSI

稼働が好調な6.5号機、スマートパチスロを含むパチスロ向けを中心に「RS1」を量産出荷しており、2022年12月時点で「RS1」を搭載した株式会社ジーグの遊技機向け筐体の販売の累計が10機種ならびに10万台を突破しております。

 

3.研究開発費

当連結会計年度における研究開発費総額は300百万円であります。