当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
当社グループは、“業界一流のメーカーとして、本業を極め、本業に徹し、一流の商品をお客様にご提供することを通じて、社会の発展に貢献する”を経営理念とし、顧客ニーズに沿った商品開発に注力するとともに、自然環境の保護と社会の発展に貢献すべく企業活動を展開しています。
(2) 経営戦略等
当社グループでは、これからの厳しい競争時代を勝ち抜くため、着実に業績の伸展を目指し、次のような施策を実践していきます。
① 森林資源を保全する法正林施業(植林、育林、間伐、伐採)を採用したニュージーランドの育林事業により安定した品質と量の原材料確保を図ります。
② 貴重な資源を更に活かす為、高度な木材加工技術の更なる向上を図ります。
③ 木が持つ潜在能力を梃子(てこ)に、新成長市場であるアジア市場や国内のリフォーム、非住宅、商環境市場などで、“勝てる市場×勝てる仕掛け”を創造します。
④ 変化する市場の本質を見極め、魅力ある商品・サービスを提案し、新たなファンを創造します。
⑤ 新たな戦略を全社で迅速に推進する為、国内外の製造ネットワークを更に整備し、効率的な運営とコスト低減を図るとともに、社内の仕組みを再構築します。
⑥ 認証材を活用した国内外のニーズに応えていきます。
当社グループでは、ニュージーランドの自社林における森林経営において、二酸化炭素を吸収する森林面積を減らすことなく、資源循環型の環境経営を実践しています。また、木材製品を生産し、長寿命化住宅を実現することは、植林で吸収した二酸化炭素を炭素として固定する貯蔵庫を生産しているといえます。国内では、バイオマス発電事業や再生エネルギーによる電力利用を推進することにより、カーボンニュートラルを目指しています。さらにクリーンな材料調達の証明としてニュージーランド子会社の全森林・全工場、香港子会社、フィリピン子会社工場、インドネシア子会社工場および国内の木質建材工場において森林認証を取得しています。
このように当社グループの事業活動自体が、サステナビリティに関する諸問題に対処するための取組みでもあります。
また、当社の強みであるニュージーランドで産出される木材を、一貫生産体制・国際分業体制をもって、さらに競争力のある製品として作り上げるべく、研究開発や知的財産投資も進めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上と財務体質の強化を図るための経営指標として自己資本利益率(ROE)の向上を目指し、労働生産性の向上などによる収益性の改善や自己資本比率の維持・向上に取り組んでいます。また、事業の拡大と安定的な収益を獲得するために、グループ全体で連結売上高1,000億円を目指しています。
(4) 経営環境
当社グループの経営環境は、構造的な人口減少問題等により市場が縮小していく「量の面での変化」とともに、住宅の高性能化や住宅環境まで視野に入れた「質の面での変化」が同時に起こっており、当社グループがこれからの時代を生き抜き成長するためには、住まい手にとって魅力のある商品や提案を強化するとともに、リフォームや非住宅施設などの新しい市場を開拓していかなければなりません。また、住宅業界における職人不足による住宅品質の低下や工期遅れ、コスト高なども大きな課題となっています。このような環境下で、市場の変化をいち早く察知し、現状を肯定することなく自己変革に努め、常に当社グループ自らが環境の変化に合わせて変わっていくことが必要となっています。AIやIoTといったデジタル技術などを活用し、生産性を向上させることで、新たな付加価値の創造と売上・収益の向上を目指しています。
具体的には、国内においては新築戸建市場に加えてリフォーム、非住宅、商環境市場などの新市場の開拓、また海外においては発展が期待されるアジア圏の市場の開拓を主題とする成長戦略を策定し、当社グループ一丸となってこれらに取り組んでいます。
1990年にニュージーランド北島で森林経営権を取得し、当社グループが培ってきたノウハウによる植林事業を開始してから30年の時が経過しました。毎年、植林面積の拡大を図り、現在では約40,000haの森林について、森を30区画に分けて木の植林―育林―伐採を繰り返す持続可能な森林経営を行っています。手間ひまかけて育ててきたラジアータパインの優良原木がこれから大量に伐期を迎えますが、このことは当社グループが、同業者の追随を許さない品質の高い「無垢材」という強力な武器を大量に獲得することを意味します。大量に出材されるラジアータパインやその他国内外で調達する無垢材をふんだんに使い、価格競争に巻き込まれない高品質で付加価値の高い商品をもって新市場へ進出します。当社グループが永年に亘り築きあげた山林から木材加工までの一貫生産体制を最大限に発揮して商品を開発・生産・販売する仕組みを構築し、独創的に新市場を開拓していきます。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
世界的なインフレの進行や、これを受けた米国の金融引締め、継続するロシアのウクライナ侵攻等、国際情勢の不安定化による原材料・補助材料・電力費等の高騰や、為替・金利の大幅な変動が続く中、わが国経済の先行きも不確実性が高い状況となっています。
また、国内の住宅業界においては、木材・木製品価格の上昇にともなう住宅価格の高騰が、当社グループの主力販売分野である新築住宅市場における着工戸数の減少に拍車をかけることが懸念されます。
このような事業環境のもと、当社グループがこれからの時代を生き抜き成長するためには、既存市場でこれまで以上の存在感を示し続けるとともに、新しい市場に経営資源を段階的にシフトさせること、併せて「脱炭素社会の実現」という世界的なニーズに対応した事業を展開していくことが経営課題であると考えています。
当社グループは、ニュージーランドのラジアータパインや国産の杉・桧などの無垢材を使用した本物志向の無垢商品や収納商品、職人不足に対応した省施工商品を開発して、既存市場である新築住宅市場の深掘り、リフォーム、非住宅、商環境などの国内新市場の開拓を進めています。海外においては、ニュージーランド子会社では、当社グループ向けの生産数量を確保した上で、原木および木製品をニュージーランド国内やアジア市場へ拡販しています。また、インドネシア子会社では、突板ドアの生産体制を強化し、インドネシア国内や欧米市場向けの販路開拓を進めることにより、既存市場の動向に左右されない企業経営を目指しています。
なお、ニュージーランド子会社における森林経営は、二酸化炭素を吸収する森林面積を減らすことなく、30年の周期で毎年一定の木材を永久的に収穫できる資源循環型の環境経営を実践しています。また、国内では、バイオマス発電や再生可能エネルギーによる電力利用を推進することにより、カーボンニュートラルを目指しています。当社グループの経営戦略の実践は、サステナビリティについての取組みでもあり、2023年3月には、サステナビリティに関する取組みを促進することを目的として、サステナビリティ委員会およびサステナビリティ推進室を設置しています。
原材料費等の高騰に対しては、労働生産性の向上や経費削減の継続的な取組みに加え、適正な販売価格への改定を進めるとともに、生産企画・設計工程ならびに製造ラインにおけるデータ利活用の高度化や、営業部門の業務プロセス改革による効率化と顧客サービスレベルの更なる向上を目指したDX推進プロジェクトにも積極的に取組んでいます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 当社グループのサステナビリティ経営
当社グループは、再生可能な自然資源である木を植え、育てるところから事業を始めています。大切に育てた木を余すことなく建材として活かし、また植林する。その繰り返しの中で私たちは、人に優しい「住まい」づくりを追求し、自然と人と社会が循環共生する持続可能な社会を目指しています。
① ガバナンス
当社グループは「業界一流のメーカーとして、本業を極め、本業に徹し、一流の商品をお客様にご提供することを通じて、社会の発展に貢献する」という経営理念を掲げ、自然と人と社会が循環共生する持続的な社会を目指しています。サステナビリティ経営に関する取組みやマテリアリティ(重要課題)の特定等については、取締役会において審議され、承認されています。さらにサステナビリティに関する取組みを推進するため、2023年3月にサステナビリティ委員会(委員長:代表取締役社長)を設置しました。
② 戦略
当社グループ事業におけるESGのマテリアリティ(重要課題)および取組み
a. E/環境(Environment)
環境については、当社グループでは「森林育成・保全を地球環境の最重要課題とした持続可能な経営」をマテリアリティと捉えています。基本的な考え方として木の価値を最大限に生かした地球を守る経営を目指し、持続可能性や環境に配慮した木材・資材調達のため、自ら森を育て、加工・販売までを一貫して行う森林経営の徹底と気候変動の要因となる森林減少などの社会課題の解決に貢献することで、森林資源の持続的な活用と保全を行っています。
主な取組みとして、ニュージーランドで木を植え、育て、伐採し、また木を植える、木の年間成長分だけ毎年伐採を行う法正林施業によって森林資源を保全しながら、森林面積を減らすことなく、木材を永続的に収穫できる状態を保つ正しい林業のあり方を実践した持続可能な森林経営を行うとともに、ニュージーランド以外から調達する木材については、合法木材の利用を促進し、森林資源の保全にも努めています。
また、カーボンニュートラル(ゼロ)を目指し、生産過程で発生する木くずを有効活用したバイオマス発電を実施しています。また、自社のバイオマス発電所由来の再生可能エネルギーを利用推進し、CO₂排出量ゼロの電気を国内全ての製造拠点で使用しています。さらに、ニュージーランドの自社森林で育てた木材から製造加工した内装建材の製品カタログに、CO₂固定化量を明記することで製品ごとの環境価値を見える化し、木質建材を選択する際の指標の一つとして活用していただくとともに、木質建材の環境価値を訴求する取組みを行っています。クリーンな材料調達の証明としてニュージーランド子会社の全森林・全工場、香港子会社、フィリピン子会社工場、インドネシア子会社工場および国内の木質建材工場において森林認証を取得しています。
b. S/社会(Social)
社会については、第一に「安心・安全・快適な住空間の実現」をマテリアリティと捉え、「人が生き、そして暮らす」という住宅の本質として、お客様にとって住宅はいつまでも美しく丈夫で長持ちし、安全で快適なものであることが重要です。当社グループは木材を扱うプロとして、常に木材の「安心・安全・快適」な住宅部材としての本質を追求していきます。
主な取組みとして、長寿命化住宅実現のための技術・部材開発(耐久性の高い部材やリフォームしやすい内装部材の開発、耐震性の高い構造躯体の実現)や設計から品質管理まですべてのラインにおけるISO9001/14001認証取得と継続的改善を実施し、安全で快適な製品づくりを追求しています。
第二に「労働生産性向上の実現」をマテリアリティと捉えています。建築現場における職人不足などの課題が深刻化していくと予測される中、当社グループでは、長年現場の職人の声を聴き、労務工数を効率化する省施工システムの研究・提案を行ってきました。こうした活動を通じて、社会課題の解決に貢献していきます。
主な取組みとして、建築現場における労働生産性向上のため、省施工商品の開発や構造設計の見直しによる省施工への取組みとともに施工説明書のデジタル化などデジタルコンテンツの充実を行っています。
第三に「挑み成長できる組織づくり」をマテリアリティと捉えています。当社グループは全ての従業員とその家族が心身ともに健康であり、多様な価値観が尊重され、その能力を十分に発揮できる企業を目指しています。
主な取組みとして、持続的な価値向上には従業員の成長とスキルアップが重要と考え、社是「挑む」のとおり、やりがいをもって挑み、成長し続けられるよう、下記「(2)人的資本経営 ①戦略」に記載した人材育成方針・社内環境整備方針に基づき取り組んでいます。
c. G/ガバナンス(Governance)
ガバナンスについては、当社グループでは「公正かつ健全な事業活動の継続」をマテリアリティと捉えています。高い企業倫理の育成と健全な企業風土の醸成を図るため、各種規程やルールを整備し、当社監査役等と連携してこれらを運用・推進しています。さらに、財務報告の正確性と信頼性を確保するための仕組み強化の一環として、内部監査室等の体制面の充実を図っています。
主な取組みとして、新たにサステナビリティ委員会の設置や、公正かつ健全な事業活動の実践として内部管理体制の構築とコンプライアンス規程の整備、継続的啓発の実施等の徹底のもと、高い企業倫理の育成と健全な企業風土の醸成を図り、トップを含めたすべての従業員が、公正かつ健全な事業活動を実践しています。
③ リスク管理
当社グループでは、リスク管理を企業価値向上の重要な取組みと位置付けています。社会的責任を果たし、社会的信用を確保することで、経営方針の実現を阻害するリスクを最大限排除することが重要であると考えており、当社ではあらかじめ事業や投資家の判断に重大な影響を及ぼす可能性があるリスクの評価を行い、想定される重大リスクを抽出しています。抽出されたリスクは、関連する部門、グループ会社と連携して未然に防ぐことのできる仕組みづくりに努めています。
④ 指標及び目標
当社グループでは、ニュージーランド子会社における森林経営において、二酸化炭素を吸収する森林面積を減らすことなく、資源循環型の環境経営を実践しています。また、木材製品を生産し長寿命化住宅を実現することは、植林で吸収した二酸化炭素を炭素として固定する貯蔵庫を生産しているといえます。国内では、バイオマス発電事業や再生可能エネルギーによる電力利用を推進することにより、カーボンニュートラルを目指しています。さらに、クリーンな材料調達の証明としてニュージーランド子会社の全森林・全工場、香港子会社、フィリピン子会社工場、インドネシア子会社工場および国内の木質建材工場において森林認証を取得しています。このように当社グループの事業活動自体が、サステナビリティに関する諸問題に対処する取組みであり、経営目標となります。よって現時点では、サステナビリティに関する目標時期や目標数値等は定めておりません。
(2) 人的資本経営
① 戦略
人材育成方針・社内環境整備方針
当社は、人材ビジョンを「木と人を観る力・活かす力で、独創的な新市場を創り続け、『木のぬくもりと豊かな暮らし』を世界の人々に提供し続けるプロフェッショナル人材」、人事ポリシーを「成果・組織貢献に報いる仕組みを設け、各人と当社の成長のためにチャレンジする行動力のある人材を生み出す」と定めています。ひとり一人の自主自立を軸に、各人の成長に繋がり、また当社の成長戦略を実践することのできる人材育成を目指しています。
主な社内環境整備面の取組みとして、ひとり一人の成果・成果の最大化に向けた行動・組織貢献を軸に、各人の成果を反映した分かりやすい評価、またその成果・組織貢献・チャレンジを軸に、各人の成果・努力・自己成長に報いる処遇を目指して、2023年4月より人事制度を改正し、運用を開始しています。
この人事制度は、女性社員の仕事と育児等の両立支援に係る育児休業、時短勤務、職場復帰や男性社員による育児休業の各種制度と併せ、女性・若手の活躍、高齢者の活躍にも対応できるものとなっています。また、変化の激しい市場環境に対応し、スピード感をもって事業創造できるスペシャリストの活用を強化するための専門職制度等の仕組みも導入しています。
② 指標および目標
当社グループでは、上記「(2)人的資本経営 ①戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、以下の指標および目標を掲げています。定量的な目標設定につきましては、重要な経営課題であると認識し、早期に対応できるよう取り組んでまいります。
当該指標に関する実績は、次のとおりです。
|
指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
|
男性労働者の育児休業取得率 |
男性労働者の子育て目的の休暇取得促進 |
57.1% |
|
労働者の男女の賃金の差異 |
女性社員の役職者の育成・登用の促進 女性社員が安心して長く働ける職場の環境 整備 |
73.7% |
(注) 実績の詳細は、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、後述のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 業績の変動要因について
① 新設住宅着工戸数の減少や職人不足による工期遅れの影響について
当社グループは、住宅建材及び住宅設備機器の製造販売を主たる事業としており、国内販売に関しては新設住宅着工戸数の減少や職人不足による工期遅れがもたらす販売減が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
主な対応策として、新築戸建市場に加えてリフォーム市場や非住宅市場の開拓や海外での販路拡大など新しい顧客開拓に注力するとともに、職人不足に対応した省施工を可能にする商品開発等でその影響の軽減を図っています。
② 原材料の調達リスク及び価格変動リスクによる影響について
当社グループは、床材を主体とした木材の二次加工品の製造および造作材等木質建材商品の加工販売を主要な事業としており、原材料である木材について、調達が困難となった場合や価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
主な対応策として、ニュージーランド子会社であるJuken New Zealand Ltd.において、30年サイクルの循環型の持続可能な山林経営を行い、当社グループの原材料の主要な供給元とすることで木材の調達リスクや価格変動リスクを軽減しています。また、国内産の木材など、ニュージーランド子会社以外からの木材調達についても、調達先の多様化などで安定的な調達に努めています。
③ 木質バイオマス燃料の安定確保の影響について
木質バイオマス発電の運営においては、安定的に燃料を確保することが重要です。当社では、森林から直接産出する「間伐材等由来の木質バイオマス」、当社グループ内も含め製材所や木材加工所から生じる端材・木屑などの「工場残材由来の一般木質バイオマス」、建築解体現場から排出される「建設資材廃棄物由来のバイオマス」に加えて、フィリピン子会社で加工した木質燃料を輸入するなど、安定的に燃料調達を行っています。しかしながら、近隣での新たな大規模バイオマス発電所の稼働や自然災害などの不測の事態が発生した場合、社内外からの木質バイオマス燃料の供給が中断または減少する可能性があります。また、品薄により燃料価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、発電所が重大な故障などによる長期停止が発生した場合に電力売上が減少する可能性があります。
主な対応策として、フィリピン子会社で加工した木質燃料の輸入を増やすことで自社調達比率を上げ、外部調達の影響を縮小しています。加えて「間伐材等由来の木質バイオマス」の供給業者を増やし自然災害リスクの分散を図っています。
発電所の重大な故障等による長期停止に備えて、粗悪な燃料を排除するためのふるい機や選別機の活用や、メーカーによる定期点検、所員による日常点検などを徹底して行っています。また、予兆診断等の所員のレベルアップにも注力しています。
④ 為替変動による影響について
当社グループは、ニュージーランド子会社Juken New Zealand Ltd.からの木材の仕入れに関しては決済条件を円建てとしており、当社は為替の変動による影響は受けないものの、Juken New Zealand Ltd.ではニュージーランドドルの為替相場の変動によって、為替差損益が発生する可能性があります。また、海外子会社の借入金についても、現地通貨以外の通貨建てによる借入金において為替差損益が発生する可能性があります。
主な対応策として、為替変動が当社グループに与える影響度合いを勘案し、必要に応じて為替予約等によるリスクヘッジを行っています。
⑤ 温室効果ガス削減(脱炭素)への世界的な取組みの進展について
気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガス(GHG)の削減を目的とした取組みが世界的に進められています。今後、地球温暖化対策として規制の強化等により、これらに関連する対策費用が増加する場合や、特定地域における法令又は規制を遵守することが困難になった場合、当該地域における当社グループの事業運営が影響を受ける可能性があります。
主な対応策として、ニュージーランド子会社において30年サイクルの循環型の持続可能な山林経営を行い、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガス(GHG)の削減に努めています。同社が経営する約40,000haの森林におけるラジアータパインによる二酸化炭素の吸収量は年間約70万トンになります。温室効果ガスである二酸化炭素は森林で樹木に吸収された後も炭素として木材中に固定されています。木材製品を生産することは植林で吸収した二酸化炭素を炭素として固定する貯蔵庫を生産しているといえます。
2022年4月より当社では、事業活動における環境負荷低減のため、関西電力株式会社が提供する「再エネECOプラントラッキング付帯」を活用し、自社のバイオマス発電所由来の再生可能エネルギーで、実質CO₂排出ゼロの電気を自社工場で使用しています。今後、当社グループは、温室効果ガスの削減(脱炭素)に継続的に取組み、様々な媒体を使って適時に情報開示に努めていきます。
⑥ 固定資産の減損会計による影響について
当社グループは、有形固定資産や美術品等の固定資産を所有しています。これらの資産については、減損会計を適用しています。有形固定資産については、将来のキャッシュ・フローが資産の帳簿価額を回収できるかどうかを検証し、美術品については、美術専門家等の第三者から入手した価格に基づいて回収可能な価額を算定し、減損が必要な資産については適切な会計処理を行っています。しかしながら、将来の環境変化により固定資産の将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合や美術品の回収可能価額が大きく下落した場合、追加の減損処理により、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
主な対応策として、これらの資産価値を定期的に確認し、可能な限り価値低下を招かない方策を継続的に検討・実施しています。
⑦ 情報システムに関するリスクについて
当社グループは、生産、販売、管理等の情報をコンピュータにより管理しています。情報システム及び情報ネットワークは欠くことのできない基盤であり、これらの情報システムの運用については、大規模災害による被災、コンピュータウイルス感染によるシステム障害、ハッキング等の被害によるシステムダウンおよび外部への社内情報の漏洩が生じた場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社の想定を超えた技術による情報システムへの不正アクセスやコンピュータウイルスへの感染等により、当社グループの情報システムに障害が発生したり、外部へ社内情報が流出する事態が発生したりした場合、当社グループの財政状態及び業績に、より大きな影響を及ぼす可能性があります。
主な対応策として、適切なウィルス対策ソフトの導入、ソフトウェア更新による脆弱性解消、不正アクセス常時監視等のセキュリティ対策を講じるとともに、インシデント発生時の対応体制の強化に取り組んでいます。
⑧ 新型コロナウイルス感染症の影響について
2023年5月に新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類感染症」に移行されたものの、今後、感染再拡大により経済活動の停滞が生じた場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
主な対応策として、基本的な感染対策である「3密(密閉・密集・密接)」の回避や適切なマスク着用、手洗い・咳エチケット等を継続し、万一、上記のような事態が発生した場合、社内で定めた緊急時の対応を実施し、影響を最小限にとどめるよう対応します。
⑨ 地震・津波・台風等の大規模な自然災害による影響について
地震・津波・台風等の大規模な自然災害が発生した場合、当社グループの生産・物流・販売活動に影響を与え、財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
大規模な自然災害による被害を完全に回避できるものではありませんが、主な対応策として、当社グループで策定した規程・ルールに基づき、非常時を想定した全社的なリスク管理体制を構築、運営しています。
具体的には安否確認システムの導入や定期的な防災訓練、地震保険への加入などを実施しています。
⑩ 海外展開にともなうリスクについて
当社グループは、ニュージーランド、フィリピン、インドネシアなど海外での投資や事業展開を進めています。これら海外への事業進出には、予期しない法律又は規制の変更、政治又は治安混乱、雇用環境の変化、テロ・戦争等といったリスクを内在しており、これらは今後の事業に影響を及ぼす可能性があります。
主な対応策として、海外の政治・経済情勢の情報収集に努め、必要に応じて外部専門家の助言等も得て、的確かつ迅速に対応しています。
(2) ニュージーランドにおける事業内容及び業績・総資産の推移について
当社グループは、ニュージーランドにおいてJuken New Zealand Ltd.を通じてラジアータパイン等の植林を含む山林経営を行っています。
山林経営は木材市況変化への対応力を高めると同時に原材料調達の安定化や部材調達コストの低減に役立っています。山林経営につきましては、立木の伐採可能量の増加に対応して設備投資が必要となっています。そのため、連結キャッシュ・フローにおきましては、投資活動により使用する資金の多くはニュージーランドにおける投資に充当しています。
ニュージーランドに関する内部取引を含む売上高、経常利益、総資産の推移は次のとおりです。
(ニュージーランドの売上高、経常利益、総資産の推移)
|
|
|
2019年3月期 (百万円) |
2020年3月期 (百万円) |
2021年3月期 (百万円) |
2022年3月期 (百万円) |
2023年3月期 (百万円) |
|
ニュージーランド |
売上高 (注) |
15,481 (7,004) |
15,344 (7,200) |
15,882 (6,711) |
18,270 (6,209) |
18,742 (6,850) |
|
経常利益又は 経常損失(△) |
△1,075 |
△38 |
491 |
△287 |
△917 |
|
|
総資産 |
29,786 |
27,695 |
33,465 |
37,936 |
38,886 |
(注) 売上高下段の括弧内数値は、所在地間の内部売上高又は振替高です。
(3) 有利子負債依存度について
当社グループにおける有利子負債依存度は、2023年3月期末37.7%となっています。当社グループにおきましては、今後も経営資源の効率化等により、有利子負債を適正水準に保つ方針ですが、今後の金利動向等金融情勢の変化によっては当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(有利子負債残高、有利子負債依存度の推移)
|
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
|
総資産(百万円) |
83,884 |
80,688 |
91,142 |
95,062 |
97,018 |
|
純資産額(百万円) |
38,976 |
36,497 |
41,129 |
44,188 |
44,404 |
|
有利子負債残高(百万円) |
32,361 |
30,921 |
35,622 |
33,639 |
36,604 |
|
自己資本比率(%) |
45.2 |
44.2 |
44.0 |
45.2 |
44.6 |
|
有利子負債依存度(%) |
38.6 |
38.3 |
39.1 |
35.4 |
37.7 |
(注) 期末有利子負債残高は、社債及び借入金の合計額です。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス禍からの経済活動の正常化などで、引き続き緩やかな景気回復の動きが見られました。一方、世界的なインフレの進行やこれを受けた米国などでの金利上昇、急激な為替相場の変動などの経済環境の変化が生じ、さらには、長期化するロシアのウクライナ侵攻による資源価格の高騰や中国経済の停滞等による海外景気の下振れにより、わが国経済の先行きも不透明感が強い状況となっています。
住宅業界においては、当社グループの主力販売分野である持家と分譲戸建住宅を合わせた着工戸数は、2021年12月の住宅ローン減税終了前の駆け込み需要からの反動減、資材価格高騰に伴う住宅価格上昇の影響などから前年を大きく下回る水準で推移しています。また、欧米や中国での木材需給の急激な逼迫に端を発した木材・木製品の供給不足や価格高騰については、需給逼迫のピークは過ぎ、木材価格は下落傾向となっているものの、副資材や電力費、燃料費、物流運賃等、さまざまなコストの上昇や高止まりが続いています。
当社グループはこのような事業環境のもと、無垢商品や省施工商品といった付加価値が高い商品を核とした内装建材等の拡販に注力するとともに、国内のリフォーム・非住宅市場や海外市場といった新たな市場のさらなる開拓を進めています。また、デジタル技術などを活用した労働生産性の向上や経費削減への継続的な取組みに加え、生産計画・設計工程ならびに製造ラインにおけるデータ利活用の高度化や、営業部門の業務プロセス改革による効率化と顧客サービスレベルのさらなる向上を目指したDX推進プロジェクトに取り組んでいます。
「脱炭素社会の実現」という世界的な課題に対しては、ニュージーランドの自社森林で育てた木材から加工製造したピノアース商品のCO₂固定化量を2022年度発刊のカタログから掲載し、当社のコア事業から生まれる商品の環境価値の見える化に取組みました。また、事業活動における環境負荷軽減のため、2022年4月より自社のバイオマス発電所で発電された再生可能エネルギー由来で、実質的にCO₂排出量ゼロの電気を自社工場で使用しています。こうした活動に加えて、2023年1月には「ウッドワン サステナビリティレポート2022」を公開、当社のマテリアリティ(重要課題)に対する考え方、具体的な対応事例を中心に記載し、さまざまなステークホルダーの方々とコミュニケーションを図ることを目指しています。
深刻化が続くトラックの運転者不足に対しては、物流の安定的確保や経済成長に寄与することを目的に、国土交通省、経済産業省、農林水産省が提唱する「ホワイト物流」推進運動に賛同、自主行動宣言を提出しました。
原材料の調達先の多様化に向けては、2022年11月、庄原市と当社およびグループ子会社フォレストワンによる立地協定を締結しました。庄原市に工場を新設、製材・乾燥・加工機能を整備(2024年4月予定)し、庄原市を中心とした地域材を活用した商品化・ブランド化を目指します。
国内販売については、「商品にサービスを加えて提供する建材サービス業」を目指し、省施工商品や無垢商品など、お客様にとって付加価値のある商品の拡販に取組み、取引店数のさらなる拡大を進めています。また、度重なる原材料価格や運賃の高騰等のコストアップに対応して、生産性向上によるコストダウンやサプライチェーンの強化に加え、適正な収益確保を行うべく床材・造作材等の販売価格の改定にも継続的に取り組んでおり、「2023年度版カタログ」に掲載する設計価格も2023年4月1日受注分より改定させて頂くこととなりました。
商品開発については、調湿機能、やすらぎ効果、経年美化、断熱効果、衝撃吸収性といった無垢材の特長を活かした無垢商品や、サイズ・カラーが豊富で組み合わせ自由な収納商品、職人不足などの建築現場での課題に対応した省施工商品、安全・安心な素材を使い、鮮やかな色彩や豊富なデザインを揃えた幼保施設向け商品といった付加価値のある新商品の開発にも取り組んでいます。
リフォーム・非住宅市場については、開発営業部、構造システム営業部、商環境開発部といった各専担部署がショールームでのキャンペーンやオンラインセミナーなども活用し、脱炭素社会への取組みや中大規模の建物を木造で建築した実例の紹介などを通じて、リフォーム・非住宅の新規物件や内装材案件の獲得に取り組んでいます。
海外事業については、ニュージーランド子会社では、当社グループ向けの生産数量を確保した上で、原木や木製品などをニュージーランド国内市場や米国市場などへ販売しています。また、インドネシア子会社では、欧米市場向けやインドネシア国内の販路開拓を続け、拡販に努めています。
こうした状況の中、国内だけでなく海外子会社においても、原材料や副資材等の材料費、電力費や燃料費、物流運賃等、さまざまなコストの上昇や高止まりが続いたことに加え、為替の影響もあり、当連結会計年度の連結売上高は、65,829百万円(前年同期比1.1%減)、営業利益は766百万円(同67.4%減)、経常利益は668百万円(同68.9%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は365百万円(同72.1%減)となりました。なお、営業外収益には、排出権収入452百万円、特別利益には投資有価証券売却益253百万円、特別損失には2023年2月にニュージーランド子会社で発生したサイクロン災害による損失143百万円を計上しました。
当連結会計年度における連結財政状態は、為替の影響もあり、前連結会計年度に比べ資産が1,955百万円増加、負債が1,740百万円増加、純資産が215百万円増加しました。資産1,955百万円の増加は、固定資産が274百万円減少したものの、流動資産が2,230百万円増加したことによるものです。流動資産2,230百万円の増加は、現金及び預金が930百万円減少したものの、商品の安定供給に向けた原材料の調達および仕入単価の高騰により棚卸資産が3,809百万円増加したことによるものです。負債1,740百万円の増加は、主に当社およびニュージーランド子会社での増加運転資金の調達などで借入金が2,964百万円増加したことによるものです。純資産215百万円の増加は、主に為替換算調整勘定が127百万円増加したことによるものです。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
a.住宅建材設備事業
住宅建材設備事業では、顧客接点の増強に向け、子育てや保育に関する情報をテレビやSNSで発信している現役保育士「てぃ先生」を案内人とするデジタルカタログ「幼稚園・保育園・認定こども園向け建材カタログ」の発刊(4月)や子育て家族の木壱家が「無垢の木の心地よさの秘密」を解説するYouTubeアニメ「木壱家の人々」の公開(5月)、当社ウェブサイトの商品情報への「無垢が暮らしにできること」コンテンツの追加(5月)などを行いました。「無垢が暮らしにできること」コンテンツでは、ニュージーランドの森で育てたニュージーパインⓇの伐採後、100%再植林を行うことでサステナブルな森林経営と安定した木材供給を30年以上前から継続し、持続可能な社会の実現に取り組んでいることをご紹介するコンテンツとなっています。また、キッチンと併せて節湯やエコ、家事軽減につながる設備機器を提案する「キッチンご成約キャンペーン」を開始(11月)、株式会社ABC Cooking Studio、農林中央金庫と3社連携し、ABC横浜ランドマーククッキングスタジオに「無垢の木のキッチン スイージー」を体感・体験できる展示スペースをオープン(11月)しました。
新築戸建市場においては、「新築戸建オンラインセミナー」を開催(10月、2月)、初期提案から設計・積算業務まで寄り添うウッドワン1棟トータルサポートの提案や、「木心地サイコー」と銘打って、夏も冬も気持ちよく素足で過ごせる無垢の床材の提案などを行いました。
リフォーム市場においては、国土交通省が主導する「こどもみらい住宅支援事業」を活用して、子育て世帯や若者夫婦世帯に向けて、高い省エネ性能を持つ新築住宅や、断熱・バリアフリー商品を用いたリフォーム等の提案を行いました。
非住宅市場においては、「中大規模木造建築オンラインセミナー」を開催(5月、1月、3月)、構造システム営業部が、JWOOD構造材の特長や非住宅向けJWOOD工法による木造非住宅の工法・事例・設計面でのサポートを案内し、新規物件の獲得強化を図りました。また、商環境開発部は、幼保施設向けカタログ「幼稚園・保育園・認定こども園向け建材カタログ」を使って、チャイルドロック、抗菌・抗ウイルスなど安全・安心な商品のポイントを訴求し、設計事務所への提案を強化して非住宅物件向け内装材案件の獲得に努めました。さらに、幼保施設向けの商品、サービスが集うビジネス商談見本市「保育博ウエスト2022」(7月)、「保育博2022」(11月)に出展、現役保育士「てぃ先生」が監修した「(仮称)木とくらす幼稚園の座れるロッカー」等3点を参考出品し、好評価をいただきました。
商品面については、収納商品では「仕上げてる棚板」、省施工商品では「セットオン階段」などの階段商品群や「小壁パネル」が引き続き好調に推移しています。また、新商品については、無垢商品では、デザイン性だけでなく木の味わいや心地よさにまでこだわった床材「足感フロア」を発売しました(6月)。また、空間に広がりを与え開放感を演出する「一枚単板」を採用した床材「コンビットモノ 挽板3.0」を発売しました(6月)。収納商品では、自由なレイアウトが楽しめる収納棚「仕上げてる棚板」に奥行350ミリ、400ミリの新サイズを追加しました(6月)。また、「仕上げてる収納」、「無垢の木の収納」の高さ・奥行のサイズオーダーに対応しました(11月)。
海外事業については、ニュージーランド子会社において、同国内での新型コロナウイルス感染の拡大や人手不足が生産上の制約となったことに加え、海上輸送の混乱等があったものの、販売価格の改定の効果もあり売上高は増加しました。インドネシア子会社では、インドネシア国内物件向けの販売が好調に推移し、欧州市場を中心に海外向けの輸出販売も堅調に推移しました。
こうした活動の結果、当連結会計年度における住宅建材設備事業の売上高は64,777百万円(前年同期比1.1%減)、営業利益は683百万円(同68.3%減)となりました。
b.発電事業
発電事業では、本社敷地内に設置している木質バイオマス発電設備で発電した再生可能エネルギーを、電気事業者にFIT固定価格で全量売電しています。前年同期に比べて特に「間伐材」の不足や価格高騰から燃料代が大きく高騰し、さらに太陽光発電の急増に伴う電力の需給バランスを調整するため、電気事業者から「出力制御」が行われたこともあり、売上、営業利益とも減少しました。
木質バイオマス発電において排出されるCO₂は、木が成長する過程で大気から吸収したものであり、大気中のCO₂量の実質的な増加には繋がらない(「カーボンニュートラル」)とされるものです。森林から直接産出する「間伐材等由来の木質バイオマス」、当社グループ内も含め製材所や木材加工所から生じる端材などの「工場残材由来の一般木質バイオマス」、建築解体現場から排出される「建設資材廃棄物由来のバイオマス」、加えてフィリピン子会社の端材等も燃料用に加工して輸入するなど、さまざまな燃料の調達を行っています。また、粗悪な燃料を排除するためのふるい機や選別機を活用し、安定稼働と出力を維持しています。
この結果、当連結会計年度における発電事業の売上高は1,095百万円(前年同期比4.6%減)、営業利益は82百万円(同58.0%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動により109百万円増加、投資活動により2,944百万円減少、財務活動により1,943百万円増加しました。
営業活動により増加した資金109百万円(前年同期は4,599百万円の資金増加)は、主に棚卸資産が3,791百万円増加したことや法人税等で837百万円の支払いがあったことにより資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益696百万円に非資金項目である減価償却費3,446百万円を加え、売上債権が529百万円減少したことにより資金が増加したものです。
投資活動により減少した資金2,944百万円(前年同期は3,925百万円の資金減少)は、主に投資有価証券の売却による収入372百万円により資金が増加したものの、国内およびニュージーランド子会社等において設備投資および山林投資で3,448百万円支出したことにより資金が減少したものです。
財務活動により増加した資金1,943百万円(前年同期は3,804百万円の資金減少)は、主に既存借入7,459百万円の返済や配当金222百万円の支出により資金が減少したものの、有利子負債の調達などにより10,079百万円の資金が増加したものです。
この結果、現金及び現金同等物は930百万円の減少となり、当連結会計年度末残高は4,548百万円(前連結会計年度比17.0%減)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりです。
|
品目 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
床材 |
4,885 |
111.4 |
|
造作材 |
17,306 |
99.3 |
|
その他建材 |
19,862 |
113.7 |
|
住宅設備機器 |
1,699 |
91.0 |
|
住宅建材設備事業 計 |
43,754 |
106.3 |
|
発電事業 |
910 |
106.3 |
|
合計 |
44,664 |
106.3 |
(注)金額は製造原価により表示しており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
b.受注状況
当社グループの生産は見込み生産を主体とし一部受注生産を行っていますが、その比率は僅少であるため、記載を省略しています。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりです。
|
品目 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
床材 |
7,166 |
93.6 |
|
造作材 |
32,146 |
98.9 |
|
その他建材 |
21,281 |
102.2 |
|
住宅設備機器 |
4,139 |
93.1 |
|
住宅建材設備事業 計 |
64,734 |
98.9 |
|
発電事業 |
1,094 |
95.5 |
|
合計 |
65,829 |
98.9 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
住友林業㈱ |
8,642 |
13.0 |
8,818 |
13.4 |
|
SMB建材㈱ |
8,310 |
12.5 |
8,048 |
12.2 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、企業価値の向上と財務体質の強化を図るための経営指標として自己資本利益率(ROE)の向上を目指し、収益性の改善や自己資本比率の維持・向上に取り組むとともに、事業の拡大と安定的な収益を獲得するため、グループ全体で連結売上高1,000億円を目指しています。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス禍からの経済活動の正常化などで緩やかな景気回復の動きが見られたものの、当社グループの主力販売分野である持家・分譲戸建住宅の着工戸数が住宅価格の高騰などを背景に前年を大きく下回る水準で推移したため、売上高は前年同期と比べ753百万円減収の65,829百万円(前年同期比1.1%減)となりました。一方、世界的なインフレの進行やこれを受けた米国などでの金利上昇、急激な為替相場の変動などの経済環境の変化を踏まえ、今年度も引き続き利益の確保に重点を置き、付加価値の高い商品の拡販や生産の効率化を進めるとともに、全社的な取組みによる経費の抑制に努めました。
しかしながら、原材料や副資材等の材料費、電力費や燃料費、物流運賃等、さまざまなコストの上昇や高止まりが続き、売上総利益率は前年同期比2.4ポイント低下しました。販管費率は前年同期と変わらなかったものの、売上総利益率の低下をカバーするには至らず、営業利益率は前期の3.5%から当期は1.2%に低下、経常利益率は前期3.2%から当期は1.0%に低下、親会社株主に帰属する当期純利益率は前期2.0%から当期0.6%に低下しました。その結果、自己資本利益率は前期3.1%から当期は0.8%に低下、自己資本比率は前期45.2%から当期44.6%に低下しました。
a.経営成績
当連結会計年度は、海外においては、海外子会社のグループ外への販売が増加しましたが、国内においては、主力販売分野である持家・分譲戸建住宅の着工戸数が前年を大きく下回る水準で推移し、連結売上高は65,829百万円(前年同期比1.1%減)となりました。また、原材料価格や物流運賃等の高止まりもあり、売上総利益は17,462百万円(同9.4%減)、売上総利益率は26.5%(同2.4ポイント減)となりました。販売費及び一般管理費は、賞与支給対象期間の変更に伴う移行措置などによる人件費の増加もありましたが、経費の削減に努め、16,696百万円(同1.3%減)となり、販管費率では25.4%(同0.0ポイント減)となりました。その結果、営業利益は前年同期に比べ1,584百万円減少し766百万円(同67.4%減)となりました。経常利益は、ニュージーランド子会社における排出権の売却などもありましたが、前年同期に比べ1,478百万円減少し668百万円(同68.9%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益の計上があった一方、ニュージーランド子会社で発生したサイクロン被害による影響額を災害による損失として計上し、前年同期に比べ942百万円減少し365百万円(同72.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
当連結会計年度における住宅建材設備事業の売上高は64,777百万円(前年同期比1.1%減)となりました。付加価値の高い商品の販売や、全社的な経費抑制の取組みを行ったものの、原材料や副資材等の材料費、電力費や燃料費、物流運賃等、さまざまなコストの上昇や高止まりから営業利益は683百万円(同68.3%減)となりました。
品目別では、床材の売上高は7,166百万円(同6.4%減)となり、前年同期に比べ493百万円減少しました。
造作材の売上高は32,146百万円(同1.1%減)となり前年同期に比べ352百万円減少しましたが、高付加価値商品として注力している収納商品・省施工商品においては、収納商品では「仕上げてる棚板」、省施工商品では「セットオン階段」や「小壁パネル」といった商品の販売実績が好調でした。
その他建材の売上高は21,281百万円(同2.2%増)となり前年同期に比べ450百万円増加しました。特に構造材等の販売実績が好調でした。
住宅設備機器の売上高は、4,139百万円(同6.9%減)と前年同期に比べ305百万円減少しました。
発電事業では、本社敷地内に設置している木質バイオマス発電設備により、電気事業者にFIT固定価格で売電を行っています。前連結会計年度に比べ、特に「間伐材」の不足や価格高騰などから燃料代が大きく高騰するとともに、燃料構成の変化から売電価格が低下、さらに太陽光発電の急増に伴う電力需給バランスを調整するため、電気事業者から「出力制御」が行われたこともあり、当連結会計年度は、売上高が1,095百万円(同4.6%減)、営業利益が82百万円(同58.0%減)となりました。
b.財政状態
当連結会計年度における連結財政状態は、為替の影響もあり、前連結会計年度に比べ資産が1,955百万円増加、負債が1,740百万円増加、純資産が215百万円増加しました。
資産1,955百万円の増加は、固定資産が274百万円減少したものの、流動資産が2,230百万円増加したことによるものです。流動資産2,230百万円の増加は、現金及び預金が930百万円減少したものの、商品の安定供給に向けた原材料の調達および仕入単価の高騰により棚卸資産が3,809百万円増加したことによるものです。
負債1,740百万円の増加は、主に当社およびニュージーランド子会社での増加運転資金の調達などで借入金が2,964百万円増加したことによるものです。
純資産215百万円の増加は、主に為替換算調整勘定が127百万円増加したことによるものです。
② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要は、主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要は、主に材料・外注費及び人件費などの商品の生産活動や販売費及び一般管理費等の営業活動によるものです。また、設備資金需要は、山林投資及び生産設備の新設・更新ですが、通常は減価償却費の範囲内を目安として支出しています。当連結会計年度の設備投資は、主に国内およびニュージーランド子会社における設備投資および山林投資に支出しました。
当社グループは、運転資金と設備資金については、営業収支資金より充当し、不足が生じた場合は有利子負債の調達を実施しています。長期の借入金、社債などの長期資金の調達は、事業計画に基づき調達計画を策定し、金利動向等の調達環境や既存の借入金の償還時期を考慮して調達しています。また、ニュージーランド子会社における設備及び山林の投資資金やインドネシア子会社の新規設備投資については各社の年次資金計画を元に、各社が主に邦銀より調達を行っています。今後、不測の事態により想定を超えて資金面で悪影響が生じることが見込まれる場合には、従来から確保しているコミットメントライン等を活用していく予定です。
なお、当連結会計年度末における借入金及び社債(有利子負債)の残高は、36,604百万円となっています。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,548百万円となっています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。
該当事項はありません。
当社グループでは、ニュージーランドで経営する森林から得られる植林木(森林認証を取得したラジアータパイン)を有効に活用し、「ともに暮らす。木と人と、地球と。」をテーマに、無垢の木のぬくもりある暮らしのご提供を目指しています。近年は、「環境への配慮」と「品質の向上と安定化」のために認証材活用や木材加工技術・品質管理技術の向上を進めるとともに、「安全・健康」と「木からの創造」をテーマとする商品開発を中長期的課題として研究開発を行っています。
当連結会計年度における住宅建材設備事業セグメントでは研究開発費の総額は
当連結会計年度は、無垢や挽板の素材の良さをお届けできるように、「素材感」「心地よさ」「お手入れ」「省施工」をテーマとした商品の開発を行い、また、お客様が商品を選択する際の指標の一つとしてご活用いただくことを目的に、林野庁のガイドラインに沿ってカタログに自社森林由来の商品のCO₂固定化量を掲載するとともに、ピノアース商品のお見積書には物件ごとにCO₂固定化量が表示できる機能を追加し、環境価値を見える化しました。
住宅用建材では、「お手入れしながら、ともにそだつ。」をテーマに、「ウッドワンのながく愉しめる床材」カタログを発刊し、上質な生活機能を備えた床材を発売しました。再造林率100%のニュージーパインⓇを使った床材「ピノアース足感フロア」は、無垢材本来の良さに加え様々な表面加工を施すことにより、感性という新たな付加価値をお客様の暮らしにご提案できるようになりました。床材の表面に厳選した3㎜厚の挽板を使用した「コンビットモノ挽板3.0」は、化粧単板に継ぎ目のない一枚単板を使用し、空間に広がりと開放感を演出することができます。収納商品では豊富なカラーとサイズを揃え、木口までしっかり仕上げることで施工現場の時間短縮を可能とする「仕上げてる棚板」に、奥行250㎜と350㎜を追加。幅広い納まりで省施工提案ができるようになりました。無垢の木の収納については、洗面室などで新たな使い方が提案できるアイテムを追加しました。
住宅設備機器では、無垢の木のキッチン スイージーやフレームキッチンでおすすめレイアウトパッケージを提案するなど、幅広いお客様に選んでいただきやすい商品の充実を行いました。
また、リフォーム市場でのお客様のさまざまなニーズにお応えするため、内装建材においては簡易特注システム「カスタムオーダー」対応の充実を図るとともに、住宅設備機器においても幅広いお客様のニーズに応える商品の充実を行いました。
非住宅市場に向けては、幼稚園・保育園・認定こども園向け建材カタログを発刊。2022年7月に大阪で行われた「保育博ウエスト」に出展し、幼児施設向け商品のご提案を行うとともに、YouTube、Twitterともに60万人超のフォロワーを有する現役保育士である「てぃ先生」とのコラボ商品の先行受注も実施しました。
当社グループでは、今後も新築住宅、リフォーム、非住宅分野など様々な市場で求められるニーズに応える商品やサービスを提供してまいります。