文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、グループの使命・存在意義を定義する経営理念として、「人々に安全を」「社会に価値を」「企業をとりまく人々に幸福を」を掲げております。
「災害の防止を通じ人命と財産の保護に貢献する」ことを基軸とし、社会のニーズに適合した価値ある商品とサービスを提供するとともに、お客様、株主、取引先、その他地域社会の人々及び従業員に豊かな生活と生きがいのある場を提供する一方、地球環境の保全に配慮して活動することを経営の基本方針としております。
(2) 経営戦略等
当社グループは、企業価値向上と持続可能な社会に一層の貢献を果たすべく、中期経営計画「VISION2023」(2021~2023年度)を策定しております。
「VISION2023」では、「将来への戦略投資」を確実に実行し、「経営体質改善」と「財務基盤強化」により、「営業利益率」の改善と、「ROE」の維持を目指します。
経営理念を真に実践できる企業集団を目指し、中期ビジョンとして「魅力あるグローバルブランドへの挑戦」を掲げ、不透明な経営環境にあっても持続的成長を実現するため、各事業分野における選択と集中を通した企業価値の最大化を図ってまいります。
そのために、防災事業を核とする企業活動を通して安全・安心な社会の構築に貢献するという経営目標のもと、高品質な製品・システムの提供や、収益性を重視した製造・販売・施工・保守体制の充実を図ってまいります。
(3) 経営環境
当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症にかかる活動制限の緩和を受け、経済活動の正常化に向けた動きがみられるものの、依然としてエネルギー価格、原材料価格の高騰による物価高の継続や物流費用の高止まり、電子部品を中心とした部品調達リスク等をはらんでおります。
このような環境の中、当社グループは、経営理念である「人々に安全を」「社会に価値を」「企業をとりまく人々に幸福を」を具現化し、企業価値向上と持続可能な社会に一層の貢献を果たすべく、中期経営計画「VISION2023」の達成に向けて施策を実行し、企業体質変革を実現します。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 「競争優位性の高いビジネスモデル」の追求・持続的成長の実現
国内におきましては、効率的な顧客循環サイクルを踏まえた施策を実施します。
防災事業につきましては、CRMを最大限活用し、効果的に新築・リニューアル需要を取り込みます。メンテナンス事業におきましては、更なる安定成長を目指し、業務品質の向上を図りながら、デジタル技術を活用した付加価値サービスの提供に向けた施策を進めます。
情報通信事業等につきましては、今後も市場成長が見込まれるセキュリティ分野へ注力するとともに、アライアンス先との連携を強化し、提案型営業のビジネスモデルを確立します。
海外におきましては、継続する市場成長を背景に、当社の成長シナリオの中心として位置付けております。戦略製品である新型受信機を軸に、火災報知設備を構成する製品群のシステム販売を推進するとともに、建物規模の大きな市場や新規顧客へ営業領域を拡げるなど、市場の深耕を図ります。また、欧州、米国、アジアパシフィックの主要地域を中心に、地域ごとの最適なビジネスモデルを展開し、当社の強みである技術サポート力を活かしながら、海外事業の着実な伸長を目指します。
② 持続的な成長を支えるモノづくり基盤の強化
将来に向けた基礎研究や要素技術開発を強化するなど、中長期的な視点で「モノづくり力」を高めます。また、将来にわたって、高品質で、コスト競争力のある製品を適切な納期で提供できるよう、商品企画・開発から部品調達・生産技術・製造までのグローバルでのサプライチェーンマネジメントの再構築を進めるとともに、新たな付加価値商品の創出に向けた取り組みを推進します。
③ 環境変化に適応した経営改革
当社グループの持続的な成長を図るため、競争力強化に向けたグローバル・高度専門人材の積極登用やジョブ型人事制度の整備、従業員エンゲージメントの向上や高齢者・女性の更なる能力発揮など、多様性を経営に活かす施策を実施します。また、資本効率を意識した事業運営により、財務の健全性の維持・向上に努めるとともに、新たな企業価値を提供するDX(デジタル・トランスフォーメーション)の展開や、環境、社会貢献等、将来への戦略投資につきましては、投資マネジメントの精度向上を図りつつ、着実に実行します。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「VISION2023」では、「将来への成長投資」を確実に実行し、「経営体質改善」と「財務基盤強化」により、「営業利益率」の改善と、「ROE」の維持を目指します。2023年3月期において海外事業の計画を超える販売拡大が進み、「VISION2023」で目標と定めた売上高80,300百万円を前倒しで達成しております。また、2024年3月期においては営業利益も目標額に到達する計画ですが、採用活動の強化やコロナ禍の収束に伴う活動費の増加、開発案件の進捗に伴う研究開発費の増加等により販売費及び一般管理費が増加する計画としており、売上高営業利益率及び自己資本利益率は目標値を下回る想定です。上記に伴い、2024年3月期の経営目標を次のとおり掲げております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「ESG基本方針」に従って、健全で透明性の高いコーポレート・ガバナンスの充実や脱炭素社会の実現に向けた活動の推進を図るとともに、将来の労働力の変化を見据えた就労環境の整備や健康経営の推進等により、多様な価値観を持つ人材が個性や能力に応じて活躍できる組織を構築し、社会と共生していく「魅力あるグローバルブランド」に向けて挑戦してまいります。
ESG基本方針
ホーチキグループは、「人々に安全を」「社会に価値を」「企業をとりまく人々に幸福を」を経営理念に掲げています。
この実践を通じ、お客様や社会が抱える課題の解決に向け果敢に挑戦しつづけることこそが、私たちの存在意義です。
私たちは、社会の皆様とともに成長し続ける企業であり続けたいと考えています。
持続的に事業を成長させ、安全・安心な世の中の構築に貢献し続けられる企業を目指します。
1.環境(Environment)
地球温暖化防止につながる脱炭素社会づくりに向け、従業員一人ひとりがグローバル社会の一員としての当事者意識を持ち、日々の業務や生活の中で責任ある小さな行動を積み重ねます。
併せて、安全・安心を世の中にお届けする当社の使命に則り、商品の製造やサービスの提供を通じて環境保全への貢献を追求していきます。
2.社会(Social)
性別・年齢・国籍等にとらわれない多様な価値観を尊重し、能力発揮機会の提供と労働環境の整備を推進するとともに、様々なステークホルダーと積極的につながりながら、従来の延長線上にない競争力と働きがいを創出していきます。更に、世の中の技術革新や働き方の変化へ柔軟に適応し続けることで、事業の成長や生産性の向上を目指します。
その活力の源泉となるのは心身の健康です。ホーチキグループで働く一人ひとりが自らの人生を充実させることができるワークライフバランスの実現を目指していきます。
また、社会・地域貢献活動にも積極的に取り組み、社会の一員として持続可能な社会の発展に貢献する役割を果たしていきます。
3.ガバナンス(Governance)
持続的に社会へ価値を提供するために、経営の透明性を高め、外部の多様な視点や意見を積極的に取り入れることで企業価値を向上させていきます。
また、グローバルに事業展開している企業の責任として、コンプライアンス遵守やハラスメント撲滅等の世界共通の基本を徹底し、世界中のステークホルダーとの信頼関係を築いていきます。
なお、取組みや推進体制については、当社ホームページにおいて公表しております。
URL: https://www.hochiki.co.jp/corporation/csr/
当社は、人的資本や気候変動を含むESG課題に取り組むため、定期的に「ESG戦略委員会」を開催しております。
「ESG戦略委員会」での審議内容は、取締役会へ四半期ごとに定例報告を行い、目標や進捗等のモニタリングにより監督体制を構築しております。また、取締役会で決定された事項については、各本部及び各グループ会社に展開され、それぞれの経営計画や事業運営に反映しております。
① 人的資本
当社グループは、「多様性を強みに変える人材開発体系構築」を全社戦略として掲げており、同戦略を踏まえ人材育成方針・社内環境整備方針を策定し、実行していきます。
a.人材育成方針
事業戦略と連動する当社グループの持続的な成長を図るため、「通年採用・ジョブ型雇用も見据えた人材採用戦略展開と制度整備」「新時代のグローバル経営に適応するリーダー育成計画の展開」を掲げて実行しております。
人材採用戦略の一環として、必要な高度専門人材の採用を実現するとともに、専門人材の育成実施に取り組んでおります。今後、更なる高度専門人材の教育基盤整備や、ジョブ型雇用等の処遇基盤整備を推進していきます。
さらに、リーダー育成計画展開の一環として、当社幹部候補人材に対し異業種他社幹部候補人材を交えたリーダーシップトレーニングを実施しております。今後は、社内人材ポートフォリオを見える化し、後継者育成計画(サクセッションプラン)に紐づける形で人材育成のプラットフォーム整備を行ってまいります。
また、2023年度よりESG戦略委員会内にダイバーシティ&インクルージョン推進部会を立上げ、多様な人材がイキイキと活躍するための基盤づくりを強化しております。同時に「ホーチキグループ ダイバーシティ&インクルージョン宣言」をリリースし、今後も多様な働き方に適した就業環境・仕組みの整備や能力向上機会の創出のために、施策を展開していきます。
女性の活躍が当社の活力となることを期待し、現在は当社単体で1.8%(当社グループ全体で4.3%)である女性管理職比率を段階的に引き上げ、2030年度において当社単体で10.0%、当社グループ全体で15.0%を目標としております。
なお、推進体制及びホーチキグループ ダイバーシティ&インクルージョン宣言については、当社ホームページにおいて公表しております。
b.社内環境整備方針
当社は風通しの良い文化醸成ならびに部下育成・キャリア実現のために、上司と部下による1on1ミーティングを開始しました。今後、グループ会社においても1on1ミーティングを実施していく方針です。また、ワークライフバランスを推進しており、男性従業員の育児休業取得、場所にとらわれない柔軟な働き方などに取り組んでおります。
男性従業員の育児休業取得率は、2020年度では0.0%でしたが2022年度は15.0%を超える水準となりました。場所にとらわれない柔軟な働き方について、テレワーク活用率(在宅勤務・直行直帰を含む)を2023年度は23.0%とすることを目標としております。
加えて、施工部門ではタブレット端末を導入し、図面閲覧クラウドサービスを活用して図面のチェックや情報の取得・交換を可能にするなど、施工業務の効率化を推進しております。
また、健康経営を重視し、健康経営優良法人制度により「健康経営優良法人2023」に認定されました。
② 気候変動
当社は、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による
当社における事業への影響の概要は次のとおりです。
a.気候変動に関する主なリスクと機会
b.気候変動への対応策
グループ全体のリスクを掌握し、管理の実効性を高めるため、「リスク管理・コンプライアンス委員会」を設置しております。
人的資本や気候変動などESG関連リスクについては、「ESG戦略委員会」を中心に検討を行い、リスクに関する分析、対策の立案と推進、進捗管理等を実践しております。
今後は、「ESG戦略委員会」と「リスク管理・コンプライアンス委員会」とが連携しながら、全社的なリスクマネジメント体制を構築していきます。
① 人的資本
当社グループでは、上記「(2) 戦略 ① 人的資本」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
② 気候変動
当社は、地球温暖化が社会全体に対する脅威となることに鑑み、Scope1・2(当社自身の事業活動)においてCO2排出量を、2019年度比で2030年度までに30%削減、2050年度には実質ゼロ、カーボンニュートラルにすることを目標に掲げております。今後は、グループ全体及びScope3(サプライチェーン全体)のCO2排出量の計測・管理を進めていきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場リスク
当社グループの事業は、「防災事業」「情報通信事業等」ともに、国内外の設備投資や建設市場の動向に影響を受けます。
特に国内市場では、少子高齢化に伴って建設市場の成長が減速していく可能性が高く、減速した場合には当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、持続的な成長に向け、収益性を高め、将来に向けた戦略的な投資を実施していくと同時に、海外事業を成長ドライバーと位置付けております。
海外市場においては、戦略商品として市場投入した新型受信機を軸に、火災報知設備を構成する製品群のシステム販売を進めることで、段階的に海外事業の拡大を図っており、全事業に占める売上高比率を高めることを目指しております。また、DXによる生産性の向上と事業領域の拡大に取り組んでおり、従来の枠を超えた顧客価値の創造を目指しております。
(2) 地政学的リスク
当社グループは、英国その他の海外各地で事業活動を営んでおります。そのため、米中の貿易摩擦等の地政学的リスクによる影響が顕在化した場合には当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、ロシア、ウクライナの顧客に対する販売高が全体に占める割合はごく僅かでありますが、ウクライナ情勢が及ぼす金融やサプライチェーンへの影響が当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、各海外グループ会社との連携を強め、定期的に当社の経営委員会に海外グループ会社メンバーを参加させるなど、情報共有を行っております。加えて、(4) 部品・原材料等の供給リスクに示すとおり、可能な限り一社からの集中購買は避けるようにしております。
(3) 法的規制等リスク
当社グループが提供する火災報知設備に関する生産品等は、消防法その他関係法令により、設置等が義務付けられております。今後、社会情勢等の変化により、適宜、法令の改正ないし解釈の変更等が行われる可能性があります。また、当社グループの製品は、各国の認証機関の認証を受けて販売しておりますが、国によって製品の規格が異なるため、ある国では認証を受けられても、他国では認証取得に時間を要することがあります。
建設業については、2024年4月より改正労働基準法に基づき時間外労働時間の上限が見直しとなるため、人員の確保や受注量を抑える必要が生じる可能性があります。
これらの事象により、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、関係法令の改正等があった場合に速やかに対応できるよう、動向について継続的に情報収集を行っております。また、時間外労働時間の上限見直しについては、ITを活用した施工支援ツールによる効率化などを推進し、施工現場における業務負荷の軽減に取り組んでおります。
(4) 部品・原材料等の供給リスク
当社グループにおいて、サプライヤーから供給を受けている部品や原材料等の価格が需給環境の変化等により高騰した場合や、世界的な供給難、サプライヤーの災害や倒産等により部品や原材料等の供給が不足して当社グループ製品の製造に支障を来した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
部品や原材料等の種類によっては、特定のサプライヤーに依存せざるを得ない場合もありますが、可能な限り一社からの集中購買は避けるようにし、最適なサプライチェーンの再構築に取り組んでおります。
(5) 品質管理リスク
生産品や設置工事等において品質不具合が生じた場合、対象製品の単価や販売実績、工事物件の規模等によっては、損害が膨らみ、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの火災報知設備に関する生産品の大部分については、日本消防検定協会による検定品及び日本消防設備安全センター等による認定品を提供しており、また、設置工事等については、消防検査の義務付けがあるものは検査に合格したものを納入しております。また、当社グループ内においては、PL委員会等の設置により徹底した品質管理を実施しております。
(6) 自然災害リスク
当社グループやサプライヤーの事業所や工場が地震等の自然災害を被った場合、事業活動に影響が生じ、結果的に経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループでは、自然災害の発生時においても製品の供給やサービスの提供を果たすため、各本部・会社別の事業継続計画(BCP)基本計画書を策定するとともに、当社役職員やサプライヤーを対象として机上訓練を実施しております。また、BCP視点において、部材調達網の見直しを進めてまいります。
(7) 気候変動リスク
気候変動に伴うリスクとしては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 戦略 ② 気候変動 a.気候変動に関する主なリスクと機会」に記載のとおり、夏季の平均気温上昇に伴う熱中症対策の雇用コスト増加、生産性低下等の各種リスクを想定しております。これらのリスクが顕在化した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、対応策については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 戦略 ② 気候変動 b.気候変動への対応策」に記載のとおりです。
(8) コンプライアンスリスク
独禁法違反、外国公務員等贈賄法制違反、建設業法違反、各国個人情報保護法制違反等の重大な法令違反や長時間労働等に起因する労務災害が生じた場合には、課徴金や営業停止、損害賠償等の法的リスクが想定され、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、関連規程を制定し、申請・届出による事前チェック体制の整備や、内部監査による遵守状況の確認等を行うとともに、法令遵守のための定期的な社内教育を行っております。
(9) 為替変動リスク
当社グループは海外でも製品の生産、販売事業を展開しており、また輸出入もあるため、為替レートが大きく変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、為替予約等によるヘッジを行い、為替変動リスクの軽減に努めております。
(10) 保有株式関連リスク
当社は、取引関係を維持、強化する目的で取引先の株式を政策的に保有することがありますが、株式市況の低迷等が生じた場合には、政策保有株式について売却損、評価損が生じ、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社では「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおり、政策保有株式の貸借対照表計上額の総額が、直近の期末における連結純資産の10%を超えないこと等をルール化して、保有をコントロールしております。
当社グループは、債権の貸倒れに備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能額に対して貸倒引当金を設定しておりますが、実際の貸倒れが当該前提等を大幅に上回り、貸倒引当金が不十分となることがあります。
また、経済状況全般の悪化により、設定した前提等を変更せざるを得なくなり、貸倒引当金の積み増しを実施する可能性があります。
これらの場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、取引先について与信管理を徹底しております。
当社グループの従業員退職給付費用及び退職給付債務は、割引率等数理計算上で設定されている前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されます。今後、年金資産の運用環境の悪化等から数理計算上の差異が発生する可能性及び前提条件について再検討する必要が生じる可能性もあります。
その場合、退職給付債務の増加等、費用処理される債務金額が増加することにより、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、退職給付債務の把握、年金資産の運用状況のモニタリングを定期的に行い、年金資産の運用配分の見直しを検討するなど対応しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限の緩和により社会経済活動が正常化に向かう一方、ウクライナ情勢の長期化を背景に、世界的な電子部品の需給逼迫や、資源価格・原材料価格の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
防災・情報通信業界におきましても、原材料価格や労務費、並びに物流費の上昇など、収益に影響を及ぼすリスクが顕在化しております。
このような状況のもと、当社グループは、全社を挙げて営業活動を推進してまいりました結果、当連結会計年度における経営成績は、次のとおりとなりました。
当社が経営上の目標の達成状況を判断するための経営指標としている自己資本利益率(ROE)は、自己資本の増加により、10.0%(前連結会計年度比0.1ポイント減)となりました。
また、2023年3月末のWACC(加重平均資本コスト)は4.76%、株主資本コストは4.83%と推定しております。
営業利益の主な増減要因は次のとおりであります。
<売上高による影響> 1,369百万円
国内事業におけるリニューアル事業・メンテナンス事業が好調に推移したことに加え、海外事業において部品調達難による製品供給難が下期から回復へ向かったことやシステム販売拡大施策の進展によるものであります。また為替レートの円安進行も寄与いたしました。
<売上原価率による影響> 243百万円
原材料調達価格及び物流費用上昇の影響はあるものの、前年に発生した製品補償引当金計上の反動減により売上原価率は改善いたしました。
<販売費及び一般管理費による影響> △1,503百万円
人員増及び労働条件改善等に伴う人件費の増加やコロナ禍収束へ向かう中での活動費の増加、成長のための研究開発費の増加が主な要因であります。
事業別の概況は次のとおりであります。
(防災事業)
当セグメントは、火災報知設備及び消火設備の2つの事業領域で構成されており、保守事業、海外事業もこのセグメントに含まれております。
当連結会計年度における売上高は、71,594百万円(前連結会計年度比5.0%増)となりました。これは主に、海外事業の増収及び国内事業におけるリニューアル事業・メンテナンス事業が安定的に推移したことによるものであります。
海外事業における売上高は16,631百万円(同23.3%増)となりました。これはシステム販売拡大施策の進展によるものであります。地域別では、全地域で増収を実現しております。
セグメント利益は10,002百万円(同3.1%増)となりました。増益となっておりますのは、主に海外事業等の増収の影響によるものであります。
(情報通信事業等)
当セグメントは、情報通信設備及び防犯設備等の2つの事業領域で構成されており、屋内放送設備、インターホン設備、ITV設備、出入管理システムのほか、テレビ共同受信設備やその技術を活用したCATV/光伝送システム等が含まれております。
当連結会計年度における売上高は、13,863百万円(同6.3%増)となりました。これは主に、情報通信設備セグメントで非常放送設備が好調に推移したことによるものであります。
セグメント利益は525百万円(同6.9%増)となりました。これは、主に増収によって売上総利益が増益となっていることによるものであります。
次期(2024年3月期)の業績見通しにつきましては、売上高86,500百万円(当連結会計年度比1.2%増)、営業利益6,100百万円(同9.1%増)、経常利益6,100百万円(同4.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,500百万円(同1.7%増)を見込んでおります。
次期の外部環境におきましては、半導体を中心とした電子部品の需給逼迫による生産遅延等先行きに不透明感はあるものの、防災・情報通信業界における需要環境は前年に引き続き堅調に推移することを想定しております。
当社の成長事業として位置付けております海外事業においては、戦略パネルを核としたシステム販売の拡大施策を進めることで、1,268百万円の増収を見込んでおります。
結果として、連結売上高は、1,042百万円の増収となる見込みであります。
営業利益は、増収の影響に加えて売上原価率低減の取り組みを継続すると同時に、将来に向けた研究開発投資の実施により、509百万円の増益となる見込みであります。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は全て販売価額(取付工事代を含む)に換算してあります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は全て販売価額(取付工事代を含む)に換算してあります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は全て販売価額(取付工事代を含む)に換算してあります。
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産の残高は、前連結会計年度末の残高と比べ2,828百万円増加し、58,368百万円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産の増加によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産の残高は、前連結会計年度末の残高と比べ1,075百万円増加し、19,447百万円となりました。これは主に、建設仮勘定の増加によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債の残高は、前連結会計年度末の残高と比べ414百万円増加し、24,674百万円となりました。これは主に、電子記録債務の増加によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債の残高は、前連結会計年度末の残高と比べ4百万円増加し、6,801百万円となりました。これは主に、役員株式給付引当金の増加によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末の残高と比べ3,485百万円増加し、46,340百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高18,617百万円及び営業活動による資金の増加415百万円を原資として、投資活動において2,203百万円、財務活動において1,618百万円をそれぞれ使用しております。
したがって、当連結会計年度末の資金の残高は、15,310百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、415百万円(前年同期に得られた資金は7,792百万円)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益の計上などにより資金が増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,203百万円(前年同期に使用した資金は669百万円)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得などにより資金が減少したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,618百万円(前年同期に使用した資金は1,221百万円)となりました。
これは主に、配当金の支払などにより資金が減少したものであります。
(キャッシュ・フロー指標)
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額(※)/総資産
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループでは、手元流動性の向上を進めながら、当期純利益の一定割合を成長投資枠として充当することを資金配分の基本方針としております。配当においては、株主還元水準を安定的、持続的に維持することを基本原則とし、連結株主資本配当率(DOE)によりROEを高める成長投資と配当性向のバランスを考慮しております。
これら成長投資、株主還元、運転資金等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローによる自己資金で充当しております。また、当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、キャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ全体の資金効率化を進めております。また、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料費、試験研究費、販売費一般管理費等の営業費用であります。成長投資を目的とした資金需要のうち主なものは、試験研究費や生産設備等の設備投資であります。
また、当社グループは、主要取引金融機関との間で長期間にわたり築き上げてきた良好な関係を維持しており、経営に必要な運転資金及び設備投資資金等の調達は問題なく実施可能と認識しております。
さらに、国内金融機関において50億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の流動性も確保しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、中期経営計画「VISION2023」として「魅力あるグローバルブランドへの挑戦」というグループビジョンを実現するため、経営理念である「人々に安全を」「社会に価値を」「企業をとりまく人々に幸福を」を具現化させた防災事業及び情報通信事業等に係る商品開発、研究活動を継続的に行ってまいりました。また、新たな付加価値商品を創出し、よりお客様のニーズにマッチした商品開発の推進、さらには将来に向けた基礎研究や要素技術開発に邁進してまいりました。
当連結会計年度の研究開発費として
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
防災事業
「防災によって社会に貢献していく」という創立以来の使命を実践していくため、誰もが安心して暮らせる社会、災害による犠牲者ゼロの世の中を目指して、安全・安心な暮らしを提供するための商品開発を行っております。
当連結会計年度においても、日本国内及び海外向けの火災報知設備、消火設備を開発しております。
火災報知設備においては、火災感知器などのセンシング機器、防災受信盤を含めたシステム制御機器の開発を行っており、また国内外の規格に準拠するだけでなく、お客様へより安全・安心を提供する信頼性を向上させた商品の開発を行っております。
当連結会計年度においては、自動火災報知設備と集合住宅インターホンシステムを一体化したホーチキ独自の一体盤システムを発売開始いたしました。当製品は、あらゆる人が使いやすいよう画面デザインを改良し、警報やインターホン通話の機能を充実させました。また、管理室親機を盤上に設置し、インターホン機能を集約させることで、省スペース化と操作性の改善、さらには幹線統合により省配線化を実現しております。
また、非常電話装置では、親機と中継器間に伝送方式を採用することで省配線化し、接続可能な非常電話子機を大幅に増加させました。
炎感知器では、防塵防滴性能を向上させつつ施工性の改善、お客様のニーズ・環境を考慮した開発を行ってまいります。
さらに、将来に向けた基礎研究や要素技術開発を強化し、100年を超えてなお成長・発展する土台を作るため、企業や大学と積極的に連携して「モノづくり力」を高めております。
防災事業に係る研究開発費として、当連結会計年度で
情報通信事業等
情報通信事業等においては、お客様のニーズにマッチさせた出入管理システムの商品開発を中心に活動してまいりました。
情報通信事業等に係る研究開発費として、当連結会計年度で