第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、究極的に成し遂げようという事業の志である「一人ひとりの、生きるに、活きる。」を起点とし、基本的な価値観である経営理念「自然と健康を科学する」、社会から必要とされる存在意義である企業使命「漢方医学と西洋医学の融合により、世界で類のない最高の医療提供に貢献します」を基本理念として掲げ、理念に基づく経営を継続的に実践しております。

 

(2)経営戦略等

当社グループでは、2022年4月1日、TSUMURA Group DNA Pyramidを刷新し、プリンシプル「順天の精神」及び究極的に成し遂げる事業の志であるパーパス「一人ひとりの、生きるに、活きる。」を新たに制定しました。また、サステナビリティビジョン「自然と生きる力を、未来へ。」と、3つの“P”(PHC:Personalized Health Care 一人ひとりに合ったヘルスケア提案、PDS:Pre-symptomatic Disease and Science “未病”の科学化、PAD:Potential-Abilities Development 潜在能力開発)を通じて、心と身体、個人と社会が「“Cho-WA”(調和)のとれた未来を実現する企業へ」を掲げた、長期経営ビジョン「TSUMURA VISION “Cho-WA” 2031」を策定しました。

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ツムラグループのサステナビリティビジョンは、長期経営ビジョンの上位に位置づけられるものであり、漢方バリューチェーンを通じてツムラグループだからこそできる、持続可能な社会の実現を目指しています。そのために、ツムラグループが優先的に取り組む必要のある重要課題(マテリアリティ)を特定し、事業を通じた社会課題の解決と経営基盤の強化の両面から取り組みを行っています。

 

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2022年5月10日に公表した、第1期中期経営計画(2022年度-2024年度)は、長期経営ビジョン実現のための基盤構築のステージとして位置づけ、成長(事業規模の拡大)と収益力(利益率の向上)による企業価値の向上を目指し、取り組んでまいります。

第1期中期経営計画 戦略課題

① 医師一人ひとりにあった漢方ソリューションの提供による漢方市場の継続的拡大

② KAMPOmicsによる漢方のエビデンス構築と未病の科学化の推進

③ 中国における生薬・飲片の売上拡大と中成薬事業への参入

④ 漢方バリューチェーン改革に向けたIT基盤刷新と生薬選別、製造工程におけるAI・ロボット活用の推進

⑤ 組織資本・人的資本による価値の創造と働きがい改革の推進

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

第1期中期経営計画(2024年度)数値目標は以下のとおりです。

 

2024年度

売上高

1,620億円以上

営業利益

290億円以上

ROE

8%以上

前提条件:(薬価改定)   2022年度、2023年度、2024年度

(為替レート) 2022年度   19.5円/元、125.0円/米ドル

2023-24年度 19.0円/元、120.0円/米ドル

■企業価値の向上

 第1期中期経営計画では、5つの戦略課題に取り組み、さらなる成長(事業規模の拡大)と収益力(利益率の向上)による財務基盤の改善、事業を通じた社会課題解決への貢献により、企業価値を高めていきます。また、将来に向けた成長投資として国内外での大型投資を実施いたします。

 

成長(事業規模の拡大)

 TSUMURA VISION“Cho-WA”2031においては、海外事業比率50%を掲げ、成長(事業規模の拡大)により将来キャッシュ・フローを創出いたします。

 第1期中期経営計画では、国内事業において、処方医師数の増加に伴う市場拡大により、持続的な安定成長を目指します。また、中国事業においては、生薬プラットフォームでの飲片※1の販路拡大などにより高成長を目指し、製剤プラットフォームでの中成薬※2企業のM&Aによる基盤構築を早期に進めていきます。

収益力(利益率の向上)

 TSUMURA VISION“Cho-WA”2031においては、スマートファクトリー化や生産性2倍を掲げ、収益力・利益率の向上を目指します。

 第1期中期経営計画では、天津工場の稼働や資源価格の高騰、為替の影響などにより、営業利益率は一時的に低下するものの、事業規模の拡大とともに、労働生産性向上による原価低減、販管費の圧縮をすることにより向上する見通しです。

 

将来に向けた成長投資

 第1期中期経営計画では、将来の成長(事業規模の拡大)に向けて、生産能力の増強及び自働化・DX化への先行投資をいたします。国内事業関連投資として、国内での製造工程(抽出・乾燥、造粒、包装・表示)及び天津津村での抽出・乾燥工程に約1,000億円、中国事業関連投資として、中薬研究及びIT基盤構築に約150億円、合計約1,150億円の投資を計画しております。このように、生産能力の増強だけではなく、革新的な自働化設備の開発やDX推進のためのIT投資を実施することで、効率化・省人化による生産性向上を推し進め、大型投資に伴う原価の上昇を最小限に抑えていきます。なお、中国の製剤プラットフォームにおける中成薬企業のM&Aの投資は含めておりません。

 

-戦略課題-

 第1期中期経営計画では、5つの戦略課題に取り組み、さらなる成長(事業規模の拡大)と収益力(利益率の向上)による財務基盤の改善、事業を通じた社会課題解決への貢献により、企業価値を高めてまいります。また、将来に向けた成長投資として国内外での大型投資を実施してまいります。

 

① 医師一人ひとりにあった漢方ソリューションの提供による漢方市場の継続的拡大

・漢方医学に基づき、10処方以上の漢方製剤を処方する医師が2人に1人以上となる医療現場の実現に貢献できるよう、情報提供活動の進化・定着を図る。

・漢方デジタルソリューションとして、ハイブリッド型プロモーションをより進化させ、医療従事者一人ひとりが必要とする情報を最適なチャネルから適切なタイミングで入手し、ご活用いただけるよう、当社メディカルサイトを拡充する。

・「高齢者関連領域」、「がん領域(支持療法)※3」、「女性関連領域」を重点領域とし、育薬処方※4、Growing処方※5及び診療領域基本処方※6を中心に情報提供の量・質を飛躍的に向上させる。

 

② KAMPOmics※7による漢方のエビデンス構築と未病の科学化の推進

・漢方治療の個別化のためのプラットフォーム構築に向けて、漢方医学に基づく診断方法である望診及び問診の診断サポートツールを開発し、そのテスト運用を開始する。

・未病の科学化への取り組みとして、未病状態を科学的に解明し、定義化する。

・漢方治療の標準化のさらなる展開のため、重点領域を中心にエビデンス集積を推進し、診療ガイドラインへの新規収載及び推奨度の向上を目指す。

・米国におけるTU-100(大建中湯)上市に向けた開発を推進する。

 

③ 中国における生薬・飲片の売上拡大と中成薬事業への参入

・高品質な生薬・飲片・「薬食同源」製品※8の安定供給とブランド化を通じて、中薬※9業界のリーディングカンパニーに成長する。

・原料生薬は、品質や取扱量、価格などにおいて、優位性のある品目数を増やす。

・飲片は、重点品目を中心に、公立病院の販路及びオンライン販売を継続拡大する。

・「薬食同源」製品は、優位性のある生薬を用い、高付加価値で養生のニーズに沿った製品を開発する。

・古典処方※10を保有する中成薬企業のM&Aを完了し、上市申請をする。

 

④ 漢方バリューチェーン改革に向けたIT基盤刷新と生薬選別、製造工程におけるAI・ロボット活用の推進

・先進技術による設備の自動化、データ有効活用による新たな生産システム構築のためのデータ収集とデータの見える化、価値創造業務への転換に向けた省力化、作業負荷の軽減を実施し、労働生産性を20%向上させる(対2021年度)。

・生薬AI自動選別機を4拠点(石岡センター、夕張ツムラ、深セン津村、盛実百草)に導入し、AI自動選別が可能な品目数を順次増やす。

・ツムラ生薬GACPの運用により蓄積された生薬栽培に関する様々な情報を、生産性向上や品質・安全性の確保などにつなげる研究を実施する。

・漢方バリューチェーンの効率化及びデータドリブン経営の実現に向けて、グループ全体のIT基盤を刷新する。

 

 

⑤ 組織資本・人的資本による価値の創造と働きがい改革の推進

・パーパスを掲げた理念経営・ビジョン経営を実践し、当社グループを牽引する人財を養成するため、各種養成プログラムの実施、タフアサインメント、アセスメント、選出の仕組みを高度化する。

・理念を求心力とした組織作りにより、一人ひとりの働きがいを高め、“潜在能力”を自ら発揮できる企業文化を醸成する。

 

※1 飲片

原料生薬を切裁したもの。刻み生薬。

※2 中成薬

中医学の理論に基づいた処方を顆粒や丸剤等の形にした薬剤。

※3 がん領域(支持療法)

がんそのものに伴う症状や、がん治療による副作用の症状を軽減させる等の治療。

※4 育薬処方

近年の疾病構造を見据え、医療ニーズの高い領域において新薬治療で難渋している疾患で、医療用漢方製剤が特異的に効果を発揮する疾患に的を絞り、エビデンス(科学的根拠)を確立する処方。

※5 Growing処方

育薬処方に続く戦略処方として、治療満足度や薬剤貢献度の低い領域でのエビデンス構築(安全性・有効性データ等)により診療ガイドライン収載を目指す処方。

※6 診療領域基本処方

各診療領域において患者数が多い疾患・症状に対して、適正に使用することのできる(適応を有する)処方。

※7 KAMPOmics®

ツムラの強みである先端技術(メタボローム・遺伝子・腸内細菌・システムバイオロジーなど)の研究を組み合わせ、日本の伝統医学である漢方医学と、多成分で複雑な漢方薬を統合的に理解するためのツムラ独自の研究パッケージ。当社の登録商標。

※8 「薬食同源」製品

生薬を使用した健康食品。

※9 中薬

中医学で使用する薬剤(中成薬、飲片など)。

※10 古典処方

数千年前に編纂された中国の著名な医学書などの古書に記載され、長年使用されてきた処方。

 

(4)経営環境

① 国内市場

超高齢社会において、医療費の増大にともなう各種制度変更、地域医療のあり方や、生活者のセルフメディケーション意識の向上など、製薬会社が直面する課題は少なくありません。

国の施策においては漢方への期待と役割が大きくなっております。2015年に厚生労働省より公表された「医薬品産業強化総合戦略」の中のひとつに、漢方薬は「我が国の医療において重要な役割を担っている」と明記されております。また、「がん対策加速化プラン」では、支持療法の開発・普及のために実施すべき具体策として、「漢方薬を用いた支持療法」があげられています。当社は、このような政策に準ずる施策に加え、「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」や総合診療医・在宅医療の推進などを含む「地域包括ケアシステム」の構築などの医療政策、人口動態にともなう疾病構造の変化(高齢者疾患、女性特有の疾患など)を踏まえた取り組みを進めてまいります。

「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」において、医療関連のオーソリティによって、漢方医療を取り巻く課題と対応策が「提言書」として2017年に取りまとめられました。その後、健康寿命の延伸に資する観点から個別化医療が重要視され、漢方薬の必要性がより一層見直されてきている現状を踏まえ、2021年に提言書が更新されております。当社は、日本漢方生薬製剤協会の活動を通じて、この提言を実現するために、産官学共同の課題として取り組んでおります。

外部環境の変化としては、新型コロナウイルス感染症拡大により精神疾患、めまいへの漢方製剤の処方機会の増加に加え、補剤といわれる病後の疲労倦怠、食欲や体力等の低下した状態に用いる処方が堅調に推移しました。また、2022年7~8月の猛暑等の季節的要因にともない、想定を大きく超える受注が発生したことにより、医療用漢方製剤の一部処方について限定出荷を実施しました。限定出荷解除につきましては、生産計画と需要動向を鑑み、順次解除する見通しです。引き続き社員一丸となって、安定供給に向けた生産体制の整備に尽力してまいります。

 

② 中国市場

中国では急速な少子高齢化が進行しており、高齢者人口は2021年現在で1.9億人を超え、2035年には4億人を超えると予測されております。中薬は中国において長年使われている薬ですが、新型コロナウイルスに対して新規の中薬「清肺排毒湯」が開発され治療に使用されるなど、新型コロナウイルス感染症を契機に、中薬に関する認知が向上しております。

2016年に国務院が発表した「健康中国2030計画綱要」では、現代医学と中国医学の双方を重視し、中薬生産の規範化、規模化を推進するとともに、理論研究と薬品開発に取り組むという方針が発表されております。また、2022年1月に「第14次五カ年医薬工業発展計画」が発表され、中薬の研究開発、技術と品質、製造レベルなど多方面から計画を行っていく方針が示されております。

中国における中薬の市場規模は、中成薬、飲片(刻み生薬)を合わせて現在約11.2兆円と日本の漢方市場と比較して約40倍と大きな規模でありますが、環境の変化を踏まえると、さらに拡大するとみられております。

当社は、これまで国内事業で積み上げてきた技術・ノウハウを最大限活用し、中国平安保険グループとの協業のもと、中国国民の健康に貢献する企業を目指し、中国における事業基盤の構築に取り組んでまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 第1期中期経営計画に基づく取組み

「(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。

 

② 製商品の品質と安全性の追求

1)品質保証

当社は、製商品の品質と安全性の追求を最も重要なテーマであると考えております。この品質重視の考え方「ツムラクオリティカルチャー」を漢方バリューチェーンの基盤とし、品質保証における継続的な改善と強化に取り組んでおります。

 「ツムラ品質マネジメントシステム」

当社は、「品質方針」のもと品質保証システムのさらなる充実を目指した「ツムラ品質マネジメントシステムに関する規程」を制定し、法令の改正やグローバル化(PIC/S※対応を含む)などにも適正に対応できる仕組みを構築し、品質を重視する取り組みを推進しております。このシステムは、当社グループ全体を取り込んだ包括的なものであり、これによって経営陣の責務をさらに明確にいたしました。

 

品質方針

 当社及びグループ会社は、価値創造企業を目指し、“KAMPO”で人々の健康に寄与するため、以下の品質方針を定めております。

・高品質かつ安全で信頼される製品を安定的に供給します

・医薬品に関する薬事関連法規を遵守します

・お客様の声を聴き、継続的な品質改善に努めます

・安全な生薬の安定確保を実現します

・研究の信頼性を確保し、研究成果を適切に提供します

・全役職員に対し、適切な教育を実施し、高い意識を持つ人財を育成します

・これらを実現するため、経営資源を適正に配分します

 

 ツムラ品質マネジメントシステムに関する規程のもと、生薬栽培から最終製品のデリバリーまでのサプライチェーン全般を対象として法令遵守や当社として守るべき基準を明記した文書をそれぞれ社規として体系的に構築いたしました。

 これは当社独自の「品質システム」であり、当社及びグループ会社のすべての事業における品質重視体制を構築し、高品質な漢方製剤を患者様に提供するための活動となっております。

 

※ PIC/S:

Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Cooperation Schemeの略称。医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキームのことであり、GMP基準などの国際化を推進する枠組み。

 

2)「ツムラ生薬GACP※」

 当社は、「ツムラ生薬GACPポリシーに関する規程」を制定し、運用しております。この規程は、「ツムラ品質マネジメントシステムに関する規程」に基づき、当社及びグループ会社による生薬生産の管理において、生薬の安全及び品質を保証するために遵守すべき基本的要求事項を定めることを目的としております。

 ツムラ生薬GACPは、「ツムラ生薬GACPガイドライン」「生薬生産標準書」「生薬トレーサビリティ」「教育・監査・認証」で構成されております。

 そのひとつである生薬トレーサビリティは、生薬の生産地から生薬製造所に納入される各段階で、生産団体・生産者の情報や栽培・加工などの記録を収集・保管し、情報の追跡と遡及を可能とする仕組みであり、漢方製剤の製造工程、流通過程の履歴情報と併せ、医療機関から生薬生産地までの全履歴情報の追跡・遡及を可能としております。

 今後も、生薬の安全性・品質保証体制をより強固なものにし、安全で安心できる生薬の安定確保のために、ツムラ生薬GACPを継続的に強化し運用してまいります。

※ GACP:Good Agricultural and Collection Practice(生薬生産の管理に関する基準)

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 2022年4月、当社グループは、新たに「パーパス」を制定し、新ビジョン「サステナビリティビジョン」を策定しました。

ツムラグループの事業は、原料生薬の栽培からはじまる“漢方バリューチェーン”によって構成され、自然環境と深い関わりがあります。

 私たちは、事業の根幹を成す豊かな自然環境を未来へつなげていくために「自然環境の変化や危機に最も敏感な企業」であり続けます。また、持続可能な社会の創造に向けたさまざまな課題の解決に事業を通じて取り組んでいきます。この決意を、「自然と生きる力を、未来へ。」というサステナビリティビジョンのメッセージとし、人間・社会・地球環境のサステナビリティを推進しています。

 また、2022年10月、「サステナビリティ憲章」を制定しました。本憲章は、ツムラグループ及びその役職員が「サステナビリティビジョン」実現のために取るべき行動、姿勢を規定しています。本憲章をツムラグループ及びその役職員が遵守し、各ステークホルダーの皆様との価値観の共有とより良い関係の構築を図り、サステナビリティビジョンの実現を目指していきます。

 本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。

 なお、有価証券報告書提出日現在においては「リスク管理委員会」は「リスクマネジメント委員会」に名称変更しております。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

① ガバナンス

気候変動を含むサステナビリティに関するリスクと機会や、ツムラグループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るための重要な意思決定は、取締役会が担っています。また取締役会にて戦略の決定、投資判断等を行うに際しては、気候変動に係る影響を踏まえて意思決定を行っています。

取締役会は、取締役会規則に基づき毎月報告される業務執行状況に対し、助言と監督を行っています。

主にサステナビリティに関するテーマを取り扱うサステナビリティ委員会(2021年10月設置、年2回以上開催)と、経営リスクに関するテーマを取り扱うリスク管理委員会(年2回開催)において審議され、両委員会が情報を共有しています。両委員会で審議されたテーマのうち、重要な案件は取締役会に報告されます。2022年度はリスク管理委員会が2回、サステナビリティ委員会が5回開催され、取締役会への報告を行いました。なお、サステナビリティ委員会は取締役会によるモニタリング(方針提示・監督)を受けています。また、気候変動関連のリスクに関しては、サステナビリティ委員会とリスク管理委員会が情報を共有しながら、評価・管理しています。

気候変動を含むサステナビリティに関する業務の担当役員であるCo-COOは、サステナビリティ委員会の委員長を担っています。Co-COOは、リスクと機会の評価及び管理を統括しており、これらに関わる情報はサステナビリティ委員会、リスク管理委員会、サステナビリティ推進室から報告を受けます。

また、気候変動を含む長期経営ビジョンの実現を通じて当社の企業価値を持続的に向上するため、2022年度より当社の取締役(監査等委員である取締役及び非業務執行取締役を除く)及び当社と委任契約を締結している執行役員の中長期業績連動株式報酬(長期インセンティブ)の評価の一部として、GHG排出量削減を含むサステナビリティ課題の進捗目標の達成度に応じた評価指標を組み入れています。

 

② リスク管理

リスクに関しては、サステナビリティ委員会とリスク管理委員会が情報を共有しながら、評価・管理しています。

サステナビリティ委員会は、外部専門家の助言も踏まえ、中長期的に当社グループの経営戦略に与えるリスクとインパクトの分析と対策の検討を行います。その結果については取締役会に報告し、取締役会は必要な指示を行い、対応状況を監督します。

リスク管理委員会は、工場の操業停止等のリスクを、財務上の影響の多寡、発生確率の高さを勘案し、優先順位を決定のうえBCP対応を含む対策の検討を行います。その結果を取締役会に報告します。

サステナビリティ委員会とリスク管理委員会で検討するリスクは、事業リスクとして統合・管理しています。

 

(2)重要なサステナビリティ項目

① 気候変動・TCFDへの対応

当社は2021年10月にTCFD提言への賛同を表明し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)最終報告書」に基づき、4つの開示項目(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)について、経営課題として認識し2021年度より検討を開始しています。2021年度は、気候変動による事業のリスクと機会について外部有識者も交えて経営層による検討会を実施し、リスクと機会の抽出を行いました。2022年度は究極的に成し遂げる事業の志「パーパス」、「サステナビリティビジョン」、長期経営ビジョン「TSUMURA VISION“Cho-WA” 2031」、新中期経営計画等を踏まえて「中長期環境目標」を策定しました。また、人間・社会・地球環境のサステナビリティにツムラグループがどのように貢献すべきかを整理した重要方針として「サステナビリティ憲章」を制定しました。リスクと機会についてはさらに検討を深めシナリオ別の分析、対応策の検討を実施し、開示内容の拡充を図りました。

 

a 戦略

自然の恵みである生薬を原料として取り扱う当社グループが持続的に成長するためには、自然環境の変化や危機に最も敏感であるべきと考えています。カーボンニュートラルの実現に向けて温室効果ガス排出量の削減に取り組むとともに、気温や降水量の変化等、気候変動リスクに対応していく必要があります。

2015年のパリ協定締結、2018年の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「1.5℃特別報告書」を受け、2022年当社グループではサステナビリティビジョンを策定し、気候変動への対応を経営戦略に組み込みました。気候変動問題への社会的関心は高まっており、環境問題に取り組むことは、当社グループの事業機会の創出にもつながると考えています。

当社グループは、TCFD提言の要請に基づき、外部専門家の助言も踏まえ、気候変動が当社グループに与えるリスク・機会とそのインパクトの把握、及び2050年時点の世界を想定した当社グループの戦略のレジリエンスと、さらなる施策の必要性の検討を目的にシナリオ分析を実施しました(次ページの<気候変動に関するシナリオ分析>をご覧ください。)。

シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関するIPCCが公表する複数の既存のシナリオを参照の上、パリ協定の目標である産業革命以前に比べて全世界の平均気温の上昇を2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求するシナリオ(1.5℃未満シナリオ)、及び新たな政策・制度が導入されず、世界の温室効果ガスが現在より増加するシナリオ(4℃シナリオ)の2つの世界を想定しました。

 

b 指標及び目標

イ 指標

当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope 1、2、3のGHG排出量を定めています。

ロ 実績

2021年度のScope1、2、3のGHG排出量実績は、以下のとおり(第三者検証済み)です。

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

39,385t

(前年度比4.6%増)※

Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

57,184t

(前年度比2.8%減)

Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

246,865t

(前年度比16.5%増)※

※Scope1、3の排出量増加の主な要因は、海外工場拠点の増産によるエネルギー使用量増加、原料生薬調達量の増加によるものです。

ハ 目標

当社グループはサステナビリティへの取り組みとして、2031年度までに「温室効果ガス(GHG)排出量50%削減」、「水・廃棄物(生薬残渣)の循環化」、「環境対応型包装資材への転換」をターゲットに設定しました。

GHG排出量については2022年度から、Scope1、2排出量において「2031年度までに2020年度比50%削減」、「2050年度までに実質ゼロ」とする目標を設定しております。なお、Scope3のGHG排出量については、今後集計のさらなる精緻化を図りながら、目標設定に向けて取り組んでいく予定です。

 

<気候変動に関するシナリオ分析>

シナリオ

概要

想定される世界の状況

1.5℃

シナリオ

2100年までの平均気温の上昇が産業革命以前と比べて1.5℃に抑えられている世界

脱炭素社会への移行に伴う変化が事業に影響を及ぼす(移行リスク)

・気候変動に関する規制が強化され炭素税等の法規制が導入される

・低炭素技術などの技術革新が進展する

・社会全体が脱炭素に向かい、企業の脱炭素への取り組みが評価される

4℃

シナリオ

2100年までの平均気温が産業革命以前と比べて4℃上昇する世界

気象変動による物理的な被害が事業に影響を及ぼす(物理リスク)

・気候変動に関する規制は導入されるものの限定的

・異常気象の激甚化が進み、自然災害が頻発

・気温上昇や水不足により、生薬の生育状況の変化、取水制限、感染症の拡大等が生じる

 

●1.5℃シナリオにおける影響度

分類

区分

リスク・

機会項目

発現

時期

リスク

と機会

当社グループへの影響

影響度

対応策

移行リスク・機会

政策・

法規制

炭素税の導入

中・長期

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税負担の増加

設備投資コストの増加

省エネ、再エネ利用及びサプライヤーとの協業等

新たな規制の導入

中・長期

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原料生薬調達量の減少あるいは調達コストの増加

生薬栽培拠点の複線化等

技術

低炭素技術の進展

中・長期

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研究コストや設備投資コストの増加

AIの活用やDXによる技術開発・革新等

中・長期

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操業コストの減少

GHG排出量削減

評判

投資家の評判変化

短期~長期

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売上や株価の下落、資金調達の困難化

ステークホルダーへの適切な情報開示とコミュニケーション

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評価向上による企業価値創出

資源

効率

水資源の再利用

中・長期

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操業コストの減少

再利用設備の導入及び循環利用の推進

エネル

ギー源

再生可能エネルギーの拡大

中・長期

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電力コストの減少

 

●4℃シナリオにおける影響度

分類

区分

リスク・

機会項目

発現

時期

リスク

と機会

当社グループへの影響

影響度

対応策

物理リスク・機会

急性

異常気象の激甚化

長期

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自然災害の激甚化や感染症等の増加に起因する操業中断や在庫の毀損による生産・物流量や売上の減少、修繕費用の増加

・生薬栽培技術の革新

・生薬栽培拠点の複線化

・適正在庫の確保

・BCP体制の構築・拡充

・輸送・保管形態の変更

・契約農家が利用する生薬用の栽培管理システムへの災害関連情報の付加や災害補償体制の構築による契約農家との取引の維持または増加等

慢性

水リスク

長期

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操業中断、生産量減少、売上減少等

平均気温の上昇

長期

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原料生薬の調達量の減少、売上減少や生薬栽培地の移転コストの発生

中・長期

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空調コストの増加

中・長期

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乳糖の価格上昇

製品と

サービス

気候変動に伴う疾病の増加

中・長期

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疾病構造の変化による売上の増加または減少

新しい製品・サービスの開発及び販売戦略の策定と実行等

※「炭素税導入による財務影響額の試算」、「気候変動を起因とする疾病構造の変化による売上への影響」、「水ストレス及び水害リスクの評価」、その他「事業への影響度を『大』と特定したリスク及び機会に対する対応策」等については、Webサイトをご覧ください。

https://www.tsumura.co.jp/sustainability/index.html

② 人的資本・多様性への対応

a 戦略

「組織・人的資本」こそが企業・事業価値を創造する源泉であるとして、「目指すべき人財像」、「目指すべき組織像」、「目指すべき企業文化」を明確にしています。長期的な視点から、パーパスを掲げた理念経営を支える漢方薬的組織※を目指し、人財の潜在能力開発を促し養成し続けます。

※漢方薬的組織:私たちは組織のあり方を、生薬=部門・人、漢方薬=会社・部門とみなし、漢方薬的組織の調和こそが目指すべき人財像・組織像であると固く信じています。すなわち、「会社という漢方薬は、それぞれの独立機能を有する部門という生薬で構成され、その調和・協業を図る中でベクトルを合わせ、大きな成果を生み出す。また、部門という漢方薬は、一人ひとり異なる力を有する人という生薬で構成され、協調・協働しながら部門の目標を達成する」というのが、当社グループの組織のあり方であると考えます。

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[経営人財養成]

社内人財養成機関である「ツムラアカデミー室」を中心に、グループ経営人財の養成と企業文化の醸成に取り組んでいます。

パーパスを掲げた理念経営・ビジョン経営を実践し、ツムラグループを牽引する経営人財を連綿と輩出するために、若手社員を対象とした「ベーシックプログラム」、初級管理職を対象とした「アドバンスプログラム」、次世代経営人財養成プログラムである「経営基本講座」といった、各3年間の養成プログラムを実施しています。

2022年度末時点での3年間の経営基本講座プログラム修了者は52名、受講中は49名となっており、修了者から執行役員や理事が複数人選任されています。

さらに、長期ビジョンの実現を牽引する次期・次々期経営人財輩出の仕組み(呼称:T-Next)を構築しました。人事部が選抜・育成計画・配置・評価・事務局機能、ツムラアカデミー室が養成を主に担当して計画的に経営人財を輩出します。

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[組織・人的資本政策]

イ 目指すべき人財の採用

事業戦略実現と人財ポートフォリオにおける現状の課題解決と将来あるべき姿に向けて、新卒採用とキャリア採用をバランスよく実施しています。また、「女性の新卒採用比率50%の維持・継続」を掲げ取り組んでいます。

<人財ポートフォリオ>

「長期経営ビジョン TSUMURA VISION “Cho-WA”2031」を実現するために、どの様な人財の量・質が必要か人財ポートフォリオを策定することで、現状のギャップ及び課題を抽出・整理した上で、短期的・長期的の両観点から、必要な人事戦略・施策を検討してまいります。

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ロ 目指すべき人財の育成・配置

「自ら育つ人を育む企業文化を創造する」を人財育成ポリシーとして掲げ、[人][組織][経営]の観点から各層に対応したさまざまな教育機会を設けています。若手社員のベーススキル向上に向けた教育支援にも注力するなど、自立的なキャリア形成を支援しています。

また、社員の基本情報や能力・保有スキルをデータ化し、戦略的な人財育成や適所適材の配置に反映すべく、タレントマネジメントシステムの構築を進めています。

 

[人]自ら学び、自ら成長しようとする人財に実践的な教育機会を提供します。あるべき姿、能力要件を明示し、教育機会の充実と自ら学びに行く仕組みをつくります。

■理念経営を担う人財の早期育成

■入社3年間を「ツムラ人の基盤づくり」として育成強化

■上位等級に必要な能力を昇格前に習得

■グローバル人財への育成強化

■自立的な学び、成長を支援

 

[組織]自ら成長しようとする人財づくりのため管理職を中心に育成マインドを育みます。部下育成を管理職の最も重要な役割の一つと位置づけ、業務を通して部下を動機づけし、育成する意識を強化します。

■部下育成マインドの強化

■コーチング文化の醸成

■1on1コーチングの実施

■育成計画の共有(上司-本人-人事部)

 

[経営]ビジョンの実現を牽引する次期・次々期の経営人財を養成する仕組み(T-Next)により継続的に育成される体制を整えます。若手教育でツムラ人としての基盤を固め、各層において次世代の経営人財が育成される仕組みをつくります。

■T-Nextによる計画的な育成

■各層のプログラムを3年間とし、実践を通じた育成

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ハ ダイバーシティ&インクルージョン推進

当社グループでは、「多様な従業員のさらなる活躍に向けた環境整備と企業文化の醸成」、「多様性を重視した公平・公正な採用と登用の継続」、「女性従業員・キャリア採用入社従業員のキャリア形成支援」を掲げ、多様な視点・発想や価値観を持つすべての社員の活躍と成長を実現するため、「ダイバーシティ&インクルージョン」の取り組みを推進していきます。

具体的には、性別、年齢、国籍、障がいの有無などに関わらず、多様な人財を迎え入れ、個性を尊重し合い、組織(チーム)メンバーで目的・価値を求心力とした“対話”により、社員一人ひとりの潜在能力を引き出すことで、イノベーションの創出、企業価値の向上を図っています。

働きがい・生きがいをもって活躍できる職場環境づくりのために、女性マネージャー育成セミナーの開催や育児・介護等と仕事の両立支援制度のさらなる拡充に取り組んでいます。

 

 

 

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ニ 従業員エンゲージメント向上

「長期経営ビジョン TSUMURA VISION “Cho-WA”2031」を実現するためには、従業員一人ひとりのエンゲージメント向上が不可欠です。組織に対して自発的に貢献する意欲が高まるよう、理念の浸透、従業員の成長を支援する能力開発やキャリア構築、働き方や健康管理の環境整備に取り組んでいます。

目的・価値を求心力とした対話により主体的に行動することで、自身の潜在能力を引き出す企業文化の醸成を進めています。TSUMURA GROUP DNA Pyramidの考え方などについて対話をする「理念浸透オフサイトミーティング」を2017年より継続しており、2018年度からはコーチング文化の醸成を目指した諸施策を開始しております。2020年度からは、理念浸透ミーティングとコーチ・ミーティングを同時に開催し、理念浸透とコーチングはともに「目的と価値」に焦点を置き、相乗効果を図ることで、「ツムラ“対話”セオリー」として確立しています。

2022年度の受講人数は前年比37%増加しました。理念浸透サーベイ結果は4.06ptと前年4.02ptより上昇しました。

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<信託型株式交付制度>

2022年4月に成長性としての「長期経営ビジョン」を10年単位で策定し、持続性としての「サステナビリティビジョン」は2050年のカーボンニュートラルの実現をゴールに見据えて10年ごとのマイルストーンとして策定しています。この2つのビジョンを実現のための社員の意識向上と能力の発揮、大きな貢献を成す意欲をより一層醸成していくことを目的として、社員への信託型株式交付制度を導入しました。

 

<リスキル「デジタルリテラシー教育」>

全社員がデジタルリテラシーを習得し、社内のDX化による生産性向上を円滑に進める目的で、2023年度よりデジタルリテラシーを高めるリスキルの取り組みをスタートしております。

 

<社内公募制度>

2022年度より、やりたい仕事、働きたい組織や場所を選択できる機会を提供することで自発的にキャリアプランを描いて行動できる自主自立した社員を育成するため、社内公募制度を導入しました。社員の働きがい、モチベーションの向上に繋げるとともに優秀な社員の発掘や社外流出の抑制を図ること、適所適財により、組織力を強化することを目指してまいります。

 

<在宅勤務制度>

2023年4月より業務の適正管理、コミュニケーション確保の内容を規定した「在宅勤務規則」に基づく本格的な運用を開始しています。具体的には、業務及び目標管理の進捗等について、デジタルツールを活用した毎日の業務報告の実施、定期的な1on1による個別面談、課単位の打合せや情報交換により、職場での業務と同様にコミュニケーションをはかることで、円滑に業務を遂行できるような運用を目指しています。

 

<健康経営について>

究極的に成し遂げる事業の志であるパーパス「一人ひとりの、生きるに、活きる。」を掲げる企業として、人々の健康に寄り添い、社会のwell-beingに貢献することを目指し、健康宣言・健康方針を策定し、健康経営に取り組んでいます。その取り組みが評価され、健康保険組合連合会による健康企業宣言・金の認定を2019年から継続して受けています。女性活躍推進の基盤は健康サポートと位置づけ、2022年度より全女性従業員を対象に婦人科検診の費用負担を実施しました。また、感染予防・食・運動・禁煙についての社内イントラネット掲示やセミナーを通じた情報発信、ストレスチェックの実施など、社員一人ひとりのヘルスリテラシー向上に向け、取り組んでいます。今後は、社員が自主的に養生※に取り組む企業風土を醸成します。

※養生:ツムラでは養生を「栄養(食)・運動・睡眠・ストレス等の適正化により、身体が本来持っている自然治癒力を高め、健康増進をはかること」と考えています。

 

b 指標及び目標

イ 方針

多様性の確保に向けて、3つの人財育成方針を掲げ取り組んでいます。

「多様な従業員のさらなる活躍に向けた環境整備と企業文化の醸成」

・目的や価値を求心力とした「組織横断的な対話」の推進

・多様な価値観を受け入れ、尊重し合う職場環境づくり

・育児・介護等と仕事の両立支援制度のさらなる拡充

・「働きがい向上」活動の継続実施と柔軟な働き方の環境整備

 

「多様性を重視した公平・公正な採用と登用の継続」

・新卒・キャリアを両輪とする採用活動の継続

・女性の新卒採用比率50%の維持・継続

・個々の能力に応じ、経営に関わる重要課題、知見・経験の蓄積につながる職位等に登用

 

「女性従業員・キャリア採用入社従業員のキャリア形成支援」

・経営基本講座、次世代育成研修等プログラムへの積極的な女性参加と早期のキャリア開発

・女性管理職育成プログラムの実施

・キャリア採用入社従業員の入社時導入研修の充実

 

ロ 目標及び実績

■数値目標

指標

2022年度

(実績)

2023年度

2024年度

2025年度

女性管理職比率(注)

7.4%

8.4%

9.0%

10.5%

育児休業取得率

男性

52%

65%

80%

100%

女性

100%

100%

100%

100%

育休平均取得期間

男性

24日

40日

50日

60日

女性

119日

120日

120日

120日

(注)女性管理職比率については、各年度における4月1日時点の割合を記載しております。

なお、2023年度の女性管理職比率8.4%は実績となります。

 

■取り組み

“女性管理職育成プログラム”による女性管理職育成推進

“育MEN推進プロジェクト”による男性育休取得推進

“働きがいを考えるオフサイトミーティング”による従業員エンゲージメント

“コーチング文化の醸成”による個々の潜在能力発揮

“チームビルディングサポートチーム”による組織開発推進

“#OneMoreChoice※推進チーム”による女性社員健康増進

“人ツムナレッジCafe”※による社員交流と自己啓発推進

 

※#OneMoreChoice

「隠れ我慢」を減らし、誰もがもっと心地よく生きられる健やかな社会を目指した取り組み。

※人ツムナレッジCafe

社員一人ひとりのキャリアビジョン実現に向け、部門や年代を超えて交流し、自発的に学び合うWEB上の場。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業等に関するリスクについて、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資者の判断上重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループにおきましては、これらの事項に対しまして、発生を回避すべく対応してまいります。また、発生した場合におきましても、その悪影響を最小限に留めることができるよう対応に努めてまいります。

 当社は、リスク管理主管部門による業務担当部門、グループ会社のトップへのリスクヒアリングを通じ、「リスクマネジメント委員会」を開催し、経営リスクに対する取組み状況の確認及び今後発生し得るリスクについて、必要な対処方法を確認しております。また、企業活動に重大な影響を及ぼす恐れがある緊急事態が発生した場合には、「リスク管理規程」に則って対応しております。さらに、気候変動に関するリスクにつきましては、取締役Co-COOを委員長とする「サステナビリティ委員会」において確認・検討を行い、「リスクマネジメント委員会」と情報を共有しながら、適切に評価・管理しています。

 なお、以下に記載する事項については、将来に関する事項が含まれておりますが、これらは有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1)医療制度

 国内においては、超高齢社会や医療の高度化に伴う医療費高騰等による財政圧迫を背景として薬剤費引き下げ政策の強化が進められております。経済財政諮問会議の工程表には「給付と負担の見直し」が示されているなど医療費抑制について引き続き検討されております。

 このような環境変化に対応するため、当社グループでは薬剤費引き下げ政策強化への対策や漢方製剤の価値に対する理解の醸成に努めるなど、企業努力を重ねてまいりました。また、国民医療において重要な役割を担う医療用漢方製剤を持続的に供給するため、業界団体と連携しながら関係省庁などへの提言も行っております。

 当社グループでは原価率低減や流通効率化に取り組んでおりますが、さらなる薬価制度改革などの医療費抑制策が実施された場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、医薬品の開発、製造などに関連する国内外の規制の厳格化により、追加的な費用が生じる場合や製品が規制に適合しなくなる場合、あるいは今後、予測できない大規模な医療行政の方針転換が行われた場合、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 引き続き、当社グループは、医療用漢方製剤のエビデンス構築や一般生活者への漢方啓発活動を通じ、医療用漢方製剤が国民医療に必要不可欠な医薬品として広く認知いただける活動を継続してまいります。

 

(2)製品の供給

 当社グループは、以下の要因により製品の供給に停止や遅延が生じた場合、当社グループの社会的信用、並びに業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、原資材の市場価格高騰、エネルギーコストや原油価格の高騰、予想し得ない事象等が発生することにより業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

① 原料生薬、副原料及び資材の調達に関するリスク

 当社グループの事業は、生薬を主要原料とした漢方・生薬事業であります。その原料生薬の多くは天然物であることから、安全な生薬を安定確保するために、漢方製剤の長期的な需要予測に基づき、充分な在庫量の確保や国内外での生薬調達先の拡大、自社管理圃場※の継続拡大等に取り組んでおります。しかしながら、予期せぬ天候不順や自然災害等が発生した場合、必要な数量の確保が困難となる可能性、生薬価格が高騰する可能性、並びに栽培中の生薬の減損損失を計上する可能性があります。

 当社は漢方製剤に供する原料生薬の約90%を中国から、残りの約10%を日本・ラオスその他の国から調達しております。漢方製剤の安定供給に向け、日本国内における原料生薬生産量拡大にも取り組んでおります。また、中国にも漢方エキス粉末の製造拠点を構えることで、輸出入等の法規制の変更、政治や経済状況の変化による原料生薬の輸入規制に対応できる体制をとっております。しかしながら、輸出入等の法規制の対象範囲の変更や想定を超える政治的・経済的状況の変化が発生した場合、製品供給への影響、並びに業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 製品製造工程で使用する副原料及び資材においても国内外で調達しておりますが、可能な限り複数の取引先からの購買体制を構築しており、需要予測に基づき、柔軟な調達を行っております。しかしながら、自然災害及び不安定な社会情勢を起因とする需要、供給等の急激な流通不安により、副原料・資材不足が発生した場合、製品供給への影響、並びに業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

※ 自社管理圃場:

当社が直接的に栽培指導をすることができ、栽培にかかるコストの把握と原料生薬の購入価格設定が可能な圃場。

② 生産及び物流に関するリスク

 当社グループは、製造拠点を日本国内では茨城工場と静岡工場の2拠点、中国では上海津村製薬有限公司と天津津村製薬有限公司の2拠点(天津津村製薬有限公司については2023年度内に稼働開始予定)と分散体制をとっており、製造品目の切り替えを可能とした体制の構築を図っております。また、日本国内の生産施設につきましては免震・耐震構造の導入をしております。製品の供給拠点である物流センターにつきましても、東西2拠点としており、安定供給に向けた体制を構築しております。

 しかしながら、大規模な地震や火災等の災害、停電等による機能の低下や喪失、輸出入等の法規制の対象範囲の変更や想定を超える政治的・経済的状況の変化が発生した場合、製品供給に影響を及ぼす可能性があります。また、災害により損害を被った設備等の修復や棚卸資産の被害に備え災害保険等の加入をしておりますが、想定を超える災害やその他予想し得ない事象等が発生した場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)製品の安全性及び副作用問題

 当社グループは、品質と安全性を追求し、信頼性を向上させるための品質重視の考え方である「ツムラクオリティカルチャー※」を経営理念に通じる価値観とし、その醸成に取り組んでおります。この考え方を基盤として、製品の製造に関しては、当該国や地域の品質管理基準を遵守し、品質方針のもとさらなる充実を目指した「ツムラ品質マネジメントシステムに関する規程」を制定し、自社製造品のみならず委託製造品を含む全ての製品について品質を重視する取り組みを推進しております。また、この考え方は改正薬機法※が求める法令遵守の考え方に通じるものです。

 さらに原料生薬に関しては、生薬の安全性・品質保証体制をより強固なものにするため、「ツムラ生薬GACP※ポリシーに関する規程」を制定し、管理を徹底して運用しております。これらの取り組みにより、原料である生薬の調達に始まり、製剤の製造に適した製造方法・製造設備の確立、製造管理、品質管理の実施及び出荷に至るまでをすべて自社の管理下で行う一貫体制を構築し、徹底した品質管理を実施することで最終製品の品質を確保しております。

 しかしながら、当社が管理を行っていない農薬及び化学物質が原料生薬に残留する可能性等、何らかの理由により生じる製品の欠陥や安全上の問題を完全に回避できる保証はありません。また、当社グループが販売する医薬品に予期せぬ副作用問題が発生した場合、及び医薬品以外の製品に健康被害等が発生した場合、従来の使用方法が制限されることや、当社グループ及び当社グループが販売する製品の社会的信用の失墜による投薬抑制や服薬拒否及び使用拒否等が起こる可能性があります。

 以上の結果、販売数量の減少や多額の損害賠償請求、大規模なリコール等につながるような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

※ ツムラクオリティカルチャー:

社員一人ひとりが理念を理解し、価値観・判断・行動の基準になっており、当社グループ製商品の品質と安全性を追求し、信頼性を向上させるための品質重視の考え方

※ 改正薬機法:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(2019年12月4日法律第63号)

※ GACP:Good Agricultural and Collection Practice

 

(4)国際事業

 当社グループは中国等、海外の国や地域において、生産及び販売活動を展開しております。

 中国事業においては、経営管理機能を強化するため、津村(中国)有限公司を設立し、当社グループの持つ技術・ノウハウを最大限活用し、中国平安保険グループとの協業のもと、中国国民の健康に広く貢献できる企業を目指しております。

 中国事業への参入にあたり、製造販売に関するライセンス等を有する企業の買収・提携を検討及び実施しております。買収先の選定・実行にあたっては当社グループの企業理念に十分に共感いただける企業を選定対象とし、対象企業・対象事業の財務内容や取引等についての詳細な事前調査を行うなど、買収・提携リスクを極力回避するよう努めております。しかしながら、買収・提携後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する可能性、並びに、期待し得る事業価値及び事業統合による将来のシナジー効果が発揮されず、結果として得られる将来の収益力が当初の見込みに達しない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、予期せぬ法規制の変更や政治的・経済的状況の変化等により影響を受ける可能性があります。

 なお、2023年4月13日に陝西紫光辰済薬業有限公司の持分取得に関する契約を締結しております。

(5)研究開発

 当社グループは、将来の成長や業績の維持・向上を目的とし、国内及び海外においてエビデンスの構築や新製品・新技術に関する研究開発活動を行っております。しかしながら、このような当社グループの研究開発活動が、すべてにおいて成功する保証はありません。これらの研究開発活動が何らかの理由により中止や遅延、大幅なコスト増等が生じた場合、当社グループの収益確保に影響を及ぼす可能性があります。

 米国においては大建中湯の医療用医薬品としての承認取得・上市を目標に活動しておりますが、何らかの理由により想定しているスケジュールに遅延が生じる、あるいは想定した費用を大幅に上回る等の可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)知的財産

 当社グループは「ツムラグループ知的財産基本方針」を定め、知的財産の価値最大化を図り、社会へより良い価値を提供していくために、知的財産の創出や権利化、有効活用、厳格な管理、他社知的財産の尊重などにより、社会から信頼いただけるよう努めております。具体的に当社グループでは、特許権や商標権等の産業財産権を適正に取得するとともに、重要情報保管場所の施錠管理やアクセス可能人員の制限等ノウハウ・技術情報管理の徹底等により知的財産を適正に保護しています。しかしながら、当社グループの知的財産権の消滅や技術ノウハウ漏洩等が発生した場合には競争力が低下し、当社グループの収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、事業運営にあたっては、新製品やネーミング等において他社商標侵害を未然防止するための先行商標確認や新開発・導入技術に関して他社特許侵害防止等の対応を事前に実施し、これら他社知財侵害係争が発生しないように努めておりますが、完全に未然防止することは難しく、知的財産権に係る争訟により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)人財

 当社グループは、「世界に手本のない漢方ビジネスにおいて、自らが新しい道を開拓でき、誰からも信頼される人の企業集団へ」を揚げており、人財※は持続的に企業を発展させるうえで、最も重要な資本の一つであると考えており、人財の採用・育成に努めております。

 採用においては、当社グループでは経営戦略と連動した戦略的採用を実施しており、中国事業の発展に向けたグローバル人財の確保にも努めております。育成においては、当社グループでは「ツムラ人財育成ポリシー」を制定するとともに、当社グループの理念に基づく経営を実践できる人財の養成を目的に、「ツムラアカデミー室」を設置し、多様な人財の開発を推進しております。また、「ツムラクオリティカルチャー」を私たちの経営理念に通じる価値観とし、その醸成に取り組んでいます。しかしながら、必要な人財の確保・育成が計画的に推進できない場合は、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、各種法令の遵守に努めておりますが、今後、予測される生産年齢人口の減少や、労働環境の多様化・複雑化への対応も含め、労働安全衛生やハラスメント等の対策が不十分な場合、当社グループの社会的信用、並びに業績に影響を及ぼす可能性があります。

※ 当社グループでは全役職員が財産という観点から「財」の文字を使用しております。

 

(8)競争

 当社グループの収益の柱である医療用漢方製剤は、安心安全な生薬の安定確保及び均質性の高い医療用漢方製剤の安定供給、安全性・有効性に関するエビデンス集積等により、国内市場において長く優位性を保っており、様々な施策を更に推し進めております。また、MRによる情報提供に加え、インターネットを介した情報提供により医療関係者からの期待にお応えしております。しかしながら、国内外の製薬企業等が医療用漢方市場に参入した場合、今まで以上に競争が激化し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)為替レートの変動

 当社グループが販売する漢方製剤の主原料である生薬は主に中国から輸入していることから、生薬及び漢方エキス粉末の輸入時には、為替動向を考慮しながら為替予約等によるリスクの軽減を図っておりますが、為替相場が大きく変動した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、連結財務諸表作成時に海外の連結子会社の現地通貨建財務諸表を円換算していることから、為替相場が大きく変動した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)財務

 当社グループの業績及び財政状態は主として、以下の財務的要因の影響を受ける可能性があります。

① 退職給付債務に関するリスク

 当社グループの従業員退職給付費用及び退職給付債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。株価の下落や割引率の変更等により、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 資金調達リスク

 当社グループは漢方事業の持続的拡大のための設備投資計画や中国における成長投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しておりますが、金利等の市場環境の悪化、当社の信用格付の変動等により当社グループが望む条件での資金調達が困難となる可能性があります。

③ 有価証券の価格変動リスク

 当社グループは価格変動リスクのある有価証券を保有しており、事前にリスクの軽減に努めておりますが、金融市場における価格変動が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)税務

 当社グループを構成する各事業法人は、各国の税法に準拠して税額計算し、適切に納税を行っておりますが、各国における税制の改正、税務申告における税務当局との見解の相違等があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは適用される移転価格税制の遵守に努めておりますが、各国の税務当局と見解の相違が生じ、追徴課税や二重課税により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループは税務関連法を遵守するため「ツムラ税務ポリシー」を制定し、適切な納税の実施に取り組んでおります。詳細については当社WEBサイトをご覧ください。

 

(12)環境

 当社グループは、環境に関する法規制の遵守を前提とし、省エネルギーや太陽光発電の導入などによる温室効果ガス排出量の削減、環境負荷の低い容器包装資材への切り替え、野生生薬の栽培化、水の使用量の削減・再利用促進等の自然環境の保全に努めております。しかしながら、万が一、企業活動上において土壌汚染や水質汚染等を惹起し、法令違反等の問題が発生した場合には、行政処分による課徴金、刑事訴訟による罰金、民事訴訟による損害賠償金等の支払いが生じる可能性があります。その場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、気候変動に関しては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づきリスクと対応策について情報開示を行っております。気候変動に伴うリスクと対応策についての詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」において記載しておりますのでご参照ください。

 

(13)訴訟

 当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟は現在提起されておりません。しかしながら、当社グループは、企業活動上、漢方・生薬製剤等医薬品の副作用、健康被害、製造物責任、労務問題、知的財産権の侵害、契約の不履行、環境問題等様々な訴訟を提起される可能性があり、その動向ないし結果によっては、当社グループの業績及び財政状態、並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)情報システム及び情報管理

 当社グループは、企業活動上、大規模な生産システムを含む各種情報システムを活用しており、システムトラブル等への備えとして、データ保護を徹底する等情報システムの強化への適切な投資を行っております。大規模な地震や火災等の災害、停電等による情報システムの機能不全によって業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても、その影響を最小限に抑えるべく、事業継続計画(BCP)の整備等を実施しておりますが、想定規模を超える災害等によるシステム不全が発生した際には、事業を適切に遂行できない可能性があります。

 また、情報資産の適正管理をより実効的なものとするため、「情報管理基本規程」をはじめとする、情報管理に関する社規の内容を全社に周知徹底し、情報管理の強化を推進しております。サイバー攻撃への備えとしてネットワーク・端末の監視等、セキュリティ対策と不審・不正メールの対処訓練も実施しています。しかしながら、悪意を持つ第三者によるサイバー攻撃ないし、従業員等の不注意または過失によるシステムの停止や機密情報の漏洩等を完全に回避できる保証はありません。

 これらの事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態、並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

(15)内部統制

 当社グループは、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制を含めた内部統制システムを整備・運用し、法令遵守の徹底並びにリスクマネジメントの強化に努めております。また、業務における人為的なミスや、内部関係者等による違法行為、不正行為等の不祥事が発生することのないよう、内部管理の基準を策定・運用する等の対策を実施しております。

 しかしながら、内部統制システムが有効に機能せず、業務の有効性や効率性、財務報告の信頼性等を確保できない事態あるいは違法行為・不正行為等が生じた場合には、かかる信頼を回復するための運営費用の増加や、各部門の業務工数が増大する可能性を含め、当社グループの業績及び財政状態、並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)その他のリスク

 当社グループでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予防と拡大防止対策を実施しておりますが、政府の感染症法上の位置付けの変更等を踏まえ、基本的な感染対策を継続しつつ、ウィズコロナに向けた対応を進めております。引き続き、感染拡大の兆候等に注視し、緊急時には速やかに対応できる体制を整え、従業員及びその家族、並びに医療関係者や取引先の安全を最優先に、漢方製剤等の医薬品の安定供給に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。

 

a 財政状態

総資産は、前連結会計年度末に比べて45,831百万円増加し、396,813百万円となりました。

負債は、前連結会計年度末に比べて31,695百万円増加し、124,566百万円となりました。

純資産は、前連結会計年度末に比べて14,136百万円増加し、272,246百万円となりました。

 

b 経営成績

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ、8.1%増加の140,043百万円となりました。

利益につきましては、営業利益20,916百万円(前連結会計年度比6.5%減)、経常利益23,453百万円(前連結会計年度比9.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益16,482百万円(前連結会計年度比12.5%減)となりました。

売上原価率は、51.2%(前連結会計年度比2.5ポイント上昇)となりました。また、販管費率は、33.8%(前連結会計年度比0.2ポイント低下)となりました。これらの結果として、営業利益率は、14.9%(前連結会計年度比2.4ポイント低下)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローが16,452百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが15,493百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが24,423百万円の収入となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、16,452百万円の収入となりました。主な内訳は、収入項目では税金等調整前当期純利益23,018百万円、支出項目では法人税等の支払額6,134百万円であります。前連結会計年度との比較では、4,861百万円収入が減少しております。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、15,493百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出12,224百万円であります。前連結会計年度との比較では、6,382百万円支出が増加しております。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、24,423百万円の収入となりました。主な内訳は、社債の発行による収入29,857百万円であります。前連結会計年度との比較では、32,604百万円収入が増加しております。

 以上の結果、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べて27,194百万円増加し、94,730百万円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品事業

137,150

+14.1

合計

137,150

+14.1

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

b 受注実績

 当社グループは、見込生産を主体としているため記載を省略しております。

 

c 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品事業

140,043

+8.1

合計

140,043

+8.1

(注)1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

アルフレッサ ホールディングス㈱

28,866

22.3

31,889

22.8

㈱メディパルホールディングス

27,725

21.4

30,488

21.8

㈱スズケン

19,659

15.2

22,574

16.1

東邦ホールディングス㈱

14,142

10.9

15,194

10.9

2 上記の相手先のうち、持株会社制を採用している会社は当該持株会社の名称を付すとともに、属する関係会社の取引高を集計して記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 財政状態

当連結会計年度末における資産合計は396,813百万円で、前連結会計年度末に比べ45,831百万円の増加となりました。流動資産は、社債の新規発行に伴う現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べて38,900百万円の増加となりました。固定資産は、有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べて6,931百万円の増加となりました。

負債合計は124,566百万円で、前連結会計年度末に比べて31,695百万円の増加となりました。流動負債は、買掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べて1,329百万円の増加となりました。固定負債は、社債の増加等により前連結会計年度末に比べて30,365百万円の増加となりました。

純資産合計は272,246百万円で、前連結会計年度末に比べて14,136百万円の増加となりました。株主資本は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べて10,915百万円の増加となりました。その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べて1,360百万円の増加となりました。また、非支配株主持分は、前連結会計年度末に比べて1,860百万円の増加となりました。

以上の結果、自己資本比率は4.8ポイント減少して、63.5%となりました。

 

b 経営成績

売上高は、前連結会計年度と比べ8.1%増加し、140,043百万円となりました。

国内の売上高は、前連結会計年度と比べ4.3%増加し、124,684百万円となりました。医療用漢方製剤129処方の売上高は、e-プロモーションの拡充を進めたことに加え、新型コロナウイルス感染時の症状(発熱、咳等)や後遺症(咳、倦怠感、不安等)に関連する処方及び7~8月の猛暑による季節性の症状(食欲不振、夏やせ等)に用いられる処方が伸長した結果、前連結会計年度と比べ4.6%増加しました。育薬処方の合計は、前連結会計年度と比べ0.6%増加し、主力である大建中湯は前連結会計年度と比べ1.8%増加しました。Growing処方の合計は、前連結会計年度と比べ10.3%増加しました。

 

[ 育薬・Growing処方の売上高 ]                                                     (単位:百万円)

 

売上

順位

製品No. / 処方名

前期

(2022年3月期)

当期

(2023年3月期)

対前期比

育薬処方

100

大建中湯

9,569

9,739

+169

+1.8%

54

抑肝散

7,379

7,380

+1

+0.0%

43

六君子湯

7,231

7,300

+69

+1.0%

107

牛車腎気丸

3,509

3,421

△87

△2.5%

24

14

半夏瀉心湯

1,358

1,390

+32

+2.4%

育薬処方合計

29,048

29,233

+184

+0.6%

Growing処方

41

補中益気湯

7,232

7,727

+494

+6.8%

17

五苓散

5,298

6,208

+910

+17.2%

24

加味逍遙散

4,833

5,050

+217

+4.5%

17

108

人参養栄湯

1,936

2,128

+191

+9.9%

18

137

加味帰脾湯

1,722

2,067

+344

+20.0%

Growing処方合計

21,023

23,182

+2,159

+10.3%

育薬・Growing処方以外の119処方合計

64,093

66,946

+2,853

+4.5%

医療用漢方製剤129処方合計

114,165

119,362

+5,197

+4.6%

 

また、国内の一般用漢方製剤等の売上高は、取り扱い店舗数の拡大及び新型コロナウイルス感染時の症状に関連する処方が伸長した結果、前連結会計年度と比べ3.2%増加し、3,966百万円となりました。

 

海外の売上高は、原料生薬と飲片(刻み生薬)の販売を中心とする生薬プラットフォーム(平安津村薬業有限公司、深セン津村薬業有限公司等)の売上高が大きく寄与し、15,359百万円となりました。

売上原価は、売上高の伸長と原資材価格の高騰等により前連結会計年度と比べ13.8%増加し、71,762百万円となりました。売上原価率は、前連結会計年度と比べ2.5ポイント上昇し、51.2%となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ7.4%増加し、47,365百万円となりました。主に天津工場の稼働に向けた一時費用によるものです。販管費率は、前連結会計年度と比べ0.2ポイント低下し、33.8%となりました。

以上の結果、営業利益は前連結会計年度と比べ6.5%減少し、20,916百万円となりました。営業利益率は、前連結会計年度と比べ2.4ポイント低下し、14.9%となりました。経常利益は、為替差益の減少等により、前連結会計年度と比べ9.5%減少し、23,453百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、中薬研究センターの建設計画の変更に伴う特別損失の影響もあり、前連結会計年度と比べ12.5%減少し、16,482百万円となりました。

 

[ 限定出荷の状況について ]

 当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の流行及び7~8月の猛暑等の季節的要因に伴い、想定を大きく超える受注が発生したため、8月より28品目を限定出荷にしました。増産体制の確保、生産計画の調整により限定出荷の解除を順次行っております。2023年6月29日時点においては、2品目が限定出荷となっており、以降順次解除する見通しです。引き続き社員一丸となって、安定供給に向けた生産体制の整備に尽力してまいります。

 

c 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

なお、当連結会計年度において、経営成績に重要な影響を与える要因はございません。

 

d 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「売上高」「営業利益」「売上高営業利益率」「親会社株主に帰属する当期純利益」「EPS」「ROE」を、目指すべき方向性等を示す数値目標として設定しております。

2022年度計画との比較では、売上高は140,043百万円(計画比1.1%増)、営業利益は20,916百万円(計画比0.6%増)、売上高営業利益率は14.9%(計画比0.1ポイント減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は16,482百万円(計画比9.9%増)となりました。

EPSは215.63円(計画比19.57円増)となり、ROEは6.7%(計画比0.7ポイント増)となりました。

 

e セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは医薬品事業の単一セグメントであります。

(医薬品事業)

 売上高は、前連結会計年度に比べ8.1%増の140,043百万円となりました。

 セグメント利益は、前連結会計年度に比べ6.5%減の20,916百万円となりました。

 セグメント資産は、前連結会計年度に比べ45,831百万円増加の396,813百万円となりました。

 

f 今後の見通し

2024年3月期の業績予想につきましては、売上高は国内医療用漢方製剤ならびに中国事業の伸長傾向をふまえ150,500百万円を見込んでおります。このうち海外の売上高は17,200百万円の見込みです。利益につきましては、為替(円安)、エネルギーコストや原資材の高騰、一部の生薬調達価格上昇の影響等により、営業利益18,000百万円(13.9%減)、経常利益18,600百万円(20.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益

13,000百万円(21.1%減)を見込んでおります。

国内事業においては、漢方医学に基づき医療用漢方製剤を10処方以上処方する医師が過半数となる医療現場の実現を目指し、MR活動とe-プロモーションとのハイブリッド型プロモーションを推進してまいります。医療従事者一人ひとりが求める情報を最適なチャネルから適切なタイミングで入手しご活用いただけるよう取り組みを進め、漢方市場の継続的拡大を目指してまいります。

中国事業においては、生薬プラットフォームにおける原料生薬、飲片(刻み生薬)の販売を拡大させるとともに、製剤プラットフォームにおける中成薬事業展開を目的として、2023年4月に陝西紫光辰済薬業有限公司の持分を100%取得する持分譲渡契約書を締結いたしました。同社は147の中成薬のライセンスを持ち、この中には古典処方のライセンスも多く含まれております。これらの古典処方はツムラの漢方製剤と類似しております。当社の品質管理、エビデンス構築、製造技術などのノウハウ・経験を活かすことにより、買収先の紫光辰済が所有する古典処方の品質をさらに向上させ、中成薬企業としてのブランドを確立し事業の拡大を図ってまいります。

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する

当期純利益

翌連結会計年度

2024年3月期

(増減率)

150,500

(7.5%)

18,000

(△13.9%)

18,600

(△20.7%)

13,000

(△21.1%)

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金及び設備投資資金については、自己資金、社債、金融機関からの借入金により資金調達を行っております。運転資金は自己資金及び短期借入金を基本としており、設備投資資金は社債及び長期借入金を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は80,046百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は94,730百万円となっております。

 

c 資金使途

当社グループは2022年度にスタートした第1期中期経営計画を長期経営ビジョン実現のための基盤構築のステージとして位置づけ、成長(事業規模の拡大)と収益力(利益率の向上)による企業価値の向上を目指し、適切なリスクをとりながら将来のために必要な投資を行ってまいります。

国内事業関連投資として、国内での製造工程(抽出・乾燥、造粒、包装・表示)及び天津工場での抽出・乾燥工程に投資を計画しており、中国事業関連投資として、中薬研究やIT基盤構築への投資を計画しております。また、中成薬企業の提携・買収等を実施し、中国国民の健康に広く貢献できる企業となるべく事業基盤の構築を進めてまいります。

なお、当社グループの2023年度設備投資金額は29,500百万円、研究開発費は8,500百万円を計画しております。

今後もさらなる事業基盤の構築に向けて、適切な資金調達及び中長期的な視点から経営の意思を反映した資源配分を行ってまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

6【研究開発活動】

漢方・生薬研究への更なる重点化と集中化を推し進めることで、当社グループの課題を解決すべく研究開発活動を実施しております。

2016年度から漢方市場の拡大と安定成長のための基本戦略として、「高齢者関連領域」「がん領域(支持療法)」「女性関連領域」を重点3領域として定め活動を行っております。高齢者関連疾患においては、認知症の行動・心理症状(BPSD)、加齢に伴って筋力や心身の活力が低下した状態であるフレイル、循環器疾患における周辺症状などを重点に活動しております。がん領域の支持療法においては、抗がん剤や化学療法などの治療による食欲不振、末梢神経のしびれ、下痢、口内炎などの副作用の軽減や痛み、精神的なケア、生活の質の維持・改善のケアなどを重点に活動しております。女性関連疾患においては、冷え症、めまい、片頭痛、便秘、更年期障害、月経困難症などを重点に活動しております。

従来の育薬処方においては、臨床エビデンス、作用機序、副作用発現頻度調査、薬物動態、医療経済学的データを揃える活動を推進しており、データ集積が着実に進んでおります。そして、2016年度から育薬処方に続く戦略処方であるGrowing処方を定め、診療ガイドラインへの新規収載及び推奨度の向上を目指して、エビデンスの構築に取り組んでおります。

漢方製剤の生産量増加に対応するため、引き続き原料生薬の栽培及び加工技術の改良研究、野生生薬の栽培化研究に取り組んでおります。国内栽培生薬の拡大を目指す中、北海道の株式会社夕張ツムラにおいては、生産量拡大に向けた栽培研究、技術改良、及び機械化研究などを進めております。また、ラオス人民民主共和国のLAO TSUMURA CO.,LTD.においても生薬における生産性の向上及び品質の安定化に向けた研究を進めております。

当社では、生薬の品質と安全性を担保するために、生薬の残留農薬、重金属及び微生物汚染対策研究を推進しております。

漢方の国際化の推進にあたっては、漢方・生薬事業を通じて培った技術・ノウハウと、日本国内の「育薬」研究による基礎・臨床の最新データを米国開発に連携させる体制を整え、大建中湯の米国における医療用医薬品としての承認取得・上市を目標に活動しております。

2018年度に、対象領域をPOI※に集約し、その開発を進めていくための日本、米国におけるアドバイザリー・チームを編成しました。POIは、腹腔鏡手術が広く普及している米国においても、重要な医療ニーズがある領域であり、大建中湯はその治療薬として有望であるとの評価が得られております。現在は、後期第Ⅱ相臨床試験を実施しております。

当連結会計年度における研究開発費は、7,594百万円であります。なお、当社グループは単一セグメントであるため、研究開発費は全て医薬品事業に関するものであります。

 

※POI:

Post-operative Ileus(術後イレウス)