第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、建設事業を主要な事業内容としており、東急グループの一員として同事業の分野を担っており、東急グループ各社と連携し、安心で快適な生活環境を提供する東急ブランドをより強固にしつつ、その価値を競争力の一つとしております。

2021年3月に、創業の精神を受け継いだ企業理念に基づき、社会課題の解決を強く意識した2030年の企業ビジョン「VISION2030」、同年5月には、その達成に向けた10か年の長期戦略「長期経営計画“To zero, from zero.”」を策定しております。これらを実行することにより持続的な企業価値向上を実現してまいります。

①長期経営計画の概要

項  目

長期経営計画“To zero, from zero.”

計画期間

2021年度より2030年度の10か年

基本方針

国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、「知の深化」と「知の探索」を実践し、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とした5つの重点戦略を実行することにより、財務・非財務両面での持続的な企業価値の向上を目指します。

 

 

②長期経営計画のKPI

経営指標

2023年度目標

2030年度目標

(1)連結営業利益(率)

(2)連結ROIC(※1,※2)

(3)連結ROE

(4)D/Eレシオ

(5)自己資本比率

(6)従業員エンゲージメント(※3)

(7)GHG排出量(※4)

53億円(1.7%)

4.2%

0.5倍以下

40.0%程度

12.5%削減

220億円以上(5.0%以上)

7.0%以上

10.0%以上

0.5倍以下

45.0%程度

AAA

30.0%削減

 

※1 当社は事業展開上必要な株式取得などへの投下資本に対するリターン(配当等)を適切に反映するた

     め、ROICの算定式を以下の通りとしております。

(NOPAT+連結営業外損益)/(連結自己資本(期首・期末の平均値)

+連結有利子負債(期首・期末の平均値))

※2 ROICについては、現状では収益力の回復に取組み、中長期的な目標水準として2030年度7.0%以上を目指すことを掲げております。

※3 ㈱リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」によるエンゲージメントレーティングで

     あります。対象は子会社を含めたグループ全体の従業員としており、2030年度目標指標の「AAA」

     は、全11段階中最上位のレーティングとなっております。

※4 2018年度を基準としております。

 

なお、各年度の目標指標は2023年5月10日に公表いたしました「「長期経営計画“To zero,from zero.”」のローリングに関するお知らせ」の数値を記載しております。

 

 

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

「(1) 経営方針」に記載の経営方針及び「長期経営計画 “To zero, from zero.”」を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下の通りであります。

今後の国内建設市場につきましては、建設投資は堅調に推移することが見込まれますが、技能労働者の減少や原材料価格の高止まり等が懸念されるとともに、新設等を主体とした「フロー」型から維持・修繕等の「ストック」型への需要の質的変化や、時間外労働に関する上限規制の適用開始に向けた対応およびデジタルによる技術革新など構造変革が迫られております。

このような情勢下におきまして当社グループでは、協力会社との関係強化や物価高騰への対応を図りつつ、「長期経営計画 “To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、既存事業の深堀りと新規分野の模索など「知の深化」と「知の探索」を実践してまいります。また、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として、3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とし、この3つの提供価値と人材・デジタル技術の競争優位構築による「東急建設ブランドの訴求・確立」をはじめとする5つの重点戦略を実行することで当社グループの持続的な企業価値向上を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループは、持続的な企業価値向上を目指すため、企業ビジョンおよび経営計画に則り、「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を軸に、ステークホルダー(お客様、協力会社、社員・家族、株主、そして社会)へ新たな豊かさを提供するサステナビリティ経営を実践しております。自社のサステナビリティを巡る課題をマテリアリティ(当社グループが優先的に取り組むべき経営の重要課題)として定め、その取り組みを推進しています。

マテリアリティは、経営会議等の会議体においてリスクと機会を認識し、ステークホルダーにおける重要度と企業価値向上への影響度を踏まえ取締役会で特定しています。これら取り組みの進捗について取締役会に報告するとともに、環境変化に柔軟に対応するため、毎年リスクを網羅的に洗い出し、見直しを行う仕組みとしております。

業務執行状況は、事業部門長会議や経営トップによる四半期ごとの事業モニタリングにおいて把握し、工事受注、不動産取引、ベンチャー投資やその他事業投資等の個別案件は、組織横断の「本社リスク管理協議会」、「受注協議会」、「海外受注協議会」、「不動産取引審査会」、「事業投資審査会」、「ベンチャー投資委員会」を設け、リスクの事前検証を実施しております。サステナビリティ課題を報告・協議する「サステナビリティ委員会」では、当連結会計年度において環境問題・TCFDについて議論・報告を行いました。 

サステナビリティの取り組みに関する詳細な情報につきましては弊社ウェブサイト(URL:https://www.tokyu-cnst.co.jp/sustainability/foundation/)をご参照ください。

 

(2) 重要なサステナビリティ項目

上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

 

① 気候変動

(ⅰ)戦略

気候変動がもたらす影響を幅広く検討し、特に重要であると考えられるリスクと機会を特定しております。それぞれのリスクと機会が当社グループに与える財務影響を、気候変動への対応や規制が進むことが想定される2℃未満シナリオと、災害の甚大化がより深刻となる4℃シナリオに分けてシナリオ分析を実施しました。

気候変動リスクの低減およびこれらの機会を生かすことを経営の最重要課題と認識しており、具体的にはZEB・ZEH・木質建築物の推進や低炭素燃料の使用拡大によるGHG排出量の削減、再生可能エネルギー電力の利用拡大、そして最終廃棄処分率の削減などに取り組んでおります。

 

(ⅱ)指標及び目標

以下の指標を用いており、目標及び実績は次のとおりです。

項目

対象

2022年度実績※

2030年目標

2050年目標

GHG排出量

Scope1・2

9.1%削減

30%削減

100%削減

Scope3

47.4%削減

30%削減

再生可能エネルギー

再エネ電力利用率

59.6%

100%

廃棄物

最終廃棄処分率

6.1%

3%以下

0

 

※GHG排出量は、2018年度を基準としております。なお、2022年度の実績値は、第三者保証取得前の数

 値である為変更の可能性があります。

気候変動、TCFD提言に基づく詳細な情報については弊社ウェブサイト(URL:https://www.tokyu-cnst.co.jp/sustainability/environment/tcfd/)をご参照ください。

 

② 人的資本

(ⅰ)戦略

人材育成方針

当社グループは、「人材」を競争優位の源泉と位置付け、従業員一人ひとりが能力を高め、個々の力を十分に発揮できるよう人材育成の強化に取り組んでおります。

コア事業である建設事業でこれまで培ってきた現場力をさらに深め、強みである都市機能を止めない技術やノウハウ、土木・建築・その他事業の枠を超えたチームワークを次世代へ確実に引き継ぐため、必修型「ビジネス基礎教育」、職種別に特化した必修型「専門教育」、キャリア自立に向けた自発的な行動を支援する「選択・選抜型教育」の3つの要素を軸に人材育成マスタープランとして教育体系を整備し、若手の早期育成を進めております。また、人事制度改定により年次に関わらない抜擢登用、能力絶対評価による優秀社員のスピード昇格を可能とし、ジョブローテーションによる成長機会の創出と合わせて現場力強化を進めております。

一方、戦略事業である国際事業・不動産事業においてはより高い専門性を持つ人材が不可欠であり、専門性を活かしたキャリア形成を実現する専門職制度を新たに開始したことにより、スペシャリストの育成を推進し、新たな事業領域拡大・イノベーション推進に向けた高い専門能力とプロ意識、誇り・情熱・向上心とやり抜く力を併せ持ち変革をリードできる「自律型人材」の育成・獲得を進めております。

また、当社グループは「デジタル技術」を「人材」と並ぶ競争優位の源泉と位置づけており、「デジタル技術」をより強固に推進するためのデジタル人材の獲得と育成を進めております。デジタル人材育成計画を策定し、全社員がそれぞれに求められるスキルの獲得を目指しております。

以前にも増して変化の激しい市場環境で「知の深化」と「知の探索」の実践を牽引し、複雑化する経営を担う人材の不足は大きなリスクとなります。これを回避すべく、次世代経営者・幹部候補者を対象とした次世代経営アカデミーを運営し、次世代人材プールを構築することで計画的な経営人材の輩出と主要ポストの後継者計画の実現に取り組んでおります。

 

社内環境整備方針

当社グループは、顧客ニーズの多様化への適合と、新たな事業領域拡大・イノベーション推進に向けて個性の違いが生み出すさまざまな視点や価値観を効果的に活用することができる企業風土の醸成を目指し、多様な人材が最大限の力を発揮できる職場づくりを推進しています。

多様性の確保として女性活躍推進、エリア総合職の採用・通年採用、外国籍社員への支援、LGBTQへの対応などを進め、その活躍の土台となる多様な働き方については、フレックス勤務制度・テレワーク勤務制度などを整備しております。更にデジタル化・IT活用での業務効率化、作業所における4週8休への取り組みなどの職場環境整備により長時間労働を要因とする健康被害を防止するとともに、健康経営を推進して従業員の健康づくりに積極的に取り組むことで、当社の持続的な成長とサステナブルな社会の実現を目指しております。

また、年2回実施するエンゲージメントサーベイにより組織の状況を把握して改善活動につなげるとともに、サーベイ結果のフィードバックを通じたチーム対話の推進等により組織内の心理的安全性の確保を進め、改善活動や新たなアイディアが生まれやすい環境づくりを目指しております。さらに、事業戦略への納得感を高めるため経営者と従業員とが直接意見を交わし合うビジョン対話や、感謝を伝えるサンクスカードの運用、新事業のアイディアコンテストの開催により、互いを認め合い、尊重し合い、挑戦を歓迎する組織風土の醸成に取り組んでおります。

 

(ⅱ)指標及び目標

当社グループでは、上記以下の指標を用いており、目標及び実績は次のとおりです。

指標

2022年度実績

目標

女性採用比率

21.9%

2025年度に30%

男性の育児休業取得率※1

61.0%

2025年度に100%

従業員エンゲージメント※2

BB

2030年度にAAA

 

※1男性の育児休業もしくは育児を目的とした休暇の取得率

※2株式会社リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」によるエンゲージメントレー

  ティングであります。対象は子会社を含めたグループ全体の従業員としており、全11段階に分か

  れており、2022年度実績の「BB」は、「AAA」「AA」「A」「BBB」に次ぐ上位から5

  段階目のレーティングとなっております。

 

人的資本に関する詳細な情報については2023年10月に弊社ウェブサイト(URL:https://www.tokyu-cnst.co.jp/ir/library/annual/)において公表予定の統合報告書2023年度版をご参照ください。

 

なお、当該将来に関する事項については、経営会議等および取締役会の会議体で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 気候変動や自然災害に対するリスク

温室効果ガスの大量排出による気候変動に伴い、建設事業や建物ライフサイクルへの政府の規制強化や、サステナブルな調達に対する要請の高まり等への対応が遅れた場合、売上高の減少、工事採算の悪化等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
 当該リスクには、再生可能エネルギー電力の使用やZEB(Net Zero Energy Building)の推進をはじめ3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とした長期経営計画を推進することとしております。また、気候変動に伴い激甚化する風水害や、地震、津波等により当社グループの従業員や保有資産が被災するリスクに対して、BCP(事業継続計画)に基づいた訓練計画を行う等、BCM(事業継続マネジメント)にも取り組んでおります。
 

(2) 建設市場の動向

景気変動による国内建設市場の縮小、資材・労務価格等の急激な変動が発生した場合、売上高の減少、工事採算の悪化等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
 当該リスクには、市場の縮小に対してはイノベーションによる新たな事業領域の拡大、資材・労務価格等の急激な変動に対しては先行調達や代替工法の提案等により対応しております。

 

(3) 建設産業の構造変化に関するリスク

技能労働者不足による供給力の低下等に伴う、建設産業の構造変化への対応が遅れた場合、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
 当該リスクには、協力会社との連携を強化しつつ、建設現場におけるICTの活用等DXによる建設生産システムの変革、生産性の向上により対応しております。
 

(4) 従業員の確保に関するリスク

労働人口の減少や働き方の多様化、産業間の人材獲得競争が進む中、従業員への処遇改善や、ダイバーシティ&インクルージョンへの対応が遅れることにより、従業員の確保が困難となり人員不足に陥ることが想定されます。また、それに伴う売上高の減少等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクには、人材育成の強化により従業員一人ひとりの能力をさらに高め、従業員エンゲージメントの向上によりその能力を最大限発揮するとともに、人事制度改革や働き方改革、さらにはダイバーシティ&インクルージョンを推進することで、当社の魅力を高めることにより対応しております。

 

(5) 施工瑕疵や品質不良

設計、施工における不具合等によりその補修等に多大な費用を要するような重大な瑕疵、品質不良が発生した場合、補修費用の発生による工事採算の悪化や顧客からの信頼喪失による受注機会の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクには、土木・建築各事業本部との組織連携や、品質管理の活動強化を図り、PDCAサイクルを実践する等、当社が定める品質方針に基づき対応しております。

なお、品質問題の発生および重大化を防ぐため、経営者まで速やかに情報共有される体制の整備や内部通報制度の拡大、施工部門における品質管理の再構築、技量向上を目的とした作業所技術員への人材投資の強化、組織風土の改革といった事項にも取り組んでおります。

 

(6) 重大な事故・災害

第三者や多数の死傷者を伴う重大な事故・災害の発生及び社会的に影響の大きい工事等における事故が発生した場合、社会からの信頼を喪失し受注機会の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクには、経営トップの関与をより高めた安全管理体制等、当社が定める安全方針に基づき対応しております。

 

(7) 国際事業の展開に伴うリスク

国際事業を展開する上で、海外諸国の政治・経済情勢、為替や法的規制等、事業環境に著しい変化が生じた場合、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクには、本社機能を含むガバナンスを充実させリスクマネジメントを強化することにより対応しております。

 

(8) 感染症の流行に伴うリスク

感染症の流行が拡大することにより、建設市場の縮小、施工中案件の工事中断等が生じた場合、受注機会の減少、工事採算の悪化等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクには、感染防止対策を強化・徹底し、関係者ならびに従業員の健康に最大限配慮することにより対応しております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナの下で、経済活動が再開するなど景気に持ち直しの動きが見られました。しかしながら、長引くウクライナ情勢や記録的な円安等の影響による物価上昇に加え、金融資本市場の変動など先行きに対する不透明感が高まりました。

建設業界におきましては、政府建設投資が堅調に推移したことに加え、民間建設投資も企業の設備投資意欲の高まりにより回復の動きが見られるなど、建設投資は総じて増加しました。

このような情勢下におきまして当社グループは、「長期経営計画“To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とした5つの重点戦略(「東急建設ブランドの訴求・確立」「コア事業の深化」「戦略事業の成長」「人材・組織戦略」「財務・資本戦略」)に取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は288,867百万円(前期比11.9%増)となりました。損益面では、営業利益は5,107百万円(前連結会計年度は6,078百万円の営業損失)、経常利益は5,020百万円(前連結会計年度は5,132百万円の経常損失)となりました。これに、税金費用等を加味した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5,245百万円(前連結会計年度は7,459百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(建設事業(建築))

完成工事高については、国内官公庁工事が減少したものの、国内民間工事及び海外工事の増加により、216,938百万円(前期比9.5%増)となりました。一方、セグメント利益については、7,938百万円(前期比3.4%増)となりました。

 

(建設事業(土木))

完成工事高については、国内官公庁工事、海外工事及び国内民間工事の増加により、61,838百万円(前期比7.5%増)となりました。一方、セグメント利益については、1,106百万円(前連結会計年度は6,148百万円のセグメント損失)となりました。

 

(不動産事業等)

不動産事業等売上高については、販売用不動産の売却等により、10,091百万円(前期比297.9%増)となりました。セグメント利益については、2,556百万円(前連結会計年度は1,770百万円のセグメント損失)となりました。

 

 

当連結会計年度末の資産の部につきましては、販売用不動産が3,780百万円減少した一方、現金預金が20,066百万円、不動産事業支出金が1,032百万円それぞれ増加したことなどにより、資産合計は前連結会計年度末と比較して11,352百万円増加(4.8%増)し、249,164百万円となりました。
  負債の部につきましては、長期借入金が20,446百万円減少した一方、短期借入金が19,986百万円、電子記録債務が7,043百万円それぞれ増加したことなどにより、負債合計は前連結会計年度末と比較して8,396百万円増加(5.8%増)し、153,144百万円となりました。
  純資産の部につきましては、配当を2,443百万円実施したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を5,245百万円計上したことなどにより、利益剰余金が増加した結果、株主資本は3,069百万円増加しました。また、政策保有株式の売却等によりその他有価証券評価差額金が803百万円減少したことなどにより、その他の包括利益累計額は311百万円減少しました。この結果、純資産合計は前連結会計年度末と比較して2,956百万円増加(3.2%増)し、96,020百万円となりました。

なお、自己資本は95,248百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末と比較して0.7ポイント減少し、38.2%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、法人税等の支払額の支出や預り金の減少等の資金減少があったものの、税金等調整前当期純利益7,711百万円の計上や未収入金の減少等の資金増加により、20,392百万円の資金増加(前連結会計年度は12,201百万円の資金増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、投資有価証券の取得による支出等があったものの、投資有価証券の売却による収入等により、2,398百万円の資金増加(前連結会計年度は476百万円の資金減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、配当金の支払額や長期借入金の返済による支出等により、2,762百万円の資金減少(前連結会計年度は7,531百万円の資金減少)となりました。

この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から20,066百万円増加し、58,714百万円(前連結会計年度末は38,648百万円)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

 a.受注実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

増減

増減率(%)

建設事業(建築) (百万円)

238,968

209,721

△29,247

△12.2

建設事業(土木) (百万円)

53,828

84,635

30,806

57.2

   合計    (百万円)

292,797

294,356

1,559

0.5

 

(注) 当社グループでは「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」以外では受注生産を行っておりません。

 

 

 b.売上実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

増減

増減率(%)

建設事業(建築) (百万円)

198,045

216,938

18,892

9.5

建設事業(土木) (百万円)

57,501

61,838

4,336

7.5

不動産事業等   (百万円)

2,536

10,091

7,555

297.9

   合計    (百万円)

258,083

288,867

30,784

11.9

 

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。

3 前連結会計年度及び当連結会計年度ともに売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

なお、参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりであります。

建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績

 a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期別

区分

前期繰越
工事高
(百万円)

当期受注
工事高
(百万円)


(百万円)

当期完成
工事高
(百万円)

次期繰越
工事高
(百万円)

前事業年度
(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)

建築工事

235,453

221,382

456,835

184,407

272,428

土木工事

94,009

53,281

147,290

56,886

90,404

329,462

274,663

604,126

241,294

362,832

当事業年度
(自 2022年4月1日
  至 2023年3月31日)

建築工事

272,428

183,550

455,978

192,052

263,926

土木工事

90,404

84,242

174,646

60,325

114,321

362,832

267,792

630,625

252,377

378,247

 

(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にそ 

     の増減額を含みます。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。また、前事業年度以前に

         外貨建で受注したもので、当事業年度中の為替相場の変動により請負金額の増減がある場合についても同

         様の処理をしております。

2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。

 

 b.受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。 

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

建築工事

36.0

64.0

100

土木工事

3.1

96.9

100

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

建築工事

12.8

87.2

100

土木工事

3.5

96.5

100

 

(注) 百分比は請負金額比であります。

 

 

 c.完成工事高 

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

建築工事

6,878

177,528

184,407

土木工事

38,172

18,714

56,886

45,051

196,242

241,294

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

建築工事

5,486

186,565

192,052

土木工事

41,492

18,832

60,325

46,979

205,398

252,377

 

(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

前事業年度

四街道開発特定目的会社

(仮称)DPL千葉四街道Ⅰ新築工事

 

 

日本GLP㈱

GLP ALFALINK相模原Ⅳ プロジェクト

 

 

国土交通省

国道45号 長内地区道路工事

 

 

SBSロジコム㈱ 

(仮称)横浜金沢物流センター新築計画

 

 

ESR20特定目的会社

(仮称)ESR茅ヶ崎ディストリビューションセンター新築工事

 

 

当事業年度

タント特定目的会社

(仮称)ESR東扇島ディストリビューションセンター新築工事

 

 

日本GLP㈱

GLP ALFALINK相模原Ⅱ プロジェクト

 

 

パトリオット特定目的会社

(仮称)ESR川崎浮島ディストリビューションセンター新築工事

 

 

野村不動産㈱

(仮称)Landport上尾Ⅱ新築工事

 

 

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

北陸新幹線、福井橋りょう他

 

 

2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度 

該当する相手先はありません。

 

当事業年度

タント特定目的会社  27,686百万円  11.0%

 

 d.次期繰越工事高(2023年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

建築工事

14,584

249,341

263,926

土木工事

70,776

43,544

114,321

85,361

292,885

378,247

 

(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。

囲町東地区市街地再開発組合

囲町東地区第一種市街地再開発事業 施設建築物本体工事

2025年12月完成予定

 

 

 

三井不動産レジデンシャル㈱
エヌ・ティ・ティ都市開発㈱
日鉄興和不動産㈱
住友商事㈱
住友不動産㈱
大和ハウス工業㈱
東急不動産㈱
東京建物㈱
野村不動産㈱
三菱地所レジデンス㈱

(仮称)晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業 5-3街区建築物工事

2024年1月完成予定

 

 

 

野村不動産㈱
東日本旅客鉄道㈱

板橋駅板橋口地区第一種市街地再開発事業

2027年6月完成予定

 

 

 

瑞穂プロパティ―特定目的会社

(仮称)多摩地区物流センター新築工事

2024年6月完成予定

 

 

 

新綱島駅前地区市街地再開発組合

新綱島駅前地区第一種市街地再開発事業に伴う施設建築物建設工事

2023年10月完成予定

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

当社グループの当連結会計年度の経営成績等について、売上高は288,867百万円(前期比11.9%増)となりました。損益面では、営業利益は5,107百万円(前連結会計年度は6,078百万円の営業損失)、経常利益は5,020百万円(前連結会計年度は5,132百万円の経常損失)となりました。これに、税金費用等を加味した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5,245百万円(前連結会計年度は7,459百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。 
 財政状態については、現金預金や不動産事業支出金が増加したことなどにより資産合計は249,164百万円(前連結会計年度末比4.8%増)となりました。また、短期借入金や電子記録債務が増加したことなどにより、負債合計は153,144百万円(前連結会計年度末比5.8%増)、利益剰余金の積上げなどにより純資産は96,020百万円(前連結会計年度末比3.2%増)となりました。自己資本比率は38.2%(前連結会計年度から0.7ポイント減少)となりました。

 

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

国内建設市場につきましては、建設投資は堅調に推移することが見込まれますが、技能労働者の減少や原材料価格の高止まり等が懸念されるとともに、新設等を主体とした「フロー」型から維持・修繕等の「ストック」型への需要の質的変化や、時間外労働に関する上限規制の適用開始に向けた対応およびデジタルによる技術革新など構造変革が迫られております。

このような情勢下におきまして当社グループでは、協力会社との関係強化や物価高騰への対応を図りつつ、「長期経営計画 “To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、「知の深化」と「知の探索」を実践し、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として3つの提供価値を軸とした5つの重点戦略を実行することで当社グループの持続的な企業価値向上を目指してまいります。
 

c.目標とする経営指標の達成状況

当社グループが「長期経営計画“To zero, from zero.”」で掲げた目標及び、当連結会計年度の実績は以下のとおりです。

経営指標

2022年度目標

2022年度実績

2030年度目標

連結営業利益(率)

40億円(1.4%)

51億円(1.8%)

220億円以上

(5.0%以上)

連結ROIC

3.0%

7.0%以上

連結ROE

3.8%

5.6%

10.0%以上

D/Eレシオ

0.5倍以下

0.23倍

0.5倍以下

自己資本比率

40~45%程度

38.2%

45%程度

従業員エンゲージメント(※1)

BBB

BB

AAA

GHG排出量(※2)

10.0%削減

47.4%削減

30.0%削減

 

※1  ㈱リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」によるエンゲージメントレーティングであります。対象は子会社を含めたグループ全体の従業員としており、全11段階に分かれており、2022年度実績の「BB」は、「AAA」「AA」「A」「BBB」に次ぐ上位から5段階目のレーティングとなっております。

※2 GHG排出量は、2018年度を基準としております。なお、2022年度の実績値は、第三者保証取得前の数値であるため変更の可能性があります。

 

前年度公表いたしました現在施工中工事の不具合や、過年度引渡し物件に係る施工瑕疵に対し、当社では、安全・品質・工程管理等のコア業務に関する技術員教育の強化、本社による作業所支援体制の強化、特定工事に対する専門委員会の設置等、品質管理体制の強化による再発防止策を徹底し、施工品質の向上に引き続き努めてまいります。

 

 

d.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の完成に要する外注費等の工事費の支払や人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、当社グループは提出日現在、事業運転資金の安定的且つ機動的な調達を目的として、取引金融機関5行及び19行との間でそれぞれ締結しております、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約等からの借入により資金調達を行っております。

 

e.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

(建設事業(建築))

当連結会計年度における受注高は209,721百万円(前連結会計年度は238,968百万円)、完成工事高は216,938百万円(前連結会計年度は198,045百万円)、セグメント利益は7,938百万円(前連結会計年度は7,678百万円)となりました。

 

(ⅰ) 完成工事高(個別)

当事業年度における当社個別の完成工事高は、前事業年度比7,644百万円(4.1%)増加の192,052百万円となりました。

工事分類別では、前事業年度に比べ「販売用一般住宅」、「工場」が増加し、「流通施設」、「宿泊施設」が減少しました。また、発注者別では、官公庁工事が減少、民間工事が増加となりました。

(単位:百万円)

 

前事業年度

当事業年度

増減率

 

完成工事高

184,407

192,052

4.1%

 

完成工事総利益

13,132

13,778

4.9%

 

 

(ⅱ) 完成工事総利益率(個別)

利益率は、前事業年度比0.1ポイント改善し、7.2%となりました。

 

(ⅲ) 受注高(個別)

   受注高は183,550百万円で、前事業年度比37,831百万円(17.1%)の減少となりました。

 

(発注者別)

中央官庁からの受注は前事業年度比758.8%増加、地方自治体からの受注は同78.5%減少し、官公庁工事の受注額合計では同7.3%減少しました。東急グループを除く民間の受注は前事業年度比4.1%減少、東急グループからの受注は同73.3%の減少となり、民間の受注額合計では同17.1%の減少となりました。なお、受注高全体に占める東急グループ発注工事の割合は、当事業年度5.8%となりました。官公庁工事と民間工事では、官公庁工事5.4%、民間工事94.6%の構成比となりました。

 

(工事分類別)

「住宅」は前事業年度比30.5%減少し、構成比は32.2%となりました。「倉庫・流通施設」は前事業年度比23.5%減少し、構成比は18.4%となり、「事務所・庁舎」は前事業年度比40.9%増加し、構成比は11.4%となりました。

 

(エリア別)

国内において、首都圏と地方の比較でみると、首都圏の割合が前事業年度比9.4ポイント増加し、国内全体に占める割合は79.6%となりました。

 

 

(建設事業(土木))

当連結会計年度における受注高は84,635百万円(前連結会計年度は53,828百万円)、完成工事高は61,838百万円(前連結会計年度は57,501百万円)、セグメント利益は1,106百万円(前連結会計年度は6,148百万円のセグメント損失)となりました。

 

(ⅰ) 完成工事高(個別)

当事業年度における当社個別の完成工事高は、前事業年度比3,438百万円(6.0%)増加の60,325百万円となりました。

工事分類別では、前事業年度に比べ「道路」、「河川・海岸堤防」が増加し、「事業用水道」が減少しました。また、発注者別では、官公庁工事、民間工事ともに増加となりました。

 (単位:百万円)

 

前事業年度

当事業年度

増減率

完成工事高

56,886

60,325

6.0%

完成工事総利益又は

完成工事総損失(△)

△3,530

3,450

 

 

(ⅱ) 完成工事総利益率(個別)

利益率は、前事業年度における施工中工事の施工不良に伴う損失見込み額計上等からの反動等により、前事業年度比11.9ポイント回復し、5.7%となりました。

 

(ⅲ) 受注高(個別)

受注高は84,242百万円で、前事業年度比30,960百万円(58.1%)の増加となりました。

 

(発注者別)

中央官庁からの受注は前事業年度比70.0%増加、地方自治体からの受注は同64.2%増加し、官公庁工事の受注額合計では同69.1%増加しました。東急グループを除く民間の受注は前事業年度比114.9%増加、東急グループからの受注は同46.6%の減少となり、民間の受注額合計では同38.3%の増加となりました。なお、受注高全体に占める東急グループ発注工事の割合は、当事業年度5.7%となりました。官公庁工事と民間工事では、官公庁工事68.8%、民間工事31.2%の構成比となりました。

 

(工事分類別)

「鉄道」は前事業年度比251.5%増加し、構成比は44.0%となりました。「道路」は前事業年度比23.3%増加し、構成比は28.0%となり、「上・下水道」は前事業年度比210.6%増加し、構成比は8.0%となりました。

 

(エリア別)

国内において、首都圏と地方の比較でみると、首都圏の割合が前事業年度比9.8ポイント増加し、国内全体に占める割合は59.0%となりました。

 

(不動産事業等(連結))

不動産事業等売上高は10,091百万円(前連結会計年度は2,536百万円)となりました。この主な内容は、販売用不動産の売却等に係るものであります。また、損益面では、2,556百万円のセグメント利益(前連結会計年度は1,770百万円のセグメント損失)となりました。

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

セグメントごとの研究開発は次のとおりであります。なお、「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」の研究開発費は、建設事業共通でかかる費用のため、「建設事業」として記載しております。

 

 [建設事業]

研究開発活動については、「VISION2030」の達成に向け策定した「長期経営計画“To zero, from zero.”」の中で示した、3つの提供価値「①脱炭素、②廃棄物ゼロ、③防災・減災」に関連する技術ならびに、技術革新による「④まちづくり、⑤品質向上、⑥生産性向上、⑦安全性向上」につながる技術の開発と実用化を、技術戦略基本方針に基づき推進しております。当連結会計年度においては、以下の技術分野に関して、研究開発を進めました。

 

1.脱炭素      ・コンクリート材料・木造建築・IoTセンサ活用の空調制御・建築資材のCO2排出量算定

  2.廃棄物ゼロ    ・先送り材料・廃棄物選別ロボット

  3.防災・減災    ・構造ヘルスモニタリング・耐震・グリーンインフラ・インフラ点検・維持管理

  4.まちづくり    ・Building OS・生物多様性評価

  5.品質向上    ・検査支援システム・騒音対策・コンクリート材料・室内快適性

  6.生産性向上   ・混合構造・トンネル施工省力化・PCa化・杭/基礎・BIMを活用した部材製作

  7.安全性向上   ・トンネル安全管理・VOC汚染対策

 

更に、大学、公共研究機関及び関連企業との共同研究をはじめとする社外連携を進め、競争的資金の活用等により研究開発の効率を高めております。また、複数の大学と産学連携に関する包括契約を締結しております。

当連結会計年度における研究開発費は、1,177百万円であります。

 

 主な研究開発成果は次のとおりであります。 

 

(1)電気炉酸化スラグ細骨材を使用した環境配慮型コンクリート「E-PEC」でJIS認証を取得

当社は、関東宇部コンクリート工業㈱「溝の口工場」と共同で、電気炉酸化スラグ細骨材を用いた環境配慮型コンクリート「E-PEC」でJIS認証を取得しました。

「E-PEC」は、天然資源である砕砂等の代替材として電気炉酸化スラグ細骨材を使用することで、骨材天然資源の保護に貢献します。また、強度を確保した上でセメント使用量を低減できるため、CO2の削減(最大約10%)にも貢献する環境配慮型コンクリート(資源保護・低炭素)であります。さらに、電気炉酸化スラグ細骨材の粒子形状は球形であることから、コンクリートの流動性が向上し施工性が改善することに加え、単位水量も低減できるため乾燥収縮によるひび割れの低減や中性化の抑制等の高耐久化が望めます。建物の部位ごとに要求される施工性や耐久性に応じた最適な骨材使用率を調整することで、最適なコンクリート品質の確保を可能としております。「E-PEC」は、環境配慮性に加え、施工性や耐久性にも優れており複数のメリットがあることから、関東宇部コンクリート工業㈱「溝の口工場」において、当社以外の建設会社でも採用できるように供給を開始する予定です。

当社は「脱炭素」「廃棄物ゼロ」の実現に向けて、「E-PEC」の社内活用を推進すると共に、同技術の業界普及を目指してまいります。

 

      (2)「トンネル工事の多量湧水対応注入技術」の開発

当社と㈱カテックスは、多量湧水が想定される断層破砕帯や河川近接施工等におけるトンネル工事での多量湧水に対応する注入技術を開発いたしました。これにより、切羽からの多量湧水による掘削中断・遅延を回避し、地山注入改良時の施工性改善に加え、環境にも配慮した確実な地山改良効果が期待できます。

本技術は、ゴム膨張型のパッカー部分と止水ウレタンが滲出する布製パッカー部分との2段階構成により、先受け鋼管内に予め設置する注入管(インサートホース)をパッカーの外側に配置しても、注入機能とパッカー機能が両立するため、口元の止水性が発揮できます。また、本技術を用いることで、湧水とともに注入材が流出することを抑制できるため、河川の汚染防止及び地山改良効果の向上が期待できます。

本技術を用いた実証実験では、長尺鋼管先受け工の注入作業時に、250L/min./孔の多量湧水が生じた条件において、注入材の流出を抑制するとともに地山改良効果、止水・減水効果を確認いたしました。

なお、本技術は、「パッカー及びそれを用いた地山補強工法」として2022年5月に特許を取得しております。また、湧水を制御しながら止水ウレタンを注入する製品の販売は、「H2パッカー工法」として2023年4月から㈱カテックスより販売を開始しております。

 

     (3) 「トンネル全断面点検システム(iTOREL:アイトーレル)」の社会実装を推進

当社が開発したトンネル全断面点検システム「iTOREL」は、これまで人が行っていたトンネル点検に代わり、覆工コンクリートのひび割れと浮きを自動検出するひび割れ検出ユニット、打音検査ユニットによって、定量的かつ経時的な変化も把握可能な点検データが取得できるだけでなく、点検から帳票作成までの作業効率を向上させることで、点検業務の効率化・高度化が可能となるシステムです。千葉県内の国道127号勝岩トンネルで行った現場試行では、点検作業に必要な人数が最大4割削減、帳票作成などの内業時間が18.5%削減可能であることを確認しました。

また、本システムの実用性が評価され、国土交通省関東地方整備局の「現場ニーズと技術シーズのマッチング」において、標準化推進技術に指定され、第10回ロボット大賞では優秀賞(社会インフラ・災害対応・消防分野)を受賞しました。

今後、当社がお客様への提供価値の1つとして掲げる「防災・減災」の取り組みの一環として、トンネル点検を実施する企業と連携して、トンネル全断面点検システム「iTOREL」の社会実装を進めてまいります。

 

(4) PPCa(Partial PreCast)ボックスカルバートをR2国道246号渋谷駅周辺地下道工事に初適用

当社と旭コンクリート工業㈱が共同開発した「PPCa ボックスカルバート」(※)は、側壁および頂版を部分的にプレキャスト部材に置き換えた大型ボックスカルバートの構築工法です。本工法では、部分的にユニット化したプレキャスト部材のみを工場で製作し、現場でコンクリート打設することで施工機械の制約内で施工を行うことを可能としました。現場での型枠・支保工を大幅に削減することができ、従来の現場打ちと比較し、内空7.0m・内高5.2m・延長10m のボックスカルバートの場合、約35%の工期短縮が可能となりました。

本工法は、2021年6月に先端建設技術・技術審査証明を取得後、R2国道246号渋谷駅周辺地下道工事(以下、本工事)にて初適用となりました。本工事は、渋谷駅西口から桜丘方面の歩行者・車両の利便性向上のため、国道246号の直下に地下車路、地下歩道を構築するものです。このうち、地下車路の約22mにおいてボックスカルバートを構築しました。今後、地下歩道の約25mのボックスカルバートの構築においても、本工法による施工を計画しております。

※「PPCa ボックスカルバート」は、旭コンクリート工業㈱と当社の登録商標です。(登録商標第6453626号)

 

 

(5)杭施工におけるコンクリート打設管理装置を開発

当社は、杭施工において、デジタル技術を活用したコンクリート打設管理装置を開発し、場所打ちコンクリート杭の品質確保に必要なコンクリート天端高さの計測業務を効率化しました。

当装置は、先端に錘を付けたワイヤーや自動巻取り装置などで構成され、打設中のコンクリートの天端高さを随時自動計測します。当装置により、計測されたデータがリアルタイムで遠隔地にも共有されることから、複数人によるチェックを現地で行う必要がなくなり、事務所や店社からのリモート管理が可能となります。さらに、これまでは技能労働者による目視・手作業を頼りに行ってきた管理業務が自動化されたことにより、経験が浅くても計測ができるようになりました。

今後当社では、より直感的に打設状況が分かるようなウェブアプリの開発を進め、それを用いた現場実証を進めてまいります。当社は、今後も品質管理を重視し、デジタル技術などの最新技術を取り入れた業務改善に取り組んでまいります。

 

(6)設計初期段階でのエネルギーシミュレーションツール「TC-BES」を開発

当社は、建築物のライフサイクル全体を通じたエネルギーマネジメント/CO2削減へのファーストステップとして、BIMを活用した新たなエネルギーシミュレーションツール「TC-BES(Tokyu Construction-Building Energy Simulator)」を開発しました。2022年度より開始した試験導入の結果を踏まえ改善を行い、2023年度より実案件での試行を開始します。

2021年4月の「建築物省エネ法」改正など、脱炭素社会に向けた取り組みが推進される中、建設業が取り組むCO2削減対策の一つとしてZEB普及が挙げられますが、その実現に向けては、設計初期段階で建築物のエネルギー消費量低減に関する検討を行う必要があります。当社は、設計初期段階における一次エネルギー消費量を含む、各種エネルギー消費量低減のケーススタディーを、複数案比較・改善可能なシミュレーションツールの開発を行いました。

本ツールは、BIMから生成したエネルギーモデルと、当社が過去に携わったZEB案件のデータベースを利用し、「Open Studio」(エネルギー消費性能計算プログラム)にて解析を行う一連のフローを自動化することで、短時間で簡易に最適なZEB提案をすることが可能となります。

当社では、「長期経営計画“To zero, from zero.”」で、「3つの提供価値」のひとつに「脱炭素」を、また「競争優位の源泉」では「デジタル技術」を掲げております。本取組は、その両領域、建築事業の脱炭素・デジタルシフトを加速させるためのものであり、今後お客様のニーズに即した最適なZEBを迅速に提案してまいります。

 

  (7)中高層木造建築構法「P&UA構法」が日本建築センターの個別評定を取得

当社が参加する、「P&UA構法共同技術開発グループ(※)」による本構法を用いて作成した木造10階建て共同住宅のモデルプランが、一般社団法人日本建築センターの評定を2022年10月14日に取得しました。

本構法は、一方向ラーメン構造と耐力壁を木造で架構するもので、新たに開発した「GIUA」と「シアリングコッター耐力壁」を用いることで、高耐力・高剛性・高靭性を実現します。

「GIUA」(㈱市浦ハウジング&プランニングによる特許出願済)は、中大規模木造で一般的な接合構法であるGIR(Glued-in Rod)に、鋼棒をあえて接着させないアンボンド部分を設けた接合構法であります。工場での施工となるため、現場施工の省力化が図れます。

「シアリングコッター耐力壁」(㈱市浦ハウジング&プランニング、㈱織本構造設計による特許出願済)は、木質パネルを上下に並べ、パネル間に設けた切り込みにL型の鋼材(コッター)を組み合わせ差し込んで接続した耐力壁で、優れた変形性能とエネルギー吸収性能を有しております。

2030 年を目標とする東急建設グループの長期経営計画では、「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を3つの提供価値として、経営の軸に定めています。そのうち「脱炭素」については、中大規模木造木質建築を推進することを戦略の一つに掲げ、木造木質ブランド「モクタス」を展開しております。

本構法は、中大規模木造建築物の設計施工を推進するうえで必要な技術であり、「モクタス」ブランドのラインナップに加えることで、さらなる展開を進めてまいります。当社は、今後お客様の期待にお応えできるよう、本構法の採用実績を積むとともに、他の建物用途への展開も視野に入れ取り組んでまいります。

※技術開発者:東急建設㈱、㈱市浦ハウジング&プランニング、㈱織本構造設計、戸田建設㈱、東レ建設㈱、西松建設㈱、㈱長谷工コーポレーション、三井住友建設㈱ 共同研究者・協力者:京都大学 五十田教授、近畿大学 松本准教授、広島県立総合技術研究所林業技術センター他9社

 

  (8)「モクタス WOOD(準耐火)はり」が国土交通大臣認定を取得

当社は、木造準耐火構造技術である「モクタスWOOD(※)(準耐火)はり」の1時間準耐火構造及び、75分準耐火構造の大臣認定(大臣認定番号 QF060BM-0010 及び QF075BM-0010-1)を取得いたしました。

本技術は、木質荷重支持部材に耐火被覆(燃えしろ)として木質被覆材を張る(木(モク)に木(モク)を足す(タス))ことで構成された木製のはり(梁)で、2020年8月に1時間準耐火構造の大臣認定を取得した「モクタスWOOD(準耐火)柱」に続く技術です。また、木質被覆材は特殊な処理をせず一般的な木材が使用できるため、納期が早く安価であります。

今回の認定により、準耐火建築物において、柱はりに本技術を使用することで木現し(もくあらわし)の空間をご提供できることとなりました。なお、本技術は特許第7119151号として認められております。

当社は、木の心地よさを広く社会に伝えるとともに、今後も、脱炭素社会実現に向けて取り組んでまいります。

※「モクタスWOOD」は、東急建設㈱の登録商標です。(登録商標第6566919号)

 

なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。

 

[不動産事業等]

研究開発活動は、特段行われておりません。