文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループ(当社及び当社の関係会社…以下同じ)が判断したものであります。
当連結会計年度における内外経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響はグローバルで緩和されつつあるものの、中国においてはゼロコロナ政策及び規制解除後の混乱により、経済活動の停滞も見られました。また、原材料・エネルギー価格の高止まり、欧米におけるインフレ加速や急激な為替変動等、先行き不透明感が一層強まる状況となりました。
当グループを取り巻く事業環境は、パンデミックによる市場の縮小、ロシア・ウクライナ紛争に起因する原材料費の高騰、さらに中国のゼロコロナ政策など、予測し得ない変化が続いてまいりました。当グループは、この劇的な環境変化に適応すべく、カシオ独自の強みを最大限に活かし、時代の変化に合わせて常に新しい文化を創造することで、人と社会の役に立ち続ける存在となることを目指してまいります。
①収益基盤強化とイノベーション創造
当グループは2030年の企業価値最大化に向けて、“市場に新たな価値軸を創り出し、唯一無二のブランドに育て上げる”べく、2024年3月期から2026年3月期を「収益基盤強化期」及び「変革・イノベーション創造期」と位置付け、以下の事業戦略をはじめとする3ヶ年中期経営計画をスタートいたします。あわせて、『DX』によるバリューチェーン改革や新たな価値軸を創造し続ける『技術』の醸成、『人財』の活性化など、全社基盤の再構築を行いながら、ユーザーを起点とした戦略により市場に新たな価値軸を生み出してまいります。
1)時計事業………………………コロナ禍の影響を受けた収益力を回復すべく、「G-SHOCK」のメタル高価格帯を中心にブランディング投資を進めるとともに、「G-SHOCK」40周年を軸にグローバルでのブランド認知拡大を行います。また、「G-SHOCK」を中心に直営店・直営EC比率の拡大を図ってまいります。
2)EdTech(教育)事業……関数電卓では新機種「New ClassWiz」の拡販をはじめとして引き続き新興国を中心に規模拡大を図るとともに、電子辞書「EX-wоrd」とアプリケーション「ClassPad.net」の学習データ同期によりアプリケーション事業の拡販を図り、ハードとソフトの融合によるグローバルエリア展開を加速させます。
3)サウンド(楽器)事業…………「Privia」最上級機種(PX-S7000)を中心に、ライフスタイルを基軸とした独自市場ポジションの確立を図るとともに、「Slim&Smart」のラインアップによりEnjoyment市場の拡大を図ります。
4)システム事業…………………事業運営体制をコンパクトに集約し、成長分野にリソースを集中し収益改善を図ります。
5)新規事業・新規領域…………次世代の柱となるネクストコア領域の見極めと育成を目的とし、予算枠の設定とステージゲートによるマネジメント強化を図ります。
6)構造改革………………………事業体質改善に向けた構造改革を加速させるとともに、早期退職優遇制度の実施や資産の有効活用などにより抜本的な収益改善施策と基盤強化策を推進してまいります。
②資本収益性を意識した経営
当グループは、財務安全性を確保しながら手元資金を有効活用し、コア事業への成長投資及びアライアンス等の戦略投資を促進することで、中長期的な成長とROEの持続的な向上を図ってまいります。また、資本コストを意識した事業活動の推進及びバランスシートの効率化によりフリー・キャッシュ・フローの創造に努めると共に、資本収益性の改善を図ることで、引き続き企業価値の向上を目指してまいります。
③事業を通じたサステナブルな社会への貢献
当グループにとってのサステナビリティとは、「創造 貢献」という経営理念のもと、企業活動を通じて当グループと社会の持続的成長を目指すことと考えております。当グループは、社会から期待される課題の解決に事業を通じて取り組むにあたり、重点的に取り組むべき6つのマテリアリティ(①脱炭素社会の実現、②資源循環型社会の実現、③自然との共生、④人権の尊重、⑤CSR調達の推進、⑥働きやすい職場環境の提供とダイバーシティの推進)を策定するとともに、事業を通じた貢献をさらに加速させるべく、中長期の経営戦略と連動したサステナビリティ経営の強化を目指してまいります。また、気候変動の事業に与える影響が重要視される中、環境に関する取り組みとして「カシオグループ環境ビジョン」を掲げ、具体的なテーマを設定し推進しております。
当グループではこれらの課題に対し、国内主要事業所の再生可能エネルギーへの切り替えや中国製造拠点における太陽光発電設備の導入など、脱炭素2050年実質ゼロに向けたエネルギー戦略を推進するとともに、商品パッケージの脱プラを含め環境配慮素材を活用した商品開発に取り組むなど、引き続きサプライチェーン全体でサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
④コーポレート・ガバナンス機能の強化・充実
当社はコーポレート・ガバナンスの強化・充実も重要な経営課題と位置付けております。2019年には監査等委員会設置会社へ移行し経営の監督機能強化を図るとともに、2021年にはそれまでの「カシオ倫理行動規範」を「カシオビジネスコンダクトガイドライン」に刷新するなど役職員の基本的な価値観の共有、倫理観の醸成、法令等遵守体制の構築に努めてまいりました。
さらに、本年4月からは、経営のさらなる健全性の確保に向けて、監督機能と執行機能の分離をもう一段進めるべく会長が経営の監督を、社長が経営の執行を担当する新経営体制に移行しました。2030年の企業価値最大化に向けた事業計画を確実なものとする為にはRPDCAサイクルの実行と各ステップでの的確な管理・監督が必要です。取締役会などにおける経営監督機能を充実させ当グループが発揮できるポテンシャルの最大化及び事業計画の達成に繋げてまいります。
また、当社はこれまで9名で構成されている取締役会のうち3分の1を占める3名の社外取締役を選任しておりましたが、取締役会の実効性をさらに高めコーポレート・ガバナンス体制の充実を図るため、社外取締役を1名増員することといたしました。
当社の経営理念である「創造 貢献」という考え方は、当社独自の強みを最大限に活かし、時代の変化に合わせて常に新しい文化を創造することで、世の中の役に立ち続ける、ということを意味しています。当グループは、この貢献のための創造を通じて、人々の暮らしの中に溶け込み、必要としてくれる人にとって最も大切な存在となるような、新しい価値を生み出し続ける企業を目指しています。
当グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当グループが判断したものであります。
当グループでは気候変動をはじめとする企業と社会の中長期的な持続可能性に係る事項への対応を経営上の重要課題と認識し、CEO、CHRO、CFOそして、事業運営マネジメントを行う「事業軸」と「機能軸」の各責任者を主なメンバーとする「サステナビリティ委員会」において十分に議論の上、「取締役会」に諮っています。これにより、重要事項に関する経営としての意思決定や、重要事項の推進状況に対する監督が適切になされる体制を整備しています。
当社のコーポレート・ガバナンス体制図は、「第4 提出会社の状況 4 (1) ① コーポレート・ガバナンス体制の概要等」をご参照ください。
当グループでは、自然災害リスクを含むサステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについて、「サステナビリティ委員会」の中でより詳細な検討を行ったうえで、年二回取締役会に報告しております。
特に重要と認識されたリスクについては、リスクマネジメントを統轄する「内部統制委員会」の監督の下、関連組織が相互に連携を取りながら適切に対処しております。
(気候変動)
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき、当グループが直面する気候変動影響がもたらすリスクと機会について、発生可能性と事業影響度から重要度を評価し、シナリオ分析に基づく評価結果を開示(※)しています。特定されたリスクについては、今後の環境変化を踏まえ、定期的に分析を実施してまいります。
(※) 詳細については、当社ウェブサイト(https://www.casio.co.jp/csr/concept/tcfd/)をご参照ください。
(人的資本投資)
“人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。”(経済産業省)との考えに基づき、産業構造の変化、技術革新の進展、労働者の就業意識・形態の多様化といった外部環境を踏まえ、当社の状況、経営方針、重点戦略に即した人材(人的資本)に対する基本コンセプトと方針を以下のように定め、それに従った各施策を行います。
経営方針:市場に新たな価値軸を創り出し、唯一無二のブランドに育て上げる
重点戦略:2030年度までに各事業品目に新たな価値軸となるコアブランドを確立し、企業価値を最大化する
基本コンセプトと方針

①健康経営 ~人員構成上の課題より
当社における平均年齢の高まりや年齢中央値、年齢分布などに鑑み、身体的・精神的な充足度、アブセンティズムやプレゼンティズム改善への着手を通じた社員一人ひとりのプレゼンス向上に取り組むことは、会社業績への貢献にも大きく寄与すると考えます。
当社では2022年度に「CASIO健康基本方針」を定め、健康経営への取り組みを開始しました。2022年度の健康経営度調査の結果は600位程度でしたが、ランキングのみならず、男性労働者の育児休業及び休暇取得率・健康診断再検査受診率・適正体重維持者率・喫煙率をKPIとし、カシオ健康保険組合と連携した健康経営推進体制を整備の上、健康意識の向上・職場活性化・生活習慣病対策等、9つの重点項目を設定し、引き続き各種健康増進施策を推進します。
②自律人材 ~求められる自律人材とキャリアサポート制度のさらなる充実
当社では、「自ら考え行動し、その成果として会社の成長発展に貢献する」という社員像を求めております。パフォーマンスの高い自律人材に成長してもらうには、自らキャリアを高めたいというキャリア観が必要だとの考えから、2019年より社員の自律的キャリア形成の実現を支援するキャリアサポート制度を開始しました。キャリアサポート制度は、自身のキャリアに対する気づきとインプットを得る機会としての「キャリア研修」を中心に、社内の自発的な異動を支援する「社内公募制度(ジョブチャレンジ)」、より幅広いキャリアの可能性を拡げるために社外転身も視野に含めた「副業兼業制度」、「セカンドキャリア制度」で構成されています。
キャリア研修では、従来の30歳、40歳、49歳を対象にしていたものに加え、2022年度より55歳の方まで対象に広げました(2022年度受講実績384名)。社内公募制度では年間30名程度の方が異動しており、自発的なキャリア開発の一助となっております。セカンドキャリア制度も年間20名程度の方が毎年申請しており、副業兼業制度ではこれまで40名程度が社外での活動に従事しております。
今後も自律人材育成のため、正社員に占めるキャリア研修実施カバー率、ジョブチャレンジ実施延べ経験人数をKPIに定め、キャリアサポート制度のさらなる充実に努めてまいります。
③マネジメント強化 ~多様な人材のマネジメントを通じた価値創造
全社で高いパフォーマンスを発揮し続けるためには、社外でも活躍できる優秀な人材(自律人材)に、いかに社内で活躍頂くかが重要です。キャリアサポート制度によって育成した自律人材をいかにマネジメントし、成果を生み出す集団にするかは当社にとって喫緊の課題です。上位層の高いマネジメント能力は、その部下たちの能力に影響を与えます。その観点から、次期役員候補育成人数をKPIとして設定し、部門長クラスを対象とした経営幹部育成施策を実施し、役員候補の人材プールを充実させることで、上位層の質向上に努めます。
また、正しい意思決定に不可欠な要素であるといわれている意思決定層の多様性も、成果を生み出すために必要となります。その観点から、次期女性所属長候補育成人数をKPIとし、ポジティブアクションとして、女性管理職候補の選抜育成施策を実施します。併せて上記取り組みの結果指標となる管理職に占める女性労働者の割合と、職位による処遇差が明らかになる正社員の男女の賃金の差異をKPIに設定し、その進捗を確認していきます。
2022年度は経営幹部育成施策・女性管理職候補の選抜育成施策それぞれについて、トライアルとして少人数を対象に実施しましたが、2023年度は対象を広げて実施予定です。
(気候変動)
当社は、2050年までに当グループの温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指して、2030年に向けた温室効果ガス排出量の削減目標を策定し、SBT(Science Based Targets)イニシアティブ(※)の認証を取得しました。現在の目標値はパリ協定のWB2℃目標に則っていますが、今後はSBTイニシアティブの基準(1.5℃目標)を含め目標値の見直しを検討してまいります。
(※) 企業の温室効果ガス排出削減目標が、パリ協定が定める水準と整合していることを認定する国際的イニシアティブ
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
(※) 第三者検証を伴う2022年度の確定値は、検証終了次第、当社ウェブサイト
(https://www.casio.co.jp/csr/environment/data/#02)にて開示を予定しております。
(人的資本投資)
(注) 1 連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社の実績及び目標を記載しております。
2 健康診断再検査受診率、適正体重維持者率及び喫煙率は臨時従業員を含めた実績及び目標を記載しております。
3 正社員は正規雇用労働者のうち無期雇用契約社員ではない者であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、顕在化した場合の影響の内容、当該リスクへの対応策は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。
(1) 日本経済及び世界経済の状況
当グループの製品は、日本、アメリカ、ヨーロッパ及びアジアなどの世界各国において販売されており、その需要は各国経済状況の影響を受けております。市況が下降した局面においては、売上の減少や過剰在庫などが発生する可能性があり、とりわけ当グループ製品の大部分が個人消費者を対象としているため、各国の個人消費の動向は当グループ事業に大きく影響しております。当該リスクが顕在化する可能性は常にあり、その影響を完全に回避することは困難ではありますが、当該リスクへの対応については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、常に市況の動向を見極めながら事業活動を遂行してまいります。
(2) 戦争、テロ、感染症等の要因による社会的混乱
戦争やテロなど当グループによるコントロールができない事態によって、当グループの各種設備や生産拠点等が壊滅的な損害を被る可能性があります。この場合は、当グループの生産体制等に影響を与え、生産・出荷の遅延、営業活動の停滞などにより、売上高が減少し、また、修繕や代替の為に多大な費用を要する可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は常にあり、特に、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、新型コロナウイルス感染症のパンデミック、及びロシア・ウクライナ紛争による世界経済への影響が懸念されます。当該リスクへの対応については、固有の市場状況に応じたきめ細やかなマーケティング活動を展開し、状況に応じて臨機応変な対応に努めるなど、リスク管理を行ってまいります。
(3) 外国為替リスク及び金利リスク
「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載の通り、当グループは世界各地で製品の生産販売を行っており、結果として為替レートの変動による影響を受けております。当グループの利益は、円と対象通貨との為替レートが変動した場合に不利益を受ける可能性があり、また、当グループは金利変動リスクにも晒されており、このリスクは全体的な営業費用、調達コスト、金融資産・負債の価値(特に長期債務)に影響を与える可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は常にあり、その影響を完全に回避することは困難ではありますが、当該リスクへの対応については、為替の変動の影響を軽減し、またこれを回避するために、為替予約取引等の手段を講じてまいります。
(4) 価格変動
当グループの関連業界においては、数多くの企業が国内外の市場シェアをめぐり激しい競争を続けております。短期間における急激な価格変動や、販売価格の下落が長期にわたって続きコストダウン活動がこれに追いつかない場合、当グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクは一部の品目で顕在化しておりますが、当該リスクへの対応については、採算の取れるアイテムの選択、他社との差別化を図って優位性を保持することなどにより、採算を確保するよう努めてまいります。
(5) 新製品
当グループにおいて新製品開発を行うに際し、新製品の開発プロセスは、複雑かつ不確実なものであり様々なリスクを含んでいます。当グループが新たな人気製品を速やかにかつ定期的に発売できなかった場合、あるいは競合他社が当グループと同様の製品を発売し、特にそれが当グループの新製品発売と同時期であった場合は、市場における唯一の先行者、もしくは先行集団の一員として当グループが享受出来たはずの優位性を減少させる可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、新製品の開発スケジュールの管理徹底、市場への投入時期の見極め等により、優位性を保つよう努めてまいります。
(6) 大口顧客との取引
当グループの大口顧客の戦略変更、製品仕様の変更、もしくは注文の解約やスケジュール変更は、当グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、顧客との緊密な連携に努めてまいります。
(7) アウトソーシング
当グループは生産効率と営業利益率の改善を目的に、製造・組立工程の相当部分を外部サプライヤーに委託しているため、納入遅延や確実な品質管理が難しくなるといった生産面のリスクが生じる可能性があります。また、当該委託先による関係法令違反や第三者の知的所有権侵害等の問題により、当グループの業績及び製品声価に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、委託先の選定にあたって、技術力や供給能力などについてあらかじめ厳しく審査を行い、信頼できる取引先の選定に努めてまいります。
(8) 技術開発と技術の変化
当グループの事業分野におけるテクノロジーの急激な変化、市場ニーズの激変等から当グループ製品が予想より早く陳腐化する可能性があり、その場合、当グループの事業展開、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、当グループの事業分野におけるテクノロジー変化の動向を注視し、技術開発の促進に努めてまいります。
(9) 国際活動及び海外進出に関するリスク
「第1 企業の概況 3 事業の内容」及び「第5 経理の状況 1(1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載の通り、当グループの生産・製品販売の大部分は日本国外で行われております。従って、当グループの財政状態及び経営成績等はかなりの程度、海外の政治経済情勢並びに法整備に影響されます。特に予期しない規則の変更、法令の適用は予測が難しく、当グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、海外の法改正情報を的確に収集するように努めてまいります。
(10) 知的財産
当グループは基本的に自社開発技術を使用しており、特許、商標、及びその他の知的所有権などの組合せにより、テクノロジーの保護を図っていますが、以下のようなリスクが当グループに該当することもあります。
・競合他社による同様の技術の独自開発
・当グループが出願中の特許申請の不承認
・当グループの知的財産の悪用・侵害を防ぐための手段が有効に機能しない場合
・知的財産に関する法規制が当グループの知的財産を保護するのに不充分である場合
・当グループの将来の製品又は技術が他社の知的財産権を侵害しているとされる場合
当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、当グループは基本的に自社開発技術を使用し、特許、商標、及びその他の知的所有権などの組合せにより、テクノロジーの保護を図ってまいります。
(11) 製品の欠陥・訴訟問題
当グループは、創業以来重大なクレームや悪評を受けたことはありませんが、将来において当グループ製品の製造物責任や安全性などを問うクレームが発生しないという保証はありません。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、消費者製品の製造販売会社として、製品そのものの品質にとどまらず、環境保全やリサイクルまで含めた全てを「カシオの品質」と位置付け、お客様にご満足いただける品質をお届けするのが品質保証の役割と考え、厳正なる品質管理を行ってまいります。
(12) 情報管理に関するリスク
当グループは、事業の推進・展開に関連して多くの個人情報や機密情報を保有しております。情報が漏洩した場合、営業秘密の流出による競争力の低下及び顧客の信用や社会的信用の低下を招き、当グループの事業展開、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、情報の管理について、社内規程の整備と周知、従業員に対するセキュリティ教育、サイバー攻撃及びシステム障害に関する保全(予防・監視及び対処・復旧準備)等を講じ、情報管理の強化を図ってまいります。
(13) 提携・合弁・戦略的出資
当グループは、事業の推進・展開を図るため、あるいは経営の効率化を目指すために、国内を含むいくつかの国において提携・合弁・戦略的出資を行っております。これらにあたっては事前に、投資回収や収益性などの可能性について様々な観点から検討しておりますが、相手先の経営環境、経営方針や事業環境の変化等により協力体制の確立が困難となる可能性や、充分な成果が期待できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する場合もあり、提携や買収が当初の目的を達成できず、当グループの事業展開、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、事前に、投資回収や収益性などの可能性について様々な観点から検討するなど、慎重に進めてまいります。
(14) 当グループが保有する有価証券の価値下落
有価証券への投資において株価・金利等の変動により影響を受ける他、基本的な経済全般の不確実性により、当グループの資産額に大きな影響を与える可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は常にあり、その影響を完全に回避することは困難ではありますが、当該リスクへの対応については、保有の意義や合理性について定期的に検証し、慎重に判断してまいります。
(15) その他リスク
上記以外に以下の要因によっても将来的に当グループの事業並びに業績に影響を及ぼす可能性があります。
・IT業界の景気循環性
・必要時における、機器、原材料、利用設備、電力等の妥当なコストでの入手可能性
・退職給付会計に係る法令の改定、制度改訂、運用環境の激変
・税効果会計に係る会計基準の改正、税率変更を含む税制改正
・火災や、地震、洪水などの自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や業務上の事故などの発生
なお、当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、各種事前対策を定めるとともに、法令を遵守し慎重に進めてまいります。
当連結会計年度における売上高は2,638億円(前期比4.6%増)、営業利益については181億円(前期比17.5%減)、売上高営業利益率は前期比1.8ポイント減の6.9%となりました。また経常利益は195億円(前期比11.7%減)となりました。
税金等調整前当期純利益は168億円(前期比26.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は130億円(前期比17.7%減)、1株当たり当期純利益は54円65銭(前期比10円88銭減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
当グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比50億円減の113億円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益168億円(前期229億円)、減価償却費109億円(前期113億円)、運転資金(売上債権、棚卸資産、仕入債務)の増加額58億円(前期85億円)、その他の流動負債の減少額36億円(前期は増加額11億円)、法人税等の支払額51億円(前期56億円)であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期と比べて29億円支出が減少し、31億円の支出となりました。主な内訳は、固定資産の取得による支出110億円(前期109億円)、投資有価証券の取得及び売却・償還による純収入71億円(前期48億円)であります。
これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、前期比21億円減の81億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期と比べて38億円支出が減少し、152億円の支出となりました。主な内訳は、長短借入れ及び返済による純収入4百万円(前期は純支出37億円)、自己株式の取得による支出22億円(前期24億円)、配当金の支払額108億円(前期109億円)であります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比36億円減の1,302億円となり、十分な流動性資金を確保しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における内外経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響はグローバルで緩和されつつあるものの、中国においてはゼロコロナ政策及び規制解除後の混乱により、経済活動の停滞も見られました。また、原材料・エネルギー価格の高止まり、欧米におけるインフレ加速や急激な為替変動等、先行き不透明感が一層強まる状況となりました。
このような環境のもと、当グループは、「使う人にとって最も大切な存在を創り続ける」という存在価値のもと、2030年度に企業価値を最大化する「New CASIO C30プロジェクト」をスタートさせました。2030年度の目指す姿からバックキャストした2024年3月期からの3ヶ年中期経営計画のスタートに備え、当連結会計年度は外部環境の変化に左右されない収益体質を確立すべく、各事業において、ユーザーにタイムリーに必要なコトを提供し続けるリカーリング型のビジネスモデルへの移行を進めてまいりました。
当連結会計年度の当グループ業績は、コロナ影響の継続、中国における景気減速や長期化する原材料費・物流費の高騰などの影響を受けたものの、時計の国内でのインバウンド需要の回復及び「G-SHOCK」高価格帯モデルの好調な推移とともに、関数電卓の市場規模がコロナ前水準に回復しており、増収減益となりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は2,638億円、営業利益は181億円、経常利益は195億円、親会社株主に帰属する当期純利益は130億円、1株当たり当期純利益(EPS)は54円65銭となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
中国における景気減速の影響を受けたものの、国内でのインバウンド需要の回復、「G-SHOCK」の『GMW-B5000D』など高価格帯の製品や、『2100』シリーズが好調に推移するなど、増収となりました。
当セグメントの売上高は、1,574億円(前期比3.4%増)、営業利益は235億円(前期比15.4%減)となりました。
(コンシューマ)
楽器は電子ピアノ「Privia」最上級ラインの好調が継続するも、インフレ影響によるエントリーモデルの需要減などの影響を受け、減収となりました。
当セグメントの売上高は、863億円(前期比6.4%増)、営業利益は43億円(前期比26.6%減)となりました。
当セグメントの売上高は、146億円(前期比9.9%増)、営業利益は25億円の赤字(前期22億円の赤字)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の減少などにより前期比50億円の減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得及び売却・償還による純収入の増加などにより前期比29億円の支出減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れ及び返済による純支出があった前期と比べて38億円の支出減少となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比36億円減の1,302億円となりました。
資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりです。
当連結会計年度における資金調達につきましては、サステナブルファイナンスにより80億円の長期借入を実施し、同額の有利子負債返済に充当いたしました。
当グループの資金需要の主なものは、製品製造のための材料の購入費等の製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用に係わる運転資金及び設備投資資金です。なお、営業費用の主なものは、人件費、研究開発費、広告宣伝費であります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当グループは2030年の企業価値最大化に向けて、“市場に新たな価値軸を創り出し、唯一無二のブランドに育て上げる”べく、2024年3月期から2026年3月期を「収益基盤強化期」及び「変革・イノベーション創造期」と位置付け、3ヶ年中期経営計画をスタートいたします。あわせて、『DX』によるバリューチェーン改革や新たな価値軸を創造し続ける『技術』の醸成、『人財』の活性化など、全社基盤の再構築を行いながら、ユーザーを起点とした戦略により市場に新たな価値軸を生み出してまいります。経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標として、売上高、営業利益、営業利益率、ROEについて、目標を定めており、2026年3月期の目標は、売上高3,100億円、営業利益360億円、営業利益率11.6%、ROE10%超としております。また、2024年3月期の計画は、売上高2,650億円、営業利益160億円、営業利益率6.0%としております。
当連結会計年度においては、当初計画:売上高2,700億円、営業利益270億円、営業利益率10%、見直し後の計画:売上高2,630億円、営業利益180億円、営業利益率6.8%に対し、実績は売上高2,638億円、営業利益181億円、営業利益率6.9%となり、ROEは5.9%となりました。
当グループ(当社及び連結子会社)は、「創造 貢献」を経営理念に掲げ、独創的な製品の開発を通じて社会に貢献することを目指し、積極的な研究開発活動を行っております。
研究開発体制は、開発本部と技術本部で構成され、当連結会計年度においては、全品目共通のプラットフォームやソフト開発を技術本部へ集約し、開発本部は新たなビジネスモデル創出および要素技術開発に特化することによって、効率的に開発を行いました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は
(時計)
当セグメントに係る研究開発費は
◎ 積層ベゼルが太陽フレアのように輝く“G-SHOCK”40周年記念モデル「Flare Red」
耐衝撃ウオッチ“G-SHOCK”の誕生40周年記念モデルの第一弾として、ブランドカラーの赤色を用いたマーブル模様の積層ベゼルで力強く輝く太陽フレアを表現した「MTG-B3000FR/GWG-2040FR」を開発しました。
積層ベゼルは、カラーグラスファイバーとカーボンのシートを幾層にも積み重ね、そこから削り出すという新しい手法で成形されており、削り出す場所によって層の見え方が異なることから、一点ごとに風合いが変わります。また、グラスファイバーのシートには蓄光粒子を混ぜているため、暗闇で光を放ちます。加えて、文字板にも太陽フレアをイメージした模様をクリア印刷で施し、躍動感あるフェイスデザインに仕上げました。
裏蓋には、世界的に有名なグラフィティアーティスト、エリック・ヘイズ氏が手がけた40周年記念ロゴを刻印。さらに、遊環にも“40”を意味するスターマークをあしらい“G-SHOCK”40周年記念モデルとして、特別感のあるモデルになっています。
◎ マルチスポーツ対応で軽量化により装着性が向上したG-SQUAD
“G-SHOCK”のスポーツライン“G-SQUAD”の新製品として、スポーツに役立つデータの取得や分析ができる機能を備えながら軽量で装着しやすい「GBD-H2000」を開発しました。
GPS機能に加えて、心拍計測が可能な光学式センサー、方位、高度/気圧、温度、加速度、ジャイロの6つのセンサーを搭載し、ランニング、自転車、水泳など計8種のアクティビティに対応。心拍数や距離、速度だけでなく、例えば水泳では泳法を判別して記録したり、ターン数などの情報も計測します。
また、本体の小型化やカーボン繊維強化樹脂製の裏蓋の採用によって、質量は約63gとなり、従来モデルの「GBD-H1000」と比べて38%の軽量化を実現しました。
さらに、ポラール・エレクトロ社のアルゴリズムによるトレーニング分析機能を搭載。心肺への負荷の計測や三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)別の消費エネルギー分析、睡眠計測などが行えます。対応アプリ「CASIO WATCHES」と連携すると、アクティビティの記録や睡眠計測に基づくアドバイスなど、より詳細な情報を確認できます。
(コンシューマ)
当セグメントに係る研究開発費は
◎ 自由なスタイルで演奏を楽しめる新発想の電子ピアノ
電子ピアノ“Privia”の新製品として、360度どこから見ても美しいモダンなデザインに、演奏空間に応じた音作りと先進的な音源技術による高品質な音色を備え、新たな演奏体験を提供する「PX-S7000」を開発しました。
新製品は、4つのスピーカーから出力される音の要素を個別に調整し、空間で合成する独自の音響システムで自然な音の広がりを作り出します。また、鍵盤には樹脂だけでなく木材も使用し、新たな鍵盤機構とデジタル制御技術により表現力豊かで自然なタッチ感を実現しました。外観も直線を基調としたデザインで軽やかさを演出したほか、ペダルユニット、スタンド、スピーカーファブリックは本体色となじむカラーにしています。
今までのスタンド・ペダル一体型の電子ピアノは、外観や音響システムの特性上、壁際に設置されることが多く楽しみ方にも制約がありましたが、「PX-S7000」は、部屋のどこに設置してもインテリアと調和し、良い音で演奏を楽しむことができる新発想の電子ピアノです。
◎ 直感的に使用できる高い操作性を実現した関数電卓
関数電卓“ClassWiz”シリーズの新製品として、直観的に操作ができる「fx-991CW」を開発しました。
高精細な4階調の液晶により幅広い表現が可能になり、次の操作や現在の選択箇所が一目で識別でき、操作しやすくなりました。また、キーは丸型で天面をドーム状にしてどの角度からでも押しやすいように設計されているほか、レイアウトも導線に沿って使用頻度の高いキーを中心付近に配置し、カーソル操作キーと入力キーの色を分けるなど、直感的に操作ができます。
一方、電卓としての基本性能も進化しており、数学自然表示での基本計算、方程式、数表作成や表計算機能に加え、新たに関数式を記憶するメモリを搭載し、確率を楽しく学習できるMathboxなどのアプリを選択して使うことができます。
さらに、電卓の画面に表示されるQRコードをスマートデバイスで読み取ると、ICT学習アプリ「ClassPad.net」上でグラフを表示したり、分析をしたりすることもできます。
(システム)
当セグメントに係る研究開発費は
(その他)
当セグメントに係る研究開発費は
上記以外にセグメントに関連づけられない基礎研究に係る研究開発費は1,547百万円であります。